(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014717
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240125BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B41J2/165 211
B41J2/165 101
B41J2/17 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080402
(22)【出願日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2022116529
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 亮輔
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA29
2C056JA06
2C056JA14
2C056JA16
2C056JC13
(57)【要約】
【課題】液体が収納部から外に溢れるのを防ぐ。
【解決手段】液体吐出装置が、液体を収納する収納部と、前記収納部に接続する第1経路部と、前記収納部に前記第1経路部とは別の箇所で接続する第2経路部と、前記第1経路部に接続して、前記液体を吸引する吸引部と、前記第2経路と接続する第3経路部と、前記第3経路部より小さい直径であり、前記第3経路部と接続する第4経路部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収納する収納部と、
前記収納部に接続する第1経路部と、
前記収納部に前記第1経路部とは別の箇所で接続する第2経路部と、
前記第1経路部に接続して、前記液体を吸引する吸引部と、
前記第2経路部と接続する第3経路部と、
前記第3経路部より小さい直径であり、前記第3経路部と接続する第4経路部と
を備える液体吐出装置。
【請求項2】
前記第4経路部は、
直径が2ミリメートル以下、かつ、0.1ミリメートル以上である
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1経路部と前記第2経路部をつなぐ第5経路部と、
前記第2経路部と前記第5経路部をつなぐか、又は、前記第2経路部と前記第3経路部をつなぐかを切り替える経路切替部と、
前記第2経路部、及び、前記第3経路部に大気を取り込むか否かを切り替える大気切替部とを更に備える
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体を記録媒体に吐出する吐出部と、
前記記録媒体を回転体で搬送する搬送部とを更に備え、
前記収納部が前記回転体の形状に基づいて、水平面に対して傾きがある
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記液体を吐出して画像形成を行う画像形成部を更に備える
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記液体は、
前記第1経路部を介して前記吸引部による吸引で吸引した前記液体が廃液となり、
前記経路切替部が、前記第2経路部と前記第5経路部をつなぐように切り替えると、前記吸引部によって前記第1経路部、前記第2経路部、及び、前記第5経路部の経路内が吸引されて廃液となり、
前記収納部は、
着脱可能なヘッドを備える
請求項3に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェット方式の液体吐出装置は、インクが増粘、又は、乾燥すると、吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」と記載することがある。)からの液体の吐出が正常に出来ない状態になることがある。例えば、ヘッドから液体ができない不吐出、又は、インクの吐出方向が想定方向と異なる方向になるなどの吐出異常が発生する。そのため、吐出異常を防ぐために、ヘッドを定期的に清掃(クリーニング)するヘッドクリーニング機能を備える液体吐出装置が知られている。
【0003】
具体的には、ヘッドが備える吐出口(インクが吐出される開口)を覆うキャップを備え、そのキャップの下面に第1経路、及び、第2経路を備えて、これら複数の経路を介して吐出口に残留したインクを吸引する方法でヘッドクリーニングを実行する。従来から知られているヘッドクリーニングにおいて、例えば、第1経路には、吸引ポンプが接続する。そして、吸引ポンプがノズル内のインク等を吸引してヘッドクリーニングが行われる。一方で、第2経路は、ノズル形成面とキャップの間の密閉空間に大気を送る経路である。そして、第2経路上に逆止弁を設けることで、逆止弁が、外部からキャップ内へ空気の供給し、かつ、空気、及び、流体の逆流を阻止する。これにより、大気開放バルブをキャップの下方に配置して、大気開放バルブを開放しても流体が外部へ流出するのを阻止する技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、インク等の液体が収納部から外に溢れてしまう場合がある。特に、ヘッドを外した状態では、液体が収納部から外に溢れやすい。また、吸引用の経路とは別に、液体を流す経路を設けても、経路上に液体が残留すると、液体が流れにくくなり、液体が収納部から外に溢れてしまう課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液体が収納部から外に溢れるのを防ぐのを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、液体吐出装置は、
液体を収納する収納部と、
前記収納部に接続する第1経路部と、
前記収納部に前記第1経路部とは別の箇所で接続する第2経路部と、
前記第1経路部に接続して、前記液体を吸引する吸引部と、
前記第2経路と接続する第3経路部と、
前記第3経路部より小さい直径であり、前記第3経路部と接続する第4経路部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体が収納部から外に溢れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】ヘッドを装着している状態の例を示す図である。
【
図7】ヘッドを外している状態の例を示す図である。
【
図8】第2実施形態における画像形成装置の内部構造例を示す図である。
【
図9】吸引メンテナンスの動作処理例を示す図である。
【
図11】ヘッドを装着した状態における大気開放、かつ、吸引の手順例を示す図である。
【
図12】ヘッドを外し、かつ、経路切替をした後の状態における吸引の手順例を示す図である。
【
図14】ノズル列を拭き取る構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0010】
[液体吐出装置の構成例]
図1は、画像形成装置の例を示す図である。以下、
図1に示す画像形成装置1を液体吐出装置の例として説明する。したがって、画像形成装置1は、インクを用紙に吐出して画像を形成する装置である。
【0011】
画像形成装置1は、給紙部10と、前処理部20と、画像形成部30と、乾燥部50と、後処理部60と、排紙部70と、操作部90と、制御部100とを備える。
【0012】
画像形成装置1は、給紙部10が給紙する用紙Pに対し、前処理部20により前処理を行う。前処理の後、画像形成部30は、インクを用紙Pに吐出して用紙Pに画像を形成する。次に、乾燥部50は、用紙P上に付着したインクを乾燥させる。乾燥した後、後処理部60は、用紙Pに後処理を行う。後処理の後、排紙部70は、用紙Pを排紙する。以下、各部を個々に説明する。
【0013】
(給紙部10の構成例)
給紙部10は、給紙トレイ11A、給紙トレイ11B、給送装置12A、及び、給送装置12Bを備える。
【0014】
給紙トレイ11A、及び、給紙トレイ11Bは、複数の用紙Pを積載する。
【0015】
給送装置12A、及び、給送装置12Bは、用紙Pを1枚ずつ分離して送り出す。そして、給送装置12A及び12Bは、ローラ、及び、コロを用いた装置、並びに、エア吸引を利用した装置等を用いる場合もある。
【0016】
用紙Pは、搬送方向2に沿って搬送され、前処理部20に送り出される。
【0017】
(前処理部20の構成例)
前処理部20は、給紙部10から給紙されてきた用紙Pに対し、前処理を行う。例えば、前処理は、インクと反応して滲みを抑制する処理液を用紙Pに塗布する処理液塗布処理等である。なお、前処理は、用紙Pを加工する等の処理でもよい。
【0018】
前処理部20は、用紙Pを画像形成部30へ送るレジストローラ対21を備える。
【0019】
用紙Pは、前処理が行われた後、レジストローラ対21に搬送される。レジストローラ対21に用紙Pが到達した後、レジストローラ対21は、タイミングを調整して用紙Pを画像形成部30へ送る。
【0020】
(乾燥部50の構成例)
乾燥部50は、搬送機構51、及び、加熱手段52を備える。
【0021】
搬送機構51は、用紙Pを搬送する。
【0022】
加熱手段52は、用紙P上に付着したインクを乾燥させる。例えば、加熱手段52は、ハロゲンヒータ、又は、セラミックヒータ等である。
【0023】
搬送機構51は、画像形成部30から搬送する用紙Pを受け取る。次に、搬送機構51は、加熱手段52に用紙Pを搬送する。乾燥後、用紙Pは、後処理部60に搬送される。
【0024】
加熱手段52を通過すると、用紙P上のインクは、加熱処理が行われる。この加熱処理により、インク中の水分等の液分が蒸発し、用紙P上にインクが固着する。
【0025】
(後処理部60の構成例)
後処理部60は、用紙Pに対して後処理を行う。後処理部60は、用紙反転搬送処理部61を備える。
【0026】
用紙反転搬送処理部61は、用紙Pを反転させ、反転経路62を通して再び画像形成部30へ送る。このようにして、画像形成装置1は、用紙Pの両面に画像を形成する。
【0027】
画像形成装置1は、用紙の反転、綴じ処理、矯正、及び、冷却等の後処理を行ってもよい。具体的には、綴じ処理は、複数枚の用紙Pを綴じる処理である。矯正は、用紙Pの変形を矯正する処理である。冷却は用紙Pを冷却する。
【0028】
(排紙部70の構成例)
排紙部70は、複数の用紙Pが積載される排紙トレイ71を備える。後処理部60から搬送されてくる用紙Pは、排紙トレイ71上に順次積み重ねる。
【0029】
(操作部90の構成例)
操作部90は、タッチパネル、又は、キーボード等で構成する。操作部90は、操作者による操作を入力する。また、操作部90は、操作者等に情報を表示するディスプレイ等の表示部があってもよい。なお、操作部90は、画像形成装置1の内部、又は、外部におけるどの位置に設置されてもよい。
【0030】
(制御部100の構成例)
制御部100は、画像形成装置1の全体を制御する。なお、制御部100は、画像形成装置1の内部、又は、外部におけるどの位置に設置されてもよい。
【0031】
(画像形成部30の構成例)
図2は、画像形成部の構成例を示す図である。画像形成装置1は、以下のような画像形成部を構成する装置を備える。
【0032】
画像形成部30は、受け取り胴34、ドラム31、ヘッド210、受け渡し胴35、クリーニング部36、及び、インラインセンサ40を備える。
【0033】
受け取り胴34は、前処理部20が搬送する用紙Pを受け取る。
【0034】
ドラム31は、用紙Pを外周面に担持して搬送する。
【0035】
ヘッド210は、ドラム31が担持する用紙Pにインクを吐出する。
【0036】
受け渡し胴35は、用紙Pを乾燥部50へ搬送する。
【0037】
まず、用紙Pは、受け取り胴34の表面に設けられた用紙グリッパによって先端が把持され、受け取り胴34の表面移動によって搬送される。次に、用紙Pは、ドラム31に向き合う位置でドラム31へ受け渡される。
【0038】
ドラム31の表面には、用紙グリッパを備える。そして、用紙Pの先端が、用紙グリッパによって把持される。また、ドラム31の表面には、複数の吸引孔が形成される。そして、各吸引孔は、ドラム31の内部に設ける吸引装置によって、ドラム31の内側へ向かう吸い込み気流を生じる。
【0039】
用紙Pは、用紙グリッパによって先端が把持され、かつ、吸い込み気流によってドラム31の表面に吸着する。そして、用紙Pは、ドラム31の回転により搬送される。
【0040】
ヘッド210は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及び、K(ブラック)の4色のインクを吐出して画像を形成する。
【0041】
ヘッド210は、色の種類に応じて、液体吐出ヘッド33A、液体吐出ヘッド33B、液体吐出ヘッド33C、及び、液体吐出ヘッド33Dを備える。以下、液体吐出ヘッド33A、液体吐出ヘッド33B、液体吐出ヘッド33C、及び、液体吐出ヘッド33Dを総じて「ヘッド210」という。
【0042】
ヘッド210は、用紙Pの幅方向3(幅方向3は、搬送方向2に略直交する方向である。)において、全幅に画像を形成するため、複数のノズルを全幅に設ける。このように、画像形成部30は、ヘッド210を移動させないライン型の構成である。
【0043】
ヘッド210は、白色、金色、又は、銀色等の特殊なインクを用いてもよい。ほかにも、ヘッド210は、表面コート液等を用いて、画像形成する以外の処理を行ってもよい。
【0044】
クリーニング部36は、ヘッド210をクリーニングする。例えば、クリーニング部36は、吸引キャップ、吸引ポンプ、ウェブ、及び、ゴムブレード等で構成する。ヘッド210は、ミスト等で汚染する場合がある。そこで、クリーニング部36は、ヘッド210が汚染した場合には、ヘッド210をクリーニングする。また、クリーニング部36は、ヘッド210ごとに設ける。
【0045】
ヘッド210は、画像データに応じて吐出する。用紙Pがヘッド210に向き合う位置を通過する際に、ヘッド210は、各色のインクを吐出する。このようにインクが吐出されると、用紙Pには、画像データに応じた画像が形成される。
【0046】
インラインセンサ40は、搬送方向2におけるヘッド210の下流に設けられる。また、インラインセンサ40は、用紙Pに形成する画像を読み取る装置である。なお、搬送方向2は、ドラム31の回転方向である。
【0047】
例えば、インラインセンサ40は、CCD(Charge Coupled Device)、又は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備える。そして、インラインセンサ40は、カラーの読取画像を出力する。
【0048】
(ハードウェア構成例)
図3は、ハードウェア構成例を示す図である。具体的には、制御部100は、Central Processing Unit(以下「CPU101」という。)、及び、Read Only Memory(以下「ROM102」という。)を備える。また、制御部100は、Random Access Memory(以下「RAM103」という。)、及び、Hard Disk Drive/Solid State Drive(以下「HDD/SSD104」という。)を備える。さらに、制御部100は、Interface(以下「I/F105」という。)を備える。
【0049】
ハードウェア資源は、システムバスBを介して相互に電気的に接続される。また、各装置は、ヘッド210、インラインセンサ40、クリーニング部36、及び、操作部90の各々に対し、システムバスBを介してデータ及び信号を送受信する。
【0050】
CPU101は、RAM103を作業領域として使用し、ROM102に格納するプログラムを実行する。
【0051】
HDD/SSD104は、記憶装置である。HDD/SSD104は、CPU101が読み出すプログラム、設定値、又は、データ等を記憶する。
【0052】
I/F105は、外部PC110とのインターフェースである。
【0053】
制御部100は、上述する以外の演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、補助装置を内部、又は、外部に更に備えてもよい。
【0054】
[構造例]
図4は、画像形成装置の内部構造例を示す図である。具体的には、画像形成装置1は、収納部200、第1経路部201、第2経路部202、第3経路部203、第4経路部204、及び、吸引部205を備える構造である。
【0055】
収納部200は、吸引キャップである。したがって、収納部200には、インクを収納する。また、収納部200は、ヘッドが着脱可能な構成である。以下、ヘッドを外した状態の例で説明する。また、収納部200には、第1経路部201、及び、第2経路部202が接続する。
【0056】
第1経路部201は、収納部200の底面に設ける吸引口からインクを吸引する経路である。第1経路部201は、吸引部205と接続する構成である。
【0057】
吸引部205は、吸引ポンプである。吸引部205で吸引したインクは、タンク206に排出される。したがって、タンク206は、廃液を回収する。
【0058】
具体的には、吸引ポンプを駆動させ、ノズル面に負圧をかけることで、ヘッドから吸引キャップ内にインクを排出させる。そして、ヘッド内に異物、又は、気泡等がある場合は、異物、又は、気泡等は、インクと一緒に排出される。
【0059】
第2経路部202は、収納部200の底面に設ける吸引口とは異なる開口(以下「大気通連口」という。)につながる経路である。また、第2経路部202、及び、第3経路部203は接続する。なお、第2経路部202、及び、第3経路部203は、別の経路でなく一体でもよい。
【0060】
第3経路部203は、大気切替部207を介して第4経路部204と接続する。
【0061】
第4経路部204は、継手又はチューブ等である。第4経路部204の直径は、第1経路部201、第2経路部202、及び、第3経路部203のどれよりも小さい直径である。また、第1経路部201、及び、第2経路部202は、いずれもどのような直径でもよい。
【0062】
例えば、第4経路部204は、内径の直径が2ミリメートル以下、かつ、0.1ミリメートル以上の寸法が望ましい。
【0063】
第4経路部204は、できるだけ内径が小さい方が望ましい。一方で、0.1ミリメートル未満の経路を構成する部品は、製造が難しくなり、入手が難しい場合が多い。したがって、第4経路部204は、直径が2ミリメートル以下、かつ、0.1ミリメートル以上であると、入手しやすい部品で構成できる。また、内径の小さい第4経路部204を設けると、吸引部205を駆動させた際に、第2経路部202と第3経路部203に大気を取り込みながらヘッドからインクを吸引できる。具体的には、第4経路部204は、直径が2ミリメートル以下であると、ヘッドからインクを吸引するための流路抵抗を程度に生じさせることができる。
【0064】
大気切替部207は、第2経路部202、及び、第3経路部203の経路に大気を取り込むか否かを切り替える。
【0065】
第4経路部204による経路は、吸引時にノズル面にかかる負圧が吸引メンテナンスに必要な負圧まで達する抵抗となる条件を満たす。この条件を満たす経路であると、吸引ポンプで吸っても、第4経路部204でつながっているため、吸引後~大気開放吸引の間で、第2経路部202、及び、第3経路部203の経路が負圧となり、インクが流入するのを防げる。
【0066】
また、この経路では、インクが大気通連口からの排出、すなわち、第2経路部202、及び、第3経路部203の経路への流入とは逆の圧力分布となるため、逆流が防げる。
【0067】
以上のように、第4経路部204を備える構成であると、インクが溢れるのを防ぐことができる。
【0068】
(搬送部、及び、液体吐出部の構成について)
画像形成装置1において、用紙Pを搬送する搬送部は、
図2に示すドラム31のような回転体である。一方で、搬送部は、搬送ベルト等でもよい。本実施形態は、搬送部が回転体を用いて搬送する構成、又は、搬送ベルト等を用いて搬送する構成のどちらにも適用できる。
【0069】
図5は、収納部に傾きがある例を示す図である。図は、
図2と同様に、ドラム31で用紙Pを搬送する例を示す。
【0070】
ドラム31のように、回転体で用紙Pを搬送する、すなわち、用紙Pを搬送する面が、ベルトのように平面でなく、曲面である場合には、ドラム31の形状に応じて、ヘッド210は、水平面に対して傾けて設置される。
【0071】
具体的には、液体吐出ヘッド33Aは、水平面301に対して、角度θの傾きがあるように設置される。なお、角度θは、ドラム31の曲率、又は、ヘッド210の設置位置等に応じて調整して設定される。
【0072】
以上のように、用紙Pをドラム31で搬送する構成であって、収納部200は、更に以下のような構成である。
【0073】
図6は、ヘッドを装着している状態の例を示す図である。収納部200には、インク212が収納される。そして、収納部200の底面には、第1経路部201等の経路が接続し、インク212の吸引が行われる。
【0074】
なお、ノズル列211は、ヘッド210と一体である。そのため、ヘッド210の着脱により、ノズル列211は、ヘッド210と一緒に着脱可能である。
【0075】
次に、ユーザがヘッド210を収納部200から外す操作を行うと、
図7に示すようにヘッド210が外れた状態となる。
【0076】
図7は、ヘッドを外している状態の例を示す図である。
図6と比較すると、
図7は、ヘッド210が外れた状態となっている点が異なる。
【0077】
図6、及び、
図7が示すように、ヘッド210は、操作により着脱が可能な構成である。そして、
図7が示すように、ヘッドが外れている状態では、インク212が外へ溢れやすい。特に、角度θのような傾きがあると、水平に設置される場合と比較して、吸引した後にインク212が残っている場合は、インク212が外へ溢れやすい。
【0078】
したがって、本実施形態は、収納部200が回転体の形状に基づいて、水平面に対して傾きがある場合に適用するのがより望ましい。
【0079】
また、本実施形態のような構成であると、インク212が外へ溢れるのを防ぐために行う水位を下げる処理等を省略できる。ほかにも、本実施形態のような構成であると、吸引が行われても、第4経路部204による経路があるため、インク212が逆流するのを防げる。
【0080】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態における画像形成装置の内部構造例を示す図である。第2実施形態は、第1実施形態と比較すると、第5経路部221、及び、経路切替部222が加わる点が異なる。以下、異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
【0081】
第5経路部221は、第1経路部201と第2経路部202に接続する。
【0082】
経路切替部222は、切替弁である。したがって、経路切替部222は、第1経路部201と第2経路部202をつなぐか、又は、第3経路部203と第2経路部202をつなぐかを切り替える。なお、経路切替部222は、インク212に接する場合があるため、インク212に触れてもよい材質が望ましい。
【0083】
図9は、吸引メンテナンスの動作処理例を示す図である。例えば、インク212が増粘したり、又は、気泡が発生したりすると、吸引メンテナンスが開始される。なお、吸引メンテナンスは、画像形成装置1がインク212で画像形成した画像をスキャンした結果に基づき、画像形成装置1が以下のような手順で行う。
【0084】
ステップS0901では、画像形成装置1は、吸引を行う。
【0085】
図10は、吸引手順の例を示す図である。
図10は、ステップS0901の処理例を示す図である。まず、ステップS0901は、ヘッド210を収納部200に装着した状態で実行する。
【0086】
また、経路切替部222は、第3経路部203と第2経路部202をつなぐ状態である。さらに、大気切替部207は、第2経路部202と第3経路部203に大気を取り込まない状態である。このような状態で、吸引部205は、インク212を吸引する。
【0087】
吸引により、ヘッド210からインク212が吸引される。
【0088】
ステップS0902では、画像形成装置1は、大気開放、かつ、吸引を行う。
【0089】
図11は、ヘッドを装着した状態における大気開放、かつ、吸引の手順例を示す図である。
図11は、
図10と比較すると、大気切替部207が第2経路部202と第3経路部203に大気を取り込む状態に切り替わっている点が異なる。
【0090】
このような状態であると、第2経路部202と第3経路部203に大気が取り込まれる。吸引部205は、ステップS0901と同様に、インク212を吸引する。このように吸引を行うと、収納部200内に残存するインク212が吸引される。
【0091】
大気切替部207は、キャッピング状態でキャップ内及び経路内のインクを排出する目的で動作する。具体的には、第4経路部204に接続された状態で吸引部205を駆動した場合は、第4経路部204の内径が小さく抵抗となるため、キャップ内、及び、経路内のインクを排出するのと同時に新たにヘッドからインクを吸引する。
【0092】
一方で、大気切替部207が大気に切り替えた状態で吸引部205を駆動する場合は、抵抗が小さく、積極的に空気を流入できる。このため、ヘッドから新たにインクを吸引することなく、キャップ内、及び、経路内のインクを排出することができる。
【0093】
ステップS0903では、ヘッドを外す操作が行われる。
【0094】
ステップS0904では、画像形成装置1は、経路切替、かつ、吸引を行う。
【0095】
図12は、ヘッドを外し、かつ、経路切替をした後の状態における吸引の手順例を示す図である。
図12は、
図11と比較すると、経路切替部222によって経路が切り替えられている点が異なる。また、
図12は、ステップS0903により、ヘッドが外れた状態である。
【0096】
したがって、各経路内にあるインク212は、吸引部205による吸引によって排出される。
【0097】
なお、吸引メンテナンスは、定期的に行うでもよい。一方で、吸引メンテナンスは、ユーザによる操作、又は、スキャン結果に基づいてArtificial Intelligence(AI)が判断して実行を開始してもよい。
【0098】
なお、
図10、
図11、及び、
図12に示すように、収納部200には、吸収体230があってもよい。
【0099】
図13は、吸引による効果の例を示す図である。
図13は、
図12と比較すると、第2経路部202上にインク残240がある点が異なる。
【0100】
インク残240は、第2経路部202にインク212が流入して発生する。特に、ステップS0902が行われると、第2経路部202、及び、第3経路部203内は、負圧になるのでインク212が流入しやすい。
【0101】
ほかにも、ノズル列211からインク212が垂れると、大気通連口にインク212が付着し、第2経路部202、及び、第3経路部203の経路にインク212が流入する可能性がある。そこで、
図12のように、ヘッドを外した後に、大気連通口と吸引部205までの経路を連通させて、吸引部205を駆動させる。このようにすると、経路内のインク残240を吸引によって排出できる。
【0102】
インク残240は、経路上に残存すると、経路を閉塞し、大気の取り込み等の障害となる。特に、インク212が増粘すると、インク残240により大気の流れがより流れにくくなり、障害が大きくなりやすい。
【0103】
吸引部205は、吸収体230等が途中にあると、インク残240を吸引する吸引力が落ちる場合がある。そのため、第5経路部221のような経路でインク残240を吸引できると、経路上に残存するインク残240を排出できる。また、吸引部205よる吸引の方が、大気を取り込む際に発生する圧力よりも高い圧力がかけられるため、インク残240をより排出できる。
【0104】
図14は、ノズル列を拭き取る構成の例を示す図である。画像形成装置1は、ブレード241、及び、ウェブ242を備えて、ノズル列211を拭き取る構成であってもよい。
【0105】
ブレード241は、ウェブ242によるワイピング後、ノズル面をきれいにする。
【0106】
ウェブ242は、吸引後、ノズル面に残存したインクを吸収する。
【0107】
[その他の実施形態]
記録媒体は、例えば、用紙(「普通紙」等ともいう。)である。ただし、記録媒体は、用紙以外のコート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、又は、可撓性を持つ薄板等でもよい。すなわち、記録媒体の素材は、インク滴が付着可能、一時的に付着可能、付着して固着、又は、付着して浸透する材質等であればよい。具体的には、記録媒体は、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子(「圧電部材」等ともいう。)等の電子部品、粉体層(「粉末層」等ともいう。)、臓器モデル、又は、検査用セル等である。このように、記録媒体の材質は、液体が付着可能であって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等であればよい。また、液体は、上記の用途に応じて、インク以外の種類が用いられてもよい。
【0108】
上記の制御方法は、例えば、コンピュータに処理を実行させて実現させる。なお、本発明に係る制御方法は、上記に示す以外の処理が含まれてもよい。また、制御方法は、一部の処理を外部装置による処理又は操作等で実行される方法を含む。
【0109】
上記の制御方法は、上記に例示する処理、又は、上記に示す処理と等価な処理を実行するプログラム(ファームウェア、及び、プログラムに準ずるものを含む。以下単に「プログラム」という。)で実現されてもよい。
【0110】
すなわち、上記の制御方法は、コンピュータに対して指令を行って所定の結果が得られるように、プログラミング言語等で記載されたプログラム等で実現されてもよい。なお、プログラムは、処理の一部をIC(集積回路、Integrated Circuit)等のハードウェア等で実行する構成であってもよい。
【0111】
プログラムは、コンピュータが有する演算装置、制御装置、及び、記憶装置等を協働させて上記に示す処理等をコンピュータに実行させる。すなわち、プログラムは、主記憶装置等にロードされて、演算装置に命令を発して演算を行わせてコンピュータを動作させる。
【0112】
また、プログラムは、コンピュータが読み込み可能な記録媒体、又は、ネットワーク等の電気通信回線を介して提供されてもよい。
【0113】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0114】
<1>液体を収納する収納部と、
前記収納部に接続する第1経路部と、
前記収納部に前記第1経路部とは別の箇所で接続する第2経路部と、
前記第1経路部に接続して、前記液体を吸引する吸引部と、
前記第2経路部と接続する第3経路部と、
前記第3経路部より小さい直径であり、前記第3経路部と接続する第4経路部と
を備える液体吐出装置である。
【0115】
<2>前記第4経路部は、
直径が2ミリメートル以下、かつ、0.1ミリメートル以上である
上記<1>に記載の液体吐出装置である。
【0116】
<3>前記第1経路部と前記第2経路部をつなぐ第5経路部と、
前記第2経路部と前記第5経路部をつなぐか、又は、前記第2経路部と前記第3経路部をつなぐかを切り替える経路切替部と、
前記第2経路部、及び、前記第3経路部に大気を取り込むか否かを切り替える大気切替部とを更に備える
上記<1>又は<2>に記載の液体吐出装置である。
【0117】
<4>前記液体を記録媒体に吐出する吐出部と、
前記記録媒体を回転体で搬送する搬送部とを更に備え、
前記収納部が前記回転体の形状に基づいて、水平面に対して傾きがある
上記<1>乃至<3>のいずれか1つに記載の液体吐出装置である。
【0118】
<5>前記液体を吐出して画像形成を行う画像形成部を更に備える
上記<1>乃至<4>のいずれか1つに記載の液体吐出装置である。
【0119】
<6>前記液体は、
前記第1経路部を介して前記吸引部による吸引で吸引した前記液体が廃液となり、
前記経路切替部が、前記第2経路部と前記第5経路部をつなぐように切り替えると、前記吸引部によって前記第1経路部、前記第2経路部、及び、前記第5経路部の経路で吸引されて廃液となり、
前記収納部は、
着脱可能なヘッドを備える
上記<3>に記載の液体吐出装置である。
【0120】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1 :画像形成装置
2 :搬送方向
3 :幅方向
30 :画像形成部
31 :ドラム
200 :収納部
201 :第1経路部
202 :第2経路部
203 :第3経路部
204 :第4経路部
205 :吸引部
206 :タンク
207 :大気切替部
210 :ヘッド
211 :ノズル列
212 :インク
221 :第5経路部
222 :経路切替部
230 :吸収体
240 :インク残
301 :水平面
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】