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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148163
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】センサ機構
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20241009BHJP
   G01L 3/14 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G01L3/10 311
G01L3/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024058519
(22)【出願日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】23166482
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アウアー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・エッカート
(57)【要約】      (修正有)
【課題】相対的に高い精度でのトルク測定を可能にする比較的単純なセンサ機構を提供する。
【解決手段】基板2と、第1の導体路3.1と、第2の導体路3.2とを含むトルク測定のためのセンサ機構1であって、第1の導体路3.1および第2の導体路3.2は、基板2上に配置されており、それぞれ、メアンダ状に形成されている構造体を有する少なくとも1つの領域を含む、センサ機構1に関する。第1の導体路3.1の構造体および第2の導体路3.2の構造体はそれぞれ、結合区間を介して連続的に相互に結合されている。センサ機構1の構造体が、基板2のトルク負荷の決定を可能にする。第1の導体路3.1の構造体と第2の導体路3.2の構造体は、円周線に沿って交互に走るように配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2)と、第1の導体路(3.1)と、第2の導体路(3.2)とを含むトルク測定のためのセンサ機構(1)であって、
前記第1の導体路(3.1)および前記第2の導体路(3.2)が、前記基板(2)上に配置されており、それぞれ、メアンダ状に形成されている構造体(3.101~3.132;3.201~3.232)を有する少なくとも1つの領域を含み、
前記第1の導体路(3.1)の前記構造体(3.101~3.132)および前記第2の導体路(3.2)の前記構造体(3.201~3.232)がそれぞれ、結合区間(V)を介して相互に結合されており、これにより、前記センサ機構(1)によって前記基板(2)のトルク負荷が決定可能であり、
前記第1の導体路(3.1)の前記構造体(3.101~3.132)と前記第2の導体路(3.2)の前記構造体(3.201~3.232)が、曲線(K)に沿って交互に走るように配置されているセンサ機構(1)。
【請求項2】
前記曲線(K)が、中断なく、少なくとも一部の区間では第1の円周線(K)に沿って行き、少なくとも一部の区間では第2の円周線(K)に沿って前記曲線(K)の基点に帰ってくるように、前記曲線(K)が走っている、請求項1に記載のセンサ機構(1)。
【請求項3】
前記第1の円周線(K)および前記第2の円周線(K)がそれぞれ、中心点(M)に対して同心円状で、前記基板(2)の周方向(U)に延びている、請求項2に記載のセンサ機構(1)。
【請求項4】
前記基板(2)が、前記中心点(M)を通って走る軸(A)の周りを相対的に前記周方向(U)に回転可能におよび/またはねじれ可能に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項5】
前記第1の導体路(3.1)と前記第2の導体路(3.2)の前記構造体(3.101~3.132;3.201~3.232)が互いに対称的に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項6】
前記第1の導体路(3.1)の構造体(3.101~3.132)および前記第2の導体路(3.2)の構造体(3.201~3.232)からなる、扇形部分(S)内で隣接する構造体(3.101~3.132;3.201~3.232)が、X字形またはひし形の隊形(F)を形成している、請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項7】
前記第2の導体路(3.2)が前記第1の導体路(3.1)を取り囲むように配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項8】
前記第1の導体路(3.1)および第2の導体路(3.2)が前記基板(2)上に積層塗布されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項9】
前記基板(2)が、トルク負荷を導入するための少なくとも1つの第1の手段(2.1)およびトルク負荷を導出するための少なくとも1つの第2の手段(2.2)を含んでいる、請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項10】
前記トルク負荷が、前記第1の導体路(3.1)および/または前記第2の導体路(3.2)の抵抗の決定によって決定可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項11】
前記第1の導体路(3.1)と第2の導体路(3.2)がそれぞれ同数の構造体(3.101~3.132;3.201~3.232)を含んでおり、前記第1の導体路(3.1)と第2の導体路(3.2)がブリッジ回路に基づいて接続されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項12】
前記基板(2)上に少なくとも1つの電子部品(4)が配置されており、前記電子部品(4)により、前記第1および/または前記第2の導体路(3.1;3.2)によって生成可能な信号がさらに処理可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項13】
前記基板(2)および前記導体路(3.1;3.2)が金属から製造されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項14】
前記基板(2)と前記導体路(3.1;3.2)が異なる金属から製造されている、請求項13に記載のセンサ機構(1)。
【請求項15】
前記構造体(3.101~3.132;3.201~3.232)がそれぞれ複数の区間(P)を有し、前記区間(P)内では前記導体路(3.1;3.2)が真っすぐにまたは湾曲して平行に走っている、請求項1から14のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項16】
前記構造体(3.101~3.132;3.201~3.232)がそれぞれ複数の区間(P)を有し、前記区間(P)内では前記導体路(3.1;3.2)が、曲率半径をもって湾曲して平行に走っており、前記曲率半径が、前記軸(A)に対する間隔に応じて異なる、請求項1から15のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項17】
前記構造体(3.101~3.132;3.201~3.232)が前記区間(P)内で、前記円周線(K;K)の1つと、数値的に同一の角度(α)で交差している、請求項15または16に記載のセンサ機構(1)。
【請求項18】
前記角度(α)が20°~70°の間の数値をとる、請求項17に記載のセンサ機構(1)。
【請求項19】
前記第2の導体路(3.2)の前記結合区間(V)が、行きは外側半径(R)をもつ円周線に沿って、および帰りは内側半径(R)をもつ円周線に沿って走っており、前記第1の導体路(3.1)の前記結合区間(V)が、行きも帰りも中央半径(R)をもつ円周線に沿って走っており、R+R=2・Rが当てはまる、請求項1から18のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のトルク負荷を決定するためのセンサ機構に関する。
このようなセンサは、例えば機械部品のトルク負荷を決定するために使用される。
より具体的には、このようなセンサ機構は、例えばロボット関節内の機械部品のトルク負荷を決定するための測定機器として使用される。この場合には、トルク測定値は一般的に相応のインターフェイスデバイスを介して後続電子機器に送られる。
【背景技術】
【0002】
測定対象物に直接接着される歪みゲージの形態でのセンサ機構は既に現況技術から公知である。そこでは電気抵抗の変化が測定され、この変化は、主として純粋に幾何形状的に、歪みの際の長さ変化から生じる。測定可能な効果を得るため、歪みゲージはたいてい、メアンダ状の柔軟な薄い金属線である。歪みゲージは多方面で用いられ得るが、しかし構造特異的に形成されていないことにより、測定結果が不十分な精度でしか得られないという決定的な欠点を有する。そのうえ歪みゲージは一般的に手で測定対象物に接着され、それにより測定対象物の主応力方向に最適に命中することはたいていない。これに加え、測定対象物に歪みゲージを接着することにより、接着剤の経年劣化現象が測定結果に悪影響を及ぼし得る。
【0003】
特開2020-201046では、物体に掛かるトルクを捕捉するトルクセンサが開示されている。ここではトルクセンサが、複数の抵抗線パターンを有する第1の導体層および第2の導体層を備えた基板を含んでいる。第1および第2の導体層の抵抗線パターンは、それぞれ別々の均質な円環パターンを含み、この円環パターン内で多数の抵抗線が周方向に配置されて直列接続されている。この解決策は、熱効果および寄生力が測定結果に悪影響を及ぼし得るという軽微とは言えない欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-201046
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎となる課題は、相対的に高い精度でのトルク測定を可能にする比較的単純なセンサ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は本発明により、請求項1の特徴によって解決される。
トルク測定のための本発明によるセンサ機構は、基板と、第1の導体路と、第2の導体路とを含む。第1の導体路および第2の導体路は、基板上に配置されており、それぞれ、メアンダ状に形成されている構造体を有する少なくとも1つの領域を含む。第1の導体路の構造体および第2の導体路の構造体はそれぞれ、導体路区間として形成された結合区間を介して連続的に相互に結合されている。こうすることで、センサ機構による基板のトルク負荷の決定が可能になる。第1の導体路の構造体と第2の導体路の構造体は、曲線に沿って交互に走るように配置されている。
【0007】
センサ機構とは、この場合にはとりわけ、そのパラメータがトルク負荷によって変化する受動型センサまたは受動型部品を内包する受動型センサ機構のことである。このパラメータが、好ましくはセンサ機構内で電子部品によって電気信号に変換される。センサ機構の動作には、外部から供給されるとりわけ電気エネルギーの形態での補助エネルギーが必要とされる。パラメータとして、ここではとりわけ第1および第2の導体路の1つまたは複数の電気抵抗が用いられ得る。電気抵抗または抵抗変化を測定し得るように、センサデバイス、とりわけ第1および第2の導体路の構造体は、電流に貫流されていなければならず、したがってセンサ機構は動作中に外部から電気エネルギーを供給されなければならない。とりわけ第1および第2の導体路の構造体は、トルク負荷に対し、長さ変化または断面積変化によって反応し、これが第1および第2の導体路の電気抵抗に影響する。
【0008】
測定すべきトルクは、とりわけねじりモーメントであり得る。
基板とはこの場合、例えば円板または円環の形状で提供されており、とりわけ金属材料、例えば鋼鉄を含み、好ましくは片面に絶縁層を有する部品のことである。
【0009】
曲線とは、数学的意味での曲線のことであり、この曲線は第一義的には基板の長手方向または周方向に沿って走っている。
構造体とは、第1の導体路または第2の導体路のうち、複数の平行に方向づけられたループによるメアンダ状の軌道を含む少なくとも1つの部分区間のことである。1つの同じ導体路の複数の構造体は、結合区間によって中断なく相互に結合されている。多数の構造体が長手方向または周方向に配置されて直列接続されることにより、第1と第2の導体路の構造体が不均質に交互に配置され得る。
【0010】
交互の軌道とは、曲線に沿って第1の導体路の構造体と第2の導体路の構造体とが交替することであり、第1の導体路の少なくとも1つの構造体が、第2の導体路の少なくとも1つの構造体の次に来る。
【0011】
本発明によるセンサ機構は、曲線が、中断なく、少なくとも一部の区間では第1の円周線に沿って行き、少なくとも一部の区間では第2の円周線に沿ってこの曲線の基点に帰ってくるように配置されていることが有利である。
【0012】
この第1の円周線および第2の円周線は同心円状に配置されており、両方が同一の中心点を有するが、しかし異なる半径を有する。
中断なく行って帰ってくるとは、第1の導体路または第2の導体路の、その基点から基板に沿ってこの基点に帰ってくる連続的で切れ目のない軌道のことであり、分岐、交わり、または中断のない軌道を特徴とする。
【0013】
曲線の基点は、曲線の曲線軌道の出発点である。したがって基点は、第1または第2の導体路の始点または終点である。そこでは第1または第2の導体路が例えば電子部品と接触している。第1と第2の導体路の間で、基点に中間タップが設けられ得る。
【0014】
さらなる有利な形態では、第1の円周線および第2の円周線はそれぞれ、中心点に対して同心円状で、基板の周方向に延びている。
さらなる有利な変形形態は、本発明によるセンサ機構を含み、基板は、中心点を通って走る軸の周りを相対的に周方向に回転可能に、それに加えてまたはその代わりにねじれ可能に配置されている。
【0015】
「ねじれ可能」は、弾性の物体、とりわけ基板が、トルクによって変形し、それにより(可逆的に)ねじれた状態またはよじれた状態になることを意味する。
これに加え、中心点を通って走る軸は、センサ装置に対して、とりわけ第1もしくは第2の円周線に対してまたは基板に対して直交するように走っている。
【0016】
本発明によるセンサ機構は、第1の導体路の構造体と第2の導体路の構造体とが互いに対称的に配置されるように形成されていることが有利である。
この場合、一つは、とりわけ第1の円周線または第2の円周線上に配置されている曲線区間内で、曲線に沿って隣接する構造体に関する対称性のことである。例えば軸対称または鏡面対称の形態での対称性である。その代わりにまたはそれに加えて、さらに点対称が存在し得る。この場合、曲線の第1の円周線の1つの区間内で2つずつ隣接している構造体と、曲線の第2の円周線の1つの区間内で2つずつ隣接している構造体とが、互いに点対称であり、第1の円周線の第1の区間内のペアおよび第2の円周線の区間内のペアも、互いに対称的である。したがって点対称は、ここでは径方向での第1の円周線と第2の円周線の間の真ん中にある点に対してである。
【0017】
本発明によるセンサ機構の構造体は、センサ機構の1つの扇形部分内に4つの隣接する構造体があるように配置されることが有利である。この4つの隣接する構造体は、第1の導体路の2つの構造体および第2の導体路の2つの構造体を含み、これら4つの隣接する構造体が一緒に、X字形またはひし形の隊形を形成している。
【0018】
扇形部分とは、とりわけ基板に関し、円板またはリング状円板のうち、1つの円弧と2つの円半径と1つの中心角とで定義される比較的小さな部分面のことである。これに関し、センサ機構は1つまたは複数の扇形部分を有することができ、各扇形部分内には4つのセンサ構造体が配置されている。基板上に複数の扇形部分が形成されている場合、これらの扇形部分は、円板またはリング状円板の360°にわたって同じようにまたは任意に分布し得る。
【0019】
隊形とは、4つの隣接する構造体の幾何学的配置のことである。この場合、4つの隣接する構造体は1つの扇形部分内にあり、この4つの構造体は、それぞれ第1および第2の円周線上の第1および第2の導体路の1つずつの構造体から構成されている。とりわけ、同じ導体路の構造体は対角線状に向かい合い得る。
【0020】
これに関し隊形は、例えばラテンアルファベットの24番目の文字「X」または幾何学的ひし形(「<>」)に似るように形成され得る。
第2の導体路が第1の導体路を取り囲むように配置されていることが有利である。
【0021】
この場合の取り囲む配置とは、第1および第2の導体路が基板上で一平面内または一層内にあり、第1の導体路が常に少なくとも2つの側から、第2の導体路、つまりその構造体および結合区間によって囲まれているように、第2の導体路が敷設されるということである。同時に、第1と第2の導体路は交差せず、交わらず、または触れ合わない。
【0022】
第1の導体路の結合区間と第2の導体路の結合区間はほぼ同じ長さであり、ほぼ同じ抵抗を有する。
本発明によるセンサ機構は、第1の導体路および第2の導体路が基板上に積層塗布されるように形成されていることが有利である。
【0023】
このような積層造形体の製造過程では、基板上に広域にまたは(例えばリフトオフ法により)構造化されて、層が施される。これは、例えば化学反応によって、または基板の表面へのガス状物質の縮合によって行われる。その代わりに積層造形体は液相からの析出によっても生成され得る。とりわけ、この用語「積層造形体」とは、導体路が基板上に接着されていることではない。
【0024】
本発明によるセンサ機構は、基板が、トルク負荷を導入するための少なくとも1つの第1の手段を、それに加えてまたはその代わりにトルク負荷を導出するための少なくとも1つの第2の手段を含むように形成されることが有利である。
【0025】
トルク負荷の導入または導出のための手段は、基板の機械的に作用するまたは利用可能な形成形態、例えば1つまたは複数の孔の形態で実現され得る。その代わりにまたはそれに加えて、手段は、均一または不均一に分布した歯、棘状突起、またはホゾの形態で形成され得る。これらは、例えば円板またはリング状円板の外周または内周に施すことができ、これらは、外側もしくは内側に向かって突き出ることができ(歯車の場合のように)、または円板もしくはリング状円板の表面に、角度をつけて施すことができる。
【0026】
本発明によるセンサ機構は、トルク負荷が、第1の導体路、それに加えてまたはその代わりに第2の導体路の抵抗の決定によって決定可能であるように形成されることが有利である。
【0027】
本発明のさらなる形態では、第1の導体路と第2の導体路がそれぞれ同数の構造体を含んでおり、第1の導体路と第2の導体路がブリッジ回路に基づいて接続されている。
とりわけ、例えば電圧変化によって抵抗差の変化を決定するハーフブリッジが実装され得る。
【0028】
基板上に少なくとも1つの電子部品が配置され、この電子部品により、第1の導体路によって、それに加えてまたはその代わりに第2の導体路によって生成可能な信号がさらに処理可能であることが有利である。とりわけ、このさらなる処理は、信号増幅および/または信号デジタル化のための電子部品によって行われ得る。
【0029】
さらなる形態では、基板は金属、とりわけ鋼鉄から、導体路は金属、とりわけアルミニウム、銅、コンスタンタン、またはNiCr合金から製造されている。
基板と導体路が異なる金属から製造されていることが有利である。例えば、基板は鋼鉄から、第1の導体路および第2の導体路は銅から製造され得る。
【0030】
本発明の有利な形態では、構造体がそれぞれ複数の区間を有し、これらの区間内では相応の導体路が真っすぐにまたは湾曲して平行に走っている。
本発明のさらなる形態では、これらの区間内の導体路の曲率半径は、軸に対する間隔に応じて異なる。とりわけ、軸に対する間隔が増すにつれて曲率半径は大きくなる。
【0031】
構造体がこれらの区間内で、異なる半径を有し得るが中心点は軸上にある円周線と、それぞれ同じ大きさの角度で交差することが有利である。とりわけ、これらの区間内では、交点での相応の円周線上の接線と構造体の接線との間の角度が、様々な箇所で常に同じ大きさである。これらの構造体が、これらの区間内ではそれぞれ対数螺旋に基づいて走っていることが有利である。
【0032】
本発明の有利な形態では、この角度は、20°~70°の間、とりわけ30°~60°の間、有利には40°~50°の間の数値を有する。
以下では、例示的実施形態の説明に基づいて、および添付の概略図面を参照しながら、本発明をさらなる特徴および利点に関してもより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】駆動ユニットに連結されたセンサ機構の1つの例示的実施形態の透視図である。
図2】センサ機構の平面図である。
図3】センサ機構の構造体の詳細図である。
図4】センサ機構の構造体の全体図である。
図5】センサ機構の構造体および扇形部分内の隊形の全体図である。
図6】センサ機構の図5の構造体の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、第1の例示的実施形態を、駆動ユニット5に連結された本発明によるセンサ機構1の簡略図で示している。このような構成は、例えば産業ロボットのロボット軸内に適用される。センサ機構1は駆動ユニット5と結合されており、センサ機構1の基板が駆動ユニット5に連結されているかまたはフランジを介して結合されている。駆動ユニット5によるセンサ機構1への接線方向の力の導入に対する反応として、とりわけ基板2にトルクが作用し得ることにより、センサ機構1または基板2に僅かなねじれが生じる。このとき発生しているトルクが、センサ機構1によって捕捉されてさらに処理され得る。
【0035】
図2では、センサ機構1の平面図を示している。センサ機構1は、例えば(とりわけ繊維強化)エポキシ樹脂から、炭素繊維強化プラスチックから、または金属、とりわけ鋼鉄からなる基板2を含む。センサ機構1または基板2は、固定のために孔2.1および歯2.2を有しており、孔2.1は内径に沿っておよび歯2.2は外径に沿って、軸Aに対して同心円状に配置されている。こうすることでセンサ機構1が、ネジまたは鋲により、駆動ユニット5の部品、例えばフランジおよびボスに回転不能に取り付けられ得る。センサ機構1はこれに加え、とりわけフォトリソグラフィプロセスによる積層造形によって施された第1および第2の導体路3.1、3.2を含む。基板2が、金属材料、例えば鋼鉄から製造されている場合、導体路3.1、3.2と基板2の間に、例えばポリイミドからなる電気絶縁性プラスチック層が設けられる。
【0036】
センサ機構1は、実質的にリング形または円形に形成されており、軸Aを中心として配置されている。そのうえ導体路3.1、3.2は、軸Aに直交するように向いた平面内に配置されている。とりわけ、センサ機構1は軸A上の点に対して点対称に形成されている。第1および第2の導体路3.1、3.2の構造体3.101~3.132、3.201~3.232(図6を参照)は、例えば銅またはコンスタンタンからなる。
【0037】
センサ機構1に電気エネルギーが供給され得る。これは、例えばケーブルを介して(可能回転数が制限されている場合)、集電環を介して、または無線で行われ得る。センサ機構1の動作中は規定の電流がセンサ機構1を貫流する。トルクがセンサ機構1または基板2を通って伝わることにより、センサ機構1の変形が生じる。トルク負荷(特にねじり負荷)に基づく基板2の変形に応じて、とりわけ構造体3.101~3.132、3.201~3.232内の局所的な歪み現象により、導体路3.1、3.2の長さ変化が生じる。これが結果的に抵抗も変化させる。この効果を利用することで、センサ機構1により、軸Aを中心とする基板2のトルク負荷(特にねじり負荷)が決定され得る。電子部品4により信号が生成され、処理され、必要の際には後続電子機器に伝送される。
【0038】
導体路3.1、3.2の構造体3.101~3.132、3.201~3.232は、図3の詳細図によればそれぞれ複数の区間Pを有しており、これらの区間P内では導体路3.1、3.2が真っすぐに走っている。導体路3.1、3.2は区間P内で円周線K、Kの1つと交差しており、それも、常に各区間Pの中心点または各区間Pのそれぞれの区間二等分線が第1の円周線Kまたは第2の円周線K上にあるように交差している。紹介している例示的実施形態では、それぞれの真っすぐの区間Pの軌道と、区間Pの中心点を通って径方向に走る直線とが、45°の数値をもつ角度αを挟んでいる。
【0039】
その代わりに導体路3.1、3.2が湾曲して平行に走っていてもよい(図示せず)。代替的な実施形態であるこの場合には、導体路3.1、3.2が、区間Pの領域では平行な螺旋線に沿って走っており、したがって区間P内では導体路3.1、3.2の曲率半径が、軸Aに対する間隔に応じて異なる。角度αは、この代替的な例示的実施形態に基づいても同様に、数値としては45°であり得る。したがって導体路3.1、3.2はこの場合、区間P内ではそれぞれ、2つの対数螺旋の規則性に基づいて走っている。円周線K、Kの各接線は、対数螺旋の1つと常に同じ角度αで交差し(等角曲線)、この特性は、異なる半径をもち、共通の中心点Mが軸A上にある任意の円周線に当てはまる。したがって導体路3.1、3.2はこの場合、区間P内では等角螺旋に基づいて走ってもいる。
【0040】
導体路3.1、3.2は、曲線Kに沿って交互に配置される複数の構造体3.101~3.132、3.201~3.232を含む。曲線Kは図4によればその基点を第1の円周線K上の第1の点Bに有し、最初は第1の円周線Kに沿って走り、移行領域C内で中断なく第2の円周線K2に移行する。続いて曲線Kはさらに円周線Kに沿って走り、第2の点Eで終わる。第1の点Bで始まって曲線Kに沿って、第1の導体路3.1の構造体3.101、次に第2の導体路3.2の構造体3.201、さらにその次にというように、第2の点Eに達するまで続く。移行領域C内では、構造体3.101~3.132、3.201~3.232は存在しない。第1の円周線Kはその中心点Mを軸A上に有し、半径Rを有する。第2の円周線Kはその中心点Mを同様に軸A上に有し、半径Rを有する。両方の円周線K、Kは、中心点Mの周りに同心円状に配置されており、R<Rが当てはまる。
【0041】
図5および図6から見て取れるように、第1および第2の導体路3.1、3.2の構造体3.101~3.132、3.201~3.232は、4つの隣接する構造体が1つの扇形部分S内にあるように配置されている。この4つの示した隣接する構造体3.104、3.129;3.204、3.229は、第1の導体路3.1の2つの構造体3.104、3.129および第2の導体路3.2の2つの構造体3.204、3.229を含み、これら4つの隣接する構造体3.104、3.129;3.204、3.229が一緒に、X字形の隊形Fを形成している。これに関し、同じ導体路3.1;3.2の構造体3.104、3.129または3.204、3.229は、隊形F内で対角線状に向かい合って配置されている。図5に示した隊形Fが全部で16個、360°にわたって分布しており、中心点Mをもつ円周線に沿って同心円状にほぼ一様に分布して延びている。
【0042】
図6は、図5に基づく例示的実施形態の詳細図を示す。第1および第2の導体路3.1、3.2の構造体3.101~3.132、3.201~3.232の配置は、ここではX字形に行われている。第1および第2の導体路3.1、3.2の構造体3.101~3.132、3.201~3.232は、対称的に配置されており、この場合、第1の円周線Kおよび第2の円周線Kに沿って隣接する構造体3.101~3.132、3.201~3.232に関し、鏡面対称または軸対称が存在している。それだけでなく第1の導体路3.1の構造体3.101~3.132および第2の導体路3.2の構造体3.201~3.232は、第1の円周線Kまたは第2の円周線Kに沿って、第1および第2の導体路3.1、3.2ならびに角度αについてのその所属を交替している。つまり、例えば第1の円周線Kに沿った第1の導体路3.1の構造体3.101~3.132は角度α=45°を、および第1の円周線Kに沿った第2の導体路3.2の構造体3.201~3.232は角度α=-45°を有する。1つの導体路3.1、3.2の個々の構造体3.101~3.132、3.201~3.232は、結合区間V内で始まり、かつ終わり、この結合区間Vは、長さおよび形状に関して異なって形成され得る。とりわけ、第1の導体路3.1および第2の導体路3.2は、結合区間V内では周方向に走っている。第2の導体路3.2の敷設は、第2の導体路3.2が第1の導体路3.1を基板2の全周にわたって取り囲むように形成されており、つまり第2の導体路3.2の結合区間Vが、基板2上で外側にあるように、つまり外側半径Rをもつ円周線および内側半径Rをもつ円周線に沿って配置されており、これに対し第1の導体路3.1の結合区間Vは、内側にあるように、つまり中央半径Rをもつ円周線に沿って配置されている。第1および第2の導体路3.1、3.2の軌道は、行きも帰りもずっと中断なく生じている。
【0043】
第1の導体路3.1の結合区間Vおよび構造体3.101~3.132ならびに第2の導体路3.2の結合区間Vおよび構造体3.201~3.232は、全体ではほぼ同じ長さであり、ほぼ同じ抵抗を有する。これに関し、第2の導体路3.2の結合区間Vは、基板2上で行きは外側にあるように、つまり外側半径Rをもつ円周線に沿って、および帰りは内側半径Rをもつ円周線に沿って走っている。第1の導体路3.1の結合区間Vは、基板2上で行きも帰りも、第1と第2の導体路3.2、3.1の構造体3.101~3.132、3.201~3.232の間で内側にあるように、つまり中央半径Rをもつ円周線に沿って走っている。R+R=2・Rが当てはまる。これにより、第1および第2の導体路3.1、3.2の構造体3.101~3.132、3.201~3.232も、結合区間Vも、平均すると同一半径をもつ仮想円周線上にあるので、一層の造形体の場合、第1および第2の導体路3.1、3.2への均一な温度注入が保証されている。これにより、第1および第2の導体路3.1、3.2は、基板2上で内側から外側への温度勾配がある場合でさえ、平均すると同じ温度を有する。これに加え、構造体3.101~3.132、3.201~3.232の、基板2の円周Uにわたって分布した多重配置により、対称性効果の利用によって寄生の影響がより良好に相殺され得る。
【符号の説明】
【0044】
1 センサ機構
2 基板
2.1 第1の手段
2.2 第2の手段
3.1 第1の導体路
3.101~3.132 第1の導体路の構造体
3.2 第2の導体路
3.201~3.232 第2の導体路の構造体
4 電子部品
5 駆動ユニット
A 軸
U 周方向
K 曲線
第1の円周線
第2の円周線
M 中心点
第1の半径
第2の半径
外側半径
内側半径
中央半径
B 第1の点
E 第2の点
C 移行領域
V 結合区間
S 扇形部分
F 隊形
P 区間
α 角度α
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】