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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145394
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】偏光フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057719
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 智康
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇気
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 英史
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AB26
2H149BA02
2H149BA13
2H149BA14
2H149BB06
2H149FA03W
2H149FB05
2H149FB08
(57)【要約】
【課題】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、製造効率の低下を抑制することができる製造方法を提供する。
【解決手段】特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、該特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程とを含む偏光フィルムの製造方法であって、該選択する工程は、該特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む1以上のポリビニルアルコール系樹脂フィルムから切り出したフィルム片を膨潤処理液に浸漬する工程と、膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片に検査光を照射し、フィルム片を透過又は反射する光を受光することによってフィルム片の画像を取得する工程と、該画像の輝度情報に基づいて該特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程とを含む偏光フィルムの製造方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法であって、
前記選択する工程は、
前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む1以上のポリビニルアルコール系樹脂フィルムから切り出したフィルム片を膨潤処理液に浸漬する工程と、
膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片に検査光を照射し、前記フィルム片を透過又は反射する光を受光することによって、前記フィルム片の画像を取得する工程と、
前記画像の輝度情報に基づいて、前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記輝度情報に基づいて前記フィルム片のカールの程度を把握することにより、前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記輝度情報は、異なる時間に取得する複数の前記画像から得られる、輝度分布の時間変化についての情報である、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記画像は、前記フィルム片の主表面に向けて検査光を照射することによって取得される画像及び前記フィルム片の側面に向けて検査光を照射することによって取得される画像からなる群より選択される少なくとも1つの画像である、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記画像を取得する工程において、第1偏光フィルタを介して前記フィルム片に検査光を照射し、前記フィルム片を透過又は反射する光を、前記第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して受光する、請求項1~4のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項6】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、
前記方法は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程を含み、
前記浸漬する工程は、膨潤処理液に浸漬した状態のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに検査光を照射し、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを透過又は反射する光を受光することによって、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの画像を取得する工程を含む、偏光フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記画像の輝度情報に基づいて前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのカールの程度を把握する、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記画像の輝度情報は、異なる時間に取得する複数の前記画像から得られる、輝度分布の時間変化についての情報である、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記画像は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの主表面に向けて検査光を照射することによって取得される画像及び前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの側面に向けて検査光を照射することによって取得される画像からなる群より選択される少なくとも1つの画像である、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記画像を取得する工程において、第1偏光フィルタを介して前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに検査光を照射し、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを透過又は反射する光を、前記第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して受光する、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記画像の輝度情報に基づいて、前記膨潤処理液に浸漬する工程の条件を変化させるか否かを判定する工程をさらに含む、請求項6~10のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルムとして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料のような二色性色素を吸着配向させたものが従来知られている。該偏光フィルムは、長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを連続的に搬送させながら、該フィルムに対して膨潤処理、染色処理、架橋処理、洗浄処理及び乾燥処理等を順次施すとともに、製造工程の間に一軸延伸処理を施すことによって製造することができる〔例えば、特開2001-141926号公報(特許文献1)〕。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-141926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いた偏光フィルムの連続製造において、偏光フィルムの製造効率が、原料として用いるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの性状等に依存することがある。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが処理液浸漬によって大きなカール(反り)を生じやすいフィルムであると、処理液浸漬後のガイドロール又はニップロール通過時に、カールしたフィルム端部に折れ込みが生じたり、延伸処理において折れ込み部分に破断が生じたりすることがある。これらの不具合は、偏光フィルムの製造効率を低下させる。
【0005】
本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、製造効率の低下を抑制することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す偏光フィルムの製造方法を提供する。
[1] 特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法であって、
前記選択する工程は、
前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む1以上のポリビニルアルコール系樹脂フィルムから切り出したフィルム片を膨潤処理液に浸漬する工程と、
膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片に検査光を照射し、前記フィルム片を透過又は反射する光を受光することによって、前記フィルム片の画像を取得する工程と、
前記画像の輝度情報に基づいて、前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法。
[2] 前記輝度情報に基づいて前記フィルム片のカールの程度を把握することにより、前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する、[1]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[3] 前記輝度情報は、異なる時間に取得する複数の前記画像から得られる、輝度分布の時間変化についての情報である、[1]又は[2]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[4] 前記画像は、前記フィルム片の主表面に向けて検査光を照射することによって取得される画像及び前記フィルム片の側面に向けて検査光を照射することによって取得される画像からなる群より選択される少なくとも1つの画像である、[1]~[3]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
[5] 前記画像を取得する工程において、第1偏光フィルタを介して前記フィルム片に検査光を照射し、前記フィルム片を透過又は反射する光を、前記第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して受光する、[1]~[4]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
[6] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、
前記方法は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程を含み、
前記浸漬する工程は、膨潤処理液に浸漬した状態のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに検査光を照射し、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを透過又は反射する光を受光することによって、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの画像を取得する工程を含む、偏光フィルムの製造方法。
[7] 前記画像の輝度情報に基づいて前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのカールの程度を把握する、[6]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[8] 前記画像の輝度情報は、異なる時間に取得する複数の前記画像から得られる、輝度分布の時間変化についての情報である、[6]又は[7]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[9] 前記画像は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの主表面に向けて検査光を照射することによって取得される画像及び前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの側面に向けて検査光を照射することによって取得される画像からなる群より選択される少なくとも1つの画像である、[6]~[8]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
[10] 前記画像を取得する工程において、第1偏光フィルタを介して前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに検査光を照射し、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを透過又は反射する光を、前記第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して受光する、[6]~[9]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
[11] 前記画像の輝度情報に基づいて、前記膨潤処理液に浸漬する工程の条件を変化させるか否かを判定する工程をさらに含む、[6]~[10]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、製造効率の低下を抑制することができる製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】偏光フィルム製造装置の一例を示す断面模式図である。
図2】試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する方法の一例を説明する概略上面図である。
図3】試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する方法の他の一例を説明する概略上面図である。
図4】試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する方法のさらに他の一例を説明する概略上面図である。
図5】画像取得工程で得られるフィルム片の画像の例を示す図である。
図6】画像取得工程で得られるフィルム片の画像の他の例を示す図である。
図7】カール角度を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系樹脂フィルム」ともいう。)から偏光フィルムを製造するための製造方法に関する。偏光フィルムは、長尺のPVA系樹脂フィルムに対し、所定の処理液を収容する処理槽への浸漬処理(湿式処理)、乾燥処理等を含む一連の処理を施して製造することができ、本発明に係る製造方法において上記浸漬処理は、PVA系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程を含む。得られる偏光フィルムは、延伸されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向しているものである。
【0010】
<偏光フィルム製造の概要>
図1は、偏光フィルム製造装置の一例を示す断面模式図であり、上記一連の処理を説明するための図である。図1に示される偏光フィルム製造装置は、原料フィルムである長尺のPVA系樹脂フィルム10から連続的に長尺の偏光フィルム25を製造するための装置である。図1において、フィルムに付されている矢印は、フィルム搬送方向を示す。図1に示される偏光フィルム製造装置は、フィルム搬送方向の上流側から順に、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17、洗浄処理槽19及び乾燥炉20を含む。なお図1には、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17及び洗浄処理槽19をそれぞれ1槽ずつ設けた例を示しているが、必要に応じてそれぞれ2槽以上設けてもよい。
【0011】
図1に示される偏光フィルム製造装置を用いた偏光フィルム25の製造においては、PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11から連続的に巻き出し搬送しつつ、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17及び洗浄処理槽19に順次浸漬し、最後に乾燥炉20に通すことにより乾燥処理を行って偏光フィルム25を得る。長尺物として製造される偏光フィルム25は、巻取ロール27に順次巻き取ってもよい。
【0012】
偏光フィルム製造装置は、PVA系樹脂フィルムが浸漬される処理槽及び乾燥炉を通るように構築されたPVA系樹脂フィルムの搬送経路を有している。この搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルムを搬送させることにより一連の処理が施されて偏光フィルムが得られる。
【0013】
図1に示されるように上記搬送経路は、走行中のフィルム(PVA系樹脂フィルム10及び偏光フィルム25)を支持・案内する複数のロールによって構築される。複数のロールは、フィルムの片面を支持するフリーロールであるガイドロール、及び/又は、1対のロール(通常は駆動ロール)からなり、フィルムを両面から挟み込む又は挟み込んで押圧するニップロールを含むことができる。図1に示される例において偏光フィルム製造装置は、ガイドロール1a~1l及びニップロール2a~2fを含んでいる。これらのロールは、各処理槽及び乾燥炉の前後や処理槽及び乾燥炉内等の適宜の位置に配置することができる。
【0014】
なお、駆動ロールとは、それに接触するフィルムに対してフィルム搬送のための駆動力を与えることができるロールをいい、モーター等のロール駆動源が直接又は間接的に接続されたロール等であることができる。フリーロールとは、単に走行するフィルムを支持する役割を担い、フィルム搬送のための駆動力を与えることができないロールをいう。
【0015】
得られる偏光フィルム25は、延伸処理(通常は一軸延伸処理)されたものである。このために偏光フィルム製造装置は、PVA系樹脂フィルム10の延伸手段(湿式延伸手段)を含むことができ、また、偏光フィルムの製造方法は、PVA系樹脂フィルム10の延伸処理工程(湿式延伸処理工程)を含むことができる。
【0016】
本発明に係る偏光フィルムは、以下の工程を含むことができる。
PVA系樹脂フィルムの搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルムを搬送させながら、処理液を収容する1以上の処理槽に浸漬させる湿式処理工程S101、及び
上記搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルムを搬送させながら、湿式処理後のPVA系樹脂フィルムを乾燥させる乾燥処理工程S102。
【0017】
上記湿式処理工程S101は、通常、以下の工程を以下の順で含む。
PVA系樹脂フィルムを搬送経路に沿って搬送させながら、膨潤処理液に浸漬する工程(膨潤処理工程)、
PVA系樹脂フィルムを搬送経路に沿って搬送させながら、染色処理液に浸漬する工程(染色処理工程)、
PVA系樹脂フィルムを搬送経路に沿って搬送させながら、架橋処理液に浸漬する工程(架橋処理工程)、
PVA系樹脂フィルムを搬送経路に沿って搬送させながら、洗浄処理液に浸漬する工程(洗浄処理工程)。
【0018】
第1実施形態において、本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、膨潤処理液に浸漬する工程の前に、特定のPVA系樹脂フィルムを選択する工程を含む。
該選択する工程は、
上記特定のPVA系樹脂フィルムを含む1以上のPVA系樹脂フィルムから切り出したフィルム片を膨潤処理液に浸漬する工程と、
膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片に検査光を照射し、該フィルム片を透過又は反射する光を受光することによって、該フィルム片の画像を取得する工程と、
該画像の輝度情報に基づいて、上記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
を含む。
【0019】
第2実施形態において、本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、膨潤処理液に浸漬する工程(膨潤処理工程)が、膨潤処理液に浸漬した状態のPVA系樹脂フィルムに検査光を照射し、該PVA系樹脂フィルムを透過又は反射する光を受光することによって、該PVA系樹脂フィルムの画像を取得する工程を含む。
【0020】
<PVA系樹脂フィルム>
原料フィルムであるPVA系樹脂フィルム10は、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)で構成されるフィルムである。PVA系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。
【0021】
PVA系樹脂のケン化度は、80.0~100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0~100.0モル%の範囲であり、より好ましくは94.0~100.0モル%の範囲であり、さらに好ましくは98.0~100.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる偏光フィルム25の耐水性及び耐湿熱性が低下し得る。
【0022】
ケン化度とは、PVA系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:-OCOCH)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
【0023】
PVA系樹脂の平均重合度は、好ましくは100~10000であり、より好ましくは1500~8000であり、さらに好ましくは2000~5000である。PVA系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が100未満では、好ましい偏光性能を有する偏光フィルム25を得ることが困難であり、10000を超えると溶媒への溶解性が悪化し、PVA系樹脂フィルム10の形成(製膜)が困難となり得る。
【0024】
PVA系樹脂フィルム10の一例は、上記ポリビニルアルコール系樹脂を製膜してなる未延伸フィルムである。製膜方法は、特に制限されるものではなく、溶融押出法、溶剤キャスト法のような公知の方法を採用することができる。PVA系樹脂フィルム10の他の一例は、上記未延伸フィルムを延伸してなる延伸フィルムである。この延伸は通常、一軸延伸、好ましくは縦一軸延伸である。縦延伸とは、フィルムの機械流れ方向(MD)、すなわちフィルムの長手方向への延伸をいう。この延伸は、好ましくは乾式延伸である。乾式延伸とは空中で行う延伸をいい、通常は縦一軸延伸となる。乾式延伸としては、表面が加熱された熱ロールと、この熱ロールとは周速の異なるガイドロール(又は熱ロールであってもよい。)との間にフィルムを通し、熱ロールを利用した加熱下に縦延伸を行う熱ロール延伸;距離を置いて設置された2つのニップロール間にある加熱手段(オーブン等)を通過させながら、これら2つのニップロール間の周速差によって縦延伸を行うロール間延伸;テンター延伸;圧縮延伸等を挙げることができる。延伸温度(熱ロールの表面温度や、オーブン内温度等)は、例えば80~150℃であり、好ましくは100~135℃である。
【0025】
上記延伸の延伸倍率は、後述する湿式処理工程S101において湿式延伸を実施するか否か、及び当該湿式延伸での延伸倍率にもよるが、通常は1.1~8倍であり、好ましくは2.5~5倍である。
【0026】
PVA系樹脂フィルム10は、可塑剤等の添加剤を含有することができる。可塑剤の好ましい例は多価アルコールであり、その具体例は、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール等を含む。PVA系樹脂フィルム10は、1種又は2種以上の可塑剤を含有することができる。可塑剤の含有量は、PVA系樹脂フィルム10を構成するPVA系樹脂100質量部に対して、通常5~20質量部であり、好ましくは7~15質量部である。
【0027】
原料フィルムであるPVA系樹脂フィルム10の厚みは、PVA系樹脂フィルム10が延伸処理されたものであるか否かにもよるが、通常10~150μmであり、得られる偏光フィルム25の薄膜化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは65μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは35μm以下である。
【0028】
原料フィルムであるPVA系樹脂フィルム10の長尺方向の長さは、例えば1000m以上30000m以下であり、好ましくは20000m以下である。PVA系樹脂フィルム10の幅方向(長尺方向に直交する方向)の長さの例は、例えば1300mm以上5000mm以下である。
【0029】
<膨潤処理工程>
膨潤処理工程は、PVA系樹脂フィルムを搬送経路に沿って搬送させながら、膨潤処理液に浸漬する工程である。
膨潤処理槽13に収容される膨潤処理液は、例えば水(純水等)であることができる他、アルコール類のような水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。また、膨潤処理液は、ホウ酸、塩化物、無機酸、無機塩等を含有することもできる。膨潤処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬することによって膨潤処理を行う。膨潤処理は、PVA系樹脂フィルム10の異物除去、可塑剤除去、易染色性の付与、フィルムの可塑化等の目的で実施される。
【0030】
膨潤処理中に、PVA系樹脂フィルム10に対して湿式延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。その場合の延伸倍率は、通常1.2~3倍、好ましくは1.3~2.5倍である。膨潤処理液の温度は、通常10~70℃、好ましくは15~50℃である。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(膨潤処理液中での滞留時間)は、通常10~600秒、好ましくは20~300秒である。
【0031】
<染色処理工程>
染色処理工程は、PVA系樹脂フィルムを搬送経路に沿って搬送させながら、染色処理液に浸漬する工程である。
染色処理槽15に収容される染色処理液は、二色性色素を含有する。この染色処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬することによって染色処理を行う。これにより、PVA系樹脂フィルム10に二色性色素が吸着される。二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料であることができ、好ましくはヨウ素である。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0032】
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色処理液には、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液を用いることができる。ヨウ化カリウムに代えて、ヨウ化亜鉛等の他のヨウ化物を用いてもよく、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用してもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルト等を共存させてもよい。染色処理液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.003~1質量部である。染色処理液におけるヨウ化カリウム等のヨウ化物の含有量は通常、水100質量部あたり0.1~20質量部である。染色処理液の温度は、通常10~45℃であり、好ましくは10~40℃であり、より好ましくは20~35℃である。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(染色処理液中での滞留時間)は、通常20~600秒、好ましくは30~300秒である。
【0033】
二色性色素の染色性を高めるために、染色処理に供されるPVA系樹脂フィルム10は、少なくともある程度の延伸処理(通常は一軸延伸処理)が施されていることが好ましい。染色処理前の延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の延伸処理に加えて、染色処理を行いながら延伸処理を施してもよい。染色処理までの積算の延伸倍率(染色処理までに延伸工程がない場合は染色処理での延伸倍率)は、通常1.6~4.5倍であり、好ましくは1.8~4倍である。
【0034】
<架橋処理工程>
架橋処理工程は、PVA系樹脂フィルムを搬送経路に沿って搬送させながら、架橋処理液に浸漬する工程である。
架橋処理槽17に収容される架橋処理液は、架橋剤を含有する。架橋処理液に染色処理後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬することによって架橋処理を行う。これにより、架橋によるPVA系樹脂フィルム10の耐水化や色相調整(補色処理)等がなされる。架橋処理を行いながら延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。
【0035】
架橋剤としては、ホウ酸、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を挙げることができ、ホウ酸が好ましく用いられる。2種以上の架橋剤を併用することもできる。架橋処理液における架橋剤の含有量は通常、水100質量部あたり0.1~15質量部であり、好ましくは1~12質量部である。二色性色素がヨウ素である場合、架橋処理液は、架橋剤に加えてヨウ化物を含有することが好ましい。架橋処理液におけるヨウ化物の含有量は通常、水100質量部あたり0.1~20質量部であり、好ましくは5~15質量部である。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。また、架橋処理液は、ヨウ化物以外の化合物、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を含有していてもよい。架橋処理液の温度は、通常50~85℃であり、好ましくは50~70℃である。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(架橋処理液中での滞留時間)は、通常10~600秒、好ましくは20~300秒である。
【0036】
<洗浄処理工程>
洗浄処理工程は、PVA系樹脂フィルムを搬送経路に沿って搬送させながら、洗浄処理液に浸漬する工程である。
洗浄処理槽19に収容される洗浄処理液は、例えば水(純水等)であることができる他、アルコール類のような水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。洗浄処理液に架橋処理後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬することによって洗浄処理を行う。洗浄処理は、PVA系樹脂フィルム10に付着した余分な架橋剤や二色性色素等の薬剤を除去する目的で必要に応じて実施される処理である。洗浄処理液の温度は、例えば2~40℃である。洗浄処理を行いながら延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。
【0037】
洗浄処理は、架橋処理後のPVA系樹脂フィルム10に対して洗浄処理液をシャワーとして噴霧する処理であってもよく、上記の洗浄処理液への浸漬と洗浄処理液の噴霧とを組み合わせてもよい。図1には、PVA系樹脂フィルム10を洗浄処理槽19中の水に浸漬して洗浄処理を施す場合の例を示している。
【0038】
<延伸処理工程>
上述のように、湿式処理工程S101においてPVA系樹脂フィルム10に対して湿式延伸処理工程を実施してもよい。湿式延伸は通常、一軸延伸であり、膨潤処理、染色処理、架橋処理、洗浄処理のいずれかの処理を行いながら、又はこれらから選択される2以上の処理中に行うことができる。湿式延伸は、好ましくは、架橋処理工程又はそれより前の1又は2以上の段階で延伸処理される。湿式延伸の延伸倍率は、得られる偏光フィルム25の偏光特性の観点から、好ましくは、偏光フィルム25の最終的な累積延伸倍率(湿式処理に供されるPVA系樹脂フィルム10が延伸処理されたものである場合には、この延伸も含めた累積延伸倍率)が3~8倍となるように調整される。
【0039】
湿式延伸処理工程を実施する場合、偏光フィルム製造装置は、PVA系樹脂フィルム10の湿式延伸手段を含む。湿式延伸手段は、好ましくはロール間延伸を行う延伸手段である。架橋処理中に湿式でロール間延伸を行う場合を例に挙げると、ロール間延伸を行う延伸手段は、架橋処理槽17の前後に配置される2つのニップロール2c,2dである。他の湿式処理中に延伸を行う場合についても同様に、離間して配置された2つのニップロールを湿式延伸手段とすることができる。
【0040】
<乾燥処理工程>
乾燥処理工程S102は、湿式処理後のPVA系樹脂フィルムを乾燥させる工程である。湿式処理工程S101後のPVA系樹脂フィルム10を引き続き搬送させながら、乾燥炉20に該フィルムを導入することによって乾燥処理を施すことができ、これにより偏光フィルム25が得られる。乾燥炉は、好ましくは炉内温度を制御可能なものである。乾燥炉は、例えば、熱風の供給等により炉内温度を高めることができる熱風オーブンである。
【0041】
乾燥処理は、乾燥炉以外の手段によって行ってもよい。乾燥炉以外の手段による乾燥処理としては、凸曲面を有する1又は2以上の加熱体にPVA系樹脂フィルム10を密着させる処理や、ヒーターを用いて該フィルムを加熱する処理が挙げられる。上記加熱体としては、熱源(例えば、温水等の熱媒や赤外線ヒーター)を内部に備え、表面温度を高めることができるロール(例えば熱ロールを兼ねたガイドロール)が挙げられる。上記ヒーターとしては、赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等が挙げられる。
【0042】
乾燥処理の温度(例えば、乾燥炉20の炉内温度、熱ロールの表面温度等)は、通常30~100℃であり、50~90℃であることが好ましい。乾燥時間は特に制限されないが、例えば30~600秒である。
【0043】
偏光フィルム25は、延伸(通常は一軸延伸)されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されているものである。偏光フィルム25の厚みは、通常2~40μmである。偏光フィルム25を含む偏光板の薄膜化の観点から、偏光フィルム25の厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下である。
【0044】
得られる偏光フィルム25の視感度補正単体透過率Tyは、視感度補正偏光度Pyとのバランスを考慮して、40~47%であることが好ましく、41~45%であることがより好ましい。視感度補正偏光度Pyは、99.9%以上であることが好ましく、99.95%以上であることがより好ましい。Ty及びPyは、積分球付き吸光光度計を用い、得られた透過率、偏光度に対してJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことによって得ることができる。
【0045】
得られた偏光フィルム25は、巻取ロール27に順次巻き取ってロール形態としてもよいし、巻き取ることなく偏光板作製工程(偏光フィルム25の片面又は両面に保護フィルム等を積層する工程)に供してもよい。
【0046】
<偏光フィルムの製造方法の第1実施形態>
第1実施形態において、本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、膨潤処理液に浸漬する工程の前に、特定のPVA系樹脂フィルムを選択する工程(特定フィルム選択工程)を含む。
【0047】
特定フィルム選択工程は、以下の工程を含む。
上記特定のPVA系樹脂フィルムを含む1以上のPVA系樹脂フィルムから切り出したフィルム片を膨潤処理液に浸漬する工程(フィルム片浸漬工程)、
膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片に検査光を照射し、該フィルム片を透過又は反射する光を受光することによって、該フィルム片の画像を取得する工程(画像取得工程)、及び
該画像の輝度情報に基づいて、上記特定のPVA系樹脂フィルムを選択する工程(選択工程)。
【0048】
特定フィルム選択工程を含む偏光フィルムの製造方法によれば、PVA系樹脂フィルムから採取したフィルム片を用いた試験(上記フィルム片浸漬工程及び画像取得工程を指す。)に基づいて、膨潤処理工程の前に、フィルム片が採取されたPVA系樹脂フィルムを偏光フィルム製造装置の膨潤処理液に浸漬したときに該フィルムがどのような挙動を示すかを事前に確認できるため、膨潤処理工程、ひいては偏光フィルム製造に供しても製造効率の低下を招来するおそれのない又はおそれが小さいPVA系樹脂フィルム(以下、かかるPVA系樹脂フィルムを「偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルム」ともいう。)を特定することができる。このように特定したPVA系樹脂フィルムを選択して偏光フィルム製造に使用することにより、偏光フィルムの製造効率の低下を抑制することができる。
以下、特定フィルム選択工程が備える各工程について説明する。
【0049】
(1)フィルム片浸漬工程
フィルム片浸漬工程では、まず、1以上のPVA系樹脂フィルムからフィルム片を切り出す。該1以上のPVA系樹脂フィルムは、偏光フィルム製造に使用される候補となる長尺のフィルム又はそのロールであり、偏光フィルム製造に使用するものとして選択されるべき上記特定のPVA系樹脂フィルムを含む。
【0050】
フィルム片が採取され、上記試験に供されるPVA系樹脂フィルムの数は1であることもある。例えば、このフィルム片について上記試験を行った結果、該PVA系樹脂フィルムが偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムであると判断される場合である。この場合、他のPVA系樹脂フィルムについて上記試験を行うことなく、該偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムを用いて偏光フィルム製造を行うことができる。
【0051】
フィルム片が採取され、上記試験に供されるPVA系樹脂フィルムが複数であることもある。例えば、最初に上記試験を行ったPVA系樹脂フィルムが偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムでなく、好適なPVA系樹脂フィルムが見つかるまで上記試験を他のPVA系樹脂フィルムについて行う場合である。
【0052】
切り出されるフィルム片の形状は、好ましくは、長方形、正方形等の方形形状であり、より好ましくは長方形である。偏光フィルム製造装置の膨潤処理液に浸漬したときにPVA系樹脂フィルムがどのような挙動を示すかをできるだけ正確に再現するという再現性の観点から、方形形状であるフィルム片は、その一対の辺がPVA系樹脂フィルムのMD方向と平行になるように、他の一対の辺がPVA系樹脂フィルムのTD方向と平行になるように切り出されることが好ましい。方形形状であるフィルム片のサイズは特に制限されないが、上記再現性の観点から、好ましくは、上記MD方向と平行な辺の長さは100~500mm(例えば150mm)であり、上記TD方向と平行な辺の長さは20~150mm(例えば30mm)である。
【0053】
次いで、採取したフィルム片を膨潤処理液(以下、「試験用膨潤処理液」ともいう。)に浸漬、静置する。試験用膨潤処理液は、偏光フィルム製造装置を構成する膨潤処理槽13に収容される膨潤処理液と同じ組成を有するものである。試験用膨潤処理液の温度も、通常は、偏光フィルム製造装置を構成する膨潤処理槽13に収容される膨潤処理液と同じ温度に設定する。
【0054】
例えば、フィルム片は、水平な底面を有する容器内に収容された試験用膨潤処理液に、その全体が浸漬される。容器は、画像取得工程の実施を可能とするために、透光性を有することが好ましく、透明であることがより好ましい。透明であるとは、可視光帯域の透過率が90%以上であることをいう。容器としては、例えば、透明樹脂からなる容器が挙げられ、透明性に優れることから、(メタ)アクリル系樹脂からなる透明容器が好ましい。後述する第1偏光フィルタ及び第2偏光フィルタを用いた画像取得を可能とするためには、上記透過率が90~95%程度である容器を選定することが好ましい。また、後述する第1及び第2偏光フィルタを用いた画像取得を可能とするためには、容器は、無配向の材料からなることが好ましく、無配向の樹脂からなることがより好ましい。無配向の材料とは、例えば無延伸の材料である。
【0055】
試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の主面と後述する撮像部(カメラ)50は、正対することが好ましい。フィルム片の主面と撮像部(カメラ)50とが正対するときのフィルム片の主面の撮像部(カメラ)50に対する角度αを0°とした場合、得られる画像の検出性や分解能を良好にする観点からは、0°~45°であることが好ましく、0°~30°であることがより好ましい。
【0056】
フィルム片は、その一対の辺がPVA系樹脂フィルムのMD方向と平行になるように、他の一対の辺がPVA系樹脂フィルムのTD方向と平行になるように切り出されているとき、例えば、上記MD方向と平行な辺が鉛直方向又は水平方向と平行になるように試験用膨潤処理液に浸漬される。
【0057】
フィルム片を試験用膨潤処理液に浸漬させる具体的操作は、例えば次のとおりである。 [A]上記角度αが上記範囲内となる治具を準備し、この治具の上に準備したフィルム片を置き、その上端(例えば、一方のTD辺)をクリップで固定し、下端(例えば、もう一方のTD辺)の幅方向中央部に重りとしてのクリップを取り付ける。このときの重りとしてのクリップの重さは3~5gであることが好ましい。
【0058】
[B]上記[A]で準備した、治具に固定され、重りを有するフィルム片を、上記角度αを一定に維持しながら、所定温度(例えば、20~40℃)の試験用膨潤処理液に浸漬させていく。浸漬スピードは、試験用膨潤処理液にフィルム片が侵入する際に、フィルム片が治具から浮いて離れないスピードであることが好ましい。
【0059】
(2)画像取得工程
次に、試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する。画像取得により、フィルム片の輝度情報を得ることができる。この輝度情報から、フィルム片のカールの程度を把握することが可能である。
【0060】
図2は、試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する方法の一例を説明する概略上面図である。この例において、透明容器30に収容されている試験用膨潤処理液にフィルム片31が浸漬されている。透明容器30の外側に、白色光である検査光41を発する光源40が配置されている。透明容器30の外側であって、フィルム片31を基準に光源40とは反対側には、撮像部(カメラ)50が配置されている。図2に示される撮像系では、光源40からの検査光41を、試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片31の主表面に向けて照射し、フィルム片31を透過する光を撮像部50が受光し、撮像して、フィルム片31の主表面の画像を取得する。
【0061】
光源40としては、例えば、白色LED等の照明装置を用いることができる。光源40は、好ましくは面光源である。
【0062】
図3は、試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する方法の他の一例を説明する概略上面図である。この例のように、光源40からの検査光41を、試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片31の側面に向けて照射し、フィルム片31を透過する光を撮像部50が受光、撮像することによって、フィルム片31の側面の画像を取得してもよい。画像取得工程においては、フィルム片31の主表面の画像及び側面の画像の少なくとも1つが取得され、両方が取得されてもよい。画像取得工程で取得する画像は、フィルム片31の主表面の画像を少なくとも含むことが好ましい。
【0063】
取得するフィルム片31の主表面の画像は、該主表面の一部についての画像であってもよいし、該主表面の全体についての画像であってもよいが、好ましくは、該主表面の全体についての画像である。側面の画像についても同様である。
【0064】
図4に示されるように、試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片31の画像を取得するにあたっては、第1偏光フィルタ61を介してフィルム片31に検査光41を照射し、フィルム片31を透過する光を、第1偏光フィルタ61に対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタ62を介して撮像部50が受光、撮像することによって、フィルム片31の画像を取得することが好ましい。偏光フィルタを用いた上記撮像方法によれば、膨潤処理液に浸漬された状態にあり、透明性を有し、かつ、配向性を有していることがあるフィルム片31の鮮明な画像を取得しやすい。
【0065】
第1偏光フィルタ61及び第2偏光フィルタ62としては、直線偏光板を用いることができる。直線偏光板は、PVA系樹脂フィルムで構成された直線偏光子の一方面又は両面に保護フィルムが貼合されたものを用いることができる。第1偏光フィルタ61の吸収軸と第2偏光フィルタ62の吸収軸とがなす角度は、例えば、90度±5度である。
【0066】
画像取得工程において画像は、フィルム片31を試験用膨潤処理液に浸漬した時点からある時間Tを経過したときに取得される。フィルム片31を試験用膨潤処理液に浸漬した時点とは、フィルム片31の全体が試験用膨潤処理液に浸漬した時点をいう。Tは、例えば1秒~5分の範囲内であってよい。画像を取得する上記時間Tは、1つの時間であってもよいし、異なる複数の時間であってもよい。異なる複数の時間で画像を取得することにより、フィルム片の輝度情報として、輝度分布の時間変化についての情報を得ることができる。異なる複数の時間で取得される画像は、動画であってもよい。
【0067】
本発明者の検討により、取得した画像から得られる該画像の輝度情報は、フィルム片31のカール(反り)の程度(又はカールの状態)と関連付けることができることが明らかとなっている。このように画像の輝度情報とカールとが関連付けられることは、少なくとも、フィルム片31においてカールにより反っている部分と反っていない部分とで撮像部50までの光路長に差が生じることに起因していると推定される。輝度が大きいほど、カールの程度は大きい傾向にある。
【0068】
したがって、特定フィルム選択工程を含む製造方法によれば、PVA系樹脂フィルムから採取したフィルム片を用いた試験(フィルム片浸漬工程及び画像取得工程)に基づいて、膨潤処理工程の前に、フィルム片が採取されたPVA系樹脂フィルムを偏光フィルム製造装置の膨潤処理液に浸漬したときに該フィルムがどのようなカール挙動を示すかを事前に確認できる。このカール挙動に基づいて、フィルム片が採取されたPVA系樹脂フィルムが偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムであるか否か(特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムとして選択されるべきフィルムであるか否か)を判断することができる。
【0069】
図5及び図6は、画像取得工程で得られるフィルム片の画像の例を示したものである。図5は、厚み60μmのPVA系樹脂フィルムから切り出したフィルム片についての画像であり、図6は、厚み20μmのPVA系樹脂フィルムから切り出したフィルム片についての画像である。図5の(a)は上記Tが14秒であるときの画像、(b)は上記Tが23秒であるときの画像、(c)は上記Tが41秒であるときの画像である。図6の(a)は上記Tが11秒であるときの画像、(b)は上記Tが35秒であるときの画像、(c)は上記Tが49秒であるときの画像である。図5及び図6の(a)~(c)のそれぞれにおいて、左側の画像はフィルム片の主表面の画像であり、右側の画像はフィルム片の側面の画像である。いずれの画像においても、輝度分布を明確に把握することができる画像が得られていることがわかる。図5及び図6に示される画像は、上述の第1及び第2偏光フィルタを用いた方法により得られた画像である。試験用膨潤処理液は純水とした。
【0070】
図5及び図6においてそれぞれ図示しているように、取得した画像の輝度情報からフィルム片のカールの程度(又は状態、形状)を把握・推定することができる。例えば、フィルム片の幅方向の両端部において高い輝度を有している画像においては、該両端部においてフィルム片がカールしていることを把握・推定することができる。このようなカールの程度の把握・推定は、輝度が大きいほどカールの程度は大きい傾向にあるという知見や、複数のフィルム片を用いてあらかじめ取得した輝度情報と実際のカールの程度(又は状態、形状)との関係に関する知見に基づいて行うことができる。
【0071】
画像取得工程は、試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片31に検査光41を照射し、フィルム片31から反射する光を受光することによってフィルム片31の画像を取得する工程であってもよい。この場合、フィルム片31を基準に光源40と同じ側に撮像部(カメラ)50が配置される。反射光を受光する撮像系においても、第1偏光フィルタ61を介してフィルム片31に検査光41を照射し、フィルム片31からの反射光を、第1偏光フィルタ61に対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタ62を介して撮像部50が受光、撮像することが好ましい。
【0072】
(3)選択工程
本工程は、画像取得工程で取得した画像の輝度情報に基づいて、上記特定のPVA系樹脂フィルムとして、偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムを特定、選択する工程である。偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムであるか否かの判定基準は、種々の判断基準であり得る。
【0073】
上記判定基準としては、例えば、以下の例のいずれかが挙げられる。
〔a〕フィルム片31を試験用膨潤処理液に浸漬した時点からある時間T(1点)を経過したときに取得される画像の輝度が十分に小さい場合には、フィルム片31が採取されたPVA系樹脂フィルムは、偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムであると判定できる。
〔b〕フィルム片31を試験用膨潤処理液に浸漬してから、異なる複数の時間Tで画像を取得し、これらの複数の画像から、輝度情報として輝度分布の時間変化についての情報を得、試験用膨潤処理液に浸漬してから時間T1が経過した時点で輝度が十分に小さい場合には、フィルム片31が採取されたPVA系樹脂フィルムは、偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムであると判定できる。
【0074】
上記〔a〕及び〔b〕において、「輝度が十分に小さい」とは、例えば、フィルム片31の画像において輝度値が最も高いところでも閾値S以下であることを意味していてもよい。輝度の閾値Sは、複数のフィルム片を用いて取得した輝度値と実際のカールの程度(又は状態、形状)との関係に関する上述の知見、及び、カールの程度と偏光フィルム製造におけるPVA系樹脂フィルムの折れ込みや破断の生じやすさ(偏光フィルム製造効率の低下を招来するおそれの生じやすさ)との関係に関する知見とに基づいて、あらかじめ設定することができる。輝度が最も高いところは、カールを生じやすいフィルム片31の幅方向両端部であってよい。
【0075】
上記〔a〕における画像を取得する時間T、及び、上記〔b〕における試験用膨潤処理液に浸漬してからの時間T1は、特に制限されないが、PVA系樹脂フィルムを用いた実際の偏光フィルム製造において、PVA系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬した時点から、該フィルムの折れ込みや破断が生じやすい最初のタイミングまでの時間よりも短い時間であることが好ましい。該最初のタイミングとしては、例えば、図1を参照して、膨潤処理槽13の下流に配置される最初のガイドロール1c又は最初のニップロール2bを通過するタイミングが挙げられる。強いカールを生じているフィルムがガイドロールやニップロールを通過するときに折れ込みや破断が起こりやすいためである。
【0076】
本工程において、画像の輝度情報に基づいて、フィルム片31が採取されたPVA系樹脂フィルムが偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムであるか否かを判定する際、上記〔a〕及び〔b〕のように、画像の輝度値に基づいて上記判定を行ってもよいし、輝度値を、図5及び図6に示されるように、カールの程度(又は状態、形状)に変換し、この変換結果に基づいて上記判定を行ってもよい。かかる変換は、複数のフィルム片を用いて取得した輝度値と実際のカールの程度(又は状態、形状)との関係に関する上述の知見を格納した記憶部と、該記憶部に格納された情報に基づいて輝度値をカールの程度に変換する演算部とを含む演算処理装置(例えばコンピュータ)によって行われてもよい。
【0077】
上記カールの程度は、例えば、カール角度として数値化することができる。図7を参照して、カール角度θとは、カールしたフィルム75の最高凸部に接する水平な基準面70に対して、カール部曲面の接線71がなす角度である。
【0078】
選択工程において偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムであると判定され、選択された特定のPVA系樹脂フィルムは、偏光フィルム製造の膨潤処理工程に導入される。このPVA系樹脂フィルムは、偏光フィルム製造工程中に折れ込みや破断を生じにくいフィルムであり、かかるPVA系樹脂フィルムを使用することにより、偏光フィルムの製造効率の低下を抑制することができる。
【0079】
なお、上記判定基準に合致しないPVA系樹脂フィルムについては、偏光フィルム製造に使用しないという判断をすることもできるし、例えばカールを低減させるための処理を施した後、特定フィルム選択工程に再度供してもよい。
【0080】
<偏光フィルムの製造方法の第2実施形態>
第2実施形態において、本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、膨潤処理液に浸漬する工程(膨潤処理工程)が、膨潤処理液に浸漬した状態のPVA系樹脂フィルムに検査光を照射し、該PVA系樹脂フィルムを透過又は反射する光を受光することによって、該PVA系樹脂フィルムの画像を取得する工程を含む。
【0081】
第1実施形態では、偏光フィルム製造の膨潤処理工程の前に、偏光フィルム製造に使用される候補となるPVA系樹脂フィルムから採取したフィルム片を試験用膨潤処理液に浸漬して画像取得工程を実施するのに対して、本実施形態では、偏光フィルム製造の膨潤処理工程中のPVA系樹脂フィルムについて画像取得工程を実施する。すなわち、本実施形態における画像取得工程は、偏光フィルム製造のインラインで行われる工程であり、膨潤処理槽13に収容された膨潤処理液に浸漬した状態のPVA系樹脂フィルムに検査光を照射し、該PVA系樹脂フィルムを透過又は反射する光を受光することによって、該PVA系樹脂フィルムの画像を取得する工程である。
【0082】
本実施形態に係る偏光フィルムの製造方法によっても、偏光フィルムの製造効率の低下を抑制することができる。すなわち、インラインで行う画像取得工程によって、膨潤処理工程中のPVA系樹脂フィルムが偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムには該当しないと判断できれば、偏光フィルム製造条件を修正するフィードバックを行うことによって、フィルムの折れ込みや破断等の製造効率の低下を招来する要因を低減させることができる。
【0083】
本実施形態における画像取得工程は、第1実施形態における画像取得工程と同様にして行うことができ、第1実施形態における画像取得工程についての上記記述が本実施形態における画像取得工程に引用される。上記フィードバックを適切なタイミングで行うことができるよう、画像の取得は、膨潤処理工程中の早いタイミングで行われることが好ましい。
【0084】
本実施形態における画像取得工程では、PVA系樹脂フィルムの主表面の画像及び側面の画像の少なくとも1つが取得され、両方が取得されてもよい。画像取得工程で取得する画像は、PVA系樹脂フィルムの主表面の画像を少なくとも含むことが好ましい。
【0085】
PVA系樹脂フィルムの画像を取得するにあたっては、第1偏光フィルタを介してPVA系樹脂フィルムに検査光を照射し、PVA系樹脂フィルムを透過する光を、第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して撮像部が受光、撮像することによって、PVA系樹脂フィルムの画像を取得することが好ましい。
【0086】
画像取得工程において画像は、PVA系樹脂フィルムを膨潤処理槽13に収容された膨潤処理液に浸漬した時点からある時間Tを経過したときに取得される。Tは、例えば1秒~5分の範囲内であってよい。画像を取得する上記時間Tは、1つの時間であってもよいし、異なる複数の時間であってもよい。異なる複数の時間で画像を取得することにより、フィルム片の輝度情報として、輝度分布の時間変化についての情報を得ることができる。異なる複数の時間で取得される画像は、動画であってもよい。
【0087】
画像取得工程は、膨潤処理液に浸漬した状態のPVA系樹脂フィルムに検査光を照射し、PVA系樹脂フィルムから反射する光を受光することによってPVA系樹脂フィルムの画像を取得する工程であってもよい。反射光を受光する撮像系においても、第1偏光フィルタを介してPVA系樹脂フィルムに検査光を照射し、PVA系樹脂フィルムからの反射光を、第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して撮像部が受光、撮像することが好ましい。
【0088】
本実施形態に係る偏光フィルムの製造方法は、取得した画像の輝度情報に基づいて、偏光フィルム製造条件を変化させるか否かを判定する工程を含むことが好ましく、取得した画像の輝度情報に基づいて、膨潤処理工程の条件を変化させるか否かを判定する工程を含むことがより好ましい。該判定する工程における判定基準は、第1実施形態における上記〔a〕、〔b〕と同様であってよい。
【0089】
上記〔a〕又は〔b〕の判定基準の下、膨潤処理工程に供されているPVA系樹脂フィルムが偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムであると判定された場合には、偏光フィルム製造条件を変化させることなく、引き続き同条件で偏光フィルム製造を行ってよいという判断を行うことができる。
【0090】
一方、上記〔a〕又は〔b〕の判定基準の下、膨潤処理工程に供されているPVA系樹脂フィルムが偏光フィルム製造に好適なPVA系樹脂フィルムではないと判定された場合には、偏光フィルム製造条件、とりわけ膨潤処理工程の条件を変化させる工程(フィードバック工程)を実施することが好ましい。変化させる条件としては、膨潤処理液の温度、膨潤処理液への浸漬時間、フィルムの張力、膨潤処理工程において延伸処理を行う場合における延伸倍率等が挙げられる。当初の条件では折れ込みや破断が起こりやすいPVA系樹脂フィルムを使用する場合であっても、フィードバック工程を実施することにより、フィルムの折れ込みや破断が起こりにくい条件に修正することが可能であり、これにより、偏光フィルムの製造効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0091】
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1l ガイドロール、2a,2b,2c,2d,2e,2f ニップロール、10 ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(PVA系樹脂フィルム)、11 巻出ロール、13 膨潤処理槽、15 染色処理槽、17 架橋処理槽、19 洗浄処理槽、20 乾燥炉、25 偏光フィルム、27 巻取ロール、30 透明容器、31 フィルム片、40 光源、41 検査光、50 撮像部、61 第1偏光フィルタ、62 第2偏光フィルタ、70 基準面、71 カール部曲面の接線、75 カールしたフィルム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7