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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146322
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】調整方法及び調整治具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241004BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059145
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】細川 仁志
【テーマコード(参考)】
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD30
4M106DJ32
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA42
5F131DA07
5F131DA20
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DD03
5F131DD25
5F131DD26
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD59
5F131DD76
5F131FA26
5F131FA32
5F131FA37
5F131KA22
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB33
5F131KB43
5F131KB48
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】ウェーハ搬送装置の調整における自動化が実現される、調整方法及び調整治具を提供する。
【解決手段】調整方法は、ウェーハ設置部(12)へ調整治具(40)を設置し、第1移動装置を用いて上下方向へ移動自在に支持されるセンサ(32)を用いて、上下方向における第1プレート(46)位置を測定し、搬送部に具備される第2移動装置を用いて上下方向へ移動自在に支持される搬送ユニットを用いて、上下方向における第1プレートの位置を測定し、センサを用いて測定される上下方向における第1プレートの位置、及び搬送ユニットを用いて測定される上下方向における第1プレートの位置に基づき、ウェーハ設置部と搬送部との上下方向における位置を調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハカセットの第1スロットに対応する上下方向の位置を有する第1プレート、及び前記ウェーハカセットの第1スロットよりも上に配置される第2スロットに対応する前記上下方向の位置を有する第2プレートを備えた調整治具を用いて、前記ウェーハカセットが設置されるウェーハ設置部と、前記ウェーハカセットからウェーハを取り出す搬送ユニットが具備される搬送部との前記上下方向の位置を調整する調整方法であって、
前記ウェーハ設置部へ、前記調整治具を設置し、
前記ウェーハ設置部に具備される第1移動装置を用いて前記上下方向へ移動自在に支持されるセンサを用いて、前記上下方向における前記第1プレートの位置を測定し、
前記搬送部に具備される第2移動装置を用いて前記上下方向へ移動自在に支持される搬送ユニットを用いて、前記上下方向における前記第1プレートの位置を測定し、
前記センサを用いて測定される前記上下方向における前記第1プレートの位置、及び前記搬送ユニットを用いて測定される前記上下方向における前記第1プレートの位置に基づき、前記ウェーハ設置部と前記搬送部との前記上下方向における位置を調整する調整方法。
【請求項2】
前記上下方向における前記第1プレートの位置、又は前記上下方向における前記第2プレートの位置を測定する際に、
前記第1プレート又は前記第2プレートと、前記搬送ユニットに具備される前記ウェーハを保持するウェーハ保持アームと、を前記上下方向に沿って相対移動させ、
前記ウェーハ保持アームが前記第1プレート、又は前記第2プレートと接触する位置を、接触の有無を識別するセンサによって検出する請求項1に記載の調整方法。
【請求項3】
前記センサは、前記ウェーハ保持アームの吸着圧力がしきい値以上か否かに基いて、接触の有無を識別する請求項2に記載の調整方法。
【請求項4】
前記搬送ユニットを用いて、前記上下方向における前記第2プレートの位置を測定し、
前記センサを用いて測定される前記上下方向における前記第1プレートの位置、前記搬送ユニットを用いて測定される前記上下方向における前記第1プレートの位置、及び前記搬送ユニットを用いて測定される前記上下方向における前記第2プレートの位置に基づき、前記上下方向に対する前記搬送部の傾斜を補正する請求項1に記載の調整方法。
【請求項5】
前記搬送ユニットを用いて測定される前記上下方向における前記第2プレートの位置を測定する際に、
第1搬送分解能を適用して、前記第2プレートと、前記搬送ユニットに具備される前記ウェーハを保持するウェーハ保持アームと、を前記上下方向に沿って相対移動させ、
前記ウェーハ保持アームが前記第2プレートと接触する位置を、第2プレートの位置として検出する請求項4に記載の調整方法。
【請求項6】
前記搬送ユニットを用いて測定される前記上下方向における前記第2プレートの位置を測定する際に、
前記第2プレートに接触する前記ウェーハ保持アームを前記第2プレートから離間させ、
前記第1搬送分解能よりも小さい第2搬送分解能を適用して、前記第2プレートと前記ウェーハ保持アームとを相対移動させ、
前記ウェーハ保持アームが前記第2プレートと接触する位置を、第2プレートの位置として検出する請求項5に記載の調整方法。
【請求項7】
光学センサが適用される前記センサを用いて、前記上下方向における前記第1プレートの位置を測定する請求項1に記載の調整方法。
【請求項8】
前記搬送ユニットを用いて測定される前記上下方向における前記第1プレートの位置を測定する際に、
第3搬送分解能を適用して、前記第1プレートと前記搬送ユニットに具備される前記ウェーハを保持するウェーハ保持アームと前記上下方向に沿って相対移動させ、
前記ウェーハ保持アームが前記第1プレートと接触する位置を、第1プレートの位置として検出する請求項1に記載の調整方法。
【請求項9】
前記搬送ユニットを用いて測定される前記上下方向における前記第1プレートの位置を測定する際に、前記第1プレートに接触する前記ウェーハ保持アームを前記第1プレートから離間させ、
前記第3搬送分解能よりも小さい第4搬送分解能を適用して、前記第1プレートと前記ウェーハ保持アームとを相対移動させ、
前記ウェーハ保持アームが前記第1プレートと接触する位置を、第1プレートの位置として検出する請求項8に記載の調整方法。
【請求項10】
ウェーハカセットの第1スロットに対応する上下方向の位置を有する第1プレートと、
前記ウェーハカセットの第1スロットよりも上に配置される第2スロットに対応する前記上下方向の位置を有する第2プレートと、
を備え、
前記第1プレート及び前記第2プレートは、前記上下方向について移動自在に支持され、かつ、前記上下方向と直交する面における位置が固定される調整治具。
【請求項11】
前記第1プレートを支持する第1支持面に、前記上下方向へ延びる第1支持ピンが配置され、
前記第1支持ピンは、前記第1プレートに形成される第1貫通穴に挿入される請求項10に記載の調整治具。
【請求項12】
前記第2プレートを支持する第2支持面に、前記上下方向へ延びる第2支持ピンが配置され、
前記第2支持ピンは、前記第2プレートに形成される第1貫通穴に挿入される請求項10に記載の調整治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ搬送装置における調整方法及び調整治具に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置において、ウェーハカセットからウェーハを取り出す必要がある。ウェーハカセットにおけるウェーハ同士の間隔は10ミリメートルと非常に狭く、上下に隣り合うウェーハの間へウェーハ保持アームを挿入し、ウェーハ保持アームを用いてウェーハを支持してウェーハカセットからウェーハを取り出すため、装置ごとにウェーハカセットに対するウェーハ保持アームの挿入位置の調整が必要となる。
【0003】
従来は、装置が組み立てられた後に、ウェーハカセットの一番下のスロットの位置が高精度に再現されるプレートと、ウェーハカセットの一番上のスロットの位置が高精度に再現されるプレートとを備える治具を用意し、ロードポート上へ治具を載置し、ウェーハ搬送装置のウェーハ保持アームを治具へ挿入して各プレートの下面とウェーハ保持アームとが接触する位置を測定し、測定結果に基づいてウェーハをウェーハ保持アームへ受け渡す受け渡し高さが調整される。
【0004】
特許文献1は、ウェーハカセットへウェーハを移送するウェーハ移送装置の調整方法が記載される。同文献に記載の方法は、ウェーハカセットの基準となる精度を備えたウェーハ保持治具を用いて、ウェーハ移送装置の調整を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-242245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の方法は工数がかかるという課題が存在する。また、上記した従来の方法は、作業者の感覚で調整が実施される場合があり、作業者の個人差が調整結果に対して影響する懸念があるという課題が存在している。
【0007】
特許文献1に記載の方法は、ウェーハ又はウェーハの相当品が収納されるウェーハ保持治具が使用されるので、ウェーハ等をウェーハ保持治具へ収納する工程が発生し、工数がかかる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ウェーハ搬送装置の調整における自動化が実現される、調整方法及び調整治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様に係る調整方法は、ウェーハカセットの第1スロットに対応する上下方向の位置を有する第1プレート、及びウェーハカセットの第1スロットよりも上に配置される第2スロットに対応する上下方向の位置を有する第2プレートを備えた調整治具を用いて、ウェーハカセットが設置されるウェーハ設置部と、ウェーハカセットからウェーハを取り出す搬送ユニットが具備される搬送部との上下方向の位置を調整する調整方法であって、ウェーハ設置部へ、調整治具を設置し、ウェーハ設置部に具備される第1移動装置を用いて上下方向へ移動自在に支持されるセンサを用いて、上下方向における第1プレートの位置を測定し、搬送部に具備される第2移動装置を用いて上下方向へ移動自在に支持される搬送ユニットを用いて、上下方向における第1プレートの位置を測定し、センサを用いて測定される上下方向における第1プレートの位置、及び搬送ユニットを用いて測定される上下方向における第1プレートの位置に基づき、ウェーハ設置部と搬送部との上下方向における位置を調整する調整方法。ウェーハ搬送装置調整方法である。
【0010】
本開示の第1態様に係る調整方法によれば、ウェーハ設置部へ設置される調整治具の第1プレートの位置を、ウェーハ設置部に具備されるセンサを用いて測定し、かつ、搬送部に具備される搬送ユニットを用いて測定し、測定結果に基づきウェーハ設置部と搬送部との上下方向における位置が調整される。これにより、ウェーハ設置部と搬送部との上下方向における位置調整の自動化が実現される。
【0011】
第1スロットは、ウェーハカセットの最下段のスロットを適用し得る。第2スロットは、ウェーハカセットの最上段のスロットを適用し得る。
【0012】
上下方向は、ウェーハ設置部及び搬送部が設置される面に対して直交する方向が適用されてもよい。
【0013】
第2態様に係る調整方法は、第1態様の調整方法において、上下方向における第1プレートの位置、又は上下方向における第2プレートの位置を測定する際に、第1プレート又は第2プレートと、搬送ユニットに具備されるウェーハを保持するウェーハ保持アームと、を上下方向に沿って相対移動させ、ウェーハ保持アームが第1プレート、又は第2プレートと接触する位置を、接触の有無を識別するセンサによって検出してもよい。
【0014】
かかる態様によれば、センサの検出結果に基づき、第1プレートとウェーハ保持アームとの接触、及び第2プレートとウェーハ保持アームとの接触を検出し得る。
【0015】
第3態様に係る調整方法は、第2態様の調整方法において、センサは、ウェーハ保持アームの吸着圧力がしきい値以上か否かに基いて、接触の有無を識別してもよい。
【0016】
かかる態様によれば、現実の運用と同様の方法を適用して、、第1プレートとウェーハ保持アームとの接触、及び第2プレートとウェーハ保持アームとの接触を検出し得る。
【0017】
第4態様に係る調整方法は、第1態様から第3態様のいずれか一態様の調整方法において、搬送ユニットを用いて、上下方向における第2プレートの位置を測定し、センサを用いて測定される上下方向における第1プレートの位置、搬送ユニットを用いて測定される上下方向における第1プレートの位置、及び搬送ユニットを用いて測定される上下方向における第2プレートの位置に基づき、上下方向に対する搬送部の傾斜を補正してもよい。
【0018】
かかる態様によれば、上下方向に対する搬送部の傾斜が考慮された、ウェーハ設置部と搬送部との上下方向における位置調整の自動化が実現される。
【0019】
第5態様に係る調整方法は、第4態様の調整方法において、搬送ユニットを用いて測定される上下方向における第2プレートの位置を測定する際に、第1搬送分解能を適用して、第2プレートと、搬送ユニットに具備されるウェーハを保持するウェーハ保持アームと、を上下方向に沿って相対移動させ、ウェーハ保持アームが第2プレートと接触する位置を、第2プレートの位置として検出してもよい。
【0020】
かかる態様によれば、調整治具における第2プレートの位置精度に応じた、高精度の調整が実施される。
【0021】
第6態様に係る調整方法は、第5態様の調整方法において、搬送ユニットを用いて測定される上下方向における第2プレートの位置を測定する際に、第2プレートに接触するウェーハ保持アームを第2プレートから離間させ、第1搬送分解能よりも小さい第2搬送分解能を適用して、第2プレートとウェーハ保持アームとを相対移動させ、ウェーハ保持アームが第2プレートと接触する位置を、第2プレートの位置として検出してもよい。
【0022】
かかる態様によれば、効率がよく、かつ、高精度の第2プレートの位置の検出が実施される。
【0023】
第7態様に係る調整方法は、第1態様から第6態様のいずれか一態様の調整方法において、光学センサが適用されるセンサを用いて、上下方向における第1プレートの位置を測定してもよい。
【0024】
かかる態様によれば、非接触の第1プレートの位置の測定が実現される。
【0025】
第8態様に係る調整方法は、第1態様から第7態様のいずれか一態様の調整方法において、搬送ユニットを用いて測定される上下方向における第1プレートの位置を測定する際に、第3搬送分解能を適用して、第1プレートと搬送ユニットに具備されるウェーハを保持するウェーハ保持アームと上下方向に沿って相対移動させ、ウェーハ保持アームが第1プレートと接触する位置を、第1プレートの位置として検出してもよい。
【0026】
かかる態様によれば、調整治具における第1プレートの位置精度に応じた、高精度の調整が実施される。
【0027】
第9態様に係る調整方法は、第8態様の調整方法において、搬送ユニットを用いて測定される上下方向における第1プレートの位置を測定する際に、第1プレートに接触するウェーハ保持アームを第1プレートから離間させ、第3搬送分解能よりも小さい第4搬送分解能を適用して、第1プレートとウェーハ保持アームとを相対移動させ、ウェーハ保持アームが第1プレートと接触する位置を、第1プレートの位置として検出してもよい。
【0028】
かかる態様によれば、効率がよく、かつ、高精度の第1プレートの位置の検出が実施される。
【0029】
本開示の第10態様に係る調整治具は、ウェーハカセットの第1スロットに対応する上下方向の位置を有する第1プレートと、ウェーハカセットの第1スロットよりも上に配置される第2スロットに対応する上下方向の位置を有する第2プレートと、を備え、第1プレート及び第2プレートは、上下方向について位置が固定されずに支持され、かつ、上下方向と直交する面における位置が固定される調整治具である。
【0030】
本開示の第10態様に係る調整治具によれば、第1プレート及び第2プレートは、上下方向について固定されず、上下方向と直交する面における位置が固定される。これにより、上下方向についてウェーハ保持アームとの相対移動がされ、第1プレート及び第2プレートとウェーハ保持アームとを接触させた場合に、ウェーハ保持アームがオーバーシュートしたとしても、第1プレート及び第2プレートとウェーハ保持アームとの衝突が回避される。
【0031】
第11態様に係る調整治具は、第10態様の調整治具において、第1プレートを支持する第1支持面に、上下方向へ延びる第1支持ピンが配置され、第1支持ピンは、第1プレートに形成される第1貫通穴に挿入されてもよい。
【0032】
かかる態様によれば、第1プレートを上下方向に固定せずに、上下方向と直交する面に対して固定し得る。
【0033】
第12態様に係る調整治具は、第10態様又は第11態様の調整治具において、第2プレートを支持する第2支持面に、上下方向へ延びる第2支持ピンが配置され、第2支持ピンは、第2プレートに形成される第1貫通穴に挿入されてもよい。
【0034】
かかる態様によれば、第2プレートを上下方向に固定せずに、上下方向と直交する面に対して固定し得る。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ウェーハ搬送装置の調整における自動化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施形態に係るウェーハ搬送装置調整方法が適用される装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図1に示す装置を構成するロードポートの概略構成を示す斜視図である。
図3図2に示すロードポートに対して調整治具が載置される状態を示すロードポート斜視図である。
図4図2の斜視図に対応する正面図である。
図5図1に示す装置に適用される搬送ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図6】実施形態に係る高さ調整方法の手順を示すフローチャートである。
図7】エレベータ上下軸補正値取得工程の模式図である。
図8】第1ローダ上下軸補正値取得工程の手順を示すフローチャートである。
図9】第1ローダ上下軸補正値取得及び第2ローダ上下軸補正値取得の模式図である。
図10】通常運用の際のウェーハ高さの測定の模式図である。
図11】ローダ上下軸とエレベータ上下軸とのずれ量の模式図である。
図12】ローダ上下軸基準のウェーハ高さ取得の説明図である。
図13】ローダ上下軸の軸ずれ説明図である。
図14】ローダ上下軸の軸ずれが考慮されたウェーハ保持アームの挿入位置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明については、適宜、省略される。
【0038】
[実施形態に係るウェーハ搬送装置調整方法が適用される装置構成例]
図1は、実施形態に係るウェーハ搬送装置調整方法が適用される装置の概略構成を示す斜視図である。同図には、複数の半導体チップが形成されるウェーハの電気試験を実施するプローバ10が図示される。
【0039】
図1に示すプローバ10は、複数のロードポート12、ローダ14及び処理装置16を備える。複数のロードポート12、ローダ14及び処理装置16は、Y軸方向に沿って、ロードポート12、ローダ14及び処理装置16の順に配置される。また、複数のロードポート12は、X軸方向に沿って配置される。なお、処理装置16は一点鎖線を用いて模式的に図示される。
【0040】
複数のロードポート12のそれぞれは、同様の構成が適用される。図1では、ロードポート12の構成要素の図示が省略される。ロードポート12の構成は、図2から図4を参照して後述する。
【0041】
ローダ14は、搬送ユニット20、ローダ上下軸移動部22及びローダ水平移動機構を備える。搬送ユニット20は、ロードポート12に収納されるウェーハカセットからウェーハを取り出し、取り出したウェーハを処理装置16へ搬送する。
【0042】
搬送ユニット20は、ローダ上下軸移動部22を用いて、Z軸方向に沿って移動自在に支持される。ローダ上下軸移動部22は、X軸方向に沿って移動自在に支持される。ローダ水平移動部は、ローダ上下軸移動部22をX方向に沿って移動させ、ローダ上下軸移動部22を各ロードポート12の位置へ配置する。ローダ水平移動部の図示は省略される。
【0043】
なお、実施形態に記載のロードポート12は、ウェーハカセットが設置されるウェーハ設置部の一例である。実施形態に記載のローダ14は、ウェーハカセットからウェーハを取り出す搬送ユニットが具備される搬送部の一例である。実施形態に記載のローダ上下軸移動部22は、搬送部に具備される第2移動装置であり、搬送ユニットを上下方向へ移動自在に支持する第2移動装置の一例である。
【0044】
[ロードポートの構成例]
図2は、図1に示す装置を構成するロードポートの概略構成を示す斜視図である。ロードポート12は、設置台30、センシングセンサ32及びエレベータ上下軸移動部34を備える。
【0045】
設置台30は、ウェーハの搬送が実施される際にウェーハカセットが設置される。また、設置台30は、高さ調整の際に調整治具40が設置される。高さ調整とは、ウェーハ保持アームを用いてウェーハカセットからウェーハが取り出される際の、ウェーハとウェーハ保持アームとのZ軸方向における位置合わせである。図2に示す符号46、符号46A、符号48及び符号48Aのそれぞれは、調整治具に具備される第1プレート、第1プレートの端面、第2プレート及び第2プレート48の端面に付される符号である。
【0046】
なお、ウェーハは符号Wが付され図5に図示される。ウェーハ保持アームは符号29が付され図5に図示される。ウェーハカセットの図示は省略される。
【0047】
センシングセンサ32は、ウェーハカセットへ収納されるウェーハの受渡位置をセンシングする際に用いられる。センシングセンサ32は、光学センサが適用される。センシングセンサ32は、エレベータ上下軸移動部34を用いて、Z軸方向に移動自在に支持される。すなわち、センシングセンサ32は、Z軸方向に移動し、ウェーハカセットの複数のスロットのそれぞれに収納されるウェーハの受渡位置を検出する。
【0048】
なお、実施形態に記載のエレベータ上下軸移動部34は、ウェーハ設置部に具備される第1移動装置であり、センサを上下方向へ移動自在に支持する第1移動装置の一例である。
【0049】
[調整治具の構成例]
図3は、図2に示すロードポートに対して調整治具が設置される状態を示すロードポート斜視図である。図4は、図2の斜視図に対応する正面図である。図3には、調整治具の一部が拡大して図示される。以下、図3及び図4を参照して、調整治具40について説明する。
【0050】
調整治具40は、基台42、第1支柱44、第2支柱45、第1プレート46、第2プレート48、第1支持ピン50、第2支持ピン51及びハンドル52を備える。
【0051】
基台42は、3本の第1支柱44及び4本の第2支柱45が立設される。3本の第1支柱44は、第1プレート46を支持する第1支持面を有する。4本の第2支柱45は、第2プレート48を支持する第2支持面を有する。
【0052】
第1プレート46は、基台42の上面42Aに対して規定の平行度を満たす姿勢で支持される。また、第2プレート48は、第1プレート46と同様に、基台42の上面42Aに対して規定の平行度を満たす姿勢で支持される。
【0053】
ロードポート12の設置台30に対して調整治具40が設置される場合における、第1プレート46のZ軸方向における位置は、ロードポート12の設置台30に対してウェーハカセットが設置される場合における、ウェーハカセットにおける最下段のスロットのウェーハ受渡位置と一致する。
【0054】
同様に、ロードポート12の設置台30に対して調整治具40が設置される場合における、第2プレート48のZ軸方向における位置は、ロードポート12の設置台30に対してウェーハカセットが設置される場合における、ウェーハカセットの最上段のスロットのウェーハ受渡位置と一致する。ウェーハ受渡位置は、各スロットに支持されるウェーハWの被支持面のZ軸方向における位置である。
【0055】
ここでいう、第1プレート46のZ軸方向における位置は、第1プレート46の下面46BのZ軸方向における位置である。同様に、第2プレート48のZ軸方向における位置は、第2プレート48の下面48BのZ軸方向における位置である。第1プレート46の下面46Bは、基台42の上面42Aと対向する面である。また、第2プレート48の下面48Bは、第2プレート48の基台42の上面42Aと対向する面である。
【0056】
第1プレート46は、3本の第1支柱44の第1支持面のそれぞれに具備される第1支持ピン50を用いて位置決めされる。すなわち、第1プレート46に形成される第1貫通穴には、Z軸方向に延びる第1支持ピン50が挿入され、X軸方向及びY軸方向の位置が決められる。一方、第1支持ピン50と第1プレート46とは固定されず、第1プレート46はZ軸方向について移動することができる。なお、図示の都合上、第1プレート46に形成される第1貫通穴の図示は省略される。
【0057】
第1プレート46と同様に、第2プレート48は、4本の第2支柱45の第2支持面のそれぞれに具備され、Z軸方向に延びる第2支持ピン51が第2貫通穴48Cに挿入され、X軸方向及びY軸方向の位置が決められる。一方、第2プレート48は、第2支持ピン51と固定されず、第2プレート48はZ軸方向について移動することができる。これにより、ウェーハ保持アーム29を上昇させた際に、ウェーハ保持アーム29のオーバーシュートに起因して、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48を押し上げてしまうことが回避され、ウェーハ保持アーム29の破損及び第2プレート48の破損が抑制され得る。
【0058】
第1プレート46と第2プレート48は、センシングセンサ32の側の端辺46Aおよび端辺48Aに円弧形状を有する部分が含まれる。第1プレート46と第2プレート48の端辺48Aの円弧形状は、ウェーハの円弧形状に対応している。これにより、第2プレート48をセンシングする際に、ウェーハのセンシングに対して近い条件が適用される。
【0059】
なお、実施形態に記載の最下段のスロットは、第1スロットの一例である。実施形態に記載の最上段のスロットは、第1スロットよりも上に配置される第2スロットの一例である。
【0060】
実施形態に記載のZ軸方向は上下方向の一例であり、実施形態に記載のX軸及びY軸に対して平行となる面は、上下方向と直交する面の一例である。
【0061】
[ウェーハ搬送装置の構成例]
図5は、図1に示す装置に適用される搬送ユニットの概略構成を示す斜視図である。搬送ユニット20は、複数のウェーハWが収納されるウェーハカセットから、ウェーハを1枚ずつ取り出し、処理装置へ搬送する。
【0062】
搬送ユニット20は、ウェーハ保持アーム29及びウェーハ保持アーム動作機構を備える。ウェーハ保持アーム29は、ウェーハ保持アーム動作機構を用いて進退自在に支持される。図5には、ウェーハ保持アーム29が伸ばされ、搬送ユニット20の本体26に形成される開口27から外部へ出された状態が図示される。
【0063】
ウェーハ保持アーム29は、ウェーハWに対して吸着圧力を付与する吸引穴29Aが形成される。吸引穴29Aは、気体流路を介してポンプ等の吸引装置と接続される。なお、気体流路及び吸引装置の図示は省略される。
【0064】
搬送ユニット20は、本体26に収納されるウェーハ保持アーム29を伸ばし、ウェーハ保持アーム29をウェーハカセットの内部へ進入させ、ウェーハ保持アーム29に対して1枚のウェーハWを吸着させる。
【0065】
また、搬送ユニット20は、1枚のウェーハWが吸着されるウェーハ保持アーム29を縮めて、1枚のウェーハWをウェーハカセットから取り出し、本体26の内部へ収納する。
【0066】
搬送ユニット20は、回転機構28を備える。回転機構28は、Z軸方向に沿う回転軸の回りに搬送ユニット20を回転させる。回転機構28は、回転軸にシャフトが連結される駆動モータを備える。なお、駆動モータの図示は省略される。
【0067】
回転機構28は、正転方向及び逆転方向のそれぞれについて、搬送ユニット20を180度回転させてもよいし、正転方向又は逆転方向のいずれかについて、搬送ユニット20を360度回転させてもよい。すなわち、回転機構28は、開口27がロードポート12を向く搬送ユニット20の姿勢と、開口27が処理装置16を向く搬送ユニット20の姿勢とを、切り替える。
【0068】
[高さ調整方法の具体例]
実施形態に係る高さ調整方法は、図3及び図4に図示される調整治具40を用いて実施される、ウェーハカセットにおける各スロットのZ軸方向の位置と、ウェーハ保持アーム29におけるウェーハWが支持される面のZ軸方向の位置との位置合わせに適用される。ここで、高さとは、予め規定されるZ軸方向における基準面からのZ軸方向に沿う距離を意味する。
【0069】
以下に、ウェーハカセットのスロット数が25の場合の高さ調整について説明する。なお、以下の説明におけるスロットという用語の後ろに付される数値は、ウェーハカセットのスロット数を表す。例えば、スロット1は、最下段のスロットを表す。
【0070】
高さ調整方法の事前の準備として、図3に示すように、ロードポート12の設置台30に対して、第2プレート48の円弧形状がローダ14の側を向く姿勢で調整治具40が設置される。
【0071】
図6は、実施形態に係る高さ調整方法の手順を示すフローチャートである。実施形態に係る高さ調整方法は、コンピュータが適用される制御装置がプログラムを実行し、各工程が実現される。なお、以下の説明において、図2に示すエレベータ上下軸移動部34をエレベータ上下軸と称する。また、図1に示すローダ上下軸移動部22をローダ上下軸と称する。
【0072】
高さ調整方法は、エレベータ上下軸補正値取得工程S10及びローダ上下軸補正値取得工程S12が含まれる。エレベータ上下軸補正値取得工程S10では、エレベータ上下軸補正値が取得される。
【0073】
エレベータ上下軸補正値取得工程S10では、センシングセンサ32を用いて調整治具40の第1プレート46の下面46Bの位置が、エレベータ上下軸治具スロット1高さとして測定される。エレベータ上下軸治具スロット1高さから、エレベータ上下軸スロット1高さ設計値が減算され、エレベータ上下軸補正値取得される。エレベータ上下軸スロット1高さ設計値は、エレベータ上下軸におけるスロット1の高さの設計値である。
【0074】
また、ローダ上下軸補正値取得工程S12では、ローダ上下軸補正値が取得される。ローダ上下軸補正値取得工程S12の詳細は後述する。エレベータ上下軸補正値及びローダ上下軸補正値が取得されると、高さ調整方法は終了される。エレベータ上下軸補正値及びローダ上下軸補正値は、ウェーハWが搬送される通常運用に適用される。
【0075】
〔エレベータ上下軸補正値取得工程〕
図7は、エレベータ上下軸補正値取得の模式図である。同図には、エレベータ上下軸治具スロット1高さ、エレベータ上下軸スロット1高さ設計値、及びエレベータ上下軸補正値の関係が模式的に図示される。
【0076】
例えば、エレベータ上下軸スロット1高さ設計値を0とし、エレベータ上下軸治具スロット1高さの測定値が300マイクロメートルの場合、エレベータ上下軸補正値は300マイクロメートルである。
【0077】
〔ローダ上下軸補正値取得工程〕
図8は、第2ローダ上下軸補正値取得工程の手順を示すフローチャートである。図6に示すローダ上下軸補正値取得工程S12は、第1ローダ上下軸補正値を算出する第1ローダ上下軸補正値取得工程と、第2ローダ上下軸補正値を算出する第2ローダ上下軸補正値取得工程とが含まれる。
【0078】
第1ローダ上下軸補正値の算出と第2ローダ上下軸補正値の算出とは、同様の手順が適用されるので、図8には、第2ローダ上下軸補正値を算出する第2ローダ上下軸補正値取得工程の手順を示す。
【0079】
図8に示すウェーハ保持アーム移動工程S20では、図5に示すウェーハ保持アーム29を、ローダ上下軸スロット25高さ設計値に対して、20ミリメートル下の位置へ移動させる。上記の位置におけるウェーハ保持アーム29は、図9において一点鎖線を用いて図示される。ローダ上下軸スロット25高さ設計値は、ローダ上下軸移動部22におけるスロット25の高さの設計値である。
【0080】
図8に示す第1ピッチ送り工程S22では、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力を発生させ、ウェーハ保持アーム29をZ軸方向の上方向へ4ミリメートルずつ移動させる第1ピッチ送りが実施される。
【0081】
なお、ウェーハ保持アーム29のZ軸方向の上方向への第1ピッチ送りは、第2プレートとウェーハ保持アームとの相対移動の一例であり、第1ピッチ送りにおける搬送分解である4ミリメートルは、第3搬送分解能の一例である。
【0082】
第1吸着圧力判定工程S24では、ウェーハ保持アーム29の第1ピッチ送りの停止位置ごとに、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第1しきい値以上であるか否かが判定される。第1吸着圧力判定工程S24において、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第1しきい値未満であると判定される場合はNo判定となり、第1送り回数判定工程S26へ進む。なお、ウェーハ保持アーム29の吸着が真空引きによる場合は、吸着圧力は絶対値として解される。
【0083】
第1送り回数判定工程S26では、送り回数が規定の第1最大回数以上であるか否かが判定される。第1送り回数判定工程S26において、送り回数が規定の第1最大回数未満であると判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、第1ピッチ送り工程S22が継続され、第1吸着圧力判定工程S24又は第1送り回数判定工程S26においてYes判定となるまで、第1ピッチ送り工程S22から第1送り回数判定工程S26までの各工程が繰り返し実行される。
【0084】
一方、第1送り回数判定工程S26において、送り回数が規定の第1最大回数以上であると判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合はエラーとされ、高さ調整方法は終了される。高さ調整方法が終了される場合、ウェーハ保持アーム移動工程S20においてウェーハ保持アーム29を移動させた位置へウェーハ保持アーム29が戻され、搬送ユニット20の内部へウェーハ保持アーム29が収納される。
【0085】
第1最大回数は、ローダ上下軸スロット25高さの設計値から、ウェーハ保持アーム29の第1ピッチ送り工程S22の実行前の位置までの距離に基づき規定し得る。例えば、第1最大回数は8回とし得る。
【0086】
本例では、20ミリメートルに対して4ミリメートルのピッチ送りが実施される。計算上、5回のピッチ送りが実施されると、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bへ接触するはずである。例えば、両者が接触すべき送り量の1.5倍の送りが実施されても両者が接触しない場合は、何らかの異常が発生している可能性があると判定し得る。
【0087】
一方、第1吸着圧力判定工程S24において、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第1しきい値以上であると判定される場合はYes判定となり、第2ピッチ送り工程S28へ進む。
【0088】
すなわち、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bと接触すると、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48を吸着し、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が大きく変動する。第1吸着圧力判定工程S24においてYes判定となる場合は、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bを吸着したと把握される。
【0089】
ここで、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が大きく変動する場合に、ウェーハ保持アーム29が、調整治具40の第2プレート48をZ軸方向の上方向へ押してしまう場合がある。このような場合であって、調整治具40の第2プレート48は、ウェーハ保持アーム29に吸着された状態でウェーハ保持アーム29の上昇に追従するので、ウェーハ保持アーム29と第2プレート48との衝突に起因するウェーハ保持アーム29の破損が回避され得る。
【0090】
第2ピッチ送り工程S28では、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bを吸着する位置から、Z軸方向の下方向へ1ミリメートルずつウェーハ保持アーム29を移動させる第2ピッチ送りが実施される。
【0091】
第2ピッチ送り工程S28における第2送りピッチは、第1ピッチ送り工程S22に適用される第1送りピッチ未満とされる。例えば、nを2以上の整数とする場合に、第2送りピッチは、第1送りピッチのn分の1としてもよい。nは2以上10以下が好ましい。
【0092】
第2吸着判定工程S30では、ウェーハ保持アーム29の第2ピッチ送りの停止位置ごとに、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第2しきい値未満であるか否かが判定される。第2しきい値は、第1吸着圧力判定工程S24に適用される第1しきい値と同一であってもよい。
【0093】
第2吸着判定工程S30において、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第2しきい値以上であると判定される場合はNo判定となり、第2送り回数判定工程S32へ進む。第2送り回数判定工程S32では、送り回数が第2最大回数以上であるか否かが判定される。
【0094】
第2送り回数判定工程S32において、送り回数が第2最大回数未満であると判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、第2ピッチ送り工程S28が継続され、第2吸着判定工程S30又は第2送り回数判定工程S32においてYes判定となるまで、第2ピッチ送り工程S28から第2送り回数判定工程S32までの各工程が繰り返し実行される。
【0095】
一方、第2送り回数判定工程S32において、送り回数が第2最大回数以上であると判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、エラーとして高さ調整方法は終了される。高さ調整方法が終了される場合のウェーハ保持アーム29に対する処理は、第1送り回数判定工程S26のYes判定の場合と同様である。
【0096】
第2最大回数は、第1送りピッチを第2送りピッチで除算した値の1.5倍以下とし得る。すなわち、本来は、4回のピッチ送りが実施されるまでにウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bから離間し、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第2しきい値未満となるはずである。5回以上のピッチ送りが実施されても、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第2しきい値以上であり、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bから離間しない場合は、何らかの異常が発生している可能性があると判定し得る。第2最大回数は、計算値に対するマージンを見込んで規定し得る。例えば、第2最大回数は6回とされてもよい。
【0097】
一方、第2吸着判定工程S30において、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第2しきい値未満であると判定される場合はYes判定となり、第3ピッチ送り工程S34へ進む。
【0098】
第3ピッチ送り工程S34では、ウェーハ保持アーム29は、第2プレート48の下面48Bに対する吸着が解除される位置から、Z軸方向の上方向へ100マイクロメートルずつウェーハ保持アーム29を移動させる第3ピッチ送りが実施される。
【0099】
第3ピッチ送り工程S34に適用される第3送りピッチは、第2ピッチ送り工程S28に適用される第2送りピッチ未満とされる。例えば、mを2以上の整数とする場合に、第3送りピッチは、第2送りピッチのm分の1としてもよい。
【0100】
第3ピッチ送り工程S34は、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bと接触する位置を高精度に測定する目的で実施される。mは10以上が好ましい。mの最大値は、第3ピッチ送り工程S34の効率の観点から規定し得る、例えば、mは20以下とし得る。
【0101】
なお、ウェーハ保持アーム29のZ軸方向の上方向への第3ピッチ送りは、第2プレートとウェーハ保持アームとの相対移動の一例であり、第3ピッチ送りにおける搬送分解である100マイクロメートルは、第3搬送分解能よりも小さい第4搬送分解能の一例である。
【0102】
第3吸着判定工程S36では、ウェーハ保持アーム29の第3ピッチ送りの停止位置ごとに、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第3しきい値未満であるか否かが判定される。第3しきい値は、第1吸着圧力判定工程S24に適用される第1しきい値と同一とし得る。
【0103】
第3吸着判定工程S36において、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第3しきい値未満であると判定される場合はNo判定となり、第3送り回数判定工程S38へ進む。
【0104】
第3送り回数判定工程S38では、送り回数が第3最大回数以上であるか否かが判定される。第3送り回数判定工程S38において、送り回数が第3最大回数未満であると判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、第3ピッチ送り工程S34が継続され、第3吸着判定工程S36又は第3送り回数判定工程S38においてYes判定となるまで、第3ピッチ送り工程S34から第3送り回数判定工程S38までの各工程が繰り返し実行される。
【0105】
一方、第3送り回数判定工程S38において、送り回数が第3最大回数以上であると判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、エラーとして高さ調整方法は終了される。高さ調整方法が終了される場合のウェーハ保持アーム29に対する処理は、第1送り回数判定工程S26のYes判定の場合と同様である。
【0106】
第3最大回数は、第2送りピッチを第3送りピッチで除算した値の1.5倍以下とし得る。すなわち、本来は、10回のピッチ送りが実施されるまでにウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bへ接触し、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第3しきい値を超えるはずである。15回以上のピッチ送りが実施されても、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第2しきい値を超えず、ウェーハ保持アーム29が第2プレート48の下面48Bへ接触しない場合は、何らかの異常が発生している可能性があると判定し得る。第3最大回数は、計算値に対するマージンを見込んで規定し得る。本例では、第3最大回数は15回とされてもよい。
【0107】
第3吸着判定工程S36において、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力が第3しきい値以上であると判定される場合はYes判定となり、ローダ上下軸補正値取得工程S40へ進む。
【0108】
ローダ上下軸補正値取得工程S40では、第3吸着判定工程S36においてYes判定とされたウェーハ保持アーム29の位置が、調整治具40の第2プレート48のZ軸方向における位置である治具スロット25高さとして取得される。
【0109】
ローダ上下軸補正値取得工程S40では、治具スロット25高さからローダ上下軸スロット25高さ設計値が減算され、第2ローダ上下軸補正値が取得される。
【0110】
ローダ上下軸補正値取得工程S40において、第2ローダ上下軸補正値が取得されると、第2ローダ上下軸補正値取得工程が終了され、第1ローダ上下軸補正値を取得する第1ローダ上下軸補正値取得工程へ進む。
【0111】
第1ローダ上下軸補正値取得工程では、第3吸着判定工程S36においてYes判定とされた位置から、Z軸方向の下方向へ260ミリメートルの位置へウェーハ保持アーム29を移動させる。かかる工程はウェーハ保持アーム移動工程S20に対応する。
【0112】
図9におけるローダ上下軸スロット1高さ設計値の下に一点鎖線を用いて図示されるウェーハ保持アーム29は、第3吸着判定工程S36においてYes判定とされた位置から、Z軸方向の下方向へ260ミリメートルの位置へ移動させたウェーハ保持アーム29である。
【0113】
以下、第1プレート46に対して、第1ピッチ送り工程S22からローダ上下軸補正値取得工程S40までの各工程が、第1ローダ上下軸補正値を取得する第1ローダ上下軸補正値取得工程として実行される。
【0114】
第1ローダ上下軸補正値取得工程において実施される、ウェーハ保持アーム29のZ軸方向の上方向への第1ピッチ送りは、第1プレートとウェーハ保持アームとの相対移動の一例であり、第1ピッチ送りにおける搬送分解である4ミリメートルは、第1搬送分解能の一例である。第3ピッチ送りにおける搬送分解である100マイクロメートルは、第1搬送分解能よりも小さい第2搬送分解能の一例である。
【0115】
[補正値の具体例]
図9は、第1ローダ上下軸補正値取得及び第2ローダ上下軸補正値取得の模式図である。図9には、ローダ上下軸治具スロット25高さ、ローダ上下軸スロット25高さ設計値及び第2ローダ上下軸補正値の具体例として、765900マイクロメート、765000マイクロメート、900マイクロメートルが例示される。また、ローダ上下軸治具スロット1高さ、ローダ上下軸スロット1高さ設計値及び第1ローダ上下軸補正値の具体例として、525500マイクロメート、525000マイクロメート、500マイクロメートルが例示される。
【0116】
[実施形態に係る高さ調整方法の変形例]
〔ウェーハ保持アームの連続送り〕
第1ピッチ送り工程S22、第2ピッチ送り工程S28及び第3ピッチ送り工程S34におけるウェーハ保持アーム29のピッチ送りは、ウェーハ保持アーム29を停止させずに、連続的に送る連続送りを適用してもよい。第1ピッチ送り工程S22等に対してウェーハ保持アーム29の連続送りが適用される場合は、ピッチ送りの際の停止位置に対応するタイミングにおいて、ウェーハ保持アーム29の吸着圧力の測定が実施される。
【0117】
〔センサが用いられる接触検出〕
ウェーハ保持アーム29と第1プレート46の下面46Bとの接触は、接触の有無を識別する各種のセンサを用いて検出してもよい。ウェーハ保持アーム29と第2プレート48の下面48Bとの接触の検出も同様である。各種のセンサとして、在荷センサ及び光学センサ等が挙げられる。
【0118】
[調整治具の変形例]
本実施形態では、ウェーハカセットにおける最下段のスロット1の位置に対応する第1プレート46と、ウェーハカセットにおける最上段のスロット25の位置に対応する第2プレート48を備える調整治具40を例示したが、第1プレート46の位置及び第2プレート48の位置に対応するスロットは、任意に規定し得る。第1プレート46と第2プレートとの間のスロット数は3以上であればよい。
【0119】
[通常運用の具体例]
図10は、通常運用の際のウェーハ高さの測定の模式図である。図10には、エレベータ上下軸基準のスロット4におけるウェーハWの高さである、スロット4ウェーハ高さの測定が模式的に図示される。
【0120】
図10に示すスロット4ウェーハ高さは、スロット4ウェーハ高さの測定値から、エレベータ上下軸スロット1高さ設計値が減算され、取得される。同図には、スロット4ウェーハ高さの測定値の例として、30700マイクロメートルが図示される。
【0121】
図11は、ローダ上下軸とエレベータ上下軸とのずれ量の模式図である。ローダ上下軸とエレベータ上下軸とのずれ量は、図9に示す第1ローダ上下軸補正値から、図7に示すエレベータ上下軸補正値との差として算出される。図11には、第1ローダ上下軸補正値がプラス500マイクロメートルであり、エレベータ上下軸補正値が300マイクロメートルの場合に、ローダ上下軸とエレベータ上下軸とのずれ量が200マイクロメートルである例が図示される。
【0122】
図12は、ローダ上下軸基準のウェーハ高さ取得の説明図である。同図には、ローダ上下軸基準のスロット4ウェーハ高さの取得が例示される。ローダ上下軸基準のスロット4ウェーハ高さは、ローダ上下軸基準のスロット1ウェーハ高さにエレベータ軸基準のスロット4ウェーハ高さを加算した値から、ローダ上下軸とエレベータ上下軸とのずれ量を減算して取得される。
【0123】
具体的には、ローダ上下軸基準のスロット1ウェーハ高さは、図9に示す525000マイクロメートルであり、エレベータ上下軸基準のスロット4ウェーハ高さは、図10に示す30700マイクロメートルである。ローダ上下軸とエレベータ上下軸とのずれ量は、図11に示す200マイクロメートルであり、ローダ上下軸基準のスロット4ウェーハ高さは、555500マイクロメートルである。
【0124】
次に、各スロットに対してウェーハ保持アーム29を挿入するZ軸方向の位置である、ウェーハ保持アーム挿入高さについて説明する。ウェーハ保持アーム挿入高さの設計値は、各スロットから3ミリメートル下の位置である。但し、実際のローダ上下軸はZ軸に対して倒れ等があり、軸ずれが発生する。
【0125】
図13は、ローダ上下軸の軸ずれ説明図である。同図に示すように、ローダ上下軸スロット25高さの設計値と、ローダ上下軸スロット1高さの設計値との差は、240ミリメートルである。一方、図9に示すローダ上下軸治具スロット25高さから、ローダ上下軸治具スロット1高さを減算した値は、765900マイクロメートル-525500マイクロメートル=240400マイクロメートルであり、実際に取得される値は、設計値との差が生じる。
【0126】
そこで、各スロットに対してウェーハ保持アーム29を挿入するZ軸方向の位置は、設計値に対して、ローダ上下軸の軸ずれが考慮され、規定される。具体的には、図9に示す第1ローダ上下軸補正値及び第2ローダ上下軸補正値から、軸ずれの考慮分が算出される。
【0127】
すなわち、軸ずれが考慮されたウェーハ保持アームの下げ量は、{(第2ローダ上下軸補正値)-(第1ローダ上下軸補正値)+(スロット1からスロット25までの高さの設計値)/(スロット1からスロット25までの高さの設計値)}×ウェーハ保持アームの下げ量の設計値として算出される。
【0128】
具体的には、軸ずれが考慮されたウェーハ保持アームの下げ量は、{(900マイクロメートル-500マイクロメートル+240000マイクロメートル)/240000マイクロメートル}×3000マイクロメートル=3005マイクロメートルである。
【0129】
図14は、ローダ上下軸の軸ずれが考慮されたウェーハ保持アームの挿入位置の模式図である。図14には、スロット4に収納されるウェーハWに適用されるウェーハ保持アーム29の挿入位置が図示される。
【0130】
図14に示すように、ローダ上下軸基準のスロット4ウェーハ高さが555500マイクロメートルの場合に、ウェーハ保持アーム29の挿入位置は552495マイクロメートルとされる。なお、実施形態に記載の軸ずれは、上下方向に対する搬送部の傾斜の一例である。
【0131】
[実施形態に係る高さ調整方法の作用効果]
実施形態に係る高さ調整方法は、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0132】
〔1〕
センシングセンサ32を用いて測定される調整治具40の第1プレート46の測定値である治具スロット1高さに基づき、エレベータ上下軸補正値が取得される。ウェーハ保持アーム29を用いて取得されるローダ上下軸スロット1高さに基づき、第1ローダ上下軸補正値が算出される。これにより、ウェーハの搬送が実施される通常運用において、エレベータ上下軸補正値及び第1ローダ上下軸補正値を用いて、各スロット高さにおけるエレベータ上下軸に対するローダ上下軸のずれ量が補正される。
【0133】
〔2〕
ウェーハ保持アーム29を用いて取得されるローダ上下軸スロット25高さに基づき、第2ローダ上下軸補正値が算出される。第1ローダ上下軸補正値及び第2ローダ上下軸補正値を用いて、ローダ上下軸の軸ずれが考慮されたウェーハ保持アームの下げ量が取得される。
【0134】
〔3〕
調整治具40に具備される第1プレート46に対してウェーハ保持アーム29が接触する位置が、第1プレート46の位置として把握される。これにより、第1プレート46の位置精度に応じたスロット1の現実の位置の測定が可能である。
【0135】
〔4〕
第2プレート48に対してウェーハ保持アーム29が接触する位置が、第2プレート48の位置として把握される。これにより、第2プレート48の位置精度に応じたスロット25の現実の位置の測定が可能である。
【0136】
〔5〕
4ミリメートルの搬送分解能が適用される第1ピッチ送りが実施され、第1プレート46に対してウェーハ保持アーム29を接触させる。第2ピッチ送りが実施され、ウェーハ保持アーム29を第1プレート46から離間させ、100マイクロメートルの搬送分解能が適用される第3ピッチ送りが実施され、第1プレート46に対してウェーハ保持アーム29を接触させ、第1プレート46の位置が把握される。これにより、測定効率がよく、かつ、高精度の第1プレート46の測定が実施される。第2プレート48の測定についても、第1プレート46の測定と同様の手順が適用され、同様の作用効果が得られる。
【0137】
[実施形態に係る調整治具の作用効果]
実施形態に係る調整治具は、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0138】
〔1〕
第1プレート46及び第2プレート48は、X軸方向及びY軸方向への移動が規制され、Z軸方向の上方への移動が自在に支持される。これにより、第1プレート46の下面46B及び第2プレート48の下面48Bの側からウェーハ保持アーム29が接触する場合に、ウェーハ保持アーム29のオーバーシュートが発生する場合であっても、第1プレート46及び第2プレート48をウェーハ保持アーム29が押し上げた結果、第1プレート46、第2プレート48及びウェーハ保持アーム29の破損が回避される。
【0139】
〔2〕
第2プレート48のセンシングセンサ32の側の端辺48Aは、円固形状が適用される。これにより、センシングセンサ32を用いて第2プレート48の側の端辺48Aを検出する際に、ウェーハの検出と同様の条件で第2プレート48の検出が可能となる。
【0140】
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。また、実施形態、変形例及び応用例は適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0141】
10…プローバ、12…ロードポート、14…ローダ、16…処理装置、20…搬送ユニット、22…ローダ上下移動部、26…本体、27…開口、28…回転機構、29…ウェーハ搬送アーム、29A…吸引穴、30…設置台、32…センシングセンサ、34…エレベータ上下軸移動部、40…調整治具、42…基台、42A…上面、44…第1支柱、45…第2支柱、46…第1プレート、46B…下面、48…第2プレート、48A…端辺、48B…下面、48C…第2貫通穴、50…第1プレート支持ピン、52…第2プレート支持ピン、52…ハンドル、W…ウェーハ
図1
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