(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146826
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電流測定モジュール
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G01R15/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047725
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2023059252
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】京崎 大我
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA01
2G025AA04
2G025AB01
2G025AB02
2G025AC01
(57)【要約】
【解決手段】2つの本体部と、前記2つの本体部の間に配され、間隙を介して平行に伸びる互いに断面積の異なる2つの電流経路とを有する導体と、前記2つの電流経路を流れる電流によって生じる磁界が互いに逆向きに貫通するよう感磁面がそれぞれ配された2つの磁気検出素子と、前記2つの磁気検出素子を支持し、前記導体に取り付けられた基板と、を備え、前記基板は、前記間隙に挿入されており、前記2つの磁気検出素子と前記断面積が小さい方の前記電流経路の内側の端部との間の距離は、前記2つの磁気検出素子と前記断面積が大きい方の前記電流経路の内側の端部との間の距離よりも小さい、電流測定モジュールを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの本体部と、前記2つの本体部の間に配され、間隙を介して平行に伸びる互いに断面積の異なる2つの電流経路とを有する導体と、
前記2つの電流経路を流れる電流によって生じる磁界が互いに逆向きに貫通するよう感磁面がそれぞれ配された2つの磁気検出素子と、
前記2つの磁気検出素子を支持し、前記導体に取り付けられた基板と、
を備え、
前記基板は、前記間隙に挿入されており、
前記2つの磁気検出素子と前記断面積が小さい方の前記電流経路の内側の端部との間の距離は、前記2つの磁気検出素子と前記断面積が大きい方の前記電流経路の内側の端部との間の距離よりも小さい、電流測定モジュール。
【請求項2】
前記2つの電流経路はそれぞれ、前記2つの電流経路が並んでいる方向について、前記2つの本体部の外縁より内側に配される、請求項1に記載の電流測定モジュール。
【請求項3】
前記2つの本体部のそれぞれは、前記間隙から伸びる、前記間隙より狭いスリットを有する、請求項1に記載の電流測定モジュール。
【請求項4】
前記スリットは、前記2つの電流経路側から前記2つの本体部側に向かって先細るテーパ部分を有する、請求項3に記載の電流測定モジュール。
【請求項5】
前記基板は、前記間隙および前記スリットに挿入される、請求項3に記載の電流測定モジュール。
【請求項6】
前記基板は、前記間隙および前記スリットに挿入され、かつ、前記基板の少なくとも一部は前記スリットの縁に接触する、請求項3に記載の電流測定モジュール。
【請求項7】
前記スリットは、前記2つの電流経路が並んでいる方向について、前記間隙の外縁より内側に配される、請求項3に記載の電流測定モジュール。
【請求項8】
前記間隙および前記スリットは、T字型の穴部を形成する、請求項3に記載の電流測定モジュール。
【請求項9】
前記2つの磁気検出素子は、前記基板における、前記断面積が小さい方の前記電流経路を向いた面に備えられる、請求項1に記載の電流測定モジュール。
【請求項10】
前記2つの本体部のそれぞれは、前記2つの電流経路に電流が流れる方向とは直交する方向に延伸した第1延伸部を備える、請求項1に記載の電流測定モジュール。
【請求項11】
前記2つの本体部の前記第1延伸部は互いに逆方向に延伸される、請求項10に記載の電流測定モジュール。
【請求項12】
前記2つの本体部は、前記第1延伸部からさらに延伸された第2延伸部をさらに有し、前記第2延伸部は、前記2つの本体部が配置される平面に直交する方向に延伸される、請求項10に記載の電流測定モジュール。
【請求項13】
前記2つの電流経路は同一の厚さを有し、異なる幅を有する、請求項1に記載の電流測定モジュール。
【請求項14】
前記2つの磁気検出素子と前記断面積が小さい方の前記電流経路の内側の端部との間の距離と、前記2つの磁気検出素子と前記断面積が大きい方の前記電流経路の内側の端部との間の距離の比は、6:7から6:11の範囲内である、請求項1に記載の電流測定モジュール。
【請求項15】
前記断面積が小さい方の前記電流経路と前記断面積が大きい方の前記電流経路の断面積の比は、5:6から5:11の範囲内である、請求項1に記載の電流測定モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流測定モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「テーパが形成される導電性のバスバーを備える電流センサ」が開示されている。特許文献2には、「外部磁界の影響を抑制し、周波数特性が高周波領域まで良好なコアレスタイプの電流検出装置」が開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 独国特許出願公開第102021119837号明細書
[特許文献2] 特開2022-158768号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、電流測定モジュールを提供する。電流測定モジュールは、2つの本体部と、上記2つの本体部の間に配され、間隙を介して平行に伸びる互いに断面積の異なる2つの電流経路とを有する導体とを有してよい。電流測定モジュールは、上記2つの電流経路を流れる電流によって生じる磁界が互いに逆向きに貫通するよう感磁面がそれぞれ配された2つの磁気検出素子を有してよい。電流測定モジュールは、上記2つの磁気検出素子を支持し、上記導体に取り付けられた基板を有してよい。上記基板は、上記間隙に挿入されてよい。上記2つの磁気検出素子と上記断面積が小さい方の上記電流経路の内側の端部との間の距離は、上記2つの磁気検出素子と上記断面積が大きい方の上記電流経路の内側の端部との間の距離よりも小さくてよい。
【0004】
上記2つの電流経路はそれぞれ、上記2つの電流経路が並んでいる方向について、上記2つの本体部の外縁より内側に配されてよい。
【0005】
上記2つの本体部のそれぞれは、上記間隙から伸びる、上記間隙より狭いスリットを有してよい。
【0006】
上記スリットは、上記2つの電流経路側から上記2つの本体部側に向かって先細るテーパ部分を有してよい。
【0007】
上記基板は、上記間隙および上記スリットに挿入されてよい。
【0008】
上記基板は、上記間隙および上記スリットに挿入され、かつ、上記基板の少なくとも一部は上記スリットの縁に接触してよい。
【0009】
上記スリットは、上記2つの電流経路が並んでいる方向について、上記間隙の外縁より内側に配されてよい。
【0010】
上記間隙および前記スリットは、T字型の穴部を形成してよい。
【0011】
上記2つの磁気検出素子は、上記基板における、上記断面積が小さい方の上記電流経路を向いた面に備えられてよい。
【0012】
上記2つの本体部のそれぞれは、上記2つの電流経路に電流が流れる方向とは直交する方向に延伸した第1延伸部を備えてよい。
【0013】
上記2つの本体部の上記第1延伸部は互いに逆方向に延伸されてよい。
【0014】
上記2つの本体部は、上記第1延伸部からさらに延伸された第2延伸部をさらに有し、上記第2延伸部は、上記2つの本体部が配置される平面に直交する方向に延伸されてよい。
【0015】
上記2つの電流経路は同一の厚さを有し、異なる幅を有してよい。
【0016】
上記2つの磁気検出素子と上記断面積が小さい方の上記電流経路の内側の端部との間の距離と、上記2つの磁気検出素子と上記断面積が大きい方の上記電流経路の内側の端部との間の距離の比は、6:7から6:11の範囲内であってよい。
【0017】
上記断面積が小さい方の上記電流経路と上記断面積が大きい方の上記電流経路の断面積の比は、5:6から5:11 の範囲内であってよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態における電流測定モジュール100の概略構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態における電流測定用導体10の概略構成の一例を示す上面図である。
【
図3】(a)は、第1の実施形態における基板20の概略構成の一例を示す斜視図であり、(b)は、
図2の破線Mの位置における断面図である。
【
図4】(a)から(c)には、ケース1からケース3の電流測定用導体が示される。
【
図5】ケース1からケース3の電流測定用導体に関して、周波数(Hz:横軸)と磁場増減率(%:縦軸)との関係について図示したグラフである。
【
図6】ケース1からケース3の電流測定用導体に関して、直流電流1000A印加時の最高温度および、直流電流100A印加時の磁束密度を示す表である。
【
図7】(a)から(c)には、ケース4からケース6の電流測定用導体が示される。
【
図8】ケース4からケース6の電流測定用導体に関して、周波数(Hz:横軸)と磁場増減率(%:縦軸)との関係について図示したグラフである。
【
図9】(a)および(b)には、ケース7からケース8の電流測定用導体が示される。
【
図10】ケース7とケース8の電流測定用導体に関して、周波数(Hz:横軸)と磁場増減率(%:縦軸)との関係について図示したグラフである。
【
図11】(a)および(b)は、第2の実施形態における電流測定用導体10h、10iの概略構成の一例を示す上面図である。
【
図12】(a)から(e)は、第3の実施形態における電流測定用導体10jから10nの概略構成の一例を示す斜視図である。
【
図13】(a)および(b)は、他の実施形態における電流測定用導体10oの概略構成の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
[第1の実施形態の構成]
図1は、第1の実施形態における電流測定モジュール100の概略構成の一例を示す斜視図である。
図2は、第1の実施形態における電流測定用導体10の概略構成の一例を示す上面図である。
図3(a)は、第1の実施形態における基板20の概略構成の一例を示す斜視図であり、
図3(b)は、磁気検出素子22,23の位置関係を示す図である。各図には、xyz座標系が示される。
図1に示すように、電流測定モジュール100は、電流測定用導体10と、基板20と、を有する。
【0022】
図2に示すように、電流測定用導体10は、2つの本体部11,12と、2つの電流経路13,14とを有する。2つの電流経路13,14は、2つの本体部11,12の間に配されており、互いに平行に伸びている。2つの電流経路13,14の間には、間隙15が配される。2つの本体部11,12のそれぞれは、間隙15から伸びる、間隙15より狭いスリット16,17を有する。なお、電流測定用導体10はバスバーとも呼ばれる。
【0023】
2つの電流経路13,14のそれぞれには、被測定電流が同一方向に流れる。本実施形態において、2つの電流経路13,14は、横断面形状が矩形で直線状に伸びる導体である。なお、2つの電流経路13,14の横断面形状は、円形や楕円形など、任意の形状であって良い。2つの電流経路13,14はそれぞれ、2つの電流経路13,14が並んでいる方向について、2つの本体部11,12の外縁より内側に配される。2つの電流経路13,14のz方向の長さEは10mmである。
【0024】
2つの電流経路13,14は、互いに断面積が異なる。第1の実施形態において、2つの電流経路13,14は、同一の厚さを有し、異なる幅AおよびBを有する。ここで、A>Bであり、電流経路14の幅Bは電流経路13の幅Aよりも小さい。第1の実施形態において、電流経路13のx方向の幅Aは4.5mmであり、電流経路14のx方向の幅Bは2.5mmである。したがって、電流測定用導体10は非線対称の形状を有する。
【0025】
図2における破線Lは、基板20に固定された2つの磁気検出素子22,23のx方向の位置を示している。即ち、2つの磁気検出素子22,23は、破線L上に位置するように配置される。
図2に示すように、2つの磁気検出素子22,23と電流経路13の内側の端部との間の距離はCであり、2つの磁気検出素子22,23と電流経路14の内側の端部との間の距離はDである。第1の実施形態において、距離Cは4.5mmであり、距離Dは3.5mmである。即ち、2つの磁気検出素子22,23と電流経路14の内側の端部との間の距離Dは、2つの磁気検出素子22,23と電流経路13の内側の端部との間の距離Cよりも小さい。言い換えれば、2つの磁気検出素子22,23は、幅が小さい方の電流経路14に近くなるように配置される。
【0026】
図3(a)に示すように、基板20には、2つの磁気検出素子22,23が、パッケージ21にて封止されて固定されている。パッケージ21には、磁気検出素子22,23を駆動するとともに、磁気検出素子22,23から信号を取り出すためのリード端子が設けられている。パッケージ21としては、ICモールドパッケージ等を用いることができる。
図1に示す電流測定モジュール100において、2つの磁気検出素子22,23は間隙15を挟んでその上下に配される。
【0027】
図3(b)は、
図2の破線Mの位置における断面図である。
図3(b)に示すように、磁気検出素子22,23は、破線L上に位置するように配置される。したがって、破線Lと電流経路13の内側の端部との間の距離はC(4.5mm)であり、破線Lと電流経路14の内側の端部との間の距離はD(3.5mm)である。
【0028】
磁気検出素子22,23は、2つの電流経路13,14にそれぞれ被測定電流が流れることによって各感磁面に生じる磁界の強さ(大きさ)をそれぞれ検出し、この検出強度に応じた検出信号を出力する。磁気検出素子22,23は、2つの電流経路13,14に同方向にそれぞれ流れる被測定電流によって生じる磁界が互いに逆向きに感磁面を貫通するようにそれぞれ配置される。すなわち、2つの電流経路13,14間に感磁面の向きが互いに一致するように磁気検出素子22,23が配置される。
図3の例では、感磁面の向き、すなわち当該面の法線方向は、+x方向である。
【0029】
磁気検出素子22,23としては磁電変換素子を用いることができ、磁電変換素子としては、例えば、磁束密度の大きさに比例する検出信号が得られるホール素子を使用することができる。なお、磁電変換素子として、ホール素子の他にMR素子(磁気抵抗素子)、MI素子(磁気インピーダンス素子)などを使用してもよい。さらに、これらの磁電変換素子とIC処理回路とを組み合わせた磁気センサICなど、印加される磁束密度に対して検出信号が一意に定まるものであれば、磁気検出素子22,23として使用することができる。
【0030】
図1に示すように、2つの磁気検出素子22,23を支持した基板20は、電流測定用導体10における間隙15と、間隙15から伸びる2つのスリット16,17に挿入される。2つの磁気検出素子22,23は、基板20の電流経路14を向いた面に備えられる。挿入された基板20は、2つの固定部24,25により電流測定用導体10に取り付けられ、固定される。固定部24は、スリット16に対応する位置で基板20を電流測定用導体10に固定する。固定部25は、スリット17に対応する位置で基板20を電流測定用導体10に固定する。図に示す2つのスリット16,17は、矩形状であるが、2つの電流経路13,14側から2つの本体部11,12側に向かって先細るテーパ部分を有していてもよい。2つのスリット16,17は、図に示されるように、前記2つの電流経路が並んでいる方向について、前記間隙の外縁より内側に配されてよい。
【0031】
以上のように、第1の実施形態における電流測定モジュール100において、2つの本体部11,12は、幅が大きい電流経路13と幅が小さい電流経路14とを有し、2つの磁気検出素子22,23は、幅が小さい電流経路14に近くなるように配置される。このような構成は、電流測定モジュール100における(A)発熱特性、(B)周波数特性、および(C)磁気特性を総合的に考慮して設計されている。
【0032】
なお、電流経路に流れる電流を測定するときには、表皮効果の影響のために被測定電流の大きさを正確に測定することができない場合がある。表皮効果の影響を低減するためには以下の2つの手段がある。第1に、電流経路の断面積を小さくすることにより、電流密度が高くなる導体表面と磁気検出素子との距離に対する、電流密度が低くなる導体中心と磁気検出素子との距離の相対的な差を小さくして、表皮効果の影響を低減することができる。即ち、使用が想定される周波数における表皮深さに対して電流経路の断面積が充分に小さければ、電流経路の中央付近にも電流が流れることになり、実質的に表皮効果の影響が及ばないのと同等となる。したがって、電流経路が細いほど表皮効果の影響が抑えられる。
【0033】
第2に、電流経路と磁気検出素子との距離を離すことにより、電流密度が高くなる電流経路表面と磁気検出素子との距離に対する、電流密度が低くなる電流経路中心と磁気検出素子との距離の相対的な差を小さくして、表皮効果の影響を低減することができる。即ち、磁気検出素子と電流経路の距離が充分に遠ければ、低周波に比べて高周波で電流が電流経路内でより外側を流れるようになっても、そのことによる電流の流れる位置の違いは、磁気検出素子と電流経路との距離に比べて相対的に小さく、表皮効果の影響が抑えられる。したがって、電流経路と磁気検出素子との距離が遠いほど表皮効果の影響が抑えられる。
【0034】
(A)発熱特性については、電流経路が太いほど、また短いほど抵抗値が下がって発熱が抑えられるため、電流経路は太く、また短くしたいという要請がある。(B)周波数特性については、電流経路が細いほど表皮効果の影響が抑えられるため、電流経路を細くしたいという要請がある。更に、磁気検出素子22,23と電流経路との距離が遠いほど表皮効果の影響が抑えられるため、磁気検出素子22,23と電流経路との距離を遠くしたいという要請がある。(C)磁気特性については、電流経路が細いほど検出される磁束密度が大きくなり、磁気を検出するときのゲインを抑えられるため、電流経路を細くしたいという要請がある。更に、磁気検出素子22,23と電流経路との距離が近いほど検出される磁束密度は大きくなるため、磁気検出素子22,23と電流経路との距離を近くしたいという要請がある。
【0035】
以上のように、電流経路については、太くしたい要請と細くしたい要請があり、磁気検出素子22,23と電流経路との距離については、遠くしたい要請と近くしたい要請があり、それぞれトレードオフの関係にある。以上のような、トレードオフの関係を考慮して、(A)発熱特性、(B)周波数特性、および(C)磁気特性を最適なものとすることが求められている。
【0036】
上記それぞれの特性を考慮して、本実施形態では、片方の電流経路を細く、もう一方を太くすることで、片方の電流経路で幅を稼ぎ発熱対策をしつつ、片方の電流経路を細くすることで表皮効果の影響を抑えることができる。また、細い電流経路の方が表皮効果の影響は少ないため、細い電流経路を磁気検出素子22,23に近づけることで、表皮効果を受けにくい方で検出される磁束密度を稼ぐことができる。そして、太い電流経路の方が表皮効果の影響は大きいため、太い電流経路を磁気検出素子22,23から離すことで、表皮効果の影響を低減することができる。
【0037】
図4(a)から(c)には、ケース1からケース3の電流測定用導体が示される。ケース1は、第1の実施形態における電流測定用導体10の概略構成を示しており、ケース2は、第1の比較例における電流測定用導体10aの概略構成を示しており、ケース3は、第2の比較例における電流測定用導体10bの概略構成を示している。
図4には図示していないが、すべてのケースにおいて、2つの磁気検出素子22,23を搭載した基板20が電流測定用導体10の中央部にあるスリット内に配置される。
【0038】
図4(a)に示すように、ケース1の電流測定用導体10は、互いに幅が異なる2つの電流経路13,14を有する。電流経路13の幅は4.5mmであり、電流経路14の幅は2.5mmである。また、距離Cは4.5mmであり、距離Dは3.5mmである。したがって、2つの電流経路13,14の間に配された間隙15の長さ(C+D)は8mmである。ケース1の電流測定用導体10は非線対称の形状を有する。
【0039】
図4(b)に示すように、ケース2の電流測定用導体10aは、幅が同じである2つの電流経路13,14を有する。電流経路13の幅は3.5mmであり、電流経路14の幅は3.5mmである。また、距離Cは4.5mmであり、距離Dは4.5mmである。したがって、2つの電流経路13,14の間に配された間隙15の長さ(C+D)は9mmである。ケース2の電流測定用導体10aは線対称の形状を有する。
【0040】
図4(c)に示すように、ケース3の電流測定用導体10bは、幅が同じである2つの電流経路13,14を有する。電流経路13の幅は2.5mmであり、電流経路14の幅は2.5mmである。また、距離Cは4.5mmであり、距離Dは4.5mmである。したがって、2つの電流経路13,14の間に配された間隙15の長さ(C+D)は9mmである。ケース3の電流測定用導体10bは線対称の形状を有する。
【0041】
図5は、ケース1からケース3の電流測定用導体に関して、周波数(Hz:横軸)と、100Hzを基準としたときの磁気検出素子22,23の位置の磁場増減率(%:縦軸)との関係について図示したグラフである。磁場は周波数にできるだけ依存しない方が検出精度が高くなる、すなわち、磁場増減率はいずれの周波数帯においてもゼロに近いことが望ましい。
図5において、ケース1は黒丸の点で示され、ケース2は四角で示され、ケース3は白丸の点で示される。
【0042】
ケース1に示す電流測定用導体10では、周波数が1000Hz付近における磁場の上昇率が抑えられており、周波数が10000~100000Hz付近における磁場の増減率が抑えられている。したがって、低周波数帯および高周波数帯において、良好な結果が出ている。
【0043】
ケース2に示す電流測定用導体10aでは、周波数が1000Hz付近において磁場が大幅に減衰しており、また、周波数が10000~100000Hz付近においても磁場が大幅に減衰している。したがって、低周波数帯および高周波数帯において、磁場が減衰している。
【0044】
ケース3に示す電流測定用導体10bでは、周波数が1000Hz付近における磁場の増減率が抑えられているものの、周波数が10000~100000Hz付近において磁場が大幅に減衰している。したがって、特に高周波数帯において、磁場が減衰している。
【0045】
図6は、ケース1からケース3の電流測定用導体に関して、直流電流1000A印加時の最高温度および、直流電流1000A印加時の磁束密度を示す表である。電流印加時の最高温度は、電流測定用導体の電流経路14の部分で図った温度である。なお、耐久性や他の素子への影響の観点から、電流印加時の最高温度は低いことが望ましい。また、電流印加時の磁束密度は高い方が望ましく、磁束密度が高いことにより、磁気を検出するときのゲインを抑えことができる。
【0046】
図6に示すように、ケース1に示す第1の実施形態における電流測定用導体10では、電流印加時の最高温度が592℃であり、ケース2に示す第1の比較例における電流測定用導体10aでは675℃であり、ケース3に示す第2の比較例における電流測定用導体10bでは757℃である。このように、第1の実施形態における電流測定用導体10は、比較例における電流測定用導体10a、10bと比較して電流印加時の最高温度が抑えられている。
【0047】
図6に示すように、ケース1に示す第1の実施形態における電流測定用導体10では、電流印加時の磁束密度が0.745mTであり、ケース2に示す第1の比較例における電流測定用導体10aでは0.639mTであり、ケース3に示す第2の比較例における電流測定用導体10bでは0.723mTである。このように、第1の実施形態における電流測定用導体10は、比較例における電流測定用導体10a、10bと比較して電流印加時の磁束密度が高く検出されている。
【0048】
以上の結果から、ケース1からケース3の電流測定用導体では、ケース1の電流測定用導体10がケース2および3の電流測定用導体10a、10bと比較して、耐久性および磁束密度に優れていることが分かる。したがって、幅が大きい電流経路13と幅が小さい電流経路14とを有することにより、2つの電流経路13,14の幅が同じである形態と比較して耐久性および磁束密度が向上することが分かる。なお、幅が小さい方の電流経路14と幅(または断面積)が大きい方の電流経路13の幅(または断面積)の比は、5:6から5:11の範囲内であることが望ましい。
【0049】
図7(a)から(c)には、ケース4からケース6の電流測定用導体が示される。ケース4は、第3の比較例における電流測定用導体10cの概略構成を示しており、ケース5は、第4の比較例における電流測定用導体10dの概略構成を示しており、ケース6は、第5の比較例における電流測定用導体10eの概略構成を示している。
図7には図示していないが、すべてのケースにおいて、2つの磁気検出素子22,23を搭載した基板20が電流測定用導体の中央部にあるスリット内に配置される。2つの磁気検出素子22,23は、破線Lの位置に配置される。
【0050】
図7(a)に示すように、ケース4の電流測定用導体10cは、2つの磁気検出素子22,23と電流経路13の内側の端部との間の距離は4.5mmであり、2つの磁気検出素子22,23と電流経路14の内側の端部との間の距離は2.5mmである。即ち、2つの磁気検出素子22,23は、幅が小さい方の電流経路14に近くなるように配置される。
【0051】
図7(b)に示すように、ケース5の電流測定用導体10dは、2つの磁気検出素子22,23と電流経路13の内側の端部との間の距離は3.75mmであり、2つの磁気検出素子22,23と電流経路14の内側の端部との間の距離は3.75mmである。即ち、2つの磁気検出素子22,23は、電流経路13と電流経路14との中央に配置される。
【0052】
図7(c)に示すように、ケース6の電流測定用導体10eは、2つの磁気検出素子22,23と電流経路13の内側の端部との間の距離は3.0mmであり、2つの磁気検出素子22,23と電流経路14の内側の端部との間の距離は4.5mmである。即ち、2つの磁気検出素子22,23は、幅が大きい方の電流経路13に近くなるように配置される。
【0053】
図8は、ケース4からケース6の電流測定用導体に関して、周波数(Hz:横軸)と磁場増減率(%:縦軸)との関係について図示したグラフである。
図8において、磁場増減率はいずれの周波数帯においてもゼロに近いことが望ましい。
図8において、ケース4は黒丸の点で示され、ケース5は白丸の点で示され、ケース6は四角で示される。
【0054】
ケース4に示す第3の比較例における電流測定用導体10cでは、周波数が1000Hz付近における磁場の上昇率が抑えられており、周波数が10000~100000Hz付近における磁場の増減率が抑えられている。したがって、低周波数帯および高周波数帯において、良好な結果が出ている。
【0055】
ケース5に示す第4の比較例における電流測定用導体10dでは、周波数が1000Hz付近において磁場の上昇率が抑えられているものの、周波数が10000~100000Hz付近において磁場が大幅に減衰している。したがって、特に高周波数帯において、磁場の増減率が抑えられておらず、望ましくない。
【0056】
ケース6に示す第5の比較例における電流測定用導体10eでは、周波数が1000Hz付近における磁場が大幅に減衰しており、また、周波数が10000~100000Hz付近においても磁場が大幅に減衰している。したがって、低周波数帯および高周波数帯において磁場の増減率が抑えられておらず、望ましくない。
【0057】
以上、ケース4からケース6の電流測定用導体の結果から、2つの磁気検出素子22,23が、幅が小さい方の電流経路14に近くなるように配置されている場合、磁場の増減率が抑えられおり、良好な結果が出ていることが分かる。なお、2つの磁気検出素子22,23と幅が小さい方の電流経路14の内側の端部との間の距離と、2つの磁気検出素子22,23と幅が大きい方の電流経路13の内側の端部との間の距離の比は、6:7から6:11の範囲内であることが望ましい。
【0058】
図9(a)および(b)には、ケース7からケース8の電流測定用導体が示される。ケース7は、第6の比較例における電流測定用導体10fの概略構成を示しており、ケース8は、第7の比較例における電流測定用導体10gの概略構成を示している。
図9には図示していないが、すべてのケースにおいて、2つの磁気検出素子22,23を搭載した基板20が電流測定用導体の中央部にあるスリット内に配置される。2つの磁気検出素子22,23は、破線Lの位置に配置される。
【0059】
図9(a)に示すように、ケース7の電流測定用導体10fは、2つの磁気検出素子22,23と電流経路13の内側の端部との間の距離は4.5mmであり、2つの磁気検出素子22,23と電流経路14の内側の端部との間の距離は3.5mmである。2つの磁気検出素子22,23は、幅が小さい方の電流経路14に近くなるように配置される。また、間隙15の幅は、4.5+3.5=8mmである。
【0060】
図9(b)に示すように、ケース8の電流測定用導体10gは、2つの磁気検出素子22,23と電流経路13の内側の端部との間の距離は5.0mmであり、2つの磁気検出素子22,23と電流経路14の内側の端部との間の距離は3.5mmである。また、間隙15の幅は、5.0+3.5=8.5mmである。ケース8の電流測定用導体10gは、ケース7の電流測定用導体10fと比べて、2つの磁気検出素子22,23と幅が太い方の電流経路13の内側の端部との間の距離を0.5mm遠ざけている。
【0061】
図10は、ケース7とケース8の電流測定用導体に関して、周波数(Hz:横軸)と磁場増減率(%:縦軸)との関係について図示したグラフである。
図10において、磁場増減率はいずれの周波数帯においてもゼロに近いことが望ましい。
図10において、ケース7は黒丸の点で示され、ケース8は白丸の点で示さる。
【0062】
図10に示すように、周波数が1000Hz付近では、ケース8の電流測定用導体10gの方がケース7の電流測定用導体10fよりも磁場の上昇率が抑えられており、周波数が10000~100000Hz付近では、ケース7の電流測定用導体10fの方がケース8の電流測定用導体10gよりも磁場の増減率が抑えられている。
【0063】
以上から、電流測定用導体と2つの磁気検出素子22,23との間の距離により、電流測定用導体の周波数に対する磁場増減率が変動することが分かる。
【0064】
[第1の実施形態の効果]
第1の実施形態における電流測定モジュール100によれば、電流測定用導体10の2つの本体部11,12は、幅が大きい電流経路13と幅が小さい電流経路14とを有し、2つの磁気検出素子22,23は、幅が小さい電流経路14に近くなるように配置される。上記構成により、電流測定モジュール100における発熱特性、周波数特性、および磁気特性が最適な値となるように設計される。
【0065】
第1の実施形態における電流測定モジュール100によれば、2つの本体部11,12のそれぞれはスリット16,17を有し、2つの磁気検出素子22,23を支持した基板20は、スリット16,17に挿入されて固定される。これにより、簡単な構成で2つの電流経路13,14に流れる被測定電流の大きさを測定できる。また、基板20を間隙15と2つのスリット16,17の縁に接触させて固定されてもよい。上記構成によれば、基板20の位置決め、固定がしやすくなり、基板20上に支持された磁気検出素子22,23の位置決めをしやすくなる。
【0066】
[第2の実施形態]
図11(a)および(b)は、第2の実施形態における電流測定用導体10h、10iの概略構成の一例を示す上面図である。
図11(a)および(b)に示すように、電流測定用導体10h、10iは、2つの本体部11,12と、2つの電流経路13,14とを有する。2つの電流経路13,14は、2つの本体部11,12の間に配されており、互いに平行に伸びている。2つの電流経路13,14の間には、間隙205が配される。図示していないが、第1の実施形態と同様に、2つの磁気検出素子22,23は、幅が小さい方の電流経路14に近くなるように配置される。
【0067】
2つの電流経路13,14のそれぞれには、被測定電流が同一方向に流れる。本実施形態において、2つの電流経路13,14は、横断面形状が矩形で直線状に伸びる導体である。なお、2つの電流経路13,14は、横断面形状が円形で全体が直線状の導体として構成してもよい。
【0068】
図11(a)に示すように、2つの本体部11,12のそれぞれは、2つの電流経路13,14に電流が流れる方向(z方向)とは直交する方向(x方向)に、2つの本体部11,12が延伸した2つの延伸部18a(第1延伸部)を有する。2つの延伸部18aは同じ方向に延伸されている。即ち、本体部11は、本体部11が-x方向に延伸した延伸部18aを有し、本体部12は、本体部12が-x方向に延伸した延伸部18aを有する。
【0069】
図11(b)に示すように、2つの本体部11,12のそれぞれは、2つの電流経路13,14に電流が流れる方向(z方向)とは直交する方向(x方向)に、2つの本体部11,12が延伸した2つの延伸部18b(第1延伸部)を有する。2つの延伸部18bは互いに異なる方向に延伸されている。即ち、本体部11は、本体部11が-x方向に延伸した延伸部18bを有し、本体部12は、本体部12が+x方向に延伸した延伸部18bを有する。
【0070】
2つの本体部11,12が延伸部18a、または延伸部18bを有することにより、電流測定用導体10h、10iが実装される装置の端子に延伸部208,209を接続して固定するだけで電流測定用導体10h、10iを装置に固定することができ、組立性を考慮した構造とすることができる。
【0071】
[第2の実施形態の効果]
第2の実施形態における電流測定用導体10h、10iによれば、第1の実施形態における電流測定モジュール100と同様の効果を奏することができる。
【0072】
第2の実施形態における電流測定用導体10h、10iによれば、2つの本体部11,12が延伸部18a、または延伸部18bを有することにより、組立性を考慮した構造とすることができる。
【0073】
[第3の実施形態]
図12(a)から(e)は、第3の実施形態における電流測定用導体10jから10nの概略構成の一例を示す斜視図である。
図12(a)に示す電流測定用導体10jは、
図11(b)に示す電流測定用導体10iの基本構成を有する。電流測定用導体10jは、電流測定用導体10iの延伸部18bからさらに延伸された延伸部19a(第2延伸部)をさらに有し、延伸部19aは、2つの本体部11,12が配置される平面(xz平面)に直交する方向(y方向)に延伸される。
【0074】
図12(b)に示す電流測定用導体10kは、
図11(a)に示す電流測定用導体10hの基本構成を有する。電流測定用導体10kは、電流測定用導体10hの延伸部18aからさらに延伸された延伸部19b(第2延伸部)をさらに有し、延伸部19bは、2つの本体部11,12が配置される平面(xz平面)に直交する方向(y方向)に延伸される。
【0075】
図12(c)に示す電流測定用導体10lは、
図11(b)に示す電流測定用導体10iの基本構成を有する。電流測定用導体10lは、電流測定用導体10iの2つの延伸部18bからさらに延伸された2つの延伸部19c(第2延伸部)をさらに有し、延伸部19cは、2つの本体部11,12が配置される平面(xz平面)に直交する方向(y方向)に延伸される。2つの延伸部19cは反対の方向に延伸されている。
【0076】
図12(d)に示す電流測定用導体10mは、
図11(a)に示す電流測定用導体10hの基本構成を有する。電流測定用導体10mは、電流測定用導体10hの2つの延伸部18aからさらに延伸された2つの延伸部19d(第2延伸部)をさらに有し、延伸部19dは、2つの本体部11,12が配置される平面(xz平面)に直交する方向(y方向)に延伸される。2つの延伸部19dは反対の方向に延伸されている。
【0077】
図12(e)に示す電流測定用導体10nは、
図2に示す電流測定用導体10の基本構成を有する。電流測定用導体10nは、2つの本体部11,12から延伸された2つの延伸部19eをさらに有し、延伸部19eは、2つの本体部11,12が配置される平面(xz平面)に直交する方向(y方向)に延伸される。2つの延伸部19eは反対の方向に延伸されている。
【0078】
[第3の実施形態の効果]
第3の実施形態における電流測定用導体10jから10nによれば、第1の実施形態における電流測定モジュール100と同様の効果を奏することができる。
【0079】
第3の実施形態における電流測定用導体10jから10nによれば、2つの本体部11,12が配置される平面(xz平面)に直交する方向(y方向)に延伸される延伸部19aから19eを有することにより、組立性を考慮した構造とすることができる。
【0080】
[他の実施形態]
上記第1から第3の実施形態において、2つの電流経路13,14は、同一の厚さを有し、異なる幅を有していた。しかしながら、2つの電流経路13,14は、互いに断面積が異なっていればよく、例えば、同一の幅を有し、異なる厚さを有してもよい。この場合、電流経路13の厚さが、電流経路14の厚さよりも厚くてもよい。また、2つの電流経路13,14は、異なる幅および異なる厚さを有してもよい。この場合、電流経路13の幅が電流経路14の幅より大きく、電流経路13の厚さが電流経路14の厚さよりも厚くあってもよい。
【0081】
上記第1から第3の実施形態において、電流測定用導体はいずれも、例えば銅板から打ち抜きで作成される。なお、これに代えて、アルミニウム製であってもよい。
【0082】
図13(a)および(b)は、他の実施形態における電流測定用導体10oの概略構成の一例を示す上面図である。
図13(a)は、基板20挿入前の電流測定用導体10oを示しており、
図13(b)は、基板20挿入後の電流測定用導体10oを示す。
図13(a)および(b)において、2つのスリット16,17はグレーのハッチングで示される。
図13(a)に示すように、電流測定用導体10oの間隙15と2つのスリット16,17は、T字型の穴部を形成する。
図13(b)に示すように、基板20を間隙15と2つのスリット16,17の縁に接触させて位置決めされる。
図13(a)および(b)に示す電流測定用導体10oの構成とすることで、基板20の位置決め、固定がしやすくなり、基板20上に支持された磁気検出素子22,23の位置決めをしやすくなる。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0084】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0085】
10、10a~10o 電流測定用導体
11 本体部
12 本体部
13 電流経路
14 電流経路
15 間隙
16 スリット
17 スリット
18a、18b 延伸部
19a~19e 延伸部
20 基板
21 パッケージ
22 磁気検出素子
23 磁気検出素子
24 固定部
25 固定部
100 電流測定モジュール