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特開2024-145502基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラム
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  • 特開-基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145502
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/34 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
C23C16/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057883
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】松野 豊
(72)【発明者】
【氏名】清野 篤郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 有人
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA09
4K030AA14
4K030AA18
4K030BA18
4K030BA38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】成膜レートを向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】(a)第1元素とハロゲン元素を含む第1ガスを基板に供給する工程と、(b)前記第1元素と異なる第2元素を含む第2ガスを前記基板に供給する工程と、(c)第3元素を含み、還元性を有する第3ガスを前記基板に供給する工程と、(d)第4元素を含み、還元性を有する第4ガスを供給する工程と、を、(a)と(d)とが連続して行われ、(b)と(c)とが連続して行われるように所定回数行うことで、前記第1元素と前記第2元素とを含む膜を前記基板上に形成する工程、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1元素とハロゲン元素を含む第1ガスを基板に供給する工程と、
(b)前記第1元素と異なる第2元素を含む第2ガスを前記基板に供給する工程と、
(c)第3元素を含み、還元性を有する第3ガスを前記基板に供給する工程と、
(d)第4元素を含み、還元性を有する第4ガスを供給する工程と、を、
(a)と(d)とが連続して行われ、(b)と(c)とが連続して行われるように所定回数行うことで、前記第1元素と前記第2元素とを含む膜を前記基板上に形成する工程、
を有する基板処理方法。
【請求項2】
前記第3ガスは、前記第4ガスよりも分解温度が高い、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記膜は前記第3元素及び/又は前記第4元素を含まない、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
(b)と(c)との間において、前記第2ガスおよび前記第3ガスのうち少なくとも一方が、前記基板が存在する空間に存在する状態を維持する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項5】
(b)と(c)との間において、前記基板が存在する空間のパージを行わない、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
(b)と(c)との間において、前記基板へのガスの供給を行わない状態での前記基板が存在する空間の真空排気を行わない、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項7】
(b)の開始よりも後に(c)を開始する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項8】
(b)の終了と同時に(c)を開始する、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
(c)の開始よりも後に(b)を開始する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項10】
(c)の終了と同時に(b)を開始する、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
(a)と(d)とを少なくとも一部同時に行う、請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記第3ガスは、前記膜において所定の結晶面に配向する結晶粒子の割合を増加させる改質ガスである、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記第4ガスは、前記膜において所定の結晶面に配向する結晶粒子の割合を増加させる改質ガスである、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記第1元素は金属元素であり、前記膜は金属元素含有膜である、請求項1~11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第3元素は、第13族元素、第14族元素、第15族元素のうちいずれかである、請求項1~11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記第4元素は、第13族元素、第14族元素、第15族元素のうちいずれかである、請求項1~11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項17】
(a)第1元素とハロゲン元素を含む第1ガスを基板に供給する工程と、
(b)前記第1元素と異なる第2元素を含む第2ガスを前記基板に供給する工程と、
(c)第3元素を含み、還元性を有する第3ガスを前記基板に供給する工程と、
(d)第4元素を含み、還元性を有する第4ガスを供給する工程と、を、
(a)と(d)とが連続して行われ、(b)と(c)とが連続して行われるように所定回数行うことで、前記第1元素と前記第2元素とを含む膜を前記基板上に形成する工程、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板に、第1元素とハロゲン元素を含む第1ガスを供給する第1ガス供給系と、
前記基板に、前記第1元素と異なる第2元素を含む第2ガスを供給する第2ガス供給系と、
前記基板に、第3元素を含み、還元性を有する第3ガスを供給する第3ガス供給系と、
前記基板に、第4元素を含み、還元性を有する第4ガスを供給する第4ガス供給系と、
(a)前記第1ガスを前記基板に供給する処理と、(b)前記第2ガスを前記基板に供給する処理と、(c)前記第3ガスを前記基板に供給する処理と、(d)前記第4ガスを前記基板に供給する処理とを、(a)と(d)とが連続して行われ、(b)と(c)とが連続して行われるように所定回数行うことで、前記第1元素と前記第2元素とを含む膜を前記基板上に形成する処理、が行われるように、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系、及び前記第3ガス供給系を制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項19】
(a)第1元素とハロゲン元素を含む第1ガスを基板に供給する手順と、
(b)前記第1元素と異なる第2元素を含む第2ガスを前記基板に供給する手順と、
(c)第3元素を含み、還元性を有する第3ガスを前記基板に供給する手順と、
(d)第4元素を含み、還元性を有する第4ガスを供給する手順と、を、
(a)と(d)とが連続して行われ、(b)と(c)とが連続して行われるように所定回数行うことで、前記第1元素と前記第2元素とを含む膜を前記基板上に形成する手順を、
コンピュータにより基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程の1つとして、基板の表面に膜を形成する工程がある。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019/058608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
膜を形成する工程において、成膜速度(成膜レート)が低下等することがある。
【0005】
本開示は、成膜レートを向上させることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
(a)第1元素とハロゲン元素を含む第1ガスを基板に供給する工程と、
(b)前記第1元素と異なる第2元素を含む第2ガスを前記基板に供給する工程と、
(c)第3元素を含み、還元性を有する第3ガスを前記基板に供給する工程と、
(d)第4元素を含み、還元性を有する第4ガスを供給する工程と、を、
(a)と(d)とが連続して行われ、(b)と(c)とが連続して行われるように所定回数行うことで、前記第1元素と前記第2元素とを含む膜を前記基板上に形成する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、成膜レートを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態における基板処理装置の概略を示す縦断面図である。
図2図2は、図1におけるA-A線概略横断面図である。
図3図3は、実施形態における基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4図4(A)は、実施形態におけるガス供給のタイミングを示す図である。図4(B)は、実施形態の変形例1におけるガス供給のタイミングを示す図である。図4(C)は、実施形態の変形例2におけるガス供給のタイミングを示す図である。
図5図5(A)は、実験例の比較例1におけるガス供給のタイミングを示す図である。図5(B)は、実験例の比較例2におけるガス供給のタイミングを示す図である。図5(C)は、実験例の比較例3におけるガス供給のタイミングを示す図である。
図6図6は、実施形態において、図1の基板処理装置に追加された箇所とその周辺の概略を示す図である。
図7図7は、実験例におけるXRD測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、本開示の一態様について、図1~3、図4(A)、図6を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
基板処理装置10は、加熱手段(加熱機構、加熱系)としてのヒータ207が設けられた処理炉202を備える。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0011】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成するアウタチューブ203が配設されている。アウタチューブ203は、例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウタチューブ203の下方には、アウタチューブ203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)などの金属からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部と、アウタチューブ203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、アウタチューブ203は垂直に据え付けられた状態となる。
【0012】
アウタチューブ203の内側には、反応容器を構成するインナチューブ204が配設されている。インナチューブ204は、例えば石英、SiCなどの耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。主に、アウタチューブ203と、インナチューブ204と、マニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成されている。処理容器の筒中空部(インナチューブ204の内側)には処理室201が形成されている。
【0013】
処理室201は、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で鉛直方向に多段に配列した状態で収容可能に構成されている。処理室201内には、ノズル410,420,430がマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430には、ガス供給管310,320,330が、それぞれ接続されている。
【0014】
ガス供給管310,320,330には上流側から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322,332がそれぞれ設けられている。また、ガス供給管310,320,330には、開閉弁であるバルブ314,324,334がそれぞれ設けられている。ガス供給管310,320,330のバルブ314,324,334の下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管510,520,530がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520,530には、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC512,522,532及び開閉弁であるバルブ514,524,534がそれぞれ設けられている。
【0015】
ガス供給管310,320,330の先端部にはノズル410,420,430がそれぞれ連結接続されている。ノズル410,420,430は、L字型のノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430の垂直部は、インナチューブ204の径方向外向きに突出し、かつ鉛直方向に延在するように形成されているチャンネル形状(溝形状)の予備室201aの内部に設けられており、予備室201a内にてインナチューブ204の内壁に沿って上方(ウエハ200の配列方向上方)に向かって設けられている。
【0016】
ノズル410,420,430は、処理室201の下部領域から処理室201の上部領域まで延在するように設けられており、ウエハ200と対向する位置にそれぞれ複数のガス供給孔410a,420a,430aが設けられている。これにより、ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aからそれぞれウエハ200に処理ガスを供給する。このガス供給孔410a,420a,430aは、インナチューブ204の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一の開口面積を有し、さらに同一の開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給孔410a,420a,430aは上述の形態に限定されない。例えば、インナチューブ204の下部から上部に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給孔410a,420a,430aから供給されるガスの流量をより均一化することが可能となる。
【0017】
ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aは、後述するボート217の下部から上部までの高さの位置に複数設けられている。そのため、ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aから処理室201内に供給された処理ガスは、ボート217の下部から上部までに収容されたウエハ200の全域に供給される。ノズル410,420,430は、処理室201の下部領域から上部領域まで延在するように設けられていればよいが、ボート217の天井付近まで延在するように設けられていることが好ましい。
【0018】
ガス供給管310からは、処理ガスとして、第1元素とハロゲン元素を含む第1ガス(原料ガス、ハロゲン元素含有ガス)が、MFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201内に供給される。第1ガスとしては、例えば、第1元素としての金属元素とハロゲン元素を含むガス(ハロゲン系金属含有ガス)を用いることができる。
【0019】
ガス供給管320からは、処理ガスとして、還元性を有し、第3元素を含む第3ガスが、MFC322、バルブ324、ノズル420を介して処理室201内に供給される。
【0020】
図6に示すように、図1の基板処理装置のガス供給管320のバルブ324の下流側には、第4ガスを供給するガス供給管340が設けられている。ここで、図6の他の要素は、図1に示す基板処理装置と同様に構成されており、図1で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。ガス供給管340には、上流側から順に、流量制御器であるMFC342、開閉弁であるバルブ344が設けられている。
【0021】
ガス供給管340からは、処理ガスとして、還元性を有する第4元素と、を含む第4ガスが、MFC342、バルブ344、ガス供給管320、ノズル420を介して処理室201内に供給される。ここで、後述する理由から、第3ガスは、第4ガスよりも分解温度が高いガスとすることが好ましい。
【0022】
ガス供給管330からは、処理ガスとして、第1元素と異なる第2元素を含む第2ガス(反応ガス)が、MFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201内に供給される。
【0023】
ガス供給管510,520,530からは、不活性ガスとして、例えば窒素(N)ガスが、それぞれMFC512,522,532、バルブ514,524,534、ノズル410,420,430を介して処理室201内に供給される。以下、不活性ガスとしてNガスを用いる例について説明するが、不活性ガスとしては、Nガス以外に、例えば、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0024】
主に、ガス供給管310,320,330、MFC312,322,332、バルブ314,324,334、ノズル410,420,430により処理ガス供給系が構成されるが、ノズル410,420,430のみを処理ガス供給系と考えてもよい。処理ガス供給系は単にガス供給系と称してもよい。また、主に、ガス供給管510,520,530、MFC512,522,532、バルブ514,524,534により不活性ガス供給系が構成される。
【0025】
ガス供給管310から第1ガスを流す場合、主に、ガス供給管310、MFC312、バルブ314により第1ガス供給系が構成される。ここで、ノズル410を第1ガス供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管320から第3ガスを流す場合、主に、ガス供給管320、MFC322、バルブ324により第3ガス供給系が構成される。ここで、ノズル420を第3ガス供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管330から第2ガスを流す場合、主に、ガス供給管330、MFC332、バルブ334により第2ガス供給系が構成される。ここで、ノズル430を第2ガス供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管310,320,330、MFC312,322,332、バルブ314,324,334、ノズル410,420,430に、ガス供給管340、MFC342、バルブ344を含めて処理ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管340、MFC342、バルブ344、ガス供給管320により第4ガス供給系が構成される。ここで、ノズル420を第4ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0026】
本実施形態におけるガス供給の方法は、インナチューブ204の内壁と、複数枚のウエハ200の端部とで定義される円環状の縦長の空間内の予備室201a内に配置したノズル410,420,430を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410,420,430のウエハと対向する位置に設けられた複数のガス供給孔410a,420a,430aからインナチューブ204内にガスを噴出させている。より詳細には、ノズル410のガス供給孔410a、ノズル420のガス供給孔420a及びノズル430のガス供給孔430aにより、ウエハ200の表面と平行方向に向かって第1ガス等を噴出させている。
【0027】
排気孔(排気口)204aは、インナチューブ204の側壁であってノズル410,420,430に対向した位置に形成された貫通孔であり、例えば、鉛直方向に細長く開設されたスリット状の貫通孔である。ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aから処理室201内に供給され、ウエハ200の表面上を流れたガスは、排気孔204aを介してインナチューブ204とアウタチューブ203との間に形成された隙間からなる排気路206内に流れる。そして、排気路206内へと流れたガスは、排気管231内に流れ、処理炉202外へと排出される。
【0028】
排気孔204aは、複数のウエハ200と対向する位置に設けられており、ガス供給孔410a、420a、430aから処理室201内のウエハ200の近傍に供給されたガスは、水平方向に向かって流れた後、排気孔204aを介して排気路206内へと流れる。排気孔204aはスリット状の貫通孔として構成される場合に限らず、複数個の孔により構成されていてもよい。
【0029】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、上流側から順に、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245,APC(Auto Pressure Controller)バルブ243,真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気及び真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができる。主に、排気孔204a,排気路206,排気管231,APCバルブ243及び圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0030】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に鉛直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219における処理室201の反対側には、ウエハ200を収容するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、アウタチューブ203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって鉛直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入及び搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217及びボート217に収容されたウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0031】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で鉛直方向に間隔を空けて配列させるように構成されている。ここで、本明細書における「25~200枚」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「25~200枚」とは「25枚以上200枚以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0032】
ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段(図示せず)に支持されている。
【0033】
図2に示すように、インナチューブ204内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電量を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410,420及び430と同様にL字型に構成されており、インナチューブ204の内壁に沿って設けられている。
【0034】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a,RAM(Random Access Memory)121b,記憶装置121c,I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b,記憶装置121c,I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。また、コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を接続することが可能に構成されている。
【0035】
ここで、基板処理装置は、制御部を1つ備えるように構成されていてもよく、制御部を複数備えるように構成されていてもよい。すなわち、後述する基板処理工程を行うための制御を、1つの制御部を用いて行うようにしてもよく、複数の制御部を用いて行うようにしてもよい。また、複数の制御部は、有線または無線の通信ネットワークにより互いに接続された制御系として構成されていてもよく、後述する基板処理工程を行うための制御を制御系全体により行うようにしてもよい。本明細書において制御部という言葉を用いた場合は、1つの制御部を含む場合の他、複数の制御部や、複数の制御部によって構成される制御系を含む場合がある。
【0036】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御することが可能なように構成される制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件などが記載されたプロセスレシピなどが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)をコントローラ121に実行させることが可能なように構成され、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピ及び制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0037】
I/Oポート121dは、上述のMFC312,322,332,342,512,522,532、バルブ314,324,334,344,514,524,534、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0038】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピ等を読み出すことが可能なように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC312,322,332,342,512,522,532による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,334,344,514,524,534の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作及びAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動及び停止、回転機構267によるボート217の回転及び回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、ボート217へのウエハ200の収容動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0039】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0040】
(2)基板処理工程(成膜工程)
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、ウエハ200上に膜を形成する工程の一例について、図4(A)を用いて説明する。膜を形成する工程は、上述した基板処理装置10を用いて実行される。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0041】
本実施形態による基板処理工程(半導体装置の製造工程)では、
(a)第1元素とハロゲン元素を含む第1ガスをウエハ200に供給する工程と、
(b)第1元素と異なる第2元素を含む第2ガスをウエハ200に供給する工程と、
(c)第3元素を含み、還元性を有する第3ガスをウエハ200に供給する工程と、
(d)第4元素を含み、還元性を有する第4ガスをウエハ200に供給する工程と、を、
(a)と(d)とが連続して行われ、(b)と(c)とが連続して行われるように所定回数行うことで、第1元素と第2元素とを含む膜をウエハ200上に形成する。
【0042】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体」を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面」を意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0043】
また、本明細書において「ある元素Aを含まない膜」とは、元素Aを実質的に含まない膜のことを意味する。「元素Aを実質的に含まない」とは、膜中に元素Aを全く含まない場合のほか、元素Aをほぼ含まない場合等、膜中の元素Aの含有量が極めて低い場合も含まれる。例えば、膜中の元素A含有量が原子組成百分率で4%程度であって、好ましくは原子組成百分率で4%以下である場合も含まれる。
【0044】
(ウエハ搬入)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0045】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0046】
[第1の工程]
(第1ガス供給)
バルブ314を開き、ガス供給管310内に原料ガスである第1ガスを流す。第1ガスは、MFC312により流量調整され、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給される。このとき、バルブ514を開き、ガス供給管510内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管510内を流れたNガスは、MFC512により流量調整され、第1ガスと一緒に処理室201内に供給される。
【0047】
このとき、バルブ524,534を開き、ガス供給管520,530、320,330、ノズル420,430を介して、処理室201内にNガスを供給する。これにより、ノズル420,430内への第1ガスの侵入を防ぐことができる。すなわち、ウエハ200に対して第1ガスとNガスが供給される。処理室201内に供給された第1ガスとNガスは、排気管231から排気される。
【0048】
このとき、APCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば1~3990Paの範囲内の圧力とする。MFC312で制御する第1ガスの供給流量は、例えば0.1~2.0slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば0.1~20slmの範囲内の流量とする。このときヒータ207の温度を、ウエハ200の温度が、例えば300~600℃の範囲内の温度となるように設定する。
【0049】
このとき処理室201内に流しているガスは第1ガスとNガスのみである。第1ガスの供給により、ウエハ200(もしくは、ウエハ200表面の下地膜)上に第1元素含有層が形成される。第1元素含有層は、ハロゲン元素を含む第1元素層であってもよいし、第1ガスの吸着層であってもよいし、それらの両方を含んでいてもよい。
【0050】
(第4ガス供給)
第1ガスの供給開始から所定時間経過後であって例えば0.01~5秒後に、バルブ344を開き、ガス供給管340内に第4ガスを流す。ここで、第4ガスは、MFC342により流量調整され、ガス供給管320を介してノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給される。
【0051】
このとき、同時にバルブ524を開き、ガス供給管520内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管520内を流れたNガスは、MFC522により流量調整され、第4ガスと一緒に処理室201内に供給される。このとき、バルブ524、534を開き、ガス供給管520、530、320、330、ノズル420、430を介して処理室201内に供給する。すなわち、ウエハ200に対して第1ガスと第4ガスとNガスが供給されることとなる。
【0052】
このとき、APCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば1~3990Paの範囲内の圧力とする。MFC312で制御する第2ガスの供給流量は、例えば0.1~2.0slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量やヒータ207の温度を、例えば第1ガス供給時と同様となるように設定する。
【0053】
第1ガスの供給を開始してから所定時間経過後であって、例えば0.01~10秒後に、ガス供給管310のバルブ314を閉じて、第1ガスの供給を停止する。つまり、第1ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば0.01~10秒の範囲内の時間とする。このとき、ノズル410、430内への第4ガスの侵入を防止するために、バルブ514、534を開き、ガス供給管510、530内にNガスを流す。このとき、ウエハ200に対して第4ガスとNガスが供給されることとなる。
【0054】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば130~3990Paの範囲内の圧力とする。このような圧力の範囲とすることで、第4元素を含まない膜を形成することができる。また、MFC342で制御する第4ガスの供給流量は、例えば0.1~5slmの範囲内の流量とする。MFC512、522、532で制御するNガスの供給流量やヒータ207の温度を、例えば、第1ガス供給時と同様となるように設定する。
【0055】
第1の工程では、第1ガスの供給の停止と同時に、又は、第1ガスの供給の停止より前に、第4ガスの供給を開始する。これにより、第1ガスをウエハ200に供給する工程と、第4ガスをウエハ200に供給する工程と、が連続して行われることになる。言い換えると、第1の工程では、第1ガスと第4ガスのうち少なくとも一方が、処理室201内に存在する状態を維持している。
【0056】
[第2の工程]
(残留ガス除去)
第4ガスの供給を開始してから所定時間経過後であって、例えば0.01~10秒後に、バルブ344を閉じて、第4ガスの供給を停止する。排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気してもよい。このとき、処理室201内に残留する、未反応もしくは第1元素含有層形成に寄与した後の第1ガスや、未反応もしくは副生成物と反応した後の第4ガスを、処理室201内から排除する。このときバルブ514,524,534は開いたままとして、処理室201内へのNガスの供給を維持してもよい。このNガスがパージガスとして作用し、処理室201内に残留する、未反応もしくは第1元素含有層の形成に寄与した後の第1ガスや、未反応もしくは副生成物と反応した後の第4ガスを、処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0057】
[第3の工程]
(第2ガス供給)
残留ガスを除去した後、バルブ334を開き、ガス供給管330内に反応ガスである第2ガスを流す。第2ガスは、MFC332により流量調整され、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給される。このとき、同時にバルブ534を開き、ガス供給管530内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管530内を流れたNガスは、MFC532により流量調整され、第2ガスと一緒に処理室201内に供給される。このとき、処理室201内に流しているガスは、第2ガスとNガスのみである。
【0058】
このとき、バルブ514、524を開き、ガス供給管510、520、310、320、ノズル410、420を介して、Nガスを処理室201内に供給する。これにより、ノズル410、420内への第2ガスの侵入を防ぐことができる。すなわち、ウエハ200に対して第2ガスとNガスが供給されることとなる。
【0059】
このとき、APCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば1~3990Paの範囲内の圧力とする。MFC312で制御する第2ガスの供給流量は、例えば0.1~2.0slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量やヒータ207の温度を、例えば第1ガス供給時と同様となるように設定する。
【0060】
処理室201内に供給された第2ガスは、ウエハ200上の第1元素含有層の少なくとも一部と反応する。これによって、ウエハ200上に第1元素と第2元素を含む層(第1・2元素含有層)が形成される。
【0061】
(第3ガス供給)
第2ガスの供給開始から所定時間経過後であって例えば0.01~5秒後に、バルブ324を開き、ガス供給管320内に還元ガスである第3ガスを流す。ここで、第3ガスは、MFC322により流量調整され、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給される。このとき、同時にバルブ524を開き、ガス供給管520内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管520内を流れたNガスは、MFC522により流量調整され、第3ガスと一緒に処理室201内に供給される。
【0062】
このとき、バルブ514を開き、ガス供給管510、310、ノズル410を介して処理室201内に供給する。これにより、ノズル410内への第2ガスと第3ガスの侵入を防ぐことができる。すなわち、ウエハ200に対して第2ガスと第3ガスとNガスが供給されることとなる。
【0063】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば130~3990Paの範囲内の圧力とする。このような圧力の範囲とすることで、第3元素を含まない膜を形成することができる。また、MFC322で制御する第3ガスの供給流量は、例えば0.1~5slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量やヒータ207の温度を、例えば、第1ガス供給時と同様となるように設定する。
【0064】
第2ガスの供給を開始してから所定時間経過後であって、例えば0.01~60秒後に、ガス供給管330のバルブ334を閉じて、第2ガスの供給を停止する。つまり、第2ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば0.01~10秒の範囲内の時間とする。このとき、ノズル410,430内への第3ガスの侵入を防止するために、バルブ514,534を開き、ガス供給管510,530内にNガスを流す。このとき、ウエハ200に対して第3ガスとNガスが供給されることとなる。
【0065】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば130~3990Paの範囲内の圧力とする。また、MFC322で制御する第3ガスの供給流量は、例えば0.1~5slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量やヒータ207の温度を、例えば、第1ガス供給時と同様となるように設定する。
【0066】
第3の工程では、第2ガスの供給の停止より前に第3ガスの供給を開始する、又は、図4(B)に示すガス供給のタイミング(実施形態の変形例1として後述)のように、第2ガスの供給の停止と同時に第3ガスの供給を開始する。これにより、第2ガスをウエハ200に供給する工程と、第3ガスをウエハ200に供給する工程と、が連続して行われることになる。言い換えると、第3の工程では、第2ガスと第3ガスのうち少なくとも一方が、処理室201内に存在する状態を維持している。
【0067】
[第4の工程]
(残留ガス除去)
第3ガスの供給を開始してから所定時間経過後であって、例えば0.01~10秒後に、バルブ324を閉じて、第3ガスの供給を停止する。そして、上述した第2の工程と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第1・2元素含有層の形成に寄与した後の第2ガスや反応副生成物、未反応もしくは副生成物と反応した後の第3ガスを処理室201内から排除する。
【0068】
(所定回数実施)
第1の工程~第4の工程を順に行うサイクルを1回以上(所定回数(n回))行うことにより、ウエハ200上に、所定の厚さ(例えば0.5~5.0nm)の、第1元素と第2元素とを含む膜を形成する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。このとき、上述した条件で第1の工程、第3の工程を行うことで、第1元素と第2元素とを含み、第3元素及び/又は第4元素を含まない膜を形成することができる。
【0069】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ガス供給管510,520,530のそれぞれからNガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0070】
(ウエハ搬出)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0071】
第1ガスとしてハロゲン元素を有する物質を用いている場合、第1元素含有層及び/又は第1・2元素含有層の形成の際、ハロゲン元素を含む副生成物が生成する。また、例えば、第2ガスがHを含んでいる場合、ハロゲン元素を含む副生成物として、例えば、ハロゲン化水素が生成する。このような副生成物は、第1ガス及び/又は第2ガスと、ウエハ200表面と、の反応を阻害する場合がある。すなわち、このような副生成物がウエハ200上や処理室201内に多く存在するほど、第1元素含有層及び/又は第1・2元素含有層の形成が阻害されるため、成膜レートは低下する傾向にある。
【0072】
第1の工程において第4ガスは、第1元素含有層の形成時に生成した副生成物と反応(もしくは、副生成物を還元)し、ハロゲン化した第4元素として処理室201内から排出される。また、第3の工程における第3ガスは、第1・2元素含有層の形成時に生成した副生成物と反応(もしくは、副生成物を還元)し、ハロゲン化した第3元素として処理室201内から排出される。これらにより、第1工程及び第3工程におけるウエハ200上や処理室201内に存在する副生成物の量が減少するため、成膜レートを向上させることができる。
【0073】
実施形態の第1工程において、第2ガスの供給と第3ガスの供給とが連続するように行っている。この時、第2ガスの供給と第3ガスの供給とが連続して行われない場合と比べて、副生成物が生成されてから第3ガスと反応するまでの時間が短くなる。これにより、ウエハ200表面に吸着する副生成物の量をさらに減少させられるため、成膜レートを向上させることができる。このことから、第2ガスの供給と第3ガスの供給の間において処理室201内の不活性ガスによるパージを行わないことが好ましい。また、ウエハ200への第2ガス又は第3ガスの供給を行わない状態での処理室201内の排気を行わないことが好ましい。
【0074】
同様のことが、第3工程においても成り立つ。すなわち、第2ガスの供給と第3ガスの供給とが連続するように行うことで、成膜レートを向上させることができる。また、第1ガスの供給と第4ガスの供給の間において処理室201内の不活性ガスによるパージを行わない、もしくは、ウエハ200への第1ガス又は第4ガスの供給を行わない状態での処理室201内の排気を行わないことが好ましい。
【0075】
実施形態において、第2ガスに連続して供給される第3ガス中の第3元素は、第1ガスに連続して供給される第4ガス中の第4元素と比べて、膜に取り込まれやすい傾向がある。しかし、第3ガスと第4ガスとの両方を膜に取り込まれにくい安定なガスとした場合、第3ガスが膜に取り込まれることを抑制できるが、第1ガス供給時における副生成物を除去する効果が低下してしまう傾向がある。これらのことから、第3ガスを第4ガスよりも分解温度が高いガス(安定なガス、反応性が低いガス)とすることが、第1元素と第2元素を含み、第3元素を含まない膜を形成するうえで好ましい。これにより、第3ガスが膜中に取り込まれにくくしつつ第1ガス供給時における副生成物を除去する効果を低下しにくくすることができる。
【0076】
(3)変形例
図4(B)は、実施形態の変形例1におけるガス供給のタイミングを示す図である。図4(B)に示すように、第2ガスの供給の終了と同時に、第3ガスの供給を開始してもよい。この場合、実施形態と同様に成膜レートを改善できることができる。
【0077】
ここで、第2ガスと第3ガスの両方が供給されている時間が長いほど、膜中の第3元素含有率が高くなる傾向がある。ただし、上述した通り、成膜レートの向上のためには、第2ガスの供給と第3ガスの供給とが連続するように行われることが好ましい。これらのことから、第2ガスの供給の終了と同時に第3ガスの供給を開始することで、良好な成膜レートで、第1元素と第2元素を含み、第3元素を含まない膜を形成しやすくなる。
【0078】
これに対して、第1ガスに連続して供給される第4ガス中の第4元素は、第2ガスに連続して供給される第3ガス中の第3元素と比べて、膜に取り込まれにくい傾向がある。また、第1ガスの供給と第4ガスの供給とを少なくとも一部同時に行う場合、第1ガスの供給の終了と同時に第4ガスの供給を開始する場合に比べて、第1ガスの反応に由来して副生成物が発生してから第4ガスと反応する前の時間が長くなる。これらのことから、第1ガスの供給と第4ガスの供給とを一部同時に行うことで、第1元素と第2元素を含み、第4元素を含まない膜を形成する際の成膜レートを改善しやすくなる。
【0079】
図4(C)は、実施形態の変形例2におけるガス供給のタイミングを示す図である。図4(C)に示すように、第3ガスの供給の終了と同時に、第2ガスの供給を開始してもよい。また、第3ガスの供給と第2ガスの供給とが連続するようにした上で、第3ガスの供給中に第2ガスの供給を開始してもよい。これらの場合においても実施形態と同様に、成膜レートを改善することができる。
【0080】
また、第2ガスと反応する前の第1元素含有層は、第2ガスとの反応した後と比較して第3ガスと反応しやすい傾向がある。そのため、第3ガスが第2ガスよりも先に第1元素含有層へと到達する変形例2では、変形例1と比較して、膜の第3元素含有率が高くなる傾向がある。すなわち、第1元素と第2元素を含み、第3元素を含まない膜を形成する際には、実施形態や変形例1のように第2ガスの供給の開始の後に第3ガスの供給を開始する方が、変形例2のように第3ガスの供給の開始の後に第2ガスの供給を開始するよりも好ましい。
【0081】
以下に実験例を説明する。ただし、本開示はこれらの実験例により限定されるものではない。
【0082】
<実験例>
本実験例では、上述の実施形態にて用いられた基板処理装置10を用い、後述する条件で窒化チタン(TiN)膜を形成している。本実験例では、第1元素としてのチタン(Ti)とハロゲン元素とを含むガスを第1ガス、を、第2元素として窒素(N)を含むN含有ガスを第2ガス、第3元素として第15族元素を含む、還元性を有するガスを第3ガス、第4元素としての第14族元素を含み、還元性を有するガスを第4ガス、としている。
【0083】
条件1では変形例1として説明した図4(B)のガス供給タイミングを、条件2では変形例2として説明した図4(C)のガス供給タイミングをそれぞれ用いて基板上にTiN膜を形成した。また、比較例1として、図5(A)に示すガス供給のタイミングを用いて、基板上にTiN膜を形成した。具体的には、比較例1では、第1ガス供給、残留ガス除去、第2ガス供給、残留ガス除去、のサイクルを所定回数行ってTiN膜を形成した。また、比較例2として、図5(B)に示すガス供給のタイミングを用いて、基板上にTiN膜を形成した。具体的には、比較例2では、第1ガス供給、第1ガスと第4ガスの同時供給、第4ガス供給、残留ガス除去、第2ガス供給、残留ガス除去、のサイクルを所定回数行ってTiN膜を形成した。また、比較例3として、図5(C)に示すガス供給のタイミングを用いて、基板上にTiN膜を形成した。具体的には、比較例3では、第1ガス供給、第1ガスと第3ガスの同時供給、第3ガス供給、残留ガス除去、第2ガス供給、残留ガス除去、のサイクルを所定回数行ってTiN膜を形成した。また、ガス供給タイミング以外の条件は、上述の実施形態で例示した範囲内で行われている。
【0084】
これらのTiN膜について、X線回折(XRD:X-ray Diffraction)測定を行った結果を図7に示す。
【0085】
比較例1のTiN膜は、TiN結晶の200回折の強度に対して、111回折の強度が低くなっている。このことから、TiN膜中において、ウエハ200の表面に垂直な方向に{111}面を向けて成長するTiN結晶粒子の割合は、{100}面に比べて多くなっていることがわかる。すなわち、{111}面が優位な結晶配向となっている。{111}面が優位な結晶配向のTiN膜は、結晶粒子間にすき間が形成されやすく、このすき間に液体やガスなどが侵入することで、酸化物などTiN以外の物質が発生するなど、膜質の低下につながることがある。従って、このようなTiN膜は、膜質が低くなりやすく、電気抵抗が大きくなりやすい。言い換えると、{111}面以外の面が優位な結晶配向とすることで、TiN膜の膜質と電気抵抗を改善することができる。
【0086】
比較例2のTiN膜は、111回折の強度に対する200回折線の強度が比較例1のTiN膜と比べて高くなっている。このことから、{100}面に配向するTiN結晶粒子が増加したことが分かる。従って、比較例2のように、第1ガス供給と第4ガス供給とを連続して行うことによって、TiN膜の膜質を改善することができる。
【0087】
比較例3のTiN膜も同様に、111回折の強度に対する200回折線の強度が比較例1のTiN膜と比べて高くなっている。すなわち、比較例3のように、第1ガス供給と第3ガス供給とを連続して行うことによって、TiN膜の膜質を改善することができる。
【0088】
さらに、比較例3のTiN膜は、111回折の強度200回折線の強度が比較例2のTiN膜と比べて高くなっている。従って、比較例2のように、第1ガス供給と第4ガス供給とを連続して行うよりも、比較例3のように、第1ガス供給と第3ガス供給とを連続して行う方が、TiN膜の膜質を改善する効果は大きい。
【0089】
また、条件1と条件2のTiN膜は、111回折の強度200回折線の強度が、比較例2のTiN膜と比べて高くなっている。従って、条件1と条件2のように、第2ガス供給と第3ガス供給とを連続して行うこと、及び第2ガス供給と第4ガス供給とを連続して行うことによって、TiN膜の膜質を改善することができる。
【0090】
さらに、条件1のTiN膜は、111回折の強度200回折線の強度が、条件2のTiN膜と比べて高くなっている。加えて、条件2のTiN膜は、回折ピークの高さに対する幅が、条件2のTiN膜と比べて大きくなっている。このことから、条件2のTiN膜の方が、条件1のTiN膜よりもアモルファスに近い状態であることが分かる。言い換えると、条件1のTiN膜の方が、条件2のTiN膜よりも結晶性がよいことが分かる。従って、第2ガス供給と第3ガス供給とを連続して行う場合、条件1のように、第2ガスの供給開始の後に第3ガスの供給を開始する方が、条件2のように、第3ガスの供給開始の後に第2ガスの供給を開始するよりも好ましい。
【0091】
以上から、TiN膜を形成する工程において、第3ガス及び/または第4ガスは、形成されるTiN膜において、所定の結晶面に配向するTiN結晶粒子の割合を増加させる改質ガスとして機能する。そのため、第3ガス及び/または第4ガスを供給する工程を、TiN膜を改質する工程とみなしてもよい。
【0092】
実験例では、第1元素とハロゲン元素を含む第1ガス(原料ガス)として、第1元素として金属元素であるTiとハロゲン元素とを含むガスを用いて説明した。しかし、本開示はこれに限定されない。例えば、第1元素として、金属元素である、タンタル(Ta)、タングステン(W)、コバルト(Co)、イットリウム(Y)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)等であってもよい。また、ハロゲン元素としては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等を用いることができる。
【0093】
第1ガスとしてのハロゲン元素と金属元素とを含むガスとして、例えば、五塩化タンタル(TaCl)、五フッ化タンタル(TaF)、六塩化タングステン(WCl)、六フッ化タングステン(WF)、四フッ化チタニウム(TiF)、二塩化コバルト(CoCl)、二塩化コバルト(CoF)、三塩化イットリウム(YCl)、三フッ化イットリウム(YF)、三塩化ルテニウム(RuCl)、三フッ化ルテニウム(RuF)、三塩化アルミニウム(AlCl)、三フッ化アルミニウム(AlF)、四塩化ハフニウム(HfCl)、四フッ化ハフニウム(HfF)、四塩化ジルコニウム(ZrCl)、四フッ化ジルコニウム(ZrF))、五フッ化モリブデン(MoF)、五塩化モリブデン(MoCl)、三フッ化ニオブ(NbF)、三塩化ニオブ(NbCl)、二フッ化マンガン(MnF)、二塩化マンガン(MnCl)、二フッ化ニッケル(NiF)、二塩化ニッケル(NiCl)、テトラクロロシラン(SiCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、モノクロロシラン(SiHCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)等のガスを用いて形成される膜種に適用することができる。第1ガスとして、これらのうち1以上を用いることができる。
【0094】
実験例では、第2ガス(原料ガス)として、第2元素としてNを含むN含有ガス(窒化ガス)を用いて説明した。しかし、本開示はこれに限定されない。第2元素としては、例えば、第16族元素である酸素(O)を用いることができる。第2ガスとしては、例えば、第2元素としてのOを含むO含有ガス(酸化ガス)を用いることができる。
【0095】
第2ガスとしてのN含有ガスとしては、例えば、N及び水素(H)含有ガス、炭素(C)及びN含有ガスを用いることができる。N及びH含有ガスとしては、例えば、N-H結合を含む窒化水素系ガスを用いることができる。具体的には、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、ジアゼン(N)、N等を用いることができる。また、C及びN含有ガスとしては、アミン系ガス、有機ヒドラジン系ガスを用いることができる。また、例えば、モノエチルアミン(CNH)、ジエチルアミン((CNH)、トリエチルアミン((CN)、モノメチルアミン(CHNH)、ジメチルアミン((CHNH)、トリメチルアミン((CHN)等を用いることができる。また、例えば、モノメチルヒドラジン((CH)HN)、ジメチルヒドラジン((CH)、トリメチルヒドラジン((CH(CH)H)等を用いることができる。第2ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0096】
また、第2ガスとしてのO含有ガスとしては、例えば、酸素(O)ガス、亜酸化窒素(NO) ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO)ガス、オゾン(O)ガス、水蒸気(HOガス)、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス等を、Oガス+ 水素(H)ガス、Oガス+Hガス、HOガス+Hガス等用いることができる。なお、本明細書において「Oガス+Hガス」のような2つのガスの併記記載は、OガスとHガスとの混合ガスを意味している。第2ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0097】
実験例では、第3ガスとして、第3元素として第15族元素を含む、還元性を有するガスを、第4ガスとして、第4元素としての第14族元素を含み、還元性を有するガスを、それぞれ用いて説明した。しかし、本開示はこれに限定されない。第3元素及び/又は第4元素として、例えば、第13族元素、第14族元素、第15族元素のうちいずれかを用いることができる。
【0098】
また、第3元素として第15族元素を用いることが好ましい。これにより、第3元素を膜中に取り込まれにくくすることができる。また、第3元素として第15族元素であるPを用いることがさらに好ましい。これにより、さらに第3元素を膜中に取り込まれにくくすることができる。さらに、第3元素として第15族元素を用いる際には、第4元素として第14族元素を用いることが好ましい。これにより、さらに第4元素を膜中に取り込まれにくくすることができる。
【0099】
第13族元素としては、例えば、ボロン(B)を用いることができる。第14族元素としては、例えば、C、Si、Geを用いることができる。第15族元素としては、例えば、N、Pを用いることができる。ただし、第3元素及び/又は第4元素を含まない膜を形成する場合には、第3元素及び/又は第4元素として、第1元素及び第2元素と異なる元素を用いることが好ましい。
【0100】
また、第3元素とHを含むガス又は第4元素とHとを含むガスを用いても、上述の効果が得られる。このようなガスとしては、例えば、1分子中に第3元素と水素の結合を含むガス又は1分子中に第4元素と水素の結合を含むガスをそれぞれ用いることができる。このようなガスとしては、例えば、1分子中に第3元素と水素のみを含むガス又は1分子中に第4元素と水素の結合を含むガスをそれぞれ用いることができる。ハロゲン元素を含む副生成物を第3ガス及び/又は第4ガスによって除去する場合は、ハロゲン元素を含まないガスを用いることが好ましい。
【0101】
以上のようなガスとして、例えば、ボラン(BH3)、ジボラン(B)、メタン(CH)、エタン(C)、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、モノゲルマン(GeH)、ジゲルマン(Ge)、NH、N、ホスフィン(PH)、ジホスフィン(P)等のガスのうち1以上を、第3ガス及び第4ガスとして用いることができる。また、これらのガスのうち1以上を、第3ガスの分解温度が、第4ガスよりも高いガスとなるように選択されることが好ましい。
【0102】
また、実施形態及びこれらの変形例、実験例では、第3ガスと第4ガスを共通のノズル420から処理室201内に供給する構成について説明した。しかし、本開示はこれに限定されない。第3ガスと第4ガスを個別のノズルから処理室201内に供給する場合にも適用できる。
【0103】
また、実施形態及び変形例、実験例では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて成膜を行う構成について説明した。しかし、本開示はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する基板処理装置を用いて成膜を行う場合にも、好適に適用できる。また、上述の態様では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0104】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様や変形例、実験例と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様や変形例、実験例と同様の効果が得られる。
【0105】
以上、実施形態及びその変形例1、変形例2、実験例における比較例1、比較例2、比較例3などを説明してきた。しかし、本開示はそれらの実施形態に限定されず、適宜組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0106】
10 基板処理装置
121 コントローラ
200 ウエハ(基板)
201 処理室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7