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特開2024-146151分析システム、分析方法及び、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146151
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】分析システム、分析方法及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20241004BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058884
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】守屋 ゆみ子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋介
(72)【発明者】
【氏名】横堀 友希
(72)【発明者】
【氏名】関本 智志
(72)【発明者】
【氏名】細木 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和子
(72)【発明者】
【氏名】富沢 直克
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴宏
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC24
5L050CC24
(57)【要約】
【課題】フライ品の調理を行う店舗の調理分析を行う新規な技術を提供すること。
【解決手段】フライ品の調理を行う店舗の分析システム0であって、店舗におけるフライヤー3の消費電力量を取得する為の計測部4と、前記消費電力量をその取得時期に対応付けて記憶部に格納する消費電力登録部11と、店舗におけるフライ品の販売量及び/又は販売時期を含む販売実績を取得し、記憶部に格納する販売実績登録部18又は、特定の期間に対応するフライ油の消費量を含む消費実績を取得し、前記記憶部に格納するフライ油情報登録部12と、1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、前記店舗の調理分析を行う分析処理部15と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライ品の調理を行う店舗の分析システムであって、
店舗におけるフライヤーの消費電力量を取得する為の計測部と、
前記消費電力量をその取得時期に対応付けて記憶部に格納する消費電力登録部と、
店舗におけるフライ品の販売量及び/又は販売時期を含む販売実績を取得し、記憶部に格納する販売実績登録部又は、特定の期間に対応するフライ油の消費量を含む消費実績を取得し、前記記憶部に格納するフライ油情報登録部と、
1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、前記店舗の調理分析を行う分析処理部と、を有する分析システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を時期と対応付けて格納し、
前記分析処理部は、異なる期間における前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、フライ品の調理効率、及び/又はフライ油の使用効率を分析する、請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記消費電力量及び前記販売実績を時刻と対応付けて格納し、
前記分析処理部は、1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量及び前記販売実績を用いて、調理分析として、フライ品の調理ピーク及び/又は販売ピークを決定して分析する、請求項1に記載の分析システム。
【請求項4】
更に、前記販売ピーク及び/又は前記調理ピークに基づいて、スタッフの勤務スケジュールを調整するスケジュール部を有する、請求項3に記載の分析システム。
【請求項5】
前記記憶部は、特定の期間に対応するフライ油の消費実績を格納し、
前記分析処理部は、1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量及び前記消費実績を用いて、フライ油の使用効率を分析する、請求項1に記載の分析システム。
【請求項6】
前記分析処理部は、前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて1つ又は2つ以上のパラメータを決定し、前記パラメータが所定の範囲に含まれるか否か判定、又は、複数の既知の前記パラメータを教師データとした数理モデルへの入力を行うことで分析する請求項1に記載の分析システム。
【請求項7】
前記記憶部は、前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を店舗と対応付けて格納し、
前記分析処理部は、分析対象となる店舗並びに、1つ又は2つ以上の他店舗の前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、前記分析対象となる店舗のフライ品の調理効率、及び/又はフライ油の使用効率を分析する、請求項1~6のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項8】
フライ品の調理を行う店舗の分析方法であって、
コンピュータ装置が、店舗におけるフライヤーの消費電力量を取得する為の計測工程と、
前記消費電力量をその取得時期に対応付けて記憶部に格納する消費電力登録工程と、
店舗におけるフライ品の販売量及び/又は販売時期を含む販売実績を取得し、記憶部に格納する販売実績登録工程又は、特定の期間に対応するフライ油の消費量を含む消費実績を取得し、前記記憶部に格納するフライ油情報登録工程と、
1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、前記店舗の調理分析を行う分析処理工程と、を行う分析方法。
【請求項9】
請求項8に記載の分析方法を前記コンピュータ装置に実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライ品の調理を行う店舗の分析システム、分析方法及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
揚げ物の調理及び販売を行う店舗において、作業の効率の点から、多量の揚げ物を調理することが行われる。しかし、揚げ物を美味しく提供するためには、調理してから販売するまでの期間が短くすることが望まれ、この期間が長くなると、消費者が購入を控えるため、販売価格を値下げする、又は売れ残りを廃棄する必要が生じる。そのため、適正な販売価格を維持するため、また、フードロスを削減するため、揚げ物の調理を販売量に対して適切に管理する方法が望まれている。
一方、フライ油は調理を行うことで劣化する。そのため、揚げ物を調理、販売等する店舗においては、商品品質を維持する為に、適切な時期にフライヤー内のフライ油を交換等する必要があるが、少ないフライ油量で多くのフライ品を調理することがコストの点で望まれており、フライ調理頻度・量等に対するフライ油の消費量の把握が求められている。
【0003】
特許文献1には、店舗内の陳列部の揚げ物の賞味期限を管理し、さらにPOSデータ等によって今後の予測販売数を提供する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2022/145218号公報
【0005】
しかしながら、特許文献1は、揚げ物の販売状況を分析し、フードロスを削減するために、販売位置を変えることを趣旨とするものであって、そもそも、揚げ物の調理時期等と比較分析するものではない。さらに、揚げ物の調理と販売実績が適切なバランスであるか検討するものでもない。
また、調理分析におけるフライ油の消費量に関しては、例えば、注文後に揚げ物を調理する店舗等では、調理を迅速に開始する為に、非フライ時の待機時間にもフライ油を加熱して温度を維持する場合があり、待機時間の温度管理等によってもフライ油の劣化(即ち消費量やそのサイクル)に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フライ品の調理を行う店舗の調理分析を行う新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、フライ品の調理を行う店舗の分析システムであって、店舗におけるフライヤーの消費電力量を取得する為の計測部と、前記消費電力量をその取得時期に対応付けて記憶部に格納する消費電力登録部と、店舗におけるフライ品の販売量及び/又は販売時期を含む販売実績を取得し、記憶部に格納する販売実績登録部又は、特定の期間に対応するフライ油の消費量を含む消費実績を取得し、前記記憶部に格納するフライ油情報登録部と、1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、前記店舗の調理分析を行う分析処理部と、を有する。
【0008】
このような構成とすることで、フライヤーでの消費電力量又は消費電力量の推移と、フライ品の販売量及び/又は販売時期やフライ油の消費量から、フライ品の調理を行う店舗の調理分析を行うことができる。また、例えば、注文後に揚げ物を調理する店舗等では、調理を迅速に開始する為に、非フライ時の待機時間にもフライ油を加熱して温度を維持する場合があり、待機時間もフライ油の劣化が進行する。消費電力量を用いることにより、待機状態における加熱による劣化も加味した分析を行うことができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を時期と対応付けて格納し、前記分析処理部は、異なる期間における前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、フライ品の調理効率、及び/又はフライ油の使用効率を分析する。
【0010】
このような構成とすることで、店舗におけるフライ油の使用効率を分析することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、前記消費電力量及び前記販売実績を時刻と対応付けて格納し、前記分析処理部は、1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量及び前記販売実績を用いて、調理分析として、フライ品の調理ピーク及び/又は販売ピークを決定して分析する。
【0012】
本発明の好ましい形態では、更に、前記販売ピーク及び/又は前記調理ピークに基づいて、スタッフの勤務スケジュールを調整するスケジュール部を有する。
【0013】
このような構成とすることで、調理のタイミングを取得でき、店舗における調理ピークを分析することができる。或いは、販売ピークについて取得できる。調理ピークと販売ピークを比較することで、調理から販売までの期間等について分析することができる。また、ピークに基づいて、勤務スケジュールの調整を行うことができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、更に、前記記憶部は、特定の期間に対応するフライ油の消費実績を格納し、前記分析処理部は、1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量及び前記消費実績を用いて、フライ油の使用効率を分析する。
【0015】
本発明の好ましい形態では、更に、前記分析処理部は、前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて1つ又は2つ以上のパラメータを決定し、前記パラメータが所定の範囲に含まれるか否か判定、又は、複数の既知の前記パラメータを教師データとした数理モデルへの入力を行うことで分析する。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を店舗と対応付けて格納し、前記分析処理部は、分析対象となる店舗並びに、1つ又は2つ以上の他店舗の前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、前記分析対象となる店舗のフライ品の調理効率、及び/又はフライ油の使用効率を分析する。
【0017】
このような構成とすることで、店舗におけるフライ油の使用効率を分析することができる。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明は、フライ品の調理を行う店舗の分析方法であって、コンピュータ装置が、店舗におけるフライヤーの消費電力量を取得する為の計測工程と、前記消費電力量をその取得時期に対応付けて記憶部に格納する消費電力登録工程と、店舗におけるフライ品の販売量及び/又は販売時期を含む販売実績を取得し、記憶部に格納する販売実績登録工程又は、特定の期間に対応するフライ油の消費量を含む消費実績を取得し、前記記憶部に格納するフライ油情報登録工程と、1つ又は2つ以上の期間における前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、前記店舗の調理分析を行う分析処理工程と、を行う。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明は、前記分析方法を前記コンピュータ装置に実行させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、フライ品の調理を行う店舗の調理分析を行う新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図。
図2】一実施の形態のシステムのハードウェア構成図。
図3】一実施の形態のシステムの機能ブロック図。
図4】一実施の形態のシステムにおけるデータ構成図。
図5】一実施の形態のシステムにおけるデータ構成図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0023】
例えば、本実施形態では、フライ品の調理を行う店舗の調理分析を行う分析システムの構成、動作等について説明するが、システムが実行する方法、方法をコンピュータ装置に実行させるコンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。プログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0024】
<1.システム構成>
図1は、一実施の形態の分析システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、分析システム0は、分析装置1、データベース2、店舗STに配置された電気フライヤーであるフライヤー3、計測部4、店舗端末5、及びPOS端末7を備える。さらに、油販売管理部8を備えてもよい。分析装置1及びデータベース2は通信可能に構成され、分析装置1並びに、計測部4、店舗端末5、POS端末7及び、油販売管理部8はネットワークNWを介して通信可能に構成される。なお、計測部4及びPOS端末7は、店舗端末5や店舗ST内に配置された図示しない中継装置等を介してネットワークNWと接続されてもよい。また、分析装置1、データベース2、フライヤー3、計測部4、店舗端末5、及びPOS端末7は、ネットワークNWを介さずに通信可能に構成されてもよく、さらに、分析装置1、データベース2、フライヤー3、計測部4、店舗端末5、及びPOS端末7のいずれか1つ以上が、ネットワークNWを介して通信可能に構成されてもよい。また、店舗ST、分析装置1,及びデータベース2は複数あってもよく、店舗STに配置されたフライヤー3、計測部4、店舗端末5、及びPOS端末7も複数あってもよい。
【0025】
分析装置1やデータベース2として、汎用のサーバやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置10(コンピュータ装置)を1又は複数利用することができる。なお、店舗端末5、POS端末7、分析装置1のいずれか2つ又は3つは兼用することもできる。ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類、ネットワークの種類等にも制限はない。
【0026】
店舗端末5として、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末等の端末装置9(コンピュータ装置)を利用することができる。店舗端末5は、本実施形態では、図示しないプログラム提供装置よりダウンロードした店舗アプリケーションをインストールした端末装置9であり、この店舗アプリケーションを介して分析装置1への情報の送信等を行うものとする。例えば、店舗アプリケーションは、端末装置9に事前にインストールされたウェブブラウザアプリケーション等を介して利用可能なウェブアプリケーションであってもよい。
【0027】
<1.1.ハードウェア構成>
図2は、端末装置9及び情報処理装置10のハードウェア構成図である。図2(a)に示すように、端末装置9(店舗端末5、POS端末7、油販売管理部8)は、処理部901、記憶部902、通信部903、入力部904及び出力部905を有する。
【0028】
処理部901は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、OSやプログラム等を実行する。
記憶部902は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリ、OS、店舗アプリケーションプログラム(店舗端末5)やPOS端末プログラム(POS端末7)等を記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
通信部903は、ネットワークNWに物理的に接続するためのインタフェースを有し、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
入力部904は、タッチパネルやキーボードなどの入力処理が可能な操作入力デバイス、マイクなどの音声入力が可能な音声入力デバイス等を有する。
出力部905は、ディスプレイなどの表示処理が可能な表示デバイス、スピーカなどの音声出力デバイスを有する。
【0029】
図2(b)に示すように、情報処理装置10(分析装置1、データベース2)は、処理部101、記憶部102、及び通信部103を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0030】
処理部101は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、OSやプログラムを実行する。
記憶部102は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリ、OS、分析プログラム(分析装置1)やDBMS(データベース2)等を記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
通信部103は、ネットワークNWに物理的に接続するためのインタフェースを有し、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
【0031】
<1.2.分析システム0の機能構成>
図3は、分析システム0の機能ブロック図である。図3に示すように、分析装置1は、消費電力登録部11と、フライ油情報登録部12と、分析処理部15と、販売実績登録部18と、スケジュール部19とを有する。これは、ソフトウェア(記憶部102等に一過的又は非一過的に記憶されたプログラム)による情報処理が、ハードウェア(処理部101等)によって具体的に実現されたものである。なお、分析装置1は、各機能構成要素の一部又は全部を有する1又は複数のコンピュータにより構成される。データベース2は、これらコンピュータにより構成されてもよいし、これらとは別のコンピュータにより構成されてもよい。
【0032】
<1.3.データベース2>
データベース2は、消費電力情報21と、販売実績情報26と、フライ油の消費実績情報(廃油情報27、及び/又は油購入情報28)とを格納する。さらに、データベース2は、相関データ情報25と、スケジュール情報29とを格納してもよい。
【0033】
<1.4.消費電力の取得>
計測部4は、店舗STに配置され、フライヤー3のデータ計測に用いられる1又は複数の計測装置を含む。本実施形態では、計測部4は、電力計測器41を備える。
電力計測器41は、単位時間毎のフライヤー3の計測情報を取得し、取得時期(例えば、取得日又は取得日時)と紐付けて、分析装置1に送信する。計測情報は、単位時間毎の消費電力量であるが、本発明において、消費電力量は、消費電力量に相関するパラメータに置き換えることができるものも消費電力量とする。例えば、消費電力量に相当するものとして、計測部4が計測した単位時間毎の電流値及び電圧値が挙げられる。消費電力登録部11は、計測部4を介して取得した計測情報を、消費電力情報21としてデータベース2に格納する。なお、フライヤー3及び/又は店舗STが複数の場合は、消費電力登録部11は、消費電力情報21をフライヤー3及び/又は店舗STと紐づけてデータベース2に格納する。
【0034】
図4(a)は、データベース2に格納された消費電力情報21の一例を示す図である。消費電力情報21は、店舗STにおけるフライヤー3での消費電力量推移を示す情報である。なお、店舗STが一店舗のみであれば、店舗IDの情報は無くてもよい。取得時期を基に、任意期間の消費電力量を積算することで、フライヤー3において任意期間に消費された消費電力量である累積消費電力量を得ることができる。
【0035】
<1.5.販売実績の取得>
販売実績登録部18は、店舗STにおけるフライ品の販売量及び/又は販売時期を含む販売実績を取得し、データベース2に格納する。本実施形態では、店舗STのスタッフは、フライ品を販売すると、POS端末7を介して、販売したフライ品の数量を登録し、販売時期(例えば、販売日又は販売日時)と紐付けて販売実績情報26を記録する。なお、販売実績情報26には、さらにフライ品の品種を含むこともでき、特に複数のフライ品の品種を販売する場合は、フライ品の品種を含むことが好ましい。そして、POS端末7は、販売実績情報26を分析装置1に送信する。販売実績登録部18は、POS端末7を介して取得した販売実績情報26をデータベース2に格納する。また、POS端末7は、販売実績情報26を外部のデータベースに送付し、外部のデータベースから販売実績情報26を分析装置1が入手するようにしてもよい。あるいは、POS端末7は、販売実績情報26を店舗端末5に記録し、店舗端末5が販売実績情報26を分析装置1に送信するようにしてもよい。なお、店舗STが複数の場合は、販売実績登録部18は、販売実績情報26を店舗STと紐づけてデータベース2に格納する。
【0036】
図4(b)は、データベース2に格納された販売実績情報26の一例を示す図である。販売実績情報26は、店舗STの識別情報と対応付けて、販売時期、フライ品種及び、数量を有する。
【0037】
<1.6.消費実績の取得>
フライ油情報登録部12は、フライ油の消費量を含む消費実績を取得し、データベース2に格納する。フライ油の消費量とは、店舗STにおいて消費されるフライ油の量であり、廃油されたフライ油の量(廃油量)であってもよいし、新たに購入したフライ油の量(購入量)であってもよいし、フライヤー3にフライ油を補給した量であってもよい。本実施形態では、フライ油情報登録部12は、廃油情報27及び/又は油購入情報28をデータベース2に格納することが好ましい。
【0038】
本実施形態では、店舗STにおいて、フライ油の劣化状態が所定のライン(度合)を超えると、スタッフによって、フライ油に対する処理が実行される。本実施形態では、フライ油に対する処理として、フライヤー3の油槽内の全フライ油を廃棄し、新たなフライ油と交換する(以降「廃油」とする)ものとする。ここで、廃油の前に、フライ油に対する追加油(以降「差し油」とする)や、油槽内の一部フライ油を廃棄して追加油を行う行為(以降「一部廃油」とする)を処理としてもよい。この際、廃油情報27には、廃油、差し油や一部廃油等、処理の種別を示す情報が含まれていてもよい。
【0039】
図5(a)は、データベース2に格納された廃油情報27の一例を示す図である。廃油情報27は店舗STにおけるフライ油の消費実績を示し、廃油を行った時期(例えば、廃油日又は廃油日時)及び、廃油量(消費量)を有する。フライ油情報登録部12は、廃油情報27に代えて、又は加えて、店舗STにおけるフライ油の消費実績を示す情報として、油槽へフライ油を追加した時期(追加日又は追加日時)及び、追加した油量(消費量)を含む油追加情報をデータベース2に格納してもよい。なお、店舗STが複数の場合は、フライ油情報登録部12は、廃油情報27及び/又は油追加情報を店舗STと紐づけてデータベース2に格納する。
【0040】
廃油情報等の消費実績を取得する方法として、例えば、フライ油情報登録部12は、店舗STのスタッフが店舗端末5を介して入力した消費量を受け付け、登録時期(登録日又は登録日時)を付加して廃油情報等の消費実績を登録する。なお、店舗STの識別情報を紐づけて登録してもよい。なお、消費量の入力に代えて、フライヤー3の油槽、フライヤー3の油槽からの配管、廃油タンクにセンサーを設置し、センサーの情報から廃油量を算出してもよい。センサーとしては、重量センサー、容量センサー、流量センサー、距離センサー、映像装置等が挙げられる。例えば、油槽又は廃油タンクの重量変化、容量変化、又は液面変化から廃油情報27を得ることができる。また、油槽からの配管の流量によっても廃油情報27を得ることができる。
【0041】
廃油情報等の消費実績を映像装置から取得する方法として、フライ油情報登録部12は、店舗STに配置された図示しない撮像装置を介してフライヤー画像を取得して、フライヤー画像を画像解析して処理が行われた旨を検出し、撮像日時等を処理の時期(例えば、日にち又は日時)として、廃油情報等を登録してもよい。ここで、画像解析は任意の手法で実施することができ、例えば、セグメンテーション及び分類を行った過去のフライヤー画像を用いて学習処理を行った畳み込みニューラルネットワーク(CNN)や再帰型ニューラルネットワーク(RNN)等を用いて行われる。より具体的には、例えば、処理に際して利用される特定の機材がフライヤー画像中に検出された場合や、特定のセグメントが特定の順番や位置関係で1又は経時的な複数のフライヤー画像中に出現した場合等に、処理が行われたことが判断され得る。この時、店舗STに配置されたフライヤー3の油槽に対応する油槽容量から廃油等の量を決定してもよい。
【0042】
さらに、廃油情報等の消費実績を取得する方法として、フライ油の発注情報、納品情報等を基に、取得してもよい。これらの情報は、店舗STにおけるフライ油の購入量(消費量)を含む購入実績(消費実績)を記憶したコンピュータ装置を含む発注システム(例えば、店舗端末5)から取得することができる。あるいは、油販売管理部8から消費実績を取得してもよい。油販売管理部8は、店舗STにおけるフライ油の購入量(消費量)を含む販売実績(消費実績)を記憶したコンピュータ装置を含み、例えば、フライ油の販売業者が利用する販売管理システムである。フライ油情報登録部12は、発注システム又は油販売管理部8からフライ油の購入実績又は販売実績を受け取り、油購入情報28をデータベース2に格納する。例えば、フライ油情報登録部12は、油販売管理部8から店舗STにおけるフライ油の購入時期(例えば、購入日又は購入日時)、購入した商品の内容量及び/又は購入数量を受け付け、油購入情報28を登録する。また、油購入情報28には、店舗ST、及び/又はフライ油品種の情報があることが好ましい。なお、フライ油情報登録部12は、購入時期として、購入した商品の納品時期(納品日又は納品日時)を受け付けて、納品時期を購入時期としてもよい。
【0043】
図5(b)は、データベース2に格納された油購入情報28の一例を示す図である。油購入情報28は店舗STにおけるフライ油の消費実績を示し、店舗STの識別情報と対応付けて、フライ油の購入時期、購入した商品のフライ油品種、内容量及び購入数量を有する。
【0044】
<2.取得したデータに基づく調理分析>
次いで、取得したこれらのデータに基づく分析について説明する。計測された消費電力量は、フライ油の加熱量と相関がある。高温で行われるフライ品の調理において、フライ品への熱移動、及びフライ品の水分の気化熱等によるフライ油の温度低下を補うように加熱を行うため、フライ品の調理量が多くなると消費電力量も多くなる。即ち、ある期間の消費電力量はフライ品の調理量と相関があり、消費電力量を調理分析に用いることができる、なお、消費電力量の変化や消費電力ピークから調理時期も特定できるため、これらの相関データを相関データ情報25としてデータベース2に格納し、相関データ情報25を参照することで、フライ品の調理量、調理期間を求めることで、分析の精度がより高くなるので好ましい。
【0045】
分析処理部15は、1つ又は2つ以上の期間における消費電力量並びに、販売量を含む販売実績又は消費量を含む消費実績を用いて、店舗STの調理分析を行う。調理分析は、フライ品の調理効率、及び/又はフライ油の使用効率である。フライ品の調理効率は、例えば、消費電力量と販売量の割合、消費電力量から算出されるフライ品の調理量と販売量の差又は割合、消費電力量の調理時期と販売時期の時間差で判断することができる。本実施形態では、分析処理部15は、消費電力量並びに、販売実績又は消費実績を用いて1つ又は2つ以上のパラメータを決定し、このパラメータが所定の範囲に含まれるか否かを判定、又は、複数の既知のパラメータを教師データとした数理モデルへの入力を行うことで、分析を行う。なお、消費電力量の情報は、相関データ情報25を参照して、フライ品の調理量及び/又は調理時期(期間)を求めて分析してもよい。この分析により、問題のある期間/店舗、あるいは優れている期間/店舗の把握が可能となり、原因を分析し、応用することが可能となる。例えば、販売量に対して調理量(消費電力量)が多い場合、廃棄が多いことを示し、異常検出を行うことができる。なお、分析する期間は、例えば、分単位、時間単位、日単位、週単位、月単位、年単位であることが好ましい。また、2つ以上の期間を比較する場合、ある期間の時間単位、日単位、週単位、月単位、四半期単位、又は年単位での比較であることが好ましく、ある期間の曜日毎の時間単位又は曜日での比較、ある期間の平日と休日の時間単位又は日単位での比較であってもよい。
【0046】
パラメータは、例えば、単位時間毎の消費電力量を、取得時期(例えば、取得日又は取得日時)を基に任意期間で積算することで得られる累積消費電力量、販売量を、販売時期(例えば、販売日又は販売日時)を基に任意期間で積算することで得られる合計販売量、累積消費電力量及び合計販売量に基づく、単位消費電力量当たりの販売金額又は単位販売金額当たりの消費電力量、これらの1又は複数を変数とする所定の関数(例えば、後述の使用効率)等である。この時、分析処理部15は、消費電力量や販売量以外に、販売実績又は消費実績に含まれる任意のデータを用いてパラメータを決定しても良い。
【0047】
数理モデルは、例えば判別分析、ニューラルネットワーク、ディープラーニング等の任意のモデルを利用することができる。
【0048】
<2.1.フライ品の調理効率、フライ油の使用効率>
分析処理部15は、前記消費電力量並びに、前記販売実績又は前記消費実績を用いて、店舗STのフライ品の調理効率、及び/又はフライ油の使用効率を分析する。分析処理部15は、決定したパラメータとしての調理効率及び/又は使用効率が所定の範囲に含まれる場合や、調理効率及び/又は使用効率等を数理モデルに入力することで出力された結果(評価値や分類結果等)に基づいて、警告を行う。なお、分析処理部15は、消費電力量、記販売実績及び消費実績を用いて、フライ油の調理効率及び/又は使用効率を分析してもよい。
【0049】
これにより、例えば、フライヤー3での消費電力量(又はフライ品の調理量)に対するフライ品の販売量の比率や、フライ品の調理量とフライ品の販売量の差や、フライヤー3での消費電力量(又はフライ品の調理量)に対するフライ油の処理サイクルの期間(フライ油の消費量)等が得られ、効率の良い店舗、悪い店舗を分析することができる。また、例えば、販売量に対して消費電力量が多い場合や、機器の不調、故障等の異常検出を行うことができる。
【0050】
例えば、分析処理部15は、フライ油の使用効率として、販売量及び消費電力量の比率を求める。例えば、分析処理部15は、1日の累積消費電力量及び合計販売量を用いて、フライ油の使用効率を求める。例えば、分析処理部15は、廃油情報27に含まれる日時から廃油が行われるまでのサイクルを期間として求め、その期間における累積消費電力量及び合計販売量を用いて、フライ油の使用効率を求める。
【0051】
また、分析処理部15は、分析対象となる店舗ST並びに、1つ又は2つ以上の他店舗ST’の消費電力量並びに、販売実績又は購入実績を用いて、分析対象となる店舗STのフライ品の調理効率、及び/又はフライ油の使用効率を分析する。例えば、分析処理部15は、店舗STの調理効率及び/又は使用効率と、1つ又は2つ以上の他店舗ST’の調理効率及び/又は使用効率を求め、それらを比較分析する。例えば、2つ以上の他店舗ST’のパラメータから平均や中央値等の統計処理された調理効率及び/又は使用効率を求め、店舗STの調理効率及び/又は使用効率と比較処理してもよい。
【0052】
また、分析処理部15は、分析対象となる店舗STの異なる期間における消費電力量並びに、販売実績又は消費実績を用いて、フライ品の調理効率、及び/又はフライ油の使用効率を分析してもよい。例えば、分析処理部15は、ある期間(例えば本日)の調理効率及び/又は使用効率と、他の1つ又は2つ以上の期間(例えば前日)の調理効率及び/又は使用効率を求め、それらを比較分析する。例えば、他の1つ又は2つ以上の期間(例えば先週)のパラメータから平均や中央値等の統計処理された調理効率及び/又は使用効率を求め、ある期間の調理効率及び/又は使用効率と比較処理してもよい。
【0053】
<2.2.ピーク>
分析処理部15は、調理時間と販売期間又は販売ピークの時間差が適切であるかどうか判断する。例えば、1つ又は2つ以上の期間における消費電力量及び販売実績を用いて、調理分析として、フライ品の調理ピーク及び/又は販売ピークを決定する。ピークは、例えば時間帯を示すパラメータである。例えば、調理ピークは消費電力量が多い時間帯であり、販売ピークは販売量が多い時間帯として決定することができる。分析処理部15は、決定した調理ピークの終了時と、販売ピークの開始時又は販売ピークの終了時の差として算出したパラメータが所定の範囲に含まれる場合や、数理モデルに入力することで出力された結果(評価値や分類結果等)に基づいて、警告を行う。
【0054】
これにより、例えば、フライヤー3での消費電力量に対する、フライ油の消費量、或いは処理サイクルの期間等が得られ、フライ油の使用効率の良い店舗、悪い店舗(早く劣化している)を分析することができる。
【0055】
<2.3.スケジュール調整>
データベース2は、スケジュール情報29を格納してもよい。スケジュール情報29は、例えば、スタッフの勤務スケジュールに関する情報であり、例えば、スタッフ毎に、出勤可能な曜日、時間帯、週や月の上限日数、これまでの勤務日数等を含む情報である。
【0056】
スケジュール部19は、販売ピーク及び/又は調理ピークに基づいて、スタッフの勤務スケジュールを調整することができる。本実施形態では、スケジュール部19は、スタッフの勤務スケジュールの調整として、販売ピーク及び/又は調理ピークに基づいて、曜日・時間帯毎に推奨スタッフ数を決定する。そして更に、スタッフの勤務スケジュールの調整として、スケジュール情報29及び推奨スタッフ数に基づいて、スタッフの割付を行う。また、販売ピークに基づいて最適な調理時期を設定してもよい。その場合、調理ビークの期間に基づき、スタッフの勤務スケジュールを調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、フライヤーにおける消費電力量とフライ品の販売量やフライ油の消費量から、フライ品の調理を行う店舗の調理分析を行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
0 :分析システム
1 :分析装置
10 :情報処理装置
11 :消費電力登録部
12 :フライ油情報登録部
15 :分析処理部
18 :販売実績登録部
19 :スケジュール部
101 :処理部
102 :記憶部
103 :通信部
2 :データベース
3 :フライヤー
4 :計測部
41 :電力計測器
5 :店舗端末
7 :POS端末
8 :油販売管理部
9 :端末装置
901 :処理部
902 :記憶部
903 :通信部
904 :入力部
905 :出力部
NW :ネットワーク
ST :店舗
図1
図2
図3
図4
図5