(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146194
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】光導波路構造およびその製造方法、ならびに光半導体装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G02F1/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058954
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 紘士
(72)【発明者】
【氏名】寺田 陽祐
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA28
2K102BA01
2K102BB02
2K102BC10
2K102CA21
2K102DA05
2K102DC07
2K102DD03
2K102EA05
2K102EB02
2K102EB08
2K102EB20
(57)【要約】
【課題】ヒータによる加熱効率が高く、光導波層の品質や信頼性の低下が抑制された光導波路構造およびその製造方法、ならびに光半導体装置を提供すること。
【解決手段】光導波路構造は、基板と、前記基板の積層方向に設けられたメサ状の支持部と、前記支持部の前記積層方向に設けられた高熱抵抗層と、前記高熱抵抗層の前記積層方向に設けられた、光導波層と前記光導波層を前記積層方向に挟むクラッド層とを有するメサ構造部と、前記メサ構造部の前記積層方向に設けられたヒータと、を備え、前記高熱抵抗層は、前記クラッド層よりも熱抵抗が大きく前記積層方向から見た場合に、前記支持部と前記メサ構造部とが、前記積層方向と直交する幅方向にずれている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の積層方向に設けられたメサ状の支持部と、
前記支持部の前記積層方向に設けられた高熱抵抗層と、
前記高熱抵抗層の前記積層方向に設けられた、光導波層と前記光導波層を前記積層方向に挟むクラッド層とを有するメサ構造部と、
前記メサ構造部の前記積層方向に設けられたヒータと、
を備え、
前記高熱抵抗層は、前記クラッド層よりも熱抵抗が大きく、
前記積層方向から見た場合に、前記支持部と前記メサ構造部とが、前記積層方向と直交する幅方向にずれている
光導波路構造。
【請求項2】
前記メサ構造部は、ハイメサ構造を有する
請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項3】
前記支持部は、前記高熱抵抗層の構成材料の熱抵抗と同じ熱抵抗の材料で構成されている
請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項4】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、
前記支持部は、前記メサ構造部に沿って延びている
請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項5】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、
前記支持部は、前記メサ構造部に沿って離間して配置された複数のセグメントからなる
請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項6】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、
前記支持部は、前記メサ構造部の前記幅方向両側において前記メサ構造部に沿って離間して配置された複数のセグメントからなる
請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項7】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、
前記支持部は、前記メサ構造部の前記幅方向両側において前記メサ構造部に沿って離間して配置された複数のセグメントからなり、
前記複数のセグメントは、前記長手方向においてずれている
請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項8】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、
前記支持部は、前記メサ構造部に沿って離間して配置された複数のセグメントからなり、
前記高熱抵抗層は、前記メサ構造部が積層された主部と、前記主部から前記幅方向に前記セグメントの前記積層方向における上部まで延びた支部と、を有する
請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一つに記載の光導波路構造を備える
光半導体装置。
【請求項10】
基板の積層方向にメサ状の支持部を形成し、
前記支持部の前記積層方向に高熱抵抗層を形成し、
前記高熱抵抗層の前記積層方向に、光導波層と前記光導波層を前記積層方向に挟むクラッド層とを有するメサ構造部を形成し、
前記メサ構造部の前記積層方向にヒータを形成し、
前記高熱抵抗層は、前記クラッド層よりも熱抵抗が大きく、
前記積層方向から見た場合に、前記支持部と前記メサ構造部とが、前記積層方向と直交する幅方向にずれるように前記メサ構造部を形成する
光導波路構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路構造およびその製造方法、ならびに光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波長可変レーザ装置において、光導波路構造が備える光導波層の屈折率を、ヒータによって加熱することで変化させて、レーザ発振波長を変化させる技術が知られている(特許文献1)。ヒータによる加熱の効率を高めてヒータの消費電力を抑制するための種々の技術が開示されている。たとえば、熱の拡散を防ぐために光導波層の下に高熱抵抗層を配置したり、光導波層の下に空隙を設けた中空導波路構造にしたりする技術が特許文献2、3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/152274号
【特許文献2】特許第5303580号公報
【特許文献3】特許第6696051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2のように光導波層の下に高熱抵抗層を配置する技術では、断熱効果を高めるために高熱抵抗層を厚くすると、高熱抵抗層の結晶品質が低下し、ひいては光導波層の品質や信頼性も低下する場合があるので、厚膜化には限界がある。また、特許文献3のように光導波層の下に空隙を設ける技術でも、光導波層と下部クラッド層とが幅方向に延びているため、下部クラッド層を介して熱が逃げる虞がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ヒータによる加熱効率が高く、光導波層の品質や信頼性の低下が抑制された光導波路構造およびその製造方法、ならびに光半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、基板と、前記基板の積層方向に設けられたメサ状の支持部と、前記支持部の前記積層方向に設けられた高熱抵抗層と、前記高熱抵抗層の前記積層方向に設けられた、光導波層と前記光導波層を前記積層方向に挟むクラッド層とを有するメサ構造部と、前記メサ構造部の前記積層方向に設けられたヒータと、を備え、前記高熱抵抗層は、前記クラッド層よりも熱抵抗が大きく、前記積層方向から見た場合に、前記支持部と前記メサ構造部とが、前記積層方向と直交する幅方向にずれている光導波路構造である。
【0007】
前記メサ構造部は、ハイメサ構造を有してもよい。
【0008】
前記支持部は、前記高熱抵抗層の構成材料の熱抵抗と同じ熱抵抗の材料で構成されていてもよい。
【0009】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、前記支持部は、前記メサ構造部に沿って延びていてもよい。
【0010】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、前記支持部は、前記メサ構造部に沿って離間して配置された複数のセグメントからなってもよい。
【0011】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、前記支持部は、前記メサ構造部の前記幅方向両側において前記メサ構造部に沿って離間して配置された複数のセグメントからなってもよい。
【0012】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、前記支持部は、前記メサ構造部の前記幅方向両側において前記メサ構造部に沿って離間して配置された複数のセグメントからなり、前記複数のセグメントは、前記長手方向においてずれていてもよい。
【0013】
前記メサ構造部は、前記積層方向および前記幅方向と直交する長手方向に延びており、前記支持部は、前記メサ構造部に沿って離間して配置された複数のセグメントからなり、前記高熱抵抗層は、前記メサ構造部が積層された主部と、前記主部から前記幅方向に前記セグメントの前記積層方向における上部まで延びた支部と、を有してもよい。
【0014】
本発明の一態様は、前記光導波路構造を備える光半導体装置である。
【0015】
本発明の一態様は、基板の積層方向にメサ状の支持部を形成し、前記支持部の前記積層方向に高熱抵抗層を形成し、前記高熱抵抗層の前記積層方向に、光導波層と前記光導波層を前記積層方向に挟むクラッド層とを有するメサ構造部を形成し、前記メサ構造部の前記積層方向にヒータを形成し、前記高熱抵抗層は、前記クラッド層よりも熱抵抗が大きく、前記積層方向から見た場合に、前記支持部と前記メサ構造部とが、前記積層方向と直交する幅方向にずれるように前記メサ構造部を形成する光導波路構造の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヒータによる加熱効率が高く、光導波層の品質や信頼性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る光導波路構造を備えた光半導体装置の模式的な上面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る光導波路構造の模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る光導波路構造での支持部と高熱抵抗層とメサ構造部との位置関係を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る光導波路構造の製造方法を説明する図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る光導波路構造の製造方法を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る光導波路構造の製造方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る光導波路構造での支持部と高熱抵抗層とメサ構造部との位置関係を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態3に係る光導波路構造での支持部と高熱抵抗層とメサ構造部との位置関係を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態4に係る光導波路構造での支持部と高熱抵抗層とメサ構造部との位置関係を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態5に係る光導波路構造での支持部と高熱抵抗層とメサ構造部との位置関係を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態6に係る光導波路構造での支持部と高熱抵抗層とメサ構造部との位置関係を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態7に係る光導波路構造の模式的な断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態7に係る光導波路構造の製造方法を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施形態8に係る光導波路構造の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付し、重複説明を適宜省略している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
また、図中、xyz直交座標系を用いて方向を説明する場合がある。x方向は、幅方向と記載する場合がある。y方向は、積層方向と記載する場合がある。z方向は、長手方向と記載する場合がある。
【0020】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光導波路構造を備えた光半導体装置の模式的な上面図である。光半導体装置100は、光導波路型の波長可変レーザ装置であって、後方ミラー部10と、利得部20と、前方ミラー部30と、光増幅部40と、を備えている。
【0021】
後方ミラー部10と前方ミラー部30とは、光共振器を構成している。利得部20は、後方ミラー部10と前方ミラー部30との間に配置されている。光半導体装置100では、利得部20の発光および光増幅の機能と、光共振器の機能とによってレーザ発振が起こり、レーザ光を出力する。光増幅部40は、いわゆる半導体光増幅器であり、前方ミラー部30から出力されたレーザ光を光増幅して、レーザ光L1として光半導体装置100から出力する。
【0022】
後方ミラー部10と前方ミラー部30とは、たとえばDBRミラーやリング共振器フィルタを備えている。後方ミラー部10と前方ミラー部30を構成する光導波路構造の光導波層をヒータで加熱し、光導波層の屈折率を変化させることで、光半導体装置100はバーニア型の波長可変レーザ装置として機能する。
【0023】
図2は、実施形態1に係る光導波路構造1の模式的な断面図である。光導波路構造1は、基板1aと、支持部1bと、高熱抵抗層1cと、メサ構造部1dと、保護膜1eと、ヒータ1fと、を備えている。
【0024】
基板1aは、積層方向(y方向)に垂直な主表面を有する。基板1aはたとえばn型InPからなる。
【0025】
支持部1bは、基板1aの積層方向に設けられている。支持部1bは、基板1aよりも幅方向(x方向)における幅が狭く、長手方向(z方向)に延びているメサ状の部分である。支持部1bはたとえばn型InPからなる。
【0026】
高熱抵抗層1cは、支持部1bの積層方向に設けられている。高熱抵抗層1cは、支持部1bよりも幅方向における幅が広く、長手方向に延びている。高熱抵抗層1cはたとえばn型InGaAsPからなる。
【0027】
メサ構造部1dは、高熱抵抗層1cの積層方向に設けられている。メサ構造部1dは、高熱抵抗層1cよりも幅方向における幅が狭く、長手方向に延びているメサ状の部分である。
【0028】
メサ構造部1dは、光導波層1dbと、光導波層1dbを積層方向に挟むクラッド層1da、1dcとを有する。光導波層1db、クラッド層1da、1dcは、幅方向において略同じ幅を有する。また、すなわち、光導波層1dbはハイメサ構造を有する。光導波層1dbはたとえばInGaAsPからなる。クラッド層1daはたとえばn型InPからなる。クラッド層1dcはたとえばp型InPからなる。
【0029】
高熱抵抗層1cは、クラッド層1da、1dcよりも熱抵抗が大きい。たとえば、高熱抵抗層1cがInGaAsPからなり、1da、1dcがInPからなるものであれば、高熱抵抗層1cは、クラッド層1da、1dcよりも熱抵抗をたとえば20倍程度以上高くすることができる。
【0030】
保護膜1eは、メサ構造部1dを覆っている。保護膜1eは、半導体からなるメサ構造部1dを保護する機能を有する。保護膜1eはたとえば窒化ケイ素や酸化ケイ素からなる。
【0031】
ヒータ1fは、メサ構造部1dの積層方向に設けられている。ヒータ1fは、メサ構造部1dよりも幅方向における幅が狭く、長手方向に延びている。ヒータ1fは、メサ構造部1dの光導波層1dbを加熱する機能を有する。ヒータ1fはたとえばTi膜、Pt膜、Au膜が積層した構造を有しているが、TiPt膜、Cr膜、NiCr膜を含んでいてもよい。
【0032】
図3は、光導波路構造1での支持部1bと高熱抵抗層1cとメサ構造部1dとの位置関係を示す図であり、
図1を積層方向から見た図に対応する。
図2、3から分かるように、メサ構造部1dは、長手方向に延びており、支持部1bは、メサ構造部1dに沿って延びている。また、積層方向から見た場合に、支持部1bとメサ構造部1dとは、積層方向と直交する幅方向にずれている。
【0033】
以上のように構成された光導波路構造1では、ヒータ1fに電流を流して発熱させると、熱は保護膜1eおよびクラッド層1dcを伝熱して光導波層1dbに達する。これにより、光導波層1dbを加熱してその屈折率が変化させることができる。
【0034】
一方、ヒータ1fからの熱が基板1a側に伝わることは、クラッド層1da、1dcよりも熱抵抗が大きい高熱抵抗層1cによって抑制される。その結果、ヒータ1fによる光導波層1dbの加熱効率は高くなる。
【0035】
さらに、光導波路構造1では、積層方向から見た場合に、支持部1bとメサ構造部1dとが幅方向にずれているので、高熱抵抗層1cをそれほど厚くしなくも、支持部1bとメサ構造部1dとの幅方向のずれを調整することで、高熱抵抗層1cによる断熱効果の程度を調整し、所望の効果を得ることができる。したがって、光導波層1dbの品質や信頼性の低下を抑制できる。
【0036】
(製造方法)
実施形態1に係る光導波路構造の製造方法の一例を、
図4~
図6を参照して説明する。まず、
図4に示すように、基板1a上に、公知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などを用いて犠牲層2aを積層形成する。犠牲層2aは、所定のエッチング剤に対するエッチングレートが、基板1aや支持部1bや高熱抵抗層1cやメサ構造部1dよりも高い材質からなる。犠牲層2aは、たとえばAlInAsPなどからなる。
【0037】
つづいて、
図4に示すように、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて、犠牲層2aにマスク2bを形成し、マスク2bをエッチングマスクとしてエッチングを行い、犠牲層2aに孔2abを形成する。
【0038】
つづいて、
図5に示すように、マスク2bを成長マスクとして、孔2abを埋めるように基板1aに支持部1bを積層形成する。
【0039】
つづいて、
図5に示すように、マスク2bを除去し、支持部1bと犠牲層2aとを覆うように高熱抵抗層1cを積層形成する。
【0040】
つづいて、
図5に示すように、高熱抵抗層1cにクラッド層1da、光導波層1db、クラッド層1dcを順次積層形成する。
【0041】
つづいて、
図6に示すように、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて、クラッド層1da、光導波層1db、クラッド層1dcをメサ状に加工し、メサ構造部1dを形成する。メサ構造部1dは、積層方向から見た場合に、支持部1bとメサ構造部1dとが幅方向にずれるように形成する。
【0042】
つづいて、
図6に示すように、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて、保護膜1eを形成するとともに、高熱抵抗層1cを所定の幅に加工する。
【0043】
その後、犠牲層2aをエッチング除去し、ヒータ1fを形成することによって、
図2に示す構造を作製する。
【0044】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る光導波路構造1Aでの支持部1Abと高熱抵抗層1cとメサ構造部1dとの位置関係を示す図である。実施形態2に係る光導波路構造1Aは、実施形態1に係る光導波路構造1の支持部1bを支持部1Abに置き換えた構成を有する。以下では主に支持部1Abについて説明する。
【0045】
図7に示すように、メサ構造部1dは、長手方向に延びている。また、支持部1Abは、メサ構造部1dに沿って離間して配置された複数(本実施形態では4つ)のセグメント1Ab1からなる。
【0046】
光導波路構造1Aでは、実施形態1に係る光導波路構造1の場合と同様に、光導波層1dbの品質や信頼性の低下を抑制できる。さらに、高熱抵抗層1cと支持部1Abとが接触する面積が光導波路構造1の場合よりも狭いので、ヒータ1fによる光導波層1dbの加熱効率をより高くできる。
【0047】
(実施形態3)
図8は、実施形態3に係る光導波路構造1Bでの支持部1Bbと高熱抵抗層1cとメサ構造部1dとの位置関係を示す図である。実施形態3に係る光導波路構造1Bは、実施形態2に係る光導波路構造1の支持部1Abを支持部1Bbに置き換えた構成を有する。以下では主に支持部1Bbについて説明する。
【0048】
図8に示すように、支持部1Bbは、メサ構造部1dの幅方向両側においてメサ構造部1dに沿って離間して配置された複数(本実施形態では8つ)のセグメント1Bb1、1Bb2からなる。セグメント1Bb1は、メサ構造部1dに対して幅方向(x方向)の負の側に配置されており、セグメント1Bb2は、正の側に配置されている。
【0049】
光導波路構造1Bでは、光導波路構造1、1Aの場合と同様に、光導波層1dbの品質や信頼性の低下を抑制でき、ヒータ1fによる光導波層1dbの加熱効率を高くできる。さらに、支持部1Bbが高熱抵抗層1cを支持する面積が光導波路構造1Aの場合よりも広いので、光導波路構造1Bの強度をより高くできる。
【0050】
(実施形態4)
図9は、実施形態4に係る光導波路構造1Cでの支持部1Cbと高熱抵抗層1cとメサ構造部1dとの位置関係を示す図である。実施形態4に係る光導波路構造1Cは、実施形態3に係る光導波路構造1Bの支持部1Bbを支持部1Cbに置き換えた構成を有する。以下では主に支持部1Cbについて説明する。
【0051】
図9に示すように、支持部1Cbは、メサ構造部1dの幅方向両側においてメサ構造部1dに沿って離間して配置された複数(本実施形態では8つ)のセグメント1Cb1、1Cb2からなる。セグメント1Cb1は、メサ構造部1dに対して幅方向の負の側に配置されており、セグメント1Cb2は、正の側に配置されている。さらに、セグメント1Cb1、1Cb2は、長手方向においてずれている。すなわち、セグメント1Cb1、1Cb2は、長手方向において、メサ構造部1dに対して幅方向の負の側と正の側とで交互に配置されている。
【0052】
光導波路構造1Cでは、光導波路構造1、1A、1Bの場合と同様に、光導波層1dbの品質や信頼性の低下を抑制でき、ヒータ1fによる光導波層1dbの加熱効率を高くできる。さらに、セグメント1Cb1、1Cb2が長手方向においてずれているので、光導波路構造1Bの場合と比較して、光導波層1dbの温度が長手方向においてより均一になる。
【0053】
(実施形態5)
図10は、実施形態5に係る光導波路構造1Dでの支持部1Dbと高熱抵抗層1Dcとメサ構造部1dとの位置関係を示す図である。実施形態5に係る光導波路構造1Dは、実施形態3に係る光導波路構造1Bの支持部1Bbと高熱抵抗層1cとを支持部1Dbと高熱抵抗層1Dcとに置き換えた構成を有する。以下では主に支持部1Dbと高熱抵抗層1Dcとについて説明する。
【0054】
図10に示すように、支持部1Dbは、メサ構造部1dの幅方向両側においてメサ構造部1dに沿って離間して配置された複数(本実施形態では8つ)のセグメント1Db1、1Db2からなる。セグメント1Db1は、メサ構造部1dに対して幅方向の負の側に配置されており、セグメント1Db2は、正の側に配置されている。
【0055】
また、高熱抵抗層1Dcは、メサ構造部1dが積層された主部1Dc1と、主部1Dc1から幅方向にセグメント1Db1、1Db2の積層方向における上部まで延びた支部1Dc2と、を有する。ここで、主部1Dc1の幅方向における幅は、メサ構造部1dの幅方向における幅と略等しい。また、支部1Dc2の長手方向における幅は、セグメント1Db1、1Db2の長手方向における幅と略等しい。
【0056】
光導波路構造1Dでは、光導波路構造1、1A、1B、1Cの場合と同様に、光導波層1dbの品質や信頼性の低下を抑制できる。さらに、高熱抵抗層1Dcが、メサ構造部1dが積層された主部1Dc1からセグメント1Db1、1Db2まで支部1Dc2が延びている構造なので、メサ構造部1dからセグメント1Db1、1Db2までの熱抵抗をさらに大きくすることができる。その結果、ヒータ1fによる光導波層1dbの加熱効率をより高くできる。
【0057】
(実施形態6)
図11は、実施形態6に係る光導波路構造1Eでの支持部1Ebと高熱抵抗層1Ecとメサ構造部1dとの位置関係を示す図である。実施形態6に係る光導波路構造1Eは、実施形態3に係る光導波路構造1Cの支持部1Cbと高熱抵抗層1cとを支持部1Ebと高熱抵抗層1Ecとに置き換えた構成を有する。以下では主に支持部1Ebと高熱抵抗層1Ecとについて説明する。
【0058】
図11に示すように、支持部1Ebは、メサ構造部1dの幅方向両側においてメサ構造部1dに沿って離間して配置された複数(本実施形態では8つ)のセグメント1Eb1、1Eb2からなる。セグメント1Eb1は、メサ構造部1dに対して幅方向の負の側に配置されており、セグメント1Eb2は、正の側に配置されている。さらに、セグメント1Eb1、1Eb2は、長手方向においてずれている。すなわち、セグメント1Eb1、1Eb2は、長手方向において、メサ構造部1dに対して幅方向の負の側と正の側とで交互に配置されている。
【0059】
また、高熱抵抗層1Ecは、メサ構造部1dが積層された主部1Ec1と、主部1Ec1から幅方向にセグメント1Eb1、1Eb2の積層方向における上部まで延びた支部1Ec2と、を有する。ここで、主部1Ec1の幅方向における幅は、メサ構造部1dの幅方向における幅と略等しい。また、支部1Ec2の長手方向における幅は、セグメント1Eb1、1Eb2のの長手方向における幅と略等しい。
【0060】
光導波路構造1Eでは、光導波路構造1、1A、1B、1C、1Dの場合と同様に、光導波層1dbの品質や信頼性の低下を抑制できる。さらに、高熱抵抗層1Ecが、メサ構造部1dが積層された主部1Ec1からセグメント1Eb1、1Eb2まで支部1Ec2が延びている構造なので、メサ構造部1dからセグメント1Eb1、1Eb2までの熱抵抗をさらに大きくすることができる。その結果、ヒータ1fによる光導波層1dbの加熱効率をより高くできる。さらに、セグメント1Eb1、1Eb2が長手方向においてずれているので、光導波路構造1Dの場合と比較して、光導波層1dbの温度が長手方向においてより均一になる。
【0061】
また、光導波路構造1D、1Eでは、その製造時には、犠牲層2aを除去するためのエッチング剤が犠牲層2aに到達しやすいような高熱抵抗層の形状なので、犠牲層2aを除去するためのプロセスウィンドウが広いというメリットがある。
【0062】
一方、光導波路構造1D、1Eでは、その製造時には、高熱抵抗層を所望の形状とするためのエッチングなどの加工プロセスを省略できるので、高熱抵抗層を加工するためのプロセスウィンドウが広いというメリットがある。
【0063】
(実施形態7)
図12は、実施形態7に係る光導波路構造1Fの模式的な断面図である。光導波路構造1Fは、実施形態1に係る光導波路構造1における支持部1bおよび高熱抵抗層1cを、支持部1Fbおよび高熱抵抗層1Fcに置き換えた構成を有する。
【0064】
支持部1Fbは、基板1aよりも幅方向における幅が狭く、長手方向に延びているメサ状の部分である。高熱抵抗層1Fcは、支持部1Fbよりも幅方向における幅が広く、長手方向に延びている。支持部1Fbおよび高熱抵抗層1Fcはたとえばn型InGaAsPからなる。支持部1Fbは、高熱抵抗層の構成材料の熱抵抗と同じ熱抵抗の材料で構成されている支持部の一例である。
【0065】
光導波路構造1Fでは、光導波路構造1、1A、1B、1C、1D、1Eの場合と同様に、光導波層1dbの品質や信頼性の低下を抑制できる。さらに、支持部1Fbの熱抵抗が高いので、メサ構造部1dから基板1aまでの熱抵抗をさらに大きくすることができる。その結果、ヒータ1fによる光導波層1dbの加熱効率をより高くできる。
【0066】
実施形態7に係る光導波路構造1Fの製造方法の一例を
図13を参照してい説明する。まず、
図4を参照して説明したプロセスと同様に、基板1a上に犠牲層2a、マスク2bを順次形成し、エッチングを行って犠牲層2aに孔2abを形成する。
【0067】
つづいて、
図13に示すように、マスク2bを除去した後、孔2abを埋めるように基板1aに支持部1Fbを形成し、続いて支持部1Fbと犠牲層2aとを覆うように高熱抵抗層1Fcを積層形成する。その後は、
図5、6を参照して説明したプロセスを行って、
図12に示す構造を作製する。
【0068】
(実施形態8)
図14は、実施形態8に係る光導波路構造1Gの模式的な断面図である。光導波路構造1Gは、実施形態1に係る光導波路構造1におけるメサ構造部1dを、メサ構造部1Gdに置き換えた構成を有する。
【0069】
メサ構造部1Gdは、高熱抵抗層1cの積層方向に設けられている。メサ構造部1Gdは、高熱抵抗層1cよりも幅方向における幅が狭く、長手方向に延びているメサ状の部分である。また、積層方向から見た場合に、支持部1bとメサ構造部1Gdとが幅方向にずれている。
【0070】
メサ構造部1Gdは、光導波層1Gdbと、光導波層1Gdbを積層方向に挟むクラッド層1Gda、1Gdcとを有する。光導波層1Gdbは、クラッド層1Gdaと略同じ幅を有し、クラッド層1Gdcは、光導波層1Gdbよりも幅が狭い。すなわち、光導波層1dbはリッジ構造を有する。光導波層1GdbはたとえばInGaAsPからなる。クラッド層1Gdaはたとえばn型InPからなる。クラッド層1Gdcはたとえばp型InPからなる。
【0071】
光導波路構造1Gでも、メサ構造部がハイメサ構造を有する他の実施形態に係る光導波路構造の場合と同様に、光導波層1Gdbの品質や信頼性の低下を抑制できる。さらに、ヒータ1fによる光導波層1Gdbの加熱効率を高くできる。
【0072】
なお、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。たとえば、実施形態2~7に係る光導波路構造のメサ構造部を実施形態8のようなリッジ構造としてもよい。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G:光導波路構造
1a、1Aa、:基板
1b、1Ab、1Bb、1Cb、1Db、1Eb、1Fb:支持部
1c、1Dc、1Ec、1Fc:高熱抵抗層
1d、1Gd:メサ構造部
1da、1dc、1Gda、1Gdc:クラッド層
1db、1Gdb:光導波層
1e :保護膜
1f :ヒータ
2a :犠牲層
2ab :孔
2b :マスク
1Ab1、1Bb1、1Bb2、1Cb1、1Cb2、1Db1、1Db2、1Eb1、1Eb2:セグメント
1Dc1、1Ec1:主部
1Dc2、1Ec2:支部
10 :後方ミラー部
20 :利得部
30 :前方ミラー部
40 :光増幅部
100 :光半導体装置
L1 :レーザ光