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特開2024-145977コンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システム
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  • 特開-コンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145977
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】コンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058621
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮薗 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 笑海歌
(72)【発明者】
【氏名】小田部 裕一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC20
5L050CC20
(57)【要約】
【課題】コンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を導出できるコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムの提供。
【解決手段】コンクリート構造物の中性化深さを示す深さ情報を取得する深さ情報取得部3と、前記深さ情報取得部3が取得した前記深さ情報に基づいて前記コンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を示す吸収量情報を導出する処理 を実行する吸収量導出部4とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の中性化深さを示す深さ情報を取得する深さ情報取得部と、
前記深さ情報取得部が取得した前記深さ情報に基づいて前記コンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を示す吸収量情報を導出する処理を実行する吸収量導出部とを備える、
コンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の二酸化炭素の吸収量を導出するコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメント系材料の二酸化炭素の含有率が測定されることがある。例えば、特許文献1には、セメント系材料中の水酸化カルシウム含有率が10質量%未満の場合、示差熱-熱重量同時分析法によりCO含有率を測定し、セメント系材料中の水酸化カルシウム含有率が10質量%以上の場合、電量滴定法によりCO含有率を測定するCO含有率測定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-168531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、セメント系材料によって製造されたコンクリート構造物も二酸化炭素は含有されている。また、コンクリート構造物は、製造された後に二酸化炭素を吸収するため、コンクリート構造物の二酸化炭素の含有量は時間の経過とともに変化する。
【0005】
そのため、コンクリート構造物に吸収されている二酸化炭素の量を知ることができるようにすることが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、コンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を導出できるコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムは、
コンクリート構造物の中性化深さを示す深さ情報を取得する深さ情報取得部と、
前記深さ情報取得部が取得した前記深さ情報に基づいて前記コンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を示す吸収量情報を導出する処理を実行する吸収量導出部とを備える。
【0008】
上記構成のコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムによれば、コンクリート構造物から測定可能な中性化深さを示す深さ情報に基づいて、コンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を示す吸収量情報を導出できる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明のコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムは、コンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を導出できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムの構成の機能ブロック図である。
図2図2は、同実施形態に係るコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムの操作画面の説明図である。
図3図3は、同実施形態に係るコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムで用いられるマスター情報の説明図である。
図4図4は、同実施形態に係るコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムの動作の説明図であって、構造物関連情報取得部が情報を取得する動作の説明図である。
図5図5は、同実施形態に係るコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムの動作の明図であって、酸化カルシウム量導出部が酸化カルシウム量情報を導出する動作の説明図である。
図6図6は、同実施形態に係るコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムの導出の説明図であって、二酸化炭素量導出部が吸収量情報を導出して吸収量表示部に表示する導出の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかるコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システム(以下、二酸化炭素吸収量導出システムと称する)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0012】
本実施形態の二酸化炭素吸収量導出システムは、コンクリート構造物の二酸化炭素の吸収量を導出するように構成されたシステムである。
【0013】
コンクリート構造物とは、モルタルやコンクリート等のセメントを用いた材料(セメント系材料)によって製造された構造物のことである。
【0014】
二酸化炭素吸収量導出システム1は、図1に示すように、コンクリート構造物に関する構造物関連情報を取得する構造物関連情報取得部2と、コンクリート構造物の中性化深さを示す深さ情報を取得する深さ情報取得部3と、深さ情報取得部3が取得した深さ情報に基づいてコンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を示す吸収量情報を導出する処理を実行する吸収量導出部4と、情報を記憶する記憶部5と、操作画面を出力(表示)する操作画面表示部6と、を備える。
【0015】
二酸化炭素吸収量導出システム1は、例えば、コンピューターに構築することができる。この場合、例えば、コンピュータの制御部が、構造物関連情報取得部2と、深さ情報取得部3と、吸収量導出部4と、記憶部5と、操作画面表示部6と、を実行するように構成されていればよい。
【0016】
構造物関連情報取得部2は、セメント系材料を識別するための材料識別情報を取得する識別情報取得部20と、材料識別情報が示すセメント系材料の水セメント比を示す水セメント比情報を取得する水セメント比情報取得部21と、コンクリート構造物の材齢を示す材齢情報を取得する材齢情報取得部22と、を有する。
【0017】
材料識別情報は、セメント系材料の分類を示す分類情報と、セメント系材料に用いられているセメントの種類を示すセメント種類情報とが関連付けられることによって構成される情報である。
【0018】
分類情報には、例えば、コンクリートや、モルタル等を示す情報が設定される。この分類情報は、セメントの用途を示す情報(どのようなセメント系材料を作るために使用されるかということを示す情報)にもなっている。
【0019】
セメント種類情報には、例えば、NCや、HC、BB、MC、LC、HC等を示す情報が設定される。
【0020】
このように、材料識別情報は、セメントの用途と種類に基づいてセメントを識別できるように構成されている。
【0021】
水セメント比情報取得部21には、材料識別情報が示すコンクリート構造物に用いられたセメント系材料の配合の水セメント比を示す情報が設定される。
【0022】
材齢情報には、コンクリート構造物が製造されてから経過した期間を示す情報が設定される。
【0023】
深さ情報には、コンクリート構造物の中性化深さを示す情報が設定される。なお、深さ情報には、例えば、人手で測定された中性化深さが設定されてもよいし、測定機器によって測定された中性化深さが設定されてもよい。
【0024】
ここで、本実施形態の構造物関連情報取得部2と、深さ情報取得部3は、操作画面表示部6が表示する操作画面に入力された情報を取得するように構成されている。
【0025】
より具体的に説明すると、操作画面表示部6は、図2に示すように、構造物関連情報を入力可能な構造物関連情報入力部60と、深さ情報を入力可能な深さ情報入力部61と、吸収量導出部4が導出した吸収量情報を表示する吸収量表示部62と、を有する。
【0026】
構造物関連情報入力部60は、材料識別情報を入力可能な識別情報入力部600と、水セメント比情報を入力可能な水セメント比情報入力部601と、材齢情報を入力可能な材齢情報入力部602と、を有する。
【0027】
図1に示すように、識別情報入力部600に入力された材料識別情報は、識別情報取得部20によって取得される。
【0028】
水セメント比情報入力部601に入力された水セメント比情報は、水セメント比情報取得部21によって取得される。
【0029】
そして、材齢情報入力部602に入力された材齢情報は、材令情報取得部22によって取得される。
【0030】
深さ情報入力部61に入力された深さ情報は、深さ情報取得部3によって取得される。
【0031】
吸収量導出部4は、識別情報取得部20が取得した材料識別情報に基づいて、材料識別情報が示すセメント系材料に含まれる酸化カルシウムの量を示す酸化カルシウム量情報を導出する酸化カルシウム量導出処理を実行する酸化カルシウム量導出部40と、酸化カルシウム量導出処理において導出した酸化カルシウム量情報を用いてコンクリート構造物の二酸化炭素の吸収量を導出する二酸化炭素量導出処理を実行する二酸化炭素量導出部41と、を有する。
【0032】
酸化カルシウム量導出部40は、酸化カルシウム量導出処理において、複数の構造物関連情報を有するマスター情報から酸化カルシウム量情報を導出する(探索して選択する)ように構成される。マスター情報は、例えば、記憶部5に記憶されていればよい。
【0033】
以下の説明において、マスター情報が有する構造物関連情報は、管理用構造物関連情報と称する。
【0034】
管理用構造物関連情報50は、図3に示すように、材料識別情報と、水セメント比情報と、材齢情報と、酸化カルシウム量情報が関連付けられることによって構成されている。
【0035】
また、管理用構造物関連情報50の材料識別情報も、分類情報とセメント種類情報とが関連付けられることによって構成される情報である。
【0036】
以下の説明において、管理用構造物関連情報50を構成する材料識別情報、水セメント比情報、材齢情報、酸化カルシウム量情報は、それぞれ、管理用材料識別情報500、管理用水セメント比情報501、管理用材齢情報502、管理用酸化カルシウム量情報503と称する。
【0037】
また、管理用材料識別情報500を構成する分類情報、セメント種類情報は、それぞれ、管理用分類情報500a、管理用セメント種類情報500bと称する。
【0038】
酸化カルシウム量導出部40は、酸化カルシウム量導出処理において、複数の管理用構造物関連情報50のうち、管理用分類情報500aと識別情報取得部20が取得した材料識別情報の分類情報とが一致し、且つ管理用セメント種類情報500bと識別情報取得部20が取得した材料識別情報のセメント種類情報とが一致するものを選択し、選択した管理用構造物関連情報50に含まれる管理用酸化カルシウム量情報503を酸化カルシウム量として出力する。
【0039】
二酸化炭素量導出部41は、図1に示すように、二酸化炭素量導出処理において、水セメント比情報取得部21が取得した水セメント比情報と、深さ情報取得部3が取得した深さ情報と、酸化カルシウム量導出部40が導出した酸化カルシウム量情報と、下式(1)とに基づいて二酸化炭素量を吸収量情報として導出するように構成される。
【0040】
下式(1)において、「CO-Cap」は二酸化炭素量、「l」は深さ情報、「W/C」は水セメント比情報であり、「CaO」は酸化カルシウム量である。
【0041】
【数1】
【0042】
二酸化炭素量導出部41によって導出された吸収量情報は、吸収量表示部62に表示される(図2参照)。
【0043】
本実施形態に係る二酸化炭素吸収量導出システム1の構成は、以上の通りである。続いて、二酸化炭素吸収量導出システム1の動作を説明する。
【0044】
二酸化炭素吸収量導出システム1を用いてコンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を導出する場合、二酸化炭素吸収量導出システム1の使用者によって構造物関連情報入力部60に構造物関連情報が入力され、深さ情報入力部61に深さ情報が入力される。
【0045】
構造物関連情報入力部60は、識別情報入力部600と、水セメント比情報入力部601と、材齢情報入力部602を有するため、識別情報入力部600には材料識別情報が入力され、水セメント比情報入力部601には水セメント比情報が入力され、材齢情報入力部602には材齢情報が入力される。
【0046】
また、識別情報入力部600には、材料識別情報を構成する分類情報とセメント種類情報が入力される。
【0047】
構造物関連情報入力部60と深さ情報入力部61に対する情報の入力が完了すると、図4に示すように、構造物関連情報入力部60に入力された情報は構造物関連情報取得部2によって取得され、深さ情報入力部61に入力された情報は深さ情報取得部3によって取得される。
【0048】
構造物関連情報取得部2では、識別情報取得部20が識別情報入力部600に入力された材料識別情報(分類情報とセメント種類情報)を取得し、水セメント比情報取得部21が水セメント比情報入力部601に入力された水セメント比情報を取得し、材齢情報取得部22が材齢情報入力部602に入力された材齢情報を取得する。
【0049】
続いて、図5に示すように、酸化カルシウム量導出部40が酸化カルシウム量導出処理において、材料識別情報が示すセメント系材料に含まれる酸化カルシウムの量を示す酸化カルシウム量情報をマスター情報から導出する。
【0050】
酸化カルシウム量導出部40は、酸化カルシウム量導出処理において、複数の管理用構造物関連情報のうち、管理用分類情報と識別情報取得部20が取得した材料識別情報の分類情報とが一致し、且つ管理用セメント種類情報と識別情報取得部20が取得した材料識別情報のセメント種類情報とが一致するものを選択し、選択した管理用構造物関連情報に含まれる管理用酸化カルシウム量情報を酸化カルシウム量として出力する。
【0051】
二酸化炭素量導出部41は、図6に示すように、二酸化炭素量導出処理において、水セメント比情報取得部21が取得した水セメント比情報と、深さ情報取得部3が取得した深さ情報と、酸化カルシウム量導出部40が導出した酸化カルシウム量情報と、上式(1)とに基づいて二酸化炭素量を吸収量情報として導出する。
【0052】
そして、二酸化炭素量導出部41によって導出された吸収量情報は、吸収量表示部62に表示される(図2参照)。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る二酸化炭素吸収量導出システム1によれば、コンクリート構造物から測定可能な中性化深さを示す深さ情報に基づいて、コンクリート構造物の二酸化炭素吸収量を示す吸収量情報を導出できるという優れた効果を奏し得る。
【0054】
また、二酸化炭素吸収量導出システム1は、材料識別情報が入力されると、吸収量情報を導出するために用いる酸化カルシウム量情報が酸化カルシウム量導出部40によってマスター情報から探索されるように構成されているため、二酸化炭素吸収量導出システム1の使用者は、酸化カルシウム量情報を把握していなくても吸収量情報を得ることができる。
【0055】
なお、マスター情報のうち、セメント系材料に用いる材料や、配合等の情報(具体的には、管理用材料識別情報500(管理用分類情報500a、管理用セメント種類情報500b)や、管理用水セメント比情報501、管理用酸化カルシウム量情報503)が施工者によって登録されるように構成されていれば、二酸化炭素吸収量導出システム1の使用者は、より精度の高い吸収量情報を得ることができるようになる。
【0056】
なお、本発明に係るコンクリート構造物用の二酸化炭素吸収量導出システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0057】
上記実施形態の二酸化炭素吸収量導出システム1の説明において特に言及しなかったが、二酸化炭素吸収量導出システム1は、コンクリート構造物が製造時から吸収した二酸化炭素の総量を吸収量情報として導出するように構成されていてもよいし、所定の期間の間にコンクリート構造物が製造時から吸収した二酸化炭素の量を吸収量情報として導出するように構成されていてもよい。
【0058】
上記実施形態において、吸収量導出部4は、酸化カルシウム量情報を導出する酸化カルシウム量導出処理を実行する酸化カルシウム量導出部40を有するように構成されていたが、酸化カルシウム量導出部40の酸化カルシウム量情報を導出する処理をデータ構造によって実現してもよい。
【0059】
この場合、管理用酸化カルシウム量情報503には、管理用材料識別情報500によって特定されるセメント系材料に含まれる酸化カルシウムの量を示す情報が設定される。管理用アドレス情報には、例えば、管理用材料識別情報500に関連付ける管理用酸化カルシウム量情報503の番地が設定されていればよい。
【0060】
このようにすれば、吸収量導出部4は、識別情報取得部20が取得した材料識別情報に一致する管理用材料識別情報500を選択すると、選択した管理用材料識別情報500に関連付けられている管理用アドレス情報によって指定される情報(管理用酸化カルシウム量情報503)が上式(1)の「CaO」に入力されるようにするように構成でき、吸収量導出部4が式(1)の「W/C」に水セメント比情報を入力し、「l」に深さ情報を入力することによって二酸化炭素量情報を導出できるようになる。
【0061】
上記実施形態において、吸収量導出部4の二酸化炭素量導出部41は、吸収量情報を算出するように構成されていたが、この構成に限定されない。二酸化炭素量導出部41は、例えば、吸収量情報を探索するように構成されていてもよい。
【0062】
このようにする場合、管理用構造物関連情報50は、材料識別情報と、水セメント比情報と、材齢情報と、酸化カルシウム量情報に加えて、深さ情報(管理用深さ情報)と、二酸化炭素量情報(管理用二酸化炭素量情報)とが関連付けられることによって構成される。
【0063】
そして、二酸化炭素量導出部41は、二酸化炭素量導出処理において、複数の管理用構造物関連情報50のうち、管理用水セメント比情報501が水セメント比情報取得部21が取得した水セメント比情報に一致し、管理用深さ情報が深さ情報取得部3が取得した深さ情報に一致し、管理用酸化カルシウム量情報503が酸化カルシウム量導出部40が導出した酸化カルシウム量情報と一致するものを選択し、かかる酸化カルシウム量情報の管理用二酸化炭素量情報を吸収量情報として出力するように構成されていればよい。
【0064】
上記実施形態の構造物関連情報取得部2は、構造物関連情報入力部60に入力された構造物関連情報を取得するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、構造物関連情報取得部2は、二酸化炭素吸収量導出システムを構成する機器とは別の機器から構造物関連情報を取得するように構成されていてもよい。
【0065】
上記実施形態の深さ情報取得部3は、深さ情報入力部61に入力された深さ情を取得するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、深さ情報取得部3は、二酸化炭素吸収量導出システムを構成する機器とは別の機器から深さ情報を取得するように構成されていてもよい。
【0066】
上記実施形態の吸収量導出部4は、導出した吸収量情報を吸収量表示部62に表示するように構成されていたが、二酸化炭素吸収量導出システムの使用者が吸収量情報を確認することができれば、吸収量表示部62への表示とは別の方法で出力するように構成されていてもよい。
【0067】
なお、上記実施形態の二酸化炭素吸収量導出システム1のように、情報の入出力が1つの画面で行われるように構成されていれば、二酸化炭素吸収量導出システムの使用者は、簡単に吸収量情報を確認することができる。
【0068】
上記実施形態の操作画面表示部6の説明において特に言及しなかったが、構造物関連情報入力部60の識別情報入力部600と、水セメント比情報入力部601、材齢情報入力部602、及び深さ情報入力部61は、数値や文字を直接入力するように構成されていてもよいし、予め設定されている選択肢を選択するように構成されていてもよい。
【0069】
上記実施形態の二酸化炭素吸収量導出システム1の説明において、特に言及しなかったが、二酸化炭素吸収量導出システム1は、上記実施形態で説明した構造物関連情報取得部2と、深さ情報取得部3と、吸収量導出部4と、記憶部5と、操作画面表示部6とに加えて、コンクリート構造物の二酸化炭素の排出量(具体的にはセメント系材料の構成材料の製造に伴って発生する二酸化炭素の総量)を示す情報(以下、排出量情報と称する)を導出する排出量導出部と、吸収量情報と排出量情報とに基づいて吸収量情報を評価する評価部とを備えるように構成されていてもよい。
【0070】
このようにする場合、例えば、マスター情報では、各管理用材料識別情報500に対して、セメント系材料を構成する構成材料の製造に伴って発生する二酸化炭素の単位量を示す単位排出量情報が関連付けられていればよい。
【0071】
なお、構成材料とは、上記実施形態で説明した管理用セメント種類情報500bによって示されるセメント(例えば、NCや、HC、BB、MC、LC、HC)や、水、細骨材(例えば、砕砂、砂、高炉スラグ細骨材)、粗骨材(例えば、砕砂、砂、高炉スラグ粗骨材)、混和材(例えば、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、膨張材等)のことであり、1つの管理用材料識別情報500には、複数の単位排出量情報が関連付けられていればよい。
【0072】
また、上記実施形態で説明した情報取得部3は、セメント系材料の配合を示す配合情報を取得するように構成されていればよい。配合情報は、セメント系材料を構成する材料(上述のセメントや、水、細骨材、粗骨材、混和材等)を示す材料情報と、材料の使用量を示す使用量情報とが互いに関連付けられることによって構成されていればよい。
【0073】
また、上記実施形態で説明した排出量導出部は、情報取得部3が取得した配合情報の材料情報に関連付けられている使用量情報と、材料情報が示す材料に対応する単位排出量情報とに基づいてコンクリート構造物の二酸化炭素の排出量(具体的には、セメント系材料の各構成材料の製造に伴って発生した二酸化炭素の総量)を導出するように構成されていればよい。
【0074】
評価部は、例えば、排出量情報が示す二酸化炭素の排出量と、吸収量情報が示す二酸化炭素の吸収量の割合(排出される二酸化炭素の吸収率)を吸収量情報の評価結果として導出するように構成されていればよい。
【0075】
なお、排出量導出部は、上述のように自身で排出量情報を導出するように構成されていてもよいが、排出量情報を外部から取得するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…二酸化炭素吸収量導出システム、2…構造物関連情報取得部、3…深さ情報取得部、4…吸収量導出部、5…記憶部、6…操作画面表示部、20…識別情報取得部、21…水セメント比情報取得部、22…材齢情報取得部、40…酸化カルシウム量導出部、41…二酸化炭素量導出部、50…管理用構造物関連情報、60…構造物関連情報入力部、61…深さ情報入力部、62…吸収量表示部、500…管理用材料識別情報、500a…管理用分類情報、500b…管理用セメント種類情報、501…管理用水セメント比情報、502…管理用材齢情報、503…管理用酸化カルシウム量情報、600…識別情報入力部、601…水セメント比情報入力部、602…材齢情報入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6