(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146827
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】基板支持体の製造方法及びプラズマ処理装置の構成部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241004BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241004BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
H02N13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047777
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2023058333
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】日高 那南
【テーマコード(参考)】
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA09
5F004BA14
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004CA03
5F004CA04
5F004DA22
5F131AA02
5F131CA63
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB17
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB82
5F131EB84
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理装置の構成部品を再利用する技術を提供する。
【解決手段】基板支持体の製造方法が提供される。この方法は、(a)第1の基台、静電チャック、及び、第1の基台と静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、(b)第1の基台から静電チャックを分離する工程と、(c)静電チャックを、第2の接合層により第1の基台又は第1の基台とは異なる第2の基台に接合して第2の支持体を形成する工程と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持体の製造方法であって、
(a)第1の基台、静電チャック、及び、前記第1の基台と前記静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、
(b)前記第1の基台から前記静電チャックを分離する工程と、
(c)前記静電チャックを、第2の接合層により前記第1の基台又は前記第1の基台とは異なる第2の基台に接合して第2の支持体を形成する工程と、を含む基板支持体の製造方法。
【請求項2】
前記(b)において、前記第1の支持体を加熱することにより、前記静電チャックを前記第1の基台から分離する、請求項1に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項3】
前記接合層は樹脂製である、請求項2に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項4】
前記(b)は、
(b1)前記第1の支持体を加熱炉に提供する工程と、
(b2)前記加熱炉を100℃以上1000℃以下の温度に維持する工程と、
(b3)前記第1の基台から前記静電チャックを取り外す工程と、
を含む請求項3に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項5】
前記第1の接合層はシリコーン樹脂を含み、前記(b2)において、前記加熱炉は200℃以上の温度に維持される、請求項4に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項6】
前記第1の接合層はエポキシ樹脂を含み、前記(b2)において、前記加熱炉は400℃以上の温度に維持される、請求項4に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項7】
前記(b2)は、1500時間以下の時間実行される、請求項3に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項8】
前記(b2)は、大気雰囲気下で実行される、請求項3に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項9】
前記(b)において、第1の接合層に剥離剤を反応させることにより、前記静電チャックを前記第1の基台から分離する、請求項1に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項10】
前記(b)の後かつ前記(c)の前に、前記静電チャックを洗浄する工程をさらに含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項11】
前記静電チャックは、円板状のセラミック部材と、前記セラミック部材の内部に配置される静電電極とを含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項12】
前記(a)において、前記第1の支持体には、前記第1の基台及び前記静電チャックを連通する貫通孔が形成されるとともに、当該貫通孔の軸方向の少なくとも一部にわたって配置され、第3の接合層を介して前記第1の基台及び前記静電チャックの少なくともいずれかに接合されるスリーブを有し、
前記(b)は、前記スリーブを前記第1の基台及び前記第1の静電チャックから分離することをさらに含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項13】
前記(a)において、前記第1の支持体は、前記第1の基台の裏面に第4の接合層を介して接合されたバックプレートをさらに有し、
前記(b)は、前記バックプレートを前記第1の基台から分離することをさらに含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項14】
基板支持体の製造方法であって、
(a)第1の支持体から分離された静電チャックを準備する工程であって、前記第1の支持体は、第1の基台、静電チャック、及び、前記第1の基台と前記静電チャックとを接合する第1の接合層を有する工程と、
(b)前記静電チャックを、第2の接合層により前記第1の基台又は前記第1の基台とは異なる第2の基台に接合して第2の支持体を形成する工程と、を含む
基板支持体の製造方法。
【請求項15】
基板支持体の製造方法であって、
(a)第1の基台、静電チャック、及び、前記第1の基台と前記静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、
(b)前記第1の支持体を100℃以上1000℃以下に加熱して、前記第1の基台から前記静電チャックを分離する工程と、を含む
基板支持体の製造方法。
【請求項16】
基板支持体の製造方法であって、
(a)第1の基台、第1の静電チャック及び前記第1の基台と前記第1の静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、
(b)前記第1の基台と前記第1の静電チャックとを分離する工程と、
(c)第2の支持体を形成する工程と、
を含み、前記工程(c)は、
(c1)前記第1の静電チャックを、第2の接合層により前記第1の基台又は前記第1の基台と異なる第2の基台に接合すること、又は
(c2)前記第1の基台を、第2の接合層により前記第1の静電チャック又は前記第1の静電チャックとは異なる第2の静電チャックに接合すること、
を含む、基板支持体の製造方法。
【請求項17】
第1の基台、第1の静電チャック及び前記第1の基台と前記第1の静電チャックとを接合する第1の接合層を含む第1の支持体から分離した前記第1の基台又は前記第1の静電チャックを用いて、第2の支持体を形成する工程を含み、
前記工程は、第2の接合層により、
前記第1の基台を、前記第1の静電チャック又は前記第1の静電チャックと異なる第2の静電チャックに接合すること、又は、
前記第1の静電チャックを、前記第1の基台又は前記第1の基台とは異なる第2の基台に接合すること、
を含む、基板支持体の製造方法。
【請求項18】
前記第1の接合層は、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂を含み、
前記分離は、前記第1の支持体を100℃以上1000℃以下に加熱することを含む、請求項16又は請求項17に記載の基板支持体の製造方法。
【請求項19】
プラズマ処理装置の構成部材の製造方法であって、
(a)第1の部材、第2の部材及び前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する第1の接合層を含む第1の構成部品から分離した前記第1の部材を準備する工程と、
(b)第2の接合層により、前記第1の部材を前記第2の部材又は前記第2の部材と異なる第3の部材に接合し、第2の構成部品を形成する工程と、
を含む、プラズマ処理装置の構成部材の製造方法。
【請求項20】
前記(a)は、
(a1)第1の部材、第2の部材及び前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する第1の接合層を含む第1の構成部品を加熱炉内に配置する工程と、
(a2)前記加熱炉の温度を100℃以上1000℃以下に維持する工程と、
(a3)前記第1の部材を前記第2の部材から取り外す工程と、
を含む、請求項19に記載のプラズマ処理装置の構成部品の製造方法。
【請求項21】
前記第1の部材は、第1のシャワーヘッドであり、
前記第2の部材は、上部電極であり、
前記第3の部材は、第2のシャワーヘッドである、
請求項19又は請求項20に記載のプラズマ処理装置の構成部品の製造方法。
【請求項22】
前記第1の接合層は、第1の伝熱シートから形成され、
前記第2の接合層は、前記第1の伝熱シートと異なる第2の伝熱シートから形成される、
請求項21に記載のプラズマ処理装置の構成部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、基板支持体の製造方法及びプラズマ処理装置の構成部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内層に電極が形成されたセラミック基板をベースプレートに接着剤を介して接着した後、当該セラミック基板の表面を平坦面に研削してセラミック基板の表層厚を均一な厚さに仕上げることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ処理装置の構成部品を再利用する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、基板支持体の製造方法であって、(a)第1の基台、静電チャック、及び、第1の基台と静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、(b)第1の基台から静電チャックを分離する工程と、(c)静電チャックを、第2の接合層により第1の基台又は第1の基台とは異なる第2の基台に接合して第2の支持体を形成する工程と、を含む基板支持体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、プラズマ処理装置の構成部品を再利用する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【
図2】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【
図3】本製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第1の支持体S1の断面構造の一例を示す図である。
【
図5】貫通孔TH及びスリーブSLの断面構造の一例を示す図である。
【
図6】第1の支持体S1の断面構造の一例を示す図である。
【
図7】工程ST2の一例を示すフローチャートである。
【
図8A】工程ST3の一例を説明するための図である。
【
図8B】工程ST3の一例を説明するための図である。
【
図8C】工程ST3の一例を説明するための図である。
【
図8D】工程ST3の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、基板支持体の製造方法であって、(a)第1の基台、静電チャック、及び、第1の基台と静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、(b)第1の基台から静電チャックを分離する工程と、(c)静電チャックを、第2の接合層により第1の基台又は第1の基台とは異なる第2の基台に接合して第2の支持体を形成する工程と、を含む基板支持体の製造方法が提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、(b)において、第1の支持体を加熱することにより、静電チャックを第1の基台から分離する。
【0011】
一つの例示的実施形態において、接合層は樹脂製である。
【0012】
一つの例示的実施形態において、(b)は、(b1)第1の支持体を加熱炉に提供する工程と、(b2)加熱炉を100℃以上1000℃以下の温度に維持する工程と、(b3)第1の基台から静電チャックを取り外す工程と、を含む。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第1の接合層はシリコーン樹脂を含み、(b2)において、加熱炉は200℃以上の温度に維持される。
【0014】
一つの例示的実施形態において、第1の接合層はエポキシ樹脂を含み、(b2)において、加熱炉は400℃以上の温度に維持される。
【0015】
一つの例示的実施形態において、(b2)は、1500時間以下の時間実行される。
【0016】
一つの例示的実施形態において、(b2)は、大気雰囲気下で実行される。
【0017】
一つの例示的実施形態において、(b)において、第1の接合層に剥離剤を反応させることにより、静電チャックを第1の基台から分離する。
【0018】
一つの例示的実施形態において、(b)の後かつ(c)の前に、静電チャックを洗浄する工程をさらに含む。
【0019】
一つの例示的実施形態において、静電チャックは、円板状のセラミック部材と、セラミック部材の内部に配置される静電電極とを含む。
【0020】
一つの例示的実施形態において、(a)において、第1の支持体には、第1の基台及び静電チャックを連通する貫通孔が形成されるとともに、貫通孔の軸方向の少なくとも一部にわたって配置され、第3の接合層を介して第1の基台及び静電チャックの少なくともいずれかに接合されるスリーブを有し、(b)は、スリーブを第1の基台及び第1の静電チャックから分離することをさらに含む。
【0021】
一つの例示的実施形態において、(a)において、第1の支持体は、第1の基台の裏面に第4の接合層を介して接合されたバックプレートをさらに有し、(b)は、バックプレートを第1の基台から分離することをさらに含む。
【0022】
一つの例示的実施形態において、基板支持体の製造方法であって、(a)第1の支持体から分離された静電チャックを準備する工程であって、第1の支持体は、第1の基台、静電チャック、及び、第1の基台と静電チャックとを接合する第1の接合層を有する工程と、(b)静電チャックを、第2の接合層により第1の基台又は第1の基台とは異なる第2の基台に接合して第2の支持体を形成する工程と、を含む基板支持体の製造方法が提供される。
【0023】
一つの例示的実施形態において、基板支持体の製造方法であって、(a)第1の基台、静電チャック、及び、第1の基台と静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、(b)第1の支持体を100℃以上1000℃以下に加熱して、第1の基台から静電チャックを分離する工程と、を含む基板支持体の製造方法が提供される。
【0024】
一つの例示的実施形態において、基板支持体の製造方法であって、(a)第1の基台、第1の静電チャック及び第1の基台と第1の静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、(b)第1の基台と第1の静電チャックとを分離する工程と、(c)第2の支持体を形成する工程と、を含み、工程(c)は、(c1)第1の静電チャックを、第2の接合層により第1の基台又は第1の基台と異なる第2の基台に接合すること、又は(c2)第1の基台を、第2の接合層により第1の静電チャック又は第1の静電チャックとは異なる第2の静電チャックに接合すること、を含む基板支持体の製造方法が提供される。
【0025】
一つの例示的実施形態において、第1の基台、第1の静電チャック及び第1の基台と第1の静電チャックとを接合する第1の接合層を含む第1の支持体から分離した第1の基台又は第1の静電チャックを用いて、第2の支持体を形成する工程を含み、工程は、第2の接合層により、第1の基台を、第1の静電チャック又は第1の静電チャックと異なる第2の静電チャックに接合すること、又は、第1の静電チャックを、第1の基台又は第1の基台とは異なる第2の基台に接合すること、を含む基板支持体の製造方法が提供される。
【0026】
一つの例示的実施形態において、第1の接合層は、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂を含み、分離は、第1の支持体を100℃以上1000℃以下に加熱することを含む。
【0027】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置の構成部材の製造方法であって、(a)第1の部材、第2の部材及び第1の部材と第2の部材とを接合する第1の接合層を含む第1の構成部品から分離した第1の部材を準備する工程と、(b)第2の接合層により、第1の部材を第2の部材又は第2の部材と異なる第3の部材に接合し、第2の構成部品を形成する工程と、を含むプラズマ処理装置の構成部品の製造方法が提供される。
【0028】
一つの例示的実施形態において、工程(a)は、(a1)第1の部材、第2の部材及び第1の部材と第2の部材とを接合する第1の接合層を含む第1の構成部品を加熱炉内に配置する工程と、(a2)加熱炉の温度を100℃以上1000℃以下に維持する工程と、(a3)第1の部材を第2の部材から取り外す工程とを含む。
【0029】
一つの例示的実施形態において、第1の部材は、第1のシャワーヘッドであり、第2の部材は、上部電極であり、第3の部材は、第2のシャワーヘッドである。
【0030】
一つの例示的実施形態において、第1の接合層は、第1の伝熱シートから形成され、第2の接合層は、第1の伝熱シートと異なる第2の伝熱シートから形成される。
【0031】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
<プラズマ処理装置の構成例>
図1は、プラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、制御部2、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0032】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0033】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1の外部のシステムとして構成されてよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local AreaNetwork)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1の各要素との間で通信してもよい。
【0034】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0035】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、制御部2、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッドアセンブリ13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッドアセンブリ13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッドアセンブリ13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッドアセンブリ13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッドアセンブリ13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0036】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0037】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0038】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0039】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0040】
シャワーヘッドアセンブリ13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッドアセンブリ13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッドアセンブリ13は、少なくとも1つの上部電極13d及び少なくとも1つのシャワーヘッド13eを含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッドアセンブリ13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0041】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッドアセンブリ13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0042】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極13dに供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0043】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極13dに結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極13dに供給される。
【0044】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0045】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極13dに接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極13dに印加される。
【0046】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極13dに印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極13dに接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0047】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0048】
<基板支持体の製造方法の一例>
図3は、本開示の例示的実施形態にかかる基板支持体の製造方法(以下「本製造方法」ともいう。)の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、本製造方法は、第1の支持体を準備するST1と、静電チャックを分離する工程ST2と、第2の支持体を形成する工程ST3とを含む。
【0049】
(工程ST1)
図4は、第1の支持体S1の断面構造の一例を示す図である。工程ST1において第1の支持体S1が準備される。
図4に示すように、第1の支持体S1は、第1の基台BS1と、静電チャックESCと、第1の基台BS1と静電チャックESCとを接合する第1の接合層AD1とを有する。
【0050】
一実施形態において、第1の基台BS1は略円板状の導電性部材で構成される。導電性部材は、例えば、アルミニウム、シリコンカーバイドであってよい。一実施形態において、第1の基台BS1は、内部に流路FPが形成される。流路FPは、伝熱媒体が供給される入口及び伝熱媒体が排出される出口を含んでよい。一実施形態において、第1の基台BS1の厚さは、10mm以上50mm以下でよい。
【0051】
一実施形態において、静電チャックESCは、略円板状の絶縁部材IMと、絶縁部材IMの内部に配置される静電電極ESとを有する。絶縁部材IMは、例えば、アルミナ等のセラミックであってよい。一実施形態において、静電チャックESCは、基板を支持するための中央領域R1と、中央領域を取り囲む環状領域R2とを有する。静電電極ESは、第1の支持体S1の外部の電源(図示せず)と電気的に接続されるように構成される。電源から静電電極ESへ電圧が印加されるとクーロン力が発生する。これにより静電チャックESCの中央領域R1において基板が吸着保持される。一実施形態において、静電チャックESCの厚さは、10mm以下でよい。
【0052】
第1の接合層AD1は、第1の基台BS1と静電チャックESCとの間に配置され、両者を互いに接着、固定している。一実施形態において、第1の接合層は、金属ロウ、無機系の接着剤、有機系の接着剤が硬化したものであってよい。一実施形態において、第1の接合層AD1は、有機系の接着剤が硬化したものであってよい。一実施形態において、第1の接合層AD1は樹脂製であってよい。例えば、第1の接合層AD1はシリコーン樹脂で形成されてよい。また例えば、第1の接合層AD1はエポキシ樹脂で形成されてよい。
【0053】
一実施形態において、工程ST1で準備される第1の支持体S1は、
図2に示すプラズマ処理装置1の基板支持部11の本体部111であってよい。すなわち第1の基台BS1及び静電チャックESCは、それぞれ、
図2の基台1110及び静電チャック1111であってよい。一実施形態において、第1の支持体S1は、プラズマ処理装置1において所与の時間使用された後、プラズマ処理装置1から取り出された本体部111であり得る。一実施形態において、第1の支持体S1は、プラズマ処理装置1に取り付けられる前の未使用の本体部111であり得る。
【0054】
一実施形態において、工程ST1で準備される第1の支持体S1には1又は複数の貫通孔が形成されてよい。貫通孔THの軸方向の一部には、スリーブSLが挿入されてよい。
【0055】
図5は、貫通孔TH及びスリーブSLの断面構造の一例を示す図である。第1の支持体S1には、第1の基台BS1及び静電チャックESCを貫通する貫通孔THが形成されている。貫通孔THは、一例では、静電チャックESC上に載置される基板に伝熱ガス(例えばヘリウムガス)を供給するためのガス孔であり得る。貫通孔THは、一例では、静電チャックESC上の基板を上下動させるリフターピン用の孔であり得る。
【0056】
図5に示す例では、貫通孔THのうち第1の基台BS1の側壁SSで画定される空間に筒状のスリーブSLが挿入されている。スリーブSLは、例えばセラミック等の絶縁部材で構成されてよい。スリーブSLは、第1の基台BS1及び/又は静電チャックESCに第3の接合層AD3を介して接着される。第3の接合層AD3は、第1の接合層AD1と同一の材料で形成されてよく、また異なる材料で形成されてもよい。一実施形態において、第3の接合層AD3は、第1の接合層AD1よりも高いプラズマ耐性を有する材料で形成されてもよい。例えば、第1の接合層AD1がエポキシ樹脂で形成され、第3の接合層AD3がシリコーン樹脂で形成されてよい。一実施形態において、スリーブSLと静電チャックESCとの間に封止部材SEを設けてよい。これにより第3の接合層AD3が貫通孔THに対して露出しないようにしてよい。封止部材は、例えば、プラズマ耐性を有する材料(例えばフッ素系材料)により形成されたOリングであってよい。
【0057】
一実施形態において、工程ST1で準備される第1の支持体S1には、バックプレート等のその他の部材が接合層を介して結合されてよい。
【0058】
図6は、第1の支持体S1の断面構造の一例を示す図である。
図6に示す例では、第1の支持体S1の第1の基台BS1の下面には、第4の接合層AD4を介してバックプレートBPが設けられている。バックプレートBPは、例えば、例えばセラミック等の絶縁部材で構成されてよい。第4の接合層AD4は、第1の接合層AD1と同一の材料で形成されてよく、また異なる材料で形成されてもよい。
【0059】
(工程ST2)
図7は、工程ST2の一例を示すフローチャートである。工程ST2において、静電チャックESCが分離される。
図7に示すように、工程ST2は、第1の支持体を加熱炉に提供する工程ST21と、第1の支持体を加熱する工程ST22と、静電チャックを取り外す工程ST23とを含んでよい。
【0060】
工程ST21において、第1の支持体S1が加熱炉に提供される。加熱炉は、第1の支持体S1の加熱温度を制御することができれば特に限定はない。一例では、加熱炉は、容器内部の温度等を一定に保つように制御可能な恒温槽である。一例では、加熱炉は、温度調整可能な載置台を有するホットプレートである。一実施形態において、工程ST21は大気雰囲気で実行されてよい。
【0061】
工程ST22において、第1の支持体S1が加熱される。一実施形態において、第1の支持体S1は、第1の接合層AD1を熱劣化させる温度まで加熱される。一実施形態において、加熱炉の温度は、100℃以上1000℃以下の温度に制御される。第1の接合層AD1がシリコーン樹脂を含む場合、加熱炉の温度は、200℃以上の温度に制御されてよい。第1の接合層AD1がエポキシ樹脂を含む場合、加熱炉の温度は、400℃以上の温度に制御されてよい。一実施形態において、加熱炉の温度は、100℃以上1000℃以下の1又は複数の温度で一定時間維持されてよい。加熱炉の温度は、漸次又は段階的に昇温されてよい。これにより急激な温度上昇による第1の基台BS1や静電チャックESCの損傷を抑制し得る。なお、加熱炉が恒温槽である場合は、加熱炉の温度は恒温槽の容器内の温度でよい。加熱炉がホットプレートである場合は、加熱炉の温度は載置台の温度でよい。
【0062】
第1の支持体S1が、第3の接合層AD3(
図5参照)や第4の接合層AD4(
図6参照)等の他の接合層を含む場合、工程ST22において、第1の支持体S1は、当該他の接合層を熱劣化させる温度以上に加熱されてよい。
【0063】
工程ST22による処理により、第1の支持体S1に含まれる接合層(第1の接合層AD1、第3の接合層AD3、第4の接合層AD4等)が熱劣化する。これにより、接合層の接着剤としての機能が失われるか又は弱まる。一実施形態において、工程ST22による処理により、接合層は当該接合層が接着する構成部品(例えば、第1の接合層AD1の場合、静電チャックESCと第1の基台BS1)の外に押し出される。線膨張係数の違いにより構成部品どうしが変形するためである。
【0064】
一実施形態において、工程ST22は、第1の接合層AD1やその他の接合層を熱劣化させ、接着剤としての機能を失わせるのに十分な時間実行されてよい。一例では、工程ST22は、1500時間以下の時間実行される。
【0065】
工程ST23において、静電チャックESCが第1の基台BS1から取り外される。工程ST22において、第1の接合層AD1の接着剤としての機能が失われる又は弱まる。これにより静電チャックESCを第1の基台BS1から取り外す又は引き剥がすことが可能になる。
【0066】
工程ST23において、第1の支持体S1が、スリーブSL(
図5参照)やバックプレート(
図6参照)等のその他の構成部品を含む場合、当該構成部品も第1の基台BS1及び/又は静電チャックESCから取り外されてよい。当該構成部品の接合層(第3の接合層AD3、第4の接合層AD4)の熱劣化が不十分な場合がある。この場合、当該構成部品及び当該構成部品に接合する第1の基台BS1及び/又は静電チャックESCを加熱炉において再度加熱してよい。その上で、当該構成部品を第1の基台BS1及び/又は静電チャックESCから取り外してよい。
【0067】
工程ST2を実行する方法は、
図7に示す例に限られない。一実施形態において、工程ST2は、第1の接合層AD1やその他の接合層に剥離剤を反応させることにより実行されてよい。例えば、第1の支持体S1を、剥離剤を含む溶液に侵浸させることで、第1の接合層AD1やその他の接合層に剥離剤を反応させてよい。
【0068】
一実施形態において、工程ST2における処理後、分離された構成部品(静電チャックESCや第1の基台BS1等)に接合層が残っている場合、残留した接合層を洗浄や研磨等により取り除く工程が実行されてよい。
【0069】
(工程ST3)
図8A~
図8Dは、工程ST3の一例を説明するための図である。工程ST3において、第2の支持体が形成される。
【0070】
まず
図8Aに示すように第2の基台BS2が準備される。一実施形態において、第2の基台BS2は、第1の基台BS1と同一の形状、材質及び/又は構造を有してよい。一実施形態において、第2の基台BS2は、第1の基台BS1と、形状、材質及び構造の少なくとも一つ以上が異なっていてもよい。一実施形態において、第2の基台BS2は、工程ST2において第1の支持体S1から取り外された第1の基台BS1であってもよい。
【0071】
次に
図8Bに示すように、第2の基台BS2上に接着剤Xが塗布される。一実施形態において、接着剤Xは、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂を含む有機系の接着剤であってよい。一実施形態において、接着剤Xは、第1の接合層AD1を形成する接着剤と同一の材料で構成されてよい。
【0072】
次に
図8Cに示すように、工程ST2において分離された静電チャックESCを、接着剤Xを介して第2の基台BS2に貼り付け、接着剤Xを硬化させる。接着剤Xは熱硬化されてよい。
【0073】
以上により、第2の支持体S2が形成される。
図8Dに示すように、第2の支持体S2は、第2の基台BS2、静電チャックESC、及び、第2の基台BS2と静電チャックESCとを接合する第2の接合層AD2を有する。第2の接合層AD2は接着剤Xが硬化したものである。
【0074】
一実施形態において、第2の支持体S2は、
図2に示すプラズマ処理装置1の基板支持部11の本体部111として用いられてよい。すなわち、第2の基台BS2及び静電チャックESCは、それぞれ、
図2の基台1110及び静電チャック1111として用いられてよい。
【0075】
本製造方法によれば、第1の支持体S1の構成部品である静電チャックESCを、第2の支持体S2の構成部品として再利用することができる。
【0076】
一実施形態において、工程ST2で第1の支持体S1から取り外した他の構成部品、例えば、第1の基台BS1、スリーブSL及び/又はバックプレートBPについても同様に再利用されてよい。例えば、第1の支持体S1から取り外したスリーブSL及び/又はバックプレートBPを第2の支持体S2に取り付けて再利用してよい。また例えば、第1の基台BS1を、静電チャックESCに再度接合して、又は、静電チャックESCとは異なる他の静電チャックに接合して再利用してもよい。
【0077】
<変形例>
本開示の実施形態は、基板支持体以外のプラズマ処理装置の構成部品に対しても適用可能である。一実施形態において、本開示のプラズマ処理装置の構成部品の製造方法は、第1の部材、第2の部材及び前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する第1の接合層を含む第1の構成部品から分離した前記第1の部材を準備する工程と、第2の接合層により、前記第1の部材を前記第2の部材又は前記第2の部材と異なる第3の部材に接合し、第2の構成部品を形成する工程と、を含む。
【0078】
一実施形態において、第1の部材を準備する工程は、上述した工程ST2と同様に行うことができる。一例では、第1の部材を準備する工程は、第1の構成部品を加熱炉内に配置する工程と、加熱炉の温度を所定温度に維持する工程と、第1の部材を第2の部材から取り外す工程とを含む。所定温度は、100℃以上1000℃以下であってよい。第2の構成部品を形成する工程は、工程ST3と同様に行うことができる。
【0079】
一実施形態において、プラズマ処理装置の構成部品(第1の構成部品、第2の構成部品)は、
図9に示すようなシャワーヘッドアセンブリ13であってよい。この場合、第1の部材は、上部電極13dであってよい。第2の部材及び第3の部材は、シャワーヘッド13eであってよい。より具体的には、第2の部材は第1のシャワーヘッドであってよく、第3の部材は、第1のシャワーヘッドと異なる第2のシャワーヘッドであってよい。
【0080】
一実施形態において、第1の接合層及び第2の接合層は、伝熱シート13fにより形成されてよい。すなわち、第1の部材(上部電極)を準備する工程において、第1の部材(上部電極)は、第1の伝熱シートにより、第2の部材(第1のシャワーヘッド)と接合されていてよい。また、第2の構成部品を形成する工程において、第1の部材(上部電極)は、第1の伝熱シートと異なる第2の伝熱シートにより、第3の部材(第2のシャワーヘッド)と接合されてよい。伝熱シート13f(第1の伝熱シート、第2の伝熱シート)は、例えば、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂等の材料により形成されてよい。フッ素系樹脂は、例えば、フロロカーボン樹脂であってよい。
【0081】
本開示の実施形態は、以下の態様をさらに含む。
【0082】
(付記1)
基板支持体の製造方法であって、
(a)第1の基台、静電チャック、及び、前記第1の基台と前記静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、
(b)前記第1の基台から前記静電チャックを分離する工程と、
(c)前記静電チャックを、第2の接合層により前記第1の基台又は前記第1の基台とは異なる第2の基台に接合して第2の支持体を形成する工程と、を含む、基板支持体の製造方法。
【0083】
(付記2)
前記(b)において、前記第1の支持体を加熱することにより、前記静電チャックを前記第1の基台から分離する、付記1に記載の基板支持体の製造方法。
【0084】
(付記3)
前記接合層は樹脂製である、付記1又は付記2に記載の基板支持体の製造方法。
【0085】
(付記4)
前記(b)は、
(b1)前記第1の支持体を加熱炉に提供する工程と、
(b2)前記加熱炉を100℃以上1000℃以下の温度に維持する工程と、
(b3)前記第1の基台から前記静電チャックを取り外す工程と、
を含む付記1から付記3のいずれか1つに記載の基板支持体の製造方法。
【0086】
(付記5)
前記第1の接合層はシリコーン樹脂を含み、前記(b2)において、前記加熱炉は200℃以上の温度に維持される、付記4に記載の基板支持体の製造方法。
【0087】
(付記6)
前記第1の接合層はエポキシ樹脂を含み、前記(b2)において、前記加熱炉は400℃以上の温度に維持される、付記4に記載の基板支持体の製造方法。
【0088】
(付記7)
前記(b2)は、1500時間以下の時間実行される、付記3から付記6のいずれか1つに記載の基板支持体の製造方法。
【0089】
(付記8)
前記(b2)は、大気雰囲気下で実行される、付記3から付記7のいずれか1つに記載の基板支持体の製造方法。
【0090】
(付記9)
前記(b)において、第1の接合層に剥離剤を反応させることにより、前記静電チャックを前記第1の基台から分離する、付記1から付記8のいずれか1つに記載の基板支持体の製造方法。
【0091】
(付記10)
前記(b)の後かつ前記(c)の前に、前記静電チャックを洗浄する工程をさらに含む、付記1から付記9のいずれか1つに記載の基板支持体の製造方法。
【0092】
(付記11)
前記静電チャックは、円板状のセラミック部材と、前記セラミック部材の内部に配置される静電電極とを含む、付記1から付記10のいずれか1つに記載の基板支持体の製造方法。
【0093】
(付記12)
前記(a)において、前記第1の支持体には、前記第1の基台及び前記静電チャックを連通する貫通孔が形成されるとともに、当該貫通孔の軸方向の少なくとも一部にわたって配置され、第3の接合層を介して前記第1の基台及び前記静電チャックの少なくともいずれかに接合されるスリーブを有し、
前記(b)は、前記スリーブを前記第1の基台及び前記第1の静電チャックから分離することをさらに含む、付記1から付記11のいずれか1つに記載の基板支持体の製造方法。
【0094】
(付記13)
前記(a)において、前記第1の支持体は、前記第1の基台の裏面に第4の接合層を介して接合されたバックプレートをさらに有し、
前記(b)は、前記バックプレートを前記第1の基台から分離することをさらに含む、付記1から付記12のいずれか1つに記載の基板支持体の製造方法。
【0095】
(付記14)
基板支持体の製造方法であって、
(a)第1の支持体から分離された静電チャックを準備する工程であって、前記第1の支持体は、第1の基台、静電チャック、及び、前記第1の基台と前記静電チャックとを接合する第1の接合層を有する工程と、
(b)前記静電チャックを、第2の接合層により前記第1の基台又は前記第1の基台とは異なる第2の基台に接合して第2の支持体を形成する工程と、を含む
基板支持体の製造方法。
【0096】
(付記15)
基板支持体の製造方法であって、
(a)第1の基台、静電チャック、及び、前記第1の基台と前記静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、
(b)前記第1の支持体を100℃以上1000℃以下に加熱して、前記第1の基台から前記静電チャックを分離する工程と、を含む
基板支持体の製造方法。
【0097】
(付記16)
基板支持体の製造方法であって、
(a)第1の基台、第1の静電チャック及び前記第1の基台と前記第1の静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、
(b)前記第1の基台と前記第1の静電チャックとを分離する工程と、
(c)第2の支持体を形成する工程と、
を含み、前記工程(c)は、
(c1)前記第1の静電チャックを、第2の接合層により前記第1の基台又は前記第1の基台と異なる第2の基台に接合すること、又は
(c2)前記第1の基台を、第2の接合層により前記第1の静電チャック又は前記第1の静電チャックとは異なる第2の静電チャックに接合すること、
を含む、基板支持体の製造方法。
【0098】
(付記17)
第1の基台、第1の静電チャック及び前記第1の基台と前記第1の静電チャックとを接合する第1の接合層を含む第1の支持体から分離した前記第1の基台又は前記第1の静電チャックを用いて、第2の支持体を形成する工程を含み、
前記工程は、第2の接合層により、
前記第1の基台を、前記第1の静電チャック又は前記第1の静電チャックと異なる第2の静電チャックに接合すること、又は、
前記第1の静電チャックを、前記第1の基台又は前記第1の基台とは異なる第2の基台に接合すること、
を含む、基板支持体の製造方法。
【0099】
(付記18)
前記第1の接合層は、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂を含み、
前記分離は、前記第1の支持体を100℃以上1000℃以下に加熱することを含む、付記16又は付記17に記載の基板支持体の製造方法。
【0100】
(付記19)
(a)第1の基台、静電チャック、及び、前記第1の基台と前記静電チャックとを接合する第1の接合層を有する第1の支持体を準備する工程と、
(b)前記第1の基台から前記静電チャックを分離する工程と、
(c)前記静電チャックを、第2の接合層により前記第1の基台又は前記第1の基台とは異なる第2の基台に接合する工程と、
を含む工程により製造される第2の支持体。
【0101】
(付記20)
付記19に記載の第2の支持体を含む基板処理装置。
【0102】
(付記21)
プラズマ処理装置の構成部材の製造方法であって、
(a)第1の部材、第2の部材及び前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する第1の接合層を含む第1の構成部品から分離した前記第1の部材を準備する工程と、
(b)第2の接合層により、前記第1の部材を前記第2の部材又は前記第2の部材と異なる第3の部材に接合し、第2の構成部品を形成する工程と、
を含む、プラズマ処理装置の構成部品の製造方法。
【0103】
(付記22)
前記(a)は、
(a1)第1の部材、第2の部材及び前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する第1の接合層を含む第1の構成部品を加熱炉内に配置する工程と、
(a2)前記加熱炉の温度を100℃以上1000℃以下に維持する工程と、
(a3)前記第1の部材を前記第2の部材から取り外す工程と、
を含む、付記21に記載のプラズマ処理装置の構成部品の製造方法。
【0104】
(付記23)
前記第1の部材は、第1のシャワーヘッドであり、
前記第2の部材は、上部電極であり、
前記第3の部材は、第2のシャワーヘッドである、
付記21又は付記22に記載のプラズマ処理装置の構成部品の製造方法。
【0105】
(付記24)
前記第1の接合層は、第1の伝熱シートから形成され、
前記第2の接合層は、前記第1の伝熱シートと異なる第2の伝熱シートから形成される、
付記23に記載のプラズマ処理装置の構成部品の製造方法。
【0106】
以上の各実施形態は、説明の目的で記載されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以上の各実施形態は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【符号の説明】
【0107】
1……プラズマ処理装置、2……制御部、10……プラズマ処理チャンバ、11……基板支持部、111……本体部、1110……基台、1111……静電チャック、AD1……第1の接合層、AD2……第2の接合層、AD3……第3の接合層、AD4……第4の接合層、BS1……第1の基台、BS2……第2の基台、ESC……静電チャック、ES……静電電極、FP……流路、IM……絶縁部材、S1……第1の支持体、S2……第2の支持体、SL……スリーブ、TH……貫通孔