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特開2024-147572マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147572
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/74 20120101AFI20241008BHJP
   G03F 1/86 20120101ALI20241008BHJP
【FI】
G03F1/74
G03F1/86
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100254
(22)【出願日】2024-06-21
(62)【分割の表示】P 2022142897の分割
【原出願日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】10 2021 123 440.9
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ブダッハ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための改善された方法を提供する。
【解決手段】本方法は、a)フォトマスクの少なくとも一部分の像を提供するステップ(S1)と、b)像内の欠陥の幾何学形状を、修復形状として決定するステップ(S2)と、c)第1のラスタ化に従って、修復形状を複数のn個のピクセルに細分化するステップ(S3)と、d)第2のラスタ化に従って、修復形状を複数のm個のピクセルに細分化するステップ(S5)であって、第2のラスタ化は、第1のラスタ化のサブピクセル変位から生じる、ステップと、e)第1のラスタ化に従って、修復形状のn個のピクセルの各々において活性化粒子ビームおよびプロセスガスを提供するステップ(S4)と、f)第2のラスタ化に従って、修復形状のm個のピクセルの各々において活性化粒子ビームおよびプロセスガスを提供するステップ(S6)と、を含む方法。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(D、D’)の粒子ビーム誘起処理のための方法であって、
a1)前記フォトマスク(100)の少なくとも一部分の像(300)を提供するステップ(S1)と、
b1)前記像(300)内の欠陥(D、D’)の幾何学形状を、修復形状(302、302’)として決定するステップ(S2)と、
c1)第1のラスタ化(306)に従って、前記修復形状(302、302’)を複数のn個のピクセル(304)に細分化するステップ(S3)と、
d1)第2のラスタ化(306’)に従って、前記修復形状を複数のm個のピクセル(304’)に細分化するステップ(S5)であって、前記第2のラスタ化(306’)は、前記第1のラスタ化(306)のサブピクセル変位から生じる、ステップと、
e1)前記第1のラスタ化(306)に従って、前記修復形状(302、302’)の前記n個のピクセル(304)の各々において活性化粒子ビーム(202)およびプロセスガスを提供するステップ(S4)と、
f1)前記第2のラスタ化(306’)に従って、前記修復形状(302、302’)の前記m個のピクセル(304’)の各々において前記活性化粒子ビーム(202)および前記プロセスガスを提供するステップ(S6)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記サブピクセル変位は、サブピクセル寸法(b)分の前記第1のラスタ化(306)の変位、より詳細には横方向の変位である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの更なるラスタ化(306”)に従って、前記修復形状(302’)を複数のli個のピクセル(304”)に細分化するステップ(S7)であって、i番目の更なるラスタ化(306”)はli個のピクセル(304”)に細分化され、前記少なくとも1つの更なるラスタ化(306”)は、前記第1のラスタ化(306)、前記第2のラスタ化(306’)、または前記少なくとも1つの更なるラスタ化(306”)のうちの任意の他のラスタ化のサブピクセル変位から生じる、ステップと、
前記少なくとも1つの更なるラスタ化(306”)に従って、前記修復形状(302’)の前記li個のピクセル(304”)の各々において前記活性化粒子ビーム(202)および前記プロセスガスを提供するステップ(S8)と、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップe1)は、繰返し周期数gでステップf1)の前に繰り返され、および/またはステップf1)は、繰返し周期数hで繰り返される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップe1)およびf1)は、繰返し周期数jで繰り返される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性化粒子ビーム(202)は、各場合において、前記修復形状(302’)の前記n個のピクセル(304)、前記m個のピクセル(304’)および/または前記li個のピクセル(304”)において順に連続して提供され、この順において、前記プロセスガスの減損は、活性化粒子ビーム(202)によって活性化される化学反応によって、前記修復形状(302’)上で均一に実施される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(E’、E”)の粒子ビーム誘起処理のための方法であって、
a2)前記フォトマスク(100)の少なくとも一部分の像(300)を提供するステップ(S1’)と、
b2)前記像(300)内の欠陥(E’、E”)の幾何学形状を、修復形状(402、402’)として決定するステップ(S2’)と、
c2)少なくとも前記修復形状(402、402’)の伸張部(404、424)に沿ってプロセスガスを提供し、前記プロセスガスと前記伸張部(404、424)上の前記フォトマスク(100)の材料との間の化学反応を同時に活性化しながら、前記伸張部(404、424)に沿って活性化粒子ビーム(202)を誘導するステップ(S3’)と、
を含む、方法。
【請求項8】
前記活性化粒子ビーム(202)は、前記伸張部(404、424)全体に沿って、ゼロよりも高い速度で誘導され、および/または、前記活性化粒子ビーム(202)は、停止することなく前記伸張部(404、424)全体に沿って誘導される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記伸張部(404、424)の長さ(l)は、5nm以上、10nm以上、20nm以上、50nm以上、100nm以上、200nm以上、および/または500nm以上である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記伸張部(404、416、420、422)は、前記修復形状(402)の1つの縁部(406)から、前記修復形状(402)の反対側の縁部(408)まで線形に延びる、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記伸張部(424、434、438)は、前記修復形状(402’)の外縁部(426)に沿って、および/または前記修復形状(402’)の前記外縁部(426)に対し平行な平行曲線(434、438)に沿って延びる、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記修復形状(402’)は、少なくとも第1の部分修復形状および第2の部分修復形状(440、442)に細分化され、
前記伸張部(444)は、前記第1の部分修復形状(440)の1つの縁部(446)から、前記第1の部分修復形状(440)の反対側の縁部(448)に線形に延び、および/または、
前記伸張部(450、454、456)は、前記第2の部分修復形状(442)の外縁部(452)に沿って、および/または前記第2の部分修復形状(442)の前記外縁部(452)に対し平行な平行曲線(454、456)に沿って延びる、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記活性化粒子ビーム(202)は、0.01m/s以上、0.02m/s以上、0.03m/s以上、0.05m/s以上、0.1m/s以上、1m/s以上、5m/s以上、10m/s以上、50m/s以上、および/または100m/s以上の速度で前記伸張部(404、424、444、450)に沿って誘導される、請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記活性化粒子ビーム(202)は、500ns以下、400ns以下、300ns以下、200ns以下、100ns以下および/または50ns以下で前記修復形状(402、402’)全体にわたって誘導される、請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記活性化粒子ビーム(202)のビーム電流は、0.0001μA以上、0.001μA以上、0.01μA以上、0.1μA以上、および/または1μA以上である、請求項7~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法に関する。
【0002】
優先出願DE 10 2021 123 440.9の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路等の微細構造構成部品を製造するために用いられる。マイクロリソグラフィプロセスは、照明システムおよび投影システムを有するリソグラフィ装置を用いて実行される。マスク構造を基板の感光コーティングに転写するために、照明システムによって照明されるマスク(レチクル)の像は、この場合、感光層(フォトレジスト)でコーティングされ、投影システムの像面に配置された、基板、例えばシリコンウェハに対し、投影システムによって投影される。
【0004】
小さな構造寸法を得て、これにより微細構造の構成要素の集積密度を増大させるために、例えば深紫外(DUV)または極紫外(EUV)と呼ばれる非常に短い波長を有する光がますます使用されている。DUVは、例えば193nmの波長を有し、EUVは、例えば13.5nmの波長を有する。
【0005】
この場合、マイクロリソグラフィフォトマスクは、数ナノメートル~数百nmの範囲をとる構造寸法を有する。そのようなフォトマスクの製造は、非常に複雑であり、したがってコストが高い。特に、これは、フォトマスクが欠陥なしでなくてはならず、そうでなければ、フォトマスクによってシリコンウェハ上に製造された構造が所望の機能を呈することを確実にすることができないことに起因する。特に、フォトマスク上の構造の品質は、フォトマスクによってウェハ上に製造される集積回路の品質を決定するものである。
【0006】
この理由により、マイクロリソグラフィフォトマスクは欠陥の存在についてチェックされ、見つかった欠陥が標的を絞った方式で修復される。典型的な欠陥は、例えば、エッチングプロセスの実行に成功しなかったことに起因した、想定された構造の欠如、またはそうでない場合、例えばエッチングプロセスが過度に急速に進行したかもしくは誤った場所で効果を発現したことに起因した、想定外の構造の存在を含む。これらの欠陥は、適切な位置における余分な材料の標的を絞ったエッチング、または追加の材料の標的を絞った堆積によって修復することができ、例として、これは電子ビーム誘起プロセス(FEBIP「集束電子ビーム誘起処理」)によって、非常に標的を絞った方式で可能となる。
【0007】
DE10 2017 208 114は、フォトリソグラフィマスクの粒子ビーム誘起エッチングの方法を記載している。この場合、粒子ビーム、特に電子ビームおよびエッチングガスは、エッチングされるフォトリソグラフィマスク上の場所に提供される。粒子ビームは、フォトリソグラフィマスクの材料とエッチングガストとの間の局所的化学反応を活性化し、その結果として、材料がフォトリソグラフィマスクから局所的にアブレーションされる。エッチング方法の間、電子ビームは、グリッドに従ってマスク上の多くの別個の入射点に方向付けられ、この電子ビームは、この電子ビームがグリッド内の次の入射点に方向付けられる前に局所的エッチング反応を開始する目的で、約100nsの持続時間にわたってそれぞれのグリッド点に留まる。特に、欠陥の縁部領域は、比較的粗いグリッドの場合、このように不正確にしか処理することができない。しかしながら、グリッドの精緻化は、データの算術処理中の大量のデータにつながる。なぜなら、グリッド点の数(電子ビーム入射点)、すなわち2つの入射点間の距離の減少と共にデータ量が二次的に増大するためである。
【0008】
さらに、粒子ビーム(例えば、電子ビーム)によって欠陥を処理するときの縁部分解能は、フォトリソグラフィマスクの材料とプロセスガス(例えば、エッチングガス)との間の化学反応の反応プロファイルに依拠する。反応プロファイルは、化学反応が発生するマスク上の領域(例えば、マスク上の粒子ビームの入射点の周りの円の直径)を指定する。反応プロファイルは、中でも、粒子ビーム(一次ビーム)のビームプロファイル、および現れる二次粒子の半径に依拠する。しかしながら、フォトマスクの欠陥を処理するときに(例えば、一次エネルギーを増大させることによって)一次ビームの精緻化により分解能を増大させることは、二次ビームの半径、およびこのため反応プロファイルの半径が、一次ビームエネルギーの増大と共に増大する場合があることに起因して制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE10 2017 208 114
【発明の概要】
【0010】
この背景に対し、本発明の目的は、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための改善された方法を提供することである。
【0011】
第1の態様によれば、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法が提案される。本方法は、
a1)フォトマスクの少なくとも一部分の像を提供するステップと、
b1)像内の欠陥の幾何学形状を、修復形状として決定するステップと、
c1)第1のラスタ化に従って、修復形状を複数のn個のピクセルに細分化するステップと、
d1)第2のラスタ化に従って、修復形状を複数のm個のピクセルに細分化するステップであって、第2のラスタ化は、第1のラスタ化のサブピクセル変位から生じる、ステップと、
e1)第1のラスタ化に従って、修復形状のn個のピクセルの各々において活性化粒子ビームおよびプロセスガスを提供するステップと、
f1)第2のラスタ化に従って、修復形状のm個のピクセルの各々において活性化粒子ビームおよびプロセスガスを提供するステップと、
を含む。
【0012】
サブピクセル変位によって互いに対し変位された2つのラスタ化に従って粒子ビームを用いて欠陥の領域内でフォトマスクを露光することによって、特に欠陥の縁部領域をより精密に走査することが可能である。
【0013】
例として、欠陥の縁部領域は、ラスタ化自体を精密化することなくより精密に走査することができる。例として、第1のラスタ化による修復形状のn個のピクセルのピクセル寸法は、第2のラスタ化による修復形状のm個のピクセルのピクセル寸法と同じである。言い換えると、ラスタ化の精密性は、この例では、修復形状の第2のラスタ化の適用によって変更されない。結果として、ピクセル数、このためデータ量は、修復形状の第2のラスタ化の適用によって変化しないかまたは実質的に変化しない。
【0014】
しかしながら、第2のラスタ化は、別の例では第1のラスタ化よりも精密である場合もあり、これにより、特に外部輪郭において、粒子ビームを用いるよりもさらに良好に欠陥の実形状を処理することが可能である。
【0015】
特に、修復形状は、n個のピクセルが列(X方向)および行(X軸に垂直なY方向)に配列されるように、n個のピクセルに細分化される。
【0016】
例として、ピクセル寸法は、ピクセル側辺長および/または2つの隣接ピクセルの中心間の間隔である。例として、ピクセル寸法は、X方向および/もしくはY方向におけるピクセル側辺長であり、および/またはX方向および/もしくはY方向における2つの隣接ピクセルの中心間の間隔である。
【0017】
特に、第1のラスタ化および第2のラスタ化の双方がグリッドであり、各場合においてグリッド線はX方向およびY方向に配列される。修復形状の上にそれぞれのグリッド(第1および第2のラスタ化に対応する)を重ねることによって、修復形状が、それぞれn個のピクセルまたはm個のピクセルに細分化される。
【0018】
欠陥の処理は、特に、その範囲内で材料がフォトマスクから局所的にアブレーションされる欠陥のエッチング、または欠陥の領域内のフォトマスク上の材料の堆積を含む。例として、提案される方法は、欠陥の領域内の余分な構造がより良好にエッチング除去されることを可能にするか、または欠陥の領域内の欠落した構造をより良好に拡張させることができる。特に、提案される方法は、欠陥の縁部領域がより良好にかつより正確にエッチング除去されることを可能にするか、または欠陥の縁部領域内の欠落した構造をより良好にかつより正確に拡張させることができる。
【0019】
フォトマスクの少なくとも1つの部分の像が、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)によって記録される。例として、フォトマスクの少なくとも1つの部分の像が、数ナノメートル程度の空間分解能を有する。像は、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)または走査型トンネル顕微鏡(STM)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて記録することもできる。
【0020】
本方法は、特に、走査型電子顕微鏡および/または走査型プローブ顕微鏡を用いてフォトマスクの少なくとも1つの部分の像を捕捉するステップを含むことができる。
【0021】
例として、マイクロリソグラフィフォトマスクは、EUVリソグラフィ装置のためのフォトマスクである。この場合、EUVは「極紫外」を表し、0.1nm~30nm、特に13.5nmの作業光の波長を示す。EUVリソグラフィ装置内で、ビーム成形および照明システムを用いて、特に反射光学素子(反射フォトマスク)の形態をとるフォトマスク(「レチクル」とも呼ばれる)上へのEUV放射を誘導する。フォトマスクは、EUVリソグラフィ装置の投影システムを用いて縮小状態でウェハ等の上に結像される(imaged)構造を有する。
【0022】
例として、マイクロリソグラフィフォトマスクは、DUVリソグラフィ装置のためのフォトマスクとすることもできる。この場合、DUVは「深紫外」を表し、30nm~250nm、特に193nmまたは248nmの作業光の波長を示す。DUVリソグラフィ装置内で、ビーム成形および照明システムを用いて、特に透過光学素子(透過フォトマスク)の形態をとるフォトマスク上へのDUV放射を誘導する。フォトマスクは、DUVリソグラフィ装置の投影システムを用いて縮小状態でウェハ等の上に結像される構造を有する。
【0023】
例として、マイクロリソグラフィフォトマスクは、基板と、コーティングによって基板上に形成された構造とを備える。例として、フォトマスクは透過フォトマスクであり、この場合、結像されるパターンは、透明基板上の吸収(すなわち、不透明なまたは部分的に不透明な)コーティングの形態で実現される。代替的に、フォトマスクは、例えば、特にEUVリソグラフィにおいて用いるための、反射フォトマスクとすることもできる。フォトマスクは、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)のためのマスクとすることもできる。
【0024】
例として、基板は、二酸化シリコン(SiO2)、例えば石英ガラスを含む。例として、構造化されたコーティングは、クロム、クロム化合物、タンタル化合物、ならびに/またはシリコン、窒素、酸素および/もしくはモリブデンから作製された化合物を含む。基板および/またはコーティングは、他の材料も含むことができる。
【0025】
EUVリソグラフィ装置のためのフォトマスクの場合、基板は、モリブデンおよびシリコン層の交互のシーケンスを含むことができる。
【0026】
提案される方法を用いると、フォトマスクの欠陥、特に、フォトマスクの構造化されたコーティングの欠陥を識別、位置特定および修復することが可能である。特に、欠陥は、基板に誤って施されたフォトマスクの(吸収または反射)コーティングである。本方法を用いて、コーティングが欠落しているフォトマスク上の場所でコーティングを拡張させることができる。さらに、コーティングは、誤って施されたフォトマスク上の場所から、本方法を用いて除去することができる。
【0027】
このために、フォトマスクの少なくとも1つの部分の記録された像において欠陥の幾何学形状が決定される。例として、欠陥の2次元の幾何学形状が決定される。欠陥の決定された幾何学形状は、以下でいわゆる修復形状と呼ばれる。
【0028】
第1のラスタ化に対応するn個のピクセルが、修復形状の粒子ビーム誘起処理のために修復形状において定義される。方法のステップe1)において、粒子ビームは、修復形状のn個のピクセルの各々に方向付けられる。特に、電子ビームの強度最大がn個のピクセルの各々の各中心に方向付けられる。言い換えると、修復形状のn個のピクセルは、粒子ビーム誘起処理のための修復形状の第1のラスタ化、特に2次元ラスタ化を表す。例として、修復形状のn個のピクセルは、欠陥の粒子ビーム誘起処理中の粒子ビームの入射エリアに対応する。例として、ピクセル寸法は、ピクセルの中心に方向付けられた電子ビームの強度分布が、電子ビームのガウス強度分布によりピクセルの縁部において所定の強度に降下するように選択される。所定の強度は、強度最大値の半分までの降下、またはそうでない場合、電子ビームの強度最大値の任意の他の割合までの降下に対応することができる。例として、ピクセル寸法および/または電子ビーム半値幅は、ナノメートル以下の範囲にあるかまたは数ナノメートル程度である。
【0029】
第2のラスタ化に対応するm個のピクセルが、修復形状の更なる粒子ビーム誘起処理のために、ステップd1)において修復形状において定義される。特に、第2のラスタ化は、サブピクセル変位に従って第1のラスタ化から計算される。ステップd1)は、ステップe1)の前または後に実行することができる。次に、粒子ビームは、第1のラスタ化に従うn個のピクセルの場合に類似した方式で、方法のステップf1)における第2のラスタ化に従って修復形状のm個のピクセルの各々に方向付けられる。原理上、ステップa1)、b1)等のラベル付は、そのいかなる特定の順序もしているものではなく、ステップは、異なる順序で実行することもできる。これは同様に、第2の態様による方法に当てはまる。
【0030】
例として、第2のラスタ化は、第1のラスタ化と同じ精密度を有する。この場合、第1のラスタ化によるn個のピクセルの数は、第2のラスタ化によるm個のピクセルの数と異ならないかまたは実質的に異ならない。例として、この場合、数mは、数nと20%、10%、5%、3%および/または1%未満異なる。しかしながら、他の例では、第2のラスタ化は、第1のラスタ化よりも精密にすることもできる。
【0031】
例として、プロセスガスは、前駆体ガスおよび/またはエッチングガスである。例として、プロセスガスは、複数のガス成分の混合物、すなわちプロセスガス混合物とすることができる。例として、プロセスガスは、各々が或る特定の分子タイプのみを有する複数のガス成分の混合物とすることができる。
【0032】
特に、主族元素、金属または遷移元素のアルキル化合物は、堆積または高層構造物(elevated structure)の成長に適した前駆体ガスとみなすことができる。この例は、シクロペンタジニエル(トリメチル)白金(CpPtMe3Me=CH4)、メチルシクロペンタジニエル(トリメチル)白金(MeCpPtMe3)、テトラメチルスズ(SnMe4)、トリメチルガリウム(GaMe3)、フェロセン(Cp2Fe)、ビスアリールクロム(Ar2Cr)、および/または主族元素、金属または遷移元素のカリボニル化合物、例えば、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、トリルテニウムドデカカルボニル(Ru3(CO)12)、鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)、および/または主族元素、金属または遷移元素のアルコキシド化合物、例えば、テトラエトキシシラン(Si(OC254)、テトライソプロポキシチタン(Ti(OC374)、および/または主族元素、金属または遷移元素のハロゲン化合物、例えば、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)、四塩化チタン(TiCl4)、三フッ化ホウ素(BCl3)、四塩化けい素(SiCl4)、および/または主族元素、金属または遷移元素との錯体、例えば、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)銅(Cu(C56HO22)、ジメチル金トリフルオロアセチルアセトナート(Me2Au(C5342))、および/または有機化合物、例えば一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、脂肪族および/または芳香族炭化水素等を含む。
【0033】
例として、エッチングガスは、二フッ化キセノン(XeF2)、二塩化キセノン(XeCl2)、四塩化キセノン(XeCl4)、蒸気(H2O)、重水(D2O)、酸素(O2)、オゾン(O3)、アンモニア(NH3)、塩化ニトロシル(NOCl)および/または以下のハロゲン化合物:XNO、XONO2、X2O、XO2、X22、X24、X26のうちの1つを含むことができる。ここで、Xはハロゲン化合物である。堆積した試験構造のうちの1つまたは複数をエッチングするための更なるエッチングガスは、米国特許出願第13/0 103 281号に指定されている。
【0034】
プロセスガスは、更なる追加のガス、例えば酸化性ガス、例えば、過酸化水素(H22)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、硝酸(HNO3)および他の酸素含有ガス、ならびに/またはハロゲン化合物、例えば、塩素(Cl2)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)、ヨウ素(I2)、ヨウ化水素(HI)、臭素(Br2)、臭化水素(HBr)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、三フッ化リン(PF3)および他のハロゲン含有ガス、ならびに/または還元ガス、例えば、水素(H2)、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)および他の水素含有ガスを含むことができる。これらの追加のガスは、例えば、エッチングプロセスのために、バッファガスとして、不動態化媒体として等で用いることができる。
【0035】
例として、活性化粒子ビームは、粒子ビームを生成するための粒子ビーム源と、フォトマスクの修復形状のそれぞれのピクセルに粒子ビームを向けるように構成された粒子ビーム誘導デバイス(例えば、走査ユニット)と、特定の焦点において粒子ビームを成形するように構成された粒子ビーム成形デバイス(例えば、電子またはビーム光学素子)と、プロセスガスまたはプロセスガスの少なくとも1つのガス状成分を格納するように構成された少なくとも1つの格納容器と、プロセスガスまたはプロセスガスの少なくとも1つのガス状成分を所定のガス量流量で修復形状のそれぞれのピクセルに提供するように構成された少なくとも1つのガス提供デバイスとを備えることができる装置を利用して提供される。
【0036】
例えば、活性化粒子ビームは、電子ビーム、イオンビームおよび/またはレーザビームを含む。
【0037】
例として、電子ビームは、変更された走査型電子顕微鏡を利用して提供される。例として、フォトマスクの少なくとも1つの部分の像は、活性化電子ビームを提供する同じ変更された走査型電子顕微鏡を用いて記録される。
【0038】
活性化粒子ビームは、特に、フォトマスクの材料とプロセスガスとの間の局所的化学反応を活性化し、これにより、気相からのフォトマスク上への材料の堆積、または気相へのフォトマスクの材料の転移が局所的に導かれる。
【0039】
活性化粒子ビームは、例えば粒子ビーム誘導デバイスによって、ステップe1)における第1のラスタ化による修復形状のn個のピクセルの各々において連続して提供される。第1の態様による方法のステップe1)において、活性化粒子ビームは、それぞれのピクセルのロケーションにおけるプロセスガスとマスク材料との間の化学反応を開始するために、所定の滞留時間にわたって各ピクセルに留まる。例として、滞留時間は100nsである。さらに、活性化粒子ビームは、この化学反応を開始するために、例えば粒子ビーム誘導デバイスによって、ステップf1)における第2のラスタ化による修復形状のm個のピクセルの各々において連続して提供される。第1の態様による方法のステップf1)において、活性化粒子ビームは、例えば100nsの所定の滞留時間にわたって各ピクセルに留まる。
【0040】
しかしながら、滞留時間は他の値を採用することもできる。例として、ステップe1)またはf1)における第1または第2のラスタ化に従った各ピクセルにおける活性化粒子ビームの滞留時間は、500ns以下、400ns以下、300ns以下、200ns以下、100ns以下および/または50ns以下である。
【0041】
一実施形態によれば、サブピクセル変位は、サブピクセル寸法分の第1のラスタ化の変位、より詳細には横方向の変位である。
【0042】
結果として、修復形状の第2のラスタ化は、例えば第1のラスタ化から容易に決定することができる。
【0043】
特に、サブピクセル寸法はピクセル寸法の或る割合である。例として、サブピクセル寸法は、(例えば、X方向および/もしくはY方向における)ピクセル側辺長の或る割合であり、ならびに/または(例えば、X方向および/もしくはY方向における)2つの隣接ピクセルの中心間の間隔である。
【0044】
例として、横方向の変位は、第1の方向(X方向)または第1の方向に垂直な第2の方向(Y方向)における変位(特に、横方向の変位)である。
【0045】
特に、第1のラスタ化のグリッド線は、第2のラスタ化のグリッド線を形成するために、サブピクセル寸法によって修復形状に対し変位、特に横方向に変位される。この場合、第1のラスタ化によるピクセルは、ここで、例えば修復形状の外側に位置することができ、結果として、第2のラスタ化に従って考慮されない。さらに、ここで、第1のラスタ化の「自由グリッド空間」は、第2のラスタ化に従ってピクセルで埋めることもできる。
【0046】
更なる実施形態によれば、方法は、
少なくとも1つの更なるラスタ化に従って、修復形状を複数のli個のピクセルに細分化するステップであって、i番目の更なるラスタ化はli個のピクセルに細分化され、少なくとも1つの更なるラスタ化は、第1のラスタ化、第2のラスタ化、または少なくとも1つの更なるラスタ化のうちの任意の他のサブピクセル変位から生じる、ステップと、
少なくとも1つの更なるラスタ化に従って、修復形状のli個のピクセルの各々において活性化粒子ビームおよびプロセスガスを提供するステップと、
を含む。
【0047】
欠陥の縁部領域は、第1および第2のラスタ化と異なる1つまたは複数の更なるラスタ化によって、粒子ビームを用いてさらに良好に処理することができる。特に、縁部の位置の正確性は、欠陥の修復中に増大させることができる。
【0048】
更なる実施形態によれば、ステップe1)は、繰返し周期数gでステップf1)の前に繰り返され、および/またはステップf1)は、繰返し周期数hで繰り返される。
【0049】
特に、gおよびhは2以上の整数である。この場合、繰返し周期の数gは、繰返し周期の数hに等しくすることができる(g=h)か、またはこれらは互いに異なることができる(g≠h)。
【0050】
結果として、第1のラスタ化による修復形状の全てのピクセルnは、ステップe1)において電子ビームを用いて繰り返し露光され(g個の繰返し周期)、例えばその後、第2のラスタ化に従ったフォトマスクの欠陥の処理への遷移が存在する。例として、ステップe1)は、複数の10個または100個の繰返し周期数(すなわち、g=10またはg=100)を用いて実行される。しかしながら、繰返し周期数gは、任意の他の値も採用することができる。
【0051】
さらに、第2のラスタ化による修復形状の全てのピクセルmも、例えばステップf1において電子ビームを用いて繰り返し露光される(h個の繰返し周期)。例として、繰返し周期数hも10または100である。しかしながら、繰返し周期数hは、任意の他の値も採用することができる。
【0052】
更なる実施形態によれば、ステップe1)およびf1)は、繰返し周期数jで繰り返される。
【0053】
特に、jは2以上の整数である。例として、繰返し周期数jは、100、1000、10,000、100,000または百万程度とすることができる。
【0054】
例として、欠陥は、粒子ビームを用いて、フォトマスクの欠陥の繰り返し処理によって完全に修復することができる。
【0055】
例として、結果的に、第1のラスタ化による修復形状のn個のピクセルの各々は、粒子ビームによって(g×j)回露光される。例として、第2のラスタ化による修復形状のm個のピクセルの各々は、粒子ビームによって(h×j)回露光される。
【0056】
更なる実施形態によれば、活性化粒子ビームは、各場合において、修復形状のn個のピクセル、m個のピクセルおよび/またはli個のピクセルにおいて順に連続して提供され、この順序において、プロセスガスの減損は、活性化粒子ビームによって活性化される化学反応によって、修復形状上で均一に実施される。
【0057】
特に、各ピクセルのホームである範囲内で修復形状の行ごとの走査を回避することが可能である。例として、r個ごとのピクセルのみが最初に行に沿って(例えば、X方向に沿って)ホームとなり、ここで、rは1以上の整数である。例として、行に沿って全てのピクセル(r=1)、2つごとのピクセル(r=2)、または3つごとのピクセル(r=3)がホームとなる。例として、s個ごとのピクセルのみが最初に列に沿って(例えば、Y方向に沿って)ホームとなり、ここで、sは1以上の整数である。例として、列に沿ったオフセットは、行に沿ったオフセットよりも大きい(すなわち、sはrよりも大きい)。例として、列に沿って5つごとのピクセル(s=5)、10個ごとのピクセル(s=10)がホームとなる。更なる反復において、次に、第1のラスタ化に従って修復形状の全てのピクセルnが、または第2のラスタ化に従って修復形状の全てのピクセルmが、または更なるラスタ化に従って修復形状の全てのピクセルliが一度露光されるまで、修復形状の更なるピクセルが粒子ビームによって同様の方式で露光される。
【0058】
実施形態において、活性化粒子ビームがそれぞれ修復形状のn個のピクセル、m個のピクセルおよび/またはli個のピクセルにおいて連続して提供される順序は、ランダム分布を有することもできる。
【0059】
第2の態様によれば、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法が提案される。本方法は、
a2)フォトマスクの少なくとも一部分の像を提供するステップと、
b2)像内の欠陥の幾何学形状を、修復形状として決定するステップと、
c2)少なくとも修復形状の伸張部に沿ってプロセスガスを提供し、プロセスガスと伸張部上のフォトマスクの材料との間の化学反応を同時に活性化しながら、伸張部に沿って活性化粒子ビームを誘導するステップと、
を含む。
【0060】
プロセスガスとマスク材料との間の化学反応が同時に活性化された状態で粒子ビームが修復形状の伸張部に沿って誘導される結果として、修復形状の個々のピクセルの別個の走査、すなわち、ラスタ化に従った走査が回避される。むしろ、粒子ビームは、修復形状の伸張部に沿ったベクトル表現において誘導される。このため、特に縁部領域における欠陥は、より良好にかつより正確に修復することができる。特に、欠陥を処理することができる分解能は、ラスタ化の分解能(精密性)に依拠するのではなく、粒子ビーム誘起処理のための装置が粒子ビームを制御することができる分解能(すなわち、制御の正確性)にのみ依拠する。
【0061】
第2の態様による方法のステップa2)およびb2)は、特に、第1の態様による方法のステップa1)およびb1)に対応する。さらに、第2の態様による方法のステップc2)におけるプロセスガスの提供は、例えば、第1の態様による方法のステップe1)およびf1)におけるプロセスガスの提供に類似した方式でも実施される。
【0062】
さらに、粒子ビーム誘起処理のための装置に関する第2の態様による方法のステップc2)における粒子ビームの提供は、例えば、粒子ビームの生成およびプロセスガスに対するその基本的な影響に関して、第1の態様による方法のステップe1)およびf1)における粒子ビームの提供に類似した方式でも実施される。
【0063】
更なる実施形態によれば、活性化粒子ビームは、伸張部全体に沿って、ゼロよりも高い速度で誘導され、および/または、活性化粒子ビームは、停止することなく伸張部全体に沿って誘導される。
【0064】
第2の態様による方法において、滞留時間にわたる個々のピクセルの停止(滞留)が省かれる結果として、所望の粒子ビーム線量(例えば、電子ビーム線量)を、活性化粒子ビームが欠陥の表面上を誘導される速度の選択によって設定することができる。さらに、提供されるプロセスガスの、例えばエッチングガスの組成における時間的変化も、掃引速度の選択による影響を受ける可能性がある。特に、これにより、不利なガス組成も防止することができ、このため、例えば、不利なガス組成により処理速度(例えば、エッチング速度)が大幅に低減することも防止することができる。結果として、欠陥は、例えばその外部輪郭全体に、より良好に除去することができる。
【0065】
例として、粒子ビームは、伸張部の開始点から伸張部の終了点まで、ゼロを超える速度で、および/または停止することなく誘導される。
【0066】
更なる実施形態によれば、伸張部の長さは、5nm以上、10nm以上、20nm以上、50nm以上、100nm以上、200nm以上、および/または500nm以上である。
【0067】
更なる実施形態によれば、伸張部は、修復形状の一方の縁部から、修復形状の反対側の縁部まで線形に延びる。
【0068】
例として、粒子ビームは、「蛇行パターン」において修復形状の上を誘導される。この場合、粒子ビームは、例えば、修復形状の第1の縁部における第1の開始点から、第1の縁部の反対側の修復形状の第2の縁部における第1の終了点まで、第1の伸張部に沿って線形に誘導される。例として、第1の伸張部は、第1の開始点および第1の終了点を最短経路で接続する。その後、粒子ビームは、例えば、第2の縁部における第1の伸張部に対し垂直な方向において、第2の縁部における新たな第2の開始点にオフセットされる。次に、粒子ビームは、例えば、修復形状の第2の縁部における第2の開始点から、第1の縁部における第2の終了点まで、第2の伸張部に沿って誘導される。第2の伸張部は、第2の開始点および第2の終了点を、例えば最短経路で接続し、第1の伸張部に対し平行に配列される。対応する方式で、修復形状全体を、複数の個々の伸張部における粒子ビームによって掃引することができる。
【0069】
例として、個々の伸張部の各々に当てはまることは、活性化粒子ビームが、個々の伸張部全体に沿って、ゼロよりも高い速度で誘導され、および/または、活性化粒子ビームが、停止(滞留)することなく個々の伸張部全体に沿って誘導されることである。
【0070】
第1の終了点と第2の開始点との間の距離は、有利な粒子ビーム線量が存在しおよび/またはプロセスガスのガス組成に不利な変化がないように(例えば、増大させて)選択することができる。大きな間隔に起因して、第1および第2の伸張部に対し垂直な処理ギャップが生じる場合、粒子ビームは、更なる反復においてこれらの処理ギャップに戻ることができる。しかしながら、これは特に、欠陥の縁部領域において、より詳細には、第1および第2の縁部に対し垂直にまたは概ね垂直に配列された欠陥の縁部領域において、不利な粒子ビーム線量につながる場合がある。
【0071】
更なる実施形態によれば、伸張部は、修復形状の外縁部に沿って、および/または修復形状の外縁部に対し平行な平行曲線に沿って延びる。
【0072】
結果として、特に欠陥の縁部領域において不利な粒子ビーム線量を回避することが可能である。
【0073】
例として、粒子ビームは、(疑似)「螺旋パターン」において修復形状の上を誘導される。この場合、粒子ビームは、例えば、修復形状の外縁部における第1の開始点から、修復形状の外縁部に沿って延びる第1の伸張部に沿って、外縁部における第1の終了点まで誘導される。この場合、第1の終了点は、第1の開始点と一致するか、または第1の開始に隣接して配列される。その後、粒子ビームは、例えば、外縁部から径方向に内方に(例えば、修復形状の中心の方向において)第2の開始点までオフセットされる。次に、粒子ビームは、第2の開始点から、第1の伸張部に対し平行な平行曲線に沿った第2の伸張部に沿って延び、平行曲線上の第2の終了点まで誘導される。対応する方式で、修復形状全体を、外縁部に対し平行な曲線に沿って延びる複数の個々の伸張部における粒子ビームによって掃引することができる。
【0074】
例として、個々の伸張部の各々に当てはまることは、活性化粒子ビームが、個々の伸張部全体に沿って、ゼロよりも高い速度で誘導され、および/または、活性化粒子ビームが、停止(滞留)することなく個々の伸張部全体に沿って誘導されることである。
【0075】
更なる実施形態によれば、修復形状は、少なくとも第1および第2の部分修復形状に細分化される。
さらに、伸張部は、第1の部分修復形状の縁部から、第1の部分修復形状の反対側の縁部に線形に延び、および/または、
伸張部は、第2の部分修復形状の外縁部に沿って、および/または第2の部分修復形状の外縁部に対し平行な平行曲線に沿って延びる。
【0076】
例として、第1の部分修復形状は、修復形状の内側領域であり、第2の部分修復形状は内側の第1の部分修復形状を取り囲む。
【0077】
実施形態において、修復形状は、2つ以上の異なる区画において部分修復形状に細分化される。これにより、部分修復形状間の境界における欠陥の不均一な処理を回避することができる。
【0078】
更なる実施形態によれば、活性化粒子ビームは、0.01m/s以上、0.02m/s以上、0.03m/s以上、0.05m/s以上、0.1m/s以上、1m/s以上、5m/s以上、10m/s以上、50m/s以上、および/または100m/s以上の速度で伸張部に沿って誘導される。
【0079】
このため、活性化粒子ビームは、可能な限り一様な粒子ビーム線量が修復形状全体にわたって存在し、特に、修復の縁部領域においても存在するように伸張部に沿って十分高速に誘導することができる。
【0080】
更なる実施形態によれば、活性化粒子ビームは、500ns以下、400ns以下、300ns以下、200ns以下、100ns以下および/または50ns以下で修復形状全体にわたって誘導される。
【0081】
他の実施形態では、活性化粒子ビームは、修復形状全体にわたってより低速に誘導することもできる。
【0082】
更なる実施形態によれば、活性化粒子ビームのビーム電流は、0.0001μA以上、0.001μA以上、0.01μA以上、0.1μA以上、および/または1μA以上である。
【0083】
修復形状が(第1の態様による方法におけるように粒子ビームによって離散的にかつピクセルごとに走査されるのではなく)ベクトル的に掃引される第2の態様による方法における、より高いビーム電流の結果として、高い掃引速度の場合であっても、必要な粒子ビーム線量(例えば、電子ビーム線量)を適用することが可能である。
【0084】
しかしながら、他の実施形態では、活性化粒子ビームのビーム電流は、より小さな値を有することもできる。例として、活性化粒子ビームのビーム電流は、1pA以上および/または10pA以上とすることもできる。
【0085】
更なる態様によれば、コンピュータプログラム製品が提案される。このコンピュータプログラム製品は、マイクロリソグラフィマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための装置を制御するためのコンピューティング装置によって実行されると、装置に、第1の態様による上記の方法および/または第2の態様による上記の方法を実行するように装置に促す命令を含む。
【0086】
「1つの」は、本場合において、必ずしも厳密に1つの要素に限定されるものとして理解されるべきでない。むしろ、例えば、2つ、3つまたはそれ以上等の複数の要素を提供することもできる。ここで用いられる任意の他の数も、要素の述べた数への厳密な制約という旨で理解されるべきでない。むしろ、特段の記載がない限り、上方および下方への数値のずれが可能である。
【0087】
本発明の更なる可能な実施態様は、例示的な実施形態に関して上記または下記で示された任意の特徴または実施形態の明示的に言及されていない組み合わせも含む。この場合、当業者は、本発明のそれぞれの基本形態に対する改善または捕捉として、個々の態様も加える。
【0088】
本発明の更なる有利な実施形態および態様は、従属請求項の主題であり、以下に説明する本発明の例示的な実施形態の主題でもある。本発明は、添付の図面を参照して、好ましい実施形態によって以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1】1つの実施形態による構造化されたコーティングにおける欠陥を有するマイクロリソグラフィフォトマスクの詳細を概略的に示す図である。
図2】1つの実施形態による、図1からのフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための装置を示す図である。
図3】第1のラスタ化による、欠陥の幾何学形状(修復形状)が複数のピクセルに細分化された、図1からのフォトマスクの欠陥の更なる例の部分的詳細図である。
図4図3からの5つのピクセルの拡大図である。
図5】第2のラスタ化による、欠陥の幾何学形状(修復形状)が複数のピクセルに細分化された、図3に類似した図である。
図6】第3のラスタ化による、欠陥の幾何学形状(修復形状)が複数のピクセルに細分化された、図3に類似した図である。
図7】第1、第2および第3のラスタ化によるピクセルの中心が互いの上に重なって示された、図3に類似した図である。
図8】第1の態様による、図1図7からのフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法のフローチャートである。
図9】欠陥の幾何学形状(修復形状)がピクセルに細分化されていないが、粒子ビームが複数の伸張部に沿って修復形状の一方の縁部から他方の縁部まで修復形状の上を連続してかつベクトル的に進行する、図1からのフォトマスクの欠陥の更なる例を示す図である。
図10】欠陥の幾何学形状(修復形状)がピクセルに細分化されていないが、粒子ビームが修復形状の外側輪郭に対し平行に延びる複数の伸張部に沿って修復形状の上を連続してかつベクトル的に進行する、図1からのフォトマスクの欠陥の更なる例を示す図である。
図11】修復形状が2つの部分修復形状に細分化され、図9からの方法が、2つの部分修復形状の内側に適用され、図10からの方法が、2つの部分修復形状の外側に適用される、図10からの欠陥を示す図である。
図12】第2の態様による、図1および図9図11からのフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0090】
別段の指示がない限り、同じであるかまたは機能的に同じである要素は、図面において同じ参照符号を与えられる。図面における図は必ずしも縮尺通りとは限らないことにも留意されたい。
【0091】
図1は、マイクロリソグラフィフォトマスク100の詳細を概略的に示す。示す例において、フォトマスク100は、透過フォトリソグラフィマスク100である。フォトマスク100は基板102を含む。基板102は、特に、フォトマスク100が露光される波長において光学的に透過性である。例として、基板102の材料は石英ガラスを含む。
【0092】
構造化されたコーティング104(パターン要素104)が基板102に施されている。特に、コーティング104は、吸収材料から作製されたコーティングである。例として、コーティング104の材料はクロム層を含む。例として、コーティング104の厚みは、50nm~100nmの範囲をとる。フォトマスク100の基板102上のコーティング104によって形成される構造の構造寸法Bは、フォトマスク100の様々な位置において異なることができる。例として、図1において、領域の幅Bが構造寸法としてプロットされている。例として、構造寸法Bは、20~200nmの領域内にある。構造寸法Bは、200nm超、例えば数マイクロメートル程度とすることもできる。
【0093】
他の例では、上述した以外の材料および層厚(例えば、より薄い層厚、例えば薄型EUVマスク吸収体)を基板およびコーティングに用いることもできる。さらに、フォトマスク100は、透過フォトマスクではなく、反射フォトマスクとすることもできる。
【0094】
時折、例えばエッチングプロセスが意図された通りに厳密に実行されないことに起因して、欠陥Dがフォトマスクの製造中に生じる可能性がある。図1において、そのような欠陥Dは斜線で表されている。これは、2つの隣り合ったコーティング領域104が、フォトマスク100のためのテンプレートにおいて別個であると考えられているにもかかわらず、この領域からコーティング104が除去されなかったことに起因する余分な材料である。欠陥Dがウェブを形成するとも言える。この場合、欠陥Dの寸法は構造寸法Bに対応する。構造寸法Bよりも小さい、例えば5~20nm程度の他の欠陥も知られている。フォトマスクを用いてリソグラフィ装置において製造された構造が、ウェハ上で所望の形状を有し、このため、この方式で製造された半導体コンポーネントが所望の機能を満たすことを確実にするために、図1に示す欠陥Dまたはそうでない場合他の欠陥等の欠陥を修復する必要がある。この例において、例えば、粒子ビーム誘起エッチングによって、標的を絞った方式でウェブを除去することが必要である。
【0095】
図2は、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥、例えば図1からのフォトマスク100の欠陥Dの粒子ビーム誘起処理のための装置200を示す。図2は、フォトマスク100の欠陥Dの粒子ビーム誘起修復、この例ではエッチングのために用いることができる装置200のいくつかのコンポーネントを通じた断面図を概略的に示す。さらに、装置200は、修復プロセスの実施前、実施中および実施後の、フォトマスクの結像、特にマスク100および欠陥Dの構造化されたコーティング104のために用いることもできる。
【0096】
図2に示す装置200は、変更された走査型電子顕微鏡200を表す。この場合、電子ビーム202の形態の粒子ビーム202を用いて欠陥Dを修復する。電子ビーム202を活性化粒子ビームとして用いることは、電子ビーム202が実質的にフォトマスク100、特にその基板102に損傷を与えることができないか、またはわずかにしか損傷を与えることができないという利点を有する。
【0097】
実施形態において、フォトマスク100のための局所的粒子ビーム誘起修復プロセスを活性化させるためのレーザビームを、電子ビーム202の代わりに、または電子ビーム202に加えて用いることができる(図2には示されていない)。さらに、電子ビームおよび/またはレーザビームの代わりに、局所的化学反応を活性化するために、イオンビーム、原子ビームおよび/または分子ビームを用いることが可能である(図2には示されていない)。
【0098】
装置200は、真空ポンプ206によって或る特定のガス圧力に保たれた真空ハウジング204において大部分が配置されている。
【0099】
例として、装置200は、マイクロリソグラフィフォトマスク、例えばDUVまたはEUVリソグラフィ装置のためのフォトマスクのための修復ツールである。
【0100】
処理されるフォトマスク100は、試料ステージ208上に配置される。例として、試料ステージ208は、フォトマスク100の位置を、3つの空間方向、および例えばこれに加えて、数ナノメートルの精度で3つの回転軸において設定するように構成される。
【0101】
装置200は、電子カラム210を含む。電子カラム210は、活性化電子ビーム202を提供するための電子源212を含む。さらに、電子カラム210は、電子またはビーム光学素子214を含む。電子源212は、電子ビーム202を生成し、電子またはビーム光学素子214は、電子ビーム202の焦点を合わせ、電子ビーム202をカラム210の出力においてフォトマスク100に向ける。電子カラム210は、フォトマスク100の表面上で電子ビーム202を誘導(走査)するように構成された偏向ユニット216(走査ユニット216)をさらに含む。カラム210内に配置された偏向ユニット216(走査ユニット216)の代わりに、カラム210の外側に配置された偏向ユニット(走査ユニット)(図示せず)を利用することもできる。
【0102】
装置200は、入射電子ビーム202によってフォトマスク100において生成された二次電子および/または後方散乱電子を検出するための検出器218をさらに備える。例として、示すように、検出器218は、電子カラム210内でリング型の形式で電子ビーム202の周りに配置される。検出器218の代わりとして、または検出器218に加えて、装置200は、二次電子および/または後方散乱電子(図2に示されていない)を検出するための他の/更なる検出器も含むことができる。
【0103】
さらに、装置200は、フォトマスク100の欠陥Dを分析するのに用いることができる1つまたは複数の走査型プローブ顕微鏡、例えば原子間力顕微鏡を含むことができる(図2に示されていない)。
【0104】
装置200は、フォトマスク100の表面にプロセスガスを供給するためのガス提供ユニット220をさらに備える。例として、ガス提供ユニット220は、弁222およびガスライン224を含む。電子カラム210によってフォトマスク100の表面上のロケーションに向けられた電子ビーム202は、弁222およびガスライン224を介して外側からガス提供ユニット220によって供給されたプロセスガスと併せて電子ビーム誘起処理(EBIP)を実行することができる。特に、この処理は、材料の堆積および/またはエッチングを含む。
【0105】
装置200は、コンピューティング装置226、例えば、制御デバイス228および決定デバイス230を有するコンピュータをさらに備える。図2の例において、コンピューティング装置226は真空ハウジング204の外側に配置される。
【0106】
コンピューティング装置226、特に制御デバイス228は、装置200を制御する役割を果たす。特に、コンピューティング装置226、特に制御デバイス228は、電子カラム210を駆動することによって電子ビーム202の提供を制御する。特に、コンピューティング装置226、特に制御デバイス228は、走査ユニット216を駆動することによってフォトマスク100の表面上の電子ビーム202の誘導を制御する。さらに、コンピューティング装置226は、ガス提供ユニット220を駆動することによって、プロセスガスの提供を制御する。
【0107】
さらに、コンピューティング装置226は、装置200の検出器218および/または他の検出器からの測定データを受信し、測定データから像を生成する。この像はモニタ(図示せず)上に表示することができる。さらに、測定データから生成された像は、コンピューティング装置226のメモリユニット(図示せず)に記憶することができる。
【0108】
フォトマスク100をチェックするために、特に、フォトマスク100の構造化コーティング104をチェックするために、装置200は、特に、装置200の検出器218および/または他の検出器からの測定データから、フォトマスク100(図1)の像300またはフォトマスク100の詳細の像300を捕捉するように構成される。例として、像300の空間分解能は、数ナノメートル程度である。
【0109】
コンピューティング装置226、特に決定デバイス230は、記録された像300における欠陥D(図1)を認識し、この欠陥を位置特定して、欠陥Dの幾何学形状302(修復形状302)を決定するように構成される。欠陥Dの決定された幾何学形状302、すなわち修復形状302は、例えば2次元幾何学形状である。
【0110】
図3図7は、図1からのフォトマスク100の構造化コーティング104の欠陥D’の更なる例の粒子ビーム誘起処理のための第1の態様による方法を説明する。例として、方法は、図2に示す装置を用いて実行される。
【0111】
図1および図2と併せて上記で説明したように、フォトマスク100(図1)の少なくとも一部分の像300が第1の態様による方法のステップS1において記録される。
【0112】
図1および図2と併せて上記で説明したように、欠陥D’の幾何学形状は、第1の態様による方法のステップS2において修復形状302’として像300において決定される。図3は、欠陥D’の部分詳細図を示す。
【0113】
修復形状302’(図3)は、第1の態様による方法のステップS3における第1のラスタ化306に従って複数のn個のピクセル304に細分化される。特に、コンピューティング装置226(図2)、より詳細には決定デバイス230は、第1のラスタ化306に従って修復形状302’(図3)をn個のピクセル304に分割するように構成される。
【0114】
図3において、修復形状302’の3つのピクセル304には、例示的な方式で参照符号が提供された。特に、ピクセル304は、列(X方向)および行(X方向に対し垂直なY方向)に配置される。各ピクセル304は中心Mを有し、ピクセルのうちの3つが図3において例示的な方式で参照符号を提供されている。図3は、修復形状302’の非常に小さな詳細を示す。例として、修復形状302’全体が、百万ピクセル304(n=1,000,000)を含む。例として、ピクセル304の側辺長は、数ナノメートル、例えば1.5nmである。例として、ピクセル304は1.5nm×1.5nmの面積を有する。修復方法の過程中、電子ビーム202(図2)は、走査ユニット216によって各ピクセル304の中心Mに複数回方向付けられる。特に、電子ビーム202の例えばガウス強度プロファイルの強度最大値は、方法の過程中、各ピクセル304の中心Mに複数回方向付けられる。
【0115】
図4は、図3に示す修復形状302’のピクセル304のうちの5つの拡大図を示す。各ピクセル304は、側辺長aを有する正方形形状を有する。結果として、2つの隣接するピクセル中心M間の距離もaに等しくなる。直径cを有し、参照符号308によって表される円は、フォトマスク100の表面上の電子ビーム202(図2)の入射エリアを表す。この場合、直径cは側辺長aに対応する。電子ビーム202は、例えば径方向に対称のガウス強度プロファイルを有する。特に、電子ビーム202は、その強度分布の最大値が技術的に可能である範囲内で中心Mに入射するように入射エリア308またはピクセル304の中心Mに方向付けられる。例として、入射エリア308は、電子ビーム202の強度プロファイルの半値幅に対応することができる。しかしながら、入射エリア308は、電子ビーム202の強度分布の最大値から降下した任意の他の強度にも対応することができる。
【0116】
第1の態様による方法のステップS4において、修復形状302’(図3)が電子ビーム202によって、プロセスガスの提供により走査され、それによって、その幾何学形状が修復形状302’である欠陥D’がコンピューティング装置226(図2)、より詳細には制御デバイス228の制御下で処理および修正される。この場合、活性化電子ビーム202は、修復形状302’のn個のピクセル304の各々に連続して方向付けられる。電子ビーム202は、所定の滞留時間にわたって修復形状302’のn個のピクセル304の各々において滞留する。この場合、プロセスガスの化学反応は、電子ビーム202によって修復形状302’のn個のピクセル304の各々において活性化される。例として、プロセスガスは、エッチングガスを含む。例として、化学反応により、エッチングされる欠陥D’の材料との揮発性反応生成物が生じることになり、これは、室温において少なくとも部分的にガス状であり、ポンプシステム(図示せず)を用いてポンピングにより除去することができる。
【0117】
電子ビーム202が修復形状302のn個のピクセル304の各々に一旦方向付けられると(ステップe1)、この手順は、繰返し周期数gにわたって繰り返される。
【0118】
修復形状302’は、第1の態様による方法のステップS5における第2のラスタ化306’(図5)に従って複数のm個のピクセル304’に細分化される。特に、コンピューティング装置226、特に決定デバイス230は、第1のラスタ化から第2のラスタ化を計算するように構成される。
【0119】
ステップS5は、ステップS4の前または後に実行することができる。
【0120】
図5は、図3と同じ修復形状302’の詳細を示す。しかしながら、図3と対照的に、修復形状302’は、図5における第2のラスタ化306’に従って、m個のピクセル304’に細分化される。特に、第2のラスタ化306’は、サブピクセル変位に従って第1のラスタ化306(図3)から計算される。特に、第2のグリッド306’(図5)を形成するために、第1のグリッド306(図3)が、図3および図4において、示される例におけるピクセル長aを有することに対応する長さbだけ右に変位された。示す例において、第2のラスタ化306’は、第1のラスタ化306と同じ精密度を有する。特に、第2のラスタ化306’によるピクセル304’(図5)は、第1のラスタ化306(図3)によるピクセル304と同じ寸法(ピクセル側辺長a)を有する。
【0121】
次に、粒子ビーム202は、第1のラスタ化306に従うn個のピクセル304の場合に類似した方式で、第1の態様による方法のステップS6における第2のラスタ化306’に従って修復形状302’のm個のピクセル304’の各々に方向付けられる。
【0122】
第1の態様による方法のステップS7において、ステップS5は、第1のラスタ化306および第2のラスタ化306’と異なる1つまたは複数の更なるラスタ化306”について実行される。例として、図6は第3のラスタ化306”を示し、第3のラスタ化306”は、図5および図6におけるピクセル長の半分だけ上方に変位させることによって第2のラスタ306’から生じる。すなわち、修復形状302’は、第3のラスタ化306”に従って複数のl個のピクセル304”に細分化された。示す例において、ピクセル304”は、ピクセル304(図3)およびピクセル304’(図5)と同じ寸法、すなわち側辺長aを有する。他の例では、第2のラスタ化306’および/または第3のラスタ化306”は、第1のラスタ化306よりも精密にすることもできる。この場合、ピクセル304’および/または304”は、ピクセル304よりも小さな側辺長を有する。
【0123】
第1の態様による方法のステップS8において、ステップS6は、1つまたは複数の更なるラスタ化306”について実行される。例として、活性化粒子ビーム202およびプロセスガスは、第3のラスタ化306”(図6)に従って、修復形状302’のl個のピクセル304”の各々において提供される。
【0124】
図7において、ピクセル304、304’および304”の中心M、M’およびM”は、重ね合わせた形式で示されている。ステップS4、S6およびS8の経過中、電子ビーム202は、各中心(入射点)M、M’、M”に繰り返し方向付けられる。図7において明らかであるように、欠陥D’の縁部領域310は、第1のラスタ化(中心M)のみが適用される場合に可能であるよりも良好に、第2および第3のラスタ化(中心M’およびM”)によって走査することができる。
【0125】
実施形態において、ステップS4、S6およびS8は、n個のピクセル304、m個のピクセル304’およびl個のピクセル304”の各々についての繰返し周期数全体が、例えば(j×g)またh(j×h)となるように、繰返し周期数jにわたって繰り返される。
【0126】
欠陥D’の領域においてコーティング104(図1)を(完全に)除去するために、例えば、100、1000、10,000、100,000または百万個の繰返し周期の総数j(またはj×gもしくはj×h)が各ピクセル304、304’、304”において必要とされる。
【0127】
図9図12は、図1からのフォトマスク100の構造化コーティング104の欠陥D”の更なる例の粒子ビーム誘起処理のための第2の態様による方法を説明する。例として、方法は、図2に示す装置を用いて実行される。図9は、第2の態様による方法の第1の実施形態を示す。
【0128】
図1および図2と併せて上記で説明したように、フォトマスク100(図1)の少なくとも一部分の像300が第2の態様による方法のステップS1’において記録される。
【0129】
図1および図2と併せて上記で説明したように、欠陥Eの幾何学形状は、第2の態様による方法のステップS2’において修復形状402として像300において決定される。第2の態様による方法のステップS2’において、幾何学形状は、特に、ベクトル表現に基づくベクトル形式として決定される。図9は、欠陥E’の更なる例を示す。
【0130】
プロセスガスは、少なくとも、第2の態様による方法のステップS3’における修復形状402の伸張部404(図9)に沿って提供される。さらに、活性化粒子ビーム202(図2)は、プロセスガスと、伸張部404上のフォトマスク100(図1)の材料との間の化学反応を同時に活性化しながら、伸張部404に沿って誘導される。
【0131】
第2の態様による方法の第1の実施形態(図9)による伸張部404は、修復形状402の縁部406から修復形状402の反対側の縁部408まで線形に延びる。特に、粒子ビーム202は、第1の縁部406における第1の開始点410から、第2の縁部408における第1の終了点412まで、停止することなく第1の伸張部404に沿って線形に誘導される。特に、第1の伸張部404は、第1の開始点410と第1の終了点412との間の最短経路である。第1の伸張部404の長さには、参照符号lが設けられる。プロセスガスとマスク材料との間の化学反応は、伸張部404に沿った粒子ビーム202の連続した非停止誘導中に欠陥D’を修復する目的で伸張部404全体において開始される。
【0132】
その後、粒子ビーム202は、第2の縁部408において、第1の伸張部404に対し垂直な方向Rにおいて第2の縁部408における新たな第2の開始点414にオフセットされる。次に、粒子ビーム202は、第1の縁部406における第2の開始点414から第1の縁部406の第2の終了点418まで、第2の伸張部416に沿って誘導される。例として、第2の伸張部416は、第1の伸張部404に対し平行に延びる。
【0133】
対応する方式で、修復形状全体を複数の個々の伸張部404、416、420、422(図9においてそのうちの4つのみが示され、参照符号を与えられている)にわたって粒子ビーム202によって掃引することができる。活性化粒子ビーム202は、特に、個々の伸張部404、416、420、422全体に沿って個々の伸張部404、416、420、422ごとに、ゼロを超える速度で停止(滞留)することなく誘導される。
【0134】
図10は、第2の態様による方法の第2の実施形態を示す。
【0135】
第2の実施形態による第1の伸張部424は、修復形状402’の外縁部426に沿って、および/または外縁部426に隣接して延びる。特に、第1の伸張部424は、外縁部426に隣接した第1の開始点428から、外縁部426全体に沿って外縁部426に隣接した第1の終了点430まで延びる。特に、第1の終了点は、第1の開始点428に隣接して配置される。結果として、粒子ビーム202は、第1の開始点428から第1の終了点430まで停止することなく第1の伸張部424に沿って停止することなく誘導される。プロセスガスとマスク材料との間の化学反応は、第1の伸張部424に沿った粒子ビーム202の誘導中に第1の伸張部424全体において開始される。
【0136】
その後、粒子ビーム202は、修復形状402’における外縁部426から第2の開始点432に径方向に内方にオフセットされる。次に、粒子ビーム202は、第1の伸張部424に対し平行な平行曲線に沿って延びる第2の伸張部434に沿って、第2の開始点から432平行曲線上の第2の終了点436まで誘導される。
【0137】
対応する方式で、修復形状402’全体を、外縁部426に対し平行な平行曲線に沿って延びる複数の個々の伸張部424、434、438(図10においてそのうちの3つのみが示され、参照符号を与えられている)にわたって粒子ビーム202によって掃引することができる。特に、個々の伸張部424、434、438の各々に適用されるのは、活性化粒子ビーム202が、ゼロを超える速度で停止(滞留)することなく個々の伸張部424、434、438全体に沿って誘導されることである。
【0138】
このビーム誘導パターンの結果として、特に、欠陥E”の縁部領域または外縁部426においても、電子ビーム202の適切な粒子ビーム線量を得ることが可能である。
【0139】
図11は、第2の態様による方法の第3の実施形態を示す。
【0140】
第3の実施形態によれば、修復形状402’は、少なくとも第1の部分修復形状440および第2の部分修復形状442に細分化される。示す例において、第1の部分修復形状440は、修復形状402’の内側領域である。さらに、第2の部分修復形状442は、内側第1の部分修復形状440を完全に取り囲む。
【0141】
第1の部分修復形状440内で、それぞれの個々の伸張部444は、縁部446から、第1の部分修復形状440の反対側の縁部448まで線形に延びる(図9に示す場合に類似している)。さらに、第2の部分修復形状442内の第1の個々の伸張部450は、第2の部分修復形状442の外縁部452に隣接して延びる。さらに、更なる個々の伸張部454、456は、第2の部分修復形状442の外縁部452に対し平行な平行曲線に沿って第2の部分修復形状442内で延びる。
【0142】
実施形態において、第2の態様による方法における電子ビーム202(図2)が対応する伸張部(図9における404、416、420、422;図10における424、434、438;図11における444、450、454、456)に沿って誘導される速度は、修復形状402、402’全体の露光時間が、第1の態様による方法における単一のピクセル304(図3)における滞留時間程度となるような長さとすることができる。例として、電子ビーム202(図2)が対応する伸張部(図9図11)に沿って誘導される速度は、1~100m/s以上である。例として、修復形状402、402’全体が、50~200ns以下に一度を超えて完全に掃引される。例として、この目的で用いられる粒子ビーム202は、0.0001~0.01μA以上のビーム電流で提供される。しかしながら、粒子ビーム202のビーム電流は、他の例において、他の値(例えば、数pAのより小さな値)を採用することができる。修復形状402、402’全体のほぼ同時の露光の結果として、修復形状402、402’全体にわたる特に一様な粒子ビーム線量を得ることが可能となり、このため、フォトマスク100(図1)の欠陥E’、E”(図9図11)の更により良好でより正確な修復を得ることが可能となる。
【0143】
本発明は、例示的な実施形態を参照して説明されたが、様々な方式で変更可能である。
【符号の説明】
【0144】
100 フォトマスク
102 基板
104 コーティング
200 装置
202 粒子ビーム
204 真空ハウジング
206 真空ポンプ
208 試料ステージ
210 電子カラム
212 電子源
214 電子またはビーム光学素子
216 走査ユニット
218 検出器
220 ガス提供ユニット
222 弁
224 ガスライン
226 コンピューティング装置
228 制御デバイス
230 決定デバイス
300 像
302、302’ 修復形状
304、304’、304” ピクセル
306、306’、306” ラスタ化
308 入射エリア
310 縁部領域
402 修復形状
404 伸張部
406 縁部
408 縁部
410 開始点
412 終了点
414 開始点
416 伸張部
418 終了点
420 伸張部
422 伸張部
424 伸張部
426 縁部
428 開始点
430 終了点
432 開始点
434 伸張部
436 終了点
438 伸張部
440 部分修復形状
442 部分修復形状
444 伸張部
446 縁部
448 縁部
450 伸張部
452 縁部
454 伸張部
456 伸張部
a 長さ
b 長さ
B 構造寸法
c 直径
D、D’ 欠陥
E、E’、E” 欠陥
l 長さ
M、M’、M” 中心
R 方向
S1~S8 方法ステップ
S1’~S8’ 方法ステップ
X 方向
Y 方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(E’、E”)の粒子ビーム誘起処理のための方法であって、
a2)前記フォトマスク(100)の少なくとも一部分の像(300)を提供するステップ(S1’)と、
b2)前記像(300)内の欠陥(E’、E”)の幾何学形状を、修復形状(402、402’)として決定するステップ(S2’)と、
c2)少なくとも前記修復形状(402、402’)の伸張部(404、424)に沿ってプロセスガスを提供し、前記プロセスガスと前記伸張部(404、424)上の前記フォトマスク(100)の材料との間の化学反応を同時に活性化しながら、前記伸張部(404、424)に沿って活性化粒子ビーム(202)を誘導するステップ(S3’)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記活性化粒子ビーム(202)は、前記伸張部(404、424)全体に沿って、ゼロよりも高い速度で誘導され、および/または、前記活性化粒子ビーム(202)は、停止することなく前記伸張部(404、424)全体に沿って誘導される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記伸張部(404、424)の長さ(l)は、5nm以上、10nm以上、20nm以上、50nm以上、100nm以上、200nm以上、および/または500nm以上である、請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
前記伸張部(404、416、420、422)は、前記修復形状(402)の1つの縁部(406)から、前記修復形状(402)の反対側の縁部(408)まで線形に延びる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記伸張部(424、434、438)は、前記修復形状(402’)の外縁部(426)に沿って、および/または前記修復形状(402’)の前記外縁部(426)に対し平行な平行曲線(434、438)に沿って延びる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記修復形状(402’)は、少なくとも第1の部分修復形状および第2の部分修復形状(440、442)に細分化され、
前記伸張部(444)は、前記第1の部分修復形状(440)の1つの縁部(446)から、前記第1の部分修復形状(440)の反対側の縁部(448)に線形に延び、および/または、
前記伸張部(450、454、456)は、前記第2の部分修復形状(442)の外縁部(452)に沿って、および/または前記第2の部分修復形状(442)の前記外縁部(452)に対し平行な平行曲線(454、456)に沿って延びる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記活性化粒子ビーム(202)は、0.01m/s以上、0.02m/s以上、0.03m/s以上、0.05m/s以上、0.1m/s以上、1m/s以上、5m/s以上、10m/s以上、50m/s以上、および/または100m/s以上の速度で前記伸張部(404、424、444、450)に沿って誘導される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記活性化粒子ビーム(202)は、500ns以下、400ns以下、300ns以下、200ns以下、100ns以下および/または50ns以下で前記修復形状(402、402’)全体にわたって誘導される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記活性化粒子ビーム(202)のビーム電流は、0.0001μA以上、0.001μA以上、0.01μA以上、0.1μA以上、および/または1μA以上である、請求項1または2に記載の方法。
【外国語明細書】