(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146668
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】化学蓄熱装置
(51)【国際特許分類】
F28D 20/00 20060101AFI20241004BHJP
【ＦＩ】
F28D20/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023087683
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2023057252
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】島井 基行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 弘太
(57)【要約】
【課題】伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制可能な化学蓄熱装置を提供することを課題とする。
【解決手段】化学蓄熱装置１は、収容部２２を内部に区画する反応器２と、収容部２２に配置される蓄熱体４と、収容部２２に配置され、蓄熱体４と熱の授受を行う熱媒体が通過する熱媒体流路５２を内部に区画する伝熱部材５と、以下の（Ａ）および（Ｂ）のうち、少なくとも一方を備える。（Ａ）伝熱部材５または反応器２を支持し、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制するために、隣接部材２、５に対して移動可能である支持部材７、８７。（Ｂ）蓄熱体４を構成し、伝熱部材５の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である複数の分割体４０。
【選択図】図９
【解決手段】化学蓄熱装置１は、収容部２２を内部に区画する反応器２と、収容部２２に配置される蓄熱体４と、収容部２２に配置され、蓄熱体４と熱の授受を行う熱媒体が通過する熱媒体流路５２を内部に区画する伝熱部材５と、以下の（Ａ）および（Ｂ）のうち、少なくとも一方を備える。（Ａ）伝熱部材５または反応器２を支持し、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制するために、隣接部材２、５に対して移動可能である支持部材７、８７。（Ｂ）蓄熱体４を構成し、伝熱部材５の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である複数の分割体４０。
【選択図】図９
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を内部に区画する反応器と、
前記収容部に配置される蓄熱体と、
前記収容部に配置され、前記蓄熱体と熱の授受を行う熱媒体が通過する熱媒体流路を内部に区画する伝熱部材と、
を備え、
さらに、以下の（Ａ）および（Ｂ）のうち、少なくとも一方を備える化学蓄熱装置。
（Ａ）前記伝熱部材または前記反応器を支持し、前記伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制するために、隣接部材に対して移動可能である支持部材。
（Ｂ）前記蓄熱体を構成し、前記伝熱部材の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である複数の分割体。
前記収容部に配置される蓄熱体と、
前記収容部に配置され、前記蓄熱体と熱の授受を行う熱媒体が通過する熱媒体流路を内部に区画する伝熱部材と、
を備え、
さらに、以下の（Ａ）および（Ｂ）のうち、少なくとも一方を備える化学蓄熱装置。
（Ａ）前記伝熱部材または前記反応器を支持し、前記伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制するために、隣接部材に対して移動可能である支持部材。
（Ｂ）前記蓄熱体を構成し、前記伝熱部材の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である複数の分割体。
【請求項2】
前記支持部材は、前記伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制するために、前記隣接部材に対して移動可能である請求項１に記載の化学蓄熱装置。
【請求項3】
前記隣接部材は、前記反応器および前記伝熱部材のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、
前記支持部材は、前記収容部に配置され、前記伝熱部材を支持し、前記対向面に摺接する摺動部を有する請求項２に記載の化学蓄熱装置。
前記支持部材は、前記収容部に配置され、前記伝熱部材を支持し、前記対向面に摺接する摺動部を有する請求項２に記載の化学蓄熱装置。
【請求項4】
さらに、前記反応器を外側から覆う外側容器を備え、
前記隣接部材は、前記反応器および前記外側容器のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、
前記支持部材は、前記反応器と前記外側容器との間の空間に配置され、前記反応器を支持し、前記対向面に摺接する摺動部を有する請求項２に記載の化学蓄熱装置。
前記隣接部材は、前記反応器および前記外側容器のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、
前記支持部材は、前記反応器と前記外側容器との間の空間に配置され、前記反応器を支持し、前記対向面に摺接する摺動部を有する請求項２に記載の化学蓄熱装置。
【請求項5】
前記支持部材は、基部と、前記基部と前記摺動部との間に介在する介在部と、を有し、
前記介在部は、前記摺動部に向かってＶ字状に先細る請求項３に記載の化学蓄熱装置。
前記介在部は、前記摺動部に向かってＶ字状に先細る請求項３に記載の化学蓄熱装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記蓄熱体を複数の前記分割体に仕切り、
複数の前記分割体は、前記伝熱部材の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である請求項３に記載の化学蓄熱装置。
複数の前記分割体は、前記伝熱部材の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である請求項３に記載の化学蓄熱装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記伝熱部材の熱変形方向に対して、直交する方向に延在する請求項６に記載の化学蓄熱装置。
【請求項8】
前記支持部材は、前記伝熱部材の熱変形方向に沿って、複数並置され、
隣り合う二つの前記分割体の間には、隣り合う二つの前記支持部材により、隙間が区画される請求項６に記載の化学蓄熱装置。
隣り合う二つの前記分割体の間には、隣り合う二つの前記支持部材により、隙間が区画される請求項６に記載の化学蓄熱装置。
【請求項9】
前記隣接部材は、前記反応器であり、
前記支持部材は、前記伝熱部材に固定される請求項６に記載の化学蓄熱装置。
前記支持部材は、前記伝熱部材に固定される請求項６に記載の化学蓄熱装置。
【請求項10】
前記摺動部は、前記対向面に対して平行に延在する請求項４に記載の化学蓄熱装置。
【請求項11】
前記支持部材は、基部と、前記基部と前記摺動部との間に介在する介在部と、を有し、
前記介在部は、前記摺動部に向かってＣ字状に先細る請求項３または請求項４に記載の化学蓄熱装置。
前記介在部は、前記摺動部に向かってＣ字状に先細る請求項３または請求項４に記載の化学蓄熱装置。
【請求項12】
前記支持部材は、基部と、前記基部と前記摺動部との間に介在する介在部と、を有し、
前記介在部は、歯車状を呈する請求項３または請求項４に記載の化学蓄熱装置。
前記介在部は、歯車状を呈する請求項３または請求項４に記載の化学蓄熱装置。
【請求項13】
前記隣接部材は、前記反応器および前記伝熱部材のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、
前記支持部材は、前記収容部に配置され、前記伝熱部材を支持し、
前記支持部材と前記対向面との間には、前記支持部材および前記対向面のうち、少なくとも一方に対して転動する転動部材が介装される請求項２に記載の化学蓄熱装置。
前記支持部材は、前記収容部に配置され、前記伝熱部材を支持し、
前記支持部材と前記対向面との間には、前記支持部材および前記対向面のうち、少なくとも一方に対して転動する転動部材が介装される請求項２に記載の化学蓄熱装置。
【請求項14】
さらに、前記反応器を外側から覆う外側容器を備え、
前記隣接部材は、前記反応器および前記外側容器のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、
前記支持部材は、前記反応器と前記外側容器との間の空間に配置され、前記反応器を支持し、
前記支持部材と前記対向面との間には、前記支持部材および前記対向面のうち、少なくとも一方に対して転動する転動部材が介装される請求項２に記載の化学蓄熱装置。
前記隣接部材は、前記反応器および前記外側容器のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、
前記支持部材は、前記反応器と前記外側容器との間の空間に配置され、前記反応器を支持し、
前記支持部材と前記対向面との間には、前記支持部材および前記対向面のうち、少なくとも一方に対して転動する転動部材が介装される請求項２に記載の化学蓄熱装置。
【請求項15】
前記転動部材は、コロである請求項１３または請求項１４に記載の化学蓄熱装置。
【請求項16】
前記転動部材は、ボールである請求項１３または請求項１４に記載の化学蓄熱装置。
【請求項17】
前記分割体は、成形体であり、
複数の前記分割体は、前記伝熱部材の熱変形方向に沿って並置される請求項１に記載の化学蓄熱装置。
複数の前記分割体は、前記伝熱部材の熱変形方向に沿って並置される請求項１に記載の化学蓄熱装置。
【請求項18】
前記収容部の容積は、化学反応による膨張後の前記蓄熱体の体積よりも、小さい請求項１に記載の化学蓄熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学反応熱を利用して可逆的に蓄熱、放熱を行うことができる化学蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献１には、器胴と、複数の邪魔板と、複数の伝熱管と、を備える熱交換器が開示されている。器胴は、水平方向に延在している。器胴の側周壁には、流入口と、流出口と、が開設されている。伝熱管は、器胴の内部に収容されている。伝熱管は、水平方向に延在している。複数の邪魔板は、器胴の内部に収容されている。複数の邪魔板は、所定間隔ずつ離間して、器胴の内面から垂直方向に立設されている。邪魔板は、伝熱管の側周壁部を支持している。
【0003】
第一の液体は、流入口から流出口に向かって、複数の邪魔板を迂回しながら、器胴の内部を流動する。第二の液体は、伝熱管の内部を流動する。伝熱管の側周壁部を介して、第一の液体と第二の液体との間で熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭４６－２８７５０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
仮に、同文献の熱交換器を化学蓄熱装置に転用する場合を想定する。この場合、蓄熱体は、器胴の内部に配置されることになる。すなわち、蓄熱体は、器胴の内部において、伝熱管や邪魔板の隙間に充填されることになる。このため、蓄熱体が、伝熱管や邪魔板に固着しやすい。したがって、伝熱管の熱変形が阻害されてしまう。よって、伝熱管に熱応力が発生しやすい。そこで、本開示は、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制可能な化学蓄熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
（１）上記課題を解決するため、本開示の化学蓄熱装置は、収容部を内部に区画する反応器と、前記収容部に配置される蓄熱体と、前記収容部に配置され、前記蓄熱体と熱の授受を行う熱媒体が通過する熱媒体流路を内部に区画する伝熱部材と、を備え、さらに、以下の（Ａ）および（Ｂ）のうち、少なくとも一方を備えることを特徴とする。（Ａ）前記伝熱部材または前記反応器を支持し、前記伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制するために、隣接部材に対して移動可能である支持部材。（Ｂ）前記蓄熱体を構成し、前記伝熱部材の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である複数の分割体。
【0007】
（Ａ）によると、支持部材は、伝熱部材を支持している。または、支持部材は、反応器を介して、伝熱部材を支持している。支持部材は、隣接部材（支持部材が隣接している部材）に対して移動可能である。このため、伝熱部材の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0008】
（Ｂ）によると、伝熱部材に密着しやすい蓄熱体が、複数の分割体により構成されている。複数の分割体は、互いに独立して移動可能である。このため、伝熱部材の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0009】
（２）上記（１）の構成において、前記支持部材は、前記伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制するために、前記隣接部材に対して移動可能である構成とする方がよい。支持部材は、伝熱部材を支持している。または、支持部材は、反応器を介して、伝熱部材を支持している。支持部材は、隣接部材（支持部材が隣接している部材）に対して移動可能である。このため、伝熱部材の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0010】
（３）上記（２）の構成において、前記隣接部材は、前記反応器および前記伝熱部材のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、前記支持部材は、前記収容部に配置され、前記伝熱部材を支持し、前記対向面に摺接する摺動部を有する構成とする方がよい。
【0011】
隣接部材は、反応器および伝熱部材のうち少なくとも一方である。隣接部材は、支持部材に対向する対向面を有している。支持部材は、収容部に配置されている。支持部材は、伝熱部材を支持している。支持部材は、摺動部を備えている。
【0012】
摺動部は、対向面に対して摺動可能である。このため、支持部材は、反応器および伝熱部材のうち少なくとも一方に対して、移動可能である。支持部材が反応器に対して移動可能である場合、伝熱部材は、支持部材と共に、反応器から独立して移動可能である。支持部材が伝熱部材に対して移動可能である場合、伝熱部材は、支持部材から独立して移動可能である。支持部材が反応器および伝熱部材に対して移動可能である場合、伝熱部材は、支持部材と共に、または支持部材から独立して移動可能である。このため、伝熱部材の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0013】
（４）上記（２）の構成において、さらに、前記反応器を外側から覆う外側容器を備え、前記隣接部材は、前記反応器および前記外側容器のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、前記支持部材は、前記反応器と前記外側容器との間の空間に配置され、前記反応器を支持し、前記対向面に摺接する摺動部を有する構成とする方がよい。
【0014】
隣接部材は、反応器および外側容器のうち少なくとも一方である。隣接部材は、支持部材に対向する対向面を有している。支持部材は、反応器の外部、具体的には反応器と外側容器との間の空間に配置されている。支持部材は、反応器を支持している。支持部材は、摺動部を備えている。
【0015】
摺動部は、対向面に対して摺動可能である。このため、支持部材は、反応器および外側容器のうち少なくとも一方に対して、移動可能である。支持部材が反応器に対して移動可能である場合、支持部材は、反応器から独立して移動可能である。逆に言えば、反応器は、支持部材から独立して移動可能である。このため、伝熱部材は、反応器と共に、支持部材および外側容器から独立して移動可能である。
【0016】
支持部材が外側容器に対して移動可能である場合、支持部材は、外側容器から独立して移動可能である。このため、伝熱部材は、反応器および支持部材と共に、外側容器から独立して移動可能である。
【0017】
支持部材が反応器および外側容器に対して移動可能である場合、伝熱部材は、反応器と共に、または反応器および支持部材と共に、外側容器から独立して移動可能である。
【0018】
本構成によると、伝熱部材の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0019】
（５）上記いずれかの構成において、前記支持部材は、基部と、前記基部と前記摺動部との間に介在する介在部と、を有し、前記介在部は、前記摺動部に向かってＶ字状に先細る構成とする方がよい。本構成によると、介在部が摺動部つまり対向面に向かって先細っていない場合と比較して、対向面に対する摺動部の摺動面積を小さくすることができる。また、対向面に対して、摺動部を線接触させることができる。
【0020】
（６）上記いずれかの構成において、前記支持部材は、前記蓄熱体を複数の前記分割体に仕切り、複数の前記分割体は、前記伝熱部材の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である構成とする方がよい。本構成によると、支持部材により、蓄熱体を確実に分割することができる。伝熱部材に密着しやすい蓄熱体は、支持部材により、複数の分割体に分割されている。複数の分割体は、互いに独立して移動可能である。このため、伝熱部材の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0021】
（７）上記いずれかの構成において、前記支持部材は、前記伝熱部材の熱変形方向に対して、直交する方向に延在する構成とする方がよい。ここで、「熱変形方向」とは、伝熱部材が熱変形する方向をいう。伝熱部材が複数の方向に熱変形する場合は、変形量が最大になる方向（例えば、伝熱部材が管状を呈する場合は管軸方向）をいう。本構成によると、蓄熱体を、伝熱部材の熱変形方向（分割体の移動方向）に対して、直交する方向に分割することができる。
【0022】
（８）上記いずれかの構成において、前記支持部材は、前記伝熱部材の熱変形方向に沿って、複数並置され、隣り合う二つの前記分割体の間には、隣り合う二つの前記支持部材により、隙間が区画される構成とする方がよい。本構成によると、隣り合う二つの分割体の間に、隙間（蓄熱体が配置されていない空間）を確保することができる。このため、伝熱部材の熱変形が拘束されにくい。また、隙間の分だけ、伝熱部材に対する蓄熱体の密着を、抑制することができる。また、隙間を挟んで両側の二つの支持部材が互いに拘束されるのを、抑制することができる。
【0023】
（９）上記いずれかの構成において、前記隣接部材は、前記反応器であり、前記支持部材は、前記伝熱部材に固定される構成とする方がよい。本構成によると、伝熱部材と一体的に支持部材を移動させることができる。すなわち、伝熱部材の熱変形に応じて、支持部材を移動させることができる。
【0024】
（９－１）上記（９）の構成において、前記隙間は、前記伝熱部材が前記熱媒体により加熱される前の時点で、隣り合う二つの前記支持部材により、確保されている構成とする方がよい。蓄熱体が熱媒体により加熱される前（つまり蓄熱前）の時点で、隣り合う二つの支持部材（支持部材は伝熱部材に固定されている）の間には、既に隙間が確保されている。すなわち、伝熱部材の熱変形量（伸張量）が最小の時点で、既に隙間が確保されている。このため、本構成によると、蓄熱、放熱サイクルの全区間に亘って、隣り合う任意の二つの支持部材の間に、継続的に隙間を確保することができる。
【0025】
（１０）上記いずれかの構成において、前記摺動部は、前記対向面に対して平行に延在する構成とする方がよい。本構成によると、摺動部を対向面に面接触させることができる。このため、摺動部が対向面に線接触、点接触する場合と比較して、対向面に対する摺動部の摺動面積が大きくなる。したがって、対向面に対して、摺動部つまり支持部材ががたつきにくい。よって、支持部材が、伝熱部材または反応器を、しっかりと支持することができる。
【0026】
（１１）上記いずれかの構成において、前記支持部材は、基部と、前記基部と前記摺動部との間に介在する介在部と、を有し、前記介在部は、前記摺動部に向かってＣ字状に先細る構成とする方がよい。本構成によると、介在部が摺動部つまり対向面に向かって先細っていない場合と比較して、対向面に対する摺動部の摺動面積を小さくすることができる。また、対向面に対して、摺動部を線接触させることができる。また、本構成によると、介在部が摺動部に向かって角張っている場合と比較して、摺動部が対向面に突き当たりにくい。
【0027】
（１２）上記いずれかの構成において、前記支持部材は、基部と、前記基部と前記摺動部との間に介在する介在部と、を有し、前記介在部は、歯車状を呈する構成とする方がよい。本構成によると、介在部が歯車状を呈していない場合と比較して、対向面に対する摺動部の摺動面積を小さくすることができる。
【0028】
（１３）上記（２）の構成において、前記隣接部材は、前記反応器および前記伝熱部材のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、前記支持部材は、前記収容部に配置され、前記伝熱部材を支持し、前記支持部材と前記対向面との間には、前記支持部材および前記対向面のうち、少なくとも一方に対して転動する転動部材が介装される構成とする方がよい。本構成によると、転動部材により、支持部材を対向面に対して移動させることができる。
【0029】
（１４）上記（２）の構成において、さらに、前記反応器を外側から覆う外側容器を備え、前記隣接部材は、前記反応器および前記外側容器のうち少なくとも一方であり、前記支持部材に対向する対向面を有し、前記支持部材は、前記反応器と前記外側容器との間の空間に配置され、前記反応器を支持し、前記支持部材と前記対向面との間には、前記支持部材および前記対向面のうち、少なくとも一方に対して転動する転動部材が介装される構成とする方がよい。本構成によると、転動部材により、支持部材を対向面に対して移動させることができる。
【0030】
（１５）上記（１３）または（１４）の構成において、前記転動部材は、コロである構成とする方がよい。本構成によると、コロが転動することにより、支持部材を対向面に対して移動させることができる。また、対向面に対して、コロを線接触させることができる。
【0031】
（１６）上記（１３）または（１４）の構成において、前記転動部材は、ボールである構成とする方がよい。本構成によると、ボールが転動することにより、支持部材を対向面に対して移動させることができる。また、対向面に対して、ボールを点接触させることができる。
【0032】
（１７）上記（１）の構成において、前記分割体は、成形体であり、複数の前記分割体は、前記伝熱部材の熱変形方向に沿って並置される構成とする方がよい。本構成によると、分割体の形状保持性を確保することができる。このため、分割体が崩れにくい。
【0033】
（１８）上記いずれかの構成において、前記収容部の容積は、化学反応による膨張後の前記蓄熱体の体積よりも、小さい構成とする方がよい。本構成によると、収容部にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。また、本構成によると、蓄熱体膨張時において、蓄熱体を伝熱部材に押し付けることができる。このため、熱媒体と蓄熱体との間の伝熱性を向上させることができる。
【0034】
（１９）上記いずれかの構成において、複数の前記分割体は、前記伝熱部材の熱変形方向に対して交差する方向に並置され、隣り合う任意の二つの前記分割体の間には、仕切り部材が配置される構成とする方がよい。本構成によると、仕切り部材により蓄熱体を分割することができる。このため、蓄熱体の熱応力（内部応力）を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0035】
本開示によると、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制可能な化学蓄熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本開示の化学蓄熱装置の実施の形態について説明する。以降の図において、前後方向は、内側容器、外側容器の軸方向に対応している。上下方向および左右方向のうち少なくとも一方は、内側容器、外側容器の軸直方向（軸方向に対して直交する方向。横断面方向。径方向）に対応している。
【0038】
＜第一実施形態＞
図１に、本実施形態の化学蓄熱装置の斜視図を示す。図２に、同化学蓄熱装置の分解斜視図を示す。図３に、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。図４に、同化学蓄熱装置の複数の伝熱部材および複数の直接支持部材の合体斜視図を示す。図５に、同化学蓄熱装置の複数の伝熱部材および複数の直接支持部材の分解斜視図を示す。図６に、同化学蓄熱装置の前後方向（軸方向）断面図を示す。図７に、図６の枠ＶＩＩ内の拡大図を示す。図８に、図６のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ方向（軸直方向）断面図を示す。図９に、図７の枠ＩＸ内の拡大図（その１）を示す。図１０に、図７の枠ＩＸ内の拡大図（その２）を示す。なお、図６は、図８のＶＩ－ＶＩ方向断面に対応する。
図１に、本実施形態の化学蓄熱装置の斜視図を示す。図２に、同化学蓄熱装置の分解斜視図を示す。図３に、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。図４に、同化学蓄熱装置の複数の伝熱部材および複数の直接支持部材の合体斜視図を示す。図５に、同化学蓄熱装置の複数の伝熱部材および複数の直接支持部材の分解斜視図を示す。図６に、同化学蓄熱装置の前後方向（軸方向）断面図を示す。図７に、図６の枠ＶＩＩ内の拡大図を示す。図８に、図６のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ方向（軸直方向）断面図を示す。図９に、図７の枠ＩＸ内の拡大図（その１）を示す。図１０に、図７の枠ＩＸ内の拡大図（その２）を示す。なお、図６は、図８のＶＩ－ＶＩ方向断面に対応する。
【0039】
図１においては、外側容器３の内部の内側容器２、伝熱部材取付板８１、間接支持部材８７を点線で示す。図３においては、内側容器２、伝熱部材取付板８１、間接支持部材８７を透過して、内側容器２の内部（収容部２２）の部材（伝熱部材５、管状流路部材６、直接支持部材７）を示す。また、蓄熱体４を省略する。図６、図７においては、蓄熱体４を透過して、奥側（左側）の管状流路部材６を示す。図８においては、蓄熱体４を透過して、奥側（後側）の直接支持部材７を示す。
【0040】
［化学蓄熱装置の構成］
まず、本実施形態の化学蓄熱装置１の構成について説明する。図１～図１０に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置１は、内側容器２と、外側容器３と、蓄熱体４と、複数の伝熱部材５と、複数の管状流路部材６と、複数の直接支持部材７と、反応媒体給排管８０と、伝熱部材取付板８１と、熱媒体給排筒８２と、隔壁８３と、熱媒体供給管８４と、熱媒体排出管８５と、端板８６と、複数の間接支持部材８７と、二つの脚部８８と、を備えている。内側容器２は、本開示の「反応器」の概念に含まれる。直接支持部材７は、本開示の「支持部材」の概念に含まれる。
まず、本実施形態の化学蓄熱装置１の構成について説明する。図１～図１０に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置１は、内側容器２と、外側容器３と、蓄熱体４と、複数の伝熱部材５と、複数の管状流路部材６と、複数の直接支持部材７と、反応媒体給排管８０と、伝熱部材取付板８１と、熱媒体給排筒８２と、隔壁８３と、熱媒体供給管８４と、熱媒体排出管８５と、端板８６と、複数の間接支持部材８７と、二つの脚部８８と、を備えている。内側容器２は、本開示の「反応器」の概念に含まれる。直接支持部材７は、本開示の「支持部材」の概念に含まれる。
【0041】
（内側容器２）
図２、図６、図８に示すように、内側容器２は、金属製であって、前後方向（水平方向）に延在し、前側に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、内側容器２の軸直方向断面の中心軸Ａ１（図６、図８参照）は、前後方向に延在している。
図２、図６、図８に示すように、内側容器２は、金属製であって、前後方向（水平方向）に延在し、前側に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、内側容器２の軸直方向断面の中心軸Ａ１（図６、図８参照）は、前後方向に延在している。
【0042】
内側容器２は、側周壁部２０と、端壁部２１と、収容部２２と、を備えている。側周壁部２０は、前後方向に延在する円筒状を呈している。端壁部２１は、側周壁部２０の後端開口を封止している。
【0043】
図１、図６、図８に示すように、側周壁部２０は、複数の取付孔２００を備えている。取付孔２００は、側周壁部２０を上下方向に貫通している。複数の取付孔２００は、側周壁部２０の前後方向全長に亘って、配置されている。複数の取付孔２００は、側周壁部２０の上側部分と下側部分とに配置されている。上側部分、下側部分の各々において、複数の取付孔２００は、二列（延在方向は前後方向、並置方向は左右方向）に並んでいる。収容部２２は、内側容器２の内部に区画されている。
【0044】
図８に示すように、側周壁部２０の内周面２０３は、後述する直接支持部材７に、径方向（中心軸Ａ１を中心とする円の径方向）に対向している。内周面２０３は、本開示の「対向面」の概念に含まれる。
【0045】
（外側容器３、脚部８８）
図１、図２、図６、図８に示すように、外側容器３は、金属製であって、前後方向に延在し、前側に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、外側容器３の軸直方向断面の中心軸Ａ２（図６、図８参照）は、前後方向に延在している。外側容器３は、内側容器２を、外側（中心軸Ａ１、Ａ２を中心とする径方向外側および後側（軸方向一方））から覆っている。中心軸Ａ１と中心軸Ａ２とは一致している。すなわち、外側容器３は、内側容器２と同軸上に配置されている。
図１、図２、図６、図８に示すように、外側容器３は、金属製であって、前後方向に延在し、前側に開口する有底円筒状を呈している。すなわち、外側容器３の軸直方向断面の中心軸Ａ２（図６、図８参照）は、前後方向に延在している。外側容器３は、内側容器２を、外側（中心軸Ａ１、Ａ２を中心とする径方向外側および後側（軸方向一方））から覆っている。中心軸Ａ１と中心軸Ａ２とは一致している。すなわち、外側容器３は、内側容器２と同軸上に配置されている。
【0046】
外側容器３は、側周壁部３０と、端壁部３１と、を備えている。側周壁部３０は、前後方向に延在する円筒状を呈している。端壁部３１は、側周壁部３０の後端開口を封止している。端壁部３１は、取付孔３１０を備えている。取付孔３１０は、端壁部３１の径方向中心を、中心軸Ａ２に沿って、前後方向に貫通している。
【0047】
外側容器３は、外側流路３２を区画している。具体的には、外側流路３２は、外側容器３の内面と、内側容器２の外面と、の間に区画されている。図８に示すように、軸直方向断面において、外側流路３２は、中心軸Ａ２を中心とする円環状を呈している。
【0048】
図１に示すように、二つの脚部８８は、外側容器３の前後両端部に配置されている。二つの脚部８８は、工場の床面（図略）に立設されている。二つの脚部８８は、外側容器３つまり化学蓄熱装置１を下側から支持している。
【0049】
（蓄熱体４）
図６、図８～図１０に示すように、蓄熱体４は、収容部２２に充填されている。蓄熱体４は、化学蓄熱材（脱水後は酸化カルシウム、水和後は水酸化カルシウム）製の蓄熱材粒子と、粘土鉱物と、を含んでいる。蓄熱体４は、反応媒体である水蒸気（Ｈ２Ｏ）との化学反応（水和反応、脱水反応）により膨張、収縮可能である。
図６、図８～図１０に示すように、蓄熱体４は、収容部２２に充填されている。蓄熱体４は、化学蓄熱材（脱水後は酸化カルシウム、水和後は水酸化カルシウム）製の蓄熱材粒子と、粘土鉱物と、を含んでいる。蓄熱体４は、反応媒体である水蒸気（Ｈ２Ｏ）との化学反応（水和反応、脱水反応）により膨張、収縮可能である。
【0050】
収容部２２（詳しくは、収容部２２のうち、部材（複数の伝熱部材５、複数の管状流路部材６、複数の直接支持部材７）が配置されていない部分）の容積は、水和反応による膨張後の蓄熱体４の体積よりも、小さい。このため、膨張後（水和反応後）において、蓄熱体４は、内側容器２の内面（収容部２２を区画する面）、後述する複数の伝熱部材５の外面、複数の管状流路部材６の外面、複数の直接支持部材７の外面に圧接している。言い換えると、蓄熱体４は、これらの部材により拘束されている。
【0051】
（伝熱部材５）
図３～図８に示すように、伝熱部材５は、金属製であって、Ｕ字の円管状を呈している。すなわち、伝熱部材５は、二つの直管部５０と、曲管部５１と、を備えている。直管部５０は、前後方向に延在している。すなわち、直管部５０の軸直方向断面の中心軸Ａ３（図８参照）は、前後方向に延在している。二つの直管部５０は、上下方向に対向して配置されている。曲管部５１は、後側に膨らむＣ字状に延在している。曲管部５１は、二つの直管部５０の後端部同士を連結している。
図３～図８に示すように、伝熱部材５は、金属製であって、Ｕ字の円管状を呈している。すなわち、伝熱部材５は、二つの直管部５０と、曲管部５１と、を備えている。直管部５０は、前後方向に延在している。すなわち、直管部５０の軸直方向断面の中心軸Ａ３（図８参照）は、前後方向に延在している。二つの直管部５０は、上下方向に対向して配置されている。曲管部５１は、後側に膨らむＣ字状に延在している。曲管部５１は、二つの直管部５０の後端部同士を連結している。
【0052】
図８に示すように、直管部５０の外周面５０３は、後述する直接支持部材７に、径方向（直管部５０の中心軸Ａ３を中心とする円の径方向）に対向している。外周面５０３は、本開示の「対向面」の概念に含まれる。
【0053】
伝熱部材５は、前端部（後述する伝熱部材取付板８１の取付孔８１０に固定されている部分）を除いて、収容部２２に収容されている。伝熱部材５は、蓄熱体４の内部に配置されている。伝熱部材５の外面は、蓄熱体４に当接している。伝熱部材５は、内部に熱媒体流路５２を区画している。熱媒体は、熱媒体流路５２を流動可能である。熱媒体は、伝熱部材５の壁部を介して、蓄熱体４と熱の授受を行う。図８に示すように、収容部２２において、複数の伝熱部材５の直管部５０は、上下左右方向に並んでいる。図６に示すように、複数の伝熱部材５は、収容部２２（つまり蓄熱体４）の全体に配置されている。
【0054】
（管状流路部材６）
図３、図６～図８に示すように、管状流路部材６は、金属製であって、上下方向に延在する直管状を呈している。任意の単一の管状流路部材６は、内側容器２の一対の取付孔２００（図８に示すように、上下方向に対向する一対の取付孔２００）に取り付けられている。
図３、図６～図８に示すように、管状流路部材６は、金属製であって、上下方向に延在する直管状を呈している。任意の単一の管状流路部材６は、内側容器２の一対の取付孔２００（図８に示すように、上下方向に対向する一対の取付孔２００）に取り付けられている。
【0055】
管状流路部材６は、上下両端部（取付孔２００に固定されている部分）を除いて、収容部２２に収容されている。管状流路部材６は、蓄熱体４の内部に配置されている。管状流路部材６の外面は、蓄熱体４に当接している。
【0056】
図８に示すように、管状流路部材６は、内部に内側流路（反応媒体流路）６０を区画している。内側流路６０は、二つの外側開口部６００と、複数の内側開口部６０１と、を備えている。二つの外側開口部６００は、管状流路部材６の上下両端部に開設されている。すなわち、二つの外側開口部６００は、内側容器２の取付孔２００を介して、内側容器２の外部（外側流路３２）に開口している。複数の内側開口部６０１は、管状流路部材６の壁部（収容部２２に配置されている部分）に開設されている。内側開口部６０１は、蓄熱体４に向かって開口している。内側開口部６０１の大きさ（口径）は、水蒸気が通過可能であって、蓄熱体４の蓄熱材粒子が通過しにくい大きさに設定されている。
【0057】
図７、図８に示すように、複数の内側開口部６０１は、管状流路部材６の壁部の全体に亘って分布している。また、複数の内側開口部６０１は、蓄熱体４の上下方向全長に亘って分布している。水蒸気は、内側流路６０を通過可能である。水蒸気は、内側開口部６０１を介して、蓄熱体４に供給される。並びに、水蒸気は、内側開口部６０１を介して、蓄熱体４から排出される。図３、図６、図８に示すように、収容部２２において、複数の管状流路部材６は、前後左右方向に並んでいる。複数の管状流路部材６は、収容部２２（つまり蓄熱体４）の全体に配置されている。
【0058】
（直接支持部材７）
図３～図８に示すように、直接支持部材７は、金属製であって、上下左右方向（垂直方向）に延在する円板状を呈している。直接支持部材７は、収容部２２に配置されている。直接支持部材７は、基部７１と、第一介在部７２と、第一摺動部７２０と、第二摺動部７５０と、を備えている。第一介在部７２は、本開示の「介在部」の概念に含まれる。第一摺動部７２０、第二摺動部７５０は、本開示の「摺動部」の概念に含まれる。
図３～図８に示すように、直接支持部材７は、金属製であって、上下左右方向（垂直方向）に延在する円板状を呈している。直接支持部材７は、収容部２２に配置されている。直接支持部材７は、基部７１と、第一介在部７２と、第一摺動部７２０と、第二摺動部７５０と、を備えている。第一介在部７２は、本開示の「介在部」の概念に含まれる。第一摺動部７２０、第二摺動部７５０は、本開示の「摺動部」の概念に含まれる。
【0059】
図８に示すように、基部７１は、円板状を呈している。第一介在部７２は、円環状を呈している。第一介在部７２は、基部７１の径方向外側に連なっている。図９、図１０に示すように、前後方向断面において、第一介在部７２は、径方向（図８に示す中心軸Ａ１を中心とする円の径方向）外側に向かって先細るＶ字状（エッジ状、テーパ状）を呈している。第一介在部７２の外面（前後両面）は平面状を呈している。第一摺動部７２０は、第一介在部７２の径方向外端（Ｖ字の頂部）に配置されている。第一摺動部７２０は、内側容器２の側周壁部２０の内周面２０３に、当接（線接触）している。第一摺動部７２０は、内周面２０３に固定されていない。第一摺動部７２０は、内周面２０３に対して摺動可能である。
【0060】
図６に示すように、複数の直接支持部材７は、所定間隔ずつ離間して、前後方向に並置されている。複数の直接支持部材７は、収容部２２を、前後方向に並ぶ複数の部屋２２０に仕切っている。図７、図８に示すように、直接支持部材７は、複数の支持孔７０を備えている。支持孔７０は、直接支持部材７を前後方向に貫通している。支持孔７０には、伝熱部材５の直管部５０が挿通されている。支持孔７０つまり直接支持部材７は、伝熱部材５を、直接支持している。また、直接支持部材７は、伝熱部材５を、軸直方向に、直接位置決めしている。
【0061】
図７～図１０に示すように、第二摺動部７５０は、支持孔７０の内周面に配置されている。第二摺動部７５０は、直管部５０の外周面５０３に、当接（面接触）している。第二摺動部７５０は、外周面５０３に固定されていない。第二摺動部７５０は、外周面５０３に対して摺動可能である。
【0062】
（反応媒体給排管８０）
図１、図２、図６に示すように、反応媒体給排管８０は、金属製であって、短軸円管状を呈している。反応媒体給排管８０は、外側容器３の端壁部３１の取付孔３１０に取り付けられている。反応媒体給排管８０を介して、外側容器３の外部から外側流路３２に、水蒸気が供給される。また、反応媒体給排管８０を介して、外側流路３２から外側容器３の外部に、水蒸気が排出される。
図１、図２、図６に示すように、反応媒体給排管８０は、金属製であって、短軸円管状を呈している。反応媒体給排管８０は、外側容器３の端壁部３１の取付孔３１０に取り付けられている。反応媒体給排管８０を介して、外側容器３の外部から外側流路３２に、水蒸気が供給される。また、反応媒体給排管８０を介して、外側流路３２から外側容器３の外部に、水蒸気が排出される。
【0063】
（伝熱部材取付板８１）
図１～図３、図６に示すように、伝熱部材取付板８１は、金属製であって、上下左右方向に延在する円板状を呈している。伝熱部材取付板８１は、内側容器２および外側容器３の前側に配置されている。伝熱部材取付板８１は、内側容器２および外側容器３の前側開口を封止している。伝熱部材取付板８１は、複数の取付孔８１０を備えている。取付孔８１０は、伝熱部材取付板８１を前後方向に貫通している。取付孔８１０には、伝熱部材５の直管部５０の前端部が取り付けられている。取付孔８１０つまり伝熱部材取付板８１は、伝熱部材５を支持している。また、伝熱部材取付板８１は、伝熱部材５を固定している。
図１～図３、図６に示すように、伝熱部材取付板８１は、金属製であって、上下左右方向に延在する円板状を呈している。伝熱部材取付板８１は、内側容器２および外側容器３の前側に配置されている。伝熱部材取付板８１は、内側容器２および外側容器３の前側開口を封止している。伝熱部材取付板８１は、複数の取付孔８１０を備えている。取付孔８１０は、伝熱部材取付板８１を前後方向に貫通している。取付孔８１０には、伝熱部材５の直管部５０の前端部が取り付けられている。取付孔８１０つまり伝熱部材取付板８１は、伝熱部材５を支持している。また、伝熱部材取付板８１は、伝熱部材５を固定している。
【0064】
（熱媒体給排筒８２）
図１、図２、図６に示すように、熱媒体給排筒８２は、金属製であって、前後方向に延在する短軸円筒状を呈している。熱媒体給排筒８２は、伝熱部材取付板８１の前側に配置されている。伝熱部材取付板８１は、熱媒体給排筒８２の後端開口を封止している。熱媒体給排筒８２は、中心軸Ａ１、Ａ２上に配置されている。熱媒体給排筒８２は、二つの取付孔８２０を備えている。取付孔８２０は、熱媒体給排筒８２の壁部を上下方向に貫通している。二つの取付孔８２０は、上下方向に対向して配置されている。
図１、図２、図６に示すように、熱媒体給排筒８２は、金属製であって、前後方向に延在する短軸円筒状を呈している。熱媒体給排筒８２は、伝熱部材取付板８１の前側に配置されている。伝熱部材取付板８１は、熱媒体給排筒８２の後端開口を封止している。熱媒体給排筒８２は、中心軸Ａ１、Ａ２上に配置されている。熱媒体給排筒８２は、二つの取付孔８２０を備えている。取付孔８２０は、熱媒体給排筒８２の壁部を上下方向に貫通している。二つの取付孔８２０は、上下方向に対向して配置されている。
【0065】
（隔壁８３）
図２、図６に示すように、隔壁８３は、金属製であって、前後左右方向（水平方向）に延在する平板状を呈している。隔壁８３は、熱媒体給排筒８２の内部空間を、下側の供給室８３０と、上側の排出室８３１と、に仕切っている。供給室８３０は下側の取付孔８２０に、排出室８３１は上側の取付孔８２０に、各々連通している。伝熱部材５の熱媒体流路５２の一端（上流端）は、供給室８３０に連通している。伝熱部材５の熱媒体流路５２の他端（下流端）は、排出室８３１に連通している。
図２、図６に示すように、隔壁８３は、金属製であって、前後左右方向（水平方向）に延在する平板状を呈している。隔壁８３は、熱媒体給排筒８２の内部空間を、下側の供給室８３０と、上側の排出室８３１と、に仕切っている。供給室８３０は下側の取付孔８２０に、排出室８３１は上側の取付孔８２０に、各々連通している。伝熱部材５の熱媒体流路５２の一端（上流端）は、供給室８３０に連通している。伝熱部材５の熱媒体流路５２の他端（下流端）は、排出室８３１に連通している。
【0066】
（熱媒体供給管８４、熱媒体排出管８５、端板８６）
図１、図２、図６に示すように、熱媒体供給管８４は、金属製であって、短軸円管状を呈している。熱媒体供給管８４は、熱媒体給排筒８２の下側の取付孔８２０に取り付けられている。熱媒体供給管８４を介して、熱媒体給排筒８２の外部から供給室８３０に、熱媒体が供給される。熱媒体排出管８５は、金属製であって、短軸円管状を呈している。熱媒体排出管８５は、熱媒体給排筒８２の上側の取付孔８２０に取り付けられている。熱媒体排出管８５を介して、排出室８３１から熱媒体給排筒８２の外部に、熱媒体が排出される。端板８６は、金属製であって、上下左右方向に延在する円板状を呈している。端板８６は、熱媒体給排筒８２の前端開口を封止している。
図１、図２、図６に示すように、熱媒体供給管８４は、金属製であって、短軸円管状を呈している。熱媒体供給管８４は、熱媒体給排筒８２の下側の取付孔８２０に取り付けられている。熱媒体供給管８４を介して、熱媒体給排筒８２の外部から供給室８３０に、熱媒体が供給される。熱媒体排出管８５は、金属製であって、短軸円管状を呈している。熱媒体排出管８５は、熱媒体給排筒８２の上側の取付孔８２０に取り付けられている。熱媒体排出管８５を介して、排出室８３１から熱媒体給排筒８２の外部に、熱媒体が排出される。端板８６は、金属製であって、上下左右方向に延在する円板状を呈している。端板８６は、熱媒体給排筒８２の前端開口を封止している。
【0067】
（間接支持部材８７）
図１～図３、図６～図８に示すように、間接支持部材８７は、金属製であって上下左右方向に延在する歯車円環状を呈している。間接支持部材８７は、内側容器２の側周壁部２０の外面と、外側容器３の側周壁部３０の内面と、の間に配置されている。間接支持部材８７により、内側容器２の側周壁部２０の外面と、外側容器３の側周壁部３０の内面と、の間に外側流路３２が確保されている。複数の間接支持部材８７は、前後方向に、所定間隔ずつ離間して配置されている。間接支持部材８７の外周面には、径方向内側に凹む複数の開口部８７０が配置されている。複数の開口部８７０は、周方向に所定間隔ずつ離間して配置されている。開口部８７０を介して、外側流路３２の各部は、前後方向に互いに連通している。間接支持部材８７は、内側容器２を支持している。また、間接支持部材８７は、内側容器２を位置決めしている。また、間接支持部材８７は、内側容器２、直接支持部材７を介して、伝熱部材５を間接的に支持している。また、間接支持部材８７は、内側容器２、直接支持部材７を介して、伝熱部材５を間接的に位置決めしている。
図１～図３、図６～図８に示すように、間接支持部材８７は、金属製であって上下左右方向に延在する歯車円環状を呈している。間接支持部材８７は、内側容器２の側周壁部２０の外面と、外側容器３の側周壁部３０の内面と、の間に配置されている。間接支持部材８７により、内側容器２の側周壁部２０の外面と、外側容器３の側周壁部３０の内面と、の間に外側流路３２が確保されている。複数の間接支持部材８７は、前後方向に、所定間隔ずつ離間して配置されている。間接支持部材８７の外周面には、径方向内側に凹む複数の開口部８７０が配置されている。複数の開口部８７０は、周方向に所定間隔ずつ離間して配置されている。開口部８７０を介して、外側流路３２の各部は、前後方向に互いに連通している。間接支持部材８７は、内側容器２を支持している。また、間接支持部材８７は、内側容器２を位置決めしている。また、間接支持部材８７は、内側容器２、直接支持部材７を介して、伝熱部材５を間接的に支持している。また、間接支持部材８７は、内側容器２、直接支持部材７を介して、伝熱部材５を間接的に位置決めしている。
【0068】
（反応媒体ルートＲ１、熱媒体ルートＲ２）
図６～図８に示すように、化学蓄熱装置１の外部と、収容部２２の蓄熱体４と、の間には、外部から蓄熱体４に向かって、反応媒体給排管８０、外側流路３２、内側流路６０を経由する、水蒸気用の反応媒体ルートＲ１が設定されている。
図６～図８に示すように、化学蓄熱装置１の外部と、収容部２２の蓄熱体４と、の間には、外部から蓄熱体４に向かって、反応媒体給排管８０、外側流路３２、内側流路６０を経由する、水蒸気用の反応媒体ルートＲ１が設定されている。
【0069】
図６に示すように、熱媒体供給管８４と熱媒体排出管８５との間には、熱媒体供給管８４から熱媒体排出管８５に向かって、供給室８３０、熱媒体流路５２、排出室８３１を経由する、熱媒体用の熱媒体ルートＲ２が設定されている。
【0070】
［化学蓄熱装置の動き］
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の動きについて説明する。前述したように、蓄熱体４は、化学蓄熱材（脱水後は酸化カルシウム、水和後は水酸化カルシウム）製の蓄熱材粒子と、粘土鉱物と、を含んでいる。ここで、複数の蓄熱材粒子を含む造粒体を「蓄熱材顆粒」とする。また、収容部２２に収容された蓄熱体４が未だ一度も水和反応していない状態を「初期状態」とする。
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の動きについて説明する。前述したように、蓄熱体４は、化学蓄熱材（脱水後は酸化カルシウム、水和後は水酸化カルシウム）製の蓄熱材粒子と、粘土鉱物と、を含んでいる。ここで、複数の蓄熱材粒子を含む造粒体を「蓄熱材顆粒」とする。また、収容部２２に収容された蓄熱体４が未だ一度も水和反応していない状態を「初期状態」とする。
【0071】
（放熱時、水和反応時）
初期状態における蓄熱体４の蓄熱材顆粒中の蓄熱材粒子は、酸化カルシウム製である。放熱時においては、図６～図８に示す反応媒体ルートＲ１を介して、蓄熱体４の全体に水蒸気を供給する。水蒸気の供給により、蓄熱体４の化学蓄熱材（酸化カルシウム）は、以下の水和反応により、放熱し、水酸化カルシウムとなる。なお、Ｑ１は放熱量である。
ＣａＯ＋Ｈ２Ｏ→Ｃａ（ＯＨ）２＋Ｑ１
水和反応により、蓄熱体４は膨張し、内側容器２の内面（収容部２２を区画する面）、伝熱部材５の外面、管状流路部材６の外面、直接支持部材７の外面に圧接する。すなわち、蓄熱体４は、これらの部材により拘束される。
初期状態における蓄熱体４の蓄熱材顆粒中の蓄熱材粒子は、酸化カルシウム製である。放熱時においては、図６～図８に示す反応媒体ルートＲ１を介して、蓄熱体４の全体に水蒸気を供給する。水蒸気の供給により、蓄熱体４の化学蓄熱材（酸化カルシウム）は、以下の水和反応により、放熱し、水酸化カルシウムとなる。なお、Ｑ１は放熱量である。
ＣａＯ＋Ｈ２Ｏ→Ｃａ（ＯＨ）２＋Ｑ１
水和反応により、蓄熱体４は膨張し、内側容器２の内面（収容部２２を区画する面）、伝熱部材５の外面、管状流路部材６の外面、直接支持部材７の外面に圧接する。すなわち、蓄熱体４は、これらの部材により拘束される。
【0072】
水和反応により発生した熱Ｑ１は、蓄熱体４、直接支持部材７、伝熱部材５の壁部を介して、熱媒体流路５２の熱媒体に移動する。熱Ｑ１により加熱された熱媒体は、熱媒体ルートＲ２を介して、外部に流出する。
【0073】
（蓄熱時、脱水反応時）
蓄熱時においては、図６～図８に示す熱媒体ルートＲ２に高温の熱媒体を流動させる。熱媒体の熱は、伝熱部材５の壁部、直接支持部材７を介して、蓄熱体４に移動する。当該熱により加熱された蓄熱体４の化学蓄熱材（水酸化カルシウム）は、以下の脱水反応により、蓄熱し、酸化カルシウムとなる。なお、Ｑ２は蓄熱量である。
Ｃａ（ＯＨ）２＋Ｑ２→ＣａＯ＋Ｈ２Ｏ
脱水反応により発生した水蒸気（Ｈ２Ｏ）は、反応媒体ルートＲ１（図６、図７に示す矢印方向と反対方向）を介して、化学蓄熱装置１の外部に排出される。
蓄熱時においては、図６～図８に示す熱媒体ルートＲ２に高温の熱媒体を流動させる。熱媒体の熱は、伝熱部材５の壁部、直接支持部材７を介して、蓄熱体４に移動する。当該熱により加熱された蓄熱体４の化学蓄熱材（水酸化カルシウム）は、以下の脱水反応により、蓄熱し、酸化カルシウムとなる。なお、Ｑ２は蓄熱量である。
Ｃａ（ＯＨ）２＋Ｑ２→ＣａＯ＋Ｈ２Ｏ
脱水反応により発生した水蒸気（Ｈ２Ｏ）は、反応媒体ルートＲ１（図６、図７に示す矢印方向と反対方向）を介して、化学蓄熱装置１の外部に排出される。
【0074】
［直接支持部材の動き］
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の直接支持部材７の動きを説明する。なお、代表例として、軸方向の動き、傾動方向の動きを例示するが、勿論、他の方向（例えば、図９の矢印Ｙ１の逆方向、図１０の矢印Ｙ２の逆方向、軸方向と傾動方向とを組み合わせた方向、回動方向など）に動くことも可能である。
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の直接支持部材７の動きを説明する。なお、代表例として、軸方向の動き、傾動方向の動きを例示するが、勿論、他の方向（例えば、図９の矢印Ｙ１の逆方向、図１０の矢印Ｙ２の逆方向、軸方向と傾動方向とを組み合わせた方向、回動方向など）に動くことも可能である。
【0075】
（軸方向の動き）
まず、直接支持部材７の軸方向の動きについて説明する。上述の放熱時、蓄熱時の熱により、伝熱部材５は、図３に示す伝熱部材取付板８１を基点に、後方に伸張（熱変形）しやすい。ここで、図７～図１０に示すように、収容部２２には、蓄熱体４が充填されている。蓄熱体４は、伝熱部材５に密着している。このため、伝熱部材５の伸張は蓄熱体４により規制されてしまう。この場合、蓄熱体４が移動可能であれば、蓄熱体４ごと、伝熱部材５は伸張することができる。しかしながら、仮に、直接支持部材７が内周面２０３に固定されていると、蓄熱体４の移動は直接支持部材７により拘束されてしまう。このため、蓄熱体４つまり伝熱部材５は伸張することができない。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することは困難である。
まず、直接支持部材７の軸方向の動きについて説明する。上述の放熱時、蓄熱時の熱により、伝熱部材５は、図３に示す伝熱部材取付板８１を基点に、後方に伸張（熱変形）しやすい。ここで、図７～図１０に示すように、収容部２２には、蓄熱体４が充填されている。蓄熱体４は、伝熱部材５に密着している。このため、伝熱部材５の伸張は蓄熱体４により規制されてしまう。この場合、蓄熱体４が移動可能であれば、蓄熱体４ごと、伝熱部材５は伸張することができる。しかしながら、仮に、直接支持部材７が内周面２０３に固定されていると、蓄熱体４の移動は直接支持部材７により拘束されてしまう。このため、蓄熱体４つまり伝熱部材５は伸張することができない。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することは困難である。
【0076】
この点、図９に示すように、直接支持部材７の第一摺動部７２０は、内周面２０３に固定されていない。直接支持部材７は、内周面２０３に対して摺動可能である。具体的には、直接支持部材７は、図９に一点鎖線で示すように、矢印Ｙ１の方向に摺動することができる。このため、蓄熱体４が伝熱部材５に密着しても、蓄熱体４ごと、伝熱部材５は、直接支持部材７を後方（軸方向）に移動させながら、後方に伸張することができる。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。また、第一摺動部７２０は、内周面２０３に線接触している。このため、第一摺動部７２０が内周面２０３に面接触している場合と比較して、摺動抵抗を小さくすることができる。
【0077】
また、直接支持部材７の第二摺動部７５０は、外周面５０３に固定されていない。直接支持部材７は、外周面５０３に対して摺動可能である。この点においても、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0078】
（傾動方向の動き）
次に、直接支持部材７の傾動方向の動きについて説明する。なお、図１０においては、図７に示す複数の伝熱部材５のうち、上側の伝熱部材５の方が、下側の伝熱部材５よりも、伸張量が大きい場合を示す。
次に、直接支持部材７の傾動方向の動きについて説明する。なお、図１０においては、図７に示す複数の伝熱部材５のうち、上側の伝熱部材５の方が、下側の伝熱部材５よりも、伸張量が大きい場合を示す。
【0079】
伝熱部材５が後方に伸張（熱変形）する際、複数の伝熱部材５間において、伸張量（熱変形量）がばらつく場合がある。この場合、当該伸張量の差に起因して、直接支持部材７には、傾動方向の荷重が加わる。ここで、仮に、直接支持部材７が内周面２０３に固定されていると、直接支持部材７は傾動することができない。したがって、伝熱部材５は伸張することができない。よって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することは困難である。
【0080】
この点、図１０に示すように、直接支持部材７は、内周面２０３に固定されていない。直接支持部材７は、内周面２０３に対して、第一摺動部７２０を基点に傾動可能である。具体的には、直接支持部材７は、図１０に一点鎖線で示すように、矢印Ｙ２の方向に傾動することができる。このため、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。また、矢印Ｙ２の方向に傾動した後の状態であっても、第一摺動部７２０は、内周面２０３に線接触している。このため、摺動抵抗を小さくすることができる。
【0081】
［作用効果］
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の作用効果について説明する。図５、図７～図１０に示すように、直接支持部材７は、第一摺動部７２０と、第二摺動部７５０と、を備えている。第一摺動部７２０は、内側容器２の側周壁部２０の内周面２０３に摺接している。第二摺動部７５０は、伝熱部材５の直管部５０の外周面５０３に摺接している。このため、直接支持部材７は、内側容器２および伝熱部材５に対して、移動可能である。
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の作用効果について説明する。図５、図７～図１０に示すように、直接支持部材７は、第一摺動部７２０と、第二摺動部７５０と、を備えている。第一摺動部７２０は、内側容器２の側周壁部２０の内周面２０３に摺接している。第二摺動部７５０は、伝熱部材５の直管部５０の外周面５０３に摺接している。このため、直接支持部材７は、内側容器２および伝熱部材５に対して、移動可能である。
【0082】
具体的には、第一摺動部７２０により、直接支持部材７は、内側容器２に対して、前後方向にスライド可能である。また、直接支持部材７は、内側容器２に対して、傾動可能である。また、直接支持部材７は、内側容器２に対して、中心軸Ａ１を中心に、回動可能である。同様に、第二摺動部７５０により、直接支持部材７は、伝熱部材５に対して、前後方向にスライド可能である。逆に言えば、伝熱部材５は、直接支持部材７に対して、前後方向にスライド可能である。また、伝熱部材５は、直接支持部材７に対して、直管部５０の中心軸Ａ３（図８参照）を中心に、回動可能である。
【0083】
このように、直接支持部材７は、内側容器２および伝熱部材５に対して、移動可能である。このため、伝熱部材５の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0084】
図９、図１０に示すように、第一介在部７２は、第一摺動部７２０に向かってＶ字状に先細っている。第一摺動部７２０は、内周面２０３に線接触している。このため、第一介在部７２が第一摺動部７２０に向かって先細っていない場合と比較して、つまり第一摺動部７２０が内周面２０３に面接触する場合と比較して、内周面２０３に対する第一摺動部７２０の摺動面積つまり摺動抵抗を小さくすることができる。したがって、内周面２０３に対して、直接支持部材７を、簡単に移動させることができる。また、図１０に示すように、傾動後の状態であっても、第一摺動部７２０を内周面２０３に線接触させることができる。このため、直接支持部材７の姿勢（傾動状態）によらず、摺動抵抗を小さくすることができる。
【0085】
図６～図８に示すように、管状流路部材６は、蓄熱体４の内部に配置されている。管状流路部材６の内部には、内側流路６０が区画されている。内側流路６０の内側開口部６０１は、蓄熱体４に向かって開口している。このため、内側流路６０を介して、蓄熱体４の内部に水蒸気を供給することができる。したがって、蓄熱体４の全体に水蒸気が拡散しやすい。また、内側流路６０を介して、蓄熱体４の内部から水蒸気を回収することができる。したがって、蓄熱体４の全体から水蒸気を回収しやすい。このように、本実施形態の化学蓄熱装置１によると、蓄放熱時における反応効率を高くすることができる。
【0086】
図３～図７に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置１は、蓄熱体４の内部に、直接支持部材７を備えている。直接支持部材７は、伝熱部材５を直接支持している。このため、伝熱部材５が変形しにくい。具体的には、伝熱部材５が、前端部（伝熱部材取付板８１に固定されている部分）を支点に、片持ち梁状に下側に湾曲しにくい。したがって、蓄熱体４に対する伝熱部材５の位置が変化しにくく、蓄熱体４と伝熱部材５との間に隙間が発生しにくい。よって、放熱時において、蓄熱体４の全体から伝熱部材５に、熱を回収しやすい。また、蓄熱時において、伝熱部材５から蓄熱体４の全体に、熱を供給しやすい。このように、本実施形態の化学蓄熱装置１によると、蓄放熱時における伝熱効率を高くすることができる。
【0087】
図１～図３、図６～図８に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置１は、内側容器２と外側容器３との間に、間接支持部材８７を備えている。間接支持部材８７は、内側容器２を支持している。このため、内側容器２が変形しにくい。具体的には、内側容器２が、前端部（伝熱部材取付板８１に固定されている部分）を支点に、片持ち梁状に下側に湾曲しにくい。したがって、図８に示す環状の外側流路３２の流路面積がばらつく（上側部分が広くなり、下側部分が狭くなる）のを、抑制することができる。
【0088】
また、内側容器２を片持ち梁状に支持する場合、内側容器２の湾曲を抑制するために、内側容器２自体の構造を重厚化する必要がある。このため、熱ロスが増加する。これに対して、間接支持部材８７を配置すると、内側容器２自体の構造を重厚化する必要がない。このため、熱ロスを削減することができる。
【0089】
図６、図７に示すように、間接支持部材８７は、内側容器２、直接支持部材７を介して、伝熱部材５を間接的に支持している。このため、蓄熱体４に対する伝熱部材５の位置が変化しにくい。よって、放熱時において、蓄熱体４の全体から伝熱部材５に、熱を回収しやすい。また、蓄熱時において、伝熱部材５から蓄熱体４の全体に、熱を供給しやすい。よって、蓄放熱時における伝熱効率を高くすることができる。また、間接支持部材８７と直接支持部材７とは、側周壁部２０を介して、径方向に並んでいる。このため、伝熱部材５の位置決め精度が高い。
【0090】
図３、図６～図８に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置１は管状流路部材６を備えている。管状流路部材６は、直管状を呈している。このため、内側流路６０の流路抵抗が小さい。当該内側流路６０を介して、水蒸気を蓄熱体４の内部に供給することができる。また、蓄熱体４の内部から水蒸気を回収することができる。管状流路部材６は上下方向に延在している。このため、管状流路部材６と伝熱部材５の直管部５０とを、互いに直交するように配置することができる。
【0091】
図６～図８に示すように、内側流路６０は、複数の内側開口部６０１を備えている。すなわち、内側流路６０は、蓄熱体４に対して複数の箇所で開口している。このため、水蒸気を蓄熱体４の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体４の全体から水蒸気を回収しやすい。
【0092】
また、複数の内側開口部６０１は、管状流路部材６の壁部（収容部２２に配置されている部分）の全体に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。また、複数の内側開口部６０１は、蓄熱体４の上下方向全長に亘って、所定間隔ずつ離間して、分布している。このため、水蒸気を蓄熱体４の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体４の全体から水蒸気を回収しやすい。
【0093】
図１、図２、図６～図８に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置１は外側容器３を備えている。このため、内側容器２の外面を利用して、外側流路３２を区画することができる。すなわち、内側容器２の壁部（側周壁部２０、端壁部２１）を隔てて、内側に収容部２２を、外側に外側流路３２を区画することができる。このため、省スペース性に優れている。
【0094】
【0095】
図６～図８に示す収容部２２の容積は、水和反応による膨張後の蓄熱体４の体積よりも、小さい。このため、収容部２２にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。また、蓄熱体４の膨張時において、蓄熱体４を伝熱部材５に押し付けることができる。このため、熱媒体と蓄熱体４との間の伝熱性を高くすることができる。また、蓄熱体４の膨張時において、蓄熱体４を内側流路６０の内側開口部６０１に押し付けることができる。このため、反応効率を高くすることができる。
【0096】
図３に示すように、内側容器２の内部（収容部２２）には、複数の伝熱部材５、複数の管状流路部材６、複数の直接支持部材７が、入り組んで配置されている。このため、収容部２２の形状は複雑である。この点、初期状態における蓄熱体４は、蓄熱材顆粒の集合体（粉状体）である。このため、初期状態から初回の放熱時（水和反応時）において蓄熱体４が膨張する際、蓄熱材顆粒は、適度に解砕しながら（例えば、蓄熱材顆粒は、塊状体（複数の蓄熱材粒子の結合体）や蓄熱材粒子などに、崩壊しながら）、収容部２２の形状に沿って、収容部２２の隅々にまで行き渡ることができる。したがって、収容部２２の形状が複雑であるにもかかわらず、収容部２２にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。
【0097】
また、蓄熱体４が適度に解砕しながら膨張するため、蓄熱体４が成形体（蓄熱材粒子や蓄熱材顆粒のプレス成形体を焼成したもの。本開示の「蓄熱体」の概念には、当該成形体も含まれる。）である場合と比較して、膨張圧を小さくすることができる。したがって、内側容器２や収容部２２に配置されている各部材（伝熱部材５、管状流路部材６、直接支持部材７）に過度な耐圧構造（例えば、壁部の壁厚増加、補強、材料変更など）を付与する必要がない。
【0098】
また、直接支持部材７は、内側容器２に対して移動可能である。このため、直接支持部材７を挟んで前後方向に隣り合う部屋２２０間において、蓄熱体４の膨張圧に差がある場合であっても、直接支持部材７が移動することにより、膨張圧の差に起因する直接支持部材７の熱応力を逃がすことができる。また、隣り合う部屋２２０間の膨張圧の差を緩和することができる。
【0099】
＜第二実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、第一介在部が、Ｖ字状ではなく、Ｃ字状を呈している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、第一介在部が、Ｖ字状ではなく、Ｃ字状を呈している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0100】
図１１に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図１１に示すのは、図７、図９、図１０に示す枠ＩＸ内に対応する部分である。また、図１１において、図９、図１０と対応する部位については同じ符号で示す。
【0101】
図１１に示すように、前後方向断面において、第一介在部７２は、径方向（前出の図８に示す中心軸Ａ１を中心とする円の径方向）外側に向かって先細るＣ字状（半円状）を呈している。第一介在部７２の外面（前後両面）は曲面状を呈している。第一摺動部７２０は、内側容器２の側周壁部２０の内周面２０３に当接（線接触）している。第一摺動部７２０は、内周面２０３に固定されていない。第一摺動部７２０は、内周面２０３に対して摺動可能である。
【0102】
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。図１１に示すように、第一介在部７２は、第一摺動部７２０に向かってＣ字状に先細っている。第一摺動部７２０は、内周面２０３に線接触している。このため、第一介在部７２が第一摺動部７２０に向かって先細っていない場合と比較して、つまり第一摺動部７２０が内周面２０３に面接触する場合と比較して、内周面２０３に対する第一摺動部７２０の摺動面積つまり摺動抵抗を小さくすることができる。したがって、内周面２０３に対して、直接支持部材７を、簡単に移動させることができる。また、前出の図１０に示す傾動後の状態であっても、第一摺動部７２０を内周面２０３に線接触させることができる。このため、直接支持部材７の姿勢（傾動状態）によらず、摺動抵抗を小さくすることができる。
【0103】
また、第一介在部７２の外面は、曲面状を呈している。このため、第一介在部７２の外面が角張っている場合と比較して、前出の図１０に示すように内側容器２に対して直接支持部材７が傾動する場合であっても、第一摺動部７２０が内周面２０３に突き当たりにくい。
【0104】
＜第三実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、支持部材に第一介在部および第一摺動部が配置されておらず、支持部材と内側容器の内周面との間にボールが介装されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、支持部材に第一介在部および第一摺動部が配置されておらず、支持部材と内側容器の内周面との間にボールが介装されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0105】
図１２に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図１２に示すのは、図７、図９、図１０に示す枠ＩＸ内に対応する部分である。また、図１２において、図９、図１０と対応する部位については同じ符号で示す。
【0106】
図１２に示すように、直接支持部材７の外周面７００には、複数の凹部７６が凹設されている。複数の凹部７６は、直接支持部材７の外周面７００の周方向全長に亘って、所定間隔ずつ離間して、配置されている。凹部７６には、金属製のボール７３が部分的に収容されている。ボール７３は、真球状を呈している。ボール７３の頂部（前出の図８に示す中心軸Ａ１を中心とする円の径方向外端）７３０は、内周面２０３に当接（点接触）している。ボール７３は、凹部７６および内周面２０３に対して、転動可能である。
【0107】
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置によると、複数のボール７３が転動することにより、直接支持部材７を内側容器２に対して移動させることができる。
【0108】
本実施形態の直接支持部材７は、転動部材（ボール７３）と、摺動部（第二摺動部７５０）と、を併有している。このため、転動と摺動とを併用して、直接支持部材７を、内側容器２および伝熱部材５に対して、移動させることができる。
【0109】
＜第四実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、支持部材に第一介在部および第一摺動部が配置されておらず、支持部材と内側容器の内周面との間にコロが介装されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、支持部材に第一介在部および第一摺動部が配置されておらず、支持部材と内側容器の内周面との間にコロが介装されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0110】
図１３に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。なお、図１３に示すのは、内側容器２の一部（直接支持部材７が配置されている部分）である。図１３においては、内側容器２、間接支持部材８７を透過して、直接支持部材７を示す。また、蓄熱体４、伝熱部材５を省略する。また、図１３において、図３と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0111】
図１３に示すように、直接支持部材７の外周面７００と、内側容器２の内周面２０３と、の間には、軸受部材７４が介装されている。軸受部材７４は、複数のコロ７４０と、前後一対のリテーナ７４１と、を備えている。コロ７４０は、金属製であって、前後方向に延在する円柱状を呈している。複数のコロ７４０は、直接支持部材７の外周面７００の周方向全長に亘って、所定間隔ずつ離間して、配置されている。前後一対のリテーナ７４１は、各々、金属製であって円環状を呈している。前後一対のリテーナ７４１は、複数のコロ７４０の列（円環状に並ぶ列）の前後方向両側に配置されている。コロ７４０は、前後一対のリテーナ７４１により、自身の軸周りに回転可能に支持されている。コロ７４０は、直接支持部材７の外周面７００および内側容器２の内周面２０３に対して、転動可能である。
【0112】
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置によると、複数のコロ７４０が転動することにより、直接支持部材７を、内側容器２に対して、回動方向に移動させることができる。また、直接支持部材７および内側容器２のうち少なくとも一方が、複数のコロ７４０に対して摺動することにより、直接支持部材７を、内側容器２に対して、前後方向に移動させることができる。
【0113】
本実施形態の直接支持部材７は、転動部材（コロ７４０）と、摺動部（第二摺動部７５０）と、を併有している。このため、転動と摺動とを併用して、直接支持部材７を、内側容器２および伝熱部材５に対して、移動させることができる。
【0114】
＜第五実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、第一介在部が、Ｖ字状ではなく、歯車状を呈している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、第一介在部が、Ｖ字状ではなく、歯車状を呈している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0115】
図１４に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。なお、図１４に示すのは、内側容器２の一部（直接支持部材７が配置されている部分）である。図１４においては、内側容器２、間接支持部材８７を透過して、直接支持部材７を示す。また、蓄熱体４、伝熱部材５を省略する。また、図１４において、図３と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0116】
図１４に示すように、第一介在部７２は、歯車状（詳しくは、周方向に凹凸が連続する歯車円環状）を呈している。第一摺動部７２０は、歯車状の第一介在部７２の歯先部に配置されている。複数の第一摺動部７２０は、各々、内側容器２の側周壁部２０の内周面２０３に当接している。第一摺動部７２０は、内周面２０３に固定されていない。第一摺動部７２０は、内周面２０３に対して摺動可能である。
【0117】
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。複数の第一摺動部７２０は、内周面２０３に、円環状かつ点線状に接触している。このため、第一介在部７２が歯車状を呈していない場合と比較して、内周面２０３に対する第一摺動部７２０の摺動面積を小さくすることができる。したがって、内周面２０３に対して、直接支持部材７を、簡単に移動させることができる。
【0118】
＜第六実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、基部と第二摺動部との間に、Ｖ字状の第二介在部が介在している点である。また、第一摺動部が、内側容器の内周面に面接触している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、基部と第二摺動部との間に、Ｖ字状の第二介在部が介在している点である。また、第一摺動部が、内側容器の内周面に面接触している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0119】
図１５に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図１５に示すのは、図７、図９、図１０に示す枠ＩＸ内に対応する部分である。また、図１５において、図９、図１０と対応する部位については同じ符号で示す。
【0120】
図１５に示すように、直接支持部材７は、基部７１と、第一摺動部７２０と、第二介在部７５と、第二摺動部７５０と、を備えている。第二介在部７５は、本開示の「介在部」の概念に含まれる。第二介在部７５は、円環状を呈している。第二介在部７５は、支持孔７０の周囲に配置されている。第二介在部７５は、径方向（前出の図８に示す中心軸Ａ３を中心とする円の径方向）内側に向かって先細るＶ字状（テーパ状）を呈している。第二介在部７５の外面（前後両面）は平面状を呈している。第二摺動部７５０は、伝熱部材５の直管部５０の外周面５０３に当接（線接触）している。第二摺動部７５０は、当該外周面に固定されていない。第二摺動部７５０は、外周面５０３に対して摺動可能である。
【0121】
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。直接支持部材７は、第二摺動部７５０を基点に、外周面５０３に対して傾動可能である。逆に言えば、伝熱部材５は、第二摺動部７５０を基点に、直接支持部材７に対して傾動可能である。このため、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。本実施形態の化学蓄熱装置のように、第二摺動部７５０が外周面５０３に線接触してもよい。また、第一摺動部７２０が内周面２０３に面接触してもよい。
【0122】
＜第七実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置は、第一実施形態の化学蓄熱装置と、第六実施形態の化学蓄熱装置と、を組み合わせたものである。図１６に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図１６に示すのは、図７、図９、図１０に示す枠ＩＸ内に対応する部分である。また、図１６において、図９、図１０、図１５と対応する部位については同じ符号で示す。
本実施形態の化学蓄熱装置は、第一実施形態の化学蓄熱装置と、第六実施形態の化学蓄熱装置と、を組み合わせたものである。図１６に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図１６に示すのは、図７、図９、図１０に示す枠ＩＸ内に対応する部分である。また、図１６において、図９、図１０、図１５と対応する部位については同じ符号で示す。
【0123】
図１６に示すように、直接支持部材７は、基部７１と、第一介在部７２と、第一摺動部７２０と、第二介在部７５と、第二摺動部７５０と、を備えている。本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態、第六実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置のように、第一摺動部７２０が内周面２０３に、第二摺動部７５０が外周面５０３に、各々線接触してもよい。
【0124】
＜第八実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、外側容器の内部に、複数の内側容器が配置されている点である。また、管状流路部材が配置されていない点である。また、直接支持部材が配置されていない点である。また、間接支持部材が、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、外側容器の内部に、複数の内側容器が配置されている点である。また、管状流路部材が配置されていない点である。また、直接支持部材が配置されていない点である。また、間接支持部材が、伝熱部材に熱応力が発生するのを抑制している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0125】
図１７に、本実施形態の化学蓄熱装置の斜視図を示す。図１８に、同化学蓄熱装置の分解斜視図を示す。図１９に、同化学蓄熱装置の部分透過斜視図を示す。図２０に、同化学蓄熱装置の複数の内側容器、伝熱部材、複数の間接支持部材の分解斜視図を示す。図２１に、同化学蓄熱装置の前後方向断面図を示す。図２２に、図２１の枠ＸＸＩＩ内の拡大図を示す。図２３に、図２１のＸＸＩＩＩ－ＸＸＩＩＩ方向断面図を示す。図２４に、図２３の枠ＸＸＩＶ内の拡大図を示す。図２５に、図２２の枠ＸＸＶ内の拡大図を示す。なお、図２１は、図２３のＸＸＩ－ＸＸＩ方向断面に対応する。
【0126】
これらの図において、図１（図１７に対応）、図２（図１８に対応）、図３（図１９に対応）、図５（図２０に対応）、図６（図２１に対応）、図７（図２２に対応）、図８（図２３に対応）、図９（図２５に対応）と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図１７においては、外側容器３の内部の内側容器２、伝熱部材５、伝熱部材取付板８１、間接支持部材８７を点線で示す。図１９においては、伝熱部材取付板８１、間接支持部材８７を透過して、内側容器２を示す。
【0127】
［化学蓄熱装置の構成］
まず、本実施形態の化学蓄熱装置１の構成について説明する。図１７～図２５に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置１は、複数の内側容器２と、外側容器３と、蓄熱体４と、伝熱部材５と、反応媒体給排管８０と、伝熱部材取付板８１と、熱媒体給排筒８２と、隔壁８３と、熱媒体供給管８４と、熱媒体排出管８５と、端板８６と、複数の間接支持部材８７と、二つの脚部８８と、を備えている。間接支持部材８７は、本開示の「支持部材」の概念に含まれる。
まず、本実施形態の化学蓄熱装置１の構成について説明する。図１７～図２５に示すように、本実施形態の化学蓄熱装置１は、複数の内側容器２と、外側容器３と、蓄熱体４と、伝熱部材５と、反応媒体給排管８０と、伝熱部材取付板８１と、熱媒体給排筒８２と、隔壁８３と、熱媒体供給管８４と、熱媒体排出管８５と、端板８６と、複数の間接支持部材８７と、二つの脚部８８と、を備えている。間接支持部材８７は、本開示の「支持部材」の概念に含まれる。
【0128】
（内側容器２）
図１９～図２１に示すように、内側容器２は、金属製であって、前後方向（水平方向）に延在する有底円筒状を呈している。すなわち、内側容器２の軸直方向断面の中心軸Ａ１（図２３、図２４参照）は、前後方向に延在している。複数の内側容器２は、前後方向に所定間隔ずつ離間して、後述する伝熱部材５の直管部５０に環装されている。内側容器２は、側周壁部２０と、前後二つの端壁部２１と、収容部２２と、を備えている。側周壁部２０は、前後方向に延在する円筒状を呈している。図２３、図２４に示すように、側周壁部２０の外周面２０４は、後述する間接支持部材８７に、径方向（中心軸Ａ１、Ａ３を中心とする円の径方向）に対向している。外周面２０４は、本開示の「対向面」の概念に含まれる。図２１に示すように、端壁部２１は、上下左右方向（垂直方向）に拡がる円板状を呈している。前側の端壁部２１は側周壁部２０の前端開口を、後側の端壁部２１は側周壁部２０の後端開口を、各々封止している。端壁部２１の径方向中央には、後述する伝熱部材５が挿通されている。内側容器２の壁部（側周壁部２０、前後二つの端壁部２１）の内部には、収容部２２が区画されている。
図１９～図２１に示すように、内側容器２は、金属製であって、前後方向（水平方向）に延在する有底円筒状を呈している。すなわち、内側容器２の軸直方向断面の中心軸Ａ１（図２３、図２４参照）は、前後方向に延在している。複数の内側容器２は、前後方向に所定間隔ずつ離間して、後述する伝熱部材５の直管部５０に環装されている。内側容器２は、側周壁部２０と、前後二つの端壁部２１と、収容部２２と、を備えている。側周壁部２０は、前後方向に延在する円筒状を呈している。図２３、図２４に示すように、側周壁部２０の外周面２０４は、後述する間接支持部材８７に、径方向（中心軸Ａ１、Ａ３を中心とする円の径方向）に対向している。外周面２０４は、本開示の「対向面」の概念に含まれる。図２１に示すように、端壁部２１は、上下左右方向（垂直方向）に拡がる円板状を呈している。前側の端壁部２１は側周壁部２０の前端開口を、後側の端壁部２１は側周壁部２０の後端開口を、各々封止している。端壁部２１の径方向中央には、後述する伝熱部材５が挿通されている。内側容器２の壁部（側周壁部２０、前後二つの端壁部２１）の内部には、収容部２２が区画されている。
【0129】
図１９に示すように、内側容器２の壁部には、全体に亘って、複数の開口部（反応媒体流路）２０１が配置されている。すなわち、壁部は、全体的にメッシュ状を呈している。開口部２０１は、内側容器２の外部の空間（後述する外側流路３２）と収容部２２とを連通している。開口部２０１の大きさ（口径）は、水蒸気（反応媒体）が通過可能であって、蓄熱体４の蓄熱材粒子が通過しにくい大きさに設定されている。
【0130】
（外側容器３）
図１７、図１８、図２１、図２３に示すように、外側容器３は、全ての内側容器２を、外側（中心軸Ａ２を中心とする径方向外側および後側（軸方向一方））から覆っている。外側容器３は、側周壁部３０と、端壁部３１と、を備えている。側周壁部３０は、前後方向に延在する円筒状を呈している。図２３に示すように、側周壁部３０の内周面３０３は、後述する間接支持部材８７に、径方向（中心軸Ａ２を中心とする円の径方向）に対向している。内周面３０３は、本開示の「対向面」の概念に含まれる。外側容器３は、外側流路３２を区画している。具体的には、外側流路３２は、外側容器３の内面と、複数の内側容器２の外面と、の間に区画されている。外側流路３２は、本開示の「空間」の概念に含まれる。
図１７、図１８、図２１、図２３に示すように、外側容器３は、全ての内側容器２を、外側（中心軸Ａ２を中心とする径方向外側および後側（軸方向一方））から覆っている。外側容器３は、側周壁部３０と、端壁部３１と、を備えている。側周壁部３０は、前後方向に延在する円筒状を呈している。図２３に示すように、側周壁部３０の内周面３０３は、後述する間接支持部材８７に、径方向（中心軸Ａ２を中心とする円の径方向）に対向している。内周面３０３は、本開示の「対向面」の概念に含まれる。外側容器３は、外側流路３２を区画している。具体的には、外側流路３２は、外側容器３の内面と、複数の内側容器２の外面と、の間に区画されている。外側流路３２は、本開示の「空間」の概念に含まれる。
【0131】
（伝熱部材５）
図１７～図２１に示すように、伝熱部材５は、前端部（後述する伝熱部材取付板８１の取付孔８１０に固定されている部分）を除いて、外側容器３に収容されている。伝熱部材５は、金属製であって、Ｕ字の円管状を呈している。すなわち、伝熱部材５は、二つの直管部５０と、曲管部５１と、を備えている。前述したように、直管部５０には、複数の内側容器２が環装されている。すなわち、直管部５０は、複数の収容区間５０Ａと、複数の非収容区間５０Ｂと、を備えている。複数の収容区間５０Ａと、複数の非収容区間５０Ｂと、は前後方向に交互に配置されている。収容区間５０Ａは、内側容器２の収容部２２に収容されている。このため、収容区間５０Ａの外周面は、全面的に蓄熱体４に当接している。熱媒体流路５２を流動する熱媒体は、収容区間５０Ａの側周壁部を介して、蓄熱体４と熱の授受を行う。非収容区間５０Ｂは、収容部２２に収容されていない。非収容区間５０Ｂ（詳しくは、非収容区間５０Ｂのうち、端壁部２１に挿通されていない部分）は、外側流路３２に露出している。
図１７～図２１に示すように、伝熱部材５は、前端部（後述する伝熱部材取付板８１の取付孔８１０に固定されている部分）を除いて、外側容器３に収容されている。伝熱部材５は、金属製であって、Ｕ字の円管状を呈している。すなわち、伝熱部材５は、二つの直管部５０と、曲管部５１と、を備えている。前述したように、直管部５０には、複数の内側容器２が環装されている。すなわち、直管部５０は、複数の収容区間５０Ａと、複数の非収容区間５０Ｂと、を備えている。複数の収容区間５０Ａと、複数の非収容区間５０Ｂと、は前後方向に交互に配置されている。収容区間５０Ａは、内側容器２の収容部２２に収容されている。このため、収容区間５０Ａの外周面は、全面的に蓄熱体４に当接している。熱媒体流路５２を流動する熱媒体は、収容区間５０Ａの側周壁部を介して、蓄熱体４と熱の授受を行う。非収容区間５０Ｂは、収容部２２に収容されていない。非収容区間５０Ｂ（詳しくは、非収容区間５０Ｂのうち、端壁部２１に挿通されていない部分）は、外側流路３２に露出している。
【0132】
（間接支持部材８７）
図２０～図２３に示すように、複数の間接支持部材８７は、内側容器２の側周壁部２０の外周面２０４と、外側容器３の側周壁部３０の内周面３０３と、の間に配置されている。間接支持部材８７により、外周面２０４と内周面３０３との間に外側流路３２が確保されている。複数の間接支持部材８７は、前後方向に、所定間隔ずつ離間して配置されている。間接支持部材８７は、金属製であって、上下左右方向（垂直方向）に延在する円板状を呈している。図２３に示すように、間接支持部材８７は、基部８７２と、第一摺動部８７３と、第二摺動部８７４と、を備えている。第一摺動部８７３、第二摺動部８７４は、本開示の「摺動部」の概念に含まれる。
図２０～図２３に示すように、複数の間接支持部材８７は、内側容器２の側周壁部２０の外周面２０４と、外側容器３の側周壁部３０の内周面３０３と、の間に配置されている。間接支持部材８７により、外周面２０４と内周面３０３との間に外側流路３２が確保されている。複数の間接支持部材８７は、前後方向に、所定間隔ずつ離間して配置されている。間接支持部材８７は、金属製であって、上下左右方向（垂直方向）に延在する円板状を呈している。図２３に示すように、間接支持部材８７は、基部８７２と、第一摺動部８７３と、第二摺動部８７４と、を備えている。第一摺動部８７３、第二摺動部８７４は、本開示の「摺動部」の概念に含まれる。
【0133】
図２３に示すように、基部８７２は、円板状を呈している。基部８７２は、左右二つの開口部８７０と、上下二つの支持孔８７１と、を備えている。二つの開口部８７０、二つの支持孔８７１は、各々、間接支持部材８７を前後方向に貫通している。開口部８７０を介して、外側流路３２の各部は、前後方向に互いに連通している。支持孔８７１には、内側容器２の側周壁部２０が挿通されている。支持孔８７１つまり間接支持部材８７は、側周壁部２０を支持している。また、間接支持部材８７は、側周壁部２０を位置決めしている。また、間接支持部材８７は、内側容器２を介して、伝熱部材５を間接的に支持している。また、間接支持部材８７は、内側容器２を介して、伝熱部材５を間接的に位置決めしている。
【0134】
図２３に示すように、第一摺動部８７３は、基部８７２の径方向外端に配置されている。第一摺動部８７３は、中心軸Ａ２を中心とする曲率一定の曲面状を呈している。同様に、外側容器３の側周壁部３０の内周面３０３は、中心軸Ａ２を中心とする曲率一定の曲面状を呈している。第一摺動部８７３は、内周面３０３に対して、平行に延在している。また、第一摺動部８７３は、内周面３０３と型対称の形状を呈している。第一摺動部８７３は、内周面３０３に、当接（面接触）している。第一摺動部８７３は、内周面３０３に固定されていない。第一摺動部８７３は、内周面３０３に対して摺動可能である。
【0135】
図２３、図２４に示すように、第二摺動部８７４は、支持孔８７１の内周面に配置されている。第二摺動部８７４は、中心軸Ａ１、Ａ３を中心とする曲率一定の曲面状を呈している。同様に、内側容器２の側周壁部２０の外周面２０４は、中心軸Ａ１、Ａ３を中心とする曲率一定の曲面状を呈している。第二摺動部８７４は、外周面２０４に対して、平行に延在している。また、第二摺動部８７４は、外周面２０４と型対称の形状を呈している。第二摺動部８７４は、外周面２０４に、当接（面接触）している。第二摺動部８７４は、外周面２０４に固定されていない。第二摺動部８７４は、外周面２０４に対して摺動可能である。
【0136】
（反応媒体ルートＲ１、熱媒体ルートＲ２）
図２１～図２４に示すように、化学蓄熱装置１の外部と、収容部２２の蓄熱体４と、の間には、外部から蓄熱体４に向かって、反応媒体給排管８０、外側流路３２、開口部２０１を経由する、水蒸気用の反応媒体ルートＲ１が設定されている。
図２１～図２４に示すように、化学蓄熱装置１の外部と、収容部２２の蓄熱体４と、の間には、外部から蓄熱体４に向かって、反応媒体給排管８０、外側流路３２、開口部２０１を経由する、水蒸気用の反応媒体ルートＲ１が設定されている。
【0137】
図２１に示すように、熱媒体供給管８４と熱媒体排出管８５との間には、熱媒体供給管８４から熱媒体排出管８５に向かって、供給室８３０、熱媒体流路５２、排出室８３１を経由する、熱媒体用の熱媒体ルートＲ２が設定されている。
【0138】
［間接支持部材の動き］
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の間接支持部材８７の動きを説明する。なお、代表例として、軸方向の動きを例示するが、勿論、他の方向（例えば、図２５の矢印Ｙ１の逆方向、傾動方向（第一摺動部８７３または第二摺動部８７４を起点に間接支持部材８７が傾く方向）、軸方向と傾動方向とを組み合わせた方向、回動方向など）に動くことも可能である。
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の間接支持部材８７の動きを説明する。なお、代表例として、軸方向の動きを例示するが、勿論、他の方向（例えば、図２５の矢印Ｙ１の逆方向、傾動方向（第一摺動部８７３または第二摺動部８７４を起点に間接支持部材８７が傾く方向）、軸方向と傾動方向とを組み合わせた方向、回動方向など）に動くことも可能である。
【0139】
上述の放熱時、蓄熱時の熱により、伝熱部材５は、図１８に示す伝熱部材取付板８１を基点に、後方に伸張（熱変形）しやすい。ここで、図２１～図２５に示すように、収容部２２には、蓄熱体４が充填されている。蓄熱体４は、伝熱部材５の収容区間５０Ａに密着している。このため、伝熱部材５の伸張は蓄熱体４により規制されてしまう。この場合、蓄熱体４つまり内側容器２が移動可能であれば、内側容器２ごと、伝熱部材５は伸張することができる。しかしながら、仮に、間接支持部材８７を介して内側容器２が外側容器３に固定されていると、内側容器２の移動は拘束されてしまう。このため、内側容器２は移動することができない。つまり、伝熱部材５は伸張することができない。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することは困難である。
【0140】
この点、図２５に示すように、間接支持部材８７の第一摺動部８７３は、外側容器３の内周面３０３に固定されていない。このため、間接支持部材８７は、内周面３０３に対して摺動可能である。また、間接支持部材８７の第二摺動部８７４は、内側容器２の外周面２０４に固定されていない。このため、間接支持部材８７は、外周面２０４に対して摺動可能である。よって、内側容器２は、図２５に一点鎖線、矢印Ｙ１で示すように、外側容器３から独立して、間接支持部材８７ごと、あるいは内側容器２単独で、後方に移動することができる。すなわち、伝熱部材５は後方に伸張することができる。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0141】
［作用効果］
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の作用効果について説明する。本実施形態の化学蓄熱装置１と第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
次に、本実施形態の化学蓄熱装置１の作用効果について説明する。本実施形態の化学蓄熱装置１と第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0142】
図２１～図２６に示すように、間接支持部材８７は、第一摺動部８７３と、第二摺動部８７４と、を備えている。第一摺動部８７３は、外側容器３の側周壁部３０の内周面３０３に摺接している。第二摺動部８７４は、内側容器２の側周壁部２０の外周面２０４に摺接している。このため、間接支持部材８７は、内側容器２および外側容器３に対して、移動可能である。
【0143】
具体的には、第一摺動部８７３により、間接支持部材８７は、外側容器３に対して、前後方向にスライド可能である。また、間接支持部材８７は、外側容器３に対して、傾動可能である。また、間接支持部材８７は、外側容器３に対して、中心軸Ａ２を中心に、回動可能である。同様に、第二摺動部８７４により、間接支持部材８７は、内側容器２に対して、前後方向にスライド可能である。逆に言えば、内側容器２は、間接支持部材８７に対して、前後方向にスライド可能である。また、内側容器２は、間接支持部材８７に対して、傾動可能である。また、内側容器２は、間接支持部材８７に対して、中心軸Ａ１、Ａ３（図２３参照）を中心に、回動可能である。
【0144】
このように、間接支持部材８７は、内側容器２および外側容器３に対して、移動可能である。このため、内側容器２の移動を伴う伝熱部材５の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0145】
図２１～図２３に示すように、間接支持部材８７は、内側容器２、蓄熱体４を介して、伝熱部材５を間接的に支持している。言い換えると、間接支持部材８７は、内側容器２を介して、蓄熱体４および伝熱部材５を間接的に支持している。このため、蓄熱体４に対する伝熱部材５の位置が変化しにくい。よって、蓄熱体４の全体から伝熱部材５に、熱を回収しやすい。また、伝熱部材５から蓄熱体４の全体に、熱を供給しやすい。このように、本実施形態の化学蓄熱装置１によると、蓄放熱時における反応効率を高くすることができる。
【0146】
図１９、図２４、図２５に示すように、内側容器２の壁部（側周壁部２０、前後二つの端壁部２１）には、多数の開口部２０１が開設されている。開口部２０１は、収容部２２の蓄熱体４に向かって開口している。このため、開口部２０１を介して、蓄熱体４の外面に水蒸気を供給することができる。また、開口部２０１を介して、蓄熱体４の外面から水蒸気を回収することができる。
【0147】
内側容器２は、蓄放熱に伴う蓄熱体４の体積変化（膨張、収縮）、蓄熱体４の自重、内側容器２の自重などにより、経時的に変形しやすい。内側容器２が変形すると、蓄熱体４に対する伝熱部材５の位置が変化してしまう。この点、内側容器２は、間接支持部材８７により補強、支持されている。このため、内側容器２が変形しにくい。したがって、蓄熱体４に対する伝熱部材５の位置が変化しにくい。よって、蓄放熱時における反応効率を高くすることができる。
【0148】
図２５に示すように、第一摺動部８７３は、内周面３０３に対して、平行に延在している。第一摺動部８７３は、内周面３０３に面接触している。このため、第一摺動部８７３が内周面３０３に線接触、点接触する場合と比較して、内周面３０３に対する第一摺動部８７３の摺動面積（接触面積）を大きくすることができる。したがって、内周面３０３に対して、第一摺動部８７３つまり間接支持部材８７ががたつきにくい。よって、間接支持部材８７は、内側容器２を、しっかりと支持することができる。
【0149】
同様に、第二摺動部８７４は、外周面２０４に対して、平行に延在している。第二摺動部８７４は、外周面２０４に面接触している。このため、第二摺動部８７４が外周面２０４に線接触、点接触する場合と比較して、外周面２０４に対する第二摺動部８７４の摺動面積（接触面積）を大きくすることができる。したがって、外周面２０４に対して、第二摺動部８７４つまり間接支持部材８７ががたつきにくい。よって、間接支持部材８７は、内側容器２を、しっかりと支持することができる。
【0150】
図２１に示すように、前後方向に隣り合う二つの収容区間５０Ａの間には、非収容区間５０Ｂが介在している。このため、伝熱部材５が熱変形する際、前後方向に隣り合う二つの内側容器２同士が干渉するのを、抑制することができる。
【0151】
図２１に示すように、収容部２２には、前出の図６に示す管状流路部材６、直接支持部材７が配置されていない。このため、収容部２２の容積を小さくするができる。また、化学蓄熱装置１の部品点数を削減し、構造を簡単にすることができる。
【0152】
また、収容部２２に図６に示す管状流路部材６、直接支持部材７が配置されている場合と比較して、収容部２２の形状を単純にすることができる。このため、蓄熱体４を、収容部２２の隅々にまで充填することができる。したがって、収容部２２にデッドスペースが発生するのを、抑制することができる。
【0153】
図１９、図２４、図２５に示すように、多数の開口部２０１は、内側容器２の壁部の全体に亘って、分布している。このため、水蒸気を蓄熱体４の全体に拡散させやすい。また、蓄熱体４の全体から水蒸気を回収しやすい。
【0154】
＜第九実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、間接支持部材が、Ｃ字状の第二介在部を備えている点である。また、第二摺動部が伝熱部材の外周面に線接触している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、間接支持部材が、Ｃ字状の第二介在部を備えている点である。また、第二摺動部が伝熱部材の外周面に線接触している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0155】
図２６に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図２６に示すのは、図２２、図２５に示す枠ＸＸＶ内に対応する部分である。また、図２６において、図２５と対応する部位については同じ符号で示す。
【0156】
図２６に示すように、間接支持部材８７は、基部８７２と、第一摺動部８７３と、第二介在部８７６と、第二摺動部８７４と、を備えている。第二介在部８７６は、本開示の「介在部」の概念に含まれる。第二介在部８７６は、円環状を呈している。第二介在部８７６は、基部８７２の支持孔８７１の周囲に配置されている。図２６に示すように、前後方向断面において、第二介在部８７６は、径方向（図２４に示す中心軸Ａ１、Ａ３を中心とする円の径方向）内側に向かって先細るＣ字状（半円状）を呈している。第二介在部８７６の外面（前後両面）は曲面状を呈している。第二摺動部８７４は、外周面２０４に当接（線接触）している。第二摺動部８７４は、第二介在部８７６の径方向内端（Ｃ字の頂部）に配置されている。第二摺動部８７４は、外周面２０４に固定されていない。第二摺動部８７４は、外周面２０４に対して摺動可能である。
【0157】
前出の図２５に示すように、第一摺動部８７３は、外側容器３の側周壁部３０の内周面３０３に摺接している。また、第二摺動部８７４は、内側容器２の側周壁部２０の外周面２０４に摺接している。このため、間接支持部材８７は、内側容器２および外側容器３に対して、移動可能である。
【0158】
また、伝熱部材５が後方に伸張（熱変形）する際、上側の直管部５０と下側の直管部５０とで、伸張量（熱変形量）がばらつく場合がある。この場合、蓄熱体４つまり内側容器２が移動可能であれば、内側容器２ごと、伝熱部材５は傾動することができる。しかしながら、仮に、間接支持部材８７を介して内側容器２が外側容器３に固定されていると、内側容器２の移動は拘束されてしまう。このため、内側容器２は傾動することができない。つまり、伝熱部材５は傾動することができない。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することは困難である。
【0159】
この点、図２６（一例として、前出の図２１に示す上下二つの直管部５０のうち、上側の直管部５０の方が、下側の直管部５０よりも、伸張量が大きい場合を示す。）に示すように、間接支持部材８７の第二摺動部８７４は、内側容器２の外周面２０４に固定されていない。このため、図２６に一点鎖線で示すように、外周面２０４つまり内側容器２は、間接支持部材８７に対して、第二摺動部８７４を基点に、矢印Ｙ２の方向に傾動可能である。同様に、間接支持部材８７の第一摺動部８７３は、外側容器３の内周面３０３に固定されていない。このため、間接支持部材８７は、外側容器３に対して、第一摺動部８７３を基点に、傾動可能である。よって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0160】
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態、第二実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。例えば、図２６に示す第二介在部８７６は、図１１に示す第一介在部７２と、同様の作用効果を有する。
【0161】
＜第十実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、間接支持部材に第二摺動部が配置されておらず、間接支持部材と内側容器の外周面との間にボールが介装されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、間接支持部材に第二摺動部が配置されておらず、間接支持部材と内側容器の外周面との間にボールが介装されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0162】
図２７に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図２７に示すのは、図２２、図２５に示す枠ＸＸＶ内に対応する部分である。また、図２７において、図２５と対応する部位については同じ符号で示す。
【0163】
図２７に示すように、間接支持部材８７の支持孔８７１の内周面には、複数の凹部８７７が凹設されている。複数の凹部８７７は、支持孔８７１の内周面の周方向全長に亘って、所定間隔ずつ離間して、配置されている。凹部８７７には、金属製のボール８７８が部分的に収容されている。ボール８７８は、真球状を呈している。ボール８７８の頂部（前出の図２４に示す中心軸Ａ１、Ａ３を中心とする円の径方向内端）８７８ａは、外周面２０４に当接（点接触）している。ボール８７８は、凹部８７７および外周面２０４に対して、転動可能である。
【0164】
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態、第三実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。例えば、図２７に示すボール８７８は、図１２に示すボール７３と、同様の作用効果を有する。
【0165】
＜第十一実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、間接支持部材に第二摺動部が配置されておらず、間接支持部材と内側容器の外周面との間にコロが介装されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、間接支持部材に第二摺動部が配置されておらず、間接支持部材と内側容器の外周面との間にコロが介装されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0166】
図２８に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分透過分解斜視図を示す。なお、図２８に示すのは、外側容器３の一部（間接支持部材８７が配置されている部分）である。図２８においては、内側容器２、間接支持部材８７を透過して、軸受部材８７９を示す。また、開口部８７０、蓄熱体４を省略する。また、図２８において、図２０と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0167】
図２８に示すように、間接支持部材８７の支持孔８７１の内周面と、内側容器２の外周面２０４と、の間には、軸受部材８７９が介装されている。軸受部材８７９は、複数のコロ８７９ａと、前後二つのリテーナ８７９ｂと、を備えている。コロ８７９ａは、金属製であって、前後方向に延在する円柱状を呈している。複数のコロ８７９ａは、支持孔８７１の内周面の周方向全長に亘って、所定間隔ずつ離間して、配置されている。前後二つのリテーナ８７９ｂは、各々、金属製であって円環状を呈している。前後二つのリテーナ８７９ｂは、複数のコロ８７９ａの列（円環状に並ぶ列）の前後方向両側に配置されている。コロ８７９ａは、前後二つのリテーナ８７９ｂにより、自身の軸周りに回転可能に支持されている。コロ８７９ａは、支持孔８７１の内周面および内側容器２の外周面２０４に対して、転動可能である。
【0168】
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態、第四実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。例えば、図２８に示す軸受部材８７９は、図１３に示す軸受部材７４と、同様の作用効果を有する。
【0169】
＜第十二実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第九実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、間接支持部材が、Ｃ字状ではなく、歯車状の第二介在部を備えている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第九実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、間接支持部材が、Ｃ字状ではなく、歯車状の第二介在部を備えている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0170】
図２９に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分軸直方向断面図を示す。なお、図２９に示すのは、図２３、図２４に示す枠ＸＸＩＶ内に対応する部分である。また、図２９において、図２４と対応する部位については同じ符号で示す。
【0171】
図２９に示すように、第二介在部８７６は、歯車状（詳しくは、周方向に凹凸が連続する歯車円環状）を呈している。第二摺動部８７４は、歯車状の第二介在部８７６の歯先部に配置されている。複数の第二摺動部８７４は、各々、内側容器２の側周壁部２０の外周面２０４に当接している。第二摺動部８７４は、外周面２０４に固定されていない。第二摺動部８７４は、外周面２０４に対して摺動可能である。
【0172】
本実施形態の化学蓄熱装置と第九実施形態、第五実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。例えば、図２９に示す第二介在部８７６は、図１４に示す第一介在部７２と、同様の作用効果を有する。また、前出の図２３の開口部８７０に加えて、第二介在部８７６の開口部（凹部）８７６ａを介して、外側流路３２を連通させることができる。
【0173】
＜第十三実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、基部と第一摺動部との間に、Ｃ字状の第一介在部が介在している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、主に、基部と第一摺動部との間に、Ｃ字状の第一介在部が介在している点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0174】
図３０に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図３０に示すのは、図２２、図２５に示す枠ＸＸＶ内に対応する部分である。また、図３０において、図２５と対応する部位については同じ符号で示す。
【0175】
図３０に示すように、間接支持部材８７は、基部８７２と、第一介在部８７５と、第一摺動部８７３と、第二摺動部８７４と、を備えている。第一介在部８７５は、本開示の「介在部」の概念に含まれる。第一介在部８７５は、円環状を呈している。第一介在部８７５は、基部８７２の径方向外側に連なっている。図３０に示すように、前後方向断面において、第一介在部８７５は、径方向（図２３に示す中心軸Ａ２を中心とする円の径方向）外側に向かって先細るＣ字状（半円状）を呈している。第一介在部８７５の外面（前後両面）は曲面状を呈している。第一摺動部８７３は、内周面３０３に当接（線接触）している。第一摺動部８７３は、第一介在部８７５の径方向外端（Ｃ字の頂部）に配置されている。第一摺動部８７３は、内周面３０３に固定されていない。第一摺動部８７３は、内周面３０３に対して摺動可能である。
【0176】
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態、第二実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。例えば、図３０に示す第一介在部８７５は、図１１に示す第一介在部７２と、同様の作用効果を有する。
【0177】
＜第十四実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置は、第九実施形態の化学蓄熱装置と、第十三実施形態の化学蓄熱装置と、を組み合わせたものである。図３１に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図３１に示すのは、図２２、図２５に示す枠ＸＸＶ内に対応する部分である。また、図３１において、図２６、図３０と対応する部位については同じ符号で示す。
本実施形態の化学蓄熱装置は、第九実施形態の化学蓄熱装置と、第十三実施形態の化学蓄熱装置と、を組み合わせたものである。図３１に、本実施形態の化学蓄熱装置の部分前後方向断面図を示す。なお、図３１に示すのは、図２２、図２５に示す枠ＸＸＶ内に対応する部分である。また、図３１において、図２６、図３０と対応する部位については同じ符号で示す。
【0178】
図３１に示すように、間接支持部材８７は、基部８７２と、第一介在部８７５と、第一摺動部８７３と、第二介在部８７６と、第二摺動部８７４と、を備えている。本実施形態の化学蓄熱装置と第九実施形態、第十三実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置のように、第一摺動部８７３が内周面３０３に、第二摺動部８７４が外周面２０４に、各々線接触してもよい。
【0179】
＜第十五実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、収容部に複数の直接支持部材が配置されている点である。また、蓄熱体が、複数の分割体を備えている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、収容部に複数の直接支持部材が配置されている点である。また、蓄熱体が、複数の分割体を備えている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0180】
図３２（Ａ）に、本実施形態の化学蓄熱装置の蓄熱前の状態における部分前後方向断面図を示す。なお、図３２（Ａ）は、図２１の枠ＸＸＸＩＩＡに対応している。また、図３２（Ａ）においては、図２５に示す開口部２０１を省略して示す。図１７～図２５と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0181】
本実施形態の化学蓄熱装置の全ての内側容器２（図２１参照）は、図３２（Ａ）に示す構成を備えている。図３２（Ａ）に示すように、間接支持部材８７の第二摺動部８７４は、内側容器２の側周壁部２０の外周面２０４に対して、前後方向に摺動可能である。間接支持部材８７は、本開示の「支持部材」の概念に含まれる。第二摺動部８７４は、本開示の「摺動部」の概念に含まれる。間接支持部材８７は、図２５に示す外側容器３の側周壁部３０の内周面３０３に固定されている。このため、内側容器２は、間接支持部材８７つまり外側容器３に対して、前後方向に移動可能である。
【0182】
直接支持部材７は、金属製であって、上下左右方向（垂直方向）に延在する円板状を呈している。直接支持部材７は、本開示の「支持部材」の概念に含まれる。直接支持部材７は、収容部２２に配置されている。直接支持部材７は、基部７１と、第一摺動部７２０と、を備えている。第一摺動部７２０は本開示の「摺動部」の概念に含まれる。
【0183】
図５に示すように、基部７１は、円板状を呈している。第一摺動部７２０は、基部７１の径方向外端に配置されている。第一摺動部７２０は、内側容器２の側周壁部２０の内周面２０３に、当接（面接触）している。第一摺動部７２０は、内周面２０３に固定されていない。第一摺動部７２０は、内周面２０３に対して摺動可能である。
【0184】
複数の直接支持部材７は、二枚ずつ、所定間隔ずつ離間して、前後方向に並置されている。近接して配置される二枚の直接支持部材７の間には、隙間Ｃが区画されている。隙間Ｃには、蓄熱体４が配置されていない。複数の直接支持部材７は、収容部２２を、前後方向に並ぶ複数の部屋２２０に仕切っている。言い換えると、複数の直接支持部材７は、蓄熱体４を、前後方向に並ぶ複数の分割体４０に仕切っている。直接支持部材７は、支持孔７０を備えている。支持孔７０は、直接支持部材７を前後方向に貫通している。支持孔７０には、伝熱部材５の直管部５０が挿通されている。支持孔７０つまり直接支持部材７は、直管部５０の外周面５０３に固定されている。なお、内側容器２も、直接支持部材７と同様に、外周面５０３に固定されている。
【0185】
図３２（Ｂ）に、本実施形態の化学蓄熱装置の蓄熱後の状態における部分前後方向断面図を示す。図３２（Ａ）、図３２（Ｂ）に示すように、蓄熱時（脱水反応時）においては、熱媒体ルートＲ２に高温の熱媒体を流動させる。熱媒体の熱は、伝熱部材５の壁部、直接支持部材７を介して、蓄熱体４に移動する。当該熱により加熱された蓄熱体４の化学蓄熱材（水酸化カルシウム）は、脱水反応により、蓄熱し、酸化カルシウムとなる。脱水反応により発生した水蒸気は、図２５に示す開口部２０１を介して、内側容器２の外部に排出される。
【0186】
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。蓄熱時において、伝熱部材５は、図２１に示す伝熱部材取付板８１を基点に、後方に伸張（熱変形）しやすい。仮に、収容部２２に直接支持部材７が配置されていない場合、収容部２２において、蓄熱体４が、分割されずに、一体的に連なることになる。すなわち、図３２（Ａ）、図３２（Ｂ）に太線で示す密着区間（蓄熱体４と、伝熱部材５の直管部５０の外周面５０３と、の密着区間）Ｂが、収容部２２の前後方向全長に亘って、断線せずに、延在することになる。このため、蓄熱体４の内周面が、全面的に外周面５０３に密着してしまう。したがって、伝熱部材５の熱変形が拘束されやすい。よって、伝熱部材５に熱応力が発生しやすい。
【0187】
この点、本実施形態の化学蓄熱装置によると、伝熱部材５に密着しやすい蓄熱体４が、複数の分割体４０に分割されている。複数の分割体４０は、伝熱部材５の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能である。このため、伝熱部材５の熱変形が拘束されにくい。したがって、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単に逃がすことができる。
【0188】
また、本実施形態の化学蓄熱装置は、直接支持部材７を備えている。このため、蓄熱体４を確実に分割することができる。また、直接支持部材７は、上下左右方向（垂直方向。伝熱部材５の熱変形方向（前後方向）に対して、直交する方向）に延在している。このため、蓄熱体４を、伝熱部材５の熱変形方向（分割体４０の移動方向）に対して、直交する方向に分割することができる。
【0189】
また、前後方向に隣り合う二つの分割体４０の間には、近接して隣り合う二つの直接支持部材７により、隙間Ｃが区画されている。このため、前後方向に隣り合う二つの分割体４０の間に、蓄熱体４が配置されていない空間を確保することができる。したがって、伝熱部材５の熱変形が拘束されにくい。また、隙間Ｃの分だけ、伝熱部材５に対する蓄熱体４の密着を、抑制することができる。すなわち、図３２（Ａ）、図３２（Ｂ）に太線で示すように、分割体４０と外周面５０３との密着区間Ｂを、少なくすることができる。また、複数の密着区間Ｂを、断続的に配置することができる。また、隙間Ｃを挟んで前後両側の二つの直接支持部材７が互いに拘束されるのを、抑制することができる。図３２（Ａ）に示す蓄熱前の状態に対して、図３２（Ｂ）に示す蓄熱後の状態の方が、伝熱部材５の熱変形に応じて、隙間Ｃの前後方向幅が大きくなる。
【0190】
また、図３２（Ａ）に示すように、隙間Ｃは、伝熱部材５が熱媒体により加熱される前の時点で、近接して隣り合う二つの直接支持部材７により、確保されている。すなわち、蓄熱前の時点で、隣り合う二つの直接支持部材７の間には、既に隙間Ｃが確保されている。つまり、伝熱部材５の熱変形量（伸張量）が最小の時点で、既に隙間Ｃが確保されている。このため、蓄熱、放熱サイクルの全区間に亘って、隣り合う任意の二つの直接支持部材７の間に、継続的に隙間Ｃを確保することができる。
【0191】
なお、隣り合う二つの部屋２２０（隣り合う二つの分割体４０）の間に介在する直接支持部材７の配置数は、単一でも複数でもよい。図７に示すように、隣り合う二つの部屋２２０の間に介在する直接支持部材７の配置数が単一であっても、蓄熱体４と外周面５０３との密着区間Ｂを、少なくすることができる。また、複数の密着区間Ｂを、断続的に配置することができる。
【0192】
＜第十六実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第十五実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、収容部に複数の直接支持部材が配置されていない点である。ここでは、主に相違点について説明する。図３３（Ａ）に、本実施形態の化学蓄熱装置の蓄熱前の状態における部分前後方向断面図を示す。なお、図３３（Ａ）は、図２１、図３２（Ａ）の枠ＸＸＸＩＩＡに対応している。また、図３３（Ａ）においては、図２５に示す開口部２０１を省略して示す。図１７～図２５、図３２（Ａ）と対応する部位については、同じ符号で示す。
本実施形態の化学蓄熱装置と第十五実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、収容部に複数の直接支持部材が配置されていない点である。ここでは、主に相違点について説明する。図３３（Ａ）に、本実施形態の化学蓄熱装置の蓄熱前の状態における部分前後方向断面図を示す。なお、図３３（Ａ）は、図２１、図３２（Ａ）の枠ＸＸＸＩＩＡに対応している。また、図３３（Ａ）においては、図２５に示す開口部２０１を省略して示す。図１７～図２５、図３２（Ａ）と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0193】
本実施形態の化学蓄熱装置の全ての内側容器２（図２１参照）は、図３３（Ａ）に示す構成を備えている。図３３（Ａ）に示すように、蓄熱体４は、複数の分割体４０を備えている。分割体４０は、成形体（蓄熱材粒子や蓄熱材顆粒のプレス成形体）である。
【0194】
図３３（Ｂ）に、本実施形態の化学蓄熱装置の蓄熱後の状態における部分前後方向断面図を示す。図３３（Ａ）、図３３（Ｂ）に示すように、蓄熱時（脱水反応時）においては、熱媒体ルートＲ２に高温の熱媒体を流動させる。熱媒体の熱は、伝熱部材５の壁部を介して、蓄熱体４に移動する。当該熱により加熱された蓄熱体４の化学蓄熱材（水酸化カルシウム）は、脱水反応により、蓄熱し、酸化カルシウムとなる。脱水反応により発生した水蒸気は、図２５に示す開口部２０１を介して、内側容器２の外部に排出される。
【0195】
本実施形態の化学蓄熱装置と第十五実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。分割体４０は、成形体であり、形状保持性を有している。このため、分割体４０が崩れにくい。したがって、収容部２２に直接支持部材７を配置しなくても、蓄熱体４を分割することができる。言い換えると、直接支持部材７を配置しなくても、蓄熱体４が分割された状態を、保持することができる。本実施形態の化学蓄熱装置のように、図３３（Ａ）に示す蓄熱前の状態において、複数の分割体４０同士が、互いに当接していてもよい。複数の分割体４０は、伝熱部材５の熱変形に応じて、互いに独立して移動可能であればよい。勿論、図３３（Ａ）に示す蓄熱前の状態において、隣り合う任意の二つの分割体４０の間に、図３２（Ａ）に示す隙間Ｃが介在していてもよい。
【0196】
＜第十七実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、管状流路部材の代わりに中空板状流路部材が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。図３４に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向断面図を示す。なお、図８と対応する部位については、同じ符号で示す。
本実施形態の化学蓄熱装置と第一実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、管状流路部材の代わりに中空板状流路部材が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。図３４に、本実施形態の化学蓄熱装置の軸直方向断面図を示す。なお、図８と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0197】
内側容器２の側周壁部２０は、複数のスリット（取付孔）２０２ａを備えている。スリット２０２ａは、側周壁部２０を左右方向に貫通している。複数のスリット２０２ａは、側周壁部２０の左側部分と右側部分とに配置されている。左側部分、右側部分の各々において、複数のスリット２０２ａは、二列（延在方向は前後方向、並置方向は上下方向）に並んでいる。複数のスリット２０２ａは、部屋２２０（図６、図７に示すように、収容部２２が複数の直接支持部材７で仕切られて区画される空間）に対応して、配置されている。任意の単一の部屋２２０には、上下二段に、左右一対のスリット２０２ａが配置されている。
【0198】
中空板状流路部材６ａは、金属製であって、前後左右方向（水平方向）に延在する平板状を呈している。中空板状流路部材６ａは、収容部２２に配置されている。中空板状流路部材６ａは、左右一対のスリット２０２ａに取り付けられている。任意の単一の部屋２２０には、上下二段に、二つの中空板状流路部材６ａが配置されている。上下二段の中空板状流路部材６ａは、部屋２２０を上下三つの小部屋２２０ａに区画している。
【0199】
中空板状流路部材６ａは、内部に内側流路（反応媒体流路）６０を区画している。内側流路６０は、二つの外側開口部６００と、複数の内側開口部６０１と、を備えている。二つの外側開口部６００は、中空板状流路部材６ａの左右両端部に開設されている。すなわち、二つの外側開口部６００は、内側容器２の左右一対のスリット２０２ａを介して、内側容器２の外部（外側流路３２）に開口している。複数の内側開口部６０１は、中空板状流路部材６ａの壁部（収容部２２に配置されている部分）に開設されている。内側開口部６０１は、蓄熱体４に向かって開口している。内側開口部６０１の大きさ（口径）は、水蒸気が通過可能であって、蓄熱体４の蓄熱材粒子が通過しにくい大きさに設定されている。
【0200】
複数の内側開口部６０１は、中空板状流路部材６ａの壁部の全体に亘って分布している。また、複数の内側開口部６０１は、部屋２２０の前後方向全長に亘って分布している。水蒸気は、内側流路６０を通過可能である。水蒸気は、内側開口部６０１を介して、蓄熱体４に供給される。並びに、水蒸気は、内側開口部６０１を介して、蓄熱体４から排出される。
【0201】
本実施形態の化学蓄熱装置と、第一実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置１は中空板状流路部材６ａを備えている。このため、内側流路（反応媒体流路）６０を介して、水蒸気を蓄熱体４の内部に供給することができる。また、蓄熱体４の内部から水蒸気を回収することができる。
【0202】
蓄熱体４は、蓄放熱に伴う体積変化（膨張、収縮）により、微粉化しやすい。蓄熱体４の微粉は、収容部２２を自重により流下しやすい。このため、収容部２２における蓄熱体４の密度は、上側部分が疎に、下側部分が密に、なりやすい。この点、中空板状流路部材６ａは、任意の単一の部屋２２０を、複数の小部屋２２０ａに区画している。このため、上側の小部屋２２０ａから下側の小部屋２２０ａに、蓄熱体４が流下しにくい。したがって、収容部２２における蓄熱体４の密度の偏在を、抑制することができる。
【0203】
また、中空板状流路部材６ａは、部屋２２０を複数の小部屋２２０ａに区画している。すなわち、中空板状流路部材６ａは、仕切り板としての機能を有している。中空板状流路部材６ａは、蓄熱体４を、複数の分割体４０に分割している。このため、蓄熱体４の熱応力（内部応力）を小さくすることができる。
【0204】
同様に、図６、図７に示すように、直接支持部材７は、収容部２２を複数の部屋２２０に区画している。すなわち、蓄熱体４を、複数の分割体４０に分割している。このため、蓄熱体４の熱応力（内部応力）を小さくすることができる。
【0205】
なお、中空板状流路部材６ａが内側流路６０を備えていなくてもよい。すなわち、中空板状流路部材６ａの代わりに、中実の仕切り板を配置してもよい。この場合であっても、蓄熱体４を、複数の分割体４０に分割することができる。このため、蓄熱体４の熱応力（内部応力）を小さくすることができる。中空板状流路部材６ａの配置方向（延在方向）は限定しない。図３４に示す軸直方向断面において、水平方向、垂直方向、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0206】
＜第十八実施形態＞
本実施形態の化学蓄熱装置と第十五実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、直接支持部材の代わりに熱応力抑制部材が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
本実施形態の化学蓄熱装置と第十五実施形態の化学蓄熱装置との相違点は、直接支持部材の代わりに熱応力抑制部材が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0207】
図３５（Ａ）に、本実施形態の化学蓄熱装置の蓄熱前の状態における部分前後方向断面図を示す。なお、図３５（Ａ）は、図２１、図３２（Ａ）の枠ＸＸＸＩＩＡに対応している。また、図３５（Ａ）においては、図２５に示す開口部２０１を省略して示す。図１７～図２５、図３２（Ａ）と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0208】
本実施形態の化学蓄熱装置の全ての内側容器２（図２１参照）は、図３５（Ａ）に示す構成を備えている。図３５（Ａ）に示すように、収容部２２には、図３２（Ａ）に示す直接支持部材７が配置されていない。このため、蓄熱体４は、収容部２２の前後方向全長に亘って、一体的に連なっている。
【0209】
熱応力抑制部材９４は、直管部５０の外周面５０３（収容部２２に対応する区間）に配置されている。熱応力抑制部材９４は、直管部５０の熱変形（前後方向の伸縮）を補助している。熱応力抑制部材９４は、直管部５０つまり伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制している。
【0210】
熱応力抑制部材９４は、直管部５０に沿って前後方向に延在する、筒状を呈している。熱応力抑制部材９４は、潤滑剤９４０と、フィルム部材９４１と、を備えている。潤滑剤９４０は、黒鉛（カーボン）製であって、粉体状を呈している。潤滑剤９４０は、外周面５０３（収容部２２に対応する区間）の全面（周方向全長および前後方向全長）に配置されている。潤滑剤９４０は、流動性を有している。潤滑剤９４０は、自己潤滑性を有している。潤滑剤９４０は、蓄熱体４よりも熱伝導率が高い。
【0211】
フィルム部材９４１は、ステンレス（金属）箔製であって、前後方向に延在する円筒状を呈している。フィルム部材９４１は、蓄熱体４よりも熱伝導率が高い。フィルム部材９４１は、潤滑剤９４０と、蓄熱体４と、の間に配置されている。フィルム部材９４１は、潤滑剤９４０を、径方向（直管部５０の管軸を中心とする円の径方向）外側から、覆っている。フィルム部材９４１の前後両端部（潤滑剤９４０を封止する封止部）は、各々、端壁部２１の挿通孔２１０に収容されている。フィルム部材９４１の前後両端部は、各々、直管部５０の外周面に固定されていない。このため、フィルム部材９４１つまり熱応力抑制部材９４に対して、直管部５０つまり伝熱部材５は、前後方向に熱変形可能である。すなわち、蓄熱体４および内側容器２に対して、伝熱部材５は前後方向に熱変形可能である。
【0212】
図３５（Ｂ）に、本実施形態の化学蓄熱装置の蓄熱後の状態における部分前後方向断面図を示す。図３５（Ａ）、図３５（Ｂ）に示すように、蓄熱時（脱水反応時）においては、熱媒体ルートＲ２に高温の熱媒体を流動させる。熱媒体の熱は、伝熱部材５の壁部を介して、蓄熱体４に移動する。当該熱により加熱された蓄熱体４の化学蓄熱材（水酸化カルシウム）は、脱水反応により、蓄熱し、酸化カルシウムとなる。脱水反応により発生した水蒸気は、図２５に示す開口部２０１を介して、内側容器２の外部に排出される。
【0213】
本実施形態の化学蓄熱装置と第八実施形態の化学蓄熱装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の化学蓄熱装置によると、伝熱部材５と蓄熱体４との間に、熱応力抑制部材９４が介装されている。熱応力抑制部材９４の潤滑剤９４０は、外周面５０３に配置されている。このため、潤滑剤９４０の潤滑性（黒鉛の自己潤滑性、粉体を構成する粒子の流動性）を利用して、外周面５０３と蓄熱体４との間の摺動抵抗を小さくすることができる。したがって、直管部５０の熱変形を補助することができる。言い換えると、直管部５０の熱変形が蓄熱体４により阻害されるのを、抑制することができる。よって、直管部５０に熱応力が発生するのを抑制することができる。
【0214】
また、潤滑剤９４０は、蓄熱体４よりも、熱伝導率（例えば、温度３００Ｋにおける熱伝導率）が高い。このため、蓄熱体４と直管部５０との間の伝熱性が低下するのを抑制することができる。また、潤滑剤９４０の配置スペースに蓄熱体４が配置されている場合と比較して（図７参照）、蓄熱体４と直管部５０との間の伝熱性を向上させることができる。このように、本実施形態の化学蓄熱装置１によると、蓄熱体４と伝熱部材５との間の伝熱性の低下を抑制すると共に、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。
【0215】
フィルム部材９４１は、潤滑剤９４０と蓄熱体４との間に配置されている。このため、潤滑剤９４０と蓄熱体４とが直接接触するのを抑制することができる。また、潤滑剤９４０が蓄熱体４に混入するのを抑制することができる。また、フィルム部材９４１は、蓄熱体４よりも、熱伝導率が高い。このため、蓄熱体４と伝熱部材５との間の伝熱性が低下するのを抑制することができる。また、フィルム部材９４１の配置スペースに蓄熱体４が配置されている場合と比較して（図７参照）、蓄熱体４と直管部５０との間の伝熱性を向上させることができる。
【0216】
また、潤滑剤９４０は、粉体状を呈しており、流動性を有している。このため、潤滑剤９４０を構成する多数の粒子が流動することにより、潤滑剤９４０は、自在に変形することができる。したがって、潤滑性を向上させることができる。
【0217】
なお、フィルム部材９４１は、配置しなくてもよい。この場合、蓄熱体４と直管部５０との間には、潤滑剤（例えば、黒鉛の成形体）９４０だけが配置されることになる。このため、熱応力抑制部材９４の構造を簡単化することができる。
【0218】
＜その他＞
以上、本開示の化学蓄熱装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
以上、本開示の化学蓄熱装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0219】
［構造］
上述の実施形態の化学蓄熱装置１のうち、任意の実施形態の化学蓄熱装置１の部材は、他の実施形態の化学蓄熱装置１に、組み込むことができる。摺動部（第一摺動部７２０、８７３、第二摺動部７５０、８７４）と、転動部（ボール７３、８７８、コロ７４０、８７９ａ）と、を置き換えてもよい。例えば、図９に示す第二摺動部７５０の代わりに、図２７に示す凹部８７７およびボール８７８、または図２８に示す軸受部材８７９を配置してもよい。また、図２５に示す第一摺動部８７３の代わりに、図１２に示す凹部７６およびボール７３、または図１３に示す軸受部材７４を配置してもよい。
上述の実施形態の化学蓄熱装置１のうち、任意の実施形態の化学蓄熱装置１の部材は、他の実施形態の化学蓄熱装置１に、組み込むことができる。摺動部（第一摺動部７２０、８７３、第二摺動部７５０、８７４）と、転動部（ボール７３、８７８、コロ７４０、８７９ａ）と、を置き換えてもよい。例えば、図９に示す第二摺動部７５０の代わりに、図２７に示す凹部８７７およびボール８７８、または図２８に示す軸受部材８７９を配置してもよい。また、図２５に示す第一摺動部８７３の代わりに、図１２に示す凹部７６およびボール７３、または図１３に示す軸受部材７４を配置してもよい。
【0220】
また、図３２（Ａ）、図３２（Ｂ）に示す隙間Ｃを区画する二つの直接支持部材７を、図７に示す収容部２２に配置してもよい。また、図３３（Ａ）、図３３（Ｂ）に示す複数の分割体（成形体）４０を、図７に示す収容部２２に配置してもよい。この場合、直接支持部材７を配置しなくてもよい。また、図３５（Ａ）、図３５（Ｂ）に示す熱応力抑制部材９４を、図７に示す収容部２２に配置してもよい。この場合、直接支持部材７を配置しなくてもよい。また、図３４に示す中空板状流路部材６ａを、摺動部（第一摺動部７２０、８７３、第二摺動部７５０、８７４）や転動部（ボール７３、８７８、コロ７４０、８７９ａ）と併用してもよい。
【0221】
図３５（Ａ）、図３５（Ｂ）に示す熱応力抑制部材９４を、摺動部や転動部と併用してもよい。また、熱応力抑制部材９４を、摺動部や転動部から独立して用いてもよい。以下に示す（構成Ａ）～（構成Ｃ）は、熱応力抑制部材９４を備える化学蓄熱装置１に関するものである。なお、（構成Ａ）～（構成Ｃ）中の括弧付きの符号は、当該構成の技術的範囲を限定するものではない。
【0222】
（構成Ａ）収容部（２２）を内部に区画する反応器（２）と、前記収容部（２２）に配置される蓄熱体（４）と、前記収容部（２２）に配置され、前記蓄熱体（４）と熱の授受を行う伝熱面（外周面５０３（収容部２２に対応する区間））を有する伝熱部材（５）と、前記蓄熱体（４）と前記伝熱面との間に配置され、前記伝熱部材（５）に熱応力が発生するのを抑制する熱応力抑制部材（９４）と、を備え、前記熱応力抑制部材（９４）は、前記伝熱面に配置され前記蓄熱体（４）よりも熱伝導率が高い潤滑剤（９４０）を有し、前記潤滑剤（９４０）の潤滑性を利用して前記伝熱部材（５）の熱変形を補助し、前記伝熱部材（５）に熱応力が発生するのを抑制する化学蓄熱装置（１）。
【0223】
（構成Ｂ）前記熱応力抑制部材（９４）は、前記潤滑剤（９４０）と前記蓄熱体（４）との間に配置され、前記蓄熱体（４）よりも熱伝導率が高いフィルム部材（９４１）を有する（構成Ａ）の化学蓄熱装置（１）。
【0224】
（構成Ｃ）前記収容部（２２）の容積は、化学反応による膨張後の前記蓄熱体（４）の体積よりも、小さい（構成Ａ）または（構成Ｂ）の化学蓄熱装置（１）。
【0225】
また、径方向外側の第一摺動部７２０、８７３と、径方向内側の第二摺動部７５０、８７４と、を置き換えてもよい。例えば、図９に示す第二摺動部７５０の代わりに、図１１に示すＣ字状の第一介在部７２および第一摺動部７２０、または図１４に示す歯車状の第一介在部７２および第一摺動部７２０を配置してもよい。図１６に示すＶ字状の第一介在部７２および第一摺動部７２０、または図１５、図１６に示すＶ字状の第二介在部７５および第二摺動部７５０の代わりに、図１１に示すＣ字状の第一介在部７２および第一摺動部７２０、または図１４に示す歯車状の第一介在部７２および第一摺動部７２０を配置してもよい。また、図２５に示す第一摺動部８７３の代わりに、図２９に示す歯車状の第二介在部８７６および第二摺動部８７４を配置してもよい。図３０、図３１に示すＣ字状の第一介在部８７５および第一摺動部８７３、または第二介在部８７６および第二摺動部８７４の代わりに、図２９に示す歯車状の第二介在部８７６および第二摺動部８７４を配置してもよい。
【0226】
また、図１～図１６のいずれかに示す直接支持部材７と、図１７～図３１のいずれかに示す間接支持部材８７と、を併用してもよい。こうすると、直接支持部材７を、内側容器２および伝熱部材５に対して、移動させることができる。並びに、間接支持部材８７を、内側容器２および外側容器３に対して、移動させることができる。このため、より確実に、伝熱部材５に熱応力が発生するのを抑制することができる。また、伝熱部材５に既に発生した熱応力を、簡単かつ確実に逃がすことができる。例えば、図７に示す間接支持部材８７の代わりに、図２２または図２６に示す間接支持部材８７を配置してもよい。すなわち、図７に示す直接支持部材７と、図２２または図２６に示す間接支持部材８７と、を併用してもよい。
【0227】
（内側容器２、外側容器３）
内側容器２の形状は特に限定しない。直筒状（Ｉ字筒状）、曲筒状（Ｃ字筒状、Ｓ字筒状など）、直筒部と曲筒部とを適宜組み合わせた形状（Ｊ字筒状、Ｕ字筒状など）であってもよい。円（真円形、楕円形など）筒状、多角形（三角形、四角形、五角形、六角形など）筒状であってもよい。内側容器２が直筒状の場合、内側容器２の軸方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。内側容器２に関する上述の事項は、外側容器３についても同様である。
内側容器２の形状は特に限定しない。直筒状（Ｉ字筒状）、曲筒状（Ｃ字筒状、Ｓ字筒状など）、直筒部と曲筒部とを適宜組み合わせた形状（Ｊ字筒状、Ｕ字筒状など）であってもよい。円（真円形、楕円形など）筒状、多角形（三角形、四角形、五角形、六角形など）筒状であってもよい。内側容器２が直筒状の場合、内側容器２の軸方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。内側容器２に関する上述の事項は、外側容器３についても同様である。
【0228】
また、内側容器２の開口部２０１の少なくとも一部に、水蒸気が通過可能であって、蓄熱体４の蓄熱材粒子が通過しにくいフィルタを配置してもよい。図３６（Ａ）～図３６（Ｇ）に、その他の実施形態（その１～その７）の化学蓄熱装置の軸直方向部分断面図を示す。なお、図３６（Ａ）～図３６（Ｇ）に示す部分は、図２４の枠ＸＸＸＶＩに対応している。図３６（Ａ）に示すように、開口部２０１にフィルタ（多孔質体）９０ａを埋設してもよい。図３６（Ｂ）に示すように、図３６（Ａ）のフィルタ９０ａに加えて、開口部２０１の孔軸方向一方（側周壁部２０の外側）の開口を、フィルタ（多孔質シート）９０ｂで覆ってもよい。図３６（Ｃ）に示すように、図３６（Ａ）のフィルタ９０ａに加えて、開口部２０１の孔軸方向他方（側周壁部２０の内側）の開口を、フィルタ９０ｂで覆ってもよい。図３６（Ｄ）に示すように、図３６（Ａ）のフィルタ９０ａに加えて、開口部２０１の孔軸方向両外側の開口を、各々、フィルタ９０ｂで覆ってもよい。図３６（Ｅ）に示すように、開口部２０１の孔軸方向一方の開口を、フィルタ９０ｂで覆ってもよい。図３６（Ｆ）に示すように、開口部２０１の孔軸方向他方の開口を、フィルタ９０ｂで覆ってもよい。図３６（Ｇ）に示すように、開口部２０１の孔軸方向両外側の開口を、各々、フィルタ９０ｂで覆ってもよい。図３６（Ａ）～図３６（Ｇ）によると、開口部２０１にフィルタ９０ａ、９０ｂが配置されていない場合と比較して、より確実に、水蒸気の通過許容と、蓄熱体４の漏出抑制と、を両立させることができる。
【0229】
また、図３６（Ａ）～図３６（Ｄ）によると、蓄熱体４が開口部２０１に入り込むのを、抑制することができる。また、内側容器２の壁部（側周壁部２０、端壁部２１）自体がフィルタ（多孔質体）９０ａである場合と比較して、開口部２０１ごとにフィルタ９０ａが配置されているため、任意のフィルタ９０ａに入ったクラックが、他のフィルタ９０ａに伝播しにくい。
【0230】
また、図３６（Ｂ）、図３６（Ｄ）、図３６（Ｅ）、図３６（Ｇ）によると、開口部２０１の孔軸方向一方（側周壁部２０の外側）の開口を、フィルタ（多孔質シート）９０ｂで覆っているため、蓄熱体４が外側流路３２に入り込むのを、抑制することができる。
【0231】
また、図３６（Ｃ）、図３６（Ｄ）、図３６（Ｆ）、図３６（Ｇ）によると、開口部２０１の孔軸方向他方（側周壁部２０の内側）の開口を、フィルタ（多孔質シート）９０ｂで覆っているため、蓄熱体４が開口部２０１に入り込むのを、抑制することができる。
【0232】
なお、フィルタ９０ａ、９０ｂを、図８に示す管状流路部材６の内側開口部６０１、図２９～図３１に示す内側容器２の開口部２０１、図３４に示す中空板状流路部材６ａの内側開口部６０１に配置してもよい。以上まとめると、フィルタ９０ａ、９０ｂは、開口部２０１、６０１の孔内、孔外（孔軸方向両外側のうち、少なくとも一方）のうち、少なくとも一方に配置すればよい。
【0233】
外側容器３の形状と内側容器２の形状とは、同一（相似）であっても異なっていてもよい。例えば、外側容器３が多角形筒状、内側容器２が円筒状であってもよい。あるいは、その逆であってもよい。また、外側容器３と内側容器２とは、同軸上に配置されていても、配置されていなくてもよい。すなわち、外側容器３の中心軸Ａ２と内側容器の中心軸Ａ１とは、一致していても異なっていてもよい。互いの中心軸Ａ１、Ａ２が異なる場合、二つの中心軸Ａ１、Ａ２は、平行に配置されていても、互いに交差する方向に配置されていてもよい。外側容器３に対する内側容器２の配置数は特に限定しない。単一の外側容器３に対して、単一または複数の内側容器２を配置してもよい。外側容器３の代わりに、内側容器２から独立して、管状流路部材６、中空板状流路部材６ａに反応媒体（水蒸気）を供給する反応媒体供給部材（ヘッダー、マニホールドなど）を配置してもよい。また、反応媒体供給部材の内部に、外側流路３２を配置してもよい。
【0234】
（伝熱部材５、流路部材）
伝熱部材５の形状は特に限定しない。伝熱部材５が管状である場合、直管状（Ｉ字管状）、曲管状（Ｃ字管状、Ｓ字管状など）、直管部と曲管部とを適宜組み合わせた形状（Ｊ字管状、Ｕ字管状など）であってもよい。円形管状、多角形管状であってもよい。伝熱部材５は、内部に熱媒体流路５２を区画し、外面が蓄熱体４に当接する中空板状であってもよい。また、伝熱部材５は、内部に環状の熱媒体流路５２を区画し、外面および内面が蓄熱体４に当接する二重管状（外周壁部の形状と内周壁部の形状とは、同一でも異なっていてもよい）であってもよい。伝熱部材５が直管状、平板状の場合、伝熱部材５の軸方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、蓄熱体４の内部における伝熱部材５の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。また、蓄熱体４の内部に対する伝熱部材５のパス数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。また、蓄熱体４の内部における伝熱部材５の位置は特に限定しない。伝熱部材５に関する上述の事項は、流路部材（管状流路部材６、中空板状流路部材６ａ）についても同様である。また、伝熱部材５の外面（蓄熱体４に当接する面）および内面（熱媒体に当接する面）のうち少なくとも一方に、伝熱面積拡張部材（フィンなど）を配置してもよい。
伝熱部材５の形状は特に限定しない。伝熱部材５が管状である場合、直管状（Ｉ字管状）、曲管状（Ｃ字管状、Ｓ字管状など）、直管部と曲管部とを適宜組み合わせた形状（Ｊ字管状、Ｕ字管状など）であってもよい。円形管状、多角形管状であってもよい。伝熱部材５は、内部に熱媒体流路５２を区画し、外面が蓄熱体４に当接する中空板状であってもよい。また、伝熱部材５は、内部に環状の熱媒体流路５２を区画し、外面および内面が蓄熱体４に当接する二重管状（外周壁部の形状と内周壁部の形状とは、同一でも異なっていてもよい）であってもよい。伝熱部材５が直管状、平板状の場合、伝熱部材５の軸方向は特に限定しない。水平方向、垂直方向、水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、蓄熱体４の内部における伝熱部材５の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。また、蓄熱体４の内部に対する伝熱部材５のパス数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。また、蓄熱体４の内部における伝熱部材５の位置は特に限定しない。伝熱部材５に関する上述の事項は、流路部材（管状流路部材６、中空板状流路部材６ａ）についても同様である。また、伝熱部材５の外面（蓄熱体４に当接する面）および内面（熱媒体に当接する面）のうち少なくとも一方に、伝熱面積拡張部材（フィンなど）を配置してもよい。
【0235】
（直接支持部材７）
直接支持部材７の形状は特に限定しない。板状、棒状などであってもよい。収容部２２における直接支持部材７の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。直接支持部材７は、内側容器２に固定されていてもよい。また、直接支持部材７は、伝熱部材５に固定されていてもよい。すなわち、直接支持部材７は、内側容器２および伝熱部材５のうち少なくとも一方に対して、相対的に、移動可能であればよい。また、直接支持部材７の隣接部材は、特に限定しない。内側容器２、伝熱部材５以外の部材であってもよい。
直接支持部材７の形状は特に限定しない。板状、棒状などであってもよい。収容部２２における直接支持部材７の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。直接支持部材７は、内側容器２に固定されていてもよい。また、直接支持部材７は、伝熱部材５に固定されていてもよい。すなわち、直接支持部材７は、内側容器２および伝熱部材５のうち少なくとも一方に対して、相対的に、移動可能であればよい。また、直接支持部材７の隣接部材は、特に限定しない。内側容器２、伝熱部材５以外の部材であってもよい。
【0236】
内側容器２に対する直接支持部材７の移動方向は特に限定しない。軸方向（図９の矢印Ｙ１、または矢印Ｙ１の逆方向）、傾動方向（図１０の矢印Ｙ２、または矢印Ｙ２の逆方向）、回動方向（図８の中心軸Ａ１を中心とする円の周方向（時計回り方向、反時計回り方向））などであってもよい。また、図１０においては、図８に示す円環状の第一摺動部７２０の下端を基点に、直接支持部材７が傾動しているが、円環状の第一摺動部７２０の上端、左端、右端などを基点に、直接支持部材７が傾動してもよい。伝熱部材５に対する直接支持部材７の移動方向（逆に言えば、直接支持部材７に対する伝熱部材５の移動方向）についても同様である。
【0237】
伝熱部材５の配置数と、直接支持部材７の配置数と、は同一でも異なっていてもよい。単一の伝熱部材５を複数の直接支持部材７で支持してもよい。複数の伝熱部材５を単一の直接支持部材７で支持してもよい。複数の伝熱部材５を複数の直接支持部材７で支持してもよい。収容部２２における直接支持部材７の位置は特に限定しない。伝熱部材５の軸方向長さ、強度、複数の部屋２２０の容積などを考慮して、直接支持部材７の位置を決めればよい。
【0238】
（間接支持部材８７）
間接支持部材８７の形状は特に限定しない。板状、棒状などであってもよい。外側流路３２における間接支持部材８７の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。間接支持部材８７は、内側容器２に固定されていてもよい。また、間接支持部材８７は、外側容器３に固定されていてもよい。また、間接支持部材８７の隣接部材は、特に限定しない。内側容器２、外側容器３以外の部材であってもよい。すなわち、間接支持部材８７は、内側容器２および外側容器３のうち少なくとも一方に対して、相対的に、移動可能であればよい。
間接支持部材８７の形状は特に限定しない。板状、棒状などであってもよい。外側流路３２における間接支持部材８７の配置数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。間接支持部材８７は、内側容器２に固定されていてもよい。また、間接支持部材８７は、外側容器３に固定されていてもよい。また、間接支持部材８７の隣接部材は、特に限定しない。内側容器２、外側容器３以外の部材であってもよい。すなわち、間接支持部材８７は、内側容器２および外側容器３のうち少なくとも一方に対して、相対的に、移動可能であればよい。
【0239】
内側容器２に対する間接支持部材８７の移動方向（逆に言えば、間接支持部材８７に対する内側容器２の移動方向）は特に限定しない。軸方向（図２５の矢印Ｙ１、または矢印Ｙ１の逆方向）、傾動方向（図２６の矢印Ｙ２、または矢印Ｙ２の逆方向）、回動方向（図２３の中心軸Ａ２を中心とする円の周方向（時計回り方向、反時計回り方向））などであってもよい。また、図２６においては、図２３に示す円環状の第二摺動部８７４の下端を基点に、内側容器２が傾動しているが、円環状の第二摺動部８７４の上端、左端、右端などを基点に、内側容器２が傾動してもよい。外側容器３に対する間接支持部材８７の移動方向についても同様である。
【0240】
内側容器２の配置数と、間接支持部材８７の配置数と、は同一でも異なっていてもよい。単一の内側容器２を、複数の間接支持部材８７で支持してもよい。複数の内側容器２を単一の間接支持部材８７で支持してもよい。複数の内側容器２を複数の間接支持部材８７で支持してもよい。収容部２２における間接支持部材８７の位置は特に限定しない。内側容器２の軸方向長さ、強度などを考慮して、間接支持部材８７の位置を決めればよい。開口部８７０の形状、配置数、位置などは特に限定しない。外側流路３２の全体が、開口部８７０を介して、連通すればよい。
【0241】
（熱応力抑制部材９４）
熱応力抑制部材９４の形状（直管部５０の管軸方向の形状、管軸方向に対して直交する方向の形状）、配置、配置数等は特に限定しない。形状について、熱応力抑制部材９４は円筒状であっても、多角形筒状であってもよい。配置について、熱応力抑制部材９４は、外周面５０３（収容部２２に対応する区間）の少なくとも一部（好ましくは全面）を覆っていればよい。配置数について、単一の外周面５０３（収容部２２に対応する区間）に、複数の熱応力抑制部材９４を配置してもよい。潤滑剤９４０の外周面５０３への配置方法は特に限定しない。例えば、塗布、印刷、蒸着、接着、溶着、圧着、ボルト止め、ネジ止め、嵌合などが挙げられる。
熱応力抑制部材９４の形状（直管部５０の管軸方向の形状、管軸方向に対して直交する方向の形状）、配置、配置数等は特に限定しない。形状について、熱応力抑制部材９４は円筒状であっても、多角形筒状であってもよい。配置について、熱応力抑制部材９４は、外周面５０３（収容部２２に対応する区間）の少なくとも一部（好ましくは全面）を覆っていればよい。配置数について、単一の外周面５０３（収容部２２に対応する区間）に、複数の熱応力抑制部材９４を配置してもよい。潤滑剤９４０の外周面５０３への配置方法は特に限定しない。例えば、塗布、印刷、蒸着、接着、溶着、圧着、ボルト止め、ネジ止め、嵌合などが挙げられる。
【0242】
フィルム部材９４１の前後両端部（潤滑剤９４０を封止する封止部）は、挿通孔２１０に収容されていてもよい。また、当該前端部は、端壁部２１に固定されていてもよい。また、当該前後両端部は、外周面５０３に固定されていてもよい。当該前後両端部の固定方法としては、例えば、接着、溶着、圧着、ボルト止め、ネジ止めなどが挙げられる。なお、当該前後両端部は、隣接部材（内側容器２、直管部５０など）に固定されていなくてもよい。
【0243】
［材料］
化学蓄熱装置１を構成する各部材（内側容器２、外側容器３、伝熱部材５、管状流路部材６、中空板状流路部材６ａ、直接支持部材７、間接支持部材８７、反応媒体給排管８０、伝熱部材取付板８１、熱媒体給排筒８２、隔壁８３、熱媒体供給管８４、熱媒体排出管８５、端板８６）の材質は特に限定しない。強度、比熱、作動温度などを考慮して、金属（例えば、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鉄など）、セラミック、樹脂などを用いればよい。
化学蓄熱装置１を構成する各部材（内側容器２、外側容器３、伝熱部材５、管状流路部材６、中空板状流路部材６ａ、直接支持部材７、間接支持部材８７、反応媒体給排管８０、伝熱部材取付板８１、熱媒体給排筒８２、隔壁８３、熱媒体供給管８４、熱媒体排出管８５、端板８６）の材質は特に限定しない。強度、比熱、作動温度などを考慮して、金属（例えば、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鉄など）、セラミック、樹脂などを用いればよい。
【0244】
熱応力抑制部材９４の材質は特に限定しない。フィルム部材９４１は、ステンレス、アルミニウムなどの金属であってもよい。あるいは、樹脂であってもよい。フィルム部材９４１を金属箔製とすると、簡単にフィルム部材９４１を変形させることができる。また、金属箔は薄肉であるため、蓄熱体４と直管部５０との間の伝熱性を向上させることができる。潤滑剤９４０の状態は特に限定しない。固体状（塊状、粉体状）、液体状、ペースト状などであってもよい。固体状の潤滑剤９４０としては、黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素などが挙げられる。液体状の潤滑剤９４０としては、熱媒オイル、オイルに黒鉛を添加した液体などが挙げられる。ペースト状の潤滑剤９４０としては、シリコーンオイルを基油とする放熱グリス、金属破片やホウ素などが添加されたペースト材などが挙げられる。
【0245】
反応媒体の流動性を確保するために、内側容器２、流路部材（管状流路部材６、中空板状流路部材６ａ）、間接支持部材８７は、多孔性を有するメッシュ部材（パンチングメタル、メッシュフィルタ、樹脂製の不織布など）製であってもよい。また、図３６（Ａ）～図３６（Ｇ）に示すフィルタ（多孔質体）９０ａ、フィルタ（多孔質シート）９０ｂの材質は特に限定しない。例えば、セラミック、焼結金属、樹脂、金網（織金網、クリンプ金網、溶接金網、焼結金網など）、メッシュなどが挙げられる。
【0246】
蓄熱体４の蓄熱材粒子に用いられる化学蓄熱材の種類は特に限定しない。例えば、アルカリ土類金属（Ｍｇ、Ｃａ、Ｓｒ、Ｂａなど）の化合物（酸化物、水酸化物、炭酸化物、塩化物、硫酸化物など）であってもよい。化合物は、アルカリ土類金属を一種以上含んでいればよい。具体的には、水酸化カルシウム（Ｃａ（ＯＨ）２）、水酸化マグネシウム（Ｍｇ（ＯＨ）２）、水酸化バリウム（Ｂａ（ＯＨ）２）、マグネシウムとカルシウムの複合水酸化物、酸化カルシウム（ＣａＯ）、酸化マグネシウム（ＭｇＯ）、マグネシウムとカルシウムの複合酸化物などであってもよい。
【0247】
蓄熱材粒子の平均一次粒子径は特に限定しない。例えば、０．１μｍ以上１０μｍ以下であればよい。平均一次粒子径は、例えば、レーザー回折法により求められる蓄熱材粒子の粒度分布（粒径分布）のメディアン径である。
【0248】
蓄熱体４に含まれる粘土鉱物の種類は特に限定しない。例えば、セピオライト、アタパルジャイト、カオリナイト、ベントナイトなどであってもよい。これらの粘土鉱物は、単体で、あるいは二種以上混合して、用いることができる。粘土鉱物の繊維径は特に限定しない。
【0249】
蓄熱体４の形態は特に限定しない。粉体状であっても、塊状であってもよい。塊状の場合、成形体（蓄熱材粒子や蓄熱材顆粒のプレス成形体を焼成したもの）であってもよい。反応媒体の種類は特に限定しない。化学蓄熱材の種類に応じて、例えば、水蒸気（水）、アンモニアなどを用いることができる。熱媒体の種類は特に限定しない。例えば、水蒸気（水）、オイル（シリコーンオイルなど）、空気、溶融塩などを用いることができる。反応媒体、熱媒体は、気体でも液体でもよい。流動性を有していればよい。
【符号の説明】
【0250】
１：化学蓄熱装置、２：内側容器（反応器）、２０：側周壁部、２００：取付孔、２０１：開口部、２０３：内周面（対向面）、２０４：外周面（対向面）、２１：端壁部、２１０：挿通孔、２２：収容部、２２０：部屋、２２０ａ：小部屋、３：外側容器、３０：側周壁部、３０３：内周面（対向面）、３１：端壁部、３１０：取付孔、３２：外側流路（空間）、４：蓄熱体、４０：分割体、５：伝熱部材、５０：直管部、５０Ａ：収容区間、５０Ｂ：非収容区間、５０３：外周面（対向面）、５１：曲管部、５２：熱媒体流路、６：管状流路部材、６ａ：中空板状流路部材、６０：内側流路、６００：外側開口部、６０１：内側開口部、７：直接支持部材（支持部材）、７０：支持孔、７００：外周面、７１：基部、７２：第一介在部（介在部）、７２０：第一摺動部（摺動部）、７３：ボール、７４：軸受部材、７４０：コロ、７４１：リテーナ、７５：第二介在部（介在部）、７５０：第二摺動部（摺動部）、７６：凹部、８０：反応媒体給排管、８１：伝熱部材取付板、８１０：取付孔、８２：熱媒体給排筒、８２０：取付孔、８３：隔壁、８３０：供給室、８３１：排出室、８４：熱媒体供給管、８５：熱媒体排出管、８６：端板、８７：間接支持部材（支持部材）、８７０：開口部、８７１：支持孔、８７２：基部、８７３：第一摺動部（摺動部）、８７４：第二摺動部（摺動部）、８７５：第一介在部（介在部）、８７６：第二介在部（介在部）、８７７：凹部、８７８：ボール、８７９：軸受部材、８７９ａ：コロ、８７９ｂ：リテーナ、８８：脚部、９０ａ：フィルタ、９０ｂ：フィルタ、９４：熱応力抑制部材、９４０：潤滑剤、９４１：フィルム部材、Ａ１～Ａ３：中心軸、Ｂ：密着区間、Ｃ：隙間、Ｒ１：反応媒体ルート、Ｒ２：熱媒体ルート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】