(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014724
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】フォーカスリング及びこれを含むプラズマエッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023086552
(22)【出願日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0090392
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ミン、キョンヨル
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ヨンス
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ソンシク
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョンイン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジュンクン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、スマン
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB07
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より安定的にプラズマエッチング装置の部品に固定され、エッチング対象の均一なエッチングを満たし、プラズマエッチング装置の静電チャックと良好な静電気的引力を満たすフォーカスリング及びこれを含むプラズマエッチング装置を提供する。
【解決手段】エッチング対象が載置されるようにプラズマエッチング装置内に配置されるフォーカスリングであって、エッチング対象が載置される載置面111を含む載置部110と、載置部110の外周に形成された本体部120と、を含む。本体部120は、上面の少なくとも一部に溝132が形成された溝部130を含む。溝部130は、本体部120の平均厚さtbよりも薄い平均厚さtgを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング対象が載置されるようにプラズマエッチング装置内に配置されるフォーカスリングであって、
前記エッチング対象が載置される載置面を含む載置部と、
前記載置部の外周に形成された本体部とを含み、
前記本体部は、前記本体部の少なくとも一部に配置される溝部を含み、
前記溝部は、前記本体部の上面に溝が形成された領域であり、
前記溝部の上面は、前記本体部の最大高さよりも低い高さを有し、
前記溝部の溝の体積Vgと、前記溝の体積とフォーカスリングの体積の和Vfとの比Vg/Vfは0.1~0.5であり、
前記Vgは、下記式1で計算される、フォーカスリング。
[式1]
Vg=(Hb-Hg)×Wavg×Lsum
(前記式1において、Hbは、前記本体部の最大高さであり、Hgは、前記溝部の上面の平均高さであり、Wavgは、前記フォーカスリングの半径方向から見た前記溝部の平均幅であり、Lsumは、前記フォーカスリングの円周方向を基準とする溝部の長さの和である。)
【請求項2】
前記フォーカスリングの本体部は、
前記載置部の外周に位置する連結部と、前記連結部の外周に位置する溝部と、前記溝部の外周に位置する縁部とを含む、請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項3】
前記連結部の幅Wsと前記溝部の幅Wgとの比Ws/Wgは0.04~0.2である、請求項2に記載のフォーカスリング。
【請求項4】
前記フォーカスリングの半径方向から見た前記溝部は、最大幅が15mm~25mmである、請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項5】
前記フォーカスリングの平均厚さは3.2mm以下である、請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項6】
前記溝部の平均厚さTgと、前記溝部を除いた本体部の平均厚さTbとの比Tg/Tbは0.16~0.72である、請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項7】
前記溝部の平均厚さは0.5mm~2.3mmである、請求項6に記載のフォーカスリング。
【請求項8】
前記溝部を除いた本体部の平均厚さは2.2mm~3.2mmである、請求項6に記載のフォーカスリング。
【請求項9】
前記載置部の平均厚さは1mm~2mmである、請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項10】
チャンバと、
前記チャンバの内部に配置された上部静電チャック及び静電チャックと、
前記上部静電チャック上に載置されるエッチング対象の外周を取り囲むフォーカスリングとを含み、
前記静電チャックは、前記フォーカスリングの下部に配置され、
前記静電チャックの電極は、前記フォーカスリングの下部に位置した領域に配置され、
前記フォーカスリングは、請求項1に記載のフォーカスリングである、プラズマエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、フォーカスリング及びこれを含むプラズマエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高集積化された半導体素子の微細パターンを形成するために、基板に乾式エッチングであるプラズマエッチングが主に用いられる。プラズマエッチング装置は、チャンバ、チャンバ内に配置された静電チャック(electrostatic chuck)、及び静電チャックの上下に設置された高周波電力を印加する電極などの手段を備える。プラズマエッチング工程は、前記電極の間に印加された高周波電力によって、前記チャンバ内に流入したガスをプラズマに変換させ、このプラズマを用いて、静電チャック上に載置された基板をエッチングする過程により行われ得る。プラズマを構成するラジカル又はイオンは、基板の表面と物理的及び化学的に反応してエッチングする。
【0003】
プラズマエッチング装置のプラズマは、エッチング対象が置かれた静電チャックの上下に印加される高周波電力によって生成されるので、高周波電力が印加される部分まではプラズマの制御が容易であるが、相対的に静電チャックの外側部分は直接的なプラズマの制御が難しい。静電チャックの外側部分に生成されるプラズマの量は相対的に少なく、それによって、基板の縁部のエッチング率が中央領域に比べて多少低くなり得る。そのため、基板全面にわたる均一なエッチングを達成することが難しくなり得る。
【0004】
このような基板のエッチングの均一度を向上させるために、静電チャック上に置かれるエッチング対象の外周には、エッチング対象を取り囲むようにフォーカスリングが設けられる。このフォーカスリングは、エッチング装置内でプラズマエッチング処理が行われると、プラズマをエッチング対象の表面に向かうように誘導して、処理効率を向上させる。
【0005】
このようなフォーカスリングを介したエッチング対象の処理効率を向上させるために、傾斜を設けるなどの様々な形状の変更が試みられた。但し、エッチング工程時にフォーカスリングに揺れなどが一部発生して、安定的にエッチング処理が行われない場合が報告された。
【0006】
そのため、より安定的にフォーカスリングを固定し、エッチング対象の均一なエッチングを満たすために、さらに改善された方案が必要な実情である。
【0007】
前述した背景技術は、発明者が具現例の導出のために保有していた、または導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとは限らない。
【0008】
関連する先行技術として、韓国公開特許公報第10-2020-0052973号に開示された"静電チャックアセンブリ、静電チャック及びフォーカスリング"などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
具現例の目的は、より安定的にプラズマエッチング装置の部品に固定され、エッチング対象の均一なエッチングを満たすようにするフォーカスリングを提供することにある。
【0010】
具現例の他の目的は、プラズマエッチング装置の静電チャックと良好な静電気的引力を満たすフォーカスリングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、具現例に係るフォーカスリングは、
エッチング対象が載置されるようにプラズマエッチング装置内に配置されるフォーカスリングであって、
前記エッチング対象が載置される載置面を含む載置部と、
前記載置部の外周に形成された本体部とを含み、
前記本体部は、前記本体部の少なくとも一部に配置される溝部を含み、
前記溝部は、前記本体部の上面に溝が形成された領域であり、
前記溝部の上面は、前記本体部の最大高さよりも低い高さを有し、
前記溝部の溝の体積Vgと、前記溝の体積とフォーカスリングの体積の和Vfとの比Vg/Vfは0.1~0.5であり、
前記Vgは、下記式1で計算され得る。
【0012】
[式1]
Vg=(Hb-Hg)×Wavg×Lsum
【0013】
前記式1において、Hbは、前記本体部の最大高さであり、Hgは、前記溝部の上面の平均高さであり、Wavgは、前記フォーカスリングの半径方向から見た前記溝部の平均幅であり、Lsumは、前記フォーカスリングの円周方向を基準とする溝部の長さの和である。
【0014】
一具現例において、前記フォーカスリングの本体部は、
前記載置部の外周に位置する連結部と、前記連結部の外周に位置する溝部と、前記溝部の外周に位置する縁部とを含むことができる。
【0015】
一具現例において、前記連結部の幅Wsと前記溝部の幅Wgとの比Ws/Wgは0.04~0.2であってもよい。
【0016】
一具現例において、前記フォーカスリングの半径方向から見た前記溝部は、最大幅が15mm~25mmであってもよい。
【0017】
一具現例において、前記フォーカスリングの平均厚さは3.2mm以下であってもよい。
【0018】
一具現例において、前記溝部の平均厚さTgと、前記溝部を除いた本体部の平均厚さTbとの比Tg/Tbは0.16~0.72であってもよい。
【0019】
一具現例において、前記溝部の平均厚さは0.5mm~2.3mmであってもよい。
【0020】
一具現例において、前記溝部を除いた本体部の平均厚さは2.2mm~3.2mmであってもよい。
【0021】
一具現例において、前記載置部の平均厚さは1mm~2mmであってもよい。
【0022】
上記の目的を達成するために、具現例に係るプラズマエッチング装置は、
チャンバと、
前記チャンバの内部に配置された上部静電チャック及び静電チャックと、
前記上部静電チャック上に載置されるエッチング対象の外周を取り囲むフォーカスリングとを含み、
前記静電チャックは、前記フォーカスリングの下部に配置され、
前記静電チャックの電極は、前記フォーカスリングの下部に位置した領域に配置され、
前記フォーカスリングは、前記によるフォーカスリングであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
具現例に係るフォーカスリングは、プラズマエッチング装置の静電チャックとさらに向上した静電気的引力を満たすと共に、良好な耐久性及び耐食性を示すことができる。
【0024】
具現例に係るフォーカスリングを適用したプラズマエッチング装置は、エッチング対象のプラズマエッチング時に均一なエッチング率を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】具現例に係るプラズマエッチング装置の一例を示した概略図である。
【
図2】具現例に係るプラズマエッチング装置に適用されるフォーカスリングの一例を示した概略図である。
【
図3】具現例に係るフォーカスリングの右側の一部を正面の観点で示した正面図である。
【
図4】具現例に係るフォーカスリングを上から見た観点で示した平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、一つ以上の具現例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似の部分に対しては同一の図面符号を付した。
【0027】
本明細書において、ある構成が他の構成を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、それ以外の他の構成を除くものではなく、他の構成をさらに含むこともできることを意味する。
【0028】
本明細書において、ある構成が他の構成と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、「それらの間に他の構成を介在して連結」されている場合も含む。
【0029】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上に直接当接してBが位置するか、またはそれらの間に他の層が位置しながらA上にBが位置することを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0030】
本明細書において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0031】
本明細書において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0032】
本明細書において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0033】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0034】
フォーカスリング100
図2乃至
図4は、具現例に係るフォーカスリング100の概略的な形態を示した図である。以下、
図2乃至
図4を参照して、具現例に係るフォーカスリングを説明する。
【0035】
具現例に係るフォーカスリング100は、
エッチング対象10が載置されるようにプラズマエッチング装置内に配置されるフォーカスリングであって、
前記エッチング対象が載置される載置面111を含む載置部110と、
前記載置部の外周に形成された本体部120とを含むことができる。
【0036】
前記本体部120は、前記本体部の少なくとも一部に配置される溝部130を含み、
前記溝部は、前記本体部の上面に溝が形成された領域であり、
前記溝部の上面は、前記本体部の上面の最大高さよりも低い高さを有することができる。
【0037】
前記溝部130の溝132の体積Vgと、前記溝の体積とフォーカスリング100の体積の和Vfとの比Vg/Vfは、約0.1~0.5であってもよく、約0.19~0.36であってもよく、または約0.24~0.34であってもよい。
【0038】
このとき、前記溝の体積Vgは、下記式1で計算することができる。
【0039】
[式1]
Vg=(Hb-Hg)×Wavg×Lsum
【0040】
前記式1において、Hbは、前記本体部120の上面の最大高さであり、Hgは、前記溝部の上面の平均高さであり、Wavgは、前記フォーカスリング100の半径方向(
図3のy方向)から見た前記溝部の平均幅であり、Lsumは、前記フォーカスリングの円周方向を基準とする溝部の長さの和である。
【0041】
前記溝部130の平均幅Wavgは、前記フォーカスリング100の円周方向に沿って溝を一定の間隔でn等分し、溝内のn等分線の長さの平均として計算することができる。前記nは、3~10の整数であり得る。
【0042】
前記溝部130の長さの和Lsumは、フォーカスリング100の円周方向に沿って測定されるそれぞれの溝の最大長さの和であり得る。
【0043】
前記溝部130の平均幅Wavg及び長さの和Lsumは、別途のモデリングプログラム(CATIA、SolidWorks、AutoCADなど)を通じても計算され得る。
【0044】
前記溝132は、前記本体部120の最大高さよりも低い高さを有する本体部の上面から前記本体部の最大高さまでの空間を意味する。前記溝部132の上面は、前記本体部120の上面の最大高さよりも低い高さを有する。
【0045】
前記溝の体積とフォーカスリング100の体積の和Vfは、前記Vgに前記フォーカスリングの体積を合わせて計算され得る。
【0046】
具現例で定義した溝の体積Vg、及び前記溝の体積とフォーカスリング100の体積の和Vfの計算は、モデリングを通じて溝の体積を計算できる手段(CATIA、SolidWorks、AutoCADなど)であれば、特に制限なく使用することができる。
【0047】
前記本体部120及び溝部130の高さは、フォーカスリング100の半径方向と垂直な方向を基準として測定することができる。
【0048】
このような溝部130の溝132の体積比率を有するフォーカスリング100は、フォーカスリングの下部に位置するプラズマエッチング装置の絶縁性部品である静電チャックとさらに安定的に静電気的吸着が形成されるように誘導することができ、静電チャックとフォーカスリングとの間のチャッキング力(chucking force)の向上を期待することができる。前記溝部の体積比率未満または超える場合、安定した固定がなされなかったり、耐摩耗性が低下して、クラックなどが容易に発生したりするおそれがある。
【0049】
前記溝部130の溝132の体積は、例示的に約8,268mm3~41,342mm3であってもよく、または約15,720mm3~29,501mm3であってもよいが、前記エッチング対象10の直径、大きさに応じて変わるフォーカスリングの大きさに応じて、前記体積は変わり得る。
【0050】
前記静電チャック20とフォーカスリング100との間のチャッキング力Fcは、概略的に次の式2のように計算され得る。
【0051】
[式2]
Fc=(ε0×εr×A×V)/(2×D2)
【0052】
前記式2において、ε0は、真空の誘電率であり、εrは、フォーカスリングの誘電率であり、Aは、フォーカスリングと静電チャックが接する断面積であり、Vは、フォーカスリングと接する静電チャックの下部に位置した電極に印加される電圧であり、Dは、フォーカスリングの平均厚さである。
【0053】
前記チャッキング力(Fc)は、絶対的な値ではなく相対的な値として理解しなければならず、他の条件が一定であるとき、フォーカスリングの平均厚さの二乗と反比例することが分かる。
【0054】
前記フォーカスリング100は、前記チャッキング力の上昇率が、前記溝部100がない(溝が窪んでいない)フォーカスリングと比較して152%~500%であり得る。このようなチャッキング力の上昇率を有することによって、プラズマエッチング装置の静電チャックと安定的に固定されるようにすることができる。
【0055】
前記フォーカスリング100の平均厚さは、約3.2mm以下であってもよく、約3.0mm以下であってもよく、または約2.7mm以下であってもよい。前記フォーカスリングの平均厚さは、約1.7mm以上であってもよく、または約2mm以上であってもよい。このような厚さの範囲を満たすフォーカスリングは、前記のような適切な溝部を備えることで、プラズマエッチング装置の静電チャックと安定的に固定され得、良好な耐久性を示すことができる。
【0056】
前記フォーカスリング100の平均高さは、フォーカスリングの半径方向と垂直な方向を基準として(z方向)、約3.2mm以下であってもよく、約3.0mm以下であってもよく、または約2.7mm以下であってもよい。前記フォーカスリングの平均高さは、約1.7mm以上であってもよく、または約2mm以上であってもよい。
【0057】
前記溝部130は、前記載置部110の外周に位置するフォーカスリングにおいて、前記フォーカスリング100の最大高さよりも低い領域を示すことができる。
【0058】
前記溝部130は、前記本体部120に形成された溝132を含む。
【0059】
前記溝132は、前記本体部の上面で本体部の円周方向に沿って環(リング)状に形成されてもよい。
【0060】
前記溝132は、前記本体部の上面の一部でのみ溝が形成されてもよい。
【0061】
前記溝部130は、前記載置部の載置面111と実質的に平行な溝部上面を有し、溝の側壁が前記溝部上面と直交する、実質的に断面が四角形の形態の溝132を有してもよい。
【0062】
前記溝部130は、前記載置部の載置面111と実質的に平行な仮想の線と溝部の側壁が直交する一側面、及び一側面と繋がり、傾斜した他側面を有する、実質的に断面が四分円または三角形の形態の溝132を有してもよい。
【0063】
前記溝部130は、前記溝部上面が曲面である形態であって、凹、凸、及びこれらの組み合わせで窪んだ形態の溝132を有してもよい。
【0064】
前記溝部上面は、一部は曲面を有し、一部は角張った形態で形成されてもよい。
【0065】
前記溝部130の平均厚さは、約0.5mm~2.3mmであってもよく、または約1mm~2mmであってもよい。
【0066】
フォーカスリング100の半径方向と垂直な方向から見た前記溝部130の平均高さは、約0.5mm~2.3mmであってもよく、または約1mm~2mmであってもよい。
【0067】
フォーカスリング100の半径方向から見た前記溝部130の最大幅は、約15mm~25mmであってもよく、または約17mm~22mmであってもよい。
【0068】
前記溝部130の平均厚さTgと、前記溝部を除いた本体部120の平均厚さTbとの比Tg/Tbは、約0.16~0.72であってもよく、または約0.19~0.58であってもよい。
【0069】
前記溝部130の平均厚さTg、及び前記溝部を除いた本体部120の平均厚さTbは、フォーカスリング100の半径方向に一定の間隔でn等分し、n等分されたものの厚さの平均として計算することができる。前記nは、3~10の整数であり得る。また、モデリングを通じて平均厚さを計算できる手段(CATIA、SolidWorks、AutoCADなど)を活用することができる。
【0070】
前記溝部130がこのような厚さ、高さ、幅及びTg/Tbを有することによって、破損やクラックを防止し、前記フォーカスリング100がプラズマエッチング装置の静電チャックと安定的に吸着を誘導することができる。
【0071】
前記載置部110は、エッチング対象10が載置され得るようにする載置面111を含むことができる。前記載置面は、前記フォーカスリング100の半径方向に所定の幅を有するように形成され得、エッチング対象が載置可能な平らな面を有することができる。
【0072】
前記載置部110の平均厚さは、約1mm~2mmであってもよく、または約1.2mm~1.8mmであってもよい。
【0073】
フォーカスリング100の半径方向と垂直な方向から見た前記載置部110の平均高さは、約1mm~2mmであってもよく、または約1.2mm~1.8mmであってもよい。
【0074】
前記載置部110の幅は、前記フォーカスリング100の半径方向を基準として約2mm~8mmであってもよく、または約3mm~7mmであってもよい。
【0075】
前記載置部110は、このような厚さ、高さ及び幅を有することによって、前記エッチング対象10を余裕をもって載置することができ、安定性を確保することができる。
【0076】
前記本体部120は、前記載置部110の載置面111の領域とは異なる厚さをもって外周に延長されたものであってもよく、さらに大きい厚さをもって外周に延長されたものであってもよい。
【0077】
前記載置部110及び本体部120は、それぞれ環(リング)状であってもよいが、エッチング対象の形状に応じて変更可能である。
【0078】
前記本体部120は、前記載置部110の外周に位置する連結部121を含むことができる。前記連結部は、連結部の上面が前記載置面111と平行であってもよく、連結部の上面全体が傾斜していてもよく、または連結部の上面の一部が傾斜し、他の一部は前記載置面と平行であってもよい。前記連結部の傾斜した領域における傾斜角度は、前記載置面を基準として0°超であってもよく、70°以下であってもよい。このような傾斜角を有する場合、プラズマエッチング装置内でプラズマイオンの流れをより安定的に制御することができる。
【0079】
前記連結部121は、前記フォーカスリング100の半径方向を基準として、幅が約1mm~3mmであってもよく、または約1.5mm~2.5mmであってもよい。
【0080】
前記フォーカスリング100の半径方向から見た前記連結部121の幅Wsと、前記溝部130の幅Wgとの比Ws/Wgは、約0.04~0.2であってもよく、または約0.05~0.16であってもよい。このようなWs/Wgの幅比を有するフォーカスリング100は、プラズマエッチング時に、溝形状によりエッチングの均一度が低下することを防止することができる。
【0081】
前記本体部120の上面のRa粗さは、約0.05μm~0.5μmであってもよく、または約0.08μm~0.3μmであってもよい。このような上面のRa粗さを有することによって、プラズマエッチング装置でエッチング工程を行う際に、エッチング対象の良好なエッチング率を示すようにすることができる。
【0082】
前記本体部120は、前記溝部130を除いた平均厚さが約2.2mm~3.2mmであってもよく、または約2.5mm~3mmであってもよい。このような厚さを満たすようにして、フォーカスリング100がプラズマエッチング装置の静電チャックに安定的に固定されるようにし、かつ、耐久性を高め、容易に破損することを防止することができる。
【0083】
前記フォーカスリング100の縁部124は、前記溝部130の外周に位置して、プラズマエッチング装置の静電チャックに安定的に固定されるようにすることができる。前記縁部の平均厚さは、前記溝部の平均厚さよりも厚くすることができる。
【0084】
前記縁部124の平均厚さは、約1.7mm~3.7mmであってもよく、または約1.9mm~3.5mmであってもよい。このような平均厚さを有する縁部は、前記フォーカスリング100がプラズマエッチング装置の静電チャックに置かれる際に、全体的なバランスを維持するようにすることができる。
【0085】
前記縁部124は、底面の一部に溝が形成された底面溝部125をさらに含むことができる。
【0086】
前記フォーカスリング100の半径方向を基準として、前記溝部の底面から前記底面溝部125までの最小幅は、約0.5mm~5mmであってもよく、または約1mm~3mmであってもよい。このような幅を満たすようにして、プラズマエッチング時に適切な冷却効率を示すことができるようにすることができる。
【0087】
前記フォーカスリング100の内郭を基準として、前記フォーカスリングの内径は、前記エッチング対象10の長さや直径に応じて変わり得、例示的に約100mm~400mmであってもよい。
【0088】
前記フォーカスリング100の外郭を基準として、前記フォーカスリングの外径は、前記内径と同様に、前記エッチング対象10の長さや直径に応じて変わり得、例示的に約150mm~500mmであってもよい。
【0089】
前記フォーカスリング100の底面は、最内郭と最外郭との間の段差が約0.1μm~12μmになるように傾斜していてもよく、または前記段差が約1μm~7μmになるように傾斜していてもよい。例示的に、
図3のフォーカスリングの載置面111と平行な面を基準とするとき、前記フォーカスリングの底面は、前記段差を有するように所定の角度で傾斜していてもよい。また、前記載置面と平行であり、かつ前記フォーカスリングの内郭の下部と接する仮想の内郭底面は、前記載置面と平行であり、かつ前記フォーカスリングの外郭の下部と接する仮想の外郭底面と前記の段差を有することができる。具体的に、前記外郭底面は、前記内郭底面よりも高い位置を有することができる。
【0090】
このような傾斜を有するフォーカスリングは、底面で冷却ガスが効果的に循環できるようにし、プラズマエッチング時にエッチング対象が均一にエッチングされるようにすることができる。
【0091】
前記フォーカスリング100は、炭化珪素(SiC)または炭化ホウ素(B4C)を含むことができる。前記炭化珪素または炭化ホウ素は、非常に高い強度を有する材料であって、耐化学性及び耐侵食性が非常に優れる。
【0092】
具現例において、炭化珪素は、珪素及び炭素をベースとするあらゆる化合物を指し、炭化ホウ素は、ホウ素及び炭素をベースとするあらゆる化合物を指す。前記炭化珪素または炭化ホウ素は、単相または複合相のいずれか1つであってもよい。ここで、単相は、化学量論的相、及び化学量論的組成から外れた非化学量論的相の両方を含む。具現例の炭化珪素または炭化ホウ素は、単相または複合相に不純物が追加されて固溶体をなしたり、製造工程で不可避に追加される不純物が混入したりする場合も含む。
【0093】
前記フォーカスリング100に適用される炭化ホウ素は、25℃~800℃のいずれかの温度で測定した熱伝導度の値が約5W/mK~60W/mKであってもよい。このような熱伝導度を有する炭化ホウ素の場合、より優れた耐エッチング性を有することができる。
【0094】
前記フォーカスリング100に適用される炭化ホウ素は、相対密度が約97%~99.999%であってもよい。
【0095】
前記フォーカスリング100に適用される炭化ホウ素は、空隙率が約0.01%~3%であってもよい。
【0096】
このような相対密度及び空隙率の特性を有するフォーカスリング100は、より強い耐エッチング性を有することができる。
【0097】
前記フォーカスリング100の本体部120の上面は、約800Wのプラズマパワー及び約100mTorrのチャンバ圧力で約300分の露出時間の間エッチングする際に、前記上面の平均エッチング率が約0.5%~1.2%であってもよい。このようなエッチング率を有するフォーカスリングをプラズマエッチング装置に適用する際に、フォーカスリングの耐久性を高めることができ、交換頻度を低減することができる。前記エッチング率は、前記上面の平均エッチング率で評価する。前記上面の平均エッチング率は、所定の距離を置いて上面の少なくとも3つの地点以上で評価したエッチング率の平均を前記平均エッチング率として評価する。
【0098】
プラズマエッチング装置
図1及び
図2は、具現例に係るプラズマエッチング装置の概略的な形態を示した図である。以下、
図1及び
図2を参照して、具現例に係るプラズマエッチング装置を説明する。
【0099】
具現例に係るプラズマエッチング装置は、
チャンバ2と、
前記チャンバの内部に配置された上部静電チャック21及び静電チャック20と、
前記上部静電チャック上に載置されるエッチング対象10の外周を取り囲むフォーカスリング100とを含み、
前記静電チャック20は、前記フォーカスリングの下部に配置され、
前記静電チャックの電極は、前記フォーカスリングの下部に位置した領域に配置され、
前記フォーカスリングは、上述したフォーカスリングであり得る。
【0100】
具現例に係るプラズマエッチング装置は、金属素材のチャンバ2を含み、前記チャンバの内部は、エッチング対象のプラズマエッチング処理が行われ得る。
【0101】
前記チャンバ2の内部には、エッチング対象としてウエハなどの基板が載置される上部静電チャック21が配置され得る。
【0102】
前記上部静電チャック21、静電チャック20は、クーロン力を発揮できる体積抵抗率を有することができ、窒化アルミニウム、窒化珪素及び酸化アルミニウムなどのセラミック材料を含むことができる。
【0103】
前記上部静電チャック21の内部には、静電気力を生成して、エッチング対象10を静電チャックの上面に載置する際に静電気的吸着を誘導する第1電極31が配置され得る。前記第1電極は、直流電源である第1電源52と電気的に接続されて直流電力の印加を受けることができ、前記静電チャック上に載置されるエッチング対象と静電チャックの静電気的吸着を維持するようにすることができる。
【0104】
前記上部静電チャック21の上部には、前記静電チャックと対向するようにシャワーヘッド60が配置され得る。
【0105】
前記シャワーヘッド60は、上部電極61、及び前記上部電極を支持する電極支持体62が含まれ得、前記上部電極及び電極支持体は貫通孔63が多数形成され得る。そして、前記シャワーヘッドの内部に、前記貫通孔と連通する拡散部64を含むことができる。
【0106】
前記シャワーヘッド60の上部電極61は上部電源66と電気的に接続され得、高周波電力が印加され得る。
【0107】
前記シャワーヘッド60の内部の拡散部64は処理ガス供給部65と連通することができ、処理ガス供給部の処理ガスが前記拡散部及び貫通孔63を介して外部に吐出され得る。
【0108】
前記静電チャック20の下部には基材40が配置され得、導電性材料が含まれ得る。
【0109】
前記基材40は、プラズマの発生のために高周波電力を供給する高周波電源51と電気的に接続され得る。これにより、前記基材に高周波電力が印加され得る。
【0110】
前記基材40の内部には基材冷却部41を含むことができ、冷却ガス供給部35と連通して冷却ガスの流れがなされ得る。
【0111】
前記チャンバ2の側壁と、前記基材40又は基材を支持する支持部45との間には排気路42が形成され得る。前記排気路の下部には排気口43が配置され、前記排気口は排気装置44と連通することができる。前記排気装置44は、真空ポンプなどの排気手段を含むことができ、前記チャンバ内の空間を所定の真空度まで減圧することができる。
【0112】
前記チャンバ2の側壁は、前記エッチング対象10を引き込み及び引き出しすることができる出入口46を含むことができる。
【0113】
前記上部静電チャック21に置かれるエッチング対象10の外周にはフォーカスリング100が配置され得る。前記フォーカスリングは、上述したものと同じ構成を有することができる。
【0114】
前記フォーカスリング100の下部領域の静電チャック20上には、冷却ガスが供給され得る冷却部34が配置され得る。
【0115】
前記フォーカスリング100が上述した溝部130及びその体積比を有することによって、プラズマエッチング時に前記冷却部34を挟んで静電チャック20と安定的にチャッキングが行われ得、全体的なバランスを維持することができる。
【0116】
前記冷却部34は、冷却ガス供給部35と連通して冷却ガスの流れがなされ得る。
【0117】
前記冷却ガス供給部35は、前記フォーカスリング100に向かう冷却部34に冷却ガスを供給するだけでなく、前記上部静電チャック21とエッチング対象10との間にある空間にも別途の流路を介して冷却ガスを供給することができる。
【0118】
前記冷却ガスは、例示的にヘリウムガスを用いることができる。
【0119】
前記静電チャック20は、前記フォーカスリング100の下部に位置した領域に第2電極32及び第3電極33が配置され得、これらは、それぞれ第2電源53及び第3電源54と電気的に接続されて直流電力が印加され得る。これによって、前記フォーカスリング100と、その下部の静電チャック20との間の静電気的吸着が行われ得る。
【0120】
前記プラズマエッチング装置の各構成要素は制御部と接続され得る。
【0121】
前記制御部は、中央処理装置及び記憶装置を含み、記憶装置に記憶されたプログラム及び処理プロセスを読み出して実行し、前記プラズマエッチング装置のエッチング対象10のエッチング処理を制御する。また、前記制御部は、エッチング対象の処理に応じて、前記フォーカスリング100を静電吸着するための処理や、冷却ガスを供給する処理も制御することができる。
【0122】
前記チャンバ2の内部は、別途の磁石を介して一方向の水平磁界が形成され得る。
【0123】
前記チャンバ2の内部は、前記基材40とシャワーヘッド60との間に印加される高周波電力によって一方向の高周波電界が形成され得る。これによって、前記チャンバの内部で処理ガスを介したマグネトロン放電が行われ、前記上部静電チャック21に載置されたエッチング対象10に前記処理ガスから高密度のプラズマが生成され、前記プラズマ中のラジカルやイオンによって前記エッチング対象の表面はエッチングされ得る。
【0124】
前記プラズマエッチング装置のエッチングは、約500mTorr以下のチャンバ圧力、フッ素含有化合物又は塩素含有化合物を含む処理ガス、そして、約500W~15,000Wの電力で約100時間以上行うことができる。
【0125】
フォーカスリング100の製造方法
具現例に係るフォーカスリング100の製造方法は、焼結、化学気相蒸着、及び物理気相蒸着のいずれか1つの方法により製造され得る。
【0126】
以下、焼結工程によるフォーカスリング100の製造方法を説明する。
【0127】
前記焼結工程によるフォーカスリング100の製造方法は、原料物質を鋳型に装入する準備ステップと、前記鋳型に所定の温度及び圧力を加えて焼結する焼結ステップとを含むことができる。
【0128】
前記準備ステップは、前記フォーカスリング100を製造するために、まず、原料物質を用意する。前記原料物質は、セラミックであってもよく、炭化珪素、炭化ホウ素などであってもよい。前記原料物質は、このようなセラミック粒子を含むことができ、粉末の形態を有することができる。
【0129】
前記原料物質の粉末は、D50を基準として、約0.3μm~1.5μmの平均粒径を有することができる。このような粒径を適用して焼結体の密度及び耐食性を高め、良好な作業性及び生産性を示すようにする。
【0130】
前記準備ステップは、原料物質を溶媒及び添加剤と混合してスラリーを製造し、前記スラリーを乾燥させて顆粒を製造する顆粒化過程を含むことができる。
【0131】
前記準備ステップは、原料物質を一次的に成形して成形体を製造する成形過程を含むことができる。
【0132】
前記成形過程は、原料物質を鋳型などに装入し、加圧する方式が適用され得、約100MPa~200MPaの圧力が適用され得る。
【0133】
前記焼結ステップは、前記準備ステップを経た鋳型に所定の圧力及び温度を加えて原料物質を焼結する。
【0134】
前記焼結ステップの焼結は、高温高圧焼結、放電プラズマ焼結(Spark Plasma Sintering)などを適用することができる。
【0135】
前記フォーカスリング100の溝は、前記鋳型の形状に沿って形成され得、成形又は焼結後に別途の研削、溝入れ加工、研磨などを通じて形成され得る。
【0136】
以上、本発明の好ましい具現例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0137】
2 チャンバ
10 エッチング対象
20 静電チャック
31 第1電極
32 第2電極
33 第3電極
34 冷却部
35 冷却ガス供給部
40 基材
41 基材冷却部
42 排気路
43 排気口
44 排気装置
45 支持部
46 出入口
51 高周波電源
52 第1電源
53 第2電源
54 第3電源
60 シャワーヘッド
61 上部電極
62 電極支持体
63 貫通孔
64 拡散部
65 処理ガス供給部
100 フォーカスリング
110 載置部
111 載置面
120 本体部
121 連結部
124 縁部
125 底面溝部
130 溝部
132 溝
【外国語明細書】