(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145093
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】化学蓄熱装置
(51)【国際特許分類】
F28D 20/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
F28D20/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057337
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】島井 基行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 弘太
(72)【発明者】
【氏名】中井 淳也
(57)【要約】
【課題】蓄熱体の膨張圧を低減可能で、伝熱性の高い化学蓄熱装置を提供することを課題とする。
【解決手段】化学蓄熱装置1は、収容部22を内部に区画する反応器2と、収容部22に配置され、化学反応に伴い、収縮状態と、収縮状態よりも体積が大きい膨張状態と、の間で体積変化可能な蓄熱体4と、収縮状態における蓄熱体4の内部に予め弾性的に圧縮された状態で配置され、蓄熱体4の体積変化量の少なくとも一部を吸収可能な体積変化吸収部材6と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を内部に区画する反応器と、
前記収容部に配置され、化学反応に伴い、収縮状態と、前記収縮状態よりも体積が大きい膨張状態と、の間で体積変化可能な蓄熱体と、
前記収縮状態における前記蓄熱体の内部に予め弾性的に圧縮された状態で配置され、前記蓄熱体の体積変化量の少なくとも一部を吸収可能な体積変化吸収部材と、
を備える化学蓄熱装置。
【請求項2】
前記体積変化吸収部材は、ばね収容部を内部に区画するばね容器と、前記ばね収容部に配置されるばね要素と、を有し、
前記ばね要素の伸張に伴い、前記ばね収容部の容積は拡大可能であり、
前記ばね要素は、コイルばね、板ばね、三次元立体編物、三次元立体繊維交絡体のうち、少なくとも一つである請求項1に記載の化学蓄熱装置。
【請求項3】
前記体積変化吸収部材は、金属線製であって、球状を呈する請求項1に記載の化学蓄熱装置。
【請求項4】
さらに、前記蓄熱体の内部に配置され、前記蓄熱体と熱の授受を行う熱媒体が通過する熱媒体流路を内部に区画する伝熱部材を備え、前記収縮状態において、前記体積変化吸収部材は、前記蓄熱体を弾性的に付勢し、前記伝熱部材に密接させる請求項1に記載の化学蓄熱装置。
【請求項5】
前記反応器は、前記蓄熱体と反応する反応媒体が透過する透過壁と、前記蓄熱体と外部との間の伝熱を確保する伝熱壁と、を有し、前記収縮状態において、前記体積変化吸収部材は、前記蓄熱体を弾性的に付勢し、前記伝熱壁に密接させる請求項1に記載の化学蓄熱装置。
【請求項6】
前記体積変化吸収部材は、前記蓄熱体と反応する反応媒体が通過する反応媒体流路を区画し、
前記反応媒体流路は、前記ばね収容部を経由する請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学反応熱を利用して可逆的に蓄熱、放熱を行うことができる化学蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、化学蓄熱反応器を備える化学蓄熱装置が開示されている。化学蓄熱反応器は、化学蓄熱材を充填する充填部と、化学蓄熱材との間で熱の授受を行う熱交換部と、を備えている。未使用状態の化学蓄熱材が充填部に配置される際、充填部(詳しくは、化学蓄熱材と熱交換部との間)には、空間が確保されている。化学蓄熱材は、反応媒体との化学反応により放熱する際、当該空間を消費して膨張する。このため、化学蓄熱材が化学蓄熱反応器に加える膨張圧を、低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献の化学蓄熱装置によると、化学蓄熱材は、反応媒体との化学反応により放熱する際、上述の空間を消費して膨張した後、熱交換部に接触する。化学蓄熱材が膨張し熱交換部に接触するまでは、伝熱を行うことができない。このため、伝熱性が低い。そこで、本開示は、蓄熱体の膨張圧を低減可能で、伝熱性の高い化学蓄熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するため、本開示の化学蓄熱装置は、収容部を内部に区画する反応器と、前記収容部に配置され、化学反応に伴い、収縮状態と、前記収縮状態よりも体積が大きい膨張状態と、の間で体積変化可能な蓄熱体と、前記収縮状態における前記蓄熱体の内部に予め弾性的に圧縮された状態で配置され、前記蓄熱体の体積変化量の少なくとも一部を吸収可能な体積変化吸収部材と、を備えることを特徴とする。
【0006】
体積変化吸収部材は、蓄熱体の内部に配置されている。収縮状態において、体積変化吸収部材は、蓄熱体に弾接している。このため、収容部に隙間(空間)が発生するのを、抑制することができる。したがって、蓄熱体は、反応媒体との化学反応により放熱する際、迅速に伝熱を行うことができる。このように、本開示の化学蓄熱装置によると、伝熱性を向上させることができる。また、収縮状態において、収容部に隙間が発生しにくいため、収容部における蓄熱体の充填量を増やすことができる。よって、蓄熱密度を高くすることができる。
【0007】
また、収縮状態から膨張状態に変化する際、蓄熱体は反応器(詳しくは、反応器のうち、収容部を区画する壁部)に圧接する。すなわち、蓄熱体は、反応器に膨張圧を加える。ここで、蓄熱体の膨張に伴って、体積変化吸収部材は弾性的に収縮する。このため、体積変化吸収部材は、蓄熱体の膨張量の少なくとも一部を吸収することができる。したがって、蓄熱体の膨張圧を低減することができる。反対に、膨張状態から収縮状態に変化する際、蓄熱体の収縮に伴って、体積変化吸収部材は弾性的に膨張する。このため、収容部に隙間が発生するのを、抑制することができる。
【0008】
なお、蓄熱体が伸縮を繰り返すと、複数の収縮状態において、蓄熱体の体積がばらつく場合がある。この場合は、少なくとも一つの収縮状態(例えば後述の初期状態)において、体積変化吸収部材は蓄熱体を付勢できればよい。
【0009】
(1-1)上記(1)の構成において、前記収容部に収容された前記蓄熱体が未だ一度も反応媒体と化学反応していない状態を初期状態として、前記収縮状態は前記初期状態であり、前記体積変化吸収部材は、前記初期状態における前記蓄熱体の内部に予め圧縮された状態で配置される構成とする方がよい。本構成によると、初回の膨張時から、伝熱性を向上させることができる。また、蓄熱体の膨張圧を低減することができる。
【0010】
(2)上記(1)の構成において、前記体積変化吸収部材は、ばね収容部を内部に区画するばね容器と、前記ばね収容部に配置されるばね要素と、を有し、前記ばね要素の伸張に伴い、前記ばね収容部の容積は拡大可能であり、前記ばね要素は、コイルばね、板ばね、三次元立体編物、三次元立体繊維交絡体のうち、少なくとも一つである構成とする方がよい。本構成によると、ばね要素が伸張し、ばね収容部の容積が拡大し、ばね容器が変形することにより、蓄熱体を付勢することができる。
【0011】
(3)上記いずれかの構成において、体積変化吸収部材は、金属線製であって、球状を呈する構成とする方がよい。本構成によると、金属線自体の弾性を利用して、蓄熱体を付勢することができる。
【0012】
(4)上記いずれかの構成において、さらに、前記蓄熱体の内部に配置され、前記蓄熱体と熱の授受を行う熱媒体が通過する熱媒体流路を内部に区画する伝熱部材を備え、前記収縮状態において、前記体積変化吸収部材は、前記蓄熱体を弾性的に付勢し、前記伝熱部材に密接させる構成とする方がよい。本構成によると、蓄熱体が反応媒体との化学反応により放熱する際、迅速に伝熱部材に熱を伝えることができる。
【0013】
(5)上記いずれかの構成において、前記反応器は、前記蓄熱体と反応する反応媒体が透過する透過壁と、前記蓄熱体と外部との間の伝熱を確保する伝熱壁と、を有し、前記収縮状態において、前記体積変化吸収部材は、前記蓄熱体を弾性的に付勢し、前記伝熱壁に密接させる構成とする方がよい。本構成によると、蓄熱体が反応媒体との化学反応により放熱する際、迅速に伝熱壁に熱を伝えることができる。
【0014】
(6)上記いずれかの構成において、前記体積変化吸収部材は、前記蓄熱体と反応する反応媒体が通過する反応媒体流路を区画し、前記反応媒体流路は、前記ばね収容部を経由する構成とする方がよい。本構成によると、ばね収容部を利用して、反応媒体を流動させることができる。また、ばね収容部つまり体積変化吸収部材は、蓄熱体の内部に配置されている。このため、反応媒体流路を介して、蓄熱体の内部に反応媒体を供給することができる。したがって、蓄熱体の全体に反応媒体が拡散しやすい。また、反応媒体流路を介して、蓄熱体の内部から反応媒体を回収することができる。したがって、蓄熱体の全体から反応媒体を回収しやすい。
【0015】
(6-1)上記(6)の構成において、前記体積変化吸収部材は、水平方向成分を含む方向に延在する構成とする方がよい。ここで、「水平方向成分を含む方向」とは、例えば、水平方向、傾斜方向(水平方向および垂直方向(重力が作用する方向)に対して交差する方向)など、垂直方向以外の方向をいう。本構成によると、自重による蓄熱体の流下を抑制することができる。好ましくは、前記体積変化吸収部材は、水平方向に延在する構成とする方がよい。本構成によると、より確実に、自重による蓄熱体の流下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の化学蓄熱装置によると、蓄熱体の膨張圧を低減することができる。また、伝熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第一実施形態の化学蓄熱装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、同化学蓄熱装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図である。
【
図4】
図4は、同化学蓄熱装置の複数の伝熱部材および複数の直接支持部材の合体斜視図である。
【
図5】
図5は、同化学蓄熱装置の前後方向断面図である。
【
図9】
図9は、同化学蓄熱装置の仕切り部材の斜視図である。
【
図11】
図11(A)は、初期状態における同仕切り部材の軸直方向断面図である。
図11(B)は、膨張状態における同仕切り部材の軸直方向断面図である。
【
図13】
図13は、第二実施形態の化学蓄熱装置の前後方向部分断面図である。
【
図14】
図14は、第三実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向断面図である。
【
図15】
図15は、第四実施形態の化学蓄熱装置の斜視図である。
【
図17】
図17は、同化学蓄熱装置の体積変化吸収部材の上下方向断面図である。
【
図18】
図18は、第五実施形態の化学蓄熱装置の体積変化吸収部材の上下方向断面図である。
【
図19】
図19は、第六実施形態の化学蓄熱装置の体積変化吸収部材の上下方向断面図である。
【
図20】
図20は、第七実施形態の化学蓄熱装置の体積変化吸収部材の上下方向断面図である。
【
図21】
図21は、第八実施形態の化学蓄熱装置の体積変化吸収部材の上下方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の化学蓄熱装置の実施の形態について説明する。
【0019】
<第一実施形態>
以下、本開示の化学蓄熱装置の実施の形態について説明する。以降の図において、前後方向は、内側容器、外側容器の軸方向に対応している。上下方向および左右方向のうち少なくとも一方は、内側容器、外側容器の軸直方向(軸方向に対して直交する方向。横断面方向。径方向)に対応している。
【0020】
図1に、本実施形態の化学蓄熱装置の斜視図を示す。
図2に、同化学蓄熱装置の分解斜視図を示す。
図3に、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。
図4に、同化学蓄熱装置の複数の伝熱部材および複数の直接支持部材の合体斜視図を示す。
図5に、同化学蓄熱装置の前後方向断面図を示す。
図6に、
図5の枠VI内の拡大図を示す。
図7に、
図5のVII-VII方向断面図を示す。
図8に、
図7の枠VIII内の拡大図を示す。なお、
図5は、
図7のV-V方向断面に対応する。
【0021】
図1においては、外側容器3の内部の内側容器2、伝熱部材取付板81、間接支持部材87を点線で示す。
図3においては、内側容器2、伝熱部材取付板81、間接支持部材87を透過して、内側容器2の内部(収容部22)の部材(伝熱部材5、仕切り部材6、直接支持部材7)を示す。また、蓄熱体4を省略する。また、
図3、
図5~
図7においては、仕切り部材6の構成を簡略的に示す。
【0022】
[化学蓄熱装置の構成]
まず、本実施形態の化学蓄熱装置1の構成について説明する。
図1~
図8に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は、内側容器2と、外側容器3と、蓄熱体4と、複数の伝熱部材5と、複数の仕切り部材6と、複数の直接支持部材7と、反応媒体給排管80と、伝熱部材取付板81と、熱媒体給排筒82と、隔壁83と、熱媒体供給管84と、熱媒体排出管85と、端板86と、複数の間接支持部材87と、二つの脚部88と、を備えている。仕切り部材6は、本開示の「体積変化吸収部材」の概念に含まれる。
【0023】
(内側容器2)
図2、
図5、
図7に示すように、内側容器2は、金属製であって、前後方向(水平方向)に延在し、前側に開口する有底円筒状を呈している。内側容器2は、本開示の「反応器」の概念に含まれる。内側容器2の軸直方向断面の中心軸A1(
図5、
図7参照)は、前後方向に延在している。
【0024】
内側容器2は、側周壁部20と、端壁部21と、収容部22と、を備えている。側周壁部20は、前後方向に延在する円筒状を呈している。端壁部21は、側周壁部20の後端開口を封止している。収容部22は、内側容器2の内部に区画されている。
【0025】
図1~
図3、
図6~
図8に示すように、側周壁部20は、複数のスリット202を備えている。スリット202は、側周壁部20を左右方向に貫通している。複数のスリット202は、側周壁部20の左側部分と右側部分とに配置されている。左側部分、右側部分の各々において、複数のスリット202は、二列(延在方向は前後方向、並置方向は上下方向)に並んでいる。
【0026】
(外側容器3、脚部88)
図1、
図2、
図5、
図7に示すように、外側容器3は、金属製であって、前後方向に延在し、前側に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、外側容器3の軸直方向断面の中心軸A2(
図5、
図7参照)は、前後方向に延在している。外側容器3は、内側容器2を、外側(中心軸A1、A2を中心とする径方向外側および後側(軸方向一方))から覆っている。中心軸A1と中心軸A2とは一致している。すなわち、外側容器3は、内側容器2と同軸上に配置されている。
【0027】
外側容器3は、側周壁部30と、端壁部31と、を備えている。側周壁部30は、前後方向に延在する円筒状を呈している。端壁部31は、側周壁部30の後端開口を封止している。端壁部31は、取付孔310を備えている。取付孔310は、端壁部31の径方向中心を、中心軸A2に沿って、前後方向に貫通している。
【0028】
外側容器3は、外側流路32を区画している。具体的には、外側流路32は、外側容器3の内面と、内側容器2の外面と、の間に区画されている。
図7に示すように、軸直方向断面において、外側流路32は、中心軸A2を中心とする円環状を呈している。
【0029】
図1に示すように、二つの脚部88は、外側容器3の前後両端部に配置されている。二つの脚部88は、工場の床面(図略)に立設されている。二つの脚部88は、外側容器3つまり化学蓄熱装置1を下側から支持している。
【0030】
(蓄熱体4)
図5、
図7、
図8に示すように、蓄熱体4は、収容部22に充填されている。蓄熱体4は、化学蓄熱材(脱水後は酸化カルシウム、水和後は水酸化カルシウム)製の蓄熱材粒子と、粘土鉱物と、を含んでいる。蓄熱体4は、水蒸気(H
2O)との化学反応(水和反応、脱水反応)により膨張、収縮可能である。水蒸気は、本開示の「反応媒体」の概念に含まれる。
【0031】
収容部22(詳しくは、収容部22のうち、部材(複数の伝熱部材5、複数の仕切り部材6、複数の直接支持部材7)が配置されていない部分)の容積は、水和反応による膨張後の蓄熱体4の体積よりも、小さい。このため、膨張後(水和反応後)において、蓄熱体4は、内側容器2の内面(収容部22を区画する面)、後述する複数の伝熱部材5の外面、複数の仕切り部材6の外面、複数の直接支持部材7の外面に圧接している。言い換えると、蓄熱体4は、これらの部材により拘束されている。
【0032】
(伝熱部材5)
図3~
図8に示すように、伝熱部材5は、金属製であって、U字の円管状を呈している。すなわち、伝熱部材5は、二つの直管部50と、曲管部51と、を備えている。直管部50は、前後方向に延在している。二つの直管部50は、上下方向に対向して配置されている。曲管部51は、後側に膨らむC字状に延在している。曲管部51は、二つの直管部50の後端部同士を連結している。
【0033】
伝熱部材5は、前端部(後述する伝熱部材取付板81の取付孔810に固定されている部分)を除いて、収容部22に収容されている。伝熱部材5は、蓄熱体4の内部に配置されている。伝熱部材5の外面は、蓄熱体4に当接している。伝熱部材5は、内部に熱媒体流路52を区画している。熱媒体は、熱媒体流路52を流動可能である。熱媒体は、伝熱部材5の壁部を介して、蓄熱体4と熱の授受を行う。
図7に示すように、収容部22において、複数の伝熱部材5の直管部50は、上下左右方向に並んでいる。
図5に示すように、複数の伝熱部材5は、収容部22(つまり蓄熱体4)の全体に配置されている。
【0034】
(直接支持部材7)
図3~
図5に示すように、直接支持部材7は、金属製であって、上下左右方向(垂直方向)に延在する円板状を呈している。直接支持部材7は、収容部22に配置されている。直接支持部材7の外周面は、内側容器2の側周壁部20の内面(収容部22を区画する面)に当接している。
【0035】
図5に示すように、複数の直接支持部材7は、所定間隔ずつ離間して、前後方向に並置されている。複数の直接支持部材7は、収容部22を、前後方向(水平方向)に並ぶ複数の部屋220に仕切っている。すなわち、直接支持部材7は、「収容部22を、水平方向に並ぶ複数の部屋220に仕切る垂直仕切り部材」としての機能を有している。
【0036】
直接支持部材7は、複数の支持孔70を備えている。支持孔70は、直接支持部材7を前後方向に貫通している。支持孔70には、伝熱部材5の直管部50が挿通されている。支持孔70つまり直接支持部材7は、伝熱部材5を、直接支持している。また、直接支持部材7は、伝熱部材5を、直接位置決めしている。
【0037】
(仕切り部材6)
まず、仕切り部材6の配置、構成について説明する。
図3、
図5~
図8に示すように、仕切り部材6は、前後左右方向(水平方向)に延在する中空平板状を呈している。仕切り部材6は、後述のスリット収容部65(スリット202に固定されている部分)を除いて、収容部22に収容されている。仕切り部材6は、蓄熱体4の内部に配置されている。仕切り部材6の外面は、蓄熱体4に当接している。
【0038】
図7、
図8に示すように、任意の単一の部屋220には、上下二段に、二つの仕切り部材6が配置されている。上下二段の仕切り部材6は、部屋220を上下三つの小部屋220aに区画している。このように、仕切り部材6は、任意の単一の部屋(収容部22の一部)220に、上下方向(垂直方向)に並ぶ複数の小部屋220aを配置している。複数の直接支持部材7および複数の仕切り部材6により、収容部22には、上下方向および前後方向に並ぶ、複数の小部屋220aが区画されている。
【0039】
図9に、本実施形態の化学蓄熱装置の仕切り部材の斜視図を示す。
図10に、同仕切り部材の分解斜視図を示す。
図11(A)に、初期状態(仕切り部材6ではなく、蓄熱体4が収縮している状態)における同仕切り部材の軸直方向断面図を示す。
図11(B)に、膨張状態(仕切り部材6ではなく、蓄熱体4が膨張している状態)における同仕切り部材の軸直方向断面図である。
図12に、
図11(A)の円XII内の拡大図を示す。なお、
図9~
図12においては、仕切り部材6(ただし板厚を除く)の上下方向幅を強調して示す。また、
図11(A)に示す初期状態とは、収容部22に収容された蓄熱体4が未だ一度も水和反応していない状態をいう。
【0040】
図9~
図11(B)に示すように、仕切り部材6は、ばね容器66と、複数のコイルばね67と、を備えている。ばね容器66は、上側から下側に向かって、第一カバー部材66Aと、フレーム部材66Bと、第二カバー部材66Cと、を備えている。ばね容器66の内部には、ばね収容部66Dが区画されている。
【0041】
第一カバー部材66Aは、金属製であって、下向き(フレーム部材66B向き)に開口する、浅底の有底角筒状を呈している。第一カバー部材66Aは、底壁部660Aと、外枠部661Aと、を備えている。
【0042】
底壁部660Aは、前後方向に長い長方形板状を呈している。底壁部660Aには、後述する複数の内側開口部601が開設されている。底壁部660Aの下面(内面)からは、複数のばね座663Aが突設されている。ばね座663Aは、短軸円柱状を呈している。
【0043】
外枠部661Aは、前後方向に長い長方形枠状を呈している。外枠部661Aは、底壁部660Aの外縁から、下向きに立設されている。外枠部661Aの内面には、所定間隔ずつ離間して、複数のガイド溝部662Aが配置されている。ガイド溝部662Aは、上下方向に延在している。ガイド溝部662Aの下端は、外枠部661Aの下端までは到達していない。
【0044】
第二カバー部材66Cは、上述の第一カバー部材66Aと、材質、構成が同一である。第二カバー部材66Cは、上述の第一カバー部材66Aと、配置が上下反対である。すなわち、第二カバー部材66Cは、底壁部660Cと、外枠部661Cと、を備えている。底壁部660Cには、複数の内側開口部601が開設されている。底壁部660Cの上面(内面)からは、複数のばね座663Cが突設されている。外枠部661Cの内面には、所定間隔ずつ離間して、複数のガイド溝部662Cが配置されている。ガイド溝部662Cの上端は、外枠部661Cの上端までは到達していない。
【0045】
フレーム部材66Bは、金属製であって、二つのスリット収容部65と、内枠部661Bと、を備えている。内枠部661Bは、前後方向に長い長方形枠状を呈している。上下方向から見て、内枠部661Bは、第一カバー部材66Aの外枠部661Aおよび第二カバー部材66Cの外枠部661Cの枠内側に配置されている。内枠部661Bの外面は、外枠部661Aおよび外枠部661Cの内面に、上下方向に摺接している。内枠部661Bの外面の上縁および下縁には、所定間隔ずつ離間して、複数の被ガイド爪部662Bu、662Bdが配置されている。
【0046】
上側の被ガイド爪部662Buは、外枠部661Aのガイド溝部662Aに、上下方向に摺接可能に、係合している。同様に、下側の被ガイド爪部662Bdは、外枠部661Cのガイド溝部662Cに、上下方向に摺接可能に、係合している。これら被ガイド爪部662Bu、662Bd、ガイド溝部662A、662Cにより、フレーム部材66Bに対して、第一カバー部材66A、第二カバー部材66Cは、上下方向に移動可能に組み付けられている。
【0047】
二つのスリット収容部65は、内枠部661Bの左右両縁に配置されている。スリット収容部65は、前後方向に延在する帯状を呈している。スリット収容部65の内部には、左右方向に延在する空間が区画されている。当該空間は、後述する内側流路60の一部を構成している。
図8に示すように、スリット収容部65のサイズは、スリット202のサイズと、一致している。二つのスリット収容部65は、内側容器2の二つのスリット202(左右方向に対向する一対のスリット202)に、収容、固定されている。
【0048】
複数のコイルばね67は、金属製であって、ばね収容部66Dに配置されている。コイルばね67は、上下方向に延在している。コイルばね67の上端は、第一カバー部材66Aのばね座663Aに環装されている。コイルばね67の下端は、第二カバー部材66Cのばね座663Cに環装されている。コイルばね67は、上下方向に伸縮可能である。コイルばね67の伸縮に伴い、第一カバー部材66A、第二カバー部材66Cは、上下方向に移動可能である。すなわち、ばね容器66は、上下方向に変形可能である。
【0049】
次に、仕切り部材6に区画される内側流路60について説明する。内側流路60は、本開示の「反応媒体流路」の概念に含まれる。
図7、
図8、
図11(A)~
図11(B)に示すように、内側流路60は、ばね収容部66Dを経由している。内側流路60は、二つの外側開口部600と、複数の内側開口部601と、拡散路600Bと、を備えている。二つの外側開口部600は、一対のスリット収容部65の左右両端部に開設されている。すなわち、二つの外側開口部600は、内側容器2のスリット202を介して、内側容器2の外部つまり外側流路32に開口している。
【0050】
図10に示すように、複数の内側開口部601は、第一カバー部材66A、第二カバー部材66Cに開設されている。内側開口部601は、第一カバー部材66Aの底壁部660Aの上面(外面)、第二カバー部材66Cの底壁部660Cの下面(外面)に開口している。複数の内側開口部601は、底壁部660A、660Cの全体に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。
図8に示すように、内側開口部601は、蓄熱体4に向かって開口している。内側開口部601の大きさ(口径)は、水蒸気が通過可能であって、蓄熱体4の蓄熱材粒子が通過しにくい大きさに設定されている。拡散路600Bは、二つの外側開口部600と、複数の内側開口部601と、を連結している。拡散路600Bは、ばね収容部66Dに配置されている。前述のフレーム部材66B、複数のコイルばね67は、拡散路600Bつまり内側流路60を確保するスペーサーとしての機能を有している。
【0051】
(反応媒体給排管80)
図1、
図2、
図5に示すように、反応媒体給排管80は、金属製であって、短軸円管状を呈している。反応媒体給排管80は、外側容器3の端壁部31の取付孔310に取り付けられている。反応媒体給排管80を介して、外側容器3の外部から外側流路32に、水蒸気が供給される。また、反応媒体給排管80を介して、外側流路32から外側容器3の外部に、水蒸気が排出される。
【0052】
(伝熱部材取付板81)
図1~
図3、
図5に示すように、伝熱部材取付板81は、金属製であって、上下左右方向に延在する円板状を呈している。伝熱部材取付板81は、内側容器2および外側容器3の前側に配置されている。伝熱部材取付板81は、内側容器2および外側容器3の前側開口を封止している。伝熱部材取付板81は、複数の取付孔810を備えている。取付孔810は、伝熱部材取付板81を前後方向に貫通している。取付孔810には、伝熱部材5の直管部50の前端部が取り付けられている。取付孔810つまり伝熱部材取付板81は、伝熱部材5を支持している。また、伝熱部材取付板81は、伝熱部材5を固定している。
【0053】
(熱媒体給排筒82)
図1、
図2、
図5に示すように、熱媒体給排筒82は、金属製であって、前後方向に延在する短軸円筒状を呈している。熱媒体給排筒82は、伝熱部材取付板81の前側に配置されている。伝熱部材取付板81は、熱媒体給排筒82の後端開口を封止している。熱媒体給排筒82は、中心軸A1、A2上に配置されている。熱媒体給排筒82は、二つの取付孔820を備えている。取付孔820は、熱媒体給排筒82の壁部を上下方向に貫通している。二つの取付孔820は、上下方向に対向して配置されている。
【0054】
(隔壁83)
図2、
図5に示すように、隔壁83は、金属製であって、前後左右方向に延在する平板状を呈している。隔壁83は、熱媒体給排筒82の内部空間を、下側の供給室830と、上側の排出室831と、に仕切っている。供給室830は下側の取付孔820に、排出室831は上側の取付孔820に、各々連通している。伝熱部材5の熱媒体流路52の一端(上流端)は、供給室830に連通している。伝熱部材5の熱媒体流路52の他端(下流端)は、排出室831に連通している。
【0055】
(熱媒体供給管84、熱媒体排出管85、端板86)
図1、
図2、
図5に示すように、熱媒体供給管84は、金属製であって、短軸円管状を呈している。熱媒体供給管84は、熱媒体給排筒82の下側の取付孔820に取り付けられている。熱媒体供給管84を介して、熱媒体給排筒82の外部から供給室830に、熱媒体が供給される。熱媒体排出管85は、金属製であって、短軸円管状を呈している。熱媒体排出管85は、熱媒体給排筒82の上側の取付孔820に取り付けられている。熱媒体排出管85を介して、排出室831から熱媒体給排筒82の外部に、熱媒体が排出される。端板86は、金属製であって、上下左右方向に延在する円板状を呈している。端板86は、熱媒体給排筒82の前端開口を封止している。
【0056】
(間接支持部材87)
図1~
図3、
図5~
図7に示すように、間接支持部材87は、金属製であって上下左右方向に延在する歯車円環状を呈している。間接支持部材87は、内側容器2の側周壁部20の外面と、外側容器3の側周壁部30の内面と、の間に配置されている。間接支持部材87により、内側容器2の側周壁部20の外面と、外側容器3の側周壁部30の内面と、の間に外側流路32が確保されている。複数の間接支持部材87は、前後方向に、所定間隔ずつ離間して配置されている。間接支持部材87の外周面には、径方向内側に凹む複数の開口部870が配置されている。複数の開口部870は、周方向に所定間隔ずつ離間して配置されている。開口部870を介して、外側流路32の各部は、前後方向に互いに連通している。間接支持部材87は、内側容器2を支持している。また、間接支持部材87は、内側容器2を位置決めしている。また、間接支持部材87は、内側容器2、直接支持部材7を介して、伝熱部材5を間接的に支持している。また、間接支持部材87は、内側容器2、直接支持部材7を介して、伝熱部材5を間接的に位置決めしている。
【0057】
(反応媒体ルートR1、熱媒体ルートR2)
図5~
図8に示すように、化学蓄熱装置1の外部と、収容部22の蓄熱体4と、の間には、外部から蓄熱体4に向かって、反応媒体給排管80、外側流路32、内側流路60を経由する、水蒸気用の反応媒体ルートR1が設定されている。
【0058】
図5に示すように、熱媒体供給管84と熱媒体排出管85との間には、熱媒体供給管84から熱媒体排出管85に向かって、供給室830、熱媒体流路52、排出室831を経由する、熱媒体用の熱媒体ルートR2が設定されている。
【0059】
[化学蓄熱装置の動き]
次に、本実施形態の化学蓄熱装置1の動きについて説明する。前述したように、蓄熱体4は、化学蓄熱材(脱水後は酸化カルシウム、水和後は水酸化カルシウム)製の蓄熱材粒子と、粘土鉱物と、を含んでいる。ここで、複数の蓄熱材粒子を含む造粒体を「蓄熱材顆粒」とする。初期状態(水和反応前の状態)は、本開示の「収縮状態」の概念に含まれる。水和反応後の状態は、本開示の「膨張状態」の概念に含まれる。
【0060】
(放熱時、水和反応時)
初期状態における蓄熱体4の蓄熱材顆粒中の蓄熱材粒子は、酸化カルシウム製である。
図3に示すように、収容部22には、各部材(伝熱部材5、仕切り部材6、直接支持部材7)が収容されている。
図11(A)に示すように、初期状態において、コイルばね67は、既に弾性的に収縮している。このため、コイルばね67には、弾性エネルギーが蓄積されている。当該弾性エネルギーにより、
図7、
図8に矢印Y1で示すように、仕切り部材6は、蓄熱体4を上下方向に付勢している。このため、当該仕切り部材6よりも上側の蓄熱体4は、内側容器2の内面(収容部22を区画する面)、上記各部材の外面のうち、当該仕切り部材6よりも上側に配置されているものに弾接している。並びに、当該仕切り部材6よりも下側の蓄熱体4は、内側容器2の内面、上記各部材の外面のうち、当該仕切り部材6よりも下側に配置されているものに弾接している。したがって、蓄熱体4と、内側容器2の内面や各部材と、の間に隙間が発生するのを、抑制することができる。
【0061】
放熱時においては、
図5~
図8に示す反応媒体ルートR1を介して、蓄熱体4の全体に水蒸気を供給する。水蒸気の供給により、蓄熱体4の化学蓄熱材(酸化カルシウム)は、以下の水和反応により、放熱し、水酸化カルシウムとなる。なお、Q1は放熱量である。
CaO+H
2O→Ca(OH)
2+Q1
水和反応により、蓄熱体4は膨張し、内側容器2の内面や上述の各部材に圧接する。すなわち、蓄熱体4は、内側容器2の内面や上述の各部材により拘束される。また、蓄熱体4は、内側容器2の内面や上述の各部材に膨張圧を加える。ここで、蓄熱体4の膨張に伴って、複数のコイルばね67つまり仕切り部材6は、弾性的に、上下方向に収縮する。すなわち、仕切り部材6は、
図11(A)に示す状態(蓄熱体4の初期状態に対応する状態)から、
図11(B)に示す状態(蓄熱体4の膨張状態に対応する状態)に、切り替わる。このため、当該膨張圧を低減することができる。
【0062】
水和反応により発生した熱Q1は、蓄熱体4、直接支持部材7、伝熱部材5の壁部を介して、熱媒体流路52の熱媒体に移動する。熱Q1により加熱された熱媒体は、熱媒体ルートR2を介して、外部に流出する。
【0063】
(蓄熱時、脱水反応時)
蓄熱時においては、
図5~
図8に示す熱媒体ルートR2に高温の熱媒体を流動させる。熱媒体の熱は、伝熱部材5の壁部、直接支持部材7を介して、蓄熱体4に移動する。当該熱により加熱された蓄熱体4の化学蓄熱材(水酸化カルシウム)は、以下の脱水反応により、蓄熱し、酸化カルシウムとなる。なお、Q2は蓄熱量である。
Ca(OH)
2+Q2→CaO+H
2O
脱水反応により発生した水蒸気(H
2O)は、反応媒体ルートR1(
図5、
図6に示す矢印方向と反対方向)を介して、化学蓄熱装置1の外部に排出される。脱水反応により、蓄熱体4は収縮する。蓄熱体4の収縮に伴って、複数のコイルばね67つまり仕切り部材6は、弾性的に、上下方向に伸張する。すなわち、
図11(B)に示す状態(蓄熱体4の膨張状態に対応する状態)から、
図11(A)に示す状態(蓄熱体4の初期状態に対応する状態)または当該状態に近い状態に、切り替わる。このため、蓄熱体4と、内側容器2の内面や各部材と、の間に隙間が発生するのを、抑制することができる。
【0064】
[作用効果]
次に、本実施形態の化学蓄熱装置1の作用効果について説明する。
図6~
図8に示すように、仕切り部材6は、蓄熱体4の内部に配置されている。
図8、
図11(A)に示すように、初期状態において、仕切り部材6は、蓄熱体4に弾接している。具体的には、仕切り部材6は、蓄熱体4を上下方向に押し広げている。このため、収容部22に隙間が発生するのを、抑制することができる。したがって、隙間を消費して蓄熱体4が崩落するのを、抑制することができる。また、仕切り部材6が隙間の発生を抑制しているため、初期状態において、蓄熱体4は、伝熱部材5に弾接かつ密接している。このため、蓄熱体4は、水蒸気との化学反応により放熱する際、伝熱部材5に、迅速に熱を伝えることができる。このように、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、伝熱性を向上させることができる。また、初期状態において、収容部22に隙間が発生しにくいため、収容部22における蓄熱体4の充填量を増やすことができる。よって、蓄熱密度を高くすることができる。
【0065】
また、水和反応時に膨張する際、蓄熱体4は、内側容器2、収容部22に収容された各部材(伝熱部材5、仕切り部材6、直接支持部材7)に圧接する。すなわち、蓄熱体4は、内側容器2、上記各部材に膨張圧を加える。ここで、蓄熱体4の膨張に伴って、仕切り部材6は弾性的に収縮する。すなわち、
図11(A)に示す状態(蓄熱体4の初期状態に対応する状態)から、
図11(B)に示す状態(蓄熱体4の膨張状態に対応する状態)に、切り替わる。このため、仕切り部材6は、蓄熱体4の膨張量の少なくとも一部を吸収することができる。したがって、蓄熱体4の膨張圧を低減することができる。よって、内側容器2や収容部22に配置されている各部材(伝熱部材5、仕切り部材6、直接支持部材7)に過度な耐圧構造(例えば、壁部の壁厚増加、補強、材料変更など)を付与する必要がない。また、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、初期状態から数えて初回の膨張時から、伝熱性を向上させることができる。また、蓄熱体4の膨張圧を低減することができる。
【0066】
また、脱水反応時に収縮する際、蓄熱体4の収縮に伴って、仕切り部材6は弾性的に膨張する。すなわち、
図11(B)に示す状態(蓄熱体4の膨張状態に対応する状態)から、
図11(A)に示す状態(蓄熱体4の初期状態に対応する状態)または当該状態に近い状態に、切り替わる。このため、蓄熱体4と、内側容器2の内面や各部材と、の間に隙間が発生するのを、抑制することができる。したがって、隙間を消費して蓄熱体4が崩落するのを、抑制することができる。
【0067】
このように、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、水和反応、脱水反応を蓄熱体4が繰り返しても、蓄熱体4の体積変化に応じて仕切り部材6が変形することにより、継続的に、蓄熱体4を収容部22に収容された各部材(伝熱部材5、仕切り部材6、直接支持部材7)に弾接させることができる。このため、高い伝熱性を持続させることができる。
【0068】
図7~
図11(B)に示すように、仕切り部材6のばね収容部66Dの容積は、複数のコイルばね67の伸張に伴い、上下方向に拡大可能である。このため、第一カバー部材66A、第二カバー部材66Cを介して、コイルばね67の弾性力を、蓄熱体4に加えることができる。
【0069】
また、仕切り部材6は、内側流路60を区画している。内側流路60は、ばね収容部66Dを経由している。このため、ばね収容部66Dを利用して、水蒸気を流動させることができる。また、仕切り部材6は、蓄熱体4の内部に配置されている。また、内側流路60の内側開口部601は、蓄熱体4に向かって開口している。このため、内側流路60を介して、蓄熱体4の内部に水蒸気を供給することができる。したがって、蓄熱体4の全体に水蒸気が拡散しやすい。また、内側流路60を介して、蓄熱体4の内部から水蒸気を回収することができる。したがって、蓄熱体4の全体から水蒸気を回収しやすい。また、内側流路60は、蓄熱体4に対して複数の箇所で開口している。このため、水蒸気を蓄熱体4の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体4の全体から水蒸気を回収しやすい。また、複数の内側開口部601は、底壁部660A、660Cの全体に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。また、複数の内側開口部601は、蓄熱体4の前後方向全長に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。このため、水蒸気を蓄熱体4の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体4の全体から水蒸気を回収しやすい。
【0070】
図7に示すように、仕切り部材6は、水平方向に延在している。すなわち、部屋220(収容部22の一部)は、仕切り部材6により、複数の小部屋220aに仕切られている。このため、蓄放熱時の体積変化などにより、蓄熱体4の少なくとも一部が崩れる場合であっても、蓄熱体4が、複数の小部屋220aを跨いで流動するのを、抑制することができる。したがって、収容部22における蓄熱密度の偏りを、抑制することができる。また、蓄熱体4の流動に伴い伝熱部材5と蓄熱体4との間に隙間が発生するのを、抑制することができる。したがって、伝熱性を向上させることができる。
【0071】
コイルばね67の伸縮によらず、フレーム部材66Bと第一カバー部材66Aとの間には、重複区間Eが設定されている。重複区間Eにおいては、水平方向から見て、内枠部661Bと外枠部661Aとが重複している。このため、仕切り部材6が変形しても、蓄熱体4がばね収容部66Dに流入しにくい。同様に、フレーム部材66Bと第二カバー部材66Cとの間にも、重複区間Eが設定されている。
【0072】
図7、
図8、
図11(A)~
図11(B)に示すように、フレーム部材66Bに対して、第一カバー部材66Aは上側に、第二カバー部材66Cは下側に、各々移動可能である。このため、仕切り部材6の上下両側の蓄熱体4に対して、弾性力を加えることができる。
【0073】
図7、
図8、
図11(A)~
図11(B)に示すように、フレーム部材66Bは、第一カバー部材66Aおよび第二カバー部材66Cから、独立している。このため、第一カバー部材66Aおよび第二カバー部材66Cが上下方向に移動しても、スリット収容部65の上下方向幅が変化するのを、抑制することができる。したがって、スリット202とスリット収容部65との間に隙間が発生するのを、抑制することができる。また、第一カバー部材66Aおよび第二カバー部材66Cが上下方向に移動しても、所定の開口面積の外側開口部600を確保することができる。
【0074】
図7、
図8、
図11(A)~
図11(B)に示すように、仕切り部材6は、仕切り機能(部屋220(収容部22の一部)を仕切る機能)と、反応媒体供給機能(蓄熱体4に水蒸気を供給する機能、および蓄熱体4から水蒸気を回収する機能)と、体積変化吸収機能(蓄熱体4の体積変化量を吸収する機能)と、を併有している。このため、各機能を個別に有する部材を、各々独立して収容部22に配置する場合と比較して、収容部22の容積を小さくすることができる。また、化学蓄熱装置1の部品点数を削減し、構造を簡単にすることができる。
【0075】
図3~
図7に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は、蓄熱体4の内部に、直接支持部材7を備えている。直接支持部材7は、伝熱部材5を直接支持している。このため、伝熱部材5が変形しにくい。具体的には、伝熱部材5が、前端部(伝熱部材取付板81に固定されている部分)を支点に、片持ち梁状に下側に湾曲しにくい。したがって、蓄熱体4に対する伝熱部材5の位置が変化しにくく、蓄熱体4と伝熱部材5との間に隙間が発生しにくい。よって、放熱時において、蓄熱体4の全体から伝熱部材5に、熱を回収しやすい。また、蓄熱時において、伝熱部材5から蓄熱体4の全体に、熱を供給しやすい。このように、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、蓄放熱時における伝熱性を高くすることができる。
【0076】
図1~
図3、
図5~
図7に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は、内側容器2と外側容器3との間に、間接支持部材87を備えている。間接支持部材87は、内側容器2を支持している。このため、内側容器2が変形しにくい。具体的には、内側容器2が、前端部(伝熱部材取付板81に固定されている部分)を支点に、片持ち梁状に下側に湾曲しにくい。したがって、
図7に示す環状の外側流路32の流路面積がばらつく(上側部分が広くなり、下側部分が狭くなる)のを、抑制することができる。
【0077】
また、内側容器2を片持ち梁状に支持する場合、内側容器2の湾曲を抑制するために、内側容器2自体の構造を重厚化する必要がある。このため、熱ロスが増加する。これに対して、間接支持部材87を配置すると、内側容器2自体の構造を重厚化する必要がない。このため、熱ロスを削減することができる。
【0078】
図5、
図6に示すように、間接支持部材87は、内側容器2、直接支持部材7を介して、伝熱部材5を間接的に支持している。このため、蓄熱体4に対する伝熱部材5の位置が変化しにくい。よって、放熱時において、蓄熱体4の全体から伝熱部材5に、熱を回収しやすい。また、蓄熱時において、伝熱部材5から蓄熱体4の全体に、熱を供給しやすい。よって、蓄放熱時における伝熱性を高くすることができる。また、間接支持部材87と直接支持部材7とは、側周壁部20を介して、径方向に並んでいる。このため、伝熱部材5の位置決め精度が高い。
【0079】
図1、
図2、
図5~
図8に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は外側容器3を備えている。このため、内側容器2の外面を利用して、外側流路32を区画することができる。すなわち、内側容器2の壁部(側周壁部20、端壁部21)を隔てて、内側に収容部22を、外側に外側流路32を区画することができる。このため、省スペース性に優れている。
【0080】
図5~
図7に示すように、収容部22には、複数の伝熱部材5が配置されている。このため、伝熱部材5の表面積を広くすることができる。したがって、熱媒体と蓄熱体4との間の伝熱性を高くすることができる。
【0081】
図5~
図7に示す収容部22の容積は、水和反応による膨張後の蓄熱体4の体積よりも、小さい。このため、収容部22にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。また、蓄熱体4の膨張時において、蓄熱体4を伝熱部材5に押し付けることができる。このため、熱媒体と蓄熱体4との間の伝熱性を高くすることができる。また、蓄熱体4の膨張時において、蓄熱体4を内側流路60の内側開口部601に押し付けることができる。このため、水蒸気との反応性を高くすることができる。
【0082】
また、初期状態における蓄熱体4は、蓄熱材顆粒の集合体(粉状体)である。このため、収容部22に投入された蓄熱材顆粒は、適度に解砕しながら(例えば、蓄熱材顆粒は、塊状体(複数の蓄熱材粒子の結合体)や蓄熱材粒子などに、崩壊しながら)、収容部22の形状に沿って、収容部22の隅々にまで行き渡ることができる。したがって、収容部22の形状が複雑であるにもかかわらず、収容部22にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。
【0083】
また、蓄熱体4が適度に解砕しながら膨張するため、蓄熱体4が成形体(蓄熱材粒子や蓄熱材顆粒のプレス成形体を焼成したもの。本開示の「蓄熱体」の概念には、当該成形体も含まれる。)である場合と比較して、膨張圧を小さくすることができる。したがって、内側容器2や収容部22に配置されている各部材(伝熱部材5、仕切り部材6、直接支持部材7)に過度な耐圧構造(例えば、壁部の壁厚増加、補強、材料変更など)を付与する必要がない。
【0084】
また、蓄熱体4は蓄熱材顆粒の集合体である。このため、蓄熱体4が成形体である場合と比較して、体積変化の繰り返しにより、蓄熱体4が微粉化しやすい。したがって、蓄熱体4は収容部22を流下しやすい。この点、
図5~
図8に示すように、部屋220は、仕切り部材6により、複数の小部屋220aに仕切られている。このため、蓄熱体4が、蓄熱材顆粒の集合体であるにもかかわらず、部屋220を流下するのを抑制することができる。このように、仕切り部材6は、蓄熱体4が蓄熱材顆粒の集合体である場合のデメリット(流動性が高いこと)を、補うことができる。
【0085】
<第二実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、仕切り部材ではなく、直接支持部材が体積変化吸収機能を有している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0086】
図13に、第二実施形態の化学蓄熱装置の前後方向部分断面図を示す。なお、
図13に示すのは、
図5の枠XIIIに対応する部分である。
図5と対応する部位については,同じ符号で示す。
図13に示すように、直接支持部材7は、ばね容器77と、複数のコイルばね78と、を備えている。直接支持部材7は、本開示の「体積変化吸収部材」の概念に含まれる。ばね容器77は、第一カバー部材77Aと、第二カバー部材77Cと、を備えている。ばね容器77の内部には、ばね収容部77Dが区画されている。
【0087】
第一カバー部材77Aは、金属製であって、後向き(第二カバー部材77C向き)に開口する、浅底の有底円筒状を呈している。第一カバー部材77Aは、底壁部770Aと、外枠部771Aと、を備えている。底壁部770Aは、上下左右方向(垂直方向)に延在する円板状を呈している。底壁部770Aの後面(内面)からは、複数のばね座773Aが突設されている。ばね座773Aは、短軸円柱状を呈している。外枠部771Aは、上下左右方向に延在する円形枠状を呈している。外枠部771Aは、底壁部770Aの外縁から、後向きに立設されている。
【0088】
第二カバー部材77Cは、上述の第一カバー部材77Aと、材質が同一である。第二カバー部材77Cは、第一カバー部材77Aと、外枠部771Aの代わりに内枠部771Cが配置されている点を除いて、構成が同一である。第二カバー部材77Cは、第一カバー部材77Aと、配置が前後反対である。すなわち、第二カバー部材77Cは、底壁部770Cと、内枠部771Cと、を備えている。底壁部770Cの前面(内面)からは、複数のばね座773Cが突設されている。内枠部771Cは、第一カバー部材77Aの外枠部771Aの枠内側に配置されている。内枠部771Cの外周面は、外枠部771Aの内周面に、前後方向に摺接している。
【0089】
複数のコイルばね78は、金属製であって、ばね収容部77Dに配置されている。コイルばね78は、前後方向に延在している。コイルばね78の前端は、第一カバー部材77Aのばね座773Aに環装されている。コイルばね78の後端は、第二カバー部材77Cのばね座773Cに環装されている。コイルばね78は、前後方向に伸縮可能である。
【0090】
前出の
図3に示すように、仕切り部材6は、中空平板状を呈している。仕切り部材6の内部には、内側流路60が区画されている。内側流路60は、外側流路32に開口する外側開口部600(前出の
図8参照)と、蓄熱体4に向かって開口する複数の内側開口部601と、を備えている。
【0091】
支持孔70は、第一カバー部材77A、第二カバー部材77Cを、前後方向に貫通している。このため、第一カバー部材77A、第二カバー部材77Cは、伝熱部材5の直管部50に対して、前後方向に摺接している。
【0092】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。収容部22には、各部材(伝熱部材5、仕切り部材6、直接支持部材7)が収容されている。矢印Y1で示すように、初期状態において、任意の単一の直接支持部材7は、蓄熱体4を前後方向に付勢している。このため、蓄熱体4と、内側容器2の内面や各部材と、の間に隙間が発生するのを、抑制することができる。
【0093】
放熱時においては、水和反応により、蓄熱体4は膨張し、内側容器2の内面や上述の各部材に圧接する。すなわち、蓄熱体4は、内側容器2の内面や上述の各部材により拘束される。また、蓄熱体4は、内側容器2の内面や上述の各部材に膨張圧を加える。ここで、蓄熱体4の膨張に伴って、複数のコイルばね78つまり直接支持部材7は、弾性的に、前後方向に収縮する。このため、当該膨張圧を低減することができる。
【0094】
蓄熱時においては、脱水反応により、蓄熱体4は収縮する。蓄熱体4の収縮に伴って、複数のコイルばね78つまり直接支持部材7は、弾性的に、前後方向に伸張する。このため、蓄熱体4と、内側容器2の内面や各部材と、の間に隙間が発生するのを、抑制することができる。
【0095】
直接支持部材7は、仕切り機能(前出の
図5に示すように、収容部22を、複数の部屋220に仕切る機能)と、体積変化吸収機能(蓄熱体4の体積変化量を吸収する機能)と、を併有している。このため、各機能を個別に有する部材を、各々独立して収容部22に配置する場合と比較して、収容部22の容積を小さくすることができる。また、化学蓄熱装置1の部品点数を削減し、構造を簡単にすることができる。
【0096】
また、ばね容器77は二部品(第一カバー部材77A、第二カバー部材77C)構造を呈している。このため、構造が簡単である。また、第一カバー部材77A、第二カバー部材77Cは、各々、前後方向に延在する直管部50の外周面に摺接している。このため、直管部50により、第一カバー部材77A、第二カバー部材77Cの移動方向を、前後方向のみに規制することができる。このように、直管部50は、第一カバー部材77A、第二カバー部材77Cをガイドするガイド機能を有している。
【0097】
<第三実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、仕切り部材が、水平方向ではなく、垂直方向に延在している点である。また、仕切り部材ではなく、内側容器に反応媒体流路が区画されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0098】
図14に、第三実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向断面図を示す。なお、
図7と対応する部位については、同じ符号で示す。また、仕切り部材6の構成を簡略的に示す。仕切り部材6の構成は、前出の
図13に示す直接支持部材7の構成と同様である。すなわち、仕切り部材6は、
図13に示す直接支持部材7同様に、ばね容器77と、複数のコイルばね78と、を備えている。ただし、仕切り部材6には、支持孔70が開設されていない。また、仕切り部材6は、前出の
図3に示すように、平板状を呈している。
【0099】
複数の仕切り部材6は、各々、上下前後方向(垂直方向)に延在する平板状を呈している。仕切り部材6は、蓄熱体4の内部に配置されている。仕切り部材6は、任意の単一の部屋(収容部22の一部)220に、左右方向(水平方向)に並ぶ複数の小部屋220aを配置している。内側容器2の側周壁部20には、多数の開口部(反応媒体流路)201が開設されている。開口部201を介して、外側流路32と収容部22との間で、水蒸気が流動可能である。反応媒体ルートR1は、開口部201を経由している。
【0100】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、仕切り部材6が垂直方向に延在していてもよい。また、仕切り部材6に内側流路が区画されていなくてもよい。また、内側容器2に開口部(反応媒体流路)201が区画されていてもよい。
【0101】
<第四実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、外側容器、間接支持部材、伝熱部材、直接支持部材、仕切り部材が配置されていない点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0102】
図15に、本実施形態の化学蓄熱装置の斜視図を示す。
図16に、
図15のXVI-XVI方向断面図を示す。
図17に、同化学蓄熱装置の体積変化吸収部材の上下方向断面図を示す。なお、これらの図において、
図7、
図14と対応する部位については、同じ符号で示す。また、
図16においては、体積変化吸収部材89の構成を簡略的に示す。
【0103】
図15、
図16に示すように、化学蓄熱装置1は、反応器2Aと、蓄熱体4と、体積変化吸収部材89と、を備えている。反応器2Aは、金属製であって、直方体箱状を呈している。反応器2Aは、収容部22と、容器本体25と、透過壁26と、を備えている。容器本体25は、上側に開口する有底角筒状を呈している。容器本体25の下壁は伝熱壁250である。伝熱壁250を介して、反応器2Aの外部と蓄熱体4との間の伝熱が確保されている。透過壁26は、容器本体25の開口を封止している。透過壁26には、多数の開口部(反応媒体流路)201が全面的に開設されている。開口部201は、透過壁26を上下方向に貫通している。
【0104】
図16に示すように、体積変化吸収部材89は、蓄熱体4の内部に配置されている。
図17に示すように、体積変化吸収部材89は、ばね容器890と、複数の板ばね891と、を備えている。ばね容器890は、第一カバー部材890Aと、第二カバー部材890Cと、を備えている。ばね容器890の内部には、ばね収容部890Dが区画されている。
【0105】
第一カバー部材890Aは、金属製であって、下向き(第二カバー部材890C向き)に開口する、浅底の有底角筒状を呈している。第一カバー部材890Aは、底壁部890Aaと、外枠部890Abと、を備えている。底壁部890Aaは、前後左右方向(水平方向)に延在する長方形板状を呈している。外枠部890Abは、前後左右方向に延在する長方形枠状を呈している。外枠部890Abは、底壁部890Aaの外縁から、下向きに立設されている。外枠部890Abの内面には、所定間隔ずつ離間して、複数のガイド溝部890Acが配置されている。ガイド溝部890Acは、上下方向に延在している。ガイド溝部890Acの下端は、外枠部890Abの下端までは到達していない。
【0106】
第二カバー部材890Cは、上述の第一カバー部材890Aと、材質が同一である。第二カバー部材890Cは、第一カバー部材890Aと、外枠部890Abの代わりに内枠部890Cbが配置されている点を除いて、構成が同一である。第二カバー部材890Cは、第一カバー部材890Aと、配置が上下反対である。すなわち、第二カバー部材890Cは、底壁部890Caと、内枠部890Cbと、を備えている。内枠部890Cbは、第一カバー部材890Aの外枠部890Abの枠内側に配置されている。内枠部890Cbの外面は、外枠部890Abの内面に、上下方向に摺接している。内枠部890Cbの外面の上縁には、所定間隔ずつ離間して、複数の被ガイド爪部890Ccが配置されている。被ガイド爪部890Ccは、ガイド溝部890Acに、上下方向に摺接可能に、係合している。
【0107】
複数の板ばね891は、金属製であって、ばね収容部890Dに配置されている。板ばね891は、下向きに開口するV字状を呈している。板ばね891は、ボルト891Aにより、第一カバー部材890Aの底壁部890Aaに固定されている。板ばね891の下端は、第二カバー部材890Cの底壁部890Caに弾接している。板ばね891つまり体積変化吸収部材89は、上下方向に弾性的に伸縮可能である。
【0108】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
図16に矢印Y1で示すように、初期状態において、体積変化吸収部材89は、蓄熱体4を上下方向に付勢している。このため、蓄熱体4と反応器2Aの内面(例えば伝熱壁250の内面など、収容部22を区画する面)との間に隙間が発生するのを、抑制することができる。したがって、初期状態から、蓄熱体4と伝熱壁250との間の伝熱性を向上させることができる。
【0109】
放熱時においては、水和反応により、蓄熱体4は膨張し、内側容器2の内面に圧接する。すなわち、蓄熱体4は、内側容器2の内面により拘束される。また、蓄熱体4は、内側容器2の内面に膨張圧を加える。ここで、蓄熱体4の膨張に伴って、
図17に示す複数の板ばね891つまり体積変化吸収部材89は、弾性的に、上下方向に収縮する。このため、当該膨張圧を低減することができる。
【0110】
蓄熱時においては、脱水反応により、蓄熱体4は収縮する。蓄熱体4の収縮に伴って、
図17に示す複数の板ばね891つまり体積変化吸収部材89は、弾性的に、上下方向に伸張する。このため、蓄熱体4と反応器2Aの内面との間に隙間が発生するのを、抑制することができる。
【0111】
<第五実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第四実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、ばね収容部に、板ばねの代わりに、三次元立体編物が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0112】
図18に、本実施形態の化学蓄熱装置の体積変化吸収部材の上下方向断面図を示す。なお、
図17と対応する部位については、同じ符号で示す。
図18に示すように、ばね収容部890Dには、三次元立体編物892が充填されている。三次元立体編物892は、金属線製の網物であって、弾性を有している。このため、体積変化吸収部材89は、上下方向に弾性的に伸縮可能である。
【0113】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第四実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、ばね要素として、三次元立体編物892を用いてもよい。また、三次元立体編物892の代わりに、ばね収容部890Dに、三次元立体繊維交絡体(金属線などの繊維が互いに交絡した、塊状の不定形物)を配置してもよい。
【0114】
<第六実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第四実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、ばね収容部に、板ばねの代わりに、皿ばねが配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0115】
図19に、本実施形態の化学蓄熱装置の体積変化吸収部材の上下方向断面図を示す。なお、
図17と対応する部位については、同じ符号で示す。
図19に示すように、第一カバー部材890Aの底壁部890Aaからは、下向き(第二カバー部材890C向き)に、複数のシャフト893Aが突設されている。シャフト893Aは、第二カバー部材890Cの底壁部890Caを貫通している。シャフト893Aの下端(貫通端)には、ナット893Bが固定されている。皿ばね893は、金属製であって、円錐筒状を呈している。皿ばね893は、本開示の「ばね要素」の概念に含まれる。複数の皿ばね893は、ばね収容部890Dに配置されている。任意の単一のシャフト893Aには、複数の皿ばね893が、上下方向に並んで環装されている。
【0116】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第四実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、ばね要素として、皿ばね893を用いてもよい。また、シャフト893Aにより、体積変化吸収部材89の変形方向をガイドしてもよい。
【0117】
<第七実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第四実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、収容部に、複数の体積変化吸収部材が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0118】
図20に、本実施形態の化学蓄熱装置の上下方向断面図を示す。なお、
図16と対応する部位については、同じ符号で示す。
図20に示すように、収容部22には、複数の体積変化吸収部材89が配置されている。体積変化吸収部材89は、金属線製であって、球状を呈している。体積変化吸収部材89は、全方位に弾性的に伸縮可能である。
【0119】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第四実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、収容部22に、箱状ではない体積変化吸収部材89を配置してもよい。本実施形態の体積変化吸収部材89によると、金属線自体の弾性を利用して、蓄熱体4を付勢することができる。
【0120】
<第八実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第四実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、収容部に、複数の体積変化吸収部材が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0121】
図21に、本実施形態の化学蓄熱装置の上下方向断面図を示す。なお、
図16、
図20と対応する部位については、同じ符号で示す。
図21に示すように、収容部22には、複数の体積変化吸収部材89が配置されている。
【0122】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第四実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、収容部22に、複数の体積変化吸収部材89を配置してもよい。矢印Y1で示すように、複数の体積変化吸収部材89の弾性変形方向は一定ではない。このため、多方向に、蓄熱体4を付勢することができる。また、収容部22のうち、隙間が発生しやすい部位に向けて、弾性力を作用させることができる。
【0123】
<その他>
以上、本開示の化学蓄熱装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0124】
[構造]
上述の実施形態の化学蓄熱装置1のうち、任意の実施形態の化学蓄熱装置1の部材は、他の実施形態の化学蓄熱装置1に、組み込むことができる。例えば、
図7、
図13に示す化学蓄熱装置1に、
図17~
図21のいずれかに示す体積変化吸収部材89を組み込んでもよい。すなわち、仕切り部材6、直接支持部材7から独立して、化学蓄熱装置1に体積変化吸収部材89を組み込んでもよい。また、
図16に示す化学蓄熱装置1に、
図10、
図14に示す体積変化吸収部材(仕切り部材6)、
図13に示す体積変化吸収部材(直接支持部材7)を組み込んでもよい。
【0125】
(体積変化吸収部材89)
体積変化吸収部材89(
図10、
図14に示す仕切り部材6、
図13に示す直接支持部材7を含む)の形状は特に限定しない。板状、筒状、箱状、塊状などであってもよい。また、中実であっても、中空であってもよい。収縮状態の蓄熱体4を付勢できればよい。蓄熱体4が伸縮を繰り返すと、複数の収縮状態において、蓄熱体4の体積がばらつく場合がある。この場合は、少なくとも一つの収縮状態(例えば、
図11(A)に示す初期状態)において、体積変化吸収部材89は、蓄熱体4を付勢できればよい。体積変化吸収部材89の伸縮方向は、異方性を有していても、等方性を有していてもよい。収容部22における体積変化吸収部材89の配置数、位置は特に限定しない。収容部22の所望の位置に、所望の方向に変形する体積変化吸収部材89を、所望の数だけ配置すればよい。体積変化吸収部材89に使用されるばね要素の種類は特に限定しない。トーションバー、竹の子ばね、輪ばねなどを用いてもよい。また、ばね要素は、線形ばね、または非線形ばねであってもよい。
【0126】
(内側容器2、外側容器3)
内側容器2の形状は特に限定しない。直筒状(I字筒状)、曲筒状(C字筒状、S字筒状など)、直筒部と曲筒部とを適宜組み合わせた形状(J字筒状、U字筒状など)であってもよい。円(真円形、楕円形など)筒状、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形など)筒状であってもよい。内側容器2が直筒状の場合、内側容器2の軸方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。内側容器2に関する上述の事項は、反応器2A、外側容器3についても同様である。
【0127】
外側容器3の形状と内側容器2の形状とは、同一(相似)であっても異なっていてもよい。例えば、外側容器3が多角形筒状、内側容器2が円筒状であってもよい。あるいは、その逆であってもよい。また、外側容器3と内側容器2とは、同軸上に配置されていても、配置されていなくてもよい。外側容器3に対する内側容器2の配置数は特に限定しない。単一の外側容器3に対して、単一または複数の内側容器2を配置してもよい。外側容器3の代わりに、内側容器2から独立して、仕切り部材6に反応媒体(水蒸気)を供給するヘッダー、マニホールドなどを配置してもよい。
【0128】
(伝熱部材5)
伝熱部材5の形状は特に限定しない。伝熱部材5が管状である場合、直管状(I字管状)、曲管状(C字管状、S字管状など)、直管部と曲管部とを適宜組み合わせた形状(J字管状、U字管状など)であってもよい。円形管状、多角形管状であってもよい。伝熱部材5は、内部に熱媒体流路52を区画し、外面が蓄熱体4に当接する中空板状であってもよい。また、伝熱部材5は、内部に環状の熱媒体流路52を区画し、外面および内面が蓄熱体4に当接する二重管状(外周壁部の形状と内周壁部の形状とは、同一でも異なっていてもよい)であってもよい。伝熱部材5が直管状、平板状の場合、伝熱部材5の軸方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、蓄熱体4の内部における伝熱部材5の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。蓄熱体4の内部に対する伝熱部材5のパス数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。また、蓄熱体4の内部における伝熱部材5の位置は特に限定しない。また、伝熱部材5の外面(蓄熱体4に当接する面)および内面(熱媒体に当接する面)のうち少なくとも一方に、伝熱面積拡張部材(フィンなど)を配置してもよい。
【0129】
(仕切り部材6)
仕切り部材6の形状は特に限定しない。中空平板状、中空曲板状などであってもよい。仕切り部材6の延在方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向、傾斜方向であってもよい。また、蓄熱体4の内部における仕切り部材6の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。
【0130】
(支持部材)
直接支持部材7の形状は特に限定しない。板状、棒状などであってもよい。収容部22における直接支持部材7の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。収容部22における直接支持部材7の位置は特に限定しない。伝熱部材5の軸方向長さ、強度、複数の部屋220の容積などを考慮して、直接支持部材7の位置を決めればよい。化学蓄熱装置1に、直接支持部材7が配置されていなくてもよい。
【0131】
間接支持部材87の形状は特に限定しない。板状、棒状などであってもよい。外側流路32における間接支持部材87の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。外側流路32における間接支持部材87の位置は特に限定しない。内側容器2の軸方向長さ、強度などを考慮して、間接支持部材87の位置を決めればよい。化学蓄熱装置1に、間接支持部材87が配置されていなくてもよい。開口部870の形状、配置数、位置などは特に限定しない。外側流路32の全体が、開口部870を介して、連通すればよい。
【0132】
[材料]
化学蓄熱装置1を構成する各部材(内側容器2、外側容器3、伝熱部材5、仕切り部材6、直接支持部材7、間接支持部材87、反応媒体給排管80、伝熱部材取付板81、熱媒体給排筒82、隔壁83、熱媒体供給管84、熱媒体排出管85、端板86、体積変化吸収部材89)の材質は特に限定しない。強度、比熱、作動温度などを考慮して、金属(例えば、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鉄など)、セラミック、樹脂などを用いればよい。
【0133】
反応媒体の流動性を確保するために、内側容器2、仕切り部材6、間接支持部材87は、多孔性を有するメッシュ部材(パンチングメタル、メッシュフィルタ、樹脂製の不織布など)製であってもよい。
【0134】
蓄熱体4の蓄熱材粒子に用いられる化学蓄熱材の種類は特に限定しない。例えば、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Baなど)の化合物(酸化物、水酸化物、炭酸化物、塩化物、硫酸化物など)であってもよい。化合物は、アルカリ土類金属を一種以上含んでいればよい。具体的には、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、水酸化バリウム(Ba(OH)2)、マグネシウムとカルシウムの複合水酸化物、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、マグネシウムとカルシウムの複合酸化物などであってもよい。
【0135】
蓄熱材粒子の平均一次粒子径は特に限定しない。例えば、0.1μm以上10μm以下であればよい。平均一次粒子径は、例えば、レーザー回折法により求められる蓄熱材粒子の粒度分布(粒径分布)のメディアン径である。
【0136】
蓄熱体4に含まれる粘土鉱物の種類は特に限定しない。例えば、セピオライト、アタパルジャイト、カオリナイト、ベントナイトなどであってもよい。これらの粘土鉱物は、単体で、あるいは二種以上混合して、用いることができる。粘土鉱物の繊維径は特に限定しない。
【0137】
蓄熱体4の形態は特に限定しない。粉体状であっても、塊状であってもよい。塊状の場合、成形体(蓄熱材粒子や蓄熱材顆粒のプレス成形体を焼成したもの)であってもよい。反応媒体の種類は特に限定しない。化学蓄熱材の種類に応じて、例えば、水蒸気(水)、アンモニアなどを用いることができる。熱媒体の種類は特に限定しない。例えば、水蒸気(水)、オイル(シリコンオイルなど)、空気、溶融塩などを用いることができる。反応媒体、熱媒体は、気体でも液体でもよい。流動性を有していればよい。
【符号の説明】
【0138】
1:化学蓄熱装置、2:内側容器(反応器)、2A:反応器、20:側周壁部、201:開口部、202:スリット、21:端壁部、22:収容部、220:部屋、220a:小部屋、25:容器本体、250:伝熱壁、26:透過壁、3:外側容器、30:側周壁部、31:端壁部、310:取付孔、32:外側流路、4:蓄熱体、5:伝熱部材、50:直管部、51:曲管部、52:熱媒体流路、6:仕切り部材(体積変化吸収部材)、60:内側流路(反応媒体流路)、600:外側開口部、600B:拡散路、601:内側開口部、65:スリット収容部、66:ばね容器、66A:第一カバー部材、660A:底壁部、661A:外枠部、662A:ガイド溝部、663A:ばね座、66B:フレーム部材、661B:内枠部、662Bd:被ガイド爪部、662Bu:被ガイド爪部、66C:第二カバー部材、660C:底壁部、661C:外枠部、662C:ガイド溝部、663C:ばね座、66D:ばね収容部、67:コイルばね、7:直接支持部材(体積変化吸収部材)、70:支持孔、77:ばね容器、77A:第一カバー部材、770A:底壁部、771A:外枠部、773A:ばね座、77C:第二カバー部材、770C:底壁部、771C:内枠部、773C:ばね座、77D:ばね収容部、78:コイルばね、80:反応媒体給排管、81:伝熱部材取付板、810:取付孔、82:熱媒体給排筒、820:取付孔、83:隔壁、830:供給室、831:排出室、84:熱媒体供給管、85:熱媒体排出管、86:端板、87:間接支持部材、870:開口部、88:脚部、89:体積変化吸収部材、890:ばね容器、890A:第一カバー部材、890Aa:底壁部、890Ab:外枠部、890Ac:ガイド溝部、890C:第二カバー部材、890Ca:底壁部、890Cb:内枠部、890Cc:被ガイド爪部、890D:ばね収容部、891:板ばね、891A:ボルト、892:三次元立体編物、893:皿ばね(ばね要素)、893A:シャフト、893B:ナット、A1:中心軸、A2:中心軸、E:重複区間、R1:反応媒体ルート、R2:熱媒体ルート。