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特開2024-145508セメント組成物、セメント組成物の製造方法、モルタル組成物、及びコンクリート組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145508
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】セメント組成物、セメント組成物の製造方法、モルタル組成物、及びコンクリート組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/00 20060101AFI20241004BHJP
   C04B 14/28 20060101ALI20241004BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C04B7/00 ZAB
C04B14/28
C04B28/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057892
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】山下 牧生
(72)【発明者】
【氏名】大崎 雅史
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA10
(57)【要約】
【課題】本開示は、5質量%を超える含有量の石灰石を含みながら、コンクリート組成物だけでなくモルタル組成物の硬化体の圧縮強さを改善でき、しかも十分に低い水和熱を示すセメント組成物に関する。
【解決手段】セメントクリンカ、石膏、及び石灰石を含む、セメント組成物。石灰石の含有量が5質量%を超えて15質量%以下である。セメント組成物が3500cm以上4000cm/g以下のブレーン比表面積を有する。セメント組成物の粒度分布において、式:Rc=R35.1/(R10.9-R35.1)によって算出されるRcが0.27以上0.40以下である。セメントクリンカにおいてSOの含有量が0.3質量%以上1.5質量%以下である。石膏の半水化率が25質量%以上90質量%以下である。セメント組成物を含むモルタル組成物のせん断速度1s-1における見かけ粘度が1Pa・s以上8Pa・s以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントクリンカ、石膏、及び石灰石を含む、セメント組成物であって、
当該セメント組成物の質量を基準として、前記石灰石の含有量が5質量%を超えて15質量%以下で、前記セメントクリンカ及び前記石膏の合計の含有量が85質量%以上95質量%未満であり、
当該セメント組成物が、3500cm/g以上4000cm/g以下のブレーン比表面積を有する粉体であり、
当該セメント組成物のレーザー回析・散乱法による粒度分布において、粒径10.9μm以上の部分の割合がR10.9[%]で、粒径35.1μm以上の部分の割合がR35.1[%]であるとき、
式:Rc=R35.1/(R10.9-R35.1
によって算出されるRcが0.27以上0.40以下であり、
前記セメントクリンカにおいて、SOの含有量が前記セメントクリンカの質量を基準として0.3質量%以上1.5質量%以下で、CS量が50質量%以上64質量%以下で、CA量が9.0質量%以上12質量%以下であり、CS量及びCA量がBogue式によって算出される値であり、
式:半水化率=100×半水石膏の質量/(半水石膏の質量+二水石膏の質量)
によって算出され、前記式中の半水石膏の質量及び二水石膏の質量がSO換算の質量である、前記石膏の半水化率が、25質量%以上90質量%以下であり、
当該セメント組成物、水及び珪砂のみを含むモルタル組成物の温度20℃、せん断速度1s-1における見かけ粘度が1Pa・s以上8Pa・s以下であり、
前記見かけ粘度が、当該セメント組成物100g、水50g及び珪砂100gのみを含む混合物を、ケミカルミキサーにより回転数500rpmで3分間練り混ぜることによりモルタル組成物を形成し、練り混ぜ開始から5分後のモルタル組成物の見かけ粘度を、二重円筒式レオメータを用いて測定することによって求められる値である、
セメント組成物。
【請求項2】
当該セメント組成物が、3800cm/gを超えて4000cm/g以下のブレーン比表面積を有する粉体である、請求項1に記載のセメント組成物。
【請求項3】
前記石膏の半水化率が、40質量%以上90質量%以下である、請求項1に記載のセメント組成物。
【請求項4】
当該セメント組成物の前記粒度分布において、粒径2.0μm以上の部分の割合がR2.0であるとき、
式:Rf=R2.0-R10.9
によって算出されるRfが30.0%以上35.7%以下である、請求項1に記載のセメント組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のセメント組成物を製造する方法であって、
当該方法が、セメントクリンカ、石膏、及び石灰石を混合することにより前記セメント組成物を形成することを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載のセメント組成物、細骨材及び水を含む、モルタル組成物。
【請求項7】
JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して当該モルタル組成物から形成された、材齢24時間での混和剤無添加のモルタル硬化体の密度が2.230g/cm以上2.280g/cm以下である、請求項6に記載のモルタル組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のセメント組成物、細骨材、粗骨材及び水を含む、コンクリート組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セメント組成物、セメント組成物の製造方法、モルタル組成物、及びコンクリート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
普通ポルトランドセメントのようなセメント組成物を構成するセメントクリンカの一部が混合材に置換されることがあり、混合材として石灰石が広く利用されている。普通ポルトランドセメントに添加される混合材の含有量は、JIS規格によって5質量%以下と定められている。
【0003】
しかし、セメントクリンカの製造に伴うCO排出量が比較的大きいため、地球温暖化防止及び低炭素化の観点から、セメントクリンカをより大きな割合で混合材に置換することが望まれている。例えば、非特許文献1では、JIS規格で規定された5質量%を超える含有量の混合材を含むセメント組成物について検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】中口歩香他、“少量混合成分を増量したセメントの品質評価”、セメント技術大会講演要旨、2018、p.270-271
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、混合材としての石灰石の含有量が5質量%を超えると、モルタル組成物又はコンクリート組成物の硬化体の圧縮強さが低下する傾向がある。セメント組成物のブレーン比表面積を増加させたとしても、コンクリート組成物や、特にモルタル組成物の硬化体において、石灰石の含有量が大きいと材齢の長い硬化体の圧縮強さが低下し易いという問題があった。また、セメント組成物と水との混合にともなう水和熱が低いことも望まれる。
【0006】
本開示は、5質量%を超える含有量の石灰石を含みながら、コンクリート組成物だけでなくモルタル組成物の硬化体の圧縮強さを改善でき、しかも十分に低い水和熱を示すセメント組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は以下を含む。
[1]
セメントクリンカ、石膏、及び石灰石を含む、セメント組成物であって、
当該セメント組成物の質量を基準として、前記石灰石の含有量が5質量%を超えて15質量%以下で、前記セメントクリンカ及び前記石膏の合計の含有量が85質量%以上95質量%未満であり、
当該セメント組成物が、3500cm/g以上4000cm/g以下のブレーン比表面積を有する粉体であり、
当該セメント組成物のレーザー回析・散乱法による粒度分布において、粒径10.9μm以上の部分の割合がR10.9[%]で、粒径35.1μm以上の部分の割合がR35.1[%]であるとき、
式:Rc=R35.1/(R10.9-R35.1
によって算出されるRcが0.27以上0.40以下であり、
前記セメントクリンカにおいて、SOの含有量が前記セメントクリンカの質量を基準として0.3質量%以上1.5質量%以下で、CS量が50質量%以上64質量%以下で、CA量が9.0質量%以上12質量%以下であり、CS量及びCA量がBogue式によって算出される値であり、
式:半水化率=100×半水石膏の質量/(半水石膏の質量+二水石膏の質量)
によって算出され、前記式中の半水石膏の質量及び二水石膏の質量がSO換算の質量である、前記石膏の半水化率が、25質量%以上90質量%以下であり、
当該セメント組成物、水及び珪砂のみを含むモルタル組成物の温度20℃、せん断速度1s-1における見かけ粘度が1Pa・s以上8Pa・s以下であり、
前記見かけ粘度が、当該セメント組成物100g、水50g及び珪砂100gのみを含む混合物を、ケミカルミキサーにより回転数500rpmで3分間練り混ぜることによりモルタル組成物を形成し、練り混ぜ開始から5分後のモルタル組成物の見かけ粘度を、二重円筒式レオメータを用いて測定することによって求められる値である、
セメント組成物。
[2]
当該セメント組成物が、3800cm/gを超えて4000cm/g以下のブレーン比表面積を有する粉体である、[1]に記載のセメント組成物。
[3]
前記石膏の半水化率が、40質量%以上90質量%以下である、[1]又は[2]に記載のセメント組成物。
[4]
当該セメント組成物の前記粒度分布において、粒径2.0μm以上の部分の割合がR2.0であるとき、
式:Rf=R2.0-R10.9
によって算出されるRfが30.0%以上35.7%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のセメント組成物。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載のセメント組成物を製造する方法であって、
当該方法が、セメントクリンカ、石膏及び石灰石を混合することにより前記セメント組成物を形成することを含む、方法。
[6]
[1]~[4]のいずれかに記載のセメント組成物、細骨材及び水を含む、モルタル組成物。
[7]
JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して当該モルタル組成物から形成された、材齢24時間での混和剤無添加のモルタル硬化体の密度が2.230g/cm以上2.280g/cm以下である、[6]に記載のモルタル組成物。
[8]
[1]~[4]のいずれかに記載のセメント組成物、細骨材、粗骨材及び水を含む、コンクリート組成物。
【発明の効果】
【0008】
5質量%を超える含有量の石灰石を含みながら、コンクリート組成物だけでなくモルタル組成物の硬化体の圧縮強さを改善でき、しかも十分に低い水和熱を示すセメント組成物が提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の例に限定する趣旨ではない。
【0010】
本明細書において例示する材料は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0011】
本開示に係るセメント組成物の一例は、セメントクリンカ、石膏、及び石灰石を含む。セメント組成物の質量を基準として、石灰石の含有量が5質量%を超えて15質量%以下で、セメントクリンカ及び石膏の合計の含有量が85質量%以上95質量%未満である。このように5質量%を超える石灰石を含むセメント組成物は、環境負荷低減の観点から有益である。
【0012】
セメント組成物は、3500cm/g以上4000cm/g以下のブレーン比表面積を有する粉体である。セメント組成物のブレーン比表面積が、3550cm/g以上、3600cm/g以上、3650cm/g以上、3700cm/g以上、3750cm/g以上、又は3800cm/g以上であってもよく、3800cm/gを超えていてもよい。セメント組成物のブレーン比表面積値はJIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して測定される。ブレーン比表面積が大きいと、モルタル組成物又はコンクリート組成物の硬化体の圧縮強さが向上する傾向がある。セメント組成物のブレーン比表面積が、3950cm/g以下、又は3900cm/g以下であってもよい。
【0013】
セメント組成物の密度は、3.04~3.14が好ましく、より好ましくは3.06~3.13であり、さらに好ましくは3.08~3.12であり、特に好ましくは3.10~3.11である。セメント組成物の密度は、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して測定される。
【0014】
セメント組成物のレーザー回析・散乱法による粒度分布において、粒径10.9μm以上の部分の割合がR10.9[%]で、粒径35.1μm以上の部分の割合がR35.1[%]であるとき、
式:Rc=R35.1/(R10.9-R35.1
によって算出されるRcが0.27以上0.40以下である。Rcは、粒度分布のうち粒径10.9μm以上の部分において、粒径35.1μm以上の部分の割合に相当する。Rcが0.27以上0.40以下であると、セメント組成物が水と混合されたときに発生する水和熱が小さくなりつつ良好な強度が得られる傾向がある。同様の観点から、Rcが0.28以上、0.29以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上又は0.35以上であってもよい。R10.9は、例えば54.5以上60.0以下であってもよい。
【0015】
セメント組成物のレーザー回析・散乱法による粒度分布において、粒径2.0μm以上の部分の割合がR2.0であるとき、
式:Rf=R2.0-R10.9
によって算出されるRfが30.0%以上35.7%以下であってもよい。Rfは31.0%以上であってもよく、35.0%以下、34.5%以下、又は34.0%以下であってもよい。Rfがこれらの範囲内にあることも、水和熱低減の点で有利である。
【0016】
セメント組成物の粒度分布は、例えばロジンラムラー式に基づき算出される値であり、粒度の均一性を表すn値によっても決定することができる。ロジンラムラー式は、セメント組成物のふるい上の積算分布を表す式であり、以下の式で示される。
式:R(x)=exp(-bx)
上記式中のb及びnは定数である。xは軽質炭酸カルシウムの代表粒子径D50である。式に基づき算出されるn値が大きいほど、粒度分布が狭く、且つ粒度が揃っていることを意味する。なお、通常は、ロジンラムラー式は質量基準の式であるとされているが、本明細書では、同質の粒子どうしを比較する目的で、体積基準においてもロジンラムラー式が成立するとみなして、それぞれの粒子径D50に対する体積基準の積算値を使用してn値を算出する。
【0017】
セメント組成物の粒度分布におけるロジンラムラー式のn値は、好ましくは0.90以上であり、より好ましくは0.95以上であり、更に好ましくは1.00以上である。n値が2.2以上であることは、セメント組成物中の微粒子が少なく、それによってセメント組成物の流動性を向上することができるので好ましい。
【0018】
軽質炭酸カルシウムの粒度分布におけるロジンラムラー式のn値は、好ましくは1.12以下であり、より好ましくは1.06以下であり、更に好ましくは1.06以下であり、特に好ましくは1.04以下であり、最も好ましくは1.02以下である。n値が1.12以下であることは、セメント組成物の水和熱の観点から好ましい。
【0019】
セメント組成物の粒度分布は、本開示の趣旨を損なわない範囲で、セメント組成物に対して粉砕、分級、ふるい分け等をすることによって上述の範囲内に調整できる。あるいは、粒度分布が異なる複数種類のセメント組成物を混合等することによってセメント組成物の粒度分布を調整してもよい。あるいは、後述する製造方法によってセメント組成物を得てもよい。
【0020】
セメントクリンカは、例えば、普通ポルトランドセメントクリンカ、早強ポルトランドセメントクリンカ、中庸熱ポルトランドセメントクリンカ、低熱ポルトランドセメントクリンカ、油井セメントクリンカ又はこれらの組合せであることができる。入手のしやすさ及び初期材齢の強度向上の観点から、セメントクリンカが、普通ポルトランドセメントクリンカ又は早強ポルトランドセメントクリンカのうち少なくとも一方を含んでもよく、普通ポルトランドセメントを含んでもよい。
【0021】
セメントクリンカは、通常、CS(ケイ酸三カルシウム、3CaO・SiO)、CS(ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO)、CA(アルミン酸三カルシウム、3CaO・Al)、及びCAF(鉄アルミン酸四カルシウム、4CaO・Al・Fe)を含む。CS量、CS量、CA量、及びCAF量は、それぞれ以下のBogue式によって算出することができる。
Bogue式:
S量[質量%]=(4.07×CaO含有量[質量%])-(7.60×SiO含有量[質量%])-(6.72×Al含有量[質量%])-(1.43×Fe含有量[質量%])-(2.85×SO含有量[質量%])
S量[質量%]=(2.87×SiO含有量[質量%])-(0.754×CS量[質量%])
A量[質量%]=(2.65×Al含有量[質量%])-(1.69×Fe含有量[質量%])
AF量[質量%]=3.04×Fe含有量[質量%]
【0022】
Bogue式は、CaO、SiO、Al、Fe、及びSOの各化合物の含有量からセメントクリンカ中の主要鉱物の含有率を算定する式として広く用いられる式である。Bogue式の計算に用いられる各化合物の含有量は、JIS R 5204:2019「セメントの蛍光X線分析方法」による化学分析値から求められる。
【0023】
セメントクリンカの一例において、CS量は50質量%以上64質量%以下である。CS量は、51.0質量%以上、52.0質量%以上、53.0質量%以上又は54.0質量%以上であってもよく、63.0質量%以下、62.0質量%以下、61.0質量%以下、60.0質量%以下、又は59.0質量%以下であってもよい。CS量が大きいと、コンクリート組成物又はモルタル組成物の硬化体の初期強度がより向上する傾向がある。CS量が小さいと、コンクリート組成物又はモルタル組成物の硬化に伴う発熱が抑制される傾向がある。
【0024】
セメントクリンカの一例において、CA量は9.0質量%以上12質量%以下である。CA量が10.4質量%以下、又は9.6質量%以下、であってもよい。CA量が大きいと、セメントクリンカの原料としての石炭灰等の廃棄物及び副産物利用量を増加させることができる。CA量が小さいと、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HOで表される化合物)の再生成が抑制される傾向がある。また、CA量が小さいと、コンクリート組成物又はモルタル組成物の硬化体の断熱温度が上昇し難い傾向がある。
【0025】
セメントクリンカの一例において、CS量は、5.0質量%以上65.0質量%以下であってもよい。CS量は、10.0質量%以上又は15.0質量%以上であってもよく、50.0質量%以下、40.0質量%以下、30.0質量%以下、又は25.0質量%以下であってもよい。CS量が大きいと、コンクリート組成物又はモルタル組成物の硬化体の長期経過後の強度がより向上する傾向がある。CS量が小さいと、コンクリート組成物又はモルタル組成物の硬化体の初期強度がより向上する傾向がある。
【0026】
セメントクリンカの一例において、CAF量は、7.0質量%以上、8.0質量%以上、9.0質量%以上、9.5質量%以上、又は9.8質量%以上であってもよい。CAF量が大きいと、セメントクリンカの原料としての石炭灰等の廃棄物及び副産物利用量を増加させることができる。CAF量は、14.0質量%以下、12.0質量%以下、11.0質量%以下、10.5質量%、又は10.0質量%以下であってもよい。CAF量が小さいと、コンクリート組成物又はモルタル組成物の硬化に伴う発熱が抑制される傾向がある。
【0027】
セメントクリンカの一例におけるSOの含有量は、セメントクリンカの質量を基準として0.3質量%以上1.5質量%以下である。SOの含有量がこの範囲内にあると、セメント組成物が水と混合されたときに発生する水和熱が小さくなる傾向がある。同様の観点から、SOの含有量は、0.4質量%以上、又は0.5質量%以上であってもよく、1.4質量%以下、1.3質量%以下、1.2質量%以下、1.1質量%以下、1.0質量%以下、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、又は0.6質量%以下であってもよい。
【0028】
セメント組成物の一例における石膏の半水化率は、25質量%以上90質量%以下である。石膏の半水化率は、
式:半水化率=100×半水石膏の質量/(半水石膏の質量+二水石膏の質量)
によって算出される値である。式中の半水石膏の質量及び二水石膏の質量は、それぞれSO換算の質量である。半水化率が上記範囲内にあると、モルタル組成物の粘度が低下し、それがモルタル組成物の硬化体の圧縮強さ向上に寄与し得る。同様の観点から、石膏の半水化率が、30質量%以上、32質量%以上、34質量%以上、36質量%以上、38質量%以上、40質量%以上、42質量%以上、44質量%以上、46質量%以上、48質量%以上、50質量%以上、52質量%以上、54質量%以上、56質量%以上、58質量%以上、60質量%以上、62質量%以上、64質量%以上、66質量%以上、68質量%以上、又は70質量%以上であってもよく、88質量%以下、86質量%以下、84質量%以下、82質量%以下、80質量%以下、又は78質量%以下であってもよい。
【0029】
石膏の半水化率は、穴の開いた測定パンに入れられたセメント組成物が5℃/分の昇温速度で加熱されたときの重量変化を、窒素ガスフロー環境下で、約120℃から約220℃の範囲の示差熱・熱重量同時測定(TG-DTA)によって測定することによって求められる。この測定により得られる熱重量微分(DTG)曲線において、第一ピーク及び第二ピークの2つのピークが観測され、以下の式によって半水化率を求めることができる。第一ピークはDTG曲線における低温側のピークであり、第二ピークはDTG曲線における高温側のピークである。
半水化率(%)=(第二ピークでの重量減少)×172.2/9.0-(第一ピークでの重量減少)×172.2/(1.5×18.0)×145.1/172.2
【0030】
石膏の半水化率は、原料として用いられる石膏における半水化率の他、セメント組成物の製造工程におけるミル内温度の調整や、半水化率の異なるセメントの混合等に基づいて、25質量%以上90質量%以下の範囲内に調整することができる。
【0031】
石灰石は、炭酸カルシウムを主成分とする粉体であり、例えば、石灰石粉又は寒水石粉であることができる。石灰石は、JIS R 5210:2019「ポルトランドセメント」に記載の少量混合成分に適合するものであってもよい。粒度分布の異なる石灰石を組み合わせることにより、セメント組成物のブレーン比表面積を調整することもできる。
【0032】
セメント組成物の一例における石灰石の含有量は、セメント組成物の質量を基準として、5質量%を超えて15質量%以下である。石灰石の含有量は、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上又は9質量%以上であってもよく、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、又は10質量%以下であってもよい。
【0033】
セメント組成物の一例におけるセメントクリンカ及び石膏の合計の含有量は、セメント組成物の質量を基準として、85質量%以上95質量%未満である。セメントクリンカ及び石膏の合計の含有量が、86質量%以上、87質量%以上、88質量%以上、89質量%以上、又は90質量%以上であってもよく、94質量%以下、93質量%以下、92質量%以下、又は91質量%以下であってもよい。ここで、石膏の含有量は、SO換算の量である。
【0034】
セメント組成物の一例における石膏のSO換算の含有量は、セメント組成物の質量を基準として、例えば0.5質量%以上3.5質量%以下であってもよい。石膏のSO換算の含有量が、セメント組成物の質量を基準として、0.7質量%以上又は1.0質量%以上であってもよく、3.0質量%以下、2.0質量%以下又は1.5質量%以下であってもよい。
【0035】
セメント組成物の一例におけるセメントクリンカの含有量は、セメント組成物の質量を基準として、例えば70質量%以上95質量%以下であってもよい。セメントクリンカの含有量は、セメント組成物の質量を基準として、75質量%以上又は85質量%以上であってもよく、93質量%以下又は90質量%以下であってもよい。
【0036】
セメント組成物から形成されるモルタル組成物は、適度に低い粘度を有することができる。具体的には、セメント組成物、水及び珪砂のみを含むモルタル組成物の温度20℃、せん断速度1s-1における見かけ粘度が1Pa・s以上8Pa・s以下であってもよい。モルタル組成物の粘度が低いことは、モルタル組成物の硬化体の圧縮強さ向上に寄与し得る。モルタル組成物の温度20℃、せん断速度1s-1における見かけ粘度は、2Pa・s以上、3Pa・s以上、4Pa・s以上、又は5Pa・s以上であってもよい。
【0037】
モルタル組成物の見かけ粘度は、セメント組成物100g、水50g及び珪砂100gのみを含む混合物を、ケミカルミキサーにより回転数500rpmで3分間練り混ぜることによりモルタル組成物を形成し、練り混ぜ開始から5分後のモルタル組成物の見かけ粘度を、二重円筒式レオメータを用いて測定することによって求められる値である。見かけ粘度を測定するためのモルタル組成物において、水セメント比(W/C)は0.50で、砂セメント比は1.0である。水セメント比は、モルタル組成物におけるセメントクリンカの含有量に対する水の含有量の質量比である。砂セメント比は、モルタル組成物におけるセメントクリンカの含有量に対する珪砂の含有量の質量比である。見かけ粘度の測定のためのモルタル組成物に含まれる珪砂は、目開き0.3mmの篩を通過し、目開き0.15mmの篩を通過しない粒度を有する部分の割合が95質量%以上で、且つ、目開き0.063mmの篩を通過する粒度を有する部分の割合が1質量%以下である粒度分布を有する珪砂(例えば豊浦珪砂)であることができる。
【0038】
セメント組成物は、セメントクリンカ、石膏、及び石灰石に加えて、本開示の趣旨を損なわない範囲でその他の成分を更に含んでもよい。その他の成分の例としては、アロフェン、水酸化カルシウム、硅石粉、カルシウムを含む粉体(石膏、石灰石を除く)、コンクリート用減水剤、促進剤、及び遅延剤が挙げられる。
【0039】
以上例示されたセメント組成物は、セメントクリンカ、石膏、及び石灰石を混合することによりセメント組成物を形成することを含む方法によって製造することができる。セメント組成物を製造する方法は、セメントクリンカ、石膏、及び石灰石を含む混合物を、石膏の半水化率が25質量%以上90質量%以下となるように粉砕や混合の際の温度を調整することを含んでもよい。
【0040】
セメント組成物を用いて、モルタル組成物又はコンクリート組成物を調製することができる。モルタル組成物は、セメント組成物、細骨材及び水を含む。コンクリート組成物は、セメント組成物、細骨材、粗骨材及び水を含む。
【0041】
細骨材は、JIS A 5005:2020「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定される細骨材であってもよい。細骨材は、例えば、川砂、陸砂、山砂、海砂、砕砂、珪砂、石灰石骨材、高炉スラグ細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材又はこれらの組合せを含んでもよい。モルタル組成物におけるセメント組成物の含有量に対する細骨材の含有量の質量比(砂セメント比)は、例えば0.5以上10.0以下であってもよく、好ましくは0.8以上5.0以下であり、より好ましくは1.0以上3.0以下である。コンクリート組成物におけるセメント組成物の含有量に対する細骨材の含有量は、コンクリート組成物の体積を基準として、例えば200kg/m以上1500kg/m以下であってもよい。
【0042】
粗骨材は、JIS A 5005:2020「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の
粗骨材であってもよい。粗骨材は、例えば、砂利、砕石、石灰石骨材、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ粗骨材又はこれらの組合せを含んでもよい。コンクリート組成物における粗骨材の含有量は、コンクリート組成物の体積を基準として、例えば200kg/m以上1500kg/m以下であってもよい。
【0043】
モルタル組成物又はコンクリート組成物を構成する水は、例えば、水道水、蒸留水、又は脱イオン水であってもよい。セメント組成物の含有量に対する水の含有量の質量比(水セメント比)が、0.10以上5.00以下が好ましく、より好ましくは0.20以上3.00以下であり、さらに好ましくは0.30以上1.00以下であり、特に好ましくは0.40以上~0.60以下である。
【0044】
本開示に係るセメント組成物を含むモルタル組成物は、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して形成された、材齢24時間での混和剤無添加のモルタル硬化体の密度が2.230g/cm以上2.280g/cm以下である硬化体を形成し得る。高い密度を有するモルタル組成物は、高い圧縮強さを示す傾向がある。
【実施例0045】
本発明は以下の実施例に限定されない。
【0046】
1.セメント組成物の原料
セメントクリンカ
表1に示される、Bogue式による鉱物組成及びSO含有量を有するセメントクリンカA~Fを準備した。Bogue式の計算に用いた、SO含有量を含むセメントクリンカの化学組成は、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に記載の方法に準拠して測定した。
【0047】
【表1】
【0048】
石膏
JIS R 9151:2009「セメント用天然せっこう」に記載の要件を満たす石膏を準備した。
【0049】
石灰石
炭酸カルシウム含有量が90質量%以上、酸化アルミニウム含有量が1.0質量%以下であり、JIS R 5210:2019「ポルトランドセメント」に記載の少量混合成分の要件を満たす石灰石、及びその粉砕物(宇部マテリアルズ社:石灰石微粉末 325メッシュ品、ブレーン比表面積値:7470cm/g)を準備した。
【0050】
2.セメント組成物
セメント組成物の製造
セメントクリンカ、石膏及び石灰石を表2に示される配合比で含むセメント組成物を調製した。表中に示されるSO含有量は、セメントクリンカのSO含有量と石膏のSO含有量の合計の割合に相当する。未粉砕の石灰石及びその粉砕物を含むセメント組成物は、セメントクリンカと未粉砕の石灰石を、ボールミルによって粉砕しながら混合し、その後、粉砕後の混合物をミキサにより石灰石の粉砕物と混合することにより製造した。石灰石の粉砕物を含まないセメント組成物は、セメントクリンカと未粉砕の石灰石を、ボールミルによって粉砕しながら混合することにより製造した。実施例1のセメント組成物は、比較例1のセメント組成物を110℃で加熱したセメント組成物と比較例1のセメント組成物を混合ことにより製造した。
【0051】
実施例1~3及び比較例1、2のセメント組成物のブレーン比表面積値は、主として、未粉砕の石灰石と石灰石の粉砕物との比率に基づいて、3800±50cm/gの範囲内に調整した。ブレーン比表面積は、JIS R 5201:2015「セメントの物理測定方法」の記載に準拠して測定された。参考例1のセメント組成物は、JIS R 5210:2019の普通ポルトランドセメントに適合するセメントである。
【0052】
石灰石の含有量
セメント組成物における石灰石の含有量を、炭素・硫黄分析装置(メーカー:LECOジャパン合同会社、装置名:炭素硫黄分析装置CS744)により測定された炭素量を、全て石灰石(CaCO)に由来するとみなし、以下の式によって算出した。
石灰石の含有量(質量%)=炭素量×100.1/12.0
【0053】
半水化率
セメント組成物の試料を穴の開いた測定パンに入れ、窒素ガスフロー環境下で、示差熱・熱重量同時測定(TG-DTA)により、5℃/分の昇温速度での加熱による重量変化を測定した。120℃前後~220℃前後の範囲のDTG曲線で確認された第一ピーク及び第二ピークにおける重量減少に基づいて、以下の式により石膏の半水化率を算出した。
半水化率(%)=(第二ピークでの重量減少)×172.2/9.0-(第一ピークでの重量減少)×172.2/(1.5×18.0)×145.1/172.2
【0054】
粒度分布
セメント組成物の粒度分布を、レーザー回析・散乱法によって測定した。得られた粒度分布において、粒径35.1μm以上の部分の割合(%、R35.1)、粒径10.0μm以上の部分の割合(%、R10.9)、及び粒径2.0μ以上の部分の割合(%、R2.0)を求めた。下記式によりRc及びRfを算出した。粒度分布の1.0~49.1μmの範囲でロジンラムラー式(R-R)のn値を算出した。
Rc=R35.1/(R10.9-R35.1
Rf=R2.0-R10.9
【0055】
【表2】
【0056】
3.モルタル組成物
モルタル組成物の見かけ粘度
表3に示される粒度分布を有する珪砂(豊浦珪砂(商品名)、豊浦珪石工業株式会社)を準備した。水50gに対して、製造された各セメント組成物100g、珪砂100gの順に投入し、小型の撹拌機(メーカー:新藤科学株式会社、型番:HEIDON スリーワンモーターBL600)により回転数500rpmで3分間練り混ぜることによりモルタル組成物を形成した。モルタル組成物において、セメント組成物に対する水の質量比(W/C)は0.50で、セメント組成物に対する珪砂の質量比は1.00であった。形成されたモルタル組成物を、練り混ぜ始めてから5分後まで静置した。その時点のモルタル組成物から採取した試料を用いて、見かけ粘度を測定した。見かけ粘度は、共軸二重円筒型レオメータ(Anton Paar社製、製品名:MCR101、治具:CC27/T200/SS及びCC27/P6)を用い、20℃の恒温室内で、せん断速度を10-5から10-1まで段階的に変更する条件で測定した。10-5から10-1までのせん断速度の変化幅を対数軸上で等分する36点のせん断速度において、5秒間ずつ試料に対してせん断を加えて見かけ粘度を測定した。せん断速度の上昇と粘度測定を繰り返し、合計180秒間かけて、せん断速度を10-5から10-1まで上昇させた。その後、せん断速度を同様に段階的に下降させながら、36点のせん断速度において見かけ粘度を測定して、見かけ粘度とせん断速度との関係を示す粘度曲線を得た。得られた粘度曲線から、せん断速度1s-1で5秒間のせん断が加えられたときの見かけ粘度を求めた。
【0057】
【表3】
【0058】
密度
モルタル組成物をJIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」の記載に準拠して、40×40×160mmの型枠内に導入し、24時間経過後、型枠を取り外し、モルタル組成物の硬化体を得た。得られた硬化体の重量と硬化体の体積から、材齢24時間の硬化体の密度を算出した。
【0059】
圧縮強さ
材齢7日又は28日の硬化体の圧縮強さを、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」の記載に準拠した方法で、40×40×160mmのモルタル試験体にて測定した。具体的にはセメント組成物に対する水の質量比(W/C)は0.50、セメント組成物に対する標準砂(JIS R5201強さ試験用標準砂)の質量を3.00として、混和剤は添加せずにこれらを練り混ぜることにより、モルタル試験体を形成するためのモルタル組成物を調製した。
【0060】
4.コンクリート組成物
表4に示される細骨材、粗骨材及び混和剤を準備した。水(上水道水)、細骨材及び粗骨材、混和剤を表5に示す配合で混合して、参考例1~2のコンクリート組成物を調製した。コンクリート組成物において、セメント組成物に対する水の質量比(W/C)は0.55、空気量は4.5±0.5%であり、スランプ値が18cm±1cmとなるようにAE減水剤およびAE剤の量を調整した。実施例および比較例のセメント組成物においては、表5の配合において、単位水量およびW/Cを一定として、セメントの密度の変化に応じてセメント組成物量を決定し、その変動分を細骨材量で調整した。
【0061】
20℃の恒温室内で強制練り水平二軸ミキサ(容量55L)に、粗骨材、細骨材、セメントの順にミキサへ投入し、それらを30秒間空練りした後、混和剤を含む水を加えて、混合物を90秒間練り混ぜ、形成されたコンクリート組成物をミキサから排出した。JIS A 1108:2018「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて、材齢7日又は28日のコンクリート供試体の圧縮強度を測定した。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
5.水和熱
JIS R 5203:2015「セメントの水和熱測定方法」に準拠して材齢7,28日の水和熱を測定した。
【0065】
【表6】
【0066】
評価結果が表6に示される。実施例1~4及び比較例1のセメント組成物においては石灰石の含有量が9質量%であり、これらのセメント組成物のブレーン比表面積も同程度である。それにもかわらず、各実施例のセメント組成物を含むモルタル組成物の材齢28日の圧縮強さは、比較例1のセメント組成物を含むモルタル組成物のそれと比較して最大で4N/mm以上大きかった。実施例1~3は、現行の普通ポルトランドセメントに相当する参考例1と比較しても、材齢28日において同等以上の圧縮強さを示した。
【0067】
一方、コンクリート組成物の場合、実施例及び比較例のセメント組成物から得られた硬化体(コンクリート供試体)は、いずれも参考例とほぼ同等の圧縮強さを示した。
【0068】
実施例1~4のセメント組成物を含むモルタル組成物は、比較例1のセメント組成物を含むモルタル組成物と比較して、より低い見かけ粘度を示した。低い見かけ粘度がモルタル組成物の型への充てん性を高め、その結果、高い圧縮強さを示す密実な硬化体が形成されたと推察される。
【0069】
比較例2のセメント組成物と比較して、実施例1~4のセメント組成物は、材齢7,28日の水和熱が低く、良好な発熱特性と強度発現性を両立できた。