(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014548
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 29/70 20060101AFI20240125BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20240125BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20240125BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65H29/70
B65H37/06
B65H5/36
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117454
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】奥野 仁
【テーマコード(参考)】
3F048
3F053
3F101
3F108
【Fターム(参考)】
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC02
3F048BA06
3F048BB02
3F048DC02
3F048EB22
3F053HA06
3F053HB01
3F053HB11
3F053HB16
3F053LA07
3F053LB03
3F101FB12
3F101FE02
3F101FE08
3F101LA07
3F101LB03
3F108GA04
3F108GB03
(57)【要約】
【課題】装置の大型化をまねくことなく搬送経路上のシートに弛みを形成することができ、形成された弛みに起因した不具合を防止可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】シートPに画像を形成する画像形成装置1と、シートPに後処理を実行する後処理部を備えた後処理装置2と、画像形成装置1から排出されたシートPを下流側へ案内するガイド手段10と、を備える画像形成システムであって、シートPを後処理部へ搬送する第一経路R1と、シートPに後処理を実行せずに装置外へ搬送する第二経路R2と、シートPの搬送先を第一経路R1または第二経路R2に切り換える切換手段12と、を備え、切換手段12は、回動可能に軸支された爪状部と、爪状部を移動可能とする駆動手段と、を備え、シートPを第一経路R1へ搬送するとき、切換手段12の上流側においてガイド手段10上にシートPの弛みを形成する画像形成システムである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置の下流側に配設され、前記シートに後処理を実行する後処理部を備えた後処理装置と、
前記画像形成装置から排出された前記シートを下流側へ案内するガイド手段と、を備える画像形成システムであって、
前記シートを前記後処理部へ搬送する第一経路と、前記シートに後処理を実行せずに装置外へ搬送する第二経路と、前記シートの搬送先を前記第一経路または前記第二経路に切り換える切換手段と、を備え、
前記切換手段は、回動可能に軸支された爪状部と、前記爪状部を移動可能とする駆動手段と、を備え、
前記シートを前記第一経路へ搬送するとき、前記切換手段の上流側において前記ガイド手段上に前記シートの弛みを形成することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記ガイド手段上に形成された前記シートの弛み量を検知する弛み量検知手段を備え、
前記駆動手段は、前記爪状部を無段階に移動可能とする駆動手段であり、前記弛み量検知手段が検知した前記シートの弛み量に応じて前記爪状部の停止位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記シートの厚みを検知する手段を備え、
検知された前記シートの厚みに応じて、前記切換手段により前記シートの搬送先を前記第一経路または前記第二経路に切り換えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記シートに形成された画像の印字率を検知する手段を備え、
検知された印字率に応じて、前記切換手段により前記シートの搬送先を前記第一経路または前記第二経路に切り換えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記ガイド手段上の前記シートにジャムが発生した場合、前記切換手段の前記爪状部が、前記シートを除去する経路を開放する方向へ移動することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記後処理装置が折り装置であり、前記後処理部が、前記シートに対して折り処理を施す折り処理部であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置と後処理装置を備え、画像形成装置から排出されるシートを後処理装置に向けて受け渡し、送られたシートに後処理を施す画像形成システムが知られている。後処理としては、例えば、画像が形成されたシートの搬送方向に対して直交する方向に折り目を形成する「折り処理」がある。
【0003】
このような画像形成システムにおいて、画像形成装置のシート搬送速度と後処理装置(折り装置等)のシート搬送速度が異なる場合や、画像形成装置の画像形成様式(例えば、インクジェット方式の場合)に起因してシート搬送速度に変動がある場合等に、搬送されるシートに弛みを形成し、速度差を吸収する技術が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
特許文献1では、シート搬送が間欠駆動となるインクジェット方式の画像形成装置本体に取り付けても、画像形成装置本体側では画像の伸び縮み、シート折り装置側では折り寸法のバラツキが発生することの無い装置として、シート滞留手段を設ける構成が開示されている。
【0005】
特許文献2では、画像形成装置から後処理装置に至るシートの長さが変化しても、良好な後処理をおこなうことができる画像形成システムとして、画像形成装置からシート折り装置に至る搬送経路の長さを変更可能に案内する移動可能なガイド部材を備える構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように画像形成装置または後処理装置の内部において搬送されるシートに弛みを形成する場合、弛みを形成するための空間を確保するために装置の大型化を招くという課題がある。また、シートの弛みを形成する際、シート上の画像がガイド板の開口端部で摺擦されて損傷してしまうおそれもある。
【0007】
また、特許文献2のように、シートの弛みの程度に応じて可動ガイド部材を移動させる場合、シートの弛み量が可動ガイド部材の移動範囲を超えた場合、シートを適正に搬送できなくなるおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、装置の大型化をまねくことなく搬送経路上のシートに弛みを形成することができ、形成された弛みに起因した不具合を防止可能な画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置の下流側に配設され、前記シートに後処理を実行する後処理部を備えた後処理装置と、前記画像形成装置から排出された前記シートを下流側へ案内するガイド手段と、を備える画像形成システムであって、前記シートを前記後処理部へ搬送する第一経路と、前記シートに後処理を実行せずに排出する第二経路と、前記シートの搬送先を前記第一経路または前記第二経路に切り換える切換手段と、を備え、前記切換手段は、回動可能に軸支された爪状部と、前記爪状部を移動可能とする駆動手段と、を備え、前記シートを前記第一経路へ搬送するとき、前記切換手段の上流側において前記ガイド手段上に前記シートの弛みを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置の大型化をまねくことなく搬送経路上のシートに弛みを形成することができ、形成された弛みに起因した不具合を防止可能な画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)は本実施形態の画像形成システムの一例を示す概略構成図であり、
図1(B)は画像形成部の一例を示す模式図である。
【
図2】本実施形態の画像形成システムの要部概略構成を示す説明図である。
【
図3】本実施形態の画像形成システムの要部概略構成を示す説明図である。
【
図4】本実施形態の画像形成システムの要部概略構成を示す説明図である。
【
図5】シートの弛みと切換手段の位置との関係を説明する図である。
【
図6】本実施形態の画像形成システムにおけるシート搬送と切換手段の動作の例を説明するフローチャートである。
【
図7】本実施形態の画像形成システムの要部概略構成を示す説明図である。
【
図8】本実施形態の画像形成システムにおけるシート搬送と切換手段の動作の例を説明するフローチャートである。
【
図9】本実施形態の画像形成システムにおけるシート搬送と切換手段の動作の例を説明するフローチャートである。
【
図10】ジャムが発生した場合の切換手段の移動を説明する図である。
【
図11】本実施形態の画像形成システムにおけるジャム発生時の切換手段の移動を説明するフローチャートである。
【
図12】本実施形態の画像形成システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】本実施形態の画像形成システムの制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成システムについて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等はいずれも同義語とする。
【0013】
図1(A)は、本発明に係る画像形成システムの概略構成の一例を示した模式図である。
本実施形態の画像形成システム100は、シートPに画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1の下流側に配設され、シートPに後処理を実行する後処理部2aを備えた後処理装置2と、画像形成装置1から排出されたシートPを下流側へ案内するガイド手段10と、を備えている。
【0014】
ガイド手段10は、画像形成装置1及び後処理装置2の外部に設けられ、画像形成装置1から排出された画像形成後のシートPを後処理装置2に向けて受け渡すためのガイド板部材で構成されている。
【0015】
画像形成装置1は、画像形成部として
図1(B)に示すシリアル型のインクジェットプリンタを備えている。また、画像形成装置1は、ロール状のシートP(ロール紙)が所望の長さでカットされるように構成されていて、A0、A1サイズなど複数の大サイズのシートPへの画像形成が可能になっている。
【0016】
図1(A)において、後処理装置2は、画像形成装置1から排出されて搬入されたシートPに対して後処理として折り処理を施す折り装置である。
【0017】
また、後処理装置2の搬入口の近傍に設置された入口センサ13、及び画像形成装置1の排出口の近傍に設置された排紙センサ9は、例えば、その位置にシートPがあるか否かを光学的に検知するフォトセンサである。
【0018】
本実施形態の画像形成システム100において、シートPを後処理部2aへ搬送する第一経路R1と、シートPに後処理を実行せずに装置外へ搬送する第二経路R2と、シートPの搬送先を第一経路R1または第二経路R2に切り換える切換手段12と、を備えている。
【0019】
切換手段12は、回動可能に軸支された爪状部と、爪状部を移動可能とする駆動手段と、を備えている。なお、駆動手段は、爪状部を無段階に移動可能とする駆動手段であることが好ましい。
図1(A)に示すように、爪状部が後処理装置2にシートPが搬入される開口部を被覆する位置で停止している場合、シートPは第二経路R2へ搬送される。一方、爪状部が後処理装置2にシートPが搬入される開口部を被覆しない位置で停止している場合、シートPは第一経路R1へ搬送される。
【0020】
第一経路R1に搬送されたシートPは、入口ローラ対14を経由して、後処理部(折り処理部2a)に達する。そして折り処理が施されたシートPは、装置外に排出され、排出トレイ18上に積載される。
【0021】
第二経路R2に搬送されたシートPは、後処理を施されることなく、排出ガイド板11に沿って搬送され、排出トレイ18上に積載される。
なお、第二経路R2は、後処理装置2の内部に設けられた搬送路であってもよく、後処理装置2の装置外に設けられた搬送路であってもよい。
【0022】
画像形成装置1において、給紙ローラ5によって搬送されたシートPは、レジストローラ6まで搬送される。給紙ローラ5及びレジストローラ6は、図示しない駆動手段によって回転駆動され、シートPを搬送する。
プラテン7上に搬送されたシートPは、プラテン7によって吸引され、記録ヘッド4により画像が形成(印字)される。
シートPの後端部が排紙センサ9を通過すると、カッター8によりシートPがカットされる。
【0023】
図1(B)は、画像形成装置1の画像形成部の一例を示す模式図である。
画像形成部は、キャリッジ3、タイミングベルト28、モータ29、駆動プーリ31、従動プーリ32、ガイドロッド33、副ガイド34、側板35、エンコーダシート36、等で構成されている。また、キャリッジ3は、2つの記録ヘッド4、ベルト保持部25、副ガイド受部26、エンコーダセンサ27、等で構成されている。
【0024】
キャリッジ3の2つの記録ヘッド4は、例えば、4色(黒、シアン、マゼンタ、イエロー)のインク滴を吐出可能に構成されている。
ガイドロッド33と副ガイド34とは、それぞれ、幅方向両側にそれぞれ設置された側板35の間に橋設されている。ガイドロッド33は、キャリッジ3の貫通穴に挿通されており、副ガイド34は、キャリッジ3の副ガイド受部26に嵌合している。このような構成により、画像形成部において、キャリッジ3は、主走査方向(幅方向)に移動可能に保持されている。
【0025】
また、タイミングベルト28は、正逆双方向回転型のモータ29のモータ軸に設置された駆動プーリ31と、従動プーリ32と、に張架・支持されている。また、タイミングベルト28の一部に、ベルト保持部25を介してキャリッジ3が固定保持されている。このような構成により、キャリッジ3は、ガイドロッド33と副ガイド34とにガイドされながら、モータ29の駆動によるタイミングベルト28の走行にともない、図中の左右方向に移動する。
【0026】
画像形成装置1に入力された画像情報に基づいて、キャリッジ3が主走査方向に移動しながら記録ヘッド4からインク滴が吐出されて、間欠的に搬送されるシートP上に所望の画像が形成される。
なお、キャリッジ3にはエンコーダセンサ27が設置されていて、キャリッジ3が主走査方向に移動しながらエンコーダセンサ27によってエンコーダシート36を検知している。これにより、キャリッジ3(記録ヘッド4)の主走査方向の位置を把握しながら、シートP上に位置精度良く画像を形成することが可能になる。
【0027】
図2~
図4は、本実施形態の画像形成システムの要部概略構成を示す説明図である。
本実施形態において、後処理装置2は、折り処理を行う折り装置である。
【0028】
図2に示す例では、切換手段12の爪状部が、後処理装置2にシートPが搬入される開口部を被覆する位置で停止しているため、シートPは第二経路R2へ搬送されている。
シートPはその後、後処理を施されることなく、排出ガイド板11に沿って装置外へ搬送される。
【0029】
図3及び
図4に示す例では、切換手段12の爪状部が後処理装置2にシートPが搬入される開口部を被覆しない位置で停止しているため、シートPは第一経路R1へ搬送される。
【0030】
画像形成装置1において、シートPはレジストローラ6によって下流側へ搬送される。記録ヘッド4によって印字されたシートPが排紙センサ9を通過すると、切換手段12の爪状部が
図3に示す位置に移動し、シートPの先端が後処理装置2に進入する。すなわち、シートPは第一経路R1へ搬送される。
【0031】
シートPは入口センサ13によって検知され、入口ローラ対14を通過し、折りローラ15,16,17まで搬送される。折りローラ15,16,17の正逆回転によって、シートPには所定の折り目が形成される。
入口ローラ対14、及び折りローラ15,16,17は、図示しない駆動手段により回転駆動される。
【0032】
本実施形態の画像形成システムでは、
図4に示すように、シートPを第一経路R1へ搬送するとき、切換手段12の上流側においてガイド手段10上にシートPの弛みが形成される。
なお、ガイド手段10は、画像形成装置1及び後処理装置2の外部に設けられているため、弛みを形成するための空間を装置内に確保する必要がなく、装置の大型化をまねくことがない。
【0033】
本実施形態の画像形成システムは、ガイド手段10上に形成されたシートPの弛み量を検知する弛み量検知手段を備えている。
また、本実施形態の画像形成システムは、画像形成装置1及び後処理装置2におけるシートPの搬送量(搬送距離)を検知する手段を備えている。弛み量検知手段は、例えば、画像形成装置1のシートPの搬送量と後処理装置2の第一経路R1におけるシートPの搬送量とから、ガイド手段10上に形成されるシートPの弛み量を算出することができる。
例えば、画像形成装置1のシートPの搬送量が後処理装置2の第一経路R1におけるシートPの搬送量よりも多い場合、形成される弛み量が増大する。
【0034】
なお、本実施形態の画像システムにおいて、画像形成装置1と後処理装置2との間でシートPのサイズ、搬送条件、及び搬送量等の情報や、各種センサによる信号を通信するための通信手段が設けられていてもよい。また、通信手段を介さず、画像形成装置1と後処理装置2とが機械的に一体に接続されていてもよい。
【0035】
切換手段12の爪状部を回動させる駆動手段は、弛み量検知手段が検知したシートPの弛み量に応じて、爪状部の停止位置を変更する。
図4に示すように、ガイド手段10上に形成されたシートPの弛み量が大きくなり、所定の弛み量を超えると、切換手段12の爪状部が回動し、先端が下流方向に移動する。これにより、シートPの弛みは下流方向に大きくなるように形成される。
【0036】
図5は、シートPの弛みと切換手段12の位置との関係を説明する図である。
シートPの弛み量は、
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)の順に大きくなっており、回動する切換手段12の爪状部の停止位置もシートPの弛み量に応じて変更されている。
以下、
図5(A)の状態を「弛み量:小」、
図5(B)の状態を「弛み量:中」、
図5(C)の状態を「弛み量:大」ということがある。また、切換手段12の位置について、
図5(A)の状態を「弛み量:小」に対応した位置、
図5(B)の状態を「弛み量:中」に対応した位置、
図5(C)の状態を「弛み量:大」に対応した位置ということがある。
【0037】
図5(A)~(C)に示すように、シートPの弛み量が大きくなるとともに、切換手段12の爪状部の移動量(回動量)も大きくなっている。
このように切換手段12がシートPの弛み量に応じて移動するため、形成された弛みに起因した不具合の発生を防止することができる。例えば、切換手段12がシートPの搬送の障害となったり、後処理装置2の上流側に滞留するシートPに座屈などが生じたりすることがない。
【0038】
図6は、本実施形態の画像形成システムにおけるシートPの搬送と切換手段12の動作を説明するフローチャートである。
なお、動作開始時の切換手段12は、
図2に示すように後処理装置2にシートPが搬入される開口部を被覆する位置、すなわちシートPを第二経路R2へ搬送する位置(以下、ホームポジションともいう)にあるものとする。
【0039】
まず、画像形成装置1による画像形成動作を開始する(S001)。画像形成されたシートPの排紙を、画像形成装置1の排紙センサ9のONにより検知する(S002)。
【0040】
次に、画像形成されたシートPに対して後処理を実施するか否かを判断する(S003)。後処理を実施しない場合は、切換手段12をホームポジションから移動させず、シートPを第二経路R2へ搬送する。
一方、後処理を実施する場合は、切換手段12を第一経路搬送側(シートPを第一経路R1へ搬送する位置)へ移動させる(S004)。
切換手段12の移動とは、回動可能に軸支された爪状部を駆動手段(モータ)により動作させることにより行われる。
【0041】
シートPが後処理装置2に搬送されたことを、入口センサ13がONとなることにより検知する(S005)。
入口センサ13がONとなった後、シートPの弛み量を検知する(S006)。具体的には、画像形成装置1からのシートPの搬送量、及び後処理装置2におけるシートPの搬送量から、ガイド手段10上に形成されるシートPの弛み量を算出する。
【0042】
検知されたシートPの弛み量に基づき、
図5(A)~(C)に示したように、切換手段12がシートPの弛み量に応じた位置にあるかを判断する(S007)。切換手段12がシートPの弛み量に応じた位置にない場合は、切換手段12を適切な位置へ移動させる(S008)。
具体的には、弛み量が大きい場合は、爪状部を駆動手段(モータ)により先端が下流側へ移動するように回動させ、弛み量が小さい場合は、爪状部を駆動手段(モータ)により先端が上流側へ移動するように回動させる。後処理を実施している間、この動作を継続する。
【0043】
画像形成装置1の排紙センサ9のOFFを検知し(S009)、さらに後処理装置2の入口センサ13のOFFを検知(S010)した後、切換手段12を第二経路搬送側(シートPを第一経路R2へ搬送する位置:ホームポジション)へ移動させる(S011)。
そして、画像形成されたシートPの排出完了(S012)により動作が終了する。
【0044】
本実施形態の画像形成システムによれば、装置の大型化をまねくことなく、搬送経路上のシートPに弛みを形成することができ、かつ形成される弛みを調整することができる。また、上述のように、本実施形態の画像形成システムは、画像形成装置1から排出されたシートPの搬送先を、切換手段12により、適宜第一経路R1または第二経路R2に切り換えることができる。
【0045】
本実施形態の画像形成システムでは、後処理を実行することが予定されたシートPであっても、後処理に不適であることが事前に検知された場合は、検知された情報に基づいて切換手段12を移動させ、搬送先を第二経路R2に切換えることができる。
【0046】
図7~
図9に基づいて、シートPの仕様に応じて搬送先を切り換える例について説明する。
本実施形態の画像形成システムは、シートPが後処理の適用対象となる仕様であるか否かを判断するためのセンサ類を後処理装置2の上流側に備えることができる。
図7は、本実施形態の画像形成システムの要部を示した図である。画像形成装置1は、排出されるシートPを検知する排紙センサ9の他、シートPの厚みを検知する手段としてのシート厚みセンサ83、及びシートPに形成された画像の印字率を検知する手段としての印字率センサ84を備えている。
【0047】
シートPの厚みを検知する手段(厚みセンサ83)を備える態様では、検知されたシートPの厚みに応じて、切換手段12によりシートPの搬送先を第一経路R1または第二経路R2に切り換えることができる。
例えば、画像形成システムが備える操作部から、後処理を実施する設定を行った場合であっても、検知されたシートPの厚みが後処理に対応しない厚みであった場合は、切換手段12の位置を、シートPの搬送先が第二経路R2となる位置とする。この場合、操作部が備える表示手段等に後処理が実行できない旨のアラートを表示してもよい。
【0048】
シートPの印字率を検知する手段(印字率センサ84)を備える態様では、検知されたシートPの印字率に応じて、切換手段12によりシートPの搬送先を第一経路R1または第二経路R2に切り換えることができる。
例えば、画像形成システムが備える操作部から、後処理を実施する設定を行った場合であっても、検知されたシートPの印字率が高く、後処理に適さない場合は、切換手段12の位置をシートPの搬送先が第二経路R2となる位置とする。この場合、操作部が備える表示手段等に後処理が実行できない旨のアラートを表示してもよい。
【0049】
図8は、シートPの厚みに応じたシートPの搬送と切換手段12の動作の流れを説明するフローチャートである。
なお、動作開始時の切換手段12は、
図2に示すように後処理装置2にシートPが搬入される開口部を被覆する位置、すなわちシートPを第二経路R2へ搬送する位置(以下、ホームポジションともいう)にあるものとする。
【0050】
まず、画像形成装置1による画像形成動作を開始する(S101)。画像形成されたシートPの排紙を、画像形成装置1の排紙センサ9により検知する(S102)。
次に、画像形成されたシートPに対して後処理を実施するか否かを判断する(S103)。後処理を実施しない場合は、切換手段12をホームポジションから移動させず、シートPを第二経路R2へ搬送し、シートPの排出完了(S106)により動作を終了する。
【0051】
後処理を実施する場合は、シートPの厚みを検知する手段(厚みセンサ83)により検知されたシートPの厚みに応じて、切換手段12を移動させる。シートPの厚みが、所定範囲内か否かを判断し(S104)、所定範囲外すなわち後処理の適用対象の要件を満たしていない場合は、ステップS106へ進む。シートPの厚みが所定範囲外とは、所定の厚みよりも厚い場合及び薄い場合のいずれも含まれる。
【0052】
一方、シートPの厚みが所定範囲内、すなわち後処理の適用対象の要件を満たしている場合は、切換手段12を第一経路搬送側(シートPを第一経路R1へ搬送する位置)へ移動させる(S105)。
切換手段12の移動とは、回動可能に軸支された爪状部を駆動手段(モータ)により動作させることにより行われる。
【0053】
結合子Aで示したステップS105以降のフローチャートは、
図5のフローチャート中の結合子A(ステップS005以降)に続く。
【0054】
図9は、シートPに形成された画像の印字率に応じたシートPの搬送と切換手段12の動作の流れを説明するフローチャートである。
なお、動作開始時の切換手段12は、
図2に示すように後処理装置2にシートPが搬入される開口部を被覆する位置、すなわちシートPを第二経路R2へ搬送する位置(以下、ホームポジションともいう)にあるものとする。
【0055】
まず、画像形成装置1による画像形成動作を開始する(S201)。画像形成されたシートPの排紙を、画像形成装置1の排紙センサ9により検知する(S202)。
次に、画像形成されたシートPに対して後処理を実施するか否かを判断する(S203)。後処理を実施しない場合は、切換手段12をホームポジションから移動させず、シートPを第二経路R2へ搬送し、シートPの排出完了(S206)により動作を終了する。
【0056】
後処理を実施する場合は、シートPに形成された画像の印字率を検知する手段(印字率センサ84)により検知された印字率に応じて、切換手段12を移動させる。シートPの印字率が、所定範囲内か否かを判断し(S104)、所定範囲外すなわち後処理の適用対象の要件を満たしていない場合は、ステップS106へ進む。印字率が所定範囲外とは、所定の印字率よりも高い場合が挙げられる。例えば、後処理が折り処理の場合、高い印字率のシートに折り目を形成することで、画像の損傷や品質の低下をまねくおそれがある。
【0057】
一方、シートPの印字率が所定範囲内、すなわち後処理の適用対象の要件を満たしている場合は、切換手段12を第一経路搬送側(シートPを第一経路R1へ搬送する位置)へ移動させる(S205)。
切換手段12の移動とは、回動可能に軸支された爪状部を駆動手段(モータ)により動作させることにより行われる。
【0058】
結合子Aで示したステップS205以降のフローチャートは、
図5のフローチャート中の結合子A(ステップS005以降)に続く。
【0059】
次に、
図10及び
図11に基づいて、ガイド手段10上のシートPにジャムが発生した場合の切換手段12の動作について説明する。
本実施形態の画像形成システムは、第一経路R1に搬送されるガイド手段10上のシートPにジャムが発生した場合、切換手段12の爪状部が、シートPを除去する経路を開放する方向へ移動する。具体的には、爪状部の可動範囲において、爪状部の先端がシートPの搬送方向の最も下流側となる位置(最大の移動量となる位置)に移動する。
【0060】
図10は、本実施形態の画像形成システムの要部を示した図である。
図10(B)及び
図10(C)に示すように、切換手段12の爪状部がシートPの弛み量に応じた位置で停止している状態では、ジャムが発生した場合、爪状部が障害となってシートPを除去することができない。
一方、
図10(A)は、切換手段12の爪状部の先端がシートPの搬送方向の最も下流側に移動した状態を示している。これにより、シートPを除去する経路(第二経路R2)が開放されるため、破線の矢印で示す方向にシートPを引き抜き、装置からシートPを容易に除去することができる。
【0061】
図11は、ガイド手段10上のシートPにジャムが発生した場合の切換手段12の動作の流れを説明するフローチャートである。
後処理の実施を開始し(S301)、切換手段12を第一経路搬送側(シートPを第一経路R1へ搬送する位置)へ移動させる(S302)。
その後、シートPのジャム発生が確認された場合(S303)、切換手段12を、シートPを除去可能な位置に移動させる(S304)。シートPを除去する経路が開放された後、シートPの除去を行う(S305)。
【0062】
本実施形態の画像形成システムが備える機能構成と制御部の概要について、
図12及び
図13を参照して説明する。
【0063】
図12は、本実施形態の画像形成システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図12に示すように、画像形成システムの制御部50に、画像形成装置1の排紙センサ9、後処理装置2の入口センサ13等の各種センサからの信号が送信されるように構成されている。
また、制御部50によって、画像形成システムが備える搬送ローラ41を駆動するローラ駆動手段40、切換手段12の爪状部を駆動する爪状部駆動手段42等も駆動制御される。さらに、シートPの搬送量算出手段81やシートPの弛み量検知手段82も制御される。
【0064】
図13は、本実施形態の画像形成システムの制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
制御部50は、
図13に示すように、CPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)53と、RAM(Random Access Memory)52と、HDD(Hard Disk Drive)54と、I/F55と、を備えている。
【0065】
CPU51は、ROM53に記憶されたプログラムを実行することにより、順次・分岐・反復処理等を実行する演算装置であり、画像形成システムの動作を統括的に制御する。ROM53は、CPU51で実行されるプログラム等が記憶された不揮発性記憶装置である。RAM52は、CPU51の動作のワークエリア(作業領域)として機能するメモリである。
【0066】
HDD(Hard Disk Drive)54は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体である。バスライン56は、CPU51等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。I/F55には、操作部と専用デバイスが接続されている。I/F55は、バスライン56と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。
【0067】
上記で説明した実施形態の各機能のうち、制御部50で実行される部分は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0068】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置の下流側に配設され、前記シートに後処理を実行する後処理部を備えた後処理装置と、
前記画像形成装置から排出された前記シートを下流側へ案内するガイド手段と、を備える画像形成システムであって、
前記シートを前記後処理部へ搬送する第一経路と、前記シートに後処理を実行せずに装置外へ搬送する第二経路と、前記シートの搬送先を前記第一経路または前記第二経路に切り換える切換手段と、を備え、
前記切換手段は、回動可能に軸支された爪状部と、前記爪状部を移動可能とする駆動手段と、を備え、
前記シートを前記第一経路へ搬送するとき、前記切換手段の上流側において前記ガイド手段上に前記シートの弛みを形成することを特徴とする画像形成システムである。
<2> 前記ガイド手段上に形成された前記シートの弛み量を検知する弛み量検知手段を備え、
前記駆動手段は、前記爪状部を無段階に移動可能とする駆動手段であり、前記弛み量検知手段が検知した前記シートの弛み量に応じて前記爪状部の停止位置を変更することを特徴とする前記<1>に記載の画像形成システムである。
<3> 前記シートの厚みを検知する手段を備え、
検知された前記シートの厚みに応じて、前記切換手段により前記シートの搬送先を前記第一経路または前記第二経路に切り換えることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の画像形成システムである。
<4> 前記シートに形成された画像の印字率を検知する手段を備え、
検知された印字率に応じて、前記切換手段により前記シートの搬送先を前記第一経路または前記第二経路に切り換えることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成システムである。
<5> 前記ガイド手段上の前記シートにジャムが発生した場合、前記切換手段の前記爪状部が、前記シートを除去する経路を開放する方向へ移動することを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成システムである。
<6> 前記後処理装置が折り装置であり、前記後処理部が、前記シートに対して折り処理を施す折り処理部であることを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成システムである。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成装置
2 後処理装置
2a 後処理部
9 排紙センサ
10 ガイド手段
11 排出ガイド板
12 切換手段
13 入口センサ
14 入口ローラ対
15、16、17 折りローラ
50 制御部
100 画像形成システム
P シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2012-116622号公報
【特許文献2】特開2020-121857号公報