(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147674
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】セグメントコイルの剥離検査方法及びそれに用いる剥離検査装置
(51)【国際特許分類】
H02K 15/04 20060101AFI20241008BHJP
H02K 15/085 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H02K15/04 E
H02K15/085
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024112668
(22)【出願日】2024-07-12
(62)【分割の表示】P 2020138121の分割
【原出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】孫 百偉
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータステータのセグメントコイル同士を接合する前に、接合する各セグメントコイルの端部である剥離部の剥離量を把握して、剥離不良による接合不良の発生を防止する。
【解決手段】セグメントコイルの剥離検査装置100は、セグメントコイルが収納されたモータステータ50を回転可能に載置する載置手段110と、この載置手段から離隔して配置された検査部120とを備える。検査部は、モータステータの軸方向に移動可能な測長プローブと、測長プローブから離隔して配置され、モータステータの軸方向に移動可能な導通検出用の第1の導通プローブと第2の導通プローブとを備える。第1の導通プローブはセグメントコイルの端部周りに回動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメントコイルをステータコアに収納したモータステータの検査方法において、前記セグメントコイルを前記ステータコアに巻回後に、前記セグメントコイル同士の接合端部である剥離部の剥離長さが、所定長さ範囲にあるか否かを接合前にプローブにて検出するセグメントコイルの剥離検査方法。
【請求項2】
初めに各セグメントコイルの端部位置を測定するステップと、セグメントコイルの端部位置から第1の所定距離だけ離れた第1の位置における前記セグメントコイルの導通状態を検出するステップと、前記セグメントコイルの端部位置から第2の所定距離だけ離れた第2の位置における前記セグメントコイルの導通状態を検出するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載のセグメントコイルの剥離検査方法。
【請求項3】
接合対象のすべての前記セグメントコイルに対して、前記第1の位置で導通が確認され、前記第2の位置で非導通が確認されたら良品と判断して次工程の製造を進め、それ以外は不良品と判断して前工程へフィードバックするかまたは製造を中止することを特徴とする、請求項2に記載のセグメントコイルの剥離検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセグメントコイルをステータコア内に収容したモータステータにおける、セグメントコイルの絶縁被覆の剥離状態を検査する方法および装置に係り、特に大量生産されるモータに用いて好適な、セグメントコイルの剥離検査方法及び剥離検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータとロータからなるモータの製造において、ステータコア内に径方向に複数列、周方向には多数個セグメントコイルを配置し、各セグメントコイルを一端部で隣り合うセグメントコイルと接続して、単相、3相または多相の電動機を構成している。セグメントコイルは、ステータコアの内面に設けられたスロット内に収納されるかまたは他の手段を用いて周方向にほぼ等間隔に固定配置される。
【0003】
前工程でセグメントコイルをステータコア内に固定配置した後に、セグメントコイルの一端側はレーザ溶接等により他のセグメントコイルと接続されて、ステータの一つの相を構成するコイルが形成される。レーザ溶接をする際には、セグメントコイルの溶接端部は、セグメントコイル全体に施された絶縁被覆が剥離されている必要があり、前工程においてレーザ加工(例えば特開2000-23428号公報)または切削作業(例えば特開2012-257442号公報)等により絶縁被覆を剥離している。
【0004】
ところで、セグメントコイルを溶接する端部である剥離部の長さが所定寸法から外れていると、溶接する際に、溶接熱で絶縁被覆が溶け、隣り合うセグメントコイルに溶着してしまう虞があった。また、これによりセグメントコイルのステータコア内の姿勢が変化してしまい、以後のモータの組み立て作業に不具合が発生する虞もあった。さらに場合によっては、隣り合うセグメントコイル同士が接触してしまい、短絡が生じ、その結果、所定のモータ性能が得られなくなる虞があった。
そのため、従来では、セグメントコイルの溶接端部の絶縁被覆の剥離状態を目視で検査するか、ステータの製造を終えた後に導通検査等を実施し、不具合品を抽出していた。
【0005】
特許文献1には、ステータコアから離れた場所で、高精度にステータを検査する装置が開示されている。この公報では、絶縁被覆導体を巻回して形成したコイルにおける絶縁被覆導体の電気絶縁特性を検査する絶縁被覆導体検査方法において、コイルを試験容器内に配置し、試験容器内を減圧し、コイルとの間に隙間を設けて電極を対峙させた後、電極とコイルとの間に交流電圧を印加している。コイルと電極の間に発生する放電の発生頻度を測定し、発生頻度が基準発生頻度以上であれば良品と判定する。
【0006】
また、特許文献2には、回転電気のセグメントコイル同士の接合強度を向上させるために、セグメントコイルの端部にある剥離部を他のセグメントコイルの剥離部に接合するとともに、他のセグメントコイルの剥離部と向かい合う接合面に緩衝凹部を設けることが記載されている。
【0007】
さらに特許文献3には、単位コイルの皮膜剥離部での皮膜残りの発生を抑制し、溶接不良の発生及び電気抵抗の増加を抑制することが開示されている。具体的には、対向する一対の側面に形成された少なくとも絶縁被膜を切除して、複数の単位コイルを形成する断面矩形の導体線の一部に一対の切除面を形成し、一対の切除面の一方を加圧して導体部を塑性変形させ、切除面の他方を絶縁皮膜の表面と連続する平坦面として、皮膜剥離部の対向する一対の面を形成する。その後、対向する他の一対の側面を切除して、導体線の一部に皮膜剥離部の対向する他の面を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-8124号公報
【特許文献2】特開2019-118214号公報
【特許文献3】特開2019-221034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、周方向に24個、径方向に3層にセグメントコイルを配置したモータステータの場合には、合計72箇所のコイル接合点があり、これらの接合点を目視で監視することは、検査者に多大な労力を課すことになる。特に該モータが大量生産品の場合には、連続してモータステータが検査場所に運ばれるので、検査量の増大と共に検査時間を短くすることも求められる。そのため、従来では、目視検査に代わり全セグメントコイルの接合完了後に導通及び絶縁検査をして不良品を抽出していた。このような検査方法の場合、剥離装置の不都合で接合不良が同一位置で継続して発生しても、多数の不良品を生産した後でなければ対処できなくなる虞がある。
【0010】
一方、上記特許文献1に記載の絶縁被覆胴体の検査方法は、接合部のみならず、コイル全体の絶縁不良の検出が容易になる利点はある。しかしながらこの方法においては、装置が大掛かりになるのみならず、接合点だけに特定した剥離状態を検出することができないので、接合点の絶縁皮膜の剥離の良否自体を検出することができない。接合点での剥離不良を早期に検出し、その結果を前工程にフィードバックして、レーザ溶接時の溶接の不具合に起因するセグメントコイルの姿勢不良を防止することは、モータ製造のスループットを向上させるが、その点については特許文献1には開示されていない。
【0011】
特許文献2では、セグメントコイルの接合部の絶縁被覆を剥離後に、剥離した部分に緩衝凹部を設けて端部をレーザ溶接することで、接合部の応力拡大係数を低下させることが記載されている。しかしこの公報においても、絶縁被覆の剥離量を適正にして、レーザ溶接時の溶接の不具合に起因するセグメントコイルの姿勢不良及び短絡の発生を防止することについて開示されていない。
【0012】
さらに特許文献3には、断面矩形のセグメントコイルの端部に相当する部分をパンチで両面切断または削除して絶縁被覆を除去すると共に細くし、細くした部分を一方側に塑性変形させてその面で面位置にして剥離部を構成し、剥離部の面位置になった側同士を背中合わせにした後、端面をレーザ溶接することが記載されている。この公報では確かにセグメントコイル同士は隙間無く背中合わせにするのでレーザ溶接後にスプリングバックを起こして溶接部が剥離する虞はないものと思われる。しかしながらこの方法においてもパンチでの切断時に生じる可能性のある剥離不良については開示がない。
【0013】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、モータステータのセグメントコイルを接合する前に、セグメントコイルの端部である剥離部の剥離量を把握して、剥離不良に起因する次工程での接合不良の発生を防止することにある。本発明の他の目的は、上記目的において、大量生産に適した検査方法を確立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する本発明の特徴は、セグメントコイルをステータコアに収納したモータステータの検査方法において、前記セグメントコイルを前記ステータコアに巻回後に、前記セグメントコイル同士の接合端部である剥離部の剥離長さが所定長さ範囲にあるか否かを接合前に検出することにある。
【0015】
そしてこの特徴において、初めに各セグメントコイルの端部位置を測定するステップと、セグメントコイルの端部位置から第1の所定距離だけ離れた第1の位置における前記セグメントコイルの導通状態を検出するステップと、前記セグメントコイルの端部位置から第2の所定距離だけ離れた第2の位置における前記セグメントコイルの導通状態を検出するステップとを含むことが望ましく、接合対象のすべての前記セグメントコイルに対して、前記第1の位置で導通が確認され、前記第2の位置で絶縁が確認されたら良品と判断して次工程の製造を進め、それ以外は不良品と判断して前工程へフィードバックするか製造を中止するのがさらに望ましい。
【0016】
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、セグメントコイルが収納されたモータステータを回転可能に載置する載置手段と、この載置手段から離隔して配置された検査部とを備えるセグメントコイルの剥離検査装置において、前記検査部は、前記モータステータの軸方向に移動可能な測長プローブと、前記測長プローブと離隔して配置され、前記モータステータの軸方向に移動可能な導通検出用の第1の導通プローブ、及び第2の導通プローブとを備えることにある。
【0017】
そしてこの特徴において、セグメントコイルの導通検出時には、導通検出用の前記第1の導通プローブは前記セグメントコイルの端部であって側面部に当接することが可能であり、導通検出用の前記第2の導通プローブは、検査対象の前記セグメントコイルの端面に当接することが可能であるように、前記第1の導通プローブおよび前記第2の導通プローブを配設するのが望ましい。
【0018】
また、前記測長プローブは、この測長プローブをステータの軸方向に駆動する第1のアクチュエータに接続されており、前記第1の導通プローブ、及び前記第2の導通プローブは、これら前記第1の導通プローブ及び、前記第2の導通プローブをステータの軸方向に駆動する第2のアクチュエータとこの第2のアクチュエータの駆動量を制御する制御手段に接続されており、前記制御手段は、前記第1の導通プローブを前記セグメントコイルの端面から軸方向内側の前記第1の位置及び、前記第2の位置まで前記第2のアクチュエータを用いて駆動制御するとともに、前記第1の導通プローブを前記セグメントコイルの端部周りに回動可能にする回動手段を備えることが望ましい。さらに、前記第1の位置は前記セグメントコイルの剥離部検出位置であり、前記第2の位置は前記セグメントコイルの絶縁部検出位置であることが特に望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、モータステータを構成するセグメントコイルの接合前に、セグメントコイルの接合端部である剥離部の剥離長さが所定長さを有するか否かを判断するようにしたので、剥離不良による接合不良の発生を防止することができる。また、目視等の人力ではなく、自動化可能な検出手段を設けているので、大量生産に適した検査方法を確立できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るセグメントコイルの剥離検査装置の一実施例の主要部の概略斜視図である。
【
図2】
図1に示した剥離検査装置が備える検査部の図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図3】
図1に示した剥離検査装置の動作を説明するための斜視図であり、(a)は測長プローブを用いた測定状態を、(b)は導通プローブを用いた検査状態を示す図である。
【
図4】
図3の部分拡大図であり、(a)は測長プローブを用いた測定状態を、(b)は導通プローブを用いた検査状態を示す図、(c)はセグメントコイルの部分上面図である。
【
図5】本発明に係る導通プローブの回転部の一実施例の図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図6】本発明に係るセグメントコイルの剥離検査方法の一実施例を説明する、フローチャートである。
【
図7】本発明に係るセグメントコイルの剥離検査方法の他の実施例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るセグメントコイルの剥離検査方法及びそれに用いる剥離検査装置の一実施例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係るセグメントコイルの剥離検査装置100の主要部の斜視図である。本剥離検査装置100は、ライン処理またはバッチ処理工程中で使用されるものであり、大量生産品に適している。
【0022】
汎用モータでは、モータステータ50を構成するために、ステータコア52に形成されたスロットにセグメントコイル54を巻回し、巻回されたセグメントコイル54の端部をレーザ溶接等で接合して1個のコイルを形成する。レーザ溶接をするために、セグメントコイル54に元来形成されていた絶縁被覆の一部を剥離して剥離部62(
図4参照)を形成する。
【0023】
セグメントコイルの剥離検査装置100は、溶接前に、ステータコア52に内蔵されたセグメントコイル54の溶接部が適正に形成されているか否かを検査する。剥離検査装置100は、大別して載置手段110と検査部120を有する。載置手段110は検査対象のモータステータ50を載置し、検査部120でセグメントコイルの被検査位置を位置決めするのを補助する。一方、検査部120は、モータステータ50が有する多数のセグメントコイル54の各端部に形成される剥離部62の剥離状況を検査する、測定具および検査器具を備える。
【0024】
縦軸に形成されたステータ嵌合軸(模擬ロータ)222に接合対象のセグメントコイル54を有するモータステータ50が、図示しないロボット等で搬送された後、嵌合される。載置手段110は、ワーク周方向位置決めシリンダ230を備える。シリンダ230の先端に取り付けられている位置決めブロック232を、モータステータ50の周方向の基準位置50aに挿入し、検査しているセグメントコイル54の絶対位置を確保する。
【0025】
ステータ嵌合軸222の下端部には、歯付きプーリ218が取付けられており、ステータ嵌合軸222を回転駆動するステッピングモータ212の軸端に取付けた歯付きプーリ214との間で、歯付きベルト216を介して連結されている。ステッピングモータ212は、モータステータ50をステータ嵌合軸222周りに一定角度ずつ回転させるのに用いられる。
【0026】
検査部120は、本発明の特徴的構成である測長プローブ380と、複数本の導通プローブ412、414を備える。これら2種のプローブ380、412、414を位置決めするために、検査部120は、直交する2軸方向の直動機構、すなわち水平方向(Y方向)の直動機構310と垂直方向(Z方向)の直動機構330を備える。第1のZ軸直動機構330は、取付け装置320を介してY軸直動機構310に取付けられている。これらの直動機構310、330を駆動および制御する検査部制御手段450が、検査部120に設けられている。さらに、測長プローブ380や導通プローブ412、414の測定および検査結果を記憶する記憶手段462を備えた、例えばパソコンのような制御装置460が設けられており、検査部制御手段450と共に制御手段400を構成する。
【0027】
図2を用いて、検査部120の詳細を説明する。なお、
図2では検査部制御手段450の図示を省略している。
図2(a)は検査部120の正面図であり、
図2(b)は検査部120の側面図である。検査部120が有するY軸直動機構310は、レール状のガイド314とスライダ312を有し、図示しないボールネジを図示しないサーボモータが回転駆動することにより、スライダ312がガイドレール314を案内として
図2(a)上で左右に移動する。同様に第1のZ軸直動機構330は、レール状のガイド332とスライダ334を有し、図示しないボールネジを図示しないサーボモータが回転駆動することにより、スライダ334がガイドレール332を案内として
図2(a)または(b)上で上下に移動する。これらY軸直動機構310および第1のZ軸直動機構330は、汎用品を利用可能であるから、それらの間を接続するために、第1のZ軸直動機構330の背面には取付け装置320が配置されている。取付け装置320を設けたことにより、第1のZ軸直動機構330はY軸直動機構310のスライダ312と共にY方向、
図2(a)上の左右方向に移動可能になっている。
【0028】
第1のZ軸直動機構330の上面には、第1のZ軸直動機構330のほぼ全幅にわたって広がるベース板(取付板)356が固定されている。ベース板356の上面であって
図2(a)の右側には、ベース板356の上下方向ほぼ全長にわたって延びるガイドレール352が垂直に配置されており、ガイドレール352にスライダ354が係合する。ガイドレール352とスライダ354は、第2のZ軸直動機構350を構成する。
【0029】
スライダ354の上面には、アクチュエータであるシリンダ370の可動側端部を取付ける側面視形状がL字状のベース板(測長プローブ取付板)372が取付けられている。シリンダ370の固定側端部であって可動部の始点となる部分を、ベース板356に対して固定するために、シリンダ保持具360がベース板356の長手方向である上下方向(Z方向)中間部に取付けられている。シリンダ370は、シリンダ保持具360に形成された図示しない孔に貫挿されて貫挿固定部を形成しており、貫挿固定部を固定端部として、第2のZ軸直動機構350のスライダ354、すなわちベース板372の上下動とともに、上下(Z方向)に伸縮する。
【0030】
シリンダ370の可動側端部が固定され、第2のZ軸直動機構350を構成するベース板372には、ベース板356の幅方向(Y方向)に間隔を置いて、測長プローブ380の軸方向中間部が固定されている。したがって、測長プローブ380は、第2のZ軸直動機構350のベース板372の上下移動、すなわちシリンダ370の伸縮と共に上下方向(Z方向)に移動する。換言すれば、シリンダ370の伸縮を制御することにより、測長プローブ380を上下方向に位置決めできる。なおベース板356の下端面には、ストッパ取付板357が取付けられており、ストッパ取付板357にはストッパ358が取付けられている。ストッパ358は第2のZ軸直動機構350のベース板372が暴走するのを防止すると共に、基準位置を与える。
【0031】
第1のZ軸直動機構330を構成するベース板356の下端部であって、ガイドレール352から幅方向に離隔した位置、すなわち
図2(a)の左側には、側面視形状がL字形の導通プローブ保持具410が取付けられている。導通プローブ保持具410の水平面部には、中心部と中心部から離れた位置との2箇所に貫通穴が形成された回転円板420が取付けられている。回転円板420に形成された貫通穴には、第1、第2の導通プローブ412、414が貫挿されている。回転円板420は、図示しない駆動装置により制御装置460の指令で回転駆動される。
【0032】
このように構成した検査部120を用いて、セグメントコイル54の剥離部の導通検査をする際の、検査部120の動きを、
図3および
図4を用いて説明する。
図3(a)は、導通検査に先立ち、検査部120が有する測長プローブ380を用いて接合対象セグメントコイル54の端面位置を測定する状態を示す斜視図であり、
図3(b)は、第1、第2の導通プローブ412、414を用いて接合対象のセグメントコイル54の導通を検査する状態を示す斜視図である。
図4(a)は
図3(a)の部分拡大図であり、
図4(b)は
図3(b)の部分拡大図である。
図4(c)は
図4(b)のA部の上面図である。
【0033】
前工程で、端部を剥離された複数のセグメントコイル54は、剥離された端部70を上面にして、例えば周方向に24個(列)、半径方向に3層に並んでステータコア52に収納される。そして、セグメントコイル54が収納されたモータステータ50は、この状態で載置手段110に載置される。検査部120では、Y軸直動機構310および載置手段110の周方向位置決めシリンダ230やステッピングモータ212(
図1参照)を制御して、最初に検査するセグメントコイル54を検査位置に位置決めする。
【0034】
ここで、
図4(c)に示すように、接合するセグメントコイル54、54同士(対)は、半径方向に背面側で当接するように配置され、ある1つのセグメントコイル54の対は、隣り合うセグメントコイル54の対とは互いに隙間66をもって配置されている。そして、セグメントコイル54の対内では軸方向(Z方向)高さが一致しているが、他のセグメントコイル54の対とは、組立精度上、軸方向(Z方向)高さが必ずしも一致していない。そのため、セグメントコイル54の剥離部62の長さが正規長さにあるか否かを検査するためには、各セグメントコイル54の上端面58の高さを事前に測定し(ステップ1)、その測定された高さ位置から所定距離の範囲だけ剥離部62が形成されているか否かを検査する(ステップ2)。本例では、剥離部62の端面からの基準高さが10mmであり、その許容誤差は1mm未満である。すなわち、剥離部62の長さは10~11mmの範囲にある必要があるので、剥離部62の高さが端面58から10mmの位置で導通が有り、端面58から11mmの位置で導通がない(絶縁状態にある)ことを確認する。
【0035】
ステップ1を実行するために、
図3(a)に示すように、検査部制御手段450を用いて、第1、第2の導通プローブ412、414のアクチュエータである第1のZ軸直動機構330を上方位置に位置決めする。これにより、導通プローブ保持具410を介して第1のZ軸直動機構330のベース板356に取付けた第1、第2の導通プローブ412、414が、モータステータ50に接触するのを回避する。なおステップ1の開始時には、測長プローブ380がモータステータに衝突または接触するのを防止するために、第2のZ軸直動機構350のベース板372は、シリンダ370が最も縮退した位置まで、上昇している。
【0036】
この状態で、Y軸直動機構310等を用いて検査対象セグメントコイル54の対の上方に測長プローブ380を位置決めする。そして検査部制御手段450がシリンダ370を伸展制御して、シリンダ370の下端部に形成した当接部381をセグメントコイル54の上端面58に当接させる(
図4(a)、(b)参照)。測長プローブ380がセグメントコイル54に当接したときの測長プローブ380の出力(高さ)は、記憶手段462(
図1参照)に記憶される。
【0037】
次にステップ2を実行するために、シリンダ370を最短長さになるまで縮退させて、第2のZ軸直動機構350のベース板372を上方位置に位置させ、測長プローブ380をモータステータ50から退避させる。それとともに、Y軸直動機構310等を制御して、端面用の第2の導通プローブ414を検査対象セグメントコイル54の上方に位置決めする。次いで、測長プローブ380が計測し記憶手段462に記憶されたセグメントコイル54の端面58の位置に基づいて、検査部制御手段450が第1のZ軸直動機構330を駆動し、第2の導通プローブ414の当接部424をセグメントコイル54の端面58に当接させる。側面用の第1の導通プローブ412は予め端面から10mmの位置で、第2の導通プローブ414の当接部424が当接している同じセグメントコイル54の側面に、その当接部422が当接するよう設定されている。第1、第2の導通プローブ412、414の当接部422、424がセグメントコイルに当接したら、第1、第2の導通プローブ412、414を電極として導通検査を実行する(
図3(b)参照)。高さ10mmの位置での導通検査が終了したら、第1のZ軸直動機構330をさらに1mm下方に移動させる。このとき第2の導通プローブ414は、この第2の導通プローブ414を下方に押圧しているバネ484(
図5(b)参照)に抗して、導通プローブ保持具410に対して相対的に上方に1mm移動する。以上の動作により、端面58から11mmの位置に第1の導通プローブ412が、端面に第2の導通プローブ414が位置決めされるので、これら第1、第2の導通プローブ412、414を電極として導通検査を実行する。導通検査の結果は、記憶手段462に記憶される。
【0038】
本実施例のセグメントコイル54は断面矩形状であるから、剥離部62長さの検査は、セグメントコイル54の側面を形成する4面の内の3側面60a、60b、60cについて実行する。残りの1面は、対をなすセグメントコイル54と背面対向して接合部56を形成するので検査は不可能であるが、他のセグメントコイル54の対の導通には影響しないので、検査不要である。剥離部の3側面60a、60b、60cについて順次ステップ2を実行するが、その際、1側面60aの検査が終了したら、一旦第1、第2の導通プローブ412、414をセグメントコイル54から離し、回動手段である回転円板420を検査部制御手段450が駆動制御して、第1の導通プローブ412の位置を側面60aから側面60bへ移動する。そして改めて、第1、第2の導通プローブ412、414の当接部422、424をセグメントコイル54の所定位置に当接させて導通検査する。側面60bの導通検査が終了したら側面60cへと第1の導通プローブ412を移動させる。
【0039】
一対のセグメントコイル54の各々の3側面(合計6側面で内3側面ごとに端面用導通プローブ414の位置を変更)の導通検査が終了したら、隣り合う他の対のセグメントコイル54について導通検査を実行する。次に検査する隣り合う他の対のセグメントコイル54が、モータステータ50の径方向に隣り合っている場合には、Y軸直動機構310を制御駆動して、測長プローブ380による高さ測定であるステップ1から検査を実行する。次に検査する隣り合う他の対のセグメントコイル54が、モータステータ50の周方向に隣り合っている場合には、載置手段110のステッピングモータ212を駆動して、1セグメントコイル分のピッチだけモータステータ50を周方向に回転させる。
【0040】
次に、セグメントコイル54の3側面の導通を検査するために導通プローブ412、414を回動させる、回転部の他の実施例の詳細を、
図5を用いて説明する。上記実施例では、回転手段420を図示しない駆動部で回転させていたが、本実施例では、回転制御装置464が1対の回転円板470、472を介して導通プローブ412を回転させている。
図5(a)は導通プローブ412、414の回転部の斜視図であり、
図5(b)はその正面図、
図5(c)はその側面図である。
【0041】
導通プローブ412、414を保持するために、側面視形状がL字形の導通プローブ保持具410がベース板356に取付けられている。導通プローブ保持具410の下面には、導通プローブ412、414を回転駆動する回転制御装置464が取付けられている。回転制御装置464は図示しない駆動モータを備え、駆動モータの軸に上回転円板470が取付けられている。ここで上回転円板470は、駆動モータと共にX軸方向(上下方向及びY軸直動機構310の移動方向の双方に直角な方向)に移動可能に構成されている。
上回転円板470と上下方向に間隔をおいて下回転円板472が配設されている。上回転円板470と下回転円板472とは、複数本(図では3本)の支柱474で連結されている。したがって、上回転円板470が回転すると、下回転円板472も同期して回転する。
【0042】
下回転円板472の中心部には貫通穴が形成されており、その穴に端面用の導通プローブ414が嵌合されている。導通プローブ414の上端に当接してバネ484が配設されており、導通プローブ414が上回転円板470から上方に延びた部分と共に、キャップ482内に保持されている。一方、側面用の導通プローブ412は、下回転円板472に偏心して斜めに形成された穴に嵌合されている。下回転円板472に形成した側面用の導通プローブ412と端面用の導通プローブ414が嵌合する穴に、それぞれの導通プローブ412、414を嵌合したときに、各導通プローブ412、414が何にも当接していない自由な状態では、導通プローブ412と導通プローブ414の先端部、より正しくはその当接部422、424の上下方向の高さの差は、剥離部限界高さに設定されている。本例では、10mmになるように、キャップ482の接着取付位置を調整する。
【0043】
したがって、両導通プローブ412、414を測長プローブで計測した高さ位置まで第
1のZ軸直動機構330を用いて降下させ、端面用の導通プローブ414がセグメントコイル54の端面に当接したときは、バネ484は初期状態を維持している。剥離部62の検査が終わり、非剥離部または絶縁部64の検査をするために第1のZ軸直動機構330をさらに降下させると、下回転円板472と共に導通プローブ412を絶縁部64まで降下させるが、キャップ482内のバネ484が縮んで、端面用の導通プローブ414はセグメントコイル54の端面に当接したままである。すなわち、端面用の導通プローブ414は下回転円板472に対して相対的に上昇することとなる。導通検査時には、キャップ482または端面用の導通プローブ414に接続したリード線478と側面用の導通プローブ412に接続したリード線476間に回転制御装置464または制御装置460から通電することにより、導通状態を検査できる。検査結果は、記憶手段462に記憶される(
図1参照)。
【0044】
以上のように構成した本剥離検査装置100を用いたセグメントコイル54の剥離検査方法の詳細を、
図6および
図7に示したフローチャートを用いて説明する。
図6は本発明による剥離検査方法の一実施例を示すフローチャートであり、
図7は他の実施例による剥離検査方法を示すフローチャートである。
【0045】
初めに、各プローブ380、412、414の基準点(ゼロ点)位置合わせを実施する。これは、測長プローブ380と導通プローブ412、414とは独立して動くことができるためである。ゼロ点合わせは、ブロックゲージのような標準器を用いてまたは基準ステータモデルを載置台220に搭載して実施する(ステップS502)。ゼロ点合わせの一例としては、段差が既知のブロックを準備し、段差の高い部分に測長プローブ380の当接部381を当接させ、段差の低い部分に第1の導通プローブ412の当接部422を当接させる。このとき第2のZ軸直動機構350はストッパ358で当接状態にする。このときの測長プローブ380の位置をゼロ点とする。
【0046】
各プローブ380、412、414のゼロ点位置合わせを終えたら、バッチ式にもしくは流れ作業式に検査部120に運ばれた検査対象モータステータ50を、図示しない搬送ロボット等を用いて載置手段110が備える載置台220に載置する(ステップS504)。そしてステッピングモータ212やY軸直動機構310等を用いて、測長プローブ380が測定対象セグメントコイル54の真上に位置するように測長プローブ380を位置決めする(ステップS510)。このとき第1のZ軸直動機構330では、スライダ334に取付けたベース板356が上方位置(移動範囲の内で上限付近)に位置するように、検査部制御手段450がボールネジを駆動制御する。以上が剥離検査の準備段階である(
図6(a))。
【0047】
次に、
図6(b)に示す実際の剥離検査処理に移る。検査が開始されると、ステップS512において、シリンダ370が伸展し、測長プローブ380をセグメントコイルに当接させる。このとき、シリンダ370が伸展するにつれ、第2のZ軸直動機構350では、シリンダ370の先端部が固定されたベース板372を取付けたスライダ354が、ガイドレール352をガイドにして下方に移動し、ベース板372の底面がストッパ358に当接して停止する。ベース板372には、測長プローブ380も固定取り付けされているので、測長プローブ380もシリンダ370の伸展と共に下方に移動する。そして、ベース板372がストッパ358に当接すると、ベース板372の当接直前からセグメントコイル54に当接していた測長プローブ380は、縮退し、その位置の変化を基準高さ(ゼロ点)からの変化として記憶手段462に記憶する。これで、今回測定または検査対象のセグメントコイル54の測定基準位置が求められる。
【0048】
検査対象のセグメントコイル54の端面58高さが求められたので、剥離検査で測長プローブ380がステータ50等に干渉しないよう、測長プローブ380を上昇させる。具体的には、シリンダ370を縮退させて、第2のZ軸直動機構350のスライダ354と共にベース板372をモータステータ50から上方へ退避させる(ステップS514)。
【0049】
次に、ステッピングモータ212やY軸直動機構310を用いて、第2の導通プローブ414を、検査対象のセグメントコイルの端面58の真上に位置決めする。位置決めされた第2の導通プローブ414を、測長プローブ380が測定した測定基準位置まで降下させ、測長プローブ380の当接部381をセグメントコイル54の端面58に当接させる(ステップS516)。なお、以下の処理においては、第1、第2の導通プローブ412、414の降下および上昇は、第1のZ軸直動機構330が備えるボールネジをサーボモータが回転駆動することにより達成される。第1のZ軸直動機構330の位置決め精度は、数μmであるから、剥離位置を求めるのには十分な精度を有している。第2のZ軸直動機構350を制御する検査部制御手段450は、測長プローブ380が測定したセグメントコイル54の端面58の高さを記憶手段462から読み取り、その測定値に基づいてボールネジの回転量、すなわちスライダ334の移動量を決定する。
【0050】
それとともに、第1の導通プローブ412を第1の導通検査高さである、例えば端面58から10mmの位置まで降下させる。そして第1の導通プローブ412をセグメントコイルの1側面60aに当接させる(ステップS520)。なお、第1の導通プローブ412の当接部422と第2の導通プローブ414の当接部424の高さの差が、予め第1の導通検査高さに設定されていると、この処理はS516と同時に実行される。
【0051】
2つの導通プローブ412、414がセグメントコイル54に当接したら、リード線476、478を用いて通電し、導通の有無を検査する(ステップS522)。第1の導通検査高さでは、セグメントコイル54の剥離処理が正常であれば剥離部62が形成されるので、導通があるのが正常状態である。導通があれば、ステップS526に進む。導通がなければ剥離処理が不十分であったことを示している。そこで、不良品(NG)として、現在検査しているセグメントコイル54がモータステータ50の基準位置50a(
図1参照)に対して周方向どの位置にあるかを、NG情報と共に記憶手段462に記憶(ステップS524)し、ステップS526に進む。
【0052】
次に、ステップS526では、第1の導通プローブ412をセグメントコイル54の同じ側面上でさらに降下させて、第2の導通検査高さ、例えば端面58から11mmの高さでセグメントコイル54に当接させる。このとき、第2の導通プローブ414は、
図5(b)に示したバネ484に抗して導通プローブ保持具410または回転円板420(470、472)に対して上方に1mm変位する。これにより、第2の導通検査状態を実現する。ステップS522と同様に剥離処理の良否を検査する(ステップS528)。ただし今回は、ステップS522と異なり、2つの導通プローブ412、414間で導通があるのは、剥離部62の長さが長すぎることを意味するので不良である。この第2の導通検査高さでは、非導通であれば絶縁部64が維持されているので良品である。したがって導通がなければステップS532に進むが、導通があれば不良品としてステップS524と同様に不良なセグメントコイル54の位置とNG情報を記憶手段462に記憶する(ステップS530)。
【0053】
これでセグメントコイル54の1側面60aの検査が終了したので、同一セグメントコイル54の他の側面60bへと検査位置を変える。そのまま回動手段420を回動してもセグメントコイル54の角部で回転が阻止されるので、一旦第1の導通プローブを上昇させた後、導通プローブ412、414が取付けられている回動手段420(472)を回動して、第1の導通プローブ412を他の側面に当接可能にする(ステップS532)。
【0054】
上述したとおり、1個のセグメントコイル54の3側面を検査するので、3回同様の処理が繰り返される(ステップS534)。ステップS534で同一セグメントコイル54に対する検査が終了し、他の検査する側面がない場合には、第2の導通プローブ414を上昇させて(ステップS536)、他のセグメントコイル54の検査に移るために、ステップS538に進む。
【0055】
ステップS538において、同一のモータステータ50における検査対象の全セグメントコイル54の検査が終了したら、ステップS550からの剥離検査の完了処理に進む(
図6(c))。ステップS538において、まだ検査対象セグメントコイル54が残っていたら、ステップS540に進む。ステップS540では、次に検査するセグメントコイル54が、モータステータ50内で同列であるか否かを判断する。ここで同列とは、モータステータの周方向には同じ位置で、内径側から外径側に並んだ1列分を指す。本実施例で例示するモータステータは、周方向に24個(列)、径方向に3層のセグメントコイル54を含んでいるので、1列には3個のセグメントコイル54の対(セグメントコイル54自体は6個)が含まれる(
図4(c)参照)。
【0056】
導通プローブ412、414の移動が同一列内であれば、Y軸直動機構310が備えるステッピングモータを検査部制御手段450が駆動制御して、セグメントコイル54の1対分だけ導通プローブ412、414を内径側から外径側へ、もしくはその逆に移動する(ステップS542)。ステップS540において、導通プローブ412、414の移動が同一列内ではなく隣の列への移動であれば、載置手段110のステッピングモータ212を駆動制御して、1セグメント分だけモータステータ50を周方向に回転させる(ステップS544)。そして、同一モータステータ50内のすべてのセグメントコイル54の検査が終了するまで、上記処理を継続する。
【0057】
剥離検査処理が終了したら(ステップS550)、
図6(c)の後処理に移る。この後処理は、モータステータ50の剥離検査で不具合品(NG品)の有無を調べる処理である。制御装置460が備える記憶手段462に、不良(NG)情報が記憶されているか否かを確認する(ステップS552)。もし1個でも不良(NG)の発生が記憶されていたならば、ステップS554でアラームを発生し、作業者に報知する。作業者はアラームを聞いて、対応する位置の剥離状況を調べ、その剥離の不具合の発生が、剥離機械に固有のものであれば剥離機械を修繕または改善するであろう。また、単発的に何らかの要因で発生したものであれば、手作業等で剥離部を修正することになるだろう。つまり、このよう後処理を設けることにより、同一の剥離機械が継続的に不良を発生することを早期に防止できる。
【0058】
セグメントコイル54の剥離検査方法の他の実施例を
図7に示す。この
図7において、
図6と同一のステップ番号を施した処理は、
図6の処理と同一であるから説明を省略する。本実施例が、
図6に示した実施例と異なるのは、剥離検査において、不良(NG)を検出したときに、即座に検査を中断することにある。これは不良発生の頻度が極めてまれである場合に、自動作業を止めてでも、早期に不良品を抽出して、多数の不良品についての検査を余儀なくされることを回避するためである。
【0059】
具体的には、導通位置での検査であるステップS522または非導通または絶縁位置での検査であるステップS528の処理において、不良が検出されたら、即座に自動での検査を停止し(ステップS610)、作業者にアラームで報知する(ステップS612)。作業者はアラームを聞いて、不良が検出されたモータステータ50を検査部120から取り除いて新しいモータステータ50を検査部に配置させるか、以後の検査を止めるかする。これにより不良品の継続発生を回避し、不良品のための検査作業を最小限にする。本方法は、不良品となったモータステータ50のステータコアに、再度一からセグメントコイルを巻き直す場合に適した方法である。
【0060】
以上説明したように本発明の各実施例によれば、自動で確実に、セグメントコイルの接合部にある剥離部が適正であるか否かを判断でき、作業効率が向上すると共に信頼性が向上する。また、作業者の目視での監視等が不要となり、作業者の負担が極度に低減する。さらに、同一の剥離装置に起因する不具合の発生等では、早期に剥離不良の原因を剥離装置にフィードバックでき、モータステータ製造の歩留まり率が向上もしくは不良品に係る作業量を低減する。
【符号の説明】
【0061】
50…(モータ)ステータ、50a…基準位置、52…ステータコア、54…セグメントコイル、56…接合部、58…(上)端面、60、60a、60b、60c…測定側面、62…剥離部、64…絶縁部(非剥離部)、66…隙間(空間)、70…(セグメントコイル)端部、100…剥離検査装置、110…載置手段、120…検査部、212…ステッピングモータ、214…(歯付き)プーリ、216…歯付きベルト、218…(歯付き)プーリ、220…載置台、222…ステータ嵌合軸(模擬ロータ)、230…シリンダ、232…位置決めブロック、310…Y軸直動機構、312…スライダ、314…ガイドレール、320…取付け装置、330…第1のZ軸直動機構、332…ガイドレール、334…スライダ、350…第2のZ軸直動機構、352…ガイドレール、354…スライダ、356…ベース板(取付板)、357…(ストッパ)取付板、358…ストッパ、360…シリンダ保持具、370…シリンダ(アクチュエータ)、372…ベース板(測長プローブ取付板)、380…測長プローブ、381…当接部、400…制御手段、410…(導通)プローブ保持具、412…(第1の)導通プローブ(側面用)、414…(第2の)導通プローブ(端面用)、420…回動手段(回転円板)、422、424…当接部、450…検査部制御手段、460…制御装置、462…記憶手段、464…回転制御装置、470…(上)回転円板、472…(下)回転円板、474…支柱、476、478…リード線、482…キャップ、484…バネ