(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145665
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電子供与体供給回収装置、電子供与体の供給方法及び電子供与体の回収方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/34 20230101AFI20241004BHJP
【FI】
C02F3/34 101B
C02F3/34 101A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058116
(22)【出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000127352
【氏名又は名称】株式会社イワキ
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 友宏
(72)【発明者】
【氏名】岡本 智兼
(72)【発明者】
【氏名】植本 弘明
【テーマコード(参考)】
4D040
【Fターム(参考)】
4D040BB02
4D040BB52
4D040BB93
(57)【要約】
【課題】電子供与体を含む液体の容器への供給及び回収を、部品点数を少なくして設備コストを抑えつつ容器の破損を防止し正確且つ効率的に行って省力化を図る。
【解決手段】電子供与体供給回収装置は、電子供与体を含む液体が収容される密閉袋状の複数の容器と、容器の上方に配置され、内容積が圧力変動によって変化しない複数のバッファタンクを直列に接続してなり、一方を液体の注入側、他方を液体の排出側とするバッファタンクアセンブリと、これの液体の注入側及び排出側にそれぞれ接続される複数の弁装置、及び液体の排出側に接続されたポンプ装置を含むポンプ機構と、これの動作を制御する制御手段と、供給する液体を貯留する第1タンクと、回収した液体又は使用済み廃液を貯留する第2タンクとを備える。バッファタンクは、対応する一つの容器にのみ接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物に与える電子供与体を含む液体が収容される密閉袋状の複数の容器と、
前記容器の上方に配置され、内容積が圧力変動によって変化しない複数のバッファタンクを直列に接続してなり、一方を前記液体の注入側、他方を前記液体の排出側とするバッファタンクアセンブリと、
前記バッファタンクアセンブリの前記液体の注入側及び排出側にそれぞれ接続される複数の弁装置、及び前記液体の排出側に接続されたポンプ装置を含むポンプ機構と、
前記ポンプ機構の動作を制御する制御手段と、
前記バッファタンクアセンブリの前記液体の注入側に配置され前記容器に供給する前記液体を貯留する第1タンクと、
前記バッファタンクアセンブリの前記液体の排出側に配置され前記容器から回収した前記液体又は使用済み廃液を貯留する第2タンクと、
を備え、
前記バッファタンクは、対応する一つの前記容器にのみ接続され、
前記制御手段は、前記ポンプ機構を制御して、前記バッファタンクアセンブリの複数のバッファタンク内に前記第1タンクから前記液体を供給し、前記バッファタンク内に収容された前記液体を前記容器内に供給し、前記ポンプ機構を制御して、前記液体又は前記廃液を前記容器内から前記第2タンクに回収する
電子供与体供給回収装置。
【請求項2】
前記バッファタンクは、円筒状に形成され、中心軸が垂直方向に延びるように配置され、上端部に水平方向に並ぶように設けられた第1接続口及び第2接続口と、下端部に設けられた第3接続口と、を有し、前記第3接続口を介して前記容器と接続され、
前記バッファタンクアセンブリは、水平方向に配列された前記複数のバッファタンクを有し、
隣設する前段の前記バッファタンクの前記第2接続口と後段の前記バッファタンクの前記第1接続口とは、前記液体の注入側の先頭に配置された前記バッファタンクから前記液体の排出側の後尾に配置された前記バッファタンクにかけて配管でそれぞれ連結され、
前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口は、前記複数の弁装置のうちの異なる前記弁装置にそれぞれ接続されている
請求項1記載の電子供与体供給回収装置。
【請求項3】
前記ポンプ機構は、
前記バッファタンクアセンブリの前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記第1タンクの間に設けられた第1弁装置と、
前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口に接続された大気開放用の第2弁装置と、
前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口及び前記ポンプ装置の吸込口の間に設けられた第3弁装置と、
前記バッファタンクアセンブリの前記複数のバッファタンクの前記第3接続口及び前記ポンプ装置の前記吸込口の間に設けられた第4弁装置と、
前記ポンプ装置の吐出口及び前記第1タンクの間に設けられた第5弁装置と、
前記ポンプ装置の前記吐出口及び前記第2タンクの間に設けられた第6弁装置と、
を含む
請求項2記載の電子供与体供給回収装置。
【請求項4】
前記バッファタンクは、円筒状に形成され、中心軸が水平方向に延びるように配置され、中心軸方向の一方の端部に垂直方向の下側及び上側に並ぶようにそれぞれ設けられた第1接続口及び第2接続口を有し、前記第1接続口を介して前記容器と接続され、
前記バッファタンクアセンブリは、水平方向に配列された前記複数のバッファタンクを有し、
隣設する前段の前記バッファタンクの前記第2接続口と後段の前記バッファタンクの前記第1接続口とは、前記液体の注入側の先頭に配置された前記バッファタンクから前記液体の排出側の後尾に配置された前記バッファタンクにかけて配管でそれぞれ連結され、
前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口は、前記複数の弁装置のうちの異なる前記弁装置にそれぞれ接続されている
請求項1記載の電子供与体供給回収装置。
【請求項5】
前記ポンプ機構は、
前記バッファタンクアセンブリの前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記第1タンクの間に設けられた第1弁装置と、
前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口に接続された大気開放用の第2弁装置と、
前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口及び前記ポンプ装置の吸込口の間に設けられた第3弁装置と、
前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記ポンプ装置の前記吸込口の間に設けられた第4弁装置と、
前記ポンプ装置の吐出口及び前記第1タンクの間に設けられた第5弁装置と、
前記ポンプ装置の前記吐出口及び前記第2タンクの間に設けられた第6弁装置と、
前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口に接続された大気開放用の第7弁装置と、
を含む
請求項4記載の電子供与体供給回収装置。
【請求項6】
前記第1弁装置及び前記第1タンクの間に流量調節機構を備えた
請求項3又は5記載の電子供与体供給回収装置。
【請求項7】
前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク及び前記容器の間に、それぞれ前記容器を前記バッファタンクに対して着脱可能に接続するカプラを備えた
請求項3又は5記載の電子供与体供給回収装置。
【請求項8】
請求項1記載の電子供与体供給回収装置による電子供与体の供給方法であって、
前記制御手段によって前記ポンプ機構を、前記バッファタンクアセンブリの複数のバッファタンク内の圧力が負圧となるように動作させて、前記液体を前記第1タンクから前記複数のバッファタンク内に供給する工程と、
前記制御手段によって前記ポンプ機構を、前記複数のバッファタンク内の圧力が大気圧に近づくように動作させて、前記バッファタンク内に収容された前記液体を前記容器内に供給する工程と、を含む
電子供与体の供給方法。
【請求項9】
請求項3又は5記載の電子供与体供給回収装置による電子供与体の供給方法であって、
前記液体の前記容器内への供給時に、前記制御手段によって、前記第3弁装置及び前記第5弁装置を開動作させると共に前記ポンプ装置を動作させ、前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の圧力を前記バッファタンクアセンブリと前記容器との水頭未満の負圧にして、前記第1弁装置を開動作させて前記第1タンク内の前記液体を前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内に移送する工程と、
前記制御手段によって、前記第2弁装置を開動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の圧力を大気開放させて前記各バッファタンク内の前記液体を自重落下により前記容器内に供給する工程と、を含む
電子供与体の供給方法。
【請求項10】
前記各バッファタンク内の圧力を大気開放するに際し、前記制御手段によって、前記第2弁装置を繰り返し開閉動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の負圧を所定期間経過後に大気圧に戻す工程を含む
請求項9記載の電子供与体の供給方法。
【請求項11】
請求項3記載の電子供与体供給回収装置による電子供与体の回収方法であって、
前記容器内からの前記液体の回収時に、前記制御手段によって、前記第4弁装置及び前記第6弁装置を開動作させると共に前記ポンプ装置を動作させ、前記容器内の前記液体又は前記廃液を前記第2タンク内に回収する工程を含む
電子供与体の回収方法。
【請求項12】
請求項5記載の電子供与体供給回収装置による電子供与体の回収方法であって、
前記容器内からの前記液体の回収時に、前記制御手段によって、前記第4弁装置及び前記第6弁装置を開動作させると共に前記ポンプ装置を動作させ、前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口を通して前記容器内の前記液体又は前記廃液を前記第2タンク内に回収する工程を含む
電子供与体の回収方法。
【請求項13】
前記制御手段によって、前記回収する工程にて前記第3弁装置を開動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の負圧を前記バッファタンクアセンブリと前記容器との水頭未満の負圧にし、前記液体又は前記廃液を前記容器内から前記各バッファタンク内に吸い上げて一時的に貯留する工程を含む
請求項12記載の電子供与体の回収方法。
【請求項14】
前記制御手段によって、前記貯留する工程にて前記第7弁装置を繰り返し開閉動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の負圧を前記所定圧未満の負圧に維持しながら前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口を介して前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内に空気を補充し、前記各バッファタンク内に一時的に貯留された前記液体又は前記廃液を前記後尾に配置された前記バッファタンクから前記先頭に配置された前記バッファタンクに向けて移送する工程を含み、
前記回収する工程では、前記移送する工程にて移送された前記液体又は前記廃液を前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口、前記第4弁装置、前記ポンプ装置及び前記第6弁装置を通して前記第2タンク内に回収する
請求項13記載の電子供与体の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的な脱窒のための電子供与体供給回収装置、電子供与体の供給方法及び電子供与体の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、水生生物の飼育において、飼育水中の排泄物及び残餌等から生じた窒素成分の除去には、新鮮な飼育水を補給して換水を行うことが一般的であった。ただし、換水を常時行うためには、多量の飼育水が必要となり、飼育水の調達及び温度維持等のためのランニングコストが増大する。そして、例えば温度維持に基づくエネルギー消費に伴う二酸化炭素排出量の増大に繋がる等の問題が生じ得る。
【0003】
そのため、近年では、飼育水を換水せずに循環して再利用することで、飼育水の補給量の削減を図ることが求められている。しかし、飼育水の換水量を減らすと飼育水中の硝酸性窒素が増加して水生生物に悪影響を与えるため、飼育水中の硝酸性窒素を効率良く取り除く必要がある。
【0004】
このような飼育水等の被処理水の水中の硝酸性窒素を取り除く方法として、脱窒菌等の微生物を利用する方法が知られている。例えば、下水及び生活排水等の被処理水の処理技術として、槽式間欠曝気装置(特許文献1参照)によって、被処理水に対し脱窒菌が硝酸性窒素を窒素に変換するためのメタノール(電子供与体)を一定量添加する。これにより、硝酸性窒素を窒素に変換(脱窒)し、被処理水の硝酸性窒素の低減を図っている。
【0005】
一方、脱窒バイオリアクター(特許文献2参照)及び電子供与体供給装置(特許文献3参照)等の装置では、メタノール等のアルコール(電子供与体)を封入した膜を袋状に貼り合わせて形成した密閉構造の容器を飼育槽に投入する。これにより、袋状の容器の外側表面に付着した脱窒菌に対し、容器の膜を透過した電子供与体を与えて被処理水の脱窒を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3260554号公報
【特許文献2】特許第3025964号公報
【特許文献3】特許第5222234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来技術の槽式間欠曝気装置では、脱窒の反応槽全体を嫌気に保つ必要がある。このため、水生生物の飼育水の脱窒に用いる場合は、脱窒を行う反応槽を水生生物の飼育槽とは別に設ける必要があり、設備が肥大化してしまうという問題がある。また、反応槽を飼育槽とは別に設けた場合であっても、予期せぬ事故等により反応槽での脱窒の被処理水が飼育槽に混入してしまうと、水生生物が酸欠により死滅してしまうというリスクも否めない。
【0008】
これに対し、上記特許文献2及び3に開示された従来技術の装置では、嫌気状態を保つ箇所を被処理水と接する容器の外側表面のみとすることができるので、反応槽全体を嫌気にする必要はなく、飼育槽を反応槽として利用することが可能である。また、嫌気状態の被処理水による水生生物の死滅のリスクを非常に小さくすることができるので、安全性の高い脱窒を行うことも可能である。
【0009】
その一方で、袋状に密閉した容器に封入した電子供与体を含む液体は、定期的に容器に充填して供給する必要があり、電子供与体に容器の膜を透過できない成分が含まれている場合には、更に容器内に残った液体を適宜回収する必要があるので、手間がかかるという問題がある。また、容器に対して電子供与体を含む液体の充填による供給量が一定でない場合、及び容器内に残った液体を十分に回収できない場合は、安定した脱窒性能が得られないという問題もある。また、容器が膜を貼り合わせて袋状に形成した構造からなるため、液体を充填して供給する際に、容器が内部から加圧されると、破損してしまうおそれもある。
【0010】
また、電子供与体を含む液体の充填による供給及び回収を正確に行うためには、容器に対して切換弁を用いてポンプ装置を接続して行うことが一般的に想定されるが、容器が複数存在する場合は、全ての容器に対してそれぞれ切換弁を設けなければならず、部品点数が増えて設備が煩雑化するという問題がある。更に、電子供与体を含む液体の充填による供給量を直接測定して供給を行う場合には、流量計が必要となるため、設備コストの増加を招いてしまうおそれがある。
【0011】
そして、このような流量計を用いずに電子供与体を含む液体の充填による供給を複数の容器に対して行うために、電子供与体を含む液体を貯留するタンクに対して、各々配管を介して複数の容器を接続し、自重落下により供給することも行われるが、配管抵抗等の配管条件が揃わなければ、各容器への供給量に差異が生じてしまうという問題もある。
【0012】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、電子供与体を含む液体の容器への供給及び回収を、部品点数を少なくして設備コストを抑えつつ容器の破損を防止し正確且つ効率的に行って省力化を図ることができる電子供与体供給回収装置、電子供与体の供給方法及び電子供与体の回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電子供与体供給回収装置は、微生物に与える電子供与体を含む液体が収容される密閉袋状の複数の容器と、前記容器の上方に配置され、内容積が圧力変動によって変化しない複数のバッファタンクを直列に接続してなり、一方を液体の注入側、他方を前記液体の排出側とするバッファタンクアセンブリと、前記バッファタンクアセンブリの前記液体の注入側及び排出側にそれぞれ接続される複数の弁装置、及び前記液体の排出側に接続されたポンプ装置を含むポンプ機構と、前記ポンプ機構の動作を制御する制御手段と、前記バッファタンクアセンブリの前記液体の注入側に配置され前記容器に供給する前記液体を貯留する第1タンクと、前記バッファタンクアセンブリの前記液体の排出側に配置され前記容器から回収した前記液体又は使用済み廃液を貯留する第2タンクと、を備え、前記バッファタンクは、対応する一つの前記容器にのみ接続され、前記制御手段は、前記ポンプ機構を制御して、前記バッファタンクアセンブリの複数のバッファタンク内に前記第1タンクから前記液体を供給し、前記バッファタンク内に収容された前記液体を前記容器内に供給し、前記ポンプ機構を制御して、前記液体又は前記廃液を前記容器内から前記第2タンクに回収する。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記バッファタンクは、円筒状に形成され、中心軸が垂直方向に延びるように配置され、上端部に水平方向に並ぶように設けられた第1接続口及び第2接続口と、下端部に設けられた第3接続口と、を有し、前記第3接続口を介して前記容器と接続され、前記バッファタンクアセンブリは、水平方向に配列された前記複数のバッファタンクを有し、隣設する前段の前記バッファタンクの前記第2接続口と後段の前記バッファタンクの前記第1接続口とは、前記液体の注入側の先頭に配置された前記バッファタンクから前記液体の排出側の後尾に配置された前記バッファタンクにかけて配管でそれぞれ連結され、前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口は、前記複数の弁装置のうちの異なる前記弁装置にそれぞれ接続されている。
【0015】
本発明の他の実施形態において、前記ポンプ機構は、前記バッファタンクアセンブリの前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記第1タンクの間に設けられた第1弁装置と、前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口に接続された大気開放用の第2弁装置と、前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口及び前記ポンプ装置の吸込口の間に設けられた第3弁装置と、前記バッファタンクアセンブリの前記複数のバッファタンクの前記第3接続口及び前記ポンプ装置の前記吸込口の間に設けられた第4弁装置と、前記ポンプ装置の吐出口及び前記第1タンクの間に設けられた第5弁装置と、前記ポンプ装置の前記吐出口及び前記第2タンクの間に設けられた第6弁装置と、を含む。
【0016】
本発明の更に他の実施形態において、前記バッファタンクは、円筒状に形成され、中心軸が水平方向に延びるように配置され、中心軸方向の一方の端部に垂直方向の下側及び上側に並ぶようにそれぞれ設けられた第1接続口及び第2接続口を有し、前記第1接続口を介して前記容器と接続され、前記バッファタンクアセンブリは、水平方向に配列された前記複数のバッファタンクを有し、隣設する前段の前記バッファタンクの前記第2接続口と後段の前記バッファタンクの前記第1接続口とは、前記液体の注入側の先頭に配置された前記バッファタンクから前記液体の排出側の後尾に配置された前記バッファタンクにかけて配管でそれぞれ連結され、前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口は、前記複数の弁装置のうちの異なる前記弁装置にそれぞれ接続されている。
【0017】
本発明の更に他の実施形態において、前記ポンプ機構は、前記バッファタンクアセンブリの前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記第1タンクの間に設けられた第1弁装置と、前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口に接続された大気開放用の第2弁装置と、前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口及び前記ポンプ装置の吸込口の間に設けられた第3弁装置と、前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口及び前記ポンプ装置の前記吸込口の間に設けられた第4弁装置と、前記ポンプ装置の吐出口及び前記第1タンクの間に設けられた第5弁装置と、前記ポンプ装置の前記吐出口及び前記第2タンクの間に設けられた第6弁装置と、前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口に接続された大気開放用の第7弁装置と、を含む。
【0018】
本発明の更に他の実施形態において、前記第1弁装置及び前記第1タンクの間に流量調節機構を備える。
【0019】
本発明の更に他の実施形態において、前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク及び前記容器の間に、それぞれ前記容器を前記バッファタンクに対して着脱可能に接続するカプラを備える。
【0020】
本発明に係る電子供与体の供給方法は、上記の電子供与体供給回収装置による電子供与体の供給方法であって、前記制御手段によって前記ポンプ機構を、前記バッファタンクアセンブリの複数のバッファタンク内の圧力が負圧となるように動作させて、前記液体を前記第1タンクから前記複数のバッファタンク内に供給する工程と、前記制御手段によって前記ポンプ機構を、前記複数のバッファタンク内の圧力が大気圧に近づくように動作させて、前記バッファタンク内に収容された前記液体を前記容器内に供給する工程と、を含む。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記の電子供与体供給回収装置による電子供与体の供給方法であって、前記液体の前記容器内への供給時に、前記制御手段によって、前記第3弁装置及び前記第5弁装置を開動作させると共に前記ポンプ装置を動作させ、前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の圧力を前記バッファタンクアセンブリと前記容器との水頭未満の負圧にして、前記第1弁装置を開動作させて前記第1タンク内の前記液体を前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内に移送する工程と、前記制御手段によって、前記第2弁装置を開動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の圧力を大気開放させて前記各バッファタンク内の前記液体を自重落下により前記容器内に供給する工程と、を含む。
【0022】
本発明の他の実施形態において、前記各バッファタンク内の圧力を大気開放するに際し、前記制御手段によって、前記第2弁装置を繰り返し開閉動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の負圧を所定期間経過後に大気圧に戻す工程を含む。
【0023】
本発明に係る電子供与体の回収方法は、上記の電子供与体供給回収装置による電子供与体の回収方法であって、前記容器内からの前記液体の回収時に、前記制御手段によって、前記第4弁装置及び前記第6弁装置を開動作させると共に前記ポンプ装置を動作させ、前記容器内の前記液体又は前記廃液を前記第2タンク内に回収する工程を含む。
【0024】
本発明に係る他の電子供与体の回収方法は、上記の電子供与体供給回収装置による電子供与体の回収方法であって、前記容器内からの前記液体の回収時に、前記制御手段によって、前記第4弁装置及び前記第6弁装置を開動作させると共に前記ポンプ装置を動作させ、前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口を通して前記容器内の前記液体又は前記廃液を前記第2タンク内に回収する工程を含む。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記制御手段によって、前記回収する工程にて前記第3弁装置を開動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の負圧を前記バッファタンクアセンブリと前記容器との水頭未満の負圧にし、前記液体又は前記廃液を前記容器内から前記各バッファタンク内に吸い上げて一時的に貯留する工程を含む。
【0026】
本発明の他の実施形態において、前記制御手段によって、前記貯留する工程にて前記第7弁装置を繰り返し開閉動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の負圧を前記所定圧未満の負圧に維持しながら前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口を介して前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内に空気を補充し、前記各バッファタンク内に一時的に貯留された前記液体又は前記廃液を前記後尾に配置された前記バッファタンクから前記先頭に配置された前記バッファタンクに向けて移送する工程を含み、前記回収する工程では、前記移送する工程にて移送された前記液体又は前記廃液を前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口、前記第4弁装置、前記ポンプ装置及び前記第6弁装置を通して前記第2タンク内に回収する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電子供与体を含む液体の容器への供給及び回収を、部品点数を少なくして設備コストを抑えつつ容器の破損を防止し正確且つ効率的に行って省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の基本的な構成を示す模式図である。
【
図2】同電子供与体供給回収装置のバッファタンクアセンブリ及び容器の構成を示す斜視図である。
【
図3】同電子供与体供給回収装置による供給動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図4】同電子供与体供給回収装置による回収動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る電子供与体供給回収装置のバッファタンクアセンブリ及び容器の構成を示す模式図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の基本的な構成を示す模式図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の変形例の構成を示す模式図である。
【
図8】本発明の第4の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の基本的な構成を示す模式図である。
【
図9】同電子供与体供給回収装置のバッファタンクアセンブリ及び容器の構成を示す斜視図である。
【
図10】同電子供与体供給回収装置による電子供与体の供給時のバッファタンクアセンブリ内の圧力遷移の一例を示すグラフ及び供給動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】同電子供与体供給回収装置による電子供与体の回収時のバッファタンクアセンブリ内の圧力遷移の一例を示すグラフ及び回収動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図12】本発明の第5の実施形態に係る電子供与体供給回収装置のバッファタンクアセンブリ及び容器の構成を示す模式図である。
【
図13】本発明の第6の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の基本的な構成を示す模式図である。
【
図14】本発明の第4の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の変形例の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る電子供与体供給回収装置、電子供与体の供給方法及び電子供与体の回収方法を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の実施形態において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、実施形態においては、各構成要素の配置、縮尺及び寸法等が誇張或いは矮小化されて、実際のものとは一致しない状態で示されている場合、並びに一部の構成要素につき記載が省略されて示されている場合がある。
【0030】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の基本的な構成を示す模式図である。
図2は、電子供与体供給回収装置のバッファタンクアセンブリ及び容器の構成を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100は、微生物に与える電子供与体を含む液体(以下、「液体」と称することもある。)が、内部に充填により供給され封入される複数の容器C1,C2,C3,...,Cn(nは2以上の自然数、以下同じ。)と、各容器C1~Cnにそれぞれ接続される複数のバッファタンクBT1,BT2,BT3,...,BTn(nは2以上の自然数、以下同じ。)を含むバッファタンクアセンブリ1と、を備える。
【0032】
また、電子供与体供給回収装置100は、バッファタンクアセンブリ1の液体の注入側及び排出側にそれぞれ接続される複数の弁装置としての自動弁AV1,AV2,AV3,AV4,AV5,AV6及び液体の排出側に配置された吸引ポンプ(ポンプ装置)Pを含むポンプ機構3と、このポンプ機構3の動作を制御する制御装置(制御手段)2と、を備える。
【0033】
更に、電子供与体供給回収装置100は、各容器C1~Cnに供給する液体を貯留する供給タンク(第1タンク)STと、各容器C1~Cnから回収した液体又は使用済み廃液(以下、「廃液」と称することもある。)を貯留する回収タンク(第2タンク)RTと、を備える。なお、電子供与体供給回収装置100のバッファタンクアセンブリ1、ポンプ機構3及び制御装置2は、例えば、可搬性を有する装置ユニット(図示せず)としてユニット化され得る。また、各容器C1~Cnは、硝酸性窒素を含む被処理水Wを貯留する水槽WT内において、貯留された被処理水Wに浸漬される。また、電子供与体供給回収装置100による液体の供給は、本実施形態では充填によるものを例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0034】
ここで、微生物に与える電子供与体としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、トルエン、ベンゼン、フェノール等の物質が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、公知の種々の電子供与体物質を利用することができる。本実施形態においては、メタノール及びエタノール等のアルコールを電子供与体として利用し、この電子供与体を60%程度含む水分を上記液体として供給及び回収を行うものとするが、電子供与体及び水分の割合はこれに限定されるものではない。
【0035】
各容器C1~Cnは、例えば、少なくとも一部が非多孔性膜で構成される密閉袋状をなし、液体を密封可能に構成されている。なお、各容器C1~Cnは、これに限定されるものではなく、公知の種々の形状及び構成を採用することができる。各容器C1~Cnは、内部の電子供与体を非多孔性膜から周辺に透過供給可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0036】
なお、本実施形態に係る電子供与体供給回収装置100において、各容器C1~Cn、バッファタンクアセンブリ1、各バッファタンクBT1~BTn、ポンプ機構3、供給タンクST及び回収タンクRTをそれぞれ接続する配管は、例えば、公知のチューブ及びホース等の管状接続部材を用いることができる。このため、特に言及しない限り、電子供与体供給回収装置100の配管は、これらの管状接続部材により構成されるものとする。
【0037】
図1及び
図2に示すように、バッファタンクアセンブリ1は、各バッファタンクBT1~BTnを、水平方向であるX方向(第1方向)に複数並設し、隣設されたバッファタンクBT1~BTn同士を、配管4を介して接続して構成されている。バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTnは、内容積が圧力変動によって変化しない構造の硬化樹脂及び金属等の材料からなり、X方向と交差する鉛直方向(垂直方向)であるZ方向(第2方向)に中心軸が延びる円筒状に形成されている。なお、各バッファタンクBT1~BTnは、各容器C1~Cnに対する接続態様として、対応する一つの容器C1~Cnにのみ接続され得る。
【0038】
バッファタンクアセンブリ1は、各容器C1~CnのZ方向の上方において、各容器C1~Cnの下端から各バッファタンクBT1~BTnの下端までの水頭hの高さ分離れた位置に設置される。バッファタンクアセンブリ1の液体の注入側の先頭に配置されたバッファタンクBT1は、自動弁(第1弁装置)AV1を介して供給タンクSTに接続されている。また、バッファタンクアセンブリ1の液体の排出側の後尾に配置されたバッファタンクBTnは、自動弁(第3弁装置)AV3、吸引ポンプP及び自動弁(第6弁装置)AV6を介して回収タンクRTに接続されている。
【0039】
バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTnは、Z方向の上端部(一方の端部)にX方向に並ぶように設けられた第1接続口5及び第2接続口6と、Z方向の下端部(他方の端部)の中央に設けられた第3接続口7と、をそれぞれ有する。各バッファタンクBT1~BTnは、第3接続口7及び配管4cを介して各容器C1~Cnにそれぞれ接続されている。
【0040】
バッファタンクアセンブリ1は、具体的には、隣設されたバッファタンクBT1~BTn同士の第2接続口6と第1接続口5とを、先頭に配置されたバッファタンクBT1から後尾に配置されたバッファタンクBTnにかけてX方向に沿って直線状に配置された配管4でそれぞれ直列に連結した構造を備えている。
【0041】
また、バッファタンクアセンブリ1は、先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5と、後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6と、を配管4a及び配管4bを介してそれぞれ異なる自動弁AV1及び自動弁AV3に接続して構成されている。
【0042】
一方、ポンプ機構3の自動弁AV1は、バッファタンクアセンブリ1の先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5に接続されると共に、供給タンクSTの配管接続口8aに接続された配管4aの途中に、弁の片側一方及び弁の片側他方がそれぞれ接続され設けられている。また、自動弁(第2弁装置)AV2は、弁の片側一方を大気開放した大気開放用の開放弁として機能し、バッファタンクアセンブリ1の先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5と、自動弁AV1と、の間の配管4aに、弁の片側他方が接続されている。
【0043】
自動弁AV3は、バッファタンクアセンブリ1の後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6に接続されると共に、回収タンクRTの配管接続口8cに接続された配管4bの途中に接続され設けられている。なお、この配管4bには、後尾に配置されたバッファタンクBTnから回収タンクRTにかけて、自動弁AV3、吸引ポンプP及び自動弁AV6が順に接続され設けられている。従って、自動弁AV3は、具体的には、後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6に配管4bを介して弁の片側一方が接続され、吸引ポンプPの吸込口(図示せず、以下同じ。)に配管4bを介して弁の片側他方が接続されて、これらの間に設けられている。
【0044】
自動弁(第4弁装置)AV4は、各バッファタンクBT1~BTnと、各容器C1~Cnと、の間の配管4cからそれぞれ分岐して、吸引ポンプPの吸込口側の配管4bに接続される配管4dの途中に接続され設けられている。従って、自動弁AV4は、具体的には、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTnの第3接続口7に対して、配管4cからそれぞれ分岐した配管4dを介して並列に弁の片側一方が接続され、吸引ポンプPの吸込口に対して、配管4dが接続された配管4bを介して弁の片側他方が接続されて、これらの間に設けられている。なお、このような接続態様によると、自動弁AV3及び自動弁AV4の弁の片側他方は、吸引ポンプPの吸込口に平行に接続されることとなる。
【0045】
自動弁(第5弁装置)AV5は、吸引ポンプPの吐出口(図示せず、以下同じ。)側の配管4bから分岐して、供給タンクSTの配管接続口8bに接続される配管4eの途中に接続され設けられている。すなわち、自動弁AV5は、吸引ポンプPの吐出口側に配管4e及び配管4bを介して弁の片側一方が接続され、供給タンクSTの配管接続口8b側に配管4eを介して弁の片側他方が接続されて、これらの間に設けられる。
【0046】
また、自動弁AV6は、吸引ポンプPの吐出口と、回収タンクRTと、の間の配管4bの途中に接続され設けられている。すなわち、自動弁AV6は、吸引ポンプPの吐出口側に配管4bを介して弁の片側一方が接続され、回収タンクRTの配管接続口8c側に配管4bを介して弁の片側他方が接続されて、これらの間に設けられる。なお、このような接続態様によると、自動弁AV5及び自動弁AV6の弁の片側一方は、配管4e及び配管4bを介してそれぞれ吸引ポンプPの吐出口に平行に接続され、自動弁AV5及び自動弁AV6の弁の片側他方は、それぞれ配管4eを介して供給タンクSTの配管接続口8b及び配管4bを介して回収タンクRTの配管接続口8cにそれぞれ接続されることとなる。
【0047】
制御装置2は、バルブ及びポンプ等の制御専用のシステムコントローラ等により構成することができる。制御装置2は、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内及び各容器C1~Cn内の圧力を、所定圧(例えば、大気圧、以下同じ。)以下の負圧となるように、上記のように接続配置されたポンプ機構3の各部を動作させる。これにより、制御装置2は、液体の供給時には負圧により供給タンクSTから液体を各容器C1~Cnに供給するようにポンプ機構3を動作させると共に、液体の回収時には負圧により各容器C1~Cnから液体又は使用済み廃液を回収タンクRTに回収するようにポンプ機構3を動作させる。
【0048】
なお、電子供与体供給回収装置100では、上述したように各バッファタンクBT1~BTnはバッファタンクアセンブリ1として各容器C1~Cnに対してZ方向の上方に設けられている。このため、電子供与体を含む液体を均等に各容器C1~Cnに充填して供給するためには、供給時に各バッファタンクBT1~BTnと、各容器C1~Cnと、の水頭hに対して、バッファタンクアセンブリ1の内部の圧力(各バッファタンクBT1~BTn内の圧力)を大気圧よりも低い圧力にする必要がある。
【0049】
そのため、本実施形態に係る電子供与体供給回収装置100においては、配管4aにおける自動弁AV1の弁の片側他方と、供給タンクSTの配管接続口8aと、の間に、流量調節機構としての流量調節弁FCVが設けられている。この流量調節弁FCVにより、水頭hに対する圧力損失によって水頭h未満の十分な低い圧力(負圧)を得ることが可能となる。
【0050】
なお、流量調節機構は、上記流量調節弁FCVの他、オリフィス及び細管等の部品によって構成するようにしても良い。また、
図2に示すように、各容器C1~Cnは、配管接続口8dに接続された配管4caを、カプラ(継手)9を介して着脱可能に配管4cに接続することにより、各バッファタンクBT1~BTnの第3接続口7にそれぞれ接続される構成としても良い。以下の動作説明においては、各容器C1~Cnは、配管4cにより直接第3接続口7にそれぞれ接続されているものとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0051】
[電子供与体の供給動作]
次に、
図3を参照して、電子供与体供給回収装置100による電子供与体を含む液体の供給動作について説明する。
図3は、電子供与体供給回収装置100による供給動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、供給動作の制御主体は制御装置2であるため、ここでは明示による説明は省略する。
【0052】
まず、自動弁AV3及び自動弁AV5を開動作させると共に吸引ポンプPを動作させる(t1)。次に、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内の圧力が、各バッファタンクBT1~BTnと各容器C1~Cnとの水頭h未満の負圧になったら、自動弁AV1を開動作させる(t2)。これにより、供給タンクST内の液体を、配管4a及び配管4を介してバッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内に移送する。
【0053】
なお、バッファタンクアセンブリ1への液体の移送は、例えば、制御装置2に予め設定された時間が経過するまで行われる。この液体の移送は、例えば、供給タンクSTに液面センサを設け、液面センサからの情報に基づき、予め設定した体積量をバッファタンクアセンブリ1へ移送するようにして行われても良い。
【0054】
そして、各容器C1~Cnへの液体の充填による供給量を均一にするため、自動弁AV1を閉動作させる(t3)。これにより、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内の圧力を液体移送時の負圧よりも更に低下させ、配管4cを介して各容器C1~Cnに浸入した液体を各バッファタンクBT1~BTn内に一旦回収する。
【0055】
更に、各容器C1~Cnへの液体の充填による供給量を均一にするために、自動弁AV2を、予め設定された時間及び回数で、所定期間(所定期間経過後まで)繰り返し開閉動作させる(t4-t5)。これにより、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内の圧力(負圧)を、所定期間の適切な時間をかけて徐々に大気圧に戻す。また、これにより、各バッファタンクBT1~BTn間の差圧を起因とする液体の各バッファタンクBT1~BTn間の移動を低減しながら、液体の自重落下により各バッファタンクBT1~BTn内の液体を各容器C1~Cnに充填により供給する。
【0056】
なお、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内の圧力を、所定期間をかけて大気圧に戻す際に、各バッファタンクBT1~BTn間における差圧を起因として各バッファタンクBT1~BTn内を移動した液体を、吸引ポンプPの動作により、配管4b、自動弁AV3、吸引ポンプP、自動弁AV5及び配管4eを通して供給タンクSTに戻すように回収し、液体の各容器C1~Cnへの供給量を均一化する。
【0057】
このようにして、各バッファタンクBT1~BTn内を移動した液体の供給タンクSTへの回収が終了したら、自動弁AV3及び自動弁AV5を閉動作させ、吸引ポンプPを停止する(t5)。そして、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内の圧力が大気圧に近づいたら、自動弁AV2を開動作させて大気開放し、各容器C1~Cnへの液体の充填による供給が終了したら、自動弁AV2を閉動作させて供給動作を終了する。
【0058】
[電子供与体の回収動作]
次に、
図4を参照して、電子供与体供給回収装置100による電子供与体を含む液体の回収動作について説明する。
図4は、電子供与体供給回収装置100による回収動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、回収動作の制御主体は制御装置2であるため、ここでは明示による説明は省略する。
【0059】
まず、自動弁AV2、自動弁AV4及び自動弁AV6を開動作させると共に吸引ポンプPを動作させる(t11)。これにより、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内に残っている液体(廃液)を、配管4d、自動弁AV4、配管4b、吸引ポンプP及び自動弁AV6を通じて回収タンクRTに、例えば、予め設定された時間で回収する。
【0060】
次に、自動弁AV2を閉動作させ、各容器C1~Cn内に残っている廃液を、予め設定された時間回収する(t12)。各容器C1~Cnからの廃液の回収が終了したら、自動弁AV4及び自動弁AV6を閉動作させて、吸引ポンプPを停止させる(t13)。そして、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内及び各容器C1~Cn内に残っている廃液の量(回収量)を均一にするため、自動弁AV2を、予め設定された時間及び回数で繰り返し開閉動作させる(t13-t14)。
【0061】
これにより、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTn内の圧力(負圧)を、所定期間の適切な時間をかけて徐々に大気圧に戻す。また、これにより、各バッファタンクBT1~BTn間の差圧を起因とする各バッファタンクBT1~BTn内に残留した液体(使用済み廃液を含む)の各バッファタンクBT1~BTn間の移動を低減する。こうして各バッファタンクBT1~BTn内の圧力を大気圧に戻した後、自動弁AV2を閉動作させる(t14)。このようにして、回収タンクRTへの廃液の回収動作を終了する。
【0062】
上記のような電子供与体供給回収装置100によれば、各容器C1~Cnに対して1対1で接続された各バッファタンクBT1~BTn内に液体を一旦充填し、各バッファタンクBT1~BTn内の液体を各容器C1~Cnに供給している。各バッファタンクBT1~BTnの内容積は変化しないので、容器C1~Cn内に正確な量の液体を供給することができる。しかも、各バッファタンクBT1~BTnへの液体の充填は、吸引ポンプPで生成される負圧により行われ、各容器C1~Cnへの供給は、自然落下により行われるので、容器C1~Cnに圧力負荷を与えることは無い。
また、バッファタンクBT1~BTnへの大気開放の際に、一気に大気開放を行うのではなく、バッファタンクBT1~BTn内の圧力を、制御装置2によるポンプ機構3の動作制御によって、徐々に負圧から大気圧に至るように細かく制御している。このため、大気開放時に、電子供与体を含む液体が、バッファタンクBT1~BTn間で移動することを極力防止して、バッファタンクアセンブリ1から各容器C1~Cnに液体を均等に充填して供給することができる。また、自動的に各容器C1~Cnに残った使用済みの廃液をできるだけ残さず回収タンクRTに回収することができる。これにより、電子供与体の供給及び回収を効率的に行うことが可能となる。
【0063】
また、電子供与体供給回収装置100によれば、複数の自動弁AV1~AV6を含むポンプ機構3がバッファタンクアセンブリ1に接続されているため、各容器C1~Cnに対して個々に弁装置を設ける必要がなく、併せて流量計も不要であるため、部品点数を少なくして設備コストを抑えることができる。また、バッファタンクアセンブリ1と各容器C1~Cnとの間の配管4cを含めて全体の配管条件を揃えやすい構造を有するため、電子供与体を含む液体の供給量及び回収量を均一化して正確に行うことが可能となる。このように、本実施形態の電子供与体供給回収装置100によれば、電子供与体を含む液体の各容器C1~Cnへの供給及び回収を、部品点数を少なくして設備コストを抑えつつ容器の破損を防止し正確且つ効率的に行って省力化を図ることが可能となる。
【0064】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る電子供与体供給回収装置のバッファタンクアセンブリ及び容器の構成を示す模式図である。なお、
図5を含む以降の説明においては、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0065】
図5に示すように、第2の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100Aは、基本的な構成は第1の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100と同様であるが、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTnと、各容器C1~Cm(mは2以上の自然数でnより小さい、以下同じ。)と、の接続態様が、第1の実施形態とは相違している。
【0066】
すなわち、この電子供与体供給回収装置100Aにおいては、一つの容器に対して複数のバッファタンクが接続されている。具体的には、例えば、容器C1に対しては、バッファタンクBT1,BT2が接続され、容器Cmに対しては、バッファタンクBTn-2,BTn-1及びBTnが接続されている。
図5に示す各容器C1~Cmは、第1の実施形態の各容器C1~Cnよりもその容量が大きくなるように形成されている。
【0067】
なお、図示の例では、容器C1に対してバッファタンクBT1,BT2が、第3接続口7からそれぞれ延びて途中で連結された1本の配管4cにより接続され、容器Cmに対してバッファタンクBTn-2~BTnが、第3接続口7からそれぞれ延びた3本の配管4cにより接続されているが、これに限定されるものではない。一つの容器に対して複数のバッファタンクが接続されるものであれば、種々の接続態様を採用することができる。
【0068】
第2の実施形態の電子供与体供給回収装置100Aによれば、容量のより大きな容器C1~Cmを利用することで、水槽WTの被処理水Wに浸漬される容器の数をより少なくしながらも、配管4cの接続態様を工夫することで、第1の実施形態のバッファタンクアセンブリ1の構成を変更することなくそのまま利用して、電子供与体を含む液体を供給及び回収することができる。これにより、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、容器のメンテナンス工数の軽減等を図ることも可能となる。
【0069】
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の基本的な構成を示す模式図である。
【0070】
図6に示すように、第3の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100Bは、基本的な構成は第1の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100と同様であるが、複数設けられたバッファタンクアセンブリ1,1´が、複数設置された水槽WT,WT´に浸漬された各容器C1~Cnに対してそれぞれ接続されており、ポンプ機構3に対して並列に接続されている点が、第1の実施形態とは相違している。
【0071】
すなわち、この電子供与体供給回収装置100Bにおいては、バッファタンクアセンブリ1の先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5に接続された配管4aと、バッファタンクアセンブリ1´の先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5に接続された配管4a´と、がそれぞれ、自動弁AV1の弁の片側一方側で接続されている。
【0072】
また、バッファタンクアセンブリ1の後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6に接続された配管4bと、バッファタンクアセンブリ1´の後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口に接続された配管4b´と、がそれぞれ、自動弁AV3の弁の片側一方側で接続されている。
【0073】
更に、バッファタンクアセンブリ1と各容器C1~Cnとの間の配管4cから分岐された配管4dと、バッファタンクアセンブリ1´と各容器C1~Cnとの間の配管4cから分岐された配管4d´と、がそれぞれ、自動弁AV4の弁の片側一方側で接続されている。なお、図示の例では、2つのバッファタンクアセンブリ1,1´が並列に接続された場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、3つ以上のバッファタンクアセンブリを並列に接続するようにしても良い。
【0074】
第3の実施形態の電子供与体供給回収装置100Bによれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、複数の水槽WT,WT´に貯留された被処理水Wの脱窒に際して、各容器C1~Cnへの電子供与体を含む液体の供給及び回収を一辺に行うことができる。これにより、電子供与体供給回収装置100Bによる脱窒の処理量及び処理効率をより向上させることができる。
【0075】
[第1の実施形態の変形例]
図7は、本発明の第1の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の変形例の構成を示す模式図である。
【0076】
図7に示すように、第1の実施形態の変形例の電子供与体供給回収装置100は、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTnに接続される各容器C1~Cnが、
図2に示したカプラ9をこれらの数に合わせてユニット化したカプラユニットCU1~CUp(pは正の整数、以下同じ。)を介して接続される構成を備える。
【0077】
すなわち、例えば、複数の水槽WT1,WT2,...,WTp(pは正の整数、以下同じ。)毎に設置された各容器C1~Cnは、カプラユニットCU1~CUpのカプラ9に配管4caを介して予め接続されている。各水槽WT1~WTp毎の各容器C1~Cnと、バッファタンクアセンブリ1の各バッファタンクBT1~BTnと、の接続は、カプラユニットCU1~CUpのカプラ9の脱着による配管4cと配管4caとの接続を行う又は接続を解除することにより着脱自在に行われる。
【0078】
このような変形例の電子供与体供給回収装置100によれば、バッファタンクアセンブリ1を構成する各バッファタンクBT1~BTnの数の倍数の水槽WT1~WTp毎の容器C1~Cnに対し、一つのバッファタンクアセンブリ1で電子供与体を含む液体の供給及び回収を行うことが可能となる。これにより、装置構成を大きく拡大することなく、電子供与体供給回収装置100による脱窒の処理能力を継続維持し、処理量を増加させることができる。
【0079】
[第4の実施形態]
図8は、本発明の第4の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の基本的な構成を示す模式図である。
図9は、電子供与体供給回収装置のバッファタンクアセンブリ及び容器の構成を示す斜視図である。
【0080】
図8に示すように、第4の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100Cは、基本的な構成は第1の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100と同様であるが、バッファタンクアセンブリ1Aの構成及びポンプ機構3の内容が、第1の実施形態とは相違している。
【0081】
すなわち、電子供与体供給回収装置100Cは、複数の容器C1~Cnと、各容器C1~Cnにそれぞれ接続される複数のバッファタンクBT1~BTnを含むバッファタンクアセンブリ1Aと、バッファタンクアセンブリ1Aの液体の注入側及び排出側にそれぞれ接続される自動弁AV7,AV8A,AV8B,AV9,AV10,AV11,AV12及び吸引ポンプPを含むポンプ機構3と、を備える。
【0082】
また、電子供与体供給回収装置100Cは、制御装置2と、供給タンクSTと、回収タンクRTと、を備える。電子供与体供給回収装置100Cのバッファタンクアセンブリ1A、ポンプ機構3及び制御装置2は、例えば、可搬性を有する装置ユニット(図示せず)としてユニット化され得る。
【0083】
図8及び
図9に示すように、バッファタンクアセンブリ1Aは、各バッファタンクBT1~BTnを、X方向に複数並設し、隣設されたバッファタンクBT1~BTn同士を配管4を介して接続して構成されている。バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTnは、基本的な構造及び形状は第1の実施形態のものと同様であるが、本実施形態では、X方向(第1方向)及びZ方向(第2方向)とそれぞれ交差するY方向(第3方向)に中心軸が延びる円筒状に形成されている。
【0084】
バッファタンクアセンブリ1Aは、各容器C1~CnのZ方向の上方において、各容器C1~Cnの下端から各バッファタンクBT1~BTnの下端までの水頭hの高さ分離れた位置に設置される。バッファタンクアセンブリ1Aの液体の注入側の先頭に配置されたバッファタンクBT1は、自動弁(第1弁装置)AV7を介して供給タンクSTに接続されている。また、バッファタンクアセンブリ1Aの液体の排出側の後尾に配置されたバッファタンクBTnは、自動弁(第3弁装置)AV9、吸引ポンプP及び自動弁(第6弁装置)AV12を介して回収タンクRTに接続されている。
【0085】
バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTnは、中心軸方向であるY方向の前方の端部(一方の端部)に垂直方向(Z方向)の下側及び上側に並ぶように設けられた下方の第1接続口5及び上方の第2接続口6をそれぞれ有する。各バッファタンクBT1~BTnは、第1接続口5及び配管4cを介して各容器C1~Cnにそれぞれ接続されている。
【0086】
バッファタンクアセンブリ1Aは、具体的には、隣設されたバッファタンクBT1~BTn同士の第2接続口6と第1接続口5とを、先頭に配置されたバッファタンクBT1から後尾に配置されたバッファタンクBTnにかけてZ方向に対して斜め下方に下がる方向に平行に配置された配管4でそれぞれ直列に連結した構造を備えている。
【0087】
また、バッファタンクアセンブリ1Aは、先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5と、後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6と、を配管4a及び配管4bを介してそれぞれ異なる自動弁AV7及び自動弁AV9に接続して構成されている。
【0088】
一方、ポンプ機構3の自動弁AV7は、バッファタンクアセンブリ1Aの先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5に接続されると共に、供給タンクSTの配管接続口8aに接続された配管4aの途中に、弁の片側一方及び弁の片側他方がそれぞれ接続され設けられている。また、自動弁(第2弁装置)AV8Aは、弁の片側一方を大気開放した大気開放用の開放弁として機能し、バッファタンクアセンブリ1Aの先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5と、自動弁AV7と、の間の配管4aに、弁の片側他方が接続されている。
【0089】
自動弁AV9は、バッファタンクアセンブリ1Aの後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6に接続されると共に、回収タンクRTの配管接続口8cに接続された配管4bの途中に接続され設けられている。なお、この配管4bには、後尾に配置されたバッファタンクBTnから回収タンクRTにかけて、自動弁(第7弁装置)AV8B、自動弁AV9、吸引ポンプP及び自動弁AV12が順に接続され設けられている。従って、自動弁AV9は、具体的には、後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6に配管4bを介して弁の片側一方が接続され、吸引ポンプPの吸込口(図示せず、以下同じ。)に配管4bを介して弁の片側他方が接続されて、これらの間に設けられている。
【0090】
自動弁(第4弁装置)AV10は、配管4aに接続された自動弁AV7の弁の片側一方及び自動弁AV8Aの弁の片側他方側と、配管4bに接続された自動弁AV9の弁の片側他方及び吸引ポンプPの吸込口側と、に並列に接続された配管4dの途中に接続され設けられている。従って、自動弁AV10は、具体的には、先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5に配管4d及び配管4aを介して弁の片側一方が接続され、吸引ポンプPの吸込口に配管4d及び配管4bを介して弁の片側他方が接続されて、これらの間に設けられている。なお、このような接続態様によると、自動弁AV9及び自動弁AV10の弁の片側他方は、吸引ポンプPの吸込口に並列に接続されることとなる。
【0091】
自動弁(第5弁装置)AV11は、吸引ポンプPの吐出口(図示せず、以下同じ。)側の配管4bから分岐して、供給タンクSTの配管接続口8bに接続される配管4eの途中に接続され設けられている。すなわち、自動弁AV11は、吸引ポンプPの吐出口側に配管4e及び配管4bを介して弁の片側一方が接続され、供給タンクSTの配管接続口8b側に配管4eを介して弁の片側他方が接続されて、これらの間に設けられる。
【0092】
また、自動弁AV12は、吸引ポンプPの吐出口と、回収タンクRTと、の間の配管4bの途中に接続され設けられている。すなわち、自動弁AV12は、吸引ポンプPの吐出口側に配管4bを介して弁の片側一方が接続され、回収タンクRTの配管接続口8c側に配管4bを介して弁の片側他方が接続されて、これらの間に設けられる。なお、このような接続態様によると、自動弁AV11及び自動弁AV12の弁の片側一方は、配管4e及び配管4bを介してそれぞれ吸引ポンプPの吐出口に平行に接続され、自動弁AV11及び自動弁AV12の弁の片側他方は、それぞれ配管4eを介して供給タンクSTの配管接続口8b及び配管4bを介して回収タンクRTの配管接続口8cにそれぞれ接続されることとなる。
【0093】
なお、自動弁(第7弁装置)AV8Bは、弁の片側一方を大気開放した大気開放用の開放弁として機能し、バッファタンクアセンブリ1Aの後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6と、自動弁AV9と、の間の配管4bに、弁の片側他方が接続されている。
【0094】
制御装置2は、第1の実施形態と同様に構成され得る。また、流量調節機構としての流量調節弁FCVも、第1の実施形態と同様に構成され得る。また、
図9に示すように、各容器C1~Cnは、配管接続口8dに接続された配管4caを、カプラ(継手)9を介して着脱可能に配管4cに接続することにより、各バッファタンクBT1~BTnの第1接続口5にそれぞれ接続される構成としても良い。以下の動作説明においては、各容器C1~Cnは、配管4cにより直接第1接続口5にそれぞれ接続されているものとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0095】
[電子供与体の供給動作]
次に、電子供与体供給回収装置100Cによる電子供与体を含む液体の供給動作について、
図10を参照しながら説明する。なお、供給動作の制御主体を制御装置2であるため、ここでは明示による説明は省略する。
図10は、電子供与体供給回収装置による電子供与体の供給時のバッファタンクアセンブリ内の圧力遷移の一例を示すグラフ及び供給動作の一例を示すタイミングチャートである。
図10においては、バッファタンクアセンブリ1Aを20個のバッファタンク(BT1~BT20)で構成したものを例に挙げて示しているが、構成数はこれに限定されるものではない。
【0096】
まず、自動弁AV9及び自動弁AV11を開動作させると共に吸引ポンプPを動作させる(t21)。これにより、期間tp1で示すように、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内の圧力が、各バッファタンクBT1~BTnと各容器C1~Cnとの水頭h未満の負圧になったら、自動弁AV7を開動作させる(t22)。これにより、期間tp2で示すように、供給タンクST内の液体を、配管4a及び配管4を介してバッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内に移送する。
【0097】
なお、バッファタンクアセンブリ1Aへの液体の移送は、例えば、制御装置2に予め設定された時間(期間tp2)が経過するまで行われる。この液体の移送は、例えば、供給タンクSTに液面センサを設け、この液面センサからの情報に基づき、あらかじめ設定した体積量をバッファタンクアセンブリ1Aへ移送するようにして行われても良い。
【0098】
そして、各容器C1~Cnへの液体の充填による供給量を均一にするため、自動弁AV7を閉動作させる(t23)。これにより、期間tp3で示すように、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内の圧力を更に低下させ、配管4cを介して各容器C1~Cnに浸入した液体を各バッファタンクBT1~BTn内に一旦回収する。
【0099】
更に、各容器C1~Cnへの液体の充填による供給量を均一にするために、自動弁AV8Aを、予め設定された時間及び回数で、所定期間(期間tp4)の間繰り返し開閉動作させる(t24-t26)。これにより、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内の圧力(負圧)を、所定期間(期間tp4)の適切な時間をかけて徐々に大気圧に戻す。また、これにより、期間tp4で示すように、各バッファタンクBT1~BTn間の差圧を起因とする液体の各バッファタンクBT1~BTn間の移動を低減しながら、液体の自重落下により各バッファタンクBT1~BTn内の液体を各容器C1~Cnに充填により供給する。
【0100】
なお、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内の圧力を所定期間(期間tp4)をかけて大気圧に戻す際に、図中破線囲み領域の拡大表示領域に示すように、各バッファタンクBT1~BTn間における差圧を起因として各バッファタンクBT1~BTn内を移動した液体を、吸引ポンプPの動作により、配管4b、自動弁AV9、吸引ポンプP、自動弁AV11及び配管4eを通して、期間tp5において供給タンクSTに戻すように回収し、液体の各容器C1~Cnへの供給量を均一化する。
【0101】
この期間tp5が経過したら、自動弁AV9及び自動弁AV11を閉動作させ、吸引ポンプPを停止する(t25)。そして、期間tp4が経過してバッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内の圧力が大気圧に近づいたら、自動弁AV8Aを開動作させて大気開放し、各容器C1~Cnへの液体の充填による供給が終了したら、自動弁AV8Aを閉動作させて供給動作を終了する。なお、このような供給動作は、第1の実施形態における供給動作においても同様に適用可能であり、その圧力遷移は、
図10における圧力遷移と同様の軌跡を示すものとなる。
【0102】
[電子供与体の回収動作]
次に、電子供与体供給回収装置100Cによる電子供与体を含む液体の回収動作について、
図11を参照しながら説明する。なお、回収動作の制御主体は制御装置2であるため、ここでは明示による説明は省略する。
図11は、電子供与体供給回収装置による電子供与体の回収時のバッファタンクアセンブリ内の圧力遷移の一例を示すグラフ及び回収動作の一例を示すタイミングチャートである。
図11においては、バッファタンクアセンブリ1Aを20個のバッファタンク(BT1~BT20)で構成したものを例に挙げて示しているが、構成数はこれに限定されるものではない。
【0103】
まず、自動弁AV10及び自動弁AV12を開動作させると共に吸引ポンプPを動作させ(t31)、あらかじめ設定した時間(期間tp6)の間動作させる。これにより、期間tp6で示すように、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTnを介して各容器C1~Cn内に残っている液体(廃液)を、先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5、配管4a、配管4d、自動弁AV10、吸引ポンプP及び自動弁AV12を通して回収タンクRTに、期間tp6で示す時間で回収する。
【0104】
次に、自動弁AV10を閉動作させ、自動弁AV9を開動作させて、吸引ポンプPでバッファタンクアセンブリ1A内を吸引する(t32)。これにより、期間tp7で示すように、各バッファタンクBT1~BTn内の圧力を水頭hよりも低くする(水頭h未満の負圧とする)ことで、各容器C1~Cn内に残っている廃液を各バッファタンクBT1~BTn内に吸い上げて、一時的に貯留する。
【0105】
そして、自動弁AV9を閉動作させ、自動弁AV10を開動作させると共に、自動弁AV8Bを、予め設定された時間及び回数で、所定期間(期間tp8)繰り返し開閉動作させる(t33-t34)。これにより、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内の圧力(負圧)を、所定期間(期間tp8)中一定に維持しながら、廃液が各容器C1~Cnに逆流しない状態を保ちつつ、後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6からバッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内に空気を補充する。
【0106】
空気が補充されると、各バッファタンクBT1~BTn内に一時的に貯留されている廃液は、残量が極力少ない状態で後尾に配置されたバッファタンクBTnから先頭に配置されたバッファタンクBT1に向けて配管4を介して順に移送される。そして、移送された廃液は、先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5、配管4a、配管4d、自動弁AV10、配管4b、吸引ポンプP及び自動弁AV12を通じて回収タンクRTに回収される。
【0107】
そして、上記のような期間tp7及び期間tp8の動作(t32-t33及びt33-t34)を交互に予め設定された回数(例えば、
図11の例では7回ずつ)行った後、各バッファタンクBT1~BTn内及び配管4c,4内に残っている廃液の量(回収量)を均一にするため、自動弁AV8Aを、予め設定された時間及び回数で繰り返し開閉動作させる(t35)。これにより、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTn内の圧力(負圧)を、所定期間の適切な時間をかけて徐々に大気圧に戻した後、自動弁AV8Aを閉動作させる。このようにして、回収タンクRTへの廃液の回収動作を終了する。
【0108】
上記のような電子供与体供給回収装置100Cによれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、配管数や継手数の削減を図ることができる。これにより、装置構成の部品点数を少なくして、よりコストダウンを図ることが可能となる。
【0109】
[第5の実施形態]
図12は、本発明の第5の実施形態に係る電子供与体供給回収装置のバッファタンクアセンブリ及び容器の構成を示す模式図である。
【0110】
図12に示すように、第5の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100Dは、基本的な構成は第4の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100Cと同様であるが、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTnと、各容器C1~Cm(mは2以上の自然数でnより小さい、以下同じ。)と、の接続態様が、第4の実施形態とは相違している。
【0111】
すなわち、この電子供与体供給回収装置100Dにおいては、一つの容器に対して複数のバッファタンクが接続されている。具体的には、例えば、容器C1に対しては、バッファタンクBT1,BT2が、それぞれ配管4cを介して接続され、容器Cmに対しては、バッファタンクBTn-2,BTn-1及びBTnが、それぞれ配管4cを介して接続されている。
図12に示す各容器C1~Cmは、第4の実施形態の各容器C1~Cnよりもその容量が大きくなるように形成されている。
【0112】
第5の実施形態の電子供与体供給回収装置100Dによれば、容量のより大きな容器C1~Cmを利用することで、水槽WTの被処理水Wに浸漬される容器の数をより少なくしながら、第4の実施形態のバッファタンクアセンブリ1Aの構成を変更することなくそのまま利用して、電子供与体を含む液体を供給及び回収することができる。これにより、第4の実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、容器のメンテナンス工数の軽減等を図ることも可能となる。
【0113】
[第6の実施形態]
図13は、本発明の第6の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の基本的な構成を示す模式図である。
【0114】
図13に示すように、第6の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100Eは、基本的な構成は第4の実施形態に係る電子供与体供給回収装置100Cと同様であるが、複数設けられたバッファタンクアセンブリ1A,1A´が、複数設置された水槽WT,WT´に浸漬された各容器C1~Cnに対してそれぞれ接続されており、ポンプ機構3に対して並列に接続されている点が、第4の実施形態とは相違している。
【0115】
すなわち、この電子供与体供給回収装置100Bにおいては、バッファタンクアセンブリ1Aの先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5に接続された配管4aと、バッファタンクアセンブリ1A´の先頭に配置されたバッファタンクBT1の第1接続口5に接続された配管4a´と、がそれぞれ、自動弁AV7の弁の片側一方側で接続されている。
【0116】
また、バッファタンクアセンブリ1Aの後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6に接続された配管4bと、バッファタンクアセンブリ1A´の後尾に配置されたバッファタンクBTnの第2接続口6に接続された配管4b´と、がそれぞれ、自動弁AV9の弁の片側一方側で接続されている。なお、図示の例では、2つのバッファタンクアセンブリ1A,1A´が並列に接続された場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、3つ以上のバッファタンクアセンブリを並列に接続するようにしても良い。
【0117】
第6の実施形態の電子供与体供給回収装置100Eによれば、第4の実施形態と同様の作用効果を奏することができると共に、複数の水槽WT,WT´に貯留された被処理水Wの脱窒に際して、各容器C1~Cnへの電子供与体を含む液体の供給及び回収を一辺に行うことができる。これにより、電子供与体供給回収装置100Eによる脱窒の処理量及び処理効率をより向上させることができる。
【0118】
[第4の実施形態の変形例]
図14は、本発明の第4の実施形態に係る電子供与体供給回収装置の変形例の構成を示す模式図である。
【0119】
図14に示すように、第4の実施形態の変形例の電子供与体供給回収装置100Cは、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTnに接続される各容器C1~Cnが、
図7に示したカプラ9をこれらの数に合わせてユニット化したカプラユニットCU1~CUp(pは正の整数、以下同じ。)を介して接続される構成を備える。
【0120】
すなわち、例えば、複数の水槽WT1,WT2,...,WTp(pは正の整数、以下同じ。)毎に設置された各容器C1~Cnは、カプラユニットCU1~CUpのカプラ9に配管4caを介して予め接続されている。各水槽WT1~WTp毎の各容器C1~Cnと、バッファタンクアセンブリ1Aの各バッファタンクBT1~BTnと、の接続は、カプラユニットCU1~CUpのカプラ9の脱着による配管4cと配管4caとの接続を行う又は接続を解除することにより着脱自在に行われる。
【0121】
このような変形例の電子供与体供給回収装置100Cによれば、バッファタンクアセンブリ1Aを構成する各バッファタンクBT1~BTnの数の倍数の水槽WT1~WTp毎の容器C1~Cnに対し、一つのバッファタンクアセンブリ1で電子供与体を含む液体の供給及び回収を行うことが可能となる。これにより、装置構成を大きく拡大することなく、電子供与体供給回収装置100Cによる脱窒の処理能力を継続維持し、処理量を増加させることができる。
【0122】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0123】
1,1A バッファタンクアセンブリ
2 制御装置
4,4a~4e 配管
5 第1接続口
6 第2接続口
7 第3接続口
8a~8c 配管接続口
9 カプラ
AV1~AV12 自動弁
BT1~BTn バッファタンク
C1~Cn 容器
ST 供給タンク
RT 回収タンク
W 被処理水
WT 水槽
100 電子供与体供給回収装置
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項14】
前記制御手段によって、前記貯留する工程にて前記第7弁装置を繰り返し開閉動作させて前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内の負圧を所定圧未満の負圧に維持しながら前記後尾に配置された前記バッファタンクの前記第2接続口を介して前記バッファタンクアセンブリの前記各バッファタンク内に空気を補充し、前記各バッファタンク内に一時的に貯留された前記液体又は前記廃液を前記後尾に配置された前記バッファタンクから前記先頭に配置された前記バッファタンクに向けて移送する工程を含み、
前記回収する工程では、前記移送する工程にて移送された前記液体又は前記廃液を前記先頭に配置された前記バッファタンクの前記第1接続口、前記第4弁装置、前記ポンプ装置及び前記第6弁装置を通して前記第2タンク内に回収する
請求項13記載の電子供与体の回収方法。