(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146830
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、およびプリント配線板
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20241004BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20241004BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20241004BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20241004BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/027 502
G03F7/004 512
G03F7/027 515
H05K1/03 610R
H05K1/03 610H
B32B27/16 101
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048000
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2023059134
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】花里 謙
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大地
(72)【発明者】
【氏名】加藤 文崇
(72)【発明者】
【氏名】志村 優之
【テーマコード(参考)】
2H225
4F100
【Fターム(参考)】
2H225AC23
2H225AC36
2H225AC54
2H225AC55
2H225AC63
2H225AD07
2H225AE06P
2H225AE14P
2H225AN39P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225AP11P
2H225AP15P
2H225BA05P
2H225BA09P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA20P
2H225CA13
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
4F100AA00B
4F100AA20B
4F100AH06B
4F100AK25B
4F100AT00A
4F100CA13B
4F100CA23B
4F100EH46B
4F100EJ67B
4F100GB43
4F100JA13B
4F100JN17B
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】熱膨張率が低い硬化物が形成できるとともに、溶融粘度の増加を抑制し、埋め込み性を向上できる感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】本発明による感光性樹脂組成物は、(A)無機フィラーと、(B)1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物と、(C)光重合開始剤と、(D) 無機コロイドとを含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(A)無機フィラーと前記(D)無機コロイドの合計の配合量が前記感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、30.0質量%以上であり、
前記(D)無機コロイドの配合量が、前記感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、2.0質量%以上であり、
100℃での溶融粘度が1000dPa・s未満であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)無機フィラーと、(B)1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物と、(C)光重合開始剤と、(D) 無機コロイドとを含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(A)無機フィラーと前記(D)無機コロイドの合計の配合量が前記感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、30.0質量%以上であり、
前記(D)無機コロイドの配合量が、前記感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、2.0質量%以上であり、
100℃での溶融粘度が1000dPa・s未満であることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(D)無機コロイドの表面積が100m2/g以上である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(D)無機コロイドが表面にシランカップリング処理された平均粒子径30nm以下のコロイダルシリカである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記コロイダルシリカが、表面積全体の50%未満にアクリロイル基またはメタクリロイル基が付加されたものである、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記コロイダルシリカがケイ酸ナトリウムから誘導されたコロイダルシリカである、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記コロイダルシリカの密度が1.9~2.2である、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)無機フィラーの平均粒子径が、200nm以上1000nm未満である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(A)無機フィラーが表面にシランカップリング処理によりアクリロイル基またはメタクリロイル基が付加されたシリカである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記(A)無機フィラーと前記(D)無機コロイドが球状である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記(A)無機フィラーの平均粒子径の前記(D)無機コロイドの平均粒子径に対する比が、8以上である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
(E)カルボキシル基含有樹脂をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
第一のフィルムと、前記第一のフィルム上に形成された請求項1~11のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えることを特徴とする、ドライフィルム。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。
【請求項14】
請求項12に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。
【請求項15】
請求項13に記載の硬化物を備えることを特徴とする、プリント配線板。
【請求項16】
請求項14に記載の硬化物を備えることを特徴とする、プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、該感光性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物、およびプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の小型化、高性能化が求められるなか、電子部品に搭載される半導体チップも高密度化、高機能化が進んでいる。これにともない、半導体チップを実装するプリント配線板も小型化・高密度化が求められており、集積度の高いプリント配線板を製造するため、高い解像性および信頼性を有する絶縁材料(例えば、ソルダーレジストや絶縁膜など)の開発が進められている。
【0003】
電子部品の小型化にともない、半導体チップを実装するプリント配線板には、より高い平滑性が要求されている。プリント配線板に電子部品を実装する際に、プリント配線板表面に高さのばらつきがあると、電子部品とプリント配線板との接続が不安定となり、信頼性が低下する為である。その為、プリント配線板の最外層に使用されるソルダーレジストには、表面の平滑性が高い、ドライフィルムタイプのソルダーレジストが好適に使用される(例えば、特許文献1)。
【0004】
ドライフィルムタイプのソルダーレジストは、真空ラミネーターなどの装置によってプリント配線板に加熱圧着され形成される。その際、プリント配線板の配線間などにソルダーレジストが適切に埋め込まれなかった場合、電子部品の絶縁信頼性が著しく低下する。その為ソルダーレジストには、配線間など入り込みにくい部位に対しても、適切に埋め込みが出来る様、流動性を高めるなどの工夫がされていた。
しかしながら、近年の電子部品の小型化に伴い、プリント配線板の配線はさらなる微細化が進んでおり、ドライフィルムタイプのソルダーレジストには、高い埋め込み性が求められている。
【0005】
また、電子部品の高性能化によって、発熱量が大きくなっている。それに伴い、電子部品を構成するソルダーレジストなどの絶縁材料に対し、昇温・冷却によって生じる体積変化が大きくなり、発生する応力も大きくなっている。増大した応力に、ソルダーレジストが耐えられなくなり、クラックが発生する事で、電子部品の故障の原因となるため、ソルダーレジストのクラック耐性向上が求められている。
【0006】
ソルダーレジストのクラック耐性向上のためには、昇温・冷却によって生じる体積変化に伴い発生する応力を抑える必要がある。そのためにはソルダーレジストの体積変化を抑える、もしくは、ソルダーレジストと接する各種構成材料と熱膨張率を合わせる事が有効な手法として知られている。
その場合、ソルダーレジストの熱膨張率は低い方が好ましい。熱膨張率を下げる為には、無機フィラーを高充填する事が有効だが、無機フィラーの充填量を増加させると溶融粘度の増加が起き、埋め込み性が低下してしまうといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の目的は、熱膨張率が低い硬化物が形成できるとともに、溶融粘度の増加を抑制し、埋め込み性を向上できる感光性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、該樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を有するドライフィルム、該樹脂組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、および、該硬化物を有するプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討した結果、感光性樹脂組成物において、無機フィラー、1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物、光重合開始剤、および無機コロイドとを配合することで、熱膨張率が低い硬化物が形成できるとともに、溶融粘度の増加を抑制し、埋め込み性を向上できる感光性樹脂組成物が得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] (A)無機フィラーと、(B)1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物と、(C)光重合開始剤と、(D) 無機コロイドとを含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(A)無機フィラーと前記(D)無機コロイドの合計の配合量が前記感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、30.0質量%以上であり、
前記(D)無機コロイドの配合量が、前記感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、2.0質量%以上であり、
100℃での溶融粘度が1000dPa・s未満であることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
[2] 前記(D)無機コロイドの表面積が100m2/g以上である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3] 前記(D)無機コロイドが、表面にシランカップリング処理された平均粒子径30nm以下のコロイダルシリカである、[1]または[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4] 前記コロイダルシリカが、表面積全体の50%未満にアクリロイル基またはメタクリロイル基が付加されたものである、[3]に記載の感光性樹脂組成物。
[5] 前記コロイダルシリカがケイ酸ナトリウムから誘導されたコロイダルシリカである、[3]または[4]に記載の感光性樹脂組成物。
[6] 前記コロイダルシリカの密度が1.9~2.2である、[3]~[5]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[7] 前記(A)無機フィラーの平均粒子径が、200nm以上1000nm未満である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[8] 前記(A)無機フィラーが表面にシランカップリング処理によりアクリロイル基またはメタクリロイル基が付加されたシリカである、[1]~[7]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[9] 前記(A)無機フィラーと前記(D)無機コロイドが球状である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[10] 前記(A)無機フィラーの平均粒子径の前記(D)無機コロイドの平均粒子径に対する比が、8以上である、[1]~[9]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[11] (E)カルボキシル基含有樹脂をさらに含む、[1]~[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[12] 第一のフィルムと、前記第一のフィルム上に形成された[1]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えることを特徴とする、ドライフィルム。
[13] [1]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。
[14] [12]に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。
[15] [13]に記載の硬化物を備えることを特徴とする、プリント配線板。
[16] [14]に記載の硬化物を備えることを特徴とする、プリント配線板。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱膨張率が低い硬化物が形成できるとともに、溶融粘度の増加を抑制し、埋め込み性を向上できる感光性樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物によれば、熱膨張率を低減することもできる。また、本発明によれば、該樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を有するドライフィルム、該樹脂組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、および、該硬化物を有するプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[感光性樹脂組成物]
本発明による感光性樹脂組成物は、少なくとも、(A)無機フィラー、(B)1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物、(C)光重合開始剤、および(D)無機コロイドを含有するものである。本発明による感光性樹脂組成物は、(E)カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性成分、陽イオン捕捉剤、着色剤、有機溶剤、およびその他の添加成分等をさらに含有してもよい。以下、本発明による感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0013】
感光性組成物の100℃における溶融粘度は、1000dPa・s未満であり、好ましくは900dPa・s未満であり、より好ましくは700dPa・s未満である。
感光性組成物の100℃における溶融粘度は、1000dPa・s未満であれば、回路への埋め込み性を向上させることができる。
本発明において、感光性組成物の100℃における溶融粘度は、ニッコー・マテリアルズ株式会社製の真空ラミネーターCVP-300を使用して、ドライフィルムをラミネート温度30~40℃で重ね合わせ、厚さ300μm、幅20mmの樹脂層を作製し、レオメーターMARS40を用いて、下記の条件で測定した値である。
(溶融粘度の測定条件)
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
・圧力:3Pa
【0014】
((A)無機フィラー)
無機フィラーの平均粒子径は、好ましくは200nm以上1000nm未満であり、より好ましくは250nm以上900nm以下であり、300nm以上800nm以下である。
感光性樹脂組成物が、上記の平均粒子径を有する無機フィラーを含むことで、埋め込み性が良好となる。
また、無機フィラーの平均粒子径の無機コロイドの平均粒子径に対する比(無機フィラーの平均粒子径/無機コロイドの平均粒子径)は、好ましくは8以上であり、より好ましくは8以上100以下であり、さらに好ましくは8以上50以下である。無機コロイドの平均粒子径の無機フィラーの平均粒子径に対する比が上記数値範囲内であれば、埋め込み性が良好となる。
【0015】
本発明において、無機フィラーの平均粒子径は、レーザー回折法測定器による動的光散乱法によって測定された体積平均粒子径(D50体積%)である。
具体的には、以下の方法により、無機フィラーの平均粒子径を測定することができる。
・粒度分布計:日機装株式会社製 マイクロトラック MT3300EX
・循環装置:日機装株式会社製 ASVR
まず、以下の手順で測定条件を入力する。マイクロトラックの付属のソフト(「粒度分布測定」)を立ち上げ、SET UPの画面から進み、測定条件設定のオプションから時間設定を行う。Setzero時間を30sec.、測定を30sec.、測定回数を2回とする。次に分析条件を入力する。分析情報において、粒子屈折率を1.81(固定値:全無機物の屈折率の平均値)、粒子の特徴において透過性を透過、形状を非球形とする。また溶媒情報において、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を選択し、溶媒屈折率を1.4とする。次にスケール設定を入力する。粒径範囲において、最小粒径を0.021μm、最大粒径を704μmとする。次にサンプリングシステムを入力する。ASVRの洗浄回数を4回、流速を50%、超音波出力を40W、超音波時間を300sec.とする。すべての測定条件を入力したら、測定条件の設定において、保存を押して閉じる。
続いて、以下の手順でサンプルの調整を行う。サンプルとしては、感光性樹脂組成物に配合する前の無機フィラーを用いる。無機フィラーを粉末で配合する場合にはその粉末を、無機フィラーを溶剤等に分散して配合する場合にはその溶剤分散体をサンプルとして用いる。スクリュー瓶にサンプルを0.3g秤取り、スポイトを用いて30gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを少しずつ添加し、スクリュー瓶の振とうによりサンプルを分散させて調整サンプルを作製する。調整サンプルは外部分散や予備分散を行わない。次に調整サンプルの測定を行う。マイクロトラックの付属のソフトの粒度分布測定をクリックしサンプルローディングの画面を開く。本体のサンプル投入口にスポイトを用いて調整サンプルを数滴滴下する。前記サンプルローディングの画面において、赤色の指示バーが表示されたら、赤色から緑色の範囲内に入るまで、前記サンプル投入口に調整サンプルを滴下する。前記緑色の範囲内に入ったら、測定ボタンを押して、測定を開始する。サンプルの調整から調整サンプルの測定までは5分以内に行う。測定結果として表示された、累積体積平均径50%の値を平均粒子径D50の値とする。
【0016】
無機フィラーは、感光性樹脂組成物中での分散性を高めるために、表面の少なくとも一部が処理された無機フィラーであることが好ましい。特に、無機フィラーの表面に硬化性反応基を導入可能な表面処理が施されていることが好ましい。ここで、硬化性反応基とは、(B)1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物および(E)カルボキシル基含有樹脂等の硬化性化合物と硬化反応する基であれば特に限定されず、光硬化性反応基でも熱硬化性反応基でもよい。光硬化性反応基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基等が挙げられる。熱硬化性反応基としては、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、イミノ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、オキサゾリン基等が挙げられる。
【0017】
無機フィラーの表面に硬化性反応基を導入する方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いて導入すればよく、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理すればよい。カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコアルミネート系等のカップリング剤が使用できる。これらの中でもシランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノメチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。無機フィラー100質量部に対するシランカップリング剤の処理量は、0.5~10質量部であることが好ましい。
【0018】
無機フィラーの種類は特に限定されず、従来公知の無機フィラーが使用できる。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、結晶性シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華等を用いることができる。これらの中でも、シリカが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。
【0019】
無機フィラーの配合量は、感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で好ましくは2.4質量%以上であり、より好ましくは2.4質量%以上60.0質量%未満であり、さらに好ましくは2.4質量%以上50.0質量%未満である。無機フィラーの配合量が上記数値範囲内であれば、埋め込み性が良好となる。
【0020】
無機フィラーと後述する無機コロイドとの合計の配合量は、感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で30.0質量%以上であり、好ましくは30.0質量%以上60.0質量%未満であり、より好ましくは30.0質量%以上50.0質量%未満である。無機フィラーと無機コロイドとの合計の配合量が上記数値範囲内であれば、熱膨張率が低い硬化物が形成できるとともに埋め込み性が良好となる。
【0021】
((B)1分子中に少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物)
1分子中に少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物は、反応性希釈材として用いることで、感光性樹脂組成物の溶融粘度を低減させることができる。1分子中に少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
1分子中に少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物の分子量の上限値は、好ましくは600g/mol以下であり、より好ましくは550g/mol以下である。また、1分子中に少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物の分子量の下限値は、特に限定されないが、好ましくは300g/mol以上であってもよい。1分子中に少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物の分子量を600g/mol以下とすることで、感光性樹脂組成物の溶融粘度を低減させて、回路への埋め込み性を向上させることができる。
【0023】
1分子中に少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物としては、上記の分子量を満たすものであればよく、例えば、公知慣用のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。具体的には、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート類;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキサイド誘導体のモノまたはジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのアルキレンオキサイド付加物あるいはε-カプロラクトン付加物等由来の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート等のフェノール類またはこれらのアルキレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテル由来のアクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオール等のポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくともいずれか1種から適宜選択して用いることができる。
【0024】
1分子中に少なくとも1つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物の配合量は、感光性樹脂組成物の全量に対して固形分換算で、好ましくは4.0質量%以上であり、より好ましくは4.0質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは4.0質量%以上8.0質量%以下である。1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物の配合量が4.0質量%以上であると、感光性樹脂組成物の粘度上昇を抑制しながら、光硬化性が良好であり、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像において、パターン形成がし易い。
【0025】
((C)光重合開始剤)
光重合開始剤は、(B)1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物および(E)カルボキシル基含有樹脂の少なくともいずれか1種を露光により反応させるためのものである。光重合開始剤としては、公知のものをいずれも用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
光重合開始剤としては、具体的には例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィン酸エチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
【0027】
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、369、369E、379等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 819等が挙げられる。
オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE01、OXE02、株式会社ADEKA製N-1919、アデカアークルズ NCI-831、NCI-831E、常州強力電子新材料社製TR-PBG-304などが挙げられる。
【0028】
その他、特開2004-359639号公報、特開2005-097141号公報、特開2005-220097号公報、特開2006-160634号公報、特開2008-094770号公報、特表2008-509967号公報、特表2009-040762号公報、特開2011-80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
【0029】
光重合開始剤の配合量は、感光性樹脂組成物の全量に対して固形分換算で、好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上3.0質量%以下である。光重合開始剤の配合量は、0.5質量%以上の場合、感光性樹脂組成物の光硬化性が良好となり、耐薬品性等の塗膜特性も良好となる。一方、5.0質量%以下の場合、レジスト膜(硬化塗膜)表面での光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。
【0030】
上記した光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは樹脂組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストパターンのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の精度を向上させることができる。
【0032】
((D)無機コロイド)
本発明における無機コロイドは公知慣用のものを使用できるが、各種液相法により合成されたもので、感光性樹脂組成物へ配合するまで、一度も乾燥粉末になっていないものが好ましい。乾燥粉末を経たナノ粒子は、再分散が難しく二次凝集を引き起こし、溶融粘度の低下が不安定となる。
【0033】
無機コロイドの配合量は、感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で2質量%以上であり、好ましくは2.0質量%以上47.0質量%未満であり、より好ましくは2.0質量%以上30.0質量%未満である。無機コロイドの配合量が上記数値範囲内であれば、埋め込み性が良好となる。
【0034】
無機コロイドの表面積は、好ましくは100m2/g以上であり、より好ましくは100m2/g以上250m2/g以下であり、さらに好ましくは150m2/g以上250m2/g以下である。無機コロイドの表面積が上記数値範囲内であれば、埋め込み性が良好となる。本発明において、無機コロイドの表面積は、窒素吸着装置を用いて、BET法により算出した値である。
【0035】
無機コロイドは、感光性樹脂組成物中での分散性を高めるために、表面の少なくとも一部が処理されたコロイダルシリカであることが好ましい。特に、無機コロイドの表面に硬化性反応基を導入可能な表面処理が施されていることが好ましい。ここで、硬化性反応基とは、(B)1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物および(E)カルボキシル基含有樹脂等の硬化性化合物と硬化反応する基であれば特に限定されず、光硬化性反応基でも熱硬化性反応基でもよい。光硬化性反応基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基等が挙げられる。熱硬化性反応基としては、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、イミノ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、オキサゾリン基等が挙げられる。これらの中でも、アクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましい。特に、無機コロイドは、表面積全体の50%未満にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有することが好ましい。
【0036】
表面に硬化性反応基を導入する方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いて導入すればよく、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理すればよい。カップリング剤としては、無機フィラーの表面処理と同様のものを用いることができる。無機コロイド100質量部に対するシランカップリング剤の処理量は、0.5~10質量部であることが好ましい。
【0037】
無機コロイドの平均粒子径は、30nm以下が好ましく、より好ましくは5nm以上25nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上15nm以下であり、特に好ましくは5nm以上12nm以下である。感光性樹脂組成物が、上記の平均粒子径を有する無機コロイドを含むことで、溶融粘度を低下させつつ、埋め込み性を向上できる。
【0038】
コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3、「水ガラス」とも呼ばれる)を原料として中和またはイオン交換によりコロイダルシリカとしたものであることが好ましい。コロイダルシリカの製造方法は特に限定されるものではないが、一例として、ケイ酸ナトリウムを原料としてケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラスとも呼ばれる)を調製し、ケイ酸ナトリウム水溶液に対して酸を添加することによりコロイド粒子を得て、コロイド粒子をイオン交換樹脂で処理した後、塩基を添加してpHを調整することでコロイダルシリカが得られる。コロイダルシリカ平均粒子径は、コロイド粒子を調製する際の水溶液濃度によって調整することができる。具体的には、特開平06-16414号公報に記載されているような公知の方法によって、所望の平均粒子径を有するコロイダルシリカを得ることができる。
【0039】
ケイ酸ナトリウムから誘導されたコロイダルシリカの平均粒子径の調整は、製造時の条件によって行うことができる。また、ケイ酸ナトリウムから誘導されたコロイダルシリカとして、平均粒子径が上記範囲にある市販品をそのまま用いてもよい。具体例として、日産化学株式会社製のスノーテックス(登録商標):(品番)ST-XS、ST-S、ST-30、ST-50-T、ST-UP、ST-PS-S、ST-PS-M、ST-OXS、ST-OS、ST-O、ST-O-40、ST-OUP、ST-PS-SO、ST-PS-MO、ST-NXS、ST-NS、ST-N、ST-N-40、ST-CXS、ST-C、ST-CM、ST-AK;日産化学株式会社製のオルガノシリカゾル:(品番)MA-ST-M、IPA-ST、IPA-ST―UP、NPC-ST-30、PGM-ST、PGM-ST―UP、DMAC-ST、NMP-ST、MEK-ST-40、MEK-ST-UP、MIBK-ST、CHO-ST-M、EAC-ST、PMA-ST、TOL-ST、MEK-AC-2140Z、PGM-AC-2140Y、PGM-AC-3140Y、MIBK-AC-2140Z、MEK-EC-2130Y、MEK-EC-2430Z、EP-M2130Y、EP-M2230Y等が挙げられる。
【0040】
ケイ酸ナトリウムから誘導されたコロイダルシリカは、スラリー状態で配合されていてもよい。スラリー状態で配合することによって、高分散化が容易であり、凝集を防止して上記特定範囲の平均粒子径のシリカとして取り扱いが容易になる。
【0041】
ケイ酸ナトリウムから誘導されたコロイダルシリカは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
コロイダルシリカの密度は、1.9以上2.2以下であることが好ましく、2.0以上2.2以下であることがより好ましい。コロイダルシリカの密度が上記数値範囲内であれば、埋め込み性が良好となる。
【0043】
((E)カルボキシル基含有樹脂)
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。カルボキシル基含有樹脂は分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するものであっても有さないものであってもよいが、特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。なお、本発明の感光性樹脂組成物がカルボキシル基含有樹脂を含む場合、アルカリ現像する用途だけでなく、アルカリ現像しない用途に使用してもよい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、上述の(B)1分子中に少なくとも1つアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物が必要である。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0044】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂(低級アルキル(メタ)アクリレートとして、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる)。
【0045】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0046】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0047】
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0048】
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0049】
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0050】
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0051】
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0052】
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0053】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0054】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0055】
(12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0056】
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0057】
本発明に使用できるカルボキシル基含有樹脂は、上記列挙したものに限られない。また、上記列挙したカルボキシル基含有樹脂は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
【0058】
本発明において、炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ現像液を用いる際の現像性とレジストパターンの描画性を考慮すると、カルボキシル基含有樹脂の酸価は30~150mgKOH/gの範囲であることが好ましく、50~120mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価は高いほど現像性は向上するものの、現像液による露光部の溶解が進むために、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離する場合がある。
【0059】
カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に1,500~150,000の範囲であり、1,800~100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000以上のカルボキシル基含有樹脂を用いることにより、解像性やタックフリー性能を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下のカルボキシル基含有樹脂を用いることにより現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0060】
カルボキシル基含有樹脂の配合量は、感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、好ましくは20.0質量%以上40.0質量%以下であり、より好ましくは20.0質量%以上30.0質量%以下である。カルボキシル基含有樹脂の配合量を20.0質量%以上とすることにより感光性樹脂組成物の光反応性を向上させることができる。また、カルボキシル基含有樹脂の配合量を40.0質量%以下とすることにより熱線膨張係数を低下させることができる。
【0061】
(熱硬化性成分)
本発明の感光性樹脂組成物は、上記した成分に加えて、熱硬化性成分が含まれていてもよい。熱硬化性成分としては、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用のものが挙げられる。これらの中でも好ましい熱硬化性成分は、エポキシ樹脂である。
【0062】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER 828、806、807、YX8000、YX8034、834、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYD-128、YDF-170、ZX-1059、ST-3000、DIC株式会社製のEPICLON 830、835、840、850、N-730A、N-695および日本化薬株式会社製のRE-306等が挙げられる。
【0064】
感光性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂のエポキシ基の当量は、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基の当量1に対して、固形分換算で0.5~2.5であることが好ましい。0.5当量以上とすることで、硬化物におけるカルボキシル基の残存を防止して、良好な耐熱性や耐アルカリ性、電気絶縁性等を得ることができる。また、上記配合量を2.5当量以下とすることで、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することを防止して、硬化物の強度等を良好に確保することができる。
【0065】
本発明の感光性樹脂組成物に熱硬化性成分が含まれる場合は、熱硬化性成分の硬化を促進するための熱硬化触媒を含んでいてもよい。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業株式会社製の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU-CAT 3513N(ジメチルアミン系化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CAT SA 102(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。
【0066】
上記した化合物に限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも何れか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。
【0067】
熱硬化触媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。熱硬化触媒の配合量は、感光性樹脂組成物の保存安定性や硬化塗膜の耐熱性の観点から、感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。
【0068】
(陽イオン捕捉剤)
陽イオン捕捉剤としては、イオン交換により陽イオンを捕捉できる化合物を用いることができる。陽イオン捕捉剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
陽イオン捕捉剤は、正または負に荷電した層状構造の無機化合物であることが好ましくは、正に荷電した層状構造の無機化合物であることが好ましい。特に、陽イオン捕捉剤のイオン交換能はNa+が2.0meq/g以上であるか、または、Cu2+が2.2meq/g以上であることが好ましい。
【0070】
陽イオン捕捉剤としては、例えば、ハイドロタルサイトが挙げられる。ハイドロタルサイトとは、下記式(1)で表わされる化合物である。
MgaAlb(OH)c(CO3)d・nH2O ・・・(1)
(式(1)中、a、b、c、およびdは正数であり、2a+3b-c-2d=0を満たす。また、nは水和の数を示し、0または正数であり、好ましくは1~5である。)
【0071】
式(1)中、Mgの一部を他の2価金属イオンに置換したものも同様に好ましく用いることができる。他の2価金属イオンの中で特に好ましいものはZnである。
【0072】
ハイドロタルサイトの具体例としては、特に限定されないが、例えば、Mg4.5Al2(OH)13CO3・nH2O、Mg5Al1.5(OH)12.5CO3・nH2O、Mg6Al2(OH)16CO3・nH2O、Mg4.2Al2(OH)12.4CO3・nH2O、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・nH2O、Mg2.5Zn2Al2(OH)13CO3・nH2O、Mg4.2Al2(OH)12.4CO3・nH2O、Mg4.2Al2(OH)12.4CO3・nH2O、Mg4Al2(OH)12CO3・nH2O等(以上、nは水和の数を示し、0または正数であり、好ましくは1~5である。)が挙げられ、中でも、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・nH2Oが好ましい。
【0073】
式(1)で表されるハイドロタルサイトとしては、a/bが1.5以上5以下であることが好ましく、1.7以上3以下であることがより好ましく、1.8以上2.5以下であることがさらに好ましい。
【0074】
陽イオン捕捉剤は市販品を用いてもよく、例えば、東亞合成株式会社製「IXEPLAS-A1」、「IXEPLAS-A2」、「IXEPLAS-B1」等が挙げられる。
【0075】
陽イオン捕捉剤の配合量は、感光性樹脂組成物の全量に対して、固形分換算で、0.2質量%以上であり、好ましくは0.2質量%以上5.0質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上3.0質量%以下である。陽イオン捕捉剤の配合量を0.2質量%以上とすることにより絶縁信頼性を向上させることができる。
【0076】
(着色剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、特に限定されず、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよいが、環境負荷の低減や人体への影響が少ない観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
【0077】
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ-インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
【0078】
モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
【0079】
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられ、例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60。染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67,70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0080】
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられ、例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
【0081】
その他、紫、オレンジ、茶色、黒等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25,カーボンブラック等が挙げられる。
【0082】
着色剤の配合量は、感光性樹脂組成物の全量に対して固形分換算で、好ましくは0.3質量%以上1.0質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上0.6質量%以下である。
【0083】
(有機溶剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
有機溶剤の配合量は、特に限定されず、感光性樹脂組成物を調製し易いように目的の粘度に応じて適宜設定することができる。
【0085】
(その他の添加成分)
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、シアネート化合物、エラストマー、メルカプト化合物、ウレタン化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
【0086】
本発明の感光性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いてもよい。
【0087】
[調製方法]
本発明の感光性樹脂組成物の調製には、各成分を秤量、配合した後、撹拌機にて予備撹拌する。続いて、混練機にて各成分を分散させ、混練を行うことで調製することができる。
【0088】
上記の混練機としては、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミル、3本ロールミル、2本ロールミル等を挙げることができる。これらの中でも、分散性を向上させるためには、ビーズミルを用いることが好ましい。ビーズミルのビーズの種類や粒径等の分散条件は、目的とする粘度に応じて適宜設定することができる。
【0089】
[用途]
本発明による感光性樹脂組成物は、ソルダーレジストやカバーレイ、層間絶縁層等のプリント配線板の永久被膜としてのパターン層を形成するために有用であり、特にソルダーレジストの形成に有用である。また、本発明の感光性樹脂組成物は、薄膜でも膜強度に優れた硬化物を形成できることから、薄膜化が要求されるプリント配線板、例えばパッケージ基板(半導体パッケージに用いられるプリント配線板)におけるパターン層の形成にも好適に用いることができる。
【0090】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、硬化塗膜のパターン層を形成する用途だけでなく、パターン層を形成しない用途、例えばモールド用途(封止用途)に用いることができる。
【0091】
[ドライフィルム]
本発明の感光性樹脂組成物は、第一のフィルムと、この第一のフィルム上に形成された上記感光性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えたドライフィルムの形態とすることもできる。本発明における第一のフィルムとは、基板等の基材上にドライフィルム上に形成された上記感光性樹脂層からなる樹脂層側が接するように加熱等によりラミネートして一体成形する際には少なくとも樹脂層に接着しているものをいう。第一のフィルムはラミネート後の工程において、樹脂層から剥離しても良い。特に本発明においては露光後の工程において、樹脂層から剥離することが好ましい。ドライフィルム化に際しては、本発明の感光性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等で第一のフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後膜厚で、1~150μm、好ましくは5~60μmの範囲で適宜選択される。
【0092】
第一のフィルムとしては、公知のものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。また、これらフィルムの積層体を第一のフィルムとして使用することもできる。
【0093】
また、上記したような熱可塑性樹脂フィルムは、機械的強度向上の観点から、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
【0094】
第一のフィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、10μm~150μmとすることができる。
【0095】
第一のフィルム上に本発明の感光性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を形成した後、さらに、樹脂層の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、樹脂層の表面に剥離可能な第二のフィルムを積層することが好ましい。本発明における第二のフィルムとは、基板等の基材上に感光性フィルム積層体の樹脂層側が接するように加熱等によりラミネートして一体成形する際、ラミネート前に感光性樹脂層から剥離するものをいう。剥離可能な第二のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、第二のフィルムを剥離するときに樹脂層と第一のフィルムとの接着力よりも樹脂層と第二のフィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
【0096】
第二のフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、10μm~150μmとすることができる。
【0097】
ドライフィルムを用いてプリント配線板上に硬化塗膜を作製するには、ドライフィルムから第二のフィルムを剥離し、ドライフィルムの露出した樹脂層を回路形成された基材に重ね、ラミネーター等を用いて貼り合わせ、回路形成された基材上に樹脂層を形成する。次いで、形成された樹脂層に対し、露光、現像、加熱硬化すれば、硬化塗膜を形成することができる。第二のフィルムは、露光前または露光後のいずれかで剥離すればよい。
【0098】
[硬化物]
本発明の硬化物は、上記本発明の感光性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られるものである。硬化条件等の製造条件については[プリント配線板]にて後述する。本発明の硬化物は、プリント配線板や電子部品等に好適に用いることができる。
【0099】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の感光性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層から得られる硬化物を有するものである。本発明のプリント配線板の製造方法としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60~100℃の温度で15~90分間、組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、第一のフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
【0100】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0101】
ドライフィルムの基材上への貼合は、真空ラミネーター等を用いて、加圧および加熱下で行うことが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、回路形成された基板を用いた場合に、回路基板表面に凹凸があっても、ドライフィルムが回路基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面の凹部の穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1~2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40~120℃であることが好ましい。
【0102】
本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。装置としては、熱風循環乾燥炉として、ヤマト科学株式会社製DF610等が挙げられる。
【0103】
基材上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3~3.0質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。ドライフィルムの場合には、露光後、ドライフィルムから第一のフィルムを剥離して現像を行うことにより、基材上にパターニングされた硬化物を形成する。なお、特性を損なわない範囲であれば、露光前にドライフィルムから第一のフィルムを剥離して、露出した樹脂層を露光および現像してもよい。
【0104】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10~1,000mJ/cm2、好ましくは20~800mJ/cm2の範囲内とすることができる。装置としては、メタルハライドランプ搭載の露光装置として、株式会社オーク製作所製HMW-680-GW20等が挙げられる。
【0105】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0106】
さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後に加熱硬化(例えば、100~220℃の温度で30~90分間)、もしくは加熱硬化後に活性エネルギー線を照射(例えば、1,000~2,000mJ/cm2)、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化) させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化塗膜を形成する。装置としては、高圧水銀ランプを用いたUVコンベアとして、株式会社オーク製作所製QRM-2082等が挙げられる。
【実施例0107】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0108】
(無機フィラーA-1分散液の調整)
球状シリカ粒子(株式会社アドマテックス製SO-C2、平均粒径:500nm)70gと、溶剤としてプロピレンプリコールモノメチルエーテルアセテート28gと、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM-503)2gとを均一分散させ、固形分70%のメタクリルシラン処理された無機フィラーA-1の分散液を得た。
【0109】
(無機フィラーA-2分散液の調整)
球状シリカ粒子(デンカ株式会社製SFP-30MHE、平均粒径:600nm)70gと、溶剤としてプロピレンプリコールモノメチルエーテルアセテート28gと、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM-503)2gとを均一分散させ、固形分70%のメタクリルシラン処理された無機フィラーA-2の分散液を得た。
【0110】
(カルボキシル基含有樹脂E-1の合成)
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、ビスフェノールA 456部、水228部、37%ホルマリン649部を仕込み、40℃以下の温度を保ち、25%水酸化ナトリウム水溶液228部を添加した、添加終了後50℃で10時間反応した。反応終了後40℃まで冷却し、40℃以下を保ちながら37.5%リン酸水溶液でpH4まで中和した。その後静置し水層を分離した。分離後メチルイソブチルケトン300部を添加し均一に溶解した後、蒸留水500部で3回洗浄し、50℃以下の温度で減圧下、水、溶媒等を除去した。得られたポリメチロール化合物をメタノール550部に溶解し、ポリメチロール化合物のメタノール溶液1230部を得た。得られたポリメチロール化合物のメタノール溶液の一部を真空乾燥機中室温で乾燥したところ、固形分が55.2%であった。
得られたポリメチロール化合物のメタノール溶液500部、2,6-キシレノール440部を仕込み、50℃で均一に溶解した。均一に溶解した後50℃以下の温度で減圧下メタノールを除去した。その後シュウ酸8部を加え、100℃で10時間反応した。反応終了後180℃、50mmHgの減圧下で溜出分を除去し、ノボラック樹脂A 550部を得た。
更に、温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、上記のノボラック樹脂Aを130部、50%水酸化ナトリウム水溶液2.6部、トルエン/メチルイソブチルケトン(質量比=2/1)100部を仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、次に加熱昇温し、150℃、8kg/cm2でエチレンオキシド45部を徐々に導入し反応させた。反応はゲージ圧0.0kg/cm2となるまで約4時間を続けた後、室温まで冷却した。この反応溶液に3.3部の36%塩酸水溶液を添加混合し、水酸化ナトリウムを中和した。この中和反応生成物をトルエンで希釈し、3回水洗し、エバポレーターにて脱溶剤して、水酸基価が175g/eq.であるノボラック樹脂Aのエチレンオキシド付加物を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りエチレンオキシドが平均1モル付加しているものであった。
このように得られたノボラック樹脂Aのエチレンオキシド付加物175部、アクリル酸50部、p-トルエンスルホン酸3.0部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、トルエン130部を撹拌機、温度計、空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を吹き込みながら攪拌して、115℃に昇温し、反応により生成した水をトルエンと共沸混合物として留去しながら、さらに4時間反応させたのち、室温まで冷却した。得られた反応溶液を、5%NaCl水溶液を用いて水洗し、減圧留去にてトルエンを除去したのち、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを加えて、固形分68%のアクリレート樹脂溶液を得た。
次に、撹拌器および還流冷却器の付いた4つ口フラスコに、得られたアクリレート樹脂溶液312部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、トリフェニルフォスフィン0.3部を仕込み、この混合物を110℃に加熱し、テトラヒドロ無水フタル酸45部を加え、4時間反応させ、冷却後、固形分70%、固形分酸価65mgKOH/gのカルボキシル基含有樹脂E-1の溶液を得た。
【0111】
(カルボキシル基含有樹脂E-2の合成)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON N-695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。
このようにして、固形分65%、固形物酸価100mgKOH/g、重量平均分子量Mw約3,500のカルボキシル基含有樹脂E-2の溶液を得た。
【0112】
[実施例1~15、比較例1~4]
(感光性樹脂組成物の調製)
各組成物について、下記表1および2に示す処方に従って各成分を配合し、撹拌機によって撹拌を行った後、3本ロールミルで混練して、感光性樹脂組成物を調製した。なお、表中の各数値は質量部(固形分換算量)を示す。
【0113】
【0114】
【0115】
表1、2中の各成分の詳細は、以下の通りである。
※1:YA010C:球状シリカ、平均粒子径10nm、メタクリル表面処理、株式会社アドマテックス製
※2:DA-600:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、三洋化成工業株式会社製
※3:Omnirad 819:アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、IGM Resins社製
※4:PGM-AC-2140Y:球状シリカ、平均粒子径12nm、表面積230m2/g、メタクリル表面処理、メタクリル処理率50%未満、密度2.0~2.2、日産化学株式会社製
※5:PGM-AC-3140Y:球状シリカ、平均粒子径22nm、表面積120m2/g、メタクリル表面処理率50%未満、密度2.0~2.2、日産化学株式会社製
※6:PGM-AC-4130Y:球状シリカ、平均粒径45nm、表面積60m2/g、メタクリル表面処理率50%未満、密度2.0~2.2、日産化学株式会社製
※7:PMA-ST:球状シリカ、平均粒径12nm、表面積230m2/g、表面処理なし、密度2.0~2.2、日産化学株式会社製
※8:PL-1:球状シリカ、平均粒径15nm、表面処理あり、密度0.86~1.16、扶桑化学工業株式会社製
※9:N-730A:フェノールノボラック型エポキシ樹脂、DIC株式会社製
※10:VG3101L:3官能エポキシ樹脂、エア・ウォーター株式会社製
※11:IXEPLAS-A1:陽イオン捕捉剤、ハイドロタルサイト、東亞合成株式会社製
※12:BYK-361N:表面調整剤、ビッグケミー・ジャパン社製
※13:QS-30:重合禁止剤、エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル株式会社製
【0116】
(ドライフィルムの作製)
上記で調整した各感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いて第一のフィルム(T-60、東レ株式会社製、厚さ38μm)上に乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、熱風循環式乾燥炉にて80℃で10分間乾燥し、各感光性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を備えたドライフィルムを得た。
【0117】
(感光性組成物の溶融粘度の測定)
上記で調製した各感光性組成物の100℃における溶融粘度(dPa・s)を(ニッコー・マテリアルズ株式会社製の真空ラミネーターCVP-300を使用して、上記作製したドライフィルムをラミネート温度30~40℃で重ね合わせ、厚さ300μm、幅20mmの樹脂層を作製し、レオメーターMARS40を用いて、下記の条件で測定した。測定結果を表3および4に示した。
(溶融粘度の測定条件)
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
・圧力:3Pa
【0118】
(埋め込み性)
上記で調製した各感光性組成物を用いて、以下の方法により埋め込み性を評価した。格子パターンを持つ基板に上記ドライフィルムを真空ラミネーター(CVP-300、ニッコー・マテリアルズ株式会社製)を用いて、100℃1分間で加熱ラミネート、80℃1分間でプレスを行い、評価基板を得た。評価基板について発生した気泡の数を、光学顕微鏡を用いて確認し、その発生率から埋め込み性を評価した。埋め込み性を下記の基準で評価し、結果を表3および4に示した。評価結果が、「◎」~「△」であれば合格である。
[評価基準]
◎:0%以上10%未満
〇:10%以上30%未満
△:30%以上60%未満
×:60%以上
【0119】
(熱膨張係数の測定)
上記で調製した各感光性組成物を用いて、以下の方法により熱膨張係数を測定した。銅箔上に上記ドライフィルムを真空ラミネーター(CVP-300、ニッコー・マテリアルズ株式会社製)を用いて、100℃1分間で加熱ラミネート、80℃1分間でプレスをおこなった。その後、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて最適露光量にて全面露光し、第一のフィルムを剥離したのちに、30℃の1質量%Na2CO3水溶液をスプレー圧2kg/cm2の条件で60秒間現像した。現像後、UVコンベアで積算光量2000mJ/cm2で光硬化し、熱風循環式乾燥炉にて170℃で60分間加熱した硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜(3mm×10mmサイズ)をTMA―Q400EM1797を用いて、下記条件で平均熱線膨張係数の測定を二回行い、二度目の測定結果を用いて線膨張係数を決定した。線膨張係数を下記の基準で評価し、評価結果を表3および4に示した。
(測定条件)
・昇温速度:10℃/min
・試験荷重:5g
[評価基準]
熱膨張係数α1
〇:35ppm以下
×:35ppm超
熱膨張係数α2
〇:100ppm以下
×:100ppm超
【0120】
【0121】