(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147497
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】低温電子顕微鏡検査(CRYO-EM)におけるアデノ随伴ウイルスの分類に基づく教師付き機械学習
(51)【国際特許分類】
H01J 37/26 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01J37/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031669
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】63/487,715
(32)【優先日】2023-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/499,645
(32)【優先日】2023-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(71)【出願人】
【識別番号】524077807
【氏名又は名称】ブラマ― バイオ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】テイス ブレッサー
(72)【発明者】
【氏名】ロール エイチ.カイラヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ミリアン
(57)【要約】
【課題】
本明細書に開示されるのは、科学的機器支援システム、並びに関連する方法、コンピューティングデバイス、及びコンピュータ可読媒体である。
【解決手段】
例えば、いくつかの実施形態では、科学的機器支援装置は、低温(Cryo)電子顕微鏡から、複数のカプシドを有する生体検体に関するcryo-顕微鏡検査(Cryo-EM)データを受信するための第1のロジックと、様々な取得条件下で訓練されたAIモデルを介してCryo-EMデータを処理することによってカプシドの各々についての分類を判定するための第2のロジックと、生体検体中のカプシドの分類を表示するための第3のロジックと、を備え得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
科学的機器支援装置であって、
低温(Cryo)電子顕微鏡から、複数のカプシドを有する生体検体に関するCryo-電子顕微鏡データ(Cryo-EMデータ)を受信するための第1のロジックと、
注釈付きデータを用いて訓練された人工知能(AI)モデルを介して前記Cryo-EMデータを処理することによって、前記カプシドの各々についてのカプシド分類を判定するための第2のロジックと、
前記生体検体中の前記カプシドの前記カプシド分類を出力するための第3のロジックと、を備える、科学的機器支援装置。
【請求項2】
前記生体検体が、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含む、請求項1に記載の科学的機器支援装置。
【請求項3】
前記生体検体が、急速凍結によってガラス化されて、分子をアモルファス氷に統合する、請求項1に記載の科学的機器支援装置。
【請求項4】
前記カプシド分類が、空及び充填を含む可能な分類のセットから選択される、請求項1に記載の科学的機器支援装置。
【請求項5】
前記可能な分類のセットが、部分的充填を含む、請求項4に記載の科学的機器支援装置。
【請求項6】
前記第2のロジックが、判定されたカプシド分類に基づいて生体試料の純度を判定するように更に構成されている、請求項1に記載の科学的機器支援装置。
【請求項7】
前記注釈付きデータが、注釈付き顕微鏡写真を含み、前記顕微鏡写真が、教師付き学習モデルを使用して注釈が付けられる、請求項1に記載の科学的機器支援装置。
【請求項8】
科学的機器支援装置であって、
人工知能モデル(AIモデル)を訓練するためのコマンドを受信するための第1のロジックであって、前記コマンドが、電子顕微鏡によって生成された複数の顕微鏡写真の特定を含む、第1のロジックと、
教師付き学習方法を使用して前記顕微鏡写真に注釈を付けるための第2のロジックと、
注釈付き顕微鏡写真を用いて前記AIモデルを訓練して、カプシドを分類するための第3のロジックと、
訓練の後に、生体検体に関するcryo-電子顕微鏡(Cryo-EM)データに適用するために前記AIモデルを選択するオプションを提供するための第4のロジックと、を備える、科学的機器支援装置。
【請求項9】
前記第2のロジックが、前記顕微鏡写真において特定された前記カプシドを正規化、マスク、整列、及びそこから特徴を抽出するように更に構成されている、請求項8に記載の科学的機器支援装置。
【請求項10】
可能なカプシド分類が、空及び充填を含む、請求項8に記載の科学的機器支援装置。
【請求項11】
前記可能なカプシド分類が、部分的充填含む、請求項10に記載の科学的機器支援装置。
【請求項12】
取得が、生体試料の断面の電子画像(顕微鏡写真)を含む、請求項8に記載の科学的機器支援装置。
【請求項13】
前記生体試料が、ナノ粒子又はウイルスベクターを含む、請求項12に記載の科学的機器支援装置。
【請求項14】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス又は脂質ナノ粒子を含む、請求項13に記載の科学的機器支援装置。
【請求項15】
カプシド品質管理方法であって、
複数のカプシドを有する生体検体に関する顕微鏡検査データを顕微鏡から受信することと、
注釈付きデータを用いて訓練された人工知能(AI)モデルを介して前記顕微鏡検査データを処理することによって、前記カプシドの各々についてのカプシド分類を判定することと、
判定された前記カプシド分類に基づいて前記生体検体の品質評価を出力することと、を含む、カプシド品質管理方法。
【請求項16】
前記生体検体が、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含む、請求項15に記載のカプシド品質管理方法。
【請求項17】
前記顕微鏡検査データが、cryo-電子顕微鏡(Cryo-EM)データである、請求項15に記載のカプシド品質管理方法。
【請求項18】
前記生体検体をガラス化することを更に含む、請求項15に記載のカプシド品質管理方法。
【請求項19】
前記顕微鏡に、ガラス化された前記生体検体の画像を取得させることを更に含み、前記画像が、前記顕微鏡検査データに含まれる、請求項18に記載のカプシド品質管理方法。
【請求項20】
前記カプシド分類が、空及び充填を含む可能な分類のセットから選択される、請求項19に記載のカプシド品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年3月1日に出願された米国仮出願第63/487,715号及び2023年5月2日に出願された米国仮出願第63/499,645号の優先権を主張し、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡検査は、顕微鏡を使用して肉眼では見ることが困難な物体をより良好に視認するための技術分野である。荷電粒子(例えば、電子及び/又はイオン)顕微鏡検査として知られている顕微鏡検査の1つの部門は、加速荷電粒子のビームを照明源として使用することを含む。荷電粒子顕微鏡検査のタイプには、例えば、透過型電子顕微鏡検査(transmission electron microscopy、TEM)、走査型電子顕微鏡検査(scanning electron microscopy、SEM)、走査透過型電子顕微鏡検査、及び集束イオンビーム顕微鏡検査が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。この説明を容易にするために、同様の参照番号は同様の構造要素を指している。実施形態は、限定としてではなく例として、添付の図面の図に例解されている。
【
図1】様々な実施形態に係る、生体検体中の複数のカプシドの各々についての分類を判定するための一例示の科学的機器支援モジュールのブロック図である。
【
図2A】様々な実施形態に係る、生体検体中の複数のカプシドの各々についての分類を判定するための一例示の方法のフロー図である。
【
図2B】様々な実施形態に係る、生体検体中の複数のカプシドの各々についての分類を判定するための人工知能(artificial intelligence、AI)モデルを生成及び選択する一例示の方法のフロー図である。
【
図3A】空カプシド、部分カプシド、及び完全カプシドを含む顕微鏡写真を示す。
【
図3B】空カプシド、部分的にファイルされたカプシド、及び完全カプシドの一例を示す。
【
図4A】主成分分析(principal component analysis、PCA)クラスタリングを示す。
【
図4B】
図4Aに示されるPCAクラスタリングに対応するシルエットスコアを示す。
【
図5A】平均化されたクラスの半径方向平均化密度プロファイルを示すグラフを示す。
【
図5B】クラスごとの平均内部密度の分布を示すグラフを示す。
【
図6】様々な実施形態に係る、本明細書で開示される支援方法の一部又は全ての実施に使用され得る、グラフィカルユーザインターフェイスの一例を示す図である。
【
図7】様々な実施形態に係る、本明細書で開示される科学的機器支援方法の一部又は全てを実施可能とする、一例示のコンピューティングデバイスのブロック図である。
【
図8】様々な実施形態に係る、本明細書で開示される科学的機器支援方法の一部又は全てを実施可能とする、一例示の科学的機器支援システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書に開示されるのは、科学的機器支援システム、並びに関連する方法、コンピューティングデバイス、及びコンピュータ可読媒体である。例えば、いくつかの実施形態では、科学的機器支援装置は、低温(cryogenic、Cryo)電子顕微鏡から、複数のカプシドを有する生体検体に関する低温電子顕微鏡検査(cryogenic electron microscopy、Cryo-EM)データを受信するための第1のロジックと、注釈付きデータを用いて訓練された人工知能(AI)モデルを介してCryo-EMデータを処理することによって、カプシドの各々についての分類を判定するための第2のロジックと、生体検体中のカプシドの分類を表示するための第3のロジックと、を備え得る。
【0005】
遺伝子治療は、がん、心血管疾患、及び遺伝子変異によって引き起こされる数千の稀な遺伝性疾患を含む、広範囲の疾患に対して非常に有望である。ウイルスは、遺伝物質を細胞に送達する天然の能力を有し、一旦ウイルスが、感染性疾患を引き起こすそれらの能力を排除するように改変されると、これらの改変ウイルスは、治療遺伝子をヒト細胞に輸送するためのベクターとして使用され得る。近年、遺伝子治療への関心は、開発中の多くの新しい治療法と同様に、2020年に米国食品医薬品局によって承認された新しい遺伝子治療によって加速しており、ウイルスベクターに対する高い需要をもたらしている。遺伝子治療におけるこの増大する関心は、これらの治療を提供するための、より費用効率が高くスケーラブルなウイルスベクター製造プラットフォームの必要性をもたらした。アデノ随伴ウイルス(adeno associated virus、AAV)は、例えば、その安全性プロファイル、スケーラビリティ、有効性、及び低コストに基づいて、多くの製造プラットフォームにおいて日常的に使用されている。例えば、レンチウイルスベクターとともに、AAVは遺伝子治療のおよそ90%で使用される。しかしながら、AAVに基づく遺伝子治療は、多くの伝統的な生物療法よりも複雑である。
【0006】
概して、AAVは、一本鎖デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)を封入する閉じたウイルスカプシドによって形成される。AAVベクターの産生の間に、3種類のカプシド:空、部分的に充填された、及び充填されたカプシドが生成される。空カプシドは不純物とみなされる。データへのアクセスが欠如し、部分的充填は不純物とみなされ得る。所望の遺伝物質を含有する完全なカプシドに加えて、最終生成物は、生成物に関連する多くの種類の不純物を含有し得る。不純物の存在は、生成物に対する免疫応答のリスクを増加させるので、AAVベクター生成物の有効性及び安全性に影響を及ぼし得る。加えて、空粒子又は部分的に充填された粒子の存在は、患者に投与された場合にベクター結合部位について競合することによって完全なAAVカプシドの形質導入を妨害し得る。したがって、これらの不純物及び所望の充填されたAAVカプシドの量又は患者の適切な投薬を決定する必要がある。完全なカプシドに加えて、最終生成物は、いくつかの種類のプロセス及び生成物不純物を含有し得る。したがって、ウイルスベースの生成物(遺伝子治療、ウイルス様粒子に基づくワクチン)の製造における1つの基本的な課題は、ウイルスの完全性を維持しながら十分な純度を達成することである。
【0007】
Cryo-EMは、生体検体が急速凍結によってガラス化され、したがって、分子をアモルファス氷に統合する方法である。このようにして調製された試料は、それらの天然構造を保存する。マーカー又は他の化学物質は存在しない。カプシドがDNAを含有する場合、暗いピクセルの内部密度が存在し、カプシドがDNAを含有しない場合、内部密度は画像のバックグラウンドに近い。Cryo-EMは、固有の情報を提供することができ、例えば、空間分布、カプシド完全性、又はそれらの組み合わせなどの複数の属性へのアクセスを提供することができる。
【0008】
人工知能は、物体検出及び分類のためのコンピュータビジョンの領域において最新技術の結果を提供することが証明されている。しかしながら、AIモデルを訓練することは、グラウンドトゥルース注釈付きデータを必要とし、このステップは、例えば、カプシドを含有する生成物のCryo-EM画像を見るときなどの、裸眼によって分類が困難又は不可能であるとき、ボトルネックになる。例えば、部分/完全カプシドの注釈(区別)は、裸眼では極めて困難である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム及び方法は、教師付き機械学習モデルを使用してこの問題を解決する。以下で更に詳細に論じられるように、いくつかの実施形態では、この方法及びシステムは、以前に注釈を付けられたデータを使用して、データ拡張を用いてモデルを訓練する。1つの記載されたシステムは、機械学習アプローチを用いて、空/部分/完全カプシドを含有する顕微鏡写真の教師付き注釈を提供する。いくつかの実施形態では、空/部分/完全カプシド分類を分類するための一般的に訓練されたAIモデルは、様々な取得条件下で訓練される。取得条件は、設定(例えば、デフォーカス、倍率、電子線量、露光時間など)、取得システムの種類(例えば、低温電子透過型顕微鏡)、顕微鏡のモデル、又はそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、AIモデルは、大量の注釈付きデータから、全ての状況(例えば、コントラスト変化、ノイズ、倍率など)において良好に機能することができるという意味で一般化されるように訓練される。いくつかの実施形態では、モデルの訓練は、例えば、コントラスト変化、フリップ、回転などを含む、人工的に修正された注釈付きデータなどのデータ拡張を使用することによって強化される。
【0009】
いくつかの実施形態では、記載されるシステム及び方法は、製品開発段階中に製薬産業において、又は生産段階中の品質管理のために、AAVベースの生成物の純度を判定する。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、部分カプシド及び完全カプシドが裸眼によって区別され得ない場合であっても、空/部分/完全カプシドの参照ストックの顕微鏡写真に注釈を付けるために採用される。いくつかの実施形態では、モデルは、データ拡張を使用して訓練され、したがって、様々な顕微鏡及び様々な取得条件で空/部分/完全カプシドのパーセンテージを予測するために一般化することができる。したがって、本明細書に開示される科学的機器支援の実施形態は、従来のアプローチに対して改善された性能を達成し得る。例えば、本明細書に記載される実施形態は、機械学習を使用して、他の方法では裸眼によって区別することができない空カプシド、部分カプシド、及び完全カプシドの参照ストックの顕微鏡写真に効率的に注釈を付け、これは、AIモデルを訓練するためのグラウンドトゥルースの効率的な作成を可能にする。注釈付きデータは、異なる取得条件と関連付けることができ、これにより、AIモデルを一般化して、様々な顕微鏡上及び様々な取得条件下での空カプシド、部分カプシド、及び完全カプシドのパーセンテージを予測することができ、これにより、別個のAIモデルを作成する必要性(コンピューティングリソースの非効率的な使用をもたらす)が回避される。したがって、本明細書に開示される実施形態は、遺伝子治療製品内の不純物を検出するために使用され得る、AIモデルを訓練する際に使用するための画像の注釈の使用を通じて、科学的機器技術に対する改善(例えば、他の改善の中でも特に、そのような科学的機器を支援するコンピュータ技術における改善)を提供する。したがって、本明細書に開示される実施形態は、遺伝子治療製品及びその製造プロセスを改善し、従来のアプローチと比較して改善された速度、精度、スループット、費用効率、及び信頼性を達成することができる。そのような技術的利点は、日常的な従来のアプローチでは達成できず、そのような実施形態を含むシステムの全てのユーザは、これらの利点から利益を得ることができる(例えば、AIモデルを使用する自動化プロセスによる遺伝子治療製品製造などの、技術的タスクの実行においてユーザを支援することによって)。したがって、本明細書に開示される実施形態の技術的特徴は、本明細書に開示される実施形態の特徴の組み合わせと同様に、遺伝子治療技術の分野では明らかに慣用的ではない。本明細書で更に論じられるように、本明細書で開示される実施形態の様々な態様は、コンピュータ自体の機能を改善することができる。例えば、本明細書に記載されるように、コンピューティングデバイスは、カプシドを分類するために機械学習を採用し、それらの過去の結果に関するフィードバックを受信することによって、将来の動作のためのそれらの精度を改善することができる。本明細書で開示される計算及びユーザインターフェイス特徴は、情報の収集及び比較を伴うだけでなく、遺伝子製品製造に使用される科学的機器の動作を変更するために新しい分析技法及び技術的技法を適用する。したがって、本開示は、従来のコンピューティングデバイスも人間も実施することができなかった機能を導入する。
【0010】
したがって、本開示の実施形態は、特定の技術システム又はプロセス(例えば、AAV品質管理システム又はプロセス)を制御すること、及びとりわけ遺伝子治療製品における使用のための画像向上又は分析を提供することなどの、いくつかの技術的目的のうちのいずれかに役立ち得る。具体的には、本開示は、限定されないが、手動処理を通じて利用可能でない画像の自動注釈付け、及びカプシドの改善された分類のためのAIモデルを訓練するためのそのような注釈付き画像の使用を含む、技術的問題に対する技術的解決策を提供する。したがって、本明細書に開示される実施形態は、遺伝子治療製品製造及び科学的機器に関連する技術に対する改善(例えば、他の改善の中でも、遺伝子治療製品製造を支援するコンピュータ技術における改善)を提供する。
【0011】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照され、同様の数字は全体を通して同様の部分を指定し、例解として、実施され得る実施形態が示される。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、構造的又は論理的変更が行われ得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0012】
様々な動作は、本明細書に開示される主題を理解するのに最も役立つように、複数の別個のアクション又は動作として順に説明され得る。しかしながら、説明の順序は、これらの動作が必然的に順序に依存することを示唆するものとして解釈されるべきではない。具体的には、これらの動作は、提示の順序で実施されない場合がある。説明される動作は、説明される実施形態とは異なる順序で実施され得る。様々な追加の動作が実施され得、及び/又は説明された動作が追加の実施形態において省略され得る。
【0013】
本開示の目的のために、「A及び/又はB」及び「A又はB」という語句は、(A)、(B)、又は(A及びB)を意味する。本開示の目的のために、「A、B、及び/又はC」及び「A、B、又はC」という語句は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B、及びC)を意味する。いくつかの要素は単数形(例えば、「処理デバイス」)で言及され得るが、任意の適切な要素は、その要素の複数のインスタンスによって表され得、逆もまた同様である。例えば、処理デバイスによって実施されるものとして説明された動作のセットは、異なる処理デバイスによって実施される動作のうちの異なるものを用いて実装され得る。
【0014】
本説明は、「ある実施形態」、「様々な実施形態」、及び「いくつかの実施形態」という句を使用し、それらの各々は、同じ又は異なる実施形態のうちの1つ以上を指し得る。更に、本開示の実施形態に関して使用される「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、同義である。寸法の範囲を説明するために使用されるときに、「XとYとの間」という句は、XとYとを含む範囲を表す。本明細書で使用される場合、「装置」は、任意の個々のデバイス、デバイスの集合体、デバイスの一部、又はデバイスの一部の集合体を指し得る。図面は、必ずしも縮尺どおりではない。
【0015】
図1は、様々な実施形態に係る、支援動作を実施するための科学的機器支援モジュール1000のブロック図である。科学的機器支援モジュール1000は、プログラムされたコンピューティングデバイスなどの回路(例えば、電気的及び/又は光学的構成要素を含む)によって実装され得る。科学的機器支援モジュール1000のロジックは、単一のコンピューティングデバイスに含まれてもよく、又は必要に応じて互いに通信する複数のコンピューティングデバイスにわたって分散されてもよい。単独、又は組み合わせて、科学的機器支援モジュール1000を実装し得るコンピューティングデバイスの例は、
図7のコンピューティングデバイス4000を参照しながら本明細書で検討され、更に、科学的機器支援モジュール1000がコンピューティングデバイスの1つ以上にわたって実装され得る相互接続されたコンピューティングデバイスのシステムの例は、
図8の科学的機器支援システム5000を参照して本明細書で検討される。
【0016】
科学的機器支援モジュール1000は、判定ロジック1002、訓練ロジック1004、モデル選択ロジック1006、及び表示ロジック1008を含み得る。本明細書で使用される場合、「ロジック」という用語は、ロジックと関連付けられた動作のセットを実施する装置を含み得る。例えば、支援モジュール1000に含まれるロジック要素のいずれかは、コンピューティングデバイスの1つ以上の処理デバイスに関連付けられた動作のセットを実施させる命令でプログラムされた、1つ以上のコンピューティングデバイスによって実装され得る。特定の実施形態では、ロジック要素は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を含み得、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体は、1つ以上のコンピューティングデバイスの1つ以上の処理デバイスによって実行されるときに、1つ以上のコンピューティングデバイスに、関連付けられた動作のセットを実施させる命令を有する。本明細書で使用される場合、「モジュール」という用語は、モジュールに関連付けられた1つ以上の機能を一緒に実施する1つ以上のロジック要素の集合を指し得る。モジュール内のロジック要素のうちの異なるものは、同じ形態をとり得るか、又は異なる形態をとり得る。例えば、モジュール内のいくつかのロジックは、プログラムされた汎用処理デバイスによって実装され得、モジュール内の他のロジックは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)によって実装され得る。別の実施例では、モジュール内のロジック要素のうちの異なるものは、1つ以上の処理デバイスによって実行される、異なる命令のセットと関連付けられ得る。モジュールは、関連する図面に示されたロジック要素の全てを含まない場合があり、例えば、モジュールは、そのモジュールが、そのモジュールを参照して本明細書で考察される動作のサブセットを実施するとき、関連する図面に示されるロジック要素のサブセットを含み得る。
【0017】
判定ロジック1002は、生体検体中の複数のカプシドの各々について分類を判定するように構成され得る。各カプシドの分類は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して得られる低温透過型電子顕微鏡検査(cryogenic transmission electron microscopy、Cryo-TEM)データなどの、生体検体に関する受信されたCryo-EMデータに基づいて判定され得る。いくつかの実施形態では、判定ロジック1002は、訓練されたAIモデルを利用して、各カプシドの分類を判定する。上述したように、判定ロジック1002は、個人又は機関によって提供される注釈付きデータ又は補助注釈付きデータ(教師付き機械学習)で訓練され、その個人又は機関の選好を反映するAIモデルを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、AIモデルは、複数のカプシドを有する生体検体に関するCryo-EMデータを入力として受信し、生体検体中の複数のカプシドの各々についての分類(又はクラスに属する確率)を出力する。
【0019】
AIモデルのアーキテクチャは、従来の機械学習(例えば、ガウス混合、サポートベクトルマシン、ランダムフォレストなど)又は深層学習(例えば、深層畳み込みニューラルネットワーク)などの、いくつかの形態のいずれかをとり得、判定ロジック1002に含まれるAIモデルの訓練は、訓練ロジック1004を参照して以下で更に説明される。
【0020】
訓練ロジック1004は、判定ロジック1002によって使用されるAIモデルを最初に訓練し(例えば、データ拡張を用いてモデルを訓練し、したがって、様々な顕微鏡及び様々な取得条件で空/部分/完全カプシドのパーセンテージを出力するように一般化することができる)、追加のCryo-EMデータを受信するとAIモデルを再訓練するように構成され得る。AIモデル用の任意の好適な訓練技術は、データ拡張又は好適な損失関数を使用する勾配降下プロセスなどの訓練ロジック1004によって実装され得る。いくつかの実施形態では、AIモデルは、深層畳み込み層(例えば、ResNetモデルが使用される場合)を使用して特徴が自動的に抽出される深層学習を使用して、訓練ロジック1004によって訓練される従来の機械学習モデルである。いくつかのそのような例では、これらの特徴は、AIモデルを訓練する前に計算される。いくつかの実施形態では、カプシドは、YOLOアルゴリズムなどの物体検出アルゴリズムを使用して、2D画像において特定され得る。いくつかの実施形態では、教師付き注釈付けステップにおいて、特徴は、主に、半径方向平均密度プロファイル(1D)、又はカプシドのグレーレベル統計(例えば、平均、標準偏差、スキュー、尖度など)を使用して、カプシドの2D画像パッチ上の直接グレーレベル(2D)に基づく。いくつかの実施形態では、特徴は、カプシドの内側(例えば、シェルの内側)、カプシドの外側(例えば、バックグラウンド)、又はカスタムの組み合わせとして計算される。いくつかの実施形態では、カプシドの空状態は、以下に従って定義される。
E=(Min-Mshell)/(Min-Mout)
式中、Minはシェル内部の平均強度であり、Mshellはシェルの平均強度であり、Moutはシェル外部の平均強度である。概して、Eは、空カプシドに対して1になる傾向があり、完全カプシドに対して0になる傾向がある。いくつかの実施形態では、主成分分析などの次元縮小法が、2D又は3D点群を介して視覚化能力を向上させるために採用される。
【0021】
いくつかの実施形態では、AIモデルを再訓練するために、訓練ロジック1004は、ドロップアウト又は他の正則化法を採用することができ、検証及び再訓練プロセスの停止時期の評価で使用するために、訓練データの一部を留保することができる。訓練ロジック1004は、定期的な時系列スケジュールで(例えば、毎週)、ある特定数の確認済み画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットが蓄積された後(例えば、20)に、任意の他の好適なスケジュールに従って、あるいはユーザからのコマンドで(例えば、
図6のGUI3000などのGUIを介して受信された)、かかる再訓練を実施できる。
【0022】
モデル選択ロジック1006は、生体検体中の複数のカプシドの各々についての分類を判定するために判定ロジック1002によって選択的に利用され得る複数のAIモデルを提供するように構成され得る。例えば、AIモデルは、様々な取得条件について訓練され得る。表示ロジック1008は、GUI(
図6のGUI3000など)を通じて、モデル選択ロジック1006によって利用できるようになった、記憶されたAIモデル(例えば、異なる名前で識別される)のセットから、特定の取得条件で使用したいと思うAIモデルを選択するオプションをユーザに提供可能であり、更に、選択されたAIモデルは、判定ロジック1002によって、生体検体中の複数のカプシドの各々についての分類を判定する一環として使用され得る。更に、モデル選択ロジック1006は、GUI(
図6のGUI3000など)を通じて、新しいAIモデルを作成するオプションをユーザに提供することもできる。モデル選択ロジック1006は、新しいAIモデルの名前又は他の識別子を入力し、更に、AIモデルを訓練するために使用可能なデータを指定するよう、ユーザに求めることができる。いくつかの実施形態では、モデル選択ロジック1006は、新たなAIモデルの訓練を進め得る前に、閾値量の訓練データを必要とする場合があり、一度訓練されると、新たなAIモデルは、モデル選択ロジック1006を介して、選択用に利用可能となり得る。
【0023】
図2A及び
図2Bの各々は、様々な実施形態に係る、支援動作を実施するそれぞれの方法2000及び2100の流れ図を示す。方法2000及び2100の動作は、本明細書で開示される特定実施形態(例えば、
図1を参照しながら、本明細書で検討される科学的機器支援モジュール1000、
図6を参照しながら、本明細書で検討されるGUI3000、
図7を参照しながら、本明細書で検討されるコンピューティングデバイス4000、及び/又は
図8を参照しながら、本明細書で検討される科学的機器支援システム5000)を参照しながら説明することがあるが、方法2000及び2100は、任意の好適な支援動作を実施するために、任意の好適な設定で使用することができる。動作は、
図2A及び
図2Bにおいて各々1回ずつ特定の順序で示されているが、動作は、所望に応じて好適に並べ替え及び/又は繰り返され得る(例えば、実施される異なる動作は、適宜、並行して実施され得る)。
【0024】
方法2000では、2002において、第1の動作を実施できる。例えば、支援モジュール1000は、(例えば、
図1には示されていない受信ロジックを介して)2002の動作を実施できる。第1の動作は、デバイスから、複数のカプシドを有する生体検体に関するCryo-EMデータを受信することを含み得る。
【0025】
2004において、第2の動作を実施できる。例えば、支援モジュール1000の判定ロジック1002は、2004の動作を実施可能である。第2の動作は、注釈付きデータで訓練されたAIモデルを通じてCryo-EMデータを処理することによって、カプシドの各々についての分類を判定することを含み得る。
【0026】
2006において、第3の動作を実施できる。例えば、支援モジュール1000の表示ロジック1008が、2006の動作を実施可能である。第3の動作は、生体検体中のカプシドの分類を表示することを含み得る。いくつかの実施形態では、2006で生成されたカプシドの分類は、生体検体の品質判定を行うために支援モジュール1000によって更に使用されてもよく(例えば、「完全」として分類されたカプシドのパーセンテージが閾値又は他の条件のセットを満たすか又は超える場合、関連する生体検体は、特定の目的のために適切な品質を有すると特定され得る)、生体検体を経路指定してもよいか、又は他の方法で適切に配置してもよい(例えば、「高」品質検体は、ある用途で使用するために経路指定又はラベル付けされてもよく、「中」品質検体は、他の用途で使用するために経路指定又はラベル付けされてもよく、「低」品質検体は廃棄されてもよい、など)。
【0027】
方法2100では、2102において、第1の動作を実施できる。例えば、支援モジュール1000の受信ロジック(上述)は2102の動作を実施可能である。第1の動作は、AIモデルを訓練するコマンドを受信することを含み得る。いくつかの実施形態では、コマンドは、取得から生成された複数の顕微鏡写真の特定を含む。
【0028】
2104において、第2の動作を実施できる。例えば、支援モジュール1000の訓練ロジック1004が、2104の動作を実施できる。第2の動作は、教師付き学習モデルを使用して顕微鏡検査に注釈を付けることを含み得る。
【0029】
2106において、第3の動作を実施できる。例えば、支援モデル1000の訓練ロジック1004が、2106の動作を実施できる。第3の動作は、カプシドを分類するために注釈付き顕微鏡写真を用いてAIモデルを訓練することを含み得る。
【0030】
2108において、第4の動作を実施できる。例えば、支援モジュール1000の選択ロジック1006が、2108の動作を実行できる。第4の動作は、訓練の後に、生体検体に関するCryo-EMデータに適用するためにAIモデルを選択するオプションを提供することを含むことができる。
【0031】
図3Aは、空カプシド、部分カプシド、及び完全カプシドを含む顕微鏡写真を示す。
図3Bは、空カプシド312、部分的にファイルされたカプシド314、及び完全カプシド316の一例を示す。いくつかの実施形態では、記載されるシステムは、カプシド(空/部分/完全、E/P/F)の参照ストックに対する教師付き機械学習を利用して、顕微鏡写真に半自動的に注釈を付けて、データ拡張から利益を得る広範囲の取得条件において空、部分、及び完全カプシドを区別することができる一般的モデルを更に訓練する。教師付き機械学習ワークフローは、多くの特徴を計算する必要があり得るので、計算集約的であり得る。これらのワークフローはまた、一般化することが困難であり、新しいデータセットごとに監視される必要がある。
【0032】
本明細書に開示されるAI技術を使用して分類されたカプシドデータについて、PCAクラスタリング図が
図4Aに示され(「完全」ポイントが主に左側にあり、「空」ポイントが主に右側にあり、「部分」ポイントが主に中央にある)、一方、対応するシルエットスコアが
図4Bに示される(「完全」が上部にあり、「空」が下部にあり、「部分」が中央にある)。概して、AAV試料の調製は、生成物の品質、有効性、及び安全性を確実にするために注意深く特徴付けられる必要がある。目的の特徴としては、濃度、凝集、カプシド含量(例えば、完全/部分/空)、純度(例えば、残留DNA、タンパク質など)及び完全性(例えば、破壊、ダブレット、トリプレット)が挙げられる。標準的な方法としては、分析用超遠心分離(AUC)、ELISA、SEC-MALS、及び質量分析が挙げられる。
【0033】
クラスターを分析した場合、部分ストック及び完全ストックにおいて20%を超える外れ値が検出された(後にAUC(超遠心分離)値で確認された)。これらの結果は、コンピュータビジョンと組み合わせたCryo-EMがナノ粒子の特徴付けのための強力な方法であること、Cryo-EM画像化がカプシドへの直接アクセス及び多重化分析を提供し得ること、機械学習と組み合わせたCryo-EM画像化がE/P/Fカプシドの区別を可能にすること、並びにCryo-EMがAUCよりも良好な感度を有することを示す。
【0034】
AAV試料の特徴付けにおいてCryo-EMを使用する(例えば、Cryo-TEMを使用する)利点としては、低温条件、天然条件における非摂動試料、カプシド及びカーゴの直接可視化、直接的な正確な測定、多重臨界属性へのアクセス、並びに少量の試料要件(例えば、3μL)を提供することが挙げられる。また、Cryo-EMは、ウイルスカプシドの純度及び状態を確認することによってプロセス開発を支援することができる。追加的に、Cryo-EMはまた、他の一般的なタイプの解析(例えば、単粒子解析(single particle analysis、SPA)、トモグラフィ、微結晶電子線回析(microcrystal electron diffraction、MicroED)とともに使用されてもよく、その結果、AAV試料の特徴付けのためにCryo-EMデータを使用することは、より大きな全体的な科学的スループットを可能にし得る。
【0035】
図5A及び
図5Bは、記載されたシステムを使用した密度の統計的分析の結果を示す。
図5Aは、平均化されたクラスの半径方向平均化密度プロファイルを示すグラフを示す。
図5Bは、クラスごとの平均内部密度の分布を示すグラフを示す(「完全」分布は主に左側にあり、「空」分布は主に右側にあり、「部分」分布は主に中央にある)。示された結果において、各ストックについて、対応する平均カプシド及び密度プロファイルを計算した。空、部分、完全を区別するのに十分なコントラストを有する内部密度の3つのレベルが、内部密度のヒストグラムとともに示されている。結果は、対比されたピークを有する3つの別個の分布を示し、Cryo-EMが、空カプシド、部分カプシド、及び充填されたカプシドを区別するのに十分なコントラストを提供することを示す。
【0036】
本明細書で開示の科学的機器支援方法は、(例えば、
図8を参照しながら、本明細書で検討されるユーザ・ローカル・コンピューティング・デバイス5020を介した)人間のユーザとの相互作用を含み得る。これらの相互作用は、ユーザに情報を提供すること(例えば、
図8の科学的機器5010などの科学的機器の動作に関する情報、分析されている試料、若しくは科学的機器によって実施される他の試験、若しくは測定に関する情報、ローカル若しくはリモートデータベースから取得された情報、若しくは他の情報)、又はユーザがコマンド(例えば、
図8の科学的機器5010などの科学的機器の動作を制御するため、又は科学的機器によって生成されるデータの分析を制御するため)、クエリ(例えば、ローカル又はリモートデータベース向け)、若しくは他の情報を入力するオプションを提供することを含み得る。いくつかの実施形態では、これらの相互作用は、ユーザに出力を提供する、かつ/又は入力を提供するようにユーザに指示する(例えば、
図7を参照しながら、本明細書で検討される他のI/Oデバイス4012に含まれる、キーボード、マウス、トラックパッド、又はタッチスクリーンなどの1つ以上の入力デバイスを介して)表示デバイス(例えば、
図7を参照しながら、本明細書で検討される表示デバイス4010)上の視覚的表示を含むグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を通じて、実施され得る。本明細書に開示される科学的機器支援システムは、ユーザとの相互作用のための任意の好適なGUIを含み得る。
【0037】
図6は、様様々な実施形態に係る、本明細書に開示される支援法の一部、又は全ての実施において使用され得る、一例示のGUI3000を示す。上記のように、GUI3000は、科学的機器支援システム(例えば、
図8を参照しながら、本明細書で検討される科学的機器支援システム5000)のコンピューティングデバイス(例えば、
図7を参照しながら、本明細書で検討されるコンピューティングデバイス4000)の表示デバイス(例えば、
図7を参照しながら、本明細書で検討される表示デバイス4010)上に提供可能であり、ユーザは、任意の好適な入力デバイス(例えば、
図7を参照しながら、本明細書で検討される他のI/Oデバイス4012に含まれる入力デバイスのいずれか)、及び入力技術(例えば、カーソルの移動、モーションキャプチャ、顔認識、ジェスチャ検出、音声認識、ボタンの作動など)を使用して、GUI3000と相互作用できる。
【0038】
GUI3000は、データ表示領域3002、データ分析領域3004、科学的機器制御領域3006、及び設定領域3008を含み得る。
図6で示す領域の特定の数及び配置は、例解的なものに過ぎず、任意の所望の特徴を含む、任意の数及び配置の領域がGUI3000に含まれ得る。データ表示領域3002は、科学的機器(例えば、
図8を参照しながら、本明細書で検討される科学的機器5010)によって生成されたデータを表示可能である。
【0039】
データ分析領域3004は、データ分析の結果(例えば、データ表示領域3002に例解されるデータ及び/又は他のデータを分析した結果)を表示し得る。例えば、データ分析領域3004は、訓練されたモデルを介して生体検体に関するCryo-EMデータを処理するシステムによって判定された生体検体中のカプシドの分類を含む状態情報を表示し得る。いくつかの実施形態では、データ表示領域3002及びデータ分析領域3004は、GUI3000において組み合わされ得る(例えば、科学的機器からのデータ出力、及びデータのいくつかの分析を、共通のグラフ又は領域に含めるために)。
【0040】
科学的機器制御領域3006は、ユーザが科学的機器(例えば、
図8を参照しながら、本明細書で検討される科学的機器5010)を制御可能にする、オプションを含み得る。設定領域3008は、ユーザが、GUI3000(及び/又は他のGUI)の特徴及び機能を制御し、かつ/又はデータ表示領域3002及びデータ分析領域3004に関する共通のコンピューティング動作を実施可能にするオプションを含み得る(例えば、
図7を参照しながら、本明細書で検討されるような記憶デバイス4004などの記憶デバイス上にデータを保存すること、別のユーザにデータを送信すること、データをラベル付けすることなど)。
【0041】
上記のように、科学的機器支援モジュール1000は、1つ以上のコンピューティングデバイスによって実装され得る。
図7は、様々な実施形態に係る、本明細書で開示される科学的機器支援方法の一部、又は全てを実施可能とする、コンピューティングデバイス4000のブロック図である。いくつかの実施形態では、科学的機器支援モジュール1000は、単一のコンピューティングデバイス4000によって、又は複数のコンピューティングデバイス4000によって実装され得る。更に、以下で検討するように、科学的機器支援モジュール1000を実装するコンピューティングデバイス4000(又は複数のコンピューティングデバイス4000)は、
図8の科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040の1つ以上の一部であってもよい。
【0042】
図7のコンピューティングデバイス4000は、いくつかの構成要素を有するものとして例解されているが、これらの構成要素のいずれか1つ以上は、用途及び設定に好適となるように、省略又は複製されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス4000に含まれる構成要素の一部、又は全ては、1つ以上のマザーボードに取り付けられ、ハウジング(例えば、プラスチック、金属、及び/又は他の材料を含む)に封入されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの構成要素の一部は、単一のシステムオンチップ(system-on-a-chip、SoC)上に製造可能である(例えば、SoCは、1つ以上の処理デバイス4002及び1つ以上の記憶デバイス4004を含み得る)。追加的に、様々な実施形態では、コンピューティングデバイス4000は、
図7に例解される構成要素の1つ以上を含まない場合があるが、任意の好適なインターフェイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)インターフェイス、高精細マルチメディアユインターフェイス(High-Definition Multimedia Interface、HDMI(登録商標))、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CAN)インターフェイス、シリアル・ペリフェラル・インターフェイス(Serial Peripheral Interface、SPI)インターフェイス、イーサネットインターフェイス、無線インターフェイス、又は任意の他の好適なインターフェイス)を使用して、1つ以上の構成要素に結合するためのインターフェイス回路(図示せず)を含み得る。例えば、コンピューティングデバイス4000は、表示デバイス4010を含まない場合があるが、表示デバイス4010を結合可能とする、表示デバイスインターフェイス回路(例えば、コネクタ及びドライバ回路)を含み得る。
【0043】
コンピューティングデバイス4000は、処理デバイス4002(例えば、1つ以上の処理デバイス)を含み得る。本明細書で使用される場合、「処理デバイス」という用語は、レジスタ及び/又はメモリからの電子データを処理して、その電子データをレジスタ及び/又はメモリに記憶され得る他の電子データに変換する、任意のデバイス又はデバイスの一部分を指し得る。処理デバイス4002は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、暗号プロセッサ(ハードウェア内で暗号アルゴリズムを実行する専用プロセッサ)、サーバプロセッサ、又は任意の他の好適な処理デバイスを含み得る。
【0044】
コンピューティングデバイス4000は、記憶デバイス4004(例えば、1つ以上の記憶デバイス)を含み得る。記憶デバイス4004は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)(例えば、静的RAM(static RAM、SRAM)デバイス、磁気RAM(magnetic RAM、MRAM)デバイス、ダイナミックRAM(dynamic RAM、DRAM)デバイス、抵抗性RAM(resistive RAM、RRAM)デバイス、又は導電性ブリッジRAM(conductive-bridging RAM、CBRAM)デバイス)、ハードドライブベースのメモリデバイス、ソリッドステートメモリデバイス、ネットワークドライブ、クラウドドライブ、又はメモリデバイスの任意の組み合わせなどの1つ以上のメモリデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、記憶デバイス4004は、処理デバイス4002とダイを共有するメモリを含み得る。かかる実施形態では、メモリは、キャッシュメモリとして使用され得、例えば、組み込みダイナミックランダムアクセスメモリ(embedded dynamic random access memory、eDRAM)、又はスピン転送トルク磁気ランダムアクセスメモリ(spin transfer torque magnetic random access memory、STT-MRAM)を含み得る。いくつかの実施形態では、記憶デバイス4004は、1つ以上の処理デバイス(例えば、処理デバイス4002)によって実行される際、コンピューティングデバイス4000に、本明細書に開示される方法の任意の適切な方法、又はその一部を実施させる命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0045】
コンピューティングデバイス4000は、インターフェイスデバイス4006(例えば、1つ以上のインターフェイスデバイス4006)を含み得る。インターフェイスデバイス4006は、コンピューティングデバイス4000と他のコンピューティングデバイスとの間の通信を管理するために、1つ以上の通信チップ、コネクタ、及び/又は他のハードウェアとソフトウェアを含み得る。例えば、インターフェイスデバイス4006は、コンピューティングデバイス4000との間でデータを転送するための無線通信を管理する回路を含み得る。「無線」という語句、及びその派生語は、非固体媒体を通じて変調電磁放射を使用することでデータを通信可能とする、回路、デバイス、システム、方法、技術、通信チャネルなどを記述するために使用され得る。この用語は、関連するデバイスがいかなる配線を含まないことを意味するものではないが、いくつかの実施形態では含まない場合もある。無線通信を管理するためのインターフェイスデバイス4006に含まれる回路は、限定されないが、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリ)、IEEE802.16規格(例えば、IEEE802.16-2005 Amendment)を含む、米国電気電子学会(Institute for Electrical and Electronic Engineers、IEEE)規格、何らかの修正、更新、及び/又は改訂を伴う、ロングタームエボリューション(Long-Term Evolution、LTE)プロジェクト(例えば、アドバンストLTEプロジェクト、ウルトラモバイルブロードバンド(ultra-mobile broadband、UMB)プロジェクト(「3GPP(登録商標)2」とも称される)など)を含む、複数の無線規格、又はプロトコルのいずれかを実装可能である。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためのインターフェイスデバイス4006に含まれる回路は、モバイル通信用グローバルシステム(Global System for Mobile Communication、GSM)、汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Service、GPRS)、ユニバーサルモバイル電気通信システム(Universal Mobile Telecommunications System、UMTS)、高速パケットアクセス(High Speed Packet Access、HSPA)、進化型HSPA(Evolved HSPA、E-HSPA)、又はLTEネットワークに従って動作し得る。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためにインターフェイスデバイス4006に含まれる回路は、GSM進化型高速データ(Enhanced Data for GSM Evolution、EDGE)、GSM EDGE無線アクセスネットワーク(GSM EDGE Radio Access Network、GERAN)、ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(Universal Terrestrial Radio Access Network、UTRAN)、又は進化型UTRAN(Evolved UTRAN、E-UTRAN)に従って動作し得る。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためのインターフェイスデバイス4006に含まれる回路は、符号分割多元接続(Code Division Multipl Access、CDMA)、時分割多元接続(Time Division Multiple Access、TDMA)、デジタル拡張コードレス電気通信(Digital Enhanced Cordless Telecommunications、DECT)、エボリューションデータ最適化(Evolution-Data Optimized、EV-DO)、及びそれらの派生物、並びに3G、4G、5G、及びそれ以降として指定される任意の他の無線プロトコルに従って動作し得る。いくつかの実施形態では、インターフェイスデバイス4006は、無線通信の受信、かつ/又は送信用の1つ以上のアンテナ(例えば、1つ以上のアンテナアレイ)を含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、インターフェイスデバイス4006は、電気的、光学的、又は任意の他の好適な通信プロトコルなどの有線通信を管理するための回路を含み得る。例えば、インターフェイスデバイス4006は、イーサネット技術に従って通信を支援する回路を含み得る。いくつかの実施形態では、インターフェイスデバイス4006は、無線通信及び有線通信の双方を支援し得、かつ/又は複数の有線通信プロトコル、及び/又は複数の無線通信プロトコルを支援し得る。例えば、インターフェイスデバイス4006の回路の第1のセットは、Wi-Fi又はBluetoothなどの短距離無線通信専用でよく、更に、インターフェイスデバイス4006の回路の第2セットは、全地球測位システム(global positioning system、GPS)、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、EV-DO、又はその他などの長距離無線通信専用でよい。いくつかの実施形態では、インターフェイスデバイス4006の回路の第1のセットは、無線通信専用でよく、インターフェイスデバイス4006の回路の第2のセットは、有線通信専用でよい。
【0047】
コンピューティングデバイス4000は、バッテリ/電力回路4008を含み得る。バッテリ/電力回路4008は、1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス(例えば、バッテリ若しくはキャパシタ)、及び/又はコンピューティングデバイス4000の構成要素をコンピューティングデバイス4000とは別個のエネルギー源(例えば、ACライン電力)に結合するための回路を含み得る。
【0048】
コンピューティングデバイス4000は、表示デバイス4010(例えば、複数の表示デバイス)を含み得る。表示デバイス4010は、ヘッドアップディスプレイ、コンピュータモニタ、プロジェクタ、タッチスクリーンディスプレイ、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、発光ダイオードディスプレイ、又はフラットパネルディスプレイなどの任意の視覚インジケータを含み得る。
【0049】
コンピューティングデバイス4000は、他の入力/出力(I/O)デバイス4012を含み得る。他のI/Oデバイス4012は、例えば、1つ以上のオーディオ出力デバイス(例えば、スピーカ、ヘッドセット、イヤホン、アラームなど)、1つ以上のオーディオ入力デバイス(例えば、マイクロフォン又はマイクロフォンアレイ)、位置デバイス(例えば、当技術分野で既知であるように、コンピューティングデバイス4000の位置を受信するために衛星ベースのシステムと通信するGPSデバイス)、オーディオコーデック、ビデオコーデック、プリンタ、センサ(例えば、熱電対若しくは他の温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、振動センサ、加速度計、ジャイロスコープなど)、カメラなどの画像キャプチャデバイス、キーボード、マウス、スタイラス、トラックボール、又はタッチパッドなどのカーソル制御デバイス、バーコードリーダ、クイックレスポンス(Quick Response、QR)コードリーダ、又は無線周波数識別(radio frequency identification、RFID)リーダを含み得る。
【0050】
コンピューティングデバイス4000は、ハンドヘルド又はモバイルコンピューティングデバイス(例えば、セルフォン、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ウルトラブックコンピュータ、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータなど)、デスクトップ・コンピューティング・デバイス、若しくはサーバ・コンピューティング・デバイス、又は他のネットワークコンピューティング構成要素など、当該用途及び設定のための任意の好適なフォームファクタを有してもよい。
【0051】
本明細書に開示される科学的機器支援モジュール又は方法のいずれかを実装する1つ以上のコンピューティングデバイスは、科学的機器支援システムの一部であり得る。
図8は、様々な実施形態に係る、本明細書で開示される科学的機器支援方法の一部又は全てを実施可能とする、一例示の科学的機器支援システム5000のブロック図である。本明細書で開示される科学的機器支援モジュール及び方法(例えば、
図1の科学的機器支援モジュール1000、並びに
図2A及び
図2Bのそれぞれの方法2000及び2100)は、科学的機器支援システム5000の科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040の1つ以上によって実装可能である。
【0052】
科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のいずれかは、
図7を参照しながら、本明細書で検討されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のいずれかを含み得、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のいずれかは、
図7を参照しながら、本明細書で検討されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のいずれか適切なものの形態を取ることができる。
【0053】
科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040はそれぞれ、処理デバイス5002、記憶デバイス5004、及びインターフェイスデバイス5006を含み得る。処理デバイス5002は、
図4を参照しながら、本明細書で検討される処理デバイス4002のいずれかの形態を含む任意の好適な形態を取ることができ、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のうち異なるものに含まれる処理デバイス5002は、同じ形態又は異なる形態を取ることができる。記憶デバイス5004は、
図4を参照しながら、本明細書で検討される記憶デバイス5004のいずれかの形態を含む任意の好適な形態を取ることができ、更に、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のうち異なるものに含まれる記憶デバイス5004は、同一の形態又は異なる形態を取ることができる。インターフェイスデバイス5006は、
図4を参照しながら、本明細書で検討されるインターフェイスデバイス4006のいずれかの形態を含む任意の好適な形態を取ることができ、更に、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のうちの異なるものに含まれるインターフェイスデバイス5006は、同じ形態又は異なる形態を取ることができる。
【0054】
科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、及びリモートコンピューティングデバイス5040は、通信経路5008を介して、科学的機器支援システム5000の他の要素と通信し得る。図示のとおり、通信経路5008は、科学的機器支援システム5000の様々な要素のインターフェイスデバイス5006と通信可能に結合可能であり、有線又は無線通信経路であり得る(例えば、
図7のコンピューティングデバイス4000のインターフェイスデバイス4006を参照ながら、本明細書で検討される通信技術のうちのいずれかに従って)。
図8に示される特定の科学的機器支援システム5000は、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、及びリモートコンピューティングデバイス5040の各ペア間の通信経路を含むが、この「完全に接続された」実装形態は例示的なものに過ぎず、様々な実施形態では、通信経路5008の様々なものが存在しない場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、そのインターフェイスデバイス5006と科学的機器5010のインターフェイスデバイス5006との間に直接通信経路5008を有さない場合があり、その代わりとして、サービスローカルコンピューティングデバイス5030とユーザローカルコンピューティングデバイス5020との間の通信経路5008、及びユーザローカルコンピューティングデバイス5020と科学的機器5010との間の通信経路5008を介して、科学的機器5010と通信することができる。
【0055】
科学的機器5010は、任意の適切な科学的機器を含み得る。いくつかの実施形態では、科学的機器5010は、例えば、低温電子透過型顕微鏡(TEM)などの低温(Cryo)電子顕微鏡を含む。TEMは、真空エンクロージャ内に収容された検体に向けられた電子ビームを生成する電子源を含む。冷却装置は、ホルダ及びその上の)検体を低温に維持するために、検体のホルダと熱接触していてもよい。電子ビームは、(例えば)二次電子、後方散乱電子、X線、及び光放射(カソードルミネッセンス)を含む、様々なタイプの「誘導」放射線を検体から放出させるように、検体と相互作用する。必要に応じて、これらの放射線タイプのうちの1以上は、例えば、組み合わされたシンチレータ/光電子増倍管又はEDX(エネルギー分散型X線分光法)モジュールとすることができる分析デバイスを用いて検出することができる。このような場合、画像を構成することができる。しかしながら、代替的に又は補足的に、検体を横断(通過)し、検体から出射/放出され、(実質的には、とはいえ、概して、ある程度偏向/散乱しながら)伝搬し続ける電子を調査することができる。このような透過電子束は、多種多様な静電レンズ/磁気レンズ、偏向器、補正器(例えば、非点収差補正装置のような)などを広く含み得る画像化システム(投影レンズ)に入射する。非走査TEMモードでは、この画像化システムは、透過電子束を蛍光スクリーン上に集束させることができ、蛍光スクリーンは、必要に応じて、格納/引き出され得る。検体(の一部)の画像(又はディフラクトグラム)は、画像化システムによってスクリーン上に形成することができ、この画像は、例えば、真空筐体の壁の好適な部分に設けられた視認ポートを介して視認され得る。
【0056】
スクリーン上の画像を見る代わりに、代わりに、画像化システムから出てくる電子束の焦点深度が一般にかなり大きい(例えば、1メートル程度)という事実を利用することができる。その結果、スクリーンの下流には、TEMカメラのような様々な他のタイプの分析装置を使用することができる。TEMカメラにおいて、電子束は静止画像(又はディフラクトグラム)を形成することができ、静止画像は、コントローラ又はプロセッサ(例えば、コンピューティングデバイス4000)(科学的機器にローカルであるか、又は科学的機器からリモートである)によって処理され、例えば、フラットパネルディスプレイなどの表示デバイス上に表示され得る。必要とされない場合、カメラは、格納又は引き出されるように構成され得る。カメラを使用して画像化を行うことの代替として、例えば、電子エネルギー損失分光法(electron energy loss spectroscopy、EELS)モジュールとすることができる分光装置を実行することもできる。
【0057】
ユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、科学的機器5010のユーザの近くにあるコンピューティングデバイス(例えば、本明細書で考察されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のいずれかに係る)であり得る。いくつかの実施形態では、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020はまた、科学的機器5010に対してローカルであり得るが、そうである必要はない。例えば、ユーザの自宅又はオフィスにあるユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、ユーザがユーザローカルコンピューティングデバイス5020を使用して科学的機器5010からのデータを制御、及び/又はアクセスできるように、科学的機器5010から離れた場所にあるが、それと通信することが可能である。いくつかの実施形態では、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、ラップトップ、スマートフォン、又はタブレットデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、ポータブルコンピューティングデバイスであり得る。
【0058】
サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、科学的機器5010にサービスを提供するエンティティの近くにある、コンピューティングデバイス(例えば、本明細書で考察されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のいずれかに係る)であり得る。例えば、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、科学的機器5010の製造元又はサードパーティサービス会社の近くにあり得る。いくつかの実施形態では、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040と通信して(例えば、これまで考察したように、直接通信経路5008を介して、又は複数の「間接」通信経路5008を介して)、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040の動作に関するデータ(例えば、科学的機器5010の自己診断テストの結果、科学的機器5010によって使用される校正係数、科学的機器5010に関連付けられたセンサの測定値など)を受信できる。いくつかの実施形態では、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040と通信して(例えば、これまで考察したように、直接通信経路5008、又は複数の「間接」通信経路5008を介して)、科学的機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040に(例えば、科学的機器5010において、ファームウェアなどのプログラムされた命令を更新するため、科学的機器5010において試験又は校正シーケンスの実施を開始するため、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020又はリモートコンピューティングデバイス5040において、ソフトウェアなどのプログラムされた命令を更新するなどのため)データを送信可能である。科学的機器5010のユーザは、サービスローカルコンピューティングデバイス5030と通信して、科学的機器5010又はユーザローカルコンピューティングデバイス5020に関する問題を報告するために、科学的機器5010の動作を改善させる訪問を技術者に要求するために、科学的機器5010に関連付けられた消耗品又は交換部品を注文するために、又は他の目的のために、科学的機器5010又はユーザローカルコンピューティングデバイス5020を利用し得る。
【0059】
リモートコンピューティングデバイス5040は、科学的機器5010から、及び/又はユーザローカルコンピューティングデバイス5020から離れた場所にあるコンピューティングデバイス(例えば、本明細書で考察されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のうちのいずれかに係る)でよい。いくつかの実施形態では、リモートコンピューティングデバイス5040は、データセンター又は他の大規模サーバ環境に含まれ得る。いくつかの実施形態では、リモートコンピューティングデバイス5040は、ネットワーク接続ストレージを含み得る(例えば、記憶デバイス5004の一部として)。リモートコンピューティングデバイス5040は、科学的機器5010によって生成されたデータを記憶し、科学的機器5010によって生成されたデータの分析を実施し(例えば、プログラムされた命令に従って)、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020と科学的機器5010との間の通信を支援し、かつ/又はサービスローカルコンピューティングデバイス5030と科学的機器5010との間の通信を支援可能である。
【0060】
いくつかの実施形態では、
図8に示される科学的機器支援システム5000の要素の1つ以上が存在しない場合がある。更に、いくつかの実施形態では、
図8の科学的機器支援システム5000の要素の様々な要素の複数のものが存在し得る。例えば、科学的機器支援システム5000は、複数のユーザローカルコンピューティングデバイス5020(例えば、異なるユーザと関連付けられた又は異なる場所における異なるユーザローカルコンピューティングデバイス5020)を含み得る。別の実施例では、科学的機器支援システム5000は、複数の科学的機器5010を含み得、全てがサービスローカルコンピューティングデバイス5030及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040と通信する。かかる実施形態では、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、これらの複数の科学的機器5010を監視可能であり、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、更新を実行させるか、又は他の情報が同時に複数の科学的機器5010に「一斉送信」され得る。科学的機器支援システム5000内の科学的機器5010の異なるものは、互いに近くに(例えば、同じ部屋内)、又は互いから離れるように(例えば、建物の異なる階、異なる建物、異なる都市など)位置してもよい。いくつかの実施形態では、科学的機器5010は、モノのインターネット(IoT)スタックに接続可能であり、このIoTスタックは、ウェブベースのアプリケーション、仮想、若しくは拡張現実アプリケーション、モバイルアプリケーション、及び/又はデスクトップアプリケーションを通じて、科学的機器5010の命令と制御を可能にする。これらのアプリケーションのいずれも、介在するリモートコンピューティングデバイス5040によって科学的機器5010と通信しているユーザローカルコンピューティングデバイス5020を操作するユーザによってアクセスされ得る。いくつかの実施形態では、科学的機器5010は、ローカル科学的機器コンピューティングユニット5012の一部として、1つ以上の関連するユーザローカルコンピューティングデバイス5020と合わせて、製造元から販売され得る。
【0061】
いくつかのそのような実施形態では、リモートコンピューティングデバイス5040及び/又はユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、科学的機器支援システム5000に含まれる異なるタイプの科学的機器5010からのデータを組み合わせてもよい。
【0062】
以下の段落は、本明細書に開示される実施形態の様々な例を提供する。
【0063】
実施例1は、低温電子顕微鏡から、複数のカプシドを有する生体検体に関するCryo-EMデータを受信するための第1のロジックと、注釈付きデータを用いて訓練されたAIモデルを介してCryo-EMデータを処理することによって、カプシドの各々についての分類を判定するための第2のロジックと、生体検体中のカプシドの分類を表示するための第3のロジックと、を備える、科学的機器支援装置である。
【0064】
実施例2は、実施例1の主題を含み、生体検体がAAVを含むことを更に規定する。
【0065】
実施例3は、実施例1及び2のいずれかの主題を含み、生体検体が、急速凍結によってガラス化されて、分子をアモルファス氷に統合することを更に規定する。
【0066】
実施例4は、実施例1~3のいずれかの主題を含み、カプシドが、空、部分的に充填された、又は充填されたと分類されることを更に規定する。
【0067】
実施例5は、実施例1~4のいずれかの主題を含み、第2のロジックが、判定されたカプシド分類に基づいて生体試料の純度を判定するように更に構成されることを更に規定する。
【0068】
実施例6は、実施例1~5のいずれかの主題を含み、注釈付きデータが、注釈付き顕微鏡写真を含み、顕微鏡写真が、教師付き学習モデルを使用して注釈が付けられることを更に規定する。
【0069】
実施例7は、実施例1~6のいずれかの主題を含み、訓練されたAIモデルが、取得条件の範囲内で空カプシド、部分カプシド、及び完全カプシドを区別することができることを更に規定する。
【0070】
実施例8は、AIモデルを訓練するためのコマンドを受信するための第1のロジックであって、コマンドが、取得から生成された複数の顕微鏡写真の特定を含む、第1のロジックと、教師付き学習モデルを使用して顕微鏡写真に注釈を付けるための第2のロジックと、注釈付き顕微鏡写真を用いてAIモデルを訓練して、カプシドを分類するための第3のロジックと、訓練の後に、生体検体に関するCryo-EMデータへの適用のためにAIモデルを選択するオプションを提供するための第4のロジックと、を備える、科学的機器支援装置である。
【0071】
実施例9は、実施例8の主題を含み、AIモデルが、取得条件の範囲内で空カプシド、部分カプシド、及び完全カプシドを区別することができることを更に規定する。
【0072】
実施例10は、実施例8又は9のいずれかの主題を含み、第2のロジックが、顕微鏡写真において特定されたカプシドを正規化、マスク、整列、及びそこから特徴を抽出するように更に構成されることを更に規定する。
【0073】
実施例11は、実施例8~10のいずれかの主題を含み、カプシドが、空、部分的に充填された、又は充填されたと分類されることを更に規定する。
【0074】
実施例12は、実施例8~11のいずれかの主題を含み、取得が、生体試料の断面の電子画像(顕微鏡写真)を含むことを更に規定する。
【0075】
実施例13は、実施例8~14のいずれかの主題を含み、生体試料が、ナノ粒子又はウイルスベクターを含むことを更に規定する。
【0076】
実施例14は、実施例8~実施例13のいずれかの主題を含み、ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス又は脂質ナノ粒子を含むことを更に規定する。
【0077】
実施例15は、低温(Cryo)電子顕微鏡から、複数のカプシドを有する生体検体に関するCryo電子顕微鏡(Cryo-EM)データを受信するための第1のロジックと、注釈付きデータを用いて訓練された人工知能(AI)モデルを介してCryo-EMデータを処理することによって、カプシドの各々についての分類を判定するための第2のロジックと、生体検体中のカプシドの分類を出力するための第3のロジックと、を備える、科学的機器支援装置である。
【0078】
実施例16は、実施例15の主題を含み、生体検体が、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含むことを更に規定する。
【0079】
実施例17は、実施例15~16のいずれかの主題を含み、生体検体が、急速凍結によってガラス化されて、分子をアモルファス氷に統合することを更に規定する。
【0080】
実施例18は、実施例15~17のいずれかの主題を含み、カプシド分類が、空及び充填を含む可能な分類のセットから選択されることを更に規定する。
【0081】
実施例19は、実施例18の主題を含み、可能な分類のセットが、部分的充填を含むことを更に指定する。
【0082】
実施例20は、実施例15~19のいずれかの主題を含み、第2のロジックが、判定されたカプシド分類に基づいて生体試料の純度を判定するように更に構成されることを更に規定する。
【0083】
実施例21は、実施例15~20のいずれかの主題を含み、注釈付きデータが、注釈付き顕微鏡写真を含み、顕微鏡写真が、教師付き学習モデルを使用して注釈が付けられることを更に規定する。
【0084】
実施例22は、人工知能(AI)モデルを訓練するためのコマンドを受信するための第1のロジックであって、コマンドが、電子顕微鏡によって生成された複数の顕微鏡写真の特定を含む、第1のロジックと、教師付き学習方法を使用して顕微鏡写真に注釈を付けるための第2のロジックと、注釈付き顕微鏡写真を用いてAIモデルを訓練して、カプシドを分類するための第3のロジックと、訓練の後に、生体検体に関する低温電子顕微鏡(Cryo-EM)データへの適用のためにAIモデルを選択するオプションを提供するための第4のロジックと、を備える、科学的機器支援装置である。
【0085】
実施例23は、実施例22の主題を含み、第2のロジックが、顕微鏡写真において特定されたカプシドを正規化、マスク、整列、及びそこから特徴を抽出するように更に構成されることを更に規定する。
【0086】
実施例24は、実施例22~23のいずれかの主題を含み、可能なカプシド分類が、空及び充填を含むことを更に規定する。
【0087】
実施例25は、実施例24の主題を含み、可能なカプシド分類が、部分的充填を含むことを更に規定する。
【0088】
実施例26は、実施例22~25のいずれかの主題を含み、取得が、生体試料の断面の電子画像(顕微鏡写真)を含むことを更に規定する。
【0089】
実施例27は、実施例26の主題を含み、生体試料が、ナノ粒子又はウイルスベクターを含むことを更に規定する。
【0090】
実施例28は、実施例27の主題を含み、ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス又は脂質ナノ粒子を含むことを更に規定する。
【0091】
実施例29は、複数のカプシドを有する生体検体に関する顕微鏡検査データを顕微鏡から受信することと、注釈付きデータを用いて訓練された人工知能(AI)モデルを通じて顕微鏡検査データを処理することによって、カプシドの各々についての分類を判定することと、判定されたカプシド分類に基づいて、生体検体の品質評価を出力することと、を含む、カプシド品質管理方法である。
【0092】
実施例30は、実施例29の主題を含み、生体検体が、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含むことを更に規定する。
【0093】
実施例31は、実施例29~30のいずれかの主題を含み、顕微鏡検査データが、低温電子顕微鏡(Cryo-EM)データであることを更に規定する。
【0094】
実施例32は、実施例29~31のいずれかの主題を含み、生体検体をガラス化することを更に含む。
【0095】
実施例33は、実施例32の主題を含み、顕微鏡に、ガラス化された生体検体の画像を取得させることを更に含み、画像が、顕微鏡検査データに含まれる。
【0096】
実施例34は、実施例33の主題を含み、カプシド分類が、空及び充填を含む可能な分類のセットから選択されることを更に規定する。
【外国語明細書】