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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146311
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】プローバ及び温度測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20241004BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20241004BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01K1/14 L
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059126
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田邨 拓郎
【テーマコード(参考)】
2F056
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
2F056CL06
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD10
4M106DD23
4M106DH14
4M106DJ02
4M106DJ07
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA42
5F131DA20
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131EA02
5F131EB01
5F131HA28
5F131JA14
5F131JA15
5F131KA23
(57)【要約】
【課題】ウェーハチャックの温度測定における自動化が実現される、プローバ及び温度測定方法を提供する。
【解決手段】ウェーハチャック(18)へプローブカードを受け渡す搬送装置(16)を用いて、プローブカードを搬送する際のプローブカードが支持される位置に支持可能な1つ以上の温度センサ(72)を備える温度測定治具(70)を支持し、搬送装置が温度測定治具を支持した状態で1つ以上の温度センサをウェーハチャックの被測定面へ接触させる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハに対する電気試験を実施するプローバであって、
前記ウェーハを支持するウェーハチャックと、
前記ウェーハチャックへプローブカードを受け渡す搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する搬送制御部と、
を備え、
前記搬送装置は、前記ウェーハチャックの温度測定を実施する際に、前記プローブカードを搬送する際の前記プローブカードが支持される位置に支持可能な1つ以上の温度センサを備える温度測定治具を支持し、
前記搬送制御部は、前記搬送装置が前記温度測定治具を支持した状態で、前記1つ以上の温度センサを前記ウェーハチャックの被測定面へ接触させる、前記搬送装置の動作制御を実施するプローバ。
【請求項2】
前記搬送装置は、前記1つ以上の温度センサから送信される前記ウェーハチャックの温度測定データを収集する測定データ収集装置が取り付けられる請求項1に記載のプローバ。
【請求項3】
前記搬送装置は、本体から外部へ延びるアームの先端に前記温度測定治具を支持し、
前記測定データ収集装置は、前記1つ以上の温度センサのそれぞれと電気配線を用いて電気接続され、
前記電気配線は、前記アームを用いて支持される請求項2に記載のプローバ。
【請求項4】
前記1つ以上の温度センサは、前記ウェーハチャックの被測定面に対して面接触させる接触子を備えた請求項1に記載のプローバ。
【請求項5】
ウェーハに対する電気試験を実施するプローバにおいて、前記ウェーハを支持するウェーハチャックの温度を測定する温度測定方法であって、
前記ウェーハチャックへプローブカードを受け渡す搬送装置を用いて、前記プローブカードを搬送する際の前記プローブカードが支持される位置に支持可能な1つ以上の温度センサを備える温度測定治具を搬送し、
前記搬送装置が前記温度測定治具を支持した状態で、前記1つ以上の温度センサを前記ウェーハチャックの被測定面へ接触させる温度測定方法。
【請求項6】
前記1つ以上の温度センサから送信される前記ウェーハチャックの温度測定データを収集する請求項5に記載の温度測定方法。
【請求項7】
ウェーハに対する電気試験を実施するプローバであって、
前記ウェーハを支持するウェーハチャックと、
前記ウェーハチャックの位置を調整するアライメント装置と、
前記アライメント装置の動作を制御するアライメント制御部と、
前記電気試験の際にプローブカードが取り付けられるヘッドステージと、
を備え、
前記ヘッドステージは、前記ウェーハチャックの温度測定の際に前記電気試験の際の前記プローブカードの取付位置に取付可能な1つ以上の温度センサを備える温度測定治具が取り付けられ、
前記アライメント制御部は、前記1つ以上の温度センサを前記ウェーハチャックの被測定面へ接触させる前記アライメント装置の動作制御を実施するプローバ。
【請求項8】
前記ヘッドステージに対して前記ウェーハチャックを固定する固定部材を備えた請求項7に記載のプローバ。
【請求項9】
前記ウェーハチャックの温度測定の際に前記ヘッドステージが配置される温度測定位置と、前記ヘッドステージに対して前記温度測定治具が取付られる際に前記ヘッドステージが配置されるメンテナンス位置との間を、前記ヘッドステージを移動させるヘッドステージ移動機構を備えた請求項7に記載のプローバ。
【請求項10】
前記1つ以上の温度センサは、前記ウェーハチャックの被測定面に対して面接触させる接触子を備えた請求項7に記載のプローバ。
【請求項11】
ウェーハに対する電気試験を実施するプローバにおいて、前記ウェーハを支持するウェーハチャックの温度を測定する温度測定方法であって、
前記電気試験の際のヘッドステージにおけるプローブカードの取付位置に取付可能な1つ以上の温度センサを備える温度測定治具が取り付けられ、
前記1つ以上のセンサを前記ウェーハチャックの被接触面へ接触させる温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハに形成された半導体チップの電気的特性の検査に適用されるプローバ及び温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プローバにおける温度校正は、装置の納入の際及び装置の定期的なメンテナンスの際に実施される。温度校正では、測定に適用される温度帯ごとに、ヘッドステージに対して作業者が温度測定治具を搭載し、温度測定が実施される。また、温度測定では、作業者が測定データを取得し、コンピュータを動作させてマクロを実行して補正テーブルを作成し、かつ、作成された補正テーブルを作業者が装置に対してインストールしている。作業者は、装置に対して補正テーブルをインストールした後に、正しい値を用いて温度制御が実施されているかの確認を実施する。
【0003】
特許文献1は、プローブカードと交換されるプローブカード型温度センサを用いて、ウェーハチャックの温度測定を実施するプローバが記載される。同文献に記載のプローブカード型温度センサをテストヘッドへ搭載する際に、テストヘッドに対して取り付けられるプローブカード用のポゴフレームが専用ポゴフレームへ交換され、専用ポゴフレームを用いてプローブカード型温度センサがテストヘッドに対して支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-50389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来は、各温度帯においてローダの内部へ作業者が入り、温度測定の対象とされるウェーハチャックが配置されるヘッドステージのセンタシャッタを開放して、温度測定治具を搭載していた。そうすると、測定温度がマイナス40℃等の低温の場合には結露のおそれがある。また、測定温度が120℃等の高温の場合には作業者のやけど等のおそれがある。更に、作業時間が長くなるとヘッドステージの内部温度に対する影響が懸念される。
【0006】
また、温度帯ごとに温度測定が実施されるので、温度設定が変更された際に温度が安定した後に、設定後の温度帯における測定が実施される。そうすると、温度が安定するまでの待ち時間が発生する。待ち時間は数時間にわたる場合があり得る。更に、測定データの取得及び補正テーブルのインストールなどは作業者が実施しており、作業工数が膨大となる。
【0007】
特許文献1に記載のプローバは、プローブカード型温度センサがテストヘッドへ搭載される工程とは別に、ポゴフレームが交換される工程が実行されるので、工数の増加及び作業時間の長時間化が懸念される。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ウェーハチャックの温度測定における自動化が実現される、プローバ及び温度測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様に係るプローバは、ウェーハに対する電気試験を実施するプローバであって、ウェーハを支持するウェーハチャックと、ウェーハチャックへプローブカードを受け渡す搬送装置と、搬送装置の動作を制御する搬送制御部と、を備え、搬送装置は、ウェーハチャックの温度測定を実施する際に、プローブカードを搬送する際のプローブカードが支持される位置に支持可能な1つ以上の温度センサを備える温度測定治具を支持し、搬送制御部は、搬送装置が温度測定治具を支持した状態で、1つ以上の温度センサをウェーハチャックの被測定面へ接触させる、搬送装置の動作制御を実施するプローバである。
【0010】
本開示の第1態様に係るプローバによれば、1つ以上温度センサを備え、搬送装置を用いて搬送される温度測定治具を用いて温度測定が実施される。これにより、ウェーハチャックの温度測定の自動化が実現される。
【0011】
第2態様に係るプローバは、第1態様のプローバにおいて、搬送装置は、1つ以上の温度センサから送信されるウェーハチャックの温度測定データを収集する測定データ収集装置が取り付けられてもよい。
【0012】
かかる態様において、測定データ収集装置はプローバの制御装置へウェーハチャックの温度測定データを送信してもよい。プローバの制御装置は、ウェーハチャックの温度測定データに基づき、ウェーハチャックの温度制御に適用される温度校正テーブルを生成してもよい。
【0013】
第3態様に係るプローバは、第1態様又は第2態様のプローバにおいて、搬送装置は、本体から外部へ延びるアームの先端に温度測定治具を支持し、測定データ収集装置は、1つ以上の温度センサのそれぞれと電気配線を用いて電気接続され、電気配線は、アームを用いて支持されてもよい。
【0014】
かかる態様によれば、温度測定治具、電気配線及び測定データ収集装置が搬送装置へ一体に収納される。これにより、電気配線の断線、温度測定治具及び測定データ収集装置と、電気配線との接続異常の発生が抑制される。
【0015】
第4態様に係るプローバは、第1態様から第3態様のいずれか一態様のプローバにおいて、1つ以上の温度センサは、ウェーハチャックの被測定面に対して面接触させる接触子を備えてもよい。
【0016】
かかる態様によれば、被測定面に対して点接触される接触子を備える温度センサと比較して、温度測定における外乱に対する一定のロバスト性が確保される。
【0017】
本開示の第5態様に係る温度測定方法は、ウェーハに対する電気試験を実施するプローバにおいて、ウェーハを支持するウェーハチャックの温度を測定する温度測定方法であって、ウェーハチャックへプローブカードを受け渡す搬送装置を用いて、プローブカードを搬送する際のプローブカードが支持される位置に支持可能な1つ以上の温度センサを備える温度測定治具を搬送し、搬送装置が温度測定治具を支持した状態で、1つ以上の温度センサをウェーハチャックの被測定面へ接触させる温度測定方法である。
【0018】
本開示の第5態様に係る温度測定方法によれば、本開示の第1態様に係るプローバと同様の作用効果を得ることが可能である。
【0019】
本開示の第5態様に係る温度測定方法において、第2態様から第4態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、プローバにおいて特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う温度測定方法の構成要素として把握することができる。
【0020】
第6態様に係る温度測定方法は、第5態様の温度測定方法において、1つ以上の温度センサから送信される前記ウェーハチャックの温度測定データを収集してもよい。
【0021】
本開示の第7態様に係るプローバは、ウェーハに対する電気試験を実施するプローバであって、ウェーハを支持するウェーハチャックと、ウェーハチャックの位置を調整するアライメント装置と、アライメント装置の動作を制御するアライメント制御部と、電気試験の際にプローブカードが取り付けられるヘッドステージと、を備え、ヘッドステージは、ウェーハチャックの温度測定の際に電気試験の際のプローブカードの取付位置に対して取付可能な1つ以上の温度センサを備える温度測定治具が取り付けられ、アライメント制御部は、1つ以上の温度センサをウェーハチャックの被測定面へ接触させるアライメント装置の動作制御を実施するプローバである。
【0022】
本開示の第7態様に係るプローバによれば、本開示の第1態様に係るプローバと同様の作用効果を得ることが可能である。
【0023】
第8態様に係るプローバは、第7態様のプローバにおいて、ヘッドステージに対してウェーハチャックを固定する固定部材を備えてもよい。
【0024】
かかる態様によれば、ウェーハチャックの温度測定が実施される際に、ヘッドステージからのウェーハチャックの脱落が抑制される。
【0025】
かかる態様において、ヘッドステージに対して固定部材を移動可能の支持する固定装置を備えてもよい。固定装置は、固定部材を支持するガイド及び固定部材の駆動源を備え得る。
【0026】
第9態様に係るプローバは、第7態様又は第8態様のプローバにおいて、ウェーハチャックの温度測定の際にヘッドステージが配置される温度測定位置と、ヘッドステージに対して温度測定治具が取付られる際にヘッドステージが配置されるメンテナンス位置との間を、ヘッドステージを移動させるヘッドステージ移動機構を備えてもよい。
【0027】
かかる態様において、ヘッドステージ移動機構の位置をロックするロック機構を備えてもよい。
【0028】
第10態様に係るプローバは、第7態様から第9態様のいずれか一態様のプローバにおいて、1つ以上の温度センサは、ウェーハチャックの被測定面に対して面接触させる接触子を備えてもよい。
【0029】
かかる態様によれば、被測定面に対して点接触される接触子を備える温度センサと比較して、温度測定における外乱に対する一定のロバスト性が確保される。
【0030】
本開示の第11態様に係る温度測定方法は、ウェーハに対する電気試験を実施するプローバにおいて、ウェーハを支持するウェーハチャックの温度を測定する温度測定方法であって、電気試験の際のヘッドステージにおけるプローブカードの取付位置に取付可能な1つ以上の温度センサを備える温度測定治具が取り付けられ、1つ以上のセンサをウェーハチャックの被測定面へ接触させる温度測定方法である。
【0031】
本開示の第11態様に係る温度測定方法において、第7態様から第10態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、プローバにおいて特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う温度測定方法の構成要素として把握することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、1つ以上温度センサを備え、搬送装置を用いて搬送される温度測定治具を用いて温度測定が実施される。これにより、ウェーハチャックの温度測定の自動化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施形態に係るプローバの概略構成を示す斜視図である。
図2図1に示すプローバをメンテナンスエリアの側から見た斜視図である。
図3】測定室の内部構造の例を示す部分拡大斜視図である。
図4】搬送ユニットの斜視図であり、ウェーハが搭載される状態を示す図である。
図5】搬送ユニットの斜視図であり、プローブカードが搭載される状態を示す図である。
図6】搬送ユニットに使用状態を示す断面図であり、ウェーハが搬送される状態を示す模式図である。
図7】搬送ユニットの使用状態を示す断面図であり、プローブカードが搬送される状態を示す模式図である。
図8】ヘッドステージへのプローブカードの取付状態を示す模式図である。
図9】ヘッドステージとウェーハチャックとが連結される状態の説明図である。
図10】プローバに適用される電気試験の模式図である。
図11】従来技術に係るウェーハチャックの温度測定が実施される状態を示す模式図である。
図12】第1実施形態に係るウェーハチャックの温度測定方法が実施される状態を示す斜視図である。
図13図1に示すプローバの電気的構成を示す機能ブロック図である。
図14】第1実施形態に係る温度測定方法の手順を示すフローチャートである。
図15】第2実施形態に係るプローバに適用される温度測定治具がヘッドステージへ搭載される状態を示す斜視図である。
図16図15に示すヘッドステージの構成例を示す部分断面図を含む斜視図である。
図17図15に示すヘッドステージに具備されるチャック固定装置の構成例を示す部分断面図を含む斜視図である。
図18図17に示すチャック固定装置の平面図である。
図19】第2実施形態に係るプローバの電気的構成を示す機能ブロック図である。
図20】温度センサの具体例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明については、適宜、省略される。
【0035】
[第1実施形態に係るプローバの構成例]
図1は、第1実施形態に係るプローバの概略構成を示す斜視図である。同図には、プローバ10の外周を覆うパネルが外される状態など、プローバ10の内部構造が可視化された状態が図示される。プローバ10は、搬送物収納部12、複数の測定室14、搬送ユニット16及び移動装置22を備える。搬送物収納部12と複数の測定室14との間には、搬送エリアA1が配置され、搬送エリアA1には、搬送ユニット16が配置される。複数の測定室14の搬送エリアA1の反対側には、メンテナンスエリアA2が配置される。
【0036】
図1に示すX、Y及びZのそれぞれは、3次元直交座標系を構成する各軸を表す。本実施形態では、プローバ10が設置される面に規定される直交する2軸をX軸及びY軸とし、プローバ10が設置される面と直交する軸をZ軸とする。
【0037】
複数の測定室14は、X軸方向及びZ軸方向に2次元配置される。また、搬送物収納部12、搬送エリアA1、複数の測定室14及びメンテナンスエリアA2は、Y軸方向に沿って配置される。
【0038】
搬送物収納部12は、複数のウェーハが収納されるウェーハ収納部12a及び複数のプローブカードPCが収納されるプローブカード収納部12bを備える。搬送物収納部12は、複数のウェーハ収納部12a又は複数のプローブカード収納部12bがX軸に沿って配置される。なお、ウェーハ収納部12a及びプローブカード収納部12bの数及び配置は図示の例に限定されず、適宜、設定し得る。図1ではウェーハの図示は省略される。ウェーハは符号Wが付され、図4に図示される。
【0039】
搬送物収納部12は、Y軸方向における一方の端から作業者がアクセスすることができ、Y軸方向における他方の端から搬送ユニット16がアクセスできる構造を有している。搬送物収納部12は、ウェーハの回収等の際にY軸方向における一方の端において作業者がアクセスする。
【0040】
複数の測定室14のそれぞれは、X軸方向に延びる複数のフレーム、Y軸方向に延びる複数のフレーム及びZ軸方向に延びる複数のフレームを用いて区画される直方体形状を有する。直方体形状の測定室14は、プローバ室と称され得る。測定室14の内部には、ウェーハチャック18、ヘッドステージ20及びテストヘッドが配置される。なお、図1ではテストヘッドの図示が省略される。テストヘッドは符号44が付され、図2等に図示される。
【0041】
測定室14における搬送エリアA1の側には、第1開口14aが形成される。第1開口14aは、搬送ユニット16を用いて搬送されるウェーハ及びプローブカードPCの測定室14への出入口として機能する。各測定室14は、第1開口14aを開閉させるセンタシャッタが取り付けられる。なお、センタシャッタは符号14dが付され、図13に図示される。
【0042】
測定室14は、ヘッドステージ20とウェーハチャック18との位置合わせを行うアライメント装置を備える。また、測定室14は、X方向に並ぶ4つの測定室14の間において、アライメント装置を移動させる移動機構を備える。なお、アライメント装置は符号38が付され、図7に図示される。また、アライメント装置を移動させる移動機構の図示は省略される。
【0043】
ヘッドステージ20は、ポゴフレームを備える。ポゴフレームは、ヘッドステージ20に具備される位置決め機構を用いてヘッドステージ20に対して位置決めされ、ヘッドステージ20のZ軸方向の上側からヘッドステージ20へ搭載される。
【0044】
ポゴフレームは、テストヘッドと電気接続され、テストヘッドから伝送される試験信号を、プローブカードに具備されるプローブ針を介してウェーハに形成される半導体チップへ伝送する。ポゴフレームは、試験対象のウェーハの種類に応じて交換される。なお、図1ではポゴフレームの図示は省略される。ポゴフレームは、符号46が付され、図9に図示される。
【0045】
測定室14に具備されるテストヘッドは、試験対象のウェーハに対して試験信号を送信し、ウェーハから送信される信号を受信する。
【0046】
搬送ユニット16は、搬送物収納部12からウェーハ又はプローブカードPCのいずれかである搬送物を受け取り、第1開口14aを介して測定室14へ搬送物を受け渡す。また、搬送ユニット16は、第1開口14aを介して測定室14から搬送物を受け取り、搬送物収納部12へ搬送物を受け渡す。
【0047】
搬送ユニット16は、X軸方向及びZ軸方向について移動自在に支持される。すなわち、搬送ユニット16は、X軸方向について搬送ユニット16を移動させるX軸移動装置を用いて支持され、かつ、Z軸方向について搬送ユニット16を移動させるZ軸移動装置を用いて支持される。これにより、搬送ユニット16は、複数の測定室14の全てに対してアクセスが可能とされる。
【0048】
図1には、プローブカード保持アーム16cの先端にプローブカードPCが保持される2つの搬送ユニット16が図示される。搬送ユニット16の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0049】
移動装置22は、X軸方向について搬送ユニット16を移動させるX軸移動装置及び、Z軸方向について搬送ユニット16を移動させるZ軸移動装置が含まれる。移動装置22は、X軸方向へ搬送ユニット16を移動させ、かつ、Z軸方向について搬送ユニット16を移動させる。なお、移動装置22は一点鎖線を用いて模式的に図示される。
【0050】
図2は、図1に示すプローバをメンテナンスエリアの側から見た斜視図である。測定室14におけるメンテナンスエリアA2の側には、第2開口14bが形成される。第2開口14bは、図1に示す第1開口14aと同様に、図示されないセンタシャッタが取り付けられる。なお、図2では、図1に示すヘッドステージ20が省略される。
【0051】
測定室14に配置されるヘッドステージ20及びテストヘッド44は、第2開口14bを介してメンテナンスエリアA2へ引き出される。すなわち、ヘッドステージ20は、Y軸方向に沿ってヘッドステージ20をスライドさせるスライド機構を用いて支持される。同様に、テストヘッド44は、Y軸方向に沿ってテストヘッド44をスライドさせるスライド機構を用いて支持される。
【0052】
作業者は、ロック機構のロックを解除して、ヘッドステージ20及びテストヘッド44を測定室14からメンテナンスエリアA2へ引き出すことが可能である。なお、図2では、ヘッドステージ20のスライド機構及びテストヘッド44のスライド機構の図示は省略される。ヘッドステージ20のスライド機構は、符号54が付され、図3に図示される。また、テストヘッド44のスライド機構は、符号50が付され、図3に図示される。
【0053】
図3は、測定室の内部構造の例を示す部分拡大斜視図である。測定室14の内部には、Y軸方向に沿ってテストヘッド44を移動自在に支持するテストヘッド支持機構が具備される。テストヘッド支持機構は、ベース56及びベース56の上に固定されるY軸方向に延びる2本のテストヘッド用ガイドレール58を備える。
【0054】
テストヘッド支持機構を構成するベース56は、Z軸方向に延びる鉛直ガイドレールを用いて、Z軸方向に沿って昇降自在に支持される。また、ベース56はテストヘッド44をロックするロック機構が具備される。ロック機構は公知の構造を適用し得る。なお、鉛直ガイドレール及びロック機構の図示は省略される。
【0055】
測定室14の内部には、Z軸方向に沿ってテストヘッド44を昇降させるテストヘッド昇降機構48が具備される。テストヘッド昇降機構48は、エアシリンダ又は油圧シリンダ等のアクチュエータを適用し得る。例えば、テストヘッド昇降機構48は、アクチュエータの一方の端がベース56に連結され、アクチュエータの他方の端がヘッドステージ20へ連結される構造が適用される。
【0056】
図3において実線を用いて図示されるテストヘッド44は、プローブカードPCと電気接続される位置のテストヘッド44であり、二点鎖線を用いて図示されるテストヘッド44は、メンテナンスエリアA2へ引き出される位置のテストヘッド44である。
【0057】
測定室14の内部には、ポゴフレーム46が具備される。テストヘッド44は、ウェーハへ形成される半導体チップの電気試験が実施される際に、ポゴフレーム46を介してプローブカードPCと電気接続される。ポゴフレーム46は、ヘッドステージ用ガイドレール64を用いてY軸方向に沿ってスライド自在に支持される。
【0058】
ポゴフレーム46が搭載されるヘッドステージ20は、ヘッドステージ支持機構を用いて保持される。ヘッドステージ支持機構は、ベース62及びベース62の上に固定されるY軸方向に延びる2本のヘッドステージ用ガイドレール64を備える。ヘッドステージ20は、ヘッドステージ用ガイドレール64を用いてY軸方向に沿ってスライド自在に支持される。
【0059】
ヘッドステージ支持機構を構成するベース62は、ヘッドステージ20をロックするロック機構が具備される。ロック機構は公知の構造を適用し得る。なお、ロック機構の図示は省略される。
【0060】
[搬送ユニットの構成例]
図4は、搬送ユニットの斜視図であり、ウェーハが搭載される状態を示す図である。搬送ユニット16は、ウェーハWを搬送するウェーハ保持アーム16b及びウェーハ保持アーム16bを移動させるウェーハ移動機構を備える。ウェーハ保持アーム16b及びウェーハ移動機構は、筐体16aの内部に配置される。ウェーハ保持アーム16bは、開口16fを介して筐体16aの内部と筐体16aの外部との間を往復移動する。なお、ウェーハ移動機構の図示は省略される。
【0061】
すなわち、搬送ユニット16は、ウェーハ移動機構を動作させてウェーハ保持アーム16bを伸ばし、搬送物収納部12からウェーハWを受け取り、ウェーハ保持アーム16bを縮めて搬送ユニット16の内部へウェーハWを収容する。
【0062】
搬送ユニット16は、回転機構28を備える。回転機構28は、Z軸方向に沿う回転軸の回りに搬送ユニット16を回転させる。回転機構28は、回転軸にシャフトが連結される駆動モータを備える。なお、駆動モータの図示は省略される。
【0063】
回転機構28は、正転方向及び逆転方向のそれぞれについて、搬送ユニット16を180度回転させてもよいし、正転方向又は逆転方向のいずれかについて、搬送ユニット16を360度回転させてもよい。
【0064】
すなわち、回転機構28は、開口16fが搬送物収納部12を向く搬送ユニット16の姿勢と、開口16fが測定室14の第1開口14aを向く搬送ユニット16の姿勢とを、切り替える。
【0065】
図5は、搬送ユニットの斜視図であり、プローブカードが搭載される状態を示す図である。搬送ユニット16は、プローブカードPCを搬送するプローブカード保持アーム16c及びプローブカード保持アーム16cを移動させるプローブカード移動機構を備える。
【0066】
プローブカード保持アーム16c及びプローブカード移動機構は、筐体16aの内部に配置される。プローブカード保持アーム16cは、開口16fを介して筐体16aの内部と筐体16aの外部との間を往復移動する。なお、プローブカード移動機構の図示は省略される。
【0067】
すなわち、搬送ユニット16は、プローブカード移動機構を動作させてプローブカード保持アーム16cを伸ばし、搬送物収納部12からプローブカードPCを受け取り、プローブカード保持アーム16cを縮めて搬送ユニット16の内部へプローブカードPCを収容する。
【0068】
図4及び図5示す搬送ユニット16は、開口16fを開閉させる開閉部を備えてもよい。開閉部は、シャッタ等の開閉機構が適用されてもよいし、エアカーテンを生成するエアカーテン生成部が適用されもよい。
【0069】
搬送ユニット16は、筐体16aの内部の温度及び湿度等の環境パラメータを一定に保つ環境維持部を備えてもよい。環境維持部は、温風又は冷風を供給する熱源及び加除湿装置等を適用してもよい。搬送ユニット16は、温度センサ及び湿度センサ等の環境パラメータを検出するセンサを備えてもよい。
【0070】
図6は、搬送ユニットに使用状態を示す断面図であり、ウェーハが搬送される状態を示す模式図である。同図には、ウェーハ保持アーム16bを用いて支持されるウェーハWが測定室14へ搬入される状態が模式的に図示される。
【0071】
搬送ユニット16は、図1に示すウェーハ収納部12aから取り出したウェーハWを筐体16aの内部へ収納し、回転機構28を用いて180回転し、開口16fが測定室14の第1開口14aを向く姿勢とされる。搬送ユニット16は、ウェーハ保持アーム16bを伸ばして筐体16aの内部へ収納されるウェーハWを測定室14の内部へ搬入する。
【0072】
図7は、搬送ユニットの使用状態を示す断面図であり、プローブカードが搬送される状態を示す模式図である。同図には、プローブカードPCを測定室14の内部へ搬入させ、第2プローブカード支持機構40の支持部40aへプローブカードPCが受け渡された状態が図示される。
【0073】
測定室14には、アライメント装置38が具備される。アライメント装置38は、ウェーハチャック18を支持し、かつ、ヘッドステージ20に具備される第1プローブカード支持機構36に対するウェーハチャック18の位置を調整する。図7には、アライメント装置38がプローブカードPCを受け取る受取位置P1におけるアライメント装置38が図示される。
【0074】
アライメント装置38は、Z軸可動部38aを備える。Z軸可動部38aは、Z軸方向について第2プローブカード支持機構40を移動させる。アライメント装置38は、Z軸固定部38b及びXY可動部38cを備える。Z軸固定部38bは、XY可動部38cに対してZ軸可動部38aを固定させる。XY可動部38cは、Z軸可動部38aを支持し、かつ、ウェーハチャック18を支持するZ軸可動部38aをX方向及びY方向へ移動させる。
【0075】
第2プローブカード支持機構40は、プローブカードPCを支持する支持部40aを備える。支持部40aは、Z軸可動部38aに取り付けられる。支持部40aは、リング状部材及び環状に配置される複数のピンなどの構造が適用される。また、第2プローブカード支持機構40は、Z軸方向について、Z軸可動部38aに対して支持部40aを昇降させる昇降機構を備える。なお、昇降機構の図示は省略される。
【0076】
[測定室におけるプローブカード及びウェーハの搬送]
図8は、ヘッドステージへのプローブカードの取付状態を示す模式図である。図8には、図7に示す受取位置P1から図8に示すヘッドステージ20の直下の位置P2へアライメント装置38を移動させた状態を示す。
【0077】
位置P2において、アライメント装置38はZ軸可動部38aを動作させて、プローブカードPCを第1プローブカード支持機構36の位置へ搬送する。第1プローブカード支持機構36は、プローブカードPCを着脱自在に支持する。すなわち、プローブカードPCは、第1プローブカード支持機構36を用いてヘッドステージ20に対して着脱自在に保持される。
【0078】
図9は、ヘッドステージとウェーハチャックとが連結される状態の説明図である。図9には、ポゴフレーム46及びプローブカードPCが搭載されるヘッドステージ20に対して、ウェーハチャック18に支持されるウェーハWが位置決めされ、プローブ針PNがウェーハWと接触する状態が模式的に図示される。
【0079】
図6に示すウェーハWは、図7に示す受取位置P1においてウェーハチャック18へ受け渡される。ウェーハチャック18へ受け渡されたウェーハWは、アライメント装置38を用いて位置P2へ移動し、位置P2において上昇し、ヘッドステージ20に搭載されるプローブカードPCに対して位置決めされる。
【0080】
ウェーハチャック18は、シール部材73を備える。シール部材73は、弾性を有し、かつ、ウェーハチャック18の上面の形状に対応するリング形状を有する。シール部材73は、プローブカードPCとウェーハチャック18の上面との間を封止し、プローブカードPCとウェーハチャック18の上面との間に密閉空間SSを形成する。
【0081】
ウェーハチャック18の上面は、吸引口が形成される。吸引口は、ウェーハチャック18の内部に形成される気体流路を介して、真空ポンプ75と接続される。真空ポンプ75は密閉空間SSを減圧し、密閉空間SSを真空状態とする。密閉空間SSが真空状態とされると、ヘッドステージ20に対してウェーハチャック18が固定され、プローブカードPCとウェーハWとが電気接続され、電気試験を開始可能な状態とされる。
【0082】
[プローバに適用される電気試験のシーケンス]
図10は、ウェーハ及びプローブカードの移動経路のプローバに適用される電気試験の模式図である。同図には、図1に示すプローバ10を上面から見た図を示す。同図には、プローバ10に適用される電気試験のシーケンスにおけるウェーハW等の搬送方向が矢印線を用いて図示される。
【0083】
ウェーハWの電気試験では、先ず、試験対象のウェーハWが、搬送ユニット16を用いてウェーハ収納部12aから取り出される。すなわち、試験対象のウェーハWが収納されるウェーハ収納部12aの位置へ搬送ユニット16を移動させ、搬送ユニット16のウェーハ収納部12aの内部へ進入させ、ウェーハ収納部12aから試験対象のウェーハWが取り出される。
【0084】
次いで、ウェーハWの搬送先として規定される測定室14の位置へ搬送ユニット16を移動させ、第1開口14aを介して、測定室14の内部に配置されるウェーハチャック18へウェーハWがロードされる。ウェーハチャック18へロードされたウェーハWは、ウェーハチャック18に対して真空吸着される。
【0085】
ウェーハWが真空吸着されたウェーハチャック18が試験温度に達するまで待機され、ウェーハチャック18が試験温度に達すると、アライメント装置38を用いて、プローブカードPCに対してウェーハWがアライメントされる。
【0086】
プローブカードPCに対してアライメントされたウェーハWをプローブ針PNと接触させ、ポゴフレーム46を介してテストヘッド44からウェーハWへ試験信号が伝送され、ウェーハWの電気試験が実施される。
【0087】
プローブカードPCの交換は、ウェーハWと同様の手順が適用され、プローブカード収納部12bから測定室14へプローブカードPCが搬送され、測定室14において、ヘッドステージ20に対してプローブカードPCが位置決めされ、プローブカードPCはヘッドステージ20へ搭載される。
【0088】
ポゴフレーム46の交換は、メンテナンスエリアA2において実施される。すなわち、ヘッドステージ20が、測定室14からメンテナンスエリアA2へ引き出され、ヘッドステージ20から交換対象のポゴフレーム46が取り外される。交換対象のポゴフレーム46が取り外されたヘッドステージ20は、電気試験に使用されるポゴフレーム46が搭載され、メンテナンスエリアA2から測定室14へ戻される。
【0089】
[第1実施形態に係る温度測定方法]
図11は、従来技術に係るウェーハチャックの温度測定が実施される状態を示す模式図である。従来技術に係るウェーハチャックWCの温度測定は、電気試験に適用される温度帯ごとに、図1に示す搬送エリアA1へ作業者が入り、温度測定対象の測定室14のセンタシャッタを開放して温度測定治具1を搭載し、温度測定治具1を用いて実施される。
【0090】
図11には、測定室14の内部のフレーム2に取り付けられるガイドレール3を用いて、温度測定治具1が支持される態様が図示される。温度測定治具1は、ガイドレール3の溝へ挿入され、ガイドレール3が延びる方向へスライドさせ、ウェーハチャックWCと位置決めされる。
【0091】
温度測定治具1は、複数の温度センサ4を備える。複数の温度センサ4は、温度測定治具1とウェーハチャックWCとが位置決めされた状態において、ウェーハチャックWCの上面と接触する。温度センサ4を用いて測定されるウェーハチャックWCの温度は、作業者が測定端末5を操作して取得される。作業者は、測定端末5へインストールされるマクロを使用してウェーハチャックWCの温度測定データから補正テーブルを作成する。その後、作業者は測定端末5を操作して、補正テーブルをプローバの制御装置へ送信する。
【0092】
図12は、第1実施形態に係るウェーハチャックの温度測定方法が実施される状態を示す斜視図である。同図には搬送ユニット16のプローブカード保持アーム16cの先端に支持される温度測定治具70が図示され、かつ、プローブカード保持アーム16cが伸ばされて温度測定治具70を支持する状態で、温度を測定する対象のウェーハチャック18に対して温度測定治具70の温度センサを接触させる状態が図示される。
【0093】
温度測定治具70は、1つ以上の温度センサ72を備える。同図には、円形状の本体74の中央部に温度センサ72が1つ配置され、本体74の外周に沿って4つの温度センサ72が等間隔に配置される態様が図示される。なお、複数の温度センサ72の数及び配置は、同図に示す態様に限定されない。
【0094】
複数の温度センサ72のそれぞれは、ウェーハチャック18に具備されるシール部材73の位置を避けて配置される。また、複数の温度センサ72のそれぞれは、シール部材73の厚みを超える厚みを有する。これにより、温度センサ72とシール部材73との干渉に起因する温度測定の低下が抑制される。
【0095】
温度測定治具70は、複数のセンサ配線76を備える。複数のセンサ配線76のそれぞれは、複数の温度センサ72のそれぞれと電気接続され、複数の温度センサ72のそれぞれから出力されるセンサ信号をサーモロガー78へ伝送する。サーモロガー78は、複数の温度センサ72を用いて測定されるウェーハチャック18の温度測定データを、プローバ10の制御装置へ送信する。
【0096】
複数のセンサ配線76は、温度測定治具70の本体74、搬送ユニット16のプローブカード保持アーム16c及び筐体16aの内部を経由して、筐体16aの外部へ取り付けられるサーモロガー78へ電気接続される。
【0097】
温度測定治具70及びサーモロガー78は、搬送エリアA1において、搬送物収納部12を向く搬送ユニット16に対して取り付けられる。温度測定治具70は、搬送ユニット16の筐体16aの内部へ収納され、搬送ユニット16が180度回転して測定室14の内部へ向けてプローブカード保持アーム16cが伸ばされた際に、測定室14の受取位置P1へ配置される。温度測定治具70は、受取位置P1において複数の温度センサ72とウェーハチャック18の上面とを接触させる。プローブカード保持アーム16cが伸ばされた状態において、プローバ10はウェーハチャック18の温度測定を自動で実施する。なお、実施形態に記載の温度測定治具70は、プローブカードが支持される位置に支持可能な温度測定治具の一例である。実施形態に記載のサーモロガー78は、ウェーハチャックの温度測定データを収集する測定データ収集装置の一例である。
【0098】
[プローバの電気的構成]
図13は、図1に示すプローバの電気的構成を示す機能ブロック図である。制御装置100はプローバ10を統括制御する。制御装置100はコンピュータが適用され、各種のプログラムを実行して、プローバ10に具備される各種の機能を実現する。制御装置100は、プローバ10の本体に配置されてもよいし、プローバ10の外部に配置されてもよい。
【0099】
制御装置100に適用されるコンピュータの形態は、サーバであってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよく、ワークステーションであってもよく、また、タブレット端末などであってもよい。制御装置100に適用されるコンピュータの形態は、仮想マシンであってもよい。
【0100】
各種のプログラムは、制御装置100に具備される記憶装置に記憶されてもよいし、制御装置100の外部であり、プローバ10の内部に具備される記憶装置に記憶されてもよい。制御装置100は、プローバ10の外部の記憶装置から各種のプログラムを取得してもよい。
【0101】
制御装置100は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成される演算回路を備える。各種のプロセッサの例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス等が挙げられる。
【0102】
プログラマブル論理デバイスの例として、SPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)等が挙げられる。制御装置100各種機能は、1つのプロセッサを用いて実現されてもよいし、複数のプロセッサを用いて実現されてもよい。複数のプロセッサは、同種の複数のプロセッサであってもよいし、互いに異なる種類の複数のプロセッサであってもよい。
【0103】
制御装置100は、各種の通信インターフェースを備える。制御装置100、各種の通信インターフェースを介して、周辺機器と通信自在に接続される。通信インターフェースは、USBなど、各種の規格を適用し得る。通信インターフェースの通信形態は、有線通信及び無線通信のいずれを適用してもよい。なお、USBはUniversal Serial Busの省略語である。また、USBは登録商標である。
【0104】
制御装置100は、搬送ユニット制御部102を備える。搬送ユニット制御部102は、搬送ユニット16に対して動作指令を送信し、搬送ユニット16の動作を制御する。搬送ユニット16の動作には、ウェーハ保持アーム16bの伸長、プローブカード保持アーム16cの伸長、及び搬送ユニット16の回転等が含まれる。
【0105】
制御装置100は、移動装置制御部104を備える。移動装置制御部104は、移動装置22に対して動作指令を送信し、移動装置22の動作を制御する。移動装置制御部104は、X軸方向について搬送ユニット16を移動させるX軸移動装置の動作を制御するX軸移動制御部及びZ軸方向について搬送ユニット16を移動させるZ軸移動装置の動作を制御するZ軸移動制御部を備えてもよい。
【0106】
制御装置100は、アライメント制御部106を備える。アライメント制御部106は、アライメント装置38に対して動作指令を送信し、アライメント装置38の動作を制御する。アライメント装置38の動作には、ウェーハWのアライメント動作及びプローブカードPCのアライメント動作が含まれる。
【0107】
制御装置100は、チャック温度制御部108を備える。チャック温度制御部108は、ウェーハチャック18に具備されるチャック温度調整部18aの動作を制御して、ウェーハチャック18の温度を調整する。チャック温度調整部18aは、加熱制御又は冷却制御のいずれかが実施れる。
【0108】
制御装置100は、チャック温度設定部110を備える。チャック温度設定部110は、予め規定されるウェーハWの電気試験に適用されるウェーハチャック18の温度を設定する。チャック温度制御部108は、チャック温度設定部110を用いて設定された温度設定値に基づき、ウェーハチャック18の温度を設定する。
【0109】
制御装置100は、チャック温度取得部112を備える。チャック温度取得部112は、温度測定治具70に具備される複数の温度センサ72を用いて取得されるウェーハチャック18の温度測定データを取得する。すなわち、チャック温度取得部112は、搬送ユニット16に取り付けられるサーモロガー78を介して、温度センサ72からウェーハチャック18の温度測定データを取得する。
【0110】
制御装置100は、補正テーブル作成部114を備える。補正テーブル作成部114は、チャック温度取得部112を用いて取得されるウェーハチャック18の温度測定データに基づき、ウェーハチャック18の温度制御に適用される補正テーブルを作成する。チャック温度制御部108は、補正テーブル作成部114を用いて作成される補正テーブルを参照して、温度補正を実施する。制御装置100は、作成された補正テーブルを自動的にインストールする。
【0111】
制御装置100は、センタシャッタ制御部116を備える。センタシャッタ制御部116は、センタシャッタ14dの開閉を制御する。センタシャッタ制御部116は、センタシャッタ14dの開閉を手動で実施できる手動操作モードへの切り替えを実施してもよい。
【0112】
なお、実施形態に記載の搬送ユニット制御部102及び移動装置制御部104は、搬送装置の動作制御を実施する搬送制御部の構成要素の一例である。実施形態に記載のセンサ配線76は、電気配線の一例である。
【0113】
[第1実施形態に係る温度測定方法の手順]
図14は、図12に示す温度測定治具70を用いて実施される温度測定方法の手順を示すフローチャートである。図14に手順を示す温度測定方法は、ウェーハチャック18の温度補正テーブルを作成する際に実施される。
【0114】
温度測定治具取付工程S10では、作業者が、搬送ユニット16へ温度測定治具70を取り付ける。また、温度測定治具取付工程S10では、作業者が搬送ユニット16に対してセンサ配線76及びサーモロガー78を取り付ける。温度測定治具取付工程S10の後に、校正測定温度設定工程S12へ進む。
【0115】
校正測定温度設定工程S12では、図13に示すチャック温度設定部110は、温度測定対象のウェーハチャック18に対して校正測定温度を設定する。校正測定温度として、予め複数の温度が規定される。例えば、校正測定温度の例として、85℃、125℃、マイナス30℃及びマイナス10℃が挙げられる。校正測定温度設定工程S12の後に、温度調整開始工程S14へ進む。
【0116】
温度調整開始工程S14では、チャック温度制御部108はウェーハチャック18の温度調整を開始させる。温度調整開始工程S14において、ウェーハチャック18の温度調整を開始されると時間経過判定工程S16が実行される。
【0117】
時間経過判定工程S16では、チャック温度制御部108は、温度調整開始から予め規定される一定時間が経過したか否かを判定する。すなわち、時間経過判定工程S16では、ウェーハチャック18の温度変化が収束する時間が経過したか否かが判定される。時間経過判定工程S16において、一定時間が経過していないと判定される場合はNo判定となり、時間経過判定工程S16が継続される。一方、時間経過判定工程S16において、一定時間が経過したと判定される場合はYes判定となり、温度測定治具搭載工程S18へ進む。
【0118】
温度測定治具搭載工程S18では、搬送ユニット制御部102は、搬送ユニット16がプローブカード保持アーム16cを伸ばした状態で、プローブカード保持アーム16cを用いて支持される温度測定治具70を温度測定対象のウェーハチャック18の上面へ載せ、ウェーハチャック18の上面へ温度センサ72を接触させる。温度測定治具搭載工程S18の後に測定データ取得工程S20へ進む。
【0119】
測定データ取得工程S20では、チャック温度取得部112は、サーモロガー78から、ウェーハチャック18の温度測定データを取得する。チャック温度取得部112は、規定のサンプリング周期を適用して複数回の温度測定データの取得を実施し、複数の測定データの平均値等の代表値をウェーハチャック18の温度測定データとして算出してもよい。チャック温度取得部112は、図12に示す複数の温度センサ72のそれぞれから得られる測定データの最大値と最小値との中間値を算出してもよい。測定データ取得工程S20の後に測定データ判定工程S22へ進む。
【0120】
測定データ判定工程S22では、チャック温度制御部108は、ウェーハチャック18の測定温度が設定温度と異なるか否かを判定する。測定データ判定工程S22においてウェーハチャック18の測定温度が設定温度と異なる場合はYes判定となり、補正設定工程S24へ進む。補正設定工程S24では、チャック温度設定部110は、設定温度と測定温度との差に基づき、補正温度を設定する。例えば、設定温度が85℃であり、測定温度が84.5℃の場合、設定温度に対する測定温度はマイナス0.5℃であり、補正値としてプラス0.5℃を設定する。補正設定工程S24の後に校正測定温度設定工程S25へ進み、補正後の校正測定温度が設定される。校正測定温度設定工程S25の後に未測定チャック判定工程S28へ進む。
【0121】
一方、測定データ判定工程S22においてウェーハチャック18の測定温度が設定温度と一致する場合はNo判定となり、補正値決定工程S26へ進む。補正値決定工程S26では、測定データ判定工程S22においてNo判定となる場合の補正値を校正温度の補正値として決定する。補正値決定工程S26の後に、未測定チャック判定工程S28へ進む。
【0122】
未測定チャック判定工程S28では、チャック温度制御部108は、温度測定が実施されていない未測定のウェーハチャック18が存在するか否か、又は校正測定温度が補正されたウェーハチャック18のうち、再測定が実施されていないウェーハチャック18が存在するか否かを判定する。未測定チャック判定工程S28において、未測定のウェーハチャック18又は再測定が未測定のウェーハチャック18が存在する場合はYes判定となり、温度測定治具移動工程S30へ進む。
【0123】
温度測定治具移動工程S30では、搬送ユニット制御部102は測定済みのウェーハチャック18から温度測定治具70を離間させる。温度測定治具移動工程S30では、移動装置制御部104は、移動装置22を動作させて、温度測定治具70が収容される搬送ユニット16を次の温度測定対象のウェーハチャック18が具備される測定室14へ移動させる。温度測定治具移動工程S30の後に時間経過判定工程S16へ進み、次の温度測定対象のウェーハチャック18に対して、時間経過判定工程S16から未測定チャック判定工程S28までの各工程が実行される。一方、未測定チャック判定工程S28において、未測定のウェーハチャック18又は再測定が未測定のウェーハチャック18が存在しないと判定される場合はNo判定となり、校正温度判定工程S32へ進む。
【0124】
校正温度判定工程S32では、チャック温度制御部108は、全ての校正温度について、温度測定がされているか否かを判定する。校正温度判定工程S32において、未測定の校正温度が存在すると判定される場合はNo判定となり、校正測定温度設定工程S12へ進み、校正温度判定工程S32においてYes判定となるまで、校正測定温度設定工程S12から校正温度判定工程S32までの各工程が繰り返し実行される。一方、校正温度判定工程S32において、全ての校正温度について測定が実施されていると判定される場合はYes判定となり、温度測定方法は終了される。
【0125】
図14に手順を示す温度測定方法の手順は、複数のウェーハチャック18に対して温度測定を実施する際に、温度測定の待ち時間を他のウェーハチャック18の温度測定に充当することができ、全体として測定時間が短縮される。
【0126】
[温度補正テーブルの作成]
全ての校正測定温度について温度補正値が決定されると、図13に示す補正テーブル作成部114は、決定された温度補正値に基づき、校正測定温度間の温度について補正値を補完し、補正テーブルを生成する。補正テーブルは、ウェーハチャック18の温度校正に適用される。
【0127】
[第1実施形態に係るプローバ及び温度測定方法の作用効果]
第1実施形態に係るプローバ及び温度測定方法は、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0128】
〔1〕
温度測定治具70が搬送ユニット16へ取り付けられた後は、作業者の人手の作業がなく、全ての測定室14におけるウェーハチャック18の温度測定が自動実行される。これにより、ウェーハチャック18の温度測定の際の測定室14の結露、及び作業者の火傷などの危険が回避される。
【0129】
〔2〕
全ての測定室14に対するウェーハチャック18の自動温度測定が実施される。これにより、ウェーハチャック18の温度測定に費やされる時間の短縮化が見込まれ、測定室14の内部への影響が抑制され、安定したウェーハチャック18の温度測定が実現される。
【0130】
〔3〕
従来は、作業者が実施していた補正テーブルのインストールが、プローバ10の制御装置100を用いて自動で実施される。これにより、ヒューマンエラー等のエラーの発生が抑制される。
【0131】
〔4〕
温度測定治具70が搬送ユニット16へ取り付けられた後は、作業者の人手の作業がなく、例えば、24時間稼働など、長時間の連続稼働が可能であり、測定時間の発生に起因するプローバ10の稼働停止時間を短縮化し得る。
【0132】
[第2実施形態に係る温度測定方法]
図15は、第2実施形態に係るプローバに適用される温度測定治具がヘッドステージへ搭載される状態を示す斜視図である。同図には、温度測定の対象とされるウェーハチャック18が配置される測定室14の内部構造が簡略化され、図示される。
【0133】
温度測定治具170は、ポゴフレーム46が外されたヘッドステージ20に対して、ポゴフレーム46が取り付けられる位置へ取り付けられる。温度測定治具170は、ポゴフレーム46と同様のヘッドステージ20に対する位置決め構造及び支持構造を備える。
【0134】
複数の温度センサ172のそれぞれは、ウェーハチャック18に具備されるシール部材73の位置を避けて配置される。また、複数の温度センサ172のそれぞれは、ヘッドステージ20に対してウェーハチャック18が固定される状態において、ウェーハチャック18の上面と面接触し得る厚みを有する。これにより、温度センサ172とシール部材73との干渉に起因する温度測定の低下が抑制される。
【0135】
温度測定治具170は、複数の温度センサ172及び複数の温度センサ172のそれぞれと電気接続される複数のセンサ配線176を備える。複数の温度センサ172は、温度測定治具170の本体174へ取り付けられる。
【0136】
複数のセンサ配線176は、複数の温度センサ172から出力されるセンサ信号をサーモロガー178へ伝送する。サーモロガー178は、複数の温度センサ172を用いて測定されるウェーハチャック18の温度の測定データを、プローバ10のプローバコンピュータへ送信する。図15には測定室14の外側へサーモロガー178が配置される態様が図示される。
【0137】
温度測定治具170のヘッドステージ20への取り付けは、図1に示すメンテナンスエリアA2において実施される。すなわち、作業者は、測定室14からメンテナンスエリアA2へヘッドステージ20を引き出し、ヘッドステージ20からポゴフレーム46を取り外し、ヘッドステージ20のポゴフレーム46の取付位置へ温度測定治具170を取り付ける。温度測定治具170が取り付けられたヘッドステージ20は、測定室14へ戻される。
【0138】
なお、実施形態に記載の温度測定治具170は、電気試験の際のヘッドステージにおけるプローブカードの取付位置に取付可能な温度測定治具の一例である。実施形態に記載の複数の温度センサ172は、1つ以上の温度センサの一例である。実施形態に記載の温度測定治具170が取り付けられたヘッドステージ20が戻される測定室14の位置は、温度測定位置の一例である。実施形態に記載のヘッドステージ20が引き出されるメンテナンスエリアA2は、メンテナンス位置の一例である。実施形態に記載のヘッドステージ20を移動させるスライド機構は、ヘッドステージを移動させるヘッドステージ移動機構の一例である。実施形態に記載のヘッドステージ20のポゴフレーム46の取付位置は、ヘッドステージにおけるプローブカードの取付位置の一例である。
【0139】
図16は、図15に示すヘッドステージの構成例を示す部分断面図を含む斜視図である。図16には、ヘッドステージ20へ取り付けられた温度測定治具170を用いて、ウェーハチャック18の温度が測定される状態を示す。
【0140】
測定室14において、アライメント装置38を用いて、ヘッドステージ20へ取り付けられた温度測定治具170に対してウェーハチャック18が位置決めされ、温度測定治具170に具備される複数の温度センサ172のそれぞれに対してウェーハチャック18の上面を面接触させる。複数の温度センサ172のそれぞれと面接触するウェーハチャック18の位置は、テストヘッド44を用いてウェーハWの電気試験が実施されるウェーハチャック18の位置を適用してもよい。
【0141】
ヘッドステージ20は、ヘッドステージ20へ取り付けられた温度測定治具170に対してウェーハチャック18を固定するチャック固定装置を備える。なお、図16では、チャック固定装置の図示は省略される。
【0142】
チャック固定装置を用いて、ヘッドステージ20へ取り付けられた温度測定治具170に対して固定されたウェーハチャック18は、アライメント装置38と離間させ、温度測定が開始される。
【0143】
ウェーハチャック18の温度測定データが取得されると、アライメント装置38がウェーハチャック18を支持する位置へアライメント装置38を移動させ、温度測定治具170に対するウェーハチャック18の固定が解除される。
【0144】
[チャック固定装置の構成例]
図17は、図15に示すヘッドステージに具備されるチャック固定装置の構成例を示す部分断面図を含む斜視図である。図18は、図17に示すチャック固定装置の平面図である。
【0145】
図17及び図18に示すチャック固定装置180は、チャック固定部材182、ガイド184、駆動用シリンダ186及びジョイント部188を備える。
【0146】
チャック固定部材182は、図17及び図18に示す矢印線の向きに移動自在に支持される。図17及び図18には、チャック固定部材182が、ヘッドステージ20対してウェーハチャック18を固定する状態が図示される。
【0147】
ガイド184は、チャック固定部材182をヘッドステージ20に対して移動自在に支持する。すなわち、チャック固定部材182は、ヘッドステージ20に固定されるガイド184に沿って移動する。
【0148】
駆動用シリンダ186は、チャック固定部材182の駆動源である。駆動用シリンダ186は、ジョイント部188を用いてヘッドステージ20へ固定される。
【0149】
[第2実施形態に係るプローバの電気的構成]
図19は、第2実施形態に係るプローバの電気的構成を示す機能ブロック図である。第2実施形態に係るプローバ10Aの制御装置100Aは、図13に示す制御装置100に対して、駆動用シリンダ186の動作を制御するシリンダ制御部190が追加される。
【0150】
また、図19に示すプローバ10Aは、図13に示す温度測定治具70、温度センサ72及びサーモロガー78に代わり、温度測定治具170、温度センサ172及びサーモロガー178が具備される。
【0151】
[第2実施形態に係る温度測定方法の手順]
第2実施形態に係る温度測定方法では、図14に示す温度測定治具取付工程S10において、図1に示す複数の測定室14うち、2つ以上の測定室14にについて、ヘッドステージ20へ温度測定治具170が取り付けられる。例えば、全ての測定室14について、ヘッドステージ20へ温度測定治具170が取り付けられてもよい。また、温度測定治具取付工程S10において、温度測定治具170に対するウェーハチャック18の固定が実施される。
【0152】
第2実施形態に係るプローバ10Aは、複数の測定室14のヘッドステージ20のそれぞれに対して温度測定治具170が取り付けられるので、複数の測定室14に対して、一括してウェーハチャック18の温度測定を実施し得る。そうすると、第2実施形態に係る温度測定方法では、未測定チャック判定工程S28及び温度測定治具移動工程S30が省略され、補正設定工程S24の後に校正温度判定工程S32へ進み、第1実施形態に係る温度測定方法と同様に各工程が実行される。
【0153】
[第2実施形態に係るプローバ及び温度測定方法の作用効果]
第2実施形態に係るプローバ及び温度測定方法は、第1実施形態に係るプローバ及び温度測定方法と同様の作用効果を得ることが可能である。また、第2実施形態に係るプローバ及び温度測定方法は、ポゴフレーム46が外されたヘッドステージ20に対して温度測定治具170が取り付けられるので、特許文献1に記載の専用ポゴフレームが不要である。
【0154】
[温度センサの具体例]
図20は、温度センサの具体例を示す模式図である。同図には、図12等に示す温度センサ72におけるウェーハチャック18の被測定面である上面へ接触させる接触子72Aが、拡大して模式的に図示される。
【0155】
温度センサ72における接触子72Aは、ウェーハチャック18の上面に対して面接触する。例えば、接触子72Aのウェーハチャック18に対して接触させる面の形状は、長方形が適用される。図15等に示す温度センサ172もまた、ウェーハチャック18の上面に対して面接触する接触子が具備される。
【0156】
図20示す比較例に係る温度センサ200は、測定対象物202の被測定面204に対して点接触する。面接触が適用される温度センサ72等は、点接触が適用される温度センサ200と比較して、気流等の外乱に対して、一定のロバスト性が確保される。
【0157】
[プローバの変形例]
上記した第1実施形態及び第2実施形態では、複数の測定室14を備えるプローバを例示したが、第1実施形態に係る温度測定方法及び第2実施形態に係る温度測定方法は、1つの測定室を備えるプローバにも適用可能である。
【0158】
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。また、実施形態、変形例及び応用例は適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0159】
1…温度測定治具、2…フレーム、3…ガイドレール、4…温度センサ、5…測定端末、10…プローバ、10A…プローバ、12…搬送物収納部、12a…ウェーハ収納部、12b…プローブカード収納部、14…測定室、14a…第1開口、14b…第2開口、16…搬送ユニット、16a…筐体、16b…ウェーハ保持アーム、16c…プローブカード保持アーム、18…ウェーハチャック、18a…チャック温度調整部、20…ヘッドステージ、22…移動装置、28…回転機構、40…第2プローブカード支持機構、36…第1プローブカード支持機構、40a…支持部、44…テストヘッド、46…ポゴフレーム、48…ヘッド昇降機構、50…テストヘッドのスライド機構、54…ヘッドステージのスライド機構、56…ベース、58…テストヘッド用ガイドレール、62…ベース、64…ヘッドステージ用ガイドレール、70…温度測定治具、72…温度センサ、72A…接触子、73…シール部材、74…本体、75…真空ポンプ、76…センサ配線、78…サーモロガー、100…制御装置、102…搬送ユニット制御部、104…移動装置制御部、106…アライメント制御部、108…チャック温度制御部、110…チャック温度設定部、112…チャック温度取得部、114…補正テーブル作成部、116…センタシャッタ制御部、170…温度測定治具、172…温度センサ、174…本体、176…センサ配線、178…サーモロガー、180…チャック固定装置、182…チャック固定部材、184…ガイド、186…駆動用シリンダ、188…ジョイント部、200…温度センサ、202…測定対象物、A1…搬送エリア、A2…メンテナンスエリア、PC…プローブカード、W…ウェーハ、WC…ウェーハチャック
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