(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148194
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】粉体供給装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/214 20170101AFI20241010BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20241010BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20241010BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241010BHJP
B29C 64/364 20170101ALI20241010BHJP
B22F 12/60 20210101ALI20241010BHJP
B22F 10/73 20210101ALI20241010BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20241010BHJP
【FI】
B29C64/214
B29C64/153
B29C64/321
B33Y30/00
B29C64/364
B22F12/60
B22F10/73
B22F10/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061088
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 潤樹
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 弘行
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF51
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL95
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リコータが吹き付けたガスによって飛散した粉体によって、造形プレート上への粉体の配置作業が遅延することを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】粉体供給装置20は、粉体PdにガスGaを吹き付けながら移動することで、造形プレート3上に粉体を配置するように構成された、非接触式のリコータ30と、非接触式のリコータと共に移動し、且つ、非接触式のリコータが吹き付けたガスによって飛散した粉体を回収するように構成された粉体回収装置40と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体にガスを吹き付けながら移動することで、造形プレート上に前記粉体を配置するように構成された、非接触式のリコータと、
前記非接触式のリコータと共に移動し、且つ、前記非接触式のリコータが吹き付けたガスによって飛散した粉体を回収するように構成された粉体回収装置と、を備える、粉体供給装置。
【請求項2】
前記粉体回収装置は、前記飛散した粉体を受けることで前記飛散した粉体を回収するように構成された受け部材を備える、請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記粉体回収装置は、前記飛散した粉体を吸引することで前記飛散した粉体を回収するように構成された吸引部材を備える、請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記粉体回収装置は、前記非接触式のリコータの移動方向で前記非接触式のリコータの後方側、又は、前方側、又は、後方側及び前方側に、配置されている、請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記受け部材によって回収された粉体を回収するように構成された受け部材用回収装置をさらに備える、請求項2に記載の粉体供給装置。
【請求項6】
前記吸引部材によって回収された粉体を回収するように構成された吸引部材用回収装置をさらに備える、請求項3に記載の粉体供給装置。
【請求項7】
前記粉体供給装置は、立体物を前記造形プレート上に造形するように構成された付加製造装置に適用されている、請求項1に記載の粉体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、造形プレート上に粉体を供給するための粉体供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この特許文献1には、立体物を造形するための付加製造装置に適用された粉体供給装置が開示されている。より具体的には、この特許文献1に係る粉体供給装置は、いわゆる「接触式のリコータ」を有している。この接触式のリコータは、粉体供給用のホッパの下方に配置された回転部材(ローラ)を備え、この回転部材がホッパから造形プレート上に供給された粉体の上面に接触しながら所定方向に移動することで、造形プレート上に粉体を所定の厚みで配置するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような接触式のリコータの場合、このリコータが粉体に接触する際に、リコータからの力が造形プレート上の粉体のみならず立体物にも加わるおそれがある。この場合、造形プレート上の立体物に変形や破損等の不具合が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、リコータとして、粉体にガスを吹き付けながら移動することで造形プレート上に粉体を配置するように構成された「非接触式のリコータ」を用いることが考えられる。しかしながら、このような非接触式のリコータを用いた場合、このリコータが吹き付けたガスによって粉体の一部が飛散し、この飛散した粉体が、造形プレート上の粉体(既に厚みが調整された粉体)の上に堆積するおそれがある。この場合、造形プレート上への粉体の配置作業が遅延するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、リコータが吹き付けたガスによって飛散した粉体によって、造形プレート上への粉体の配置作業が遅延することを抑制することができる技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る粉体供給装置は、粉体にガスを吹き付けながら移動することで、造形プレート上に前記粉体を配置するように構成された、非接触式のリコータと、前記非接触式のリコータと共に移動し、且つ、前記非接触式のリコータが吹き付けたガスによって飛散した粉体を回収するように構成された粉体回収装置と、を備える。
【0008】
この態様によれば、非接触式のリコータが吹き付けたガスによって飛散した粉体を粉体回収装置によって回収することができる。これにより、造形プレート上への粉体の配置作業が、飛散した粉体によって遅延することを抑制することができる。
【0009】
(態様2)
上記の態様1において、前記粉体回収装置は、前記飛散した粉体を受けることで前記飛
散した粉体を回収するように構成された受け部材を備えていてもよい。
【0010】
(態様3)
上記の態様1又は2において、前記粉体回収装置は、前記飛散した粉体を吸引することで前記飛散した粉体を回収するように構成された吸引部材を備えていてもよい。
【0011】
(態様4)
上記の態様1~3のいずれか一態様において、前記粉体回収装置は、前記非接触式のリコータの移動方向で前記非接触式のリコータの後方側、又は、前方側、又は、後方側及び前方側に、配置されていてもよい。
【0012】
(態様5)
上記の態様2は、前記受け部材によって回収された粉体を回収するように構成された受け部材用回収装置をさらに備えていてもよい。
【0013】
(態様6)
上記の態様3は、前記吸引部材によって回収された粉体を回収するように構成された吸引部材用回収装置をさらに備えていてもよい。
【0014】
(態様7)
上記の態様1~6のいずれか一態様に係る粉体供給装置は、立体物を前記造形プレート上に造形するように構成された付加製造装置に適用されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(A)及び
図1(B)は、実施形態に係る付加製造装置を説明するための模式図である。
【
図2】
図2(A)は、実施形態に係る粉体供給装置のリコータ及び粉体回収装置の周辺構成を示す模式的な断面図である。
図2(B)は、リコータの吹き出し口の他の一例を示す模式的な断面図である。
【
図3】
図3(A)は実施形態に係るリコータの模式的な下面図である。
図3(B)は実施形態に係る粉体回収装置の模式的な斜視図である。
【
図4】実施形態の変形例1に係る粉体供給装置のリコータ及び粉体回収装置の周辺構成を示す模式的な断面図である。
【
図5】実施形態の変形例2に係る粉体供給装置のリコータ及び粉体回収装置の周辺構成を示す模式的な断面図である。
【
図6】実施形態の変形例2に係る粉体回収装置の吸引部材の模式的な下面図である。
【
図7】実施形態の変形例3に係る受け部材用回収装置の周辺構成を示す模式的な断面図である。
【
図8】実施形態の変形例4に係る受け部材用回収装置の周辺構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面は、特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、図面には、必要に応じて、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
【0017】
本実施形態に係る粉体供給装置20は、一例として、材料を積層することによって立体物を造形するように構成された付加製造装置1(Aditive Manufacturing装置(「AM装置」))に適用されている。そこで、まずは、この付加製造装置1の概略について説明し、次いで、粉体供給装置20の詳細について説明する。
【0018】
図1(A)及び
図1(B)は、本実施形態に係る付加製造装置1を説明するための模式図である。具体的には、
図1(A)は、付加製造装置1の主要な構成を模式的に示す平面図であり、
図1(B)は、付加製造装置1の主要な構成を模式的に示す断面図である。なお、
図1(A)において、後述する筐体5の図示は省略されている。
【0019】
図1(A)及び
図1(B)を参照して、付加製造装置1は、照射装置2と、造形プレート3と、事前供給装置4と、粉体供給装置20と、制御装置10と、を備えている。
【0020】
制御装置10は、付加製造装置1の動作を統合的に制御するための装置である。具体的には、本実施形態に係る制御装置10は、マイクロコンピュータを備えている。このマイクロコンピュータは、プロセッサ11や、非一時的な記憶媒体としての記憶装置12、等を備えている。制御装置10においては、プロセッサ11が、記憶装置12に記憶されているプログラムの指令に基づいて作動することで、付加製造装置1の動作を制御する。
【0021】
照射装置2は、造形プレート3上に配置された立体物の材料としての粉体Pdにビーム(レーザービーム、又は、電子ビーム)を照射するように構成されている。ビームが照射された粉体Pdが溶融し、この溶融した粉体Pdが凝固することで、造形プレート3上に立体物が造形される。具体的には、照射装置2は、制御装置10に記憶された三次元データに基づいてビームを照射する。なお、照射装置2は、制御装置10の指示を受けて、X方向、-X方向、Y方向、及び、-Y方向に移動できるように構成されていることが好ましい。
【0022】
造形プレート3は、立体物が造形されるプレートであり、具体的には、この造形プレート3の上に立体物が造形される。
図1(B)を参照して、本実施形態に係る造形プレート3は、一例として、付加製造装置1の筐体5の内部に設けられた造形室6に配置されている。造形プレート3は、制御装置10によって制御される駆動装置(図示せず)によって駆動されることで、造形室6の内部で昇降する。具体的には、本実施形態に係る造形プレート3は、駆動装置によって駆動されることで、造形プレート3の上面の上に立体物が一層造形される毎に、下方に移動するように構成されている。
【0023】
事前供給装置4は、立体物の材料となる粉体Pdが造形プレート3上に配置される前段階で、粉体Pdを所定の箇所に供給するための装置である。
図1(B)を参照して、本実施形態に係る事前供給装置4は、一例として、供給プレート8を備えている。この供給プレート8は、付加製造装置1の筐体5の内部に設けられた材料室7の内部に配置されている。そして、供給プレート8は、制御装置10によって制御される駆動装置(図示せず)によって駆動されることで、材料室7の内部で昇降する。
【0024】
具体的には、本実施形態に係る供給プレート8は、粉体Pdを造形プレート3上に配置する際に、上方に移動する。より具体的には、供給プレート8は、上方に所定距離だけ移動することで、
図1(B)に例示するように、供給プレート8の上に配置された粉体Pdの上面を筐体5の上端よりも所定距離だけ上方に突出させる。この状態で、後述する粉体供給装置20のリコータ30が、この供給プレート8の上の粉体Pd(具体的には、筐体5の上端よりも上方に突出した粉体Pd)を造形プレート3上に移動させる。これにより、造形プレート3上に粉体Pdを配置することができる。
【0025】
なお、事前供給装置4の構成は上述した構成に限定されるものではなく、公知の他の構成を用いることができる。事前供給装置4の他の一例を挙げると、事前供給装置4として、特許文献1に例示されているような、粉体Pdを重力を利用して供給するように構成されたホッパ部材を用いることもできる。
【0026】
この場合、ホッパ部材は、一例として、造形プレート3の上方に配置されて、粉体Pdを造形プレート3の所定の箇所(例えば上面の外縁等)に供給してもよい。そして、この所定の箇所に配置された粉体Pdを後述するリコータ30が造形プレート3の上面に全体的に移動させることで、粉体Pdを造形プレート3上に所定の厚みで配置してもよい。あるいは、ホッパ部材が粉体Pdを造形プレート3の上面全体に供給し、次いで、後述するリコータ30がこの粉体Pdを所定の厚みに調整してもよい(すなわち、粉体Pdを造形プレート3上に所定の厚みで配置してもよい)。
【0027】
なお、粉体Pdの具体的な材質は特に限定されるものではなく、樹脂や金属等、公知の材質を用いることができる。
【0028】
続いて、粉体供給装置20の詳細について説明する。
図1(A)及び
図1(B)を参照して、粉体供給装置20は、造形プレート3上に粉体Pdを供給するための装置である。具体的には、本実施形態に係る粉体供給装置20は、造形プレート3上に粉体Pdを所定の厚みで配置する。本実施形態に係る粉体供給装置20は、非接触式のリコータ30(以下、単に「リコータ30」と称する)と、粉体回収装置40と、を備えている。
【0029】
リコータ30及び粉体回収装置40は、所定方向(本実施形態ではX及び-X方向)に延在する移動軸21に係合しており、この移動軸21の方向に移動することができるように構成されている。
【0030】
この一例として、本実施形態に係る移動軸21は、例えばボールねじを有する駆動機構を備えており、この駆動機構によって、リコータ30及び粉体回収装置40を移動軸21の延在方向(X及び-X方向)に移動させる。すなわち、本実施形態に係る移動軸21は、リコータ30及び粉体回収装置40を所定方向に移動させるための移動機構(又は駆動機構)の一例である。なお、本実施形態において、リコータ30及び粉体回収装置40の移動速度は同じである。
【0031】
図2(A)は、本実施形態に係る粉体供給装置20のリコータ30及び粉体回収装置40の周辺構成を示す模式的な断面図である。具体的には、
図2(A)は、リコータ30が造形プレート3上に粉体Pdを配置している様子を模式的に断面図示している。なお、
図2(A)において、前述した移動軸21等の図示は省略されている。また、
図2(A)において、リコータ30及び粉体回収装置40の移動方向の一例が「dr」で例示されている。具体的には、
図2(A)に例示するリコータ30及び粉体回収装置40は、一例として-X方向に移動している。
図3(A)は、リコータ30の模式的な下面図である。
図3(B)は、粉体回収装置40の模式的な斜視図である。
【0032】
図2(A)及び
図3(A)を参照して、リコータ30は、粉体PdにガスGaを吹き付けながら所定方向に移動することで、造形プレート3上に粉体Pdを配置するように構成されている。
【0033】
具体的には、本実施形態に係るリコータ30は、事前供給装置4から造形プレート3に供給された粉体Pdに対して、ガスGaを吹き付けるように構成された吹き付け部材31を備えている。本実施形態において、吹き付け部材31は、一例として、Y方向に配列した複数の吹き出し口32を有している。但し、吹き付け部材31の構成は、これに限定さ
れるものではない。例えば、吹き付け部材31は、吹き出し口32を1つのみ有し(すなわち、単一の吹き出し口32を有し)、この単一の吹き出し口32がY方向に延在する形状(Y方向を長手方向とする形状)を有していてもよい。
【0034】
吹き付け部材31は、ガス供給装置22(例えば、ポンプやポンべ等)に配管を介して連通されており、このガス供給装置22から供給されたガスGaを粉体Pdに吹き付ける。ガスGaの具体的な種類は、特に限定されるものではなく、空気を用いてもよく、あるいは、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。リコータ30の動作は、制御装置10が制御している。
【0035】
リコータ30は、造形プレート3の上方に配置されて、例えば-X方向に移動しながら、下方に向けてガスGaを吹き付けることで、粉体Pdを飛散させる。これにより、造形プレート3上に粉体Pdを所定の厚み(t)で配置することができる(換言すると、造形プレート3上に粉体Pdを薄く敷き詰めることができる)。なお、リコータ30が敷き詰める粉体Pdの厚み(所定の厚み(t))は、一定値であってもよく、あるいは、ある程度の数値幅を有する値であってもよい。
【0036】
なお、リコータ30は、造形プレート3上に立体物が一層造形される毎に、粉体Pdを造形プレート3上に配置することが好ましい。
【0037】
本実施形態によれば、リコータ30が、粉体Pdに直接接触することなく(すなわち粉体Pdに非接触の状態で)、造形プレート3上に粉体Pdを配置することができる。これにより、仮に造形プレート3の粉体Pdの内部に立体物(造形中の立体物)が存在する場合であっても、この立体物に過度の外力が加わることを抑制することができる。これにより、立体物に変形や破損等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0038】
なお、リコータ30の吹き出し口32の向きは、
図2(A)に例示するような真下の方向に限定されるものではない。例えば、
図2(B)に例示するように、リコータ30の吹き出し口32は、斜め下方側に向けて(具体的には、真下よりもリコータ30の移動方向で前方側に向けて)、ガスGaを吹き出すように構成されていてもよい。
【0039】
図2(A)及び
図3(B)を参照して、粉体回収装置40は、リコータ30が所定方向に移動する際にリコータ30と共に移動し(すなわち、リコータ30の移動方向と同じ方向(所定方向)に移動し)、且つ、リコータ30が吹き付けたガスGaによって飛散した粉体Pdを回収するように構成されている。
【0040】
粉体回収装置40は、ガスGaによって飛散した粉体Pdのできるだけ多くを回収することが好ましいが、飛散した粉体Pdの全てを回収する必要はない。すなわち、粉体回収装置40は、ガスGaによって飛散した粉体Pdの少なくとも一部を回収するように構成されていればよい。
【0041】
本実施形態に係る粉体回収装置40は、一例として、ガスGaによって飛散した粉体Pdを受けることで粉体Pdを回収するように構成された受け部材41を備えている。本実施形態に係る受け部材41は、一例として、リコータ30の移動方向でリコータ30よりも後方に配置されている。具体的には、本実施形態に係る受け部材41は、リコータ30に接触せずに、リコータ30との間に所定の空間を有して、リコータ30の後方に配置されている。
【0042】
このように受け部材41がリコータ30の後方に配置されていることで、ガスGaによって飛散した粉体Pdがリコータ30よりも後方の造形プレート3の上の粉体Pdに堆積
することを効果的に抑制することができる。
【0043】
なお、本実施形態において、リコータ30の移動開始と同時に受け部材41も移動を開始するが、この構成に限定されるものではない。例えば、受け部材41は、リコータ30が移動を開始してから所定時間経過後(例えば数秒経過後)に移動を開始してもよい。
【0044】
受け部材41の具体的な構成は、リコータ30が吹き付けたガスGaによって飛散した粉体Pdを受けることが可能なものであれば、特に限定されるものではないが、本実施形態に係る受け部材41は、一例として、受け皿部材42と、壁部材43とを備えている。
【0045】
本実施形態に係る受け皿部材42は、一例として、水平方向に延在した板状の部材によって構成されている。壁部材43は、一例として、受け皿部材42の所定箇所(本実施形態では、一例として、受け皿部材42におけるリコータ30から遠い側にある端部)から上方に延在した板状の部材によって構成されている。
【0046】
リコータ30が吹き付けたガスGaによって飛散した粉体Pdの少なくとも一部は、受け皿部材42の上に直接載ることで、又は、壁部材43に当たった後に受け皿部材42の上に載ることで、受け皿部材42の上に堆積する。これにより、ガスGaによって飛散した粉体Pdを受け部材41によって回収することができる。
【0047】
受け部材41と造形プレート3との距離の具体的な値や、受け部材41とリコータ30との距離の具体的な値は、特に限定されるものではないが、例えば、ガスGaによって飛散した粉体Pdをできるだけ多く受け入れ可能な値に設定されていることが好ましい。この受け部材41の好適な配置箇所は、例えば、実験やシミュレーションを行って、適宜設定すればよい。
【0048】
以上説明したような本実施形態によれば、リコータ30が吹き付けたガスGaによって飛散した粉体Pdを粉体回収装置40(具体例として、受け部材41)によって回収することができる。これにより、造形プレート3上への粉体Pdの配置作業が、飛散した粉体Pdによって遅延することを抑制することができる。
【0049】
(変形例1)
続いて、実施形態の変形例1に係る粉体供給装置20aについて説明する。
図4は、本変形例に係る粉体供給装置20aのリコータ30及び粉体回収装置40の周辺構成を示す模式的な断面図である。なお、
図4において、造形プレート3等の図示は省略されている。
【0050】
本変形例に係る粉体供給装置20aは、粉体回収装置40が、リコータ30の移動方向でリコータ30の前方に配置されている点において、前述した実施形態に係る粉体供給装置20と異なっている。
【0051】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。具体的には、本変形例によれば、ガスGaによって飛散した粉体Pdがリコータ30よりも前方の造形プレート3の上の粉体Pdの上に多量に堆積することを抑制することができる。これにより、造形プレート3上への粉体Pdの配置作業が、この多量に飛散した粉体Pdによって遅延することを抑制することができる。
【0052】
なお、本変形例に係る粉体供給装置20aは、粉体回収装置40をリコータ30よりも後方にさらに備えていてもよい。すなわち、この場合、粉体供給装置20aは、リコータ30よりも前方に配置された粉体回収装置40と、リコータ30よりも後方に配置された
粉体回収装置40と、を備える。
【0053】
(変形例2)
続いて、実施形態の変形例2に係る粉体供給装置20bについて説明する。
図5は、本変形例に係る粉体供給装置20bのリコータ30、及び、後述する粉体回収装置40bの周辺構成を示す模式的な断面図である。
図6は、粉体回収装置40bの後述する吸引部材45の模式的な下面図である。
【0054】
図5及び
図6を参照して、本変形例に係る粉体供給装置20bは、粉体回収装置40に代えて、粉体回収装置40bを備える点で、前述した実施形態に係る粉体供給装置20と異なっている。粉体回収装置40bは、吸引部材45を備える点で、前述した実施形態に係る粉体回収装置40と異なっている。
【0055】
吸引部材45は、リコータ30と共に所定方向に移動するとともに、リコータ30が吹き付けたガスGaによって飛散した粉体Pdを吸引することで、この飛散した粉体Pdを回収するように構成されている。具体的には、本変形例に係る吸引部材45は、一例として、Y方向に配列した複数の吸引口46を有している(
図6参照)。但し、吸引部材45の構成は、これに限定されるものではない。例えば、吸引部材45は、単一の吸引口46を有し、この単一の吸引口46がY方向に延在する形状(Y方向を長手方向とする形状)を有していてもよい。
【0056】
また、本変形例に係る吸引部材45は、配管を介して吸引ポンプ47(真空発生装置)に連通されている。この吸引ポンプ47の動作は制御装置10が制御している。吸引ポンプ47が作動することで、吸引部材45は、粉体Pdを空気とともに吸引する。なお、吸引ポンプ47に代えて、エジェクタ等の真空発生装置を用いることもできる。
【0057】
図5に例示するように、粉体供給装置20bは、吸引部材45が吸引した粉体Pd(すなわち、吸引部材45によって回収された粉体Pd)を回収するように構成された、吸引部材用回収装置57をさらに備えていることが好ましい。この構成によれば、吸引部材45によって回収された粉体Pdを回収することができる。
【0058】
吸引部材用回収装置57の具体的な構成は、特に限定されるものではないが、例えば、回収容器等を用いることができる。この回収容器は、吸引ポンプ47に連通されている。この場合、吸引部材45が吸引した粉体Pdは、吸引ポンプ47を通過した後に、吸引部材用回収装置57としての回収容器によって回収される。なお、吸引部材用回収装置57によって回収された粉体Pdは、その後、粒度毎に分けられて、立体物の造形用に再利用されてもよい。
【0059】
なお、吸引部材用回収装置57は、吸引ポンプ47の下流側に配置された構成に限定されるものではない。吸引部材用回収装置57は、吸引ポンプ47の上流側(但し、吸引部材45の下流側)に配置されていてもよい。この場合においても、吸引部材45が吸引した粉体Pdを吸引部材用回収装置57によって回収することができる。
【0060】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、本変形例によれば、非接触式のリコータ30が吹き付けたガスGaによって飛散した粉体Pdを吸引部材45が吸引することで、この飛散した粉体Pdを回収することができる。これにより、造形プレート3上への粉体Pdの配置作業が、飛散した粉体Pdによって遅延することを抑制することができる。
【0061】
なお、
図5に例示する吸引部材45は、リコータ30の移動方向でリコータ30の後方
に配置されているが、この構成に限定されるものではない。前述した変形例1(
図4)の場合と同様に、吸引部材45は、リコータ30の移動方向でリコータ30の前方に配置されていてもよい。あるいは、吸引部材45は、リコータ30の前方、及び、リコータ30の後方に、それぞれ配置されていてもよい。
【0062】
また、粉体回収装置40bは、受け部材41(
図2(A))と吸引部材45(
図5)の両方を備えていてもよい。すなわち、この場合、粉体回収装置40bは、リコータ30が吹き付けたガスGaによって飛散した粉体Pdを受ける、及び、吸引することで、当該飛散した粉体Pdを回収するように構成される。
【0063】
(変形例3)
続いて、実施形態の変形例3に係る粉体供給装置20cについて説明する。本変形例に係る粉体供給装置20cは、リコータ30や粉体回収装置40を備える他に、受け部材用回収装置50をさらに備える点において、前述した実施形態に係る粉体供給装置20と異なっている。
図7は、本変形例に係る受け部材用回収装置50の周辺構成を示す模式的な断面図である。
【0064】
受け部材用回収装置50は、粉体回収装置40の受け部材41によって回収された粉体Pdをさらに回収するように構成されている。具体的には、本変形例に係る受け部材用回収装置50は、受け部材41によって回収された粉体Pd(受け部材41が受けた粉体Pd)を回収するための回収容器51を備えている。回収容器51は、上方が開口した有底の容器によって構成されている。
【0065】
本変形例によれば、受け部材41によって回収された粉体Pdを、受け部材用回収装置50によって回収することができる。
【0066】
なお、受け部材用回収装置50によって回収された粉体Pdは、その後、粒度毎に分けられて、立体物の造形用に再利用されてもよい。
【0067】
また、
図7に例示するように、本変形例に係る受け部材用回収装置50は、受け部材41の粉体Pdを回収容器51に回収させる際に、受け部材41を傾斜させるように構成された傾斜機構52を備えていてもよい。この構成によれば、受け部材41を傾斜させることができるので、受け部材41の粉体Pdを回収容器51に容易に回収させることができる。
【0068】
また、受け部材用回収装置50は、受け部材41の粉体Pdを回収容器51に回収させる際に、受け部材41に対して振動を付与するように構成された振動機構53を備えていてもよい。この構成によれば、受け部材41の粉体Pdを回収容器51に容易に回収させることができる。
【0069】
また、受け部材用回収装置50は、受け部材41の粉体Pdを回収容器51に回収させる際に、受け部材41の粉体Pdを掃き出すための掃き出し部材54を備えていてもよい。この掃き出し部材54は、例えば、その先端にブラシを備えており、このブラシによって、受け部材41の粉体Pdを回収容器51に掃き出す。この構成によれば、受け部材41の粉体Pdを回収容器51に容易に回収させることができる。
【0070】
なお、掃き出し部材54は、例えば、制御装置10によって制御された駆動装置(図示せず)によって駆動されることで、粉体Pdを自動的に掃き出すように構成されていてもよい。あるいは、掃き出し部材54は、ユーザによって手動で操作されることで粉体Pdを掃き出すように構成されていてもよい。
【0071】
(変形例4)
続いて、実施形態の変形例4に係る粉体供給装置20dについて説明する。本変形例に係る粉体供給装置20dは、受け部材用回収装置50に代えて、受け部材用回収装置50aを備える点において、前述した変形例3に係る粉体供給装置20cと異なっている。
図8は、本変形例に係る受け部材用回収装置50aの周辺構成を示す模式的な断面図である。
【0072】
本変形例に係る受け部材用回収装置50aは、吸引ノズル55を備える点で、前述した受け部材用回収装置50と異なっている。吸引ノズル55は、受け部材41の粉体Pdを吸引するように構成されている。具体的には、本変形例に係る吸引ノズル55は、例えば吸引ノズル55用の吸引ポンプ58(真空発生装置)に連通されており、受け部材41の粉体Pdを空気とともに吸引する。なお、吸引ポンプ58は、一例として、回収容器51に連通されており、吸引ポンプ58を経由した粉体Pdは回収容器51に回収される。
【0073】
本変形例においても、受け部材41の粉体Pdを、受け部材用回収装置50aの吸引ノズル55によって吸引して回収することができる。
【0074】
なお、本変形例において、吸引ポンプ58に代えて、エジェクタ等の真空発生装置を用いることもできる。また、回収容器51は、吸引ポンプ58の下流側に配置された構成に限定されるものではない。回収容器51は、吸引ポンプ58の上流側(但し、吸引ノズル55の下流側)に配置されていてもよい。この場合においても、吸引ノズル55が吸引した粉体Pdを回収容器51によって回収することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 付加製造装置
3 造形プレート
20 粉体供給装置
30 非接触式のリコータ
31 吹き付け部材
32 吹き出し口
40 粉体回収装置
41 受け部材
45 吸引部材
50 受け部材用回収装置
57 吸引部材用回収装置
Pd 粉体
Ga ガス