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  • 特開-流体制御装置及び基板処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146175
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】流体制御装置及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20241004BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16K27/00 D
F16K27/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058918
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 崇
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051AA08
3H051BB10
3H051CC01
3H051CC14
3H051DD01
3H051FF01
(57)【要約】
【課題】短時間で大流量の処理ガスを供給できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による流体制御装置は、処理容器内に供給される流体を制御する流体制御装置であって、流路ブロックと、前記流路ブロックに取り付けられる流体制御機器と、を備え、前記流路ブロックは、前記流体が流れ込む入口と該流体を前記処理容器内に流す出口とを有するガス供給流路と、前記入口と前記出口との間の前記ガス供給流路において前記流体を貯留する貯留室と、を有し、前記流体制御機器は、前記入口と前記貯留室との間の前記ガス供給流路を開閉する第1バルブと、前記貯留室と前記出口との間の前記ガス供給流路を開閉する第2バルブと、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内に供給される流体を制御する流体制御装置であって、
流路ブロックと、
前記流路ブロックに取り付けられる流体制御機器と、を備え、
前記流路ブロックは、
前記流体が流れ込む入口と該流体を前記処理容器内に流す出口とを有するガス供給流路と、
前記入口と前記出口との間の前記ガス供給流路において前記流体を貯留する貯留室と、
を有し、
前記流体制御機器は、
前記入口と前記貯留室との間の前記ガス供給流路を開閉する第1バルブと、
前記貯留室と前記出口との間の前記ガス供給流路を開閉する第2バルブと、
を有する、
流体制御装置。
【請求項2】
前記流路ブロックは、前記貯留室に接続される排気流路を有し、
前記流体制御機器は、前記排気流路を開閉する第3バルブを有する、
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記第1バルブ、前記第3バルブ及び前記第2バルブは、前記入口から前記出口に向かってこの順に1列に配置される、
請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記排気流路は、前記流路ブロックの前記入口が設けられる面に設けられる排気口を有する、
請求項2又は3に記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記流体制御機器は、前記貯留室内の圧力を検出する圧力センサを有する、
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記圧力センサは、前記流路ブロックの前記入口が設けられる面に設けられる、
請求項5に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記流体制御機器は、前記流路ブロックの内部に設けられるヒータを有する、
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項8】
処理容器と、
前記処理容器内に供給される流体を制御する流体制御装置と、
を備え、
前記流体制御装置は、
流路ブロックと、
前記流路ブロックに取り付けられる流体制御機器と、を備え、
前記流路ブロックは、
前記流体が流れ込む入口と該流体を前記処理容器内に流す出口とを有するガス供給流路と、
前記入口と前記出口との間の前記ガス供給流路において前記流体を貯留する貯留室と、
を有し、
前記流体制御機器は、
前記入口と前記貯留室との間の前記ガス供給流路を開閉する第1バルブと、
前記貯留室と前記出口との間の前記ガス供給流路を開閉する第2バルブと、
を有する、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体制御装置及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス供給源から供給されたガスをプロセスチャンバに流すガス供給流路と、ガス供給流路から分岐して真空ポンプに接続される分岐通路とを有し、分岐通路の途中にタンク室を設けたタンク室付ブロックバルブが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-119844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、短時間で大流量の処理ガスを供給できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による流体制御装置は、処理容器内に供給される流体を制御する流体制御装置であって、流路ブロックと、前記流路ブロックに取り付けられる流体制御機器と、を備え、前記流路ブロックは、前記流体が流れ込む入口と該流体を前記処理容器内に流す出口とを有するガス供給流路と、前記入口と前記出口との間の前記ガス供給流路において前記流体を貯留する貯留室と、を有し、前記流体制御機器は、前記入口と前記貯留室との間の前記ガス供給流路を開閉する第1バルブと、前記貯留室と前記出口との間の前記ガス供給流路を開閉する第2バルブと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、短時間で大流量の処理ガスを供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る基板処理装置を示す図である。
図2】実施形態に係る流体制御装置を示す断面図である。
図3】実施形態の第1変形例に係る流体制御装置を示す断面図である。
図4】実施形態の第2変形例に係る流体制御装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
図1を参照し、実施形態に係る基板処理装置について説明する。実施形態に係る基板処理装置は、処理容器内に基板を収容して、基板に対して所定の処理(例えば、成膜処理、エッチング処理)を施す装置である。基板処理装置は、例えば複数の基板に対して一度に処理を行うバッチ式の装置である。基板処理装置は、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の装置であってもよい。
【0010】
基板処理装置は、処理容器1と、ガス供給部2と、排気部3とを備える。基板処理装置では、ガス供給部2により処理容器1内に処理ガスが供給されることで処理容器1内に収容された基板に対して所定の処理が施される。基板処理装置では、処理容器1内に供給された処理ガスが排気部3により排気される。
【0011】
処理容器1は、基板を収容する。処理容器1は、供給ポート11を有し、供給ポート11を介してガス供給部2から処理容器1内に処理ガスが供給される。処理容器1は排気ポート12を有し、排気ポート12を介して処理容器1内から処理ガスが排気される。
【0012】
ガス供給部2は、供給源21と、流体制御装置22と、供給配管23とを有する。供給源21は、処理ガスの供給源21aと、パージガスの供給源21bとを含む。処理ガスの供給源21aは、気化器を含んでよい。処理ガスは、例えばヘキサクロロジシラン(HCD)ガスである。処理ガスは、ジクロロシラン(DCS)ガスであってもよい。パージガスは、例えば窒素(N)ガスである。パージガスは、アルゴン(Ar)ガスであってもよい。供給源21は、酸素含有ガス、窒素含有ガス等の反応ガスの供給源を含んでもよい。流体制御装置22は、処理容器1内に供給される流体を制御する。流体制御装置22の詳細については後述する。供給配管23は、供給ポート11と供給源21とを接続する。ガス供給部2は、供給源21から導入され、流体制御装置22で流量が制御された処理ガスを、供給ポート11を介して処理容器1内に供給する。
【0013】
排気部3は、排気配管31と、APCバルブ32と、真空ポンプ33とを有する。排気配管31は、排気ポート12と真空ポンプ33とを接続する。APCバルブ32は、排気配管31に介設される。APCバルブ32は、排気配管31のコンダクタンスを制御することで排気速度を調整する。真空ポンプ33は、排気配管31を介して処理容器1内を排気する。真空ポンプ33は、例えばドライポンプ、ターボ分子ポンプを含む。
【0014】
〔流体制御装置〕
図1から図4を参照し、実施形態に係る基板処理装置が備える流体制御装置22について説明する。
【0015】
流体制御装置22は、流路ブロック221を有する。流路ブロック221は、略ブロック状に形成される。流路ブロック221は、例えばステンレス鋼等の金属材料により形成される。流路ブロック221は、処理ガス供給流路222と、貯留室223と、排気流路224と、パージガス供給流路225と、測定流路226とを有する。ただし、流路ブロック221は、排気流路224、パージガス供給流路225及び測定流路226を有しなくてもよい。
【0016】
処理ガス供給流路222は、入口222aと、出口222bとを有する。入口222aは、処理ガスの供給源21aからの処理ガスが流れ込むポートである。入口222aは、流路ブロック221の前面(Y軸方向負側)に設けられる。出口222bは、入口222aから流れ込む処理ガスを処理容器1内に流すためのポートである。出口222bは、流路ブロック221の後面(Y軸方向正側)に設けられる。
【0017】
貯留室223は、流路ブロック221内に設けられる。貯留室223は、入口222aと出口222bとの間の処理ガス供給流路222に設けられる。貯留室223は、処理ガス供給流路222を流れる処理ガスを貯留する。貯留室223は、処理ガス供給流路222よりも容積が大きい。
【0018】
排気流路224は、貯留室223に接続される。排気流路224は、貯留室223内の処理ガスを排気する。排気流路224は、排気口224aを有する。排気口224aは、貯留室223内の処理ガスを排気するためのポートである。排気口224aは、流路ブロック221の前面(Y軸方向負側)に設けられる。すなわち、排気口224aは、入口222aと同じ面に設けられる。ただし、図3に示されるように、排気口224aは、流路ブロック221の上面(Z軸方向正側)に設けられてもよい。
【0019】
パージガス供給流路225は、貯留室223と出口222bとの間の処理ガス供給流路222に接続される。パージガス供給流路225は、処理ガス供給流路222にパージガスを供給する。パージガス供給流路225は、入口225aを有する。入口225aは、パージガスの供給源21bからのパージガスが流れ込むポートである。入口225aは、流路ブロック221の上面(Z軸方向正側)に設けられる。ただし、入口225aは、流路ブロック221の前面(Y軸方向負側)に設けられてもよい。
【0020】
測定流路226は、貯留室223に接続される。測定流路226は、測定口226aを有する。測定口226aは、流路ブロック221の入口222aと同じ面に設けられる。ただし、図4に示されるように、測定口226aは、流路ブロック221の出口222bと同じ面に設けられてもよい。
【0021】
流体制御装置22は、流体制御機器227を有する。流体制御機器227は、バルブ227a、227b、227c、227dと、圧力センサ227eと、ヒータ227f、227gとを有する。
【0022】
バルブ227aは、入口222aと貯留室223との間の処理ガス供給流路222を開閉する。バルブ227aを開くと、貯留室223内に処理ガスが流れ込む。バルブ227aを閉じると、貯留室223内への処理ガスの流れ込みが停止される。バルブ227aは、第1バルブの一例である。
【0023】
バルブ227bは、貯留室223と出口222bとの間の処理ガス供給流路222を開閉する。バルブ227bを開くと、貯留室223内から処理容器1内に処理ガスが供給される。バルブ227bを閉じると、貯留室223内から処理容器1内への処理ガスの供給が停止される。バルブ227bは、処理ガス供給流路222とパージガス供給流路225との接続状態を切り換える。バルブ227bは、例えば三方弁である。バルブ227bは、第2バルブの一例である。
【0024】
バルブ227cは、排気流路224を開閉する。バルブ227cを開くと、貯留室223内の処理ガスが排気される。バルブ227cを閉じると、貯留室223内からの処理ガスの排気が停止される。バルブ227cは、第3バルブの一例である。
【0025】
バルブ227dは、パージガス供給流路225を開閉する。バルブ227dを開くと、処理ガス供給流路222内にパージガスが流れ込む。バルブ227dを閉じると、処理ガス供給流路222内へのパージガスの流れ込みが停止される。
【0026】
バルブ227a、227b、227c、227dの各々は、例えばダイヤフラム式バルブである。バルブ227a、バルブ227c、バルブ227d及びバルブ227bは、流路ブロック221の前面(Y軸方向負側)から後面(Y軸方向正側)に向かってこの順に1列に配置される。この場合、流体制御装置22の幅方向(X軸方向)の長さを短くできる。このため、複数の流体制御装置22を幅方向(X軸方向)に並べて配置しやすい。すなわち、拡張性が向上する。
【0027】
圧力センサ227eは、貯留室223内の圧力を検出する。圧力センサ227eは、流路ブロック221の前面(Y軸方向負側)に設けられる。圧力センサ227eは、流路ブロック221の入口222aが設けられる面に設けられる。ただし、図4に示されるように、圧力センサ227eは、流路ブロック221の後面(Y軸方向正側)に設けられてもよい。なお、図4では、ヒータ227fの図示を省略する。
【0028】
ヒータ227fは、流路ブロック221の内部に設けられる。ヒータ227fは、流路ブロック221の後面(Y軸方向正側)から流路ブロック221の内部に挿通され、Y軸方向に沿って流路ブロック221の前面(Y軸方向負側)の近傍まで延びる棒状を有する。ただし、ヒータ227fは、流路ブロック221の前面から流路ブロック221の内部に挿通されてもよい。ヒータ227fは、処理ガス供給流路222を流れる処理ガス及び貯留室223に貯留される処理ガスを加熱する。この場合、処理ガスを貯留する貯留室223が流体制御装置22と別に設けられる場合に比べて、ヒータ227fの数を少なくできる。これにより、温度管理点数が少なくなるため、温度管理が容易となる。このため、温度ばらつきを小さくできる。また、消費電力を低減できる。ヒータ227fは、例えばカートリッジヒータである。
【0029】
ヒータ227gは、圧力センサ227eに取り付けられる。ヒータ227gは、圧力センサ227eを覆う。ヒータ227gは、圧力センサ227eを加熱する。ヒータ227gは、例えばジャケットヒータである。
【0030】
係る流体制御装置22では、バルブ227b、227c、227dを閉状態とし、バルブ227aを開状態とすることで、貯留室223内に処理ガスを貯留できる。係る流体制御装置22では、貯留室223内に処理ガスが貯留された状態で、バルブ227a、227c、227dを閉状態とし、バルブ227bを開状態とすることで、貯留室223内に貯留された処理ガスを短時間で処理容器1内に供給できる。
【0031】
以上に説明したように、実施形態に係る流体制御装置22によれば、流路ブロック221と、流路ブロック221に取り付けられる流体制御機器227とを備える。流路ブロック221は、処理ガス供給流路222と、貯留室223とを有する。処理ガス供給流路222は、処理ガスが流れ込む入口222aと、処理ガスを処理容器1内に流す出口222bとを有する。貯留室223は、入口222aと出口222bとの間の処理ガス供給流路222において処理ガスを貯留する。流体制御機器227は、入口222aと貯留室223との間の処理ガス供給流路222を開閉するバルブ227aと、貯留室223と出口222bとの間の処理ガス供給流路222を開閉するバルブ227bとを有する。この場合、貯留室223とバルブ227bとの距離が近いため、貯留室223とバルブ227bとの間の処理ガス供給流路222の圧力損失が小さくなる。そのため、短時間で大流量の処理ガスを処理容器1内に供給できる。例えば、メモリ向け等の表面積が大きな基板の上に原子層堆積によってシリコン窒化膜を成膜する場合、実施形態に係る流体制御装置22を用いて短時間で大流量の処理ガスを処理容器1内に供給することで、良好な面内均一性や段差被覆性が得られる。
【0032】
また、実施形態に係る流体制御装置22によれば、1つの流路ブロック221内に処理ガス供給流路222及び貯留室223が設けられる構造であるため、切削加工により流路ブロック221を形成できる。このため、複数の流体制御装置22間の寸法ばらつきを小さくできる。
【0033】
また、実施形態に係る流体制御装置22によれば、貯留室223と流体制御機器227とが1つの部品として構成されるので、部品点数を削減できる。これにより、メンテナンス性が向上する。
【0034】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 処理容器
22 流体制御装置
221 流路ブロック
222 処理ガス供給流路
222a 入口
222b 出口
223 貯留室
227 流体制御機器
227a、227b バルブ
図1
図2
図3
図4