(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145611
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】熱交換器及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F28F 13/18 20060101AFI20241004BHJP
F28D 7/10 20060101ALI20241004BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20241004BHJP
F28F 1/30 20060101ALI20241004BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20241004BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F28F13/18 Z
F28D7/10 Z
F28D9/00
F28F1/30 A
F28F1/30 Z
F25B39/00 D
F25B1/00 396D
F25B1/00 396R
F25B1/00 396G
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058047
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 英二
(72)【発明者】
【氏名】田中 政貴
(72)【発明者】
【氏名】大宮司 啓文
(72)【発明者】
【氏名】徐 偉倫
(72)【発明者】
【氏名】シャミン ジョバイル アーメド
(72)【発明者】
【氏名】木村 響
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA37
3L103BB33
3L103CC01
3L103DD03
3L103DD33
3L103DD34
(57)【要約】
【課題】冷凍サイクルを流れる冷媒の圧力変化を利用して冷媒を吸着材に吸着及び脱着させる際に発生する熱を効率的に熱搬送媒体に移動させるための熱交換器を提供する。
【解決手段】第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、冷凍装置100に用いられ、熱交換部材と、吸着材181と、を備える。熱交換部材は、一次冷媒が流れる第1流路171と、二次冷媒が流れる第2流路172とを有する。熱交換部材は、第1流路171を流れる一次冷媒と、第2流路172を流れる二次冷媒との間の熱交換を行う。吸着材181は、第1流路171を流れる一次冷媒の圧力の変化に応じて一次冷媒を吸着及び脱着する。吸着材181は、一次冷媒が接する熱交換部材の表面であって一次冷媒が接する第1表面182に担持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍装置に用いられる熱交換器であって、
一次冷媒が流れる第1流路(171)と、二次冷媒が流れる第2流路(172)とを有し、前記第1流路を流れる前記一次冷媒と、前記第2流路を流れる前記二次冷媒との間の熱交換を行う熱交換部材と、
前記第1流路を流れる前記一次冷媒の圧力の変化に応じて前記一次冷媒を吸着及び脱着する吸着材(181)と、
を備え、
前記吸着材は、前記一次冷媒が接する前記熱交換部材の表面であって前記一次冷媒が接する第1表面(182)に担持される、
熱交換器(111,112)。
【請求項2】
前記熱交換部材は、
間隔を空けて積み重なるように配置される複数のフィン(161)と、
前記複数のフィンをその厚み方向に貫通する伝熱管(162)と、
前記複数のフィンを収容するケーシング(163)と、
を有し、
前記第1流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記伝熱管の外部の空間であり、
前記第2流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記伝熱管の内部の空間であり、
前記第1表面は、前記複数のフィン及び前記伝熱管の外側の表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記吸着材は、前記複数のフィンの間の空間の少なくとも一部に充填されている、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記熱交換部材は、
間隔を空けて配置される複数の伝熱管(262)と、
前記複数の伝熱管の間に配置され波形状を有する複数のフィン(261)と、
前記複数のフィンを収容するケーシング(263)と、
を有し、
前記第1流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記複数の伝熱管の外部の空間であり、
前記第2流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記複数の伝熱管の内部の空間であり、
前記第1表面は、前記複数のフィン及び前記複数の伝熱管の外側の表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記吸着材は、前記複数の伝熱管の間の空間の少なくとも一部に充填されている、
請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記熱交換部材は、
複数の伝熱管(362)と、
前記複数の伝熱管を収容するケーシング(363)と、
を有し、
前記第1流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記複数の伝熱管の外部の空間であり、
前記第2流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記複数の伝熱管の内部の空間であり、
前記第1表面は、前記複数の伝熱管の外側の表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記吸着材は、前記複数の伝熱管の間の空間の少なくとも一部に充填されている、
請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記熱交換部材は、
間隔を空けて積み重なるように配置される複数のフィン(161)と、
前記複数のフィンをその厚み方向に貫通する伝熱管(162)と、
前記複数のフィンを収容するケーシング(163)と、
を有し、
前記第1流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記伝熱管の内部の空間であり、
前記第2流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記伝熱管の外部の空間であり、
前記第1表面は、前記伝熱管の内側の表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記熱交換部材は、
間隔を空けて配置される複数の伝熱管(262)と、
前記複数の伝熱管の間に配置され波形状を有する複数のフィン(261)と、
前記複数のフィンを収容するケーシング(263)と、
を有し、
前記第1流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記複数の伝熱管の内部の空間であり、
前記第2流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記複数の伝熱管の外部の空間であり、
前記第1表面は、前記複数の伝熱管の内側の表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記熱交換部材は、
複数の伝熱管(362)と、
前記複数の伝熱管を収容するケーシング(363)と、
を有し、
前記第1流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記複数の伝熱管の内部の空間であり、
前記第2流路は、前記ケーシングの内部、かつ、前記複数の伝熱管の外部の空間であり、
前記第1表面は、前記複数の伝熱管の内側の表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記熱交換部材は、外管(462)と、前記外管内に設けられる内管(464)とを有し、
前記第1流路は、前記内管と前記外管との間の空間であり、
前記第2流路は、前記内管の内部の空間であり、
前記第1表面は、前記内管の外側の表面、及び、前記外管の内側の表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記熱交換部材は、外管(462)と、前記外管内に設けられる内管(464)とを有し、
前記第1流路は、前記内管の内部の空間であり、
前記第2流路は、前記内管と前記外管との間の空間であり、
前記第1表面は、前記内管の内側の表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記熱交換部材は、第1方向に積層して配置される複数のプレート(562)を有し、
前記複数のプレートは、前記第1方向において前記第1流路と前記第2流路とを交互に形成し、
前記第1表面は、前記プレートの表面の少なくとも一部を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記吸着材は、前記第1流路の少なくとも一部に充填されている、
請求項8から13のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記吸着材は、前記第2流路を前記二次冷媒が流れる第2方向に沿って、前記熱交換が行われる時に前記吸着材から発生する熱量が多くなるように、前記第1表面に担持される、
請求項1から13のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記吸着材は、前記第1表面に担持される前記吸着材の量が前記第2方向に沿って変化するように、前記第1表面に担持される、
請求項15に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記吸着材は、前記第1表面に担持される前記吸着材の種類が前記第2方向に沿って変化するように、前記第1表面に担持される、
請求項15に記載の熱交換器。
【請求項18】
前記第1流路の少なくとも一部は、前記一次冷媒が流入及び流出する箇所を1つのみ有する、
請求項1から13に記載の熱交換器。
【請求項19】
前記吸着材は、金属イオンと有機配位子とを含む金属有機構造体を含む、
請求項1から13のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項20】
前記一次冷媒は、二酸化炭素、アンモニア及びプロパンからなる群から選択される、
請求項1から13のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項21】
一次冷媒が流れる第1冷媒回路(101)と、
二次冷媒が流れる第2冷媒回路(102)と、
前記第1冷媒回路を流れる前記一次冷媒と、前記第2冷媒回路を流れる前記二次冷媒との間の熱交換を行う、請求項1から13のいずれか1項に記載の熱交換器と、
を備える、
冷凍装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱交換器及び冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蒸気圧縮式冷凍サイクルと吸着式冷凍サイクルとが組み合わされて構成されるハイブリッド式冷凍システムが用いられている。特許文献1(国際公開第2009/145278号)には、蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧縮機の機械的仕事量を低減するために、吸着式冷凍サイクルの一対の吸着器を交互に冷却及び加熱して冷媒の吸着及び脱着を交互に繰り返すハイブリッド式冷凍システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
冷凍サイクルを流れる冷媒の圧力変化を利用して冷媒を吸着材に吸着及び脱着させる際に発生する熱を効率的に熱搬送媒体に移動させるための熱交換器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の熱交換器は、冷凍装置に用いられ、熱交換部材と、吸着材と、を備える。熱交換部材は、一次冷媒が流れる第1流路と、二次冷媒が流れる第2流路とを有する。熱交換部材は、第1流路を流れる一次冷媒と、第2流路を流れる二次冷媒との間の熱交換を行う。吸着材は、第1流路を流れる一次冷媒の圧力の変化に応じて一次冷媒を吸着及び脱着する。吸着材は、一次冷媒が接する熱交換部材の表面であって一次冷媒が接する第1表面に担持される。
【0005】
第1観点の熱交換器は、一次冷媒が接する熱交換部材の表面に吸着材を担持させることで、一次冷媒の吸着及び脱着時に吸着材から発生する熱を、二次冷媒に効率的に移動させることができる。
【0006】
第2観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、複数のフィンと、伝熱管と、ケーシングと、を有する。複数のフィンは、間隔を空けて積み重なるように配置される。伝熱管は、複数のフィンをその厚み方向に貫通する。ケーシングは、複数のフィンを収容する。第1流路は、ケーシングの内部、かつ、伝熱管の外部の空間である。第2流路は、ケーシングの内部、かつ、伝熱管の内部の空間である。第1表面は、複数のフィン及び伝熱管の外側の表面の少なくとも一部を含む。
【0007】
第3観点の熱交換器は、第2観点の熱交換器であって、吸着材は、複数のフィンの間の空間の少なくとも一部に充填されている。
【0008】
第4観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、複数の伝熱管と、複数のフィンと、ケーシングと、を有する。複数の伝熱管は、間隔を空けて配置される。複数のフィンは、複数の伝熱管の間に配置され波形状を有する。ケーシングは、複数のフィンを収容する。第1流路は、ケーシングの内部、かつ、複数の伝熱管の外部の空間である。第2流路は、ケーシングの内部、かつ、複数の伝熱管の内部の空間である。第1表面は、複数のフィン及び複数の伝熱管の外側の表面の少なくとも一部を含む。
【0009】
第5観点の熱交換器は、第4観点の熱交換器であって、吸着材は、複数の伝熱管の間の空間の少なくとも一部に充填されている。
【0010】
第6観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、複数の伝熱管と、ケーシングと、を有する。ケーシングは、複数の伝熱管を収容する。第1流路は、ケーシングの内部、かつ、複数の伝熱管の外部の空間である。第2流路は、ケーシングの内部、かつ、複数の伝熱管の内部の空間である。第1表面は、複数の伝熱管の外側の表面の少なくとも一部を含む。
【0011】
第7観点の熱交換器は、第6観点の熱交換器であって、吸着材は、複数の伝熱管の間の空間の少なくとも一部に充填されている。
【0012】
第8観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、複数のフィンと、伝熱管と、ケーシングと、を有する。複数のフィンは、間隔を空けて積み重なるように配置される。伝熱管は、複数のフィンをその厚み方向に貫通する。ケーシングは、複数のフィンを収容する。第1流路は、ケーシングの内部、かつ、伝熱管の内部の空間である。第2流路は、ケーシングの内部、かつ、伝熱管の外部の空間である。第1表面は、伝熱管の内側の表面の少なくとも一部を含む。
【0013】
第9観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、複数の伝熱管と、複数のフィンと、ケーシングと、を有する。複数の伝熱管は、間隔を空けて配置される。複数のフィンは、複数の伝熱管の間に配置され波形状を有する。ケーシングは、複数のフィンを収容する。第1流路は、ケーシングの内部、かつ、複数の伝熱管の内部の空間である。第2流路は、ケーシングの内部、かつ、複数の伝熱管の外部の空間である。第1表面は、複数の伝熱管の内側の表面の少なくとも一部を含む。
【0014】
第10観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、複数の伝熱管と、ケーシングと、を有する。ケーシングは、複数の伝熱管を収容する。第1流路は、ケーシングの内部、かつ、複数の伝熱管の内部の空間である。第2流路は、ケーシングの内部、かつ、複数の伝熱管の外部の空間である。第1表面は、複数の伝熱管の内側の表面の少なくとも一部を含む。
【0015】
第11観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、外管と、内管と、を有する。内管は、外管内に設けられる。第1流路は、内管と外管との間の空間である。第2流路は、内管の内部の空間である。第1表面は、内管の外側の表面、及び、外管の内側の表面の少なくとも一部を含む。
【0016】
第12観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、外管と、内管と、を有する。内管は、外管内に設けられる。第1流路は、内管の内部の空間である。第2流路は、内管と外管との間の空間である。第1表面は、内管の内側の表面の少なくとも一部を含む。
【0017】
第13観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換部材は、第1方向に積層して配置される複数のプレートを有する。複数のプレートは、第1方向において第1流路と第2流路とを交互に形成する。第1表面は、プレートの表面の少なくとも一部を含む。
【0018】
第14観点の熱交換器は、第8乃至第13観点のいずれか1つの熱交換器であって、吸着材は、第1流路の少なくとも一部に充填されている。
【0019】
第15観点の熱交換器は、第1乃至第14観点のいずれか1つの熱交換器であって、吸着材は、第2流路を二次冷媒が流れる第2方向に沿って、熱交換が行われる時に吸着材から発生する熱量が多くなるように、第1表面に担持される。
【0020】
第15観点の熱交換器は、二次冷媒との温度差が十分に確保されるように一次冷媒の使用量・種類を設定することで、一次冷媒から二次冷媒に熱を効率的に移動させることができる。
【0021】
第16観点の熱交換器は、第15観点の熱交換器であって、吸着材は、第1表面に担持される吸着材の量が第2方向に沿って変化するように、第1表面に担持される。
【0022】
第17観点の熱交換器は、第15観点又は第16観点の熱交換器であって、吸着材は、第1表面に担持される吸着材の種類が第2方向に沿って変化するように、第1表面に担持される。
【0023】
第18観点の熱交換器は、第1乃至第17観点のいずれか1つの熱交換器であって、第1流路の少なくとも一部は、一次冷媒が流入及び流出する箇所を1つのみ有する。
【0024】
第19観点の熱交換器は、第1乃至第18観点のいずれか1つの熱交換器であって、吸着材は、金属イオンと有機配位子とを含む金属有機構造体を含む。
【0025】
第20観点の熱交換器は、第1乃至第19観点のいずれか1つの熱交換器であって、一次冷媒は、二酸化炭素、アンモニア及びプロパンからなる群から選択される。
【0026】
第21観点の冷凍装置は、一次冷媒が流れる第1冷媒回路と、二次冷媒が流れる第2冷媒回路と、第1乃至第20観点のいずれか1つの熱交換器と、を備える。熱交換器は、第1冷媒回路を流れる一次冷媒と、第2冷媒回路を流れる二次冷媒との間の熱交換を行う。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態の冷凍装置100の模式図である。
【
図2】第1実施形態の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【
図3】第2実施形態の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【
図4】第3実施形態の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【
図5】第4実施形態の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【
図6】第5実施形態の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【
図7】変形例A1の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【
図8】変形例A2の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【
図9】変形例A3の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【
図10】変形例A4の第1熱交換器111及び第2熱交換器112の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
―第1実施形態―
(1)冷凍装置100の全体構成
第1実施形態の冷凍装置100は、
図1に示されるように、一次冷媒が流れる第1冷媒回路101と、二次冷媒が流れる第2冷媒回路102と、第1熱交換器111と、第2熱交換器112と、を備える。
図1において、第1冷媒回路101は、太線で描かれている。一次冷媒は、例えば、二酸化炭素、アンモニア、及び、プロパンからなる群から選択される。二次冷媒は、例えば、水、ブライン(凍結温度が0℃以下の液体)、及び、空気からなる群から選択される。第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、第1冷媒回路101を流れる一次冷媒と、第2冷媒回路102を流れる二次冷媒と、の間の熱交換を行う。冷凍装置100は、例えば、空気調和装置である。
【0029】
(1-1)第1冷媒回路101の構成
第1冷媒回路101は、一次冷媒が放熱(凝縮)又は吸熱(蒸発)する時に生じる潜熱の移動を利用するヒートポンプとして機能する冷凍サイクルを構成する。第1冷媒回路101は、圧縮機131と、膨張機構132と、第1熱交換器111と、第2熱交換器112と、切り替え部135と、を接続する。一次冷媒は、第1冷媒回路101を循環する。
【0030】
圧縮機131は、第1冷媒回路101を流れる一次冷媒を圧縮する。圧縮機131は、例えば、ロータリー式の圧縮機である。
【0031】
膨張機構132は、第1冷媒回路101を流れる一次冷媒を減圧する。膨張機構132は、例えば、電子膨張弁である。膨張機構132は、第1熱交換器111と、第2熱交換器112と、の間に設けられる。
【0032】
切り替え部135は、第1冷媒回路101を流れる一次冷媒の流れ方向を切り替える。切り替え部135は、例えば、四方切換弁である。切り替え部135は、
図1の実線で示される流れ方向の第1モードと、
図1の破線で示される流れ方向の第2モードと、の間を切り替える。第1モードでは、圧縮機131の吐出側と、第1熱交換器111とが接続され、かつ、圧縮機131の吸入側と、第2熱交換器112とが接続される。第2モードでは、圧縮機131の吐出側と、第2熱交換器112とが接続され、かつ、圧縮機131の吸入側と、第1熱交換器111とが接続される。
【0033】
(1-2)第2冷媒回路102の構成
第2冷媒回路102は、二次冷媒を熱源として利用するためのヒートポンプとして機能する。二次冷媒は、一次冷媒と熱交換されることで得た熱又は冷熱を所定の場所まで搬送する熱搬送媒体として用いられる。第2冷媒回路102は、第1流体ポンプ141と、第3熱交換器142と、第1ファン143と、第1熱交換器111と、第2流体ポンプ151と、第4熱交換器152と、第2ファン153と、第2熱交換器112と、流路変更部156-159と、を接続する。
【0034】
第1流体ポンプ141は、二次冷媒を第3熱交換器142に送る。第3熱交換器142は、二次冷媒と空気との間の熱交換を行う。第1ファン143は、第3熱交換器142で熱交換が行われるように、第3熱交換器142を通過する空気の流れを生成する。
【0035】
第2流体ポンプ151は、二次冷媒を第4熱交換器152に送る。第4熱交換器152は、二次冷媒と空気との間の熱交換を行う。第2ファン153は、第4熱交換器152で熱交換が行われるように、第4熱交換器152を通過する空気の流れを生成する。
【0036】
流路変更部156-159は、第2冷媒回路102の接続状態を切り替えて、二次冷媒が流れる流路を変更する。流路変更部156-159は、例えば、三方切換弁である。流路変更部156-159は、
図1の実線で示される接続状態の第3モードと、
図1の破線で示される接続状態の第4モードと、の間を切り替える。
【0037】
第2冷媒回路102は、第3モード及び第4モードのそれぞれにおいて、互いに独立した2つの回路を有する。第2冷媒回路102の2つの回路を、第1循環回路及び第2循環回路と呼ぶ。
図1では、第3モードでの二次冷媒の流れ方向が実線で示され、第4モードでの二次冷媒の流れ方向が破線で示される。二次冷媒は、第1循環回路及び第2循環回路のそれぞれを循環する。
【0038】
第3モードでは、第1循環回路は、第1流体ポンプ141と、第3熱交換器142と、流路変更部156と、第1熱交換器111と、流路変更部157と、を接続する。第3モードでは、第2循環回路は、第2流体ポンプ151と、第4熱交換器152と、流路変更部158と、第2熱交換器112と、流路変更部159と、を接続する。
【0039】
第4モードでは、第1循環回路は、第1流体ポンプ141と、第3熱交換器142と、流路変更部156と、第2熱交換器112と、流路変更部157と、を接続する。第4モードでは、第2循環回路は、第2流体ポンプ151と、第4熱交換器152と、流路変更部158と、第1熱交換器111と、流路変更部159と、を接続する。
【0040】
(1-3)第1熱交換器111及び第2熱交換器112の構成
第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、熱交換部材と、吸着材と、を備える。熱交換部材は、一次冷媒が流れる第1流路と、二次冷媒が流れる第2流路と、を有する。第1流路は、第1冷媒回路101の一部である。第2流路は、第2冷媒回路102の一部である。第1流路及び第2流路は、互いに連通していない。
【0041】
熱交換部材は、第1流路を流れる一次冷媒と、第2流路を流れる二次冷媒と、の間の熱交換を行う。吸着材は、第1流路に設けられる。吸着材は、第1流路を流れる一次冷媒の圧力の変化に応じて、第1流路を流れる一次冷媒を吸着及び脱着する。吸着材は、一次冷媒が接する熱交換部材の表面であって一次冷媒が接する第1表面に担持される。
【0042】
第1表面に担持される吸着材は、金属イオンと有機配位子とを含む金属有機構造体(MOF:Metal-Organic Framework)を含む。金属有機構造体とは、金属イオンと有機配位子との反応により得られる、非常に大きな比表面積を有する多孔性材料である。金属有機構造体では、有機配位子が金属イオンと連結することにより、内部に無数の開口を有する高分子構造体が得られる。金属有機構造体は、金属イオンと有機配位子とをそれぞれ選択して組み合わせることにより、開口径及びトポロジーを調節することが可能である。そのため、金属有機構造体は、金属イオンと有機配位子との選択及び組み合わせにより、開口径を調節でき、かつ、対象物質を選択的に吸着することが可能となる。金属有機構造体は、例えば、分子及びイオンの選択的貯蔵及び分離の機能を有する多孔性材料として用いられる。
【0043】
冷凍装置100では、金属有機構造体は、一次冷媒を吸着及び脱着するための吸着材として用いられる。金属有機構造体は、例えば、MOF-5、MOF-200、UiO-66及びMIL-101である。冷凍装置100で用いられる吸着材は、例えば、金属有機構造体の粉末である。この場合、吸着材とバインダーとを混合して成形したものを第1表面に接着することで、吸着材が第1表面に担持される。
【0044】
第1実施形態では、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、クロスフィン式の熱交換器である。
図2に示されるように、クロスフィン式の熱交換器の熱交換部材は、複数のフィン161と、伝熱管162と、ケーシング163と、を有する。伝熱管162は、直線状に延びる複数の直管部162aと、2つの直管部162aを接続する折返し部162bと、を有する。複数のフィン161は、その厚み方向に、伝熱管162の直管部162aが貫通する貫通穴を有する。複数のフィン161は、伝熱管162の直管部162aの周囲において、直管部162aが延びる方向に沿って所定の間隔を空けて積層されるように配置される。伝熱管162の第1端部162c及び第2端部162dは、第2冷媒回路102に接続される。ケーシング163は、複数のフィン161及び伝熱管162を収容する。ケーシング163は、第1冷媒回路101と接続される流入口163a及び流出口163bを有する。
【0045】
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、流入口163aを通過してケーシング163の内部に流入し、伝熱管162を流れる二次冷媒と熱交換した後、流出口163bを通過してケーシング163から第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、第1端部162cを通過して伝熱管162の内部に流入し、ケーシング163の内部を流れる一次冷媒と熱交換した後、第2端部162dを通過して伝熱管162から第2冷媒回路102に流出する。
【0046】
第1実施形態では、一次冷媒が流れる第1流路171は、ケーシング163の内部、かつ、伝熱管162の外部の空間である。二次冷媒が流れる第2流路172は、ケーシング163の内部、かつ、伝熱管162の内部の空間である。第1表面182は、複数のフィン161及び伝熱管162の外側の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、複数のフィン161の表面、及び、伝熱管162の外側の表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0047】
また、第1流路171の少なくとも一部は、一次冷媒が流入及び流出する箇所を1つのみ有する。言い換えると、第1流路171は、一次冷媒が循環する流路を有する。
【0048】
(2)冷凍装置100の動作
冷凍装置100の動作について、冷凍装置100が空気調和装置である場合について説明する。この場合、第3熱交換器142は、室内熱交換器であり、第4熱交換器152は、室外熱交換器である。
【0049】
第1熱交換器111及び第2熱交換器112の吸着材181は、第1冷媒回路101を流れる一次冷媒を吸着及び脱着する。第1冷媒回路101の高圧域は、第1圧力の一次冷媒で満たされている。第1冷媒回路101の低圧域は、第2圧力の一次冷媒で満たされている。第1圧力は、第2圧力より高い。吸着材181は、第1冷媒回路101の高圧域において一次冷媒を吸着する。吸着材181は、第1冷媒回路101の低圧域において一次冷媒を脱着する。
【0050】
最初に、第1冷媒回路101が第1モードである場合における、吸着材181に吸着している一次冷媒の量である吸着量の変化について説明する。初期状態では、第1熱交換器111の吸着材181の吸着量は第1吸着量であり、第2熱交換器112の吸着材181の吸着量は第2吸着量であるとする。第2吸着量は、第1吸着量より大きい。
【0051】
第1冷媒回路101を流れる低圧の一次冷媒は、圧縮機131によって圧縮される。これにより、一次冷媒の圧力は、第2圧力から第1圧力まで増加する。圧縮機131で圧縮された高圧の一次冷媒は、第1熱交換器111の第1流路171に流入する。第1熱交換器111では、第1圧力の一次冷媒は、熱を放出しながら吸着材181に徐々に吸着する。その後、一次冷媒は、第1熱交換器111を通過して、膨張機構132で減圧される。これにより、一次冷媒の圧力は、第1圧力から第2圧力まで減少する。膨張機構132で減圧された低圧の一次冷媒は、第2熱交換器112の第1流路171に流入する。第2熱交換器112では、吸着材181に吸着されている一次冷媒は、熱を吸収しながら吸着材181から徐々に脱着する。この過程で、第1熱交換器111の吸着材181の吸着量は、第1吸着量から第2吸着量まで増加し、第2熱交換器112の吸着材181の吸着量は、第2吸着量から第1吸着量まで減少する。
【0052】
次に、第1冷媒回路101が第2モードである場合における、吸着材181に吸着している一次冷媒の量である吸着量の変化について説明する。初期状態では、第1熱交換器111の吸着材181の吸着量は第2吸着量であり、第2熱交換器112の吸着材181の吸着量は第1吸着量であるとする。
【0053】
第1冷媒回路101を流れる低圧の一次冷媒は、圧縮機131によって圧縮される。これにより、一次冷媒の圧力は、第2圧力から第1圧力まで増加する。圧縮機131で圧縮された高圧の一次冷媒は、第2熱交換器112の第1流路171に流入する。第2熱交換器112では、第1圧力の一次冷媒は、熱を放出しながら吸着材181に徐々に吸着する。その後、一次冷媒は、第2熱交換器112を通過して、膨張機構132で減圧される。これにより、一次冷媒の圧力は、第1圧力から第2圧力まで減少する。膨張機構132で減圧された低圧の一次冷媒は、第1熱交換器111の第1流路171に流入する。第1熱交換器111では、吸着材181に吸着されている一次冷媒は、熱を吸収しながら吸着材181から徐々に脱着する。この過程で、第1熱交換器111の吸着材181の吸着量は、第2吸着量から第1吸着量まで減少し、第2熱交換器112の吸着材181の吸着量は、第1吸着量から第2吸着量まで増加する。
【0054】
第1モードかつ第3モードで冷凍装置100を動作させると、第1熱交換器111において、第1流路171を流れる一次冷媒を吸着材181が吸着する過程で発生する熱は、第2流路172を流れる二次冷媒に移動する。一方、第2熱交換器112において、吸着材181に吸着されている一次冷媒が吸着材181から脱着する過程で発生する冷熱は、第2流路172を流れる二次冷媒に移動する。従って、第1モードかつ第3モードでは、第1熱交換器111において、一次冷媒から、第1循環回路を流れる二次冷媒に熱が移動し、第2熱交換器112において、第2循環回路を流れる二次冷媒から、一次冷媒に熱が移動する。
【0055】
その後、第1熱交換器111の吸着材181の吸着量が第2吸着量に達すると、第1熱交換器111の吸着材181は一次冷媒を吸着しにくくなる。この状態になったら、冷凍装置100を、第1モードから第2モードに切り替え、かつ、第3モードから第4モードに切り替える。
【0056】
第2モードかつ第4モードで冷凍装置100を動作させると、第2熱交換器112において、第1流路171を流れる一次冷媒を吸着材181が吸着する過程で発生する熱は、第2流路172を流れる二次冷媒に移動する。一方、第1熱交換器111において、吸着材181に吸着されている一次冷媒が吸着材181から脱着する過程で発生する冷熱は、第2流路172を流れる二次冷媒に移動する。従って、第2モードかつ第4モードでは、第1熱交換器111において、第2循環回路を流れる二次冷媒から、一次冷媒に熱が移動し、第2熱交換器112において、一次冷媒から、第1循環回路を流れる二次冷媒に熱が移動する。
【0057】
その後、第2熱交換器112の吸着材181の吸着量が第2吸着量に達すると、第2熱交換器112の吸着材181は一次冷媒を吸着しにくくなる。この状態になったら、冷凍装置100を、第2モードから第1モードに切り替え、かつ、第4モードから第3モードに切り替える。
【0058】
以上より、第1モードと第2モードとを交互に切り替えることで、第1熱交換器111及び第2熱交換器112のいずれか一方において一次冷媒を吸着材181に吸着させ続けることができる。また、第1モードと第2モードとの切り替えに合わせて第3モードと第4モードとを交互に切り替えることで、一次冷媒が吸着材181に吸着する時に発生する熱を、第1循環回路を流れる二次冷媒に供給し続けることができる。
【0059】
従って、冷凍装置100は、第1循環回路に接続される第3熱交換器142に、一次冷媒との熱交換により加熱された二次冷媒を供給し続けることができる。第3熱交換器142において二次冷媒と熱交換されて加熱された空気は、第1ファン143によって所定の場所に送られる。
【0060】
(3)冷凍装置100の効果
冷凍装置100の第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、第1流路171を流れる一次冷媒が接する表面であって、吸着材181が担持される第1表面182を有する。第1表面182に吸着材181を担持させることで、第1流路171を流れる一次冷媒の吸着及び脱着時に吸着材181から発生する熱又は冷熱を、第2流路172を流れる二次冷媒に効率的に移動させることができる。
【0061】
そのため、冷凍装置100は、一次冷媒と二次冷媒との間の熱交換を効率化できるため、吸着材181を第1表面182に担持させない場合と比較して、冷凍能力を向上させることができる。また、冷凍装置100は、一次冷媒と二次冷媒との間の熱交換の効率化により、複数のフィン161、伝熱管162及びケーシング163等の熱交換部材をコンパクトにすることができ、製造コストを低減することができる。
【0062】
―第2実施形態―
第2実施形態の冷凍装置100の基本的な構成及び動作は、第1実施形態の冷凍装置100と同じである。第2実施形態の冷凍装置100と、第1実施形態の冷凍装置100との間の主な相違点は、第1熱交換器111及び第2熱交換器112である。
【0063】
第2実施形態では、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、コルゲートフィン式の熱交換器である。
図3に示されるように、コルゲートフィン式の熱交換器の熱交換部材は、複数のフィン261と、複数の伝熱管262と、ケーシング263と、を有する。複数の伝熱管262は、それぞれ互いに接触しないように所定の方向に沿って等間隔に配置されている扁平管である。複数のフィン261は、複数の伝熱管262の間に配置される。複数のフィン261は、複数のフィン261を通過する空気の流れ方向から見て、波形状に形成されている。複数のフィン261の長手方向は、複数の伝熱管262の長手方向と一致する。複数の伝熱管262の両端は、第1ヘッダ264a及び第2ヘッダ264bに接続される。第1ヘッダ264a及び第2ヘッダ264bは、第2冷媒回路102に接続される。ケーシング263は、複数のフィン261及び複数の伝熱管262を収容する。ケーシング263は、第1冷媒回路101と接続される流入口263a及び流出口263bを有する。
【0064】
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、流入口263aを通過してケーシング263の内部に流入し、複数の伝熱管262を流れる二次冷媒と熱交換した後、流出口263bを通過してケーシング263から第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、第1ヘッダ264aに流入した後、複数の伝熱管262に分流し、ケーシング263の内部を流れる一次冷媒と熱交換した後、第2ヘッダ264bで合流して、第2冷媒回路102に流出する。
【0065】
第2実施形態では、一次冷媒が流れる第1流路171は、ケーシング263の内部、かつ、複数の伝熱管262の外部の空間である。二次冷媒が流れる第2流路172は、ケーシング263の内部、かつ、複数の伝熱管262の内部の空間である。第1表面182は、複数のフィン261及び複数の伝熱管262の外側の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、複数のフィン261の表面、及び、伝熱管262の外側の表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0066】
―第3実施形態―
第3実施形態の冷凍装置100の基本的な構成及び動作は、第1実施形態の冷凍装置100と同じである。第3実施形態の冷凍装置100と、第1実施形態の冷凍装置100との間の主な相違点は、第1熱交換器111及び第2熱交換器112である。
【0067】
第3実施形態では、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、シェルアンドチューブ式の熱交換器である。
図4に示されるように、シェルアンドチューブ式の熱交換器の熱交換部材は、複数の伝熱管362と、ケーシング363と、バッフル364と、を有する。複数の伝熱管362は、それぞれ互いに接触しないように配置されている。ケーシング363は、複数の伝熱管362の長手方向に沿って延びている筒状の部材である。ケーシング363は、複数の伝熱管362を収容する。ケーシング363の内部空間は、入口側空間363aと、出口側空間363bと、熱交換空間363cと、に区画されている。入口側空間363aは、複数の伝熱管362の一方の端部と連通する。出口側空間363bは、複数の伝熱管362の他方の端部と連通する。熱交換空間363cは、複数の伝熱管362の内部空間と連通しない。入口側空間363a及び出口側空間363bは、第2冷媒回路102に接続される。ケーシング363は、熱交換空間363cと第1冷媒回路101とを接続する流入口363d及び流出口363eを有する。複数のバッフル364は、熱交換空間363cに配置される。複数のバッフル364は、
図4に示されるように、熱交換空間363cにおいて流入口363dから流出口363eに向かって流れる流体が、蛇行状の流路を形成するような位置に配置される。
【0068】
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、流入口363dを通過して熱交換空間363cに流入し、複数の伝熱管362を流れる二次冷媒と熱交換した後、流出口363eを通過して熱交換空間363cから第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、入口側空間363aに流入した後、複数の伝熱管362に分流し、熱交換空間363cを流れる一次冷媒と熱交換した後、出口側空間363bで合流して、第2冷媒回路102に流出する。
【0069】
第3実施形態では、一次冷媒が流れる第1流路171は、ケーシング363の内部、かつ、複数の伝熱管362の外部の空間である。二次冷媒が流れる第2流路172は、ケーシング363の内部、かつ、複数の伝熱管362の内部の空間である。第1表面182は、複数の伝熱管362の外側の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、複数の伝熱管362の外側の表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0070】
―第4実施形態―
第4実施形態の冷凍装置100の基本的な構成及び動作は、第1実施形態の冷凍装置100と同じである。第4実施形態の冷凍装置100と、第1実施形態の冷凍装置100との間の主な相違点は、第1熱交換器111及び第2熱交換器112である。
【0071】
第4実施形態では、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、二重管式の熱交換器である。
図5に示されるように、二重管式の熱交換器の熱交換部材は、外管462と、外管462内に設けられる内管464と、を有する。内管464は、外管462と内管464との間に隙間が形成されるように配置されている。外管462と内管464との間の空間は、複数の空間に区画されてもよい。内管464の内部の空間は、第2冷媒回路102に接続される。外管462と内管464との間の空間は、第1冷媒回路101に接続される。
【0072】
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、外管462と内管464との間に流入し、内管464の内部を流れる二次冷媒と熱交換した後、第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、内管464の内部に流入し、外管462と内管464との間を流れる一次冷媒と熱交換した後、第2冷媒回路102に流出する。第1熱交換器111及び第2熱交換器112において、一次冷媒が流れる方向は、二次冷媒が流れる方向の反対であることが好ましい。
【0073】
第4実施形態では、一次冷媒が流れる第1流路171は、外管462と内管464との間の空間である。二次冷媒が流れる第2流路172は、内管464の内部の空間である。第1表面182は、内管464の外側の表面、及び、外管462の内側の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、内管464の外側の表面、及び、外管462の内側の表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0074】
―第5実施形態―
第5実施形態の冷凍装置100の基本的な構成及び動作は、第1実施形態の冷凍装置100と同じである。第5実施形態の冷凍装置100と、第1実施形態の冷凍装置100との間の主な相違点は、第1熱交換器111及び第2熱交換器112である。
【0075】
第5実施形態では、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、プレート式の熱交換器である。
図6に示されるように、プレート式の熱交換器の熱交換部材は、複数のプレート562を有する。複数のプレート562は、所定の第1方向に沿って積層して配置されている。複数のプレート562は、第1方向に沿って積層した場合に、2枚のプレート562の間に第1流路171及び第2流路172となる隙間が形成される形状を有する。複数のプレート562は、第1方向に沿って、第1流路171と第2流路172とを交互に形成する。複数のプレート562の主表面であって、一次冷媒及び二次冷媒が接触する面の一部は、波状に成形されてもよい。
【0076】
複数のプレート562は、第1方向の両端において、一対のフレーム564によって挟み込まれている。複数のプレート562は、一対のフレーム564と共に、ボルト等によって締結されている。一対のフレーム564の一方には、第1接続部564a、第2接続部564b、第3接続部564c、及び、第4接続部564dが設けられている。第1接続部564a及び第2接続部564bは、第1流路171の両端となる管であり、第1冷媒回路101と接続される。第3接続部564c及び第4接続部564dは、第2流路172の両端となる管であり、第2冷媒回路102と接続される。
【0077】
複数のプレート562は、それぞれ、第1貫通孔562a、第2貫通孔562b、第3貫通孔562c及び第4貫通孔562dを有する。第1貫通孔562a、第2貫通孔562b、第3貫通孔562c及び第4貫通孔562dは、それぞれ、第1接続部564a、第2接続部564b、第3接続部564c、及び、第4接続部564dと連通する。第1貫通孔562a及び第2貫通孔562bは、第1流路171と連通し、第2流路172と連通しない。第3貫通孔562c及び第4貫通孔562dは、第2流路172と連通し、第1流路171と連通しない。
【0078】
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、第1接続部564aから第1流路171に流入し、第2流路172を流れる二次冷媒と熱交換した後、第2接続部564bから第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、第3接続部564cから第2流路172に流入し、第1流路171を流れる一次冷媒と熱交換した後、第4接続部564dから第2冷媒回路102に流出する。
【0079】
第5実施形態では、第1表面182は、複数のプレート562の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、第1流路171を構成する一対のプレート562の主表面であって、一次冷媒と接触する表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0080】
―変形例―
(1)変形例A
第1乃至第4実施形態では、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、一次冷媒が流れる第1流路171と、二次冷媒が流れる第2流路172と、を有する。しかし、以下に説明するように、第1流路171及び第2流路172の位置は、第1乃至第4実施形態と逆であってもよい。
【0081】
(1-1)変形例A1(第1実施形態の変形例)
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、第1端部162cを通過して伝熱管162の内部に流入し、ケーシング163の内部を流れる二次冷媒と熱交換した後、第2端部162dを通過して伝熱管162から第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、流入口163aを通過してケーシング163の内部に流入し、伝熱管162を流れる一次冷媒と熱交換した後、流出口163bを通過してケーシング163から第2冷媒回路102に流出する。
【0082】
図7に示されるように、一次冷媒が流れる第1流路171は、ケーシング163の内部、かつ、伝熱管162の内部の空間である。二次冷媒が流れる第2流路172は、ケーシング163の内部、かつ、伝熱管162の外部の空間である。第1表面182は、伝熱管162の内側の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、伝熱管162の内側の表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0083】
(1-2)変形例A2(第2実施形態の変形例)
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、第1ヘッダ264aに流入した後、複数の伝熱管262に分流し、ケーシング263の内部を流れる二次冷媒と熱交換した後、第2ヘッダ264bで合流して、第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、流入口263aを通過してケーシング263の内部に流入し、複数の伝熱管262を流れる一次冷媒と熱交換した後、流出口263bを通過してケーシング263から第2冷媒回路102に流出する。
【0084】
図8に示されるように、一次冷媒が流れる第1流路171は、ケーシング263の内部、かつ、複数の伝熱管262の内部の空間である。二次冷媒が流れる第2流路172は、ケーシング263の内部、かつ、複数の伝熱管262の外部の空間である。第1表面182は、複数の伝熱管262の内側の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、複数の伝熱管262の内側の表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0085】
(1-3)変形例A3(第3実施形態の変形例)
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、入口側空間363aに流入した後、複数の伝熱管362に分流し、熱交換空間363cを流れる二次冷媒と熱交換した後、出口側空間363bで合流して、第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、流入口363dを通過して熱交換空間363cに流入し、複数の伝熱管362を流れる一次冷媒と熱交換した後、流出口363eを通過して熱交換空間363cから第2冷媒回路102に流出する。
【0086】
図9に示されるように、一次冷媒が流れる第1流路171は、ケーシング363の内部、かつ、複数の伝熱管362の内部の空間である。二次冷媒が流れる第2流路172は、ケーシング363の内部、かつ、複数の伝熱管362の外部の空間である。第1表面182は、複数の伝熱管362の内側の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、複数の伝熱管362の内側の表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0087】
(1-4)変形例A4(第4実施形態の変形例)
第1冷媒回路101を流れる一次冷媒は、内管464の内部に流入し、外管462と内管464との間を流れる二次冷媒と熱交換した後、第1冷媒回路101に流出する。第2冷媒回路102を流れる二次冷媒は、外管462と内管464との間に流入し、内管464の内部を流れる一次冷媒と熱交換した後、第2冷媒回路102に流出する。第1熱交換器111及び第2熱交換器112において、一次冷媒が流れる方向は、二次冷媒が流れる方向の反対であることが好ましい。
【0088】
図10に示されるように、一次冷媒が流れる第1流路171は、内管464の内部の空間である。二次冷媒が流れる第2流路172は、外管462と内管464との間の空間である。第1表面182は、内管464の内側の表面の少なくとも一部を含む。第1表面182は、例えば、内管464の内側の表面である。第1表面182は、第1流路171と接触する。そのため、第1流路171を流れる一次冷媒は、第1表面182に担持される吸着材181と接触する。
【0089】
(2)変形例B
第1乃至第5実施形態及び変形例A1-A4では、吸着材181は、一次冷媒が流れる空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。
【0090】
第1実施形態では、吸着材181は、複数のフィン161の間の空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。言い換えると、複数のフィン161において、熱交換される空気が通過する空間の少なくとも一部が、吸着材181で充填されていてもよい。
【0091】
第2実施形態では、吸着材181は、複数の伝熱管262の間の空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。言い換えると、複数のフィン261において、熱交換される空気が通過する空間の少なくとも一部が、吸着材181で充填されていてもよい。
【0092】
第3実施形態では、吸着材181は、複数の伝熱管362の間の空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。
【0093】
第4実施形態では、吸着材181は、外管462と内管464との間の空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。
【0094】
第5実施形態では、吸着材181は、複数のプレート562の間の空間であって、一次冷媒が流れる空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。
【0095】
変形例A1では、吸着材181は、伝熱管162の内部の空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。
【0096】
変形例A2では、吸着材181は、複数の伝熱管262の内部の空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。
【0097】
変形例A3では、吸着材181は、複数の伝熱管362の内部の空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。
【0098】
変形例A4では、吸着材181は、内管464の内側の空間の少なくとも一部に充填されていてもよい。
【0099】
吸着材181として用いられる金属有機構造体は、多孔質の固体である。ガス状の一次冷媒は、吸着材181を容易に透過しながら、吸着材181に対して吸着及び脱着することができる。そのため、一次冷媒が吸着材181を透過する時の圧力損失は、その影響を考慮する必要がない程度に小さい。従って、本変形例では、第1表面182に吸着材181を担持させる場合と比較して吸着材181の使用量が多くなるため、一次冷媒の吸着時に吸着材181から発生する熱量を増加させることができる。その結果、一次冷媒と二次冷媒との間の熱交換を効率化することができる。
【0100】
(3)変形例C
吸着材181は、第2流路172を二次冷媒が流れる第2方向に沿って、熱交換が行われる時に吸着材181から発生する熱量が多くなるように、第1表面182に担持されることが好ましい。
【0101】
具体的には、吸着材181は、第1表面182に担持される吸着材181の量が第2方向に沿って変化するように、第1表面182に担持される。例えば、第1表面182に担持される吸着材181の厚みが第2方向に沿って変化するように、第1表面182に担持される。また、吸着材181は、第1表面182に担持される吸着材181の種類が第2方向に沿って変化するように、第1表面182に担持される。
【0102】
吸着材181として用いられる金属有機構造体は、金属有機構造体を構成する金属イオンと有機配位子の種類、及び、金属有機構造体の使用量によって、一次冷媒を吸着する時の発熱量が異なる。そのため、金属有機構造体の使用量及び種類を適切に選択することで、一次冷媒と二次冷媒との間の熱交換を効率化することができる。
【0103】
(4)変形例D
第1実施形態において、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、伝熱管162の代わりに、第2実施形態の複数の伝熱管262、第1ヘッダ264a及び第2ヘッダ264bを有してもよい。
【0104】
また、第1及び第2実施形態において、伝熱管162,262としてマイクロチャネル管を用いてもよい。
【0105】
(5)変形例E
第1乃至第5実施形態では、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、同じタイプの熱交換部材を有する。しかし、第1熱交換器111及び第2熱交換器112は、互いに異なるタイプの熱交換部材を有してもよい。
【0106】
(6)変形例F
冷凍装置100で用いられる吸着材は、金属有機構造体である。しかし、吸着材として、金属有機構造体以外の材料が用いられてもよい。金属有機構造体以外の材料は、例えば、活性炭、ゼオライト系材料、シリカ系材料、及び、アルミナ系材料である。
【0107】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0108】
100 :冷凍装置
101 :第1冷媒回路
102 :第2冷媒回路
111 :第1熱交換器(熱交換器)
112 :第2熱交換器(熱交換器)
161 :複数のフィン
162 :伝熱管
163 :ケーシング
181 :吸着材
182 :第1表面
261 :複数のフィン
262 :複数の伝熱管
263 :ケーシング
362 :複数の伝熱管
363 :ケーシング
462 :外管
464 :内管
562 :複数のプレート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】