(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146399
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20241004BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20241004BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H05K3/28 B
H01L23/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059265
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和也
(72)【発明者】
【氏名】荒井 康昭
【テーマコード(参考)】
4M109
5E314
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA04
4M109DB15
5E314AA27
5E314BB06
5E314BB07
5E314BB11
5E314CC06
5E314DD07
5E314EE02
5E314FF05
5E314FF19
5E314FF27
5E314GG24
5E314GG26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から半導体チップまでの高さを所定の値に微調整する構造体を提供する。
【解決手段】構造体100は、基板Bと、基板B上に設けられた配線E1、E2と、基板B上に、配線E1、E2の全部または一部を被覆するように設けられた絶縁層SRと、基板B上の第1領域A1において、絶縁層SRを介して設けられ、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dと、高さ調整部Dにより支持されるように高さ調整部D上に配置された第1半導体チップIC1と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた配線と、
前記基板上に、前記配線の全部または一部を被覆するように設けられた絶縁層と、
前記基板上の第1領域において、前記絶縁層を介して設けられ、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部と、
前記高さ調整部により支持されるように前記高さ調整部上に配置された第1半導体チップと、
を備える、構造体。
【請求項2】
前記基板上で、前記第1半導体チップを封止する樹脂層を、さらに備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記基板上の前記第1領域とは異なる第2領域において、前記絶縁層を介して配置された第2半導体チップと、
前記基板上で、前記第1半導体チップおよび前記第2半導体チップを封止する樹脂層と、をさらに備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
前記第1領域において、前記高さ調整部の上面と前記第1半導体チップの下面との間を接着する第1絶縁接着層を備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
前記絶縁層、及び前記高さ調整部は、同じ有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成されている、請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種は、感光性である、請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
前記第2領域において、前記絶縁層の上面と前記第2半導体チップの下面との間を接着する第2絶縁接着層と、
前記配線のうちの第2配線と前記第2半導体チップの上面に設けられた端子との間を接続する第2ボンディングワイヤと、を備える、請求項3に記載の構造体。
【請求項8】
前記配線のうちの第2配線と前記第2半導体チップの下面に設けられた端子との間を接続するバンプ電極と、
前記絶縁層と前記第2半導体チップとの間に設けられ、前記絶縁層と前記第2半導体チップの下面との接着し且つ前記端子及び前記バンプ電極を封止するアンダーフィル樹脂と、を備える、請求項3に記載の構造体。
【請求項9】
前記第1半導体チップの下面と前記第2ボンディングワイヤと間の距離は、予め設定された距離に設定されている、請求項7に記載の構造体。
【請求項10】
前記配線のうちの第1配線と前記第1半導体チップの上面に設けられた端子との間を接続する第1ボンディングワイヤを備える、請求項7又は8に記載の構造体。
【請求項11】
前記樹脂層は、前記高さ調整部とは異なる材料で構成されている、請求項2に記載の構造体。
【請求項12】
前記第1半導体チップ上に、1個又は複数個の第3半導体チップが積層されている、請求項1に記載の構造体。
【請求項13】
前記第1半導体チップは、半導体メモリを含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項14】
前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップの動作を制御するコントローラを含む、請求項3に記載の構造体。
【請求項15】
前記絶縁層は、ソルダーレジストから構成される、請求項1に記載の構造体。
【請求項16】
前記高さ調整部は、絶縁性を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項17】
前記第1半導体チップの下面と前記第2半導体チップの上面との距離は、予め設定された距離に設定されている、請求項3に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを備えた構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と、この基板上に第1接着層を介して搭載された高さ調整用部材(スペーサ)と、この高さ調整用部材上に第2接着層を介して搭載された第1半導体チップと、基板上に第2接着層を介して搭載された第2半導体チップと、基板に設けられた各配線と各半導体チップの端子とを接続する複数のボンディングワイヤと、基板上でこれらの構成を封止する封止部材と、を備えた構造体(半導体装置)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の構造体において、当該高さ調整用部材は、無機系の部材が用いられている。したがって、この構造体では、当該高さ調整用部材を基板に固定するために、上記のように第1接着層が別途必要となり、この第1接着層の形成や位置合わせ等のための工程を実施するため、当該構造体の製造コストが増加することとなる。
【0004】
さらに、無機系の部材である当該高さ調整用部材は、その膜厚の微調整が難しいため、基板から第1半導体チップまでの高さの微調整が困難であり、例えば、高さ調整用部材を基板に固定する第1接着層の膜厚を調整することにより高さを調整する等のさらに個別の設定が必要となる。
【0005】
以上のように、上記従来技術の構造体では、半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から半導体チップまでの高さを所定の値に微調整することができない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から半導体チップまでの高さを所定の値に微調整することが可能な構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体は、
基板と、
前記基板上に設けられた配線と、
前記基板上に、前記配線の全部または一部を被覆するように設けられた絶縁層と、
前記基板上の第1領域において、前記絶縁層を介して設けられ、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部と、
前記高さ調整部により支持されるように前記高さ調整部上に配置された第1半導体チップと、
を備える。
【0009】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記基板上で、前記第1半導体チップを封止する樹脂層
を、さらに備えるようにしてもよい。
【0010】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記基板上の前記第1領域とは異なる第2領域において、前記絶縁層を介して配置された第2半導体チップと、
前記基板上で、前記第1半導体チップおよび前記第2半導体チップを封止する樹脂層と、をさらに備えていてもよい。
【0011】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記基板の上面から前記高さ調整部の上面までの高さは、前記基板の前記上面から前記第2半導体チップの上面までの高さより、高くなるようにしてもよい。
【0012】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記第1半導体チップの端部は、前記第2半導体チップの上方または横であって同じ高さに位置している、ようにしてもよい。
【0013】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記第1領域において、前記高さ調整部の上面と前記第1半導体チップの下面との間を接着する第1絶縁接着層を備えるようにしてもよい。
【0014】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記高さ調整部は、
前記第1領域において第1方向に延在する第1高さ調整部分と、
前記第1領域において前記第1方向に延在し且つ前記第1高さ調整部分と離間して設けられた第2高さ調整部分と、を含み、
前記第1高さ調整部分と前記第2高さ調整部分との間には、前記樹脂層を備えるようにしてもよい。
【0015】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記高さ調整部は、
前記第1領域において前記第1方向とは異なる第2方向に延在する第3高さ調整部分と、
前記第1領域において前記第2方向に延在し且つ前記第1ないし第3高さ調整部分と離間して設けられた第4高さ調整部分と、をさらに含み、
前記第1ないし第4高さ調整部分の間には、前記樹脂層を備えるようにしてもよい。
【0016】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記絶縁層、及び前記高さ調整部は、同じ有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成されているようにしてもよい。
【0017】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記高さ調整部は、前記絶縁層と前記第1および第2高さ調整部分との間に設けられた台座部分を備えるようにしてもよい。
【0018】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記絶縁層、前記第1および第2高さ調整部分、及び前記台座部分は、同じ有機樹脂で構成されているようにしてもよい。
【0019】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種は、感光性であるようにしてもよい。
【0020】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記第2領域において、前記絶縁層の上面と前記第2半導体チップの下面との間を接着する第2絶縁接着層と、
前記配線のうちの第2配線と前記第2半導体チップの上面に設けられた端子との間を接続する第2ボンディングワイヤと、を備えるようにしてもよい。
【0021】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記配線のうちの第2配線と前記第2半導体チップの下面に設けられた端子との間を接続するバンプ電極と、
前記絶縁層と前記第2半導体チップとの間に設けられ、前記絶縁層と前記第2半導体チップの下面との接着し且つ前記端子及び前記バンプ電極を封止するアンダーフィル樹脂と、を備えるようにしてもよい。
【0022】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記第1半導体チップの下面と前記第2ボンディングワイヤと間の距離は、予め設定された距離に設定されているようにしてもよい。
【0023】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記配線のうちの第1配線と前記第1半導体チップの上面に設けられた端子との間を接続する第1ボンディングワイヤを備えるようにしてもよい。
【0024】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記樹脂層は、前記高さ調整部とは異なる材料で構成されているようにしてもよい。
【0025】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記第1半導体チップ上に、1個又は複数個の第3半導体チップが積層されているようにしてもよい。
【0026】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記第1半導体チップは、半導体メモリを含むようにしてもよい。
【0027】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップの動作を制御するコントローラを含むようにしてもよい。
【0028】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記絶縁層は、ソルダーレジストから構成されるようにしてもよい。
【0029】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記高さ調整部は、絶縁性を有するようにしてもよい。
【0030】
前記本発明の一態様に係る実施形態に従った構造体において、
前記第1半導体チップの下面と前記第2半導体チップの上面との距離は、予め設定された距離に設定されていてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様に係る構造体によれば、半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から半導体チップまでの高さを所定の値に微調整することが可能な構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る構造体100の断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す構造体100の高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の一例を示す上面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す構造体100の高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の他の例を示す上面図である。
【
図4】
図4は、第1の変形例に係る構造体100Aの断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、第2の変形例に係る構造体100Bの断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す構造体100Bの高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の一例を示す上面図である。
【
図7】
図7は、第2の変形例に係る構造体100Bの断面の他の例を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第3の変形例に係る構造体100Cの断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す構造体100Cの高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の一例を示す上面図である。
【
図10】
図10は、第3の変形例に係る構造体100Cの断面の他の例を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、第4の変形例に係る構造体100Dの断面の一例を模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、第4の変形例に係る構造体100Dの断面の他の例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、発明を実施するための実施形態やその変形例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態やその変形例に限定して解釈されるものではない。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0034】
以下、
図1乃至
図3を参照して、本開示の実施形態に係る構造体について説明する。
【0035】
ここで、
図1は、本発明の実施形態に係る構造体100の断面の一例を模式的に示す断面図である。そして、
図2は、
図1に示す構造体100の高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の一例を示す上面図である。なお、
図2に示すA―A線に沿った断面は、
図1に示す構造体100の高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の断面に対応している。また、
図3は、
図1に示す構造体100の高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の他の例を示す上面図である。なお、
図3に示すA―A線に沿った断面は、
図1に示す構造体100の高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の断面に対応している。
【0036】
[構造体]
本実施形態に係る構造体100は、例えば、
図1に示すように、基板Bと、配線E1、E2、EX(第1配線E1、第2配線E2、第3配線EX)と、絶縁層SRと、高さ調整部Dと、第1絶縁接着層M1と、第1半導体チップIC1と、第1ボンディングワイヤW1と、第2絶縁接着層M2と、第2半導体チップIC2と、第2ボンディングワイヤW2と、第3絶縁接着層M3aと、第3半導体チップIC3aと、第3ボンディングワイヤW3aと、樹脂層Fと、を備える。
【0037】
この構造体100は、
図1に示す例では、例えば、半導体記憶装置である。しかしながら、この構造体100の構成は、半導体記憶装置以外の半導体装置やその他のデバイスにも適用が可能である。
【0038】
[基板]
図1に示す構造体100の基板Bは、例えば、プリント配線板である。この基板Bは、例えば、ガラスエポキシ樹脂製の基材を含んでいる。
【0039】
そして、この基板B上には、複数の配線E1、E2、EXが設けられている。この複数の配線E1、E2、EXは、基板Bに固定されている。なお、この複数の配線E1、E2、EXは、例えば、銅を含む配線であるが、アルミ等の他の導電性を有する金属等で構成されていてもよい。
【0040】
[絶縁層]
図1に示す構造体100の絶縁層SRは、基板B上において、配線E1、E2、EXの全部または一部を被覆するように設けられている。
【0041】
特に、この絶縁層SRは、例えば、感光性樹脂および感光性樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成されているが、他の有機樹脂等で構成されていてもよい。
【0042】
この絶縁層SRは、例えば、配線が設けられた基板Bの表面を覆い、パターン回路を保護する絶縁膜となるインキの硬化物であるソルダーレジストから構成される。このソルダーレジスト形成用のインキは、例えば、塗膜形成の方法によって、「アルカリ現像型ソルダーレジストインキ」、「UV硬化型ソルダーレジストインキ」、「熱硬化型ソルダーレジストインキ」等に分類される。そして、例えば、「アルカリ現像型ソルダーレジストインキ」は、スクリーン印刷やスプレー、カーテン法によりソルダーレジストインキを全面塗布したプリント配線板に、パターンが作られたネガフィルムをとおして露光し、未硬化部分を希アルカリ現像液で現像することにより微細なパターンを形成することが可能なソルダーレジストインキである。また、「UV硬化型ソルダーレジストインキ」は、スクリーン印刷法によりパターン印刷し、UV光(紫外線)を照射することにより硬化するタイプのソルダーレジストインキである。また、「熱硬化型ソルダーレジストインキ」は、スクリーン印刷法によりパターン印刷し、加熱により硬化するタイプのソルダーレジストインキである。
【0043】
ここで、一例として、以下、感光性樹脂組成物を使用してパターニングする方法を説明する。なお、感光性樹脂組成物に代えてドライフィルムを使用できることは言うまでもない。
【0044】
先ず、感光性樹脂組成物を基板表面に塗布する。塗布方法は特に限定されるものではなく、スクリーン印刷法、バーコーター、ブレードコーターなどの公知の塗布方法を採用することできる。感光性樹脂の厚さは、塗布量によって適宜調整することができる。
【0045】
次いで、所定のパターンを有するネガマスクを介して、樹脂組成物の塗膜に露光を行う。露光は、接触露光または非接触露光のいずれであってもよい。また、マスクを使用することなく、レーザー・ダイレクト・イメージング装置により、塗膜にパターンを形成してもよい。
【0046】
続いて、塗膜の現像を行い露光後の塗膜をパターン状にする。現像液として希アルカリ水溶液を用いることにより露光後の塗膜へのダメージが少なく、解像性にも優れた露光後の塗膜を得ることができる。
【0047】
現像後に熱や紫外線照射により感光性樹脂組成物を本硬化させ、所望のパターンの硬化した樹脂層を形成することができる。
【0048】
[高さ調整部]
図1に示す構造体100の高さ調整部Dは、基板B上の第1領域A1において、絶縁層SR上に設けられている。
【0049】
この高さ調整部Dは、例えば、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種(以下、有機樹脂材料ともいう)で構成されている。特に、この高さ調整部Dは、例えば、感光性樹脂および感光性樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成されている。そして、この高さ調整部Dは、絶縁性を有することが好ましい。
【0050】
なお、既述の絶縁層SRとこの高さ調整部Dとは、同一組成であってもよく、一方、異なる組成であってもよい。
【0051】
ここで、この高さ調整部Dは、例えば、
図1および
図2に示すように、台座部分DXと、第1高さ調整部分D1と、第2高さ調整部分D2と、を含むようにしてもよい。
【0052】
そして、第1高さ調整部分D1は、例えば、
図1および
図2に示すように、第1領域A1において第1方向Xに延在している。
【0053】
また、第2高さ調整部分D2は、第1領域A1において第1方向Xに延在し且つ第1高さ調整部分D1と離間して設けられている。なお、この
図1および
図2の例では、第1高さ調整部分D1と第2高さ調整部分D2とは、第1領域A1において、平行に配置されているが、第1半導体チップIC1を支持できれば必ずしも平行に配置されていなくてもよい。
【0054】
特に、第1高さ調整部分D1と第2高さ調整部分D2との間には、例えば、
図1および
図2に示すように、樹脂層Fを備える。すなわち、第1高さ調整部分D1と第2高さ調整部分D2との間には、樹脂層Fが充てんされている。
【0055】
また、
図2の例では、第1、第2高さ調整部分D1、D2が2列に配置されているが、各高さ調整部分が4列配置されているようにしてもよい。
【0056】
すなわち、高さ調整部Dは、例えば、
図3に示すように、台座部分DXと、第1高さ調整部分D1と、第2高さ調整部分D2と、第3高さ調整部分D3と、第4高さ調整部分D4と、を含むようにしてもよい。
【0057】
そして、第1高さ調整部分D1は、例えば、
図1および
図3に示すように、第1領域A1において第1方向Xに延在している。
【0058】
また、第2高さ調整部分D2は、第1領域A1において第1方向Xに延在し且つ第1高さ調整部分D1と離間して設けられている。なお、この
図1および
図3の例では、第1高さ調整部分D1と第2高さ調整部分D2とは、第1領域A1において、平行に配置されているが、第1半導体チップIC1を支持できれば必ずしも平行に配置されていなくてもよい。
【0059】
また、第3高さ調整部分D3は、例えば、
図3に示すように、第1領域A1において第1方向Xとは異なる(例えば、直行する)第2方向Yに延在し且つ第1ないし第2高さ調整部分D1、D2と離間して設けられている。
【0060】
また、第4高さ調整部分D4は、例えば、
図3に示すように、第1領域A1において第2方向Yに延在し且つ第1ないし第3高さ調整部分D1、D2、D3と離間して設けられている。
【0061】
ここで、第1ないし第4高さ調整部分D1、D2、D3、D4の間には、樹脂層Fを備える。すなわち、基板Bの上方において、第1高さ調整部分D1、第2高さ調整部分D2、第3高さ調整部分D3、及び第4高さ調整部分D4の間には、樹脂層Fが充てんされている。
【0062】
なお、
図1ないし
図3に示す高さ調整部Dの各高さ調整部部分の構成及び配置は、一例であり、同様の機能を有するような他の構成及び配置であってもよく、後述のように、必要に応じて省略されていてもよい。すなわち、高さ調整部Dが台座部分DXのみで構成されるようにしてもよい。
【0063】
なお、この高さ調整部Dは、例えば、有機樹脂材料のインクジェット塗布によるパターニング、有機樹脂材料のパターン印刷によるパターニング、又は、フォトリソグラフィ技術(露光、現像)を用いた感光性有機樹脂材料のパターニングにより、パターニングされ、所定の硬化処理等が実施されることで、形成される。特に、感光性有機樹脂材料のパターニングは、例えば、D1、D2のような高さ調整部分を微細形成する際、ファインパターンを形成できる点で好ましい。そして、パターン印刷によるパターニングは、例えば、台座部分DXのような形状を形成する際、簡便にできる点で好ましい。また、下地(絶縁層SR)との密着性も得られる。
【0064】
なお、絶縁層SR、及び高さ調整部Dは、例えば、同じ有機樹脂材料で構成されていてもよい。すなわち、絶縁層SR、第1および第2高さ調整部分D1、D2、及び台座部分DXは、同じ有機樹脂材料で構成されているようにしてもよい。
【0065】
この場合、この有機樹脂材料は、例えば、感光性樹脂および感光性樹脂組成物の少なくともいずれか1種である。
【0066】
この場合、例えば、絶縁層SR、第1および第2高さ調整部分D1、D2、及び台座部分DXを、多段のソルダーレジスト構造の形成方法によって、形成することが可能である。すなわち、例えば、絶縁層SR上に感光性有機樹脂材料を成膜後、第1および第2高さ調整部分D1、D2に対応する部分を残すように段階的に露光、現像することで、絶縁層SR、第1および第2高さ調整部分D1、D2、及び台座部分DXを、同時に形成することが可能である。
【0067】
しかしながら、絶縁層SR、及び高さ調整部Dは、必要に応じて、例えば、異なる有機樹脂材料で構成されていてもよい。すなわち、絶縁層SR、第1および第2高さ調整部分D1、D2、及び台座部分DXは、異なる有機樹脂材料で構成されているようにしてもよい。
【0068】
[第1半導体チップ]
図1に示す構造体100の第1半導体チップIC1は、高さ調整部Dにより支持されるように高さ調整部D上に配置されている。
【0069】
また、この第1半導体チップIC1は、例えば、任意の半導体メモリを含むが、この半導体メモリとして、具体的には、例えば、NANDフラッシュメモリを含むものである。
【0070】
[第1絶縁接着層]
第1絶縁接着層M1は、第1半導体チップIC1の下面に設けられ、第1領域A1において、高さ調整部Dの上面と第1半導体チップIC1の下面との間を接着するようになっている。すなわち、この第1絶縁接着層M1により、高さ調整部Dの上面に第1半導体チップIC1の下面が固定される。第1絶縁接着層は第1半導体チップIC1の下面との接触面のみに位置しても第1半導体チップIC1の下面全面に位置してもよい。
【0071】
なお、この第1絶縁接着層M1の組成としては、ダイアタッチ材、ダイアタッチフィルムその他これらに類する材料を適宜用いることができる。
【0072】
[第1ボンディングワイヤ]
第1ボンディングワイヤW1は、配線E1、E2、EXのうちの第1配線E1と第1半導体チップIC1の上面に設けられた端子G1との間を電気的に接続するようになっている。
【0073】
なお、この第1ボンディングワイヤW1の材質は、例えば、金であるが、これに限定されるものではない。
【0074】
[第2半導体チップ]
第2半導体チップIC2は、基板B上の第1領域A1とは異なる第2領域A2において、絶縁層SRを介して配置されている。
【0075】
なお、例えば、
図1に示すように、第1半導体チップIC1の端部IC1aは、この第2半導体チップIC2の上方に位置しているが、この第2半導体チップIC2の横であって同じ高さに位置していてもよい。
【0076】
ここで、この第2半導体チップIC2は、例えば、第1半導体チップIC1の動作を制御するコントローラを含む。
【0077】
より具体的には、この第2半導体チップIC2に含まれるコントローラは、例えば、NANDフラッシュメモリを制御するコントローラ集積回路である。
【0078】
そして、この第2半導体チップIC2に含まれるコントローラは、例えば、外部からのコマンドに従って、第1半導体チップIC1の半導体メモリへのデータの書き込みや、第1半導体チップIC1の半導体メモリからのデータの読み出しや、第1半導体チップIC1の半導体メモリのデータの消去などを行い、第1半導体チップIC1の半導体メモリのデータの記憶状態を管理する。
【0079】
[第2絶縁接着層]
第2絶縁接着層M2は、第2半導体チップIC2の下面に設けられ、第2領域A2において、絶縁層SRの上面と第2半導体チップIC2の下面との間を接着するようになっている。すなわち、この第2絶縁接着層M2により、絶縁層SRの上面に第2半導体チップIC2の下面が固定される。第2絶縁接着層は第2半導体チップIC2の下面との接触面のみに位置しても第2半導体チップIC2の下面全面に位置してもよい。
【0080】
なお、この第2絶縁接着層M2の組成としては、ダイアタッチ材、ダイアタッチフィルムその他これらに類する材料を適宜用いることができる。
【0081】
[第2ボンディングワイヤ]
第2ボンディングワイヤW2は、複数の配線E1、E2、EXのうちの第2配線E2と第2半導体チップIC2の上面に設けられた端子G2との間を電気的に接続するようになっている。
【0082】
なお、この第2ボンディングワイヤW2の材質は、例えば、金であるが、これに限定されるものではない。
【0083】
[第3半導体チップ]
図1に示す構造体100の第3半導体チップIC3aは、特に、
図1に示すようにワイヤボンディングにより配線される場合には、第1半導体チップIC1が入内されている位置から第1方向Xにずれるようにして、この第1半導体チップIC1上に配置されている。このように、第1半導体チップIC1上に、1個の第3半導体チップIC3aが搭載されるようにしてもよい。
【0084】
また、この第3半導体チップIC3aは、例えば、第1半導体チップIC1と同様に、任意の半導体メモリを含むが、この半導体メモリとして、具体的には、例えば、NANDフラッシュメモリを含むものである。
【0085】
この場合、この第2半導体チップIC2に含まれるコントローラは、例えば、外部からのコマンドに従って、第1半導体チップIC1および第3半導体チップIC3aの半導体メモリへのデータの書き込みや、第1半導体チップIC1および第3半導体チップIC3aの半導体メモリからのデータの読み出しや、第1半導体チップIC1および第3半導体チップIC3aの半導体メモリのデータの消去などを行い、第1半導体チップIC1および第3半導体チップIC3aの半導体メモリのデータの記憶状態を管理する。
【0086】
なお、既述のように、
図1の例では、第1半導体チップIC1上に搭載される第3半導体チップIC3aが1個である場合を示しているが、後述の変形例に記載のように、第1半導体チップIC1上に積層される第3半導体チップの数は、例えば、2個以上であってもよい。
【0087】
[第3絶縁接着層]
第3絶縁接着層M3aは、第3半導体チップIC3aの下面に設けられ、第3半導体チップIC3aの下面と第1半導体チップIC1の上面との間を接着するようになっている。すなわち、この第3絶縁接着層M3aにより、第1半導体チップIC1の上面に第3半導体チップIC3aの下面が固定される。第3絶縁接着層は第3半導体チップIC3aの下面との接触面のみに位置しても第2半導体チップIC3aの下面全面に位置してもよい。
【0088】
なお、この第3絶縁接着層M3の組成としては、ダイアタッチ材、ダイアタッチフィルムその他これらに類する材料を適宜用いることができる。
【0089】
[第3ボンディングワイヤ]
第3ボンディングワイヤW3aは、基板上に設けられた配線(図示せず)と第3半導体チップIC3aの上面に設けられた端子G3aとの間を電気的に接続する。
【0090】
なお、この第3ボンディングワイヤW3aの材質は、例えば金であるが、これに限定されるものではない。
【0091】
[樹脂層]
樹脂層Fは、基板B上で、各配線E1、E2、EX、第1ボンディングワイヤW1、第2ボンディングワイヤW2、第3ボンディングワイヤW3a、第1半導体チップIC1、第2半導体チップIC2、及び第3半導体チップIC3aを、封止している。
【0092】
そして、この樹脂層Fは、例えば、高さ調整部Dとは異なる材料で構成されている。しかしながら、樹脂層Fは、高さ調整部Dと同じ材料で構成されていてもよい。この樹脂層Fは、例えば、熱硬化性樹脂および熱硬化性樹脂組成物の少なくともいずれか1種である。
【0093】
ここで、例えば、
図1に示すように、基板Bの上面から高さ調整部Dの上面(
図1の例では第1高さ調整部分D1と第2高さ調整部分D2の上面)までの高さ(特に、第1半導体チップIC1の下面、第1絶縁接着層M1の下面までの高さ)は、基板Bの上面から第2半導体チップIC2の上面までの高さと比較して、同等または高くなっている。
【0094】
特に、第1半導体チップIC1の下面(
図1の例では、第1絶縁接着層M1の下面)と第2半導体チップIC2の上面との距離(最短距離)Haは、予め設定された距離に設定されている(この距離Haは、高さ調整部Dの高さを調整することで調整される)。
【0095】
このように、構造体100における高さ調整部Dの高さを微調整することで、例えば、配置の領域が重なる第1半導体チップIC1および第2半導体チップIC2の第3方向Zにおける距離を適切に制御することが可能となる。すなわち、構造体100の膜厚を最適な膜厚に制御することが可能となる。
【0096】
また、第1半導体チップIC1の下面(
図1の例では、第1絶縁接着層M1の下面)と第2ボンディングワイヤW2と間の距離(第3方向Zにおける最短距離)Hbは、予め設定された距離に設定されている(この距離Hbは、高さ調整部Dの高さを調整することで調整される)。
【0097】
このように、構造体100における高さ調整部Dの高さを微調整することで、例えば、第1半導体チップIC1および第2半導体チップIC2の配置が重なる領域において、第2ボンディングワイヤW2と第1半導体チップIC1との距離を最適な膜厚に制御して、構造体100の製品としての歩留まりを向上することができる。
【0098】
以上のように、本実施形態に係る構造体100は、基板Bと、前記基板B上に設けられた配線E1、E2、EXと、前記基板B上に、前記配線E1、E2、EXの全部または一部を被覆するように設けられた絶縁層SRと、前記基板B上の第1領域A1において、前記絶縁層SRを介して設けられ、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dと、前記高さ調整部Dにより支持されるように前記高さ調整部D上に配置された第1半導体チップIC1と、を備える。
【0099】
このように、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さを調整するためのスペーサとして、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dを適用することで、当該高さ調整部Dを基板Bに固定するための接着層が不要になり、構造体100の製造コストが低減される。
【0100】
さらに、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dは、その膜厚の微調整が容易であるため、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さの微調整が容易になる。
【0101】
すなわち、本実施形態に係る構造体100によれば、半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から半導体チップまでの高さを所定の値に微調整することが可能な構造体を提供することができる。
【0102】
なお、上述した実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、各変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0103】
(第1の変形例)
既述の実施形態では、構造体100の構成の一例について説明した。特に、
図1の例では、第1半導体チップ上に搭載される第3半導体チップが1個である構成について説明した。しかしながら、第1半導体チップ上に、第3半導体チップは、例えば、2個以上(複数個)積層されていてもよい。
【0104】
そこで、この第1の変形例では、第1半導体チップIC1上に第3半導体チップはが2個積層される構成の一例について説明する。なお、本変形例に係る構造体のその他の構成は、既述の実施形態の構造体100の構成と同様である。
【0105】
ここで、
図4は、第1の変形例に係る構造体100Aの断面の一例を模式的に示す断面図である。
【0106】
例えば、この
図4に示すように、第1の変形例に係る構造体100Aにおいて、第1半導体チップIC1上に、2個の第3半導体チップIC3a、IC3bが積層されている。
【0107】
そして、第3半導体チップIC3a、IC3bは、例えば、第1半導体チップIC1と同様に、任意の半導体メモリを含むが、この半導体メモリとして、具体的には、例えば、NANDフラッシュメモリを含むものである。しかしながら、これらの第3半導体チップIC3a、IC3bは、それぞれ、半導体メモリとは異なる半導体装置であってもよい。
【0108】
なお、
図4に示すように、第3絶縁接着層M3aは、第3半導体チップIC3aの下面に設けられ、第3半導体チップIC3aの下面と第1半導体チップIC1の上面との間を接着するようになっている。すなわち、この第3絶縁接着層M3aにより、第1半導体チップIC1の上面に第3半導体チップIC3aの下面が固定される。
【0109】
さらに、
図4に示すように、第3絶縁接着層M3bは、第3半導体チップIC3bの下面に設けられ、第3半導体チップIC3bの下面と第3半導体チップIC3aの上面との間を接着するようになっている。すなわち、この第3絶縁接着層M3bにより、第3半導体チップIC3aの上面に第3半導体チップIC3bの下面が固定される。
【0110】
なお、
図4に示すように、第3ボンディングワイヤW3a、W3bは、それぞれ、基板上に設けられた配線(図示せず)と第3半導体チップIC3a、IC3bの上面に設けられた端子G3a、G3bとの間を電気的に接続する。
【0111】
なお、第1半導体チップIC1上に積層される第3半導体チップIC3a、IC3bは、例えば、3個以上であってもよい。
【0112】
ここで、既述のように、この第1の変形例に係る構造体100Aのその他の構成は、既述の実施形態と同様である。
【0113】
したがって、この第1の変形例に係る構造体100Aにおいても、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さを調整するためのスペーサとして、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dを適用することで、当該高さ調整部Dを基板Bに固定するための接着層が不要になり、当該構造体100の製造コストが低減される。
【0114】
さらに、この第1の変形例に係る構造体100Aにおいても、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dは、その膜厚の微調整が容易であるため、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さの微調整が容易になる。
【0115】
すなわち、この第1の変形例の構造体100Aによれば、半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から第1半導体チップIC1までの高さを所定の値に微調整することができる。
【0116】
(第2の変形例)
既述の実施形態および第1の変形例では、構造体100、100Aの構成の例について説明した。特に、
図1、
図4の例では、高さ調整部Dが、台座部分DXに加えて、第1および第2の高さ調整部分D1、D2を含む構成について説明した。例えば、この高さ調整部DX上に有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された第1および第2の高さ調整部分D1、D2(第3および第4の高さ調整部分D3、D4)があることで、高さを微調整しつつ、高さ調整部Dを構成する有機樹脂材料の使用量を削減することができる。しかしながら、高さ調整部Dにおいて、構造体のさらなる薄膜化を想定した場合には、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dの膜厚を薄くするために、第1および第2の高さ調整部分D1、D2が省略して、台座部分DXのみで構成する(すなわち、台座部分DXのみで高さを調整する)ようにしてもよい。
【0117】
そこで、この第2の変形例では、第1半導体チップIC1上に第3半導体チップはが2個積層される構成の一例について説明する。なお、本変形例に係る構造体のその他の構成は、既述の実施形態の構造体100の構成と同様である。
【0118】
ここで、
図5は、第2の変形例に係る構造体100Bの断面の一例を模式的に示す断面図である。また、
図6は、
図5に示す構造体100Bの高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の一例を示す上面図である。また、
図7は、第2の変形例に係る構造体100Bの断面の他の例を模式的に示す断面図である。
【0119】
例えば、
図5および
図6に示すように、構造体100Bの高さ調整部Dは、
図1に示すような第1および第2高さ調整部分D1、D2が省略されており、台座部分DXのみを含んでいる。
【0120】
そして、
図5に示すように、高さ調整部Dの台座部分DXの上面に第1半導体チップIC1の下面が第1絶縁接着層M1により接着されて固定されている。すなわち、高さ調整部Dの台座部分DXにより、第1半導体チップIC1が直接支持されている。
【0121】
なお、第2の変形例においても、この
図5に示すように、第1半導体チップIC1上に搭載される第3半導体チップIC3aが1個であってもよく、さらに
図7に示すように、第1半導体チップIC1上に、第3半導体チップIC3a、IC3bが、2個以上(複数個)積層されていてもよい。
【0122】
ここで、既述のように、この第2の変形例に係る構造体100Bのその他の構成は、既述の実施形態と同様である。
【0123】
したがって、この第2の変形例に係る構造体100Bにおいても、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さを調整するためのスペーサとして、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dを適用することで、当該高さ調整部Dを基板Bに固定するための接着層が不要になり、当該構造体100の製造コストが低減される。
【0124】
さらに、この第2の変形例に係る構造体100Bにおいても、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dは、その膜厚の微調整が容易であるため、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さの微調整が容易になる。
【0125】
すなわち、この第2の変形例の構造体100Bによれば、半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から第1半導体チップIC1までの高さを所定の値に微調整することができる。
【0126】
(第3の変形例)
既述の実施形態において、特に、
図1ないし
図3の例では、高さ調整部Dが、複数の高さ調整部分を含む構成について説明した。しかしながら、高さ調整部Dにおいて、高さ調整部分が1個であってもよい。
【0127】
そこで、この第3の変形例では、高さ調整部Dが1個の高さ調整部分D1を含む構成の一例について説明する。なお、本変形例に係る構造体のその他の構成は、既述の実施形態の構造体100の構成と同様である。
【0128】
ここで、
図8は、第3の変形例に係る構造体100Cの断面の一例を模式的に示す断面図である。また、
図9は、
図8に示す構造体100Cの高さ調整部D近傍の領域に注目した構成の一例を示す上面図である。また、
図10は、第3の変形例に係る構造体100Cの断面の他の例を模式的に示す断面図である。
【0129】
例えば、
図8および
図9に示すように、構造体100Cの高さ調整部Dは、台座部分DXと、第1高さ調整部分D1と、を含むようにしてもよい。
【0130】
そして、
図9に示すように、高さ調整部Dの台座部分DX上に設けられた第1高さ調整部分D1の上面に第1半導体チップIC1の下面が第1絶縁接着層M1により接着されて固定されている。すなわち、高さ調整部Dの台座部分DXと第1高さ調整部分D1により、第1半導体チップIC1が支持されている。
【0131】
なお、第3の変形例においても、この
図8に示すように、第1半導体チップIC1上に搭載される第3半導体チップIC3aが1個であってもよく、さらに
図10に示すように、第1半導体チップIC1上に、第3半導体チップIC3a、IC3bが、2個以上(複数個)積層されていてもよい。
【0132】
ここで、既述のように、この第3の変形例に係る構造体100Cのその他の構成は、既述の実施形態と同様である。
【0133】
したがって、この第3の変形例に係る構造体100Cにおいても、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さを調整するためのスペーサとして、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dを適用することで、当該高さ調整部Dを基板Bに固定するための接着層が不要になり、当該構造体100の製造コストが低減される。
【0134】
さらに、この第3の変形例に係る構造体100Cにおいても、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dは、その膜厚の微調整が容易であるため、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さの微調整が容易になる。
【0135】
すなわち、この第3の変形例の構造体100Cによれば、半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から第1半導体チップIC1までの高さを所定の値に微調整することができる。
【0136】
(第4の変形例)
既述の実施形態および各変形例において、特に、
図1、
図4、
図5、
図7、
図8の例では、第2半導体チップIC2に関してワイヤボンディングにより各端子が接続された構成について説明した。しかしながら、構造体において、第2半導体チップIC2に関してフリップチップボンディングにより各端子が接続されるようにしてもよい。
【0137】
そこで、この第4の変形例では、第2半導体チップIC2に関してフリップチップボンディングにより各端子が接続された構成(フリップチップ型)の一例について説明する。なお、本変形例に係る構造体のその他の構成は、既述の実施形態の構造体100の構成と同様であり、各変形例の構造体の構成にも同様に適用が可能である。
【0138】
ここで、
図11は、第4の変形例に係る構造体100Dの断面の一例を模式的に示す断面図である。また、
図12は、第4の変形例に係る構造体100Dの断面の他の例を模式的に示す断面図である。
【0139】
例えば、
図11に示すように、構造体100Dは、ワイヤボンディングに代えたフリップチップボンディングの構成として、バンプ電極BNと、アンダーフィル樹脂UFと、を備える。
【0140】
[バンプ電極]
バンプ電極BNは、配線E1、E2、EXのうちの第2配線E2と第2半導体チップIC2の下面に設けられた端子K2との間を電気的に接続するようになっている。
【0141】
[アンダーフィル樹脂]
アンダーフィル樹脂UFは、絶縁層SRと第2半導体チップIC2の下面との間に設けられ、絶縁層SRと第2半導体チップIC2の下面との接着し且つ端子K2及びバンプ電極BNを封止するアンダーフィル樹脂UFと、を備える。
【0142】
なお、第4の変形例においても、この
図11に示すように、第1半導体チップIC1上に搭載される第3半導体チップIC3aが1個であってもよく、
図12に示すように、第1半導体チップIC1上に、第3半導体チップIC3a、IC3bが、2個以上(複数個)積層されていてもよい。
【0143】
ここで、既述のように、この第4の変形例に係る構造体100Dのその他の構成は、既述の実施形態と同様である。
【0144】
したがって、この第4の変形例においても、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さを調整するためのスペーサとして、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dを適用することで、当該高さ調整部Dを基板Bに固定するための接着層が不要になり、当該構造体100の製造コストが低減される。
【0145】
さらに、この第4の変形例においても、有機樹脂および有機樹脂組成物の少なくともいずれか1種で構成された高さ調整部Dは、その膜厚の微調整が容易であるため、基板Bから第1半導体チップIC1までの高さの微調整が容易になる。
【0146】
すなわち、この第4の変形例の構造体100Dによれば、半導体チップの高さを調整するための高さ調整部(スペーサ)を基板に固定するための接着層を不要とすることで製造コストを低減しつつ、基板から第1半導体チップIC1までの高さを所定の値に微調整することができる。
【0147】
本発明の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を実行することができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0148】
100、100A、100B、100C、100D 構造体
B 基板
BN バンプ電極
E1 第1配線
E2 第2配線
EX 第3配線
SR 絶縁層
D 高さ調整部
D1 第1高さ調整部分
D2 第2高さ調整部分
D3 第3高さ調整部分
D4 第4高さ調整部分
DX 台座部分
M1 第1絶縁接着層
IC1 第1半導体チップ
IC1a 端部
W1 第1ボンディングワイヤ
M2 第2絶縁接着層
IC2 第2半導体チップ
W2 第2ボンディングワイヤ
M3a、M3b 第3絶縁接着層
IC3a、IC3b 第3半導体チップ
W3a、W3b 第3ボンディングワイヤ
F 樹脂層
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
G1、G2、G3a、G3b、K2 端子
A1 第1領域
A2 第2領域
Ha 第1半導体チップIC1の下面と第2半導体チップIC2の上面との距離(最短距離)
Hb 第1半導体チップIC1の下面と第2ボンディングワイヤW2と間の距離(最短距離)
UF アンダーフィル樹脂