(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147800
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20241008BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20241008BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20241008BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20241008BHJP
C09J 11/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C08L83/06
C09D183/04
C09D7/40
C09J183/04
C09J11/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024120927
(22)【出願日】2024-07-26
(62)【分割の表示】P 2020564628の分割
【原出願日】2019-05-17
(31)【優先権主張番号】18173234.8
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18194659.1
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18209573.7
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケブラー
2.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・クライン
(72)【発明者】
【氏名】テレーズ・エメリー
(72)【発明者】
【氏名】エレーヌ・ブデ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改善された接着特性および優れた貯蔵安定性を有する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】本発明は特別なケイ素含有末端基を有するポリオルガノシロキサン、特別なキャップされた接着促進剤、および硬化触媒に基づく硬化性組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式(I):
【化1】
[式中、
Aは結合、-O-、または1~12個の炭素原子を有する炭化水素残基、アルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、シロキサン-アルキレン、シロキサン-アリーレン、エステル、アミン、グリコール、イミド、アミド、アルコール、カーボネート、ウレタン、ウレア、スルフィド、エーテルもしくはそれらの誘導体もしくはそれらの組み合わせから選択される直鎖、分岐もしくは環状の二価の基であり、
各R
1は、水素、ハロゲン、アミノ、オキシイミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキルニルオキシ、脂環式、脂環式-O-、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロ脂環式、ヘテロ脂環式オキシ、アシル、アシルオキシ基またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
各R
2は独立して一般式(2):
【化2】
〔式中、
Yは、4~14個の環原子を有する置換もしくは非置換の(ヘテロ)芳香族基、置換もしくは非置換の飽和もしくは部分的に不飽和の4~14員(ヘテロ)環式基、または-(C(R
5)
2)
o-であり、
R
4は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせであり;
各R
5は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式またはアリール基からなる群から独立して選択され、
oは1~10の整数である〕
の基であり、
各R
3は独立して一般式(3):
【化3】
〔式中、
Yは上記で定義した通りであり、
R
6は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基もしくはそれらの組み合わせ、またはR
7からなる群から選択され、
R
7は、一般式(4):
【化4】
<式中、
R
8は、場合によりヘテロ原子で分断されているアルキレン基であり、
各R
9は、水素、ハロゲン、アミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
各R
10は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシル基からなる群から独立して選択され、
各pは、独立して0、1または2を表す>の基である〕
の基であり、
mは、独立して0、1または2であり、
nは、独立して1、2または3であり、n+mの合計は最大3である]
の少なくとも1つの末端基を含む少なくとも1つのポリオルガノシロキサン;
(B)式(II):
【化5】
[式中、
R
11は、場合によりヘテロ原子で分断されたアルキレン基、好ましくはC
1-C
10アルキレン、より好ましくはC
1またはC
3アルキレンであり、
各R
12は、水素、ハロゲン、アミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
各R
13は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシル基からなる群から独立して選択され、
qは独立して0、1または2を表し、
Bは、式(6):
【化6】
式(7):
【化7】
または式(8):
【化8】
〔式中、
各R
14、R
14a、R
14b、R
14c、R
15およびR
16は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
rは1、2、3または4である〕
の群から選択される窒素含有基である]
の少なくとも1つのキャップされた接着促進剤;および
(C)少なくとも1つの硬化触媒
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
前記ポリオルガノシロキサンは、ポリジオルガノシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記Aは、結合、-O-またはシロキサン-アルキレン、好ましくは式-(CH2)1-10-(Si(Alk)2-O-Si(Alk)2)1-10-(CH2)1-10[式中、AlkはC1-10アルキル、好ましくはメチルである]もしくはその誘導体から選択される、直鎖もしくは分岐の二価の基である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
各R1は、互いに独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピル、2~10個の炭素原子を有するアルケニル基、特にビニルもしくはアリル、または6~10個の炭素原子を有するアリール基、特にフェニル、または6~14個の炭素原子を有するアリールオキシ基、または2~10個の炭素原子を有するアシルオキシ基、好ましくはアセトキシ、オキシイミノ、2~10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、またはアミノを表す;および/または
各R2は、互いに独立して、式(2)[式中、R4は1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特に好ましくはメチルまたはエチルを表し、Yは6個の炭素環原子を有する置換もしくは非置換の芳香族基、好ましくは1,2-フェニレン、または-(C(R5)2)o-〔式中、oは1であり、R5基の1つは水素であり、第2のR5基は1~10個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特にメチル、カルボキシメチルまたはそれらの(アルキル)エステルである〕である]の基を表す、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記n+mの合計は3である、請求項1~4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記式(I)における基Si(R1)m(R2)n(R3)3-(m+n)は、メチルビス(エチルラクタト)シラン、エチルビス(エチルラクタト)シラン、フェニルビス(エチルラクタト)シラン、ビニルビス(エチルラクタト)シラン、トリ(エチルラクタト)シラン、メチルビス(エチルサリチラト)シラン、エチルビス(エチルサリチラト)シラン、フェニルビス(エチルサリチラト)シラン、ビニルビス(エチルサリチラト)シラン、トリ(エチルサリチラト)シラン、メチルビス(ジエチルマラト)シラン、エチルビス(ジエチルマラト)シラン、フェニルビス(ジエチルマラト)シラン、ビニルビス(ジエチルマラト)シラン、トリ(ジエチルマラト)シランおよびそれらの混合物から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記n+mの合計は最大2であり、
各R3は互いに独立して式(3)[式中、Yは6個の炭素環原子を有する置換もしくは非置換の芳香族基、好ましくは1,2-フェニレン、または-C(R5)2)o-〔式中、oは1であり、R5基の1つは水素であり、第2のR5基は1~10個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特にメチル、カルボキシメチルまたはその(アルキル)エステルである〕であり、R6は水素、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基を表し、R7は式(4)〔式中、R8はC1-10アルキレン基、好ましくはC1またはC3アルキレン基であり、各R9は互いに独立して、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特に好ましくはメチルまたはエチルを表し、各R10は互いに独立して、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特に好ましくはメチルまたはエチルを表し、pは0または1、好ましくは0である〕の基を表す]の基を表す、請求項1~4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記キャップされた接着促進剤は、式(II)のケチミンであり、qが0であり、R11がメチレンまたはプロピレン、好ましくはプロピレンであり、各R13がエチルであり、Bが式(6):
[式中、
(i)1つのR14がメチルであり、第2のR14がイソブチルまたはメチルである;または
(ii)1つのR14が水素であり、第2のR14がフェニルである]
の基である、請求項1~7のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
(i)前記ポリマー(A)の量は、前記組成物の総重量に対して、約32~約97重量%、好ましくは40~70重量%である;および/または
(ii)前記キャップされた接着促進剤(B)の量は、前記組成物の総重量に対して、約0.1~約5重量%、好ましくは0.5~2重量%である;および/または
(iii)前記硬化触媒の量は、前記組成物の総重量に対して、約0.05~2重量%、好ましくは0.1~0.5重量%である、
請求項1~8のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記硬化触媒はスズ化合物、好ましくは有機スズ化合物、より好ましくは二価もしくは四価のスズの1,3-ジカルボニル化合物、ジアリルスズ(IV)ジカルボキシレート、ジアルキルスズ(IV)ジアルコキシレート、ジアルキルスズ(IV)オキシド、スズ(II)カルボキシレートおよびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項11】
可塑剤、充填剤、ベースおよび前記キャップされた接着促進剤(B)とは異なる接着促進剤からなる群から選択される1つまたは複数の追加の成分をさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記組成物が、前記キャップされた接着促進剤とは異なる少なくとも1つの接着促進剤をさらに含み、前記追加の接着促進剤は、好ましくは三級アミノシラン、より好ましくは3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリル)プロピルアミン、ビス(3-トリエトキシシリル)プロピルアミン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシランおよび4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリエトキシシランからなる群から選択される、請求項11に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
接着剤、シーリングまたはコーティング材料としての、請求項1~12のいずれかに記載の硬化性組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別なケイ素含有末端基を有するポリオルガノシロキサン、特別なキャップされた接着促進剤および硬化触媒に基づく硬化性組成物に関する。これらの組成物は、接着特性が改善されており、貯蔵安定性に優れている。本発明はさらに、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤、シーラントおよびコーティングとして使用される硬化性組成物は、基材への優れた接着性を有することが一般に望ましい。この要求を満たすために、様々な接着促進剤が当技術分野で知られている。しかしながら、多くの調製物は依然として、全体的な接着プロファイルおよびそれらの老化および貯蔵安定性などの特性において、望ましくない制限を示している。したがって、当技術分野では、長期間にわたって十分に安定であると同時に、良好な接着プロファイルを示す調製物が依然として必要である。
【0003】
反応性架橋性シリル基、例えばアルコキシシリル基を有するポリマー系は、長い間知られている。大気中の水分の存在下で、これらのアルコキシシラン末端ポリマーは、アルコキシ基の脱離を伴って縮合することができる。アルコキシシラン基の量およびその構造に応じて、主に長鎖ポリマー(熱可塑物質)、比較的広いメッシュの3次元ネットワーク(エラストマー)、または高度に架橋されたシステム(熱硬化性物質)を形成する。
【0004】
シリコーンポリマー(ポリオルガノシロキサン)、特にポリジアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)は、接着剤、シーリング、コーティングおよび絶縁材料の製造において非常に重要である。これらの中で、低温および周囲条件下で加硫するものは、市場のかなりのシェアを構成する。典型的な調製物は、反応性ポリオルガノシロキサン、特にケイ素原子に結合した少なくとも1つ、好ましくは2つのヒドロキシ基を有するシラノール末端ポリオルガノシロキサンを含む。これは通常、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン系架橋剤と組み合わせて使用される。ポリオルガノシロキサンおよび架橋剤は別個の成分として存在することができるが、両方を互いに反応させて変性ポリオルガノシロキサンを形成することもでき、これは硬化性組成物に使用することができる。エンドキャッピング(末端基キャッピング)という用語も、この点で使用される。これは、場合により触媒の存在下で実施することができ、それにより触媒は、ポリオルガノシロキサンを同時に硬化させることなく、エンドキャッピングを選択的に媒介することになる。
【0005】
このようなシラン末端ポリマー系の使用および可能な適用は、等しく多様である。それらは、例えばエラストマー、シーラント、接着剤、弾性接着剤系、剛性および可撓性フォーム、多種多様なコーティング系の製造、および医療分野、例えば歯科における印象材に使用することができる。これらの製品はあらゆる形態、例えば塗装、スプレー、鋳造、プレス、充填などに適用できる。
【0006】
それぞれのポリマー骨格のエンドキャッピングまたは部分官能化として作用する多数の架橋剤が当技術分野で知られている。ポリマー骨格へのカップリングに使用されるその機能に加えて、これらは加水分解中に放出する脱離基のタイプに基づいて、酸性、塩基性、および中性の架橋剤に区別することができる。典型的な酸性架橋剤は、加水分解性基として酸基を含み、架橋中に対応する酸、例えば酢酸を放出する。典型的な塩基性架橋剤は、架橋中にアミンを放出する。どちらの場合も、架橋中に攻撃的な(aggressive)化合物が放出され、例えば金属、石またはモルタルなどを腐食または分解させる可能性があり、さらに、強い、しばしば不快な臭いがする。したがって、中性架橋剤が、現代の硬化性シリコーン組成物に使用されることが多い。中性架橋剤の典型的な代表は加水分解可性基を有し、これは架橋中に、メタノールまたはエタノールなどの、アルコールまたはオキシムを放出する。
【0007】
それにもかかわらず、そのようなアルコキシ系は、関連する硬化性組成物の貯蔵安定性について複数の問題があり、いくつかの材料に対する硬化した製造物の接着が不十分であるという欠点を有する。アルカノンオキシムの放出とともに加水分解するオキシモシラン架橋剤は、通常これらの欠点を有さないため、広く使用されている。オキシモシラン架橋剤の最も一般的な代表物は、架橋時にブタン-2-オンオキシムを放出する。しかし、この化合物はガンを引き起こす疑いがあるため、代替の中性架橋剤が緊急に必要とされている。それとは別に、放出されたオキシムも、強烈な腐敗臭を有し、そのような架橋剤を含む硬化性組成物での作業は、ユーザーが不快だと認識する。
【0008】
したがって、架橋中にα-ヒドロキシカルボン酸エステルまたはα-ヒドロキシカルボン酸アミドを放出するシラン化合物は、代替の架橋剤としてすでに提案されている。
【0009】
適切なシラン化合物の調製は長い間知られており、例えば、M. M. Sprungによる“Some α-carbalkoxyalkoxysilanes,”、J. Org. Chem., 1958, 23(10), pp.1530-1534に記載されている。
【0010】
ドイツ特許出願公開第3210337号も、関連するシラン化合物および縮合性末端基を有するポリジオルガノシロキサンに基づく硬化性組成物におけるその調製および使用を開示している。
【0011】
3つの2-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基、すなわち乳酸アルキルエステル基を有する、シリコーンゴム材料用の硬化剤は、欧州特許出願公開第2030976号から知られている。この場合、ビニルトリス(エチルラクタト)シランが特に好ましい。
【0012】
欧州特許出願公開第2774672号には、乳酸基を有するシラン化合物に基づく架橋剤でシリコーンゴム材料を架橋するための特別な触媒が記載されている。この場合も、架橋剤は、欧州特許出願公開第2030976号から知られている化合物である可能性がある。しかしながら、1つ、2つまたは4つの2-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基のみを有する架橋剤も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第3210337号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2030976号
【特許文献3】欧州特許出願公開第2774672号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】M. M. Sprung, “Some α-carbalkoxyalkoxysilanes,” J. Org. Chem., 1958, 23(10), pp.1530-1534
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
乳酸基または類似のα-カルバルコキシアルコキシ基を有するシラン化合物に基づく架橋剤の使用は多くの利点と関連しているが、得られる調製物は、プラスチックおよびコンクリートなどの特定の困難な基材への中程度のみの接着に悩まされることがある。そのような組成物の他の従来の、しばしば不可欠な成分(特に硬化触媒および接着促進剤)の存在下で貯蔵安定性が特に低下し得るので、別の課題は、良好な貯蔵安定性を示す、これらの架橋剤を含む硬化性シリコーン系組成物を調製することである。
【0016】
これらの問題のいくつかに対処するいくつかの調製物が存在するが、本発明の目的は、架橋中に主にヒドロキシカルボン酸エステル(およびあり得る副生成物としてヒドロキシカルボン酸アミド)を放出し、それでもなお良好な接着性および優れた貯蔵安定性を有する、架橋剤の使用を可能にするポリオルガノシロキサンに基づく代替の硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、特定のポリオルガノシロキサン、すなわち特定のシラン基でエンドキャップされたポリオルガノシロキサンに基づく硬化性組成物を提供することによって前記目的を達成し、それにより、前記組成物は少なくとも1つの特定の接着促進剤および少なくとも1つの硬化触媒を含む。
【0018】
本明細書に開示される特定のエンドキャップされたポリオルガノシロキサンと特定の接着促進剤との組み合わせが、良好な硬化および接着特性を保持しながら、優れた貯蔵安定性を示すことが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって、第1の態様において、本発明は、以下を含むか、または本質的に以下からなる硬化性組成物に関する:
(A)式(I):
【化1】
[式中、
Aは結合、-O-、または1~12個の炭素原子を有する炭化水素残基、アルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、シロキサン-アルキレン、シロキサン-アリーレン、エステル、アミン、グリコール、イミド、アミド、アルコール、カーボネート、ウレタン、ウレア、スルフィド、エーテルもしくはそれらの誘導体もしくはそれらの組み合わせから選択される直鎖、分岐もしくは環状の二価の基であり、
各R
1は、水素、ハロゲン、アミノ、オキシイミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキルニルオキシ、脂環式、脂環式-O-、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロ脂環式、ヘテロ脂環式オキシ、アシル、アシルオキシ基またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
各R
2は独立して一般式(2):
【化2】
〔式中、
Yは、4~14個の環原子を有する置換もしくは非置換の(ヘテロ)芳香族基、置換もしくは非置換の飽和もしくは部分的に不飽和の4~14員(ヘテロ)環式基、または-(C(R
5)
2)
o-であり、
R
4は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせであり、
各R
5は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式またはアリール基からなる群から独立して選択され、
oは1~10の整数である〕
の基であり、
各R
3は独立して一般式(3):
【化3】
〔式中、
Yは上記で定義した通りであり、
R
6は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせ、またはR
7からなる群から選択され、
R
7は、一般式(4):
【化4】
<式中、
R
8は、場合によりヘテロ原子、例えばO、N、SまたはSiで分断されているアルキレン基であり、
各R
9は、水素、ハロゲン、アミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
各R
10は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシル基からなる群から独立して選択され、
各pは独立して0、1または2を表す>の基である〕
の基であり、
mは独立して0、1または2であり、
nは独立して1、2または3であり、n+mの合計は最大3である]
の少なくとも1つの末端基を含む少なくとも1つのポリオルガノシロキサン;
(B)式(II):
【化5】
[式中、
R
11は、場合によりヘテロ原子、例えばO、N、SまたはSiで分断されているアルキレン基、好ましくはC
1-C
10アルキレン、より好ましくはC
1またはC
3アルキレンであり、
各R
12は、水素、ハロゲン、アミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
各R
13は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシル基からなる群から独立して選択され、
qは独立して0、1または2を表し、
Bは、式(6):
【化6】
式(7):
【化7】
または式(8):
【化8】
〔式中、
各R
14、R
14a、R
14b、R
14c、R
15およびR
16は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;
rは1、2、3または4である〕
の群から選択される窒素含有基である]
の少なくとも1つのキャップされた接着促進剤:および
(C)少なくとも1つの硬化触媒。
【0020】
ケイ素原子に結合した脱離基としてヒドロキシカルボン酸エステル、またはより少ない量でヒドロキシカルボン酸アミドを有するシリル基でエンドキャップされたポリオルガノシロキサンと、湿気/水分との接触時にのみ放出される保護されたアミノ官能基を有する接着促進剤との組み合わせは、硬化性組成物が非常に高い貯蔵安定性を有し、室温(23℃)であっても、大気中の水分の存在下で塗布した後、確実におよび十分な速度で硬化することを保証する。
【0021】
本発明はさらに、本発明の硬化性組成物の、または本発明の方法に従って調製した硬化性組成物の、接着剤、シーリングまたはコーティング材料としての使用に関する。
【0022】
「硬化性組成物」は、物理的または化学的手段によって硬化可能である物質、または複数の物質の混合物であると理解される。これに関して、これらの化学的または物理的手段は、例えば、熱、光または他の電磁放射の形でエネルギーを供給するだけでなく、単に大気中の湿気、水分または反応性成分と接触させることもできる。これにより、組成物は元の状態からより高い硬度を有する状態に変化する。本発明の文脈において、「硬化性」は、主に、縮合する式(I)の末端シラン基の特性に関する。
【0023】
本出願におけるオリゴマーまたはポリマーの分子量に言及する場合、その量は、特に明記しない限り、重量平均、すなわちMw値を指し、数平均分子量を指すのではない。分子量は、好ましくは35℃で、DIN 55672 1:2007-08に従って、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定する。モノマー化合物の分子量は、それぞれの分子式と個々の原子の既知の分子量に基づいて計算する。
【0024】
本明細書で使用される「少なくとも1つ」は、1つまたは複数、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上を指す。成分に関しては、この用語は成分のタイプに関係し、分子の絶対数には関係しない。したがって、例えば「少なくとも1つのポリマー」は、少なくとも1つのタイプのポリマー、すなわち、1タイプのポリマーまたはいくつかの異なるポリマーの混合物を使用できることを意味する。重量データとともに、この用語は、組成物/混合物に含まれる所定のタイプのすべての化合物を指し、すなわち、組成物は、所定の量の関連する化合物以外にこのタイプの他の化合物を含まないことを指す。
【0025】
本明細書に記載の組成物に関連して示されるすべてのパーセンテージデータは、特に明記しない限り、それぞれの場合に関連する混合物に基づく重量%を指す。
【0026】
本明細書で使用される「本質的にからなる(consisting essentially of)」とは、以下に記載されるように、それぞれの組成物が主に、すなわち、記載された成分(A)、(B)および(C)および場合により充填剤/可塑剤で少なくとも50重量%、例えば少なくとも60、70または80%で構成されることを意味する。
【0027】
数値に関して本明細書で使用される「約」は、参照値±10%、好ましくは±5%を意味する。
【0028】
本明細書で使用される「アルキル」は、直鎖および分枝鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。前記アルキル基は、好ましくは1~10個の炭素原子を有する(本明細書で数値範囲、例えば「1~10」が示される場合、これは、この基(この場合アルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個までの炭素原子を有することができることを意味する)。特に、アルキルは、5~6個の炭素原子を有する中級アルキル、または1~4個の炭素原子を有する低級アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどであり得る。前記アルキル基は、置換または非置換であることができる。これに関連して使用される「置換」とは、アルキル基の1つまたは複数の炭素原子および/または水素原子がヘテロ原子または官能基によって置き換えられることを意味する。水素原子を置き換えることができる官能基は、特に=O、=S、-OH、-SH、-NH2、-NO2、-CN、-F、-Cl、-Br、-I、-COOH、-CONH2、-OCN、-NCO、C3-8シクロアルキル、C6-14アリール、1~4個の環原子が独立して窒素、酸素または硫黄である5~10員のヘテロアリール環および1~3個の環原子が独立して窒素、酸素または硫黄である5~10員のヘテロ脂環式環から選択される。置換アルキルには、例えば、アルキルアリール基が含まれる。1つまたは複数の炭素原子が、特にO、S、N、およびSiから選択されるヘテロ原子で置き換えられているヘテロアルキル基は、1つまたは複数の炭素原子をヘテロ原子で置き換えることによって得られる。そのようなヘテロアルキル基の例は、以下に限定されないが、メトキシメチル、エトキシエチル、プロポキシプロピル、メトキシエチル、イソペントキシプロピル、エチルアミノエチル、トリメトキシプロピルシリルなどである。
【0029】
本明細書で使用される「アルケニル」は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素二重結合からなる本明細書で定義されるアルキル基、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニルまたはペンテニル、およびその構造異性体、例えば1-または2-プロペニル、1-、2-または3-ブテニルなどを指す。アルケニル基は置換または非置換であることができる。それらが置換されている場合、置換基はアルキルについて上で定義した通りである。「アルケニルオキシ」は、本明細書で定義されるように、-O-を介して分子の残りの部分に結合しているアルケニル基を指す。したがって、それぞれの用語には、ビニルオキシ(H2C=CH-O-)などのエノキシ基が含まれる。
【0030】
本明細書で使用される「アルキニル」は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合からなる本明細書中で定義されるようなアルキル基、例えば、エチニル(アセチレン)、プロピニル、ブチニル、またはペチニルおよび上記で定義されるようなその構造異性体を指す。アルキニル基は、置換または非置換であることができる。それらが置換されている場合、置換基は、アルキルについて上で定義された通りである。「アルキルニルオキシ」は、本明細書で定義されるように、-O-を介して分子の残りの部分に結合されているアルキニル基を指す。
【0031】
本明細書で使用される「脂環式基」または「シクロアルキル基」は、特に3~8個の炭素原子の、環が完全に共役したパイ電子系を有さない単環式基または多環式基(いくつかの環が炭素原子を共有する)を指し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどを指す。シクロアルキル基は、置換または非置換であることができる。この点で使用される「置換」は、シクロアルキル基の1つまたは複数の水素原子が官能基で置き換えられていることを意味する。水素原子と置き換えることができる官能基は、特に=O、=S、-OH、-SH、-NH2、-NO2、-CN、-F、-Cl、-Br、-I、-COOH、-CONH2、-OCN、-NCO、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-8シクロアルキル、C6-14アリール、1~4個の環原子が独立して窒素、酸素または硫黄である5~10員のヘテロアリール環、および1~3個の環原子が独立して窒素、酸素または硫黄である5~10員のヘテロ脂環式環から選択される。「シクロアルキルオキシ」は、本明細書で定義されるように、-O-を介して分子の残りの部分に結合されているシクロアルキル基を指す。
【0032】
本明細書で使用される「アリール」は、特に、完全に共役したパイ電子系を有する、6~14個の単環式または多環式基(すなわち、共通の隣接する炭素原子を有する環)を指す。アリール基の例は、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルである。アリール基は置換または非置換であることができる。それらが置換されている場合、置換基は、シクロアルキルについて上で定義された通りである。「アリールオキシ」は、本明細書で定義されるように、-O-を介して分子の残りの部分に結合されているアリール基を指す。
【0033】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」基は、特に5~10個の環原子を有する単環式または多環式(すなわち、隣接する環原子対を共有する環)芳香環を指し、ここで、1、2、3または4つの環原子は窒素、酸素または硫黄で、残りは炭素である。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シノリニル、ナフチリジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、カルバゾリル、キサンテニルまたはベンゾキノリルである。ヘテロアリール基は、置換または非置換であることができる。それらが置換されている場合、置換基はシクロアルキルについて上で定義された通りである。本明細書で使用される「(ヘテロ)アリール」は、本明細書で定義されるアリールおよびヘテロアリール基の両方を指す。「ヘテロアリールオキシ」は、本明細書で定義されるように、-O-を介して分子の残りの部分に結合されているヘテロアリール基を指す。
【0034】
本明細書で使用される「ヘテロ脂環式基」または「ヘテロシクロアルキル基」は、N、OおよびSから選択される1、2または3つのヘテロ原子を含み、それによって残りの環原子は炭素である、5~10個の環原子を有する単環式または縮合環を指す。「ヘテロシクロアルケニル」基は、さらに1つまたは複数の二重結合を含む。しかしながら、環は完全に共役したパイ電子系は有さない。ヘテロ脂環式基の例は、ピロリジノン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イミダゾリジン、テトラヒドロピリダジン、テトラヒドロフラン、チオモルホリン、テトラヒドロピリジンなどである。ヘテロシクロアルキル基は、置換または非置換であることができる。それらが置換されている場合、置換基はシクロアルキルについて上で定義された通りである。「ヘテロ脂環式」は、本明細書で定義されるように、-O-を介して分子の残りの部分に結合されているヘテロ脂環式基を指す。
【0035】
本発明の硬化性組成物は、成分(A)として、式(I)のシラン基でエンドキャップされた少なくとも1つのポリオルガノシロキサンを含む。そのようなポリマーは、ケイ素原子に結合した少なくとも1つのヒドロキシ基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサンを提供することによって得ることができる。好ましくは、前記ポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子に結合した少なくとも2つのヒドロキシ基を有する。さらに、単数または複数のヒドロキシ基が末端ケイ素原子に結合していることが好ましい。ポリオルガノシロキサンが分岐している場合、好ましくは各末端にヒドロキシ基を有する。したがって、本発明は、一端にのみ式(I)のシラン基を有するポリマーに及ぶが、すべてのポリマー鎖末端が前記基によってエンドキャップされることが好ましい、すなわち、直鎖状ポリマーは、2つの末端シラン基を有することになる。ポリマーが分岐している場合、各末端が式(I)の基でエンドキャップされていることが好ましい。
【0036】
ケイ素原子に結合した少なくとも1つのヒドロキシ基を有するポリオルガノシロキサンは、好ましくはポリジオルガノシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサンである。
【0037】
したがって、好ましくは、α,ω-ジヒドロキシ末端ポリジオルガノシロキサン、特にα,ω-ジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンが、ケイ素原子に結合した少なくとも1つのヒドロキシ基を有するポリオルガノシロキサンとして使用される。特に好ましいものは、25℃で5000~120,000cSt、特に10,000~100,000cSt、特に好ましくは50,000~90,000cStの動粘度を有するα,ω-ジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンである。
【0038】
ポリオルガノシロキサンは、様々な異なる結合基Aを介して式(I)の末端基に結合してよい。様々な実施形態において、Aは、直接共有結合(direct covalent bond)、-O-、オキシアルキレン、例えば-O-CH2-もしくは-O-(CH2)3-、またはシロキサン-アルキレン、好ましくは式-(CH2)1-10-(Si(Alk)2-O-Si(Alk)2)1-10-(CH2)1-10のシロキサンアルキレン[式中、AlkはC1-10アルキル、好ましくはメチルである]、またはそれらの誘導体から選択される直鎖もしくは分岐の二価の基である。Aが式-(CH2)1-10-(Si(Alk)2-O-Si(Alk)2)1-10-(CH2)1-10のシロキサン-アルキレンである場合、それは好ましくは-(CH2)2-Si(CH3)2-O-Si(CH3)2-(CH2)2-から選択される。
【0039】
あるいは、様々な実施形態において、前記ポリオルガノシロキサンは、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NR’-、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-C(=O)-O-、-O-C(-O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-S-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-S-C(=O)-S-、-C(=O)-、-S-、-O-およびNR’-[式中、R’は、水素または場合によりハロゲンで置換された、1~6個の炭素原子を有する炭化水素部分であることができ、好ましくはC1-C2アルキルまたは水素である]から選択される部分を介して、式(I)の末端基に結合してよい。そのような実施形態において、Aは、場合により、置換されていてよい1~10個の炭素原子を有する二価のアルキレン基にさらに結合している前述の基から構成されてよく(場合によりヘテロ原子で分断されている)、好ましくは-CH2-または(CH2)3-である。そのようなアルキレン基が存在する場合、配向(the orientation)は、アルキレン基が式(I)の末端基のケイ素原子に結合し、一方、上記の官能基がポリマー鎖の末端ケイ素原子に結合するようになり、すなわちフルリンカー-A-は-O-C(=O)-NH-C1-10アルキレン-またはO-C1-10アルキレン-であり得る。
【0040】
ポリマー(A)を得るために、前記ポリマーを、所望のポリマー(A)を生成する適切なシラン架橋剤と反応させてよい。一般に、前記架橋剤は次の式:
【化9】
[Cは、ポリマーの末端基、典型的には-OHまたはアミノまたはイソシアネートと反応して結合基-A-を生成する反応性基である]
のシランである。
【0041】
適切な反応が知られており、エンドキャッピングとも呼ばれる。これらは、場合により触媒の存在下で実施することができ、それにより、触媒はポリオルガノシロキサンを同時に硬化させることなく、エンドキャッピングを選択的に媒介することになる。適切な触媒は、欧州特許出願公開第0564253号に記載されているように、例えば酸、有機リチウム化合物、アミン、無機酸化物、酢酸カリウム、有機チタン誘導体、チタン/アミンの組み合わせおよびカルボン酸/アミンの組み合わせである。
【0042】
式(I)の基において、各R1は、独立して、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル基;置換もしくは非置換の脂環式基もしくはアリール基;または、置換もしくは非置換のヘテロ脂環式基もしくはヘテロアリール基を表す。代替的に、または追加的に、1つまたは複数のR1は、水素、ハロゲン、アミノ、オキシイミノ、アルケニルオキシ、アルキルニルオキシ、脂環式-O-、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロ脂環式オキシ、アシル、アシルオキシまたはそれらの組み合わせを表してよい。
【0043】
様々な実施形態において、各R1は、互いに独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピル、2~10個の炭素原子を有するアルケニル基、特にビニルもしくはアリル、または6~10個の炭素原子を有するアリール基、特にフェニル、または6~14個の炭素原子を有するアリールオキシ基、または2~10個の炭素原子を有するアシルオキシ基、好ましくはアセトキシ、オキシイミノ、2~10個の炭素原子を有するアルケニルオキシ、またはアミノを表す。
【0044】
特定の実施形態において、各R1は、独立して、メチル、ビニルまたはフェニルを表し、特に好ましいのは、メチルおよびビニルである。
【0045】
式(I)において、各R
2は、独立して、一般式(2):
【化10】
[式中、
Yは、4~14個の環原子を有する置換もしくは非置換の(ヘテロ)芳香族基、置換もしくは非置換の飽和もしくは部分的に不飽和の4~14員(ヘテロ)環状基、または-C(R
5)
2)
o-であり、
R
4は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基、またはそれらの組み合わせであり、
各R
5は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式またはアリール基からなる基から独立して選択され、
oは1~10、好ましくは1~5、より好ましくは1または2の整数である]
の基を表す。
【0046】
様々な実施形態において、各R2は、互いに独立して式(2)の基を表し、R4は、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特に好ましくはメチルまたはエチルを表す。いくつかの実施形態において、Yは、6個の炭素環原子を有する置換もしくは非置換の芳香族基、好ましくは1,2-フェニレン、または(C(R5)2)o-[式中、oは1であり、R5基の1つは水素であり、第2のR5基は、1~10個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特にメチル、カルボキシメチルまたはその(アルキル)エステル、例えばエチルカルボキシメチルである]である。
【0047】
様々な実施形態において、各R2は、互いに独立して、乳酸エステル、好ましくはエチルエステル、またはリンゴ酸モノエステルもしくはジエステル、好ましくはモノもしくはジエチルエステルを表す。
【0048】
他の実施形態において、各R2はサリチル酸に由来し、すなわち、Yは1,2-フェニレンである。サリチル酸残基はエステル、例えばメチルまたはエチルエステル、好ましくはエチルエステルである。
【0049】
様々な実施形態において、各R
3は、互いに独立して、一般式(3):
【化11】
の基を表す。
【0050】
様々な実施形態において、Yは上で定義された通りであり、R
6は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基、もしくはそれらの組み合わせ、またはR
7からなる群から選択され;R
7は一般式(4):
【化12】
[式中、
R
8は、場合によりヘテロ原子、例えばO、N、SまたはSiで分断されているアルキレン基、好ましくはC1-10またはC1-8アルキレン基、より好ましくはC1-C3アルキレン基、最も好ましくはメチレン(CH
2)またはプロピレン((CH
2)
3)基であり、
各R
9は、水素、ハロゲン、アミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基、またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
各R
10は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシル基、好ましくは非置換の低級アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルからなる群から独立して選択され、
各pは、独立して0、1または2、好ましくは0または1、より好ましくは0を表す]
の基である。
【0051】
様々な実施形態において、式(3)の基において、Yは、上記の式(2)の基について定義された通りであり、すなわちYは、6個の炭素環原子を有する置換もしくは非置換の芳香族基、好ましくは1,2-フェニレン、または-(C(R5)2)o-[式中、oは1であり、R5基の1つは水素であり、第2のR5基は、1~10個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特にメチル、カルボキシメチルまたはその(アルキル)エステル、例えばエチルカルボキシメチルである]である。
【0052】
様々な実施形態において、R6は、好ましくは水素、1~10個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有する非置換のアルキル基、さらにより好ましくは1~4個の炭素原子を有する非置換のアルキルまたは水素を表す。
【0053】
様々な実施形態において、R8は、好ましくは、式-(CH2)1-8-、より好ましくは-(CH2)1-5-、さらにより好ましくは-(CH2)1-3-、最も好ましくは-CH2-または(CH2)3-のアルキレン基である。
【0054】
様々な実施形態において、好ましくは、各R9は、互いに独立して、1~10個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する非置換のアルキル基、特に好ましくはメチルまたはエチルを表す。
【0055】
様々な実施形態において、好ましくは、各R10は、互いに独立して、1~10個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、好ましくは1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する非置換のアルキル基、特に好ましくはメチルまたはエチル、最も好ましくはメチルを表す。
【0056】
好ましくは、各R3は互いに独立して、式(3)[式中、Yは6個の炭素環原子を有する置換もしくは非置換の芳香族基、好ましくは1,2-フェニレン、または-C(R5)2)o-〔式中、oは1であり、R5基の1つは水素であり、第2のR5基は1~10個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基、特にメチル、カルボキシメチルまたはその(アルキル)エステルである〕であり、R6は水素、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基を表し、R7は式(4)〔式中、R8はC1-10アルキレン基、好ましくはC1もしくはC3アルキレン基であり、各R9は互いに独立して、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルキル基、特に好ましくはメチルもしくはエチルを表し、各R10は互いに独立して、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルキル、特に好ましくはメチルもしくはエチルを表し;pは0もしくは1、好ましくは0である〕を表す]の基を表す。
【0057】
第1の実施形態において、式(1)のnおよびmは、n+mの合計が3になるように選択される。この場合、式(1)のシランは、R3基を含まない、すなわちヒドロキシカルボン酸アミド基を含まない。この場合の式(1)の好ましいシラン基は、メチルビス(エチルラクタト)シラン、エチルビス(エチルラクタト)シラン、フェニルビス(エチルラクタト)シラン、ビニルビス(エチルラクタト)シラン、トリ(エチルラクタト)シラン、メチルビス(エチルサリチラト)シラン、エチルビス(エチルサリチラト)シラン、フェニルビス(エチルサリチラト)シラン、ビニルビス(エチルサリチラト)シラン、トリ(エチルサリチラト)シラン、メチルビス(ジエチルマラト)シラン、エチルビス(ジエチルマラト)シラン、フェニルビス(ジエチルマラト)シラン、ビニルビス(ジエチルマラト)シラン、トリ(ジエチルマラト)シランおよびそれらの混合物から選択される。
【0058】
第2の実施形態において、式(1)のnおよびmは、n+mの合計が2になるように選択される。この場合、式(1)のシランは、少なくとも1つのR
3基、すなわち少なくとも1つのヒドロキシカルボン酸アミド基を含む。この場合の式(1)の好ましいシランは、メチルビス(エチルラクタト)シラン、エチルビス(エチルラクタト)シラン、フェニルビス(エチルラクタト)シラン、ビニルビス(エチルラクタト)シラン、トリ(エチルラクタト)シラン、メチルビス(エチルサリチラト)シラン、エチルビス(エチルサリチラト)シラン、フェニルビス(エチルサリチラト)シラン、ビニルビス(エチルサリチラト)シラン、トリ(エチルサリチラト)シラン、メチルビス(ジエチルマラト)シラン、エチルビス(ジエチルマラト)シラン、フェニルビス(ジエチルマラト)シラン、ビニルビス(ジエチルマラト)シラン、トリ(ジエチルマラト)シランおよびそれらの混合物と、式(5):
【化13】
[式中、p、R
6、R
8、R
9およびR
10は、それぞれの場合において互いに独立して、前述の一般的な、好ましいおよび特に好ましい意味を有する]
のアミンとの選択的アミド化によって得られる化合物から選択される。特に好ましくは、これは、メチルビス(エチルラクタト)シラン、エチルビス(エチルラクタト)シラン、フェニルビス(エチルラクタト)シラン、ビニルビス(エチルラクタト)シラン、トリ(エチルラクタト)シラン、メチルビス(エチルサリチラト)シラン、エチルビス(エチルサリチラト)シラン、フェニルビス(エチルサリチラト)シラン、ビニルビス(エチルサリチラト)シラン、トリ(エチルサリチラト)シラン、メチルビス(ジエチルマラト)シラン、エチルビス(ジエチルマラト)シラン、フェニルビス(ジエチルマラト)シラン、ビニルビス(ジエチルマラト)シラン、トリ(ジエチルマラト)シランおよびそれらの混合物と、3-アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3-アミノプロピルトリエトキシシランとのアミド化生成物に関する。
【0059】
様々な実施形態において、前記硬化性組成物は、前記ポリオルガノシロキサン(A)を、それぞれの場合において、組成物の総重量に基づいて、32~97重量%の量、特に好ましくは40~70重量%の量で含む。ポリオルガノシロキサンの混合物を使用する場合、その量は組成物中のポリオルガノシロキサンの総量に関する。
【0060】
前記硬化性組成物は、成分(B)として、式(II):
【化14】
[式中、
R
11は、場合によりヘテロ原子、例えばO、N、SまたはSiで分断されているアルキレン基、好ましくはC
1-C
10アルキレン、より好ましくはC
1またはC
3アルキレンであり、
各R
12は、水素、ハロゲン、アミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基、またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
各R
13は、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシル基からなる群から独立して選択され、
qは独立して0、1または2を表し、
Bは、式(6):
【化15】
式(7):
【化16】
または式(8):
〔式中、各R
14、R
14a、R
14b、R
14c、R
15およびR
16は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基、またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
rは1、2、3または4である〕
の群から選択される窒素含有基である]
の少なくとも1つのキャップされた接着促進剤を含む。
【0061】
R11が、O、N、SまたはSiなどのヘテロ原子で分断されたアルキレン基である場合、NはNR13aであってよく、SiはSi(R13a)2[各R13aは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式基、またはそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される]であってよいことが理解される。
【0062】
式(II)の化合物およびポリマー(A)に関して「ブロックされた」および「キャップされた」という用語は、本明細書では互換的に使用される。さらに、式(II)の化合物は、本明細書ではブロックされた/キャップされた接着促進剤と呼ばれる。
【0063】
様々な実施形態において、各R12およびR13は、メチルおよびエチルから独立して選択され、好ましくは、各R13はエチルである。
【0064】
様々な実施形態において、R13は、アルキルまたは置換アルキル、例えばアミノアルキルであってよい。好ましい(アミノ)アルキル基はC1-C6アルキル基、好ましくは、場合により末端アミノ基を有する直鎖アルキル基、例えばエチル、n-プロピル、n-ブチルおよびn-ペンチル、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ基、例えばN,N-ジ(C1-C4アルキル)アミノ基、例えばN,N-ジメチル-またはN,N-ジエチルアミノ基である。
【0065】
様々な実施形態において、式(6)において、1つのR14は、水素またはメチル、好ましくは水素であり、他のR14は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有する非置換のアルキル基、例えばイソブチルもしくはメチル、または非置換のアリール基、好ましくはフェニルである。
【0066】
様々な実施形態において、式(7)において、R14aおよびR14bおよび1つのR14cは水素またはメチル、好ましくは水素であり、他のR14cは1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有する非置換のアルキル基、または非置換のアリール基、好ましくはフェニルである。
【0067】
様々な実施形態において、式(8)のR15およびR16は水素である。
【0068】
式(8)において、rは好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
【0069】
様々な実施形態において、キャップされた接着促進剤は、qが0であり、R11がメチレンまたはプロピレン、好ましくはプロピレンであり、各R13はメチルまたはエチル、好ましくはエチルであり、Bは式(6)
[式中、
(i)1つのR14はメチルであり、第2のR14はイソブチルまたはメチルである;または
(ii)1つのR14は水素であり、第2のR14はフェニルである]
の基である、式(II)のケチミンである。
【0070】
硬化性組成物は、それぞれの場合に組成物の総重量に基づいて、好ましくは約0.1~約5重量%の量、好ましくは0.5~2重量%の量でキャップされた接着促進剤を含む。キャップされた接着促進剤の混合物を使用する場合、その量は組成物中のそのようなキャップされた接着促進剤の総量を指す。
【0071】
式(II)の化合物に関連して本明細書で使用される「ブロックされた」は、活性化合物が水および/または酸素との接触時にのみ放出されるように、前記化合物が誘導体化されるという事実を指す。
【0072】
前記硬化性組成物は、最終的に、成分(C)として少なくとも1つの硬化触媒を含む。
【0073】
様々な実施形態において、前記硬化触媒はスズ化合物、好ましくは有機スズ化合物または無機スズ塩であってよい。これらのスズ化合物中のスズは、好ましくは二価または四価である。成分(C)は、特に架橋触媒として組成物に添加される。適切な無機スズ塩は、例えば塩化スズ(II)および塩化スズ(IV)である。しかしながら、有機スズ化合物(スズオルガニル)が好ましくはスズ化合物として使用される。適切な有機スズ化合物は、例えば、二価または四価スズの1,3-ジカルボニル化合物、例えばアセチルアセトナート、例えばジ(n-ブチル)スズ(IV)ジ(アセチルアセトネート)、ジ(n-オクチル)スズ(IV)ジ(アセチルアセトネート)、(n-オクチル)(n-ブチル)スズ(IV)ジ(アセチルアセトネート);ジアルキルスズ(IV)ジカルボキシレート、例えばジ-n-ブチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズマレエート、ジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-オクチルスズジラウレート、ジ-n-オクチルスズジアセテートまたは対応するジアルコキシレート、例えばジ-n-ブチルスズジメトキシド;四価スズの酸化物、例えばジアルキルスズオキシド、例えば、ジ-n-ブチルスズオキシドおよびジ-n-オクチルスズオキシド;およびスズ(II)カルボキシレート、例えばスズ(II)オクトエートまたはスズ(II)フェノラートである。
【0074】
さらに、適切なものは、エチルシリケート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジオクチルマレエート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレートのスズ化合物、例えば、ジ(n-ブチル)スズ(IV)ジ(メチルマレエート)、ジ(n-ブチル)スズ(IV)ジ(ブチルマレエート)、ジ(n-オクチル)スズ(IV)ジ(メチルマレエート)、ジ(n-オクチル)スズ(IV)ジ(ブチルマレエート)、ジ(n-オクチル)スズ(IV)ジ(イソオクチルマレエート);ならびにジ(n-ブチル)スズ(IV)スルフィド、(n-ブチル)2Sn(SCH2COO)、(n-オクチル)2Sn(SCH2COO)、(n-オクチル)2Sn(SCH2CH2COO)、(n-オクチル)2Sn(SCH2CH2COOCH2CH2OCOCH2S)、(n-ブチル)2-Sn(SCH2COO-i-C8H17)2、(n-オクチル)2Sn(SCH2COO-i-C8H17)2および(n-オクチル)2Sn(SCH2COO-n-C8H17)2である。
【0075】
好ましくは、前記スズ化合物は、二価または四価スズの1,3-ジカルボニル化合物、ジアルキルスズ(IV)ジカルボキシレート、ジアルキルスズ(IV)ジアルコキシレート、ジアルキルスズ(IV)オキシド、スズ(II)カルボキシレートおよびそれらの混合物から選択される。
【0076】
特に好ましくは、前記スズ化合物は、ジアルキルスズ(IV)ジカルボキシレート、特に、ジ-n-ブチルスズジラウレートまたはジ-n-オクチルスズジラウレートである。
【0077】
追加的または代替的に、有機チタネートまたはキレート複合体などのチタン化合物、セリウム化合物、ジルコニウム化合物、モリブデン化合物、マンガン化合物、銅化合物、アルミニウム化合物、もしくは亜鉛化合物またはそれらの塩、アルコキシレート、キレート複合体、または主なグループの触媒活性化合物またはビスマス、リチウム、ストロンチウムもしくはホウ素の塩を含む、これらに限定されない他の金属系縮合触媒を使用してよい。
【0078】
さらに適切な(スズを含まない)硬化触媒は、例えば鉄の有機金属化合物、特に、鉄の1,3-ジカルボニル化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネートである。
【0079】
ハロゲン化ホウ素、例えば三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素またはハロゲン化ホウ素の混合物なども、硬化触媒として使用することができる。特に好ましいものは、三フッ化ホウ素複合体、例えば三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートであり、これは液体として、気体のハロゲン化ホウ素よりも取り扱いが容易である。
【0080】
さらに、アミン、窒素複素環およびグアニジン誘導体は、一般に触媒作用に適している。このグループの特に適切な触媒は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)である。
【0081】
チタン、アルミニウムおよびジルコニウム化合物、または前記のグループの1つもしくは複数からの1つもしくは複数の触媒の混合物も、触媒として使用してよい。
【0082】
チタン触媒として適切なものは、ヒドロキシ基および/または置換もしくは非置換のアルコキシ基を有する化合物であり、したがって、一般式
【化17】
[式中、R
zは有機基、好ましくは1~20個のC原子を有する置換または非置換の炭化水素基であり、4つのアルコキシ基-OR
zは同一または異なる。さらに、1つまたは複数の-OR
z基をアシルオキシ基-OCOR
zで置き換えることができる]
のチタンアルコキシドである。
【0083】
チタン触媒として同様に適切なものは、1つまたは複数のアルコキシ基がヒドロキシ基またはハロゲン原子で置き換えられているチタンアルコキシドである。
【0084】
さらに、チタンキレート複合体を使用することができる。
【0085】
アルミニウム触媒、例えばアルミニウムアルコキシド
【化18】
[式中、R
zは上記の意味を有する;すなわち、有機基であり、好ましくは1~20個のC原子を有する置換または非置換の炭化水素基であり、3つのR
z基は同一または異なる。アルミニウムアルコキシドの場合も、1つまたは複数のアルコキシ基をアシルオキシ基-OC(O)R
zで置き換えることができる]
も硬化触媒として使用することができる。
【0086】
さらに、1つまたは複数のアルコキシ基がヒドロキシ基またはハロゲン原子で置き換えられているアルミニウムアルコキシドを使用することができる。
【0087】
記載されたアルミニウム触媒のうち、純粋なアルミニウムアルコラートは、水分に対するそれらの安定性およびそれらが添加される混合物の硬化性に関して好ましい。さらに、アルミニウムキレート複合体が好ましい。
【0088】
ジルコニウム触媒として適切なものは、例えばテトラメトキシジルコニウムまたはテトラエトキシジルコニウムである。
【0089】
ジイソプロポキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、トリイソプロポキシジルコニウム(エチルアセトアセテート)およびイソプロポキシジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が非常に特に好ましくは使用される。
【0090】
さらに、例えばジルコニウムアシレートを使用することができる。
【0091】
ハロゲン化ジルコニウム触媒も使用することができる。
【0092】
さらに、ジルコニウムキレート複合体も使用することができる。
【0093】
さらに、金属のカルボン酸塩またはいくつかのそのような塩の混合物を硬化触媒として使用することができ、それにより、これらは以下の金属:カルシウム、バナジウム、鉄、亜鉛、チタン、カリウム、バリウム、マンガン、ニッケル、コバルトおよび/またはジルコニウムのカルボキシレートから選択される。
【0094】
前記カルボキシレートのうち、カルシウム、バナジウム、鉄、亜鉛、チタン、カリウム、バリウム、マンガンおよびジルコニウムのカルボキシレートは、それらが高い活性を示すので好ましい。カルシウム、バナジウム、鉄、亜鉛、チタンおよびジルコニウムカルボキシレートが特に好ましい。鉄およびチタンカルボキシレートが非常に特に好ましい。
【0095】
前記硬化性組成物は、それぞれの場合に組成物の総重量に基づいて、約0.05~2重量%、好ましくは0.1~1.5または0.1~0.5重量%の量で硬化触媒を好ましくは含む。異なる触媒の混合物を使用する場合、前記量は組成物中の総量を指す。
【0096】
本発明の組成物は、水分の存在下で架橋し、そうすることで、Si-O-Si結合の形成を伴い硬化する。
【0097】
前記キャップされた接着促進剤およびスズ化合物のモル比は、様々な実施形態において、それが少なくとも1:1であるように、例えば1:1~50:1の範囲で調整してよい。これは、硬化性組成物が、一方では非常に高い貯蔵安定性を有し、他方では、室温(23℃)であっても大気中の水分の存在下で塗布後に確実かつ十分な速度で硬化することを保証するのに役立ち得る。
【0098】
前記硬化性組成物は、成分(A)、(B)および(C)とは別に、硬化性組成物および/または硬化生成物の特定の特性に選択的に影響を与えるために使用できる1つまたは複数の成分を含むことができる。
【0099】
これらの他の成分は、例えば、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、充填剤、反応性希釈剤、乾燥剤、式(II)のキャップされた接着促進剤以外の接着促進剤、UV安定剤、レオロジー補助剤および/または溶媒を含む群から選択することができる。特に重要なものは、典型的には、可塑剤、充填剤ならびに抗酸化剤およびUV安定剤を含む安定剤である。
【0100】
したがって、好ましくは、前記硬化性組成物は、少なくとも1つのさらなる成分を含む。
【0101】
本明細書に記載の組成物は、最大約20重量%の従来の接着促進剤(粘着付与剤)をさらに含むことができる。接着促進剤として適切なものは、例えば樹脂、テルペンオリゴマー、クマロン/インデン樹脂、脂肪族石油化学樹脂および変性フェノール樹脂である。本発明の文脈の範囲内で適切なものは、例えばテルペン(主にα-もしくはβ-ピネン)、ジペンテンまたはリモネンの重合によって得ることができるような炭化水素樹脂である。これらのモノマーは一般に、フリーデル-クラフツ触媒を使用して開始するとカチオン重合される。テルペン樹脂には、例えばテルペンと他のモノマー(例えばスチレン、α-メチルスチレン、イソプレンなど)とのコポリマーも含まれる。前述の樹脂は、例えば接触接着剤およびコーティング材料の接着促進剤として使用される。同様に適切なものは、テルペン-フェノール樹脂であり、これはテルペンまたはロジンへのフェノールの酸触媒付加によって調製される。テルペン-フェノール樹脂は、ほとんどの有機溶剤および油に溶け、他の樹脂、ワックスおよび天然ゴムと混和する。また、本発明の文脈の範囲内で前述の意味での添加剤として同様に適切なものは、ロジン樹脂およびその誘導体、例えばそれらのエステルである。
【0102】
同様に適切なものは、シラン接着促進剤、特に(さらなる)官能基、例えばアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基またはハロゲンを有するアルコキシシランである。その例は、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-カルボキシエチルトリエトキシシラン、β-カルボキシエチルフェニルビス-(2-メトキシエトキシ)シラン、N-β-(カルボキシメチル)アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレートおよびγ-クロロプロピルトリメトキシシランである。
【0103】
式(II)の化合物とは別に、さらなる接着促進剤を含めることがさらに可能であり、前記接着促進剤はアミノシランである。前記アミノシランは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N-フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-ピペラジニルプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリ[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アミン、トリ[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミンおよびそれらのオリゴマー、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリル)プロピルアミン、ビス(3-トリエトキシシリル)プロピルアミンおよびそれらの混合物、特に好ましくは3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリル)プロピルアミン、ビス(3-トリエトキシシリル)プロピルアミン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシランおよび4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリエトキシシランから選択してよい。
【0104】
様々な実施形態において、本発明の組成物は、上記のような少なくとも1つのアミノシラン、特に第3級アミノシランのうちの1つをさらに含む。本明細書で使用される「第3級アミノシラン」は、アミノ基の窒素原子が3つの非水素残基に共有結合しているアミノシランを指す。様々な実施形態において、前記アミノシランは、3-ピペラジニルプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリ[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アミン、トリ[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミンおよびそれらのオリゴマー、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリル)プロピルアミン、ビス(3-トリエトキシシリル)プロピルアミンおよびそれらの混合物、特に好ましくは3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシランおよび4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0105】
前記硬化性組成物の粘度は、特定の用途には高すぎると考えられる。したがって、通常は反応性希釈剤を使用することにより、硬化した塊にデミキシングの兆候(例えば可塑剤の移動)なく、簡単かつ適切な方法で粘度を低減することができる。
【0106】
好ましくは、前記反応性希釈剤は、塗布後に、例えば水分または大気中の酸素と反応する少なくとも1つの官能基を有する。このタイプの基の例は、シリル基、イソシアネート基、ビニル系不飽和基(vinylically unsaturated groups)およびポリ不飽和系(polyunsaturated systems)である。
【0107】
粘度を低下させて他の成分と混合することができ、ポリマーと反応する少なくとも1つの基を有するすべての化合物を、反応性希釈剤として使用することができる。
【0108】
前記反応性希釈剤の粘度は、好ましくは20,000mPas未満、特に好ましくは約0.1~6000mPas、非常に特に好ましくは1~1000mPas(ブルックフィールドRVT、23℃、スピンドル7、10rpm)である。
【0109】
例えば、以下の物質を反応性希釈剤として使用することができる:イソシアナトシランと反応させたポリアルキレングリコール(例えば、Synalox 100-50B、DOW)、カルバマトプロピルトリメトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン、アルキルトリエトキシシラン、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランおよびビニルトリメトキシシラン(XL 10、Wacker)、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン(XL12、Wacker)、ビニルトリエトキシシラン(GF56、Wacker)、ビニルトリアセトキシシラン(GF62、Wacker)、イソオクチルトリメトキシシラン(IO Trimethoxy)、イソオクチルトリエトキシシラン(IO Triethoxy、 Wacker)、N-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート(XL63、Wacker)、N-ジメトキシ(メチル)シリルメチル-O-メチルカルバメート(XL65、Wacker)、ヘキサデシルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシランおよびこれらの化合物の部分加水分解物。
【0110】
さらに、Kaneka Corp.からの以下のポリマーも反応性希釈剤として使用することができる:MS S203H、MS S303H、MS SAT 010およびMS SAX 350。
【0111】
例えば、イソシアナトシランとシナロックス型(Synalox types)との反応に由来するシラン変性ポリエーテルを同様に使用することができる。
【0112】
ビニルシランでグラフトすることにより、またはポリオール、ポリイソシアネートおよびアルコキシシランを反応させることにより有機骨格から製造することができるポリマーを、さらに、反応性希釈剤として使用することができる。
【0113】
ポリオールは、分子内に1つまたは複数のOH基を含んでよい化合物であると理解される。前記OH基は一級および二級の両方であることができる。
【0114】
適切な脂肪族アルコールには、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールおよび高級グリコール、ならびに他の多官能性アルコールが含まれる。ポリオールはさらに他の官能基、例えばエステル、カーボネートまたはアミド等を含むことができる。
【0115】
好ましい反応性希釈剤を調製するために、対応するポリオール成分を、それぞれの場合において、少なくとも二官能性イソシアネートと反応させる。少なくとも2つのイソシアネート基を有する任意のイソシアネートを、少なくとも二官能性イソシアネートとして基本的に使用してよいが、本発明の範囲内では、2~4つのイソシアネート基、特に2つのイソシアネート基を有する化合物が一般に好ましい。
【0116】
好ましくは、反応性希釈剤として存在する化合物は、少なくとも1つのアルコキシシリル基を有し、それにより、アルコキシシリル基は、ジ-およびトリアルコキシシリル基が好ましい。
【0117】
反応性希釈剤の調製のためのポリイソシアネートとして適切なものは、例えばエチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメトキシブタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3および1,4ジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ならびにそれらの2つ以上の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,3-または1,4-フェニレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-または2,6-トルイレンジイソシアネート(TDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、または部分的もしくは完全に水素化したそれらのシクロアルキル誘導体、例えば完全に水素化したMDI(H12-MDI)、アルキル置換ジフェニルメタンジイソシアネート、例えばモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、および部分的もしくは完全に水素化したそれらのシクロアルキル誘導体、4,4’-ジイソシアナトフェニルパーフルオロエタン、フタル酸ビス-イソシアナトエチルエステル、1-クロロメチルフェニル-2,4-または2,6-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル-2,4-または2,6-ジイソシアネート、3,3-ビス-クロロメチルエーテル-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、硫黄含有ジイソシアネート(2molのジイソシアネートを1molのチオジグリコールまたはジヒドロキシジヘキシルスルフィドと反応させることによって得ることができる)、ダイマーおよびトリマー脂肪酸のジおよびトリイソシアネート、または上述のジイソシアネートの2つ以上の混合物である。
【0118】
例えば、ジイソシアネートのオリゴマー化によって、特に前述のイソシアネートのオリゴマー化によって得られるような三価以上のイソシアネートも、ポリイソシアネートとして使用することができる。そのような三価およびより高価のポリイソシアネートの例は、HDIもしくはIPDIもしくはそれらの混合物のトリイソシアヌレート、またはそれらのトリイソシアヌレートの混合物、ならびにアニリン-ホルムアルデヒド縮合生成物のリン酸化によって得られるポリフェニルメチレンポリイソシアネートである。
【0119】
前記硬化性組成物の粘度を低下させるために、反応性希釈剤に加えてまたはその代わりに、溶媒および/または可塑剤を使用することができる。
【0120】
溶媒として適切なものは、脂肪族または芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エーテル、エステル、エステルアルコール、ケトアルコール、ケトエーテル、ケトエステルおよびエーテルエステルである。
【0121】
本明細書に記載の組成物は、親水性可塑剤をさらに含むことができる。これらは、吸湿性を改善し、それによって低温での反応性を改善するために使用される。可塑剤として適しているものは、例えばアビエチン酸のエステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、安息香酸エステル、酪酸エステル、酢酸エステル、約8~約44個の炭素原子を有する高級脂肪酸のエステル、エポキシ化脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪、グリコール酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルコール、プロピオン酸エステル、セバシン酸エステル、スルホン酸エステル、チオ酪酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、ならびにニトロセルロースおよびポリビニルアセテートに基づくエステル、ならびにこれらの2つ以上の混合物である。
【0122】
例えば、フタル酸エステルのうち、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソウンデシルフタレートまたはブチルベンジルフタレートが適切であり、アジペートのうち、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソデシルスクシネート、ジブチルセバケートまたはブチルオレエートが適切である。
【0123】
可塑剤として同様に適切なものは、単官能性、直鎖または分枝C4-16アルコールの純粋もしくは混合エーテル、またはそのようなアルコールの2つ以上の異なるエーテルの混合物、例えばジオクチルエーテル[Cetiol OE(Cognis Deutschland GmbH, Dusseldorf)として入手可能]である。
【0124】
エンドキャップされたポリエチレングリコール、例えばポリエチレンまたはポリプロピレングリコールジ-C1-4-アルキルエーテル、特にジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのジメチルまたはジエチルエーテル、およびそれらの2つ以上の混合物も可塑剤として適切である。
【0125】
適切な可塑剤は、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールジアルキルエーテル(アルキル基が最大4個のC原子を有する)などのエンドキャップされたポリエチレングリコール、特にジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールのジメチルおよびジエチルエーテルである。許容できる硬化が、特にジメチルジエチレングリコールを使用して、あまり好ましくない塗布条件(低湿度、低温)でも達成される。可塑剤のさらなる詳細については、関連する技術化学文献を参照する。
【0126】
可塑剤として同様に適切なものはジウレタンであり、それは例えば、実質的にすべての遊離OH基が反応するように化学量論を選択することにより、OH末端基を有するジオールを単官能性イソシアネートと反応させることによって調製することができる。次に、必要に応じて、過剰のイソシアネートを、例えば蒸留によって反応混合物から除去することができる。ジウレタンを調製するためのさらなる方法は、単官能性アルコールをジイソシアネートと反応させることからなり、それにより、可能であればすべてのNCO基が反応する。
【0127】
様々な実施形態において、前記可塑剤は、(A)とは異なるポリジメチルシロキサン、特に式(I)の末端基を有さないPDMSであってよい。
【0128】
様々な実施形態において、前記硬化性組成物は、少なくとも1つの可塑剤、例えばポリジメチルシロキサンを含む。
【0129】
前記硬化性組成物は、それぞれの場合において組成物の総重量に基づいて、好ましくは1~50重量%の量で、好ましくは10~40重量%の量で、特に好ましくは20~30重量%の量で可塑剤を含む。可塑剤の混合物を使用する場合、その量は組成物中の可塑剤の総量を指す。
【0130】
好ましくは、前記硬化性組成物は、抗酸化剤、UV安定剤および乾燥剤から選択される少なくとも1つの安定剤を含む。
【0131】
すべての従来の抗酸化剤を抗酸化剤として使用してよい。それらは、好ましくは最大約7重量%、特に最大約5重量%存在する。
【0132】
本明細書において前記組成物はUV安定剤を含むことができ、それは約2重量%まで、好ましくは約1重量%まで好ましくは使用される。いわゆるヒンダードアミン光安定剤(HALS)は、UV安定剤として特に適している。シリル基を有し、架橋または硬化中に最終生成物に組み込まれるUV安定剤が使用される場合が、本発明の文脈の範囲内で好ましい。Lowilite 75およびLowilite77(Great Lakes、USA)という製品は、この目的に特に適している。さらに、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾエート、シアノアクリレート、アクリレート、立体障害フェノール、リンおよび/または硫黄も添加することができる。
【0133】
貯蔵性(貯蔵寿命)をさらに高めるために、乾燥剤によって浸透水分に関して組成物を安定化することがしばしば有用である。
【0134】
貯蔵性のそのような改善は、例えば乾燥剤を使用することによって達成することができる。水と反応して、組成物中に存在する反応性基に対して不活性な基を形成する全ての化合物が、乾燥剤として適切であり、それによって、分子量の変化が可能な限り最小になる。さらに、調製物に浸透する水分に対する乾燥剤の反応性は、調製物中に存在する本発明のシリル基含有ポリマーの基の反応性よりも高くなければならない。
【0135】
例えば、イソシアネートは乾燥剤として適している。
【0136】
しかしながら、有利にはシランが乾燥剤として使用される。例えば、ビニルシラン、例えば3-ビニルプロピルトリエトキシシラン、オキシムシラン、例えばメチル-O,O’,O’’-ブタン-2-オン-トリオキシモシランもしくはO,O’,O’’,O’’’-ブタン-2-オン-テトラオキシモシラン(CAS Nos.022984-54-9および034206-40-1)、またはベンズアミドシラン、例えばビス(N-メチルベンズアミド)メチルエトキシシラン(CAS No.16230-35-6)、またはカルバマトシラン、例えばカルバマトメチルトリメトキシシラン。メチル-、エチル-またはビニルトリメトキシシラン、テトラメチル-またはテトラエチルエトキシシランの使用も可能である。ビニルトリメトキシシランとテトラエトキシシランは、コストおよび効率の点で特に適している。
【0137】
乾燥剤としても適切であるものは前述の反応性希釈剤[ただし、それらが約5000g/mol未満の分子量(Mn)を有し、浸透した水分に対する反応性が、本発明により使用されるポリマーの反応性基の反応性と少なくとも同じ(好ましくはそれより高い)末端基を有する場合]である。
【0138】
最後に、アルキルオルトホルメートまたはアルキルオルトアセテート、例えばメチルもしくはエチルオルトホルメートまたはメチルもしくはエチルオルトアセテートも乾燥剤として使用することができる。
【0139】
前記組成物は、一般に、約0~約6重量%の乾燥剤を含む。
【0140】
本明細書に記載の組成物は、さらに充填剤を含むことができる。ここで適切なものは、例えば、チョーク、石灰粉末、沈降および/または焼成(ヒュームド)シリカ、ゼオライト、ベントナイト、炭酸マグネシウム、珪藻土、アルミナ、クレイ、獣脂、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、砂、石英、フリント、マイカ、ガラス粉末、およびその他の粉砕した鉱物物質である。有機充填剤、例えば、カーボンブラック、グラファイト、木質繊維、木粉、おがくず、セルロース、綿、パルプ、綿、木材チップ、切り刻まれたわら(chopped straw)およびもみ殻も使用することができる。短繊維、例えばガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ケブラー繊維、またはポリエチレン繊維なども添加することができる。アルミニウム粉末も充填剤として適している。
【0141】
焼成(ヒュームド)および/または沈降シリカは、好ましくは、10~90m2/gのBET表面積を有する。それらを使用するとき、本発明の組成物の粘度のさらなる増加は引き起こさないが、硬化した組成物の強化に寄与する。
【0142】
同様に、より大きいBET表面積、有利には100~250m2/g、特に110~170m2/gを有する、焼成および/または沈降シリカを充填剤として使用することが考えられる。より大きいBET表面積のために、同じ効果(例えば、硬化した調製物の強化)は、より少ない重量比率のケイ酸で達成できる。したがって、他の要件に関して本明細書に記載の組成物を改善するために、さらなる物質を使用することができる。
【0143】
充填剤としてさらに適切なものは、鉱物シェルまたはプラスチックシェルを有する中空球である。これらは、例えば、GlassBubbles(登録商標)の商品名で商業的に入手可能な中空ガラス球であり得る。プラスチック系中空球、例えば、Expancel(登録商標)またはDualite(登録商標)は、例えば欧州特許第0520426号明細書に記載されている。それらは無機または有機物質で構成されており、それぞれ1mm以下、好ましくは500μm以下の直径を有する。
【0144】
調製物にチキソトロピーを与える充填剤は、多くの用途に好ましい。このような充填剤は、レオロジー補助剤としても記載され、例えば、硬化ヒマシ油、脂肪酸アミドまたは膨潤性プラスチック、例えばPVC等である。適切な投与デバイス(dispensing device)(例えばチューブ)から容易に絞り出すことができるようにするために、そのような調製物は、3000~15,000、好ましくは40,000~80,000mPas、または50,000~60,000mPasの粘度を有する。
【0145】
充填剤は、好ましくは、それぞれの場合に組成物の総重量に基づいて、1~80重量%、特に好ましくは2~20重量%、非常に特に好ましくは5~10重量%の量で使用される。当然に、いくつかの充填剤の混合物も使用できる。この場合、量的データは当然に、組成物中の充填剤の総量を指す。
【0146】
前記硬化性組成物の調製は、ポリオルガノシロキサン(A)、キャップされた接着促進剤、触媒、および場合により他の成分の単純な混合によって行うことができる。これは、適切な分散ユニット、例えば、高速ミキサーで行うことができる。この場合、好ましくは、望ましくない早期硬化につながる可能性のある、水分と混合物との接触ができる限り起こらないように注意する。適切な手段は十分に知られており、例えば、不活性雰囲気(おそらく保護ガスの下)での作業、および添加する前の個々の成分の乾燥/加熱を含む。
【0147】
本発明の組成物は、接着剤またはシーリングまたはコーティング材料として使用することができる。
【0148】
前記組成物は、例えば、接着剤、シーラント、コーティングとして、および成形部品の製造のために使用することができる。前記組成物のさらなる応用分野は、プラギングコンパウンド(plugging compound)、孔充填剤(hole filler)またはクラック充填剤としての使用である。シーラントとしての使用が好ましい。
【0149】
前記組成物は、とりわけ、プラスチック、金属、ガラス、セラミック、木材、木質材料、紙、紙質材料、ゴムおよび繊維の結合、床の接着、ならびに建築要素、窓、壁および床カバー材、および一般的な接合部のシールに適している。この場合、材料はそれら自体に、または必要に応じて互いに結合することができる。
【0150】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、本発明はそれらに限定されない。
【実施例0151】
実施例1:
比較組成物C1およびC2ならびに本発明による組成物E1およびE2は、表1にリストされた原材料を混合することによって調製した。調製物は、使用する接着促進剤のタイプが異なる。ポリオルガノシロキサン(A)は、ポリジメチルシロキサンとビニルトリス(エチルラクタト)シランを混合してポリマー(A)を得ることにより、最初の工程で得た。
【0152】
【0153】
ポリマー(A)は、前の工程でα,ω-ジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンとビニルトリス(エチルラクタト)シランから形成し、その後ケチミンおよび硬化触媒を含む接着促進剤と組み合わせた。
【0154】
調製した調製物を、以下の硬化性能試験に供した。
【0155】
スキンオーバータイム(SOT)の測定:スキンオーバータイム(SOT)は、材料が非粘着性の表面フィルムを形成するために必要な時間として定義する。スキンオーバータイムの測定は、標準気候条件下(23+/-2℃、相対湿度50+/-5%)でDIN50014に従って実施する。シーラントの温度は23+/-2℃である必要があり、シーラントはあらかじめ実験室内で少なくとも24時間保管した。シーラントを一枚の紙に塗布し、パテナイフで広げて膜(厚さ約2mm、幅約7cm)を形成する。ストップウォッチをすぐに開始する。間隔を置いて、指先で表面に軽く触れ、指を引き離す;スキン形成タイムに達するまで、表面に跡が残るほど、表面に十分な圧力をかける。シーリングコンパウンドがもはや指先に付着しなくなるとき、スキンオーバータイムに達したとする。スキンオーバータイム(SOT)は分単位で表す。
【0156】
ショアA硬度の測定:ショアA硬度は、ISO 868に従って測定した。
【0157】
硬化深さの決定(DOC):高さ10mm(+/-1mm)および幅20mm(+/-2mm)の材料のストリップを、テフロンスパチュラを使用してプラスチック箔(PP)に塗布した。サンプルを通常の条件(23+/-2℃、相対湿度50+/-5%)で24時間保管した後、ストリップの一部を切り取り、硬化層の厚さをノギス(caliper)で測定した。24時間後の硬化深さをミリメートルで表す。
【0158】
機械的特性の評価(引張試験):破断強度、破断伸び、および降伏応力値(eモジュール)を、引張試験でDIN 53504に従って決定する。標準からの偏差:以下の寸法のダンベル試験片を使用した:厚さ2+/-0.2mm;バーの幅10+/-0.5mm;バーの長さ約45mm;全長9cm。試験は通常の条件(23+/-2℃、相対湿度50+/-5%)で行った。測定は硬化の7日後に行った。手順:プレポリマー混合物(調製物)を均一な表面に広げて、厚さ2mmのフィルムを形成した。フィルムを通常の条件下(上記参照)で7日間硬化させた後、ダンベル試験片を打ち抜いた。各測定には3つの試験片を使用した。試験は通常の条件下で実施した。試験片は、測定が行われる温度と同じ温度でなければいけない。測定の前に、試験片の厚さは、ノギスを使用して、少なくとも3つの異なる位置(中央と両端)で測定する。平均値を測定ソフトウェアに入力する。長手方向軸が引張試験機の機械軸と一致し、ミドルバーをクランプすることなく、ロッドヘッドの可能な限り大きい表面が含まれるように、試験片を引張試験機にクランプする。次に、ダンベルを50mm/分の速度で<0.1MPaまで引っ張る。次に、50mm/分の線速度で力-伸長曲線を記録する。評価:次の値が決定される:[N/mm2]単位の破断強度、[%]単位の破断伸びおよび[N/mm2]単位の100%伸び時の弾性率。
【0159】
ピール試験:可能であり必要な場合、適切な溶媒を使用して、塗布前に基材(試験パネル)を洗浄する。テフロンスパチュラを使用して、高さ10mm(+/-1mm)および幅20mm(+/-2mm)の材料のストリップを基板上に塗布した。サンプルは通常の条件(23+/-2℃、相対湿度50+/-5%)で7日間保管した。硬化した材料をシェイプブレードで少なくとも15mmに切断し、ビード(bead)を手で引っ張った。破壊モード(Failure mode)を以下の様に記録した:
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
前記結果は、本発明の組成物が、比較組成物と比較して、より良好な接着性および有意に高い貯蔵安定性を有することを示している。