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特開2024-1477163D NAND構造内にタングステンおよび他の金属を堆積させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147716
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】3D NAND構造内にタングステンおよび他の金属を堆積させる方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/06 20060101AFI20241008BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20241008BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20241008BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
C23C16/06
C23C16/455
H01L21/285 C
H10B41/27
H10B43/27
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114404
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2020561743の分割
【原出願日】2019-05-03
(31)【優先権主張番号】62/666,588
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブテイル・ゴラン
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ・ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】バムノルカー・ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラダラジャン・セシャサイー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィーチャに金属含有材料を充填するための方法および装置を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、金属含有材料によって構造を充填する方法に関し、この方法は、金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、その構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、1回以上の交互の還元剤(例えば、水素(H2))ドーズパルス/不活性ガスパージパルスへの暴露と、その後に続いて、1回以上の交互の金属前駆体ドーズパルスと不活性ガスパージパルスへの暴露を含む。金属は、いくつかの実施形態において、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)であってよい。いくつかの実施形態では、構造は、製造途中の(3D)NAND構造である。さらに、この方法を実施するための装置を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、
前記構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、
水素(H2)パルスへの暴露と、その後の不活性ガスパージパルスへの暴露と、
複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスへの暴露と、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記金属は、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記金属前駆体は、塩素含有金属前駆体である、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、塩化タングステンまたはオキシ塩化タングステンを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、WCl5およびWCl6のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、塩化モリブデンまたはオキシ塩化モリブデンを含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、MoCl5、MoO2Cl2、およびMoOCl4のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項8】
請求項3に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体のパルスは、体積で約0.1%~約1.5%の間の塩素含有タングステン前駆体を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスへの前記暴露は、前記金属前駆体パルスの最中に前記不活性ガスパージの流れをオフにすることを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記不活性ガスパージパルスの継続時間は、前記金属前駆体パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、各堆積サイクルは、少なくとも5回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、各堆積サイクルは、少なくとも10回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、各堆積サイクルは、1回のみのH2パルスを含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、各堆積サイクルは、複数回の交互のH2パルスと不活性ガスパルスを含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記構造は、製造途中の3次元(3D)NAND構造であって、前記3D NAND構造は、側壁と、前記側壁に複数の開口部と、を有し、前記開口部は、前記開口部を通して流体アクセス可能な複数の内部領域を有する複数のフィーチャにつながっている、方法。
【請求項16】
装置であって、
基板を保持するようにそれぞれ構成された1つ以上の処理チャンバと、
水素(H2)ガス源、金属前駆体ガス源、および不活性パージガス源に結合するための1つ以上の処理ガス入口と、
前記装置におけるオペレーションを制御するためのコントローラと、を備え、前記コントローラは、複数回の堆積サイクルを実行するためのマシン可読命令を含み、各堆積サイクルは、
前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに水素(H2)パルスを注入することと、
前記H2パルスの注入後に、前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに不活性パージガスパルスを注入することと、
前記不活性パージガスパルスの注入後に、前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを注入することと、を含む、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記金属前駆体は、塩素含有前駆体である、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、前記金属前駆体は、塩化タングステン、オキシ塩化タングステン、塩化モリブデン、およびオキシ塩化モリブデンのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【請求項19】
請求項16に記載の装置であって、前記命令は、前記金属前駆体パルスの最中に前記不活性ガスパージの流れをオフにするための命令を含む、装置。
【請求項20】
請求項16に記載の装置であって、前記不活性ガスパージパルスの継続時間は、前記金属前駆体パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である、装置。
【請求項21】
請求項16に記載の装置であって、各堆積サイクルは、少なくとも5回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、装置。
【請求項22】
方法であって、
金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、
前記構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、
複数回の交互の水素(H2)パルスと不活性ガスパージパルスへの暴露と、
金属前駆体パルスおよび、続く不活性ガスパージパルスへの暴露と、を含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記金属は、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)である、方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、前記金属前駆体は、塩素含有前駆体である、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、塩化タングステンまたはオキシ塩化タングステンを含む、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、塩化モリブデンまたはオキシ塩化モリブデンを含む、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、WCl5、WCl6、MoCl5、MoO2Cl2、およびMoOCl4のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法であって、前記塩素含有金属前駆体のパルスは、体積で約0.1%~約1.5%の間の塩素含有タングステン前駆体を含む、方法。
【請求項29】
請求項22に記載の方法であって、複数回の交互のH2パルスと不活性ガスパージパルスへの前記暴露は、前記H2パルスの最中に前記不活性ガスパージの流れをオフにすることを含む、方法。
【請求項30】
請求項22に記載の方法であって、前記不活性ガスパージパルスの継続時間は、前記H2パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である、方法。
【請求項31】
請求項22に記載の方法であって、各堆積サイクルは、少なくとも5回の交互のH2パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
【請求項32】
請求項22に記載の方法であって、各堆積サイクルは、少なくとも10回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
【請求項33】
請求項22に記載の方法であって、各堆積サイクルは、1回のみの金属前駆体パルスを含む、方法。
【請求項34】
請求項22に記載の方法であって、各堆積サイクルは、複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
【請求項35】
請求項22に記載の方法であって、前記構造は、製造途中の3次元(3D)NAND構造であって、前記3D NAND構造は、側壁と、前記側壁に複数の開口部と、を有し、前記開口部は、前記開口部を通して流体アクセス可能な複数の内部領域を有する複数のフィーチャにつながっている、方法。
【請求項36】
装置であって、
基板を保持するようにそれぞれ構成された1つ以上の処理チャンバと、
水素(H2)ガス源、金属前駆体ガス源、および不活性パージガス源に結合するための1つ以上の処理ガス入口と、
前記装置におけるオペレーションを制御するためのコントローラと、を備え、前記コントローラは、複数回の堆積サイクルを実行するためのマシン可読命令を含み、各堆積サイクルは、
前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに複数回の交互の水素(H2)パルスと不活性ガスパージパルスを注入することと、
前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに金属前駆体パルスを注入することと、
前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバにパージガスパルスを注入することと、を含む、装置。
【請求項37】
請求項36に記載の装置であって、前記金属前駆体は、塩素含有前駆体である、装置。
【請求項38】
請求項37に記載の装置であって、前記金属前駆体は、塩化タングステン、オキシ塩化タングステン、塩化モリブデン、およびオキシ塩化モリブデンのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[参照による引用]
PCT申請書は、本出願の一部として本明細書と併せて提出される。併せて提出されるPCT申請書に挙げるように、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
タングステン含有材料の堆積は、多くの半導体製造プロセスの欠かせない一部である。このような材料は、水平配線、隣接する金属層間のビア、および金属層とデバイスとの間のコンタクトに用いられることがある。従来のタングステン堆積プロセスでは、真空チャンバ内で基板を処理温度に加熱して、(核形成層とも呼ばれる)シード層として機能するタングステン膜の極めて薄い部分を堆積させる。その後、化学気相成長(CVD)プロセスにおいて2種類の反応物質に同時に基板を暴露することにより、タングステン膜の(バルク層と呼ばれる)残り部分を核形成層の上に堆積させる。一般的に、バルク層は、核形成層よりも高速で堆積される。しかしながら、当業界で、デバイスのシュリンクが進み、より複雑なパターニング方式が用いられることに伴って、タングステン薄膜の堆積は、難題となる。3D NAND構造のような複雑な高アスペクト比構造への堆積は、特に困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において、金属含有材料によってフィーチャを充填するための方法および装置を提供する。本開示の一態様は、金属含有材料によって構造を充填する方法に関し、この方法は、金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、その構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、1回以上の交互の還元剤(例えば、水素(H2))ドーズパルス/不活性ガスパージパルスへの暴露と、その後に続いて、1回以上の交互の金属前駆体ドーズパルスと不活性ガスパージパルスへの暴露を含む。金属は、いくつかの実施形態において、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)であってよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、構造は、製造途中の3次元(3D)NAND構造であって、これは、側壁と、その側壁に複数の開口部と、を有し、それらの開口部は、開口部を通して流体アクセス可能な複数の内部領域を有する複数のフィーチャにつながっている。いくつかの実施形態において、金属前駆体は、六塩化タングステン、五塩化タングステン、四塩化タングステン、五塩化モリブデン、二塩化二酸化モリブデン、四塩化酸化モリブデン、およびそれらの混合物のような、塩素含有金属前駆体である。いくつかの実施形態において、塩素含有金属前駆体のパルスは、体積で約0.1%~約5.0%の間の塩素含有金属前駆体を含む。いくつかの実施形態では、複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスへの暴露は、金属前駆体パルスの最中に不活性ガスパージ流をオフにすることを含む。いくつかの実施形態では、不活性ガスパージパルスの継続時間は、金属前駆体パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である。いくつかの実施形態において、各堆積サイクルは、少なくとも5回または少なくとも10回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む。いくつかの実施形態では、各堆積サイクルは、1回のみのH2パルスを含む。他の実施形態では、各堆積サイクルは、複数回の交互のH2パルスと不活性ガスパルスを含む。
【0005】
本開示の他の態様は、金属含有材料によって構造を充填する方法に関し、この方法は、金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、その構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、還元剤(例えば、水素(H2))ドーズパルスへの暴露と、その後に続いて、不活性ガスパルスへの暴露と、さらに、複数回の交互の金属前駆体ドーズパルスと不活性ガスパージパルスへの暴露を含む。いくつかの実施形態では、構造は、製造途中の3次元(3D)NAND構造であって、これは、側壁と、その側壁に複数の開口部と、を有し、それらの開口部は、開口部を通して流体アクセス可能な複数の内部領域を有する複数のフィーチャにつながっている。いくつかの実施形態において、金属前駆体は、六塩化タングステン、五塩化タングステン、四塩化タングステン、五塩化モリブデン、二塩化二酸化モリブデン、四塩化酸化モリブデン、およびそれらの混合物のような、塩素含有金属前駆体である。いくつかの実施形態において、塩素含有金属前駆体のパルスは、体積で約0.1%~約5.0%の間の塩素含有金属前駆体を含む。いくつかの実施形態では、複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスへの暴露は、金属前駆体パルスの最中に不活性ガスパージ流をオフにすることを含む。いくつかの実施形態では、不活性ガスパージパルスの継続時間は、金属前駆体パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である。いくつかの実施形態において、各堆積サイクルは、少なくとも5回または少なくとも10回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む。
【0006】
本開示の他の態様は、装置に関し、この装置は、基板を保持するようにそれぞれ構成された1つ以上の処理チャンバと、還元剤(例えば、水素(H2))ガス源、金属前駆体ガス源、および不活性パージガス源に結合するための1つ以上の処理ガス入口と、この装置におけるオペレーションを制御するためのコントローラと、を備え、コントローラは、複数回の堆積サイクルを実行するためのマシン可読命令を含み、各堆積サイクルは、1つ以上の処理ガス入口を介して1つ以上の処理チャンバに水素(H2)パルスを注入することと、H2パルスの注入後に、1つ以上の処理ガス入口を介して1つ以上の処理チャンバに不活性パージガスパルスを注入することと、不活性パージガスパルスの注入後に、1つ以上のパージガス入口を介して1つ以上の処理チャンバに複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを注入することと、を含む。いくつかの実施形態では、金属前駆体は、塩素含有金属前駆体である。いくつかの実施形態では、命令は、金属前駆体パルスの最中に不活性ガスパージ流をオフにするための命令を含む。いくつかの実施形態では、不活性ガスパージパルスの継続時間は、金属前駆体パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である。いくつかの実施形態では、各堆積サイクルは、少なくとも5回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む。いくつかの実施形態では、各堆積サイクルは、少なくとも10回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む。
【0007】
本開示の他の態様は、金属含有材料によって構造を充填する方法に関し、この方法は、金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、その構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、複数回の交互の水素(H2)パルスと続いて不活性ガスパルスへの暴露と、さらに、金属前駆体パルスと続いて不活性ガスパージパルスへの暴露を含む。いくつかの実施形態では、構造は、製造途中の3次元(3D)NAND構造であって、これは、側壁と、その側壁に複数の開口部と、を有し、それらの開口部は、開口部を通して流体アクセス可能な複数の内部領域を有する複数のフィーチャにつながっている。いくつかの実施形態では、金属前駆体は、塩素含有金属前駆体である。いくつかの実施形態において、塩素含有金属前駆体のパルスは、体積で約0.1%~約5.0%の間の塩素含有金属前駆体を含む。いくつかの実施形態では、複数回の交互のH2パルスと不活性ガスパージパルスへの暴露は、金属前駆体パルスの最中に不活性ガスパージ流をオフにすることを含む。いくつかの実施形態では、各堆積サイクルは、1回のみの金属前駆体パルスを含む。他の実施形態では、各堆積サイクルは、複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパルスを含む。
【0008】
本開示の他の態様は、装置に関し、この装置は、基板を保持するようにそれぞれ構成された1つ以上の処理チャンバと、水素(H2)ガス源、金属前駆体ガス源、および不活性パージガス源に結合するための1つ以上の処理ガス入口と、この装置におけるオペレーションを制御するためのコントローラと、を備え、コントローラは、複数回の堆積サイクルを実行するためのマシン可読命令を含み、各堆積サイクルは、1つ以上のパージガス入口を介して1つ以上の処理チャンバに複数回の交互のH2パルスと不活性ガスパージパルスを注入することと、金属前駆体パルスと続いて不活性ガスパルスを注入することと、を含む。いくつかの実施形態では、金属前駆体は、塩素含有金属前駆体である。いくつかの実施形態では、命令は、H2パルスの最中に不活性ガスパージ流をオフにするための命令を含む。
【0009】
これらおよび他の態様について、図面を参照して、以下でさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、基板上の例示的な膜の概略図である。
【0011】
図1B図1Bは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
図1C図1Cは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
図1D図1Dは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
図1E図1Eは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
図1F図1Fは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
図1G図1Gは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
図1H図1Hは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
図1I図1Iは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
図1J図1Jは、開示されるいくつかの実施形態に従ってタングステンまたはモリブデンが堆積され得る種々の構造の概略例である。
【0012】
図2A図2Aは、開示されるいくつかの実施形態による方法のオペレーションを示すプロセスフロー図である。
図2B図2Bは、開示されるいくつかの実施形態による方法のオペレーションを示すプロセスフロー図である。
図2C図2Cは、開示されるいくつかの実施形態による方法のオペレーションを示すプロセスフロー図である。
【0013】
図3図3は、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる方法における例示的なサイクルを示すタイミングシーケンス図である。
【0014】
図4A図4Aは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4B図4Bは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4C図4Cは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4D図4Dは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4E図4Eは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4F図4Fは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4G図4Gは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4H図4Hは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4I図4Iは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を堆積させる機構の一例の概略図である。
図4J図4Jは、開示されるいくつかの実施形態に従って膜を
【0015】
図5図5は、H2/Ar/WClx/Arシーケンスを用いた場合と、H2/Ar/n(WClx/Ar)シーケンスを用いた場合の、3D NAND構造のタングステン充填を比較した実験結果の図を示している。
【0016】
図6図6は、開示されるいくつかの実施形態を実施するための例示的なプロセスツールの概略図である。
【0017】
図7図7は、開示されるいくつかの実施形態を実施するための例示的なステーションの概略図である。
【0018】
図8図8は、いくつかの実施形態に従って使用され得るマニホールドシステムの基本的特徴を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明では、提示する実施形態についての完全な理解を与えるため、様々な具体的詳細について記載する。開示される実施形態は、それら特定の詳細の一部または全てを省いて実施してもよい。一方で、開示される実施形態を不必要に不明瞭にすることがないよう、周知の工程処理については詳細に記載していない。開示される実施形態は、具体的な実施形態に関連して説明されるものの、それは、開示される実施形態を限定するものではないことは理解されるであろう。
【0020】
タングステン(W)によるフィーチャ充填は、半導体デバイスの製造において、電気的コンタクトを形成するために、よく用いられる。タングステン膜を堆積させる従来の方法では、最初にタングステン核形成層をビアまたはコンタクト内に堆積させる。一般的に、核形成層は、その上へのバルク材のその後の形成を促すように機能するコンフォーマル薄層である。タングステン核形成層は、フィーチャの側壁および底をコンフォーマルに被覆するように堆積され得る。高品質の堆積をサポートするためには、下にあるフィーチャの底および側壁に適合することが重要となり得る。核形成層は、多くの場合、原子層堆積(ALD)法またはパルス核形成層(PNL)法を用いて堆積される。
【0021】
PNL法では、反応物質のパルスを、順次注入し、そして、典型的には反応物質の合間のパージガスのパルスによって、反応チャンバからパージさせる。最初の反応物質を基板上に吸着させることができ、次の反応物質と反応させることができるようになる。このプロセスを、所望の厚さが得られるまで周期的に繰り返す。PNL法は、ALD法に類似している。PNLは、一般的に、その動作圧力範囲がより高い(1トル超である)ことと、1サイクルあたりの成長速度がより高い(1サイクルあたりの膜成長が1原子層を超える)ことによって、ALDと区別される。PNL堆積の際のチャンバ圧力は、約1トル~約400トルの範囲であってよい。本明細書で提示する説明の文脈では、PNLは、半導体基板上での反応のための反応物質を順次加える任意の周期的プロセスを、広く具現化する。従って、この概念は、従来よりALDと呼ばれる手法を、具現化する。開示される実施形態の文脈では、化学気相成長(CVD)は、気相反応または表面反応のために反応物質が一緒に反応器に導入されるプロセスを具現化する。PNLプロセスおよびALDプロセスは、CVDプロセスとは異なり、その逆もまた同様である。
【0022】
タングステン核形成層を堆積させた後に、典型的にはCVDプロセスによって、水素(H2)のような還元剤を用いて六フッ化タングステン(WF6)を還元することにより、バルクタングステンを堆積させる。バルクタングステンは、タングステン核形成層とは異なる。本明細書で使用する場合のバルクタングステンとは、フィーチャの少なくとも約50%など、フィーチャの大部分または全体を充填するために用いるタングステンを指す。その上へのバルク材のその後の形成を促すように機能するコンフォーマル薄膜である核形成層とは異なり、バルクタングステンは、電流を運ぶために用いられる。それは、核形成膜と比較して、より大きい粒子サイズおよびより低い抵抗率によって特徴付けられることがある。種々の実施形態において、バルクタングステンは、少なくとも50Åの厚さに堆積されるタングステンである。
【0023】
より微細なテクノロジノードへとデバイスのスケーリングが進むとともに、より複雑なパターニング構造が用いられることに伴って、タングステン充填において様々な課題が生じる。従来のタングステン堆積は、フッ素含有前駆体である六フッ化タングステン(WF6)の使用を伴っていた。ところが、WF6を使用すると、結果的に、堆積後のタングステン膜にフッ素がいくらか取り込まれる。フッ素が存在することによって、エレクトロマイグレーションおよび/または隣接するコンポーネントへのフッ素拡散が発生する可能性があるとともに、コンタクトを損傷する可能性があり、これにより、デバイスの性能が低下する。課題の1つは、堆積後のタングステン膜中のフッ素含有量を低減することである。ある特定のフッ素濃度の影響は、フィーチャサイズが小さくなるにつれて、大きくなる。これは、フィーチャが小さいほど、より薄い膜が堆積されて、堆積後のタングステン膜中のフッ素は、より薄い膜を抜けて拡散する可能性が高くなるからである。
【0024】
フッ素拡散を防ぐ1つの方法として、タングステンを堆積させる前に、フッ素がタングステンから酸化物層のような基板の他の層に拡散することを阻止するための1つ以上のバリア層を堆積させることが挙げられる。例えば、図1Aは、基板上に堆積された層の例示的なスタックを示している。基板190は、シリコン層192と、酸化物層194(例えば、酸化チタン(TiOx)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)酸化物など)と、バリア層196(例えば、窒化チタン(TiN))と、タングステン核形成層198と、バルクタングステン層199と、を含む。バリア層196は、バルクタングステン層199およびタングステン核形成層198から酸化物層へのフッ素拡散を防ぐために堆積される。しかしながら、デバイスのシュリンクが進むにつれて、バリア層はより薄くなり、堆積後のタングステン層からフッ素が拡散することが依然としてあり得る。より高温でバルクタングステンの化学気相成長を実施することで、結果的にフッ素含有量は低減するが、そのような膜は、ステップカバレッジが不十分であり得る。
【0025】
別の課題は、堆積後の膜における応力を低減することである。より薄いタングステン膜ほど、より大きな引張応力を有する傾向がある。化学気相成長によってバルクタングステン膜を堆積させるための従来の技術では、200Åの膜の場合、2.5GPaを超える引張応力を有する。高い熱引張応力によって、基板のカールを引き起こし、これにより、後続の処理が困難となる。例えば、後続のプロセスには、化学機械平坦化、材料の堆積、および/またはチャンバ内でプロセスを実施するために基板を基板ホルダにクランプすること、が含まれることがある。しかしながら、これらのプロセスは、多くの場合、基板が平坦であることに依拠しており、カールした基板では、結果的に、不均一な処理となるか、または基板を処理することが不可能となる。アニールのように、他の材料の膜における応力を低減するための既存の方法はあるものの、タングステンは、その高融点のため、堆積後の粒子の移動または変化を可能とする表面移動度を有していない。
【0026】
そのような信頼性および集積の問題、またはデバイス性能の問題を回避するために、フッ素フリータングステン(FFW)前駆体が有用である。現在のFFW前駆体として、有機金属前駆体が含まれるが、炭素、水素、窒素、および酸素のような、有機金属前駆体からの望ましくない微量の元素が、タングステン膜に取り込まれることもある。また、いくつかのフッ素フリー有機金属前駆体は、タングステン堆積プロセスにおける実施または統合が容易ではない。
【0027】
本明細書に記載のいくつかの実現形態は、塩化タングステン(WClx)前駆体を用いたタングステンの堆積に関するものである。塩化タングステンとして、五塩化タングステン(WCl5)、六塩化タングステン(WCl6)、四塩化タングステン(WCl4)、二塩化タングステン(WCl2)、およびそれらの混合物が含まれる。本明細書における例では、例としてWCl5およびWCl6を挙げているが、開示される実施形態では、他の塩化タングステンを使用してよいと理解される。開示されるいくつか実施形態を用いて堆積される膜は、フッ素フリーのものである。開示されるいくつかの実施形態は、塩素含有タングステン前駆体と水素の交互のパルスを用いてバルクタングステンを堆積させることに関するものである。
【0028】
WCl5およびWCl6による堆積は、塩化タングステンによる浸食の可能性があるので、WF6の場合にはない課題を提示する。塩化タングステンは、反応性がより低い結果として、WF6を用いた堆積よりも高温で堆積が実施される。蒸発したWCl6は、タングステン堆積チャンバ内に運ばれるのに十分に高い蒸気圧を有する。しかしながら、WCl6は、WCl5よりも基板を浸食する可能性が高くなり得る。WCl5は、基板を浸食する可能性はより低いものの、WCl5は、蒸気圧も、WCl6よりも高くなる。より低い蒸気圧は、抵抗率の低いタングステン膜を堆積させるのに有用であるが、いくつかの堆積オペレーションでは、ステップカバレッジが不十分であり得る。
【0029】
また、本明細書に記載の方法は、塩化モリブデン前駆体またはオキシ塩化モリブデン前駆体によるモリブデン(Mo)の堆積のために用いてもよい。モリブデンは、低抵抗のメタライゼーションスタック構造を形成するために用いてよく、タングステンの代わりとなり得る。
【0030】
開示される実施形態は、幅広く様々に応用できる。この方法は、タングステンまたはモリブデンをフィーチャ内に高ステップカバレッジで堆積させるために用いてよく、また、タングステンを3D NAND構造内に堆積させるために用いてもよい。
【0031】
本明細書に記載の方法は、チャンバ内に収容され得る基板上で実施される。基板は、例えば、200mmウェハ、300mmウェハ、または450mmウェハであるシリコンまたは他の半導体のウェハであってよく、その上に堆積された誘電材料、導電材料、または半導体材料などの1つ以上の材料層を有するウェハが含まれる。この方法は、半導体基板に限定されることなく、タングステンのような金属によって任意のフィーチャを充填するために実施されてよい。
【0032】
基板は、ビアまたはコンタクトホールのようなフィーチャを有するものであってよく、それらは、幅狭および/またはリエントラント型の開口部、フィーチャ内の狭窄部、高アスペクト比、のうちの1つ以上を特徴とするものであり得る。フィーチャは、上記の層のうちの1つ以上に形成されてよい。例えば、フィーチャは、誘電体層内に少なくとも部分的に形成されたものであり得る。いくつかの実施形態において、フィーチャは、少なくとも約2:1の、少なくとも約4:1の、少なくとも約6:1の、少なくとも約10:1の、少なくとも約25:1の、またはさらに高いアスペクト比を有し得る。フィーチャの一例は、半導体基板内または基板上の層内の孔もしくはビアである。
【0033】
図1B~1Hは、開示される実施形態に従って金属が堆積され得る種々の構造の概略例である。図1Bは、タングステンまたはモリブデンのような金属で充填される垂直フィーチャ101の断面図の一例を示している。フィーチャは、基板103内のフィーチャ孔105を含み得る。孔105または他のフィーチャは、開口付近の寸法として、約10nm~500nmの間の、例えば約25nm~約300nmの間の、例えば開口径またはライン幅を有し得る。フィーチャ孔105は、未充填フィーチャ、または単にフィーチャと呼ぶことができる。このようなフィーチャ101、および任意のフィーチャは、フィーチャの長さにわたって延びる軸118によって部分的に特徴づけられる場合があり、垂直向きのフィーチャは垂直軸を有し、水平向きのフィーチャは水平軸を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、フィーチャは、3D NAND構造内のワードラインフィーチャである。例えば、基板は、少なくとも200Åの深さの垂直チャネルと共に、任意の数(例えば、50~150)のワードラインを有するワードライン構造を含み得る。他の例は、基板内または層内のトレンチである。フィーチャは、任意の深さのものであってよい。種々の実施形態において、フィーチャは、バリア層または接着層のような下層を有し得る。下層の非限定的な例として、誘電体層および導電層が含まれ、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および金属の層が含まれる。
【0035】
図1Cは、リエントラント型プロファイルを有するフィーチャ101の一例を示している。リエントラント型プロファイルは、フィーチャの閉じた底端または内部からフィーチャ開口に向かって窄まるプロファイルである。いくつかの実現形態によれば、プロファイルは、徐々に窄まるもの、および/またはフィーチャ開口にオーバハングを含むものであり得る。図1Cは、後者の一例を示しており、フィーチャ孔105の側壁または内面を下層113によってライニングしている。下層113は、例えば、拡散バリア層、接着層、核形成層、それらの組み合わせ、または他のいずれかの適合材とすることができる。下層の非限定的な例として、誘電体層および導電層を含むことができ、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および金属の層を含むことができる。具体的な実現形態では、下層は、チタン、窒化チタン、窒化タングステン、チタンアルミナイド、タングステン、モリブデンのうちの1つ以上とすることができる。いくつかの実施形態では、下層は、タングステンを含まないものである。いくつかの実施形態では、下層は、モリブデンを含まないものである。下層113は、オーバハング115を形成しており、これにより、下層113は、フィーチャ101の開口付近において、フィーチャ101内部よりも厚くなっている。
【0036】
いくつかの実現形態では、フィーチャ内に1つ以上の狭窄部を有するフィーチャに充填する場合がある。図1Dは、狭窄部を有する種々のフィーチャが充填された図の例を示している。図1Dの例(a)、(b)、(c)のそれぞれは、フィーチャ内の中間点に狭窄部109を含んでいる。狭窄部109は、例えば、約15nm~20nmの間の幅であり得る。従来の技術を用いたフィーチャ内へのタングステンまたはモリブデンの堆積の際に、狭窄部を越えた先の堆積を、フィーチャのその部分が充填される前に、堆積された金属が阻害することで、狭窄部はピンチオフの原因となることがあり、その結果、フィーチャ内にボイドが生じる。例(b)は、さらに、ライナ/バリアのオーバハング115を、フィーチャ開口に含んでいる。このようなオーバハングも、やはりピンチオフ点となる可能性があり得る。例(c)は、例(b)のオーバハング115よりもフィールド領域からさらに離れたところに狭窄部112を含んでいる。
【0037】
また、3Dメモリ構造のような水平フィーチャを充填することもできる。図1Eは、狭窄部151を含む水平フィーチャ150の一例を示している。例えば、水平フィーチャ150は、3D NAND構造におけるワードラインであり得る。いくつかの実現形態では、狭窄部は、3D NANDまたは他の構造においてピラーが存在することによるものであり得る。例えば、図1Fは、(半導体基板103上に形成された)3D NAND(垂直NANDすなわちVNANDとも呼ばれる)構造110の側断面図を提示しており、これは、(左側125と右側126の)VNANDスタックと、中央垂直構造130と、中央垂直構造130の相対する両側壁140に開口部122を伴って積層された複数の水平フィーチャ120と、を有する。なお、図1Fは、提示した3D NAND構造110の、「トレンチ状」の中央垂直構造130を共に形成する2つの「スタック」を示しているが、いくつかの実施形態では、2つよりも多くの「スタック」が、互いに空間的に平行に延在するとともに順に並べて配置され得ることに留意すべきであり、このとき、隣接する「スタック」の各ペアの間の間隙は、図1Fに明示するような中央垂直構造130を形成する。この実施形態では、水平フィーチャ120は、中央垂直構造130から開口部122を通して流体アクセス可能な3Dメモリワードラインフィーチャである。図面には明示していないが、図1Fに示す両方の3D NANDスタック125および126(すなわち、左側の3D NANDスタック125および右側の3D NANDスタック126)内にある水平フィーチャ120は、(図示していないが、左寄りおよび右寄りに)追加される3D NANDスタックによって形成される同様の垂直構造を通して、スタックの他方の側(それぞれ左端側および右端側)からもアクセス可能である。すなわち、各々の3D NANDスタック125、126は、その3D NANDスタックの両側から中央垂直構造130を通して流体アクセス可能なワードラインフィーチャのスタックを含む。図1Fに概略的に示す具体例では、各々の3D NANDスタックは、6対の積層されたワードラインを含むが、他の実施形態では、3D NANDメモリレイアウトは、垂直に積層された任意の数のワードライン対を含んでよい。
【0038】
3D NANDスタック内のワードラインフィーチャは、典型的には、シリコン酸化物層とシリコン窒化物層とを交互に重ねたスタックを堆積させてから、間隙を間に有する酸化物層のスタックを残して、窒化物層を選択的に除去することにより、形成される。これらの間隙は、ワードラインフィーチャである。ワードラインを形成するための利用可能な技術、ならびに垂直フィーチャの(概ね)ボイドフリーの充填を成功させるために利用可能な技術があれば、そのような3D NAND構造内に、任意の数のワードラインを垂直に積層してよい。従って、例えば、VNANDスタックは、2~256の間の数の水平ワードラインフィーチャ、または8~128の間の数の水平ワードラインフィーチャ、または16~64の間の数の水平ワードラインフィーチャ、などを含み得る(列挙した範囲は、記載された端点を含むものと理解される)。
【0039】
図1Gは、図1Fに側面図で示すのと同じ3D NAND構造110の、図1Fに水平破線で示すような水平セクション160の断面による、水平断面図を提示している。図1Gの断面は、ピラー155のいくつかの列を示しており、これらは、図1Fでは、半導体基板103の基点から3D NANDスタック110の頂部まで垂直に延びるように示されている。いくつかの実施形態では、これらのピラー155は、ポリシリコン材料で形成されて、3D NAND構造110にとって構造的かつ機能的に重要なものである。いくつかの実施形態では、そのようなポリシリコン製のピラーは、それらのピラー内に形成される積層メモリセルのゲート電極として機能し得る。図1Gの平面図は、ワードラインフィーチャ120への開口部122において、ピラー155が狭窄部を形成していることを示しており、すなわち、(図1Gに矢印で示すような)中央垂直構造130からワードラインフィーチャ120への開口部122を介した流体アクセス可能性が、ピラー155によって阻害されることを示している。いくつかの実施形態では、隣接するポリシリコンピラー間の水平間隙のサイズは、約1~20nmの間である。このように流体アクセス可能性が低下することによって、タングステン材料でワードラインフィーチャ120を均一に充填することの難しさが増大する。ワードラインフィーチャ1の構造、およびそれらをタングステン材料またはモリブデン材料で均一に充填することの、ピラー155の存在による難しさについて、図1H図1I、および図1Jにさらに示している。
【0040】
図1Hは、図1Fに示すものと同様の3D NAND構造の垂直切断面を提示しているが、ただし、この場合は、1対のワードラインフィーチャ120のみに焦点を当てるとともに、さらに、充填後のワードラインフィーチャ120に結果的にボイド175が形成された金属充填プロセスを概略的に示している。また、ボイド175を、図1Iにも概略的に示しているが、ただし、この図面では、図1Gに提示している水平切断面と同様に、ピラー155の水平切断面によって示している。図1Jは、狭窄形成ピラー155の周りでのタングステンまたはモリブデン材料の滞留を示しており、この滞留の結果として、開口部122のピンチオフが生じることで、ボイド175の領域にさらなるタングステンまたはモリブデン材料を堆積させることはできなくなる。図1Hおよび図1Iから明らかなのは、ボイドフリーのタングステンまたはモリブデンの充填は、開口部122のピンチオフの原因となってワードラインフィーチャ120内へのさらなる前駆体の移動を妨げるタングステンがピラー155の周りで滞留堆積しないうちに、十分な量の堆積前駆体が、垂直構造130を通って、開口部122を通り、狭窄形成ピラー155を通り過ぎて、ワードラインフィーチャ120の最も奥へと移動することに依拠するということである。同様に、図1Jは、上から断面的に見た1つのワードラインフィーチャ120のみを提示しており、タングステンまたはモリブデン材料の概ねコンフォーマルな堆積によって、ピラー155のかなりの幅が、さもなければワードラインフィーチャ120に貫通する開路であろうものを、部分的に閉塞および/または狭小および/または狭窄させるように作用することに起因して、ワードラインフィーチャ120の内部のピンチオフが始まる様子を示している。(留意すべきことは、図1Jの例は、図1Iに示すピラー狭窄部の構造の3Dフィーチャを2Dレンダリングしたものと理解することができ、従って、断面図ではなく平面図で見られるであろう狭窄部を示しているということである。)
【0041】
3次元構造は、最も奥底の領域の充填を可能とするためには、前駆体へのより長時間かつ/またはより集中的な暴露が必要となり得る。3次元構造は、WClx前駆体を採用する場合に、その浸食の傾向によって、より長時間かつより集中的な暴露では、構造の部分によっては、より多くの浸食が起こり得るので、特に困難である可能性がある。これらの課題は、塩化モリブデン前駆体の場合にも存在し得る。
【0042】
水平向きおよび垂直向きのフィーチャの場合のフィーチャ充填の例について、以下で説明する。なお、それらの例は、多くの場合、水平向きまたは垂直向きのフィーチャのどちらにも適用可能であることに留意すべきである。さらに、以下の説明において、「横方向」という用語は、フィーチャ軸に略垂直な方向を指して、「垂直方向」という用語は、フィーチャ軸に略沿った方向を指して使用され得ることにも留意すべきである。
【0043】
種々の実施形態によれば、以下で記載する方法は、1回のALDサイクル内で複数回の還元剤/パージサイクルおよび/または複数回の金属前駆体/パージサイクルに構造を暴露することを伴う。いくつかの実現形態では、以下の優位点のうちの1つ以上を実現してよい。いくつかの実施形態では、パージガスパルスを間に組み入れた複数回のタングステン含有前駆体ドーズ(Wはタングステン含有前駆体のパルスを表し、Arはアルゴンパージガスのパルスを表すとして、例えば、W/Ar/W/Ar/W/Ar/W/Ar)によって、3D NANDワードライン構造内または充填が困難な他の構造内の奥深くまで、タングステン含有前駆体を送り込むことが可能となる。いくつかの実現形態では、以下の優位点のうちの1つ以上を実現してよい。いくつかの実施形態では、パージガスパルスを間に組み入れた複数回のモリブデン含有前駆体ドーズ(Moはモリブデン含有前駆体のパルスを表し、Arはアルゴンパージガスのパルスを表すとして、例えば、Mo/Ar/Mo/Ar/Mo/Ar/Mo/Ar)によって、3D NANDワードライン構造内または充填が困難な他の構造内の奥深くまで、モリブデン含有前駆体を送り込むことが可能となる。
【0044】
それぞれの金属含有パルスの後の不活性ガスパージパルスによって、金属含有前駆体の1原子層が構造の全体に吸着されることが確保できる。いくつかの実施形態では、パージガスがそれぞれ後に続く複数回のパルスによって、金属含有前駆体の複数の原子層が、よりアクセスしやすい構造の部分に蓄積しないことが確保される。これにより、構造の望ましくない浸食を防ぐことができる。いくつかの実施形態では、交互のパルスを用いることによって、各パルスの前に金属前駆体槽の加圧が可能となる。これにより、フィーチャの底への流束を促進することができる。いくつかの実施形態では、パージガスパルスを間に組み入れた複数回の還元剤ドーズパルス(H2は還元剤であり、Wはタングステン含有前駆体のパルスを表し、Arはアルゴンパージガスのパルスを表すとして、例えば、H2/Ar/H2/Ar/W/Ar/W/Ar、または、Moはモリブデン含有前駆体のパルスを表すとして、H2/Ar/H2/Ar/Mo/Ar/Mo/Ar)によって、吸着した塩化物と還元剤が反応するのに十分な時間が得られるとともに、反応生成物(例えば、HCl)が表面から離れて、次のパルスにおける還元剤のための場所を空けることが可能となる。
【0045】
以下の説明では、タングステンによるフィーチャ充填およびモリブデンによるフィーチャ充填に焦点を当てているが、本開示の態様は、他の材料によるフィーチャ充填において実施されてもよい。例えば、本明細書に記載の1つ以上の技術を用いたフィーチャ充填を、他のタングステン含有材料(例えば、窒化タングステン(WN)、炭化タングステン(WC))、チタン含有材料(例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、チタンシリサイド(TiSi)、炭化チタン(TiC)、チタンアルミナイド(TiAl))、タンタル含有材料(例えば、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN))、ニッケル含有材料(例えば、ニッケル(Ni)、ニッケルシリサイド(NiSi))など、他の材料によってフィーチャを充填するために用いてもよい。さらに、本明細書に開示の方法および装置は、フィーチャ充填に限定されることなく、平坦面上にブランケット膜を形成するためなど、任意の適切な表面上にタングステンを堆積させるために用いることができる。
【0046】
図2A~2Cは、開示される実施形態に従って実施される方法についてのプロセスフロー図を提示している。以下で説明するように、この方法は、タングステンによって基板上の構造を充填するために実施される。構造の例については、図1B~1Hを参照して上記で説明している。
【0047】
温度は、採用する化学物質に応じて異なり得る。WClxおよびWOxCl4前駆体の場合、開示されるいくつかの実施形態は、約525℃など、約400℃~約600℃の間の基板温度で実施されてよい。基板温度とは、基板を保持するペデスタルで設定される温度を意味する。
【0048】
MoClxおよびMoOxCly前駆体の場合、開示されるいくつかの実施形態は、約525℃など、約400℃~約600℃の間の基板温度で実施されてよい。基板温度とは、基板を保持するペデスタルで設定される温度を意味する。
【0049】
開示されるいくつかの実施形態は、約3トル~約60トルの間のチャンバ圧力で実施されてよい。いくつかの実施形態では、WClx前駆体を用いたタングステン堆積の場合のチャンバ圧力は、5トル~20トルの間であり、例えば10トルである。
【0050】
図2Aを参照して、オペレーション200では、タングステンまたはモリブデンで充填すべき構造を、還元剤パルスに暴露する。いくつかの実施形態では、還元剤パルスは、水素(H2)である。シラン、ボラン、ゲルマン、ホスフィン、水素含有ガス、およびそれらの組み合わせなど、他の還元剤を用いてもよい。種々の実施形態において、バルクタングステン堆積またはバルクモリブデン堆積は、還元剤として水素を用いて実施される。他の反応物質を流入させることなく、還元剤はパルス化される。いくつかの実施形態では、キャリアガスを流入させてよい。いくつかの実施形態において、オペレーション200では、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、または他の不活性ガスのようなキャリアガスを流入させてよい。
【0051】
オペレーション200は、任意の適切な継続時間にわたって実施してよい。継続時間の例として、約0.25秒~約30秒の間の、約0.25秒~約20秒の間の、約0.25秒~約5秒の間の、または約0.5秒~約3秒の間の、継続時間が含まれる。
【0052】
オペレーション202では、基板表面に吸着しなかった余分な水素を除去するために、チャンバをパージする。パージは、一定の圧力で不活性ガスを流入させることによりチャンバの圧力を低下させ、そして別の反応ガスへの暴露を開始する前にチャンバを再加圧することによって、実施されてよい。不活性ガスの例として、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、およびそれらの混合物が含まれる。パージは、約0.25秒~約30秒の間の、約0.25秒~約20秒の間の、約0.25秒~約5秒の間の、または約0.5秒~約3秒の間の、継続時間にわたって実施されてよい。
【0053】
次に、オペレーション200および202を、k回実行されるまで繰り返し、この場合、kは、少なくとも21である整数である。一例では、オペレーション200の継続時間は、0.5秒であってよく、還元剤パルスの合間のオペレーション202の継続時間は、1秒であってよい。k=10の場合、タングステン前駆体の合計時間は、0.5×10=5秒であり、パージの合計時間は、1×10=10秒である。
【0054】
オペレーション204では、タングステン前駆体またはモリブデン前駆体に基板を暴露する。前駆体の例として、塩化タングステンおよびオキシ塩化タングステンのような塩素含有タングステン前駆体が含まれる。xは、2、3、4、5、または6など、2および6を含んで2~6の間の整数であるとして、塩化タングステンは、WClxであり得る。例として、WCl5およびWCl6が含まれる。塩素含有タングステン前駆体は、WClx化合物の混合物を含み得る。xおよびyは0より大きい数であるとして、オキシ塩化タングステンは、WOxClyを含む。モリブデンを堆積させるためには、塩化モリブデンおよびオキシ塩化モリブデンなどのモリブデン前駆体を用いる。これらには、五塩化モリブデン(MoCl5)、二塩化二酸化モリブデン(MoO2Cl2)、四塩化酸化モリブデン(MoOCl4)が含まれる。
【0055】
いくつかの実施形態において、オペレーション206では、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、または他の不活性ガスのようなキャリアガスを流入させてよい。
【0056】
オペレーション204は、任意の適切な継続時間にわたって、任意の適切な温度で実施してよい。いくつかの例では、オペレーション206は、約0.25秒~約30秒の間の、約0.25秒~約20秒の間の、約0.25秒~約5秒の間の、または約0.5秒~約3秒の間の、継続時間にわたって実施されてよい。このオペレーションは、いくつかの実施形態では、基板表面上の活性点を飽和させるのに十分な継続時間にわたって実施されてよい。いくつかの実施形態では、前駆体は、ドーズ前のガスライン充填およびライン変更のために分流させてよい。キャリアガスは、オペレーション202に関して上述したもののいずれかであり得る。
【0057】
種々の実施形態によれば、オペレーション204では、いくらかのWClxが、オペレーション200から表面上に残っているH2と反応することがあり、いくらかのWClxは、表面上に残っていたH2と完全には反応しないことがある。また、種々の実施形態において、いくらかのH2は、WClxと全く反応しないこともあり、WClxは、その代わりに、基板表面上に物理吸着したH2または留まっているH2がない場合の基板表面上に、物理吸着し得る。いくつかの実施形態では、H2は、基板表面上に留まり得るものの、表面に物理吸着または化学吸着されないことがある。図2Aのオペレーション204は、これにより、いくつかの実施形態において、タングステンのサブ原子層を形成し得る。同様に、オペレーション204は、いくつかの実施形態において、モリブデンのサブ原子層を形成し得る。
【0058】
フィーチャの表面上の水素または他の還元剤と反応しなかった、まだ気相のままである余分な前駆体をパージするために、オペレーション206で、パージを実施する。パージは、一定の圧力で不活性ガスを流入させることによりチャンバの圧力を低下させ、そして別のガスへの暴露を開始する前にチャンバを再加圧することによって、実施されてよい。
【0059】
任意の適切な継続時間にわたって、チャンバをパージしてよい。約0.25秒~約30秒の間の、約0.25秒~約20秒の間の、約0.25秒~約5秒の間の、または約0.5秒~約3秒の間の、継続時間にわたって、チャンバをパージしてよい。いくつかの実施形態では、パージ継続時間は、約0.1秒~約2秒の間であり、このパージ継続時間によれば、タングステン表面へのWClxの吸着率が低いことによって基板表面からWClxまたは他の前駆体がすべて除去されることを、回避し得る。いくつかの実施形態では、パージ継続時間は、約0.1秒~約15秒の間であり、例えば約7秒である。例えば、3D NAND構造の製造の場合に、チャンバは、オペレーション206において、約2秒間パージされてよい。パージガスは、オペレーション202に関して上述したガスのいずれかであり得る。
【0060】
次に、オペレーション204および206を、n回実行されるまで繰り返し、この場合、nは、少なくとも2である整数である。以下でさらに説明するように、パージによって区切られた複数回のタングステンパルスを堆積シーケンスで実行することによって、構造の頂部およびエッジにおける望ましくない浸食が減少し得る。一例では、オペレーション204の継続時間は、0.7秒であってよく、タングステン前駆体パルスの合間のオペレーション206の継続時間は、2秒であってよい。n=10の場合、タングステン前駆体の合計時間は、0.7×10=7秒であり、パージの合計時間は、2×10=20秒である。
【0061】
オペレーション208では、タングステン層またはモリブデン層が適切な厚さに堆積されたかどうか判断する。もしそうでない場合は、所望の厚さのタングステン層またはモリブデン層がフィーチャの表面に堆積されるまで、オペレーション200~206を繰り返す。オペレーション200~206の各繰り返しは、「サイクル」と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、還元剤を導入するよりも前にタングステン前駆体またはモリブデン前駆体を導入するように、オペレーション200/202と204/206の順序を逆にしてよい。
【0062】
図2Bは、各ALDサイクルに1回のみの還元剤パルスおよび複数回のタングステン前駆体パルスまたはモリブデン前駆体パルスを含むことで、そのサイクル中にオペレーション200および202は繰り返されない実施形態についての、プロセスフロー図を提示している。図2Cは、各ALDサイクルに1回のみのタングステン前駆体パルスまたはモリブデン前駆体パルスおよび複数回の還元剤パルスを含むことで、そのサイクル中にオペレーション204および206は繰り返されない実施形態についての、プロセスフロー図を提示している。図2Bおよび図2Cにおけるプロセスブロックは、それ以外は、図2Aに関して上述した通りである。
【0063】
図3は、H2およびWClxを用いてタングステンを堆積させるプロセスにおける例示的な堆積サイクル311Aおよび311Bを示すタイミングシーケンス図を提示している。図3は、図2A~2Cのオペレーション200の実施形態の一例である堆積サイクル311AにおけるH2パルスを示している。図3の例では、H2パルスの最中に、Ar流およびWClx流をオフにする。他の実施形態では、還元剤パルスの最中に、パージガスの流入を継続してよい。いくつかの実施形態において、還元剤パルスの最中にパージガスをオフにすることは、還元剤への暴露を増やすために有効である。H2の直後に、Arパルスを示している。これは、図2A~2Cのオペレーション202の実施形態の一例である。パージパルスの最中に、H2流およびWClx流をオフにする。符号320に点線ボックスで、任意の数のH2パルス/Arパージパルスを示しており、この場合、これらは、タングステン前駆体パルスを間に挟むことなく実行される。これは、図2Aおよび図2Cのオペレーション200および202の実施形態の一例である。5つのH2/Arパルスシーケンスを示しているが、H2/Arパルスシーケンスの数は、上述のように1~kの範囲であることが可能である。符号340に点線ボックスで、繰り返されるWClxパルス/Arパージパルスを示しており、この場合、これらは、還元剤パルスを間に挟むことなく実行される。これは、図2Aおよび図2Bのオペレーション204および206の実施形態の一例である。WClxパルスの最中には、Arバルブは閉止され、Arパルスの最中には、WClxバルブは閉止される。このプロセスの全体を通して、水素流はオフにされる。4つのWClx/Arパルスシーケンスを示しているが、H2/Arパルスシーケンスの数は、上述のように1~nの範囲であることが可能である。
【0064】
留意すべきことは、いくつかの実施形態では、H2パルスおよび/またはWClxパルスの最中に、Ar流はオンのままであってよいということであり、このとき、H2流およびWClx流を伴わないことを特徴とするARパルスを用いるとともに、さらに、いくつかの実施形態では、増加させたAr流を用いる。しかしながら、タングステン前駆体パルスの最中には、(希釈されて供給され得る)タングステン前駆体ガスのさらなる希釈を避けるために、パージガスをオフにすることが効果的であり得る。3D NAND構造の充填は、ウェハにおけるW濃度がより高いことが有効であり、それが希釈されると、結果的に充填が不十分となる。さらに、タングステン前駆体パルスの最中に、パージガスをオフにするとともにパージマニホールドを加圧することによって、Wパルスを間に挟んでパージ流を継続するよりもチャンバの効率的なパージが可能となる。同様に、還元剤パルスの最中に、還元剤ガスの希釈を避けるために、パージガスをオフにすることが効果的な場合がある。図3に示すように、Arパルスによって、堆積サイクル311Aを終わらせる。
【0065】
図3の例には例示目的でWClxを示しているが、図3のタイミングシーケンスは、オキシ塩化タングステン前駆体ならびに塩化モリブデン前駆体およびオキシ塩化モリブデン前駆体など、他の前駆体の場合に用いてもよい。同様に、ArおよびH2の代わりに、他のパージガスおよび/または他の還元剤を用いてよい。
【0066】
図2A~2Cに記載のプロセスおよび図3を参照して説明したパルスシーケンスは、パルスシーケンスの一例である。実施し得る様々な変形があることは、当業者であれば理解できるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、上述のように、異なるパージガスを用いてよい。同様に、記載のプロセスは、塩素含有タングステン前駆体またはモリブデン前駆体の場合に、高濃度では基板を浸食する傾向があることから、特に有用であるが、このプロセスは、フッ素含有W前駆体およびMo前駆体など、他の前駆体および材料を用いて構造を充填する場合に用いてもよい。特に、このプロセスは、高アスペクト比および/または3次元の構造の充填の場合に効果的であり得る。
【0067】
図4A~4Jは、WCl6からのタングステン堆積における堆積サイクルの例示的な機構についての概略図である。図4Aは、その上に下層401が堆積されている基板400に、H2を取り込む場合の例示的な機構を示している。下層401は、いくつかの実施形態ではバリア層であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、下層401は、窒化チタン(TiN)層である。なお、いくつかの実施形態では、基板400は、タングステン核形成層を含まないことに留意すべきである。他の実施形態では、それは、タングステン核形成層を含み得る。水素は気相(411aおよび411b)で導入されて、いくらかのH2(413aおよび413b)は、下層401の表面上にあり、この場合、水素は、金属表面(例えば、H2)上で化学的に活性な吸着水素原子に触媒解離するか、または触媒能のない表面(例えば、TiN)上に物理吸着することがある。例えば、H2は、必ずしも下層401に化学吸着しないことがあるが、いくつかの実施形態では、下層401の表面に物理吸着することがある。
【0068】
図4Bは、これまで気相であったH2図4Aの411aおよび411b)がチャンバからパージされ、これまで表面上にあったH2(443aおよび413b)が下層401の表面に留まることを示す例を提示している。
【0069】
図4Cは、基板がWCl6に暴露されて、WCl6のいくらかは気相であり(431aおよび431b)、WCl6のいくらかは基板の表面またはその付近にある(423aおよび423b)ことを示す概略例を提示している。
【0070】
オペレーション200では、いくらかのH2が、前のドーズから表面上に残っているWCl6と反応することがある。図4Dでは、WCl6がH2と反応し得ることで、中間体443bを一時的に形成し、これにより図4Eで、中間体443bが完全に反応することにより、基板400の表面上で下層401の上にタングステン490が残り、さらにHClが気相で残る(例えば、451aおよび451b)。この例では、タングステンを堆積させる前に、核形成層を堆積させることなく、かつ下層401を処理することなく、タングステン490を下層401の上に直接成長させることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、水素または塩素含有タングステン前駆体に下層401を暴露する前に、下層401は、ジボランに暴露することなどにより、ソーク処理を施してよいことは理解されるであろう。いくつかの例では、下層401は、後のWClx/H2への暴露の際に犠牲反応が可能な固体Si-B-H界面層を形成するために、SiH4、B26、およびH2の混合物で事前処理されたものであってよい。Si-B-H層の化学量論組成は、低い(10%)ボロン濃度から高い(95%)ボロン濃度までで、大きく異なり得る。
【0071】
図2A~2Cのオペレーション200では、いくらかのH2が、前のドーズから表面上に残っているWCl6(または他の塩化タングステン)と完全には反応しないことがある。図4Dに示すように、WCl6がH2と部分的に反応し得ることで、中間体443aを形成し、これにより図4Eで、中間体443aが部分的に反応したまま、基板400の表面上で下層401の上に残る。種々の実施形態において、塩素含有タングステン前駆体および水素を用いて堆積させた膜は、堆積厚さが最大で約50Åの場合、ボラン、シラン、またはゲルマンを用いて堆積させた膜よりも、抵抗率が低い。例えば、特定の理論にとらわれることなく、WCl6の化学量論では、少なくとも3つのH2分子を用いて、1つのWCl6分子と反応し得る。WCl6は、タングステンを形成するのではなく、H2分子と部分的に反応して、中間体を形成する可能性がある。例えば、これは、化学量論の原理(例えば、3つのH2分子を用いて、1つのWCl6分子と反応する)に基づいて、WCl6と反応するのに十分なH2が近傍にない場合に生じることがあり、これにより、基板表面上に中間体343aが残る。塩化タングステンは、H2分子に対して化学的に不活性であり得るとともに、H2分子の触媒解離によって生成される吸着水素原子の存在を必要とし得る。この場合、塩化タングステンを金属タングステンに完全に還元するためには、単純な化学量論比を大幅に超過するH2分子が必要になることがある(100対1のH2分子/WClx比)。
【0072】
図4Fは、チャンバをパージするときの基板の概略例を提示している。これは、図2A~2Cのオペレーション202に相当し得る。なお、図4Fの化合物443cは、完全に反応することなく形成された中間体であり得る一方、いくらかのタングステン490が基板上に形成され得ることに留意すべきである。各サイクルは、これにより、基板上にタングステンのサブ原子層を形成する。
【0073】
一例として、図4Gは、サイクルを繰り返したときの図を示しており、これにより、気相のH2411cが、堆積されたタングステン490および部分的に反応した中間体443dをその上に有する基板に取り込まれる。これは、オペレーション208においてタングステンが適切な厚さに堆積されていないと判断した後の、繰り返しサイクルにおける図2A~2Cのオペレーション200に相当し得る。図4Gに示すように、取り込まれたH2は、このとき、基板上の中間体443dと完全に反応し得ることで、図4Hに示すように、反応した化合物443dによって、堆積されたタングステン490bおよび490cが残され、そして副生成物であるHCl 451cおよび451dが気相で形成されることに留意すべきである。いくらかのH2411cが気相のまま残り得る一方、いくらかのH2413cがタングステン層490aの上に残り得る。
【0074】
図4Iでは、チャンバをパージし(これは、図2A~2Cのオペレーション202に相当する)、堆積されたタングステン490a、490b、490cと、いくらかのH2413cが残される。図4Jでは、再びWCl6をドーズで導入し、このとき、分子431cと423cは、H2および基板に、吸着および/または反応し得る。図4Jは、図2A~2Cのオペレーション204に相当し得る。WCl6のドーズの後に、再びチャンバをパージしてよく、そして、所望の厚さのタングステンが堆積されるまで、再びサイクルを繰り返してよい。
【0075】
開示されるいくつかの実施形態を用いて堆積されたタングステン膜は、フッ素を含有しない。また、モリブデン膜も、フッ素を含有しないことがある。膜全体の引張応力は、約0.2GPa未満であり得る。フッ素フリータングステン前駆体として、カルボニルタングステン(W(CO)6)と、五塩化タングステン(WCl5)および六塩化タングステン(WCl6)のような塩化タングステン(WClx)を含み得る。フッ素フリーモリブデン前駆体として、本明細書に記載のオキシ塩化モリブデン前駆体および塩化モリブデン前駆体、ならびにヘキサカルボニルモリブデン(Mo(CO)6)が含まれる。
【0076】
開示される実施形態は、タングステンおよびモリブデンの堆積プロセスにおいて様々に応用されてよい。タングステンまたはモリブデンを堆積させるために、本明細書に記載の応用の様々な組み合わせを用いてよく、これらの方法は、本明細書で提示する例に限定されないことは、理解されるであろう。
【0077】
例えば、いくつかの実施形態では、還元剤(例えば、ボラン、シラン、または水素を有するゲルマン)とWCl6のようなタングステン前駆体の交互のパルスのALDサイクルによってタングステン核形成層を堆積させ、続いて、図2および図3に関して上述したように水素と塩素含有タングステン前駆体の交互のパルスによってバルクタングステンを堆積させることにより、フィーチャを充填してよい。同様に、いくつかの実施形態では、還元剤とモリブデン前駆体の交互のパルスのALDサイクルによってモリブデン層を堆積させることにより、フィーチャを充填してよい。塩化タングステン前駆体と還元剤である水素の交互のパルスを用いるプロセスによるバルクタングステンの堆積は、反応物質の交互のパルスによるため、ALDプロセスと呼ばれることがある。本明細書に記載の方法は、典型的には、CVD機構からの成長成分がないことを確保するために、反応物質サイクルの合間にパージを伴う。
【0078】
一方、いくつかの実施形態では、これらの方法を、米国特許出願公開第2017/0117155号および米国特許第9613818号に記載されているような「順次CVD」プロセスと併せて用いてよく、これらの文献は両方とも、参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
1つの堆積サイクルにおいて、交互の前駆体パルスとパージガスパルスの複数のサイクルを採用することによって、構造の頂部および側縁における浸食を最小限に抑えつつ、3D NANDワードラインの奥深くまで前駆体を送り込むことができる。前駆体の1原子層またはサブ原子層を、構造の全体に吸着させることができる。いくつかの実施形態では、交互の前駆体パルスとパージパルスを用いることによって、前駆体ドーズの供給前に、前駆体槽の加圧が可能となる。その結果として、より良好に構造内に運ぶことが可能となる。
【0080】
表1は、n=10として、H2/Ar/WClx/ArシーケンスおよびH2/Ar/n(WClx/Ar)シーケンスに暴露された300ÅのPVD TiNブランケット膜についての、条件および結果としてのTiN下層の浸食を示している。
【表1】
表1の条件と結果は、タングステン前駆体への総暴露量が同じである場合に、タングステン前駆体の複数回のパルスによって浸食されるTiNの量は、大幅に少ないことを示している。特に、1回のタングステン前駆体パルスを用いるシーケンスの場合、TiNはすべて浸食された。
【0081】
図5は、H2/Ar/WClx/Arシーケンスを用いた場合と、H2/Ar/n(WClx/Ar)シーケンスを用いた場合の、3D NAND構造のタングステン充填を比較した実験結果の概略図を示している。これらのシーケンスの前に、それぞれの構造内に核形成層を堆積させた。図5の図は、3D NAND構造の中央セクションの断面を表している。3D NAND構造503は、H/Ar/WCl/Arシーケンスの後に画像化されたものであり、511に示すように、中央のワードラインにおける不十分なタングステン堆積を示している。n=10として、H/Ar/n(WCl/Ar)に暴露された3D NAND構造503は、その全体に均一なタングステン堆積が観測される。タングステン前駆体へのトル-秒での総暴露量は、501と503の両方で同じであった。
【0082】
n回のタングステンパルスのそれぞれは短時間であり、一定の圧力で供給されてよい。タングステン前駆体の総量は、タングステン前駆体が構造の底に達するとともに構造全体を横方向に被覆するのに十分な材料を供給するのに十分な量である。間に挟む不活性ガスパージによって、構造の頂部およびエッジにおけるタングステン前駆体を除去してよく、基板の浸食が低減または解消される。不活性ガスパージが十分でないと、この有益な効果は観測されないことがある。さらに、複数回のタングステンパルスの合間のパージが不十分な場合に、開口周辺におけるピンチ効果が観測されることがある。
【0083】
従って、いくつかの実施形態では、不活性ガスパージの継続時間は、タングステン前駆体またはモリブデン前駆体の継続時間と少なくとも同じ長さである。いくつかの実施形態では、不活性ガスパージは、タングステン前駆体パルスまたはモリブデン前駆体パルスの継続時間の少なくとも1.5倍、または少なくとも2倍、または少なくとも3倍である。また、前駆体対パージガスの暴露量は、分圧×継続時間によって特徴付けられてもよい。前駆体は流量の1%~5%に希釈されるのに対して、パージは100%パージガスを用いて実施されてよい。
【0084】
上記の説明は、塩化タングステンからのタングステン層およびタングステン含有層の堆積に焦点を当てているが、図2および図3を参照して上述したプロセスは、他の前駆体および/または他の材料を用いたフィーチャ充填で実施されてよい。上述のように、この方法は、構造を浸食する可能性のある化学物質の場合に効果的である。さらに、複数回の前駆体パルス/パージサイクルを含む方法は、未吸着分子をパージすることにより、CVD型の特性を伴わない成長を得るために効果的である場合がある。
【0085】
開示される実施形態は、約10トル超の圧力、または約10トル未満の圧力など、任意の適切な圧力で実施してよい。マルチステーション・チャンバの場合、各ペデスタルは、異なる温度に設定されてよい。いくつかの実施形態では、各ペデスタルは、同じ温度に設定される。開示の実施形態による上述のオペレーションのいずれかの一部またはすべての際に、基板をステーションからステーションへと巡回させてよい。また、開示されるいくつかの実施形態における1つ以上のオペレーションにおいて、チャンバ圧力を変調させてもよい。いくつかの実施形態では、核形成堆積中のチャンバ圧力は、バルク堆積中のチャンバ圧力とは異なる。いくつかの実施形態では、核形成堆積中のチャンバ圧力は、バルク堆積中のチャンバ圧力と同じである。
【0086】
[装置]
開示される実施形態を実施するために、任意の適切なチャンバを使用してよい。堆積装置の例として様々なシステムが含まれ、例えば、カリフォルニア州フリーモントのラムリサーチ社(Lam Research Corp.)から入手可能なALTUS(登録商標)およびALTUS(登録商標)Max、または他の様々な市販の処理システムのいずれかが含まれる。いくつかの実施形態において、順次化学気相成長(CVD)は、シングル成膜チャンバ内に配置された2つ、5つ、またはさらに多くの成膜ステーションのうちの1つである第1のステーションで実施されてよい。その場合、第1のステーションにおいて、例えば、水素(H2)と六塩化タングステン(WCl6)を、交互のパルスで、基板表面で局所雰囲気を生成する個々のガス供給システムを用いて半導体基板の表面に導入してよい。フッ素フリータングステン堆積、またはCVDのために、他のステーションを使用してよい。並行処理でタングステンを堆積させるために、2つ以上のステーションを使用してよい。あるいは、順次CVDオペレーションが、2つ以上のステーションに跨って順次実行されるように、ウェハにインデックスを付けてよい。
【0087】
図6は、いくつかの実施形態に従って堆積プロセスを実施するのに適した処理システムの概略図である。システム600は、搬送モジュール603を備える。搬送モジュール603は、処理されている基板を様々な反応器モジュールの間で移送するときの基板の汚染のリスクを最小限に抑えるための、クリーンな加圧環境を提供する。種々の実施形態によるALDおよびCVDを実施することが可能なマルチステーション反応器609が、搬送モジュール603に取り付けられている。マルチステーション反応器609は、開示される実施形態に従ってオペレーションを順次実行し得る複数のステーション611、613、615、617を有し得る。例えば、マルチステーション反応器609は、ステーション611で塩素含有タングステン前駆体またはフッ素含有前駆体を用いてPNLによるタングステン核形成層堆積を実施し、ステーション613で種々の実施形態に従ってALDによるタングステン堆積オペレーションを実施するように、構成されてよい。また、いくつかの実施形態では、ステーション615でもALDによるタングステン堆積オペレーションを実施してよく、ステーション617で非順次CVDオペレーションを実施してよい。いくつかの実施形態において、タングステン前駆体パルスの数(n)は、ステーション613~615によって異なり得る。
【0088】
これらのステーションは、加熱されるペデスタルまたは基板サポートと、1つ以上のガス入口またはシャワーヘッドまたは分散板と、を有し得る。成膜ステーション700の一例を、図7に示しており、これは、基板サポート702とシャワーヘッド703とを有する。ペデスタル部701に、ヒータを設けてよい。
【0089】
図6を再び参照して、さらに、プラズマもしくは化学的(非プラズマ)プレクリーニング、他の堆積オペレーション、またはエッチングオペレーションを実施することが可能な1つ以上のシングルもしくはマルチステーションモジュール607を、搬送モジュール503に取り付けてもよい。また、このモジュールは、例えば堆積プロセスのための基板を準備するために、様々な処理に用いてもよい。システム600は、さらに、処理前および処理後のウェハを格納する1つ以上のウェハソースモジュール601を備える。大気搬送チャンバ619内の大気ロボット(図示せず)によって、まず、ウェハをソースモジュール601からロードロック621に取り出してよい。搬送モジュール603内のウェハ搬送装置(一般的には、ロボットアームユニット)によって、ウェハを、ロードロック621から、搬送モジュール603に取り付けられたモジュールへ、さらには搬送モジュール603に取り付けられたモジュール間で、移送する。
【0090】
種々の実施形態において、堆積中のプロセス条件を制御するために、システムコントローラ629を採用する。コントローラ629は、典型的には、1つ以上のメモリデバイスと、1つ以上のプロセッサとを備える。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、ステッピングモータ・コントローラボード、などを含み得る。
【0091】
コントローラ629は、堆積装置の動作のすべてを制御し得る。システムコントローラ629は、特定のプロセスのタイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウェハ温度、高周波(RF)電力レベル、ウェハチャックまたはペデスタルの位置、および他のパラメータを制御するための命令セットを含むシステム制御ソフトウェアを実行する。コントローラ629に関連付けられたメモリデバイスに格納される他のコンピュータプログラムを、いくつかの実施形態において採用してよい。
【0092】
典型的には、コントローラ629に関連付けられたユーザインタフェースが設けられる。ユーザインタフェースは、ディスプレイ画面と、装置および/またはプロセス条件のグラフィックソフトウェア表示と、さらに、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含み得る。
【0093】
システム制御ロジックは、任意の適切な方法で構成されてよい。一般に、ロジックは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで設計または構成することができる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコーディングされるか、またはソフトウェアとして提供されてよい。それらの命令は、「プログラミング」によって提供されてよい。そのようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、および他のデバイスにおいてハードコーディングされたロジックであって、ハードウェアとして実現された特定のアルゴリズムを有するものなど、任意の形態のロジックを含むものと理解される。プログラミングは、さらに、汎用プロセッサ上で実行され得るソフトウェアまたはファームウェア命令を含むものと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコーディングされてよい。
【0094】
プロセスシーケンスにおけるゲルマニウム含有還元剤パルス、水素流、およびタングステン含有前駆体パルス、ならびに他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなど、通常のコンピュータ可読プログラミング言語のいずれかで作成することができる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトをプロセッサにより実行することで、プログラムで示されるタスクが実行される。さらに、上述のように、プログラムコードは、ハードコーディングされてもよい。
【0095】
コントローラパラメータは、例えば、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧力、基板温度、チャンバ壁温度、などのプロセス条件に関するものである。これらのパラメータは、レシピの形でユーザに提供され、ユーザインタフェースを利用して入力され得る。
【0096】
プロセスを監視するための信号を、システムコントローラ629のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって供給してよい。プロセスを制御するための信号は、堆積装置600のアナログおよびデジタル出力接続に出力される。
【0097】
システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成されてよい。例えば、開示した実施形態による堆積プロセスを実施するために必要なチャンバ構成要素の動作を制御するための、各種チャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが作成されてよい。この目的のためのプログラムまたはプログラム部分の例には、基板位置決めコード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードが含まれる。
【0098】
いくつかの実現形態において、コントローラ629は、上述の例の一部であり得るシステムの一部である。そのようなシステムは、処理ツールまたはツール(群)、チャンバまたはチャンバ(群)、処理用プラットフォームまたはプラットフォーム(群)、および/または特定の処理コンポーネント群(ウェハペデスタル、ガスフローシステムなど)、などの半導体処理装置を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウェハまたは基板の処理前、処理中、処理後の自身のオペレーションを制御するための電子装置と統合されてよい。それらの電子装置は、そのシステムまたはシステム群の各種コンポーネントまたはサブパーツを制御し得る「コントローラ」を指す場合がある。コントローラ629は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、一部のシステムにおける高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給の設定、位置および動作設定、ツールとの間および他の搬送ツールとの間および/または特定のシステムに接続またはインタフェースしているロードロックとの間のウェハ搬送を含む、本明細書に開示の任意のプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0099】
コントローラは、広義には、種々の集積回路、ロジック、メモリ、および/または、命令を受け取り、命令を発行し、オペレーションを制御し、クリーニング動作を実現し、終点測定を実現するなどのソフトウェア、を有する電子装置と定義され得る。集積回路には、プログラム命令を格納したファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として規定されるチップ、および/またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ、が含まれてよい。プログラム命令は、半導体ウェハ上での特定のプロセスまたは半導体ウェハのための特定のプロセスまたはシステムに対する特定のプロセスを実施するための動作パラメータを規定する様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であり得る。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、ウェハの1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはダイの製造において1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって規定されるレシピの一部であり得る。
【0100】
コントローラ629は、いくつかの実現形態において、システムに統合もしくは結合されるか、またはその他の方法でシステムにネットワーク接続されたコンピュータの一部であるか、またはそのようなコンピュータに結合されたものであるか、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、コントローラ629は、「クラウド」にあるか、またはファブホストコンピュータシステムの全体もしくは一部であってよく、それは、ウェハ処理のためのリモートアクセスを可能とするものであり得る。コンピュータによって、製造オペレーションの現在の進行状況を監視し、過去の製造オペレーションの履歴を調査し、複数の製造オペレーションからの傾向またはパフォーマンスメトリックを調査するため、現在の処理のパラメータを変更するため、現在の処理に従って処理工程を設定するため、または、新たなプロセスを開始するための、システムへのリモートアクセスが実現され得る。いくつかの例において、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含み得るネットワークを介して、システムにプロセスレシピを提供することができる。リモートコンピュータは、後にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/または設定の、入力またはプログラミングを可能とするユーザインタフェースを有するものであってよい。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上のオペレーションにおいて実行される処理工程の各々のパラメータを指定するデータの形で命令を受け取る。なお、それらのパラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラがインタフェースまたは制御するように構成されているツールのタイプ、に固有のものであり得ることは、理解されるべきである。その場合、上述のように、相互にネットワーク接続されているとともに、本明細書に記載のプロセスおよび制御などの共通の目的に向かって協働する1つ以上の別個のコントローラを備えることなどによって、コントローラを分散させてよい。このような目的の分散コントローラの一例は、チャンバに搭載する1つ以上の集積回路であり、これらは、(プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として、など)遠隔配置された1つ以上の集積回路と通信し、共同でチャンバにおけるプロセスを制御する。
【0101】
例示的なシステムは、限定するものではないが、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、成膜チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、クリーンチャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相成長(PVD)チャンバまたはモジュール、CVDチャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウェハの作製および/または製造に関連または使用することがある他の任意の半導体処理システム、を含み得る。
【0102】
上述のように、コントローラは、ツールで実行される処理工程また工程群に応じて、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近隣のツール、工場の至るところに配置されたツール、メインコンピュータ、他のコントローラ、または半導体製造工場においてツール場所および/もしくはロードポートとの間でウェハの容器を移動させる材料搬送で使用されるツール、のうちの1つ以上と通信し得る。
【0103】
コントローラ629は、各種プログラムを含み得る。基板位置決めプログラムは、基板をペデスタルまたはチャック上にロードするために、さらには、基板と、ガス入口のようなチャンバの他の部材および/またはターゲットとの間隔を制御するために、使用されるチャンバ構成要素を制御するためのプログラムコードを含み得る。処理ガス制御プログラムは、ガス組成、流量、パルス時間を制御するための、さらにはオプションとして、堆積前にチャンバ内の圧力を安定化させるためにチャンバ内にガスを流入させるための、コードを含み得る。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムのスロットルバルブを調節することによってチャンバ内の圧力を制御するための、コードを含み得る。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含み得る。あるいは、ヒータ制御プログラムは、ウェハチャックへのヘリウムのような熱伝達ガスの供給を制御するものであってよい。
【0104】
堆積中に監視され得るチャンバセンサの例として、マスフローコントローラ、マノメータのような圧力センサ、ペデスタルまたはチャックに配置される熱電対、が含まれる。所望のプロセス条件を維持するために、これらのセンサからのデータと共に、適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムを用いてよい。
【0105】
装置は、図8に概略的に示すように、各種ガス分配ラインへのライン充填を提供するガスマニホールドシステムを備え得る。マニホールド804は、タングステン含有前駆体ガスまたはモリブデン含有前駆体ガスの供給源(図示せず)からの入力802を有し、マニホールド811は、水素または他の還元ガスの供給源(図示せず)からの入力809を有し、マニホールド821は、不活性パージガスの供給源(図示せず)からの入力819を有する。マニホールド804、811、821は、それぞれ、バルブ付き分配ライン805、813、825を介して、前駆体ガス、還元ガス、パージガスを、成膜チャンバに供給する。ライン充填を提供するために、すなわち、分配ラインを加圧するために、各種バルブを開放または閉止する。例えば、分配ライン805を加圧するために、真空へのバルブ806を閉止するとともに、バルブ808を閉止する。適切な時間インクリメントの後に、バルブ808を開放して、前駆体ガスをチャンバに供給する。ガス供給のための適切な時間の後に、バルブ808を閉止する。次に、真空へのバルブ806を開放することにより、チャンバを真空にパージすることができる。
【0106】
同様のプロセスを用いて、還元ガスおよびパージガスを供給する。例えば、還元ガスを導入するために、バルブ815を閉止するとともに真空へのバルブ817を閉止することにより、分配ライン813に充填する。バルブ815を開放することによって、チャンバに還元ガスを供給することが可能となる。同様に、パージガスを導入するために、バルブ827を閉止するとともに真空へのバルブ823を閉止することにより、分配ライン825に充填する。バルブ827を開放することによって、チャンバにアルゴンまたは他の不活性パージガスを供給することが可能となる。ライン充填のために許容される時間量によって、最初のガス供給の量およびタイミングは変化する。
【0107】
図6は、さらに、システムをパージするためにバルブ806、817、823をそれぞれ開放することができる真空ポンプを示している。各種分配ラインを介したガスの供給は、流量、流入継続時間、およびプロセスの順序付けを用いてプログラムされた、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなどで制御されるマスフローコントローラのような、コントローラによって制御される。
【0108】
なお、上記のプロセスは、堆積中に試薬のパルスを半導体基板に供給するバルブおよびマスフローコントローラ(MFC)の正確なタイミングを必要とし得ることに留意すべきである。これを可能にする1つの方法では、組み込みデジタル入力/出力コントローラ(IOC)に対して、PNL堆積シーケンスの全部または一部についてのタイムクリティカルなすべてのコマンドのための命令を含む情報の離散パケットで、バルブおよびMFCコマンドを発する。ラムリサーチ社のALTUSシステムは、少なくとも1つのIOCシーケンスを提供する。それらのIOCは、例えば、処理モジュール内、または処理モジュールからある程度離れた場所にあるスタンドアロン電源ラック上など、装置内の様々な場所に物理的に配置することができる。典型的には、各モジュール内に複数のIOCがある(例えば、モジュールごとに3つ)。1つのシーケンスに含まれる実際の命令に関して、(キャリアガスおよび反応ガスのすべてについて)バルブを制御するとともにMFCの流量を設定するためのすべてのコマンドを、単一のIOCシーケンスに含めてよい。これにより、すべてのデバイスのタイミングは、絶対的な観点から、また、互いに対しても、厳密に制御されることが確保される。典型的には、任意の所与の時点で、複数のIOCシーケンスが実行されている。これにより、例えば、ステーション1~2において、これらのステーションでPNL-W核形成層を堆積させるために必要なすべてのハードウェアコンポーネントについて、すべてのタイミングを制御して、PNLを実行することが可能となる。第2のシーケンスは、同じモジュール内の他の成膜ステーションにおいて、上記のタイミングシーケンスを用いてバルクタングステンを堆積させるために、同時に実行されている場合がある。ステーション3~4への試薬の供給を制御するデバイスの相対タイミングは、そのデバイス群の中では重要であるが、ステーション1~2におけるPNLプロセスの相対タイミングは、ステーション3~4の相対タイミングからオフセットさせることができる。IOCは、パケット化されたシーケンス内の情報を変換して、MFC、またはバルブを制御する空圧ソレノイドバンクに対して直接、デジタルまたはアナログコマンド信号を発する。
【0109】
タングステン含有ガスのパルスは、以下のように生成されてよい。最初に、システムは、MFCまたは他の流量制御装置が安定している間に、ある期間にわたってWClxを真空ポンプに分流させる。これは、一例では、約0.5~5秒の間の期間にわたって行われてよい。次に、システムは、分流出口606と、成膜チャンバへの出口608を、両方とも閉止することにより、タングステンガス供給マニホールドを加圧する。これは、例えば、成膜チャンバへの出口が開放されたときに、試薬の最初のバーストを生成するために、約0.1~5秒の間の期間にわたって行われてよい。これは、一例では、約0.1~10秒の間の期間にわたって出口バルブ808を開放することにより実現される。その後、適切なパージガスを用いて、タングステン含有ガスを成膜チャンバからパージする。他の試薬のパルス流は、同様の方法で行われてよい。モリブデン含有ガスのパルスは、同様の方法で生成されてよい。
【0110】
上記では、シングルまたはマルチチャンバ半導体処理ツールにおける開示の実施形態の実施について記載している。本明細書に記載の装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽電池パネルなどの作製または製造のために、リソグラフィパターニング・ツールまたプロセスと組み合わせて用いてよい。一般に、そのようなツール/プロセスは、必ずしもそうではないが、共通の製造設備で一緒に使用または実施される。膜のリソグラフィパターニングは、通常、以下の工程の一部またはすべてを含み、各工程は、いくつかの考え得るツールを用いて実施される。(1)スピン式またはスプレー式のツールを用いて、ワークピースすなわち基板の上にフォトレジストを塗布する;(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させる;(3)ウェハステッパのようなツールによって、可視光線または紫外線またはX線でフォトレジストを露光する;(4)ウェットベンチのようなツールを用いて、選択的にレジストを除去するようにレジストを現像し、これによりパターンを形成する;(5)ドライまたはプラズマアシスト・エッチングツールを用いて、レジストパターンを下の膜またはワークピースに転写する;(6)RFまたはマイクロ波プラズマ・レジストストリッパのようなツールを用いて、レジストを剥離する。
【0111】
[結論]
上記の実施形態は、明確な理解を目的として、ある程度詳細に記載しているが、添付の特許請求の範囲の範囲内でいくらかの変更および変形を実施してよいことは明らかであろう。なお、本発明の実施形態のプロセス、システム、および装置を実現する数多くの代替的形態があることに留意すべきである。よって、本発明の実施形態は例示とみなされるべきであって、限定するものではなく、また、実施形態は、本明細書で提示した詳細に限定されるものではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、
前記構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、
水素(H2)パルスへの暴露と、その後の不活性ガスパージパルスへの暴露と、
複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスへの暴露と、を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
[結論]
上記の実施形態は、明確な理解を目的として、ある程度詳細に記載しているが、添付の特許請求の範囲の範囲内でいくらかの変更および変形を実施してよいことは明らかであろう。なお、本発明の実施形態のプロセス、システム、および装置を実現する数多くの代替的形態があることに留意すべきである。よって、本発明の実施形態は例示とみなされるべきであって、限定するものではなく、また、実施形態は、本明細書で提示した詳細に限定されるものではない。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
方法であって、
金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、
前記構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、
水素(H 2 )パルスへの暴露と、その後の不活性ガスパージパルスへの暴露と、
複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスへの暴露と、を含む、方法。
適用例2:
適用例1の方法であって、前記金属は、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)である、方法。
適用例3:
適用例1の方法であって、前記金属前駆体は、塩素含有金属前駆体である、方法。
適用例4:
適用例3の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、塩化タングステンまたはオキシ塩化タングステンを含む、方法。
適用例5:
適用例4の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、WCl 5 およびWCl 6 のうちの少なくとも1つを含む、方法。
適用例6:
適用例3の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、塩化モリブデンまたはオキシ塩化モリブデンを含む、方法。
適用例7:
適用例6の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、MoCl 5 、MoO 2 Cl 2 、およびMoOCl 4 のうちの少なくとも1つを含む、方法。
適用例8:
適用例3の方法であって、前記塩素含有金属前駆体のパルスは、体積で約0.1%~約1.5%の間の塩素含有タングステン前駆体を含む、方法。
適用例9:
適用例1の方法であって、複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスへの前記暴露は、前記金属前駆体パルスの最中に前記不活性ガスパージの流れをオフにすることを含む、方法。
適用例10:
適用例1の方法であって、前記不活性ガスパージパルスの継続時間は、前記金属前駆体パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である、方法。
適用例11:
適用例1の方法であって、各堆積サイクルは、少なくとも5回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
適用例12:
適用例1の方法であって、各堆積サイクルは、少なくとも10回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
適用例13:
適用例1の方法であって、各堆積サイクルは、1回のみのH 2 パルスを含む、方法。
適用例14:
適用例1の方法であって、各堆積サイクルは、複数回の交互のH 2 パルスと不活性ガスパルスを含む、方法。
適用例15:
適用例1の方法であって、前記構造は、製造途中の3次元(3D)NAND構造であって、前記3D NAND構造は、側壁と、前記側壁に複数の開口部と、を有し、前記開口部は、前記開口部を通して流体アクセス可能な複数の内部領域を有する複数のフィーチャにつながっている、方法。
適用例16:
装置であって、
基板を保持するようにそれぞれ構成された1つ以上の処理チャンバと、
水素(H 2 )ガス源、金属前駆体ガス源、および不活性パージガス源に結合するための1つ以上の処理ガス入口と、
前記装置におけるオペレーションを制御するためのコントローラと、を備え、前記コントローラは、複数回の堆積サイクルを実行するためのマシン可読命令を含み、各堆積サイクルは、
前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに水素(H 2 )パルスを注入することと、
前記H 2 パルスの注入後に、前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに不活性パージガスパルスを注入することと、
前記不活性パージガスパルスの注入後に、前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを注入することと、を含む、装置。
適用例17:
適用例16の装置であって、前記金属前駆体は、塩素含有前駆体である、装置。
適用例18:
適用例17の装置であって、前記金属前駆体は、塩化タングステン、オキシ塩化タングステン、塩化モリブデン、およびオキシ塩化モリブデンのうちの少なくとも1つを含む、装置。
適用例19:
適用例16の装置であって、前記命令は、前記金属前駆体パルスの最中に前記不活性ガスパージの流れをオフにするための命令を含む、装置。
適用例20:
適用例16の装置であって、前記不活性ガスパージパルスの継続時間は、前記金属前駆体パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である、装置。
適用例21:
適用例16の装置であって、各堆積サイクルは、少なくとも5回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、装置。
適用例22:
方法であって、
金属含有材料で充填すべき構造を準備することと、
前記構造を複数回の堆積サイクルに暴露することと、を含み、各堆積サイクルは、
複数回の交互の水素(H 2 )パルスと不活性ガスパージパルスへの暴露と、
金属前駆体パルスおよび、続く不活性ガスパージパルスへの暴露と、を含む、方法。
適用例23:
適用例22の方法であって、前記金属は、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)である、方法。
適用例24:
適用例22の方法であって、前記金属前駆体は、塩素含有前駆体である、方法。
適用例25:
適用例24の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、塩化タングステンまたはオキシ塩化タングステンを含む、方法。
適用例26:
適用例24の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、塩化モリブデンまたはオキシ塩化モリブデンを含む、方法。
適用例27:
適用例24の方法であって、前記塩素含有金属前駆体は、WCl 5 、WCl 6 、MoCl 5 、MoO 2 Cl 2 、およびMoOCl 4 のうちの少なくとも1つを含む、方法。
適用例28:
適用例24の方法であって、前記塩素含有金属前駆体のパルスは、体積で約0.1%~約1.5%の間の塩素含有タングステン前駆体を含む、方法。
適用例29:
適用例22の方法であって、複数回の交互のH 2 パルスと不活性ガスパージパルスへの前記暴露は、前記H 2 パルスの最中に前記不活性ガスパージの流れをオフにすることを含む、方法。
適用例30:
適用例22の方法であって、前記不活性ガスパージパルスの継続時間は、前記H 2 パルスの継続時間の少なくとも1.5倍である、方法。
適用例31:
適用例22の方法であって、各堆積サイクルは、少なくとも5回の交互のH 2 パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
適用例32:
適用例22の方法であって、各堆積サイクルは、少なくとも10回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
適用例33:
適用例22の方法であって、各堆積サイクルは、1回のみの金属前駆体パルスを含む、方法。
適用例34:
適用例22の方法であって、各堆積サイクルは、複数回の交互の金属前駆体パルスと不活性ガスパージパルスを含む、方法。
適用例35:
適用例22の方法であって、前記構造は、製造途中の3次元(3D)NAND構造であって、前記3D NAND構造は、側壁と、前記側壁に複数の開口部と、を有し、前記開口部は、前記開口部を通して流体アクセス可能な複数の内部領域を有する複数のフィーチャにつながっている、方法。
適用例36:
装置であって、
基板を保持するようにそれぞれ構成された1つ以上の処理チャンバと、
水素(H 2 )ガス源、金属前駆体ガス源、および不活性パージガス源に結合するための1つ以上の処理ガス入口と、
前記装置におけるオペレーションを制御するためのコントローラと、を備え、前記コントローラは、複数回の堆積サイクルを実行するためのマシン可読命令を含み、各堆積サイクルは、
前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに複数回の交互の水素(H 2 )パルスと不活性ガスパージパルスを注入することと、
前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバに金属前駆体パルスを注入することと、
前記1つ以上の処理ガス入口を介して前記1つ以上の処理チャンバにパージガスパルスを注入することと、を含む、装置。
適用例37:
適用例36の装置であって、前記金属前駆体は、塩素含有前駆体である、装置。
適用例38:
適用例37の装置であって、前記金属前駆体は、塩化タングステン、オキシ塩化タングステン、塩化モリブデン、およびオキシ塩化モリブデンのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【外国語明細書】