(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146185
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】絶縁電線、自動車用ワイヤハーネス、及び樹脂組成物、
(51)【国際特許分類】
H01B 7/02 20060101AFI20241004BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20241004BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01B7/02 F
C08L23/26
C08L23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058934
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人クオリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】長尾 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】浅野 実
(72)【発明者】
【氏名】大菅 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 倫正
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢司
【テーマコード(参考)】
4J002
5G309
【Fターム(参考)】
4J002BB031
4J002BB051
4J002BB201
4J002FD070
4J002FD130
4J002FD140
4J002FD150
4J002FD170
4J002GN00
4J002GQ01
5G309RA05
5G309RA07
(57)【要約】
【課題】
柔軟性と耐摩耗性とを共に高いレベルで達成できる絶縁電線、該絶縁電線を有する自動車用ワイヤハーネス、及び該絶縁電線の製造に用いる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
導体と、該導体の外周を覆う絶縁樹脂層からなる絶縁電線であって、
前記導体の断面積が19.5mm
2以上であり、
前記絶縁樹脂層が、ベース樹脂として密度が0.857~0.908g/cm
3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体の架橋体を含有し、
前記導体の外径に対する前記絶縁樹脂層の外径の比の値[絶縁樹脂層外径/導体外径]が、1.10以上1.40以下であり、かつ前記絶縁樹脂層の厚さが0.7~2.0mmである、絶縁電線。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、該導体の外周を覆う絶縁樹脂層からなる絶縁電線であって、
前記導体の断面積が19.5mm2以上であり、
前記絶縁樹脂層が、ベース樹脂として密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体の架橋体を含有し、
前記導体の外径に対する前記絶縁樹脂層の外径の比の値[絶縁樹脂層外径/導体外径]が、1.10以上1.40以下であり、かつ前記絶縁樹脂層の厚さが0.7~2.0mmである、絶縁電線。
【請求項2】
前記導体の断面積が30mm2以上である、請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項3】
前記導体の外径に対する前記絶縁樹脂層の外径の比の値[絶縁樹脂層外径/導体外径]が、1.10以上1.30以下である、請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁電線を有する、自動車用ワイヤハーネス。
【請求項5】
絶縁電線を構成する絶縁樹脂層の形成に用いるための樹脂組成物であって、
前記絶縁電線が、絶縁電線の導体の断面積が19.5mm2以上であり、
前記樹脂組成物が、ベース樹脂として密度0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体を含有する、樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁電線、自動車用ワイヤハーネス、及び樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のハイブリッド車等の開発の進展に伴い、自動車等に用いられる絶縁電線には従来にも増して、可撓性、硬度、架橋度、耐摩耗性、難燃性、耐寒性及び耐熱性等において優れた特性が要求されるようになっている。これまでに、導体の被覆材として用いることにより難燃性や耐熱性、柔軟性(可とう性)、機械特性を備えた絶縁電線を実現する樹脂組成物が検討され、多くの報告がなされている。このような所望の特性を有する絶縁電線を構成する樹脂組成物として、例えば、特定種のポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体といった樹脂が広く用いられている。
【0003】
ハイブリッド自動車や電気自動車内のモータやインバータ等に用いられる高圧ケーブルは、大電流に対応する観点からいわゆる太径電線が用いられている。狭いスペース内で太径電線を小さな曲げ半径で配線する必要があるため、太径電線の絶縁樹脂層(絶縁樹脂)には高度な柔軟性が求められる。
例えば特許文献1には、素線径が0.15mm以上0.5mm以下の素線からなり断面積が20mm2以上の導体の外周を、難燃剤を含む絶縁樹脂で被覆した電気ケーブルであって、電気ケーブル径/導体径が1.15以上1.40以下であり、前記絶縁樹脂のセカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下であることを特徴とする電気ケーブルが記載されている。特許文献1記載の技術では、樹脂材料としてエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン-エチレンアクリレート共重合体(EEA)等の共重合体を用い、また必要によりゴムを添加した絶縁樹脂が用いられ、従来にない柔軟性を確保することができ、狭いスペース内での配線作業(取り回し)を容易にし、曲げ半径の低減等による省スペース化を可能とできることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太径電線を構成する絶縁樹脂層の柔軟性を向上させるには、例えば上記特許文献1に開示されているように、絶縁電線の絶縁樹脂にゴムを添加することが知られている。しかし、絶縁樹脂にゴムを添加すると耐摩耗性が低下するため、振動、揺動部位において被覆摩耗が生じ、絶縁破壊が発生しやすいという問題がある。絶縁破壊を防ぐためには一定程度、絶縁樹脂層を厚肉とすることが考えられる。しかし、絶縁樹脂層の厚肉化は絶縁電線の柔軟性を低下させる。このように、太径電線における絶縁性と柔軟性の両立を高いレベルで実現することは難しい。
【0006】
上記状況に鑑み、本発明は、柔軟性と耐摩耗性とを共に高いレベルで達成できる絶縁電線、及び該絶縁電線を有する自動車用ワイヤハーネスを提供することを課題とする。また本発明は、上記絶縁電線に柔軟性と耐摩耗性とを高いレベルで付与できる樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ベース樹脂として低密度のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体を有する樹脂組成物を、絶縁樹脂層の形成材料として用いることにより、得られる絶縁電線を、柔軟性と耐摩耗性との両立を高度なレベルで達成したものとできることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至った。
【0008】
すなわち、上記の課題は、以下の手段により解決された。
<1>
導体と、該導体の外周を覆う絶縁樹脂層からなる絶縁電線であって、
前記導体の断面積が19.5mm2以上であり、
前記絶縁樹脂層が、ベース樹脂として密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体の架橋体を含有し、
前記導体の外径に対する前記絶縁樹脂層の外径の比の値[絶縁樹脂層外径/導体外径]が、1.10以上1.40以下であり、かつ前記絶縁樹脂層の厚さが0.7~2.0mmである、絶縁電線。
<2>
前記導体の断面積が30mm2以上である、前記<1>に記載の絶縁電線。
<3>
前記導体の外径に対する前記絶縁樹脂層の外径の比の値[絶縁樹脂層外径/導体外径]が、1.10以上1.30以下である、前記<1>又は<2>に記載の絶縁電線。
<4>
前記<1>~<3>のいずれかに記載の絶縁電線を有する、自動車用ワイヤハーネス。
<5>
絶縁電線を構成する絶縁樹脂層の形成に用いるための樹脂組成物であって、
前記絶縁電線が、絶縁電線の導体の断面積が19.5mm2以上であり、
前記樹脂組成物が、ベース樹脂として密度0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体を含有する、樹脂組成物。
【0009】
本発明において、「~」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の絶縁電線は、柔軟性に優れ、さらに耐摩耗性に優れる。また本発明の自動車用ワイヤハーネスは、自動車用ワイヤハーネスを構成する絶縁電線が、柔軟性に優れ、さらに耐摩耗性にも優れる。さらに本発明の樹脂組成物は、本発明の絶縁電線に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の絶縁電線の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい実施形態を以下に説明するが、本発明は、本発明で規定すること以外は下記の実施形態に限定されるものではない。
[絶縁電線]
本発明の絶縁電線は、導体と、該導体の外周を覆う絶縁樹脂層とを有する。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本発明は、本発明で規定すること以外は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。また、下記の図面を参照して説明する絶縁電線等の説明は、下記の図面に示された形態に限らず、本発明の構成ないし発明特定事項の説明として適用されるものである。
【0013】
図1に、本発明の絶縁電線の一実施形態を示す概略図を示す。
図1に示す絶縁電線1は、複数の素線を撚り合わせてなる同心撚線である導体11と、該導体11の外周を覆う絶縁樹脂層12とを有する。絶縁電線1において、導体11の断面積は19.5mm
2以上である。
図1では、導体11が、7本の素線13が撚り合わされた同心撚線として示されており、素線13の素線数及び素線径は、導体11の上記断面積を満たすように適宜決定される。また絶縁樹脂層12は、ベース樹脂として密度が0.857~0.908g/cm
3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体を含む樹脂組成物を架橋してなる絶縁層である。本発明において「密度が0.857~0.908g/cm
3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体」という場合、「密度が0.857~0.908g/cm
3のポリエチレン樹脂及び密度が0.857~0.908g/cm
3のエチレン・α-オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種」を意味する。
また本発明の絶縁電線1は、導体11の外径(導体外径)をD1とし、絶縁樹脂層12の外径(絶縁樹脂層外径)をD2(D2は絶縁電線1の外径と同義)としたとき、導体外径D1に対する絶縁樹脂層外径D2の比の値(D2/D1)が1.10以上1.40以下に制御されている。
本発明の絶縁電線1は、導体11と絶縁樹脂層12との間に中間層や遮蔽層を有していてもよい。また、導体11と絶縁樹脂層12からなる絶縁電線1を芯線とし、その外側がシースで覆われていてもよく、さらに芯線とシースの間にシールドを有していてもよい。
本発明の絶縁電線1は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車内のモータやインバータ等の電源系統の配線に用いられる。
以下、本発明の絶縁電線に特徴的な構成を説明する。
【0014】
<導体>
本発明の絶縁電線に用いる導体は、導体の長手方向と直交する断面形状が円形又は略円形の導体である。本発明の絶縁電線において、前記導体は、複数の素線からなる集合導体とすることができる。前記集合導体は、複数の素線を束ねて、又は撚り合わせて成る集合導体であることが好ましい。前記集合導体の形状、集合方法等は特に限定されず、例えば前記集合導体を、集合撚線、同心撚線、又は複合撚線(ロープ撚線)としてもよい。前記素線の素線径は、導体の断面積や素線数に応じて適宜設定することができ、例えば0.15mm以上0.5mm以下とすることができ、0.18mm以上0.35mm以下とすることもできる。
導体(ないし該導体を構成する素線)の形状や材質は、一般に自動車用ワイヤハーネスに用いる絶縁電線で用いられている形状、材質であればよい。前記導体(ないし該導体を構成する素線)は、例えば、裸線でも錫メッキ若しくはエナメル被覆したものでもよい。導体や素線を形成する金属材料としては軟銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金等が挙げられる。
【0015】
本発明の絶縁電線は、導体の長手方向に垂直な断面の断面積が19.5mm2以上である太径電線である。本発明の絶縁電線の許容電流をより増加させる観点から、前記断面積は25mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがより好ましく、40mm2以上であることがさらに好ましい。また前記断面積の上限値は特に限定されず、例えば自動車用ワイヤハーネスの軽量化の観点から、120mm2以下とすることもでき、100mm2以下とすることもでき、80mm2以下とすることもできる。
なお、導体の断面積は、導体が集合導体の場合には、集合導体を構成する各素線の断面積を算出し、それらを合計することにより算出することができる。
【0016】
本発明の絶縁電線は、導体の外径(導体外径)をD1とし、絶縁樹脂層の外径(絶縁樹脂層外径)をD2(D2は絶縁電線の外径と同義)としたとき、導体外径D1に対する絶縁樹脂層外径D2の比の値(D2/D1)は上記の通り1.10以上であり、1.15以上であることが好ましく、1.20以上であることがより好ましい。また、当該比の値は上記の通り1.40以下であり、1.35以下であることが好ましく、1.30以下であることがより好ましい。
なお、前記導体が複数の素線からなる集合導体である場合、前記導体の外径D1は、当該集合導体の長手方向に垂直な断面の平面視において、集合導体の外周上のある点から別の点までの長さのうち最大長さとなる距離を、前記外径D1とする。
【0017】
<絶縁樹脂層>
本発明の絶縁電線において、絶縁樹脂層はベース樹脂として、密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体の架橋体を含有する。前記絶縁樹脂層は、少なくとも上記ポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体を有する樹脂組成物を、前記導体の外周上に、均一の厚さとなるように押出成形して、該導体を被覆しながら、又は被覆した後に、架橋処理により架橋することで形成することができる。
【0018】
本発明の絶縁電線は、絶縁樹脂層がベース樹脂として密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体の架橋体を含有することにより耐摩耗性に優れるため、前記絶縁樹脂層の厚さを薄肉化しても、良好な耐摩耗性を維持することができる。前記絶縁樹皮層の厚さは、上記の通り0.7~2.0mmである。電線の柔軟性をより向上させる観点から、前記絶縁樹脂層の厚さは1.8mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.3mm以下であることがさらに好ましい。また、耐摩耗性をより向上させる観点から、前記絶縁樹脂層の厚さは0.8mm以上であることが好ましく、0.9mm以上であることがより好ましく、1.0mm以上であることがさらに好ましい。なお、絶縁樹脂層の厚さの好ましい範囲は、導体外径に応じて適宜設定することができる。
【0019】
また本発明の絶縁電線は、絶縁樹脂層がベース樹脂として密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂またはエチレン・α-オレフィン共重合体の架橋体を含有することにより柔軟性に優れる。なお、より柔軟性を向上させる観点から、前記絶縁樹脂層のセカントモジュラスを、5Pa以上60MPa以下とすることが好ましい。セカントモジュラスの値を上記好ましい範囲内とすることにより、導体サイズの大きな絶縁電線であっても、絶縁電線に柔軟性と取り回し性を付与することができる。
【0020】
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、前記絶縁電線を構成する絶縁樹脂層の形成に用いられるための樹脂組成物(太径電線用樹脂組成物)である。
前記樹脂組成物を構成する各成分(架橋反応前の樹脂組成物の各成分)は、いずれも各成分として1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
以下に、樹脂組成物が含有する各成分を説明する。
【0021】
-樹脂-
前記樹脂組成物は、ベース樹脂として密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体を含有する。前記樹脂の密度は、0.875~0.900g/cm3であることが好ましい。前記樹脂の密度は、JIS K 7112:1999に準拠して決定することができる。
なお、前記ベース樹脂は、樹脂全体として密度が0.857~0.908g/cm3であることが好ましく、0.875~0.900g/cm3であることがより好ましい。例えば、ベース樹脂に複数の樹脂が含まれる場合、前記密度は各樹脂の密度の加重平均値として算出することができる。例えば、密度が0.850g/cm3のエチレン・α-オレフィン共重合体Aを30質量%、密度が0.900g/cm3のエチレン・α-オレフィン共重合体Bを70質量%含有する場合、ベース樹脂全体の密度は[(0.850g/cm3 × 0.3) + (0.900g/cm3 × 0.7) = 0.885g/cm3]と算出することができる。
ベース樹脂中の密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。また前記ベース樹脂に含まれる樹脂が、全て密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体であってもよい。
【0022】
本発明に用いられる前記樹脂は、常法により合成することができ、市販品を用いてもよい。市販品の具体例としては、例えばダウ・ケミカル社製ENGAGEシリーズなどを挙げることができる。
【0023】
前記樹脂組成物中に含まれるベース樹脂の含有量は、30~80質量%とすることができ、40~75質量%とすることもでき、50~75質量%とすることもできる。
【0024】
-難燃剤-
前記樹脂組成物は、難燃剤として臭素化合物(臭素系難燃剤)及びアンチモン化合物(アンチモン系難燃剤)を含有することが好ましい。樹脂組成物中の臭素化合物とアンチモン化合物との量比は、アンチモン元素1モルに対して2~5倍モルの臭素元素量となる量比が好ましい。
前記樹脂組成物中の難燃剤の総含有量は、ベース樹脂の含有量100質量部に対し、20~45質量部であることが好ましい。
【0025】
本発明に難燃剤として用いられる臭素化合物としては、例えば、臭素化N,N’-エチレンビスフタルイミド又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「臭素化N,N’-エチレンビスフタルイミド化合物」と称す。)、N,N’-ビス(ブロモフェニル)テレフタルアミド又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「N,N’-ビス(ブロモフェニル)テレフタルアミド化合物」と称す。)、臭素化ビスフェノール又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「臭素化ビスフェノール化合物」と称す。)、1,2-ビス(ブロモフェニル)アルカン等の有機臭素含有難燃剤が挙げられる。これらの中でも、例えば、臭素化N,N’-エチレンビスフタルイミド及び/又は1,2-ビス(ブロモフェニル)エタンを用いることが好ましい。
前記樹脂組成物に用いる臭素化合物としては、市販の臭素化合物を用いてもよい。市販品としては、例えば、サイテックス8010(商品名、アルベマール社製)が挙げられる。
【0026】
前記樹脂組成物中の臭素化合物の含有量は、難燃性の観点から、ベース樹脂の含有量100質量部に対し、15~30質量部であることが好ましく、20~30質量部であることがより好ましく、24~30質量部であることがさらに好ましい。
【0027】
アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムが挙げられる。アンチモンは塩素(ハロゲン)と反応し、発生したガスが酸素を遮断するため炭化層の生成を促進し、かつフリーラジカルをトラップ(熱分解連鎖反応停止作用)すると考えられている。なかでもより安定した炭化層を形成する観点から、本発明においては、三酸化アンチモンを含有させることが好ましい。
本発明には、市販の三酸化アンチモンを用いてもよい。市販品としては、例えば、PATOX-C(商品名、日本精鉱社製)が挙げられる。
【0028】
前記樹脂組成物がアンチモン化合物を含む場合、難燃性の観点から、ベース樹脂の含有量100質量部に対し、5~15質量部であることが好ましく、8~13質量部であることがより好ましく、10~12質量部であることがさらに好ましい。
【0029】
また前記樹脂組成物は、上記臭素化合物やアンチモン化合物に加え、これら以外にも、絶縁電線の絶縁樹脂層に通常用いることができる難燃剤を含有していてもよい。このような難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムといった金属水酸化物(水酸化物系難燃剤)が挙げられる。前記樹脂組成物が水酸化物系難燃剤を含んでいる場合、ベース樹脂の含有量100質量部に対し、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
【0030】
-酸化防止剤-
前記樹脂組成物は、酸化防止剤(老化防止剤)として、イミダゾール化合物(イミダゾール系酸化防止剤)、フェノール化合物(フェノール系酸化防止剤)、及び/又はチオエーテル化合物(チオエーテル系酸化防止剤)を含有することができる。
上記各酸化防止剤について、以下に説明する。
【0031】
前記イミダゾール化合物(ベンゾイミダゾール骨格を有する化合物)としては、2-スルファニルベンゾイミダゾール、2-スルファニルメチルベンゾイミダゾール、4-スルファニルメチルベンゾイミダゾール、5-スルファニルメチルベンゾイミダゾール及びこれらの亜鉛塩などが挙げられ、2-スルファニルベンゾイミダゾール及びその亜鉛塩が好ましい。
本発明には、市販品のイミダゾール化合物を用いてもよい。市販品としては、例えば、ノクラック MBZ(商品名、大内新興化学工業社製)が挙げられる。
耐熱性や架橋性をより向上させる観点、及び樹脂中への分散性やブリードの発生を抑制する観点から、前記樹脂組成物を構成するベース樹脂の含有量100質量部に対し、前記イミダゾール化合物の含有量は14~24質量部であることが好ましく、16~24質量部であることがより好ましく、16~20質量部であることがさらに好ましい。
【0032】
前記フェノール化合物(フェノール骨格を有する化合物)としては、例えば、トリエチレングリコール-ビス(3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6-ヘキサンジオール-ビス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリチル-テトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5,-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどがあり、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、自動車用ワイヤハーネスに高い耐熱性を付与する観点から、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル基もしくは3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル基を2個以上有するものが好ましく、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸及びペンタエリスリチル-テトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)が特に好ましい。
本発明には、市販のフェノール化合物を用いてもよい。市販品としては、例えば、Irganox 1010(商品名、BASF社製)やアデカスタブAO-20(商品名、ADEKA社製)が挙げられる。
耐熱性や架橋性をより向上させる観点、及びブリードの発生を抑制する観点から、前記樹脂組成物を構成するベース樹脂の含有量100質量部に対し、前記フェノール化合物の含有量は1.0~2.0質量部であることが好ましく、1.5~2.0質量部であることがより好ましい。
【0033】
前記チオエーテル化合物(チオエーテル結合を有する化合物)としては、電線被覆材の酸化防止剤として用いられるチオエーテル化合物を挙げることができる。例えば、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、2,2-ビス{[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル}プロパン-1,3-ジイル ビス[3-ドデシルチオプロピオナート](別名:ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロピルオキシ]メチル]-1,3-プロパンジイル)などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、長期熱安定性の観点から、2,2-ビス{[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル}プロパン-1,3-ジイル ビス[3-ドデシルチオプロピオナート]が好ましい。
本発明には、市販品のチオエーテル化合物を用いてもよい。市販品としては、例えば、アデカスタブAO-412S(商品名、ADEKA社製)が挙げられる。
耐熱性を向上させる観点、及び滑り性を向上させ、架橋阻害を抑制する観点から、前記樹脂組成物を構成するベース樹脂の含有量100質量部に対し、前記チオエーテル化合物の含有量は0.3~0.9質量部であることが好ましく、0.3~0.6質量部であることがより好ましい。
【0034】
また前記樹脂組成物は、上記イミダゾール化合物、フェノール化合物、及びチオエーテル化合物に加え、これら以外の酸化防止剤を含んでいても良い。このような酸化防止剤としては、例えば銅害防止剤や亜鉛化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。亜鉛化合物の具体例としては、硫化亜鉛や酸化亜鉛が挙げられる。
樹脂組成物を構成するベース樹脂の含有量100質量部に対し、酸化防止剤の総含有量は10~35質量部であることが好ましく、15~30質量部であることがより好ましく、20~26質量部であることがさらに好ましい。
【0035】
-架橋助剤-
前記樹脂組成物は、架橋助剤を含有することも好ましい。架橋助剤としては多官能化合物が挙げられ、エチレン性不飽和結合(炭素-炭素二重結合)を分子中に2つ以上(好ましくは3つ以上、より好ましくは3~6つ)有する化合物が好ましい。
架橋助剤の具体例としては、例えばポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル化合物、マレイミド化合物、ジビニル化合物などが挙げられる。
本発明には、市販の架橋助剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、オグモントT200(商品名、新中村化学工業社製)が挙げられる。
前記樹脂組成物は、ベース樹脂の含有量100質量部に対し、架橋助剤を2~6質量部含有することが好ましく、3~5質量部含有することがより好ましい。
【0036】
-加工助剤-
前記脂組成物は、加工助剤を含有することも好ましい。加工助剤の好ましい例として金属石鹸(滑剤)が挙げられる。
本発明に用い得る金属石鹸(滑剤)としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
本発明には、市販品の金属石鹸を用いてもよい。市販品としては、例えば、シナカレッドZS-101(商品名、品川化工社製)が挙げられる。
前記樹脂組成物が滑剤を含む場合、ベース樹脂の含有量100質量部に対し、0.5~2質量部含有することが好ましい。
【0037】
-その他の成分-
また、前記樹脂組成物は、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、例えば分散剤、可塑剤、充填剤、顔料等の成分を含有していてもよい。
【0038】
前記樹脂組成物は、樹脂、酸化防止剤、難燃剤等の各成分、さらに必要に応じて、上述の任意成分を調合し、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式混練機あるいは二軸押出機などの通常用いられる混練装置で溶融混練することにより得ることができる。
【0039】
[自動車用ワイヤハーネス]
本発明ないし本明細書において、自動車用ワイヤハーネスとは、エンジンルーム、インストルメントパネル、ドアの内部など車両各所に環境性能に応じて配策されている電線束の総称である。本発明の自動車用ワイヤハーネスは、本発明の絶縁電線を有する。本発明の絶縁電線は柔軟性に優れ、かつ耐摩耗性に優れるため、本発明の絶縁電線が組み込まれたワイヤハーネスは、自動車への用途として好適に用いることができる。特に、本発明の絶縁電線は、導体の断面積が19.5mm2以上であるため、電動車(電気自動車、ハイブリッド自動車等)の動力系電源回路など、高電圧・大電流用途のワイヤハーネスにも用いることもできる。
【0040】
[自動車用ワイヤハーネスに用いる絶縁電線の製造方法]
本発明の自動車用ワイヤハーネスに用いる絶縁電線は、例えば導体上に前記樹脂組成物を押出被覆して樹脂組成物の層を設け、該樹脂組成物の層に、80~250kGyの電子線を照射する工程を経て得ることができる。この電子線照射により樹脂組成物の層に架橋反応が生じ、絶縁樹脂からなる被覆層(絶縁樹脂層)が形成される。
前記電子線照射による架橋反応は、通常の方法、及び条件で行うことができ、制限するものではない。電子線の照射条件は、照射量80~200kGyが好ましく、80~160kGyがより好ましい。また、加速電圧は300~3000keVであることが好ましく、500~2500keVであることがより好ましい。
また、導体と被覆層、被覆層と被覆層の間に中間層や遮蔽層を設けるなどの多層構造をとってもよい。
【0041】
前記樹脂組成物を押出成形する際の条件は、樹脂組成物を押出することができれば特に限定されないが、押出機(押出成形機)への負荷を低減でき、しかも形状維持性をも確保できる点で、押出温度(ヘッド部)が100~230℃が好ましく、120~200℃がより好ましい。
また、押出成形のその他の条件は目的に応じて適宜に設定できる。
押出機のスクリュー構成は、特に限定されず、通常のフルフライトスクリュー、ダブルフライトスクリュー、先端ダブルフライトスクリュー、マドックスクリュー等を使用できる。
【実施例0042】
本発明を以下の実施例および比較例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
[配合例1~7]
配合例1~7の樹脂組成物を調製するための材料を、下記表1に示す。使用した材料の詳細は下記の通りである。なお、下記(1)~(10)は、下記表1中の(1)~(10)に対応する。
【0044】
<使用材料>
(樹脂)
(1)ENGAGE 8150:商品名、エチレン-オクテン ポリオレフィンエラストマー(密度0.868g/cm3)、ダウ・ケミカル社製
(2)ENGAGE 8452:商品名、エチレン-オクテン ポリオレフィンエラストマー(密度0.875g/cm3)、ダウ・ケミカル社製
(3)ENGAGE 7256:商品名、エチレン-オクテン ポリオレフィンエラストマー(密度0.885g/cm3)、ダウ・ケミカル社製
(4)ENGAGE 8440:商品名、エチレン-オクテン ポリオレフィンエラストマー(密度0.897g/cm3)、ダウ・ケミカル社製
(5)NUC-3195:商品名、エチレン-酢酸ビニル共重合体、コモノマー含量:24質量%、株式会社ENEOS NUC製
【0045】
(臭素系難燃剤)
(6)サイテックス8010(商品名、アルベマール社製)
(三酸化アンチモン)
(7)PATOX-C(商品名、日本精鉱社製)
(酸化防止剤)
(8)ノクラック MBZ(商品名、大内新興化学工業社製)
(架橋助剤)
(9)オグモントT200(商品名、新中村化学工業社製)
(滑剤)
(10)シナカレッドZS-101(商品名、品川化工社製)
【0046】
【0047】
<表の注>
表中の各成分の含有量は質量部である。「-」は該当する成分が含まれないことを意味する。
【0048】
[実施例1~9及び比較例1]
上記配合例1~7の樹脂組成物を用いて、実施例1~9及び比較例1の各絶縁電線を得た。各絶縁電線の製造方法の詳細を下記に示す。
【0049】
(実施例1)
上記表1の配合例1に示す組成に従い、1.7リットルのバンバリーミキサーを用いて180℃で溶融混練し、混合物を排出し、押出機を通して造粒して、樹脂組成物ペレットを得た。
得られた樹脂組成物ペレットを、温度を90~190℃に設定した押出機を用いて、下記表2に記載の銅導体(より数19/素線数13/素線径0.32mm)上に、下記表2に記載の厚さとなるように押出被覆した。形成した樹脂組成物の層を電子線照射により架橋反応させた。こうして、断面積が約20mm2(約20sq)の銅からなる外径約6.5mmの導体の周囲に、約0.90mmの厚さの絶縁樹脂層を有する、実施例1の絶縁電線(仕上がり外径約8.3mm)を得た。なお、電子線による架橋は、加速電圧3000keVにて、160kGyの条件で行った。
【0050】
(実施例2~9、比較例1)
導体の構成、及び用いた樹脂組成物を下記表2に記載のものとした以外は、上記と同様にして、実施例2~9及び比較例1の各絶縁電線を得た。
【0051】
[性能評価]
上記のようにして製造した各絶縁電線を用いて、下記の性能評価を行った。
【0052】
<柔軟性(曲げ剛性)評価>
柔軟性(曲げ剛性)評価方法は、日本工業規格JIS C6870-1-21:2018、19項E17Cに準じた方法で測定した。上記各絶縁電線(試料)を400mmの長さに切り、並行になるように配置した板の間に180度に曲げたケーブル(絶縁電線)を置いて、ケーブルの端を平行な板に固定し、板上にロードセルを置き、曲げ間隔が100mmになるまで曲げたときの最大荷重(N)を測定した。得られた最大荷重を、下記の評価基準に基づき評価した。
なお、ロードセルの0点調整は、試料の取り付け前に行い、試験は室温中で行った。
-評価基準-
〇:最大荷重が20N未満
×:最大荷重が20N以上
【0053】
<耐摩耗性評価>
自動車用電線規格(JASO) D625-2:2022 4.7.2に規定されている方法に基づいて耐摩耗性試験(スクレープ摩耗試験)を実施した。実施例1~9、及び比較例1の各絶縁電線から1mの試料を採取し、片端から、絶縁樹脂層(絶縁体)を25mm取り除いた。この試料に対し、直径0.45mmの針(材質ステンレス鋼)に7Nの荷重を加え、下記の条件で駆動させた。1回の試験終了後、試料を軸方向に100mm動かし、かつ試料の軸を中心に90°回転して固定し、試験を繰り返して針が絶縁体を摩耗して導体に接触するまでのサイクル数を記録した。
-駆動条件-
動作速度:55サイクル/min(1回往復で1サイクルとする。)
針の移動量:20mm
摩耗長さ:15.5mm
試験した際の温度:23℃
針が導体に接触するまでのサイクル回数が750回以上を「〇」評価、750回未満を「×」評価とした。
【0054】
得られた結果を下記表2にまとめて示す。
【0055】
【0056】
ベース樹脂としてエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む樹脂組成物を用いて得られた比較例1の絶縁電線は、柔軟性には優れるものの、耐摩耗性に劣ることが示された。
これに対し、ベース樹脂として密度が0.857~0.908g/cm3のポリエチレン樹脂又はエチレン・α-オレフィン共重合体を含む樹脂組成物を用いて得られた実施例1~9の各絶縁電線は、柔軟性に優れつつ、さらに耐摩耗性にも優れることが示された。