(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145927
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】定電流回路
(51)【国際特許分類】
G05F 3/24 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G05F3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058535
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晴彦
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420NA27
5H420NB03
5H420NC02
5H420NC14
5H420NC27
5H420NE01
(57)【要約】
【課題】起動回路部の定常電流を低減した定電流回路を提供する。
【解決手段】起動回路部3は、定電流発生部2を起動させる。起動回路部3において、トランジスタM5は、ディプリーション型のトランジスタから構成されている。トランジスタM5は、トランジスタM1に直列接続され、トランジスタM4に並列接続されている。抵抗器R2が、トランジスタM5のゲート・ソース間に接続されると共に、トランジスタM1とトランジスタM4との間に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電流を発生する定電流発生部と、
前記定電流発生部を起動させる起動回路部とを備え、
前記定電流発生部は、
第1の電源電圧が供給される第1の電源端子にソース又はエミッタが接続された第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタにカレントミラー接続され、前記第1のトランジスタに流れる電流を折り返す第2のトランジスタと、
第2の電源電圧が供給される第2の電源端子と前記第2のトランジスタとの間に接続された第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタにカレントミラー接続され、前記第3のトランジスタに流れる電流を折り返し、前記第2の電源端子と前記第1のトランジスタとの間に接続された第4のトランジスタとを有し、
前記起動回路部は、
前記第1のトランジスタに直列接続され、前記第4のトランジスタに並列接続されたディプリーション型の第5のトランジスタと、
前記第5のトランジスタのゲート・ソース間に接続されると共に、前記第1のトランジスタと前記第4のトランジスタとの間に接続された抵抗器とを有する、
定電流回路。
【請求項2】
請求項1に記載の定電流回路において、
前記起動回路部は、前記抵抗器に並列接続された電圧クランプ素子を有する、
定電流回路。
【請求項3】
請求項1に記載の定電流回路において、
前記抵抗器は、直列接続された第1の分割抵抗器及び第2の分割抵抗器を有し、
前記第1のトランジスタのゲート又はベースが、前記第1の分割抵抗器及び前記第2の分割抵抗器の接続点に接続された、
定電流回路。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の定電流回路において、
前記トランジスタの少なくとも1つ以上が電界効果トランジスタから構成されている、
定電流回路。
【請求項5】
請求項1~3の何れか1項に記載の定電流回路において、
前記トランジスタの少なくとも1つ以上がバイポーラトランジスタから構成されている、
定電流回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流回路に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因は、CO2のような温暖効果ガスの濃度上昇により、大気の温室効果が強まったことによると考えられており、通信情報化社会の急速な進展に伴い、電子機器の低消費電力化も大きな課題になってきている。電子機器には多くの半導体集積回路が使用されており、本発明は、半導体集積回路に幅広く使われる定電流回路の消費電流を低減し、地球温暖化の抑制に貢献しようとするものである。
【0003】
従来、半導体集積回路に用いられる定電流回路として、
図4に示すような回路が知られている(例えば特許文献1、2など参照)。
図4に示されている定電流回路100は、定電流I
REFを発生する定電流発生部102と、電源投入時及び定電流発生部102の動作が停止した場合に、定電流発生部102を起動する起動回路部103とを有している。
【0004】
定電流発生部102は、カレントミラー接続されたトランジスタM1,M2と、カレントミラー接続されたトランジスタM3,M4と、抵抗器R1とを有している。
【0005】
起動回路部103は、トランジスタM6,M7,M8を有している。トランジスタM6,M7のソースが、負電源電圧VSSに接続され、トランジスタM8のソースが、正電源電圧VDD間に接続される。トランジスタM6は、トランジスタM3に直列接続され、トランジスタM2及び抵抗器R1に並列接続される。トランジスタM6のゲートが、トランジスタM7,M8のドレインに接続される。
【0006】
次に、上記構成の定電流回路100について、その動作を説明する。電源投入後、トランジスタM1のゲート電位となる接合ノードAの電位がトランジスタM7の閾値電圧より低い場合、トランジスタM7はオフ状態、トランジスタM8はオン状態となる。よって、トランジスタM6がオン状態となり、トランジスタM3から励起電流を引き抜く。トランジスタM3とトランジスタM4はカレントミラー接続されているため、トランジスタM4へ励起電流を発生させる。トランジスタM4による励起電流は、接合ノードAと負電源電圧VSSとの間の寄生容量を充電し、トランジスタM1,M2をオフ状態からオン状態に変化させる。
【0007】
ここで、接合ノードAの電位がトランジスタM7の閾値電圧を超えると、トランジスタM7がオン状態となる。トランジスタM7がオン状態となると、トランジスタM6はオフ状態となり、励起電流の引き抜きが終了する。この時点でトランジスタM3,M4とトランジスタM1,M2には十分な電流が流れており、定電流発生部102は定常状態へと移行する。
【0008】
トランジスタM8のゲート電位は、トランジスタM1のゲート・ソース電位差で駆動され、トランジスタM7がオン状態となってもトランジスタM8はオフ状態とならない。トランジスタM8は常時オン状態であり、抵抗器と同様な動作となる。したがって、定電流発生部102が定常状態に移行した後も、トランジスタM7のドレイン電流は起動回路部103の定常電流として流れ続ける。
【0009】
トランジスタM8のオン抵抗をRM8とした場合の定常電流IM7は式1で表される。なお、下記の式1において、IM8は、トランジスタM8のドレイン電流である。
【0010】
【0011】
起動回路部103の定常電流IM7は、トランジスタM6をオンするために、トランジスタM7がオフ状態のリーク電流より大きな電流値に設定する必要がある。式1より起動回路部103の定常電流IM7は、電源電圧の変動や抵抗RM8の変動に大きく依存する。抵抗RM8は、製造プロセスのバラツキや温度変動により抵抗値が変動する。このため、定常電流IM7は、電源電圧、温度、製造バラツキなどの変動量を考慮して、ある程度大きなマージンを持たせた状態で、トランジスタM7がオフ時のリーク電流より大きな電流値に設計する必要がある。
【0012】
上述した従来の定電流回路100は、定電流発生部102が定常状態に移行した後も、起動回路部103に大きな定常電流IM7が流れ続けるため、消費電流が大きくなるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2011-118532号公報
【特許文献2】特許第6329633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、起動回路部の定常電流を低減した定電流回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するために、本発明に係る定電流回路は、下記[1]~[5]を特徴としている。
[1]
定電流を発生する定電流発生部と、
前記定電流発生部を起動させる起動回路部とを備え、
前記定電流発生部は、
第1の電源電圧が供給される第1の電源端子にソース又はエミッタが接続された第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタにカレントミラー接続され、前記第1のトランジスタに流れる電流を折り返す第2のトランジスタと、
第2の電源電圧が供給される第2の電源端子と前記第2のトランジスタとの間に接続された第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタにカレントミラー接続され、前記第3のトランジスタに流れる電流を折り返し、前記第2の電源端子と前記第1のトランジスタとの間に接続された第4のトランジスタとを有し、
前記起動回路部は、
前記第1のトランジスタに直列接続され、前記第4のトランジスタに並列接続されたディプリーション型の第5のトランジスタと、
前記第5のトランジスタのゲート・ソース間に接続されると共に、前記第1のトランジスタと前記第4のトランジスタとの間に接続された抵抗器とを有する、
定電流回路であること。
[2]
[1]に記載の定電流回路において、
前記起動回路部は、前記抵抗器に並列接続された電圧クランプ素子を有する、
定電流回路であること。
[3]
[1]に記載の定電流回路において、
前記抵抗器は、直列接続された第1の分割抵抗器及び第2の分割抵抗器を有し、
前記第1のトランジスタのゲート又はベースが、前記第1の分割抵抗器及び前記第2の分割抵抗器の接続点に接続された、
定電流回路であること。
[4]
[1]~[3]の何れか1項に記載の定電流回路において、
前記トランジスタの少なくとも1つ以上が電界効果トランジスタから構成されている、
定電流回路であること。
[5]
[1]~[3]の何れか1項に記載の定電流回路において、
前記トランジスタの少なくとも1つ以上がバイポーラトランジスタから構成されている、
定電流回路であること。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、起動回路部の定常電流を低減した定電流回路を提供できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、第1実施形態における本発明の定電流回路を示す回路図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態における本発明の定電流回路を示す回路図である。
【
図3】
図3は、第3実施形態における本発明の定電流回路を示す回路図である。
【
図4】
図4は、従来の定電流回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0020】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態の定電流回路1について
図1を参照して説明する。
図1に示すように、定電流回路1は、定電流I
REFを発生する定電流発生部2と、電源投入時及び定電流発生部の動作が停止した場合に定電流発生部2を起動する起動回路部3とを備えている。
【0021】
定電流発生部2は、トランジスタM1(=第1のトランジスタ),トランジスタM2(=第2のトランジスタ),トランジスタM3(=第3のトランジスタ),トランジスタM4(=第4のトランジスタ)と、抵抗器R1とを備える。トランジスタM1,M2は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM3,M4は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。
【0022】
トランジスタM1は、ソースが負電源端子T1(=第1の電源端子)に接続される。負電源端子T1には負電源電圧VSS(=第1の電源電圧)が供給されている。トランジスタM2は、ソースが抵抗器R1を介して負電源端子T1に接続され、ゲートがトランジスタM1のゲート及びドレインに接続される。すなわち、トランジスタM1,M2は、カレントミラー接続され、トランジスタM1に流れるドレイン電流がトランジスタM2のドレイン電流にコピーされ折り返される。
【0023】
トランジスタM3は、ソースが正電源端子T2(=第2の電源端子)に接続される。正電源端子T2には、正電源電圧VDD(=第2の電源電圧)が供給されている。トランジスタM3は、ドレイン及びゲートがトランジスタM2のドレインに接続される。すなわち、トランジスタM2及びM3は、直列接続される。
【0024】
トランジスタM4は、ソースが正電源端子T2に接続され、ゲートがトランジスタM3のゲート及びドレインに接続され、ドレインが後述する抵抗器R2(=抵抗器)を介してトランジスタM1のドレイン及びゲートに接続される。すなわち、トランジスタM3,M4は、カレントミラー接続され、トランジスタM3に流れるドレイン電流がトランジスタM4のドレイン電流にコピーされ折り返される。また、トランジスタM1と抵抗器R2とトランジスタM4は、直列接続される。
【0025】
起動回路部3は、電源投入時及び定電流発生部2の動作が停止した場合に、トランジスタM1,M2の寄生容量に電流を供給して、トランジスタM1,M2をオンさせるためのトランジスタM5(=第5のトランジスタ)と、トランジスタM5のオンオフを制御する抵抗器R2とを有している。トランジスタM5は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。
【0026】
トランジスタM5は、ドレインが正電源端子T2に接続され、ゲートがトランジスタM1のドレイン及びゲートに接続され、ソースがトランジスタM4のドレインに接続される。すなわち、トランジスタM5は、トランジスタM1に直列接続され、トランジスタM4に並列接続される。また、トランジスタM5のゲート・ソース間に抵抗器R2が接続される。
【0027】
トランジスタM5は、ディプリーション型のトランジスタから構成されている。また、トランジスタM5と抵抗器R2により定電流源を構成している。
【0028】
次に、上述した構成の定電流回路1の動作について説明する。電源投入後、トランジスタM1のゲート電位となる接合ノードAの電位がトランジスタM1,M2の閾値電圧より低い場合の動作について説明する。この場合、トランジスタM1,M2はオフ状態となっている。ディプリーション型トランジスタM5のゲート・ソース間に接続された抵抗器R2には電流が流れていないので、抵抗器R2での電圧降下は小さくトランジスタM5と抵抗器R2で構成された定電流源はオンする。
【0029】
トランジスタM5と抵抗器R2で構成された定電流源がオンすると、トランジスタM1のドレインに励起電流が流れ、接合ノードAと負電源端子T1との間の寄生容量を充電する。寄生容量を充電した結果、トランジスタM1のゲート・ソース電位差が閾値電圧を超えると、トランジスタM1がオフ状態からオン状態に変化する。トランジスタM1,M2は、カレントミラー接続されているため、上記励起電流がトランジスタM2のドレイン電流にコピーされる。このトランジスタM2による励起電流は、トランジスタM3に流れる。トランジスタM3,M4は、カレントミラー接続されているため、トランジスタM3に流れる励起電流がトランジスタM4のドレイン電流にコピーされる。
【0030】
また、トランジスタM1がオン状態に変化すると、トランジスタM1のドレイン電流が大きくなり、抵抗器R2の電圧降下が大きくなる。抵抗器R2の電圧降下が大きくなると、トランジスタM5がオン状態からオフ状態に変化する。トランジスタM5がオフすると、トランジスタM1への励起電流の供給が終了する。この時点でトランジスタM1,M2とトランジスタM3,M4には十分な電流が流れており、定電流発生部2は定常状態へと移行する。
【0031】
すなわち、定電流発生部2が定常状態に移行する前では、トランジスタM5と抵抗器R2で構成された定電流源がオンし、トランジスタM1に励起電流を供給する。定電流発生部2が定常状態に移行した後では、トランジスタM5と抵抗器R2で構成された定電流源がオフし、励起電流の供給を停止する。
【0032】
なお、トランジスタM5のゲート・ソース電位差(=閾値電圧)は、負の温度係数となる。このため、抵抗器R2を正の温度係数となる構造とすることで、温度の変動によるトランジスタM5と抵抗器R2で構成された定電流源で生成される励起電流の変化量を低減させることができる。
【0033】
また、
図4に示されているような従来の定電流回路100の構成例においては、定電流発生部102が定常状態に移行した後でも、トランジスタM7のドレイン電流である定常電流I
M7が定常電流として流れ続け、その電流は式1より電源電圧や温度などの影響による変動量も大きい。しかしながら、第1実施形態においては、定電流発生部2が定常状態に移行した後は、トランジスタM1に励起電流を供給するトランジスタM5と抵抗器R2で構成された定電流源がオフするため、起動回路部3には電流が流れない。
【0034】
つまり、この第1実施形態における定電流回路1は、定電流発生部2が定常状態に移行した後は、起動回路部3の電流が抑制される。
【0035】
したがって、定電流回路1全体の消費電流を低減することが可能となるという効果が得られるものとなっている。
【0036】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の定電流回路1Bについて
図2を参照して説明する。なお、
図2において、
図1に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0037】
同図に示すように、定電流回路1Bは、第1実施形態と同様に、定電流発生部2と、起動回路部3Bとを備えている。定電流発生部2は、上述した第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
第1実施形態の起動回路部3と第2実施形態の起動回路部3Bとで異なる点は、電圧クランプ素子であるトランジスタMcpの有無である。起動回路部3Bでは、抵抗器R2にダイオード接続されたトランジスタMcpが並列接続されている。トランジスタMcpは、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。
【0039】
上述した構成の定電流回路1Bの動作は、後述する点を除けば、基本的には、第1実施形態と同様である。すなわち、抵抗器R2による電圧降下がトランジスタMcpの閾値電圧で制限される。
【0040】
定電流回路1Bの最低動作電圧(VDD-VSSの最低値)は、抵抗器R2による電圧降下+トランジスタM1の閾値電圧+トランジスタM4のソース・ドレイン間電圧以上である必要がある。つまり、抵抗器R2の電圧降下がトランジスタMcpの閾値電圧を越える場合、第2実施形態における定電流回路1Bの最低動作電圧は、第1実施形態の定電流回路1に比べ改善される。
【0041】
したがって、定電流回路1Bの最低動作電圧が改善されると共に、定電流回路1B全体の消費電流を低減することが可能となるという効果が得られるものとなっている。
【0042】
なお、上述した第2実施形態では、電圧クランプ素子として、ダイオード接続されたトランジスタMcpを用いていたが、これに限ったものではない。電圧クランプ素子は、例えばpn接合ダイオードやショットキーバリアダイオードなど電圧をクランプできる周知の素子を用いてもよい。
【0043】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の定電流回路1Cについて
図3を参照して説明する。なお、
図3において、
図1に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
同図に示すように、定電流回路1Cは、第1実施形態と同様に、定電流発生部2Cと、起動回路部3Cとを備えている。
【0045】
第1実施形態の定電流発生部2と第3実施形態の定電流発生部2Cとで異なる点は、トランジスタM1のゲートの接続先が異なる点である。第1実施形態の起動回路部3と第3実施形態の起動回路部3Cとで異なる点は、抵抗器R2が抵抗器R21(=第1の分割抵抗)と抵抗器R22(=第2の分割抵抗)に分割されている点である。
【0046】
定電流発生部2では、トランジスタM1のゲートは、トランジスタM1のドレインに接続されていたが、定電流発生部2Cでは、抵抗器R21と抵抗器R22の接続点に接続されている。起動回路部3では、トランジスタM5のゲート・ソース間に抵抗器R2が接続されていたが、起動回路部3Cでは、トランジスタM5Cのゲート・ソース間に直列接続された抵抗器R21及び抵抗器R22が接続されている。また、トランジスタM5Cのソースが抵抗器R22に接続され、トランジスタM5Cのゲートが抵抗器R21に接続されている。
【0047】
起動回路部3Cは、ディプリーション型のトランジスタM5C(=第5のトランジスタ)と、トランジスタM5Cのオンオフを制御する抵抗器R21及び抵抗器R22とを有している。トランジスタM5Cは、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。
【0048】
上述した構成の定電流回路1Cの動作は、後述する点を除けば、基本的には、第1実施形態と同様である。すなわち、トランジスタM4のドレインとトランジスタM1のゲート電位となる接合ノードAとの間の電位差が、第3実施形態における定電流発生部2Cは、第1実施形態の定電流発生部2に比べ、抵抗器R21の電圧降下分、小さくなっている。
【0049】
つまり、第1実施形態における定電流発生部2の最低動作電圧は、抵抗器R2(=抵抗器R21+抵抗器R22)による電圧降下+トランジスタM1の閾値電圧+トランジスタM4のソース・ドレイン間電圧以上である必要がある。これに対して、第3実施形態における定電流発生部2Cの最低動作電圧は、抵抗器R22による電圧降下+トランジスタM1の閾値電圧+トランジスタM4のソース・ドレイン間電圧以上であればよい。このため、第3実施形態における定電流発生部2Cの最低動作電圧は、第1実施形態の定電流発生部2に比べ、抵抗器R21の電圧降下分が改善される。
【0050】
したがって、定電流回路1Cの最低動作電圧が改善されると共に、定電流回路1C全体の消費電流を低減することが可能となるという効果が得られるものとなっている。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0052】
例えば、上述した第1~第3実施形態では、トランジスタが電界効果トランジスタから構成されていたが、これに限ったものではない。トランジスタの少なくとも1つ以上をバイポーラトランジスタに置き換えてもよい。この場合、トランジスタのゲートをベース、ソースをエミッタ、ドレインをコレクタに読み替えて説明することができる。
【0053】
また、上述した第1~第3実施形態において、正電源端子T2と負電源端子T1とを入れ替えて、トランジスタM1~M5,M5C,Mcpの極性を反転させるようにしてもよい。この場合、正電源電圧VDDが第1の電源電圧、正電源端子T2が第1の電源端子、負電源電圧VSSが第2の電源電圧、負電源端子T1が第2の電源端子に相当する。
【符号の説明】
【0054】
1,1B,1C 定電流回路
2,2C 定電流発生部
3,3B,3C 起動回路部
IREF 定電流
M1 トランジスタ(第1のトランジスタ)
M2 トランジスタ(第2のトランジスタ)
M3 トランジスタ(第3のトランジスタ)
M4 トランジスタ(第4のトランジスタ)
M5,5C トランジスタ(第5のトランジスタ)
Mcp トランジスタ(電圧クランプ素子)
R2 抵抗器(抵抗器)
R21 抵抗器(第1の分割抵抗器)
R22 抵抗器(第2の分割抵抗器)
T1 負電源端子(第1の電源端子)
T2 正電源端子(第2の電源端子)
VDD 正電源電圧(第2の電源電圧)
VSS 負電源電圧(第1の電源電圧)