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特開2024-146731画像処理装置、読取装置、画像形成装置、データ管理システム、生体イメージング装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146731
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像処理装置、読取装置、画像形成装置、データ管理システム、生体イメージング装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20241004BHJP
   H04N 1/191 20060101ALI20241004BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241004BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H04N1/60
H04N1/191
G06T1/00 510
H04N1/407
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213375
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2023058946
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 歩
【テーマコード(参考)】
5B057
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
5B057BA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB06
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE12
5B057CE17
5B057CE18
5B057DA17
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC25
5C072AA01
5C072BA04
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA04
5C072EA04
5C072NA01
5C072QA16
5C077LL19
5C077MP08
5C077PP37
5C077PP44
5C077PP45
5C077PQ24
5C077RR02
5C077SS01
(57)【要約】
【課題】色味が変わった黒画像を復元することができる画像処理装置、読取装置、画像形成装置、データ管理システム、生体イメージング装置および方法を提供する。
【解決手段】被写体を可視波長域の光源の光に感度をもつセンサで読み取った可視画像データおよび前記被写体を不可視波長域の光源の光に感度をもつセンサで読み取った不可視画像データが入力される入力部と、前記可視画像データに対し、同じ位置での前記不可視画像データをもとに、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行った画像データを生成する画像処理部と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を可視波長域の光源の光に感度をもつセンサで読み取った可視画像データおよび前記被写体を不可視波長域の光源の光に感度をもつセンサで読み取った不可視画像データが入力される入力部と、
前記可視画像データに対し、同じ位置での前記不可視画像データをもとに、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行った画像データを生成する画像処理部と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記不可視画像データから、各位置の不可視成分の吸収率を表す濃度情報を抽出する不可視成分濃度レベル抽出部を備え、
前記画像処理部は、前記不可視画像データの前記濃度情報に基づいて、当該不可視画像データと同じ位置の前記可視画像データに対し、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行う、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、低彩度化あるいは低明度化の少なくともいずれか一方を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理部が生成した前記画像データを外部装置に出力する出力部をさらに有する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記被写体の前記可視画像データと、前記画像処理部が生成した前記画像データとを前記外部装置に出力する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部が生成した前記画像データから指定色を除去する指定色除去部と、
前記指定色の除去後の画像データに単色化処理を行う単色化処理部と、
をさらに有し、
前記出力部は、前記単色化処理後の画像データを前記外部装置に出力する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記指定色除去部は、ユーザが設定した指定色を、前記画像処理部が生成した前記画像データから除去する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記単色化処理部で単色化された画像データを多値画像データとして出力する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記単色化処理部で単色化された画像データを2値化した2値画像データを出力する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記不可視成分濃度レベル抽出部は、N値化処理を行った結果を、前記濃度情報として出力する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記不可視成分濃度レベル抽出部は、設定された地肌レベルおよび黒レベルに基づき閾値を決定する閾値決定部を有し、前記閾値決定部が決定した閾値を基準にN値化処理を行う、
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記閾値決定部は、
前記被写体の可視画像データの地肌レベルを検出する地肌レベル検出部と、
前記被写体の可視画像データの黒レベルを検出する黒レベル検出部と
を有し、
前記地肌レベル検出部で検出した地肌レベルと前記黒レベル検出部で検出した黒レベルとに基づき前記被写体の前記可視画像データの各領域に対応する前記閾値を決定する
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記画像処理部は、
RGB画像データを色相彩度明度信号に変換する彩度明度変換部と、
前記不可視画像データの前記濃度情報に基づいて、当該不可視画像データと同じ位置の前記色相彩度明度信号に対し、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正する色補正処理を行い、前記色補正処理後の信号データを再度RGB画像データに変換するRGB変換部と、
を有する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記彩度明度変換部は、前記不可視画像データの前記濃度情報に対し、彩度と明度に対してそれぞれの1次元LUTにより彩度調整係数と明度調整係数を決定し、前記彩度調整係数と前記明度調整係数を元に補正を行う、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記画像処理部は、ユーザが設定した彩度調整および明度調整の設定値に応じて、彩度および明度の調整係数を調整する、
請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記不可視成分濃度レベル抽出部は、前記不可視画像データの前記濃度情報として、カーボン含有率を用いる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のうちの何れか一項に記載の画像処理装置と、
前記被写体に可視波長の光を照射する可視光光源と、
前記被写体に不可視波長の光を照射する不可視光光源と、
前記被写体からの可視波長の反射光を受光し、可視画像データを出力する第一のイメージセンサと、
前記被写体からの不可視波長の反射光を受光し、不可視画像データを出力する第二のイメージセンサと、
を有する読取装置。
【請求項18】
請求項1乃至16のうちの何れか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理部で生成した前記画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、
を有する画像形成装置。
【請求項19】
請求項4または5に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置から送信される、前記可視画像データと、前記画像処理部が生成した前記画像データとを、紐づけて管理する情報処理装置と、
を有するデータ管理システム。
【請求項20】
請求項1乃至16のうちの何れか一項に記載の画像処理装置を備える、
生体イメージング装置。
【請求項21】
被写体を可視波長域の光源の光に感度をもつセンサで読み取った可視画像データを画像処理する方法であって、
前記被写体の前記可視画像データおよび前記被写体を不可視波長域の光源の光に感度をもつセンサで読み取った不可視画像データを入力するステップと、
前記可視画像データに対し、同じ位置での前記不可視画像データをもとに、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行った画像データを生成するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、読取装置、画像形成装置、データ管理システム、生体イメージング装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャンした画像から自動で文字情報を抽出するOCR(Optical Character Recognition)の技術がある。文書に印字されている会社名に印鑑が打たれている場合などは、その印影を除去するためにカラードロップアウト機能を用いて特定色を除去してから、OCRを行うケースがある。
【0003】
特許文献1には、カメラにおいて、被写体の一部が暗部領域になった時の色情報を補正することを目的とし、赤外光画像データから抽出した被写体領域に対応する可視光画像の領域のうち彩度情報または輝度情報が高い領域から取得した色情報で、暗部領域の色情報を補正する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術によれば、印影が重なることで赤みがかった領域に対し、彩度または明度を高い値となる補正を行って印影除去を行った場合、赤みを帯びた黒文字部も除去してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、色味が変わった黒画像を復元することができる画像処理装置、読取装置、画像形成装置、データ管理システム、生体イメージング装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像処理装置は、被写体を可視波長域の光源の光に感度をもつセンサで読み取った可視画像データおよび前記被写体を不可視波長域の光源の光に感度をもつセンサで読み取った不可視画像データが入力される入力部と、前記可視画像データに対し、同じ位置での前記不可視画像データをもとに、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行った画像データを生成する画像処理部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、色味が変わった黒画像を復元することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる画像処理装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、不可視光として近赤外光を使用する場合の一例を示す図である。
図3図3は、色材の光吸収特性を示す図である。
図4図4は、読取装置の構成の一例を示す図である。
図5図5は、読取装置の制御ブロックの構成の一例を示す図である。
図6図6は、陰影除去に際し、黒文字を補正するための構成を模式的に示した図である。
図7図7は、第1の実施の形態にかかる画像処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、NIR濃度レベルにより低彩度や低明度化の補正レベルを切り替える効果を示す図である。
図9図9は、近赤外色補正部で処理される画像の説明図である。
図10図10は、従来方式で特定色の除去を行った場合の比較図である。
図11図11は、実施の形態の変形例1にかかる読取装置の構成の一例を示す図である。
図12図12は、実施の形態の変形例2にかかる読取装置の構成の一例を示す図である。
図13図13は、実施の形態の変形例3にかかる読取装置の構成の一例を示す図である。
図14図14は、変形例3を応用した実施例の一例を示す図である。
図15図15は、変形例4にかかるNIR濃度レベル抽出部の説明図である。
図16図16は、変形例5にかかるNIR濃度レベル抽出部において閾値の決定を行う説明図である。
図17図17は、変形例6にかかるNIR濃度レベル抽出部の構成の一例を示す図である。
図18図18は、変形例7にかかる彩度・明度補正部における処理の一例を示す図である。
図19図19は、彩度・明度補正処理の彩度調整および明度調整を行うUI設定画面の一例を示す図である。
図20図20は、罫線等の指定色を除去するための構成の説明図である。
図21図21は、変形例8にかかる画像補正部の構成の一例を示す図である。
図22図22は、変形例9にかかる構成の一例を示す図である。
図23図23は、変形例10にかかる構成の一例を示す図である。
図24図24は、第2の実施の形態にかかる画像処理装置を含むシステムの構成の一例を示す図である。
図25図25は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図26図26は、第4の実施の形態にかかる生体イメージング装置の構成の一例を示す図である。
図27図27は、第4の実施の形態にかかる生体イメージング装置における生体イメージングでの応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像処理装置、読取装置、画像形成装置、データ管理システム、生体イメージング装置および方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像処理装置の構成の一例を示す図である。画像処理装置00は、入力部1a、画像処理部2a、抽出部3a、および出力部4aを有する。
【0011】
入力部1aは、被写体画像を入力する。被写体画像は、被写体の可視画像データD1と被写体の不可視画像データD2である。抽出部3aは、入力部1aから入力した不可視画像データD2から、各位置の不可視成分の吸収率を表す濃度情報を抽出する。
【0012】
画像処理部2aは、抽出部3aが抽出した濃度情報に基づいて、不可視画像データD2と同じ位置の可視画像データD1に対し、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行った画像データD3を生成する。出力部4aは、画像データD3を出力する。出力部4aが出力する出力先は、例えば、画像処理装置00の表示部や、画像処理装置00に接続された外部装置など、適宜決めてよい。
【0013】
第1の実施の形態として、画像処理装置00を読取装置に適用した場合の例を示す。まず読取装置の全体構成を示し、読取装置内で被写体の可視画像データD1の黒文字領域に該当する部分を黒で表示させる画像データD3を生成する処理を説明する。
【0014】
なお、読取装置において、撮像部が入力部1aに相当する。ここに示す読取装置の構成は一例であり、光源の光を被写体に照射して、被写体からの光を撮像部で撮像することにより被写体画像を読み取る読取装置であればよい。
【0015】
また、画像処理部2aと抽出部3aの処理は、後述する被写体画像に対する印影除去のための処理に相当する。この処理の一部またはすべては、読取装置内で行ってもよいし、読取装置とは別体に設けた画像処理装置で、読取装置が読み取った被写体画像を入力するなどして行ってもよい。画像処理装置ですべて行う場合、サーバまたはメモリに保存されている被写体画像を画像処理装置が入力してもよい。本実施の形態では、画像処理装置を読取装置に適用した例を示すが、画像処理装置は、読取装置とは別体で設けることができる。
【0016】
以下で被写体のことを読取対象と言う場合がある。読取対象は、黒色の文字などが印字されている黒文字領域に印影などの除去対象が重なっているものである。一例として、印鑑が押されている各種証明書、文書、あるいは帳票などのような紙原稿を示すが、除去対象を印影に限定するものではない。また、読取対象を紙原稿に限定するものではない。
【0017】
また、「可視画像データ」とは、可視波長域の光源の光(可視光)に感度をもつイメージセンサ等のセンシングデバイスで読み取った画像データを指す。また、「不可視画像データ」とは、赤外線(近赤外を含む)や紫外線などの不可視波長域の光源の光に感度をもつイメージセンサ等のセンシングデバイスで読み取った画像データを指す。以下では「不可視画像データ」の一例として近赤外画像データ(以下では、単に近赤外画像と言う)を示すが、近赤外画像に限定するものではない。一例として、不可視光として近赤外光を使用する例を示す(図2参照)。図2に示されるように、一般的なシリコンのイメージセンサでは近赤外領域(おおよそ750nm~1100nm付近)で感度を持っている。そのため、従来使用されている汎用のイメージセンサを使用できるため、簡易な構成で実現することが可能となる。
【0018】
黒文字に使用される黒インク、黒トナー、あるいは黒鉛筆は、カーボンを含んでいる。カーボンは可視領域、赤外領域の光を吸収する特徴がある。そのため、可視領域及び赤外領域でも黒く読み取ることができる。一方、カラーインクおよびCMY色トナーは、赤外領域の光を透過する特徴がある。この特徴を図3に示す。横軸は光の波長、縦軸は光の吸収率を示す。図3で黒とは上記のようにカーボンを含んだ材料の色を、グレーとはグレーインク又は黒トナーで間引きながら印字した色、カラー混合とはCMY色を混合して作成した色(以下、カラー混合黒とする)を示している。カラー混合黒は、可視領域は光を吸収するが、近赤外領域の光は透過するため、近赤外領域では白紙の白として読み取れる。ここで、可視領域及び不可視領域(近赤外領域)にわたって吸収率が所定値以上の部分(画素)を、「指定領域」と定義する。一例として、吸収率40%以上の色(画素)を指定領域(黒領域)としている。
【0019】
図4は、読取装置の構成の一例を示す図である。読取装置1の本体10は、上面にコンタクトガラス11を有し、本体10の内部に撮像部を有する。本体10の内部には、光源13、第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、レンズユニット16、イメージセンサ17などが備えられている。第1キャリッジ14は光源13と反射ミラー14-1とを有し、第2キャリッジ15は反射ミラー15-1、15-2を有する。また、本体10は制御ボードを備える。制御ボードは、図5に示す制御部300であり、読取装置1全体を制御する。
【0020】
制御ボードは、第1キャリッジ14および第2キャリッジ15を移動させながら、光源13の光を照射するなどして、コンタクトガラス11上に配置された読取対象からの反射光をイメージセンサ17で順次読み取る。光源13の光の照射により、読取対象で反射した光は第1キャリッジ14のミラー14-1と第2キャリッジ15のミラー15-1、15-2で折り返されてレンズユニット16に入射し、レンズユニット16から出射した光がイメージセンサ17上に結像する。イメージセンサ17は、読取対象からの反射光を受光して画像信号を出力する。イメージセンサ17は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary MOS)などのイメージセンサであり、読取対象の画像を読み取る読取部に相当する。
【0021】
光源13には、可視光光源と近赤外光光源とを設けている。イメージセンサ17は、読取対象に照射した可視光の反射光を受光して画像を出力する第1のイメージセンサと、読取対象に照射した近赤外光の反射光を受光して画像を出力する第2のイメージセンサとを有する。読取対象に対し可視光の照射で受光した画像を可視画像と呼び、読取対象に対し近赤外光の照射で受光した画像を近赤外画像と呼ぶ。なお、光源として可視光光源と近赤外光光源を別々に設けているが、一つの光源であってもよい。
【0022】
第1のイメージセンサおよび第2のイメージセンサは、可視画像と近赤外画像とをそれぞれ出力することが可能であれば、一つのイメージセンサで構成してもよいし、それぞれのイメージセンサを個別に設けてもよい。
【0023】
基準白板12は白補正用の部材である。
【0024】
図4に示す読取装置1はADF(Automatic Document Feeder)20を搭載したものである。ADF20は片側を上に持ち上げると上に開き、コンタクトガラス11の面が露出する。ユーザは、コンタクトガラス11上に読取対象をセットして、ADF20を下げ、ADF20を読取対象の背面からコンタクトガラス11上の面に押し当てる。そして、スキャン開始のボタンが押されると、第1キャリッジ14と第2キャリッジ15が主走査方向および副走査方向に駆動し、読取対象全体が読み取られる。
【0025】
また、コンタクトガラス11上に読取対象をセットして読み取る方法の他に、次の方法でも読取対象の読み取りが可能である。ADF20は、読取対象をシートスルー方式で読み取ることもできるようになっている。ADF20では、ADF20のトレイ21から読取対象の束をピックアップローラ22が1枚ずつに分離し、各種搬送ローラ24等の制御により、搬送路23を搬送する読取対象の片面または両面を読み取って排紙トレイ25に排出する。
【0026】
ADF20によるシートスルー方式での読取対象の読み取りは、読取窓19を介して行う。この例では第1キャリッジ14および第2キャリッジ15を所定のホームポジションに移動して固定し、読取窓19と背景部26との間を読取対象が通過する際、読取窓19側に向けられている読取対象の表面に光源13の光を照射して画像を読み取る。読取窓19はコンタクトガラス11の一部に設けられたスリット状の読取窓である。また、背景部26は背景部材である。
【0027】
ADF20により読取対象の両面読取を行う場合には、読取対象が読取窓19を通過した後に、読取対象の背面側に設けられている第2の読取手段の読取モジュール27により裏面を読み取る。読取モジュール27は、光源を含む照射部と、第2の読取部である密着型イメージセンサとを有し、第2面に照射された光の反射光を密着型イメージセンサで読み取る。なお、この光源にも可視光光源と近赤外光光源とを設け、可視画像と近赤外画像との読み取りができるようにしてもよい。背景部材28は濃度基準部材である。
【0028】
次に、読取装置1の制御ブロックの構成について説明する。
【0029】
図5は、読取装置1の制御ブロックの構成の一例を示す図である。読取装置1は、図5に示すように、制御部300、操作パネル301、各種センサ302、スキャナモータ303、搬送路の各種モータ304、駆動モータ305、出力部306、および撮像部40を有する。その他にも各種の制御対象が接続されている。各種センサ302は、読取対象を検知するセンサである。スキャナモータ303は、本体10の第1キャリッジ14と第2キャリッジ15を駆動するモータである。搬送路の各種モータ304は、ADF20に設けられている各種モータである。出力部306は、出力部4aが画像データを外部装置に出力するための出力インターフェースに相当する。出力インターフェースは、USB等のインターフェースでもネットワークに接続する通信インターフェースでもよい。
【0030】
操作パネル301は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置である。操作パネル301は、ユーザからの各種設定や読取実行(スキャン開始)などの入力操作を操作ボタンやタッチ入力等で受け付け、対応する操作信号を制御部300に送信する。また、操作パネル301は、制御部300からの各種表示情報を表示画面に表示する。例えば、操作パネル301は、ユーザが被写体などに押された印鑑の印影を除去するための各種設定ボタンを備え、設定ボタンの入力操作があると制御部300に設定を指示する。表示画面の設定画面において印影の除去を行うか否かの選択を行うようにしてもよい。また、スキャン実行のボタンが操作されると常に印影の除去が実行されるような設定としてもよい。また、印影の除去に使用した各種データを外付けメモリに保存したり、外部装置に出力したりしてもよい。
【0031】
撮像部40は、入力部1aに対応する。撮像部40は、光源部401と、センサチップ402と、増幅器403と、A/D404と、画像補正処理部405と、フレームメモリ406と、出力制御回路407と、I/F回路408とを有し、読取対象から読み取った画像がフレーム毎に出力制御回路407からI/F回路408を通じて制御部300に出力される。各センサチップ402は、イメージセンサ17の画素センサである。光源部401は、光源13である。
【0032】
撮像部40は、コントローラ307によって駆動される。例えば撮像部40は、コントローラ307からの点灯信号に基づいて光源部401を点灯して読取対象に可視光と近赤外光とを設定したタイミングで照射する。また、撮像部40は、イメージセンサ17のセンサ面に結像した読取対象からの光を各センサチップ402で電気信号に変換して出力する。
【0033】
撮像部40は、各センサチップ402から出力された画素信号を、増幅器403により増幅し、A/D404によりアナログ信号からデジタル信号に変換して画素のレベル信号を出力する。画像補正処理部405は、各画素からの出力信号に対する画像補正処理を施す。例えば画像補正処理部405は、各画素からの出力信号に対しシェーディング補正等を行う。
【0034】
画像補正処理後、各データはフレームメモリ406に蓄積され、蓄積された読取画像が出力制御回路407、I/F回路408を介して制御部300に転送される。
【0035】
制御部300は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を備え、CPUが装置全体を制御して読取対象に対する読取動作や、読取動作で得た読取画像に対し印影除去などの処理を実行する。
【0036】
制御部300は、処理部30およびNIR濃度レベル抽出部32を有する。処理部30およびNIR濃度レベル抽出部32は、CPUが所定のプログラムを実行して発揮する機能部により実現することができる。また、この他にもASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現することもできる。
【0037】
(印影除去について)
続いて、印影除去について詳しく説明する。読取対象として文書等を例示し、その文書等をスキャンして読み取った読取画像から、印鑑の印影を、特定色を除去する指定色除去機能を用いて除去するための構成や方法を示す。なお、黒文字に使用される黒インク、黒トナー、あるいは黒鉛筆は、カーボンを含んでいる。カーボンは赤外領域の光を吸収する特徴がある。一方、カラーインクおよびCMY色トナーは、赤外領域の光を透過する特徴がある。カラーインクやCMY色トナーのような黒以外の色を色インクや色トナーなどのように「色***」と称する場合がある。
【0038】
従って、読取対象に近赤外光を照射して近赤外画像を読み取ると、紙媒体上に色成分により形成されている部分では、近赤外光が透過し、その近赤外光が紙媒体で反射するため、紙媒体が輝度値の大きい白色などの明るい色として読み取られる。
【0039】
これに対し、黒の印字領域は、可視光でも近赤外光でも光が吸収される。黒文字領域は近赤外光が吸収されるため、反射する光量が少なく、輝度値が小さい黒色として読み取られる。印影が重なっている黒文字領域も、印影を近赤外光が透過するが、印影が重なっている黒文字領域の部分で近赤外光が吸収されるため、可視光下では赤みがかった色であっても近赤外画像では同じく黒色として読み取られる。また、黒文字領域は、印影が重なっていない部分は可視光でも黒色として読み取られる。
【0040】
図6は、陰影除去に際し、黒文字を補正するための構成を模式的に示した図である。撮像部40は、図5において説明した可視光光源13-1および可視イメージセンサ17-1と、近赤外光光源13-2および近赤外イメージセンサ17-2とを、それぞれ含む。撮像部40は、読取対象に可視光光源13-1の光を照射し、読取対象からの反射光を可視イメージセンサ17-1で受光して可視画像(一例としてRGB画像)を出力する。また、撮像部40は、同じ読取対象に近赤外光光源13-2の光を照射し、読取対象からの反射光を近赤外イメージセンサ17-2で受光して近赤外画像(NIR画像)を出力する。撮像部40は、同じ読取対象から可視画像と近赤外画像を両方同時に読み取ることができる。なお、読取対象が同じものであれば、撮像部40は、可視画像と近赤外画像とを両方同時に読み取る必要はなく、それぞれの撮像対象の位置が一致していれば異なるタイミングでも良い。
【0041】
処理部30は、彩度・明度補正部31およびNIR濃度レベル抽出部32を有する。彩度・明度補正部31およびNIR濃度レベル抽出部32は、近赤外色補正部30-1としてまとめて示している。この構成では、処理部30の彩度・明度補正部31が、画像処理部2a(図1参照)に対応し、NIR濃度レベル抽出部32が抽出部3a(図1参照)に対応する。
【0042】
近赤外色補正部30-1は、撮像部40が撮像した可視画像と近赤外画像を入力する。近赤外色補正部30-1は、入力された不可視画像から不可視信号でのカーボン含有率としての濃度レベル抽出を行い、その判定された濃度レベルを利用して、可視画像の同一位置に対し、色情報の彩度や明度の補正を行う処理を行う。
【0043】
より詳細には、NIR濃度レベル抽出部32は、入力された不可視画像(近赤外画像)から不可視信号でのNIR濃度レベルの判定を行い、彩度・明度補正部31に出力する。彩度・明度補正部31は、NIR濃度レベル抽出部32が判定したNIR濃度レベルを利用して、可視画像(RGB画像)の同一位置に対し、色情報の彩度と明度との少なくとも一方の補正を行う処理を行う。彩度・明度補正部31は、補正されたR´G´B´画像を後段処理に出力する。R´G´B´画像は、第一処理画像に相当する。なお、彩度・明度補正部31は、彩度および明度の補正として、いずれか一方のみ補正でも両方を補正する構成でも良い。
【0044】
ここで、RGB画像は、R(Red)版画像、G(Green)版画像、およびB(Blue)版画像であり、彩度・明度補正部31は、R版画像、G版画像、およびB版画像のそれぞれを対象に、対象の色画素の彩度や明度の補正を行う。R´G´B´画像は、R´版画像、G´版画像、およびB´版画像である。
【0045】
例えば、彩度・明度補正部31は、低彩度化あるいは低明度化の少なくともいずれか一方を行う。一般的に、インクは近赤外波長光では透過する特性がある。このため、近赤外成分を検出することの利点として、見た目の色だけでなく近赤外成分に含まれるブラック成分を利用して、彩度・明度補正部31は、低彩度・低明度化させる方向の調整を行うことで、色重なりによる黒文字の色味変化を補正することができる。
【0046】
図7は、第1の実施の形態にかかる画像処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、入力部1aまたは撮像部40は、可視イメージセンサ17-1により読取対象の可視画像データを取得し(S10)、近赤外イメージセンサ17-2により被写体の不可視画像データを取得する(S20)。上述のとおり、読取対象が同じものであれば、撮像部40は、可視画像データと不可視画像データとを同時に読み取る必要はなく、それぞれの読取対象の位置が一致していれば異なるタイミングで各画像データを取得しても良い。
【0047】
次に、抽出部3aまたはNIR濃度レベル抽出部32は、取得した不可視画像の濃度情報を抽出し、これに基づいて補正処理の対象位置(処理対象位置)を決定する(S21)。
【0048】
次に、画像処理部2aまたは彩度・明度補正部31は、決定した処理対象位置と取得した不可視画像の濃度情報を用いて、可視画像データの同一位置に対し、彩度あるいは明度の少なくとも一方の色補正を行った画像データを生成する(S22)。
【0049】
ここで、図8はNIR濃度レベルにより低彩度や低明度化の補正レベルを切り替える効果を示す図である。図8に示すように、黒文字領域だけでなく、彩度や明度が低い濁った色などを表現する際に、K色を含めて色が構成されているケースがある。このような色の場合にも不可視画像(近赤外画像)としては光吸収がされ、不可視画像(近赤外画像)はある程度グレーで表示される。不可視画像(近赤外画像)で光吸収がある領域を全て黒文字領域とし、一律に黒文字に近づける処理を行うと、濁った色(高墨の色)も大きく低彩度化してしまい、色味成分を失ってしまい、原本と大きく異なる画質となってしまう。そこで、NIR濃度レベルに応じて彩度や明度調整のレベルを切り替えることで、色味の変わった黒文字を元の色に近づけつつ、元々色の部分に対しては大きく色味を変えることなく調整することが可能となる。
【0050】
図9は、近赤外色補正部30-1で処理される画像の説明図である。読取対象には、一例として、黒文字「株式会社印影サンプル」の一部に朱色の印影が重なっている文書を使用する。
【0051】
図9(a)は、近赤外色補正部30-1に入力される可視画像M10である。可視画像M10においては、可視光下で人の目で元の文書を見たときと同じ状態、つまり黒文字の「株式会社印影サンプル」t1の一部に朱色の印影t2が重なったままで、黒文字領域において印影t2が重なっている部分は印影t2により朱色に色味がかっている。この状態ではOCRを行っても「株式会社印影サンプル」のすべてを文字判別することができない。
【0052】
図9(b)は、近赤外色補正部30-1に入力される近赤外画像M20である。近赤外画像M20は、可視画像M10と同じ黒文字の「株式会社印影サンプル」t1がすべて黒で浮き上がって示される。印影t2が重なっている黒文字部分が、近赤外光の照射により、他の黒文字部分と同様に黒に浮き上がる。NIR濃度レベル抽出部32は、入力された不可視画像(近赤外画像)から黒文字領域と思われる「株式会社印影サンプル」t1部分のNIR濃度レベルの判定を行い、彩度・明度補正部31に出力する。
【0053】
図9(c)は、NIR濃度レベルの判定を行った「株式会社印影サンプル」t1部分の可視画像の同じ位置に対して、彩度・明度補正部31が彩度や明度に対する色補正処理を行った後の画像、すなわち第1の処理画像M11である。可視画像M10においては印影t2が重なる「株式会社印影サンプル」t1の黒文字部分が朱色を帯びていたが、色補正処理により黒になり、第1の処理画像M11のように、「株式会社印影サンプル」t1は印影が重なっている部分も重なっていない部分も途切れなく黒で復元される。
【0054】
図9(d)は、第1の処理画像M11を用いて特定色の除去を実行した場合の、印影除去後の画像M12である。印影t2の朱色を除去することにより、印影t2は除去されるが、黒文字の「株式会社印影サンプル」t1はかすれや欠損なく綺麗に残っている。
【0055】
図10は、従来方式で特定色の除去を行った場合の比較図である。図10に示すように、従来方式で特定色の除去を行った場合は、このようにはならず、黒文字の「株式会社印影サンプル」はかすれや欠損が発生し、その部分のOCR認識は困難になる。
【0056】
このように、本実施の形態では、彩度・明度補正部31とNIR濃度レベル抽出部32とを設け、可視画像に対し、同じ位置での不可視画像(近赤外画像)をもとに、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行った画像データを生成する。
【0057】
これにより、印影の重なりにより色味が変わった黒文字(黒画像)も黒に復元されるため、後段処理で特定色の除去による印影除去を実施した場合でも黒文字のかすれや欠損を抑制することができる。従って、OCR認識率も向上することが可能になる。
【0058】
(実施の形態の変形例1)
彩度・明度補正処理されたRGB画像を読取装置1の装置外の外部装置に出力する場合について説明する。なお、後述する他の形態や変形例についても同様であるが、実施の形態と重複する説明は適宜省略し、主に異なる箇所について説明する。
【0059】
ここで、読取装置1と外部装置との接続は、有線接続でも無線接続でもよい。また、読取装置1と外部装置とはUSB等の接続ケーブルで接続されてもよいし、通信インターフェースにより通信ネットワークを介して接続されてもよい。
【0060】
また、外部装置は、一例としてユーザPC等のコンピュータ構成の情報処理装置、あるいはサーバ装置等である。CPUを備え、CPUが所定のプログラムを実行するなどして、彩度・明度補正処理されたRGB画像からの印影除去やOCR処理等を行う。外部装置へは出力部306(図5参照)から出力される。
【0061】
図11は、実施の形態の変形例1にかかる読取装置の構成の一例を示す図である。処理部30に画像補正部33を設ける。画像補正部33は、近赤外色補正部30-1から出力されるR´G´B´画像に対しフィルタ処理や色補正処理等を行い、外部装置にoutR´G´B´画像を出力するように機能する。外部装置に出力される画像は、特定色の除去による印影除去が行われる前のデータである。
【0062】
このように、変形例1の構成では、読取装置1から、通常のRGBスキャナ画像と同等に扱うことが可能なoutR´G´B´画像を出力することができる。outR´G´B´画像は、印影が重なった黒文字部分の彩度・明度補正処理が施されているので、後段で後処理を行う場合であっても、後段の外部装置は、印影が元々無い他の文書画像等のRGBスキャナ画像と同等に扱うことができる。また、outR´G´B´画像は、見た目も通常のRGBスキャナ画像と遜色のない品質で出力されるため、保存用途の画像として使用可能である。
【0063】
後処理として、外部装置でOCRを実施する場合は、印影が重なった黒文字部分は彩度・明度補正処理が施されているので、特定色の除去の実施により印影を除去した後でも、文字がかすれたり欠落したりすることが少なく、OCRの誤認識を抑えることが可能である。
【0064】
(実施の形態の変形例2)
彩度・明度補正処理されたRGB画像をOCR専用の画像として外部に出力する構成について説明する。図12は、実施の形態の変形例2にかかる読取装置の構成の一例を示す図である。
【0065】
図12に示されるように、画像補正部33に、印影除去部34と、単色化処理部35とを設けている。印影除去部34は、彩度・明度補正処理まで実施したR´G´B´画像に対し、特定色の除去を実施して印影除去を行う。単色化処理部35は、OCR認識がしやすいように、印影除去後のR´´G´´B´´画像に対しK単色化処理を行う。画像補正部33から外部には、K単色化処理後の画像が出力されることになる。単色化処理後の画像は「第2の処理画像」に相当する。
【0066】
変形例2の構成では、同一システム内において、彩度・明度補正処理されたR´G´B´画像に対し最適な除去パラメータを利用して印影除去を実施することができる。そのため、例えば黒文字が彩度・明度補正処理されていることを前提に色判定しやすい除去パラメータを使用することができ、少しくすんだ印影に対しても除去対象とすることが可能となる。従って、変形例2の構成においては、印影を除去する精度の向上が見込まれる。
【0067】
(実施の形態の変形例3)
帳票をOCRする場合、元の帳票をエビデンスとして保管するケースが存在する。その場合は、帳票に押されている印影などの情報も残しておくことが求められる。OCRを行うのに最適な処理まで実施した画像では、文字以外の不要な情報を除去してしまっているため、エビデンスとして保存する画像としては適さない。
【0068】
そこで、変形例3では、変形例2に示すOCR専用に単色化されたOCR用画像だけでなく、OCR用の処理が実施されていない元の画像も出力できるようにした構成を示す。
【0069】
図13は、実施の形態の変形例3にかかる読取装置の構成の一例を示す図である。図13に示されるように、可視イメージセンサ17-1から出力されたRGB画像は、保存用画像の出力を行うための処理部と、OCR用画像の出力を行うための処理部の両方に出力される。保存用画像の出力を行うための処理部は、図13において第2の画像処理部36に相当する。第2の画像処理部36は、可視イメージセンサ17-1から出力されたRGB画像に保存用の画像補正処理を行って、保存用のRGB画像を出力する。OCR用画像を出力するための処理部の構成は、図12に示される近赤外色補正部30-1と画像補正部33の構成と同様であるため説明を省略する。
【0070】
変形例3の構成では、一つの読取対象について、1回の読み取りで、保存用画像とOCR用画像とが共に出力される。これにより、ユーザは、PC装置などにより保存用画像とOCR画像とを共に取得することができ、保存用画像とOCR画像とをそれぞれ個別に手に入れるなどの手間を省くことができる。
【0071】
なお、図13において、OCR用画像を出力するための処理部に対して、図12に示される近赤外色補正部30-1と画像補正部33の構成を適用しているが、これは一例であり、この構成に限定されない。例えば、図11に示す構成にしてoutR´G´B´画像を出力するようにしてもよい。outR´G´B´画像は、彩度・明度補正処理は施しているが、特定色の除去は行っていない画像である。
【0072】
(変形例3の実施例)
次に、変形例3を応用した実施例を示す。図14は、図13で示した装置構成を応用したデータ管理システムである。PCまたはサーバは、記憶装置を備えており、処理部30から送信されてくる保存用画像データとOCR画像データを、1セットとして保存し管理する。保存用画像データとOCR画像用データは、お互いに関係が判るように紐づけられた名称で、共通の記憶装置に管理される。本データ管理システムを用いることで、OCR画像データの原本となる画像データの紛失を防ぐことが可能となり、共通に管理することで管理が容易になるという効果を有している。
【0073】
(実施の形態の変形例4)
次に、変形例4として、近赤外画像において印影が薄く浮かびあがる場合のNIR濃度レベル抽出部における判定方法の変形例について説明する。
【0074】
図15は、変形例4にかかるNIR濃度レベル抽出部32の説明図である。図15(a)に示されるように、NIR濃度レベル抽出部32は、N値化処理部3000を有する。図15(b)は、N値化処理部3000におけるN値化処理の一例を示す図である。図15(c)は、印影が薄く浮かびあがる近赤外画像の一例である。
【0075】
図15(a)に示されるように、NIR濃度レベル抽出の方法としてN値化処理を用いる。図15(b)でN値化処理部3000におけるその具体的な処理方法を示す。図15(b)に示されるように、入力されたNIR画像について画素の値を閾値1と比較し、閾値1より黒側にある場合は濃度レベル抽出対象となる。一方、閾値1より白側の場合は非抽出領域とし、NIR濃度レベルは0とする。NIR読取値が閾値2より黒側の場合はNIR濃度最大レベルとし、閾値1から閾値2の間は段階的に濃度レベルを切り替える。
【0076】
なお、出力のNIR濃度レベルの分解能は、入力NIR読取と同等でも良いし、分解能を下げて入力読取値0-255に対し、0-31の32段階などとしステップ状に出力する構成でも良い。
【0077】
また、閾値1を設定する理由としては、以下の理由による。図15(c)に示されるように、近赤外画像において印影t2が薄く浮かびあがっている。既に説明したように、黒文字部分は近赤外光が吸収され、近赤外センサに受光される光量が少ないため、黒で表される。一方、印影などの色部分は近赤外光の吸収量は小さいものの、少量の吸収特性があるため、図15(c)に示されるように薄いグレーで表される場合がある。こういった本来取りたくない部分を除去できるように、最低レベルを決める閾値1を保持している。
【0078】
NIR濃度レベル抽出部32は、このようにN値化処理を行った結果を、彩度・明度補正部31に出力する。
【0079】
このように、NIR濃度レベルを出力することで、NIR濃度情報に応じた色補正が可能となる。
【0080】
(実施の形態の変形例5)
次に、変形例5として、NIR濃度レベル抽出部32における閾値決定を行う変形例について説明する。
【0081】
図16は、変形例5にかかるNIR濃度レベル抽出部32において閾値の決定を行う構成の説明図である。図16(a)は、NIR濃度レベル抽出部において閾値の決定を行う構成の一例を示す図である。図16(b)は、NIR読取画像の一例を示す図である。図16(c)は、エッジ部の画素値変化と閾値の関係を示す図である。
【0082】
読取装置1では、RGB画像と近赤外画像とを共に、同一の光学系(レンズ、ミラーなど)で読み取りを行う。このため、RGB画像の画質に合わせた調整を実施すると、RGB画像に比べ近赤外画像がボケの強い画像となる。そのため、近赤外画像は、RGB画像と異なり、黒のレベルが十分に低い値にならない可能性がある。また、近赤外画像は、地肌レベルに関しても、裏写りの影響を受けやすく、十分に白にならない可能性がある。このためこれらを考慮して、NIR濃度抽出時の閾値を決定する必要がある。
【0083】
そこで、図16(a)に示されるように、地肌レベル設定部37-1および黒レベル設定部37-2と、閾値決定部3500とを設ける。
【0084】
地肌レベル設定部37-1は、地肌レベルを設定する。
【0085】
黒レベル設定部37-2は、黒文字の黒レベルを設定する。
【0086】
閾値決定部3500は、地肌レベル設定部37-1と黒レベル設定部37-2が設定した地肌レベルと黒レベルを用いて、閾値を決定する。N値化処理部3000は、その閾値を用いてN値化処理を行う。
【0087】
図16(c)に示されるように、ユーザインタフェース(UI)での設定や設計値として、システムが地肌レベルや黒レベルの設定値を予め保持しておき、閾値決定部3500が、地肌レベル設定部37-1および黒レベル設定部37-2の各設定値を元に閾値(閾値1、閾値2)を決定する。
【0088】
これにより、地肌レベルと黒レベルから取り得る値のレンジを把握した上で、最適なNIR濃度レベルを決めることができるので、より精度が高いNIR濃度レベルの抽出が可能となり、精度が高い補正を行うことができる。
【0089】
(実施の形態の変形例6)
次に、変形例6として、NIR濃度レベル抽出部における閾値決定を行う第2変形例について説明する。変形例5では、UIから設定された設定値や設計値で閾値決定を行った。しかし、入力される画像によって、地肌レベルや文字の黒レベルは異なる。1枚の原稿でも位置によって地肌の色や濃さ、黒文字の濃さが異なる場合がある。予め設定された値では、地肌レベルが想定のレベルよりも濃く、黒文字として検出されてしまうなど対応できないケースが存在する、そこで、変形例6では、システムが画像から地肌レベルと黒レベルとを自動検出して閾値を決定する構成を示す。
【0090】
図17は、変形例6にかかるNIR濃度レベル抽出部32の構成の一例を示す図である。図17に示されるように、図16の地肌レベル設定部37-1に代えて、NIR濃度レベル抽出部32に地肌レベル検出部3600を設けている。
【0091】
地肌レベル検出部3600は、近赤外画像において注目画素を設定し、注目画素に対し、任意の範囲で周辺画素を参照し、注目画素付近の地肌レベルを検出する。
【0092】
黒レベル設定部37-2は、黒文字の黒レベルを検出する。
【0093】
閾値決定部3500は、地肌レベル検出部3600が検出した地肌レベルと、黒レベル設定部37-2が設定した黒レベルを用いて、閾値を決定する。N値化処理部3000は、その閾値を用いてN値化処理を行う。
【0094】
この構成では、地肌レベルの検出が入力される画像毎に行われるため、入力される画像によって地肌レベルは異なる。また、1枚の原稿でも、位置によって地肌の色や濃さが異なる場合がある。予め設定された値では、地肌レベルが想定のレベルよりも濃く、黒文字として検出されてしまうなど対応できないケースが存在するため、ここでは画像から地肌レベルを自動検出する構成を持つ。
【0095】
地肌レベル検出部3600は、注目画素に対し、任意の範囲(例えば周辺5mm×5mm)で周辺画素を参照し、注目画素付近の地肌レベルを検出する。地肌レベル検出部3600で検出した地肌レベルと黒レベル設定部37-2で設定された値を用いて、閾値決定部3500では閾値を算出する。
【0096】
N値化処理部3000は、閾値決定部3500で算出した閾値を用いてN値化処理を実施する。これにより、入力される画像のエリア毎の特徴に応じて、最適な閾値でN値化処理が可能となり、精度の高いNIR濃度レベル抽出が可能となる。
【0097】
なお、ここでは黒レベルは外部設定による設定の例を示しているが、黒レベルも地肌レベル検出と同様に、注目画素に対し、任意の範囲で周辺画素を参照し、注目画素付近の黒レベルを自動検出しても良い。
【0098】
(実施の形態の変形例7)
次に、変形例7として、彩度・明度補正部31の処理の一例を示す。
【0099】
図18は、変形例7にかかる彩度・明度補正部31における処理の一例を示す図である。図18に示されるように、彩度・明度補正部31において、RGBtоHSV変換3101と、彩度・明度補正処理3102と、HSVtоRGB変換3103とを行う。ここで、RGBtоHSV変換3101が「彩度明度変換部」に相当し、HSVtоRGB変換3103が「RGB変換部」に相当する。
【0100】
RGBtоHSV変換3101では、入力されたRGB画像を、HSV信号(色相彩度明度信号)に変換する。
【0101】
彩度・明度補正処理3102では、入力されたHSV信号に対し、入力されたNIR濃度レベルに応じて低彩度化や低明度化の補正を実施する彩度・明度補正処理を行う。例えば、NIR濃度レベルに基づいて補正処理の対象位置を決定し、対象位置と同一位置におけるHSV信号に、NIR濃度レベルに応じた補正処理を施す。
【0102】
HSVtоRGB変換3103では、彩度・明度補正処理後のHSV信号をRGB画像に戻す逆変換を行い、後段に彩度・明度補正処理後のR´G´B´画像を出力する。
【0103】
(計算処理例)
RGBtоHSV変換3101の計算処理の一例を以下に示す。より具体的な演算方法としては、NIR濃度レベルにより、彩度や明度の変換係数を生成する。それぞれ1次元のLUTを持たせ、入力のNIR濃度レベルと彩度変換の彩度調整係数、明度補正の明度調整係数を調整できるようにする。
彩度調整係数=彩度調整テーブル[NIR濃度レベル]
出力彩度信号=入力彩度信号値×彩度調整係数
明度調整係数=明度調整テーブル[NIR濃度レベル]
出力明度信号=入力明度信号値×明度調整係数
【0104】
この処理では、一度HSVのような彩度や明度信号に変換することで、彩度のみ変化させるなどの調整が可能となる。これにより、明度はあまり変えずに彩度のみ変化を大きくするなど自由度の高い補正処理が可能となる。
【0105】
なお、ここでは一例としてHSV信号に変換する例を示したが、これに限定されない。彩度成分や明度成分を切りわけられた信号であればよいので、フォーマットはHSV以外であってもよい。
【0106】
(低彩度化、低明度化の調整)
彩度・明度補正処理3102における低彩度化、低明度化調整について説明する。彩度・明度補正部31は、彩度・明度補正処理を実施する際に、ユーザからの設定に応じて低彩度化、低明度化の調整レベルを切り替えてもよい。
【0107】
図19は、彩度・明度補正処理3102の彩度調整および明度調整を行うUI設定画面の一例を示す図である。UI設定画面1000は、設定確認ボタン1001を有し、設定確認ボタン1001がタッチ操作されることにより、図19に表示されている設定情報を表示する。
【0108】
設定情報には、文字1002のモード設定に対応した設定が表示されている。調整情報1003は、彩度および明度を調整する調整情報である。
【0109】
調整情報1003は、ユーザが設定した彩度調整および明度調整の設定値に応じて彩度および明度の調整係数(調整レベル)を調整する。すなわち、調整情報1003は、ユーザが設定した彩度調整および明度調整の設定値に応じて、彩度調整および明度調整の強弱や、実施有無を切り替えることを可能とする。これにより、目的の画像に対して、例えば高墨色文字の色変わりを気にする必要がない場合は、印影重なり黒文字の効果を取るために調整を強めたりするなど、より最適な画像を提供することが可能となる。なお、ここでは強弱調整での例を示したが、調整ノッチのような形で提供しても良い。
【0110】
UI設定画面1000は、それら調整ボタンにより、黒文字および非黒文字の輝度成分の設定を受け付け、スタートボタン1004がタッチ操作されると、その設定を彩度・明度補正部31に設定する。
【0111】
この調整情報により、ユーザが原稿に応じて彩度および明度を調整することが可能となる。
【0112】
(実施の形態の変形例8)
次に、変形例8として、罫線等の指定色を除去するための構成について説明する。
【0113】
図20および図21は、罫線等の指定色を除去するための構成の説明図である。図20(a)に示されるように、帳票は、記入欄を明確にするために罫線t3が引かれていることが多い。活字でのプリント位置のズレや、手書きの入力位置のズレにより、記入された黒文字の黒文字領域t1が罫線t3と重なることがあり得る。この状態でOCRを行うと、罫線t3が邪魔になり文字情報を適切に抽出することができない。そこで、図20(b)に示されるように、UI設定画面1000において、指定色の除去を指示する設定部1005を設ける。設定部1005は、ユーザが除去したい色を指定するための設定部である。図20(b)に示される例では、有彩色、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、およびイエローなどの色指定ボタンが用意されており、その中から除去したい色をユーザが選択する。なお、色の種類や、色の指定方法は、これに限定されず、適宜変形してよい。
【0114】
図21は、変形例8にかかる画像補正部33の構成の一例を示す図である。図21に示されるように、画像補正部33に、指定色除去部38を設けている。
【0115】
指定色除去部38は、近赤外色補正部30-1で彩度・明度補正処理されたR´G´B´画像に対し、UI50がUI設定画面1000を介してユーザから受け付けた指定色について除去処理を行う。
【0116】
例えば罫線を除去する場合には、ユーザが設定部1005で罫線の色に対応する色を指定し、その指定色を除去することにより罫線を除去する。
【0117】
このような構成により、罫線などを除去することが可能となり、OCR認識時の文字誤認識を抑える効果がある。
【0118】
(実施の形態の変形例9)
OCR用画像の出力時に、単色化処理後の画像を多値画像として出力する構成を示す。
【0119】
図22は、変形例9にかかる構成の一例を示す図である。図22に示されるように、単色化処理部35から単色化画像を出力する場合に、2値ではなく、多値の単色化画像を出力する。他値の単色化画像は、一例としてグレースケール画像である。
【0120】
このように多値を出力することで、文字周辺の詳細情報も失われずに後段のOCRソフトにデータを渡すことが可能であり、後段のOCRソフトで高度な2値化処理などを実施している場合は、その処理を活かすことが可能になり、OCR認識率のさらなる向上につなげることが可能となる。
【0121】
また、図22には、単色化画像のみのシングル画像出力の構成を示しているが、図13に示されるようなRGB画像を含むマルチイメージ画像の出力にも適用可能である。
【0122】
(実施の形態の変形例10)
OCR用画像の出力時に、単色化処理後の画像に対し2値化処理を行い、2値画像として出力する構成を示す。
【0123】
図23は、変形例10にかかる構成の一例を示す図である。図23に示されるように、画像補正部33に、2値化処理部39を設ける。
【0124】
単色化処理部35から出力された単色化処理後の画像に対し、2値化処理部39が2値化処理を行い、単色化画像として2値の画像を出力する。
【0125】
このように2値の画像を出力とすることでデータ量を減らす効果がある。また、画像補正部33の中で2値化処理を実施することで、読取装置に適したパラメータで2値化を行うことが可能である。この場合、後段のOCRソフトが備える2値化処理が精度の低い方式の場合であっても、読取装置側で2値化を行ってデータを渡すため、OCRソフトが備える2値化の精度によらず、OCR認識率の向上につなげることが可能となる。
【0126】
また、図23においても、単色化画像のみのシングル画像出力の構成を示しているが、図13に示されるようなRGB画像を含むマルチイメージ画像の出力にも適用可能である。
【0127】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に示す読取装置1または外部装置が行う、可視画像に対する印影除去のための処理の一部またはすべてを、画像処理装置で行ってもよい。
【0128】
図24は、第2の実施の形態にかかる画像処理装置を含むシステムの構成の一例を示す図である。画像処理装置2は、読取装置1が出力する可視画像と不可視画像を入力して印影除去のための処理を行う。また、画像処理装置2は、サーバSSに保存された可視画像と不可視画像とを取得して、印影除去のための処理を行ってもよい。また、画像処理装置2は、半導体メモリ等の可搬型記憶媒体DAから可視画像と不可視画像とを読み取って、印影除去のための処理を行ってもよい。
【0129】
画像処理装置2は、CPUを備え、CPUが所定のプログラムを実行するなどして、処理部30およびNIR濃度レベル抽出部32などに対応する機能や、画像からの印影除去やOCR処理等を行う各種機能を発揮することができる。なお、各種の機能の一部またはすべてをASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよい。画像処理装置2は、出力部からPC等の外部装置へ各種の画像を出力する。
【0130】
各種機能については、第1の実施の形態において読取装置と外部装置とを例に説明済みであるため、ここでのさらなる説明は省略する。
【0131】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態に示す読取装置や、第2の実施の形態に示す画像処理装置は、画像形成装置に搭載してもよい。
【0132】
図25は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置の構成の一例を示す図である。図25は一般に複合機(MFP)と称される画像形成装置3を一例として示している。図25に示す画像形成装置3は、上部に読取装置(読取装置本体10およびADF20)を備える。読取装置の構成については第1の実施の形態の説明の繰り返しになるため、ここでは詳しい説明は省略する。
【0133】
図25に示す画像形成装置3は、読取装置本体10の下方に画像形成部80および給紙部90を有する。
【0134】
画像形成部80は、読取装置本体10で読み取った読取画像を、記録媒体の一例である記録紙に印刷する。読取画像は、可視画像または近赤外画像である。
【0135】
画像形成部80は、光書込装置81や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)82や、中間転写ベルト83や、二次転写ベルト84などを有する。画像形成部80では、印刷対象の画像について光書込装置81が作像ユニット82の感光体ドラム820に画像を書き込み、各感光体ドラム820から中間転写ベルト83上にそれぞれの版のトナー画像を転写する。K版はカーボンブラックを含有するKトナーで形成される。
【0136】
作像ユニット(Y、M、C、K)82は、回転可能な4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)820を有し、各感光体ドラム820の周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素をそれぞれ備える。各感光体ドラム820の周囲で各作像要素が所定の作像プロセスで動作することにより、各感光体ドラム820上に画像が形成され、各感光体ドラム820に形成された画像が一次転写ローラにより中間転写ベルト83上にそれぞれトナー画像として転写される。
【0137】
中間転写ベルト83は、各感光体ドラム820と各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト83に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト83の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト84上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルト84の走行により、定着装置85に搬送され、記録紙上にトナー画像が定着する。その後、記録紙は、機外の排紙トレイへと排出される。
【0138】
なお、記録紙は、例えば給紙部90が用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット91、92から所定の記録紙を繰り出して、各種ローラからなる搬送手段93で搬送して二次転写ベルト84に供給する。
【0139】
なお、画像形成部80は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。また、画像形成装置は、MFPに限定されない。画像形成装置は、例えば、別体である画像処理装置が生成した画像データを通信を介するなどして受信し、受信した画像データを印刷するプリンタなどでもよい。
【0140】
(第4の実施の形態)
第1の実施の形態に示す読取装置や、第2の実施の形態に示す画像処理装置は、生体イメージング装置に搭載してもよい。
【0141】
上述した赤外光でのイメージングは、生体イメージング装置における生体イメージングに利用されることもある。近赤外波長域が生体組織の構成物質による光の吸収が少なく、高い組織透過性を持つためである。生体イメージング装置における生体イメージングでの応用例としては、近赤外を吸収する色素などと組み合わせてイメージングをするケースを想定する。
【0142】
図26は、第4の実施の形態にかかる生体イメージング装置の構成の一例を示す図である。生体イメージング装置4は、撮像部40A、制御部300Aおよびサンプル台60Aを備え、撮像部40Aで取得した細胞の画像に基づいて、特定の細胞とその他の細胞を同時に観察しやすい画像を生成する装置である。
【0143】
図26では、被写体を適切な位置に保持するサンプル台60Aに、容器等に封入されたサンプルSA1が置かれている。撮像部40Aは、サンプルSA1に含まれる複数種類の細胞を可視光で撮像した可視画像を取得する。また、撮像部40Aは後述する手法により、同じ被写体を不可視光(近赤外光)で撮像した近赤外画像を取得し、サンプルSA1に含まれる特定の細胞の位置を決定する。制御部300AはCPUやメモリを含む処理部を備え、近赤外画像で決定された位置に基づいて、可視画像の同じ位置の彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行う。色補正の際には、上述のとおり近赤外画像の濃度値に応じた補正を行ってもよい。なお、撮像部40Aにおける可視画像と近赤外画像の取得の動作、および、制御部300Aにおける彩度や明度の補正の動作については、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0144】
図27は、第4の実施の形態にかかる生体イメージング装置における生体イメージングでの応用例を示す図である。
【0145】
図27(a)は、複数の種類の細胞の集まりを可視で取得した可視画像を示す。図27(a)に示すように、可視画像上は色も同等で、種類の識別ができないケースがある。このような場合、特定の細胞を観察する目的で、その特定の細胞のみ染色される近赤外吸収色素を使い、近赤外イメージングを行うことで可視より感度の高い細胞イメージングを行うケースがある。
【0146】
図27(b)は、複数の種類の細胞の集まりを不可視(近赤外線)で取得した近赤外画像を示す。図27(b)に示すように、特定の細胞は確認することが可能だが、他の細胞は光透過により、近赤外だけでは確認できない。
【0147】
図27(c)は、複数の種類の細胞の集まりを不可視(近赤外線)で取得した画像に基づいて色補正した可視画像を示す。本技術を利用し、可視画像データに対し、同じ位置での近赤外画像データをもとに、彩度あるいは明度の少なくともいずれか一方の色補正を行うことで、特定の細胞とその他の細胞を同時に観察しやすい画像を生成することができる。
【0148】
以上、本発明の実施の形態および変形例を説明したが、各実施の形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの各実施の形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0149】
00 画像処理装置
1a 入力部
2a 画像処理部
3a 抽出部
4a 出力部
13-1 可視光光源
13-2 近赤外光光源
17-1 可視イメージセンサ
17-2 近赤外イメージセンサ
30-1 近赤外色補正部
31 彩度・明度補正部
32 NIR濃度レベル抽出部
40 撮像部
D1 可視画像データ
D2 不可視画像データ
D3 画像データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0150】
【特許文献1】特開2018-207497号公報
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