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特開2024-145837タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ用ゴム材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145837
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ用ゴム材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20241004BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20241004BHJP
   C08K 5/548 20060101ALI20241004BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/36
C08K5/548
C08K5/053
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058362
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 正博
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC001
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002BB151
4J002BB181
4J002DJ016
4J002EX087
4J002FD016
4J002FD208
4J002FD317
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】低燃費性、耐摩耗性および耐熱老化性に優れたタイヤ用ゴム材料と、その製造に適したタイヤ用ゴム組成物とを提供すること。
【解決手段】ジエン系ゴムと、表面シラノール基密度が3個/nm2以下であるフュームドシリカと、シランカップリング剤と、ジオールと、を含み、シランカップリング剤の含有量が、フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に対して、0.50μmol/m2以上3.9μmol/m2以下であり、ジオールの含有量が、フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に対して、3μmol/m2以上14μmol/m2以下であるタイヤ用ゴム組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムと、表面シラノール基密度が3個/nm2以下であるフュームドシリカと、シランカップリング剤と、ジオールと、を含み、
前記シランカップリング剤の含有量が、前記フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に対して、0.50μmol/m2以上3.9μmol/m2以下であり、
前記ジオールの含有量が、前記フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に対して、3μmol/m2以上14μmol/m2以下であるタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記シランカップリング剤が、スルフィド系シランカップリング剤である請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記フュームドシリカを10質量部以上70質量部以下含む請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記フュームドシリカのBET比表面積が180m2/g以上500m2/g以下である請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記フュームドシリカが未処理のフュームドシリカである請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物を加硫してなるタイヤ用ゴム材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ用ゴム材料に関する。具体的には、特に低燃費性、耐摩耗性および耐熱老化性に優れるタイヤ用ゴム材料および当該タイヤ用ゴム材料の製造に好適な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のタイヤには、低燃費性であることに加えて、長寿命であることが求められる。長寿命を実現するには、タイヤの耐摩耗性や耐熱老化性を向上させる必要がある。耐摩耗性を向上させるために、タイヤ用ゴム組成物には、補強用充填剤としてカーボンブラックが配合されてきた。
【0003】
一方、低燃費性の改善には湿式シリカが有効であることが知られているが、湿式シリカを配合した場合の耐摩耗性は、カーボンブラックを配合した場合の耐摩耗性に劣る。そのため、湿式シリカを補強用充填剤として用いた場合、カーボンブラックの配合量の一部を湿式シリカが置換することになり、カーボンブラックの配合量が相対的に減少するため、タイヤ用ゴム材料の耐摩耗性の低下が免れないことが知られている。
【0004】
特許文献1には、耐摩耗性を低下させることなく低燃費性およびウェットグリップ性に優れるタイヤ用ゴム材料を得る目的で、ゴム成分と、充填剤としてのカーボンブラックおよび湿式シリカに加えて、無機化合物粉体を含むタイヤ用ゴム材料が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、湿式シリカの一部を乾式シリカで置換することが提案されている。特許文献2には、乾式シリカは、湿式シリカよりも低燃費性を改善し、ゴム硬度の低下を抑制できることが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、耐熱老化性を向上させるために、有機酸コバルトまたはコバルト錯体、フェノール誘導体、環状ポリスルフィドおよび多価メチロールメラミンを所定量配合したタイヤ用ゴム組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-213353号公報
【特許文献2】特開2016-104840号公報
【特許文献3】特開2021-172733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1から3に記載されているタイヤ用ゴム材料は、低燃費性、耐摩耗性および耐熱老化性を両立できる材料ではないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、低燃費性、耐摩耗性および耐熱老化性に優れたタイヤ用ゴム材料と、その製造に適したタイヤ用ゴム組成物とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、タイヤ用ゴム組成物の充填剤として、フュームドシリカを配合し、さらに、フュームドシリカの比表面積に応じて、所定の添加剤の含有量を制御することにより、低燃費性、耐摩耗性および耐熱老化性に優れたタイヤ用ゴム材料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
以上より、本発明の態様は、以下の通りである。
【0012】
[1]ジエン系ゴムと、表面シラノール基密度が3個/nm2以下であるフュームドシリカと、シランカップリング剤と、ジオールと、を含み、
シランカップリング剤の含有量が、フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に対して、0.50μmol/m2以上3.9μmol/m2以下であり、
ジオールの含有量が、フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に対して、3μmol/m2以上14μmol/m2以下であるタイヤ用ゴム組成物である。
【0013】
[2]シランカップリング剤が、スルフィド系シランカップリング剤である[1]に記載のタイヤ用ゴム組成物である。
【0014】
[3]ジエン系ゴム100質量部に対して、フュームドシリカを10質量部以上70質量部以下含む[1]または[2]に記載のタイヤ用ゴム組成物である。
【0015】
[4]フュームドシリカのBET比表面積が180m2/g以上500m2/g以下である[1]から[3]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
【0016】
[5]フュームドシリカが未処理のフュームドシリカである[1]から[4]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
【0017】
[6][1]から[5]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を加硫してなるタイヤ用ゴム材料である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低燃費性、耐摩耗性および耐熱老化性に優れたタイヤ用ゴム材料と、その製造に適したタイヤ用ゴム組成物とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.タイヤ用ゴム組成物
1.1.ジエン系ゴム
1.2.フュームドシリカ
1.3.シランカップリング剤
1.4.ジオール
1.5.その他の成分
2.タイヤ用ゴム組成物の製造方法
3.タイヤ用ゴム材料
【0020】
(1.タイヤ用ゴム組成物)
本実施形態に係るタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムと、表面シラノール基密度が3個/nm2以下であるフュームドシリカと、シランカップリング剤と、ジオールと、を含む。
【0021】
(1.1.ジエン系ゴム)
本実施形態に係るタイヤ用ゴム組成物に含まれるジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、クロロプレンゴムから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。ジエン系ゴムを構成する上記の各ゴムの含有量は用途等に応じて適宜決定すればよい。これらの中でも、天然ゴムおよびスチレンブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1つが好ましい。
【0022】
天然ゴムとしては、天然ゴム(NR)やエポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)などの改質天然ゴムが挙げられる。これらの天然ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。本実施形態では、天然ゴムとして、未変性NRが好ましい。
【0023】
スチレンブタジエンゴム(SBR)としては、未変性の溶液重合SBR(S-SBR)、未変性の乳化重合SBR(E-SBR)、およびこれらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)などが挙げられる。
【0024】
(1.2.フュームドシリカ)
フュームドシリカは、四塩化珪素を酸水素炎中で高温加水分解することによって製造される微粒子状の二酸化珪素である。したがって、フュームドシリカは、沈殿法、ゲル化法等の湿式法により製造される湿式シリカと製造方法が異なり、乾式シリカとも呼ばれる。フュームドシリカは、湿式シリカよりも一次凝集体(最小構成体)の一次粒子径が小さく、窒素吸着BET比表面積が大きい。フュームドシリカの粒子は、数珠状に凝集・融着しており、嵩高い凝集体を形成する。
【0025】
また、フュームドシリカはシロキサン結合を有するが、フュームドシリカの表面には、シロキサン基に加えて、ヒドロキシ基がケイ素原子に結合しているシラノール基が存在する。フュームドシリカの表面におけるシラノール基の密度(表面シラノール基密度)は、製造方法の違いに起因して、湿式シリカよりも低い。本実施形態では、フュームドシリカの表面シラノール基密度は3個/nm2以下である。表面シラノール基密度が上記の範囲内であることにより、後述するシランカップリング剤との反応サイトであるシラノール基量は維持しながら、水分がシリカ表面に吸着することによるゴムとの濡れ性の低下を防げることにより更なる微分散性が期待できるという利点がある。
【0026】
表面シラノール基密度は、たとえば、カールフィッシャー法、イグロス法、グリニアール試薬による活性水素滴定法等により測定すればよい。
【0027】
また、シラノール基は水を吸着しやすい。そこで、シラノール基と他の物質とを反応させることにより、水の吸着性を低下させる表面処理が行われることがある。表面処理されたフュームドシリカは表面処理フュームドシリカと呼ばれ、表面処理されていないフュームドシリカは未処理フュームドシリカと呼ばれる。
【0028】
本実施形態では、表面処理フュームドシリカと未処理フュームドシリカとは、下記に示す修飾疎水度(M値)により区別する。修飾疎水度(M値)は、表面処理フュームドシリカは水には浮遊するが、メタノールには完全に懸濁することを利用した測定方法により得られる値である。M値を測定する方法は、国際公開第2004/099075号の実施例に記載の方法を採用できる。M値を用いて、表面処理フュームドシリカと未処理フュームドシリカを表すと、表面処理フュームドシリカはM値が1以上、未処理フュームドシリカは1未満となる。
【0029】
本実施形態では、シランカップリング剤は分子構造が嵩高くシリカ表面に十分な量が反応可能であるという観点から、フュームドシリカは、カップリング剤の自己縮合を誘発する水分は少ないながら、反応サイトであるシラノール基が十分確保されている未処理フュームドシリカであることが好ましい。
【0030】
フュームドシリカのタップ密度は比較的に高い方が工業的な生産性の面からは好ましい。具体的には、フュームドシリカのタップ密度は200g/L以上であることが好ましい。フュームドシリカは、上述したように、嵩高いため、タップ密度を200g/L以上とする場合、フュームドシリカを圧縮することが好ましい。
【0031】
フュームドシリカを圧縮する方法としては、たとえば、ボールミルにより圧縮する方法、振動ミルにより圧縮する方法等が例示される。
【0032】
なお、本実施形態では、フュームドシリカのタップ密度は200g/L未満であってもよい。
【0033】
また、本実施形態では、フュームドシリカのBET比表面積は200m2/g以上、250m2/g以上、300m2/g以上であることが好ましい。フュームドシリカのBET比表面積が上記範囲内であることにより、フュームドシリカにおいてジエン系ゴムまたはシランカップリング剤との反応点となるシラノール基の数を十分に確保できる。
【0034】
また、フュームドシリカのBET比表面積の上限は特に制限されないが、たとえば、500m2/gである。フュームドシリカのBET比表面積が小さすぎると、フュームドシリカ製造時の火炎温度をより高くする必要があり、フュームドシリカ特有の構造が失われ、安定的にフュームドシリカを製造することができない傾向にある。フュームドシリカのBET比表面積が大きすぎると、安定的に製造することができない傾向にある。
【0035】
フュームドシリカの真密度は2.0g/cm3以上2.4g/cm3以下であることが好ましく、2.1g/cm3以上2.3g/cm3以下であることがより好ましく、2.15g/cm3以上2.25g/cm3以下であることがさらに好ましい。フュームドシリカの真密度が上記の範囲内であることにより、真密度が2.0より低い場合に比べ、シリカの弾性率が高くなり、ゴム組成物中においてより補強効果を発揮し易い。
【0036】
真密度が一般に知られている非晶質シリカの2.2より低くなる理由の一つとしては、シリカ内部にポアー(空孔)が存在する場合がある。MacKenzieによるとE=E0(1-P)2の式によりポアーが増えるほど急激に弾性率が落ちることが知られている。
E0=中実な物質の弾性率 P=ポアーボリューム E=ポアーボリュームPを有する物質の弾性率
【0037】
弾性率の低いフィラーを充填すると補強効果は低下する方向になる。一方真密度が高すぎる場合、シリカ粒子表面の表面自由エネルギーが高くなりゴムとの表面自由エネルギー差が大きくなる方向になり、分散性が悪化する可能性がある。又、補強性は一般に充填剤の体積分率が大きい程高くなるため、余りにも高密度の物質を充填しても弾性率向上効果が発揮され難くなる。
【0038】
真密度の高い非晶質シリカを作成する方法としては高圧下での合成や溶融時の急冷などによる方法が知られている。フュームドシリカの真密度は、たとえば、ピクノメーター法により測定することができる。
【0039】
フュームドシリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、10質量部以上70質量部以下であることが好ましい。フュームドシリカの配合量が上記の範囲内であることにより、低燃費性および耐摩耗性に優れたタイヤ用ゴム材料を得ることができる。フュームドシリカの配合量が多すぎると、粘性が高くなる為フュームドシリカがゴム成分中に十分に分散されず、良好な混練物が得られない傾向にある。
【0040】
フュームドシリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、20質量部以上であることがより好ましく、32質量部以上であることがさらに好ましい。一方、フュームドシリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、60質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることがさらに好ましい。
【0041】
(1.3.シランカップリング剤)
疎水性のジエン系ゴムと親水性のシラノール基を有するフュームドシリカとは親和性が低く、混練時に混ざりにくい。そこで、シランカップリング剤を配合することにより、シランカップリング剤を介してジエン系ゴムとフュームドシリカとの架橋構造が形成されやすくなり、フュームドシリカがジエン系ゴム中に均一に分散しやすい。その結果、タイヤ用ゴム材料において、ゴム中に分散しなかった粗大なフュームドシリカの存在を抑制できるため、タイヤ用ゴム材料の耐摩耗性を向上させることができる。
【0042】
シランカップリング剤としては、硫黄含有シランカップリング剤が好ましい。硫黄含有シランカップリング剤としては、たとえば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマー等が例示される。本実施形態では、タイヤ用ゴム組成物の耐熱性(熱老化性)の観点から、スルフィド系シランカップリング剤が好ましい。
【0043】
フュームドシリカがジエン系ゴム中に均一に分散するには、フュームドシリカのシラノール基がシランカップリング剤と結合し、疎水性のジエン系ゴムとの親和性を高める必要がある。したがって、シラノール基と過不足なく反応する量のシランカップリング剤が配合されている必要がある。表面シラノール基密度は、フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積と対応するため、シランカップリング剤の配合量はフュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に応じて決定すればよい。
【0044】
したがって、フュームドシリカの分散性を高める観点から、シランカップリング剤の配合量(タイヤ用ゴム組成物におけるシランカップリング剤の含有量)は、フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に対して、0.50μmol/m2以上3.9μmol/m2以下である。
【0045】
当該配合量は、0.7μmol/m2以上であることが好ましい。一方、当該配合量は、2.0μmol/m2以下であることが好ましく、1.5μmol/m2以下であることがより好ましい。
【0046】
(1.4.ジオール)
ジオールは、2価アルコールであり、ヒドロキシ基を2つ有する炭化水素である。ジオールを配合することにより、タイヤ用ゴム組成物のムーニー粘度が低下するにもかかわらず、タイヤ用ゴム材料のA硬度が増すので、フュームドシリカの配合量を減らすことができる。その結果、タイヤ用ゴム材料の低燃費性および耐摩耗性が向上する。さらに、ジオールを、上記のシランカップリング剤と共に配合することにより、耐熱老化性が良好なタイヤ用ゴム材料が得られる。なお、1価アルコールおよび3価以上のアルコールでは、上記の効果は得られない傾向にある。
【0047】
本実施形態では、好ましいジオールの例としては、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、重合度200~1000前後のポリエチレングリコール等があげられ、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、重合度300~500のポリエチレングリコールがより好ましい。
【0048】
また、シランカップリング剤と同様に、ジオールを配合することにより得られる効果は、表面シラノール基密度に応じて決定すればよい。したがって、ジオールの配合量(タイヤ用ゴム組成物におけるジオールの含有量)は、フュームドシリカの1g当たりのBET比表面積に対して、3μmol/m2以上14μmol/m2以下である。
【0049】
当該配合量は、3.4μmol/m2以上であることが好ましく、6.8μmol/m2以上であることがより好ましい。一方、当該配合量は、11μmol/m2以下であることが好ましい。
【0050】
(1.5.その他の成分)
本実施形態では、タイヤ用ゴム組成物は、上述した成分(ジエン系ゴム、フュームドシリカ、シランカップリング剤およびジオール)以外に、ゴム組成物に配合される成分を含んでもよい。このような成分としては、たとえば、滑剤が例示される。滑剤を配合することにより、各成分の混練性が向上し、各成分が良好に分散したタイヤ用ゴム組成物が得られやすい。
【0051】
滑剤としては、ステアリン酸、鉱油化学合成油などからなるプロセスオイルが例示される。滑剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。プロセスオイルとしては、アロマオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
本願発明の効果が得られる範囲内において、滑剤の配合量(タイヤ用ゴム組成物における滑剤の含有量)は限定されない。たとえば、滑剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、2質量部以上60質量部以下であることが好ましく、4質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。具体的には、滑剤の配合量は、ジエン系ゴムの種類に応じて決定すればよい。たとえば、ジエン系ゴムがNRである場合には、滑剤の配合量は比較的少量であり、ジエン系ゴムがSBRである場合には、滑剤の配合量は、SBR自体に含まれる滑剤を含めて、比較的多量である。
【0053】
滑剤の配合量が少なすぎると、粘度が高くなり混錬性が悪く、得られるタイヤ用ゴム材料の耐摩耗性能が十分に向上できないおそれがある。滑剤の配合量が多すぎると、混錬時、せん断が掛からず、フュームドシリカがジエン系ゴム中に十分に分散できないおそれがある。
【0054】
さらに、タイヤ用ゴム組成物は、親水性フュームドシリカ以外の補強性充填剤を含んでもよい。補強性充填剤としては、たとえば、カーボンブラック、湿式シリカ、クレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示される。補強性充填剤を配合する場合には、フィラーカップリング剤も適量配合できる。補強性充填剤の配合量は本願発明の効果が得られる範囲内において限定されず、一般的な配合量とすればよい。
【0055】
さらに、タイヤ用ゴム組成物は、酸化亜鉛、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂などの各種添加剤を含んでもよい。これらの添加剤の配合量は本願発明の効果が得られる範囲内において限定されず、一般的な配合量とすればよい。
【0056】
(2.タイヤ用ゴム組成物の製造方法)
本実施形態に係るタイヤ用ゴム組成物は、上述したジエン系ゴムと、上述したフュームドシリカと、上述したシランカップリング剤と、上述したジオールと、必要に応じて、その他の成分と、を混練して得られる。
【0057】
本実施形態では、所定の成分を混練してマスターバッチを作製し、マスターバッチに残りの成分を配合して混練することにより、タイヤ用ゴム組成物を製造してもよいし、全ての成分を混練することにより、タイヤ用ゴム組成物を製造してもよい。
【0058】
マスターバッチを作製する場合、上述したジエン系ゴムと、上述したフュームドシリカと、上述したシランカップリング剤と、上述したジオールと、必要に応じて、その他の成分と、を混練することが好ましい。
【0059】
マスターバッチを作製するための混練装置としては、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
【0060】
マスターバッチの作製後、マスターバッチに他の成分を配合して混練することにより、タイヤ用ゴム組成物が得られる。マスターバッチと他の成分との混練は、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
【0061】
全ての成分を混練してタイヤ用ゴム組成物を製造する場合についても、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
【0062】
混練条件は、各成分が十分に混練される条件に設定すればよい。
【0063】
(3.タイヤ用ゴム材料)
本実施形態に係るタイヤ用ゴム材料は、上述したタイヤ用ゴム組成物が加硫処理されてなる材料である。
【0064】
タイヤ用ゴム組成物において、フュームドシリカの分散性を良好とするために、シランカップリング剤の含有量をフュームドシリカのBET比表面積に応じて設定することにより、シランカップリング剤が過不足なくジエン系ゴムとフュームドシリカとを架橋することができる。その結果、タイヤ用ゴム組成物においてフュームドシリカが均一に混練され、タイヤ用ゴム材料において粗大粒子の生成が抑制される。このような効果は、特にフュームドシリカを圧縮し、圧縮フュームドシリカである場合に顕著である。
【0065】
さらに、タイヤ用ゴム材料には、ジオールが配合されている。ジオールが配合されていることにより、ゴムの加硫後のA硬度が増すため、充填剤の配合量を削減することができる。その結果、低燃費性、耐摩耗性および耐熱老化性を改善することができる。
【0066】
したがって、本実施形態に係るタイヤ用ゴム材料は、低燃費性、耐摩耗性および耐熱老化性に優れている。このようなタイヤ用ゴム材料は、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ等に好適に使用できる。タイヤの各部材に好適に使用できる。なかでも、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、クリンチ等に好適に用いることができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
【実施例0068】
以下、実施例において、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0069】
(実験1)
(タイヤ用ゴム組成物の調製)
実験1では、ジエン系ゴムはSBR系ゴムとした。SBR系ゴム100質量部に対する配合量が表1に示す配合量となるように、下記成分(A)~(D)および(E-1)~(E-4)を容積が0.6Lのプラストミル東洋精機社製BB600型に投入した。投入後、ローター回転数が20~100rpmの範囲内で、混練物の温度が140~150℃の範囲内となるよう回転数を調節し温度到達後5分間混練した。エアシリンダー圧は0.5MPaであった。混練終了後、室温まで冷却して、混練物を取り出しマスターバッチを得た。
(A)ジエン系ゴム
(A―1)SBR(旭化成社製S-SBR E-581)
(A-2)BR(ENEOS社製 BR01)
(B)充填剤
(B-1)カーボンブラック(東海カーボン製、シースト6、窒素吸着BET比表面積:120m2/g,タップ密度:400g/L)
(B-2)湿式シリカ(東ソーシリカ製、NipsilAQ、窒素吸着BET比表面積:200m2/g,タップ密度:300g/L,シラノール基密度:6個/nm2、ピクノメーター法真密度2.1g/cm3
(B-3)親水性フュームドシリカ(トクヤマ製、レオロシールQS-40、窒素吸着BET比表面積:380m2/g,タップ密度:50g/L,シラノール基密度:2.3個/nm2、ピクノメーター法真密度2.2g/cm3
(B-4)親水性フュームドシリカ(トクヤマ製、レオロシールQS-30C、窒素吸着BET比表面積:300m2/g,タップ密度:70g/L,シラノール基密度2.1個/nm2、ピクノメーター法真密度2.2g/cm3
(B-5)(B-4)をボールミルで圧縮したタップ密度200g/Lの高圧縮フュームドシリカ(シラノール基密度:2.5個/nm2、ピクノメーター法真密度2.2g/cm3
(B-6)(B-4)をボールミルで圧縮したタップ密度250g/Lの高圧縮フュームドシリカ(シラノール基密度:3個/nm2、ピクノメーター法真密度2.2g/cm3
(B-7)親水性フュームドシリカ(トクヤマ製、レオロシールCP-102、窒素吸着BET比表面積:200m2/g,タップ密度:100g/L,シラノール基密度:1.8個/nm2、ピクノメーター法真密度2.2g/cm3
(B-8)(B-7)をボールミルで圧縮したタップ密度250g/Lの高圧縮フュームドシリカ(シラノール基密度:3個/nm2、ピクノメーター法真密度2.2g/cm3
(C)シランカップリング剤
(C-1)ポリスルフィド系カップリング剤(EVONIK社製 Si69)
(D)ジオール
(D-1)1,3-プロパンジオール
(E)その他の成分
(E-1)滑剤(ステアリン酸、日油製、ビーズステアリン酸YR)
(E-2)滑剤(酸化亜鉛、正同化学製、酸化亜鉛2種)
(E-3)老化防止剤(精工化学製、オゾノン 6C)
(E-4)プロセスオイル(富士興産製、アロマックス3(TDAE Oil))
【0070】
なお、フュームドシリカの表面シラノール基密度は、京都電子工業社製MKC-610電量滴定装置に、ADP-512水分気化装置を付属したもので測定した。すなわち、水分気化装置の低温側炉で130℃まで昇温しシリカ乾燥減量に相当する水分量をMKC-610型を用いて電量滴定法で測定した。その後、1000℃に加熱した高温側炉で強熱減量相当の水分量を同様に電量滴定で測定した。130℃から1000℃で発生した強熱減量相当水分量を以下の式を用いてシラノール基密度に換算した。
シラノール基密度(個/nm2) = 668.9 × H2O(%) /比表面積(m2/g)
【0071】
得られた上記マスターバッチと下記に示す(E-5)、(E-6)および(E-7)を6インチロール試験機により添加・混合して、タイヤ用ゴム組成物を得た。なお、硫黄の配合量は、他の添加成分が有する硫黄量を考慮して設定した。
(E-5)硫黄(鶴見化学工業製、5%オイル金華印油入微粉硫黄)
(E-6)加硫促進剤(三新化学工業製、サンセラーCM‐G N-シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルファミド(CBS)
(E-7)サンセラーD‐G1,3‐ジフェニルグアニジン(DPG))
【0072】
なお、(B-5)の圧縮したフュームドシリカは、(B-4)のフュームドシリカ200gを、容積が7Lのボールミル(ボール径:φ32mm、ボール充填率:30%)に投入し、室温下、回転速度300rpmで約5時間粉砕を行うことにより得られた。(B-6)の圧縮したフュームドシリカおよび(B-8)の圧縮したフュームドシリカは、粉砕時間を変更することにより、タップ密度を調整した。
【0073】
(B-1)~(B-8)の充填剤の窒素吸着BET比表面積は、各充填剤について、マイクロトラック社製BELSOP MINI Xを用いて、窒素吸着BET法により測定した。また、(B-1)~(B-8)の充填剤のタップ密度は以下のようにして測定した。まず、1Lの樹脂製メスシリンダーを電子天秤の上に置き、風袋引きをし、充填剤を約1L充填し、重量M(g)を記録する。その後、約10cmの高さから30回、手動でタッピングした後、容積V(ml)を測定し、下記式からタップ密度ρを算出した。
タップ密度ρ=1000×M/V(g/L)
【0074】
【表1】
【0075】
得られたタイヤ用ゴム組成物について下記に示す評価を行うための試験片を作製した。得られた試験片を使用して、以下の物性を評価した。
【0076】
(加工性:ムーニー粘度)
得られたタイヤ用ゴム組成物の試験片について、ムーニー粘度計(上島製作所製VR-1132)を用いて、JIS K6300-1に準拠して、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4 100℃)を測定した。ムーニー粘度が低いと、タイヤ用ゴム組成物の加工性が良好となる傾向にある。結果を表1に示す。
【0077】
(タイヤ用ゴム材料試験片の調製)
続いて、得られたタイヤ用ゴム組成物をJIS K6300-2により160℃30分の条件で求めたT90+1分でプレス加硫して、タイヤ用ゴム材料を得た。得られたタイヤ用ゴム材料から下記に示す評価を行うための試験片を作製した。得られた試験片を使用して、以下の物性を評価した。
【0078】
(A硬度)
得られたタイヤ用ゴム材料の試験片について、JIS K6253 タイプAに準拠して、デュロメータにより硬度(ショアA硬度)を測定した。タイヤ用ゴム材料の目標A硬度が65であるので、試験片のA硬度も65前後であることが好ましい。結果を表1に示す。
【0079】
(低燃費性能:60℃におけるtanδ)
得られたタイヤ用ゴム材料の試験片について、JIS K6394に準拠して、動的粘弾性試験機(上島製作所製VR-7130)を用いて下記条件にて測定した。60℃における測定値からtanδ(60℃)を算出した。
測定温度: 60℃
静的歪 : 10%
動的歪 : ±2%
周波数 : 10Hz
【0080】
算出された標準例1(比較例1)のtanδ(60℃)を1.0として下記計算式により転がり抵抗指数を算出した。指数が大きいほど転がり抵抗性に優れる。結果を表1に示す。
(転がり抵抗指数)=(標準例1のtanδ(60℃))/(実施例のtanδ(60℃))
【0081】
(耐摩耗性能:FPS摩耗量)
得られたタイヤ用ゴム材料の試験片について、FPS摩耗試験機(上島製作所製AB-2012)を用いて、温度35℃、荷重40N、スリップ率10%、試験時間2分間の条件でFPS摩耗量を測定した。FPS摩耗量から容積損失を計算し、標準例1(比較例1)の損失量を1.0として下記計算式により摩耗指数を算出した。指数が大きいほど耐摩耗性能が優れる。結果を表1に示す。
(摩耗指数)=(標準例1の損失量)/(実施例の損失量)
【0082】
(耐熱老化性)
得られたタイヤ用ゴム組成物を厚さ2mmのモールドを用いて160℃でT90+1分間加硫し、得られた加硫ゴムシートをJIS3号ダンベルで打ち抜きサンプルとした。サンプルを温度80℃に設定したギヤーオーブンで5日間(120時間)熱老化させた後、未老化のサンプルと共にJIS K6251に従い引張試験機で破断時の強度(破断強度)を測定した。未老化の破断強度と老化後の破断強度との比をとり、耐熱老化性の指標とした。下記計算式により耐熱指数を算出した。耐熱指数が1以上の場合耐熱老化性に優れ、耐熱指数が1未満のとき、熱劣化により破断強度が落ちるため耐熱老化性が劣る。結果を表1に示す。
(耐熱指数)={(熱老化後の破断強度)/(未老化サンプルの破断強度)}
【0083】
また、熱老化試験前のサンプルについて標準例1(比較例1)の破断強度を1.00として、下記計算式により強度指数を算出した。強度指数が大きいほど強度に優れる。結果を表1に示す。
(強度指数)=(実施例の破断強度)/(標準例1の破断強度)
【0084】
表1より、ジエン系ゴムがSBR系ゴムである場合、シランカップリング剤とジオールの添加量が上述した範囲内であるタイヤ用ゴム材料は、カーボンブラックや湿式シリカが混練され製造されたタイヤ用ゴム材料よりも高い耐摩耗性を有していることが確認できた。また、同時に高い耐熱老化性も有していることが確認できた。
【0085】
(実験2)
実験2では、ジエン系ゴムはNRゴムとした。NRゴム100質量部に対する配合量が表2に示す配合量となるように、下記成分(A)~(D)および(E-1)~(E-4)を容積が0.5Lのモリヤマ製加圧ニーダーに投入した。材料を逐次投入後、ローター回転数が30rpmで、混練物の温度が140~150℃の範囲内になった後5分間混練した。混練中のラム圧力は0.4~0.5MPaの範囲内であった。混練終了後、室温まで冷却して、混練物を得た。
(A)ジエン系ゴム
(A-3)ベトナム製天然ゴム:SVR
(B)充填剤
(B-1)カーボンブラック(東海カーボン製、シースト6、窒素吸着BET比表面積:120m2/g,タップ密度:400g/L)
(B-2)湿式シリカ(東ソーシリカ製、NipsilAQ、窒素吸着BET比表面積:200m2/g,タップ密度:300g/L,シラノール基密度:6個/nm2
(B-4)親水性フュームドシリカ(トクヤマ製、レオロシールQS-30C、窒素吸着BET比表面積:300m2/g,タップ密度:70g/L)
(B-5)(B-4)をボールミルで圧縮したタップ密度200g/Lの高圧縮フュームドシリカ
(B-6)(B-4)をボールミルで圧縮したタップ密度250g/Lの高圧縮フュームドシリカ
(C)シランカップリング剤
(C-1)ポリスルフィド系カップリング剤(EVONIK社製 Si69)
(D)ジオール
(D-1)1,3-プロパンジオール
(E)その他の成分
(E-1)滑剤(ステアリン酸、日油製、ビーズステアリン酸YR)
(E-2)滑剤(酸化亜鉛、正同化学製、酸化亜鉛2種)
(E-3)老化防止剤(精工化学製、オゾノン 6C)
(E-4)プロセスオイル(富士興産製、アロマックス3(TDAE Oil))
【0086】
得られた混練物に、下記に示す(E-5)および(E-8)を6インチロール試験機により添加混合して、タイヤ用ゴム組成物を得た。
(E)その他の成分
(E-5)硫黄(鶴見化学工業製、5%オイル金華印油入微粉硫黄)
(E-8)加硫促進剤(N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、三新化学工業製、サンセラーNS-G)
【0087】
【表2】
【0088】
得られたタイヤ用ゴム組成物について、実験1と同じ評価を行うための試験片を作製した。得られた試験片を使用して、実験1において評価した物性(ムーニー粘度)を評価した。結果を表2に示す。
【0089】
(タイヤ用ゴム材料の調製)
続いて、得られたタイヤ用ゴム組成物をJIS K6300-2により150℃60分の条件で求めたT90+1分プレス加硫して、タイヤ用ゴム材料を得た。得られたタイヤ用ゴム材料について、実験1と同じ評価を行うための試験片を作製した。得られた試験片を使用して、実験1において評価した物性の一部を評価した。なお、強度指数については、標準例2(比較例5)を基準とした。結果を表2に示す。
【0090】
表2より、ジエン系ゴムがNRであっても、シランカップリング剤とジオールの添加量が上述した範囲内であるタイヤ用ゴム材料は、カーボンブラックや湿式シリカが混練され製造されたタイヤ用ゴム材料よりも高い耐熱老化性も有していることが確認できた。