IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧

特開2024-146475基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法
<>
  • 特開-基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法 図1
  • 特開-基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法 図2A
  • 特開-基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法 図2B
  • 特開-基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法 図3
  • 特開-基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法 図4
  • 特開-基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146475
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20241004BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059390
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】毛利 建
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB05
2G051AB07
2G051AB08
2G051AB10
2G051BA01
2G051BA20
2G051BC06
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051CB03
2G051CD04
2G051DA01
2G051DA06
2G051DA08
2G051EA17
2G051EA20
2G051ED04
2G051ED12
(57)【要約】
【課題】基板表面および基板裏面の検査をすることが可能な基板検査用の基板ホルダを提供することを目的とする。
【解決手段】中央に貫通孔を備えた環状形状を有する板状の黒色基材と、
前記黒色基材の上面に設けられた基板載置部と、を有しており、
前記貫通孔の径は前記基板載置部に載置する基板の外径よりも小さく、
前記基板載置部は、前記基板載置部に基板を載置した場合に、前記基板が前記貫通孔を覆うように配置された凹部となっており、
前記黒色基材は、前記貫通孔と外側面とをつなぐ切欠き部を有する基板ホルダ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に貫通孔を備えた環状形状を有する板状の黒色基材と、
前記黒色基材の上面に設けられた基板載置部と、を有しており、
前記貫通孔の径は前記基板載置部に載置する基板の外径よりも小さく、
前記基板載置部は、前記基板載置部に基板を載置した場合に、前記基板が前記貫通孔を覆うように配置された凹部となっており、
前記黒色基材は、前記貫通孔と外側面とをつなぐ切欠き部を有する基板ホルダ。
【請求項2】
前記凹部の深さが、前記基板載置部に載置する基板の厚さ以下である請求項1に記載の基板ホルダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板ホルダと、
前記基板ホルダに載置された基板に対して光を照射する光源と、
前記光源より光を照射した前記基板を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた画像を処理し、前記基板の欠陥を識別できるようにする画像処理手段と、を有する基板の検査装置。
【請求項4】
前記基板ホルダに載置された前記基板の表面に対して前記光源から光を照射し、前記基板の表面の欠陥を検査する第1欠陥検査部と、
前記基板ホルダに設置した前記基板の裏面に対して前記光源から光を照射し、前記基板を透過する透過光により、前記基板の裏面の欠陥を検査する第2欠陥検査部と、
前記基板の端部に対して、前記光源から光を照射し、前記基板の端部の欠陥を検査する第3欠陥検査部と、
前記基板が前記基板ホルダに載置された状態で、前記基板ホルダを、前記第1欠陥検査部と、前記第2欠陥検査部と、前記第3欠陥検査部との間で、搬送する搬送手段と、を有し、
前記第1欠陥検査部、前記第2欠陥検査部、前記第3欠陥検査部は、それぞれ前記光源と、前記撮像手段と、前記画像処理手段と、を備えている請求項3に記載の基板の検査装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の基板ホルダに載置された基板に対して、光源から光を照射する光照射工程と、
前記光源により光を照射した前記基板を撮像手段により撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で得られた画像を処理し、前記基板の欠陥を識別できるようにする画像処理工程と、を有する基板の検査方法。
【請求項6】
前記基板ホルダに載置された前記基板の表面に対して前記光源から光を照射し、前記基板の表面の欠陥を検査する第1欠陥検査工程と、
前記基板ホルダに設置した前記基板の裏面に対して前記光源から光を照射し、前記基板を透過する透過光により、前記基板の裏面の欠陥を検査する第2欠陥検査工程と、
前記基板の端部に対して前記光源から光を照射し、前記基板の端部の欠陥を検査する第3欠陥検査工程と、を有し、
前記第1欠陥検査工程と、前記第2欠陥検査工程と、前記第3欠陥検査工程と、でそれぞれ前記光照射工程と、前記撮像工程と、前記画像処理工程を実施する請求項5に記載の基板の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ホルダ、基板の検査装置、基板の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造のために各種基板が用いられている。基板には半導体デバイス等の各種用途に適用するため、表面が平滑で凹凸が無いこと等が求められる。このため、基板表面の凹凸を検出できる基板の検査装置や検査方法について従来から各種検討がなされていた。
【0003】
例えば特許文献1には、基板の被検査面上に光を照射する光照射部と、前記被検査面上に映る前記光照射部の画像を取得する撮像部と、前記基板又は前記光照射部の位置を制御することで、前記被検査面上に映る前記光照射部の画像を移動させる移動部と、前記光照射部から照射された光が前記被検査面の欠陥部分で散乱することで形成された像であって前記光照射部の画像の輪郭線よりも外側に形成された像を検出することで、前記被検査面の検査を行う検査部と、を備える基板の検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-020824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された検査装置では、基板の表面の検査はできるが、基板表面の検査が終了した後、基板を反転させる等しないと基板の裏面の検査をすることができないという問題があった。
【0006】
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、基板表面および基板裏面の検査をすることが可能な基板検査用の基板ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
中央に貫通孔を備えた環状形状を有する板状の黒色基材と、
前記黒色基材の上面に設けられた基板載置部と、を有しており、
前記貫通孔の径は前記基板載置部に載置する基板の外径よりも小さく、
前記基板載置部は、前記基板載置部に基板を載置した場合に、前記基板が前記貫通孔を覆うように配置された凹部となっており、
前記黒色基材は、前記貫通孔と外側面とをつなぐ切欠き部を有する基板ホルダを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、本発明の一側面では、基板表面および基板裏面の検査をすることが可能な基板検査用の基板ホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る基板ホルダの上面図である。
図2A図2Aは、図1のA-A´線での断面図の一構成例である。
図2B図2Bは、図1のA-A´線での断面図の他の構成例である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る基板の検査装置の説明図である。
図4図4は、撮像領域の説明図である。
図5図5は、透過領域の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いながら説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[基板ホルダ]
本発明の発明者らは、基板表面および基板裏面の検査をすることが可能な、具体的には基板を反転させることなく基板の表裏面の検査を行うことが可能な基板検査用の基板ホルダについて鋭意検討を行った。
【0011】
その結果、中央に貫通孔を備えた環状形状を有する板状の黒色基材を有する基板ホルダとすることで、透過光および反射光を用いて基板の表面および裏面の凹凸等の欠陥を検知できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本実施形態の基板ホルダは、黒色基材、基板載置部と、を有することができる。
【0013】
以下、本実施形態の基板ホルダが有する各部材について、図1図2A図2Bを用いながら説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の基板ホルダ10の上面図である。図2Aは、図1のA-A´線での断面図の一構成例であり、図2Bは、図1のA-A´線での断面図の他の構成例である。図2A図2Bでは、載置する基板100との関係が分かるように、基板100も併せて記載している。
(1)黒色基材
図1に示すように、本実施形態の基板ホルダ10が有する黒色基材12は、中央に貫通孔11を備えた環状形状を有することができ、図2A図2Bに示すように板状形状を有することができる。
【0015】
黒色基材12は、少なくとも上面12C(図2A図2Bを参照)が黒色の基材であり、特に上面12C以外の表面も含めて全体が黒色であることが好ましい。
【0016】
表面を黒色とすることで、例えば光源から基板に対して光を照射して検査を行う際に、照射された光が基板ホルダで反射され、撮像装置に入ることを抑制し、基板を撮像した画像への影響を抑制できる。
【0017】
黒色基材12は、上述のように後述する基板載置部13側の上方から見た場合に、環状形状を有することができるが、外形は真円である必要は無く、楕円等であっても良い。また、後述するように、黒色基材12は切欠き部14を有することから、一部が断絶した環状形状を有することができる。
【0018】
また、黒色基材12は、上述のように板状形状を有することができるが、後述する基板載置部13を有することから厳密な意味での板状である必要はない。
(貫通孔)
上述のように、黒色基材12は、中央に貫通孔11を有することができる。
【0019】
基板ホルダ10が貫通孔11を有することで、基板ホルダ10に載置した基板100の裏面100Bから光を照射した場合に、該基板100を透過した光により基板100の裏面100Bの凹凸についても検査できる。
【0020】
貫通孔11の径(内径)は、基板載置部13に載置する基板100の外径よりも小さくできる。貫通孔11の径を、基板載置部13に載置した基板100の外径よりも小さくすることで、基板載置部13の下方に形成される凸部121により、基板載置部13に載置した基板100を支持できる。
【0021】
凸部121の幅W121は特に限定されないが、W121が長くなると、透過光により評価できる領域が狭くなるため、基板100について要求される検査領域のサイズ等に応じて選択できる。
【0022】
上記凸部121の幅W121は、後述する基板載置部13の底面の内径D13から、貫通孔11の内径を差し引いて、2で割った値に当たる。
【0023】
貫通孔11は、基板ホルダ10の中央に配置されていることが好ましいが、上述のように透過光による検査が可能になるように設けられているに過ぎないため、厳密に中央位置に配置する必要は無い。
(切欠き部)
黒色基材12は、切欠き部14を有することができる。切欠き部14は、貫通孔11と黒色基材12の外側面12Aとをつなぐように、すなわち基板ホルダの内周面12Bと、外側面12Aとをつなぐように設けられる。切欠き部14を設けることで、基板100を基板ホルダ10から取り外す際や、基板ホルダ10に載置する際に、基板ホルダ10と、ロボットアームや基板吸着用のピンセット等の基板100を保持する治具等との間での干渉を抑制できる。このため、基板100の基板ホルダ10からの取り外しや、基板100の基板ホルダ10への載置を容易に実施できるようになる。
(2)基板載置部
基板載置部13は、黒色基材12の上面12Cに設けることができる。基板載置部13は、基板載置部13に基板100を載置した場合に、該基板100が貫通孔11を覆うように配置された凹部となっていることが好ましい。
【0024】
例えば図1に示すように、貫通孔11と、基板載置部13とは、黒色基材12の上方から見た場合に同心円状となるように配置されていることが好ましい。
【0025】
また、基板載置部13を、上面12Cよりも凹んだ凹部とすることで、基板100を正確に所定の場所に設置でき、検査中等に基板100が基板ホルダ10内で移動することを防止できる。
【0026】
基板載置部13の凹部の内径D13は、基板載置部13に基板100を挿入できればいいため、基板100の外径以上であることが好ましい。上記内径D13は、基板100を基板載置部13に載置、取り外しし易いように基板100との間に所定のサイズの隙間が形成されるように選択することがより好ましい。ただし、併せて検査中の基板100の移動を規制できるように、上記隙間のサイズを選択することが好ましい。
【0027】
基板載置部13を凹部とする場合、その深さは特に限定されない。例えば基板載置部13に基板100を載置した際に、黒色基材12の上面12Cと、基板100の表面100Aとが一致するようにその深さを選択しても良い。また、基板載置部13に基板100を載置した際に、黒色基材12の上面12Cと、基板100の表面100Aとが一致しないように、凹部の深さを選択してもよい。すなわち基板100の厚さよりも凹部の深さが深くても良く、浅くても良い。
【0028】
ただし、例えば図2Aに点線で示した様に、基板100の斜め上方に光源21を配置し、基板100の表面100Aの端部近傍に光を照射する場合に、図2Aに点線で示した様に、凹部の深さに相当するT13´が、基板100の厚さよりも深いと、光源21からの光を遮る可能性がある。そして、光源21からの光が遮られると、基板100の端部近傍に影が形成され、検査ができない恐れがある。
【0029】
このため、図2Aに示すように凹部の深さT13は、基板載置部13に載置する基板100の厚さT100以下であることが好ましい。凹部の深さT13を基板100の厚さT100以下とすることで、基板100の表面100Aに光を照射する際に、基板100の表面100Aに影が形成されることを防止し、適切に検査を実施できる。
【0030】
また、例えば図2Bに示すように、基板載置部13である凹部の内側面13Aを底面12Dから、上面12Cに向かって径が大きくなる、テーパー面とすることもできる。基板載置部13である凹部の内側面を上記テーパー面とすることで、該凹部の深さT13が基板100の厚さT100と同程度の場合でも基板100の斜め上方から光を照射した際においても、光が遮られることを防止し、基板100の表面100Aに影が形成されることを抑制できる。
[基板の検査装置]
本実施形態の基板の検査装置は、既述の基板ホルダと、光源と、撮像手段と、画像処理手段とを有することができる。
【0031】
光源は、基板ホルダに載置された基板に対して光を照射できる。
【0032】
撮像手段は、光源より光を照射した基板を撮像できる。
【0033】
画像処理手段は、撮像手段により得られた画像を処理し、基板の欠陥を識別できるようにすることができる。
【0034】
光源から基板に光を照射する際、照射する場所は該基板の検査を行う場所により選択でき、例えば基板の表面や裏面、端部に照射できる。
【0035】
また、撮像手段が撮像する場所についても検査の内容により選択でき、例えば上記光源により光を照射した箇所や、それに隣接する領域を撮像できる。
【0036】
画像処理手段による画像処理も検査の内容により選択できるが、例えば撮像した画像をつなぎ合わせることや、得られた画像のコントラスト等を調整することができる。
【0037】
図3に、本実施形態の基板の検査装置の側面図を示す。なお、図3は本実施形態の基板の検査装置の構成を説明するために模式的に示したものである。図3に示した基板の検査装置30は、基板100の表面100A、裏面100B、および側面100Cを連続して検査できる装置であり、後述する第1欠陥検査部31、第2欠陥検査部32、第3欠陥検査部33を有する例を示しているが、係る形態に限定されない。
【0038】
本実施形態の基板の検査装置は、第1欠陥検査部31、第2欠陥検査部32、第3欠陥検査部33から選択された1以上の検査部を有することができる。
【0039】
なお、第1欠陥検査部31、第2欠陥検査部32、第3欠陥検査部33は、以下に説明するが、それぞれ光源と、撮像手段と、画像処理手段と、を備えている。
【0040】
以下、本実施形態の基板の検査装置30が有する検査部ごとに各部材について説明する。
(1)第1欠陥検査部
第1欠陥検査部31は、基板ホルダ10に載置された基板100の表面100Aに対して光源311から光を照射し、基板100の表面100Aの欠陥を検査できる。
【0041】
本実施形態の基板の検査装置が第1欠陥検査部31を有する場合、本実施形態の基板の検査装置は、基板ホルダ10と、光源311と、撮像手段312と、画像処理手段313とを有することができる。各部材について以下に説明する。
(1-1)基板ホルダ
基板ホルダ10としては、既述の基板ホルダを用いることができる。
【0042】
基板ホルダ10にはその他に任意の部材を設けておくこともできる。
【0043】
例えば後述する照射領域制御手段により、基板100上の照射領域の位置を変化させるために基板ホルダ10に載置した基板100の位置を変化させることもできる。この場合、基板ホルダ10を水平方向に移動できるように、基板の検査装置30は、基板ホルダ10の位置を変化させる、移動手段を設けることもできる。
【0044】
基板ホルダ10には、例えば基板ホルダ10に載置した基板100の傾きを補正し、水平にする手段、例えば後述する傾き補正手段を設けておくこともできる。
【0045】
基板100の形状は特に限定されないが、例えば円板形状の基板を用いることができる。また、基板100には、必要に応じて基板100の結晶方位等を示すためのオリエンテーションフラットやノッチ等が設けられていてもよい。
(1-2)光源
第1欠陥検査部31において光源311は、基板ホルダ10に載置した基板100の表面100Aに光を照射する部材である。光源311は、基板100の表面100Aに光を照射できるように構成されていればよく、光源の種類等の具体的な構成については特に限定されない。
【0046】
光源311は、基板100の表面100Aに線状の光を照射できるように、基板ホルダ10に設置した基板100の表面100Aの上方に配置できる。
【0047】
線状の光としては照射した基板100の表面100A上で線状形状を有していればよく、その具体的な形状は特に限定されないが、例えば直線状の光、屈曲部を含む線状の光、および波線状の光等から選択されたいずれかの光とすることができる。なお、屈曲部を含む線状の光の屈曲部の形状は特に限定されず、例えば円弧形状や、所定の角度で屈曲したL字形状(くの字形状)等とすることができる。屈曲部を含む線状の光の屈曲部の数は特に限定されず、1または複数の屈曲部を有することもできる。屈曲部を含む線状の光が、複数の屈曲部を有する場合、屈曲部の形状は同じ形状であってもよいが、異なる形状の屈曲部を有していても良い。また、波線状の光は、波線となるように所定の間隔で向きを交互に変えながら屈曲部を配置した線状の光となる。線状の光としては特に直線状の光であることが好ましい。
【0048】
線状の光は、一定の厚みを有する光であるため、帯状の光と言い換えることもできる。例えば直線状の光の場合であれば略四角形状の光となる。
【0049】
線状の光の長手方向の長さは特に限定されないが、効率的に検査を行う観点から、例えば、検査を行う基板100の幅方向全体に渡って光を照射し、明領域を形成できるようにその長さを選択することができる。
【0050】
光源の発光手段としては線状の光を形成できればよく、特に限定されないが、例えば蛍光灯や、有機または無機のエレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード、ディスプレイ等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0051】
また、光の波長も特に限定されず、例えば評価を行う基板100の表面100Aで少なくとも一部の光を反射し、撮像手段312により反射像を撮像できるものであれば良い。このため、光源311が発する光は、例えば赤外線光、可視光、紫外線光のいずれでも良いが、光の波長によっては撮像手段が高価になる場合や、そのサイズが大きくなる場合があるため、光源311が発する光は、可視光を含むことが好ましい。
【0052】
本実施形態の基板の検査装置30では、第1欠陥検査部31において、基板100の表面100Aの凹凸を検査する場合には、基板100の表面100Aのうち、明領域の長手方向に沿い、かつ明領域と明領域に隣接する暗領域とを同時に含む第1撮像領域を撮像できる。なお、上記明領域とは、光源311から基板100の表面100Aに照射された線状の光を反射する領域である。
【0053】
そして、上記明領域の位置を変化させながら、第1撮像領域を撮影することを、得られた第1撮像領域の画像をつなぎ合わせた場合に検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像が得られるまで繰り返し実施することが好ましい。
【0054】
このため、同時に撮像できる撮像領域を多くし、撮像する回数を少なくすることで検査を効率化する観点から、光源311は、互いに平行な複数の線状の光を同時に照射できることが好ましい。そこで、光源311は、互いに平行な複数の線状の光を基板100の表面100Aに対して照射することが可能なように構成されていることが好ましい。この場合には、基板に照射した複数の線状の光を反射する複数の明領域の間に、暗領域が形成されるように、複数の線状の光の間隔を調整しておくことが好ましい。なお、複数の線状の光を基板100の表面100Aに対して照射する場合、該線状の光は同じ形状であっても良く、異なる形状であっても良い。ただし、検査を容易に行えることから、複数の線状の光は同じ形状であることが好ましい。
【0055】
光源311は例えば基板の検査装置30に設置された図示しない筐体に固定しておくこともできる。ただし、係る形態に限定されず、光源311は、他の部材とは別に三脚等を用いて固定しておくこともできる。
(1-3)撮像手段
撮像手段312は、基板ホルダ10に載置された基板100の表面100Aを撮像することができる。
【0056】
本発明の発明者の検討によれば、基板100の表面100Aに線状の光を照射した場合に、基板100の表面100Aのうち線状の光を反射する明領域と、明領域に隣接する暗領域との境界近傍において、基板100の表面100Aの凹凸のコントラストが高まる。このため、基板100の表面100Aの凹凸を検査する場合、線状の光を、基板100の表面100A上で走査し、形成される明領域の位置を変位させ、撮像手段312により、明領域と、明領域に隣接する暗領域との境界近傍を撮像できる。
【0057】
具体的には、撮像手段312は、基板100の表面100Aのうち、線状の光を反射する明領域の長手方向に沿い、かつ明領域と、明領域に隣接した暗領域とを含む第1撮像領域を撮像できる。
【0058】
ここで、図4を用いて撮像手段312により撮像する第1撮像領域について説明する。
【0059】
図4は、基板100の表面100Aを示しており、1本の線状の光が照射され、該線状の光を反射する明領域41Aが形成されている状態を示している。
【0060】
このように光源311から基板100の表面100Aに線状の光が照射されることで、基板100の表面100Aには、線状の光を反射する明領域41Aが形成される。明領域41Aは光源311からの線状の光に対応した線状(帯状)の領域となる。
【0061】
そして、明領域41A以外の領域は、光源311からの光の反射の程度が低いか、反射をしていないため、明領域41Aと比較して暗い暗領域41Bとなる。
【0062】
この場合、撮像手段312は、少なくとも例えば明領域41Aの長手方向に沿って、すなわち図中のX軸方向に沿って、明領域41Aと、明領域41Aに隣接した暗領域41Bとを含む、点線で囲まれた第1撮像領域42A、42Bから選択された1つ以上の領域を撮像することができる。なお、この場合は少なくとも第1撮像領域を含む領域を撮影すればよく、第1撮像領域の周辺も併せて撮像しても良い。第1撮像領域の周囲の領域も併せて撮像した場合、後述する画像処理手段により目的とする撮像領域の画像を、撮像した画像から切り出すことができる。
【0063】
明領域41Aの上部側の領域である第1撮像領域42Aと、明領域41Aの下部側の第1撮像領域42Bとでは各撮像領域に含まれる明領域と、暗領域との配置が逆になっている。このため、第1撮像領域42Aの画像をつなぎ合わせた場合と、第1撮像領域42Bの画像をつなぎ合わせた場合とでは、得られる画像の白黒(明暗)が反転することになる。従って、取得したい画像にあわせて撮像する第1撮像領域を選択することもできる。
【0064】
各第1撮像領域に含まれる明領域と、暗領域との面積の割合は特に限定されず、画像処理手段により第1撮像領域の画像をつなぎ合わせた際に、基板表面の凹凸のコントラストが高くなるように、基板の種類等に応じて選択することができる。例えば含まれる明領域の面積と暗領域の面積とが等しくなるように第1撮像領域の位置を設定することができる。
【0065】
後述するように撮像した画像を、3次元的に集めて画像ボリュームデータとして取り扱う場合には、撮像手段は、第1撮像領域を含む基板の表面全体を撮像しても良い。
【0066】
撮像手段312は、既述の様に第1撮像領域を撮像できればよく、その構成は特に限定されない。撮像手段312としては、各種撮像素子を備えるカメラモジュールを用いることができる。撮像素子としては、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサや、CCD(Charge Coupled Device)センサなどの半導体撮像素子や光電管、撮像管等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0067】
撮像手段312が撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば後述する画像処理手段により、撮影した画像のうち任意のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出してつなぎ合わせることができる。
【0068】
また、撮像手段312は、明領域の形状等によっては、線状(帯状)の撮像領域を撮像できる手段であれば足りるため、撮像手段は、例えばラインスキャンカメラとすることもできる。ラインスキャンカメラとは、撮像素子が直線状に配列され、線状(帯状)の撮像領域を撮像できるカメラモジュールを意味する。
【0069】
撮像手段312は例えば基板の検査装置30の図示しない筐体に固定しておくこともできる。ただし、係る形態に限定されず、撮像手段312は、他の部材とは別に三脚等を用いて固定しておくこともできる。
(1-3)画像処理手段、出力手段
画像処理手段313は、撮像手段312で撮像した画像を処理することができる。
【0070】
画像処理手段313は、ASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)などであって、撮像手段312で撮像した画像の処理を担当する。
【0071】
画像処理手段313では、撮像手段312が撮像した画像から、検査の対象に応じて既述の第1撮像領域に対応する例えば短冊状の画像を切り出し、明領域の移動方向に沿って並べ、つなぎ合わせることで、基板表面全体の画像を形成できる。この際、必要に応じて画像中のコントラスト等を補正したり、二値化処理等の画像処理を実施することもできる。
【0072】
撮像手段312で動画を撮像した場合には、画像処理手段313は所定のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出することもできる。
【0073】
そして、画像処理手段313で作成した画像は出力手段314に出力することもでき、得られた画像中のコントラストの違いにより、得られた画像から目視で基板表面の凹凸や、色ムラを検出できる。なお、既述の第1撮像領域をつなぎ合せた画像からは基板の表面の凹凸を検出できる。
【0074】
出力手段314の構成は特に限定されず、例えば各種ディスプレイ等の表示手段や、プリンター等の印刷手段とすることができる。
【0075】
画像処理手段313は、例えばAI(artificial intelligence)を備えておくことができ、上述のようにして得られた基板表面の画像から、基板100の表面100Aの凹凸を検出し、通知するように構成することもできる。また、画像処理手段等において、例えば予め設定しておいた色度や明度等の閾値により、形成した画像中の凹凸や、色ムラが生じている箇所を検出、通知できるように構成することもできる。
【0076】
なお、画像処理手段313は、1つのASIC内で、ソフトウェア的に実現することもできるが、例えば複数のASICを設ける等して、一部または全部をハードウェアで実現してもよい。
【0077】
また、画像処理手段313は、撮像手段312が撮像した画像を3次元的に集めて画像ボリュームデータとして取り扱うこともできる。そして、画像処理手段313は、撮像手段312により得られた基板の表面の画像ボリュームデータについて、ボリュームレンダリング処理をすることができる。画像処理手段313は、具体的には例えば、画像ボリュームデータについて、第1撮像領域の輝度値での等値面画像を作成(レンダリング)することで、基板表面全体に渡って、第1撮像領域の画像を取出すことができる。この場合、撮像する際に光源、例えば蛍光灯が斜めになっていたり、写真毎に光源の位置がずれていたりしても、所定の輝度値の領域は共通になるので、所定の輝度値で分割することにより、写真の枚数に関わりなく、目的とする第1撮像領域を取り出し、凹凸や色ムラをより容易に検出できるようになる。
【0078】
画像処理手段313において、得られた基板表面の画像を画像ボリュームデータとして取り扱うことで、検出したい凹凸のサイズ等に応じて、輝度等を設定し、基板表面の画像ボリュームデータを分割し、等値面(アイソサーフェス)を取出すことができる。
【0079】
本実施形態の基板の検査装置30の第1欠陥検査部31は、上述の各部材以外にも任意の部材をさらに有することもできる。
(1-4)その他
本実施形態の基板の検査装置30の第1欠陥検査部31は、例えば基板を水平にする傾き補正手段をさらに有することもできる。傾き補正手段は例えば既述の基板ホルダや、本実施形態の基板の検査装置の躯体に設けておき、光源に対して、検査を行う基板の表面が水平になるように、傾きを補正するように構成することができる。
(2)第2欠陥検査部
第2欠陥検査部32は、基板ホルダに設置した基板の裏面に対して光源から光を照射し、前記基板を透過する透過光により、基板の裏面の欠陥を検査できる。なお、第2欠陥検査部32は基板表面の色ムラや、基板表面の欠陥等の検査をあわせて行うこともできる。
【0080】
本実施形態の基板の検査装置30が第2欠陥検査部32を有する場合、本実施形態の基板の検査装置は、基板ホルダ10と、光源である第1光源3211、第2光源3212と、撮像手段322と、画像処理手段323とを有することができる。各部材について以下に説明する。
(2-1)基板ホルダ
基板ホルダ10については、第1欠陥検査部と同じ構成にできるため、説明を省略する。
(2-2)光源
第2欠陥検査部32では、第1光源3211と、第2光源3212とを有することもできるが、第1光源3211のみとすることもできる。
(第1光源)
第1光源3211は、基板100の裏面100Bに対して線状の光を照射できるように構成されていればよく、光源の種類等の具体的な構成については特に限定されない。第1光源3211は、上述のように、基板100の裏面100Bに線状の光を照射できるように、基板ホルダ10に設置した基板100の裏面100B側に配置できる。
【0081】
線状の光の形状等は第1欠陥検査部で説明した光源311の場合と同様に構成できるため、重複する説明を省略する。
【0082】
第2欠陥検査部32では、基板100の表面100Aのうち、裏面100Bに第1光源3211から照射された線状の光が透過した領域である透過領域を撮像手段322により撮像することができる。そして、透過領域の位置を変化させながら、透過領域を撮像することを、得られた透過領域の画像をつなぎ合わせた場合に検査を行う部分の画像、例えば基板100の表面100A全体の画像が得られるまで繰り返し実施することが好ましい。
【0083】
このため、同時に撮像できる透過領域を多くし、撮像する回数を少なくすることで検査を効率化する観点から、第1光源3211は、互いに平行な複数の線状の光を同時に照射できることが好ましい。そこで、第1光源3211は、互いに平行な複数の線状の光を基板の裏面に対して照射することが可能なように構成されていることが好ましい。この場合には、基板に照射した複数の線状の光を透過した複数の透過領域の間に、暗領域が形成されるように、複数の線状の光の間隔を調整しておくことが好ましい。なお、複数の線状の光を基板の裏面に対して照射する場合、該線状の光は同じ形状であっても良く、異なる形状であっても良い。ただし、検査を容易に行えることから、複数の線状の光は同じ形状であることが好ましい。
【0084】
第1光源3211は例えば基板の検査装置30に設置された図示しない筐体に固定しておくこともできる。ただし、係る形態に限定されず、第1光源3211は、他の部材とは別に三脚等を用いて固定しておくこともできる。
(第2光源)
第2光源3212は、基板100の表面100Aに対して線状の光を照射できるように構成されていればよく、光源の種類等の具体的な構成については特に限定されない。第2光源3212は、上述のように、基板100の表面100Aに線状の光を照射できるように、基板ホルダ10に設置した基板100の表面100Aの上方に配置できる。
【0085】
第2光源3212は、第1欠陥検査部31の光源311と同様に構成できるため、ここでは説明を省略する。
(2-3)撮像手段
撮像手段322は、第1欠陥検査部31で説明した撮像手段312と同様の撮像手段を用いることができる。
【0086】
第2欠陥検査部32では、基板100の表面100Aの色ムラや、基板100の裏面100Bの欠陥等を検査できる。
【0087】
基板100の表面100Aの色ムラを検査する場合には、既述の第2光源3212を用いて基板の表面100Aに光を照射しながら、基板100の表面100Aの所定の位置を撮像することで、得られた画像から検査を行える。基板100の裏面100Bの欠陥を検査する場合には、基板100の裏面100Bに光を照射しながら、基板100の表面100Aの所定の位置を撮像することで、得られた画像から検査を行える。
【0088】
以下に基板100の表面100Aの色ムラを検査する場合と、基板100の裏面100Bの欠陥を検査する場合の撮像領域について説明する。
(基板の表面の色ムラを検査する場合)
既述の様に図4は、基板100の表面100Aを示しており、第2光源3212から、線状の光が照射されている状態を示している。このように第2光源3212から基板100の表面100Aに線状の光が照射されることで、基板100の表面100Aには、第2光源3212からの光を反射する明領域41Aが形成される。
【0089】
そして、基板100の表面100Aのうち、明領域41A以外の領域は、光源からの光が直接照射されていないため、明領域41Aと比較して暗い暗領域41Bとなっている。撮像手段322は、少なくとも例えば明領域41Aの長手方向に沿って、すなわち図中のX軸方向に沿って、明領域41A以外の、すなわち暗領域41B中の点線で囲まれた第2撮像領域43を撮像することができる。なお、この場合は少なくとも第2撮像領域43を含む領域を撮影すればよく、第2撮像領域43の周辺も併せて撮像しても良い。第2撮像領域43の周囲の領域も併せて撮像した場合、後述する画像処理手段により目的とする第2撮像領域の画像を、撮像した画像から切り出すことができる。
【0090】
なお、ここでは、第2光源3212からの光が、基板100の表面100Aに直接照射されている場合を例に説明したが、色ムラを検査する場合、第2光源3212からの光は、基板100の表面100Aに直接照射されている必要はない。例えば第2光源3212から照射された光が基板100の表面100A以外の場所に照射され、反射された間接的な光により照らされていても良い。
【0091】
ただし、色ムラを検出するためには、第2光源3212からの光による、第2撮像領域43内の明るさの程度が均一であることが好ましい。このため、既述の様に基板100の表面100Aまたはその近傍に第2光源3212からの光を照射し、明領域の長手方向に沿って第2撮像領域を設定し、撮像することが好ましい。また、第2光源3212からの光による、第2撮像領域43内の明るさの程度が均一となるように、第2撮像領域43の長手方向と垂直な方向の長さが過度に長くならないように、その領域を設定することが好ましい。ここでいう第2撮像領域の長手方向と垂直な方向の長さとは、図4中のY軸方向の長さを意味する。
【0092】
後述のように、画像処理手段により、撮像した第2撮像領域43の画像をつなぎ合せ、基板表面全体の画像を形成することもできる。そして、形成した基板表面全体の画像から、色ムラをより精度よく検出する観点から、形成した基板表面全体の画像の明るさが均一であることが好ましい。すなわち、係る基板表面全体の画像を構成する複数の第2撮像領域43の画像の明るさが均一であることが好ましい。このため、第2光源3212からの線状の光が照射されて形成された明領域41Aの位置を変化させる際、明領域41Aと、第2撮像領域43との間の距離は一定に保つことが好ましい。
【0093】
後述するように撮像した画像を、3次元的に集めて画像ボリュームデータとして取り扱う場合には、撮像手段322は、第2撮像領域を含む基板100の表面100A全体を撮像しても良い。
(基板の裏面の欠陥を検査する場合)
ここで、図5を用いて、撮像手段322により撮像する透過領域について説明する。
【0094】
図5は、基板100の表面100Aを示しており、基板100の表面100Aとは反対側である裏面100Bが、上記第1光源3211から線状の光が照射される面となる。そして、図5では第1光源3211から、裏面100Bに1本の線状の光が照射され、表面100Aにこれに対応した透過領域51Aが形成された状態を示している。
【0095】
第1光源3211から基板100の裏面100Bに線状の光が照射されると、基板100の表面100Aには、光源からの光を透過した透過領域51Aが形成される。透過領域51Aは第1光源3211からの線状の光に対応した線状(帯状)の領域となる。
【0096】
そして、透過領域51A以外の領域は、光源からの光の透過の程度が低いか、透過をしていないため、透過領域51Aと比較して暗い暗領域となり、基板100上には暗領域51Bが形成される。
【0097】
この場合、撮像手段322は透過領域51Aを撮像することができる。ただし、撮像手段は透過領域51Aを含む領域を撮像すればよく、透過領域51Aの周囲も併せて撮像することもできる。例えば、透過領域51Aの長手方向に沿って、すなわち図中のX軸方向に沿って、透過領域51Aを含む、点線で囲まれた第3撮像領域52を撮像することができる。透過領域51Aを撮像する際に、その周囲の領域も併せて撮像した場合、既述の画像処理手段により目的とする透過領域の画像を、撮像した画像から切り出すことができる。
【0098】
撮像手段322が撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば画像処理手段により、撮像した画像のうち任意のタイミングでの透過領域の静止画を複数枚抽出して用いることができる。
(2-3)画像処理手段
画像処理手段323は、撮像手段322で撮像した画像を処理することができる。画像処理手段323は、撮像手段322で撮像した画像を用いる点以外は、第1欠陥検査部31の画像処理手段313と同様に構成できるため、説明を省略する。
【0099】
画像処理手段323で作成した画像は出力手段324に出力することもでき、得られた画像中のコントラストの違いにより、得られた画像から目視で基板裏面の凹凸や、色ムラを検出できる。出力手段324についても、第1欠陥検査部31の出力手段314と同様に構成できるため、説明を省略する。
【0100】
なお、第1欠陥検査部31の画像処理手段313と、第2欠陥検査部32の画像処理手段323とは、分けずに1つの画像処理手段とすることもできる。
(2-4)その他
本実施形態の基板の検査装置30の第2欠陥検査部32は、例えば基板を水平にする傾き補正手段をさらに有することもできる。傾き補正手段は例えば既述の基板ホルダや、本実施形態の基板の検査装置の躯体に設けておき、光源に対して、検査を行う基板の表面が水平になるように、傾きを補正するように構成することができる。
(3)第3欠陥検査部
第3欠陥検査部33は、基板の側面を含む端部に対して光源から光を照射し、基板の側面を含む端部での欠陥を検査できる。
【0101】
本実施形態の基板の検査装置30が第3欠陥検査部33を有する場合、本実施形態の基板の検査装置は、光源である第1光源3311、第2光源3312と、撮像手段332と、画像処理手段333と、基板回転手段335を有することができる。各部材について以下に説明する。
(3-1)光源
第3欠陥検査部33では、第1光源3311と、第2光源3312とを有することもできるが、基板100の側面100Cを含む端部に光を照射できればよく、いずれか一方の光源のみとすることもできる。第1光源3311、第2光源3312は同じ構成とすることができるため、まとめて説明する。
【0102】
光源は、基板100の側面100Cに対して光を照射できるように構成されていればよく、光源の種類等の具体的な構成については特に限定されない。光源は、後述する基板回転手段335により支持された状態の基板100の側面100Cに均一に光を照射できるように配置できる。基板100の側面100Cに光を照射することで、基板100の端部に含まれるチッピング部分を容易に識別できる。
【0103】
光源の発光手段としては特に限定されないが、例えば蛍光灯や、有機または無機のエレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード、ディスプレイ等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0104】
また、光の波長も特に限定されず、例えば評価を行う基板100の端面で少なくとも一部の光を反射し、撮像手段332により反射像を撮像できるものであれば良い。このため、光源が発する光は、例えば赤外線光、可視光、紫外線光のいずれでも良いが、光の波長によっては撮像手段が高価になる場合や、そのサイズが大きくなる場合があるため、光源が発する光は、可視光を含むことが好ましい。
(3-2)撮像手段
撮像手段332は、基板100の側面100Cを含む端部を撮像できる。
【0105】
撮像手段332は、第1欠陥検査部31で説明した撮像手段312と同様の撮像手段を用いることができる。
【0106】
撮像手段332が撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば後述する画像処理手段333により、撮像した画像のうち任意のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出してつなぎ合わせることができる。
【0107】
また、撮像手段332は、基板100のうち、光源からの光を照射した領域を撮像できる手段であれば足りるため、撮像手段332は、例えばラインスキャンカメラとすることもできる。
(3-3)画像処理手段、出力手段
画像処理手段333は、撮像手段332で撮像した画像を処理し、基板100の端部に含まれる欠陥を識別できるようにすることができる。
【0108】
画像処理手段333では、撮像手段332が撮像した画像から、必要に応じて基板100の側面100C等の端部の画像を切り出し、つなぎ合わせることで、基板100の側面100C等の端部全体の画像を形成することができる。
【0109】
画像処理手段333は、撮像手段332で撮像した画像を用いる点以外は、第1欠陥検査部31や、第2欠陥検査部32の画像処理手段313、323と同様に構成できるため、説明を省略する。
【0110】
画像処理手段333で作成した画像は出力手段334に出力することもでき、得られた画像中のコントラストの違いにより、得られた画像から目視で基板端部の凹凸を検出できる。出力手段334についても、第1欠陥検査部31の出力手段314と同様に構成できるため、説明を省略する。
【0111】
なお、第1欠陥検査部31の画像処理手段313と、第2欠陥検査部32の画像処理手段323と、第3欠陥検査部33の画像処理手段333は、分けずに1つの画像処理手段とすることもできる。
(3-4)基板回転手段
基板回転手段335は、基板ホルダ10に支持され第3欠陥検査部33に搬送された基板100の下面を支持し、持ち上げることができる。これにより基板100を基板ホルダ10から取り出し、基板100の側面100Cを含む端部を撮像手段332により撮像できるようにできる。
【0112】
第3欠陥検査部33では、基板100の側面100Cについて検査できることから、基板回転手段は支持している基板100を回転できるように構成されていることが好ましい。基板100を中心軸に沿って回転させることで、撮像手段332により、基板100の側面100Cを含む端部全体を撮像できる。
(4)搬送手段
図3に示すように、本実施形態の基板の検査装置30は、各検査部間で基板100を搬送する搬送手段34を有することができる。搬送手段34は、基板ホルダ10により支持されている基板100を搬送することができる。
【0113】
搬送手段34の構成は特に限定されず、一軸アクチュエータ等を用いることができる。
[基板の検査方法]
次に、本実施形態の基板の検査方法について説明する。なお、本実施形態の基板の検査方法は、既述の基板の検査装置を用いて好適に実施することができる。このため、既に説明した事項については一部説明を省略する。
【0114】
本実施形態の基板の検査方法は、光照射工程、撮像工程、および画像処理工程を有することができる。
(光照射工程)
光照射工程では、基板ホルダ10上に載置された基板100に対して、光源から光を照射することができる。光照射工程において、光源から基板に光を照射する際、照射する場所は該基板の検査を行う場所により選択でき、例えば基板の表面や裏面、端部に照射できる。
(撮像工程)
撮像工程では、光源により光を照射した基板を撮像手段により撮像できる。
【0115】
撮像工程において撮像する場所についても検査の内容により選択でき、例えば上記光照射工程で光を照射した箇所や、それに隣接する領域を撮像できる。
(画像処理工程)
画像処理工程では、撮像工程で得られた画像を処理し、基板の欠陥を識別できるようにすることができる。画像処理工程における画像処理も検査の内容により選択できるが、例えば撮像した画像をつなぎ合わせることや、得られた画像のコントラスト等を調整することができる。また、撮像工程で動画を撮像した場合には、画像処理工程では所定のタイミングで静止画を複数枚抽出し、必要に応じてつなぎ合わせることもできる。
【0116】
そして、画像処理工程で得られた画像中のコントラストの違いにより、得られた基板100の画像から欠陥等を検出できる。このため、画像処理工程は、撮像工程で得られた画像について、欠陥等が識別できるようにコントラストを調整することが好ましい。
【0117】
なお、基板の欠陥等は、得られた画像から目視で検出しても良く、画像処理工程により、他の部分と一定量以上のコントラストの違いがある場合には欠陥として検出するように構成しても良い。
【0118】
また、画像処理工程では、例えばAI(artificial intelligence)を用い、上述のようにして得られた基板表面の画像から、基板の欠陥等を検出し、通知するように構成することもできる。
【0119】
なお、本実施形態の基板の検査方法は、上記工程に限定されず、照射位置変更工程や、傾き補正工程を実施することもできる。
(照射位置変更工程)
光照射工程において、基板100に形成される照射領域が、基板100の検査を行う領域の一部の場合、本実施形態の基板の検査方法は、照射領域の位置を変化させる照射位置変更工程を有することもできる。
【0120】
照射位置変更工程と、撮像工程とは、任意のタイミングで実施でき、例えば照射位置変更工程と、撮像工程は交互に、もしくは並行して実施できる。例えば、照射領域変更工程で照射領域の位置を変更した後、撮像工程で照射領域を撮像しても良く、照射領域変更工程で照射領域の位置を連続的に変更している間、任意のタイミングで撮像工程を実施し、照射領域を撮像しても良い。光照射工程は少なくとも撮像工程を行っている間実施していれば良いため、例えば撮像工程を実施するタイミングで実施しても良く、照射位置変更工程を実施している間も継続して実施しても良い。
【0121】
照射位置変更工程と、撮像工程とは、撮像工程で得られた照射領域の画像をつなぎ合わせた場合に検査を行う部分の画像、例えば基板の側面全体の画像が得られるまで繰り返し実施することが好ましい。
(傾き補正工程)
例えば、基板ホルダに配置された基板を水平にする傾き補正工程をさらに有することもできる。
【0122】
基板を水平に調整する具体的な方法は特に限定されないが、例えば基板ホルダや、基板の検査装置30の筐体(躯体)に水平度を調整する傾き補正手段を設けておき、自動または手動により水平度を調整することができる。
(第1欠陥検査工程~第3欠陥検査工程)
上述のように、本実施形態の基板の検査方法は、既述の基板の検査装置を用いて実施できる。このため、本実施形態の基板の検査方法は、以下の第1欠陥検査工程や、第2欠陥検査工程、第3欠陥検査工程を有することができる。なお、本実施形態の基板の検査方法は、上記第1欠陥検査工程、第2欠陥検査工程、および第3欠陥検査工程から選択された1以上の工程を有することができ、全ての工程を実施する必要はない。
【0123】
第1欠陥検査工程では、基板ホルダに設置した基板100の表面100Aに対して、光源311から光を照射し、基板の表面の欠陥を検査できる。
【0124】
第2欠陥検査工程では、基板ホルダに設置した基板の裏面に対して、第1光源3211から光を照射し、基板100を透過する透過光により、基板100の表面および基板の裏面の欠陥を検査できる。
【0125】
第3欠陥検査工程では基板の側面を含む端部に対して、光源である第1光源3311や、第2光源3312から光を照射し、基板100の側面を含む端部の欠陥を検査できる。
【0126】
上記第1欠陥検査工程、第2欠陥検査工程、および第3欠陥検査工程では、それぞれ、既述の光照射工程、撮像工程、画像処理工程を実施できる。
【0127】
なお、第1欠陥検査工程は既述の第1欠陥検査部で、第2欠陥検査工程は既述の第2欠陥検査部で、第3欠陥検査工程は既述の第3欠陥検査部で、それぞれ実施できる。このため、既に説明した事項については説明を省略する。
【0128】
以上に説明した本実施形態の基板の検査方法によれば、光源、撮像手段、基板ホルダ、画像処理手段を備えたシンプルな装置構成により、容易に基板の欠陥を検出することが可能になる。また、既述の基板ホルダを用いているため、基板を反転させることなく基板の表裏面の検査を行うことができる。
【符号の説明】
【0129】
10 基板ホルダ
11 貫通孔
12 黒色基材
13 基板載置部
T13、T13´ 凹部の深さ
D13 内径
14 切欠き部
100 基板
100A 表面
100B 裏面
100C 側面
T100 基板の厚さ
12A 外側面
12B 内周面
12C 上面
12D 底面
121 凸部
W121 幅
21 光源
30 基板の検査装置
31 第1欠陥検査部
311 光源
312 撮像手段
313 画像処理手段
314 出力手段
32 第2欠陥検査部
3211 第1光源
3212 第2光源
322 撮像手段
323 画像処理手段
324 出力手段
33 第3欠陥検査部
3311 第1光源
3312 第2光源
332 撮像手段
333 画像処理手段
334 出力手段
335 基板回転手段
41A 明領域
41B 暗領域
42A、42B 第1撮像領域
43 第2撮像領域
51A 透過領域
51B 暗領域
52 第3撮像領域
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5