(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144977
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ペースト状食品
(51)【国際特許分類】
A23L 29/20 20160101AFI20241004BHJP
【FI】
A23L29/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057184
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品グループ本社株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】下山 郁恵
(72)【発明者】
【氏名】加藤 里佳
(72)【発明者】
【氏名】朝武 宗明
(72)【発明者】
【氏名】有馬 香苗
(72)【発明者】
【氏名】平石 学
【テーマコード(参考)】
4B041
【Fターム(参考)】
4B041LC03
4B041LD01
4B041LD10
4B041LE08
4B041LH02
4B041LH04
4B041LH05
4B041LH07
4B041LH08
4B041LH09
4B041LH10
4B041LH11
4B041LH16
4B041LK18
4B041LK27
4B041LK29
4B041LK36
4B041LP03
(57)【要約】
【課題】本発明は、固形食品が本来有する美味しさを良好に感じることを可能とするペースト状食品を提供することを目的とする。
【解決手段】粉砕又は磨砕された固形食品、水、油脂、サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類を含む、ペースト状食品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕又は磨砕された固形食品、水、油脂、サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類を含む、ペースト状食品。
【請求項2】
油脂を5質量%以上の量で含む、請求項1に記載のペースト状食品。
【請求項3】
増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム、アラビアガム、ペクチン、リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、トラガントガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び、ヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される一種以上である、請求項1に記載のペースト状食品。
【請求項4】
容器詰めされている、請求項1に記載のペースト状食品。
【請求項5】
粉砕又は磨砕された固形食品、水、油脂、サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類を混合して、ペースト状とする工程を含む、ペースト状食品の製造方法。
【請求項6】
油脂を5質量%以上の量で配合する、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム、アラビアガム、ペクチン、リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、トラガントガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び、ヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される一種以上である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
さらに、ペースト状食品を容器に充填する工程を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類を含む、ペースト状食品を製造するためのキット。
【請求項10】
さらに、粉砕又は磨砕された固形食品、油脂、及び水からなる群より選択される一以上を含む、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム、アラビアガム、ペクチン、リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、トラガントガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び、ヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される一種以上である、請求項9に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕又は磨砕された固形食品、水、油脂、サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類を含むペースト状食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーフードや幼児用食品として、また咀嚼又は嚥下困難者用の介護食として、調理された固形食品を、マッシャーやミキサー等を用いて粉砕又は磨砕し、舌や歯茎で容易につぶすことができる、又はそのまま飲み込むことができる状態としたペースト状食品が販売されており、今日ではそのメニューの豊富さや簡便性等から人気を博している。
【0003】
一方で、このようなペースト状食品においては、水っぽさやえぐみ、臭み等が感じられ、固形食品が本来有する美味しさが十分に感じられない場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、水っぽさやえぐみ、臭み等が低減され、固形食品が本来有する美味しさを良好に感じることを可能とするペースト状食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粉砕又は磨砕された固形食品を、油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類、及び、水と共に混合、撹拌して得られたペースト状食品が、水っぽさやえぐみ、臭み等が低減され、固形食品が本来有する美味しさを良好に感じられることを見出した。また、当該ペースト状食品においては、固形食品の素材の色の変色が少なく鮮やかな色が保持されており、さらに、水分と油分の分離がなく滑らかな物性を有し良好な食感で食べやすいだけでなく、取り扱いも容易であることを見出した。
【0006】
本発明は、これらの新規知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1] 粉砕又は磨砕された固形食品、水、油脂、サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類を含む、ペースト状食品。
[2] 油脂を5質量%以上の量で含む、[1]のペースト状食品。
[3] 増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム、アラビアガム、ペクチン、リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、トラガントガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び、ヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される一種以上である、[1]又は[2]のペースト状食品。
[4] 容器詰めされている、[1]~[3]のいずれかのペースト状食品。
[5] 粉砕又は磨砕された固形食品、水、油脂、サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類を混合して、ペースト状とする工程を含む、ペースト状食品の製造方法。
[6] 油脂を5質量%以上の量で配合する、[5]の製造方法。
[7] 増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム、アラビアガム、ペクチン、リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、トラガントガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び、ヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される一種以上である、[5]又は[6]の製造方法。
[8] さらに、ペースト状食品を容器に充填する工程を含む、[5]~[7]のいずれかの製造方法。
[9] サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類を含む、ペースト状食品を製造するためのキット。
[10] さらに、粉砕又は磨砕された固形食品、油脂、及び水からなる群より選択される一以上を含む、[9]のキット。
[11] 増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム、アラビアガム、ペクチン、リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、トラガントガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び、ヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される一種以上である、[9]又は[10]のキット。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水っぽさやえぐみ、臭み等が低減され、固形食品が本来有する美味しさを良好に感じることを可能とするペースト状食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明におけるペースト状食品は、粉砕又は磨砕された固形食品、油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類、及び、水を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明において「固形食品」とは、一又は複数の食材を処理加工、及び/又は調理して製造された食品を意味し、喫食時に咀嚼してから飲み込むことが好ましい、より好ましくは、飲み込む前に咀嚼することを要する食品を意味する。このような「固形食品」としては、一般的な、野菜料理、肉料理、魚料理、卵料理、豆腐料理、キノコ料理、豆料理、芋料理、海藻料理、飯類、麺類、汁物(具材)、パン類、菓子・スナック類、果物等が挙げられ、特に限定されるものではない。より具体的には、例えば、ほうれん草のおひたし、さばの味噌煮、ハンバーグ、かつ煮、親子煮、牛すき煮、カボチャ煮、肉じゃが、雑炊、味噌汁等が例示されるが、これらに限定はされない。
【0010】
本発明において「固形食品」は、粉砕又は磨砕された形態でペースト状食品中に含まれる。固形食品の粉砕又は摩砕は任意の手段により行うことができ、例えば、マイクロ乳棒、ビーズミル、スタンプミル、マスコロイダー、コミトロール、擂粉木、高速撹拌器、ホモジナイザー、ミキサー、マッシャー等を用いて行うことができる(これらに限定はされない)。粉砕又は磨砕された固形食品の大きさは、他の原料との混合においてペースト状とすることができればよく、粉砕又は磨砕の処理条件は、粉砕又は磨砕後の固形食品の形状や大きさを観察しながら、当業者が適宜設定することができる。
【0011】
本発明におけるペースト状食品には、粉砕又は磨砕された固形食品を、他の原料と合わせてペースト状とすることが可能な任意の量で含めることができ、その量は用いた固形食品の種類に応じて、当業者が適宜設定することができる。例えば、当該ペースト状食品100質量%における、粉砕又は磨砕された固形食品の含有量は、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は50質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下又は65質量%以下とすることができる。本発明のペースト状食品における粉砕又は磨砕された固形食品の量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明のペースト状食品には、粉砕又は磨砕された固形食品を、10質量%~85質量%、20質量%~80質量%、30質量%~75質量%、40質量%~70質量%又は50質量%~65質量%の範囲より適宜選択される量で含めることができる。本発明のペースト状食品における、粉砕又は磨砕された固形食品の量を上記範囲とすることによって、当該ペースト状食品において固形食品の良好な風味を感じることができ好ましい。
【0012】
本発明において「油脂」とは、食用に供される動植物性油脂(食用油とも呼ばれる場合がある)を意味し、このような油脂としては、10℃における固体脂含有量(SFC)が0%~35%、好ましくは0%~30%、より好ましくは0%~25%のものである。当該油脂は、好ましくは20℃におけるSFCが0%~25%、好ましくは0%~20%、より好ましくは0%~15%のものである。本発明において利用可能な油脂としては、例えば、植物由来の油脂(例えば、キャノーラ油、菜種白絞油、大豆油、コーン油、綿実油、落花生油、ゴマ油、米油、米糠油、ツバキ油、ベニバナ油、オリーブ油、アマニ油、シソ油、エゴマ油、ヒマワリ油、パーム油、茶油、ヤシ油、アボガド油、ククイナッツ油、グレープシード油、ココアバター、ココナッツ油、小麦胚芽油、アーモンド油、月見草油、ひまし油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、ローズヒップ油、ブドウ油、カカオ油、ホホバ油、パーム核油、スクワレン、スクワラン等)、動物由来の油脂(例えば、魚油、鯨油、牛脂、豚脂、乳脂、羊脂、ラノリン、スクワレン、スクワラン等)が挙げられ(これらに限定はされない)、また、それらの硬化油、エステル交換油、分別油等も利用することができる。油脂はいずれか単独で用いてもよいし、異なる油脂を組み合わせて用いてもよく、本発明の利用態様に応じて、適当なものを選択して用いることができる。
【0013】
本発明において「油脂」は、上記固形食品に含まれる油脂の形態であってもよく、固形食品が油脂を含む場合には、当該固形食品を配合することによって、油脂を配合することも兼ねることができる。
【0014】
本発明におけるペースト状食品には、油脂を、他の原料と合わせてペースト状とすることが可能な任意の量で含めることができ、その量は用いた油脂の種類に応じて、当業者が適宜設定することができる。例えば、当該ペースト状食品100質量%における、油脂の含有量は、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、80質量%以下、75質量%以下、又は70質量%以下とすることができる。本発明のペースト状食品における油脂の量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明のペースト状食品には、油脂を、5質量%~80質量%、10質量%~75質量%、又は15質量%~70質量%の範囲より適宜選択される量で含めることができる。本発明のペースト状食品における、油脂の量を上記範囲とすることによって、当該ペースト状食品において、固形食品の良好な風味を感じることができ好ましい。また、本発明のペースト状食品における、油脂の量を上記範囲とすることによって、満足のいく食感や流動性を得ることができ好ましい。さらに、本発明のペースト状食品において、油脂を添加することによって、カロリーを増すことができ、高カロリー食であるペースト状食品を得ることができ好ましい。
【0015】
本発明において「サイクロデキストリン」は、ブドウ糖を構成単位とする環状無還元マルトオリゴ糖を意味し、ブドウ糖の数が6つのα-サイクロデキストリン、7つのβ-サイクロデキストリン、8つのγ-サイクロデキストリンが挙げられる。本発明においては、α-、β-、γ-サイクロデキストリン、及びそれらの誘導体、ならびにそれらの任意の組み合わせを用いることができる。サイクロデキストリンの誘導体としては、例えば、エチルサイクイロデキストリン、メチルサイクロデキストリン、ヒドロキシエチルサイクロデキストリン、ヒドロキシプロピルサイクロデキストリン、メチルアミノサイクロデキストリン、アミノサイクロデキストリン、カルボキシエチルサイクロデキストリン、カルボキシメチルサイクロデキストリン、スルフォキシエチルサイクロデキストリン、スルフォキシルサイクロデキストリン、アセチルサイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、サイクロデキストリン脂肪酸エステル、グルコシルサイクロデキストリン、マルトシルサイクロデキストリン等が挙げられるが、これらに限定はされない。好ましくはα-サイクロデキストリンを使用する。α-サイクロデキストリンは水への溶解性が高く、ざらつきの少ないペースト状食品を得ることができ好ましい。
【0016】
本発明におけるペースト状食品には、サイクロデキストリンを、他の原料と合わせてペースト状とすることが可能な任意の量で含めることができ、その量は用いたサイクロデキストリンの種類に応じて、当業者が適宜設定することができる。例えば、当該ペースト状食品100質量%における、サイクロデキストリンの含有量は、0.2質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、10質量%以下、8質量%以下、又は6質量%以下とすることができる。本発明のペースト状食品におけるサイクロデキストリンの量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明のペースト状食品には、サイクロデキストリンを、0.2質量%~10質量%、0.5質量%~8質量%、又は1質量%~6質量%の範囲より適宜選択される量で含めることができる。本発明のペースト状食品における、サイクロデキストリンの量を上記範囲とすることによって、当該ペースト状食品において、固形食品の良好な風味を感じることができ好ましい。また、本発明のペースト状食品における、サイクロデキストリンの量を上記範囲とすることによって、満足のいく食感や流動性を得ることができ好ましい。
【0017】
本発明において「増粘多糖類」とは、一般的に、水に溶解し、粘性を付与する(増粘安定剤、水溶性糊料等とも呼ばれる場合がある)多糖類を意味し、このような増粘多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、スクシノグリカン、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム(脱アシル型、及びネイティブ型)、アラビアガム、ペクチン、α化でんぷん、リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、トラガントガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸でんぷん、オクテニルコハク酸でんぷん、大豆多糖類、難消化デキストリン、ポリデキストロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、カードラン、ガティガム、アラビアガラクタン、カラヤガム、ファーセラン、キチン、ウェランガム等が挙げられるが、これらに限定はされない。増粘多糖類はいずれか単独で用いてもよいし、異なる増粘多糖類を組み合わせて用いてもよく、本発明の利用態様に応じて、適当なものを選択して用いることができる。
【0018】
本発明におけるペースト状食品には、増粘多糖類を、他の原料と合わせてペースト状とすることが可能な任意の量で含めることができ、その量は用いた増粘多糖類の種類に応じて、当業者が適宜設定することができる。例えば、当該ペースト状食品100質量%における、増粘多糖類の含有量は、0.01質量%以上、0.1質量%以上、又は0.3質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、5質量%以下、4質量%以下、又は3質量%以下とすることができる。本発明のペースト状食品における増粘多糖類の量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明のペースト状食品には、増粘多糖類を、0.01質量%~5質量%、0.1質量%~4質量%、又は0.3質量%~3質量%の範囲より適宜選択される量で含めることができる。本発明のペースト状食品における、増粘多糖類の量を上記範囲とすることによって、当該ペースト状食品において、固形食品の良好な風味を感じることができ好ましい。また、本発明のペースト状食品における、増粘多糖類の量を上記範囲とすることによって、当該ペースト状食品において、満足のいく食感や風味を得ることができ好ましい。
【0019】
本発明において、水は任意の形態で用いることができ、水自体の形態で配合してもよいし、あるいは、上記固形食品に含まれる水の形態、あるいは、上記サイクロデキストリン及び/又は増粘多糖類を水溶液の形態で用いる場合にはそれに含まれる水の形態であってもよく、その場合には当該固形食品又は当該水溶液を配合することによって、水を配合することも兼ねることができる。
【0020】
本発明におけるペースト状食品には、水を、他の原料と合わせてペースト状とすることが可能な任意の量で含めることができ、当業者が適宜設定することができる。例えば、当該ペースト状食品100質量%における、水の含有量は、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、85質量%以下、80質量%以下、又は70質量%以下とすることができる。本発明のペースト状食品における水の量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明のペースト状食品には、水を、10質量%~85質量%、20質量%~80質量%、又は30質量%~70質量%の範囲より適宜選択される量で含めることができる。本発明のペースト状食品における、水の量を上記範囲とすることによって、当該ペースト状食品において、固形食品の良好な風味を感じるができ好ましい。また、本発明のペースト状食品における、水の量を上記範囲とすることによって、満足のいく食感や流動性を得ることができ好ましい。
【0021】
本発明のペースト状食品には、必要に応じてさらに、飲食品の製造において通常用いられている成分(以下、「その他の成分」と記載する)を、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜配合することができる。このようなその他の成分としては、例えば、保存剤、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、着色剤、色素、潤滑剤、可塑剤、溶剤、溶解補助剤、等張化剤、矯味矯臭剤、ビタミン類、pH調整剤、キレート剤、乳化剤等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0022】
本発明のペースト状食品の形態は特に限定されず、上記水分含量を有する形態の他、水分含量を減少させて調製された乾燥体(例えば、粉体、フレーク等)の形態としてもよい。このような乾燥体の形態は、上記水分含量を有する形態のペースト状食品を得たのち、それを従来公知の乾燥手段に付して、当該ペースト状食品の水分含量を減少させることにより得ることができる。このような乾燥手段としては、例えば、凍結乾燥、加熱乾燥、風乾、噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等が挙げられるが、これらに限定はされない。乾燥手段に付された後の当該ペースト状食品の水分含量は、任意であり当業者が適宜設定することが可能であるが、例えば、0質量%~15質量%未満、0質量%超15質量%未満、0.1質量%~15質量%未満、0.1質量%~10質量%、0.5質量%~5質量%、0.5質量%~1質量%、0.6質量%~1質量%、0.7質量%~1質量%、又は0.8質量%~1質量%とすることができる。乾燥手段に付された後の本発明のペースト状食品は、上記所定量の水分含量となるように水又はお湯を加えて混合・攪拌し、ペースト状に再調製して喫食することができる。
【0023】
本発明のペースト状食品は、容器詰め食品の形態で提供されることが好ましい。本発明のペースト状食品を収容するための容器は、飲食品用の容器として一般的に使用される容器を適宜用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製容器、金属缶容器、ガラス容器、樹脂フィルム製容器、金属フィルム製容器、パウチ容器等が挙げられる。容器の形態は特に限定されない。また、容器の容量は特に限定されないが、例えば50~500mL(典型的には50mL、100mL、150mL、180mL、200mL、250mL、300mL、350mL、400mL、450mL又は500mL)、好ましくは100~200mLとすることができる。
【0024】
本発明のペースト状食品は、ベビーフードや幼児用食品として、また咀嚼又は嚥下困難者用の介護食として提供されることが好ましい。
【0025】
本発明のペースト状食品は、粉砕又は磨砕された固形食品、油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類、及び、水、ならびに必要に応じてその他の成分を上記の量にて混合、攪拌することにより製造することができる。各成分は全て一緒に混合、攪拌してもよいし、各成分を別々にもしくは任意の組み合わせで順次添加して(順序は問わない)混合、攪拌してもよい。固形食品は、他の原料と合わせる前に予め粉砕又は磨砕してもよいし、一以上の他の原料と合わせた後に粉砕又は磨砕してもよく、固形食品を粉砕又は磨砕する工程と、他の原料と混合、攪拌する工程を一緒に行ってもよい。
【0026】
また、混合、攪拌して得られたペースト状食品は、必要に応じてさらに乾燥手段に付してもよい。乾燥手段は、上記従来公知の乾燥手段により行うことができ、当該ペースト状食品の水分含量を、目的とする形状に応じて適宜調整することができる。得られた乾燥体は、必要に応じてさらに破砕、粉砕、又は摩砕処理に付して粉体やフレーク等の形態とすることができる。また、乾燥手段に付されたペースト状食品は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等と共に、公知の造粒法により造粒物としてもよい。造粒方法としては、例えば、噴霧造粒、流動層造粒、圧縮造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出造粒、粉末被覆造粒等が挙げられる。
【0027】
製造されたペースト状食品は、容器への充填、及び/又は加熱殺菌処理に付すことが好ましい。
【0028】
加熱殺菌処理はペースト状食品の容器への充填前に行ってもよいし、容器への充填後に行ってもよいし、あるいは容器への充填の前後に行うこともできる。典型的には、ペースト状食品を容器に充填密封した後に加熱殺菌処理を施す様式(後殺菌)と、ペースト状食品を予め加熱殺菌処理し、加熱殺菌処理の温度を保持した状態でペースト状食品を容器に充填密封し、容器を殺菌する様式(ホットパック殺菌)とが挙げられる。加熱殺菌処理はペースト状食品に一般的に用いられる方法にて、必要な殺菌価を担保できる条件で適宜行うことができる。
【0029】
本発明はまた、本発明のペースト状食品を製造するためのキットに関する。キットには、サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類が含まれ、必要に応じてさらに、粉砕又は磨砕された固形食品、油脂、水、及びその他の成分からなる群より選択される一以上が含まれ、それらは個別に別々の容器に、又は任意の組み合わせで別々の容器に収容することができる。
【0030】
キットに含まれる、サイクロデキストリン、及び、増粘多糖類、ならびに、粉砕又は磨砕された固形食品、油脂、及び、その他の成分は、粉末や顆粒等の固形の形態としてもよいし(必要に応じて賦形剤(デキストリン等)等を利用してもよい)、水溶液や分散液等の液体の形態としてもよい。各成分はその形態に応じて、容器に収容される前、又は収容された後に加熱殺菌処理等に付され、キットの構成要素とすることができる。
【0031】
キットは上述の本発明のペースト状食品の製造方法にしたがって利用することができ、ボール等の容器に、サイクロデキストリン、増粘多糖類、油脂(固形食品に含まれる油脂を利用してもよい)、及び、水(キットのいずれかの成分が液体の形態である場合、それに含まれる水を利用してもよく、あるいは、固形食品に含まれる水を利用してもよい)、ならびに、粉砕又は磨砕された固形食品、必要に応じてその他の成分を加えて、ミキサーやブレンダー等を用いて混合、攪拌することによって、本発明のペースト状食品を得ることができる。粉砕又は磨砕された固形食品、油脂、又は水は、キットに付属するものであってもよいし、別途調製された固形食品、油脂、又は水をキットと合わせて用いても良い。
【0032】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0033】
実験1:ほうれん草のおひたし風ペースト状食品
ほうれん草を沸騰したお湯で1分30秒茹で、氷水につけた後、よく絞り、以下の表1の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、ほうれん草のおひたし風のペースト状食品を作製した。なお、以下に記載される配合中、とろみ剤は市販のもの(「とろみエール」、アサヒグループ食品株式会社)を使用し、これはデキストリン/増粘多糖類、クエン酸ナトリウム、乳酸カルシウムを含む。また、乳化剤はショ糖ステアリン酸エステル(「リョートーシュガーエステルS-1670」、三菱ケミカル株式会社)を使用した。
【0034】
得られたペースト状食品について、6名の専門パネラーが食し、その「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ以下のとおり評価した。
評価結果を、以下の表1に合わせて示す。
【0035】
【0036】
油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類を含む、本発明に係るペースト状食品(実施例1-3)においては、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、ほうれん草のおひたし風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0037】
一方、油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類を含まないペースト状食品(比較例2)においては、食感、味の強さ、美味しさ、及び物性のいずれにおいても良好な結果を得ることはできなかった。また、実施例1の配合において、サイクロデキストリン、増粘多糖類に代えて、市販のとろみ剤を用いたペースト状食品(比較例1)においても、食感、味の強さ、美味しさについて、良好な評価結果を得ることはできなかった。さらに、実施例1の配合において、サイクロデキストリン、増粘多糖類に代えて、乳化剤を用いたペースト状食品(比較例3)においては、食感、味の強さ、美味しさ、物性について、良好な評価結果を得ることはできなかっただけでなく、白濁して良好な発色が得られなかった。
【0038】
実験2:さばの味噌煮風ペースト状食品
市販のさばの味噌煮(7プレミアム)汁切を、以下の表2の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、さばの味噌煮風のペースト状食品を作製した。
【0039】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表2に合わせて示す。
【0040】
【0041】
油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類を含む、本発明に係るペースト状食品(実施例4、5)においては、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、さばの味噌煮風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0042】
一方、実施例4の配合において、サイクロデキストリン、増粘多糖類に代えて、市販のとろみ剤を用いたペースト状食品(比較例5)においては、食感、味の強さ、美味しさ、物性、作業性について、良好な評価結果を得ることはできず、特に、ミキサーが回らず、ペースト状とすることが困難であった。比較例5の配合において、水の量を倍にしたペースト状食品(比較例4)においては、ミキサーが回り作業性等に改善が見られたが、味が薄く感じられ、味の強さ、及び美味しさの評価がさらに低下した。
【0043】
実験3:みかん風ペースト状食品
市販のみかんの缶詰汁切を、以下の表3の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、みかん風のペースト状食品を作製した。なお、水分はみかん由来のものを利用し、水の添加は行わなかった。
【0044】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表3に合わせて示す。
【0045】
【0046】
油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類を含む、本発明に係るペースト状食品(実施例6)においては、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、みかん風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0047】
一方、実施例6の配合において、サイクロデキストリン、増粘多糖類に代えて、市販のとろみ剤を用いたペースト状食品(比較例6)においては、食感、味の強さ、美味しさ、物性、作業性について、良好な評価結果を得ることはできなかった。
【0048】
実験4:ハンバーグ風ペースト状食品
市販のハンバーグ(「金のハンバーグ」7プレミアム)を、以下の表4の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、ハンバーグ風のペースト状食品を作製した。
【0049】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表4に合わせて示す。
【0050】
【0051】
油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類を含む、本発明に係るペースト状食品(実施例7-9)においては、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、ハンバーグ風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0052】
実験5:かつ丼風ペースト状食品
市販のかつ丼(ナリタヤ、日配惣菜)の具(ごはんを除いた、豚カツ、玉子、玉ねぎ、調味料)を、以下の表5の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、かつ丼風のペースト状食品を作製した。
【0053】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表5に合わせて示す。
【0054】
【0055】
油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類を含む、本発明に係るペースト状食品(実施例10、11)においては、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、かつ丼風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0056】
実験6:カボチャ煮風ペースト状食品
3cm角に切ったカボチャ500gに水300cc、白だし30ccを加え、軟らかくなるまで茹でた後、以下の表6の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、カボチャ煮風のペースト状食品を作製した。
【0057】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表6に合わせて示す。
【0058】
【0059】
油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類を含む、本発明に係るペースト状食品(実施例12)においては、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、カボチャ煮風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0060】
実験7:肉じゃが風ペースト状食品
市販の肉じゃが(「肉じゃが」7プレミアム)を、以下の表7の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、肉じゃが風のペースト状食品を作製した。
【0061】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表7に合わせて示す。
【0062】
【0063】
油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類を含む、本発明に係るペースト状食品(実施例13、14)においては、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、肉じゃが風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0064】
実験8:他の増粘多糖類を用いたペースト状食品
上記実験1と同様に調理したほうれん草のおひたしを、以下の表8の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、ほうれん草のおひたし風のペースト状食品を作製した。
【0065】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表8に合わせて示す。
【0066】
【0067】
実施例1の配合において、増粘多糖類をグァーガム、グルコマンナンに代えたペースト状食品(実施例15、16)においても、キサンタンガムを配合した実施例1のペースト状食品と同様に、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、ほうれん草のおひたし風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0068】
実験9:固形食品に由来する油脂を用いたペースト状食品
以下の表9の組成にしたがって原料をあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、アボガド風のペースト状食品を作製した。
【0069】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表9に合わせて示す。
【0070】
【0071】
本実験において、油脂はアボガド由来のものを利用し、油脂(例えばキャノーラ油)を外添しなかったところ、水、サイクロデキストリン、増粘多糖類を外添したペースト状食品(実施例17)においては、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、アボガド風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0072】
実験10:油脂の含量を低減させたペースト状食品
上記実験1と同様に調理したほうれん草のおひたしを、以下の表10の組成にしたがって、他原料とあわせ、家庭用ミキサーでペースト状になるまで撹拌して、ほうれん草のおひたし風のペースト状食品を作製した。
【0073】
得られたペースト状食品の「食感」、「味の強さ」、「美味しさ」、「物性」、「発色」、及び「作業性」について、それぞれ上記実験1と同様に評価した。
評価結果を、以下の表10に合わせて示す。
【0074】
【0075】
実施例1の配合において、油脂の配合量を低減させたペースト状食品(ペースト状食品100質量%に対して油脂の含量がおよそ7質量%とする)(実施例18)においても、実施例1のペースト状食品と同様に、全ての評価項目において、高い評価結果が得られ、ほうれん草のおひたし風味の美味しく良好なペースト状食品が得られたことが確認された。
【0076】
以上の結果より、様々な固形食品に関し、その破砕又は粉砕物を、油脂、サイクロデキストリン、増粘多糖類、及び水と共に含むペースト状食品とすることによって、水っぽさやえぐみ、臭み等が低減され、固形食品が本来有する美味しさを良好に感じられることが確認された。また、当該ペースト状食品においては、水分と油分の分離がなく滑らかな物性を有し、良好な食感で食べやすいだけでなく、取り扱いも容易であり、また、色彩も鮮やかであることが確認された。