IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 愛知製鋼株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145246
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】化学蓄熱装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
F28D20/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057519
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】中井 淳也
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 宏太
(57)【要約】
【課題】蓄熱体の流出を抑制可能な化学蓄熱装置を提供することを課題とする。
【解決手段】化学蓄熱装置1は、収容部22を内部に区画する反応器2と、収容部22に配置される蓄熱体4と、蓄熱体4と熱の授受を行う伝熱部5と、蓄熱体4に向かって開口し、反応媒体の通過を許容し、蓄熱体4の通過を規制する反応媒体流路201を有する流路部20と、反応媒体流路201の少なくとも一部を構成する細孔900aを有する多孔質体90aと、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を内部に区画する反応器と、
前記収容部に配置される蓄熱体と、
前記蓄熱体と熱の授受を行う伝熱部と、
前記蓄熱体に向かって開口し、反応媒体の通過を許容し、前記蓄熱体の通過を規制する反応媒体流路を有する流路部と、
前記反応媒体流路の少なくとも一部を構成する細孔を有する多孔質体と、
を備える化学蓄熱装置。
【請求項2】
前記反応器は、筒状の内側容器であり、
前記流路部は、前記内側容器の側周壁部であり、
前記伝熱部は、前記蓄熱体の内部に配置される伝熱部材であり、
さらに、前記内側容器を外側から覆い、自身の内面と前記内側容器の外面との間に、前記反応媒体が流動し前記反応媒体流路に連通する外側流路を区画する、筒状の外側容器を備え、
前記反応媒体流路は、前記外側流路と前記収容部とを連通する複数の貫通孔である請求項1に記載の化学蓄熱装置。
【請求項3】
前記多孔質体は、前記貫通孔の孔内に埋設される多孔質埋設体である請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【請求項4】
前記多孔質埋設体は、焼結金属製またはセラミック製である請求項3に記載の化学蓄熱装置。
【請求項5】
前記多孔質体は、前記側周壁部の外側および内側のうち少なくとも一方から、前記貫通孔を覆う多孔質シートである請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【請求項6】
前記多孔質シートは、エッチングフィルタ、電鋳フィルタ、金網、パンチングメタル、焼結金属製多孔質体、金属製不織布から選ばれる請求項5に記載の化学蓄熱装置。
【請求項7】
複数の前記貫通孔は、前記側周壁部に直接開設される請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【請求項8】
前記側周壁部は、取付孔が開設された壁部本体と、前記取付孔に取り付けられ複数の前記貫通孔が開設された有孔部材と、を有する請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【請求項9】
さらに、前記有孔部材を補強する補強部材を備える請求項8に記載の化学蓄熱装置。
【請求項10】
前記有孔部材は、エッチングフィルタ、電鋳フィルタ、金網、パンチングメタル、焼結金属製多孔質体、金属製不織布から選ばれる請求項8に記載の化学蓄熱装置。
【請求項11】
前記貫通孔の孔径は、前記蓄熱体の平均粒径よりも小さい請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【請求項12】
前記蓄熱体は、前記反応媒体との反応により、前記伝熱部に向かって膨張可能である請求項1に記載の化学蓄熱装置。
【請求項13】
前記外側容器に対する、前記内側容器の配置数は、単一または複数である請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【請求項14】
前記内側容器に対する、前記伝熱部材の配置数は、単一または複数である請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【請求項15】
前記蓄熱体に対する、前記伝熱部材のパス数は、一回または複数回である請求項2に記載の化学蓄熱装置。
【請求項16】
前記反応器は、筒状の内側容器であり、
前記流路部は、前記蓄熱体の内部に配置される流路部材であり、
前記反応媒体流路は、内側流路であり、
前記伝熱部は、前記蓄熱体の内部に配置される伝熱部材であり、
さらに、前記内側容器を外側から覆い、自身の内面と前記内側容器の外面との間に、前記反応媒体が流動し前記内側流路に連通する外側流路を区画する、筒状の外側容器を備える請求項1に記載の化学蓄熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学反応熱を利用して可逆的に蓄熱、放熱を行うことができる化学蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の化学蓄熱装置は、蓄熱体と反応容器とを備えている。蓄熱体は、反応容器の内部に収容されている。蓄熱体は、円柱状の蓄熱成形体と、円筒状の蓄熱材拘束カバーと、を備えている。蓄熱材拘束カバーは、蓄熱成形体の外周面を全周的に覆っている。蓄熱材拘束カバーは、エッチングフィルタ製である。蓄熱材拘束カバーの全面には、多数の微小貫通孔が形成されている。蓄熱材拘束カバーは、蓄熱成形体を構成する蓄熱材の平均粒径よりも小さい濾過精度を有している。このため、蓄熱材拘束カバーは、水蒸気の通過を許容する一方、平均粒径よりも大きい蓄熱材の通過を制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-120430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄放熱に伴う体積変化(膨張、収縮)により、蓄熱体の少なくとも一部は微粉化する。微粉化した蓄熱材は、自重により、蓄熱材拘束カバー内部を流下する。ここで、蓄熱材拘束カバー(エッチングフィルタ)は、平均粒径よりも大きい蓄熱材の通過を制限する一方、平均粒径よりも小さい蓄熱材の通過を許容しやすい。このため、微粉化した蓄熱材が、蓄熱材拘束カバーを介して、外部に流出してしまう。そこで、本開示は、収容部から蓄熱体が流出するのを抑制可能な化学蓄熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するため、本開示の化学蓄熱装置は、収容部を内部に区画する反応器と、前記収容部に配置される蓄熱体と、前記蓄熱体と熱の授受を行う伝熱部と、前記蓄熱体に向かって開口し、反応媒体の通過を許容し、前記蓄熱体の通過を規制する反応媒体流路を有する流路部と、前記反応媒体流路の少なくとも一部を構成する細孔を有する多孔質体と、を備えることを特徴とする。反応媒体流路の少なくとも一部は、多孔質体の細孔により構成されている。このため、収容部から蓄熱体が流出するのを抑制することができる。また、収容部に対して反応媒体を流通(供給、排出)させることができる。
【0006】
(1-1)上記いずれかの構成において、前記細孔は、路長方向途中に曲部を有する構成とする方がよい。本構成によると、細孔の路長方向形状が、直線以外の形状を呈している。このため、蓄熱体が細孔を通過しにくい。したがって、収容部から蓄熱体が流出するのを抑制することができる。
【0007】
(2)上記いずれかの構成において、前記反応器は、筒状の内側容器であり、前記流路部は、前記内側容器の側周壁部であり、前記伝熱部は、前記蓄熱体の内部に配置される伝熱部材であり、さらに、前記内側容器を外側から覆い、自身の内面と前記内側容器の外面との間に、前記反応媒体が流動し前記反応媒体流路に連通する外側流路を区画する、筒状の外側容器を備え、前記反応媒体流路は、前記外側流路と前記収容部とを連通する複数の貫通孔である構成とする方がよい。
【0008】
本構成によると、内側容器の外面を利用して、外側流路を区画することができる。すなわち、内側容器の壁部を隔てて、内側に収容部を、外側に外側流路を区画することができる。このため、省スペース性に優れている。
【0009】
(3)上記いずれかの構成において、前記多孔質体は、前記貫通孔の孔内に埋設される多孔質埋設体である構成とする方がよい。本構成によると、貫通孔を介して、収容部から蓄熱体が流出するのを抑制することができる。
【0010】
仮に、反応器(内側容器)の壁部自体が多孔質体である場合を想定する。この場合、反応器の壁部に複数の貫通孔が配置されている場合と比較して、収容部から蓄熱体が流出しにくい。しかしながら、多孔質体にクラックが発生すると、当該クラックが壁部全体に伝播しやすい。
【0011】
他方、仮に、反応器の壁部に複数の貫通孔(多孔質体は配置されていない)が配置されている場合を想定する。この場合、反応器の壁部自体が多孔質体である場合と比較して、クラックが発生しにくい。しかしながら、反応器の壁部自体が多孔質体である場合と比較して、流路断面積(流路の路長方向に対して直交する方向の断面積)が大きくなりやすい。このため、収容部から蓄熱体が流出しやすい。このように、多孔質体と貫通孔とはトレードオフの関係にある。
【0012】
この点、本構成によると、貫通孔の孔内に、多孔質埋設体が埋設されている。このため、反応器の壁部に複数の貫通孔が配置されている場合と比較して、収容部から蓄熱体が流出しにくい。
【0013】
また、反応器の壁部自体が多孔質体である場合と比較して、クラックが壁部全体に伝播しにくい。すなわち、任意の貫通孔と、当該貫通孔の隣りの貫通孔と、は互いに独立している。このため、任意の貫通孔の孔内の多孔質埋設体にクラックが発生しても、隣りの貫通孔の孔内の多孔質埋設体に、当該クラックが伝播しにくい。したがって、クラックが壁部全体に伝播しにくい。
【0014】
このように、本構成によると、反応器の壁部自体が多孔質体である場合のデメリット(クラックが伝播しやすい)と、反応器の壁部に複数の貫通孔が配置されている場合のデメリット(収容部から蓄熱体が流出しやすい)と、を解消することができる。並びに、反応器の壁部自体が多孔質体である場合のメリット(収容部から蓄熱体が流出しにくい)と、反応器の壁部に複数の貫通孔が配置されている場合のメリット(クラックが伝播しにくい)と、を享受することができる。
【0015】
(4)上記(3)の構成において、前記多孔質埋設体は、焼結金属製またはセラミック製である構成とする方がよい。本構成によると、多孔質埋設体の耐熱性を高くすることができる。また、細孔の路長方向形状を複雑かつ冗長化することができる。
【0016】
(5)上記いずれかの構成において、前記多孔質体は、前記側周壁部の外側および内側のうち少なくとも一方から、前記貫通孔を覆う多孔質シートである構成とする方がよい。本構成によると、貫通孔を介して、収容部から蓄熱体が流出するのを抑制することができる。
【0017】
多孔質シートが側周壁部の外側から貫通孔を覆う場合、蓄熱体が貫通孔から側周壁部の外側に漏出するのを、抑制することができる。また、収容部の蓄熱体のうち、粒径の大きいものは、貫通孔を通過しにくい。このため、粒径の大きい蓄熱体が多孔質シートに干渉するのを、抑制することができる。
【0018】
多孔質シートが側周壁部の内側から貫通孔を覆う場合、蓄熱体が収容部から貫通孔に漏出するのを、抑制することができる。また、蓄熱体が膨張する際、多孔質シートには、収容部の内側から外側に向かって、膨張圧が加わる。この点、多孔質シートは、側周壁部により、外側(膨張圧が加わる方向の反対側)から支持されている。このため、膨張圧が加わっても、多孔質シートが変形するのを、抑制することができる。
【0019】
(6)上記(5)の構成において、前記多孔質シートは、エッチングフィルタ、電鋳フィルタ、金網、パンチングメタル、焼結金属製多孔質体、金属製不織布から選ばれる構成とする方がよい。
【0020】
多孔質シートとして、金網を用いると、網目を細孔として用いることができる。金網の中でも、焼結金網(複数の金網を積層させ、線材同士を互いに溶着させたもの)を用いると、強度を高くすることができる。また、細孔の路長方向形状を三次元化することができる。多孔質シートとして、エッチングフィルタ、電鋳フィルタ、パンチングメタルを用いると、細孔が目開きしにくい。また、細孔がほつれにくい。多孔質シートとして、焼結金属製多孔質体を用いると、強度を高くすることができる。また、細孔の路長方向形状を複雑かつ冗長化することができる。多孔質シートとして、金属製不織布を用いると、細孔の路長方向形状を複雑かつ冗長化することができる。
【0021】
(7)上記いずれかの構成において、複数の前記貫通孔は、前記側周壁部に直接開設される構成とする方がよい。本構成によると、内側容器の部品点数が少なくなる。また、内側容器の強度を確保しやすい。
【0022】
(8)上記いずれかの構成において、前記側周壁部は、取付孔が開設された壁部本体と、前記取付孔に取り付けられ複数の前記貫通孔が開設された有孔部材と、を有する構成とする方がよい。本構成によると、内側容器に、直接、複数の貫通孔を開設する必要がない。このため、内側容器を簡単に製造することができる。
【0023】
(9)上記(8)の構成において、さらに、前記有孔部材を補強する補強部材を備える構成とする方がよい。本構成によると、蓄熱体の膨張圧、蓄熱体の自重、有孔部材の自重などによる有孔部材の変形を、抑制することができる。
【0024】
(10)上記(8)または(9)の構成において、前記有孔部材は、エッチングフィルタ、電鋳フィルタ、金網、パンチングメタル、焼結金属製多孔質体、金属製不織布から選ばれる構成とする方がよい。
【0025】
有孔部材として、金網を用いると、網目を細孔として用いることができる。金網の中でも、焼結金網を用いると、強度を高くすることができる。また、貫通孔の路長方向形状を三次元化することができる。有孔部材として、エッチングフィルタ、電鋳フィルタ、パンチングメタルを用いると、貫通孔が目開きしにくい。また、貫通孔がほつれにくい。有孔部材として、焼結金属製多孔質体を用いると、強度を高くすることができる。また、貫通孔の路長方向形状を複雑かつ冗長化することができる。有孔部材として、金属製不織布を用いると、貫通孔の路長方向形状を複雑かつ冗長化することができる。
【0026】
(10-1)上記(10)の構成において、前記壁部本体は、金属製であり、前記有孔部材は、金属製のエッチングフィルタ、金網、パンチングメタルから選ばれる構成とする方がよい。エッチングフィルタ、金網、パンチングメタルは、いずれも金属製である。並びに、壁部本体も金属製である。このため、有孔部材として、エッチングフィルタ、金網、パンチングメタルを用いると、壁部本体との接合が容易になる。
【0027】
(11)上記いずれかの構成において、前記貫通孔の孔径は、前記蓄熱体の平均粒径よりも小さい構成とする方がよい。ここで、平均粒径とは、レーザー回折法により求められる粒度分布(粒径分布)のメディアン径をいう。また、平均粒径とは、蓄熱体が粉体の場合は、当該粉体の平均粒径をいう。蓄熱体が造粒体の場合は、造粒後の粉体の平均粒径をいう。
【0028】
本構成によると、貫通孔自体により、平均粒径以上の蓄熱体が収容部から流出するのを、抑制することができる。加えて、多孔質体の細孔により、貫通孔の孔径未満の蓄熱体(蓄熱体顆粒、塊状体(複数の蓄熱材粒子の結合体)、蓄熱材粒子など)が収容部から流出するのを、抑制することができる。
【0029】
(12)上記いずれかの構成において、前記蓄熱体は、前記反応媒体との反応により、前記伝熱部に向かって膨張可能である構成とする方がよい。本構成によると、蓄熱体と伝熱部とを密着させやすい。このため、蓄熱体と伝熱部との間の熱交換効率を向上させることができる。
【0030】
(12-1)上記いずれかの構成において、前記外側容器は、円筒状または多角形筒状を呈する構成とする方がよい。外側容器を円筒状または多角形筒状とし、かつ内側容器の軸直断面形状を外側容器の軸直断面形状と相似形にすると、外側容器内のデッドスペースを減少させることができる。
【0031】
外側容器を円筒状にすると、外側容器が多角形筒状である場合と比較して、局所的な応力集中を抑制することができるため、外側容器の耐圧性を向上させることができる。したがって、外側容器の壁部の厚さを減少することができる。このため、畜熱密度を大きくすることができる。
【0032】
外側容器を多角形筒状にすると、外側容器が円筒状である場合と比較して、外側容器と隣接装置との間の隙間が大きくなりにくい。このため、化学蓄熱装置の設置場所(例えば工場など)のデッドスペースを減少させることができる。
【0033】
(13)上記いずれかの構成において、前記外側容器に対する、前記内側容器の配置数は、単一または複数である構成とする方がよい。外側容器に対する内側容器の配置数が単一の場合、内側容器の配置数が複数の場合と比較して、内側容器同士の隙間が発生しない。このため、外側容器内のデッドスペースを減少させることができる。
【0034】
外側容器に対する内側容器の配置数が複数の場合、内側容器の配置数が単一の場合と比較して、複数の内側容器に蓄熱体を分配することができる。このため、蓄熱体に対する反応媒体の拡散性を向上させることができる。
【0035】
(14)上記いずれかの構成において、前記内側容器に対する、前記伝熱部材の配置数は、単一または複数である構成とする方がよい。内側容器に対する伝熱部材の配置数が単一の場合、伝熱部材の配置数が複数の場合と比較して、蓄熱体に対する反応媒体の拡散性が伝熱部材により阻害されにくい。このため、反応媒体の拡散性を向上させることができる。
【0036】
外側容器の内部に複数の内側容器を配置し、各々の内側容器の収容部に伝熱部材を配置する場合(内側容器に対する伝熱部材の配置数が単一の場合)を想定する。この場合、隣り合う内側容器間にデッドスペースが発生してしまう。これに対して、外側容器の内部に単一の内側容器を配置し、当該内側容器の収容部に複数の伝熱部材を配置する場合を想定する。この場合、上記デッドスペースに対応する部分に、蓄熱体を充填することができる。したがって、収容部におけるデッドスペースを減少させることができる。
【0037】
(15)上記いずれかの構成において、前記蓄熱体に対する、前記伝熱部材のパス数は、一回または複数回である構成とする方がよい。蓄熱体に対する伝熱部材のパス数が一回の場合、伝熱部材のパス数が複数回の場合と比較して、熱媒体流路が湾曲しにくい。このため、熱媒体の圧力損失を低減することができる。また、熱媒体が相変化する場合(一例として、熱媒体が水(液体)から水蒸気(気体)に相変化する場合)、熱媒体の逆流を抑制することができる。
【0038】
蓄熱体に対する伝熱部材のパス数が複数の場合、伝熱部材のパス数が一回の場合と比較して、熱媒体流路が湾曲しやすい。また、蓄熱体の内部における熱媒体流路の流路長が長くなりやすい。このため、本構成の化学蓄熱装置は、長時間に亘って安定した出力が要求される用途に適している。
【0039】
(16)上記いずれかの構成において、前記反応器は、筒状の内側容器であり、前記流路部は、前記蓄熱体の内部に配置される流路部材であり、前記反応媒体流路は、内側流路であり、前記伝熱部は、前記蓄熱体の内部に配置される伝熱部材であり、さらに、前記内側容器を外側から覆い、自身の内面と前記内側容器の外面との間に、前記反応媒体が流動し前記内側流路に連通する外側流路を区画する、筒状の外側容器を備える構成とする方がよい。本構成の化学蓄熱装置によると、蓄熱体の内部に流路部材(内側流路)が配置されている。このため、内側流路を介して、反応媒体を蓄熱体の内部に供給することができる。また、蓄熱体の内部から反応媒体を回収することができる。
【発明の効果】
【0040】
本開示の化学蓄熱装置によると、収容部からの蓄熱体の流出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、第一実施形態の化学蓄熱装置の斜視図である。
図2図2は、同化学蓄熱装置の分解斜視図である。
図3図3は、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図である。
図4図4は、同化学蓄熱装置の前後方向断面図である。
図5図5は、図4の枠V内の拡大図である。
図6図6は、図4のVI-VI方向断面図である。
図7図7は、図6の枠VII内の拡大図である。
図8図8は、図7の枠VIII内の拡大図である。
図9図9は、第二実施形態の化学蓄熱装置の斜視図である。
図10図10は、同化学蓄熱装置の分解斜視図である。
図11図11は、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図である。
図12図12は、同化学蓄熱装置の複数の内側容器、伝熱部材、複数の間接支持部材の分解斜視図である。
図13図13は、同化学蓄熱装置の前後方向断面図である。
図14図14は、図13のXIV-XIV方向断面図である。
図15図15は、図14の枠XV内の拡大図である。
図16図16は、第三実施形態の化学蓄熱装置の前後方向断面図である。
図17図17は、第四実施形態の化学蓄熱装置の前後方向断面図である。
図18図18は、第五実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向断面図である。
図19図19は、第六実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向断面図である。
図20図20は、第七実施形態の化学蓄熱装置の上下方向断面図である。
図21図21は、第八実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図である。
図22図22は、第九実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図である。
図23図23は、第十実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図である。
図24図24は、第十一実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図である。
図25図25は、第十二実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図である。
図26図26は、第十三実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図である。
図27図27は、第十四実施形態の化学蓄熱装置の部分透過斜視図である。
図28図28(A)~図28(D)は、その他の実施形態(その1~その4)の化学蓄熱装置の軸直方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本開示の化学蓄熱装置の実施の形態について説明する。以降の図において、前後方向は、内側容器、外側容器の軸方向(筒軸の延在方向)に対応している。上下方向および左右方向のうち少なくとも一方は、内側容器、外側容器の軸直方向(軸方向に対して直交する方向。横断面方向。径方向)に対応している。
【0043】
<第一実施形態>
図1に、本実施形態の化学蓄熱装置の斜視図を示す。図2に、同化学蓄熱装置の分解斜視図を示す。図3に、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。図4に、同化学蓄熱装置の前後方向(軸方向)断面図を示す。図5に、図4の枠V内の拡大図を示す。図6に、図4のVI-VI方向(軸直方向)断面図を示す。なお、図4は、図6のIV-IV方向断面に対応する。
【0044】
図1においては、外側容器3の内部の内側容器2、伝熱部材取付板81、間接支持部材87を点線で示す。図2においては、内側容器2の貫通孔201を省略して示す。また、有孔部材20Dを点線ハッチングで示す。図3においては、内側容器2、伝熱部材取付板81、間接支持部材87を透過して、内側容器2の内部(収容部22)の部材(伝熱部材5、直接支持部材7)を示す。また、貫通孔201、蓄熱体4を省略して示す。
【0045】
[化学蓄熱装置の構成]
まず、本実施形態の化学蓄熱装置1の構成について説明する。図1図6に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は、内側容器2と、外側容器3と、蓄熱体4と、複数の伝熱部材5と、複数の直接支持部材7と、反応媒体給排管80と、伝熱部材取付板81と、熱媒体給排筒82と、隔壁83と、熱媒体供給管84と、熱媒体排出管85と、端板86と、複数の間接支持部材87と、二つの脚部88と、多孔質埋設体90aと、を備えている。
【0046】
(内側容器2)
図2図4図6に示すように、内側容器(反応器)2は、金属製であって、前後方向(水平方向)に延在し、前側に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、内側容器2の筒軸A1(図4図6参照)は、前後方向(重力方向(上下方向)に対して、直交(交差)する方向)に延在している。
【0047】
内側容器2は、側周壁部20と、端壁部21と、収容部22と、を備えている。側周壁部20は、前後方向に延在する円筒状を呈している。端壁部21は、側周壁部20の後端開口を封止している。収容部22は、内側容器2の内部に区画されている。
【0048】
図1図2図5図6に示すように、側周壁部20は、壁部本体20Cと、複数の有孔部材20Dと、を備えている。壁部本体20Cは、複数(有孔部材20Dと同数)の取付孔200Cを備えている。複数の取付孔200Cは、壁部本体20Cの全体に亘って、配置されている。複数の取付孔200Cは、側周壁部20の上側部分、下側部分に配置されている。上側部分の複数の取付孔200C、下側部分の複数の取付孔200Cは、各々、前後方向に並んでいる。上側部分の取付孔200Cと下側部分の取付孔200Cとは、上下方向に対向している。図6に示すように、上側の取付孔200Cは、壁部本体20Cの上半分(ただし左右両端部分を除く)に亘って、弧状(下向きに開口するC字状)に延在している。下側の取付孔200Cは、壁部本体20Cの下半分(ただし左右両端部分を除く)に亘って、弧状(上向きに開口するC字状)に延在している。図4図5に示すように、取付孔200Cは、後述する直接支持部材7、間接支持部材87を避けて配置されている。取付孔200Cは、後述する部屋220に対応している。
【0049】
複数の有孔部材20Dは、各々、取付孔200Cに配置されている。有孔部材20Dは、取付孔200Cに嵌め込まれている。有孔部材20Dは取付孔200Cの孔縁に、接合されている。有孔部材20Dは、パンチングメタルである。有孔部材20Dは、複数の貫通孔201を備えている。貫通孔201は、内側容器2の外部(後述する外側流路32)と収容部22とを連通している。貫通孔201の大きさ(孔径)は、水蒸気が通過可能であって、蓄熱体4の蓄熱材粒子が通過しにくい大きさに設定されている。複数の貫通孔201は、有孔部材20Dの全体に亘って、配置されている。
【0050】
(多孔質埋設体90a)
図7に、図6の枠VII内の拡大図を示す。図8に、図7の枠VIII内の拡大図を示す。なお、図8においては、多孔質埋設体90aに形成される複数の細孔900aのうち、任意の一つの細孔900aを太線で示す。
【0051】
図7図8に示すように、全ての貫通孔201には、各々、多孔質埋設体90aが配置されている。多孔質埋設体90aは、セラミック製である。多孔質埋設体90aは、貫通孔201に埋設されている。図8に模式的に示すように、多孔質埋設体90aの内部には複数の隙間が形成されている。複数の隙間が互いに連なることにより、多孔質埋設体90aの内部には、三次元的な細孔900aが形成されている。細孔900aは、多孔質埋設体90aの内面(収容部22側の面)と、多孔質埋設体90aの外面(後述する外側流路32側の面)と、を連通している。すなわち、細孔900aは連続孔である。
【0052】
(外側容器3、脚部88)
図1図2図4図6に示すように、外側容器3は、金属製であって、前後方向に延在し、前側に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、外側容器3の筒軸A2(図4図6参照)は、前後方向に延在している。外側容器3は、内側容器2を、外側(筒軸A1、A2を中心とする径方向外側および後側(軸方向一方))から覆っている。筒軸A1と筒軸A2とは一致している。すなわち、外側容器3は、内側容器2と同軸上に配置されている。
【0053】
外側容器3は、側周壁部30と、端壁部31と、を備えている。側周壁部30は、前後方向に延在する円筒状を呈している。端壁部31は、側周壁部30の後端開口を封止している。端壁部31は、取付孔310を備えている。取付孔310は、端壁部31の径方向中心を、筒軸A2に沿って、前後方向に貫通している。
【0054】
外側容器3は、外側流路32を区画している。具体的には、外側流路32は、外側容器3の内面と、内側容器2の外面と、の間に区画されている。図6に示すように、軸直方向断面において、外側流路32は、筒軸A2を中心とする円環状を呈している。
【0055】
図1に示すように、二つの脚部88は、外側容器3の前後両端部に配置されている。二つの脚部88は、工場の床面(図略)に立設されている。二つの脚部88は、外側容器3つまり化学蓄熱装置1を下側から支持している。
【0056】
(蓄熱体4)
図4図6に示すように、蓄熱体4は、収容部22に充填されている。蓄熱体4は、化学蓄熱材(脱水後は酸化カルシウム、水和後は水酸化カルシウム)製の蓄熱材粒子と、粘土鉱物と、を含んでいる。蓄熱体4は、水蒸気(HO)との化学反応(水和反応、脱水反応)により膨張、収縮可能である。水蒸気は、本開示の「反応媒体」の概念に含まれる。
【0057】
収容部22(詳しくは、収容部22のうち、部材(複数の伝熱部材5、複数の直接支持部材7)が配置されていない部分)の容積は、水和反応による膨張後の蓄熱体4の体積よりも、小さい。このため、膨張後(水和反応後)において、蓄熱体4は、内側容器2の内面(収容部22を区画する面)、後述する複数の伝熱部材5の外面、複数の直接支持部材7の外面に圧接している。言い換えると、蓄熱体4は、これらの部材により拘束されている。
【0058】
(伝熱部材5)
図3図6に示すように、伝熱部材5は、金属製であって、U字の円管状を呈している。すなわち、伝熱部材5は、二つの直管部50と、曲管部51と、を備えている。直管部50は、前後方向に延在している。二つの直管部50は、上下方向に対向して配置されている。曲管部51は、後側に膨らむC字状に延在している。曲管部51は、二つの直管部50の後端部同士を連結している。
【0059】
伝熱部材5は、前端部(後述する伝熱部材取付板81の取付孔810に固定されている部分)を除いて、収容部22に収容されている。伝熱部材5は、蓄熱体4の内部に配置されている。伝熱部材5の外面は、蓄熱体4に当接している。伝熱部材5は、内部に熱媒体流路52を区画している。熱媒体は、熱媒体流路52を流動可能である。熱媒体は、伝熱部材5の壁部を介して、蓄熱体4と熱の授受を行う。図6に示すように、収容部22において、複数の伝熱部材5の直管部50は、上下左右方向に並んでいる。図4に示すように、複数の伝熱部材5は、収容部22(つまり蓄熱体4)の全体に配置されている。
【0060】
(直接支持部材7)
図3図4図6に示すように、直接支持部材7は、金属製であって、上下左右方向(垂直方向)に延在する円板状を呈している。直接支持部材7は、収容部22に配置されている。直接支持部材7の外周面は、内側容器2の側周壁部20(壁部本体20C)の内周面(収容部22を区画する面)に当接している。
【0061】
図4に示すように、複数の直接支持部材7は、所定間隔ずつ離間して、前後方向に並置されている。複数の直接支持部材7は、収容部22を、前後方向に並ぶ複数の部屋220に仕切っている。直接支持部材7は、複数の支持孔70を備えている。支持孔70は、直接支持部材7を前後方向に貫通している。支持孔70には、伝熱部材5の直管部50が挿通されている。支持孔70つまり直接支持部材7は、伝熱部材5を、直接支持している。また、直接支持部材7は、伝熱部材5を、直接位置決めしている。
【0062】
(反応媒体給排管80)
図1図2図4に示すように、反応媒体給排管80は、金属製であって、短軸円管状を呈している。反応媒体給排管80は、外側容器3の端壁部31の取付孔310に取り付けられている。反応媒体給排管80を介して、外側容器3の外部から外側流路32に、水蒸気が供給される。また、反応媒体給排管80を介して、外側流路32から外側容器3の外部に、水蒸気が排出される。
【0063】
(伝熱部材取付板81)
図1図4に示すように、伝熱部材取付板81は、金属製であって、上下左右方向に延在する円板状を呈している。伝熱部材取付板81は、内側容器2および外側容器3の前側に配置されている。伝熱部材取付板81は、内側容器2および外側容器3の前側開口を封止している。伝熱部材取付板81は、複数の取付孔810を備えている。取付孔810は、伝熱部材取付板81を前後方向に貫通している。取付孔810には、伝熱部材5の直管部50の前端部が取り付けられている。取付孔810つまり伝熱部材取付板81は、伝熱部材5を支持している。また、伝熱部材取付板81は、伝熱部材5を固定している。
【0064】
(熱媒体給排筒82)
図1図2図4に示すように、熱媒体給排筒82は、金属製であって、前後方向に延在する短軸円筒状を呈している。熱媒体給排筒82は、伝熱部材取付板81の前側に配置されている。伝熱部材取付板81は、熱媒体給排筒82の後端開口を封止している。熱媒体給排筒82は、筒軸A1、A2上に配置されている。熱媒体給排筒82は、二つの取付孔820を備えている。取付孔820は、熱媒体給排筒82の壁部を上下方向に貫通している。二つの取付孔820は、上下方向に対向して配置されている。
【0065】
(隔壁83)
図2図4に示すように、隔壁83は、金属製であって、前後左右方向(水平方向)に延在する平板状を呈している。隔壁83は、熱媒体給排筒82の内部空間を、下側の供給室830と、上側の排出室831と、に仕切っている。供給室830は下側の取付孔820に、排出室831は上側の取付孔820に、各々連通している。伝熱部材5の熱媒体流路52の一端(上流端)は、供給室830に連通している。伝熱部材5の熱媒体流路52の他端(下流端)は、排出室831に連通している。
【0066】
(熱媒体供給管84、熱媒体排出管85、端板86)
図1図2図4に示すように、熱媒体供給管84は、金属製であって、短軸円管状を呈している。熱媒体供給管84は、熱媒体給排筒82の下側の取付孔820に取り付けられている。熱媒体供給管84を介して、熱媒体給排筒82の外部から供給室830に、熱媒体が供給される。熱媒体排出管85は、金属製であって、短軸円管状を呈している。熱媒体排出管85は、熱媒体給排筒82の上側の取付孔820に取り付けられている。熱媒体排出管85を介して、排出室831から熱媒体給排筒82の外部に、熱媒体が排出される。端板86は、金属製であって、上下左右方向に延在する円板状を呈している。端板86は、熱媒体給排筒82の前端開口を封止している。
【0067】
(間接支持部材87)
図1図6に示すように、間接支持部材87は、金属製であって上下左右方向に延在する歯車円環状を呈している。間接支持部材87は、内側容器2の側周壁部20(壁部本体20C)の外周面と、外側容器3の側周壁部30の内周面と、の間に配置されている。間接支持部材87により、内側容器2の側周壁部20の外周面と、外側容器3の側周壁部30の内周面と、の間に外側流路32が確保されている。複数の間接支持部材87は、前後方向に、所定間隔ずつ離間して配置されている。間接支持部材87の外周面には、径方向内側に凹む複数の開口部870が配置されている。複数の開口部870は、周方向に所定間隔ずつ離間して配置されている。開口部870を介して、外側流路32の各部は、前後方向に互いに連通している。間接支持部材87は、内側容器2を支持している。また、間接支持部材87は、内側容器2を位置決めしている。また、間接支持部材87は、内側容器2、直接支持部材7を介して、伝熱部材5を間接的に支持している。また、間接支持部材87は、内側容器2、直接支持部材7を介して、伝熱部材5を間接的に位置決めしている。
【0068】
(反応媒体ルートR1、熱媒体ルートR2)
図4図6に示すように、化学蓄熱装置1の外部と、収容部22の蓄熱体4と、の間には、外部から蓄熱体4に向かって、反応媒体給排管80、外側流路32、貫通孔201を経由する、水蒸気用の反応媒体ルートR1が設定されている。
【0069】
図4に示すように、熱媒体供給管84と熱媒体排出管85との間には、熱媒体供給管84から熱媒体排出管85に向かって、供給室830、熱媒体流路52、排出室831を経由する、熱媒体用の熱媒体ルートR2が設定されている。
【0070】
[化学蓄熱装置の動き]
次に、本実施形態の化学蓄熱装置1の動きについて説明する。前述したように、蓄熱体4は、化学蓄熱材(脱水後は酸化カルシウム、水和後は水酸化カルシウム)製の蓄熱材粒子と、粘土鉱物と、を含んでいる。ここで、複数の蓄熱材粒子を含む造粒体を「蓄熱材顆粒」とする。また、収容部22に伝熱部材5が配置された状態で、収容部22に収容された蓄熱体4が未だ一度も水和反応していない状態を「初期状態」とする。
【0071】
(放熱時、水和反応時)
初期状態における蓄熱体4の蓄熱材顆粒中の蓄熱材粒子は、酸化カルシウム製である。放熱時においては、図4図6に示す反応媒体ルートR1を介して、蓄熱体4の全体に水蒸気を供給する。水蒸気の供給により、蓄熱体4の化学蓄熱材(酸化カルシウム)は、以下の水和反応により、放熱し、水酸化カルシウムとなる。なお、Q1は放熱量である。
CaO+HO→Ca(OH)+Q1
水和反応により、蓄熱体4は膨張し、内側容器2の内面(収容部22を区画する面)、伝熱部材5の外面、直接支持部材7の外面に圧接する。すなわち、蓄熱体4は、これらの部材により拘束される。
【0072】
水和反応により発生した熱Q1は、蓄熱体4、直接支持部材7、伝熱部材5の壁部を介して、熱媒体流路52の熱媒体に移動する。熱Q1により加熱された熱媒体は、熱媒体ルートR2を介して、外部に流出する。
【0073】
(蓄熱時、脱水反応時)
蓄熱時においては、図4図6に示す熱媒体ルートR2に高温の熱媒体を流動させる。熱媒体の熱は、伝熱部材5の壁部、直接支持部材7を介して、蓄熱体4に移動する。当該熱により加熱された蓄熱体4の化学蓄熱材(水酸化カルシウム)は、以下の脱水反応により、蓄熱し、酸化カルシウムとなる。なお、Q2は蓄熱量である。
Ca(OH)+Q2→CaO+H
脱水反応により発生した水蒸気(HO)は、反応媒体ルートR1(図4図5に示す矢印方向と反対方向)を介して、化学蓄熱装置1の外部に排出される。
【0074】
[作用効果]
次に、本実施形態の化学蓄熱装置1の作用効果について説明する。図7図8に示すように、多孔質埋設体90aは、貫通孔201の孔内に埋設されている。多孔質埋設体90aは、貫通孔201を封止している。すなわち、貫通孔201により区画される反応媒体流路(水蒸気流路)は、多孔質埋設体90aの有する複数の細孔900aにより、構成されている。このため、収容部22から蓄熱体4が流出するのを抑制することができる。
【0075】
図5図6に示すように、貫通孔201は、収容部22の蓄熱体4に向かって開口している。このため、貫通孔201(細孔900a)を介して、蓄熱体4の外面に水蒸気を供給することができる。また、貫通孔201を介して、蓄熱体4の外面から水蒸気を回収することができる。
【0076】
図1に示すように、複数の貫通孔201は、側周壁部20の全体に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。このため、水蒸気を蓄熱体4の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体4の全体から水蒸気を回収しやすい。図7に示す貫通孔201の孔径は、初期状態における蓄熱体4の平均粒径よりも小さい。このため、貫通孔201自体により、平均粒径以上の蓄熱体4が収容部22から流出するのを、抑制することができる。加えて、多孔質埋設体90aの細孔900aにより、貫通孔201の孔径未満の蓄熱体4が収容部22から流出するのを、抑制することができる。
【0077】
図8に示すように、細孔900aは、貫通孔201よりも、流路断面積(詳しくは、流路(細孔900a、貫通孔201)の路長方向全体において、流路断面積が最も小さい部分の流路断面積)が小さい。このため、収容部22から蓄熱体4が流出するのを、より確実に抑制することができる。
【0078】
図8に示すように、細孔900aは、ジグザグ状を呈しており、路長方向途中に複数の曲部900bを有している。すなわち、細孔900aの路長方向形状は、直線以外の形状を呈している。このため、蓄熱体4が細孔900aを通過しにくい。したがって、収容部22から蓄熱体4が流出するのを抑制することができる。
【0079】
図1図2図4図6に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は外側容器3を備えている。このため、内側容器2の外面を利用して、外側流路32を区画することができる。すなわち、内側容器2の壁部(側周壁部20、端壁部21)を隔てて、内側に収容部22を、外側に外側流路32を区画することができる。このため、省スペース性に優れている。
【0080】
仮に、内側容器2の壁部(側周壁部20、端壁部21)自体が多孔質体である場合を想定する。この場合、壁部に複数の貫通孔201(多孔質埋設体90aは配置されていない)が配置されている場合と比較して、収容部22から蓄熱体4が流出しにくい。しかしながら、多孔質体にクラックが発生すると、当該クラックが壁部全体に伝播しやすい。
【0081】
他方、仮に、金属製の壁部に複数の貫通孔201が配置されている場合を想定する。この場合、壁部自体が多孔質体である場合と比較して、クラックが発生しにくい。しかしながら、壁部自体が多孔質体である場合と比較して、流路断面積が大きくなりやすい。このため、収容部22から蓄熱体4が流出しやすい。このように、多孔質体と貫通孔201とはトレードオフの関係にある。
【0082】
この点、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、図7図8に示すように、貫通孔201の孔内に、多孔質埋設体90aが埋設されている。このため、壁部に複数の貫通孔201が配置されている場合と比較して、収容部22から蓄熱体4が流出しにくい。
【0083】
また、図7に示すように、壁部自体が多孔質体である場合と比較して、クラックC(図7に模式的に示す)が壁部全体に伝播しにくい。すなわち、任意の貫通孔201と、当該貫通孔201の隣りの貫通孔201と、は互いに独立している。このため、任意の貫通孔201の孔内の多孔質埋設体90aにクラックCが発生しても、隣りの貫通孔201の孔内の多孔質埋設体90aに、当該クラックCが伝播しにくい。したがって、クラックCが壁部全体に伝播しにくい。
【0084】
このように、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、壁部自体が多孔質体である場合のデメリット(クラックCが伝播しやすい)と、壁部に複数の貫通孔201が配置されている場合のデメリット(収容部22から蓄熱体4が流出しやすい)と、を解消することができる。並びに、壁部自体が多孔質体である場合のメリット(収容部22から蓄熱体4が流出しにくい)と、壁部に複数の貫通孔201が配置されている場合のメリット(クラックCが伝播しにくい)と、を享受することができる。
【0085】
また、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、任意の貫通孔201の多孔質埋設体90aに不具合(クラックCの発生、貫通孔201からの脱落、細孔900aの閉塞など)が発生しても、当該不具合の影響が、他の貫通孔201の孔内の多孔質埋設体90aに、及びにくい。このため、有孔部材20D延いては内側容器2を長寿命化することができる。
【0086】
また、多孔質埋設体90aはセラミック製である。このため、多孔質埋設体90aの耐熱性を高くすることができる。また、図8に示す細孔900aの路長方向形状を複雑かつ冗長化することができる。
【0087】
図1図2図5図6に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、内側容器2に、直接、複数の貫通孔201を開設する必要がない。このため、内側容器2を簡単に製造することができる。
【0088】
壁部本体20C、有孔部材20Dは、共に金属製である。このため、壁部本体20Cと有孔部材20Dとの接合が容易である。また、有孔部材20Dは、パンチングメタルである。このため、有孔部材20Dとして金網を用いる場合と比較して、貫通孔201が目開きしにくい。
【0089】
図4図6に示すように、蓄熱体4の内部には、水蒸気が通過し蓄熱体4に向かって開口する反応媒体流路を内部に区画する流路部材(例えば、後述する図18に示す管状流路部材6、図19に示す中空板状流路部材6aなど)が、配置されていない。このため、収容部22内の蓄熱密度を大きくすることができる。また、化学蓄熱装置1の部品点数を削減し、構造を簡単にすることができる。また、収容部22に流路部材が配置されている場合と比較して、収容部22の形状を単純にすることができる。このため、蓄熱体4を、収容部22の隅々にまで充填することができる。したがって、収容部22にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。
【0090】
蓄熱体4は、水和反応により、伝熱部材5に向かって膨張可能である。このため、蓄熱体4と伝熱部材5とを密着させやすい。したがって、蓄熱体4と、熱媒体流路52の熱媒体と、の間の熱交換効率を向上させることができる。図4図6に示す収容部22の容積は、水和反応による膨張後の蓄熱体4の体積よりも、小さい。このため、収容部22にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。また、蓄熱体4の膨張時において、蓄熱体4を貫通孔201に押し付けることができる。
【0091】
図6に示すように、外側容器3は、円筒状または多角形筒状を呈しており、また外側容器3と内側容器2とは互いに相似形であるため、外側容器3内のデッドスペースを減少させることができる。また、外側容器3を円筒状にすると、外側容器3が多角形筒状である場合と比較して、局所的な応力集中を抑制することができるため、外側容器3の耐圧性を向上させることができる。したがって、外側容器3の壁部(側周壁部30、端壁部31)の厚さを減少することができる。
【0092】
内側容器2の配置数によらず、蓄熱体4の体積が一定の場合を想定する。図1に示すように、外側容器3に対する内側容器2の配置数は単一である。このため、内側容器2の配置数が複数の場合と比較して、内側容器2の壁部(側周壁部20、端壁部21)の体積を小さくすることができる。したがって、外側容器3内のデッドスペースを減少させることができる。
【0093】
外側容器3の内部に複数の内側容器2を配置し、各々の内側容器2の収容部22に伝熱部材5を配置する場合(内側容器2に対する伝熱部材5の配置数が単一の場合)を想定する。この場合、隣り合う内側容器2間にデッドスペースが発生してしまう。これに対して、図3図6に示すように、内側容器2に対する、伝熱部材5の配置数は、複数である。このため、上記デッドスペースに対応する部分に、蓄熱体4を充填することができる。したがって、収容部22におけるデッドスペースを減少させることができる。また、伝熱部材5の配置数が単一の場合と比較して、伝熱部材5の表面積を広くすることができる。したがって、熱媒体と蓄熱体4との間の熱交換効率を高くすることができる。
【0094】
図3図7に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は、蓄熱体4の内部に、直接支持部材7を備えている。直接支持部材7は、伝熱部材5を直接支持している。このため、伝熱部材5が変形しにくい。具体的には、伝熱部材5が、前端部(伝熱部材取付板81に固定されている部分)を支点に、片持ち梁状に下側に湾曲しにくい。したがって、蓄熱体4に対する伝熱部材5の位置が変化しにくく、蓄熱体4と伝熱部材5との間に隙間が発生しにくい。よって、放熱時において、蓄熱体4の全体から伝熱部材5に、熱を回収しやすい。また、蓄熱時において、伝熱部材5から蓄熱体4の全体に、熱を供給しやすい。このように、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、蓄放熱時における伝熱効率を高くすることができる。
【0095】
図1図6に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は、内側容器2と外側容器3との間に、間接支持部材87を備えている。間接支持部材87は、内側容器2を支持している。このため、内側容器2が変形しにくい。具体的には、内側容器2が、前端部(伝熱部材取付板81に固定されている部分)を支点に、片持ち梁状に下側に湾曲しにくい。したがって、図6に示す環状の外側流路32の流路面積がばらつく(上側部分が広くなり、下側部分が狭くなる)のを、抑制することができる。
【0096】
また、内側容器2を片持ち梁状に支持する場合、内側容器2の湾曲を抑制するために、内側容器2自体の構造を重厚化する必要がある。このため、熱ロスが増加する。これに対して、間接支持部材87を配置すると、内側容器2自体の構造を重厚化する必要がない。このため、熱ロスを削減することができる。
【0097】
図4図5に示すように、間接支持部材87は、内側容器2、直接支持部材7を介して、伝熱部材5を間接的に支持している。このため、蓄熱体4に対する伝熱部材5の位置が変化しにくい。よって、放熱時において、蓄熱体4の全体から伝熱部材5に、熱を回収しやすい。また、蓄熱時において、伝熱部材5から蓄熱体4の全体に、熱を供給しやすい。よって、蓄放熱時における伝熱効率を高くすることができる。また、間接支持部材87と直接支持部材7とは、側周壁部20を介して、径方向に並んでいる。このため、伝熱部材5の位置決め精度が高い。また、間接支持部材87と直接支持部材7とは、有孔部材20Dよりも強度の高い壁部本体20Cを介して、径方向に並んでいる。このため、内側容器2が変形しにくい。また、間接支持部材87と内側容器2と直接支持部材7との相対的な位置関係が変化しにくい。
【0098】
内側容器2は、蓄放熱に伴う蓄熱体4の体積変化(膨張、収縮)、蓄熱体4の自重、内側容器2の自重などにより、経時的に変形しやすい。内側容器2が変形すると、蓄熱体4に対する伝熱部材5の位置が変化してしまう。この点、内側容器2の壁部本体20Cは、間接支持部材87により補強、支持されている。このため、内側容器2が変形しにくい。したがって、蓄熱体4に対する伝熱部材5の位置が変化しにくい。よって、蓄放熱時における反応効率を高くすることができる。
【0099】
図3に示すように、内側容器2の内部(収容部22)には、複数の伝熱部材5、複数の直接支持部材7が、入り組んで配置されている。このため、収容部22の形状は複雑である。この点、初期状態における蓄熱体4は、蓄熱材顆粒の集合体(粉状体)である。このため、初期状態から初回の放熱時(水和反応時)において蓄熱体4が膨張する際、蓄熱材顆粒は、適度に解砕しながら(例えば、蓄熱材顆粒は、塊状体(複数の蓄熱材粒子の結合体)や蓄熱材粒子などに、崩壊しながら)、収容部22の形状に沿って、収容部22の隅々にまで行き渡ることができる。したがって、収容部22の形状が複雑であるにもかかわらず、収容部22にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。
【0100】
また、蓄熱体4が適度に解砕しながら膨張するため、蓄熱体4が成形体(蓄熱材粒子や蓄熱材顆粒のプレス成形体を焼成したもの。本開示の「蓄熱体」の概念には、当該成形体も含まれる。)である場合と比較して、膨張圧を小さくすることができる。したがって、内側容器2や収容部22に配置されている各部材(伝熱部材5、直接支持部材7)に過度な耐圧構造(例えば、壁部の壁厚増加、補強、材料変更など)を付与する必要がない。
【0101】
<第二実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、外側容器の内部に、複数の内側容器が配置されている点である。また、貫通孔が、側周壁部に直接開設されている点である。また、直接支持部材が配置されていない点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0102】
図9に、本実施形態の化学蓄熱装置の斜視図を示す。図10に、同化学蓄熱装置の分解斜視図を示す。図11に、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。図12に、同化学蓄熱装置の複数の内側容器、伝熱部材、複数の間接支持部材の分解斜視図を示す。図13に、同化学蓄熱装置の前後方向断面図を示す。図14に、図13のXIV-XIV方向断面図を示す。図15に、図14の枠XV内の拡大図を示す。なお、図13は、図14のXIII-XIII方向断面に対応する。
【0103】
これらの図において、図1図9に対応)、図2図10に対応)、図3図11に対応)、図4図13に対応)、図6図14に対応)と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図9においては、外側容器3の内部の内側容器2、伝熱部材5、伝熱部材取付板81、間接支持部材87を点線で示す。図11においては、伝熱部材取付板81、複数の間接支持部材87を透過して、内側容器2を示す。また、蓄熱体4を省略する。
【0104】
[化学蓄熱装置の構成]
まず、本実施形態の化学蓄熱装置1の構成について説明する。図9図15に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1は、複数の内側容器2と、外側容器3と、蓄熱体4と、伝熱部材5と、反応媒体給排管80と、伝熱部材取付板81と、熱媒体給排筒82と、隔壁83と、熱媒体供給管84と、熱媒体排出管85と、端板86と、複数の間接支持部材87と、二つの脚部88と、を備えている。
【0105】
(内側容器2)
図9図15に示すように、内側容器2は、金属製であって、前後方向(水平方向)に延在する有底円筒状を呈している。すなわち、内側容器2の筒軸A1(図14図15参照)は、前後方向に延在している。複数の内側容器2は、前後方向に所定間隔ずつ離間して、後述する伝熱部材5の直管部50に環装されている。内側容器2は、側周壁部20と、前後二つの端壁部21と、収容部22と、を備えている。側周壁部20は、前後方向に延在する円筒状を呈している。端壁部21は、上下左右方向(垂直方向)に拡がる円板状を呈している。前側の端壁部21は側周壁部20の前端開口を、後側の端壁部21は側周壁部20の後端開口を、各々封止している。端壁部21の径方向中央には、後述する伝熱部材5が挿通されている。内側容器2の壁部(側周壁部20、前後二つの端壁部21)の内部には、収容部22が区画されている。図9図11図14図15に示すように、側周壁部20は、複数の貫通孔201を備えている。複数の貫通孔201は、側周壁部20の全体に亘って、配置されている。図15に示すように、貫通孔201の孔内には、多孔質埋設体90aが埋設されている。
【0106】
(外側容器3)
図9図10図13図14に示すように、外側容器3は、全ての内側容器2を、外側(筒軸A2を中心とする径方向外側および後側(軸方向一方))から覆っている。外側容器3は、側周壁部30と、端壁部31と、を備えている。側周壁部30は、前後方向に延在する円筒状を呈している。外側容器3は、外側流路32を区画している。具体的には、外側流路32は、外側容器3の内面と、複数の内側容器2の外面と、の間に区画されている。
【0107】
(伝熱部材5)
図9図15に示すように、伝熱部材5は、前端部(後述する伝熱部材取付板81の取付孔810に固定されている部分)を除いて、外側容器3に収容されている。伝熱部材5は、金属製であって、U字の円管状を呈している。すなわち、伝熱部材5は、二つの直管部50と、曲管部51と、を備えている。前述したように、直管部50には、複数の内側容器2が環装されている。
【0108】
(間接支持部材87)
図9図15に示すように、複数の間接支持部材87は、内側容器2の側周壁部20と、外側容器3の側周壁部30と、の間に配置されている。間接支持部材87により、側周壁部20と側周壁部30の間に外側流路32が確保されている。複数の間接支持部材87は、前後方向に、所定間隔ずつ離間して配置されている。間接支持部材87は、金属製であって、上下左右方向(垂直方向)に延在する円板状を呈している。図12図14に示すように、間接支持部材87は、左右二つの開口部870と、上下二つの支持孔871と、を備えている。二つの開口部870、二つの支持孔871は、各々、間接支持部材87を前後方向に貫通している。開口部870を介して、外側流路32の各部は、前後方向に互いに連通している。支持孔871には、内側容器2の側周壁部20が挿通されている。支持孔871つまり間接支持部材87は、側周壁部20を支持している。また、間接支持部材87は、側周壁部20を位置決めしている。また、間接支持部材87は、内側容器2を介して、伝熱部材5を間接的に支持している。また、間接支持部材87は、内側容器2を介して、伝熱部材5を間接的に位置決めしている。
【0109】
(反応媒体ルートR1、熱媒体ルートR2)
図13図14に示すように、化学蓄熱装置1の外部と、収容部22の蓄熱体4と、の間には、外部から蓄熱体4に向かって、反応媒体給排管80、外側流路32、貫通孔201を経由する、水蒸気用の反応媒体ルートR1が設定されている。
【0110】
熱媒体供給管84と熱媒体排出管85との間には、熱媒体供給管84から熱媒体排出管85に向かって、供給室830、熱媒体流路52、排出室831を経由する、熱媒体用の熱媒体ルートR2が設定されている。
【0111】
[作用効果]
次に、本実施形態の化学蓄熱装置1の作用効果について説明する。本実施形態の化学蓄熱装置1と第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。図15に示すように、複数の貫通孔201は、側周壁部20に直接開設されている。このため、内側容器2の部品点数が少なくなる。また、内側容器2の強度を確保しやすい。
【0112】
図9に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、単一の外側容器3に対して、複数の内側容器2が配置されている。このため、内側容器2の配置数が単一の場合と比較して、複数の内側容器2に蓄熱体4を分配することができる。したがって、蓄熱体4に対する水蒸気の拡散性を向上させることができる。
【0113】
図15に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置1によると、単一の内側容器2に対して、単一の伝熱部材5が配置されている。このため、伝熱部材5の配置数が複数の場合と比較して、蓄熱体4に対する水蒸気の拡散性が伝熱部材5により阻害されにくい。したがって、水蒸気の拡散性を向上させることができる。
【0114】
図13図14に示すように、間接支持部材87は、内側容器2、蓄熱体4を介して、伝熱部材5を間接的に支持している。言い換えると、間接支持部材87は、内側容器2を介して、蓄熱体4および伝熱部材5を間接的に支持している。このため、蓄熱体4に対する伝熱部材5の位置が変化しにくい。よって、蓄熱体4の全体から伝熱部材5に、熱を回収しやすい。また、伝熱部材5から蓄熱体4の全体に、熱を供給しやすい。
【0115】
<第三実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、伝熱部材が、蓄熱体を、前後方向に二回通過している点である。また、貫通孔が、側周壁部に直接開設されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0116】
図16に、本実施形態の化学蓄熱装置の前後方向(軸方向)断面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。また、内側容器2を部分断面図で示す。側周壁部20には、全体に亘って、複数の貫通孔201が配置されている。貫通孔201の孔内には、多孔質埋設体90aが埋設されている。
【0117】
伝熱部材5の直管部50は、内側容器2の後端部から、後側(外側流路32)に突出している。このため、伝熱部材5の一対の直管部50は、各々、前後方向に蓄熱体4を貫通している。すなわち、伝熱部材5は、合計二回、蓄熱体4を通過している。
【0118】
本実施形態の化学蓄熱装置1と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。複数の貫通孔201は、側周壁部20に直接開設されている。このため、内側容器2の部品点数が少なくなる。また、内側容器2の強度を確保しやすい。本実施形態の化学蓄熱装置1のように、任意の単一の伝熱部材5が、合計二回、蓄熱体4を通過してもよい。すなわち、蓄熱体4に対する伝熱部材5のパス数を、複数回に設定してもよい。この場合、伝熱部材5のパス数が一回の場合と比較して、熱媒体流路52が湾曲しやすい。また、蓄熱体4の内部における熱媒体流路52の流路長が長くなりやすい。このため、本実施形態の化学蓄熱装置1は、長時間に亘って安定した出力が要求される用途に適している。
【0119】
<第四実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、伝熱部材が、U字管状ではなく、直管状を呈している点である。また、反応媒体給排管の代わりに、反応媒体供給管および反応媒体排出管が配置されている点である。また、熱媒体給排筒の代わりに、熱媒体供給筒および熱媒体排出筒が配置されている点である。また、貫通孔が、側周壁部に直接開設されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0120】
図17に、本実施形態の化学蓄熱装置の前後方向(軸方向)断面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。また、内側容器2を部分断面図で示す。側周壁部20には、全体に亘って、複数の貫通孔201が配置されている。貫通孔201の孔内には、多孔質埋設体90aが埋設されている。
【0121】
外側容器3は、金属製であって、前後方向に延在する円筒状を呈している。外側容器3は、前後方向に開口している。外側容器3の前後両端部の開口は、各々、伝熱部材取付板81a、81bにより、封止されている。
【0122】
側周壁部30の前端部の下側部分には、第一の取付孔300が開設されている。取付孔300には、短軸円管状の反応媒体供給管80aが取り付けられている。反応媒体供給管80aを介して、外側容器3の外部から外側流路32に、水蒸気が供給される。
【0123】
側周壁部30の後端部の上側部分には、第二の取付孔300が開設されている。取付孔300には、短軸円管状の反応媒体排出管80bが取り付けられている。反応媒体排出管80bを介して、外側流路32から外側容器3の外部に、水蒸気が排出される。
【0124】
熱媒体排出筒82aは、金属製であって、前後方向に延在する短軸円筒状を呈している。熱媒体排出筒82aは、前側の伝熱部材取付板81aの前側に配置されている。伝熱部材取付板81aは、熱媒体排出筒82aの後端開口を封止している。端板86aは、熱媒体排出筒82aの前端開口を封止している。
【0125】
熱媒体排出筒82aの内部には、排出室831が区画されている。熱媒体排出筒82aの上側部分には、取付孔820aが開設されている。取付孔820aには、熱媒体排出管85が取り付けられている。熱媒体排出管85を介して、排出室831から熱媒体排出筒82aの外部に、熱媒体が排出される。
【0126】
熱媒体供給筒82bは、金属製であって、前後方向に延在する短軸円筒状を呈している。熱媒体供給筒82bは、後側の伝熱部材取付板81bの後側に配置されている。伝熱部材取付板81bは、熱媒体供給筒82bの前端開口を封止している。端板86bは、熱媒体供給筒82bの後端開口を封止している。
【0127】
熱媒体供給筒82bの内部には、供給室830が区画されている。熱媒体供給筒82bの下側部分には、取付孔820bが開設されている。取付孔820bには、熱媒体供給管84が取り付けられている。熱媒体供給管84を介して、熱媒体供給筒82bの外部から供給室830に、熱媒体が供給される。
【0128】
伝熱部材5は、直管状を呈している。伝熱部材5の前端(下流端)は、前側の伝熱部材取付板81aに取り付けられている。伝熱部材5の後端(上流端)は、後側の伝熱部材取付板81bに取り付けられている。伝熱部材5は、蓄熱体4を経由して、後側の供給室830と、前側の排出室831と、を連通している。伝熱部材5は、前後方向に蓄熱体4を一回だけ貫通している。
【0129】
本実施形態の化学蓄熱装置1と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。複数の貫通孔201は、側周壁部20に直接開設されている。このため、内側容器2の部品点数が少なくなる。また、内側容器2の強度を確保しやすい。本実施形態の化学蓄熱装置1のように、任意の単一の伝熱部材5が、一回だけ蓄熱体4を通過してもよい。すなわち、蓄熱体4に対する伝熱部材5のパス数を、一回に設定してもよい。この場合、伝熱部材5のパス数が複数回の場合と比較して、熱媒体流路52が湾曲しにくい。このため、熱媒体の圧力損失を低減することができる。また、熱媒体が相変化する場合(一例として、熱媒体が水(液体)から水蒸気(気体)に相変化する場合)、熱媒体の逆流を抑制することができる。
【0130】
本実施形態の化学蓄熱装置1のように、反応媒体供給管80a、外側流路32、複数の貫通孔201、収容部22の蓄熱体4、複数の貫通孔201、外側流路32、反応媒体排出管80bを経由する、水蒸気用の反応媒体ルートR1を設定してもよい。
【0131】
放熱時(水和反応時)において、水蒸気は、反応媒体供給管80a、外側流路32、複数の貫通孔201を介して、外部から蓄熱体4に供給される。蓄熱時(脱水反応時)において、水蒸気は、複数の貫通孔201、外側流路32、反応媒体排出管80bを介して、蓄熱体4から外部に排出される。このように、一方通行式の反応媒体ルートR1を設定してもよい。
【0132】
本実施形態の化学蓄熱装置1のように、熱媒体の供給系(熱媒体供給筒82b、供給室830、熱媒体供給管84)と排出系(熱媒体排出筒82a、排出室831、熱媒体排出管85)とを、別々に配置してもよい。
【0133】
<第五実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、側周壁部に貫通孔が配置されていない点である。また、管状流路部材が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0134】
図18に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向断面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。図18に示すように、側周壁部20には、貫通孔201(図6参照)が開設されていない。側周壁部20の上側部分、下側部分には、複数の取付孔200が開設されている。上側部分、下側部分の各々において、複数の取付孔200は、二列(延在方向は前後方向、並置方向は左右方向)に並んでいる。
【0135】
管状流路部材6は、金属製であって、上下方向に延在する直管状を呈している。任意の単一の管状流路部材6は、内側容器2の一対の取付孔200(上下方向に対向する一対の取付孔200)に取り付けられている。
【0136】
管状流路部材6は、上下両端部(取付孔200に固定されている部分)を除いて、収容部22に収容されている。管状流路部材6は、蓄熱体4の内部に配置されている。管状流路部材6の外面は、蓄熱体4に当接している。
【0137】
管状流路部材6は、内部に内側流路60を区画している。内側流路60は、二つの外側開口部600と、複数の内側開口部601と、を備えている。二つの外側開口部600は、管状流路部材6の上下両端部に開設されている。すなわち、二つの外側開口部600は、内側容器2の取付孔200を介して、内側容器2の外部(外側流路32)に開口している。複数の内側開口部601は、管状流路部材6の壁部(収容部22に配置されている部分)に開設されている。内側開口部601は、蓄熱体4に向かって開口している。内側開口部601の大きさ(孔径)は、水蒸気が通過可能であって、蓄熱体4の蓄熱材粒子が通過しにくい大きさに設定されている。内側開口部601の孔内には、多孔質埋設体90aが埋設されている。
【0138】
複数の内側開口部601は、管状流路部材6の壁部の全体に亘って分布している。また、複数の内側開口部601は、蓄熱体4の上下方向全長に亘って分布している。水蒸気は、内側流路60(多孔質埋設体90a)を通過可能である。水蒸気は、内側開口部601を介して、蓄熱体4に供給される。並びに、水蒸気は、内側開口部601を介して、蓄熱体4から排出される。収容部22において、複数の管状流路部材6は、前後左右方向に並んでいる。複数の管状流路部材6は、収容部22(つまり蓄熱体4)の全体に配置されている。
【0139】
本実施形態の化学蓄熱装置1と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置1は管状流路部材6を備えている。管状流路部材6は、直管状を呈している。このため、内側流路60の流路抵抗が小さい。当該内側流路60を介して、水蒸気を蓄熱体4の内部に供給することができる。また、蓄熱体4の内部から水蒸気を回収することができる。管状流路部材6は上下方向に延在している。このため、管状流路部材6と伝熱部材5の直管部50とを、互いに直交するように配置することができる。
【0140】
内側流路60は、複数の内側開口部601を備えている。すなわち、内側流路60は、蓄熱体4に対して複数の箇所で開口している。このため、水蒸気を蓄熱体4の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体4の全体から水蒸気を回収しやすい。
【0141】
また、複数の内側開口部601は、管状流路部材6の壁部(収容部22に配置されている部分)の全体に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。また、複数の内側開口部601は、蓄熱体4の上下方向全長に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。このため、水蒸気を蓄熱体4の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体4の全体から水蒸気を回収しやすい。
【0142】
また、内側開口部601には、多孔質埋設体90aが埋設されている。このため、収容部22から内側流路60に蓄熱体4が流入するのを、抑制することができる。また、収容部22に対して水蒸気を流通(供給、排出)させることができる。
【0143】
本実施形態の化学蓄熱装置1のように、内側開口部601に多孔質埋設体90aを配置してもよい。なお、外側開口部600に、多孔質埋設体90aを配置してもよい。また、内側流路60における、外側開口部600と内側開口部601との間の区間に、多孔質埋設体90aを配置してもよい。このように、内側流路60における多孔質埋設体90aの配置場所は特に限定しない。多孔質埋設体90aの細孔900a(図8参照)が、内側流路60の少なくとも一部を構成すればよい。
【0144】
<第六実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第五実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、管状流路部材の代わりに、中空板状流路部材が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0145】
図19に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向断面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。図19に示すように、側周壁部20には、貫通孔201(図6参照)が開設されていない。側周壁部20は、複数のスリット202を備えている。スリット202は、側周壁部20を左右方向に貫通している。複数のスリット202は、側周壁部20の左側部分と右側部分とに配置されている。左側部分、右側部分の各々において、複数のスリット202は、二列(延在方向は前後方向、並置方向は上下方向)に並んでいる。複数のスリット202は、部屋220(前出の図4図6に示すように、前後方向に隣り合う一対の直接支持部材7の間の空間)に対応して、配置されている。図19に示すように、任意の単一の部屋220には、上下二段に、左右一対のスリット202が配置されている。
【0146】
中空板状流路部材6aは、金属製であって、前後左右方向(水平方向)に延在する平板状を呈している。中空板状流路部材6aは、収容部22に配置されている。中空板状流路部材6aは、左右一対のスリット202に取り付けられている。任意の単一の部屋220には、上下二段に、二つの中空板状流路部材6aが配置されている。上下二段の中空板状流路部材6aは、部屋220を上下三つの小部屋220aに区画している。
【0147】
中空板状流路部材6aは、内部に内側流路60を区画している。内側流路60は、二つの外側開口部600と、複数の内側開口部601と、を備えている。二つの外側開口部600は、中空板状流路部材6aの左右両端部に開設されている。すなわち、二つの外側開口部600は、内側容器2の左右一対のスリット202を介して、内側容器2の外部(外側流路32)に開口している。複数の内側開口部601は、中空板状流路部材6aの壁部(収容部22に配置されている部分)に開設されている。内側開口部601は、蓄熱体4に向かって開口している。内側開口部601の大きさ(孔径)は、水蒸気が通過可能であって、蓄熱体4の蓄熱材粒子が通過しにくい大きさに設定されている。内側開口部601の孔内には、多孔質埋設体90aが埋設されている。
【0148】
複数の内側開口部601は、中空板状流路部材6aの壁部の全体に亘って分布している。また、複数の内側開口部601は、部屋220の前後方向全長に亘って分布している。水蒸気は、内側流路60を通過可能である。水蒸気は、内側開口部601(多孔質埋設体90a)を介して、蓄熱体4に供給される。並びに、水蒸気は、内側開口部601を介して、蓄熱体4から排出される。
【0149】
本実施形態の化学蓄熱装置1と、第五実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置1は中空板状流路部材6aを備えている。このため、内側流路60を介して、水蒸気を蓄熱体4の内部に供給することができる。また、蓄熱体4の内部から水蒸気を回収することができる。
【0150】
内側流路60は、蓄熱体4に対して複数の箇所で開口している。このため、水蒸気を蓄熱体4の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体4の全体から水蒸気を回収しやすい。また、複数の内側開口部601は、中空板状流路部材6aの壁部(収容部22に配置されている部分)の全体に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。また、複数の内側開口部601は、蓄熱体4の前後方向全長に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。このため、水蒸気を蓄熱体4の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体4の全体から水蒸気を回収しやすい。
【0151】
蓄熱体4は、蓄放熱に伴う体積変化(膨張、収縮)により、その一部が割れて微粉化する場合がある。蓄熱体4の微粉は、収容部22を自重により流下しやすい。このため、収容部22における蓄熱体4の密度は、上側部分が疎に、下側部分が密に、なりやすい。
【0152】
この点、中空板状流路部材6aは、任意の単一の部屋220を、複数の小部屋220aに区画している。このため、上側の小部屋220aから下側の小部屋220aに、蓄熱体4が流下しにくい。したがって、収容部22における蓄熱体4の密度の偏在を、抑制することができる。
【0153】
また、内側開口部601には、多孔質埋設体90aが埋設されている。このため、収容部22から内側流路60に蓄熱体4が流入するのを、抑制することができる。また、収容部22に対して水蒸気を流通(供給、排出)させることができる。
【0154】
<第七実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、外側容器、間接支持部材、伝熱部材、直接支持部材が配置されていない点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0155】
図20に、本実施形態の化学蓄熱装置の上下方向断面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。図20に示すように、化学蓄熱装置1は、反応器2Aと、蓄熱体4と、多孔質埋設体90aと、を備えている。反応器2Aは、金属製であって、直方体箱状を呈している。反応器2Aは、収容部22と、容器本体25と、透過壁26と、を備えている。透過壁26は、本開示の「流路部」の概念に含まれる。
【0156】
容器本体25は、上側に開口する有底角筒状を呈している。容器本体25の下壁は伝熱壁250である。伝熱壁250は、本開示の「伝熱部」の概念に含まれる。伝熱壁250を介して、反応器2Aの外部と蓄熱体4との間の伝熱が確保されている。透過壁26は、容器本体25の開口を封止している。透過壁26には、多数の貫通孔201が全面的に開設されている。貫通孔201は、本開示の「反応媒体流路」の概念に含まれる。貫通孔201は、透過壁26を上下方向に貫通している。
【0157】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。貫通孔201には、多孔質埋設体90aが埋設されている。このため、収容部22から反応器2Aの外部に蓄熱体4が流出するのを、抑制することができる。また、収容部22に対して水蒸気を流通(供給、排出)させることができる。本実施形態の化学蓄熱装置1のように、図6に示す外側容器3、間接支持部材87、伝熱部材5、直接支持部材7が配置されていなくてもよい。
【0158】
<第八実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、貫通孔に対して、多孔質埋設体に加えて、多孔質シートが配置されている点である。ここでは、相違点について説明する。図21に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図を示す。なお、図7と対応する部位については同じ符号で示す。また、図21に示す部分は、図6図7の枠VIIに対応している。図21に示すように、有孔部材20Dの外周面に、多孔質シート90bを配置してもよい。すなわち、多孔質シート90bにより、貫通孔201を側周壁部20の外側から覆ってもよい。多孔質シート90bは、エッチングフィルタである。すなわち、多孔質シート90bには、多数の細孔(図略)が開設されている。
【0159】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置によると、貫通孔201には、多孔質埋設体90aが埋設されている。並びに、貫通孔201は、外側から多孔質シート90bにより覆われている。このため、貫通孔201から外側流路32に蓄熱体4が流出するのを、抑制することができる。また、収容部22に対して水蒸気を流通(供給、排出)させることができる。
【0160】
また、収容部22の蓄熱体4のうち、粒径の大きいものは、貫通孔201を通過しにくい。このため、粒径の大きい蓄熱体4が多孔質シート90bに干渉するのを、抑制することができる。また、多孔質シート90bはエッチングフィルタである。このため、細孔が目開きしにくい。
【0161】
<第九実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、有孔部材の内周面に多孔質シートが配置されている点である。ここでは、相違点について説明する。図22に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図を示す。なお、図21と対応する部位については同じ符号で示す。図22に示すように、有孔部材20Dの内周面に、多孔質シート90bを配置してもよい。すなわち、多孔質シート90bにより、貫通孔201を側周壁部20の内側から覆ってもよい。
【0162】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第八実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置によると、貫通孔201には、多孔質埋設体90aが埋設されている。並びに、貫通孔201は、内側から多孔質シート90bにより覆われている。このため、収容部22から貫通孔201に蓄熱体4が流出するのを、抑制することができる。また、収容部22に対して水蒸気を流通(供給、排出)させることができる。
【0163】
また、蓄熱体4が膨張する際、多孔質シート90bには、収容部22の内側から外側に向かって、膨張圧が加わる。この点、多孔質シート90bは、側周壁部20(有孔部材20D)により、外側(膨張圧が加わる方向の反対側)から支持されている。このため、膨張圧が加わっても、多孔質シート90bが変形するのを、抑制することができる。また、多孔質シート90bが変形しにくいため、多孔質シート90bの外側の多孔質埋設体90aを、膨張圧から保護することができる。
【0164】
<第十実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第八、第九実施形態の化学蓄熱装置と、の相違点は、有孔部材の内周面および外周面に多孔質シートが配置されている点である。ここでは、相違点について説明する。図23に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図を示す。なお、図21と対応する部位については同じ符号で示す。図23に示すように、有孔部材20Dの内周面および外周面に、各々、多孔質シート90bを配置してもよい。すなわち、多孔質シート90bにより、多孔質埋設体90aが充填された貫通孔201を、側周壁部20の内外両側から覆ってもよい。本実施形態の化学蓄熱装置は、第八、第九実施形態の化学蓄熱装置の効果を併有している。
【0165】
<第十一実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、多孔質埋設体が配置されていない点である。ここでは、相違点について説明する。図24に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図を示す。なお、図21と対応する部位については同じ符号で示す。図24に示すように、貫通孔201の孔内には、多孔質埋設体90a(図21参照)が配置されていない。本実施形態の化学蓄熱装置と、第八実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0166】
<第十二実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と第九実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、多孔質埋設体が配置されていない点である。ここでは、相違点について説明する。図25に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図を示す。なお、図22と対応する部位については同じ符号で示す。図25に示すように、貫通孔201の孔内には、多孔質埋設体90a(図22参照)が配置されていない。本実施形態の化学蓄熱装置と、第九実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0167】
<第十三実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と第十実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、多孔質埋設体が配置されていない点である。ここでは、相違点について説明する。図26に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図を示す。なお、図23と対応する部位については同じ符号で示す。図26に示すように、貫通孔201の孔内には、多孔質埋設体90a(図23参照)が配置されていない。本実施形態の化学蓄熱装置と、第十実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0168】
上述の第十一、第十二、第十三実施形態の化学蓄熱装置によると、複数の貫通孔201の各々に、逐一、多孔質埋設体を配置する必要がない。このため、多孔質体(多孔質埋設体、多孔質フィルタ)の設置作業が簡単になる。また、化学蓄熱装置の部品点数を削減することができる。
【0169】
<第十四実施形態>
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、有孔部材を補強する補強部材が配置されている点である。ここでは、相違点について説明する。図27に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0170】
図27に示すように、収容部22(内側容器2の内部空間)には、複数の補強部材91が配置されている。複数の補強部材91は、前出の図4に示す部屋220に対応して配置されている。補強部材91は、金属製であって、籠状を呈している。具体的には、補強部材91は、前後一対の円環部910と、複数の梁部911と、を備えている。円環部910は、上下左右方向(垂直方向)に延在している。梁部911は、前後方向に延在している。複数の梁部911は、前後一対の円環部910同士を連結している。任意の一つの補強部材91は、上下一対の有孔部材20Dの間に配置されている。補強部材91は、壁部本体20Cの内周面および有孔部材20Dの内周面に接合されている。補強部材は、有孔部材20Dを補強している。
【0171】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。有孔部材20Dは、補強部材91により補強されている。このため、蓄熱体4の膨張圧、蓄熱体4の自重、有孔部材20Dの自重などによる有孔部材20Dの変形を、抑制することができる。
【0172】
<その他>
以上、本開示の化学蓄熱装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0173】
図28(A)~図28(D)に、その他の実施形態(その1~その4)の化学蓄熱装置の軸直方向断面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。側周壁部20の有孔部材20Dには、全体に亘って、複数の貫通孔201(前出の図1図5図7参照)が配置されている。
【0174】
図28(A)に示すように、内側容器2の側周壁部20、外側容器3の側周壁部30は、各々、四角形筒状であってもよい。図28(B)に示すように、内側容器2の側周壁部20、外側容器3の側周壁部30は、各々、八角形筒状であってもよい。図28(C)に示すように、内側容器2の側周壁部20は、楕円筒状であってもよい。外側容器3の側周壁部30は、四角形筒状であってもよい。すなわち、側周壁部20の形状と側周壁部30の形状とは、一致(相似)していても、異なっていてもよい。図28(D)に示すように、内側容器2の側周壁部20、外側容器3の側周壁部30は、各々、角部に面取部を有する、四角形筒状であってもよい。
【0175】
図28(A)~図28(D)に示すように、側周壁部20、30の形状は特に限定しない。側周壁部20、30は、円形(真円形、楕円形)、多角形(三角形、四角形、六角形、八角形など)などであってもよい。収容部22における伝熱部材5の配置数は、単一(図28(D))であっても、複数(図28(A)~図28(C))であってもよい。
【0176】
[初期状態について]
前述のとおり、初期状態とは、収容部22に伝熱部材5が配置された状態で、収容部22に収容された蓄熱体4が未だ一度も水和反応していない状態をいう。収容部22に伝熱部材5が配置される前の状態における、蓄熱体4の水和反応履歴は特に限定しない。収容部22に伝熱部材5が配置される前に、蓄熱体4を水和反応させてもよい。
【0177】
[構造]
上述の実施形態の化学蓄熱装置1のうち、任意の実施形態の化学蓄熱装置1の部材は、他の実施形態の化学蓄熱装置1に、組み込むことができる。例えば、図1に示す側周壁部20(壁部本体20C、有孔部材20D)を、図9図16図17に示すいずれかの内側容器2に組み込んでもよい。反対に、図11に示す側周壁部20(貫通孔201が直接開設された側周壁部20)を、図1図21図26図28(A)~図28(D)に示すいずれかの内側容器2に組み込んでもよい。勿論、壁部本体20Cに貫通孔201と取付孔200Cとを開設し、取付孔200Cに有孔部材20Dを配置してもよい。
【0178】
(内側容器2、外側容器3、多孔質体、補強部材91)
内側容器2の形状は特に限定しない。直筒状(I字筒状)、曲筒状(C字筒状、S字筒状など)、直筒部と曲筒部とを適宜組み合わせた形状(J字筒状、U字筒状など)であってもよい。円(真円形、楕円形など)筒状、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形など)筒状であってもよい。内側容器2が直筒状の場合、内側容器2の軸方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向(重力方向)、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。内側容器2に関する上述の事項は、外側容器3についても同様である。
【0179】
側周壁部20に対する貫通孔201の形成方法は特に限定しない。エッチング、パンチングなどにより形成してもよい。有孔部材20Dの種類は特に限定しない。エッチングフィルタ、電鋳フィルタ、金網(例えば、焼結金網)、パンチングメタル、焼結金属製多孔質体、金属製不織布などであってもよい。
【0180】
取付孔200Cに対する有孔部材20Dの配置方法は特に限定しない。取付孔200Cの孔内に有孔部材20Dを嵌め込んでもよい。壁部本体20Cの外周面および内周面のうち少なくとも一方に有孔部材20Dを配置し、取付孔200Cを孔外から覆ってもよい。
【0181】
取付孔200Cに対する有孔部材20Dの配置数は特に限定しない。例えば、複数の取付孔200Cを単一の有孔部材20Dで覆ってもよい。単一の取付孔200Cを複数の有孔部材20Dで覆ってもよい。壁部本体20Cにおける取付孔200Cの配置数、位置は特に限定しない。壁部本体20Cの全体に複数の取付孔200Cが配置されていてもよい。壁部本体20Cの一部だけに、複数の取付孔200Cが配置されていてもよい。有孔部材20Dにおける貫通孔201の配置数、位置は特に限定しない。有孔部材20Dの全体に複数の貫通孔201が配置されていてもよい。有孔部材20Dの一部だけに、複数の貫通孔201が配置されていてもよい。
【0182】
貫通孔201における多孔質体(多孔質埋設体90a、多孔質シート90b)の配置数、位置は特に限定しない。全ての貫通孔201に多孔質埋設体90aが埋設されていてもよい。また、一部の貫通孔201に多孔質埋設体90aが埋設されていてもよい。複数の貫通孔201を、単一の多孔質シート90bで覆ってもよい。複数の貫通孔201を、個別に多孔質シート90bで覆ってもよい。複数の貫通孔201のうち、一部の貫通孔201に多孔質埋設体90aを、他部の貫通孔201に多孔質シート90bを、各々配置してもよい。
【0183】
貫通孔201に対する多孔質埋設体90aの配置方法は限定しない。有孔部材20Dの外周面および内周面のうち少なくとも一方から、液状の多孔質体を塗布することにより、貫通孔201の孔内に多孔質埋設体90aを配置してもよい。複数の貫通孔201に、個別に、固体の多孔質埋設体90aを挿入(圧入を含む)してもよい。貫通孔201の孔軸方向全長に亘って、多孔質埋設体90aが充填されていてもよい。貫通孔201の孔軸方向全長のうち一部にだけ、多孔質埋設体90aが充填されていてもよい。すなわち、多孔質埋設体90aは、貫通孔201の少なくとも一部に配置されていればよい。
【0184】
貫通孔201の形状等(路長方向形状、断面方向(路長方向に対して直交する方向)形状、サイズなど)は特に限定しない。細孔900aの形状等についても同様である。複数の細孔900a同士が互いに交絡していてもよい。すなわち、細孔900aの路長方向途中に、分岐部や合流部があってもよい。
【0185】
図27に示す補強部材91の形状、配置数、位置は特に限定しない。補強部材91は、円環部910のみであってもよい。また、補強部材91は、梁部911だけであってもよい。例えば、壁部本体20Cの内周面に、取付孔200Cの孔内に露出するように、格子状に複数の梁部911を配置してもよい。壁部本体20Cの外周面に補強部材91を配置してもよい。単一の有孔部材20Dを単一の補強部材91で補強してもよい。単一の有孔部材20Dを複数の補強部材91で協働して補強してもよい。複数の有孔部材20Dを単一(共用)の補強部材91で補強してもよい。
【0186】
外側容器3の形状と内側容器2の形状とは、同一であっても異なっていてもよい。例えば、外側容器3が多角形筒状、内側容器2が円筒状であってもよい。あるいは、その逆であってもよい。また、外側容器3と内側容器2とは、同軸上に配置されていても、配置されていなくてもよい。すなわち、外側容器3の筒軸A2と内側容器の筒軸A1とは、一致していても異なっていてもよい。互いの筒軸A1、A2が異なる場合、二つの筒軸A1、A2は、平行に配置されていても、互いに交差する方向に配置されていてもよい。外側容器3に対する内側容器2の配置数は特に限定しない。単一の外側容器3に対して、単一または複数の内側容器2を配置してもよい。
【0187】
(伝熱部材5、流路部材)
伝熱部材5の形状は特に限定しない。伝熱部材5が管状である場合、直管状(I字管状)、曲管状(C字管状、S字管状など)、直管部と曲管部とを適宜組み合わせた形状(J字管状、U字管状など)であってもよい。円形管状、多角形管状であってもよい。伝熱部材5は、内部に熱媒体流路52を区画し、外面が蓄熱体4に当接する中空板状であってもよい。また、伝熱部材5は、内部に環状の熱媒体流路52を区画し、外面および内面が蓄熱体4に当接する二重管状(外周壁部の形状と内周壁部の形状とは、同一でも異なっていてもよい)であってもよい。伝熱部材5が直管状、平板状の場合、伝熱部材5の軸方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、蓄熱体4の内部における伝熱部材5の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。また、蓄熱体4の内部に対する伝熱部材5のパス数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。また、蓄熱体4の内部における伝熱部材5の位置は特に限定しない。伝熱部材5に関する上述の事項は、流路部材(管状流路部材6、中空板状流路部材6a)についても同様である。また、伝熱部材5の外面(蓄熱体4に当接する面)および内面(熱媒体に当接する面)のうち少なくとも一方に、伝熱面積拡張部材(フィンなど)を配置してもよい。
【0188】
(支持部材)
直接支持部材7の形状は特に限定しない。板状、棒状などであってもよい。収容部22における直接支持部材7の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。直接支持部材7は、内側容器2と別部材であってもよい。また、直接支持部材7は、内側容器2と一体化されていてもよい。伝熱部材5の配置数と、直接支持部材7の配置数と、は同一でも異なっていてもよい。単一の伝熱部材5を複数の直接支持部材7で支持してもよい。複数の伝熱部材5を単一の直接支持部材7で支持してもよい。複数の伝熱部材5を複数の直接支持部材7で支持してもよい。収容部22における直接支持部材7の位置は特に限定しない。伝熱部材5の軸方向長さ、強度、複数の部屋220の容積などを考慮して、直接支持部材7の位置を決めればよい。化学蓄熱装置1に、直接支持部材7が配置されていなくてもよい。
【0189】
間接支持部材87の形状は特に限定しない。板状、棒状などであってもよい。外側流路32における間接支持部材87の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。間接支持部材87は、内側容器2、外側容器3と別部材であってもよい。間接支持部材87は、内側容器2または外側容器3と一体化されていてもよい。内側容器2の配置数と、間接支持部材87の配置数と、は同一でも異なっていてもよい。単一の内側容器2を複数の間接支持部材87で支持してもよい。複数の内側容器2を単一の間接支持部材87で支持してもよい。複数の内側容器2を複数の間接支持部材87で支持してもよい。外側流路32における間接支持部材87の位置は特に限定しない。内側容器2の軸方向長さ、強度などを考慮して、間接支持部材87の位置を決めればよい。化学蓄熱装置1に、間接支持部材87が配置されていなくてもよい。開口部870の形状、配置数、位置などは特に限定しない。外側流路32の全体が、開口部870を介して、連通すればよい。
【0190】
[材料]
化学蓄熱装置1を構成する各部材(内側容器2、外側容器3、伝熱部材5、管状流路部材6、中空板状流路部材6a、直接支持部材7、間接支持部材87、反応媒体給排管80、反応媒体供給管80a、反応媒体排出管80b、伝熱部材取付板81、81a、81b、熱媒体給排筒82、熱媒体排出筒82a、熱媒体供給筒82b、隔壁83、熱媒体供給管84、熱媒体排出管85、端板86、86a、86b、多孔質埋設体90a、多孔質シート90b、補強部材91)の材質は特に限定しない。強度、比熱、作動温度などを考慮して、金属(例えば、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鉄など)、セラミック、樹脂などを用いればよい。
【0191】
多孔質埋設体90aの材質は特に限定しない。焼結金属、セラミック、樹脂などであってもよい。多孔質シート90bの材質は特に限定しない。エッチングフィルタ、電鋳フィルタ、金網、パンチングメタル、焼結金属製多孔質体、金属製不織布などであってもよい。
【0192】
蓄熱体4の蓄熱材粒子に用いられる化学蓄熱材の種類は特に限定しない。例えば、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Baなど)の化合物(酸化物、水酸化物、炭酸化物、塩化物、硫酸化物など)であってもよい。化合物は、アルカリ土類金属を一種以上含んでいればよい。具体的には、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化バリウム(Ba(OH))、マグネシウムとカルシウムの複合水酸化物、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、マグネシウムとカルシウムの複合酸化物などであってもよい。
【0193】
蓄熱材粒子の平均一次粒子径は特に限定しない。例えば、0.1μm以上10μm以下であればよい。平均一次粒子径は、例えば、レーザー回折法により求められる蓄熱材粒子の粒度分布(粒径分布)のメディアン径である。
【0194】
蓄熱体4に含まれる粘土鉱物の種類は特に限定しない。例えば、セピオライト、アタパルジャイト、カオリナイト、ベントナイトなどであってもよい。これらの粘土鉱物は、単体で、あるいは二種以上混合して、用いることができる。粘土鉱物の繊維径は特に限定しない。
【0195】
蓄熱体4の形態は特に限定しない。粉体状であっても、塊状であってもよい。塊状の場合、成形体(蓄熱材粒子や蓄熱材顆粒のプレス成形体を焼成したもの)であってもよい。反応媒体の種類は特に限定しない。化学蓄熱材の種類に応じて、例えば、水蒸気(水)、アンモニアなどを用いることができる。熱媒体の種類は特に限定しない。例えば、水蒸気(水)、オイル(シリコンオイルなど)、空気、溶融塩などを用いることができる。反応媒体、熱媒体は、気体でも液体でもよい。流動性を有していればよい。
【符号の説明】
【0196】
1:化学蓄熱装置、2:内側容器、2A:反応器、20:側周壁部、20C:壁部本体、20D:有孔部材、200:取付孔、200C:取付孔、201:貫通孔(反応媒体流路)、202:スリット、21:端壁部、22:収容部、220:部屋、220a:小部屋、25:容器本体、250:伝熱壁(伝熱部)、26:透過壁(流路部)、3:外側容器、30:側周壁部、300:取付孔、31:端壁部、310:取付孔、32:外側流路、4:蓄熱体、5:伝熱部材、50:直管部、51:曲管部、52:熱媒体流路、6:管状流路部材、6a:中空板状流路部材、60:内側流路、600:外側開口部、601:内側開口部、7:直接支持部材、70:支持孔、80:反応媒体給排管、80a:反応媒体供給管、80b:反応媒体排出管、81:伝熱部材取付板、81a:伝熱部材取付板、81b:伝熱部材取付板、810:取付孔、82:熱媒体給排筒、82a:熱媒体排出筒、82b:熱媒体供給筒、820:取付孔、820a:取付孔、820b:取付孔、83:隔壁、830:供給室、831:排出室、84:熱媒体供給管、85:熱媒体排出管、86:端板、86a:端板、86b:端板、87:間接支持部材、870:開口部、871:支持孔、88:脚部、90a:多孔質埋設体、90b:多孔質シート、900a:細孔、900b:曲部、91:補強部材、910:円環部、911:梁部、A1:筒軸、A2:筒軸、C:クラック、R1:反応媒体ルート、R2:熱媒体ルート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28