(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145891
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、硬化膜付き基板及び硬化膜付き基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/075 20060101AFI20241004BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20241004BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241004BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G03F7/075 501
G03F7/038 501
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058458
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100088203
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100100192
【弁理士】
【氏名又は名称】原 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100198269
【弁理士】
【氏名又は名称】久本 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100226894
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 夏詩子
(72)【発明者】
【氏名】平野 優衣
(72)【発明者】
【氏名】小野 悠樹
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BC02
2H148BC06
2H148BC12
2H148BD11
2H148BE36
2H148BF04
2H148BF12
2H148BF15
2H148BF16
2H148BG02
2H148BG14
2H148BH04
2H148BH21
2H148BH22
2H225AC36
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC49
2H225AC54
2H225AC72
2H225AD06
2H225AE06P
2H225AE12P
2H225AF18P
2H225AF71P
2H225AG00P
2H225AM22P
2H225AM66P
2H225AM86P
2H225AM88P
2H225AN02P
2H225AN36P
2H225AN39P
2H225AN78P
2H225AN96P
2H225AP03P
2H225AP11P
2H225BA02P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA20P
2H225BA33P
2H225CA18
2H225CB06
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
【課題】膜面の低反射率化と高精細化とを両立した硬化膜パターンを形成でき、耐熱性や耐光性にも優れた硬化膜パターンを形成できる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂と、(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物と、(C)分子内にエポキシ基を2個以上有する環状シロキサン化合物と、(D)光重合開始剤と、(G)無機微粒子と、(H)溶剤と、を含む、感光性樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂と、
(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物と、
(C)分子内にエポキシ基を2個以上有する環状シロキサン化合物と、
(D)光重合開始剤と、
(G)無機微粒子と、
(H)溶剤と、
を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(C)成分は、一般式(1)で表される環状シロキサン化合物である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化1】
〔一般式(1)中のR
a及びR
bは、エポキシ基を含有する1価の基又は炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。n個のR
a及びR
bのうち、少なくとも2個はエポキシ基を含有する1価の基である。複数のR
aおよびR
bは同一であってもよいし、異なっていてもよい。nは3以上10以下の整数を示す。〕
【請求項3】
前記(A)成分は、下記一般式(2)で表されるユニットと一般式(3)で表されるユニットとを含む重合体を含み、当該重合体は、一般式(2)で表されるユニットを5~90モル%、一般式(3)で表されるユニットを10~95モル%含み、重量平均分子量が3000~50000、酸価30~200mg/KOHの重合体である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】
【化3】
(ただし、R
c、R
f及びR
hは独立に水素原子又はメチル基を表す。R
dは炭素数1~20の1価の炭化水素基を示し、当該炭化水素基は内部にエーテル結合、エステル結合又はウレタン結合を含んでいてもよい。また、R
dは一般式(2)で表される全てのユニット中の40モル%以上がジシクロペンタニル基又はジシクロペンテニル基である。R
eは炭素数2~10の2価の炭化水素基を示す。pは0または1の数を表す。Xは水素原子又は-OC-L-(COOH)
k基(但し、Lは2価又は3価のカルボン酸残基、kは1~2)を表す。)
【請求項4】
(F)黒色有機顔料、混色有機顔料及び黒色無機顔料からなる群から選択される1種以上の遮光材を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(E)硬化剤および/または硬化促進剤を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(G)成分は、屈折率が1.20~1.50であって、平均粒径が1~150nmである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
【請求項8】
基板上に請求項7に記載の硬化膜を有する硬化膜付き基板。
【請求項9】
基板上に硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法であって、
請求項1~6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、加熱して硬化膜パターンを形成する、硬化膜付き基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、硬化膜付き基板及び硬化膜付き基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル端末の発達により、屋外や車載にて使用する、タッチパネルまたは液晶パネル等を有する表示装置が増加している。上記表示装置において、タッチパネル外枠には背面の液晶パネル周辺部の光漏れを遮光するために遮光膜が設けられ、上記液晶パネルには黒色表示時に画面から光が漏れるのを抑制するため、および隣接し合うカラーレジスト同士の混色を抑制するための遮光膜(ブラックマトリックス)が設けられている。
【0003】
表示装置等において、光漏れ等を抑制して上記表示装置等の画面の視認性を改善するために、遮光膜中の黒色顔料の濃度を高くして、遮光膜の遮光性を上げる(遮光膜の光透過性を下げる)ことがある。透明基材や硬化性樹脂の屈折率と比較して、黒色顔料の屈折率は高いため、遮光膜中の黒色顔料濃度を高くしていくと、透明基材の遮光膜が形成された面から見たときの反射率が高くなってしまう。このため、高遮光性だけでなく、低反射率を有する遮光膜が要望されている。また、ブラックマトリックスを形成するフォトレジスト(ブラックレジスト)の用途だけでなく、クリアレジストやRGBレジストにおいても、ディスプレイ内部での反射を抑制できるといった理由から、低反射率を備えるようにすることは有用である。
【0004】
このようなブラックマトリックス等の用途における低反射率化のために、従来から、黒色顔料や硬化性樹脂よりも屈折率が小さいシリカなどの透明粒子を配合させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、感光性樹脂組成物中にシリカを配合すると、低反射率化には有用であるものの、少なからず、基板との密着性に影響を与えることが懸念される。
【0005】
また近年では、スマートフォンなどの中小型パネル向けではFull High Definitionの解像度を得るための超高精細化(400 Pixel Per Inch以上)技術が必要とされ、高精細化は必須の技術トレンドとなっている。高精細化を達成するためには、赤、緑、青の各画素サイズを細かくする必要があるが、カラーフィルターの開口率(バックライト光が透過するRGB画素の面積割合)を落とさないことが高輝度化には必要であり、ブラックマトリックスの細線化も同時に求められている。すなわち、ブラックマトリックスの線幅は、従来では6~8μmが主流であったが、最近では7μm以下や4~5μmサイズが求められるようになっている。さらに、例えば、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などの新たなデバイス向けのディスプレイでは1000ppi以上の高精細化が必要とされるため、ブラックマトリックスの線幅は、3μm以下のサイズが求められるようになっている。これまでの低反射率化を目的としたブラックマトリックスなどにおいては、このような昨今の高精細化(細線化)の要求を必ずしも満たすものではなく、ガラス基板などとも密着性(細線密着性)の更なる向上が求められている。
【0006】
この点、従来から、耐熱温度が高々140℃以下の基板を用いてフォトリソグラフィー法により樹脂膜パターンを形成させる際に、比較的低温での熱処理(熱硬化)であっても、現像密着性や直線性に優れ、溶剤耐性やアルカリ耐性等に優れた樹脂膜パターンを形成させるために、アルカリ可溶性樹脂や光重合開始剤などの成分とともにエポキシ化合物やエポキシ化合物の硬化剤及び/又は硬化促進剤を所定量使用するといった技術が提案されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、このようなエポキシ化合物や硬化剤などの使用では、疎水性が十分とは言えず現像液への耐性の向上が求められており、高精細化、細線密着性について、更なる向上の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-161926号公報
【特許文献2】特開2019-070720号公報
【特許文献3】特開2018-004920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、とくに、膜面の低反射率化と高精細化とを両立し、耐熱性や耐光性も備えることができるような硬化膜パターンを形成できる感光性樹脂組成物として、該組成物中に、無機微粒子を配合させることで塗膜面を低反射率化できると共に、従来から使用されてきたエポキシ化合物などに代替して分子内にエポキシ基を2個以上有する環状シロキサン化合物を配合することを新たに見出した。
【0009】
なお、分子内にエポキシ基を2個以上有する環状シロキサン化合物を感光性樹脂組成物中に配合することは既に知られていたが(特許文献3)、あくまで、有機EL素子における発光層の区画用のバンクとして発生ガス量が少ない硬化膜を形成する目的のために、複数のエポキシ基又はオキセタニル基を備える多官能架橋性化合物(D)の一例として開示されているに留まる。つまり、当該シロキサン化合物を配合することによって、フォトリソグラフィーによる硬化膜パターンの形成において高精細化や細線密着性に寄与させることについては、何らの開示や示唆もされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1](A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂と、
(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物と、
(C)分子内にエポキシ基を2個以上有する環状シロキサン化合物と、
(D)光重合開始剤と、
(G)無機微粒子と、
(H)溶剤と、
を含む、感光性樹脂組成物。
[2]前記(C)成分は、一般式(1)で表される環状シロキサン化合物である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
【化1】
〔一般式(1)中のR
a及びR
bは、エポキシ基を含有する1価の基又は炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。n個のR
a及びR
bのうち、少なくとも2個はエポキシ基を含有する1価の基である。複数のR
aおよびR
bは同一であってもよいし、異なっていてもよい。nは3以上10以下の整数を示す。〕
[3]前記(A)成分は、下記一般式(2)で表されるユニットと一般式(3)で表されるユニットとを含む重合体を含み、当該重合体は、一般式(2)で表されるユニットを5~90モル%、一般式(3)で表されるユニットを10~95モル%含み、重量平均分子量が3000~50000、酸価30~200mg/KOHの重合体である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】
【化3】
(ただし、R
c、R
f及びR
hは独立に水素原子又はメチル基を表す。R
dは炭素数1~20の1価の炭化水素基を示し、当該炭化水素基は内部にエーテル結合、エステル結合又はウレタン結合を含んでいてもよい。また、R
dは一般式(2)で表される全てのユニット中の40モル%以上がジシクロペンタニル基又はジシクロペンテニル基である。R
eは炭素数2~10の2価の炭化水素基を示す。pは0または1の数を表す。Xは水素原子又は-OC-L-(COOH)
k基(但し、Lは2価又は3価のカルボン酸残基、kは1~2)を表す。)
[4](F)黒色有機顔料、混色有機顔料及び黒色無機顔料からなる群から選択される1種以上の遮光材を含む、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[5](E)硬化剤および/または硬化促進剤を含む、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[6]前記(G)成分は、屈折率が1.20~1.50であって、平均粒径が1~150nmである、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[7][1]~[6]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
[8]基板上に[7]に記載の硬化膜を有する硬化膜付き基板。
[9]基板上に硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法であって、
[1]~[6]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、フォトマスクを介して露光して、現像により未露光部を除去し、加熱して硬化膜パターンを形成する、硬化膜付き基板の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、膜面の低反射率化と高精細化とを両立した硬化膜パターンを形成できる。また、それに加えて、耐熱性や耐光性にも優れた硬化膜パターンを形成できる。また、そのような硬化膜パターンを形成して硬化膜付き基板を製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述のとおり、本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも、(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂と、(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物と、(C)分子内にエポキシ基を2個以上有する環状シロキサン化合物と、(D)光重合開始剤と、(G)無機微粒子と、(H)溶剤を必須の成分として有する。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、(F)黒色有機顔料、混色有機顔料及び黒色無機顔料からなる群から選択される1種以上の遮光材や、(E)硬化剤および/または硬化促進剤を含んでもよい。
以下、使用される各成分を中心に詳しく説明する。
【0013】
<(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂>
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂について説明する。
【0015】
この(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂については、アルカリ現像性を付与するための酸価を有し、(B)成分の光重合性化合物と組み合わせて適正な光硬化性を具備することができる樹脂であれば、特に限定なく用いることができる。
【0016】
(A)成分の例には、一般式(9)で表されるような1分子内に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a-1)と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物に対して、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)、およびテトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)を反応させることにより得られる一般式(4)で表される1分子内にカルボキシ基および重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂が含まれる。一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂は、多数の芳香環を有することにより、耐熱性に優れる。また、高精細なパターンを得ることができる。
また、(A)成分の他の例としては、後述するような一般式(2)で表されるユニットと一般式(3)で表されるユニットとを含む重合体である(メタ)アクリレート樹脂であってもよい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称であり、これらの一方または両方を意味する。後述の(メタ)アクリル酸などについても同様である。
【0017】
先ず、下記一般式(4)で表される不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂について説明する。
【化4】
【0018】
式(4)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基であり、R5は、水素原子またはメチル基であり、Aは、-CO-、-SO2-、-C(CF3)2-、-Si(CH3)2-、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基または直結合であり、Yは4価のカルボン酸残基であり、Zは、それぞれ独立して、水素原子または一般式(5)で表される置換基である。ただし、Zのうち1個以上は一般式(5)で表される置換基であり、qは1~20の整数である。
【0019】
【0020】
式(5)中、Wは2価または3価のカルボン酸残基であり、mは1または2である。
【0021】
一般式(4)で表される1分子内にカルボキシ基および重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(以下、単に、「一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂」ともいう。)の製造方法について詳細に説明する。
【0022】
先ず、一般式(9)で表される1分子内に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a-1)(以下、単に「エポキシ化合物(a-1)」ともいう)に、不飽和基含有モノカルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸)を反応させ、重合性不飽和基を含有するジオール化合物を得る。
【0023】
【0024】
式(9)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基であり、Aは、-CO-、-SO2-、-C(CF3)2-、-Si(CH3)2-、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基または直結合である。
【0025】
エポキシ化合物(a-1)は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンを反応させて得られる2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物である。
【0026】
エポキシ化合物(a-1)の原料として使用されるビスフェノール類の例には、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン、4,4’-ビフェノール、3,3’-ビフェノール等が含まれる。これらは、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記不飽和基含有モノカルボン酸化合物の例には、アクリル酸、メタクリル酸以外に、アクリル酸やメタクリル酸に無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸一無水物を反応させた化合物などが含まれる。
【0028】
上記エポキシ化合物(a-1)と不飽和基含有モノカルボン酸化合物との反応は、公知の方法を使用することができる。たとえば、特開平4-355450号公報には、2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物1モルに対し、約2モルの(メタ)アクリル酸を使用することにより、重合性不飽和基を含有するジオール化合物が得られることが記載されている。本発明において、上記反応で得られる化合物は、重合性不飽和基を含有するジオール化合物であり、一般式(10)で表される重合性不飽和基を含有するジオール(d)(以下、単に「一般式(10)で表されるジオール(d)」ともいう)である。
【0029】
【0030】
式(10)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基であり、R5は水素原子またはメチル基であり、Aは、-CO-、-SO2-、-C(CF3)2-、-Si(CH3)2-、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基または直結合である。
【0031】
一般式(10)で表されるジオール(d)の合成、およびそれに続く多価カルボン酸またはその無水物の付加反応、さらにカルボキシ基との反応性を有する重合性不飽和基を有する単官能エポキシ化合物等を反応させて、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂の製造においては、通常、溶媒中で必要に応じて触媒を用いて反応を行う。
【0032】
溶媒の例には、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒;ジグライム、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の高沸点のエーテル系もしくはエステル系の溶媒;シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒等が含まれる。なお、使用する溶媒、触媒等の反応条件に関しては特に制限されないが、例えば、水酸基を持たず、反応温度より高い沸点を有する溶媒を反応溶媒として用いることが好ましい。
【0033】
また、カルボキシ基とエポキシ基との反応においては触媒を使用することが好ましく、特開平9-325494号公報には、テトラエチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類等が記載されている。
【0034】
次に、一般式(10)で表されるジオール(d)と、テトラカルボン酸またはその酸二無水物(b)、およびジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはその酸無水物(c)とを反応させて、前記一般式(4)で表される1分子内にカルボキシ基および重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂を得ることができる。
【0035】
一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂を合成するために使用される酸成分は、一般式(10)で表されるジオール(d)分子中の水酸基と反応し得る多価の酸成分であり、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)とテトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)とを併用することが必要である。上記酸成分のカルボン酸残基は、飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基のいずれでもよい。また、これらのカルボン酸残基には-O-、-S-、カルボニル基等のヘテロ元素を含む結合を含んでいてもよい。
【0036】
ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)としては、鎖式炭化水素ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、脂環式炭化水素ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、芳香族炭化水素ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、またはそれらの酸一無水物等を用いることができる。
【0037】
鎖式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物の例には、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等の酸一無水物、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物等が含まれる。また、脂環式ジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物の例には、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルナンジカルボン酸等の酸一無水物、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物等が含まれる。また、芳香族ジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物の例には、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の酸一無水物、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物が含まれる。
【0038】
ジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物の中では、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、フタル酸、トリメリット酸が好ましく、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸であることがより好ましい。また、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸においては、それらの酸一無水物を用いることが好ましい。上述したジカルボン酸またはトリカルボン酸の酸一無水物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
また、テトラカルボン酸またはその酸二無水物(c)としては、鎖式炭化水素テトラカルボン酸、脂環式炭化水素テトラカルボン酸、芳香族炭化水素テトラカルボン酸、またはそれらの酸二無水物等を用いることができる。
【0040】
鎖式炭化水素テトラカルボン酸の例には、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸、および脂環式炭化水素基、不飽和炭化水素基等の置換基が導入された鎖式炭化水素テトラカルボン酸等が含まれる。また、上記脂環式テトラカルボン酸の例には、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸、および鎖式炭化水素基、不飽和炭化水素基等の置換基が導入された脂環式テトラカルボン酸等が含まれる。また、芳香族テトラカルボン酸の例には、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸等が含まれる。
【0041】
テトラカルボン酸またはその酸二無水物の中では、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸であることが好ましく、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸であることがより好ましい。また、テトラカルボン酸またはその酸二無水物においては、その酸二無水物を用いることが好ましい。なお、上述したテトラカルボン酸またはその酸二無水物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
一般式(10)で表されるジオール(d)と酸成分(b)および(c)との反応については、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。たとえば、特開平9-325494号公報には、反応温度が90~140℃でエポキシ(メタ)アクリレートとテトラカルボン酸二無水物を反応させる方法が記載されている。
【0043】
ここで、化合物の末端がカルボキシ基となるように、一般式(10)で表されるジオール(d)、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物(b)、テトラカルボン酸二無水物(c)とのモル比が(d):(b):(c)=1:0.01~1.0:0.2~1.0となるように反応させることが好ましい。
【0044】
たとえば、(b)酸一無水物、(c)酸二無水物を用いる場合には、一般式(5)で表されるジオール(d)に対する酸成分の量〔(b)/2+(c)〕のモル比[〔(b)/2+(c)〕/(d)]が0.5~1.0となるように反応させることが好ましい。ここで、モル比が0.5を超える場合には、未反応の重合性不飽和基を含有するジオール化合物の含有量を増大させることがないので感光性樹脂組成物の経時安定性を高めることができる。一方、モル比が1.0以下である場合には、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂の末端が酸無水物とならないので、未反応酸二無水物の含有量が増大することを抑制できることから、感光性樹脂組成物の経時安定性を高めることができる。なお、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂の酸価、分子量を調整する目的で、(d)、(b)および(c)の各成分のモル比は、上述の範囲で任意に変更することができる。
【0045】
また、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂の酸価の好ましい範囲は20~180mgKOH/gであり、80mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が20mgKOH/g以上である場合には、アルカリ現像時に残渣が残りにくくなり、180mgKOH/g以下である場合には、アルカリ現像液の浸透が早くなり過ぎないので、剥離現像を抑制することができる。なお、酸価は、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めることができる。
【0046】
一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定(HLC-8220GPC、東ソー株式会社製)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常1000~100000であり、2000~20000であることが好ましく、2000~6000であることがより好ましい。重量平均分子量が1000以上の場合には、アルカリ現像時のパターンの密着性の低下を抑制することができる。また、重量平均分子量が100000以下である場合には、塗布に好適な感光性樹脂組成物の溶液粘度に調整しやすく、アルカリ現像に時間を要しすぎることがない。
【0047】
一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂は、(A)成分において単独で使用されてもよく、また、その代わりに後述する(メタ)アクリレート樹脂を用いてもよく、さらには、これらを併用してもよい。使用するアルカリ可溶性樹脂の種類については所望の用途や特性等に応じて適宜選択することができるが、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂の含有量が多い場合はとくに耐熱性に優れ、高精細なパターンを形成できることなどから、これらの特性付与の観点からすれば、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂の含有量が多いことが好ましく、(A)成分の合計(例えば、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂と、後述の(メタ)アクリレート樹脂との合計)の質量に対して、50~100質量%であることが好ましく、75~100質量%であることがさらに好ましく、85~100質量%であることが特に好ましい。
【0048】
〔(メタ)アクリレート樹脂〕
次に、(A)成分の他の例として、(メタ)アクリレート樹脂について説明する。
【0049】
一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂に代えて、或いは、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂と共に、(メタ)アクリレート樹脂を含有することにより、芳香環を少なくして光に対する劣化を比較的抑えることができることから、耐光性を向上させることができる。また、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂と比較して屈折率が低いことから、低反射率化に有利である。これらの樹脂を併用する場合、耐熱性及び高精細なパターン形成をある程度具備したまま、耐光性の向上や低反射率化をすることも可能である。
【0050】
このような(メタ)アクリレート樹脂は、下記の一般式(2)で表されるユニットと一般式(3)で表されるユニットとを含む重合体であって、側鎖にカルボキシ基および重合性不飽和基を有する。すなわち、(メタ)アクリレート樹脂は、一般式(2)で表されるユニットと一般式(3)で表されるユニットとの各ユニットがそれぞれr個、s個連結したようなランダム共重合体である(ここで、r、sは任意の整数である)。なお、これら以外の第三成分のユニットを含むことも可能であり、例えば、後述の一般式(8)で表される不飽和基含有カルボン酸類、フェニル基に置換基を有してもよいスチレン類またはモノマレイミドなどに由来するユニットを共重合成分してさらに含むことができる。スチレン類のフェニル基に有し得る置換基としては、炭素数1~10のアルキル基などが挙げられる。モノマレイミドとしては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。これらの第三成分のユニットのうち、スチレン及びN-フェニルマレイミドを用いることが好ましい。
一般式(2)で表されるユニットと一般式(3)で表されるユニットとの比率は、一般式(2)で表されるユニットと一般式(3)で表されるユニットと、前記第三成分のユニットとからなる重合体全体の合計を100モル%としたときに、一般式(2)で表されるユニットが好ましくは5~90モル%、より好ましくは20~70モル%となる量とすればよい。また、一般式(3)で表されるユニットが好ましくは10~95モル%、より好ましくは30~80モル%となる量とすればよい。これら以外の第三成分のユニットの比率は、重合体全体を100モル%としたときに、0~50モル%とすることができる。
【0051】
【0052】
ここで、式(2)及び(3)において、Rc、Rf及びRhは独立に水素原子又はメチル基を表す。Rdは炭素数1~20の1価の炭化水素基を示し、当該炭化水素基は内部にエーテル結合、エステル結合又はウレタン結合を含んでいてもよい。また、Rdは一般式(2)で表される全てのユニット中の40モル%以上がジシクロペンタニル基又はジシクロペンテニル基である。Reは炭素数2~10の2価の炭化水素基を示す。pは0または1の数を表す。Xは水素原子又は-OC-L-(COOH)k基(但し、Lは2価又は3価のカルボン酸残基、kは1~2)を表す。また、Xは重合体1分子中に2種以上含まれてもよい。すなわちOX基としては、後述する第三ステップにおいてジカルボン酸又はトリカルボン酸の無水物と反応して形成される-OC-L-(COOH)k基と、未反応の場合のOH基とが含まれてよい。
【0053】
このような(メタ)アクリレート樹脂の製造方法について説明する。
制限されるものではないが、例えば、第一ステップとして、例えば、一般式(2)で表されるユニットを形成するための下記式(6)の化合物と、グリシジル(メタ)アクリレートを溶剤中で共重合させて得た共重合体を得る。この時の式(6)の化合物の配合割合は、式(6)の化合物とグリシジル(メタ)アクリレートとそれ以外の第三成分との合計100モル%に対して、5~90モル%であることが好ましい。より好ましくは、式(6)の化合物が20~70モル%である。すなわち、下記一般式(2)で表されるユニットは、一般式(3)で表されるユニットとそれ以外の第三成分のユニットとの合計100モル%において5~90モル%であることが好ましく、より好ましくは20~70モル%である。
なお、当該共重合体には、前記したスチレン類などの成分を含めて共重合させてもよい。
【化10】
【0054】
前記式(2)及び(6)におけるR
dの炭素数1~20の1価の炭化水素基の例としては、限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等の飽和の直鎖状炭化水素基、ビニル基、アリル基、エチニル基等の不飽和の直鎖状炭化水素基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシルメチル基、下記一般式(7)で表される置換基(*は一般式(2)のエステル部位との結合部分を示す。)等の環状脂肪族炭化水素基、フェニル基、トリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、2-フェニルビニル基、デカヒドロナフチル基等の芳香環を有する炭化水素基、メトキシエチル基、2-(メトキシエトキシ)エチル基、イソアミル基等の脂肪族エーテル類、2-(エトキシカルボニルアミノ)エチル基等の脂肪族ウレタン類等が挙げられる。一般式(2)で表されるユニットは、R
dが異なる複数のユニットを含んでもよい。
【化11】
このうちR
dは、一般式(2)として形成される全てのユニット中の40モル%以上がジシクロペンタニル基又はジシクロペンテニル基であることが、耐熱性及び耐光性を付与する観点から好ましい。
【0055】
次に第二ステップとして、前記得られた共重合体中のエポキシ基に対して(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有カルボン酸類を反応させて、エポキシ基を開環させる。この際、反応させる不飽和基含有カルボン酸類は、エポキシ基に対して80モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。不飽和基含有カルボン酸類のエポキシ基に対する反応量を多くすることで、得られる(メタ)アクリレート樹脂中に、不飽和基と、次に示すXに相当する基との導入を多くすることができるため好ましい。
【0056】
不飽和基含有カルボン酸類としては、下記式(8)で表されるものを用いることができる。R
e、R
f及びpは前記と同様である。
【化12】
【0057】
Reである炭素数2~10の2価の炭化水素基としては、炭素数2~10の2価のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であることが好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。Reで表される炭化水素基は、好ましくはエチレン基、1,2-プロピレン基、又は1,4-ブチレン基である。一般式(3)で表されるユニットは、Reが異なる複数のユニットを含んでもよい。好ましい不飽和基含有カルボン酸類としては、p=0である(メタ)アクリル酸である。
【0058】
そして、第三ステップとして、前記第二ステップで開環させて形成されるOH基に対してジカルボン酸又はトリカルボン酸の無水物を反応させて、一般式(3)で表されるユニットを形成する。(メタ)アクリレート樹脂はこれにより得られる重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂である。
反応させるジカルボン酸又はトリカルボン酸の無水物は、制限されないが、前記の一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂の形成に用いられる、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸一無水物であることが好ましい。これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この中でも、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、クロレンド酸、フタル酸、トリメリット酸が好ましく、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸の酸一無水物であることがより好ましく、さらに好ましくは、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、トリメリット酸の酸一無水物である。
【0059】
第三ステップにおいては、当該ジカルボン酸又はトリカルボン酸の無水物の使用量を、前記第二ステップの開環により形成されるOH基に対して適宜調整することで、後述するような酸価の範囲に調整することができる。
なお、このような(メタ)アクリレート樹脂の合成方法はこれに限定されない。たとえば、前記の(メタ)アクリル酸エステル類と(メタ)アクリル酸とを溶剤中でラジカル共重合させ、次に共重合体中のカルボキシル基にグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を反応させ、次に生成したヒドロキシル基に上述のジカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物またはそれらの酸一無水物を反応させてもよい。
【0060】
これにより得られる(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は3000以上50000以下であることが好ましく、4000以上20000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が3000以上の場合には、アルカリ現像時のパターンの密着性の低下を抑制することができる。また、重量平均分子量が以下50000以下である場合には、塗布に好適な感光性樹脂組成物の溶液粘度に調整しやすく、アルカリ現像に時間を要しすぎることがない。
【0061】
また、(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、30mgKOH/g以上200mgKOH/gであることが好ましく、40mgKOH/g以上140mgKOH/g以下であることがより好ましく、50~150mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が30mgKOH/g以上であると、アルカリ現像時に残渣が残りにくくなる。また、200mgKOH/g以下であると、アルカリ現像液の浸透が早くなり過ぎないので、剥離現像を抑制することができる。酸価は、一般式(3)で表されるユニットにおいてX中に存在するカルボキシル基の量によって調整可能である。
【0062】
(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)および酸価は、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂で用いた測定方法と同様の方法で測定することができる。
【0063】
(メタ)アクリレート樹脂は、(A)成分において単独で使用されてもよく、また、前述のとおり、所望の用途や特性等に応じて、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂と併用してもよく、適宜選択することができる。(A)成分の合計(例えば、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂と、(メタ)アクリレート樹脂との合計)の質量に対して、通常10~100質量%で用いることができる。(メタ)アクリレート樹脂が多い場合はとくに耐光性や低反射率化に優れることから、これらの特性付与の観点からすれば、(A)成分の合計(例えば、一般式(4)で表されるアルカリ可溶性樹脂と、(メタ)アクリレート樹脂との合計)の質量に対して、50~100質量%であることが好ましく、75~100質量%であることがさらに好ましく、90~100質量%であることが特に好ましい。
【0064】
本発明の感光性樹脂組成物における(A)成分の含有量は、着色材や遮光材を含まない場合は固形分の全質量に対して30~80質量%であることが好ましく、着色材や遮光材を含む場合は2質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
【0065】
<(B)少なくとも2個以上のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー>
当該(B)成分は、前記(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂の分子どうしを架橋する役割を果たすことができるものである。(B)成分としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクロイル基を有する樹枝状ポリマー等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。(メタ)アクロイル基を有する樹枝状ポリマーとしては、例えば、多官能(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクロイル基の中の炭素-炭素二重結合の一部に多価メルカプト化合物中のチオール基を付加して得られる公知の樹枝状ポリマーを例示することができる。
【0066】
当該(B)成分は前記のとおりの役割を果たすものであることから、その機能を発揮させるためにはエチレン性不飽和結合を2個以上有するものを用いることがより好ましい。また、モノマーの分子量を1分子中の(メタ)アクロイル基の数で除したアクリル当量が50~300であればよい。
【0067】
(B)成分の配合量については、前記(A)成分との配合割合として、質量割合(A)/(B)で30/70~90/10であることが好ましく、より好ましくは35/65~60/40である。(A)成分の配合割合が30/70より少ないと、光硬化後の硬化物が脆くなり、また、未露光部において塗膜の酸価が低いためにアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターンエッジがぎざつきシャープにならないおそれがある。また、(A)成分の配合割合が90/10よりも多いと、樹脂に占める光反応性官能基の割合が少なく架橋構造の形成が十分でなく、更に、樹脂成分における酸価度が高過ぎて、露光部におけるアルカリ現像液に対する溶解性が高くなるおそれがあることから、形成されたパターンが目標とする線幅より細ったり、パターンの欠落が生じ易くなったりするといった問題が生じるおそれがある。
【0068】
<(C)分子内にエポキシ基を2個以上有する環状シロキサン化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)分子内にエポキシ基を2個以上有する環状シロキサン化合物を含む。より好ましくは、分子内にエポキシ基を3個以上有する環状シロキサン化合物である。このような(C)成分は、環状シロキサン構造を持つことから、剛直な環状構造が鎖状構造と比べて現像液への耐性が高いと推測され、ガラス基板との密着性に優れ、細線密着性を向上させることができると考えられる。また、分子内にエポキシ基を2個以上有することから硬化時に架橋密度が向上し、硬化性に優れる。(C)成分は、その1種類の化合物のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(C)成分は、次の一般式(1)で表される。
【0069】
【0070】
一般式(1)中のRa及びRbは、エポキシ基を含有する1価の基又は炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。n個のRa及びRbのうち、少なくとも2個はエポキシ基を含有する1価の基である。複数のRaおよびRbは同一であってもよいし、異なっていてもよい。nは3以上10以下の整数を示す。好ましいnは4以上6以下である。
【0071】
ここで、エポキシ基を含有する1価の基としては、制限されないが、-Rg-Epで表される基であることが好ましい。ここで、Rgは、エーテル結合、エステル結合、アミノ基などと連結されてもよいアルキレン基を示し、Epはエポキシ基を含有する基を示す。
【0072】
Rg(前記アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等の炭素原子数が1~18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基等を挙げることができる。
【0073】
他方、Ep(エポキシ基を含有する基)は、グリシジル基、3,4-エポキシシクロヘキシル基などを挙げることができる。エポキシ基を含有する基については、カチオンに対する反応性が高いことから、3,4-エポキシシクロヘキシル基であることがより好ましい。カチオンに対する反応性が高い3,4-エポキシシクロヘキシル基を分子内に有することにより、現像速度が適正な範囲となる添加量で硬化膜(塗膜)の耐溶剤性を向上させることができる。
【0074】
また、前記炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
【0075】
炭素数1~20の炭化水素基がアルキル基の場合、炭素数が好ましくは1~16、より好ましくは1~12である。アルキル基の炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない他の基で置換されていてもよい。なお、アルキル基は、直鎖状、分岐状および環状の何れであってもよい。反応に関与しない基の具体例としては、炭素数が1~6のアルコキシ基、炭素数が1~6のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。反応に関与しない基で置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、2-メトキシエチル基、3-エトキシプロピル基、2-メトキシカルボニルエチル基、トリフルオロメチル基、3-クロロプロピル基等が挙げられる。
【0076】
また、炭素数1~20の炭化水素基がアリール基の場合、炭化水素環系または複素環系の1価の芳香族有機基を使用できる。アリール基が炭化水素環系の場合、炭素数が好ましくは6~18、より好ましくは6~14である。それらアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等が挙げられる。また、アリール基が複素環系の場合、複素環中のヘテロ原子は硫黄、酸素原子等であり、炭素数が好ましくは4~12、より好ましくは4~8であり、それらアリール基の具体例としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基等が挙げられる。アリール基の水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、前記のアルキル基の場合に示したもの等を挙げることができる。また、その他の反応に関与しない基として、環上の2つの炭素原子を結合させる2価の基であるオキシエチレン基、オキシエチレンオキシ基等が挙げられる。反応に関与しない基で置換されていてもよいアリール基の具体例としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、オクトキシフェニル基、メチル(メトキシ)フェニル基、フルオロ(メチル)フェニル基、クロロ(メトキシ)フェニル基、ブロモ(メトキシ)フェニル基、2,3-ジヒドロベンゾフラニル基、1,4-ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。
【0077】
また、炭素数1~20の炭化水素基がアラルキル基の場合には、炭素数が好ましくは7~19、より好ましくは7~15である。アラルキル基の炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、上記のアルキル基の場合について示したもの等を挙げることができる。反応に関与しない基で置換されていてもよいアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、2-ナフチルメチル基、9-アントリルメチル基、(4-クロロフェニル)メチル基、1-(4-メトキシフェニル)エチル基等が挙げられる。
【0078】
さらに、炭素数1~20の炭化水素基がアルケニル基の場合には、炭素数が好ましくは2~18、より好ましくは2~14である。アルケニル基の炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、前記のアルキル基の場合について示したもの等の他、前記に示したアリール基等を挙げることができる。反応に関与しない基で置換されていてもよいアルケニル基の具体例としては、ビニル基、2-プロペニル基、3-ブテニル基、5-ヘキセニル基、9-デセニル基、2-フェニルエテニル基、2-(メトキシフェニル)エテニル基、2-ナフチルエテニル基、2-アントリルエテニル基等が挙げられる。
【0079】
上記を満たす(C)成分の具体例としては制限されないものの、例えば、分子内に2以上のエポキシ基を有するシルセスキオキサン等が挙げられる。より具体的には、例えば、2,4-ジ[2-(3-{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]-2,4,6,6,8,8-ヘキサメチル-シクロテトラシロキサン、4,8-ジ[2-(3-{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]-2,2,4,6,6,8-ヘキサメチル-シクロテトラシロキサン、2,4-ジ[2-(3-{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]-6,8-ジプロピル-2,4,6,8-テトラメチル-シクロテトラシロキサン、4,8-ジ[2-(3-{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]-2,6-ジプロピル-2,4,6,8-テトラメチル-シクロテトラシロキサン、2,4,8-トリ[2-(3-{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]-2,4,6,6,8-ペンタメチル-シクロテトラシロキサン、2,4,8-トリ[2-(3-{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]-6-プロピル-2,4,6,8-テトラメチル-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8-テトラ[2-(3-{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]-2,4,6,8-テトラメチル-シクロテトラシロキサンである。
例えば、商品名X-40-2678、KR-470(以上、信越化学工業社)等の市販品を入手して使用することができる。
その中でも、エポキシ基を含有する1価の基が3以上であることが、機能発現のために好適である。エポキシ基を含有する1価の基の数の上限は制限されない。
【0080】
(C)成分の含有量は、質量比で(A)成分を1とした時、0.1~1.5であることが好ましく、0.28~1.0がより好ましく、さらに好ましくは0.62~0.8である。
【0081】
また、(C)成分の数平均分子量(Mn)は100~5000であることが好ましい。前記エポキシ基当量が50~300g/eqであることが好ましい。数平均分子量(Mn)が100~5000であると、現像時の現像密着性を確保した上で、耐溶剤性のよい硬化膜とすることができる。また、エポキシ当量が50~300g/eqであると、現像速度が適正な範囲となる感光性樹脂組成物の設計が可能であり、硬化膜の耐溶剤性も確保できる。
【0082】
<(D)光重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物における(D)成分としては、例えば、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p'-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリアリールビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物類;2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルジアゾール化合物類;2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル-s-トリアジン系化合物類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-ビシクロヘプチル-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ビシクロヘプタンカルボキシレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-トリシクロデカンカルボキシレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-アダマンタンカルボキシレート、1-[4-(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン-1,2-ジオン=2-O-ベンゾイルオキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エタノン-O-アセチルオキシム、(2-メチルフェニル)(7-ニトロ-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-アセチルオキシム、エタノン,1-[7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン,1-(-9,9-ジブチル-7-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)-1-O-アセチルオキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のO-アシルオキシム系化合物類;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等のイオウ化合物;2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物;2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、β-メルカプトプロピオン酸、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、3,3’-チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、ラウリルチオプロピオン酸等のチオール化合物などが挙げられる。この中でも、高感度を得られやすい観点から、O-アシルオキシム系化合物類を用いることが好ましい。また、これら光重合開始剤を2種類以上使用することもできる。なお、本発明でいう光重合開始剤とは、増感剤を含む意味で使用される。
【0083】
また、それ自体では光重合開始剤や増感剤として作用しないが、上述の化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤や増感剤の能力を増大させ得るような化合物を添加してもよい。そのような化合物の例には、ベンゾフェノンと組みわせて使用すると効果のあるアミン系化合物が含まれる。上記アミン系化合物の例には、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0084】
(D)成分の配合量については、前記(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して2~30質量部がより好ましく、さらに好ましくは3~20質量部である。また、感光性樹脂組成物中に0.1~1質量%であることが好ましい。
【0085】
<(G)無機微粒子>
本発明の感光性樹脂組成物は、(G)無機微粒子を含むことができる。屈折率が1.20~1.50の無機微粒子であることが好ましく、そのような無機微粒子としては、酸化ケイ素等が挙げられる。(G)成分である無機微粒子は、好ましくは前記屈折率範囲を満たす公知のものを制限なく使用することができ、気相反応または液相反応といった製造方法や、形状(球状、非球状)は特に制限されない。また、シランカップリング剤処理等で表面処理を行った無機微粒子も特に制限なく使用することができる。
【0086】
また、上記無機微粒子の屈折率は、1.33~1.48であることがより好ましい。上記屈折率の無機微粒子を使用することで、硬化膜(塗膜)表面を低屈折率化させることができ、反射防止膜等を別途設けなくても反射を抑制することができる。
【0087】
また、無機微粒子の屈折率は、上記無機微粒子を粉末状に処理したものと、屈折率が既知の標準屈折液を混合することにより得られた透明の混合液から求めることができる。この場合、上記混合液の標準屈折液の屈折率を無機微粒子の屈折率とする。なお、上記無機微粒子の屈折率は、アッベ屈折率計を用いて測定することができる。
【0088】
上記無機微粒子を使用することにより、当該無機微粒子を含む遮光膜の反射率を低くすることができる。本発明においては、このような(G)成分を含有させた際には、高遮光であっても比較的反射率が低い遮光膜を得ることができるため好ましい。好適な例としては、後述の(F)成分としての遮光材を用い、当該(F)成分を用いた感光性樹脂組成物の硬化膜(あるいは、遮光膜)において、ODが1/μm以上のときに反射率が10%未満となることが好ましく、より好ましくは反射率が5%未満、さらに好ましくは反射率が4%未満である。
【0089】
上記無機微粒子の平均粒子径は、1~150nmであることが好ましく、1~100nmであることがより好ましく、さらに好ましくは1~50nmであり、特に好ましくは1~30nmであり、最も好ましくは1~10nmである。平均粒子径がこの範囲の無機微粒子を用いることで、膜面に無機微粒子を効果的に存在させることができることから、低反射率化に有利である。また、細線パターン側面のがたつきを抑制することができる。また、硬化膜(塗膜)表面の凹凸を低減する効果があり、硬化膜(塗膜)面内の反射率のばらつきを抑制することができる。
【0090】
また、上記無機微粒子の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.1~5質量部であることが好ましく、0.1~2質量部であることがより好ましい。また、感光性樹脂組成物中の全固形分に対して、1~20質量%であることが好ましい。無機微粒子の含有量が上記範囲内にあると、低反射率化を達成しつつ、良好なパターニング性を担保することができる。
【0091】
無機微粒子の平均粒子径は、例えば、後述の実施例に記載の方法のように、電子顕微鏡により測定することができるが、制限されない。
【0092】
無機微粒子は溶剤に分散させた無機微粒子分散体として他の配合成分と混合することができる。分散剤は、顔料分散に用いられている公知の化合物(分散剤、分散湿潤剤、分散促進剤等の名称で市販されている化合物等)等を特に制限なく使用することができる。
<(H)溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物における(H)溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-ヒドロキシ-2-ブタノン、ジアセトンアルコール等のアルコール類;α-もしくはβ-テルピネオール等のテルペン類等;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-ブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類等が挙げられ、これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。
【0093】
<(E)硬化剤および/または硬化促進剤>
本発明の感光性樹脂組成物においては、他の成分に加えて、前記(C)成分に対する(E)硬化剤および/または硬化促進剤と併せて使用してもよい。(E)成分の硬化剤の例には、アミン系化合物、多価カルボン酸化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物等が含まれる。本発明においては多価カルボン酸化合物を好ましく用いることができる。
【0094】
多価カルボン酸化合物の例には、多価カルボン酸、多価カルボン酸の無水物、および多価カルボン酸の熱分解性エステルが含まれる。多価カルボン酸とは1分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する化合物をいい、例えば、コハク酸、マレイン酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、シクロヘキセン-4,5-ジカルボン酸、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、フタル酸、3,6-ジヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸等が含まれる。多価カルボン酸の無水物の例には、上記化合物の酸無水物が含まれる。これは分子間酸無水物でもよいが、一般には分子内で閉環した酸無水物が用いられる。多価カルボン酸の熱分解性エステルの例には、上記化合物のt-ブチルエステル、1-(アルキルオキシ)エチルエステル、1-(アルキルスルファニル)エチルエステル(ただし、アルキルは炭素数1~20の飽和または不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基は分岐構造や環構造を有していてもよく、任意の置換基で置換されていてもよい)等が含まれる。また、多価カルボン酸化合物としては2つ以上のカルボキシ基を有する重合体または共重合体も用いることができ、そのカルボキシ基は無水物または熱分解性エステルであってもよい。なお、前述した、アルカリ可溶性樹脂を合成するために使用される酸成分を使用することもできる。
【0095】
硬化促進剤としては、エポキシ化合物の硬化促進剤、硬化触媒、潜在性硬化剤等として知られる公知の化合物を利用することができる。エポキシ化合物の硬化促進剤の例には、三級アミン、四級アンモニウム塩、三級ホスフィン、四級ホスホニウム塩、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、イミダゾール類等が含まれる。上記硬化促進剤の中では、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンもしくは1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンまたはそれらの塩であることが好ましい。
【0096】
(C)成分と(E)成分の質量比は、(C)成分:(E)成分=90:10~40:60であることが好ましい。前記を満たす(C)成分および(E)成分を含むことにより、形成される硬化膜の耐溶剤性を十分に高めることができる。
【0097】
また(C)成分のエポキシ基の合計モル数Eaと、(E)成分の硬化剤における、エポキシ基と反応する反応性官能基のモル数Ebとの比率(Eb/Ea)は、Eb/Ea=0.5~1.0であることが好ましい。Eb/Eaが0.5以上であるとエポキシ化合物を十分に硬化させることができるので、未反応のエポキシ化合物が感光性樹脂組成物中に残るのを抑制できる。また、Eb/Eaが1.0以下であると、硬化膜の密着性および直線再現性を十分に高めることができる。
【0098】
<(F)遮光材>
本発明の感光性樹脂組成物においては、他の成分に加えて、(F)成分である遮光材を用いることができる。遮光材としては、黒色有機顔料、混色有機顔料及び黒色無機顔料からなる群から選択される1種以上の遮光材であることがより好ましい。ここで、黒色有機顔料としては、例えばペリレンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、ラクタムブラック等が挙げられる。混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、シアニン、マゼンタ等から選ばれる2種以上の顔料を混合して擬似黒色化されたものが挙げられる。黒色無機顔料としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック等を挙げることができる。これらの着色成分は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の感光性樹脂組成物の目的に応じて適宜選択して用いることができる。
【0099】
これらの遮光材の中でも、遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との親和性の観点からすればカーボンブラックであることがより好ましい。また、塗膜の低誘電率特性が求められる場合は、遮光材が黒色有機顔料及び/又は混色有機顔料であることがよい。他方、可視光の遮光性と赤外線透過性の両立が重視される用途などでは、例えばカーボンブラックとラクタムブラックとの併用などのように、カーボンブラック及び黒色有機顔料の併用が好適に用いられる。
【0100】
カーボンブラックとしては、未処理又は酸化処理されたカーボンブラックであることが好ましい。ここで、未処理とは、酸化処理や樹脂被覆処理といった特別な表面処理を施さないことであり、酸化処理とは、分散工程前にカーボンブラックの表面を何らかの酸化剤で処理することである。このような未処理又は酸化処理されたカーボンブラックは、表面に酸性官能基を多く有していることから、それを活用するような場合には未処理又は酸化処理されたカーボンブラックを用いることが好ましい。さらに、カーボンブラックを用いて硬化膜の抵抗値をより高めたい場合には、カーボンブラック表面を染料、顔料、樹脂等で被覆した表面被覆カーボンブラックを用いるようにしてもよい。
【0101】
このような(F)成分を使用する場合については、本発明の目的や用途に応じて適宜設定可能であり、例えば所望の遮光度となるように任意に決めることができるが、感光性樹脂組成物中の固形分に対して20~80質量%であることが好ましい。
【0102】
(F)成分は溶剤に分散させた分散体として他の配合成分と混合するのが通常であり、その際には分散剤を添加することができる。分散剤は、遮光材の分散に用いられている公知の化合物(分散剤、分散湿潤剤、分散促進剤等の名称で市販されている化合物等)等を特に制限なく使用することができる。
【0103】
分散剤の例には、カチオン性高分子系分散剤、アニオン性高分子系分散剤、ノニオン性高分子系分散剤、顔料誘導体型分散剤(分散助剤)が含まれる。特に、分散剤は、着色剤への吸着点としてイミダゾリル基、ピロリル基、ピリジル基、一級、二級または三級のアミノ基等のカチオン性の官能基を有し、アミン価が1~100mgKOH/g、数平均分子量(Mn)が1000~100000の範囲にあるカチオン性高分子系分散剤であることが好ましい。この分散剤の配合量は、遮光材成分100質量部に対して1~35質量部であることが好ましく、2~25質量部であることがより好ましい。なお、樹脂類のような高粘度物質は、一般に分散を安定させる作用を有するが、分散促進能を有しないものは分散剤として扱わない。しかし、分散を安定させる目的で使用することを制限するものではない。
【0104】
<(E)~(F)成分以外のその他の成分>
また、本発明の感光性樹脂組成物には、前記(E)~(F)成分以外でも、必要に応じて、前記(C)成分以外のその他のエポキシ樹脂、前記(F)成分以外のその他の着色材、熱重合禁止剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、カップリング剤、粘度調整剤等の添加剤を配合することができる。前記(C)成分以外のエポキシ樹脂としては公知のエポキシ樹脂を制限なく使用することができる。また、前記(F)成分以外の着色材については、公知の有機顔料や無機顔料や染料などを制限なく用いることができる。熱重合禁止剤および酸化防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系化合物等を挙げることができ、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等を挙げることがでる。また、消泡剤やレベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系、アクリル系の化合物を挙げることができる。界面活性剤の例には、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが含まれる。カップリング剤としては3-(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤を挙げることができる。
【0105】
<固形分>
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)~(D)及び(G)成分を主成分として含有する。溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)中に(F)成分の遮光材や(E)成分の硬化剤および/または硬化促進剤を含まない場合は、(A)~(D)及び(G)成分が合計で70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含むことがよい。(F)成分の遮光材や(E)成分の硬化剤および/または硬化促進剤を含む場合には、(A)~(D)及び(G)成分に加えて(F)成分と(E)成分とを含めた成分が合計で70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含むことがよい。(H)成分である溶剤の量は、目標とする粘度によって変化するが、本発明の感光性樹脂組成物中に60~90質量%の範囲で含まれるようにするのがよい。
【0106】
<硬化物(硬化膜、マトリクスパターン)の形成方法>
本発明における感光性樹脂組成物は、例えばカラーフィルター硬化膜(保護膜、遮光膜)形成用の組成物として優れるものであり、硬化膜の形成方法としては、以下のようなフォトリソグラフィー法がある。先ず、感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布し、次いで溶媒を乾燥させた(プリベーク)後、このようにして得られた被膜の上にフォトマスクをあて、紫外線を照射して露光部を硬化させ、更にアルカリ水溶液を用いて未露光部を溶出させる現像を行ってパターンを形成し、更に後乾燥としてポストベーク(熱焼成)を行う方法が挙げられる。
【0107】
組成物を塗布する透明基板としては、ガラス基板のほか、透明フィルム(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン等)上にITOや金などの透明電極が蒸着あるいはパターニングされたものなどが例示できる。また、本発明の硬化膜の製造方法に用いる他の基板の例には、ガラス基板、シリコンウェハおよびポリイミドフィルム等のように基板自体の耐熱性は高いが基板上に耐熱性の低い薄膜等を形成したものが含まれる。具体例としては、OLED又は有機薄膜トランジスタ(TFT)を形成した有機デバイス付基板等も含まれ、有機デバイス形成後に保護膜、保護フィルム等を形成したものも含む。このような耐熱性の低い基板の耐熱温度は、樹脂の種類やデバイスによっても異なるが、100℃以下であることが好ましく、80~100℃であることがより好ましい。なお、有機デバイス付基板については、有機デバイス形成後に保護膜、保護フィルム等を形成したものも含む。これらの保護膜、保護フィルム自体の耐熱性が100℃以上であっても、有機デバイスの機能を担保するためには実質的に100℃以下の耐熱性しかない場合には、有機デバイス付基板に該当するためである。本発明は、耐熱性の低い基板の場合にも有効な技術であるが、従来200℃以上の温度でポストベークしていたプロセスに対しても、低温でもポストベークでき、プロセスコストも下げることができるので、こうした目的に対しても有効な技術である。
【0108】
透明基板上に組成物の溶液を塗布する方法としては、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機、スリットコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法をも採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、溶剤を除去する(プリベーク)ことにより、被膜が形成される。プリベークはオーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。プリベークにおける加熱温度及び加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば60~100℃の温度で1~3分間行われる。
【0109】
プリベーク後に行われる露光は、紫外線露光装置によって行なわれ、フォトマスクを介して露光することによりパターンに対応した部分のレジストのみを感光させる。露光装置及びその露光照射条件は適宜選択され、超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等の光源を用いて露光を行い、塗膜中の組成物を光硬化させる。
【0110】
露光後のアルカリ現像は、露光されない部分のレジストを除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適した現像液としては、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができるが、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05~3質量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて23~28℃の温度で現像するのがよく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。
【0111】
現像後、耐熱性が高い基板においては、通常120~250℃程度でポストベークすることが好ましく、より好ましくは140℃~240℃、さらに好ましくは150~230℃で加熱されればよい。加熱時間も制限されないが、通常、膜厚が1μmあたり20~60分の条件で行うことができる。
他方、耐熱性が低い基板の場合には、好ましくは100℃以下、より好ましくは80~100℃の温度及び20~60分の条件でポストベークが行われる。これのポストベークは、パターニングされた硬化膜と基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。本発明のパターニングされた硬化膜は、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。そして、得られた硬化膜を用いて所望のマトリクスパターンを得ることができる。
【0112】
本発明のレジスト組成物は、前記のように、露光、アルカリ現像等の操作によって微細なパターンを形成するのに適している。また、本発明の硬化膜(遮光膜)は、カラーフィルターやタッチパネルに用いるブラックマトリクス、あるいは、有機EL素子に代表される電界発光装置、カラー液晶表示装置やイメージセンサー等の各種の多色表示体における各色分画用または遮光用の隔壁材や画素定義層、さらにはディスプレイの表示部分を囲むベゼル等のディスプレイ構成要素に使用することが可能である。
【実施例0113】
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0114】
まず、(A)成分である重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂の合成例から説明するが、これらの合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下のとおりに行った。
【0115】
[固形分濃度]
合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W0(g)〕に含浸させて秤量した重量〔W1(g)〕と、160℃にて2時間加熱した後の重量〔W2(g)〕とから次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W2-W0)/(W1-W0)
【0116】
[酸価]
樹脂溶液をテトラヒドロフランに溶解させ、電位差滴定装置「COM-A19」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定してサンプル(合成樹脂溶液)1g当たりの酸価を求めた。
【0117】
[分子量]
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8320GPC」(東ソー株式会社製、展開溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:PL1110-6540(1本)+PL1110-6530(1本)+PL1110-6525(1本)+PL1110-6520(1本)、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/min)にて測定し、標準ポリスチレン(株式会社 エスエイエス製、ポリスチレンキット)換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0118】
[平均一次粒子径]
無機微粒子含有溶液を粒子濃度0.1wt%程度に溶剤で希釈し、得られた分散液をカーボン支持膜付き金属性メッシュへ滴下して作成した測定用サンプルを、透過型電子顕微鏡「JEM-2100Plus」(日本電子株式会社製)により観測して、求めた。測定数は、それぞれn=3とした。
【0119】
合成例等で使用する略号は次のとおりである。
AA:アクリル酸
BPFE:9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応物。一般式(9)の化合物において、Aがフルオレン-9,9-ジイル基、R1~R4が水素原子の化合物。
BPDA:3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA:1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TPP:トリフェニルホスフィン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
TEAB:臭化テトラエチルアンモニウム
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
St:スチレン
SA:無水コハク酸
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
TDMAMP:トリスジメチルアミノメチルフェノール
TEA:トリエチルアミン
PTMA:ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトアセテート)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートとの混合物
HQ:ハイドロキノン
BzDMA:ベンジルジメチルアミン
【0120】
[合成例1]
還留冷却器付き500mlの四つ口フラスコ中にBPFE(114.4g、0.23モル)、AA(33.2g、0.46モル)、PGMEA(157g)およびTEAB(0.48g)を仕込み、100~105℃で20時間撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内にBPDA(35.3g、0.12モル)、THPA(18.3g、0.12モル)を仕込み、120~125℃で6時間撹拌し、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂溶液(A)-1を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は56.1質量%であり、酸価(固形分換算)は103mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは3600であった。
【0121】
[合成例2]
還留冷却器付き1Lの四つ口フラスコ中に、PGMEA 300.0gを入れ、フラスコ系内を窒素置換した後120℃に昇温した。このフラスコ中にモノマー混合物(DCPMA66.1g(0.3モル)、GMA85.3g(0.6モル)、St10.4g(0.10モル)にAIBN10gを溶解した混合物)を滴下ロートから2時間かけて滴下し、さらに120℃で2時間撹拌し、共重合体溶液を得た。
次いで、フラスコ系内を空気に置換した後、得られた共重合体溶液にAA 43.2g(0.6モル)、TDMAMP 0.8g及びHQ 0.15gを添加し、120℃の加熱下で6時間撹拌し、重合性不飽和基含有共重合体溶液を得た。
さらに、得られた重合性不飽和基含有共重合体溶液にTHPA59.3g(0.39モル)、TEA 0.5gを加え120℃で4時間反応させ、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性共重合体樹脂溶液(A)-2を得た。樹脂溶液の固形分濃度は48質量%であり、酸価(固形分換算)は79mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは8500であった。
【0122】
また、後述の(B)-2成分に係る合成例を示す(合成例3)。
[合成例3]
1Lの4つ口フラスコ内に、PTMA(20g、メルカプト基0.19モル)、DPHA(212g(アクリル基2.12モル))、PGMEA(58g)、HQ(0.1g)、およびBzDMA(0.01g)を加え、60℃で12時間反応させて、樹枝状ポリマー溶液(H)-3を得た。樹枝状ポリマー溶液の固形分濃度は80質量%であり、GPC分析によるMwは10000であった。なお、得られた樹枝状ポリマーについては、ヨードメトリー法にてメルカプト基の消失を確認した。
【0123】
[調製例F]
カーボンブラック(TPX-1099:cabot社製)1000gを水と混合してスラリー10Lを調製し、95℃で1時間撹拌させ放冷した後水洗した。これを再び水と混合処理してスラリー10Lを調製し、70%の硝酸42.9gを添加して40℃で4時間撹拌した。これを放冷して水洗した後再び水と混合してスラリー10Lを調製し、13%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液769.2gを添加して40℃で6時間撹拌した。これを放冷して水洗した後再び水と混合してスラリー10Lを調製し、純度38.4%の染料(Direct Deep BLACK)38.1gを添加して40℃で1時間撹拌し、その後更に硫酸アルミニウム10.1gを添加して40℃で1時間撹拌した。これを放冷した後水洗し、ろ過乾燥させて、染料被覆カーボンブラックを得た。
【0124】
上記染料被覆カーボンブラックと、高分子分散剤と、上記合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂(下記(A)-1)と、PGMEAとを混合し、ビーズミルで分散して、染料被覆カーボンブラックの濃度が25.0質量%、高分子分散剤の濃度が2.0質量%、(A)-1の樹脂濃度が8.0質量%のカーボンブラック分散液(F)を得た。
【0125】
表1、表2に記載の配合量(単位は質量部)で実施例1~24、比較例1~4の感光性樹脂組成物を調製した。表1、表2中で使用した配合成分は以下のとおりである。
【0126】
(不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂)
(A)-1:上記合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)-2:上記合成例2で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
【0127】
(光重合性化合物)
(B)-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(アロニックスM-405、東亜合成株式会社製、「アロニックス」は同社の登録商標)の50%PGMEA溶液
(B)-2:上記合成例3で得られた樹脂状ポリマー溶液
【0128】
(エポキシ基含有環状シロキサン)
(C)-1:KR-470、信越化学株式会社製
(C)-2:X-40-2678、信越化学株式会社製
【0129】
(エポキシ基含有鎖状シロキサン)
(C)-3:X-40-2669、信越化学株式会社製
【0130】
(その他のエポキシ化合物)
(C’)-4:2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(EHPE-3150、エポキシ+オキセタニル当量:180、株式会社ダイセル製)
(C’)-5:3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、エポキシ+オキセタニル当量:126、株式会社ダイセル製)
【0131】
(光重合開始剤)
(D):アデカアークルズNCI-831E、株式会社ADEKA製、「アデカアークルズ」は同社の登録商標
【0132】
(硬化剤)
(E)-1:無水トリメリット酸(TMA、三菱ガス化学株式会社製)
(硬化助剤)
(E)-2:U-CAT SA102、サンアプロ株式会社製
【0133】
(カーボンブラック分散液)
(F)-1:調製例Fで得られた染料被覆カーボンブラック濃度25.0質量%、高分子分散剤濃度2.0質量%、(A)-1の樹脂濃度が8.0質量%のPGMEA溶剤の顔料分散液(固形分35.0質量%)
(F)-2:カーボンブラック濃度20.0質量%、高分子分散剤濃度5.0質量%のPGMEA分散液(固形分25.0質量%)
【0134】
(無機微粒子分散液)
(G)-1:シリカPGMEA分散液「YA010C」(株式会社アドマテックス製、シリカ濃度20質量%、PGMEA濃度80質量%、屈折率:1.46、平均一次粒子径10nm)
(G)-2:シリカPGMEA分散液(シリカ濃度30質量%、PGMEA濃度70質量%、屈折率:1.46、平均一次粒子径70nm)
【0135】
(溶剤)
(H)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(H)-2:ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)
(H)-3:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(EDM)
【0136】
(その他成分):DOWSIL SH3775M、ダウ・ケミカル日本株式会社製、「DOWSIL」は同社の商標
【0137】
【0138】
【0139】
[評価]
実施例1~24および比較例1~4の感光性樹脂組成物を用いて、以下に記す評価を行った。これらの評価結果を表3、表4に示す。
【0140】
<パターニング性の評価>
上記で得られた各組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのガラス基板(コーニング1737)上にポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるように塗布し、85℃で1分間プリベークした。その後、乾燥塗膜の上に1~20μm開口幅のラインパターンが存在するネガ型フォトマスクを密着させ、i線照度30mW/cm2の超高圧水銀ランプで40mJ/cm2の紫外線を照射し、感光部分の光硬化反応を行った。
【0141】
次に、この露光済み塗板を23℃、0.04%水酸化カリウム水溶液中、1kgf/cm2のシャワー現像圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から、+20秒の現像後、5kgf/cm2圧のスプレー水洗を行い、塗膜の未露光部を除去してガラス基板上にラインパターンを形成し、その後、熱風乾燥機を用いて85℃、60分間熱ポストベークした後に得られたラインパターンにおいてパターン剥離が発生していない最小開口ラインを最小解像線幅とした。なお、〇以上を合格ラインとした。
(細線密着性の評価基準)
◎:3μm未満
○:3μm以上10μm未満
×:10μm以上
【0142】
また、本硬化(ポストベーク)の10μmマスクパターンを光学顕微鏡を用いて観察した。なお、〇以上を合格ラインとした。
(パターン直線性の評価基準)
◎:パターンエッジ部分のギザつきが、パターンの長さを100%とした際に、線幅10μmに対して、0.5μmの突起が1%未満しか認められない。
○:パターンエッジ部分のギザつきが、パターンの長さを100%とした際に、線幅10μmに対して、0.5μmの突起が1%以上25%未満しか認められない。
×:パターンエッジ部分のギザつきが、パターンの長さを100%とした際に、線幅10μmに対して、0.5μmの突起が25%以上の割合で認められる。
【0143】
<反射率評価>
上記で得られた各組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのガラス基板(コーニング1737)上にポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるように塗布し、85℃で1分間プリベークした。その後、i線照度30mW/cm2の超高圧水銀ランプで50mJ/cm2の紫外線を照射し、光硬化反応を行った。
【0144】
次に、この露光済み塗板を23℃、0.04%水酸化カリウム水溶液を用い1kgf/cm2のシャワー圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から、+20秒の現像後、5kgf/cm2圧のスプレー水洗を行い、その後、熱風乾燥機を用いて85℃、60分間熱ポストベークした。この塗板に対して、紫外可視近赤外分光光度「UH4150」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて入射角2°で膜面側の反射率を測定した。なお、△以上を合格ラインとした。
(反射率の評価基準)
◎:反射率が4%未満
〇:反射率が4%以上5%未満
△:5%以上10%未満
×:反射率が10%以上
【0145】
<耐熱性評価>
上記で得られたポストベーク後の塗板を更に230℃で3時間熱処理し、分光光度計により、b*値を測定した。なお、△以上を合格ラインとした。
(耐熱性の評価基準)
◎:Δb*が0.2未満
〇:Δb*が0.2以上0.5未満
△:Δb*が0.5以上1未満
×:Δb*が1以上
【0146】
<耐光性評価>
上記で得られたポストベーク後の塗板に、更に低圧水銀ランプを用いて波長254nmの照度130W/cm2の紫外線を2時間照射し、分光光度計により、b*値を測定した。なお、△以上を合格ラインとした。
(耐光性の評価基準)
◎:Δb*が0.5未満
〇:Δb*が0.5以上1未満
△:Δb*が1以上1.5未満
×:Δb*が1.5以上
【0147】
【0148】
【0149】
実施例1~24、並びに比較例1~4の結果から、感光性樹脂組成物中に(C)成分であるエポキシ基含有環状シロキサンと、(G)無機微粒子としてシリカ分散体を添加することにより、高精細なパターン形成と塗膜面側の反射率の低減との両立が可能であることが確認された。さらに、合成例1のアルカリ可溶性樹脂(A)-1を使用し、前記(C)成分と前記成分とを使用することで耐熱性を兼ね備えることを確認し、また、合成例2のアルカリ可溶性樹脂(A)-2を使用し、前記(C)成分と前記成分を使用することで耐光性を兼ね備えることが確認された。