(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147926
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】フェノール性水酸基含有化合物、硬化性組成物および当該硬化性組成物の硬化物
(51)【国際特許分類】
C08G 8/04 20060101AFI20241009BHJP
C08L 61/06 20060101ALI20241009BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
C08G8/04
C08L61/06
G03F7/11 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060676
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】末次 輝太
(72)【発明者】
【氏名】長江 教夫
【テーマコード(参考)】
2H225
4J002
4J033
【Fターム(参考)】
2H225AM79N
2H225AN38N
2H225CA12
4J002CC061
4J002EQ036
4J002EV236
4J002FD206
4J002GF00
4J002GQ00
4J033CA05
4J033CA09
4J033CA22
4J033CA28
4J033CC03
4J033CC08
4J033CC09
4J033CC11
4J033CC12
4J033CD05
4J033CD06
4J033HA02
4J033HA12
4J033HA28
4J033HB03
4J033HB10
(57)【要約】
【課題】ドライエッチング耐性、埋め込み特性およびレジストパターンの倒壊を抑制できる下層膜を製造可能なフェノール性水酸基含有化合物を提供する。
【解決手段】1以上の水酸基を有するナフタレン化合物から誘導される構造単位と、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位と、を含むフェノール性水酸基含有化合物であって、前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を20質量%以上含み、重量平均分子量が500~2,000の範囲にあるフェノール性水酸基含有化合物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の水酸基を有するナフタレン化合物から誘導される構造単位と、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位と、を含むフェノール性水酸基含有化合物であって、
前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を20質量%以上含み、
重量平均分子量が500~2,000の範囲にあるフェノール性水酸基含有化合物。
【請求項2】
前記ナフタレン化合物が、下記一般式(1-1)で表されるナフタレン化合物である請求項1に記載のフェノール性水酸基含有化合物。
【化1】
(前記一般式(1-1)中、
R
1は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基又は炭素原子数7~13のアラルキル基であり、
nは1~3の範囲の整数であり、n1は0~5の範囲の整数であり、nおよびn1は1≦(n+n1)≦6を満たす。)
【請求項3】
前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物が、下記一般式(1-2)で表される芳香族アルデヒド化合物である請求項1又は2に記載のフェノール性水酸基含有化合物。
【化2】
(前記一般式(1-2)中、
Rfは、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
R
2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基、炭素原子数7~13のアラルキル基、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
nfは1~3の範囲の整数であり、n2は0~4の範囲の整数であり、nfおよびn2は1≦(nf+n2)≦5を満たす。)
【請求項4】
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する請求項1に記載のフェノール性水酸基含有化合物。
【化3】
(前記一般式(1)中、
R
1は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~14のアリール基又は炭素原子数7~15のアラルキル基であり、
nは1~3の範囲の整数であり、n1は0~5の範囲の整数であり、nおよびn1は1≦(n+n1)≦6を満たし、
Rfは、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
R
2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数7~15のアラルキル基、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
nfは1~3の範囲の整数であり、n2は0~4の範囲の整数であり、nfおよびn2は1≦(nf+n2)≦5を満たし、
pは繰り返し数である。)
【請求項5】
前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を30~80質量%の範囲で含む請求項1又は2に記載のフェノール性水酸基含有化合物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のフェノール性水酸基含有化合物と感光剤とを含有する感光性組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の感光性組成物の硬化物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のフェノール性水酸基含有化合物を含有するレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項9】
請求項8に記載のレジスト下層膜形成用組成物の硬化物であるレジスト下層膜。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のフェノール性水酸基含有化合物を含有する硬化性組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の硬化性組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール性水酸基含有化合物、硬化性組成物および当該硬化性組成物の硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストの分野では、より微細な配線パターンを形成するための方法が種々開発されており、そのうちの1つに多層レジスト法がある。多層レジスト法では、基板上にレジスト下層膜と呼ばれる層などを形成した後、その上に通常のフォトリソグラフィーによるレジストパターンを形成する。レジストパターン形成後は、ドライエッチングにより基板へ配線パターンを加工転写する。
【0003】
多層レジスト法の技術において重要な部材が前記レジスト下層膜であり、当該レジスト下層膜にはドライエッチング耐性が高いことが要求されるほか、微細化したレジストパターンの倒壊を抑制する機能も求められる。
また、近年の超微細化された配線パターン形成では、複数回の露光・エッチングを繰り返す工程を含み、レジスト下層膜には前プロセスで形成した微細なパターン内を空隙なく膜で埋め込むことができる埋め込み特性も求められる。
【0004】
上記の要求に対応するため、レジスト下層膜用の樹脂および添加剤が種々開発および提案されている(例えば特許文献1および2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/069063号
【特許文献2】国際公開第2015/012172号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ノボラック樹脂に長鎖アルキル基を導入することで埋め込み特性の改善を謳っているが、長鎖アルキル基の導入は、ドライエッチング耐性が低下する懸念がある。
また、特許文献2では、レジスト下層膜材料用の添加剤を開示しており、当該添加剤によってレジストパターンの倒壊を抑制するとしている。しかしながら、レジスト下層膜が添加剤を含む場合には、ドライエッチング耐性が低下する懸念があるほか、添加剤がブリードアウトしてしまう懸念もある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ドライエッチング耐性、埋め込み特性およびレジストパターンの倒壊を抑制できる下層膜を製造可能なフェノール性水酸基含有化合物および当該化合物を含有する硬化性組成物を提供することである。
本発明が解決しようとする他の課題は、ドライエッチング耐性、埋め込み特性およびレジストパターンの倒壊を抑制できるレジスト下層膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、1以上の水酸基を有するナフタレン化合物から誘導される構造単位と、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位と、を含むフェノール性水酸基含有化合物であって、前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を特定量含み、重量平均分子量が特定範囲にあるフェノール性水酸基含有化合物であれば、ドライエッチング耐性、埋め込み特性およびレジストパターンの倒壊を抑制できる下層膜を製造可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、下記ノボラック型フェノール樹脂等に関するものである。
1.1以上の水酸基を有するナフタレン化合物から誘導される構造単位と、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位と、を含むフェノール性水酸基含有化合物であって、
前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を20質量%以上含み、
重量平均分子量が500~2,000の範囲にあるフェノール性水酸基含有化合物。
2.前記ナフタレン化合物が、下記一般式(1-1)で表されるナフタレン化合物であるフェノール性水酸基含有化合物。
【化1】
(前記一般式(1-1)中、
R
1は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基又は炭素原子数7~13のアラルキル基であり、
nは1~3の範囲の整数であり、n1は0~5の範囲の整数であり、nおよびn1は1≦(n+n1)≦6を満たす。)
3.前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物が、下記一般式(1-2)で表される芳香族アルデヒド化合物である1又は2に記載のフェノール性水酸基含有化合物。
【化2】
(前記一般式(1-2)中、
Rfは、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
R
2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基、炭素原子数7~13のアラルキル基、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
nfは1~3の範囲の整数であり、n2は0~4の範囲の整数であり、nfおよびn2は1≦(nf+n2)≦5を満たす。)
4.下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する1~3のいずれかに記載のフェノール性水酸基含有化合物。
【化3】
(前記一般式(1)中、
R
1は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~14のアリール基又は炭素原子数7~15のアラルキル基であり、
nは1~3の範囲の整数であり、n1は0~5の範囲の整数であり、nおよびn1は1≦(n+n1)≦6を満たし、
Rfは、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
R
2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数7~15のアラルキル基、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
nfは1~3の範囲の整数であり、n2は0~4の範囲の整数であり、nfおよびn2は1≦(nf+n2)≦5を満たし、
pは繰り返し数である。)
5.前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を30~80質量%の範囲で含む1~4のいずれかに記載のフェノール性水酸基含有化合物。
6.1~5のいずれかに記載のフェノール性水酸基含有化合物と感光剤とを含有する感光性組成物。
7.6に記載の感光性組成物の硬化物。
8.1~5のいずれかに記載のフェノール性水酸基含有化合物を含有するレジスト下層膜形成用組成物。
9.8に記載のレジスト下層膜形成用組成物の硬化物であるレジスト下層膜。
10.1~5のいずれかに記載のフェノール性水酸基含有化合物を含有する硬化性組成物。
11.10に記載の硬化性組成物の硬化物。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ドライエッチング耐性、埋め込み特性およびレジストパターンの倒壊を抑制できる下層膜を製造可能なフェノール性水酸基含有化合物および当該化合物を含有する硬化性組成物が提供できる。
本発明により、ドライエッチング耐性、埋め込み特性およびレジストパターンの倒壊を抑制できるレジスト下層膜が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
尚、本明細書中の化合物は、化石資源由来であってもよく、生物資源由来であってもよい。
【0012】
[フェノール性水酸基含有化合物]
本発明のフェノール性水酸基含有化合物は、1以上の水酸基を有するナフタレン化合物から誘導される構造単位と、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位と、を含むフェノール性水酸基含有化合物であって、前記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を20質量%以上含み、重量平均分子量が500~2,000の範囲にある。
【0013】
本発明では、1以上の水酸基を有するナフタレン化合物から誘導される構造によってドライエッチング耐性を担保しつつ、特定量含まれるフッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位によって、得られる下層膜表面を疎水化し、現像及び純水リンス時に生じるラプラス力を低減することによってレジストパターンの倒壊を抑制できる。
また、フェノール性水酸基含有化合物の重量平均分子量を500~2,000の範囲とすることで、埋め込み特性も良好にできる。
【0014】
上記ナフタレン化合物は、好ましくは下記一般式(1-1)で表されるナフタレン化合物である。
【化4】
(前記一般式(1-1)中、
R
1は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基又は炭素原子数7~13のアラルキル基であり、
nは1~3の範囲の整数であり、n1は0~5の範囲の整数であり、nおよびn1は1≦(n+n1)≦6を満たす。)
【0015】
nは1~3の範囲の整数であればよく、好ましくは2又は3であり、より好ましくは2である。
【0016】
R1の炭素原子数1~6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基等が挙げられる。
【0017】
R1の炭素原子数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、シクロへキシルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
R1の炭素原子数6~14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
R1の炭素原子数6~14のアリール基はさらに水酸基等の置換基を有してもよく、例えばヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシアルコキシフェニル基、アルコキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基等であってもよい。
【0019】
アラルキル基とはアルキル基(CnH2n+1)の水素原子の1つ以上がアリール基で置換されているアルキル基を意味し、R1の炭素原子数7~15のアラルキル基は、上述のアルキル基に上述のアリール基が置換したものが挙げられる。
R1の炭素原子数7~15のアラルキル基としては、例えばフェニルメチル基、ヒドロキシフェニルメチル基、ジヒドロキシフェニルメチル基、トリルメチル基、キシリルメチル基、ナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、ジヒドロキシナフチルメチル基、フェニルエチル基、ヒドロキシフェニルエチル基、ジヒドロキシフェニルエチル基、トリルエチル基、キシリルエチル基、ナフチルエチル基、ヒドロキシナフチルエチル基、ジヒドロキシナフチルエチル基等が挙げられる。
【0020】
n1は0~5の範囲の整数であればよく、好ましくは0又は1である。
【0021】
フェノール性水酸基含有化合物を構成するナフタレン化合物は1種単独でもよく、2種以上であってもよい。
【0022】
ナフタレン化合物の具体例としては、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、メチル-2,7-ジヒドロキシナフタレン、エチル-2,7-ジヒドロキシナフタレン、t-ブチル-2,7-ジヒドロキシナフタレン、メトキシ-2,7-ジヒドロキシナフタレン、エトキシ-2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,2‐ジヒドロキシナフタレン、1,3‐ジヒドロキシナフタレン、1,4‐ジヒドロキシナフタレン、1,5‐ジヒドロキシナフタレン、1,7‐ジヒドロキシナフタレン、1,8‐ジヒドロキシナフタレン、2,3‐ジヒドロキシナフタレン、2,6‐ジヒドロキシナフタレン、これらジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物等が挙げられる。
【0023】
上記フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物は、好ましくは下記一般式(1-2)で表される芳香族アルデヒド化合物である。
【化5】
(前記一般式(1-2)中、
Rfは、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
R
2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基、炭素原子数7~13のアラルキル基、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
nfは1~3の範囲の整数であり、n2は0~4の範囲の整数であり、nfおよびn2は1≦(nf+n2)≦5を満たす。)
【0024】
Rfの炭素原子数1~6のフルオロアルキル基は、アルキル基(CnH2n+1)の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換されているアルキル基を意味し、モノフルオロメチル基、トリ(パー)フルオロメチル基、モノフルオロエチル基、パーフルオロエチル基等が挙げられる。
【0025】
nfは1~3の範囲の整数であればよく、好ましくは1又は2である。
【0026】
R2の炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基および炭素原子数7~13のアラルキル基は、R1の対応する置換基と同様のものが挙げられる。
【0027】
R2の炭素原子数1~6のフルオロアルキル基は、Rfの炭素原子数1~6のフルオロアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0028】
n2は0~4の範囲の整数であればよく、好ましくは0又は1である。
【0029】
フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物の具体例としては、4-フルオロベンズアルデヒド、4-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、4-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)ベンズアルデヒド、4-(ジフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、2,3,6-トリフルオロベンズアルデヒド、2,3,4-トリフルオロベンズアルデヒド、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド、2,4-ジフルオロベンズアルデヒド、2,6-ジフルオロベンズアルデヒド、2,3,4,5-テトラフルオロベンズアルデヒド、2,5-ジフルオロベンズアルデヒド、2-フルオロベンズアルデヒド、3-フルオロベンズアルデヒド、ペンタフルオロベンズアルデヒド、2,3-ジフルオロベンズアルデヒド、3,5-ジフルオロベンズアルデヒド、2,4,6-トリフルオロベンズアルデヒド、2-(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド、3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、5-フルオロ-2-メチルベンズアルデヒド、3-フルオロ-4-メチルベンズアルデヒド、4-フルオロ-3-メチルベンズアルデヒド、2-(ジフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、4-(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、2-メトキシ-5-(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、4-フルオロ-m-アニスアルデヒド、5-フルオロ-o-アニスアルデヒド、3-フルオロ-p-アニスアルデヒド、6-フルオロ-o-アニスアルデヒド、4-フルオロ-o-アニスアルデヒド、2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-(ジフルオロメトキシ)-3-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-フルオロサリチルアルデヒド、5-フルオロサリチルアルデヒド、5-フルオロサリチルアルデヒド、3-フルオロサリチルアルデヒド、、4-(3-フルオロベンゾイルオキシ)ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0030】
フェノール性水酸基含有化合物を構成するフッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物は1種単独でもよく、2種以上であってもよい。
【0031】
本発明のフェノール性水酸基含有化合物は、好ましくは下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するノボラック樹脂である。
【化6】
(前記一般式(1)中、
R
1は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~14のアリール基又は炭素原子数7~15のアラルキル基であり、
nは1~3の範囲の整数であり、n1は0~5の範囲の整数であり、nおよびn1は1≦(n+n1)≦6を満たし、
Rfは、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
R
2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数7~15のアラルキル基、フッ素原子又は炭素原子数1~6のフルオロアルキル基であり、
nfは1~3の範囲の整数であり、n2は0~4の範囲の整数であり、nfおよびn2は1≦(nf+n2)≦5を満たし、
pは繰り返し数である。)
【0032】
一般式(1)のR1、n1、Rf、R2およびn2は、それぞれ、上記一般式(1-1)および(1-2)R1、n1、Rf、R2およびn2と同じである。
【0033】
pの繰り返し数は、好ましくは1~30の範囲であり、より好ましくは1~20の範囲であり、さらに好ましくは1~10の範囲である。
【0034】
本発明のフェノール性水酸基含有化合物の重量平均分子量は、500~2,000の範囲であり、好ましくは500~1,500の範囲であり、より好ましくは500以上1000未満の範囲である。
フェノール性水酸基含有化合物の重量平均分子量は、実施例に記載の方法により確認する。
【0035】
本発明のフェノール性水酸基含有化合物は、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を20質量%以上含み、好ましくは30~80質量%の範囲で含み、より好ましくは30~70質量%の範囲で含む。
ここで「フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を20質量%以上含む」とは、本発明のフェノール性水酸基含有化合物の製造に使用した反応成分の20質量%以上がフッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物であることを意味し、反応成分の仕込み比により調整できる。
尚、「反応成分」とは、フェノール性水酸基含有化合物の構造を構成する成分を意味し、フェノール性水酸基含有化合物の構造を構成しない溶媒や触媒を含まない意味である。
【0036】
本発明のフェノール性水酸基含有化合物の反応成分は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでもよいが、好ましくはナフタレン化合物およびフッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から実質的になる、又はナフタレン化合物およびフッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物のみからなる。
ここで「実質的になる」とは、反応成分全量に占めるナフタレン化合物およびフッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物の合計量の割合が80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上又は99質量%以上であることを意味する。
【0037】
本発明のフェノール性水酸基含有化合物の重量平均分子量を500~2,000の範囲とするには、後述する製造方法において例えば溶媒および触媒を適切に選択および使用するとよい。
【0038】
本発明のフェノール性水酸基含有化合物は、1以上の水酸基を有するナフタレン化合物およびフッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物を含む反応成分を、溶媒中、酸触媒を存在下で重縮合することによって製造することができる。
【0039】
酸触媒としては、例えば、酢酸、シュウ酸、硫酸、塩酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等が挙げられ、活性に優れる点から、硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましい。
酸触媒は、1種類単独でもよく2種以上の併用でもよい。
【0040】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、ノルマルペンタノール、ノルマルヘキサノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール、セカンダリーブチルアルコール、2-エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等のアルコール溶媒;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等のカルボン酸溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル溶媒;1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル溶媒;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。
溶媒は、1種類単独でもよく2種以上の併用でもよい。
【0041】
溶媒の使用量としては、反応の均一性の観点から、フェノール性水酸基含有化合物の反応成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。また、好ましくは500質量部以下、より好ましくは300質量部以下である。
【0042】
フェノール性水酸基含有化合物の反応成分を重縮合させる際の反応温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上である。また、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。
反応時間は、好ましくは4時間以上、より好ましくは12時間以上である。また、好ましくは32時間以下、より好ましくは24時間以下である。
【0043】
反応終了後、例えば、再沈殿操作により生成物を回収することにより、フェノール性水酸基含有化合物が得られる。
再沈殿操作に用いる貧溶媒としては、例えば、水、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの貧溶媒の中でも、効率よく酸触媒の除去も同時に行えることから、水が好ましい。
フェノール性水酸基含有化合物の純度を高めるため、再沈殿操作を2回以上実施してもよい。また、貧溶媒は、1種類単独でもよく2種以上の併用でもよい。
【0044】
本発明のフェノール性水酸基含有化合物は、接着剤、塗料、フォトレジスト、プリント配線基板等の各種の電気・電子部材の材料用途に用いることができる。
なかでも、得られる硬化物が優れたドライエッチング耐性および埋め込み特性を示すことができ、レジストパターンの倒壊を抑制することもできることから、本発明のフェノール性水酸基含有化合物は、レジスト下層膜材料として好適に使用できる。
【0045】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明のフェノール性水酸基含有化合物と、感光剤と、を含む。
感光剤としては、公知のものが使用でき、例えば、キノンジアジド基を有する化合物が使用できる。当該キノンジアジド基を有する化合物の具体例としては、例えば、芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物と、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホン酸、ナフトキノン-1,2-ジアジド-4-スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等のキノンジアジド基を有するスルホン酸との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物又は部分アミド化物等が挙げられる。
【0046】
感光性樹脂組成物における感光剤の配合量は、光感度に優れる感光性樹脂組成物となることから、感光性樹脂組成物の樹脂固形分の合計100質量部に対し、例えば5~50質量部の範囲である。
【0047】
感光性樹脂組成物は、本発明のフェノール性水酸基含有化合物以外に、その他の樹脂(X)をさらに含有してもよい。樹脂(X)としては、アルカリ現像液に可溶なもの、又は、酸発生剤等の添加剤と組み合わせて用いることによりアルカリ現像液へ溶解するものが使用できる。
【0048】
樹脂(X)としては、例えば、本発明のフェノール性水酸基含有化合物以外のフェノール樹脂(X-1);p-ヒドロキシスチレン、p-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロピル)スチレン等のヒドロキシ基含有スチレン化合物の重合体又は共重合体(X-2);上記(X-1)又は(X-2)の水酸基をt-ブトキシカルボニル基やベンジルオキシカルボニル基等の酸分解性基で変性した樹脂(X-3);(メタ)アクリル酸の単独重合体又は共重合体(X-4);ノルボルネン化合物、テトラシクロドデセン化合物等の脂環式重合性単量体と、無水マレイン酸又はマレイミドとの交互重合体(X-5)等が挙げられる。
【0049】
フェノール樹脂(X-1)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、種々のフェノール性化合物を用いた共縮ノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール性化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミン等でフェノール核が連結された多価フェノール性化合物)、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール性化合物)等のフェノール樹脂が挙げられる。
【0050】
フェノール樹脂(X-1)の中でも、感度が高く、耐熱性にも優れる感光性樹脂組成物となることから、クレゾールノボラック樹脂又はクレゾールと他のフェノール性化合物との共縮ノボラック樹脂が好ましい。クレゾールノボラック樹脂又はクレゾールと他のフェノール性化合物との共縮ノボラック樹脂は、具体的には、o-クレゾール、m-クレゾール及びp-クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1つのクレゾールとアルデヒド化合物とを必須原料とし、適宜その他のフェノール性化合物を併用して得られるノボラック樹脂である。
【0051】
上記クレゾール以外のその他のフェノール性化合物としは、例えば、フェノール;2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等のキシレノール;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p-t-ブチルフェノール等のブチルフェノール;p-ペンチルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-クミルフェノール等のアルキルフェノール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール;p-フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1置換フェノール;1-ナフトール、2-ナフトール等の縮合多環式フェノール;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノールが挙げられる。
これらのフェノール性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。その他のフェノール性化合物を用いる場合、その使用量は、クレゾール原料の合計1モルに対し、その他のフェノール性化合物が0.05~1モルの範囲となる割合であることが好ましい。
【0052】
上記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒドが挙げられる。アルデヒド化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。中でも、反応性に優れることからホルムアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒドとその他のアルデヒド化合物を併用しても構わない。ホルムアルデヒドとその他のアルデヒド化合物を併用する場合、その他のアルデヒド化合物の使用量は、ホルムアルデヒド1モルに対して、0.05~1モルの範囲とすることが好ましい。
【0053】
ノボラック樹脂を製造する際のフェノール性化合物とアルデヒド化合物との反応比率は、感度と耐熱性に優れる感光性樹脂組成物が得られることから、フェノール性化合物1モルに対しアルデヒド化合物が0.3~1.6モルの範囲であることが好ましく、0.5~1.3の範囲であることがより好ましい。
【0054】
上述したフェノール性化合物とアルデヒド化合物との反応は、酸触媒存在下60~140℃の温度条件で行い、次いで減圧条件下にて水や残存モノマーを除去する方法が挙げられる。ここで用いる酸触媒は、例えば、シュウ酸、硫酸、塩酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等が挙げられる。酸触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。中でも、触媒活性に優れる点からシュウ酸が好ましい。
【0055】
以上詳述したクレゾールノボラック樹脂、又はクレゾールと他のフェノール性化合物との共縮ノボラック樹脂の中でも、メタクレゾールを単独で用いたクレゾールノボラック樹脂、又は、メタクレゾールとパラクレゾールとを併用したクレゾールノボラック樹脂であることが好ましい。また、後者においてメタクレゾールとパラクレゾールとの反応モル比[メタクレゾール/パラクレゾール]は、感度と耐熱性とのバランスに優れる感光性樹脂組成物となることから、10/0~2/8の範囲が好ましく、7/3~2/8の範囲がより好ましい。
【0056】
樹脂(X)を用いる場合、本発明のフェノール性水酸基含有化合物と樹脂(X)との配合割合は、所望の用途により任意に調整することができる。例えば、本発明のフェノール性水酸基含有化合物は感光剤と組み合わせたときの光感度や解像度に優れることから、これを主成分とする感光性樹脂組成物はレジスト用途に最適である。このとき、樹脂成分の合計におけるフェノール性水酸基含有化合物の割合は、光感度が高く解像度に優れる硬化性組成物となることから、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物は、レジスト用途に用いた場合の製膜性やパターンの密着性の向上、現像欠陥を低減する等の目的で界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル化合物;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル化合物;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ-ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル化合物等のノニオン系界面活性剤;フルオロ脂肪族基を有する重合性単量体と[ポリ(オキシアルキレン)](メタ)アクリレートとの共重合体等、分子構造中にフッ素原子を有するフッ素系界面活性剤;分子構造中にシリコーン構造部位を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0058】
これらの界面活性剤の配合量は、本発明の感光性樹脂組成物中の樹脂固形分の合計100質量部に対し0.001~2質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0059】
本発明の感光性樹脂組成物をフォトレジスト用途に用いる場合には、本発明のフェノール性水酸基含有化合物、感光剤の他、更に必要に応じてその他のフェノール樹脂(X)、界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤等の各種添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト樹脂組成物とすることができる。これをそのままポジ型レジスト溶液と用いてもよく、また、該レジスト樹脂組成物をフィルム状に塗布して脱溶剤させたものをポジ型レジストフィルムとして用いてもよい。レジストフィルムとして用いる際の支持フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられる。支持フィルムは、単層フィルムでもよく、また、積層フィルムでもよい。また、該支持フィルムの表面はコロナ処理されたものや剥離剤が塗布されたものでもよい。
【0060】
レジスト樹脂組成物に用いる有機溶剤は特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレ
ングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン化合物;ジオキサン等の環式エーテル;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル化合物が挙げられる、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0061】
レジスト樹脂組成物は上記各成分を配合し、撹拌機等を用いて混合することにより調整できる。また、フォトレジスト用樹脂組成物が充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散又は混合して調製することができる。
【0062】
レジスト樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィーの方法では、例えば、シリコン基板フォトリソグラフィーを行う対象物上にレジスト樹脂組成物を塗布し、60~150℃の温度条件でプリベークする。このときの塗布方法は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でもよい。次にレジストパターンの形成であるが、本実施形態のレジスト樹脂組成物はポジ型であることから、目的とするレジストパターンを所定のマスクを通じて露光し、露光した箇所をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。レジスト樹脂組成物は、露光部のアルカリ溶解性と、非露光部の耐アルカリ溶解性とが共に高いことから、解像度に優れるレジストパターンの形成が可能となる。
【0063】
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、本発明のフェノール性水酸基含有化合物と、硬化剤と、を含有する。
硬化剤は、本発明のフェノール性水酸基含有化合物と硬化反応を生じ得る化合物であれば特に限定なく、様々な化合物を用いることができる。また、硬化性組成物の硬化方法は特に限定されず、硬化剤の種類や、硬化促進剤の種類等に応じて熱硬化や光硬化など、適当な方法で硬化させることができる。熱硬化における加熱温度や時間、光硬化における光線の種類や露光時間等の硬化条件は、硬化剤の種類や、後述する硬化促進剤の種類等に応じて適宜調節される。
【0064】
硬化剤としては、例えば、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、レゾール樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物、酸無水物、オキサゾリン化合物が挙げられる。
【0065】
メラミン化合物としては、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物が挙げられる。
【0066】
グアナミン化合物としては、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物が挙げられる。
【0067】
グリコールウリル化合物としては、例えば、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリルが挙げられる。
【0068】
ウレア化合物としては、例えば、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3-テトラキス(ブトキシメチル)尿素及び1,1,3,3-テトラキス(メトキシメチル)尿素が挙げられる。
【0069】
レゾール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾールやキシレノール等のアルキルフェノール、フェニルフェノール、レゾルシノール、ビフェノール、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物とをアルカリ性触媒条件下で反応させて得られる重合体が挙げられる。
【0070】
エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルオキシナフタレン、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、1,1-ビス(2,7-ジグリシジルオキシ-1-ナフチル)アルカン、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、リン原子含有エポキシ樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との共縮合物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0071】
イソシアネート化合物は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートが挙げられる。
【0072】
アジド化合物は、例えば、1,1’-ビフェニル-4,4’-ビスアジド、4,4’-メチリデンビスアジド、4,4’-オキシビスアジドが挙げられる。
【0073】
アルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルが挙げられる。
【0074】
酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(イソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物等の芳香族酸無水物;無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸等の脂環式カルボン酸無水物が挙げられる。
【0075】
これらの中でも、硬化性や硬化物における耐熱性に優れる硬化性組成物となることから、エポキシ樹脂、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、レゾール樹脂が好ましく、グリコールウリル化合物が特に好ましい。
【0076】
硬化性組成物における硬化剤の配合量は、硬化性に優れる組成物となることから、本発明のフェノール性水酸基含有化合物と後述するその他の樹脂(Y)との合計100質量部に対し、0.5~50質量部となる割合であることが好ましい。
【0077】
硬化性組成物は、本発明のフェノール性水酸基含有化合物以外に、その他の樹脂(Y)を併用してもよい。樹脂(Y)としては、例えば、各種のノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン等の脂環式ジエン化合物とフェノール性化合物との付加重合樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との変性ノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、各種のビニル重合体が挙げられる。
【0078】
上記各種のノボラック樹脂の具体例としては、フェノール;クレゾール、キシレノール等のアルキルフェノール;フェニルフェノール、レゾルシノール、ビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール;ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物とを酸触媒条件下で反応させて得られる重合体が挙げられる。
【0079】
上記各種のビニル重合体としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルカルバゾール、ポリインデン、ポリアセナフチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロデセン、ポリテトラシクロドデセン、ポリノルトリシクレン、ポリ(メタ)アクリレート等のビニル化合物の単独重合体又はこれらの共重合体が挙げられる。
【0080】
その他の樹脂(Y)を用いる場合、本発明のフェノール性水酸基含有化合物と樹脂(Y)との配合割合は、用途に応じて任意に設定することができる。例えば、本発明のフェノール性水酸基含有化合物100質量部に対し、樹脂(Y)が0.5~100質量部となる割合であることが好ましい。
【0081】
本発明の硬化性組成物の硬化物は、例えば、レジスト下層膜、レジスト永久膜に使用できる。
本発明の硬化性組成物をレジスト下層膜(BARC膜)用途に用いる場合には、本発明のフェノール性水酸基含有化合物、硬化剤の他、更に必要に応じてその他の樹脂(Y)、界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤等の各種添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト下層膜用組成物とすることができる。
【0082】
レジスト下層膜用組成物に用いる有機溶剤は、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン化合物;ジオキサン等の環式エーテル;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル化合物が挙げられる、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0083】
レジスト下層膜用組成物は上記各成分を配合し、撹拌機等を用いて混合することにより調製できる。また、レジスト下層膜用組成物が充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散又は混合して調整することができる。
【0084】
レジスト下層膜用組成物からレジスト下層膜を形成するには、例えば、上述したレジスト下層膜用組成物を、シリコン基板等のフォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、100~200℃の温度条件下で乾燥させた後、更に250~400℃の温度条件下で加熱硬化させる方法がある。次いで、この下層膜上で通常のフォトリソグラフィー操作を行ってレジストパターンを形成し、ハロゲン系プラズマガス等でドライエッチング処理することにより、多層レジスト法によるレジストパターンを形成することができる。
【0085】
本発明の硬化性組成物をレジスト永久膜用途に用いる場合には、本発明のフェノール性水酸基含有化合物、硬化剤の他、更に必要に応じてその他の樹脂(Y)、界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤等の添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト永久膜用組成物とすることができる。ここで用いる有機溶剤は、レジスト下層膜用組成物で用いる有機溶剤と同様のものが挙げられる。
【0086】
レジスト永久膜用組成物を用いたフォトリソグラフィーの方法は、例えば、有機溶剤に樹脂成分及び添加剤成分を溶解・分散させ、シリコン基板フォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、60~150℃の温度条件でプリベークする。このときの塗布方法は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でもよい。次に、当該レジスト永久膜用組成物がポジ型の場合には、目的とするレジストパターンを所定のマスクを通じて露光し、露光した箇所をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。
【0087】
レジスト永久膜用組成物からなる永久膜は、例えば、半導体デバイス関係ではソルダーレジスト、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や集積回路素子と回路基板の接着層、LCD、OLEDに代表される薄型ディスプレイ関係では薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルター保護膜、ブラックマトリックス、スペーサー等に好適に用いることができる。
【実施例0088】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
尚、本発明は下記実施例に限定されない。
【0089】
本願実施例において、化合物の重量平均分子量は、GPC測定に基づきポリスチレン換算した値であり、測定条件は下記の通りである。
【0090】
(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定条件)
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8320 GPC」
カラム :昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
検出器 :RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC-8020モデルIIバージョン4.30」
カラム温度:40℃
展開溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :1.0mL/分
注入量 :0.1mL
試料 :樹脂固形分換算で0.5質量%テトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
標準試料 :下記単分散ポリスチレン
【0091】
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
【0092】
(合成実施例1:ノボラック樹脂(1)の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を設置した4口フラスコに2,7-ジヒドロキシナフタレン160g(1.00mol)、4-フルオロベンズアルデヒド124g(1.00mol)を仕込み、反応溶媒としてノルマルブタノール400gに溶解させた。この反応溶液に濃硫酸16.0gを滴下し、マントルヒーターを用いて100℃還流下で8時間攪拌反応させた。
反応後、メチルイソブチルケトンと水を添加し分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、赤褐色固体のノボラック樹脂(1)240g(4-フルオロベンズアルデヒドに由来する構造44質量%)を得た。
得られたノボラック樹脂(1)についてGPC測定を実施した結果、重量平均分子量(Mw)は832であった。
【0093】
(合成実施例2:ノボラック樹脂(2)の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を設置した4口フラスコに2,7-ジヒドロキシナフタレン160g(1.00mol)、4-トリフルオロメチルベンズアルデヒド174g(1.00mol)を仕込み、反応溶媒としてノルマルブタノール400gに溶解させた。この反応溶液に濃硫酸16.0gを滴下し、マントルヒーターを用いて50℃還流下で4時間攪拌反応させた後、80℃まで昇温し、還流下で4時間攪拌反応させた。
反応後、メチルイソブチルケトンと水を添加し分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、赤褐色固体のノボラック樹脂(2)285g(4-トリフルオロメチルベンズアルデヒドに由来する構造:52質量%)を得た。
得られたノボラック樹脂(2)についてGPC測定を実施した結果、重量平均分子量(Mw)は947であった。
【0094】
(合成比較例1:ノボラック樹脂(1’)の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を設置した4口フラスコに1,6-ジヒドロキシナフタレン160g(1.00mol)、4-フルオロベンズアルデヒド124g(1.00mol)を仕込み、反応溶媒としてエタノール400gに溶解させた。この反応溶液に濃硫酸16.0gを滴下し、マントルヒーターを用いて75℃還流下で8時間攪拌反応させた。
反応後、メチルイソブチルケトンと水を添加し分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、赤褐色固体のノボラック樹脂(1’)226g(4-フルオロベンズアルデヒドに由来する構造:44質量%)を得た。
得られたノボラック樹脂(1’)についてGPC測定を実施した結果、重量平均分子量(Mw)は2,744であった。
【0095】
(合成比較例2:ノボラック樹脂(2’)の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を設置した4口フラスコに1,6-ジヒドロキシナフタレン160g(1.00mol)、4-トリフルオロメチルベンズアルデヒド174g(1.00mol)を仕込み、反応溶媒としてエタノール400gに溶解させた。この反応溶液に濃硫酸16.0gを滴下し、マントルヒーターを用いて50℃還流下で4時間攪拌反応させた後、75℃まで昇温し、還流下で4時間攪拌反応させた。
反応後、メチルイソブチルケトンと水を添加し分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、赤褐色固体のノボラック樹脂(2’)193g(4-フルオロベンズアルデヒドに由来する構造:52質量%)を得た。
得られたノボラック樹脂(2’)についてGPC測定を実施した結果、重量平均分子量(Mw)は5,903であった。
【0096】
(合成比較例3:ノボラック樹脂(3’)の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を設置した4口フラスコにm-クレゾール108g(1.00mol)、4-フルオロベンズアルデヒド124g(1.00mol)を仕込み、反応溶媒としてノルマルブタノール400gに溶解させた。この反応溶液に濃硫酸16.0gを滴下し、マントルヒーターを用いて100℃還流下で8時間攪拌反応させた。
反応後、メチルイソブチルケトンと水を添加し分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、褐色固体のノボラック樹脂(3’)226gを得た。
得られたノボラック樹脂(3’)についてGPC測定を実施した結果、重量平均分子量(Mw)は2,732であった。
【0097】
(合成比較例4:ノボラック樹脂(4’)の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を設置した4口フラスコにm-クレゾール108g(1.00mol)、4-トリフルオロメチルベンズアルデヒド174g(1.00mol)を仕込み、反応溶媒としてノルマルブタノール400gに溶解させた。この反応溶液に濃硫酸16.0gを滴下し、マントルヒーターを用いて50℃還流下で4時間攪拌反応させた後、80℃まで昇温し、還流下で4時間攪拌反応させた。
反応後、メチルイソブチルケトンと水を添加し分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、赤褐色固体のノボラック樹脂(4’)238gを得た。
得られたノボラック樹脂(4’)についてGPC測定を実施した結果、重量平均分子量(Mw)は3,041であった。
【0098】
(合成比較例5:ノボラック樹脂(5’)の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を設置した4口フラスコに2,7ジヒドロキシナフタレン160g(1.00mol)、パラホルムアルデヒド8.05gを仕込み、反応溶媒としてノルマルブタノール400gに溶解させた。この反応溶液に濃硫酸16.0gを滴下し、マントルヒーターを用いて100℃還流下で8時間攪拌反応させた。
反応後、メチルイソブチルケトンと水を添加し分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、赤褐色固体のノボラック樹脂(5’)240gを得た。
得られたノボラック樹脂(5’)についてGPC測定を実施した結果、重量平均分子量(Mw)は1,600であった。
【0099】
(合成比較例6:ノボラック樹脂(6’)の合成)
温度計、冷却管、撹拌機を設置した4口フラスコに2,7-ジヒドロキシナフタレン160g(1.00mol)、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド154.8g(0.9mol)、4-フルオロベンズアルデヒド12.4g(0.1mol)を仕込み、反応溶媒としてノルマルブタノール400gに溶解させた。この反応溶液に濃硫酸16.0gを滴下し、マントルヒーターを用いて100℃還流下で8時間攪拌反応させた。
反応後、メチルイソブチルケトンと水を添加し分液洗浄を行った。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥を行い、赤褐色固体のノボラック樹脂(6’)289g(4-フルオロベンズアルデヒドに由来する構造3.8質量%)を得た。
得られたノボラック樹脂(6’)についてGPC測定を実施した結果、重量平均分子量(Mw)は1,456であった。
【0100】
(実施例1:レジスト組成物の調製と評価)
ノボラック樹脂(1)2.00gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル8gに溶解させ、得られた溶液を0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製ディスクフィルタで精密濾過を行って、レジスト下層膜用組成物を得た。
得られたレジスト下層膜用組成物について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
(ドライエッチング耐性)
調製したレジスト下層膜用組成物を、直径5インチのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて、100℃で60秒間加熱して、レジスト下層膜付きシリコンウェハーを製造した。
製造したレジスト下層膜付きシリコンウェハーについて、エッチング装置(神港精機株式会社製「EXAM」)を使用して、CF4/Ar/O2(CF4:40mL/分、Ar:20mL/分、O2:5mL/分)、圧力:20Pa、RFパワー:200W、処理時間:40秒、温度:15℃)の条件でエッチング処理した。
エッチング処理前後の膜厚を測定して、エッチングレートを算出し、ドライエッチング耐性を以下の基準で評価した。
○:エッチングレートが150nm/分以下の場合
×:エッチングレートが150nm/分を超える場合
【0102】
(埋め込み特性)
調製したレジスト下層膜用組成物を、φ110nmおよび深さ300nmのホールパターンが形成された直径5インチのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて、100℃で60秒間加熱して、レジスト下層膜付きシリコンウェハーを製造した。
製造したレジスト下層膜付きシリコンウェハーをダイヤモンドカッターを用いてホールパターン線上で割り、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製「SU-3500」)で断面観察を行い、埋め込み特性評価を以下の基準で評価した。
〇:ホール底まで樹脂硬化物で満たされている
×:ホール底まで樹脂硬化物が満たされていない又はホールに空隙が確認できる
【0103】
(水接触角)
得られたレジスト下層膜用組成物を直径5インチのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて、100℃で60秒間加熱して、レジスト下層膜付きシリコンウェハーを得た。形成したレジスト下層膜について、協和界面化学製「全自動接触角計 DMo-701」を用いて、精製水の接触角を測定した。
水接触角はパターン倒れを評価する指標であり、水接触角が高いほどパターン倒れが少ないことを意味する。
【0104】
(実施例2および比較例1-5:レジスト組成物の調製と評価)
表1に示すノボラック樹脂を用いた他は実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0105】
【0106】
表1の結果から、1以上の水酸基を有するナフタレン化合物から誘導される構造単位とフッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位とを含むフェノール性水酸基含有化合物であって、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物から誘導される構造単位を特定量含み、重量平均分子量が特定範囲にあるフェノール性水酸基含有化合物を含む実施例1および2の組成物では、ドライエッチング耐性および埋め込み特性が良好で、水接触角も高くなっていることが分かる。
一方、重量平均分子量が大きい比較例1および2では埋め込み特性が悪く、ナフタレン化合物を使用していない比較例3および4ではドライエッチング耐性が悪い。また、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物を使用していない、又は、フッ素原子含有芳香族アルデヒド化合物の使用量が少ない比較例5および6では水接触角が小さく、現像及び純水リンス時のラプラス力低減は期待できない。