(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145680
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法
(51)【国際特許分類】
C22B 23/00 20060101AFI20241004BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C22B23/00 102
C22B3/44 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058135
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英明
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA01
4K001AA09
4K001AA19
4K001BA02
4K001BA06
4K001BA10
4K001BA19
4K001DB04
4K001DB16
4K001DB21
4K001DB22
4K001DB24
4K001DB26
(57)【要約】
【課題】塩化ニッケル水溶液から効率よく銀イオンを除去する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、銅及び銀を含む塩化ニッケル水溶液から銀を除去する方法であって、塩化ニッケル水溶液に硫化ニッケルを含む硫化物原料Aを添加し、塩化ニッケル水溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1のセメンテーション工程S21と、第1のセメンテーション工程S21で得られた第1のスラリーに、二硫化三ニッケルを含む硫化物原料Bを添加し、第1のスラリーに含まれる1価銅イオンを硫化物として固定化する第2のセメンテーション工程S22と、を含み、第2のセメンテーション工程S22で得られる第2のスラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が-100mV以上、0mV未満となるように制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅及び銀を含む塩化ニッケル水溶液から銀を除去する方法であって、
前記塩化ニッケル水溶液に硫化ニッケルを含む硫化物原料Aを添加し、該塩化ニッケル水溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1のセメンテーション工程と、
前記第1のセメンテーション工程で得られた第1のスラリーに、二硫化三ニッケルを含む硫化物原料Bを添加し、該第1のスラリーに含まれる1価銅イオンを硫化物として固定化する第2のセメンテーション工程と、を含み、
前記第2のセメンテーション工程で得られる第2のスラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が-100mV以上、0mV未満となるように制御する、
塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法。
【請求項2】
前記第2のスラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が-50mV以上、0mV未満となるように制御する、
請求項1に記載の塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法。
【請求項3】
前記塩化ニッケル水溶液の銅濃度を調整することにより、前記第2のスラリーの酸化還元電位を制御する、
請求項1に記載の塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法。
【請求項4】
前記塩化ニッケル水溶液の銅濃度を10g/L~50g/Lの範囲に調整することにより、前記第2のスラリーの酸化還元電位を制御する、
請求項3に記載の塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法。
【請求項5】
前記硫化物原料Aは、ニッケル酸化鉱石を原料とする湿式製錬プロセスで製造されたニッケル及びコバルトを含有する混合硫化物であり、
前記硫化物原料Bは、ニッケルの乾式製錬法で製造されたニッケルマットである、
請求項1乃至4のいずれかに記載の塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ニッケル水溶液中に含まれる銀を除去する技術に関する。詳しくは、ニッケルの湿式製錬プロセスのセメンテーション工程における塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケルの湿式製錬プロセス(以下、「MCLEプロセス」ともいう)では、原料であるニッケルマットやニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスドサルファイド)を塩素浸出し、得られた浸出液(塩素浸出液)から不純物を除去する浄液工程等を経て、電解工程にて電気ニッケルや電気コバルトの形態としてニッケルやコバルトを回収する。
【0003】
図1に示すように、塩素浸出を行う塩素浸出工程から得られた塩素浸出液は、セメンテーション工程との間に備えられた脱銅電解工程において余剰の銅が除去され、さらに、脱鉄工程において鉄や砒素等の不純物が除去された後、コバルト溶媒抽出工程に送られる。コバルト溶媒抽出工程では、溶媒抽出によりニッケルとコバルトとが分離し、粗塩化ニッケル溶液(NiCl
2)と粗塩化コバルト溶液(CoCl
2)とが得られる。粗塩化ニッケル溶液は、浄液工程においてさらに不純物が除去され高純度となってニッケル電解工程に送られる。そして、ニッケル電解工程では、電解採取により電気ニッケルが製造される。一方、粗塩化コバルト溶液についても、浄液工程においてさらに不純物が除去され高純度となってコバルト電解工程に送られ、コバルト電解工程にて電解採取により電気コバルトが製造される。
【0004】
さて、MCLEプロセスでは、塩素浸出により得られた塩素浸出液(含銅塩化ニッケル水溶液)中に含まれる不純物である銅イオンを除去する工程として、セメンテーション工程を有している。
【0005】
セメンテーション工程では、塩素浸出液中に含まれる2価銅イオンの酸化力を利用してニッケルマットやMS(以降、これらを総称して「ニッケル硫化物原料」と表記することがある)中のニッケル、コバルトを浸出するとともに、ニッケルマットやMSの還元力を利用して塩素浸出液中に含まれる銅イオンや銀イオンを固体側へ分配させて除去している。このセメンテーション工程では、含銅塩化ニッケル水溶液にMSを添加して溶液中の銅イオンを2価から1価に還元する還元処理と、還元処理で得られたスラリーにニッケルマットを添加して還元された1価の銅イオンを硫化銅として固定化する硫化処理との、それぞれの処理が、直列に連結された合計n槽(nは4以上の整数)の反応槽で実行されるように構成されている(例えば特許文献1)。このようなセメンテーション工程での処理を経ることで、反応後の工程液(セメンテーション終液)中の銅イオン濃度を0.10g/L以下、より好ましくは0.05g/L以下の低濃度まで除去するようにしている。
【0006】
ところが、MCLEプロセスで処理するニッケル硫化物原料としては、様々な出所の原料を用いて処理されており、原料の処理構成によっては各種の不純物負荷が増加することもある。そしてそれにより、除去すべき銅や銀の物量も増加することがある。そのため、得られるセメンテーション終液中の銅や銀の濃度を、安定的に目標値まで低下させることが困難なことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、塩化ニッケル水溶液から効率よく銀イオンを除去する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、不純物である銅及び銀を含む塩化ニッケル水溶液に対して、銅イオンを2価から1価に還元する第1のセメンテーション工程と、還元した1価の銅イオンを硫化物として固定化する第2のセメンテーション工程とからなるセメンテーション処理に付し、第2のセメンテーション工程を経て得られるスラリー(第2のスラリー)の酸化還元電位が特定の範囲となるように制御することで、銀を効率よく除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
(1)本発明の第1の発明は、銅及び銀を含む塩化ニッケル水溶液から銀を除去する方法であって、前記塩化ニッケル水溶液に硫化ニッケルを含む硫化物原料Aを添加し、該塩化ニッケル水溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1のセメンテーション工程と、前記第1のセメンテーション工程で得られた第1のスラリーに、二硫化三ニッケルを含む硫化物原料Bを添加し、該第1のスラリーに含まれる1価銅イオンを硫化物として固定化する第2のセメンテーション工程と、を含み、前記第2のセメンテーション工程で得られる第2のスラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が-100mV以上、0mV未満となるように制御する、塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法である。
【0011】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記第2のスラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が-50mV以上、0mV未満となるように制御する、塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法である。
【0012】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は2の発明において、前記塩化ニッケル水溶液の銅濃度を調整することにより、前記第2のスラリーの酸化還元電位を制御する、塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法である。
【0013】
(4)本発明の第4の発明は、第3の発明において、前記塩化ニッケル水溶液の銅濃度を10g/L~50g/Lの範囲に調整することにより、前記第2のスラリーの酸化還元電位を制御する、塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法である。
【0014】
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記硫化物原料Aは、ニッケル酸化鉱石を原料とする湿式製錬プロセスで製造されたニッケル及びコバルトを含有する混合硫化物であり、前記硫化物原料Bは、ニッケルの乾式製錬法で製造されたニッケルマットである、塩化ニッケル水溶液からの銀の除去方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塩化ニッケル水溶液から効率よく銀イオンを除去する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ニッケルの湿式製錬プロセス(MCLEプロセス)の流れを概略的に示す工程図である。
【
図2】MCLEプロセスの詳細な流れを示すものであり、電気ニッケルの製造プロセスの一例を示す工程図である。
【
図3】セメンテーション工程S2における処理の流れを示す工程図である。
【
図4】第2のセメンテーション工程S22から得られる第2のスラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)と、セメンテーション終液中の銅イオン濃度及び銀イオン濃度との関係を示すグラフである。
【
図5】第2のセメンテーション工程S22から得られる第2のスラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)と、第2のセメンテーション工程S22にて添加したニッケルマットスラリーの添加量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0018】
≪1.塩化ニッケル水溶液から銀を除去する方法≫
本実施の形態に係る銀の除去方法は、銅及び銀を含む塩化ニッケル水溶液から銀を除去する方法である。例えば、その塩化ニッケル水溶液としては、ニッケルの湿式製錬プロセス(MCLEプロセス)において、原料のニッケル硫化物を塩素浸出して得られる含銅塩化ニッケル水溶液(塩素浸出液)が挙げられる。
【0019】
具体的に、この方法は、塩化ニッケル水溶液に硫化ニッケルを含む硫化物原料Aを添加し、塩化ニッケル水溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1のセメンテーション工程と、第1のセメンテーション工程で得られた第1のスラリーに、二硫化三ニッケルを含む硫化物原料Bを添加し、第1のスラリーに含まれる1価銅イオンを硫化物として固定化する第2のセメンテーション工程と、を含む。
【0020】
例えば、硫化物原料Aは、ニッケル酸化鉱石を原料とする湿式製錬プロセスで製造されたニッケル及びコバルトを含有する混合硫化物が挙げられる。また、硫化物原料Bは、ニッケルの乾式製錬法で製造されたニッケルマットが挙げられる。
【0021】
そして、本実施の形態に係る銀の除去方法では、第2のセメンテーション工程で得られる第2のスラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が特定の範囲となるように制御することを特徴としている。
【0022】
このような方法によれば、塩化ニッケル水溶液から不純物である銀を効率的に除去することができる。そして、このような除去方法を適用して得られた塩化ニッケル水溶液(セメンテーション終液)を用いて電気ニッケルの製造工程に付すことで、水溶液中の銀の含有量が有効に低減されていることから、銀による電気ニッケルの汚染を極めて効果的に防ぐことができる。
【0023】
≪2.電気ニッケルの製造プロセスへの適用例≫
以下ではより具体的に、本実施の形態に係る銀の除去方法を、電気ニッケルの製造プロセスに適用した具体例に基づいて説明する。
【0024】
図2は、電気ニッケルの製造プロセスの一例を示す工程図である。
図2に示すように、電気ニッケルの製造プロセスは、ニッケル硫化物を原料としてニッケル等の金属を塩素浸出し、塩素浸出液である含銅塩化ニッケル水溶液を生成する塩素浸出工程S1と、得られた含銅塩化ニッケル水溶液から銅イオンを固定化し除去するセメンテーション工程S2と、セメンテーション終液からニッケル以外の重金属等の不純物を除去する浄液工程S3と、浄液工程S3を経て得られた高純度塩化ニッケル水溶液から電解採取法により電気ニッケルを得る電解工程S4と、を有する。なお、
図1と
図2は表記方法が異なるもののいずれも電気ニッケル製造プロセス(MCLEプロセス)のフロー図であり、
図1の「脱鉄工程」、「コバルト溶媒抽出工程」、「浄液工程」の全てが、
図2の「浄液工程S3」に含まれている。また、
図1に表記された「脱銅電解工程」は、
図2では省略している。
【0025】
[塩素浸出工程]
塩素浸出工程S1では、例えば、ニッケルの乾式製錬法で製造されたニッケルマット等のニッケル硫化物を原料として、塩素でニッケル等の金属を浸出する。具体的には、後述するセメンテーション工程S2後のセメンテーション残渣と共に、電解工程S4で回収された塩素ガスによって、ニッケル硫化物中のニッケルを浸出させ、塩素浸出液としての含銅塩化ニッケル水溶液を生成させる。なお、原料であるニッケル硫化物は、例えば、電解工程S4にて得られる塩化ニッケル水溶液(電解廃液)によってレパルプされてスラリー化したものが用いられる。
【0026】
塩素浸出工程S1では、例えば、下記[1]~[3]式に示す反応が生じる。
Cl2+2Cu+ → 2Cl-+2Cu2+ ・・・[1]
NiS+2Cu2+ → Ni2++S0+2Cu+ ・・・[2]
Cu2S+2Cu2+ → 4Cu++S0 ・・・[3]
【0027】
すなわち、塩素浸出工程S1では、原料のニッケル硫化物が送液されると、ニッケル硫化物中に含まれる硫化ニッケル(NiS)及び硫化銅(Cu2S)等の金属成分が、塩素ガスにより酸化された「2価銅イオン」によって酸化浸出される。これにより、塩素浸出液である、銅イオンを含有する塩化ニッケル水溶液(含銅塩化ニッケル水溶液)が生成する。なお、[1]~[3]式に示す通り、塩素浸出工程S1では、2価銅イオンを電子キャリヤーとした酸化浸出が行われていると推定される。また、[2]式のNiSはMSの主成分を、[3]式のCu2Sはセメンテーション残渣の主成分を表す。
【0028】
塩素浸出工程S1にて生成した含銅塩化ニッケル水溶液は、次工程のセメンテーション工程S2にて処理されて水溶液中に含まれる銅イオンが固定化され除去される。一方で、塩素浸出工程S1では、硫黄を主成分とした塩素浸出残渣が固相に残存する。
【0029】
[セメンテーション工程]
セメンテーション工程S2では、塩素浸出工程S1で生成した塩素浸出液である含銅塩化ニッケル水溶液から銅イオンを固定化し除去する。
【0030】
含銅塩化ニッケル水溶液には、上述したように銅イオンが含まれるとともに、ニッケル硫化物原料や、そのニッケル硫化物原料と共に塩素浸出処理に供したセメンテーション残渣に由来して銀イオンが含まれている。この含銅塩化ニッケル水溶液は、銅及び銀を含む水溶液である。電気ニッケルの製錬プロセスにおいて、ニッケルの電解採取の対象となる高純度塩化ニッケル水溶液中に含まれる銅や銀は、電解採取して得られる電気ニッケルを直接的に汚染する不純物となる。したがって、塩化ニッケル水溶液から銅や銀を効果的に除去することによって、良質な電気ニッケルを製造することができる。
【0031】
ここで、銅については、溶媒抽出や酸化中和法等の処理を含む、その後の浄液工程S3での処理で除去が可能である。一方で、セメンテーション終液中に残留した銀は、安定なクロロ錯イオンを形成するにもかかわらず、TNOA等のアミン系抽出剤には抽出されにくい。そのため、セメンテーション終液中に残留した銀は、その後の浄液工程S3で十分に除去されずに、電気ニッケルに混入する可能性が高い。
【0032】
図3は、セメンテーション工程S2における処理の流れを示す工程図である。セメンテーション工程S2は、
図3に示すように、含銅塩化ニッケル水溶液に硫化ニッケルを含む硫化物原料Aを添加して水溶液中の銅イオンを還元する第1のセメンテーション工程(還元工程)S21と、第1のセメンテーション工程S21を経て得られた第1のスラリーに二硫化三ニッケルを含む硫化物原料Bを添加して銅イオンを硫化物として固定化する第2のセメンテーション工程(硫化工程)S22と、得られた第2のスラリーを固液分離する固液分離工程S23と、を有する。
【0033】
上述した各工程(S21~S23)からなるセメンテーション工程S2を経て得られたセメンテーション終液は、浄液工程S3に送られ、鉄や亜鉛等の他の不純物が除去される。一方で、セメンテーション工程S2において固定化された硫化銅等の硫化物を含むセメンテーション残渣は、再び塩素浸出工程S1に送られ、新たなニッケル硫化物原料と共に塩素浸出処理に供される。
【0034】
(第1のセメンテーション工程)
まず、第1のセメンテーション工程S21では、塩素浸出工程S1にて生成した含銅塩化ニッケル水溶液(塩素浸出液)に、硫化ニッケル(NiS)を含む硫化物原料Aを添加することによって、水溶液中の銅イオンを還元する。硫化物原料Aとしては、ニッケル酸化鉱石を原料とする湿式製錬プロセスで製造されたニッケル及びコバルトを含有する混合硫化物を用いることができる。
【0035】
具体的に、第1のセメンテーション工程S21では、例えば下記の[4]~[5]式に示す銅イオンの還元反応が生じると推定される。
4NiS+2Cu2+ → Ni2++Ni3S4+2Cu+ ・・・[4]
NiS+2Cu+ → Ni2++Cu2S ・・・[5]
【0036】
上記[4]式に示すように、第1のセメンテーション工程S21における還元処理では、含銅塩化ニッケル水溶液に対して硫化ニッケルを含む硫化物原料Aを添加することで、その硫化ニッケルが水溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する。このようにして還元された銅イオンは、次工程の第2のセメンテーション工程S22にて添加する硫化物原料Bによって、銅の硫化物として固定されるようになる。
【0037】
すなわち、セメンテーション工程S2では、第1のセメンテーション工程S21にて最大限に硫化ニッケルの還元力を生かして銅イオンを還元し、第2のセメンテーション工程S22において銅の硫化物を形成させるようにする。これにより、より効率的に銅イオンの固定化物である硫化銅が形成されるようになり、効果的に銅イオンを除去できるとともに、第2のセメンテーション工程S22で添加する硫化物原料Bの使用量を低減させることができる。
【0038】
第1のセメンテーション工程S21における還元処理の温度条件としては、特に限定されず、80℃~110℃程度の範囲とすることができ、80℃~90℃の範囲とすることが好ましい。温度条件を80℃以上とすることで、効率的に含銅塩化ニッケル水溶液中の銅イオンの還元反応を進行させることができ、後述する第2のセメンテーション工程S22での銅イオンの固定化効率を向上させることができる。温度条件を110℃より高くすると、銅イオンに対する還元効率は向上するものの、耐熱仕様による設備コストや蒸気量増加による操業コストがかかり、効率的な操業を行うことができなくなる可能性がある。
【0039】
なお、添加する硫化物原料Aに含まれる硫化ニッケルは、硫化剤としての反応性は低く、含銅塩化ニッケル水溶液中の銅イオンを低濃度まで除去することは困難である。ところが、上記式[5]に示すような1価銅イオンを硫化銅(Cu2S)として固定化する反応も僅かに生じさせることができる。したがって、硫化ニッケルを含む硫化物原料Aを添加することによって、第1のセメンテーション工程S21においても硫化銅として固定化することもでき、効率的な脱銅処理を行うことが可能となる。
【0040】
(第2のセメンテーション工程)
次に、第2のセメンテーション工程S22では、第1のセメンテーション工程S21を経て得られた第1のスラリーに、二硫化三ニッケル(亜硫化ニッケル,Ni3S2)を含む硫化物原料Bを添加し、スラリー中の1価の銅イオンを硫化銅として沈澱除去する。硫化物原料Bとしては、ニッケルの乾式製錬法で製造されたニッケルマットを用いることができる。なお、ニッケルマットは、二硫化三ニッケルを含有するとともに、ニッケルメタルを含有する。
【0041】
具体的に、第2のセメンテーション工程S22では、例えば下記の[6]~[8]式で示される硫化反応が生じると推定される。なお、下記の反応式は、硫化物原料Bとしてニッケルマットを用いたときの反応式である。
Ni+2Cu+→Ni2++Cu ・・・[6]
Ni3S4+6Cu+→3Ni2++S+3Cu2S ・・・[7]
Ni3S2+6Cu++S→3Ni2++3Cu2S ・・・[8]
【0042】
すなわち、第2のセメンテーション工程S22では、上記[6]~[8]式に示すように、添加したニッケルマットに含まれる二硫化三ニッケル(Ni3S2)やニッケルメタル(Ni)により、1価銅イオンを固体として沈澱除去する反応が生じる。これにより、含銅塩化ニッケル水溶液中に含まれていた銅イオンを主に硫化銅として固定化して除去する。
【0043】
このように、硫化物原料Bとしてのニッケルマットは、主形態である二硫化三ニッケル及びニッケルメタルの還元力を利用して、1価銅イオンを金属銅や硫化銅に還元する。なお、ニッケルマット中のニッケルそれ自体は、1価銅イオンの酸化力によってニッケルイオンに浸出される。また、ニッケルマットは、還元された1価銅イオンを固定化するための硫黄源となって、その1価銅イオンと反応して硫化銅を生成する。
【0044】
また、第2のセメンテーション工程S22では、より効率的に1価銅イオンを硫化物として固定化するために、塩素浸出残渣を硫黄源として添加してもよい。塩素浸出残渣は、塩素浸出工程S1にて固相に残存した残渣であり、主成分は硫黄である。これを硫黄源として添加することにより、ニッケルマットと共に、1価銅イオンを硫化銅等の硫化物として固定化することができる。これにより、より効率的に、含銅塩化ニッケル水溶液中の銅濃度を低濃度域にまで低減させることができる。
【0045】
なお、第2のセメンテーション工程S22にて固定化されて得られた硫化銅は、後述する固液分離工程S23においてセメンテーション残渣として分離除去され、塩素浸出工程S1に戻される。
【0046】
ここで、本実施の形態に係る方法では、第2のセメンテーション工程S22を経て得られる第2のスラリーの酸化還元電位(ORP)(銀/塩化銀電極基準)が、特定の範囲となるように制御することを特徴としている。具体的には、第2のスラリーのORPが-100mV以上、0mV未満となるように制御する。また、より好ましくは、ORPが-50mV以上、0mV未満となるように制御する。
【0047】
図4は、第2のスラリーのORP(銀/塩化銀電極基準)と、セメンテーション終液(セメンテーション工程S2後の塩化ニッケル水溶液)中の銅イオン濃度及び銀イオン濃度との関係を示すグラフである。本発明者らによる検討の結果、
図4のグラフに示すように、第2のスラリーのORPとセメンテーション終液中の銀イオン濃度とには相関があり、特に、第2のスラリーのORPが0mV未満であることにより、セメンテーション終液中の銀イオン濃度を効果的に低減できることが見出された。
【0048】
このように、得られる第2のスラリーのORPが上述した特定の範囲となるように制御して処理することで、含銅塩化ニッケル水溶液(塩素浸出液)から不純物である銀を効率的に除去することができ、銀濃度を効果的に低減した溶液を得ることができる。なお、不純物の銀は、第2のセメンテーション工程S22を経て、硫化物として固定化された銅と共に、セメンテーション残渣に分配され、塩素浸出工程S1に送られる。
【0049】
第2のスラリーのORPの制御方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、セメンテーション工程S2に付す塩化ニッケル水溶液、すなわち塩素浸出工程S1から得られた塩素浸出液である含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度を調整することによって行うことができる。例えば、含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度を10g/L~70g/Lの範囲に調整する。そして、このように銅濃度を調整した含銅塩化ニッケル水溶液をセメンテーション工程S2に付し、上述した還元処理(第1のセメンテーション工程S21)及び硫化処理(第2のセメンテーション工程S22)を施すことで、得られる第2のスラリーのORPを-100mV以上、0mV未満の範囲に制御することができる。
【0050】
第2のスラリーのORPを特定の範囲となるように制御するにあたって、含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度が高くなるほど、第2のセメンテーション工程S22における硫化物原料B(例えばニッケルマット)の添加量も増加する。このことから、第2のスラリーのORPが上述した範囲に制御されるように含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度を調整するとともに、硫化物原料Bの添加量(使用量)も抑えてより効率的な処理を行うようにする観点から、含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度は10g/L~50g/Lの範囲とすることがより好ましい。
【0051】
なお、第2のスラリーのORPを上昇させることで、含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度を低下させ、第2のスラリーのORPを低下させることで、含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度を上昇させる制御も可能である。含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度が10g/L未満であるときは、塩素浸出工程S1で銅イオンを媒介とした酸化浸出を行っている関係上、塩素浸出反応が不十分となり、ニッケル硫化物中のニッケルや銅等を十分に浸出できなくなる。含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度が50g/Lを超えると、上記の通り硫化物原料Bの添加量が増加するとともに、第2のセメンテーション工程S22における硫化反応が不安定となり、セメンテーション終液中の銅及び銀の濃度が上昇する可能性がある。
【0052】
塩素浸出液である含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度の調整は、例えば、その銅濃度を低下させる場合には、脱銅工程における銅電解採取によって銅粉を抜き出すことで行うことができる。具体的には、まず、第1のスラリーの一部を抜き取り、固液分離装置にて固体分を除去した後、ニッケル電解廃液を混合し、銅濃度調整を行って脱銅電解給液とする。そして、脱銅電解給液を電解槽に供給して不溶性アノードを用いた電解採取法によって、銅粉として銅を電解採取する。MCLEプロセスでは、ニッケル硫化物原料からインプットされる不純物としての銅を、意図的に濃縮、循環させて、酸化浸出媒体として利用している。よって、含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度は、原料からインプットされる銅と、払い出される銅粉のバランスにより調整できる。このことから、脱銅電解の電流や槽数等の調整によって銅粉の払い出し量を調整することで、塩素浸出液の銅濃度を調整できる。
【0053】
また、第2のスラリーのORPの制御方法としては、第2のセメンテーション工程S22における処理で添加する硫化物原料Bの添加量を調整することによって行うこともできる。
図5は、第2のスラリーのORP(銀/塩化銀電極基準)と、第2のセメンテーション工程S22にて添加した硫化物原料B(ニッケルマット)の添加量との関係を示すグラフである。
図5のグラフに示されるように、第2のセメンテーション工程S22での処理にて添加するニッケルマットスラリーをおよそ200L/minの割合で添加して処理することで、得られる第2のスラリーのORPを0mV未満に制御できることがわかる。
【0054】
なお、
図5に示されるように、硫化物原料Bの添加量が多くなるほど第2のスラリーのORPが低くなることがわかる。このことから、第2のスラリーのORPを、好ましくは-50mV以上、0mV未満の範囲に制御することで、塩化ニッケル水溶液から効率的に銀を除去して銀濃度を有効に低減したセメンテーション終液が得られるとともに、第2のセメンテーション工程S22での処理における硫化物原料Bの添加量(使用量)を抑えることができ、より一層に効率的な処理を行うことができる。なお、
図5の縦軸の数値は、あくまでも相対値であり、第2のセメンテーション工程S22での処理流量が1000~2000L/min、ニッケルマットスラリーのスラリー濃度が300~350g/Lのときの値である。
【0055】
第2のスラリーのORPは、例えば、酸化還元電位計を反応槽に設けて連続的にモニターすることによって測定することができる。このように、反応液であるスラリーのORPをモニタリングすることで、適切かつ正確な制御が可能となる。
【0056】
第2のセメンテーション工程S22における硫化処理の温度条件としては、特に限定されないが、60℃~100℃程度の範囲とすることが好ましい。温度条件が60℃未満であると、銅イオンの固定化反応が十分に進行せず、効果的に1価銅イオンを硫化物とすることができない可能性がある。一方で、温度条件を100℃より高くすると、反応後に冷却するためのコストがかかり好ましくない。
【0057】
(固液分離工程)
そして次に、固液分離工程S23では、第2のセメンテーション工程S22を経て得られた第2のスラリーに対して固液分離処理を施す。固液分離工程S23での固液分離により、第2のセメンテーション工程S22にて生成した硫化銅等のセメンテーション残渣が分離除去され、銅濃度が0.05g/L以下であり、また銀濃度が0.05mg/L以下の低濃度にまで低減された塩化ニッケル水溶液であるセメンテーション終液が得られる。
【0058】
固液分離方法としては、特に限定されず、例えば遠心分離機やフィルタープレス等の周知の方法によって行うことができ、セメンテーション残渣である硫化銅等の沈澱物を効率的に分離除去できる。
【0059】
[浄液工程]
浄液工程S3では、固液分離して得られたセメンテーション終液(銅及び銀が除去された塩化ニッケル水溶液)からニッケル以外の重金属等の他の不純物を除去し、電解採取するための高純度塩化ニッケル水溶液を得る。
【0060】
浄液工程S3は、主な工程として、脱鉄工程と、脱コバルト工程と、脱鉛工程と、脱亜鉛工程とがある。これらの工程では、セメンテーション終液から不純物を除去する方法として、例えば酸化剤としての塩素ガスとアルカリ剤としての炭酸ニッケルを用いる酸化中和法を用いることができる。酸化中和法は、コバルトや鉄等の重金属が高次の酸化イオンになると、低いpH領域で水酸化物になりやすい性質を利用したものであり、湿式製錬の浄液工程をはじめ、重金属を含む排水処理などに汎用されている方法である。
【0061】
具体的に、浄液工程S3における脱鉄工程では、例えば下記[9]式の反応により不純物を除去する。
2Fe2++Cl2+3NiCO3+3H2O→
2Fe(OH)3+3Ni2++2Cl-+3CO2 ・・・[9]
【0062】
上記[9]式に示すように、浄液工程S3における脱鉄工程では、セメンテーション終液から、除去対象となる鉄等の不純物元素の水酸化物沈澱を形成させ、不純物を除去した塩化ニッケル水溶液を得る。
【0063】
一般に、酸化中和法に用いられる薬剤は、酸化剤としては、塩素ガスのほかに次亜塩素酸、酸素、空気等を用いることができる。また、アルカリ剤としては、炭酸ニッケルのほかに苛性ソーダ等の水酸化物、アンモニア等を用いることができる。これらの薬剤はプロセス条件に適合した組み合わせで使用されるが、ニッケルの湿式製錬プロセスにおいては、酸化剤として塩素ガス、アルカリ剤として炭酸ニッケルを用いることが好ましい。例えば、塩素ガスは、プロセス内で発生する強酸化剤であって、利用し易いためである。また、アルカリ剤として炭酸ニッケルを用いる理由は、プロセス全体のニッケル、ナトリウム、硫酸等のイオン濃度を制御できるとともに、酸化中和の際の反応性に優れるためである。
【0064】
さらに、浄液工程S3では、処理液(セメンテーション終液)の不純物組成に応じて、各処理工程が、最も効率的な順序にて組み合わされている。例えば、脱鉄工程は上述した酸化中和法により、脱コバルト工程は溶媒抽出法により、脱鉛工程は条件を変えた酸化中和法により、脱亜鉛工程はイオン交換法により、行われる。
【0065】
[電解工程]
電解工程S4では、上述した浄液工程S3を経て浄液された高純度塩化ニッケル水溶液から電解採取法により電気ニッケルを得る。
【0066】
具体的に、電解工程S4では、カソード及びアノードにおいて、それぞれ、下記[10]式及び[11]式に示す反応が生じる。
(カソード側)
Ni2++2e- → Ni0 ・・・[10]
(アノード側)
2Cl- → Cl2↑+2e- ・・・[11]
【0067】
すなわち、カソード側では上記[10]式に示すように、高純度塩化ニッケル水溶液中のニッケルイオンがメタル(電気ニッケル)として析出する。また、アノード側では上記[11]式に示すように、高純度塩化ニッケル水溶液中の塩化物イオンが塩素ガスとして発生する。なお、発生した塩素ガスは、例えば回収塩素ガスとして塩素浸出工程S1での浸出処理に用いられる。
【0068】
本実施の形態に係る方法によれば、上述したように、セメンテーション工程S2において塩化ニッケル水溶液から不純物である銀を効率的にかつ効果的に除去することができる。したがって、電解工程S4では、その銀濃度が有効に低減された高純度塩化ニッケル水溶液に基づいて電解採取を行っているため、銀による汚染のない電気ニッケルを得ることができる。また、銀は比較的高価な金属であるため、逸利の回収ができる。
【実施例0069】
以下に、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0070】
[実施例、比較例]
MCLEプロセス(
図2参照)において、塩素浸出工程(S1)を経て得られた塩素浸出液(含銅塩化ニッケル水溶液)を、第1のセメンテーション工程(S21)と第2のセメンテーション工程(S22)とからなるセメンテーション工程S2に付し、銅を除去した塩化ニッケル水溶液(セメンテーション終液)を得る処理を行った。
【0071】
具体的には、第1のセメンテーション工程(S21)では、含銅塩化ニッケル水溶液にニッケル・コバルト混合硫化物を添加して、水溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する還元処理を行い、第1のスラリーを得た。また、第2のセメンテーション工程(S22)では、第1のスラリーにニッケルマットを添加して、1価銅イオンを硫化物として固定化する硫化処理を行い、第2のスラリーを得た。
【0072】
実施例1、2、及び比較例1では、下記表1に示すように、セメンテーション工程S2に付す含銅塩化ニッケル水溶液の銅濃度を調整し、第2のセメンテーション工程(S22)での硫化処理を経て得られる第2のスラリーの酸化還元電位(ORP)(銀/塩化銀電極基準)を制御した。
【0073】
このような処理を経て、第2のスラリーを固液分離することによって得られた反応終液(セメンテーション終液)について、不純物である銅及び銀のそれぞれの濃度を測定した。また、第2のセメンテーション工程(S22)での処理にて添加したニッケルマットの量(使用量)も測定した。下記表1に、これらの測定結果を示す。
【0074】
【0075】
表1に示されるように、実施例1、2では、セメンテーション工程での処理を経て得られる第2のスラリーのORPが0mV未満となるように制御したことにより、反応終液(セメンテーション終液)の銅濃度及び銀濃度は共に目標濃度以下となった。なお、実施例2では、第2のセメンテーション工程での処理におけるニッケルマット使用量がやや増加した。これは、セメンテーション工程に付した塩化ニッケル水溶液の銅濃度が、実施例1の場合よりも高かったためと考えられる。
【0076】
一方で、比較例1では、反応終液(セメンテーション終液)の銅濃度は目標濃度まで低下したものの、不純物の銀を効率的に除去できず、目標濃度まで低下させるに至らなかった。これは、第2のスラリーのORPが0mVを超える値であったためと考えられる。