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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145999
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】線維芽細胞増殖因子-5産生抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9794 20170101AFI20241004BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20241004BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20241004BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/484 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/78 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/9062 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 36/906 20060101ALI20241004BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20241004BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61Q7/00
A61P17/14
A61K8/9789
A61P43/00 121
A61K36/484
A61K36/48
A61K36/73
A61K36/185
A61K36/78
A61K36/9062
A61K36/53
A61K36/906
A61Q5/02
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058659
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田邊 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】大戸 信明
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD132
4C083AD332
4C083AD552
4C083AD662
4C083CC37
4C083CC38
4C083CC39
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD38
4C083EE22
4C083FF01
4C088AB12
4C088AB38
4C088AB47
4C088AB51
4C088AB59
4C088AB60
4C088AB81
4C088AC05
4C088AC11
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA07
4C088MA63
4C088NA05
4C088ZA92
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】優れた線維芽細胞増殖因子-5産生抑制作用を有し、かつ安全性が高い線維芽細胞増殖因子-5産生抑制剤の提供。
【解決手段】クジン抽出物、甘草抽出物、ショウガ抽出物、トルメンチラ抽出物、ハマメリス抽出物、ジュウヤク抽出物、甜茶抽出物、月桃抽出物、タチジャコウソウ抽出物、及びアマチャ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を含む線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)産生抑制剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クジン抽出物、甘草抽出物、ショウガ抽出物、トルメンチラ抽出物、ハマメリス抽出物、ジュウヤク抽出物、甜茶抽出物、月桃抽出物、タチジャコウソウ抽出物、及びアマチャ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)産生抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維芽細胞増殖因子(FGF)-5(以下、「FGF-5」と称することがある。)産生抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
線維芽細胞増殖因子は、線維芽細胞に対する増殖活性を有するだけではなく、様々な細胞に対する細胞増殖・分化活性を有する形態形成因子、組織障害のときに働く組織修復因子、生体の恒常性を維持するための代謝調節因子等として重要な役割を果たしている多機能性分泌因子である。FGFには、20種類以上のファミリーが存在することが知られており、このうち、FGF-5は、ヘアサイクル(毛周期)への関与が知られている。
【0003】
毛髪は、成長期、退行期、及び休止期からなる周期的なヘアサイクル(毛周期)に従って成長及び脱落を繰り返している。成長期が短いと、毛髪は十分に成長せず、細く短いまま脱落してしまう。さらに、一度成長期が短くなると、次の成長期も短くなり、毛髪はますます細く短くなってしまうと考えられている。
ここで、前述したFGF-5は、毛乳頭に作用して、毛周期における成長期から退行期へ移行させる作用を有していることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
そのため、FGF-5の機能を抑制することができれば、毛周期における成長期から退行期への移行を阻害して毛髪の成長期を延長し、薄毛や脱毛の予防・改善をすることができ、育毛・養毛用途に有用であると考えられている。
FGF-5の機能を抑制する成分として、例えば、ワレモコウエキス(例えば、非特許文献2参照)、フィチン酸(例えば、特許文献1参照)等が知られている。
【0005】
しかしながら、安全性の高い天然物由来成分であって、FGF-5産生抑制作用を有し、そのため、医薬品、医薬部外品、化粧料等の外用組成物、飲食品、研究用試薬などの成分として広く利用が可能な新たな素材に対する要望は依然として強く、その速やかな開発が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-043594号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cell,1994年,vo.78,no.6,pp.1017-1025
【非特許文献2】西日本皮膚,2007年,69巻,1号,81-86頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた線維芽細胞増殖因子-5産生抑制作用を有し、かつ安全性が高い線維芽細胞増殖因子-5産生抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、安全性の高い天然物由来の素材であるクジン抽出物、甘草抽出物、ショウガ抽出物、トルメンチラ抽出物、ハマメリス抽出物、ジュウヤク抽出物、甜茶抽出物、月桃抽出物、タチジャコウソウ抽出物、及びアマチャ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種が、優れた線維芽細胞増殖因子-5産生抑制作用を有することを知見し、本発明を完成した。
【0010】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> クジン抽出物、甘草抽出物、ショウガ抽出物、トルメンチラ抽出物、ハマメリス抽出物、ジュウヤク抽出物、甜茶抽出物、月桃抽出物、タチジャコウソウ抽出物、及びアマチャ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)産生抑制剤である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の線維芽細胞増殖因子-5産生抑制剤によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた線維芽細胞増殖因子-5産生抑制作用を有し、かつ安全性が高い線維芽細胞増殖因子-5産生抑制剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(線維芽細胞増殖因子-5産生抑制剤)
本実施形態に係る線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)産生抑制剤は、クジン抽出物、甘草抽出物、ショウガ抽出物、トルメンチラ抽出物、ハマメリス抽出物、ジュウヤク抽出物、甜茶抽出物、月桃抽出物、タチジャコウソウ抽出物、及びアマチャ抽出物からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分として含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0013】
本明細書において、線維芽細胞増殖因子-5の産生を抑制するとは、前記FGF-5産生抑制剤を投与しない場合と比較して、FGF-5の産生を減らすことをいう。
【0014】
前記クジン抽出物、前記甘草抽出物、前記ショウガ抽出物、前記トルメンチラ抽出物、前記ハマメリス抽出物、前記ジュウヤク抽出物、前記甜茶抽出物、前記月桃抽出物、前記タチジャコウソウ抽出物、及び前記アマチャ抽出物(以下、これらの抽出物をまとめて「本実施形態に係る植物抽出物」と称することがある。)が、優れたFGF-5産生抑制作用を有し、FGF-5産生抑制剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0015】
<クジン抽出物>
前記クジン(生薬名)は、日本、韓国、中国各地に分布しているマメ科クララ属に属する多年生草本であるクララ(学名:Sophora flavescens Aiton)の根部であり、これらの地域から容易に入手することができる。
【0016】
前記クジン抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0017】
前記クジンの抽出部位は、クララの根部である。
前記クジンの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0018】
<甘草抽出物>
前記甘草は、マメ科カンゾウ属に属する植物である。前記甘草の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリチリーザ グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチリーザ インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチリーザ ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、グリチリーザ アスペラ(Glychyrrhiza aspera)、グリチリーザ パリディフロラ(Glychyrrhiza pallidiflora)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グリチリーザ グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチリーザ インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチリーザ ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)が好ましい。
【0019】
前記甘草抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0020】
前記甘草の抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根部、根茎部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記甘草の抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
<ショウガ抽出物>
前記ショウガ(学名:Zingiber officinale)は、ショウガ科の植物であり、日本各地で栽培されておりこれらの地域から容易に入手することができる。
【0022】
前記ショウガ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0023】
前記ショウガの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、枝部、茎部、花部、蕾部、果実部、根茎部、地上部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、生薬名でショウキョウと呼ばれる根茎部が好ましい。
前記ショウガの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
<トルメンチラ抽出物>
前記トルメンチラ(学名:Potentilla tormentilla vulgaris)は、バラ科に属する植物であり、ヨーロッパ、西アジア、シベリア、まれに地中海に分布しており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0025】
前記トルメンチラ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0026】
前記トルメンチラの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、根部、全草部、地上部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、根部が好ましい。
前記トルメンチラの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0027】
<ハマメリス抽出物>
前記ハマメリス(学名:Hamamelis virginiana)は、マンサク科マンサク属の植物であり、北米東部からテキサス州の原産で、日本では、庭園樹、切り花用に各地で植栽されており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0028】
前記ハマメリス抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0029】
前記ハマメリスの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、枝部、樹皮部、根部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記ハマメリスの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
<ジュウヤク抽出物>
前記ジュウヤク(生薬名)は、ドクダミ科ドクダミ属に属する植物であるドクダミ(学名:Houttuynia cordata Thunberg)であり、日本の陰湿地に多く野生しており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0031】
前記ジュウヤク抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0032】
前記ジュウヤクの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根茎部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、地上部が好ましい。
前記ジュウヤクの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0033】
<甜茶抽出物>
前記甜茶(Rubus suavissimus)は、バラ科キイチゴ属に属する灌木であって、中国南部で自生しており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0034】
前記甜茶抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0035】
前記甜茶の抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、果実部等の地上部、根部等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記甜茶の抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0036】
<月桃抽出物>
前記月桃(Alpinia speciosa (Wendl.) K. Schum.)は、ショウガ科ハナミョウガ属に属する多年生常緑草本であり、九州南部からインドにまで分布しており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0037】
前記月桃抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0038】
前記月桃の抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、幹部、地上部、花部、果実部、種子部、根部、全草などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、葉部が好ましい。
前記月桃の抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0039】
<タチジャコウソウ抽出物>
前記タチジャコウソウ(Thymus vulgaris Linne)は、原産地は地中海沿岸であるが、日本国内においても自生又は栽培されているシソ科(Labiatae)イブキジャコウソウ(Thymus)属に属する多年生木本であり、これらの地域から容易に入手することができる。タチジャコウソウは、ハーブの一種であり、古代より食用や薬用の原料として利用されており、別名として、コモンタイムなどがある。
【0040】
前記タチジャコウソウ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0041】
前記タチジャコウソウの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花部、蕾部、果実部、果皮部、種子部、種皮部、茎部、葉部、枝部、樹皮部、幹部、枝葉部等の地上部;根部、根茎部等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、地上部が好ましい。
前記タチジャコウソウの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
<アマチャ抽出物>
前記アマチャ(学名:Hydrangea serrata)は、関東地方以西、四国、九州等に自生しているユキノシタ科アジサイ属に属する落葉小低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。
【0043】
前記アマチャ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0044】
前記アマチャの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉部、茎部、花部、蕾部、果実部、果核部、地上部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、地上部が好ましい。
前記アマチャの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0045】
[抽出]
前記本実施形態に係る植物抽出物に含まれるFGF-5産生抑制作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出等に一般に用いられている抽出方法によって、前記クジン、前記甘草、前記ショウガ、前記トルメンチラ、前記ハマメリス、前記ジュウヤク、前記甜茶、前記月桃、前記タチジャコウソウ、及び前記アマチャからFGF-5産生抑制作用を有する抽出物を得ることができる。
【0046】
本発明において、「抽出物」には、抽出処理によって抽出原料から得られる抽出液、抽出液の希釈液もしくは濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、またはこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
【0047】
前記クジン、前記甘草、前記ショウガ、前記トルメンチラ、前記ハマメリス、前記ジュウヤク、前記甜茶、前記月桃、前記タチジャコウソウ、及び前記アマチャの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出部位を乾燥させた後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供する方法などが挙げられる。前記乾燥は、天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。
【0048】
前記抽出の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出する方法などが挙げられ、より具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、必要に応じて適宜撹拌しながら、例えば、30分間~4時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより抽出液を得る方法などが挙げられる。前記抽出液は、更に、抽出溶媒を留去し、乾燥してもよい。
また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0049】
前記抽出における条件(抽出時間及び抽出温度)、抽出溶媒及び抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0050】
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
【0051】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水などの他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。前記水は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記親水性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記混合溶媒における前記水に対する前記親水性溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低級脂肪族アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部、低級脂肪族ケトンを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~40容量部、多価アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部添加することが好ましい。
【0054】
前記抽出溶媒の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
【0055】
得られた前記本実施形態に係る植物抽出物は、前記本実施形態に係る植物抽出物の希釈物、濃縮物、乾燥物、粗精製物、精製物などを得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製などの処理を施してもよい。
【0056】
前記本実施形態に係る植物抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液-液分配抽出、各種クロマトグラフィー、膜分離などの精製方法が挙げられる。
【0057】
得られた前記本実施形態に係る植物抽出物は、そのままでも前記FGF-5産生抑制剤の有効成分として使用することができるが、利用しやすい点で、前記濃縮液、前記乾燥物が好ましい。前記乾燥物を得るに当たって、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリンなどのキャリアーを加えてもよい。
【0058】
前記本実施形態に係る植物抽出物は、優れたFGF-5産生抑制作用を有しているため、その作用を利用して、FGF-5産生抑制剤の有効成分として用いることができる。
【0059】
前記本実施形態に係る植物抽出物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記FGF-5産生抑制剤における、前記本実施形態に係る植物抽出物の合計含有量としては、特に制限はなく、これらの抽出物の生理活性等によって適宜調整することができる。
また、これらの抽出物を2種以上併用する場合における各抽出物の配合量の比としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0061】
前記FGF-5産生抑制剤は、前記本実施形態に係る植物抽出物のみからなるものであってもよいし、前記本実施形態に係る植物抽出物を製剤化したものであってもよい。
【0062】
上記した前記本実施形態に係る植物抽出物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。
前記FGF-5産生抑制剤は、他の組成物(例えば、毛髪用皮膚外用剤等の外用剤や飲食品)に配合して使用することができるほか、錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤、点滴剤、坐剤等の非経口投与剤;軟膏剤、点眼剤、外用液剤、貼付剤などとして使用することもできる。
【0063】
製剤化したFGF-5産生抑制剤における前記本実施形態に係る植物抽出物の合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0064】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、前記FGF-5産生抑制剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した製剤化する際に用いることができる成分などが挙げられる。また、必要に応じて、前記本実施形態に係る植物抽出物以外のFGF-5産生抑制作用を有する成分を配合してもよい。前記その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
前記FGF-5産生抑制剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0066】
前記FGF-5産生抑制剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品、研究用試薬などの幅広い用途に使用することができる。
【0067】
前記FGF-5産生抑制剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
【0068】
前記FGF-5産生抑制剤の剤形としては、特に制限はなく、公知の剤形を目的に応じて適宜選択することができる。
任意の剤形の前記FGF-5産生抑制剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0069】
前記FGF-5産生抑制剤の投与方法、投与量、投与部位、投与期間、投与間隔などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0070】
前記FGF-5産生抑制剤は、前記本実施形態に係る植物抽出物が有するFGF-5産生抑制作用を通じて、FGF-5の産生を抑制することができる。これにより、FGF-5の機能を抑制し、毛周期における成長期から退行期への移行を阻害して毛髪の成長期を延長し、薄毛や脱毛の予防・改善をすることができる。ただし、本実施形態のFGF-5産生抑制剤は、これらの用途以外にもFGF-5産生抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0071】
前記FGF-5産生抑制剤は、優れたFGF-5産生抑制作用を有し、安全性が高いので、例えば、毛髪用皮膚外用剤等の外用剤や飲食品に配合することもできる。この場合に、前記本実施形態に係る植物抽出物をそのまま配合してもよいし、前記本実施形態に係る植物抽出物を製剤化したものを配合してもよい。
【0072】
前記外用剤としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される化粧料、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものである。
【0073】
前記FGF-5産生抑制剤を配合可能な外用剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス、トリートメント等の毛髪用皮膚外用剤、軟膏、クリーム、乳液、ローション、化粧水、美容液、ジェル、美容オイル、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ファンデーション、入浴剤、石鹸、ボディーソープ、アストリンゼントなどが挙げられる。
【0074】
前記FGF-5産生抑制剤を外用剤に配合する場合、その配合量としては、特に制限はなく、外用剤の種類などに応じて適宜調整することができるが、前記本実施形態に係る植物抽出物の合計量(固形分換算した値)に換算して0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。
【0075】
外用剤は、本発明の効果を妨げない限り、通常の外用剤の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などを併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された他の有効成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
【0076】
前記外用剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0077】
前記外用剤の投与方法、投与量、投与部位、投与期間、投与間隔などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0078】
前記外用剤は、FGF-5産生抑制用途などに好適に用いることができる。
【0079】
飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「飲食品」は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。前記飲食品は、当該飲食品またはその包装に、前記本実施形態に係る植物抽出物が有する好ましい作用を表示することのできる飲食品であることが好ましく、保健機能食品(特定保健用食品,機能性表示食品、栄養機能食品)、医薬部外品および医薬品であることが特に好ましい。
【0080】
前記FGF-5産生抑制剤を飲食品に配合する場合、その配合量としては、特に制限はなく、飲食品の種類に応じて適宜調整することができるが、前記本実施形態に係る植物抽出物の合計量(固形分換算した値)に換算して0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。
【0081】
前記飲食品の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0082】
前記飲食品の摂取方法、摂取量、摂取期間、摂取間隔などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0083】
前記飲食品は、FGF-5産生抑制用途などに好適に用いることができる。
【0084】
なお、本実施形態に係るFGF-5産生抑制剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、FGF-5産生抑制効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル等)に対して適用することも可能である。
【0085】
また、本実施形態に係るFGF-5産生抑制剤は、FGF-5産生抑制作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
【0086】
上述したように、本実施形態のFGF-5産生抑制剤は、優れたFGF-5産生抑制作用を有する。
したがって、本発明は、個体に、FGF-5産生抑制剤を投与することを特徴とするFGF-5産生抑制方法にも関する。
【実施例0087】
以下、本発明の試験例、配合例を説明するが、本発明は、これらの試験例、配合例に何ら限定されるものではない。
【0088】
(試験例1:線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)産生促進作用試験)
プロスタグランジン(PG)Dについて、下記の方法により、FGF-5産生促進作用の試験を実施した。
【0089】
正常ヒト頭髪毛乳頭細胞を、毛乳頭細胞増殖培地を用いて培養した後、トリプシン処理により回収した。回収した細胞を1.67×10cells/mLの濃度になるように毛乳頭細胞増殖培地を用いて希釈した後、コラーゲンコートした60mmシャーレに1枚当り3mLずつ播種(5.01×10cells/枚)し、7日間培養した。
培養後、PGD(フナコシ製)を毛乳頭細胞増殖培地で必要濃度に溶解し(最終濃度は下記表1を参照)、各シャーレに30μLずつ添加し、37℃、5%CO下で72時間培養した。なお、コントロールとして、PGD無添加の毛乳頭細胞増殖培地を用いて同様に培養した。
培養終了後、各シャーレの培養上清中のFGF-5の量をFGF-5 ELISA Kit(RayBiotech社)を用いて定量した。
得られた結果から、下記式によりFGF-5産生促進率を算出した。結果を表1に示す。なお、下記式において、PGD無添加のFGF-5産生促進率は100%となる。
FGF-5産生促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : PGD添加時のFGF-5の産生量
B : PGD無添加時のFGF-5の産生量
【0090】
【表1】
【0091】
表1に示すように、PGDが、FGF-5産生促進作用を有することが確認された。
【0092】
(試験例2:線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)産生抑制作用試験)
下記の製造例1~10で製造した抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)産生抑制作用を試験した。
【0093】
<被験試料>
[製造例1:クジン抽出物]
クジンの乾燥物100gに90容量%エタノール1,500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥してクジン抽出物(12g)を得た。
【0094】
[製造例2:甘草抽出物]
甘草葉部の乾燥物100gに70容量%エタノール1,500mLを加え、還流抽出器を用いて80~90℃にて2時間還流抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥して甘草葉抽出物(5g)を得た。
【0095】
[製造例3:ショウガ抽出物]
ショウガ根茎の乾燥物100gに70容量%エタノール1,500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ショウガ抽出物(5g)を得た。
【0096】
[製造例4:トルメンチラ抽出物]
トルメンチラ根の乾燥物100gに精製水1,500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、トルメンチラ抽出物(8g)を得た。
【0097】
[製造例5:ハマメリス抽出物]
ハマメリス葉の乾燥物100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1,500mLを加えて、80~90℃で2時間加熱抽出を行い熱時ろ過した。得られた抽出液を乾燥し、ハマメリス抽出物(8g)を得た。
【0098】
[製造例6:ジュウヤク抽出物]
ドクダミ開花期の地上部の乾燥物100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1,500mLを加えて、80~90℃で2時間加熱抽出を行い熱時ろ過した。得られた抽出液を乾燥し、ジュウヤク抽出物(4g)を得た。
【0099】
[製造例7:甜茶抽出物]
甜茶葉の乾燥物100gに精製水1,500mLを加えて、80~90℃で2時間加熱抽出を行い熱時ろ過した。得られた抽出液を乾燥し、甜茶抽出物(20g)を得た。
【0100】
[製造例8:月桃抽出物]
月桃葉部の乾燥物100gに80容量%エタノール1,500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥して月桃抽出物(3g)を得た。
【0101】
[製造例9:タチジャコウソウ抽出物]
タチジャコウソウ地上部の乾燥物100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1,500mLを加えて、80~90℃で2時間加熱抽出を行い熱時ろ過した。得られた抽出液を乾燥し、タチジャコウソウ抽出物(2.5g)を得た。
【0102】
[製造例10:アマチャ抽出物]
アマチャ葉の乾燥物100gに90容量%エタノール1,500mLを加えて、80~90℃で2時間還流抽出を行い熱時ろ過した。得られた抽出液を乾燥し、アマチャ抽出物(2g)を得た。
【0103】
<試験方法>
下記のようにして、プロスタグランジン(PG)D刺激による線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)産生抑制作用を試験した。
正常ヒト頭髪毛乳頭細胞を、毛乳頭細胞増殖培地を用いて培養した後、トリプシン処理により回収した。回収した細胞を1.67×10cells/mLの濃度になるように毛乳頭細胞増殖培地を用いて希釈した後、コラーゲンコートした60mmシャーレに1枚当り3mLずつ播種(5.01×10cells/枚)し、7日間培養した。
培養後、PGD(フナコシ製)と被験試料を毛乳頭細胞増殖培地で必要濃度に溶解し(最終濃度は下記表2~3を参照)、各シャーレに30μLずつ添加し、37℃、5%CO下で72時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料及びPGD無添加の毛乳頭細胞増殖培地を用いて同様に培養した。
培養終了後、各シャーレの培養上清中のFGF-5の量をFGF-5 ELISA Kit(RayBiotech社)を用いて定量した。
得られた結果から、下記式によりFGF-5産生抑制率を算出した。結果を表2~3に示す。なお、下記式において、PGD無添加且つ被験試料無添加のFGF-5産生抑制率は100%、PGD添加且つ被験試料無添加のFGF-5産生抑制率は0%となる。
FGF-5産生抑制率(%)={1-(D-F)/(E-F)}×100
上記式中のD~Fは、それぞれ以下を表す。
D : 被験試料添加、PGD添加時のFGF-5の産生量
E : 被験試料無添加、PGD添加時のFGF-5の産生量
F : 被験試料無添加、PGD無添加時のFGF-5の産生量
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
表2~3の結果から、前記被験試料が、優れたFGF-5産生抑制作用を有することが確認された。
【0107】
(配合例1)
下記組成のヘアトニックを常法により製造した。
・ 月桃抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.4g
・ 酢酸トコフェロール 適量
・ セファラチン 0.002g
・ イソプロピルメチルフェノール 0.1g
・ ヒアルロン酸ナトリウム 0.15g
・ グリセリン 15.0g
・ エタノール 15.0g
・ 香料 適量
・ キレート剤(エデト酸ナトリウム) 適量
・ 防腐剤(ヒノキチオール) 適量
・ 可溶化剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0108】
(配合例2)
下記組成のヘアトニックを常法により製造した。
・ タチジャコウソウ抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.2g
・ トルメンチラ抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.2g
・ 酢酸トコフェロール 適量
・ セファラチン 0.002g
・ イソプロピルメチルフェノール 0.1g
・ ヒアルロン酸ナトリウム 0.15g
・ グリセリン 15.0g
・ エタノール 15.0g
・ 香料 適量
・ キレート剤(エデト酸ナトリウム) 適量
・ 防腐剤(ヒノキチオール) 適量
・ 可溶化剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0109】
(配合例3)
下記組成のシャンプーを常法により製造した。
・ クジン抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 1.5g
・ ウメ果実部抽出物 0.2g
・ ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0g
・ ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0g
・ ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0g
・ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0g
・ プロピレングリコール 2.0g
・ 香料 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0110】
(配合例4)
下記組成のシャンプーを常法により製造した。
・ ショウガ抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.8g
・ 甘草抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.7g
・ ウメ果実部抽出物 0.2g
・ ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0g
・ ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0g
・ ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0g
・ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0g
・ プロピレングリコール 2.0g
・ 香料 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0111】
(配合例5)
下記組成のリンスを常法により製造した。
・ ジュウヤク抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.5g
・ 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5g
・ ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.0g
・ セチルアルコール 2.0g
・ オクチルドデカノール 1.0g
・ カチオン化セルロース 0.5g
・ プロピレングリコール 5.0g
・ ムクロジエキス 0.2g
・ 黄杞エキス 0.5g
・ ローズマリーエキス 0.5g
・ 香料 3.0g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0112】
(配合例6)
下記組成のリンスを常法により製造した。
・ アマチャ抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.2g
・ ハマメリス抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.2g
・ 甜茶抽出物(試験例2で用いたものと同じ) 0.1g
・ 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5g
・ ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.0g
・ セチルアルコール 2.0g
・ オクチルドデカノール 1.0g
・ カチオン化セルロース 0.5g
・ プロピレングリコール 5.0g
・ ムクロジエキス 0.2g
・ 黄杞エキス 0.5g
・ ローズマリーエキス 0.5g
・ 香料 3.0g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)