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特開2024-147419画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147419
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/38 20060101AFI20241008BHJP
   H04N 1/56 20060101ALI20241008BHJP
   H04N 1/62 20060101ALI20241008BHJP
   H04N 1/409 20060101ALI20241008BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H04N1/38
H04N1/56
H04N1/62
H04N1/409
G06T1/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060425
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐也
【テーマコード(参考)】
5B057
5C077
【Fターム(参考)】
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE17
5B057CH18
5B057DA08
5B057DA17
5B057DB02
5B057DB06
5B057DC25
5C077LL02
5C077MP08
5C077PP21
5C077PP37
5C077PP58
5C077PP68
5C077PQ08
5C077SS01
5C077SS02
5C077TT06
(57)【要約】
【課題】裏写りでない領域に裏写りの補正処理が実施されることで発生する異常画像の発生を抑えつつ裏写りのある領域に補正処理を実施する。
【解決手段】画像処理装置は、入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする前景/背景判定部と、複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出部と、複数の領域のうちの注目領域の色成分と注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の各々の色成分との差に基づいて、注目領域と複数の参照領域の各々とが類似するか否かを判定する類似判定部と、注目領域が背景領域に含まれると判定された場合、類似すると判定された参照領域を用いて注目領域を補正する裏写り補正部と、を有し、注目領域を順次ずらして裏写り補正部により注目領域を補正することで、入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする前景/背景判定部と、
前記複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出部と、
前記複数の領域のうちの注目領域の前記色成分と前記注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の各々の前記色成分との差に基づいて、前記注目領域と前記複数の参照領域の各々とが類似するか否かを判定する類似判定部と、
前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、類似すると判定された前記参照領域を用いて前記注目領域を補正する裏写り補正部と、を有し、
前記注目領域を順次ずらして前記裏写り補正部により前記注目領域を補正することで、前記入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成すること
を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記参照領域が前記注目領域と同一の背景であるか否かを判定する同一背景判定部を有し、
前記裏写り補正部は、前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、前記注目領域と類似すると判定された前記参照領域のうち、前記注目領域と同一の背景でないと判定された前記参照領域より前記注目領域側に位置する、前記注目領域と同一の背景であると判定された前記参照領域を使用して前記注目領域を補正すること
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記成分抽出部で抽出した前記明度成分に基づいて前記注目領域の明度を判定する明度判定部を有し、
前記裏写り補正部は、前記注目領域の明度が所定の明度より低いと判定された場合、前記注目領域を補正しないこと
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の領域のうち、背景と判定された前記注目領域と色が類似する領域のサイズを判定するサイズ判定部を有し、
前記裏写り補正部は、判定されたサイズが前記複数の参照領域のサイズを超えている場合、前記注目領域の補正を実施しないこと
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の参照領域を使用して前記注目領域の補正に使用する複数の補正色をそれぞれ算出する複数の補正色算出部を有し、
前記裏写り補正部は、前記複数の補正色算出部により算出された前記複数の補正色を所定の比率で合成し、合成により得られた補正色を用いて前記注目領域を補正すること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記複数の補正色算出部は、
前記複数の参照領域のうち最も明るい色を第1補正色として算出する第1補正色算出部と、
前記複数の参照領域の色を使用して前記第1補正色より暗い色を算出する第2補正色算出部と、を有すること
を特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿に含まれる画像を読み取り、前記入力画像を生成する画像読み取り部と、
前記画像読み取り部により生成された前記入力画像を処理して前記裏写り除去画像を生成する請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で処理した画像を形成する画像形成部と、を有する
画像形成装置。
【請求項8】
入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする前景/背景判定処理と、
前記複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出処理と、
前記複数の領域のうちの注目領域の前記色成分と前記注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の各々の前記色成分との差に基づいて、前記注目領域と前記複数の参照領域の各々とが類似するか否かを判定する類似判定処理と、
前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、類似すると判定された前記参照領域を用いて前記注目領域を補正する裏写り補正処理と、
前記注目領域を順次ずらして前記裏写り補正処理により前記注目領域を補正することで、前記入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成する処理と、
を実施することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする前景/背景判定処理と、
前記複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出処理と、
前記複数の領域のうちの注目領域の前記色成分と前記注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の各々の前記色成分との差に基づいて、前記注目領域と前記複数の参照領域の各々とが類似するか否かを判定する類似判定処理と、
前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、類似すると判定された前記参照領域を用いて前記注目領域を補正する裏写り補正処理と、
前記注目領域を順次ずらして前記裏写り補正処理により前記注目領域を補正することで、前記入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像や文字等を両面に含む用紙の表面をスキャナで読み取る場合、スキャンにより取得された表面の画像データに裏面の画像や文字等が含まれてしまう、いわゆる裏写りが発生する場合がある。そこで、裏写りを含む表面の画像データから裏写りを除去する様々な補正方法が提案されている。
【0003】
例えば、スキャナで取得された画像データに含まれるエッジを検出し、エッジの強度が低い部分から背景色を推定し、裏写り成分であるエッジの強度の低い部分を背景色に置き換えることで、裏写り成分は除去される(例えば、特許文献1参照)。また、スキャナで取得された画像データ中の注目領域と参照領域とにおいて明度(輝度)と彩度とを含む画素値の差が閾値以下である領域から代表色(背景色)を算出し、注目領域を代表色で置換することで、裏写り成分が軽減される(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常、裏写りと背景とは明度は異なるが彩度は似ている場合が多い。このため、RGB等の明度を含む画素値の差に基づいて裏写り補正をする場合、裏写りでない領域が補正されて異常画像になるおそれがあり、あるいは、裏写りの領域が補正されないおそれがあった。
【0005】
開示の技術は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、裏写りでない領域に裏写りの補正処理が実施されることで発生する異常画像の発生を抑えつつ裏写りのある領域に補正処理を実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態の画像処理装置は、入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする前景/背景判定部と、前記複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出部と、前記複数の領域のうちの注目領域の前記色成分と前記注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の各々の前記色成分との差に基づいて、前記注目領域と前記複数の参照領域の各々とが類似するか否かを判定する類似判定部と、前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、類似すると判定された前記参照領域を用いて前記注目領域を補正する裏写り補正部と、を有し、前記注目領域を順次ずらして前記裏写り補正部により前記注目領域を補正することで、前記入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
裏写りでない領域に裏写りの補正処理が実施されることで発生する異常画像の発生を抑えつつ裏写りのある領域に補正処理を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置を含む画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図2図1の画像読み取り部の一例を示す透視断面図である。
図3図1の画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図1の画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図2の画像読み取り部において、裏写りが発生する様子を示す説明図である。
図6図3の画像処理装置により実施される裏写り補正処理の概要を示す機能ブロック図である。
図7図6の裏写り補正処理で使用する注目領域及び参照領域の一例を示す図である。
図8図6の裏写り補正部による裏写り補正処理の一例を示すフロー図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置により実施される裏写り補正処理の概要を示す機能ブロック図である。
図10図9の同一背景判定部による同一背景判定結果の一例を示す図である。
図11図9の裏写り補正部による裏写り補正処理の一例を示すフロー図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置により実施される裏写り補正処理の概要を示す機能ブロック図である。
図13図12の裏写り補正部による裏写り補正処理の一例を示すフロー図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置により実施される裏写り補正処理の概要を示す機能ブロック図である。
図15図14の裏写り補正部による裏写り補正処理の一例を示すフロー図である。
図16】本発明の第5の実施形態に係る画像処理装置が実施する裏写り補正処理における代表色の算出処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置を含む画像形成装置の一例を示す全体構成図である。図1に示す画像形成装置100は、例えば、複写機能、プリント機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等を有するデジタル複合機(MFP:Multi-Function Printer)である。
【0011】
画像形成装置100は、図示しない操作部のアプリケーション切り替えキー等により、複写機能、プリント機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等をそれぞれ実現する動作モードを相互に切り替えることが可能である。画像形成装置100は、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリント機能の選択時にはプリントモードとなり、スキャナ機能の選択時にはスキャナモードとなり、ファクシミリ機能の選択時にはファクシミリモードとなる。
【0012】
また、画像形成装置100は、内部回路の状態に応じて、内部状態が通常モード又は省エネモード(省電力モード)等に切り替わる。例えば、通常モードは、動作中モード(動作している状態)及び待機モード(待機している状態)を有する。
【0013】
例えば、動作中モードは、画像又はテキストデータ等を紙媒体等に印刷する複写モード又はプリントモードを含む。プリントモードは、ファクシミリモードにおいて受信データを紙媒体等に印刷する動作を含む。また、動作中モードは、原稿等をスキャンするスキャナモード又はファクシミリモードにおける送受信動作を含む。内部回路の状態は、画像形成装置100のユーザによる操作部の操作又は画像形成装置100内での制御により切り替わる。
【0014】
画像形成装置100は、画像読み取り部101、ADF(Automatic Document Feeder)102及び画像形成部103を有する。なお、図1では、説明を分かりやすくするため、画像形成部103は、内部を透視した状態で示される。画像形成部103は、手差しローラ104、作像ユニット105、作像要素106、記録紙供給ユニット107及び複数の記録紙給紙カセット107aを有する。また、画像形成部103は、レジストローラ108、光書き込み装置109、定着装置110、反転機構111、二次転写ベルト112、中間転写ベルト113、転写部114及び画像処理装置200を有する。なお、画像処理装置200は、画像形成装置100内において画像形成部103以外の場所に設けられてもよい。
【0015】
ADF102は、載置台に載置された原稿を画像の読み取り位置に自動的に搬送する。画像読み取り部101は、例えば、イメージセンサを有するスキャナであり、ADF102により読み取り位置に搬送された原稿の画像を読み取る。画像読み取り部101の例は、図2に示される。画像処理装置200は、画像読み取り部101により読み取られた原稿の画像データの処理を実施する。画像処理装置200の例は、図3に示される。
【0016】
画像形成部103は、画像読み取り部101により読み取られ、画像処理装置200により処理された原稿の画像データに基づいて、電子写真方式によって画像を記録紙に印刷する機能を有する。なお、画像形成部103は、電子写真方式に限定されず、インクジェット方式によって画像を記録紙に印刷してもよい。
【0017】
手差しローラ104は、ユーザによりセットされた記録紙を画像形成部103内に送り込む機能を有する。記録紙供給ユニット107は、記録紙がセットされた複数の記録紙給紙カセット107aのいずれかから記録紙を繰り出す機能を有する。レジストローラ108は、手差しローラ104又は記録紙供給ユニット107から送り込まれる記録紙を二次転写ベルト112に搬送する。
【0018】
光書き込み装置109は、画像読み取り部101により読み取られ、画像処理装置200により処理された画像データを光情報に変換する。作像ユニット(Y、M、C、K)105は、4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)と、各感光体ドラムの周囲に設けられる帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット及び除電器等を含む作像要素106とを有する。ここで、符号Yはイエロー色を示し、符号Mはマゼンタ色を示し、符号Cはシアン色を示し、符号Kはブラック色を示す。
【0019】
作像要素106は、光書き込み装置109により変換された色毎の画像情報に対応するトナー画像を各感光体ドラム上に形成する。各感光体ドラム上に形成されたトナー画像は、一次転写ローラにより中間転写ベルト113上に転写される。中間転写ベルト113上に転写されたフルカラーのトナー画像は、中間転写ベルト113の走行とともに転写部114に移動し、転写部114において二次転写ベルト112上に位置する記録紙に転写される。
【0020】
トナー画像が転写された記録紙は、二次転写ベルト112の走行とともに定着装置110に搬送される。そして、定着装置110は、記録紙上のトナー画像を記録紙に定着させる。そして、トナー画像が定着された記録紙は、排出部から排出され、記録紙へのカラー画像の印刷処理が完了する。
【0021】
なお、記録紙の両面に画像を印刷する両面印刷では、反転機構111により記録紙の表裏が反転されて、反転された記録紙が二次転写ベルト112上へと送られる。
【0022】
図2は、図1の画像読み取り部101の一例を示す透視断面図である。画像読み取り部101は、本体部11と、本体部11の上部に配置されるコンタクトガラス1と、基準となる白色を有する基準白板13と、コンタクトガラス1との間で原稿12を挟み込む背景板14とを有する。本体部11には、光源2及びミラー3を含む第1キャリッジ6と、ミラー4、5を含む第2キャリッジ7と、レンズユニット8と、イメージセンサ9が搭載されたセンサ基板10とが配置される。
【0023】
例えば、光源2は、LED(Light Emitting Diode)である。イメージセンサ9は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどのラインセンサである。イメージセンサ9は、主走査方向(副走査方向の直交方向であって図2の奥行き方向)に沿って配列された複数の画素を有する。
【0024】
画像読み取り部101は、画像の読み取り動作において、コンタクトガラス1上に載せられ、背景板14により挟まれた原稿12に光源2からの光を照射する。画像読み取り部101は、原稿12に光が照射されている間に、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7を待機位置(ホームポジション)から副走査方向に移動させる。副走査方向に移動する第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7は、原稿12におけるミラー3に対向する領域からの反射光を、レンズユニット8に順次導く。レンズユニット8は、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7を介して順次受ける反射光をイメージセンサ9上に結像させる。イメージセンサ9は、レンズユニット8を介して結像された原稿12の反射光像を光電変換して読み取り画像データとして出力する。
【0025】
また、画像読み取り部101は、例えば、電源がオンされたとき、基準白板13に対向する位置に第1キャリッジ6を移動させ、光源2を点灯させる。そして、画像読み取り部101は、基準白板13からの反射光をイメージセンサ9上に結像させて、主走査方向の白色の分布データを取得し、ゲイン調整を実施することで基準データを設定する。基準データは、図示しないメモリ部に保持され、読み取った画像の色むら等を補正するシェーディング補正に使用される。
【0026】
図3は、図1の画像処理装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、画像処理装置200は、画像読み取り部101で読み取った原稿画像の画像処理を実施する。
【0027】
画像処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、チップセット203、メインメモリ204、I/Oインタフェース部205、コントローラ206、メインメモリ207及び画像処理部208を有する。例えば、I/Oインタフェース部205、コントローラ206及び画像処理部208は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより設計される。
【0028】
CPU201は、画像処理装置200の全体の動作を制御する。CPU201は、コンピュータの一例である。なお、CPU201は、図1の画像形成装置100の全体の動作を制御してもよい。CPU201は、画像処理プログラムを実行することで、各種画像処理を実施する。ROM202は、図1の画像形成装置100の電源の起動時又はリセット時にCPU201により実行されるブートローダ等を保持する。
【0029】
チップセット203は、CPU201、メインメモリ204、I/Oインタフェース205部及びコントローラ206に接続され、CPU201、メインメモリ204、I/Oインタフェース205部及びコントローラ206の間でのデータ等の転送を制御する。
【0030】
メインメモリ204は、CPU201が実行する画像処理プログラム、CPU201で使用するワークデータ及びCPU201が処理する画像データ等を保持する。例えば、画像処理プログラムは、画像処理装置200に接続されるHDD(Hard Disk Drive)211からメインメモリ204に展開されてもよい。HDD211は、画像処理した画像データを一時保管するためにも使用されてもよい。
【0031】
I/Oインタフェース205部は、図示しないネットワークインタフェース、PCI(Peripheral Component Interconnect)、シリアルインタフェース又は各種メモリカード用のインタフェースである。画像処理装置200は、I/Oインタフェース205部に接続される機器により、オプションの画像処理機能、アクセラレータ機能又は暗号化処理機能等の付加機能を実現することができる。
【0032】
コントローラ206は、画像処理部208、メインメモリ207、204又はHDD211との間で画像データを入出力する。例えば、コントローラ206は、画像処理部208又はメインメモリ204から転送される画像データの回転処理又は編集処理を実行し、処理後の画像データをHDD211、画像処理部208又はメインメモリ207等に出力する。メインメモリ207は、コントローラ206が画像処理を実施するときに画像メモリとして使用されてもよい。
【0033】
画像処理部208は、画像読み取り部101により生成された画像データに対して画像処理を実行し、処理後の画像データをコントローラ206に出力する。また、画像処理部208は、コントローラ206から転送される画像データを画像処理し、処理後の画像データを画像形成部103に出力する。
【0034】
画像処理装置200が実行する画像処理プログラムは、I/Oインタフェース205部に接続される記録媒体に格納され、記録媒体からHDD211又はメインメモリ204に転送されてもよい。例えば、画像処理プログラム等の情報が格納される記録媒体は、情報をコンピュータで読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disc Recordable)又はDVD(Digital Versatile Disk)等である。また、画像処理装置200が実行する画像処理プログラムは、I/Oインタフェース205部を介して接続されるインターネット等のネットワークからダウンロードされてもよい。
【0035】
図4は、図1の画像処理装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置200は、CPU221とROM222とRAM(Random Access Memory)223とを有する。また、画像処理装置200は、入力インタフェース部224と出力インタフェース部225と入出力インタフェース部226と通信インタフェース部227とを有する。CPU221、ROM222、RAM223およびI/Oインタフェース部226は、それぞれ図3のCPU201、ROM202、メインメモリ204およびI/Oインタフェース部205に対応する。
【0036】
例えば、CPU221とROM222とRAM223と入力インタフェース部224と出力インタフェース部225と入出力インタフェース部226と通信インタフェース部227とは、バスBUSを介して相互に接続される。なお、画像処理装置200は、図4に示すハードウェア構成を有するPCまたはサーバ等のコンピュータ装置に搭載されてもよい。
【0037】
CPU221は、OS(Operating System)およびアプリケーション等の各種プログラムを実行する。ROM222は、各種プログラムをCPU221により実行可能にするための基本プログラムや各種パラメータ等を保持する。RAM223は、CPU221により実行される各種プログラムや、プログラムで使用するデータを記憶する。例えば、各種プログラムは、図1の画像読み取り部101で読み取った原稿画像の画像処理を実施する画像処理プログラムを含んでもよい。
【0038】
入力インタフェース部224には、画像読み取り部101および画像形成装置100の操作部等の入力装置310が接続される。出力インタフェース部225には、画像形成部103等の出力装置320が接続される。入出力インタフェース部226には、HDD211および記録媒体等の入出力装置330が接続される。
【0039】
記録媒体に画像処理プログラム等の各種プログラムが格納される場合、プログラムは、入出力インタフェース部226を介して記録媒体からRAM223等に転送される。通信インタフェース部227は、画像処理装置200をネットワーク等に接続可能である。
【0040】
図5は、図2の画像読み取り部101において裏写りが発生する様子を示す説明図である。裏写りは、スキャン用の入射光の一部が原稿12を透過した後、原稿12の裏面の印字部分を透過して背景板14によって反射され、イメージセンサ9に入力されることで発生する。このとき、本来の読み取り画像である原稿12の表面の反射光もイメージセンサ9に入力されるため、裏写りを発生させる裏面の印字部分のスキャン後の画像データは原稿12の表面(例えば、背景画像)の色(色相、彩度)に近くなる特徴を持つ。
【0041】
図6は、図3の画像処理装置200により実施される裏写り補正処理の概要を示す機能ブロック図である。図6に示す破線の矢印は、判定結果を示す情報の伝達を示す。以下では、画像データ及び画素データは、それぞれ画像及び画素と称する場合がある。
【0042】
裏写り補正処理を実施する画像処理装置200は、前景/背景判定部21、色変換部22、類似判定部23及び裏写り補正部24を有する。例えば、裏写りは、スキャン後の画像の裏写り部分を、原稿12の表面の画像の背景色とすることができれば消すことが可能である。
【0043】
例えば、前景/背景判定部21、色変換部22、類似判定部23及び裏写り補正部24の機能は、図3の画像処理部208等のハードウェアにより実現される。なお、前景/背景判定部21、色変換部22、類似判定部23及び裏写り補正部24の1つ又は複数の機能は、CPU201により実行される画像処理プログラムにより実現されてもよい。
【0044】
前景/背景判定部21は、画像読み取り部101が原稿12を読み取ることで生成したRGBの入力画像データを受け、入力画像に含まれる複数の領域毎に、領域が背景領域であるか前景領域であるかを判定する前景/背景判定処理を実施する。判定する領域は、画素単位又は複数の画素単位である。以降の説明では、画素単位で背景領域又は前景領域が判定される例が説明される。
【0045】
背景領域と判定される領域は、裏写り部分又は原稿の背景部分であり、前景領域と判定される領域は、背景領域と判定されない領域(すなわち、文字、絵柄等の画像領域)である。例えば、前景/背景判定部21は、前景又は背景を判定する注目領域と、注目領域の周囲の領域との画像を使用してエッジ量(例えば、輝度の変化量)を算出する。前景/背景判定部21は、算出したエッジ量が閾値以下の場合に背景(平坦な領域)と判定し、算出したエッジ量が閾値より大きい場合に前景(文字、絵柄等)と判定する。なお、前景/背景判定部21は、エッジ量による判定以外の手法により背景と前景を判別してもよい。
【0046】
前景/背景判定部21は、裏写りを含む可能性があるRGBの入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする。そして、前景/背景判定部21は、注目領域が前景領域又は背景領域のいずれであるかを判定した領域判定結果を裏写り補正部24に出力する。例えば、領域判定結果は、注目領域が背景であるか否かを示す1ビットの信号として裏写り補正部24に伝達される。
【0047】
色変換部22は、RGB色空間の入力画像をYUV色空間に変換することで複数の領域の各々に含まれる画素を明度成分Yと色差成分U、Vとに分け、色変換画像(YUV)として類似判定部23に出力する。色変換部22は、入力画像に含まれる複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出処理を実施する成分抽出部の一例である。例えば、RGB色空間からYUV色空間への変換は、式(1)-(3)により行われる。
【0048】
Y= 0.299R+0.587G+0.114B ‥(1)
U=-0.169R-0.331G+0.500B+128 ‥(2)
V= 0.500R-0.419G-0.081B+128 ‥(3)
【0049】
なお、色変換部22は、RGB色空間を明度成分(輝度)と色差成分(彩度、色相)とに分けられるのであれば、YCbCr色空間又はLab色空間等の他の色空間に変換してもよい。
【0050】
類似判定部23は、色変換部22から受ける色変換画像において、注目領域と注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の明度成分(Y)を含まない色成分(U、V)の差を算出する。類似判定部23は、色成分の差に基づいて、注目領域と複数の参照領域の各々が類似するか否かを判定する類似判定処理を実施し、類似判定結果として裏写り補正部24に出力する。
【0051】
例えば、前景/背景判定部21により注目領域が背景と判定された場合、類似判定部23により注目領域と類似していると判定される周辺領域は、背景である。注目領域は、裏写り補正処理を行う画素を含む領域であり、参照領域は、裏写り補正処理に使用する画素を含む領域である。注目領域と参照領域の例は、図7に示される。
【0052】
裏写り補正部24は、入力画像と、前景/背景判定部21からの領域判定結果と、類似判定部23からの類似判定結果とを受け、裏写り補正処理を実施する。裏写り補正部24は、注目領域が前景/背景判定部21により背景領域に含まれると判定された場合、類似判定部23により類似すると判定された参照領域を使用して代表色を算出し、算出した代表色で注目領域の画素値を置き換える。
【0053】
裏写り補正部24は、注目領域を順次ずらして、参照領域を使用して注目領域を補正することで、入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成し、RGBの出力画像として出力する。なお、代表色は、参照領域の中で最も明度が高い領域の画素値が採用されてもよく、参照領域の画素値の変化の傾向に基づいて平滑化した値が採用されてもよい。
【0054】
図7は、図6の裏写り補正処理で使用する注目領域及び参照領域の一例を示す図である。例えば、注目領域に直接隣接する参照領域を使用して裏写り補正処理を実施する場合、参照領域は、注目領域の周囲の0番から7番で示される8画素になる。裏写り補正部24は、画像に含まれる複数の画素のうち注目領域を中心とする9画素を含む画素群を1画素ずつ順次ずらしながら、裏写り補正処理を実施する。
【0055】
例えば、裏写り補正部24は、各参照領域の色差成分U、Vの値に対して式(4)、(5)で示す判定を行い、式(4)、(5)の条件を両方満たす参照領域を類似すると判定する。式(4)は、注目領域tgの色差成分Uの値Utgと参照領域refの色差成分Uの値Urefとの差(絶対値)が色差成分Uの閾値THuより小さいことを判定するために使用される。式(5)は、注目領域tgの色差成分Vの値Vtgと参照領域refの色差成分Vの値Vrefとの差(絶対値)が色差成分Vの閾値THvより小さいことを判定するために使用される。なお、閾値THu、THvは、裏写り補正処理に使用するパラメータとして任意の値に設定可能である。
【0056】
|Utg-Uref|<THu ‥(4)
|Vtg-Vref|<THv ‥(5)
【0057】
裏写りは、裏写りのある領域の背景の色と似ているが、背景の明度とは異なるという特徴を持つ。このため、入力画像(RGB)を明度成分と色差成分とに分け、注目領域と色差が類似する参照領域を裏写り補正処理に使用する領域として選択することで裏写り補正処理により異常画像が生成される可能性を低減することができる。また、明度成分を除いた色差成分が類似する参照領域を使用して裏写り補正処理を実施することで、裏写り部分を適切に消去することができる。ここで、異常画像とは、色地上の薄い文字等が裏写り補正処理によって、さらに薄くなった画像又は消失した画像である。
【0058】
なお、明度成分を含めて色の類似度が注目領域と近い領域を参照領域とする場合、本来は参照領域とすべき領域が非類似すると判定される場合がある。この場合、裏写り画像の裏写り補正処理が実施されずにそのまま残ってしまう。
【0059】
図8は、図6の裏写り補正部24による裏写り補正処理の一例を示すフロー図である。すなわち、図8は、画像処理装置200が実施する画像処理方法の一例を示す。図8に示す処理は、注目領域を順次ずらしながら注目領域毎に実施される。なお、裏写り補正部24の機能が画像処理プログラムにより実現される場合、図8に示す処理は、画像処理プログラムにより実施される。
【0060】
まず、ステップS200において、裏写り補正部24は、前景/背景判定部21からの前景/背景の領域判定結果と、類似判定部23からの類似判定結果を受信する。なお、ステップS200において、裏写り補正部24は、裏写り補正処理を実施する全領域分の領域判定結果及び類似判定結果をまとめて受信してもよい。
【0061】
次に、ステップS210において、裏写り補正部24は、領域判定結果に基づいて、注目領域が背景と判定されたか否かを判定する。裏写り補正部24は、注目領域が背景と判定された場合、処理をステップS220に移行する。裏写り補正部24は、注目領域が背景と判定されなかった場合、すなわち、裏写りでない前景と判定された場合、裏写り補正処理が不要なため、現在の注目領域の処理を終了し、次の注目領域の裏写り補正処理を実施するために図8に示す処理を終了する。
【0062】
ステップS220において、裏写り補正部24は、参照領域の複数の画素のうち、類似判定結果により示される類似すると判定された画素を使用して代表色を算出する。例えば、裏写り補正部24は、類似すると判定された参照領域うちで最も明るい領域の色(最明色)を代表色として算出する。なお、代表色は、類似すると判定された領域の色の平均値でもよい。
【0063】
次に、ステップS230において、裏写り補正部24は、注目領域の画素値をステップS220で算出した代表色に置き換え、図8に示す裏写り補正処理を終了し、次の注目領域の裏写り補正処理を実施する。
【0064】
以上、第1の実施形態では、入力画像(RGB)を明度成分(Y)と色差成分(U、V)とに分け、注目領域と色差が類似する参照領域を裏写り補正処理に使用する領域として選択する。これにより、裏写りでない領域に裏写りの補正処理が実施されることで発生する異常画像の発生を抑えつつ裏写りのある領域に補正処理を実施することができる。また、明度成分を除いた色差成分が類似する参照領域を使用して裏写り補正処理を実施することで、裏写り部分を適切に消去することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置により実施される裏写り補正処理の概要を示す機能ブロック図である。図1から図3及び図6と同じ要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図9に示す破線の矢印は、判定結果を示す情報の伝達を示す。図9に示す裏写り補正処理を実施する画像処理装置200Aは、例えば、図1の画像処理装置200の代わりに画像形成装置100に搭載される。画像処理装置200Aの機能構成は、図3と同じであり、画像処理装置200Aのハードウェア構成は、図4と同じである。
【0066】
画像処理装置200Aは、機能ブロックとして、図6の裏写り補正部24の代わりに裏写り補正部24Aを有し、同一背景判定部25Aが追加されていることを除き、図6の画像処理装置200の機能ブロックと同様の構成を有する。なお、画像処理装置200Aは、1画素を含む領域を単位として判定するが、複数の画素を含む領域を単位として判定してもよい。
【0067】
例えば、前景/背景判定部21、色変換部22及び類似判定部23、裏写り補正部24A及び同一背景判定部25Aの機能は、図3の画像処理部208等のハードウェアにより実現される。なお、前景/背景判定部21、色変換部22及び類似判定部23、裏写り補正部24A及び同一背景判定部25Aの1つ又は複数の機能は、CPU201が画像処理プログラムを実行することで実現されてもよい。
【0068】
同一背景判定部25Aは、前景/背景判定部21からの領域判定結果を受け、入力画像に含まれる複数の参照領域毎に、注目領域と同一の背景である同一参照領域であるか否かを判定する同一背景判定処理を実施する。例えば、同一背景判定部25Aは、前景/背景判定部21により背景と判定された参照領域のうち、前景/背景判定部21により前景と判定された領域に対して注目領域側に位置する参照領域を同一参照領域と判定する。
【0069】
そして、同一背景判定部25Aは、各参照領域が同一参照領域であるか否かを示す同一背景判定結果を裏写り補正部24Aに出力する。例えば、同一背景判定結果は、参照領域毎に同一背景領域であるか否かを示す1ビットの信号として裏写り補正部24Aに伝達される。
【0070】
前景/背景判定部21は、注目領域の周囲に位置する複数の参照領域毎に、前景であるか背景であるかを判定する。このため、例えば、参照領域に前景と背景の境界部がある場合、前景と判定された領域を挟む複数の領域が背景と判定される場合がある。注目領域との間に前景と判定された領域がある参照領域は、注目領域に対して境界部の外側に位置するため、裏写り補正処理の対象に含めないことが好ましい。
【0071】
裏写り補正部24Aは、入力画像と、前景/背景判定部21からの領域判定結果と、類似判定部23からの類似判定結果と、同一背景判定部25Aからの同一背景判定結果とを受ける。裏写り補正部24Aは、前景/背景判定部21により注目領域が背景領域に含まれると判定された場合、類似判定部23による類似判定結果と同一背景判定部25Aによる同一背景判定結果とに基づいて、注目領域の裏写り補正処理を実施する。
【0072】
例えば、裏写り補正部24Aは、同一背景判定部25Aにより注目領域と同一の背景であると判定された同一参照領域のうち、前景と判定された参照領域より注目領域側に位置する参照領域を抽出する。そして、裏写り補正部24Aは、抽出した同一参照領域のうち、類似判定部23により注目領域と類似すると判定された領域を使用して代表色を算出し、算出した代表色で注目領域の画素値を置き換える。同一参照領域のうち、前景と判定された参照領域を跨がない領域のみを使用して裏写り補正処理を実施することで、裏写り補正の効果を高めると共に、異常画像の発生の可能性を低減することができる。
【0073】
図10は、図9の同一背景判定部25Aによる同一背景判定結果の一例を示す図である。図9では、参照領域が注目領域の周囲の24画素である例が示される。前景/背景判定部21により注目領域が背景であると判定された場合、同一背景判定部25Aは、前景/背景判定部21により前景と判定された参照領域を探索する。そして、同一背景判定部25Aは、前景と判定された参照領域以外の領域である同一参照領域のうち、注目領域と前景と判定された参照領域との間に位置する参照領域を抽出する。図10に示す例では、抽出された参照領域は、0番から8番で示す9個の参照領域である。そして、裏写り補正部24Aは、抽出した参照領域を使用して代表色を算出し、注目領域の画素値を代表色で置き換える。
【0074】
なお、注目領域の周囲の複数の参照領域について、前景の領域と背景の領域との位置をそれぞれ示す複数のパターンと、複数のパターンのそれぞれに対応して代表色の算出に使用する領域の位置情報とを予め用意してもよい。そして、裏写り補正部24Aは、同一背景判定部25Aで判定したパターンが、予め用意した複数のパターンのいずれかと一致する場合、パターンに紐付けされた位置情報で示される領域を同一参照領域として代表色を算出してもよい。この場合、複数の参照領域に対して、代表色の算出対象の領域であるか否かを1領域ずつ判定しなくてよいため、裏写り補正部24の処理を簡素にすることができ、例えば、ハードウェア規模を低減することができる。
【0075】
図11は、図9の裏写り補正部24Aによる裏写り補正処理の一例を示すフロー図である。すなわち、図11は、画像処理装置200Aが実施する画像処理方法の一例を示す。図8と同じ処理については、図8と同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0076】
図11に示す処理は、図8と同様に、注目領域を順次ずらしながら注目領域毎に実施される。なお、裏写り補正部24Aの機能が画像処理プログラムにより実現される場合、図11に示す処理は、画像処理プログラムにより実施される。
【0077】
図11に示す処理は、図8のステップS220の代わりにステップS221が実施されることを除き、図8に示す処理と同様である。ステップS210で注目領域が背景と判定された場合、ステップS221において、裏写り補正部24Aは、同一背景判定部25Aにより同一参照領域と判定された領域のうち、前景と判定された参照領域より注目領域側に位置する参照領域を抽出する。そして、裏写り補正部24Aは、抽出した参照領域のうち、類似判定部23により類似すると判定された参照領域を使用して代表色を算出する。この後、ステップS230において、裏写り補正部24は、注目領域の画素値を代表色に置き換える。
【0078】
以上、第2の実施形態では、同一参照領域と判定された領域のうち、前景と判定された参照領域より注目領域側において注目領域と色差が類似する参照領域を使用して注目領域の画素値と置き換える代表色を算出する。これにより、背景と判定された全ての参照領域を使用して代表色を算出する場合に比べて、裏写り補正処理により異常画像が生成される可能性をさらに低減することができ、裏写り補正の効果を高めることができる。
【0079】
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置により実施される裏写り補正処理の概要を示す機能ブロック図である。図1から図3図6及び図9と同じ要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図12に示す破線の矢印は、判定結果を示す情報の伝達を示す。図12に示す裏写り補正処理を実施する画像処理装置200Bは、例えば、図1の画像処理装置200の代わりに画像形成装置100に搭載される。画像処理装置200Bのハードウェア構成は、図3と同じである。
【0080】
画像処理装置200Bは、機能ブロックとして、図9の裏写り補正部24Aの代わりに裏写り補正部24Bを有し、明度判定部26Bが追加されていることを除き、図9の画像処理装置200Aの機能ブロックと同様の構成を有する。なお、画像処理装置200Bは、1画素を含む領域を単位として判定するが、複数の画素を含む領域を単位として判定してもよい。
【0081】
例えば、前景/背景判定部21、色変換部22、類似判定部23、裏写り補正部24、同一背景判定部25A及び明度判定部26Bの機能は、図3の画像処理部208等のハードウェアにより実現される。なお、前景/背景判定部21、色変換部22、類似判定部23、裏写り補正部24、同一背景判定部25A及び明度判定部26Bの1つ又は複数の機能は、CPU201が画像処理プログラムを実行することで実現されてもよい。
【0082】
明度判定部26Bは、色変換部22により変換されたYUV画像を用いて、注目領域の明度成分(輝度Y)の大小を判定する明度判定処理を実施し、判定結果を明度判定結果として裏写り補正部24Bに出力する。例えば、明度判定部26Bは、注目領域の明度成分を閾値と比較し、明度成分が閾値より大きい場合に注目領域が色味が薄い領域であると判定し、明度成分が閾値以下の場合に注目領域が色味が濃い領域であると判定する。
【0083】
裏写り補正部24Bは、入力画像と、前景/背景判定部21からの領域判定結果と、類似判定部23からの類似判定結果と、同一背景判定部25Aからの同一背景判定結果と、明度判定部26Bからの明度判定結果とを受け、裏写り補正処理を実施する。
【0084】
裏写り補正部24Bは、注目領域の明度判定結果が色味の薄い領域を示す場合、図9の裏写り補正部24Aと同じ裏写り補正処理を実施する。裏写り補正部24Bは、注目領域の明度判定結果が色味の濃い領域を示す場合、裏写り補正処理を実施しない。
【0085】
一般的によく使用される原稿の場合、裏写りは、原稿表面に書かれている文字や絵柄と比べると色味が薄い(すなわち、明度が高い)傾向がある。このため、注目領域の色味が濃い(すなわち、明度が低い)場合に裏写り補正処理を実施しないことで、異常画像の発生の可能性をさらに低減することができる。
【0086】
なお、画像処理装置200Bは、同一背景判定部25Aを持たなくてもよい。この場合、裏写り補正部24Bは、同一背景判定結果を使用せずに、裏写り補正処理を実施する。すなわち、裏写り補正部24Bは、前景/背景判定部21により背景と判定された注目領域が明度判定結果により薄い領域を示す場合、前景/背景判定部21により背景と判定された参照領域を使用して代表色を算出し、注目領域の画素値を代表色で置き換える。
【0087】
図13は、図12の裏写り補正部24Bによる裏写り補正処理の一例を示すフロー図である。すなわち、図13は、画像処理装置200Bが実施する画像処理方法の一例を示す。図8及び図11と同じ処理については、それぞれ図8及び図11と同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0088】
図13に示す処理は、図8と同様に、注目領域を順次ずらしながら注目領域毎に実施される。なお、裏写り補正部24Bの機能が画像処理プログラムにより実現される場合、図13に示す処理は、画像処理プログラムにより実施される。
【0089】
図13に示す処理は、図11のステップS210とステップS221の間にステップS212が挿入されることを除き、図11に示す処理と同様である。ステップS210で注目領域が背景と判定された場合、ステップS212において、裏写り補正部24Bは、明度判定結果に基づいて、注目領域の明度が高い(色味が薄い)と判定されたか否かを判定する。
【0090】
裏写り補正部24Bは、注目領域の明度が高いと判定された場合、処理をステップS221に移行する。裏写り補正部24Bは、注目領域の明度が高いと判定されていない場合、すなわち、注目領域の明度が低い場合、裏写り補正処理が不要なため、現在の注目領域の処理を終了し、次の注目領域の裏写り補正処理を実施するために図13に示す処理を終了する。なお、画像処理装置200Bが同一背景判定部25Aを持たない場合、ステップS221の処理の代わりに、図8のステップS220が実施される。
【0091】
以上、第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、注目領域と色差が類似する参照領域を使用して注目領域の画素値と置き換える代表色を算出することで、裏写り補正処理により異常画像が生成される可能性を低減することができる。
【0092】
さらに、第3の実施形態では、注目領域の色味が薄いと判定された場合、背景と判定された参照領域のうち、同一参照領域のみを使用して裏写り補正処理を実施し、注目領域の色味が濃いと判定された場合、裏写り補正処理を実施しない。これにより、注目領域が画像中の色味が濃い領域を示す場合に裏写り補正処理が実施されることを抑止することができ、異常画像の発生の可能性をさらに低減することができる。
【0093】
(第4の実施形態)
図14は、本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置により実施される裏写り補正処理の概要を示す機能ブロック図である。図1から図3図6図9及び図12と同じ要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図14に示す破線の矢印は、判定結果を示す情報の伝達を示す。図14に示す裏写り補正処理を実施する画像処理装置200Cは、例えば、図1の画像処理装置200の代わりに画像形成装置100に搭載される。画像処理装置200Cのハードウェア構成は、図3と同じである。
【0094】
画像処理装置200Cは、機能ブロックとして、図12の裏写り補正部24Bの代わりに裏写り補正部24Cを有し、サイズ判定部27Cが追加されていることを除き、図12の画像処理装置200Bの機能ブロックと同様の構成を有する。なお、画像処理装置200Bは、1画素を含む領域を単位として判定するが、複数の画素を含む領域を単位として判定してもよい。
【0095】
例えば、前景/背景判定部21、色変換部22、類似判定部23、裏写り補正部24C、同一背景判定部25A、明度判定部26B及びサイズ判定部27Cの機能は、図3の画像処理部208等のハードウェアにより実現される。なお、前景/背景判定部21、色変換部22、類似判定部23、裏写り補正部24C、同一背景判定部25A、明度判定部26B及びサイズ判定部27Cの1つ又は複数の機能は、CPU201が画像処理プログラムを実行することで実現されてもよい。
【0096】
サイズ判定部27Cは、背景と判定された注目領域と類似する参照領域を検索し、注目領域と類似する参照領域の集合の大きさを裏写りの大きさと判定するサイズ判定処理を実施する。そして、サイズ判定部27Cは、判定した裏写りの大きさをサイズ判定結果として裏写り補正部24Cに出力する。
【0097】
例えば、サイズ判定部27Cは、注目領域と類似する参照領域の各々と注目領域とのユークリッド距離を算出し、ユークリッド距離の最大値を裏写りの大きさとする。例えば、サイズ判定部27Cは、注目領域との類似判定をRGBデータを使用して実施する。なお、サイズ判定部27Cは、注目領域が本当に裏写りしているかどうかに関係なく、サイズの判定処理を実施する。
【0098】
裏写り補正部24Cは、参照領域の画素を使用して注目領域の裏写り補正処理を実施する。例えば、裏写りが参照領域の範囲を超えて発生している場合、参照領域の範囲を超えた領域を使用することができないため、裏写りを完全に補正することが困難であり、むしろ異常画像を発生させてしまうおそれがある。
【0099】
このため、裏写りのサイズが参照領域のサイズを超えている場合、裏写り補正処理を実施しない方が好ましい。そこで、裏写り補正部24Cは、サイズ判定部27Cから出力されるサイズ判定結果で示される裏写りのサイズを参照領域のサイズに対応する所定の閾値と比較し、裏写りのサイズが閾値を超えている場合、裏写り補正処理を実施しない。裏写り補正部24Cは、裏写りのサイズが閾値以下の場合、図12の裏写り補正部24Bと同じ裏写り補正処理を実施する。
【0100】
なお、画像処理装置200Cは、同一背景判定部25Aを持たなくてもよい。この場合、裏写り補正部24Cは、同一背景判定結果を使用せずに、裏写り補正処理を実施する。また、画像処理装置200Cは、明度判定部26Bを持たなくてもよい。この場合、裏写り補正部24Cは、明度判定結果を使用せずに、裏写り補正処理を実施する。さらに、画像処理装置200Cは、同一背景判定部25A及び明度判定部26Bの両方を持たなくてもよい。
【0101】
図15は、図14の裏写り補正部24Cによる裏写り補正処理の一例を示すフロー図である。すなわち、図15は、画像処理装置200Cが実施する画像処理方法の一例を示す。図8図11及び図13と同じ処理については、それぞれ図8図11及び図13のそれぞれと同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0102】
図15に示す処理は、図8と同様に、注目領域を順次ずらしながら注目領域毎に実施される。なお、裏写り補正部24Cの機能が画像処理プログラムにより実現される場合、図15に示す処理は、画像処理プログラムにより実施される。
【0103】
図15に示す処理は、図13のステップS212とステップS221の間にステップS214が挿入されることを除き、図13に示す処理と同様である。
【0104】
ステップS212で注目領域の明度が高い(色味が薄い)と判定された場合、ステップS214において、裏写り補正部24Cは、サイズ判定結果で示される裏写りサイズと閾値とを比較する。ここで、閾値は、参照領域のサイズに対応している。裏写り補正部24Cは、裏写りサイズが閾値以下の場合、処理をステップS221に移行し、裏写り補正処理を実施する。一方、裏写り補正部24Cは、裏写りサイズが閾値を超えている場合、裏写りを完全に補正することが困難であると判断し、現在の注目領域の処理を終了し、次の注目領域の裏写り補正処理を実施するために図15に示す処理を終了する。
【0105】
なお、画像処理装置200Cが同一背景判定部25Aを持たない場合、ステップS221の処理の代わりに、図8のステップS220が実施される。また、画像処理装置200Cが明度判定部26Bを持たない場合、ステップS212の処理は省略される。さらに、画像処理装置200Cが同一背景判定部25A及び明度判定部26Bの両方を持たない場合、ステップS221の処理の代わりに、図8のステップS220が実施され、ステップS212の処理が省略される。
【0106】
以上、第4の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、注目領域と色差が類似する参照領域を使用して注目領域の画素値と置き換える代表色を算出することで、裏写り補正処理により異常画像が生成される可能性を低減することができる。また、第3の実施形態と同様に、注目領域の色味が濃いと判定された場合、裏写り補正処理を実施しないことで、異常画像の発生の可能性を低減することができる。
【0107】
さらに、第4の実施形態では、サイズ判定部27Cから出力される裏写りの大きさが閾値を超えている場合、裏写りを完全に補正することが困難であるため、裏写り補正処理を実施しない。これにより、裏写りが参照領域の範囲を超えて発生している場合に、参照領域内の参照領域のみを使用して裏写り補正処理を実施することを抑制することができ、異常画像の発生を抑制することができる。
【0108】
(第5の実施形態)
図16は、本発明の第5の実施形態に係る画像処理装置が実施する裏写り補正処理における代表色の算出処理の一例を示すフロー図である。図16に示すフローは、図8のステップS220又は図11図13図15のステップS221の処理の中で実施される。すなわち、図16に示すフローは、図6の裏写り補正部24、図9の裏写り補正部24A、図12の裏写り補正部24B、又は、図14の裏写り補正部24Cのいずれかで実施される。
【0109】
以下では、図16に示すフローは、裏写り補正部24Dで実施されるとする。裏写り補正部24Dを含む画像処理装置は、例えば、図1の画像処理装置200の代わりに画像形成装置100に搭載される。裏写り補正部24Dを含む画像処理装置のハードウェア構成は、図3と同じである。
【0110】
上述した各実施形態では、代表色が真の背景色となっている場合、注目領域が裏写り領域であれば正しい裏写り補正処理を実施することができる。一方、注目領域が裏写り領域でない場合、誤った裏写り補正処理が実施され、異常画像となるおそれがある。例えば、階調が段階的に変化する領域では、色が濃い領域に色が薄い領域が侵食することで異常画像となる場合がある。
【0111】
この問題を解消するためには、代表色の候補を複数算出し、算出した複数の候補の中から最も適切なものを選ぶ方法、又は、複数の代表色を合成する方法が考えられる。図16は、2種類の代表色の候補を係数coef(0~1)に応じた比率で合成する例を示す。
【0112】
まず、ステップS222において、裏写り補正部24Dは、参照領域内において代表色の算出に使用する参照領域の平均値Aを算出する。次に、ステップS223において、裏写り補正部24Dは、参照領域内において代表色の算出に使用する参照領域のうち、最も明るい色である最明色Bを算出する。最明色Bは、RGBデータを使用して算出されてもよく、YUVの輝度Yを使用して算出されてもよい。最明色Bは、第1補正色の一例である。
【0113】
裏写り補正部24は、最明色Bを算出する補正色算出部と、参照領域の平均値Aを算出する補正色算出部とを有する。最明色Bを算出する補正色算出部は、第1補正色算出部の一例である。平均値Aを算出する補正色算出部は、最明色Bより暗い色を算出する第2補正色算出部の一例である。
【0114】
次に、ステップS224において、裏写り補正部24Dは、平均値Aと最明色Bとを係数coefに基づいて所定の比率で合成することで、注目領域の画素値と置き換える代表色Cを算出する。例えば、代表色Cは、RGBデータとして表される。そして、ステップS224の後、裏写り補正部24Dは、注目領域の画素値を代表色Cで置き換えることで、裏写り補正処理を実施する。これにより、例えば、ステップS223で算出される最明色Bが真の背景色と大きく異なっていたとしても、ステップS222で算出される平均値Aによりある程度中和され、異常画像となる可能性を低減することができる。
【0115】
裏写りは真の背景色よりも暗く読み取られるという特性があるため、ステップS223で算出される最明色Bは、真の背景色の第1候補である。ステップS222で算出される平均値Aは、最明色Bが真の背景色でない場合、又は注目領域が裏写りでなかった場合に備えた第2候補である。係数coefを使用することで、平均値A及び最明色B等の複数種の色情報を使用して代表色Cを算出する場合にも、合成の比率である補正強度を適切に調整することが可能になる。
【0116】
なお、ステップS222では、参照領域内において代表色の算出に使用する参照領域の平均値Aが算出されるが、ステップS223で算出する最明色よりも暗い値が算出されるのであれば、平均値A以外の算出方法が使用されてもよい。
【0117】
また、裏写り補正部24Dは、ステップS223において、代表色の算出に使用する参照領域の明度のヒストグラムを作成し、所定の明度以上の分布の中で最頻度の明度を使用して最明色Bに代わる色を算出してもよい。
【0118】
以上、第5の実施形態においても、第1から第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第5の実施形態では、複数の代表色の候補を所定の比率で合成して注目領域の画素値と置き換える代表色Cを算出することで、1種類の代表色を使用する場合に比べて、異常画像となる可能性を低減することができる。
【0119】
なお、第5の実施形態では、2種類の代表色(平均値Aと最明色B)を所定の比率で合成して注目領域の画素値と置き換える代表色Cを算出する例が示されたが、3種類以上の代表色を所定の比率で合成して注目領域の画素値と置き換える代表色Cを算出してもよい。
【0120】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする前景/背景判定部と、
前記複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出部と、
前記複数の領域のうちの注目領域の前記色成分と前記注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の各々の前記色成分との差に基づいて、前記注目領域と前記複数の参照領域の各々とが類似するか否かを判定する類似判定部と、
前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、類似すると判定された前記参照領域を用いて前記注目領域を補正する裏写り補正部と、を有し、
前記注目領域を順次ずらして前記裏写り補正部により前記注目領域を補正することで、前記入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成すること
を特徴とする画像処理装置。
<2>
前記参照領域が前記注目領域と同一の背景であるか否かを判定する同一背景判定部を有し、
前記裏写り補正部は、前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、前記注目領域と類似すると判定された前記参照領域のうち、前記注目領域と同一の背景でないと判定された前記参照領域より前記注目領域側に位置する、前記注目領域と同一の背景であると判定された前記参照領域を使用して前記注目領域を補正すること
を特徴とする<1>記載の画像処理装置。
<3>
前記成分抽出部で抽出した前記明度成分に基づいて前記注目領域の明度を判定する明度判定部を有し、
前記裏写り補正部は、前記注目領域の明度が所定の明度より低いと判定された場合、前記注目領域を補正しないこと
を特徴とする<1>又は<2>に記載の画像処理装置。
<4>
前記複数の領域のうち、背景と判定された前記注目領域と色が類似する領域のサイズを判定するサイズ判定部を有し、
前記裏写り補正部は、判定されたサイズが前記複数の参照領域のサイズを超えている場合、前記注目領域の補正を実施しないこと
を特徴とする<1>ないし<3>のいずれか1項に記載の画像処理装置。
<5>
前記複数の参照領域を使用して前記注目領域の補正に使用する複数の補正色をそれぞれ算出する複数の補正色算出部を有し、
前記裏写り補正部は、前記複数の補正色算出部により算出された前記複数の補正色を所定の比率で合成し、合成により得られた補正色を用いて前記注目領域を補正すること
を特徴とする<1>ないし<4>のいずれか1項に記載の画像処理装置。
<6>
前記複数の補正色算出部は、
前記複数の参照領域のうち最も明るい色を第1補正色として算出する第1補正色算出部と、
前記複数の参照領域の色を使用して前記第1補正色より暗い色を算出する第2補正色算出部と、を有すること
を特徴とする<5>に記載の画像処理装置。
<7>
原稿に含まれる画像を読み取り、前記入力画像を生成する画像読み取り部と、
前記画像読み取り部により生成された前記入力画像を処理して前記裏写り除去画像を生成する<1>ないし<6>のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で処理した画像を形成する画像形成部と、を有する
画像形成装置。
<8>
入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする前景/背景判定処理と、
前記複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出処理と、
前記複数の領域のうちの注目領域の前記色成分と前記注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の各々の前記色成分との差に基づいて、前記注目領域と前記複数の参照領域の各々とが類似するか否かを判定する類似判定処理と、
前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、類似すると判定された前記参照領域を用いて前記注目領域を補正する裏写り補正処理と、
前記注目領域を順次ずらして前記裏写り補正処理により前記注目領域を補正することで、前記入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成する処理と、
を実施することを特徴とする画像処理方法。
<9>
入力画像内の複数の領域を、前景画像を含む前景領域と背景画像を含む背景領域とに区分けする前景/背景判定処理と、
前記複数の領域の各々の明度成分及び色成分を抽出する成分抽出処理と、
前記複数の領域のうちの注目領域の前記色成分と前記注目領域の周辺に位置する複数の参照領域の各々の前記色成分との差に基づいて、前記注目領域と前記複数の参照領域の各々とが類似するか否かを判定する類似判定処理と、
前記注目領域が前記背景領域に含まれると判定された場合、類似すると判定された前記参照領域を用いて前記注目領域を補正する裏写り補正処理と、
前記注目領域を順次ずらして前記裏写り補正処理により前記注目領域を補正することで、前記入力画像の裏写り成分を除去した裏写り除去画像を生成する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【0121】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0122】
1 コンタクトガラス
2 光源
3、4、5 ミラー
6 第1キャリッジ
7 第2キャリッジ
8 レンズユニット
9 イメージセンサ
10 センサ基板
11 本体部
12 原稿
13 基準白板
14 背景板
21 前景/背景判定部
22 色変換部
23 類似判定部
24、24A、24B、24C、24D 裏写り補正部
25A 同一背景判定部
26B 明度判定部
27C サイズ判定部
100 画像形成装置
101 画像読み取り部
102 ADF
103 画像形成部
104 手差しローラ
105 作像ユニット
106 作像要素
107 記録紙供給ユニット
107a 記録紙給紙カセット
108 レジストローラ
109 光書き込み装置
110 定着装置
111 反転機構
112 二次転写ベルト
113 中間転写ベルト
114 転写部
200、200A、200B、200C 画像処理装置
201 CPU
202 ROM
203 チップセット
204 メインメモリ
205 I/Oインタフェース部
206 コントローラ
207 メインメモリ
208 画像処理部
211 HDD
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】特開2001-169080号公報
【特許文献2】特開2003-283831号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16