IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

特開2024-147890プラズマ処理装置およびプラズマ制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147890
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置およびプラズマ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
H05H1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060604
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 和史
(72)【発明者】
【氏名】川上 聡
(72)【発明者】
【氏名】長田 勇輝
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA12
2G084AA13
2G084BB02
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD04
2G084DD19
2G084DD25
2G084DD35
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD42
2G084DD44
2G084DD47
2G084DD53
2G084DD55
2G084HH19
2G084HH24
2G084HH27
2G084HH28
2G084HH30
(57)【要約】
【課題】プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルごとに制御できるプラズマ処理装置およびプラズマ制御方法を提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置は、処理空間を提供する処理容器と、処理空間に供給されるプラズマ励起用の電磁波を発生させるように構成される電磁波発生器と、第1面を処理空間に対向させて設けられた誘電体と、誘電体を介して電磁波を処理空間に供給するように構成される電磁波供給部と、処理容器内において誘電体の第1面に沿って位置する共振器配列構造体と、を備え、共振器配列構造体は、導体からなる部材が誘電体板の一面上に積層された構造を含み第1の共振周波数を有する共振器であって、電磁波の磁界成分と共振可能であり且つサイズが電磁波の波長よりも小さい複数の共振器を含むとともに、複数の共振器によって囲まれたセルを複数形成するよう構成され、複数のセルは、セル間で第1の共振周波数が異なる共振器を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理空間を提供する処理容器と、
前記処理空間に供給されるプラズマ励起用の電磁波を発生させるように構成される電磁波発生器と、
第1面を前記処理空間に対向させて設けられた誘電体と、
前記誘電体を介して前記電磁波を前記処理空間に供給するように構成される電磁波供給部と、
前記処理容器内において前記誘電体の前記第1面に沿って位置する共振器配列構造体と、
を備え、
前記共振器配列構造体は、導体からなる部材が誘電体板の一面上に積層された構造を含み第1の共振周波数を有する共振器であって、前記電磁波の磁界成分と共振可能であり且つサイズが前記電磁波の波長よりも小さい複数の前記共振器を含むとともに、複数の前記共振器によって囲まれたセルを複数形成するよう構成され、
複数の前記セルは、前記セル間で前記第1の共振周波数が異なる前記共振器を含む、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
複数の前記セルそれぞれは、前記セルを形成する複数の前記共振器の前記第1の共振周波数に応じた、前記セルとしての第2の共振周波数を有する、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
複数の前記セルは、隣り合う前記セル間で前記第2の共振周波数が異なる、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
複数の前記セルは、それぞれ前記第2の共振周波数が異なる、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記共振器配列構造体は、複数の前記セルのうち、同一の前記第2の共振周波数を有する前記セルが、前記第2の共振周波数が異なる前記セルを少なくとも3つ挟むように配置される、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記共振器配列構造体は、複数の前記セルが、複数のゾーンのうちいずれかの前記ゾーンに配置され、
同一の前記ゾーンに配置された複数の前記セルは、同一の前記第2の共振周波数を有する、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記ゾーンは、同心四角状に複数設けられる、
請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記ゾーンは、象限状に複数設けられる、
請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記電磁波供給部は、前記ゾーンごとに設けられる、
請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第2の共振周波数は、前記ゾーンごとに異なる共振周波数である、
請求項6~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記電磁波供給部は、前記セルごとに設けられ、それぞれの前記電磁波供給部は、対応する前記セルを形成する前記共振器と共振可能な周波数の前記電磁波を供給するように構成される、
請求項1~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記電磁波供給部は、複数の前記セルに対して、前記セルを形成する前記共振器と共振可能な周波数の前記電磁波を供給するように構成される、
請求項1~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記電磁波供給部は、複数の前記セルに対して、複数の前記セルそれぞれに対応する前記第2の共振周波数と共振可能な、いずれか1つの周波数を含む前記電磁波を供給するように構成される、
請求項2~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記電磁波供給部は、複数の前記セルに対して、複数の前記セルそれぞれに対応する前記第2の共振周波数と共振可能な複数の周波数を含む前記電磁波を供給するように構成される、
請求項2~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記セルのセル空間は、正方形、正三角形、または、正六角形である、
請求項1~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
複数の前記セルは、隣り合う前記セル間で前記共振器を共用する、
請求項1~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記共振器の前記部材は、2枚以上のC字状のリング部材であり、
前記共振器は、互いに逆向きに隣接して配置される前記リング部材の間に前記誘電体板が配置された構造を有し、前記リング部材の大きさと、前記誘電体板の厚みとに応じて前記第1の共振周波数が決定される、
請求項1~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
プラズマ処理装置のプラズマ制御方法であって、
処理空間に供給されるプラズマ励起用の電磁波の磁界成分と共振可能であり且つサイズが前記電磁波の波長よりも小さく第1の共振周波数を有する複数の共振器によって囲まれたセルを複数形成するよう構成された共振器配列構造体に対して、複数の前記第1の共振周波数に応じた前記セルとしての複数の第2の共振周波数とそれぞれ共振可能な複数の周波数を含む前記電磁波を前記処理空間に供給するように、電磁波供給部を制御する、
プラズマ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置およびプラズマ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プラズマ励起用のマイクロ波を処理容器内に供給してプラズマを生成するプラズマ処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-245593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルごとに制御できるプラズマ処理装置およびプラズマ制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるプラズマ処理装置は、処理空間を提供する処理容器と、処理空間に供給されるプラズマ励起用の電磁波を発生させるように構成される電磁波発生器と、第1面を処理空間に対向させて設けられた誘電体と、誘電体を介して電磁波を処理空間に供給するように構成される電磁波供給部と、処理容器内において誘電体の第1面に沿って位置する共振器配列構造体と、を備え、共振器配列構造体は、導体からなる部材が誘電体板の一面上に積層された構造を含み第1の共振周波数を有する共振器であって、電磁波の磁界成分と共振可能であり且つサイズが電磁波の波長よりも小さい複数の共振器を含むとともに、複数の共振器によって囲まれたセルを複数形成するよう構成され、複数のセルは、セル間で第1の共振周波数が異なる共振器を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルごとに制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係るプラズマ処理装置の構成の一例を示す概略断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る誘電体窓および共振器配列構造体を下方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る共振器の構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る共振器の構成の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る共振器の構成の他の一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る共振器の断面の一例を示す図である。
図7図7は、共振器のS21値とマイクロ波の周波数との関係の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る共振器の共振周波数の一例を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係るRF電源とセルとの対応の一例を示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係るRF電源とセルとの対応の一例を示す図である。
図11図11は、第1実施形態に係るRF電源の機能構成の一例を示すブロック図である。
図12図12は、第1実施形態に係る共振器の共振周波数の設定の一例を示す図である。
図13図13は、第1実施形態に係るセルと共振周波数との関係の一例を示す図である。
図14図14は、変形例1に係るセル空間の一例を示す図である。
図15図15は、変形例2に係るセル空間の一例を示す図である。
図16図16は、変形例3に係るセル空間の一例を示す図である。
図17図17は、変形例4に係るセル空間の一例を示す図である。
図18図18は、変形例5に係るセルと共振周波数との関係の一例を示す図である。
図19図19は、変形例6に係る誘電体窓および共振器配列構造体を下方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図20図20は、変形例7に係る誘電体窓および共振器配列構造体を下方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図21図21は、第2実施形態に係るプラズマ処理装置の構成の一例を示す概略断面図である。
図22図22は、第2実施形態に係る誘電体窓および共振器配列構造体を下方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図23図23は、第3実施形態に係るプラズマ処理装置の構成の一例を示す概略断面図である。
図24図24は、第3実施形態に係る同軸導波管の一例を示す断面図である。
図25図25は、第3実施形態に係る円筒導波管の一例を示す断面図である。
図26図26は、第3実施形態に係るRF電源の機能構成の一例を示すブロック図である。
図27図27は、第3実施形態に係る変調部の機能構成の一例を示すブロック図である。
図28図28は、第3実施形態に係る共振器の共振周波数とRF電源の出力の設定の一例を示す図である。
図29図29は、第3実施形態に係る共振器の共振周波数とRF電源の出力の設定の一例を示す図である。
図30図30は、第3実施形態に係るプラズマ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示するプラズマ処理装置およびプラズマ制御方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
ところで、プラズマ励起用のマイクロ波を用いたプラズマ処理装置では、プラズマの電子密度を高めるために処理容器内に供給されるマイクロ波の電力を上昇させることがある。処理容器内に供給されるマイクロ波の電力を上昇させるほど、プラズマの電子密度を高めることができる。
【0010】
ここで、処理容器内に供給されるマイクロ波の電力を上昇させることによりプラズマの電子密度がある上限値に到達すると、処理容器内の空間の誘電率が負となることが知られている。この電子密度の上限値を適宜「遮断密度」と呼ぶ。また、マイクロ波が空間を伝搬するか否かを示す指標として、屈折率が知られている。屈折率Nは、以下の式(1)により表される。
N=√ε√μ ・・・(1)
ただし、ε:誘電率、μ:透磁率
【0011】
透磁率は一般に正であるので、処理容器内の空間の誘電率が負となると、上記の式(1)により、処理容器内の空間の屈折率が純虚数となる。これにより、マイクロ波が減衰して処理容器内の空間を伝搬することができなくなる。このように、プラズマの電子密度が遮断密度に到達すると、処理容器内の空間においては、マイクロ波が伝搬できないため、マイクロ波の電力がプラズマに十分に吸収されない。結果として、処理容器内に生成されるプラズマの広範囲での高密度化が阻害されるという問題がある。また、生成されたプラズマが天板で広がったり、複数のプラズマ源で生成されたプラズマがお互いに干渉したりして、プラズマ密度の制御が難しいことがある。
【0012】
そこで、プラズマの広範囲での高密度化を実現することができるとともに、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルごとに制御できる技術が期待されている。
【0013】
(第1実施形態)
[プラズマ処理装置の構成]
図1は、第1実施形態に係るプラズマ処理装置1の構成の一例を示す概略断面図である。プラズマ処理装置1は、装置本体10および制御装置11を備える。装置本体10は、処理容器12、ステージ14、マイクロ波出力装置(電磁波発生器の一例)16、誘電体窓20および共振器配列構造体100を備える。
【0014】
処理容器12は、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウム等によって略円筒状に形成されており、内部に略円筒形状の処理空間Sを提供している。処理容器12は、保安接地されている。また、処理容器12は、側壁12aおよび底部12bを有する。側壁12aの中心軸線を、軸線Zと定義する。底部12bは、側壁12aの下端側に設けられている。底部12bには、排気用の排気口12hが設けられている。また、側壁12aの上端部は開口している。また、側壁12aの内壁面は、処理空間Sに対向している。すなわち、側壁12aは、内壁面を処理空間Sに対向させて設けられる。
【0015】
側壁12aには、被処理体WPの搬入/搬出を行うための開口12cが形成されている。開口12cは、ゲートバルブGによって開閉される。
【0016】
側壁12aの上端部には誘電体窓20が設けられており、側壁12aの上端部の開口を上方から塞ぐ。誘電体窓(誘電体の一例)20の下面(第1面の一例)20aは、処理空間Sに対向している。すなわち、誘電体窓20は、下面20aを処理空間Sに対向させて設けられる。誘電体窓20と側壁12aの上端部との間にはOリング19が配置されている。
【0017】
ステージ14は、処理容器12内に収容される。ステージ14は、軸線Zの方向において誘電体窓20と対面するように設けられている。ステージ14と誘電体窓20の間の空間が処理空間Sである。ステージ14の上には、被処理体WPが載置される。
【0018】
ステージ14は、基台14aおよび静電チャック14cを有する。基台14aは、アルミニウム等の導電性の材料により略円盤状に形成されている。基台14aは、基台14aの中心軸線が軸線Zに略一致するように処理容器12内に配置されている。
【0019】
基台14aは、絶縁性の材料により形成され且つ軸線Z方向に延伸する筒状支持部48によって支持されている。筒状支持部48の外周には、導電性の筒状支持部50が設けられている。筒状支持部50は、筒状支持部48の外周に沿って処理容器12の底部12bから誘電体窓20へ向かって延びている。筒状支持部50と側壁12aとの間には、環状の排気路51が形成されている。
【0020】
排気路51の上部には、厚さ方向に複数の貫通穴が形成された環状のバッフル板52が設けられている。バッフル板52の下方には上述した排気口12hが設けられている。排気口12hには、排気管54を介して、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプや自動圧力制御弁等を有する排気装置56が接続されている。排気装置56により、処理空間Sを所望の真空度まで減圧することができる。
【0021】
基台14aは、高周波電極として機能する。基台14aには、給電棒62およびマッチングユニット60を介して、RFバイアス用の高周波電源58が電気的に接続されている。高周波電源58は、被処理体WPに引き込まれるイオンのエネルギーを制御するのに適した所定周波数(例えば、13.56MHz)のバイアス電力をマッチングユニット60および給電棒62を介して基台14aに供給する。
【0022】
マッチングユニット60は、高周波電源58側のインピーダンスと、主に電極、プラズマ、処理容器12といった負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合器を収容している。整合器の中には自己バイアス生成用のブロッキングコンデンサが含まれている。
【0023】
基台14aの上面には、静電チャック14cが設けられている。静電チャック14cは、被処理体WPを静電気力によって吸着保持する。静電チャック14cは、略円盤状の外形を有し、電極14d、絶縁膜(誘電体膜)14e、および絶縁膜(誘電体膜)14fを有する。静電チャック14cは、静電チャック14cの中心軸線が軸線Zに略一致するように、基台14aの上面に配置されている。静電チャック14cの電極14dは、導電膜によって構成されており、絶縁膜14eと絶縁膜14fの間に設けられている。電極14dには、被覆線68およびスイッチ66を介して直流電源64が電気的に接続されている。静電チャック14cは、直流電源64から印加される直流電圧により発生する静電気力によって、被処理体WPを上面に吸着保持することができる。静電チャック14cの上面は、被処理体WPが載置される載置面であり、処理空間Sに対向している。すなわち、静電チャック14cは、載置面である上面を処理空間Sに対向させて設けられる。また、基台14a上には、エッジリング14bが設けられている。エッジリング14bは、被処理体WPおよび静電チャック14cを囲むように配置されている。エッジリング14bは、フォーカスリングと呼ばれることもある。
【0024】
基台14aの内部には、流路14gが設けられている。流路14gには、図示しないチラーユニットから配管70を介して冷媒が供給される。流路14gに供給された冷媒は、配管72を介してチラーユニットに戻される。チラーユニットによって温度が制御された冷媒が基台14aの流路14g内を循環することにより、基台14aの温度が制御される。基台14aの温度が制御されることにより、基台14a上の静電チャック14cを介して、静電チャック14c上の被処理体WPの温度が制御される。
【0025】
また、ステージ14には、Heガス等の伝熱ガスを、静電チャック14cの上面と被処理体WPの裏面との間に供給するための配管74が形成されている。
【0026】
マイクロ波出力装置16は、処理容器12内に供給される処理ガスを励起させるためのマイクロ波(電磁波の一例)を出力する。マイクロ波出力装置16は、複数のRF(Radio Frequency)電源30と、上位コントローラ80とを有する。複数のRF電源30は、後述する共振器配列構造体100に複数形成されたセルCと、それぞれ対応するように設けられる。また、複数のRF電源30は、複数のセルCそれぞれと対応する、誘電体窓20の上面20bに設けられた複数のアンテナ40とそれぞれ接続される。
【0027】
RF電源30は、予め定められた設定周波数に基づいて、プラズマ生成用のマイクロ波を生成する。設定周波数は、後述のように、各RF電源30で異なっていてもよいし、一部のRF電源30で同じ周波数であってもよい。RF電源30は、例えば、設定値である2.45GHzのマイクロ波を生成する。RF電源30は、後述する上位コントローラ80から高周波電力の電力設定Psetと、設定周波数Fsetとを示す信号が入力される。また、RF電源30から出力されるマイクロ波は、アンテナ40に供給される。なお、各RF電源30と各アンテナ40の間には、整合器を設けてもよい。
【0028】
上位コントローラ80は、制御装置11の指示に従って複数のRF電源30を制御するコントローラである。上位コントローラ80は、制御装置11から入力されたレシピに応じて、マイクロ波の電力設定Psetおよび設定周波数Fsetを各RF電源30に出力する。また、上位コントローラ80には、各RF電源30から後述するモニタ値Pf mon,Pr monが入力される。上位コントローラ80は、入力されたモニタ値Pf mon,Pr monを制御装置11に出力する。なお、上位コントローラ80は、制御装置11に含まれるようにしてもよい。
【0029】
アンテナ40は、処理空間Sにマイクロ波を供給する。アンテナ40は、電磁波供給部の一例である。各アンテナ40は、各RF電源30と対応するように、誘電体窓20の上面20bに設けられており、誘電体窓20を介してマイクロ波を処理空間Sに供給する。アンテナ40は、例えば、スロットアンテナである。アンテナ40は、例えば、導電性を有する金属によってスロット板が略円盤状に形成されている。アンテナ40は、RF電源30と同軸構造で接続される。
【0030】
共振器配列構造体100は、マイクロ波の磁界成分と共振可能であり且つサイズがマイクロ波の波長よりも小さい複数の共振器を配列して形成され、処理容器12内に位置する。なお、共振器配列構造体はメタマテリアルとも称され、共振器はメタアトムとも称される。
【0031】
共振器配列構造体100が処理容器12内に位置することにより、各アンテナ40によって処理空間Sに供給されるマイクロ波と共振器配列構造体100の複数の共振器とを共振させることができる。マイクロ波と複数の共振器との共振により、処理容器12の処理空間Sにマイクロ波を効率よく供給することができ且つ処理空間Sの透磁率を負にすることができる。処理空間Sの透磁率が負である場合、処理空間S内で生成されるプラズマの電子密度が遮断密度に到達し且つ処理空間Sの誘電率が負である場合であっても、上記の式(1)により屈折率が実数となるため、処理空間Sにおいてマイクロ波が伝搬することができる。これにより、処理空間S内で生成されるプラズマの電子密度が遮断密度に到達する場合であっても、プラズマの表皮深さを超えてマイクロ波の伝搬が可能でありプラズマにマイクロ波の電力が効率よく吸収される。結果として、プラズマの表皮深さを越えた広範囲で高密度なプラズマを生成することができる。すなわち、本実施形態に係るプラズマ処理装置1によれば、共振器配列構造体100が処理容器12内に位置することにより、プラズマを広範囲で高密度化を実現することができる。
【0032】
ここで、図1および図2を参照して、共振器配列構造体100の詳細な構成について説明する。図2は、第1実施形態に係る誘電体窓20および共振器配列構造体100を下方向から見た構成の一例を示す平面図である。図2には、誘電体窓20の下面20aが円盤状に示されている。
【0033】
図1および図2に示すように、共振器配列構造体100は、誘電体窓20の下面20aに沿って配置される。
【0034】
共振器配列構造体100は、マイクロ波の磁界成分と共振可能であり且つサイズがマイクロ波の波長よりも小さい複数の共振器101-1~101-25がそれぞれセルC11~C55を形成するように配列される。つまり、共振器101-1~101-25は、セルC11~C55が5行5列の格子状となるように配列される。つまり、セルC11~C55は、それぞれ異なるセル空間CS11~CS55を有する。また、例えば、セルC11は、同じ共振周波数を有する共振器101-1で囲まれたセルであり、隣接するセルC12,C21,C22とは、構成する共振器101の共振周波数が異なる。なお、共振器101-1~101-25の共振周波数は、第1の共振周波数Frの一例である。また、共振器101-1~101-25は、それぞれ共振周波数が異なる共振器であるが、これらを区別しない場合、共振器101と称する。さらに、具体的な構成例としては、複数の共振器101は、図3および図4に示す共振器101Aおよび共振器101Bの少なくともいずれか一つ共振器を含む。複数の共振器101の各々は、コンデンサ等価素子およびコイル等価素子からなる直列共振回路を構成する。直列共振回路は、平面上に導体をパターニングすることで、実現される。
【0035】
図3は、第1実施形態に係る共振器101Aの構成の一例を示す図である。図3に示す共振器101Aは、導体からなる互いに逆向き且つ同心円状の2枚のC字状のリング部材111Aが誘電体板112Aの一面上に積層された構造を有する。内側のリング部材111Aと外側のリング部材111Aの対向面や、各リング部材111Aの両端部においてコンデンサ等価素子が形成され、各リング部材111Aに沿ってコイル等価素子が形成される。これにより、共振器101Aは、直列共振回路を構成することができる。
【0036】
図4は、第1実施形態に係る共振器101Bの構成の一例を示す図である。図4に示す共振器101Bは、導体からなる2枚のC字状のリング部材111Bであって、互いに逆向きに隣接して配置されるリング部材111Bの間に誘電体板112Bが配置された構造を有する。すなわち、共振器101Bにおいては、互いに逆向きの2枚のC字状のリング部材111Bによって誘電体板112Bが挟まれている。2枚のC字状のリング部材111Bの対向面や、各リング部材111Bの両端部においてコンデンサ等価素子が形成され、各リング部材111Bに沿ってコイル等価素子が形成される。これにより、共振器101Bは、直列共振回路を構成することができる。なお、共振器101Bは、2枚のC字状のリング部材111Bの組ごとに形成されているとも表すことができる。
【0037】
なお、図4に示す共振器101Bにおいては、リング部材111Bの配置数(以下、適宜「積層数」とも言う。)が2であるが、リング部材111Bの積層数が2よりも大きくてもよい。図5は、第1実施形態に係る共振器101Bの構成の他の一例を示す図である。図5に示す共振器101Bは、導体からなるN(N≧2)枚のC字状のリング部材111Bであって、互いに逆向きに隣接して配置されるリング部材111Bの間に誘電体板112Bが配置された構造を有する。このような構造によっても、共振器101Bは、直列共振回路を構成することができる。
【0038】
また、複数の共振器101の各々には、絶縁性の被膜が形成されてもよい。図6は、第1実施形態に係る共振器101Bの断面の一例を示す図である。図6には、図4に示す共振器101Bの側断面が示されている。共振器101Bの表面には、絶縁性の被膜(誘電体膜の一例)113が形成されている。被膜113の材質は、例えば、セラミックである。被膜113の厚さは、例えば0.001mm~2mmの範囲内である。複数の共振器101の各々に絶縁性の被膜113が形成されることにより、複数の共振器101の各々での異常放電を抑制することができる。
【0039】
図1および図2を再び参照する。共振器配列構造体100の中央部、つまり、セルC33には、誘電体窓20に形成された貫通穴20hと接続される導管26が設けられている。導管26は、ガス供給部28に接続されている。
【0040】
ガス供給部28は、被処理体WPを処理するための処理ガスを導管26に供給する。ガス供給部28は、ガス供給源28a、バルブ28b、および流量制御器28cを含む。ガス供給源28aは、処理ガスの供給源である。バルブ28bは、ガス供給源28aからの処理ガスの供給および供給停止を制御する。流量制御器28cは、例えばマスフローコントローラ等であり、ガス供給源28aからの処理ガスの流量を制御する。
【0041】
また、装置本体10は、インジェクタ41を備える。インジェクタ41は、導管26からのガスを誘電体窓20に形成された貫通穴20hに供給する。誘電体窓20の貫通穴20hに供給されたガスは、処理空間Sに噴射され、アンテナ40から誘電体窓20を介して処理空間Sに供給されるマイクロ波によって励起される。これにより、処理空間S内で処理ガスがプラズマ化され、プラズマに含まれるイオンおよびラジカル等により、被処理体WPが処理される。
【0042】
制御装置11は、プロセッサ、メモリ、および入出力インターフェイスを有する。メモリには、プログラムおよびプロセスレシピ等が記憶されている。プロセッサは、メモリからプログラムを読み出して実行することにより、メモリ内に記憶されたプロセスレシピに基づいて、入出力インターフェイスを介して、装置本体10の各部を統括制御する。
【0043】
制御装置11は、例えば、処理空間Sにプラズマが生成される際、複数の共振器101の共振周波数よりも高い目標周波数帯において、各アンテナ40によって処理空間Sに供給されるマイクロ波と複数の共振器101とが共振するように制御する。すなわち、制御装置11は、上位コントローラ80を介して各RF電源30に対して、共振器101-1~101-25それぞれの共振周波数よりも高い目標周波数帯において、マイクロ波と共振器101-1~101-25それぞれとが共振するように制御する。ここで、共振周波数とは、例えば、複数の共振器101(共振器101-1~101-25)の透過特性値(例えば、S21値)が極小値となる周波数である。
【0044】
図7は、共振器のS21値とマイクロ波の周波数との関係の一例を示す図である。図7では、あるアンテナ40に対応するセルCを一例として説明する。アンテナ40によって処理空間Sに供給されるマイクロ波の周波数がセルCの複数の共振器101の共振周波数Fr(例えば、約2.35GHz)と一致する場合に、セルCの複数の共振器101のS21値が極小値となる。つまり、マイクロ波とセルCの複数の共振器101との共振が発生する。マイクロ波とセルCの複数の共振器101との共振は、セルCの複数の共振器101の共振周波数Frよりも高い所定の周波数帯(例えば、約0.1GHz)においても、維持される。セルCの複数の共振器101の共振周波数Frよりも高い所定の周波数帯においては、マイクロ波とセルCの複数の共振器101との共振により処理空間Sの誘電率と透磁率をともに負にすることができる。つまり、上記の式(1)から分かる通り、処理空間Sでのマイクロ波の伝搬が可能となる。本実施形態の目標周波数帯は、RF電源30(アンテナ40)ごとにセルCの複数の共振器101の共振周波数Frよりも高い所定の周波数帯(例えば、約0.1GHz)に設定される。目標周波数帯は、例えば、セルCの複数の共振器101の共振周波数Frの0.05倍以内であることが好ましい。なお、以下の説明では、共振器101の共振周波数Frを第1の共振周波数Frと表す場合がある。
【0045】
次に、図8を用いて共振器101Bの共振周波数について説明する。図8は、第1実施形態に係る共振器の共振周波数の一例を示す説明図である。図8の断面130に示すように、共振器101Bは、2枚のC字状のリング部材111Bで誘電体板112Bを挟んだ構造と捉えることができる。このとき、共振器101BのC字状のリング部材111Bを貫く磁界Hpが生じると、C字状のリング部材111Bに誘導電流Ieが発生する。なお、図8では、C字状のリング部材111Bの外側を囲む被膜113は省略している。
【0046】
一方、共振器101Bの共振周波数は、図8の断面130および平面131における各寸法から求められる。つまり、共振器101Bの共振周波数は、C字状のリング部材111Bの寸法と、2枚のC字状のリング部材111Bに挟まれる誘電体板112Bの厚さとから、下記の式(2)~(5)に示すように、求めることができる。式(2)は、共振器101BのインダクタンスLMAを求める式である。式(3)は、共振器101BのキャパシタンスCMAのうち、平面131の上半分または下半分に相当するキャパシタンスChalfを求める式である。式(4)は、共振器101BとしてのキャパシタンスCMAを求める式である。式(5)は、共振器101Bの共振周波数Frを求める式である。
【0047】
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】
【0048】
式(2)において、rはC字状のリング部材111Bの中心からC字の幅の中心までの半径を表し、μは真空の透磁率を表す。式(3)において、Chalfは、共振器101Bのキャパシタンスのうち、平面131の上半分または下半分に相当するキャパシタンスを表す。また、式(3)において、εは誘電率、εは真空の誘電率(電気定数)、SはC字状のリング部材111Bの上半分または下半分の面積、dは2枚のC字状のリング部材111Bの間隔を表す。また、式(3)において、routはC字状のリング部材111Bの外側の半径を表し、rinはC字状のリング部材111Bの内側の半径を表し、SsplitはC字状のリング部材111BのC字の間隙の面積を表す。なお、Ssplitは、平面131に示すC字状のリング部材111Bの幅Wと、C字の間隙gとから、長方形の面積として近似的に求められる。また、式(3)において、dPTFEは誘電体板112Bとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いた場合の2枚のC字状のリング部材111Bの間隔を表す。なお、断面130に示すように、2枚のC字状のリング部材111Bの厚さd1は、同じ厚さであるのが好ましい。
【0049】
式(5)では、式(2)および式(4)で求めたインダクタンスLMAおよびキャパシタンスCMAに基づいて、共振器101Bの共振周波数Frを求めている。なお、共振周波数Frは、C字状のリング部材111Bの外側の半径routおよび内側の半径rinが大きいほど低くなるとともに、2枚のC字状のリング部材111Bに挟まれる誘電体板112Bの厚さdが薄いほど低くなる。また、共振周波数Frは、C字状のリング部材111Bを積層する枚数が増加するほど低くなる。つまり、リング部材111Bの外側の半径routおよび内側の半径rinや誘電体板112Bの厚さdを調整することで、異なる第1の共振周波数Frを有する共振器101-1~101-25を形成することができる。なお、本実施形態では、C字状のリング部材111A,111Bとして、円リングの一部に切り欠きがある形状で説明しているが、これに限定されない。リング部材の形状は、円リングに限られず、例えば、楕円リング、三角形リング、方形リング、および、多角形リング等のいずれかのリングに切り欠き(間隙gに相当)がある形状であってもよい。
【0050】
続いて、図9および図10を用いて複数のRF電源30、アンテナ40およびセルCの関係について説明する。図9および図10は、第1実施形態に係るRF電源とセルとの対応の一例を示す図である。図9では、共振器配列構造体100のX方向の一例として、セルC11~C15を挙げている。図10では、共振器配列構造体100のY方向の一例として、セルC11~C51を挙げている。
【0051】
図9に示すように、セルC11~C15は、誘電体窓20を介した上部に、RF電源30-11~30-15、および、アンテナ40-11~40-15が、それぞれ配置されている。また、図10に示すように、セルC11~C51は、誘電体窓20を介した上部に、RF電源30-11~30-51、および、アンテナ40-11~40-51が、それぞれ配置されている。同様に、セルC22~C25,C32~C35,C42~C45,C52~C55には、RF電源30-22~30-25,30-32~30-35,30-42~30-45,30-52~30-55が、それぞれ配置されている。また、セルC22~C25,C32~C35,C42~C45,C52~C55には、アンテナ40-22~40-25,40-32~40-35,40-42~40-45,40-52~40-55が、それぞれ配置されている。
【0052】
ここで、セルC11を一例とすると、セルC11では、RF電源30-11がアンテナ40-11から供給するマイクロ波によって、セル空間CS11にプラズマが発生する。つまり、セルC11のセル空間CS11に発生するプラズマは、RF電源30-11がアンテナ40-11を介して供給するマイクロ波によって、プラズマ密度の濃淡が制御される。すなわち、セルC11~C55のセル空間CS11~CS55では、それぞれ対応するRF電源30-11~30-55によって、プラズマ密度の濃淡が制御される。
【0053】
次に、図11を用いてRF電源30の機能構成について説明する。図11は、第1実施形態に係るRF電源の機能構成の一例を示すブロック図である。図11に示すように、RF電源30は、VFコンバータ31と、復調部32,33と、プリアンプ34と、アンプ35と、方向性結合器36と、演算部37と、記憶部38と、入出力部39とを有する。
【0054】
VFコンバータ31は、電圧制御型周波数発生器であり、演算部37から設定周波数Fsetに基づく電圧が入力されると、入力された電圧に応じた周波数のマイクロ波(高周波信号)を生成する。生成されたマイクロ波は、プリアンプ34に出力される。ここで生成されたマイクロ波は、シングルピークのマイクロ波である。なお、VFコンバータ31は、設定周波数Fsetのマイクロ波を生成できれば、他の方式、例えば、DDS(Direct Digital Synthesizer)等であっても構わない。
【0055】
復調部32,33は、方向性結合器36からそれぞれ入力された進行波電力Pfおよび反射波電力Prを復調し、復調された進行波電力Pfおよび反射波電力Prの波形データを演算部37に出力する。
【0056】
プリアンプ34は、演算部37から入力された電力指令値Mfに応じて、増幅率を変化させることができる増幅器である。プリアンプ34は、VFコンバータ31から入力されたマイクロ波を、電力指令値Mfに応じた増幅率で増幅してアンプ35に出力する。
【0057】
アンプ35は、プリアンプ34から入力されたマイクロ波を、所定の電力まで増幅する増幅器である。アンプ35は、増幅したマイクロ波を、方向性結合器36および同軸導波管81を介して、プラズマ生成用のマイクロ波としてアンテナ40に出力する。なお、RF電源30の同軸導波管81からの出力は、アンテナ40に直接供給されることが電力損失の観点では望ましいが、RF電源30と整合器(図示せず)との設置空間の関係から同軸ケーブル等の中継ケーブルを介してマイクロ波がアンテナ40に供給されるようにしてもよい。
【0058】
方向性結合器36は、アンプ35とアンテナ40との間の伝送経路に設けられ、進行波電力Pfと反射波電力Prとを抽出する。抽出した進行波電力Rx(Pf)は、復調部32に入力される。また、抽出した反射波電力Rx(Pr)は、復調部33に入力される。なお、以下の説明では、進行波電力Rx(Pf)を単に進行波電力Pfと表し、反射波電力Rx(Pr)を単に反射波電力Prと表す場合がある。
【0059】
演算部37は、RF電源30を制御するコントローラである。演算部37には、入出力部39を介して、上位コントローラ80からマイクロ波の電力設定Psetと、設定周波数Fsetとが入力される。演算部37は、進行波電力Pfの算出処理、反射波電力Prの算出処理、および、電力指令値Mfの設定を実行する。演算部37は、設定周波数Fsetに基づく電圧をVFコンバータ31に出力し、電力指令値Mfをプリアンプ34に出力する。なお、電力指令値Mfは、いわゆるロード制御(電力一定制御)で制御される。また、演算部37は、進行波電力Pfのモニタ値Pf monと、反射波電力Prのモニタ値Pr monを上位コントローラ80に出力する。
【0060】
記憶部38は、演算部37における各処理で用いる情報を記憶する。記憶部38は、例えば、進行波電力PfのPf成分およびPf位相成分、ならびに、反射波電力PrのPr成分およびPr位相成分等の各種の情報を記憶する。
【0061】
続いて、図12および図13を用いて、共振器の共振周波数の設定、および、セルと共振周波数との関係とについて説明する。図12は、第1実施形態に係る共振器の共振周波数の設定の一例を示す図である。図12に示すように、複数の共振器101は、例えば、2GHz~3GHzの範囲において、グラフ141~150,・・・,151(n-2),151(n-1),151(n)で表される、それぞれ異なる第1の共振周波数Fr(1)~Fr(n)を有する。なお、第1の共振周波数Fr(1)~Fr(n)は、例えば、2.45GHzを中心として2GHz~3GHzの範囲に収まるように、所定の間隔Dで設定される。すなわち、第1の共振周波数Fr(n)は、Fr(n)=K+Dn[GHz](K:下限周波数)で表すことができる。例えば、K=2GHz、D=0.1、n=10の場合、2GHz~3GHzの範囲において、0.1GHz間隔で第1の共振周波数Fr(1)~Fr(10)が設定される。また、第1の共振周波数Fr(1)~Fr(n)を有する複数の共振器101それぞれを共振させるために、各RF電源30からは、出力周波数(目標周波数)Fo(1)~Fo(n)のマイクロ波が供給される。なお、出力周波数Foは、例えば、第1の共振周波数Fr(例えば、2.45GHz)より1.05倍以内の周波数(例えば、2.50GHz)である。
【0062】
図13は、第1実施形態に係るセルと共振周波数との関係の一例を示す図である。図13の設定例160は、図2のセルC11~C55におけるセルとしての第2の共振周波数Fc(1)~Fc(25)を示している。つまり、共振器101-1~101-25の共振周波数を第1の共振周波数Frとした場合、セルC11~C55は、囲まれているそれぞれの共振器101-1~101-25の第1の共振周波数Frに応じて、セルとしての第2の共振周波数Fcを有する。このように、第1実施形態では、セルC11~C55の第2の共振周波数Fc(1)~Fc(25)が異なる。このため、セルC11~C55では、それぞれのセル空間CS11~CS55に、セルC11~C55にそれぞれ対応するRF電源30およびアンテナ40から供給されるマイクロ波によってそれぞれプラズマが生成される。つまり、例えば、セルC11に対応するRF電源30およびアンテナ40から供給されるマイクロ波では、隣接するセルC12,C21,C22を形成する共振器101-2,101-6,101-7が共振しないため、これらのセル空間ではプラズマが生成されない。これにより、セルC11~C55ごとに、プラズマ密度を独立して制御することができる。つまり、セルC11~C55ごとに、対応するRF電源30が出力するマイクロ波の電力を変更することで、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルごとに制御できる。
【0063】
なお、複数の共振器に対する電磁波の伝搬については共振周波数と屈折率、誘電率および透磁率との関係は、たとえば、「PHYSICAL REVIEW E 71,036617(2005)」の「Electromagnetic parameter retrieval from inhomogeneous metamaterials」により、D.R.Smith,D.C.Vier,Th.Koschny and C.M.Soukoulisらにより報告されている。
【0064】
このように、複数の共振器101の共振周波数Frよりも高い目標周波数帯においてマイクロ波と複数の共振器101とを共振させることにより、プラズマの電子密度が遮断密度に到達する場合であっても、マイクロ波の伝搬がプラズマの表皮深さを越えて可能となる。このため、プラズマにマイクロ波の電力を効率よく吸収できる。結果として、プラズマの表皮深さを越えた広範囲で高密度なプラズマを生成することができる。すなわち、本実施形態に係るプラズマ処理装置1によれば、複数の共振器101の共振周波数Frよりも高い目標周波数帯において、マイクロ波と複数の共振器101とを共振させることにより、プラズマを広範囲で高密度化を実現することができる。また、本実施形態のプラズマ処理装置1は、共振器配列構造体100のセルCごとにRF電源30を設けるとともに、隣接するセルC同士で第2の共振周波数Fcが異なるので、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルCごとに制御できる。すなわち、本実施形態のプラズマ処理装置1は、被処理体WPの特定の場所のプラズマ密度を変えて処理速度を制御できるので、被処理体WP全体のプロセス処理速度を制御することができる。
【0065】
(変形例1~7)
次に、図14から図20を用いて第1実施形態の変形例1~7について説明する。図14は、変形例1に係るセル空間の一例を示す図である。図14の変形例1では、セルC11を一例として説明する。図14の配置例161は、セルC11におけるセル空間CS11の平面視の形状が正三角形となるように、且つ、3つの共振器101-1で囲まれるように配置される。なお、配置例161では、セルC11の形状を四角形とし、その中に正三角形のセル空間CS11を設けたが、セルC11を3つの共振器101-1を囲む正三角形としてもよい。また、セル空間CS11の形状は、辺の長さが異なる三角形であってもよい。
【0066】
図15は、変形例2に係るセル空間の一例を示す図である。図15の変形例2では、セルC11を一例として説明する。図15の配置例162は、セルC11におけるセル空間CS11の平面視の形状が正六角形となるように、且つ、6つの共振器101-1で囲まれるように配置される。なお、配置例162では、セルC11の形状を四角形とし、その中に正六角形のセル空間CS11を設けたが、セルC11を6つの共振器101-1を囲む正六角形としてもよい。また、セル空間CS11の形状は、辺の長さが異なる六角形であってもよい。
【0067】
図16は、変形例3に係るセル空間の一例を示す図である。図16の変形例3では、セルC11を一例として説明する。図16の配置例163は、セルC11におけるセル空間CS11が4つ形成されるように、12個の共振器101-1が格子状に配列されている。このとき、セル空間CS11間の共振器101-1は共用される。配置例163では、1つのRF電源およびアンテナ40から出力されるマイクロ波が、セルC11に属する4つのセル空間CS11に供給され、それぞれのセル空間CS11でプラズマが生成される。つまり、配置例163は、セルC11が4つのセル空間CS11に分割されているともいえる。
【0068】
図17は、変形例4に係るセル空間の一例を示す図である。図17の変形例4では、セルC11を一例として説明する。図17の配置例164は、セルC11におけるセル空間CS11が9つ形成されるように、24個の共振器101-1が格子状に配列されている。このとき、セル空間CS11間の共振器101-1は共用される。配置例164では、1つのRF電源およびアンテナ40から出力されるマイクロ波が、セルC11に属する9つのセル空間CS11に供給され、それぞれのセル空間CS11でプラズマが生成される。つまり、配置例164は、セルC11が9つのセル空間CS11に分割されているともいえる。なお、セル空間CS11の格子状における縦横の数は任意の数でもよい。
【0069】
図18は、変形例5に係るセルと共振周波数との関係の一例を示す図である。図18の設定例170は、図13に示す設定例160から第2の共振周波数Fcを一部のセルC間で共用し、その数を削減したものである。設定例170は、図2のセルC11~C55におけるセルとしての第2の共振周波数Fc(1)~Fc(16)を示している。つまり、セルC11~C55は、囲まれているそれぞれの共振器101-1~101-16の第1の共振周波数Frに応じて、セルCとしての第2の共振周波数Fcを有する。設定例170では、同じ第2の共振周波数Fcを有するセルC間は、異なる第2の共振周波数Fcを有するセルCを3つ以上挟むように配置される。設定例170では、セルC11,C15,C51,C55を第2の共振周波数Fc(1)とし、セルC21,C25を第2の共振周波数Fc(2)とし、セルC31,C35を第2の共振周波数Fc(3)とし、セルC41,C45を第2の共振周波数Fc(4)とする。また、設定例170では、セルC12,C52を第2の共振周波数Fc(5)とし、セルC13,C53を第2の共振周波数Fc(6)とし、セルC14,C54を第2の共振周波数Fc(7)とする。また、設定例170では、セルC22~C24,C32~C34,C42~C44を、それぞれ第2の共振周波数Fc(8)~Fc(16)とする。なお、セルC11~C55は、それぞれの第2の共振周波数Fc(1)~Fc(16)に応じた第1の共振周波数Fr(1)~Fr(16)を有する共振器101-1~101-16でそれぞれ形成される。
【0070】
このように、設定例170では、セルC11~C55の第2の共振周波数Fc(1)~Fc(16)が3つのセル空間CS未満の範囲で異なる。このため、セルC11~C55では、それぞれのセル空間CS11~CS55に、セルC11~C55にそれぞれ対応するRF電源30およびアンテナ40から供給されるマイクロ波によってそれぞれプラズマが生成される。つまり、例えば、セルC11に対応するRF電源30およびアンテナ40から供給されるマイクロ波では、隣接するセルC12,C21,C22を形成する共振器101-5,101-2,101-8が共振しないため、これらのセル空間ではプラズマが生成されない。また、セルC11と同じ第2の共振周波数Fc(1)であるセルC15,C51,C55では、セルC11からの距離が遠いためマイクロ波が減衰してプラズマが生成されない。このように、変形例5では、あるセルCから漏れたマイクロ波が届かない位置のセルCに第2の共振周波数Fcが同じセルCを設定するので、第2の共振周波数Fcの数を削減できる。つまり、共振器101の第1の共振周波数Frの数を削減できる。また、各RF電源30が出力する出力周波数Foの周波数範囲を狭くすることができる。例えば、第2の共振周波数Fcの間隔が0.1GHzであったとすると、第2の共振周波数Fcを共用しない場合、出力周波数Foの周波数範囲は2.5GHz幅となる。一方、第2の共振周波数Fcを共用する場合、出力周波数Foの周波数範囲は1.6GHz幅となる。なお、第2の共振周波数Fcが同じセルCに対しては、同じRF電源30から出力されるマイクロ波が分岐されて供給されるようにしてもよい。
【0071】
図19は、変形例6に係る誘電体窓および共振器配列構造体を下方向から見た構成の一例を示す平面図である。図19に示す共振器配列構造体100aは、第1実施形態の共振器配列構造体100に対して、隣接するセルC間の共振器101を共有するとともに、複数のセルCが、複数のゾーンのうちいずれかのゾーンに属するように配置されたものである。共振器配列構造体100aでは、セルC33が属するゾーンと、セルC22~C24,C32,C34,C42~C44が属するゾーンと、セルC11~C15,C21,C25,C31,C35,C41,C45,C51~C55が属するゾーンとに分けられる。つまり、共振器配列構造体100aでは、中心から順に、同心四角状に第1~第3ゾーンの3つのゾーンが設けられる。また、同一のゾーンに属するセルCは、同一の第2の共振周波数Fcを有する。つまり、第1ゾーンに属するセルC33は、第2の共振周波数Fc(1)を有する。第2ゾーンに属するセルC22~C24,C32,C34,C42~C44は、第2の共振周波数Fc(2)を有する。第3ゾーンに属するセルC11~C15,C21,C25,C31,C35,C41,C45,C51~C55は、第2の共振周波数Fc(3)を有する。
【0072】
このとき、例えば、セルC12は、4つの共振器101で囲まれることになるが、内訳は、第1の共振周波数Fr(2)を有する共振器101-2が1つと、第1の共振周波数Fr(3)を有する共振器101-3が3つとなる。このように、異なる第1の共振周波数Frを有する共振器101で囲まれるセルCでは、最も数が多い共振器101の第1の共振周波数Frに対応する第2の共振周波数Fcを有することになる。すなわち、セルC12は、共振器101-3の第1の共振周波数Fr(3)に対応する第2の共振周波数Fc(3)を有する。つまり、セルC12に出力周波数Fo(3)のマイクロ波が供給されると、3つの共振器101-3は共振するが、1つの共振器101-2は共振しない。なお、他のセルCにおいても同様の考え方で第2の共振周波数Fcを決定することができる。
【0073】
上述のように、共振器配列構造体100aでは、同心四角状に設けられた第1~第3ゾーンにそれぞれ属するセルCにおいて、第2の共振周波数Fc(1)~Fc(3)が異なる。セルC11~C55では、それぞれのセル空間CS11~CS55に、セルC11~C55にそれぞれ対応するRF電源30およびアンテナ40から供給されるマイクロ波によってそれぞれプラズマが生成される。このとき、第1ゾーンに属するセルC33に供給されるマイクロ波では、隣接する第2ゾーンに属するセルC22~C24,C32,C34,C42~C44を形成する共振器101-2が共振しないため、これらのセル空間ではプラズマが生成されない。また、第2ゾーンに属するセルC22~C24,C32,C34,C42~C44に供給されるマイクロ波では、第1ゾーンに属するセルC33を形成する共振器101-1が共振しないため、セル空間CS33ではプラズマが生成されない。さらに、第2ゾーンに属するセルC22~C24,C32,C34,C42~C44と、第3ゾーンに属するセルC11~C15,C21,C25,C31,C35,C41,C45,C51~C55との間でも同様の関係となる。なお、各ゾーン内のセル空間CSでは、同じゾーン内の他のセルCにマイクロ波が供給されると、共振器101が共振してプラズマが生成される場合がある。
【0074】
このように、変形例6では、ゾーンごとに第2の共振周波数Fcを設定するので、第2の共振周波数Fcの数を削減できる。つまり、共振器101の第1の共振周波数Frの数を削減できる。また、各RF電源30が出力する出力周波数Foの周波数範囲を狭くすることができる。例えば、第2の共振周波数Fcの間隔が0.1GHzであったとすると、第2の共振周波数Fcを共用しない場合、出力周波数Foの周波数範囲は2.5GHz幅となる。一方、ゾーンごとに第2の共振周波数Fcを共用する場合、出力周波数Foの周波数範囲は0.3GHz幅となる。なお、同じゾーンに属するセルC、つまり、第2の共振周波数Fcが同じセルCに対しては、同じRF電源30から出力されるマイクロ波が分岐されて供給されるようにしてもよい。
【0075】
図20は、変形例7に係る誘電体窓および共振器配列構造体を下方向から見た構成の一例を示す平面図である。図20に示す共振器配列構造体100bは、第1実施形態の共振器配列構造体100に対して、隣接するセルC間の共振器101を共有するとともに、複数のセルCが、複数のゾーンのうちいずれかのゾーンに属するように配置されたものである。共振器配列構造体100bでは、セルC13,C23,C31~C35,C43,C53が属する十字状のゾーンによって、さらに4つのゾーンに分けられる。4つのゾーンは、セルC11,C12,C21,C22が属する第1ゾーンと、セルC14,C15,C24,C25が属する第2ゾーンと、セルC41,C42,C51,C52が属する第3ゾーンと、セルC44,C45,C54,C55が属する第4ゾーンとである。また、十字状のゾーンを第5ゾーンとする。つまり、共振器配列構造体100bでは、5つのゾーンが設けられる。また、同一のゾーンに属するセルCは、同一の第2の共振周波数Fcを有する。つまり、第1ゾーンに属するセルC11,C12,C21,C22は、第2の共振周波数Fc(1)を有する。第2ゾーンに属するセルC14,C15,C24,C25は、第2の共振周波数Fc(2)を有する。第3ゾーンに属するセルC41,C42,C51,C52は、第2の共振周波数Fc(3)を有する。第4ゾーンに属するセルC44,C45,C54,C55は、第2の共振周波数Fc(4)を有する。第5ゾーンに属するセルC13,C23,C31~C35,C43,C53は、第2の共振周波数Fc(5)を有する。
【0076】
このとき、例えば、セルC13は、4つの共振器101で囲まれることになる。これらの内訳は、第1の共振周波数Fr(1)を有する共振器101-1が1つと、第1の共振周波数Fr(2)を有する共振器101-2が1つと、第1の共振周波数Fr(5)を有する共振器101-5が2つとなる。このように、異なる第1の共振周波数Frを有する共振器101で囲まれるセルCでは、最も数が多い共振器101の第1の共振周波数Frに対応する第2の共振周波数Fcを有することになる。すなわち、セルC13は、第1の共振周波数Fr(5)に対応する第2の共振周波数Fc(5)を有する。つまり、セルC13に出力周波数Fo(5)のマイクロ波が供給されると、2つの共振器101-5は共振するが、それぞれ1つずつの共振器101-1,101-2は共振しない。なお、他のセルCにおいても同様の考え方で第2の共振周波数Fcを決定することができる。
【0077】
上述のように、共振器配列構造体100bでは、二次元の座標系における第1象限から第4象限とXY軸のような、象限状に設けられた第1~第5ゾーンにそれぞれ属するセルCにおいて、第2の共振周波数Fc(1)~Fc(5)が異なる。セルC11~C55では、それぞれのセル空間CS11~CS55に、セルC11~C55にそれぞれ対応するRF電源30およびアンテナ40から供給されるマイクロ波によってそれぞれプラズマが生成される。このとき、第1ゾーンに属するセルC11,C12,C21,C22に供給されるマイクロ波では、隣接する第5ゾーンに属するセルC13,C23,C31~C33を形成する、それぞれ最も数が多い共振器101-5が共振しない。このため、これらのセル空間CS13,CS23,CS31~CS33ではプラズマが生成されない。また、第5ゾーンに属するセルC13,23,C31~C33に供給されるマイクロ波では、第1ゾーンに属するセルC11,C12,C21,C22を形成する共振器101-1が共振しないため、セル空間CS11,CS12,CS21,CS22ではプラズマが生成されない。さらに、第1~第5ゾーンの異なるゾーンに属するセルC間においても同様の関係となる。なお、変形例6と同様に、各ゾーン内のセル空間CSでは、同じゾーン内の他のセルCにマイクロ波が供給されると、共振器101が共振してプラズマが生成される場合がある。
【0078】
このように、変形例7では、ゾーンごとに第2の共振周波数Fcを設定するので、第2の共振周波数Fcの数を削減できる。つまり、共振器101の第1の共振周波数Frの数を削減できる。また、各RF電源30が出力する出力周波数Foの周波数範囲を狭くすることができる。例えば、第2の共振周波数Fcの間隔が0.1GHzであったとすると、第2の共振周波数Fcを共用しない場合、出力周波数Foの周波数範囲は2.5GHz幅となる。一方、変形例7のように、ゾーンごとに第2の共振周波数Fcを共用する場合、出力周波数Foの周波数範囲は0.5GHz幅となる。さらに、変形例7では、12時、3時、6時および9時方向(XY軸のプラス側およびマイナス側)のそれぞれについて、プラズマ密度を独立に制御することができる。なお、同じゾーンに属するセルC、つまり、第2の共振周波数Fcが同じセルCに対しては、同じRF電源30から出力されるマイクロ波が分岐されて供給されるようにしてもよい。また、第5ゾーンに属するセルC13,C23,C31~C35,C43,C53については、第1の共振周波数Fr(5)を有する共振器101-5に代えて、誘電体板を用いてもよい。この場合、第1~第4ゾーンの4つのゾーンを設ける形となる。
【0079】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、1つの共振器配列構造体100を有するプラズマ処理装置1を用いたが、複数の共振器配列構造体100を有するプラズマ処理装置であってもよく、この場合の実施の形態につき、第2実施形態として説明する。
【0080】
図21は、第2実施形態に係るプラズマ処理装置の構成の一例を示す概略断面図である。図21に示すプラズマ処理装置200は、処理容器201と、ステージ202と、ガス供給機構203と、排気装置204と、マイクロ波出力装置205と、制御装置206とを有する。処理容器201は、被処理体WPを収容する。ステージ202は、被処理体WPを載置する。ガス供給機構203は、処理容器201内にガスを供給する。排気装置204は、処理容器201内を排気する。マイクロ波出力装置205は、処理容器201内にプラズマを生成させるためのマイクロ波を発生させるとともに、処理容器201内にマイクロ波を導入する。制御装置206は、プラズマ処理装置200の各部の動作を制御する。
【0081】
処理容器201は、例えばアルミニウムおよびその合金等の金属材料によって形成されており、内部に略円筒形状の処理空間Sを提供している。処理容器201は、板状の天壁部211および底壁部213と、これらを連結する側壁部212とを有している。マイクロ波出力装置205は、処理容器201の上部に設けられ、処理容器201内に電磁波(マイクロ波)を導入してプラズマを生成するプラズマ生成手段として機能する。マイクロ波出力装置205は、第1実施形態のマイクロ波出力装置16と同様に、複数のRF電源230と、上位コントローラ280とを有する。複数のRF電源230は、後述する複数の共振器配列構造体300と、それぞれ対応するように設けられる。また、複数のRF電源230は、複数のアンテナ240とそれぞれ接続される。なお、RF電源230、アンテナ240および上位コントローラ280の機能構成は、第1実施形態のRF電源30、アンテナ40および上位コントローラ80と同様であるので、その説明を省略する。
【0082】
天壁部211には、マイクロ波出力装置205のRF電源230、アンテナ240、および、後述する共振器配列構造体、ならびに、ガス導入部が嵌め込まれる複数の開口部を有している。側壁部212は、処理容器201に隣接する搬送室(図示せず)との間で被処理体WPの搬入出を行うための搬入出口214を有している。搬入出口214はゲートバルブ215により開閉されるようになっている。底壁部213には排気装置204が設けられている。排気装置204は底壁部213に接続された排気管216に設けられ、真空ポンプと圧力制御バルブを備えている。排気装置204の真空ポンプにより排気管216を介して処理容器201内が排気される。処理容器201内の圧力は圧力制御バルブにより制御される。
【0083】
ステージ202は、円盤状をなしており、AlN等のセラミックスからなっている。ステージ202は、処理容器201の底部中央から上方に延びる円筒状のAlN等のセラミックスからなる支持部材220により支持されている。ステージ202の外縁部には被処理体WPをガイドするためのガイドリング281が設けられている。また、ステージ202の内部には、被処理体WPを昇降するための昇降ピン(図示せず)がステージ202の上面に対して突没可能に設けられている。さらに、ステージ202の内部には抵抗加熱型のヒータ282が埋め込まれており、このヒータ282はヒータ電源283から給電されることによりステージ202を介してその上の被処理体WPを加熱する。また、ステージ202には、熱電対(図示せず)が挿入されており、熱電対からの信号に基づいて、被処理体WPの加熱温度を、例えば300~1000℃の範囲の所定の温度に制御可能となっている。さらに、ステージ202内のヒータ282の上方には、被処理体WPと同程度の大きさの電極284が埋設されており、この電極284には、高周波バイアス電源222が電気的に接続されている。この高周波バイアス電源222からステージ202にイオンを引き込むための高周波バイアスが、電極284に印加される。なお、高周波バイアス電源222はプラズマ処理の特性によっては設けなくてもよい。
【0084】
ガス供給機構203は、プラズマ生成ガス、およびカーボン膜等の成膜対象の膜を形成するための原料ガスを処理容器201内に導入するためのものであり、複数のガス導入ノズル223を有している。ガス導入ノズル223は、処理容器201の天壁部211に形成された開口部に嵌め込まれている。ガス導入ノズル223には、ガス供給配管291が接続されている。このガス供給配管291は、分岐管291a、291b、291c、291d、291eの5つに分岐している。これら分岐管291a、291b、291c、291d、291eには、Arガス供給源292、O2ガス供給源293、N2ガス供給源294、H2ガス供給源295、C2H2ガス供給源296が接続されている。Arガス供給源292は、プラズマ生成ガスである貴ガス(希ガス)としてのArガスを供給する。O2ガス供給源293は、クリーニングガスである酸化ガスとしてのO2ガスを供給する。N2ガス供給源294は、パージガス等として用いられるN2ガスを供給する。H2ガス供給源295は、還元性ガスとしてのH2ガスを供給する。C2H2ガス供給源296は、成膜原料ガスである炭素含有ガスとしてのアセチレン(C2H2)ガスを供給する。なお、C2H2ガス供給源296は、エチレン(C2H4)等の他の炭素含有ガスを供給してもよい。
【0085】
なお、分岐管291a、291b、291c、291d、291eには、図示してはいないが、流量制御用のマスフローコントローラおよびその前後のバルブが設けられている。なお、シャワープレートを設けてC2H2ガスおよびH2ガスを被処理体WPに近い位置に供給するようにしてガスの解離を調整することもできる。また、これらのガスを供給するノズルを下方に延ばすことにより同様の効果を得ることができる。
【0086】
マイクロ波出力装置205は、前述のように、処理容器201の上方に設けられ、処理容器201内に電磁波(マイクロ波)を導入してプラズマを生成するプラズマ生成手段として機能する。
【0087】
図22は、第2実施形態に係る誘電体窓および共振器配列構造体を下方向から見た構成の一例を示す平面図である。図22は、図21のA-A断面のうち、側壁部212より内側の処理空間Sの部分に対応する。第2実施形態では、RF電源230は7つ設けられており、図22に示すように、これらに対応するアンテナ240は、均等に六方最密配置になるように配置されている。すなわち、7つのアンテナ240のうち1つは、天壁部211の中央に配置され、その周囲に、他の6つのアンテナ240が配置されている。なお、アンテナ240は、処理空間S側に誘電体からなるマイクロ波透過板を有するものとする。これら7つのアンテナ240は、隣接するアンテナ240が等間隔になるように配置されている。また、ガス供給機構203の複数のガス導入ノズル223は、中央のアンテナ240の周囲を囲むように配置されている。なお、RF電源230およびアンテナ240の数は7つに限るものではない。
【0088】
アンテナ240の下面、つまり、天壁部211の複数のRF電源230および複数のアンテナ240に対応する位置には、それぞれ共振器配列構造体300が設けられている。共振器配列構造体300は、マイクロ波の磁界成分と共振可能であり且つサイズがマイクロ波の波長よりも小さい複数の共振器を配列して形成され、処理容器201内に位置する。なお、アンテナ240の下面は、共振器配列構造体300と接していても、離間していてもよい。
【0089】
各共振器配列構造体300は、それぞれ、第1実施形態の共振器配列構造体100と同様に、複数の共振器101からなる複数のセルCを有する。天壁部211の中央に配置されるアンテナ240に対応する共振器配列構造体300aには、セルC111~C114の4つのセルが形成されている。セルC111~C114は、それぞれ共振器101-1で囲まれており、隣接するセルC間の共振器101-1は共用されている。例えば、セルC111とセルC112との間では、共振器101-1が共用されている。セルC111~C114では、それぞれセル空間CS111~CS114においてプラズマが生成される。
【0090】
中央のアンテナ240の周囲に配置された各アンテナ240に対応する位置には、それぞれ対応する共振器配列構造体300b~300gが設けられている。共振器配列構造体300bには、セルC121~C124の4つのセルが形成されている。セルC121~C124は、それぞれ共振器101-2で囲まれており、隣接するセルC間の共振器101-2は共用されている。例えば、セルC121とセルC122との間では、共振器101-2が共用されている。セルC121~C124では、それぞれセル空間CS121~CS124においてプラズマが生成される。
【0091】
共振器配列構造体300cには、セルC131~C134の4つのセルが形成されている。セルC131~C134は、それぞれ共振器101-3で囲まれており、隣接するセルC間の共振器101-3は共用されている。例えば、セルC131とセルC132との間では、共振器101-3が共用されている。セルC131~C134では、それぞれセル空間CS131~CS134においてプラズマが生成される。
【0092】
共振器配列構造体300dには、セルC141~C144の4つのセルが形成されている。セルC141~C144は、それぞれ共振器101-4で囲まれており、隣接するセルC間の共振器101-4は共用されている。例えば、セルC141とセルC142との間では、共振器101-4が共用されている。セルC141~C144では、それぞれセル空間CS141~CS144においてプラズマが生成される。
【0093】
共振器配列構造体300eには、セルC151~C154の4つのセルが形成されている。セルC151~C154は、それぞれ共振器101-5で囲まれており、隣接するセルC間の共振器101-5は共用されている。例えば、セルC151とセルC152との間では、共振器101-5が共用されている。セルC151~C154では、それぞれセル空間CS151~CS154においてプラズマが生成される。
【0094】
共振器配列構造体300fには、セルC161~C164の4つのセルが形成されている。セルC161~C164は、それぞれ共振器101-6で囲まれており、隣接するセルC間の共振器101-6は共用されている。例えば、セルC161とセルC162との間では、共振器101-6が共用されている。セルC161~C164では、それぞれセル空間CS161~CS164においてプラズマが生成される。
【0095】
共振器配列構造体300gには、セルC171~C174の4つのセルが形成されている。セルC171~C174は、それぞれ共振器101-7で囲まれており、隣接するセルC間の共振器101-7は共用されている。例えば、セルC171とセルC172との間では、共振器101-7が共用されている。セルC171~C174では、それぞれセル空間CS171~CS174においてプラズマが生成される。
【0096】
共振器配列構造体300a~300gは、それぞれ構成する共振器101の第1の共振周波数Frが異なるので、セルCとしての第2の共振周波数Fcも異なる。すなわち、共振器配列構造体300aのセルC111~C114は、第2の共振周波数Fc(1)を有する。同様に、共振器配列構造体300bのセルC121~C124は、第2の共振周波数Fc(2)を有する。共振器配列構造体300cのセルC131~C134は、第2の共振周波数Fc(3)を有する。共振器配列構造体300dのセルC141~C144は、第2の共振周波数Fc(4)を有する。共振器配列構造体300eのセルC151~C154は、第2の共振周波数Fc(5)を有する。共振器配列構造体300fのセルC161~C164は、第2の共振周波数Fc(6)を有する。共振器配列構造体300gのセルC171~C174は、第2の共振周波数Fc(7)を有する。すなわち、共振器配列構造体300a~300gは、第1実施形態の共振器配列構造体100が、それぞれゾーンに分割されているとも捉えることができる。
【0097】
このように、第2実施形態では、共振器配列構造体300a~300gのセルCの第2の共振周波数Fcがそれぞれ異なる。このため、例えば、共振器配列構造体300aに対応するRF電源230およびアンテナ240からマイクロ波が供給されても、隣接する共振器配列構造体300b~300gではプラズマが生成されない。すなわち、第2実施形態では、共振器配列構造体300ごとに、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡を制御できる。
【0098】
なお、第2実施形態では、共振器配列構造体300aを一例とすると、セルC111~C114に対して1つのRF電源230およびアンテナ240が対応しているが、セルC111~C114それぞれにRF電源230およびアンテナ240を設けてもよい。また、例えば、隣接するセルC111~C114間において、共振器101-1を共用せず、それぞれ設けるようにしてもよい。
【0099】
(第3実施形態)
上記の第1実施形態では、共振器配列構造体100のセルCごとにRF電源30およびアンテナ40を設けたが、共振器配列構造体100全体に対して1つのRF電源およびマイクロ波導入部を設けるようにしてもよい。この場合の実施の形態につき、第3実施形態として説明する。なお、第3実施形態におけるプラズマ処理装置は、RF電源およびマイクロ波導入部を除いて上述の第1実施形態と同様であるので、その重複する構成および動作の説明については省略する。
【0100】
図23は、第3実施形態に係るプラズマ処理装置の構成の一例を示す概略断面図である。図23に示すように、第3実施形態のプラズマ処理装置400は、第1実施形態の装置本体10および制御装置11に代えて、装置本体410および制御装置411を有する。また、装置本体410は、第1実施形態のマイクロ波出力装置16に代えて、マイクロ波出力装置416を有する。さらに、装置本体410は、マイクロ波導入部として、同軸導波管430と、円筒導波管431とを有する。
【0101】
マイクロ波出力装置416は、RF電源450と上位コントローラ480とを有する。RF電源450は、処理容器12内に供給される処理ガスを励起させるためのマイクロ波を出力する。
【0102】
また、装置本体410は、導波管421、導波管同軸変換器427、および同軸導波管428を備える。RF電源450の出力部は、導波管421の一端に接続されている。導波管421の他端は、導波管同軸変換器427に接続されている。導波管421は、例えば矩形導波管である。導波管421は、整合器422を含む。整合器422を調整することにより、RF電源450のインピーダンスと負荷のインピーダンスとを整合させることができる。なお、整合器422(RF電源450の出力の後段に入る整合器)は、省略してもよい。
【0103】
同軸導波管428は、外側導体428aおよび内側導体428bを含む。外側導体428aおよび内側導体428bは、略円筒形状を有している。外側導体428aおよび内側導体428bは、外側導体428aおよび内側導体428bの中心軸線が軸線Zに略一致するようにマイクロ波導入部である同軸導波管430の上部に接続されている。マイクロ波出力装置416から出力されたマイクロ波は、導波管421中をTE10モードで伝送される。導波管421中を伝送されるマイクロ波は、導波管同軸変換器427により伝送モードが変換され、同軸導波管428をTEMモードで伝送される。
【0104】
同軸導波管430は、外側導体430aおよび内側導体430bを含む。外側導体430aおよび内側導体430bは、略円筒形状を有している。外側導体430aおよび内側導体430bは、外側導体430aおよび内側導体430bの中心軸線が軸線Zに略一致するように同軸導波管428に接続されている。つまり、同軸導波管430は、同軸導波管428の外側導体428aに接続される外側導体430aについて、対向するステージ14の直径と同程度まで大きくしたものである。
【0105】
円筒導波管431は、略円筒形状を有している。円筒導波管431は、中心軸線が軸線Zに略一致するように同軸導波管430の外側導体430aに接続されている。つまり、円筒導波管431は、同軸導波管430の内側導体430bがない状態である。また、円筒導波管431の内径は、同軸導波管428の外側導体428aの内径よりも大きい。
【0106】
ここで、図24および図25を用いてマイクロ波導入部(同軸導波管430および円筒導波管431)について説明する。図24は、第3実施形態に係る同軸導波管の一例を示す断面図である。図24に示す断面500は、同軸導波管430の横断面における電界501および磁界502を表している。電界501は、内側導体430bから外側導体430aに向かう方向である。一方、磁界502は、内側導体430bの周囲を回転する方向である。すなわち、同軸導波管430はTEMモードで伝送されている。
【0107】
図25は、第3実施形態に係る円筒導波管の一例を示す断面図である。図25に示す断面503は、円筒導波管431の横断面における電界504および磁界505を表している。電界504は、円筒導波管431の中心から円筒導波管431に向かう方向である。一方、磁界505は、円筒導波管431の中心の周囲を回転する方向である。すなわち、円筒導波管431は、同軸導波管430のTEMモードに影響され、TM01モードで伝送されている。すなわち、第3実施形態では、マイクロ波の導入モードがTM01モードとなり、回転磁界を用いて共振器配列構造体100の共振器101を共振させる。なお、マイクロ波の導入モードは、TM01モードに限られず、他のモードであってもよい。また、マイクロ波導入部は、モノポールアンテナおよびマルチポールアンテナ等のマイクロ波を処理容器12内に導入可能であれば、どのような導入部であってもよい。
【0108】
RF電源450は、予め定められた周波数範囲を有する設定周波数成分を含む波形データを用いて、プラズマ生成用の高周波(マイクロ波)を生成する。RF電源450は、例えば、設定値である2.45GHzの信号成分と、設定値の±25%の範囲における任意の複数の周波数の信号成分とを有する設定周波数成分を含む波形データを用いて、2.45GHzを中心とするマイクロ波を生成する。RF電源450には、後述する上位コントローラ480から高周波電力の電力設定Psetと、設定周波数等の情報である波形設定(波形データ)とを示す信号が入力される。また、RF電源450から出力されるマイクロ波は、導波管421、導波管同軸変換器427、同軸導波管428および同軸導波管430を介して、円筒導波管431に供給される。
【0109】
上位コントローラ480は、制御装置411の指示に従ってRF電源450を制御するコントローラである。上位コントローラ480は、制御装置411から入力されたレシピに応じて、マイクロ波の電力設定Psetおよび波形設定をRF電源450に出力する。波形設定は、例えば、マイクロ波の中心周波数や波形形状等を設定するための波形データである。また、上位コントローラ480には、RF電源450からモニタ値Pf mon,Pr monが入力される。上位コントローラ480は、入力されたモニタ値Pf mon,Pr monを制御装置411に出力する。なお、上位コントローラ480は、制御装置411に含まれるようにしてもよい。
【0110】
続いて、図26および図27を用いてRF電源450の機能構成について説明する。図26は、第3実施形態に係るRF電源の機能構成の一例を示すブロック図である。図26に示すように、RF電源450は、第1実施形態のRF電源30のVFコンバータ31および演算部37に代えて、変調部451および演算部460を有する。また、RF電源450は、マイクロ波を導波管421に出力する。
【0111】
変調部451は、演算部460から入力される波形データに基づいて、変調されたマイクロ波(高周波信号)を生成する。すなわち、変調部451は、ブロードバンド波形(マルチトーン)のマイクロ波を生成する。ここで、図27を用いて変調部451について説明する。図27は、第3実施形態に係る変調部の機能構成の一例を示すブロック図である。図27に示すように、変調部451は、逆フーリエ変換部452と、D/A(Digital/Analog)コンバータ453a,453bと、LPF(Low Pass Filter)454a,454bと、PLL(Phase Locked Loop)発振器455と、移相器456と、乗算器457と、増幅器458と、BPF(Band Pass Filter)459とを有する。
【0112】
逆フーリエ変換部452は、演算部460から入力された波形データを逆フーリエ変換することによって、波形データの同相成分データ(Iデータ:In-Phase component)および逆相成分データ(Qデータ:Quadrature component)を分離する。逆フーリエ変換部452により分離された波形データのIデータおよびQデータは、D/Aコンバータ453a,453bによってD/A変換され、LPF454a,454bを経て、乗算器457へ入力される。
【0113】
PLL発振器455は、基準搬送波を生成し、生成した基準搬送波を移相器456および乗算器457へ出力する。移相器456は、PLL発振器455から入力される基準搬送波の位相を90°シフトし、位相が90°シフトされた基準搬送波を乗算器457へ出力する。乗算器457は、LPF454aから入力されるIデータと、PLL発振器455から入力される基準搬送波とを乗算する。乗算器457は、LPF454bから入力されるQデータと、移相器456から入力される基準搬送波とを乗算する。乗算器457の各乗算結果は、図示しない加算器で合成されてプラズマ生成用のマイクロ波として生成される。生成されたマイクロ波は、増幅器458で増幅されてBPF459を介して、プリアンプ34に出力される。
【0114】
図26の説明に戻る。演算部460は、RF電源450を制御するコントローラである。演算部460には、入出力部39を介して、上位コントローラ480からマイクロ波の電力設定Psetと、設定周波数等の情報である波形設定(波形データ)とが入力される。演算部460は、進行波電力Pfの算出処理、反射波電力Prの算出処理、および、電力指令値Mfの設定を実行する。演算部460は、波形設定に基づく波形データを変調部451に出力し、電力指令値Mfをプリアンプ34に出力する。なお、電力指令値Mfは、いわゆるロード制御(電力一定制御)で制御される。また、演算部460は、進行波電力Pfのモニタ値Pf monと、反射波電力Prのモニタ値Pr monを上位コントローラ480に出力する。
【0115】
次に、図28および図29を用いて共振器101の第1の共振周波数FrとRF電源450の出力の設定について説明する。図28および図29は、第3実施形態に係る共振器の共振周波数とRF電源の出力の設定の一例を示す図である。図28および図29に示すように、複数の共振器101が、例えば、2.0GHz~2.5GHzの範囲において、グラフ141~150で表される、それぞれ異なる第1の共振周波数Fr(1)~Fr(10)を有する場合について考える。ここで、RF電源450は、上位コントローラ480から出力周波数Fo(1)の電力設定Pset=P1である波形設定が入力されると、図28のグラフ141pに示すようなマイクロ波を出力する。このとき、例えば、第1実施形態の図13に示すように、セルC11~C55の第2の共振周波数Fcの設定が、第2の共振周波数Fc(1)~Fc(25)であった場合、第2の共振周波数Fc(1)であるセルC11でプラズマが生成される。一方、他のセルC12~C55では、第2の共振周波数Fc(1)のマイクロ波と共振しないためプラズマが生成されない。
【0116】
次に、RF電源450に対して、上位コントローラ480から出力周波数Fo(1),Fo(3),Fo(5)の各電力設定Pset=P1,P3,P5である波形設定が入力される場合について考える。この場合、RF電源450は、図29のグラフ141p,143p,145pに示すような、マルチトーンのマイクロ波を出力する。このとき、例えば、上記と同様に、セルC11~C55の第2の共振周波数Fcの設定が、第2の共振周波数Fc(1)~Fc(25)であった場合、第2の共振周波数Fc(1),Fc(3),Fc(5)であるセルC11,C13,C15でプラズマが生成される。一方、他のセルC12,C14,C21~C55では、第2の共振周波数Fc(1),Fc(3),Fc(5)と共振しないためプラズマが生成されない。このように、第3実施形態では、セルCの第2の共振周波数Fcに応じて、それぞれ電力設定を行うことで、任意のセルCに供給されるマイクロ波の電力を設定することができる。例えば上述のように、セルC11~C55について、第2の共振周波数Fc(1)~Fc(25)であった場合、出力周波数Fo(1)~Fo(25)の各電力設定Psetを設定することで、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルC11~C55それぞれで制御できる。すなわち、第3実施形態では、セルC11~C55に対してプラズマを選択的に生成させ、プラズマの分布と濃淡を制御することができる。また、第3実施形態の装置本体410は、マイクロ波導入部として、同軸導波管430および円筒導波管431を有するので、第1実施形態の装置本体10よりも簡易な構造とすることができる。なお、第3実施形態は、第1,第2実施形態および変形例1~7と組み合わせてもよい。
【0117】
[プラズマ制御方法]
続いて、第3実施形態に係るプラズマ処理装置400を用いたプラズマ制御処理の一例について説明する。図30は、第3実施形態に係るプラズマ制御処理の一例を示すフローチャートである。図30に示すプラズマ制御処理は、制御装置411により装置本体410の各部が制御されることによって実現される。
【0118】
まず、被処理体WPが処理容器12内に搬入され、静電チャック14Cの上に載置される(ステップS101)。そして、制御装置411は、バルブ28bを開き、所定流量の処理ガスが処理容器12内に供給されるように流量制御器28cを制御する(ステップS102)。そして、制御装置411は、排気装置56を制御し、処理容器12内の圧力を調整する。
【0119】
次に、制御装置411は、マイクロ波出力装置416を制御して、円筒導波管431から処理容器12内の処理空間Sにマイクロ波を供給する(ステップS103)。これにより、処理容器12内において、処理ガスのプラズマが生成される。このとき、プラズマの電子密度が遮断密度に到達するものとする。プラズマの電子密度が遮断密度に到達すると、処理容器12内の処理空間Sにおいては、マイクロ波が伝搬できない。
【0120】
そこで、制御装置411は、マイクロ波出力装置416を制御して、円筒導波管431から処理容器12内の処理空間Sに供給される広帯域マイクロ波に含まれる複数の周波数成分の周波数を目標周波数帯(出力周波数Fo)まで制御する(ステップS104)。すなわち、制御装置411は、マイクロ波出力装置416を制御して、所定の周波数帯域幅に属する複数の周波数成分を含むマイクロ波(広帯域マイクロ波)を円筒導波管431から処理容器12内の処理空間Sに供給する。言い換えると、制御装置411は、複数の第1の共振周波数Frに応じたセルCとしての複数の第2の共振周波数Fcとそれぞれ共振可能な複数の出力周波数Foを含むマイクロ波を処理空間Sに供給するように、マイクロ波出力装置416を制御する。これにより、マイクロ波と複数の共振器101との共振を発生させて処理空間Sのプラズマの誘電率と透磁率をともに負にすることができ、上記の式(1)から分かる通り、処理空間Sでのマイクロ波の伝搬が可能となる。その結果、処理容器12内の処理空間Sにおいては、マイクロ波の伝搬がプラズマの表皮深さを越えて可能となり、プラズマにマイクロ波の電力が効率よく注入され、結果として、プラズマの表皮深さを越えた広範囲で高密度なプラズマが生成される。
【0121】
そして、処理容器12内の処理空間Sに生成されたプラズマにより、被処理体WPに対するプラズマ処理プロセスが実行される(ステップS105)。
【0122】
プラズマ処理プロセスが終了すると、図示しないロボットアームにより、処理済みの被処理体WPが処理容器12から搬出される(ステップS106)。
【0123】
以上、各実施形態によれば、プラズマ処理装置(1,200,400)は、処理空間Sを提供する処理容器(12,201)と、処理空間Sに供給されるプラズマ励起用の電磁波を発生させるように構成される電磁波発生器(マイクロ波出力装置16,205,416)と、第1面を処理空間Sに対向させて設けられた誘電体(誘電体窓20)と、誘電体を介して電磁波を処理空間Sに供給するように構成される電磁波供給部(アンテナ40,240,円筒導波管431)と、処理容器内において誘電体の第1面に沿って位置する共振器配列構造体(100,100a,100b,300)と、を備え、共振器配列構造体は、導体からなる部材(リング部材111B)が誘電体板112Bの一面上に積層された構造を含み第1の共振周波数Frを有する共振器(101B)であって、電磁波の磁界成分と共振可能であり且つサイズが電磁波の波長よりも小さい複数の共振器101を含むとともに、複数の共振器101によって囲まれたセルCを複数形成するよう構成され、複数のセルCは、セルC間で第1の共振周波数Frが異なる共振器101を含む。その結果、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルごとに制御できる。
【0124】
また、各実施形態によれば、複数のセルCそれぞれは、セルCを形成する複数の共振器101の第1の共振周波数Frに応じた、セルCとしての第2の共振周波数Fcを有する。その結果、それぞれのセルCに対して供給するマイクロ波の出力周波数Foを決定することができる。
【0125】
また、各実施形態によれば、複数のセルCは、隣り合うセルC間で第2の共振周波数Fcが異なる。その結果、隣り合うセルC間でプラズマの干渉を抑えることができる。
【0126】
また、各実施形態によれば、複数のセルCは、それぞれ第2の共振周波数Fcが異なる。その結果、近隣のセルC間でプラズマの干渉を抑えることができる。
【0127】
また、変形例5によれば、共振器配列構造体100は、複数のセルCのうち、同一の第2の共振周波数Fcを有するセルCが、第2の共振周波数Fcが異なるセルCを少なくとも3つ挟むように配置される。その結果、第2の共振周波数Fcの数を削減できるとともに、プラズマ励起用のマイクロ波の周波数(出力周波数Fo)の数を削減することができる。
【0128】
また、変形例6,7によれば、共振器配列構造体(100a,100b)は、複数のセルCが、複数のゾーンのうちいずれかのゾーンに配置され、同一のゾーンに配置された複数のセルCは、同一の第2の共振周波数Fcを有する。その結果、第2の共振周波数Fcの数を削減できるとともに、プラズマ励起用のマイクロ波の周波数(出力周波数Fo)の数を削減することができる。
【0129】
また、変形例6によれば、ゾーンは、同心四角状に複数設けられる。その結果、第2の共振周波数Fcの数を削減できるとともに、プラズマ励起用のマイクロ波の周波数(出力周波数Fo)の数を削減することができる。
【0130】
また、変形例7によれば、ゾーンは、象限状に複数設けられる。その結果、第2の共振周波数Fcの数を削減できるとともに、プラズマ励起用のマイクロ波の周波数(出力周波数Fo)の数を削減することができる。また、共振器配列構造体100bの12時、3時、6時および9時方向のそれぞれについて、プラズマ密度を独立に制御することができる。
【0131】
また、変形例6,7によれば、電磁波供給部は、ゾーンごとに設けられる。その結果、ゾーンごとにプラズマ密度を独立に制御することができる。
【0132】
また、変形例6,7によれば、第2の共振周波数Fcは、ゾーンごとに異なる共振周波数である。その結果、ゾーンごとにプラズマ密度を独立に制御することができる。
【0133】
また、第1実施形態によれば、電磁波供給部は、セルCごとに設けられ、それぞれの電磁波供給部は、対応するセルCを形成する共振器101と共振可能な周波数の電磁波を供給するように構成される。その結果、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルCごとに制御できる。
【0134】
また、変形例5~7、第2,第3実施形態によれば、電磁波供給部は、複数のセルCに対して、セルCを形成する共振器101と共振可能な周波数の電磁波を供給するように構成される。その結果、第2の共振周波数Fcの数を削減できるとともに、プラズマ励起用のマイクロ波の周波数(出力周波数Fo)の数を削減することができる。
【0135】
また、第3実施形態によれば、電磁波供給部は、複数のセルCに対して、複数のセルCそれぞれに対応する第2の共振周波数Fcと共振可能な、いずれか1つの周波数を含む電磁波を供給するように構成される。その結果、任意のセルCでプラズマを生成することができる。
【0136】
また、第3実施形態によれば、電磁波供給部は、複数のセルCに対して、複数のセルCそれぞれに対応する第2の共振周波数Fcと共振可能な複数の周波数を含む電磁波を供給するように構成される。その結果、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡を複数のセルCそれぞれで制御できる。
【0137】
また、第1実施形態、変形例1,2によれば、セルCのセル空間CSは、正方形、正三角形、または、正六角形である。その結果、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルごとに制御できる。
【0138】
また、変形例3,4,6,7、第2実施形態によれば、複数のセルCは、隣り合うセルC間で共振器101を共用する。その結果、セルCの集積度を向上させることができる。
【0139】
また、各実施形態によれば、共振器101の部材は、2枚以上のC字状のリング部材111Bであり、共振器101は、互いに逆向きに隣接して配置されるリング部材111Bの間に誘電体板112Bが配置された構造を有し、リング部材111Bの大きさと、誘電体板112Bの厚みとに応じて第1の共振周波数Frが決定される。その結果、共振器101の第1の共振周波数Frを目的とする周波数帯に合わせて設定することができる。
【0140】
また、第3実施形態によれば、プラズマ処理装置400のプラズマ制御方法は、処理空間Sに供給されるプラズマ励起用の電磁波の磁界成分と共振可能であり且つサイズが電磁波の波長よりも小さく第1の共振周波数Frを有する複数の共振器101によって囲まれたセルCを複数形成するよう構成された共振器配列構造体100に対して、複数の第1の共振周波数Frに応じたセルCとしての複数の第2の共振周波数Fcとそれぞれ共振可能な複数の周波数を含む電磁波を処理空間Sに供給するように、電磁波供給部(マイクロ波出力装置416)を制御する。その結果、1つのRF電源450および円筒導波管431を用いた場合でも、プラズマの分布およびプラズマ密度の濃淡をセルCそれぞれで制御できる。
【0141】
今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の各実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0142】
上記各実施形態では、共振器配列構造体100,100a,100b,300は、誘電体窓20の下面20aに沿って配置される、または、アンテナ240に含まれるマイクロ波透過板に沿って配置される場合を例に説明した。これに限らず、誘電体窓20の下面20a、または、アンテナ240に含まれるマイクロ波透過板から離隔して配置されてもよい。また、共振器配列構造体100,100a,100bは、誘電体窓20に埋め込まれていてもよい。さらに、共振器配列構造体100,100a,100bは、上面を処理空間Sに対向させて設けられた静電チャック14cの上面に沿って配置されてもよく、または、静電チャック14cの上面から離隔して配置されてもよい。また、共振器配列構造体100,100a,100bは、処理容器12の側壁12aの内壁面に沿って配置されてもよく、または、処理容器12の側壁12aの内壁面から離隔して配置されてもよい。要するに、共振器配列構造体100,100a,100bは、一面(第1面)を処理空間Sに対向させて設けられた部材の第1面に沿って配置されてもよく、または、当該部材の第1面から離隔して配置されてもよい。
【0143】
また、上記第1,第3実施形態において、マイクロ波出力装置16,416の出力部を高周波電極である基台14aに接続してもよい。この場合、基台14aは、マイクロ波出力装置16,416から出力されるマイクロ波を静電チャック14cを介して処理空間Sに供給する。また、かかる構成においては、共振器配列構造体100,100a,100bは、静電チャック14cに埋め込まれてもよい。
【0144】
また、上記した各実施形態では、処理空間Sに供給されるプラズマ励起用の電磁波としてマイクロ波を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、超短波(VHF:Very High Frequency)~極超短波(UHF:Ultra High Frequency)帯の電磁波がプラズマ励起用の電磁波として処理空間Sに供給されるようにしてもよい。
【0145】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
処理空間を提供する処理容器と、
前記処理空間に供給されるプラズマ励起用の電磁波を発生させるように構成される電磁波発生器と、
第1面を前記処理空間に対向させて設けられた誘電体と、
前記誘電体を介して前記電磁波を前記処理空間に供給するように構成される電磁波供給部と、
前記処理容器内において前記誘電体の前記第1面に沿って位置する共振器配列構造体と、
を備え、
前記共振器配列構造体は、導体からなる部材が誘電体板の一面上に積層された構造を含み第1の共振周波数を有する共振器であって、前記電磁波の磁界成分と共振可能であり且つサイズが前記電磁波の波長よりも小さい複数の前記共振器を含むとともに、複数の前記共振器によって囲まれたセルを複数形成するよう構成され、
複数の前記セルは、前記セル間で前記第1の共振周波数が異なる前記共振器を含む、
プラズマ処理装置。
(2)
複数の前記セルそれぞれは、前記セルを形成する複数の前記共振器の前記第1の共振周波数に応じた、前記セルとしての第2の共振周波数を有する、
前記(1)に記載のプラズマ処理装置。
(3)
複数の前記セルは、隣り合う前記セル間で前記第2の共振周波数が異なる、
前記(2)に記載のプラズマ処理装置。
(4)
複数の前記セルは、それぞれ前記第2の共振周波数が異なる、
前記(2)または(3)に記載のプラズマ処理装置。
(5)
前記共振器配列構造体は、複数の前記セルのうち、同一の前記第2の共振周波数を有する前記セルが、前記第2の共振周波数が異なる前記セルを少なくとも3つ挟むように配置される、
前記(2)または(3)に記載のプラズマ処理装置。
(6)
前記共振器配列構造体は、複数の前記セルが、複数のゾーンのうちいずれかの前記ゾーンに配置され、
同一の前記ゾーンに配置された複数の前記セルは、同一の前記第2の共振周波数を有する、
前記(2)に記載のプラズマ処理装置。
(7)
前記ゾーンは、同心四角状に複数設けられる、
前記(6)に記載のプラズマ処理装置。
(8)
前記ゾーンは、象限状に複数設けられる、
前記(6)に記載のプラズマ処理装置。
(9)
前記電磁波供給部は、前記ゾーンごとに設けられる、
前記(6)~(8)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(10)
前記第2の共振周波数は、前記ゾーンごとに異なる共振周波数である、
前記(6)~(9)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(11)
前記電磁波供給部は、前記セルごとに設けられ、それぞれの前記電磁波供給部は、対応する前記セルを形成する前記共振器と共振可能な周波数の前記電磁波を供給するように構成される、
前記(1)~(10)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(12)
前記電磁波供給部は、複数の前記セルに対して、前記セルを形成する前記共振器と共振可能な周波数の前記電磁波を供給するように構成される、
前記(1)~(10)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(13)
前記電磁波供給部は、複数の前記セルに対して、複数の前記セルそれぞれに対応する前記第2の共振周波数と共振可能な、いずれか1つの周波数を含む前記電磁波を供給するように構成される、
前記(2)~(10)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(14)
前記電磁波供給部は、複数の前記セルに対して、複数の前記セルそれぞれに対応する前記第2の共振周波数と共振可能な複数の周波数を含む前記電磁波を供給するように構成される、
前記(2)~(10)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(15)
前記セルのセル空間は、正方形、正三角形、または、正六角形である、
前記(1)~(14)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(16)
複数の前記セルは、隣り合う前記セル間で前記共振器を共用する、
前記(1)~(15)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(17)
前記共振器の前記部材は、2枚以上のC字状のリング部材であり、
前記共振器は、互いに逆向きに隣接して配置される前記リング部材の間に前記誘電体板が配置された構造を有し、前記リング部材の大きさと、前記誘電体板の厚みとに応じて前記第1の共振周波数が決定される、
前記(1)~(16)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(18)
プラズマ処理装置のプラズマ制御方法であって、
処理空間に供給されるプラズマ励起用の電磁波の磁界成分と共振可能であり且つサイズが前記電磁波の波長よりも小さく第1の共振周波数を有する複数の共振器によって囲まれたセルを複数形成するよう構成された共振器配列構造体に対して、複数の前記第1の共振周波数に応じた前記セルとしての複数の第2の共振周波数とそれぞれ共振可能な複数の周波数を含む前記電磁波を前記処理空間に供給するように、電磁波供給部を制御する、
プラズマ制御方法。
【符号の説明】
【0146】
1,200,400 プラズマ処理装置
10,410 装置本体
11,206,411 制御装置
12,201 処理容器
16,205,416 マイクロ波出力装置
20 誘電体窓
20a 下面
40,240 アンテナ
100,100a,100b,300 共振器配列構造体
101,101B 共振器
111B リング部材
112B 誘電体板
430 同軸導波管
431 円筒導波管
C,C11~C55 セル
Fr 第1の共振周波数
Fc 第2の共振周波数
Fo 出力周波数
S 処理空間
WP 被処理体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30