(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146490
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】制御装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241004BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20241004BHJP
A61B 6/04 20060101ALI20241004BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
A61B6/00 370
A61B8/14
A61B6/04 309B
A61B6/00 360A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059421
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 敦
【テーマコード(参考)】
4C093
4C601
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093CA21
4C093DA06
4C093EC15
4C093ED21
4C093FA06
4C093FF28
4C093FF50
4C093FG16
4C601DD08
4C601EE11
4C601KK34
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】圧迫部材を介して乳房上に情報を投影する場合に、視認性を向上できる制御装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】コンソール50は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、乳房との接触面と反対側に位置する上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、プロジェクタによって投影領域に投影される投影用画像を取得し、投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、投影領域の色に基づいて補正する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、前記乳房との接触面と反対側に位置する上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、
プロジェクタによって前記投影領域に投影される投影用画像を取得し、
前記投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、前記投影領域の色に基づいて補正する
制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1画素値が示す色が、前記投影領域の色の補色又は反対色となるように、前記第1画素値を補正する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1画素値と、前記投影領域の色と、の対応関係が予め定められたテーブルを用いて、前記第1画素値を補正する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記投影用画像の画素ごとに対応する前記投影領域の部分を特定し、
前記投影領域の部分ごとに色を検出し、
前記第1画素値を、対応する前記投影領域の部分の色に基づいて補正する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記投影領域の部分ごとに色を検出し、
前記投影領域の部分ごとの色の平均色を算出し、
前記第1画素値を、前記平均色に基づいて補正する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記乳房を撮影して得られる放射線画像を取得し、
前記放射線画像から関心領域を抽出し、
前記関心領域の位置を示す前記投影用画像を生成する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記乳房の被検者に関する被検者情報、前記乳房の放射線画像及び超音波画像の少なくとも一方を撮影する場合の撮影条件に関する撮影条件情報、並びに、前記乳房に含まれる関心領域に関する関心領域情報の少なくとも1つを示すテキスト情報を含む前記投影用画像を生成する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記投影領域の部分ごとに色を検出し、
前記投影領域の部分ごとの色に基づいて、前記投影領域を、前記乳房を含む乳房領域と、前記乳房を含まない非乳房領域と、に分け、
前記テキスト情報が前記非乳房領域に投影されるように、前記投影用画像を生成する
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記投影領域の色に基づいて、前記プロジェクタによって前記投影領域に前記投影用画像を投影する場合の光量を調整する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記プロジェクタによって前記投影領域に前記投影用画像を投影する環境における環境光の色及び照度の少なくとも一方を検出し、
前記第1画素値を、前記投影領域の色と、前記環境光の色及び照度の少なくとも一方と、に基づいて補正する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記環境光の色及び照度の少なくとも一方に基づいて、前記プロジェクタによって前記投影領域に前記投影用画像を投影する場合の光量を調整する
請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
請求項1に記載の制御装置と、撮影装置と、を備える撮影システムであって、
前記撮影装置は、
撮影台との間で前記乳房を圧迫状態とする前記圧迫部材と、
前記圧迫部材によって圧迫状態とされた前記乳房に放射線を照射する放射線源と、
前記圧迫部材及び前記乳房を透過した前記放射線を検出して放射線画像を生成する放射線検出器と、
前記圧迫部材の前記上面側から、前記圧迫部材によって圧迫状態とされた前記乳房の超音波画像を撮影する超音波プローブと、
前記圧迫部材の前記投影領域に前記投影用画像を投影する前記プロジェクタと、
を備える撮影システム。
【請求項13】
前記撮影装置は、前記放射線源及び前記放射線検出器によって前記乳房の放射線画像を撮影した後に、前記超音波プローブによって前記乳房の超音波画像を撮影し、
前記プロセッサは、
前記放射線画像の撮影が完了してから前記超音波画像の撮影が完了するまでの期間において、前記投影用画像を投影するように前記プロジェクタを制御する
請求項12に記載の撮影システム。
【請求項14】
前記圧迫部材における前記接触面及び前記上面を含む部分は、ISO 13468-1に準拠して測定された全光線透過率が、85%以上である
請求項12に記載の撮影システム。
【請求項15】
乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、前記乳房との接触面と反対側の上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、
プロジェクタによって前記投影領域に投影される投影用画像を取得し、
前記投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、前記投影領域の色に基づいて補正する
処理を含む制御方法。
【請求項16】
乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、前記乳房との接触面と反対側の上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、
プロジェクタによって前記投影領域に投影される投影用画像を取得し、
前記投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、前記投影領域の色に基づいて補正する
処理をコンピュータが実行するための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳がん等の乳房における病変の検出を目的として、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ検査と、乳房の超音波画像を撮影する超音波検査と、が行われている。これらは原理の違いにより、放射線撮影では石灰化を描出しやすく、超音波撮影では腫瘤等の軟組織の境界を描出しやすい傾向にあるため、併用することによって、病変の検出感度の向上を図ることができる。
【0003】
しかし、乳房の放射線画像と超音波画像とを撮影することによって、病変ではない陰影も誤って病変疑いとして検出してしまうケースが増加する(すなわち特異度が低下する)場合があった。この要因の一つとして、マンモグラフィ検査においては乳房を圧迫状態として撮影し、超音波検査においては仰臥位の状態で撮影するといった被検者の体勢の差異によって、各画像において見られる陰影の位置が異なり、比較が困難になることが考えられる。例えば、一方の画像から検出された陰影について、他方の画像と比較読影することによって陰性と判定できるケースでも、比較が困難だと陰性と判定しきれず、要精査となってしまう場合があった。
【0004】
そこで、放射線画像と超音波画像との比較読影を容易にすることを目的として、乳房を圧迫状態として放射線撮影を行うマンモグラフィ装置において、乳房を圧迫状態としたまま超音波画像も撮影可能とする構成が提案されている。例えば、特許文献1には、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の放射線画像と超音波画像とを撮影する装置が開示されている。
【0005】
また例えば、特許文献2には、マンモグラフィ装置における乳房のポジショニング支援のために、画像投影部(プロジェクタ)によって圧迫部材上にスキンライン画像等の各種情報を投影することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-176509号公報
【特許文献2】特開2022-057944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のような乳房を圧迫状態としたまま放射線画像と超音波画像の両方を撮影する装置においては、乳房を圧迫状態とする時間が長くなってしまうことにより、被検者の苦痛が増大する場合があった。
【0008】
そこで、検査を支援できるような情報を、圧迫部材を介して乳房上に投影することによって、乳房を圧迫状態とする時間の短縮、及び、放射線画像と超音波画像とのより正確な比較読影を行う手法が考えられる。しかし、ヒトの皮膚の色には個人差があり、シミ、ホクロ、日焼け及び傷跡等により部分的に色が異なる場合もあるため、一様に情報を投影すると当該情報を視認しづらいことがあった。そこで、圧迫部材を介して乳房上に情報を投影する場合に、視認性を向上できる技術が求められている。
【0009】
本開示は、圧迫部材を介して乳房上に情報を投影する場合に、視認性を向上できる制御装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1の態様は、制御装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、乳房との接触面と反対側に位置する上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、プロジェクタによって投影領域に投影される投影用画像を取得し、投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、投影領域の色に基づいて補正する。
【0011】
上記第1の態様において、プロセッサは、第1画素値が示す色が、投影領域の色の補色又は反対色となるように、第1画素値を補正してもよい。
【0012】
上記第1の態様において、プロセッサは、第1画素値と、投影領域の色と、の対応関係が予め定められたテーブルを用いて、第1画素値を補正してもよい。
【0013】
上記第1の態様において、プロセッサは、投影用画像の画素ごとに対応する投影領域の部分を特定し、投影領域の部分ごとに色を検出し、第1画素値を、対応する投影領域の部分の色に基づいて補正してもよい。
【0014】
上記第1の態様において、プロセッサは、投影領域の部分ごとに色を検出し、投影領域の部分ごとの色の平均色を算出し、第1画素値を、平均色に基づいて補正してもよい。
【0015】
上記第1の態様において、プロセッサは、乳房を撮影して得られる放射線画像を取得し、放射線画像から関心領域を抽出し、関心領域の位置を示す投影用画像を生成してもよい。
【0016】
上記第1の態様において、プロセッサは、乳房の被検者に関する被検者情報、乳房の放射線画像及び超音波画像の少なくとも一方を撮影する場合の撮影条件に関する撮影条件情報、並びに、乳房に含まれる関心領域に関する関心領域情報の少なくとも1つを示すテキスト情報を含む投影用画像を生成してもよい。
【0017】
上記第1の態様において、プロセッサは、投影領域の部分ごとに色を検出し、投影領域の部分ごとの色に基づいて、投影領域を、乳房を含む乳房領域と、乳房を含まない非乳房領域と、に分け、テキスト情報が非乳房領域に投影されるように、投影用画像を生成してもよい。
【0018】
上記第1の態様において、プロセッサは、投影領域の色に基づいて、プロジェクタによって投影領域に投影用画像を投影する場合の光量を調整してもよい。
【0019】
上記第1の態様において、プロセッサは、プロジェクタによって投影領域に投影用画像を投影する環境における環境光の色及び照度の少なくとも一方を検出し、第1画素値を、投影領域の色と、環境光の色及び照度の少なくとも一方と、に基づいて補正してもよい。
【0020】
上記第1の態様において、プロセッサは、環境光の色及び照度の少なくとも一方に基づいて、プロジェクタによって投影領域に投影用画像を投影する場合の光量を調整してもよい。
【0021】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様に記載の制御装置と、撮影装置と、を備える撮影システムであって、撮影装置は、撮影台との間で乳房を圧迫状態とする圧迫部材と、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房に放射線を照射する放射線源と、圧迫部材及び乳房を透過した放射線を検出して放射線画像を生成する放射線検出器と、圧迫部材の上面側から、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を撮影する超音波プローブと、圧迫部材の投影領域に投影用画像を投影するプロジェクタと、を備える。
【0022】
上記第2の態様において、撮影装置は、放射線源及び放射線検出器によって乳房の放射線画像を撮影した後に、超音波プローブによって乳房の超音波画像を撮影し、プロセッサは、放射線画像の撮影が完了してから超音波画像の撮影が完了するまでの期間において、投影用画像を投影するようにプロジェクタを制御してもよい。
【0023】
上記第2の態様において、圧迫部材における接触面及び上面を含む部分は、ISO 13468-1に準拠して測定された全光線透過率が、85%以上であってもよい。
【0024】
本開示の第3の態様は、制御方法であって、乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、乳房との接触面と反対側の上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、プロジェクタによって投影領域に投影される投影用画像を取得し、投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、投影領域の色に基づいて補正する処理を含む。
【0025】
本開示の第3の態様は、制御プログラムであって、乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、乳房との接触面と反対側の上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、プロジェクタによって投影領域に投影される投影用画像を取得し、投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、投影領域の色に基づいて補正する処理をコンピュータが実行するためのものである。
【発明の効果】
【0026】
上記態様によれば、本開示の制御装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラムは、圧迫部材を介して乳房上に情報を投影する場合に、視認性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図3】圧迫部材の概略構成の一例を示す三面図である。
【
図4】圧迫部材の概略構成の一例を示す三面図である。
【
図5】投影用画像を投影した状態の一例を示す図である。
【
図6】投影用画像を投影した状態の一例を示す図である。
【
図7】投影用画像を投影した状態の一例を示す図である。
【
図8】コンソールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】コンソールの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】投影用画像を投影した状態の一例を示す図である。
【
図13】環境光を加味した補正を説明するための図である。
【
図14】制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
【0029】
まず、
図1を参照して、撮影システム1の構成について説明する。
図1は、撮影システム1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、撮影システム1は、撮影装置10と、コンソール50とを備える。撮影装置10とコンソール50、及びコンソール50と外部のRIS(Radiology Information System)6は、有線又は無線のネットワークを介して接続可能に構成されている。
【0030】
撮影システム1においては、コンソール50がRIS6から撮影オーダ等を取得し、当該撮影オーダ及びユーザの指示等に応じて、撮影装置10の制御を行う。撮影装置10は、圧迫部材40によって圧迫状態とされた被検者の乳房を被写体として、放射線画像及び超音波画像を取得する。コンソール50が、本開示の制御装置の一例である。
【0031】
次に、
図2を参照して、撮影装置10の概略構成について説明する。
図2は、撮影装置10の外観の一例を示す側面図であり、被検者の右側から撮影装置10を見た場合の図である。
図2に示すように、撮影装置10は、放射線源17Rと、放射線検出器28と、放射線源17Rと放射線検出器28との間に配置された撮影台16と、撮影台16との間で乳房2を圧迫する圧迫部材40と、放射線源17Rと圧迫部材40との間に配置された超音波プローブ30と、プロジェクタ39と、を備える。撮影装置10では、医師及び技師等のユーザによって、撮影台16の撮影面16A上に被検者の乳房2がポジショニングされる。
【0032】
撮影装置10は、アーム部12、基台14及び軸部15を備える。アーム部12は、基台14によって、上下方向(Z方向)に移動可能に保持される。軸部15は、アーム部12を基台14に連結する。アーム部12は、軸部15を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっている。また、アーム部12は、放射線照射部17を備える上部と撮影台16を備える下部とで別々に、軸部15を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっていてもよい。
【0033】
アーム部12は、放射線照射部17及び撮影台16を備える。放射線照射部17は、放射線源17Rを備え、放射線源17Rから照射される放射線(例えばX線)の照射野を変更可能に構成されている。照射野の変更は、例えば、ユーザが操作部26を操作することで行われてもよいし、取り付けられた圧迫部材40の種類に応じて制御部20が行うものであってもよい。放射線源17Rは、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房に放射線Rを照射する。
【0034】
撮影台16は、制御部20、記憶部22、I/F(Interface)部24、操作部26及び放射線検出器28を備える。制御部20は、コンソール50の制御に応じて、撮影装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える(図示省略)。ROMには、CPUで実行される、放射線画像及び超音波画像の取得に関する制御を行うためのプログラムを含む各種プログラムが予め記憶されている。RAMは、各種データを一時的に記憶する。
【0035】
記憶部22には、放射線画像及び超音波画像のデータ及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。
【0036】
I/F部24は、有線通信又は無線通信により、コンソール50との間で各種情報の通信を行う。具体的には、I/F部24は、コンソール50から撮影装置10の制御に関する情報を受信する。また、I/F部24は、コンソール50に対して、放射線画像及び超音波画像のデータを送信する。
【0037】
操作部26は、撮影台16等に設けられた、ユーザが手又は足等で操作可能なパーツであり、例えばスイッチ、ボタン及びタッチパネル等である。また例えば、操作部26は、ユーザによる音声入力を受け付けてもよい。
【0038】
放射線検出器28は、撮影台16の内部に配置され、圧迫部材40、乳房及び撮影台16を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。なお、放射線検出器28の種類は特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0039】
また、アーム部12には、プローブユニット38及び圧迫ユニット48が連結される。プローブユニット38には、超音波プローブ30を着脱可能に支持する支持部36が取り付けられる。プローブユニット38に備えられた駆動部(図示省略)によって、支持部36(超音波プローブ30)が上下方向(Z方向)及び水平方向(X方向及びY方向)に移動される。また、支持部36は、プローブユニット38との係合部を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっていてもよい。支持部36は、放射線Rを透過する材料で形成されていることが好ましい。また、支持部36は、超音波プローブ30の位置を一時的に固定できるように構成されていることが好ましい。
【0040】
超音波プローブ30は、圧迫部材40の上面43A側から、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を撮影する。超音波プローブ30は、放射線源17Rと圧迫部材40との間に配置され、超音波を圧迫部材40を介して乳房に照射し、乳房からの反射波を受信する。具体的には、超音波プローブ30は、超音波トランスデューサアレイを備える。超音波トランスデューサアレイは、複数の超音波トランスデューサが一次元状又は二次元状に配列された構成である。超音波トランスデューサは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(lead) Zirconate Titanate)に代表される圧電セラミック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF:Polyvinylidene Difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電体の両端に電極を形成してなる。また、プローブユニット38には、超音波プローブ30が受信した乳房からの反射波を超音波画像に変換する変換器(図示省略)が内包され、変換器によって超音波画像が得られる。
【0041】
また、撮影装置10には、互いに異なる複数種類の超音波プローブ30が取付可能であってもよい。例えば、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)、乳房の組織構成(例えば脂肪量及び乳腺量)、並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じて、それぞれ異なる種類の超音波プローブ30が用意され、撮影装置10に着脱できるようになっていてもよい。例えば、中心周波数が約7.5MHzのリニア型プローブ(表在等用)、中心周波数が約3.5MHzのコンベックス型プローブ(腹部等用)、及び中心周波数が約2.5MHzのセクタ型プローブ(心臓等用)等の、性能及び寸法が異なる超音波プローブ30を選択的に用いてもよい。
【0042】
圧迫ユニット48には、圧迫部材40を支持する支持部46が着脱可能に取り付けられる。圧迫ユニット48に備えられた駆動部(図示省略)によって、支持部46(圧迫部材40)が上下方向(Z方向)に移動される。また、支持部46は、圧迫ユニット48との係合部を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっていてもよい。
【0043】
圧迫部材40は、撮影面16A上に配置される乳房を圧迫状態とするためのものである。具体的には、圧迫部材40は、放射線源17Rと撮影台16との間に配置され、撮影台16との間で乳房を挟み込むことによって、乳房を圧迫状態にする。
図3に、圧迫部材40の一例の三面図を示す。
図3の三面図には、圧迫部材40を上側(放射線照射部17側)から見た上面図、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。
図3に示すように、圧迫部材40は、圧迫部42及び支持部46を含む。
【0044】
支持部46は、取付部47及び腕49を含む。取付部47は、圧迫部材40を撮影装置10、具体的には圧迫ユニット48の駆動部に取り付ける。腕49は、圧迫部42を支持する。
【0045】
圧迫部42は、底部43が壁部44に囲まれ、断面形状が凹型に形成されている。底部43は、被検者の乳房に接触する接触面43Bの板厚が略一定であり、放射線源37R側の上面43Aは、平坦で、高さが略一様である。また、壁部44は、比較的高く、高さが略一様である。
【0046】
圧迫部42は、乳房の圧迫においてポジショニング及び圧迫状態の確認を行うために、光学的に透明又は半透明の材料で形成される。また、圧迫部42は、放射線R及び超音波の透過性に優れた材料で形成されることが好ましい。また、圧迫部42は、例えば落下強度及び圧縮強度等の強度に優れた材料で形成されることが好ましい。
【0047】
このような材料としては、例えば、ポリメチルペンテン(PMP:Polymethylpentene)、ポリカーボネート(PC:Polycarbonate)、アクリル、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)及びポリスチレン(PS:Polystyrene)等の樹脂を用いることができる。また例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET:Polyethylene Terephthalate)及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS:Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の樹脂を用いることができる。特にポリメチルペンテンは、超音波の透過率及び反射率に影響する音響インピーダンスが、他の材料と比較して人体(乳房)と近い値となっており、超音波画像に与えるノイズの割合を低下できる。したがって、圧迫部42の材料としては、ポリメチルペンテンが好適である。
【0048】
なお、圧迫部42が「光学的に透明又は半透明」であるとは、圧迫部42を介して圧迫対象の乳房の色及び輪郭等を確認できる程度以上の透明性を有していることを意味する。例えば、圧迫部材40における圧迫部42(接触面43B及び上面43Aを含む部分)は、ISO 13468-1に準拠して測定された全光線透過率が、50%以上であればよい。圧迫部42の材料として用いられ得る各種樹脂の透明性は、材料及び厚さに応じて異なるが、圧迫部42の全光線透過率を50%以上とすることによって、乳房のポジショニング及び圧迫状態の確認に十分なだけの透明性を確保できる。なお、圧迫部42の全光線透過率は、70%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましい。全光線透過率を高くするほど、乳房の視認性を向上させることができる。なお、全光線透過率の測定方法としては、ISO 13468-1(JIS K 7361-1に対応)に限定されず、例えばJIS K 7375等の他の測定方法を用いることもできる。
【0049】
また、撮影装置10には、互いに異なる複数種類の圧迫部材40が取付可能であってもよい。例えば、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)、乳房の組織構成(例えば脂肪量及び乳腺量)、並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じて、それぞれ異なる種類の圧迫部材40が用意され、撮影装置10に着脱できるようになっていてもよい。具体的には、乳房の大きさに応じた圧迫部材、腋窩撮影用の圧迫部材、拡大撮影用の圧迫部材、並びに、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影用の圧迫部材等を用いてもよい。すなわち、圧迫部材40は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するような乳房よりも小さいものであってもよい。
【0050】
図4に、
図3の圧迫部材40と異なる他の形態の一例として、小乳房用の圧迫部材40Sの三面図を示す。
図4の三面図には、圧迫部材40Sを上側(放射線照射部17側)から見た上面図、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。圧迫部材40Sは、
図3の圧迫部材40と同様に、圧迫部42及び支持部46を含む。圧迫部材40Sにおいては、底部43が平坦ではなく、胸壁側(取付部47から離れた側)に比べて、取付部47側が高くなっている。また、壁部44は、高さが一様ではなく、胸壁側の一部の高さが、その他の部分の高さに比べて低くなっている。このような形状によって、圧迫部材40Sは、小さい乳房であってもポジショニング及び圧迫が容易となっている。
【0051】
このように、撮影装置10においては、乳房を圧迫状態とするための圧迫部材40、及び超音波画像を取得するための超音波プローブ30の少なくとも一方を着脱可能としてもよい。すなわち、撮影装置10には、それぞれ寸法の異なる複数種類の圧迫部材40及び超音波プローブ30が取付可能であってもよい。この場合、撮影装置10は、取り付けられている圧迫部材40及び超音波プローブ30の種類を検出してもよい。
【0052】
例えば、圧迫部材40の取付部47に、圧迫部材40の種類ごとに配置が異なる複数のピンを識別情報として設け、圧迫ユニット48に設けられたピンの配置の検知が可能なセンサ(例えばフォトインタラプタ等)によって、識別情報を読み取ってもよい。また例えば、圧迫部材40の任意の位置に圧迫部材40の種類に応じたマーカ(例えばバーコード及び二次元コード等)を識別情報として設け、当該マーカを検出可能なセンサ(例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ等)によって、識別情報を読み取ってもよい。
【0053】
また例えば、圧迫部材40の任意の位置に圧迫部材40の種類に応じた識別情報を有するRFID(Radio Frequency Identification)タグを設け、当該RFIDタグを読取可能なRFIDリーダによって、識別情報を読み取ってもよい。また例えば、圧迫部材40の種類ごとの重さと識別情報とを対応付けて予め記憶部22に記憶しておき、重さを検出可能なセンサによって取り付けられた圧迫部材40の重さを測定し、測定値に基づいて識別情報(圧迫部材40の種類)を特定してもよい。
【0054】
超音波プローブ30についても同様に、例えばピン、マーカ、RFIDタグ及び重さ等に応じて、取り付けられた超音波プローブ30の種類を識別してもよい。
【0055】
放射線照射部37の下方にあたるアーム部32の被検者から離れた位置には、少なくとも1台のプロジェクタ39が設けられている。プロジェクタ39は、コンソール50の制御に応じて、圧迫部材40における、乳房との接触面43Bと反対側に位置する上面43Aの少なくとも一部に予め設定された投影領域に投影用画像を投影する。
【0056】
図5は、プロジェクタ39によって、圧迫部材40の上面43Aに投影用画像94が投影された状態の一例を示す図である。
図5の投影用画像94は、乳房における関心領域の位置を示す(詳細は後述)。
図5に示すように、上面43Aに関心領域の位置を示す投影用画像94を投影することによって、超音波検査を行う医師及び技師等のユーザは、乳房Hのどこに関心領域が位置するかを確認できるようになる。
【0057】
なお、投影領域とは、少なくとも上面43Aの一部を含めばよく、上面43Aの全部を含んでいてもよいし、他の領域(例えば圧迫部材40の壁部44、及び撮影台16の撮影面16A等)を含んでいてもよい。プロジェクタ39としては、液晶プロジェクタ、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)プロジェクタ、及びレーザプロジェクタ等の公知のプロジェクタを使用できる。なお、プロジェクタ39は、複数台で構成されていてもよい。また、プロジェクタ39の投影向きを変更するためのミラー等が設けられていてもよい。
【0058】
なお、撮影装置10による乳房の撮影方式は特に限定されない。例えば頭尾方向(CC:Cranio-Caudal)撮影、内外斜位方向(MLO:Medio-Lateral Oblique)撮影、乳房の一部を撮影する拡大撮影及びスポット撮影等であってもよい。CC撮影は、上下方向(Z方向)に撮影台16と圧迫部材40とで乳房を挟み込むことで、圧迫状態の乳房を撮影する方式である。MLO撮影は、アーム部12の基台14に対する回転角度が45度以上90度未満となるよう傾けた状態で、撮影台16と圧迫部材40とで乳房を挟み込むことで、腋窩部分を含む圧迫状態の乳房を撮影する方式である。
【0059】
また例えば、撮影装置10は、トモシンセシス撮影を行うものであってもよい。トモシンセシス撮影では、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源17Rにより乳房に向けて放射線Rを照射して、複数枚の乳房の放射線画像が撮影される。すなわちトモシンセシス撮影においては、撮影台16、圧迫部材40及び乳房等の角度は固定としたまま、放射線照射部17の基台14に対する回転角度を変えて撮影が行われる。
【0060】
また、撮影装置10では、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子及び車椅子等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房がポジショニングされるものであってもよい。
【0061】
撮影装置10は、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房について、放射線源17R及び放射線検出器28によって放射線画像を撮影した後に、超音波プローブ30によって超音波画像を撮影する。すなわち、乳房を圧迫状態としたままで、放射線画像と超音波画像とを連続撮影する。この場合、被検者の苦痛の軽減のために、乳房を圧迫状態とする時間はできるだけ短縮化することが望まれる。そこで、撮影装置10は、放射線画像の撮影が完了してから超音波画像の撮影が完了するまでの期間において、プロジェクタ39によって、超音波検査を支援できるような情報を、圧迫部材40を介して乳房上に投影する。これにより、検査時間を短縮化するとともに、乳房を圧迫状態とする時間の短縮化を図る。
【0062】
しかし、ヒトの皮膚の色には個人差があり、シミ、ホクロ、日焼け及び傷跡等により部分的に色が異なる場合もあるため、プロジェクタ39による投影用画像の色及び照度を一様にすると、当該投影用画像を視認しづらいことがある。
図6及び
図7は、
図5の乳房Hとは異なる皮膚の色を有する乳房Hpを被写体とし、プロジェクタ39によって圧迫部材40の上面43Aに投影用画像94又は94pがそれぞれ投影された状態の一例を示す図である。
図6の投影用画像94は、
図5の投影用画像94と同様に、乳房における関心領域の位置を示す画像であるが、関心領域の位置を示す線の色と乳房Hpの皮膚の色とのコントラストが弱いため、視認性が低下している。一方、
図7の投影用画像94pは、乳房Hpの皮膚の色とのコントラストが強くなるように
図5の投影用画像94(関心領域の位置を示す線)の色が補正されているため、視認性が向上している。
【0063】
本開示のコンソール50は、圧迫部材40を介して乳房上に情報を投影する場合に、視認性を向上できるよう、投影領域の色に応じて投影用画像を補正する機能を有する。以下、コンソール50について説明する。
【0064】
図8を参照して、コンソール50のハードウェア構成の一例を説明する。
図8に示すように、コンソール50は、CPU51、不揮発性の記憶部52、及び一時記憶領域としてのメモリ53を含む。また、コンソール50は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ54、タッチパネル、キーボード及びマウス等の操作部55、並びにI/F部56を含む。I/F部56は、撮影装置10、RIS6及びその他外部装置等との有線又は無線通信を行う。CPU51、記憶部52、メモリ53、ディスプレイ54、操作部55及びI/F部56は、システムバス及びコントロールバス等のバス58を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0065】
記憶部52は、例えば、HDD、SSD及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部52には、コンソール50における制御プログラム57と、補正テーブル59(詳細は後述)と、が記憶される。CPU51は、記憶部52から制御プログラム57を読み出してからメモリ53に展開し、展開した制御プログラム57を実行する。コンソール50としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末等を適宜適用できる。
【0066】
また、記憶部52には、撮影装置10で取得された放射線画像及び超音波画像の画像データ及びその他の各種情報等が記憶される。放射線画像及び超音波画像の画像データは、撮影オーダ及び撮影情報の少なくとも一方と対応付けられて記憶されていてもよい。撮影情報とは、例えば、撮影オーダに含まれる被検者情報及び撮影種目、撮影を行った撮影者(例えば医師及び技師等のユーザ)を示す撮影者情報、撮影を行った日時を示す日時情報、のうち少なくとも1つであってもよい。
【0067】
図9を参照して、コンソール50の機能的な構成の一例について説明する。
図9に示すように、コンソール50は、取得部60、検出部62、生成部64、補正部66及び制御部68を含む。CPU51が制御プログラム57を実行することにより、CPU51が取得部60、検出部62、生成部64、補正部66及び制御部68として機能する。
【0068】
取得部60は、撮影装置10から、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房を撮影して得られる放射線画像を取得する。具体的には、取得部60は、I/F部56を介して撮影装置10の記憶部22に記憶された放射線画像を取得してもよいし、記憶部52に記憶済みの放射線画像を取得してもよいし、外部装置に保存されている放射線画像を取得してもよい。
【0069】
図10に、放射線画像90の一例を示す。
図10の放射線画像90は、乳房Hを被写体として撮影されたものであり、異常陰影92A及び高乳腺領域92Bが含まれている。これらの異常陰影92A及び高乳腺領域92Bについては、超音波検査も行うことが望まれる。
【0070】
検出部62は、圧迫部材40における、乳房との接触面43Bと反対側に位置する上面43Aの少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出する。上述したように、投影領域には乳房及び/又は撮影面16Aが含まれるため、投影領域の色とは、実質的には圧迫部材40を介して観察する乳房及び/又は撮影面16Aの色である。
【0071】
なお、投影領域の色の検出方法は特に限定されない。例えば、投影領域の可視光画像を撮影し、当該可視光画像の画素値を投影領域の色として検出してもよい。可視光画像は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ等を含んで構成されたデジタルカメラによって撮影できる。また例えば、光を照射してその反射光を受光し、受光した光の波長ごとの強度を測定することによって対象物の色を特定するカラーセンサを用いて、投影領域の色を検出してもよい。
【0072】
以下、検出部62によって検出された投影領域の色を「検出色」という。また、以下の説明においては、検出色がRGB色空間で表されるものとして説明する。RGB色空間とは、赤(R:Red)、緑(G:Green)及び青(B:Blue)の3要素を予め定められた階調(例えば0から255までの256階調)で表す色の表現方法である。例えば256階調の場合、(R、G、B)が(0、0、0)であれば黒色を表し、(R、G、B)が(255、255、255)であれば白色を表す。このようにR、G、Bの3つの値を操作することによって、色相、明度及び彩度を変更できる。
【0073】
また、検出部62は、投影領域の部分ごとに色を検出することが好ましい。上述したように、投影領域には乳房だけではなく撮影面16Aが含まれていたり、乳房の一部にシミ、ホクロ、日焼け及び傷跡等が生じていたりするので、検出部62は、投影領域内の複数個所について色を検出することが好ましい。
【0074】
例えば、可視光画像を用いる場合、可視光画像の画素ごとの画素値(R、G、Bの3つの値を含む)を参照することによって、投影領域の部分ごとに検出色を検出できる。また例えば、カラーセンサを用いる場合、投影領域内において測定箇所を変えながら複数回測定することによって、投影領域の部分ごとに検出色を検出できる。以下、検出部62が投影領域の部分ごとに色を検出しているものとして説明する。
【0075】
生成部64は、プロジェクタ39によって投影領域に投影される投影用画像を生成する。投影用画像には、超音波検査を支援できるような情報が含まれる。このような情報としては、例えば
図5に示したような、乳房における関心領域の位置を示す情報が挙げられる。
【0076】
この場合、生成部64は、取得部60によって取得された放射線画像から関心領域を抽出する。関心領域とは、例えば、病変が疑われる異常陰影の領域、及び、放射線画像からの読影が困難な高乳腺領域等である。また、生成部64は、抽出した関心領域の位置を示す投影用画像を生成する。
【0077】
なお、関心領域の抽出方法としては、例えば、公知のCAD(Computer Aided Detection/Diagnosis)技術を用いた方法を適宜適用できる。CAD技術を用いて関心領域を抽出する方法としては、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)等の学習モデルを用いた方法を適用してもよい。例えば、生成部64は、放射線画像を入力とし、当該放射線画像に含まれる関心領域を抽出して出力するよう予め学習された学習済モデルを用いて、関心領域を抽出してもよい。また例えば、生成部64は、操作部55を介してユーザにより指定された領域を関心領域として特定してもよい。
【0078】
また例えば、投影用画像には、超音波検査を支援できるようなテキスト情報が含まれていてもよい。例えば、テキスト情報は、被検者の氏名、年齢、性別及び識別ID、並びに、検査対象が右乳房なのか左乳房なのかを示す情報等の、乳房の被検者に関する被検者情報であってもよい。また例えば、テキスト情報は、乳房の放射線画像及び超音波画像の少なくとも一方を撮影する場合の撮影条件に関する撮影条件情報であってもよい。撮影条件情報とは、例えば、放射線源17Rの管電圧、管電流及び照射時間、撮影日時、圧迫部材40による乳房への圧迫圧力、圧迫方向における乳房の厚み、圧迫を開始してからの経過時間、並びに、放射線照射部17の基台14に対する回転角度等である。
【0079】
また例えば、テキスト情報は、乳房に含まれる関心領域に関する関心領域情報であってもよい。関心領域情報とは、例えば、関心領域が病変疑いの領域なのか高乳腺領域なのかを示す情報である。また例えば、関心領域が病変疑いの領域の場合、推定病名、及びその確度等である。これらの情報は、例えば、撮影オーダに含まれているものを用いてもよいし、放射線画像等に基づいて生成部64が生成してもよい。また、これらの情報は、現在の撮影に関する情報であってもよいし、同一の被検者に関する過去の撮影に関する情報であってもよい。
【0080】
なお、テキスト情報は、乳房以外の領域に投影されることが望ましい。これは、乳房に重ねてテキスト情報が投影されると乳房の様子を確認しづらくなったり、乳房と撮影台16とに跨ってテキスト情報が投影されるとテキストを読みづらくなったりする可能性があるためである。
【0081】
そこで、生成部64は、検出部62によって検出された投影領域の部分ごとの検出色に基づいて、投影領域を、乳房を含む乳房領域と、乳房を含まない非乳房領域と、に分けてもよい。その後、生成部64は、テキスト情報が非乳房領域に投影されるように、投影用画像を生成してもよい。
【0082】
なお、投影領域における乳房領域と非乳房領域との区分けは、上記の検出色に基づくものに限らない。例えば、生成部64は、取得部60によって取得された放射線画像の各画素の画素値に基づいて、乳房領域と非乳房領域とを分けてもよい。
【0083】
図11は、プロジェクタ39によって、圧迫部材40の上面43A及び撮影台16の撮影面16Aに投影用画像94が投影された状態の一例を示す図である。
図11の投影用画像94は、乳房における2つの関心領域の位置と、それぞれの関心領域が病変疑いの領域なのか高乳腺領域なのかを示すテキスト情報を含む。
【0084】
補正部66は、生成部64によって生成された投影用画像を取得する。また、補正部66は、投影用画像を形成する各画素の画素値(以下「第1画素値」という)を、検出部62によって検出された投影領域の色に基づいて補正する。すなわち、補正部66は、投影用画像を圧迫部材40を介して乳房等に投影した場合に視認性が向上するように、検出色に応じて、第1画素値によって表される投影用画像の画素ごとの色(以下、「投影色」という)を補正する。
【0085】
具体的には、補正部66は、検出色と投影色とのコントラストが強くなるように、検出色に応じて投影色を補正することが好ましい。コントラストが強くなるような色の関係として、補色及び反対色が挙げられる。補正部66は、第1画素値が示す投影色が、投影領域の検出色の補色又は反対色となるように、第1画素値を補正してもよい。
【0086】
補色とは、色相環で反対にある色のことである。補正部66は、検出部62によって検出された検出色のR、G、Bの3つの値に応じて補色のR、G、Bの3つの値を導出し、導出した補色を用いて投影用画像の補正を行ってもよい。RGB色空間において、ある色(r、g、b)に対応する補色(rc、gc、bc)はそれぞれ下記式で表される。
【0087】
A=(r、g、bのうち最大値)+(r、g、bのうち最小値)
rc=A-r
gc=A-g
bc=A-b
【0088】
反対色とは、色相、彩度及び明度の少なくとも1つが反対になる色のことである。補正部66は、検出部62によって検出された検出色のR、G、Bの3つの値に応じて反対色のR、G、Bの3つの値を導出し、導出した反対色を用いて投影用画像の補正を行ってもよい。256階調のRGB色空間において、ある色(r、g、b)に対応する反対色(ro、go、bo)はそれぞれ下記式で表される。
【0089】
ro=255-r
go=255-g
bo=255-b
【0090】
なお、投影色と検出色の関係は、補色及び反対色に限定されず、任意の色を対応付けることもできる。例えば、白色人種に代表される明るい皮膚の色に対応する反対色は黒に近い色であるが、黒に近い色を乳房に投影すると、シミ及びホクロと見間違えたり、被検者が不快に感じやすくなったりして、好ましくない場合がある。そこで、視認性の観点に基づいて予め定めた任意の色に補正できるように、補正部66は、第1画素値(投影色)と、投影領域の検出色と、の対応関係が予め定められた補正テーブル59を用いて、第1画素値を補正してもよい。
【0091】
図12に、補正テーブル59の一例を示す。補正テーブル59には、検出色ごとに投影色が対応付けられている。
図12において、検出色及び投影色はそれぞれR、G、Bの3つの値によって表されており、分かりやすさのために色名も記載している。
図12において、基本的には検出色の補色又は反対色が投影色として予め定められているが、「白色人種の皮膚」については、補色でも反対色でもない橙色が投影色として定められている。また、投影色として補色又は反対色を用いる場合であっても、このようにテーブルとして検出色と投影色との対応関係を保持することによって、都度投影色の導出を行わなくてよいため、処理の高速化を図ることができる。
【0092】
以上の第1画素値(投影色)の補正は、投影用画像の画素ごとに行われてもよい。すなわち、補正部66は、投影用画像の画素ごとに対応する投影領域の部分を特定し、第1画素値を、対応する投影領域の部分について検出された検出色に基づいて補正してもよい。
図11の投影用画像94では、テキスト情報を示す吹き出しのうち、乳房領域に重なる部分と、非乳房領域と、が異なる色で投影されている。このように、投影用画像の画素ごとに投影色を補正することによって、視認性を向上させることができる。
【0093】
また、第1画素値(投影色)の補正は、投影用画像の全体が平均的に見えやすくなるように、一様に行われてもよい。具体的には、補正部66は、投影領域の部分ごとの色の平均色を算出し、第1画素値(投影色)を、平均色に基づいて補正してもよい。例えば、補正部66は、投影用画像の各画素の第1画素値を、算出した平均色の補色又は反対色となるように補正してもよい。このような形態によれば、投影用画像の画素ごとに投影色を導出する形態よりも、処理の高速化を図ることができる。
【0094】
また例えば、補正部66は、検出された検出色に応じて、テキスト情報を示す文字及びテキストボックスの形態を異ならせてもよい。例えば、補正部66は、検出された検出色に応じて、テキストの文字色、フォント、太字及び斜体等の形態を異ならせてもよいし、テキストの背景色等を異ならせてもよい。
【0095】
また例えば、一連のテキストの文字色及び背景色を投影領域の部分ごとの色に応じて異ならせると、却ってテキストが読みづらくなり、視認性が低下する場合がある。そこで、補正部66は、一連のテキストが異なる色の複数の部分に投影される場合、テキストに対して縁取り文字及び影付き文字にする等の装飾を加えることによって、投影先の色(検出色)の影響を受けにくいようにしてもよい。
【0096】
また、補正部66は、検出部62によって検出された投影領域の検出色に基づいて、プロジェクタ39によって投影領域に投影用画像を投影する場合の光量を調整してもよい。投影領域の検出色及び投影色の組合せによっては、光量が多いほど視認性が向上する場合もあれば、光量が多すぎると視認性が低下してしまう場合もあるためである。例えば、
図12の補正テーブル59には、検出色ごとに光量(単位はプロジェクタ39の最大光量に対するパーセンテージ)が定められている。補正部66は、このような補正テーブル59を用いて、プロジェクタ39の光量を設定してもよい。
【0097】
また、プロジェクタ39によって圧迫部材40を介して乳房等に投影される投影用画像をユーザが実際に視認する場合には、プロジェクタ39から発せられる投影光以外に、照明等による環境光も視認することとなる。検出部62によって検出される検出色はこの環境光も加味された発色となっていると考えられ、投影色についてもこの環境光を加味した補正を行うことによって、より視認性を向上させることができると考えられる。
【0098】
この場合、検出部62は、プロジェクタ39によって投影領域に投影用画像を投影する環境における環境光の色及び照度の少なくとも一方を検出する。環境光の照度は、例えば、照度センサによって検出できる。照度センサとは、例えば、フォトダイオード及びフォトトランジスタ等の光電変換素子、並びにCdsセル等の光導電素子を含んで構成されており、周囲の明るさを検出して、明るさに応じた信号を出力する。また、R、G、Bの色成分ごとに環境光の照度を測定することによって、環境光の色も検出できる。
【0099】
補正部66は、プロジェクタ39によって投影される投影用画像の第1画素値を、検出部62によって検出された投影領域の色と、環境光の色及び照度の少なくとも一方と、に基づいて補正する。また、補正部66は、検出部62によって検出された環境光の色及び照度の少なくとも一方に基づいて、プロジェクタ39によって投影領域に投影用画像を投影する場合の光量を調整してもよい。
【0100】
図13を参照して、環境光に応じて投影色を補正する方法の一例について説明する。
図13は、圧迫部材40の上面43Aの部分拡大図である。
図13に示すように、上面43Aは、ある程度の粗さを有している。これにより、プロジェクタ39から発せられる投影光の反射光を視認するユーザは、照明等による環境光の反射光も視認することとなる。
【0101】
図13において、プロジェクタ39に入力される投影用画像の画素値をpとし、プロジェクタ39から上面43Aまでの距離及び入射角等による減衰を考慮した減衰項をfとし、環境光の照度をeとし、上面43Aの反射率をrとする。この場合に、ユーザが観測する明るさをcとすると、cは(1)式で表される。
c=f×r×p+e×r ・・・(1)
【0102】
ユーザに観測させたい目的の明るさをctとすると、プロジェクタ39に入力すべき画素値ptは、(1)式を変形した(2)式で表される
pt=(ct-e×r)/f×r ・・・(2)
【0103】
ここで、プロジェクタ39及び環境光の状態が変化しないと仮定すると、プロジェクタ39と上面43Aとの位置姿勢関係によって決まる減衰項f、反射率r及び環境光の照度eは、それぞれ定数とみなすことができる。
【0104】
また、プロジェクタ39に画素値p=0(すなわち黒)を入力したときに観測される明るさc0の値は、(1)式からe×rに等しいことが分かる。このe×rには、照明による環境光に加えて、プロジェクタ39に画素値p=0を入力したときでもレンズから漏れ出てしまうブラックオフセットも含まれる。また、プロジェクタに画素値p=255(すなわち白)を入力したときに観測される明るさc1から、上記の明るさc0(=e×r)を引くことによって、f×rを求めることができる。なお、明るさc0及びc1は、上述した照度センサによって測定できる。
【0105】
したがって、測定した明るさc0及びc1と、目的の明るさctと、を(2)式に入力することによって、プロジェクタ39に入力すべき画素値pt(すなわち、プロジェクタ39が投影用画像を圧迫部材40を介して乳房に投影した場合に、ユーザが目的の明るさctを視認できるような画素値)を求めることができる。目的の明るさctとしては、例えば、視認性が最も良好な最大の値を選択できる。
【0106】
補正部66は、例えば、検出部62によって検出された検出色に基づいて補正テーブル59を用いて投影色を決定した後、更に上記の(2)式を用いた線形補正を行ってもよい。このような補正によれば、より視認性を向上させることができる。
【0107】
また、補正部66は、ガンマ補正等の公知の画像補正を行ってもよい。ガンマ補正を行う場合、例えば、ガンマ補正用のガンマカーブ特性を予め記憶部52等に記憶させておいてもよい。
【0108】
制御部68は、補正部66によって補正された投影用画像を投影するよう、プロジェクタ39を制御する。具体的には、制御部68は、放射線画像の撮影が完了してから超音波画像の撮影が完了するまでの期間において、投影用画像を投影するようにプロジェクタ39を制御する。
【0109】
次に、
図14を参照して、本実施形態に係るコンソール50の作用を説明する。コンソール50において、CPU51が制御プログラム57を実行することによって、
図14に示す制御処理が実行される。制御処理は、例えば、ユーザにより操作部55を介して実行開始の指示があった場合に実行される。
【0110】
ステップS10で、取得部60は、撮影装置10で撮影された放射線画像を取得する。ステップS12で、検出部62は、圧迫部材40における上面43Aの少なくとも一部に予め設定された投影領域の色(検出色)を検出する。ステップS14で、生成部64は、ステップS10で取得された放射線画像等に基づき、投影用画像を生成する。
【0111】
ステップS16で、補正部66は、ステップS12で検出された投影領域の色に基づき、ステップS14で生成された投影用画像を形成する各画素の第1画素値(投影色)を補正する。ステップS18で、制御部68は、ステップS16で補正された投影用画像を投影するよう、プロジェクタ39を制御し、本制御処理を終了する。
【0112】
以上説明したように、本開示の一態様に係る撮影装置10は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材40における、乳房との接触面43Bと反対側に位置する上面43Aの少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出する。また、プロジェクタ39によって投影領域に投影される投影用画像を取得し、投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、投影領域の色に基づいて補正する。
【0113】
すなわち、本実施形態に係る撮影装置10によれば、乳房及び撮影台16等の色に応じて投影用画像の色を補正することによって、圧迫部材40を介して乳房上に検査を支援できるような情報(投影用画像)を投影する場合に、視認性を向上できる。
【0114】
なお、上記実施形態においては、検出部62が投影領域の部分ごとに色を検出している形態について説明したが、これに限らない。検出部62は、投影領域内の少なくとも一部の色を検出すればよい。例えば、可視光画像によって検出色を特定する場合、可視光画像のある1画素の色を代表値として設定してもよい。また例えば、カラーセンサによって検出色を特定する場合、投影領域内のある1点において測色を行い、その色を代表値として設定してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、コンソール50が本開示の制御装置の一例である形態について説明したが、コンソール50以外の装置が本開示の制御装置の機能を備えていてもよい。換言すると、取得部60、検出部62、生成部64、補正部66及び制御部68の機能の一部又は全部を、例えば撮影装置10及び外部装置等の、コンソール50以外の装置が備えていてもよい。
【0116】
また、上記実施形態において、例えば、取得部60、検出部62、生成部64、補正部66及び制御部68といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0117】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0118】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0119】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0120】
また、上記実施形態では、撮影装置10における各種プログラムが制御部20に含まれるROMに予め記憶(インストール)され、コンソール50における制御プログラム57が記憶部52に予め記憶されている態様を説明したが、これに限定されない。撮影装置10における各種プログラム及び制御プログラム57は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、撮影装置10における各種プログラム及び制御プログラム57は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。更に、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にも及ぶ。
【0121】
本開示の技術は、上記実施形態例及び実施例を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
【0122】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
[付記項1]
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、前記乳房との接触面と反対側に位置する上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、
プロジェクタによって前記投影領域に投影される投影用画像を取得し、
前記投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、前記投影領域の色に基づいて補正する
制御装置。
[付記項2]
前記プロセッサは、
前記第1画素値が示す色が、前記投影領域の色の補色又は反対色となるように、前記第1画素値を補正する
付記項1に記載の制御装置。
[付記項3]
前記プロセッサは、
前記第1画素値と、前記投影領域の色と、の対応関係が予め定められたテーブルを用いて、前記第1画素値を補正する
付記項1又は付記項2に記載の制御装置。
[付記項4]
前記プロセッサは、
前記投影用画像の画素ごとに対応する前記投影領域の部分を特定し、
前記投影領域の部分ごとに色を検出し、
前記第1画素値を、対応する前記投影領域の部分の色に基づいて補正する
付記項1から付記項3の何れか1項に記載の制御装置。
[付記項5]
前記プロセッサは、
前記投影領域の部分ごとに色を検出し、
前記投影領域の部分ごとの色の平均色を算出し、
前記第1画素値を、前記平均色に基づいて補正する
付記項1から付記項3の何れか1項に記載の制御装置。
[付記項6]
前記プロセッサは、
前記乳房を撮影して得られる放射線画像を取得し、
前記放射線画像から関心領域を抽出し、
前記関心領域の位置を示す前記投影用画像を生成する
付記項1から付記項5の何れか1項に記載の制御装置。
[付記項7]
前記プロセッサは、
前記乳房の被検者に関する被検者情報、前記乳房の放射線画像及び超音波画像の少なくとも一方を撮影する場合の撮影条件に関する撮影条件情報、並びに、前記乳房に含まれる関心領域に関する関心領域情報の少なくとも1つを示すテキスト情報を含む前記投影用画像を生成する
付記項1から付記項6の何れか1項に記載の制御装置。
[付記項8]
前記プロセッサは、
前記投影領域の部分ごとに色を検出し、
前記投影領域の部分ごとの色に基づいて、前記投影領域を、前記乳房を含む乳房領域と、前記乳房を含まない非乳房領域と、に分け、
前記テキスト情報が前記非乳房領域に投影されるように、前記投影用画像を生成する
付記項7に記載の制御装置。
[付記項9]
前記プロセッサは、
前記投影領域の色に基づいて、前記プロジェクタによって前記投影領域に前記投影用画像を投影する場合の光量を調整する
付記項1から付記項8の何れか1項に記載の制御装置。
[付記項10]
前記プロセッサは、
前記プロジェクタによって前記投影領域に前記投影用画像を投影する環境における環境光の色及び照度の少なくとも一方を検出し、
前記第1画素値を、前記投影領域の色と、前記環境光の色及び照度の少なくとも一方と、に基づいて補正する
付記項1から付記項9の何れか1項に記載の制御装置。
[付記項11]
前記プロセッサは、
前記環境光の色及び照度の少なくとも一方に基づいて、前記プロジェクタによって前記投影領域に前記投影用画像を投影する場合の光量を調整する
付記項10に記載の制御装置。
[付記項12]
付記項1から付記項11の何れか1項に記載の制御装置と、撮影装置と、を備える撮影システムであって、
前記撮影装置は、
撮影台との間で前記乳房を圧迫状態とする前記圧迫部材と、
前記圧迫部材によって圧迫状態とされた前記乳房に放射線を照射する放射線源と、
前記圧迫部材及び前記乳房を透過した前記放射線を検出して放射線画像を生成する放射線検出器と、
前記圧迫部材の前記上面側から、前記圧迫部材によって圧迫状態とされた前記乳房の超音波画像を撮影する超音波プローブと、
前記圧迫部材の前記投影領域に前記投影用画像を投影する前記プロジェクタと、
を備える撮影システム。
[付記項13]
前記撮影装置は、前記放射線源及び前記放射線検出器によって前記乳房の放射線画像を撮影した後に、前記超音波プローブによって前記乳房の超音波画像を撮影し、
前記プロセッサは、
前記放射線画像の撮影が完了してから前記超音波画像の撮影が完了するまでの期間において、前記投影用画像を投影するように前記プロジェクタを制御する
付記項12に記載の撮影システム。
[付記項14]
前記圧迫部材における前記接触面及び前記上面を含む部分は、ISO 13468-1に準拠して測定された全光線透過率が、85%以上である
付記項12又は付記項13に記載の撮影システム。
[付記項15]
乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、前記乳房との接触面と反対側の上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、
プロジェクタによって前記投影領域に投影される投影用画像を取得し、
前記投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、前記投影領域の色に基づいて補正する
処理を含む制御方法。
[付記項16]
乳房を圧迫状態とする透明又は半透明な圧迫部材における、前記乳房との接触面と反対側の上面の少なくとも一部に予め設定された投影領域の色を検出し、
プロジェクタによって前記投影領域に投影される投影用画像を取得し、
前記投影用画像を形成する各画素の第1画素値を、前記投影領域の色に基づいて補正する
処理をコンピュータが実行するための制御プログラム。
【符号の説明】
【0123】
1 撮影システム
6 RIS
10 撮影装置
12 アーム部
14 基台
15 軸部
16 撮影台
16A 撮影面
17 放射線照射部
17R 放射線源
20 制御部
22、52 記憶部
24、56 I/F部
26、55 操作部
28 放射線検出器
30 超音波プローブ
36 支持部
38 プローブユニット
40、40S 圧迫部材
42 圧迫部
43 底部
43A 上面
43B 接触面
44 壁部
46 支持部
47 取付部
48 圧迫ユニット
49 腕
50 コンソール
51 CPU
53 メモリ
54 ディスプレイ
57 制御プログラム
58 バス
59 補正テーブル
60 取得部
62 検出部
64 生成部
66 補正部
68 制御部
90 放射線画像
92A 異常陰影
92B 高乳腺領域
94 投影用画像
H、Hp 乳房
R 放射線