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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148213
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20241010BHJP
   B24B 47/26 20060101ALI20241010BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20241010BHJP
   B23Q 1/72 20060101ALI20241010BHJP
   B23B 19/02 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241010BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B23Q11/00 A
B24B47/26
B24B7/04 A
B23Q1/72 Z
B23B19/02 Z
H01L21/304 631
F16F15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061136
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史哲
(72)【発明者】
【氏名】加計 陽介
【テーマコード(参考)】
3C011
3C034
3C043
3C045
3C048
3J048
5F057
【Fターム(参考)】
3C011AA04
3C034AA08
3C034AA13
3C034BB15
3C034BB25
3C034BB73
3C034BB82
3C034CA24
3C034CB11
3C034DD10
3C034DD20
3C043BA04
3C043BA09
3C043CC04
3C043CC12
3C043DD06
3C043DD14
3C043EE01
3C045FD03
3C045FD06
3C045FD20
3C048BC04
3C048DD06
3C048DD16
3C048EE10
3J048AD07
3J048BF07
3J048CB17
3J048CB23
3J048EA07
5F057AA05
5F057AA53
5F057CA14
5F057DA11
5F057FA02
5F057FA13
5F057GA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加工工具の振動を低減する。
【解決手段】被加工物を加工する加工装置2であって、被加工物11を保持するチャックテーブル16と、円柱状のスピンドルと、スピンドルの一部を回転可能に収容するスピンドルハウジング34と、を有し、スピンドルの下端部には加工工具を装着可能である加工ユニット32a、32bと、スピンドルハウジング34に固定され、スピンドルの長手方向と交差する方向に沿って配置されている梁部と、梁部の長手方向において梁部に対してスライド可能に装着された錘と、を備え、梁部における錘の位置を調整することによって、スピンドルの回転時に生じる加工ユニットの振動を低減可能である加工装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工装置であって、
該被加工物を保持するチャックテーブルと、
円柱状のスピンドルと、該スピンドルの一部を回転可能に収容するスピンドルハウジングと、を有し、該スピンドルの下端部には加工工具を装着可能である加工ユニットと、
該スピンドルハウジングに固定され、該スピンドルの長手方向と交差する方向に沿って配置されている梁部と、
該梁部の長手方向において該梁部に対してスライド可能に装着された錘と、
を備え、
該梁部における該錘の位置を調整することによって、該スピンドルの回転時に生じる該加工ユニットの振動を低減可能であることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該梁部及び該錘は、該梁部の該長手方向における該錘の位置を決める位置決め機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)等の電子機器には、半導体デバイスチップが搭載されている。半導体デバイスチップは、半導体ウェーハ(以下、単にウェーハ)を加工して製造される。
【0003】
例えば、ウェーハの表面側において互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって区画された各矩形領域にIC(Integrated Circuit)等のデバイスを形成した後、ウェーハの裏面側を研削装置で研削して薄化し、次いで、各分割予定ラインに沿ってウェーハを切削装置でデバイス単位に分割することで、半導体デバイスチップが製造される。
【0004】
研削装置は、円盤状のチャックテーブルを有する。チャックテーブルの上方には、研削ユニット(即ち、加工ユニット)が配置されている。研削ユニットは、円柱状のスピンドルと、スピンドルを回転可能に収容しているスピンドルハウジングと、を含む。
【0005】
スピンドルは、通常、研削装置の高さ方向に沿って配置されている。スピンドルの下端部には、円盤状のマウントを介して円環状の研削ホイール(即ち、加工工具)が装着されている。研削ホイールは、円環状の基台と、基台の下面側に配置された複数の研削砥石と、を有する。
【0006】
ウェーハを研削する際には、まず、ウェーハの表面側を吸引保持する。そして、チャックテーブル及びスピンドルを所定方向に回転させながら、研削ユニットを下方に移動させることで、研削ホイールでウェーハの裏面側を研削する(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ウェーハの研削時に、スピンドルの回転数が、研削ユニットが持つ固有の共振周波数(即ち、固有振動数)に一致すると、共振が生じる。なお、研削ユニットの固有振動数は、1つの値の周波数だけではなく、複数の値の周波数を含む場合もある。
【0008】
研削ユニットにおいて共振が生じると、一体的に回転するスピンドル及び研削ホイールの振動が増強され、スピンドル及び研削ホイールが、高さ方向に直交する水平面内で比較的激しく振動することになる。
【0009】
この様に、研削ホイールが水平面内で比較的激しく振動すると、研削時に、ウェーハの割れ、被研削面に形成されるチッピングの数の増加、その他の異常等の研削不良が発生する。同様の問題は、他の加工装置でも生じ得る。
【0010】
例えば、スピンドルハウジング、スピンドル、マウント、研磨ホイール(即ち、加工工具)を有する研磨ユニット(即ち、加工ユニット)を備える研磨装置や、スピンドルハウジング、スピンドル、マウント、バイト切削ホイール(即ち、加工工具)を有するバイト切削ユニット(即ち、加工ユニット)を備えるバイト切削装置等においても、同様に、加工工具の平面方向での振動が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011-143516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、加工工具の振動を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、被加工物を加工する加工装置であって、該被加工物を保持するチャックテーブルと、円柱状のスピンドルと、該スピンドルの一部を回転可能に収容するスピンドルハウジングと、を有し、該スピンドルの下端部には加工工具を装着可能である加工ユニットと、該スピンドルハウジングに固定され、該スピンドルの長手方向と交差する方向に沿って配置されている梁部と、該梁部の長手方向において該梁部に対してスライド可能に装着された錘と、を備え、該梁部における該錘の位置を調整することによって、該スピンドルの回転時に生じる該加工ユニットの振動を低減可能である加工装置が提供される。
【0014】
好ましくは、該梁部及び該錘は、該梁部の該長手方向における該錘の位置を決める位置決め機構を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る加工装置は、スピンドルハウジングに固定された梁部と、梁部の長手方向において梁部に対してスライド可能に装着された錘と、を備える。当該加工装置では、梁部における錘の位置を調整することによって、スピンドルの回転時に生じる加工ユニットの振動を低減可能である。それゆえ、加工工具の振動を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】研削装置の斜視図である。
図2】粗研削ユニットの側面図である。
図3図3(A)は梁部及び錘の斜視図であり、図3(B)は梁部及び錘の一部断面側面図である。
図4】梁部及び錘の第1変形例を示す斜視図である。
図5図5(A)は梁部及び錘の第2変形例を示す斜視図であり、図5(B)は錘の底面側を示す斜視図である。
図6図6(A)は梁部及び錘の第3変形例を示す斜視図であり、図6(B)は梁部及び錘の正面側の一部断面図である。
図7図7(A)は第4変形例に係る梁部及び錘の正面側の一部断面図であり、図7(B)は、梁部に対する錘の固定が解除された状態を示す正面側の一部断面図である。
図8図8(A)は研磨装置を示す側面図であり、図8(B)はバイト切削装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、研削装置(加工装置)2の斜視図である。なお、図1では、構成要素の一部を機能ブロックで示す。図1において、X軸方向、Y軸方向(前後方向)、及び、Z軸方向(上下方向、研削送り方向)は互いに直交する。
【0018】
研削装置2は、構成要素を支持する直方体状の基台4を有する。基台4の前方(Y軸方向の一方)側には凹部4aが形成されており、この凹部4aには、ウェーハ(被加工物)11を搬送する搬送ロボット6が設けられている。
【0019】
搬送ロボット6は、多節リンク構造を有する。多節リンクの最上段のリンクの先端部には、エンドエフェクタと呼ばれるフォーク状のハンド部6aが設けられている。ハンド部6aは、ウェーハ11に非接触でウェーハ11を吸引保持できる。
【0020】
凹部4aのX軸方向の両側には、カセット載置領域8a,8bが設けられている。カセット載置領域8a,8bの各々には、研削前の1以上のウェーハ11を収容しているカセット10が載置されている。
【0021】
ウェーハ11は、円盤状の単結晶シリコンを有する。ウェーハ11の表面11a側には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス(不図示)が形成されている。研削(加工)時にデバイスへのダメージを低減するために、表面11aには樹脂製の保護テープ13が貼り付けられている。
【0022】
カセット載置領域8aの後方(Y軸方向の他方)には、搬送ロボット6により搬出されたウェーハ11を所定の位置に決めるための位置決めユニット12が設けられている。位置決めユニット12で、XY平面での位置が調整されたウェーハ11は、ローディングアーム14によりチャックテーブル16へ搬送される。
【0023】
位置決めユニット12の後方には、円盤状のターンテーブル18が設けられている。ターンテーブル18は、120°又はその整数倍の単位で、時計回り又は反時計回りに回転可能である。
【0024】
ターンテーブル18の上面側は、放射状に設けられた各々直線状の複数の仕切板により、3つの扇状領域に区切られており、各扇状領域には1つのチャックテーブル16が設けられている。
【0025】
ローディングアーム14に最も近い扇状領域に配置されるチャックテーブル16の位置は、ウェーハ11の搬入又は搬出が行われる搬入搬出位置Aである。搬入搬出位置Aから上面視で時計回りに略120度進んだ位置は、ウェーハ11の粗研削が行われる粗研削位置Bである。
【0026】
また、搬入搬出位置Aから上面視で反時計回りに略120度進んだ位置は、ウェーハ11の仕上げ研削が行われる仕上げ研削位置Cである。各チャックテーブル16は、ターンテーブル18の回転により、搬入搬出位置A、粗研削位置B及び仕上げ研削位置Cのいずれかに選択的に配置される。
【0027】
チャックテーブル16は、非多孔質の緻密なセラミックスで形成された円盤状の枠体を有する。枠体の上面側には、円盤状の凹部が形成されており、この凹部には多孔質セラミックスで形成された円盤状の多孔質板が固定されている。
【0028】
多孔質板には、枠体に形成されている所定の流路を介して、真空ポンプ等の吸引源(不図示)から負圧が伝達される。枠体及び多孔質板の上面は、略面一となっており、ウェーハ11を吸引保持する保持面16aとして機能する。
【0029】
なお、インフィード研削を行う研削装置2において、保持面16aは、中央部が外周部に比べて極僅かに(例えば、20μmだけ)突出する円錐形状を有する。チャックテーブル16は、円錐形状の保持面16aの一部がXY平面と略平行になる様に、その中心軸がZ軸方向から僅かに傾けられている。
【0030】
各チャックテーブル16は、サーボモータ等の回転駆動源(不図示)から回転の動力が伝達され、所定の回転軸の周りに回転可能である。この所定の回転軸は、上述の中心軸と略一致し、Z軸方向から僅かに傾けられている。
【0031】
ターンテーブル18の後方には、基台4の上面から突出する態様で、四角柱状の支持構造20a,20bが設けられている。支持構造20a,20bの前面側にはボールねじ式の研削送りユニット22が設けられている。
【0032】
研削送りユニット22は、支持構造20a,20bの前面に固定されたZ軸方向に略平行な一対のZ軸ガイドレール24を有する。一対のZ軸ガイドレール24には、Z軸移動板26がスライド可能に取り付けられている。
【0033】
Z軸移動板26の後方(裏面)側には、ナット部(不図示)が設けられている。ナット部には、一対のZ軸ガイドレール24の間においてZ軸方向に沿って設けられたねじ軸28が、複数のボール(不図示)を介して回転可能に連結している。
【0034】
ねじ軸28の上端部には、ステッピングモータ等のモータ30が連結されている。モータ30でねじ軸28を回転させれば、Z軸移動板26は、Z軸ガイドレール24に沿ってZ軸方向に移動する。
【0035】
支持構造20aの前方に位置するZ軸移動板26の前面には、粗研削ユニット(加工ユニット)32aが設けられている。粗研削ユニット32aは、Z軸移動板26に固定された円筒状のスピンドルハウジング34を有する。
【0036】
スピンドルハウジング34は、その円筒の高さ方向がZ軸方向と略平行に配置されている。ここで、図2を参照し、粗研削ユニット32aについて説明する。図2は、粗研削ユニット32aの側面図である。
【0037】
スピンドルハウジング34内には、円柱状のスピンドル36の一部が回転可能に収容されている。スピンドル36は、その長手方向がZ軸方向に沿って配置されている。スピンドル36の上端部近傍には、サーボモータ等の回転駆動源(不図示)が設けられている。
【0038】
スピンドル36の下端部は、スピンドルハウジング34の下端部よりも下方に突出しており、この突出部には、円盤状のホイールマウント38の上面側の中央部が固定されている。
【0039】
ホイールマウント38の下面側には、ボルト等の固定部材(不図示)を介して、円環状の粗研削ホイール(加工工具)40aが装着されている。この様に、粗研削ホイール40aは、ホイールマウント38を介してスピンドル36の下端部に装着されている。
【0040】
粗研削ホイール40aは、アルミニウム合金等の金属材料で形成された円環状のホイール基台42を有する。ホイール基台42の上面は、ホイールマウント38の下面に接している。ホイール基台42の下面側には、各々ブロック状の複数の粗研削砥石44が固定されている。
【0041】
複数の粗研削砥石44は、ホイール基台42の周方向に沿って略等間隔で環状に配列されている。粗研削砥石44は、ダイヤモンド、cBN(cubic boron nitride)等の砥粒と、砥粒を固定するためのセラミックス、樹脂等の結合材(即ち、ボンド材)と、を有する。
【0042】
粗研削ホイール40aの直下には、ウェーハ11と粗研削砥石44との接触領域へ研削水(例えば、純水)を供給する研削水供給ノズル(不図示)が設けられている。研削水は、研削により生じた屑、熱等の除去に用いられる。
【0043】
粗研削時には、ウェーハ11を吸引保持したチャックテーブル16を所定の回転数(例えば、300rpm)で回転させると共に、スピンドル36を所定の回転数(例えば、4500rpm)で回転させる。
【0044】
更に、研削水供給ノズルから被研削領域へ所定の流量(例えば、4.0L/min)で研削水を供給すると共に、粗研削ユニット32aを下方へ所定の速度(例えば、6.0μm/s)で研削送りする。
【0045】
粗研削時には、粗研削砥石44の下面の軌跡で規定される環状の研削面がXY平面に対して略平行に配置されると共に、研削面における円弧状の略1/4の領域で、ウェーハ11の裏面11b側を研削する(インフィード研削)。
【0046】
ところで、粗研削時には、加工条件(代表的には、スピンドル36の回転数)、ウェーハ11の材質等に応じて、粗研削ホイール40aがXY平面内で振動することがある。
【0047】
例えば、高速回転するスピンドル36がXY平面内で振動する振動数(Hz)と、スピンドルハウジング34等を含む粗研削ユニット32aの固有振動数と、が一致したとき、共振が生じ、粗研削ホイール40aの振動は、特に激しくなる。
【0048】
粗研削ホイール40aがXY平面内で比較的激しく振動すると、粗研削時に、ウェーハ11の割れ、被研削面に形成されるチッピングの数の増加、その他の異常等の研削不良が発生する。
【0049】
そこで、本実施形態では、粗研削ユニット32aの固有振動数を変更可能な振動数変更機構50を、スピンドルハウジング34の頂部に設ける。振動数変更機構50は、梁部52を有する。
【0050】
梁部52の長手方向は、Z軸方向と直交するY軸方向(即ち、スピンドル36の回転軸方向と交差する方向)に沿って配置されている。梁部52は、例えば、アルミニウム合金等の金属で形成されている。
【0051】
本実施形態において、Y軸方向に沿う梁部52の奥行(即ち、梁部52の長手方向の長さ)は200mm、X軸方向に沿う梁部52の幅は60mm、Z軸方向に沿う梁部52の高さは30mmであり、梁部52の重量は0.2kgである。
【0052】
梁部52の基端部52aは、例えば、スピンドル36の回転中心36aと、スピンドルハウジング34の外周縁34aと、の間に位置している。梁部52の基端部52aは、ボルト、接着剤等により、スピンドルハウジング34の頂部に固定されている。
【0053】
梁部52の先端部52bは、スピンドルハウジング34の径方向においてスピンドルハウジング34の外周縁34aよりも外側に突出している。ここで、図3(A)及び図3(B)を参照し、梁部52及び錘54について更に説明する。
【0054】
図3(A)は、梁部52及び錘54の斜視図であり、図3(B)は、梁部52及び錘54の一部断面側面図である。梁部52の上面52cには、梁部52の長手方向に沿って略等間隔でそれぞれ円形の複数の穴52dが設けられている。
【0055】
各穴52dは、ねじ穴であり、各穴52dの内周側面には雌ねじ(不図示)が形成されている。複数の穴52dは、例えば、10mmの間隔で10個設けられているが、穴52dの間隔及び個数は上述の例に限定されない。
【0056】
梁部52の上面側には、穴52dに締結可能なボルト56を介して錘54が、装着されている。錘54は、例えば、ステンレス鋼等の金属で形成されており、ブロック形状を有する。
【0057】
本実施形態の錘54は、Y軸方向に沿う奥行が20mm、X軸方向に沿う幅が100mm、Z軸方向に沿う高さが40mmであり、重量が1.0kgである。但し、このサイズ及び重量は一例であり、錘54のサイズ及び重量は、この数値に限定されるものではない。
【0058】
なお、錘54は、必ずしも単体のブロックでなくてもよい。錘54は、Z軸方向に沿って複数の単位ブロック(不図示)を重ねることで構成されてもよい。例えば、Z軸方向に沿って5個の単位ブロックを重ねる場合、錘54は、Z軸方向に沿う高さが200mmとなり、重量が5.0kgとなる。
【0059】
X軸方向及び/又はY軸方向に沿って複数の単位ブロックを組み合わせることで、錘54を構成してもよい。錘54の好適な形状の一例は、直方体状のブロックであるが、錘54の形状はこの例に限定されるものではない。
【0060】
錘54は、X軸方向及びY軸方向の中央部においてZ軸方向に沿って形成された貫通穴54aを有する。貫通穴54aは、ボルト56の頭部を収容可能な大径部54aを含む。大径部54aの下方には、ボルト56の頭部よりも小径でありボルト56の軸部が貫通可能な小径部54aが形成されている。
【0061】
梁部52における複数の穴52dと、錘54の貫通穴54aと、ボルト56とは、梁部52の長手方向における錘54の位置を固定して錘54の位置を決める位置決め機構58を構成する。
【0062】
錘54を梁部52に固定する場合には、貫通穴54aの小径部54aと、梁部52の穴52dと、をXY平面内で位置合わせした上で、ボルト56を穴52dに締結する。錘54は、この様にして、梁部52に装着される。
【0063】
また、錘54の位置を変える場合には、一旦、ボルト56を穴52dから取り外した上で、錘54を移動させる。この様に、錘54は、梁部52の長手方向において梁部52に対してスライド可能である。錘54の移動後、ボルト56を穴52dに締結すれば、錘54を梁部52に再度固定できる。
【0064】
スピンドル36の回転時における粗研削ユニット32aの振動を低減するためには、例えば、まず、ウェーハ11の研削時に使用する回転数でスピンドル36を回転させた上で、錘54を梁部52の所定位置に固定し、錘54の各位置での粗研削ホイール40aの振動を測定又は観察する。
【0065】
粗研削ユニット32aの固有振動数は、錘54の固定位置を梁部52上で変えることにより変更される。そこで、錘54の固定位置を変えると共に粗研削ホイール40aの振動を測定又は観察し、粗研削ホイール40aの振動が最小となる錘54の位置を探索する。
【0066】
この様に、本実施形態では、スピンドル36の回転時に生じる粗研削ユニット32aの振動を低減可能であるので、粗研削ホイール40aの振動を低減できる。また、粗研削ホイール40aの振動に起因する加工不良も低減できる。
【0067】
図1に戻って、支持構造20aと同様に、支持構造20bの前面側にも研削送りユニット22が設けられている。支持構造20bに設けられた研削送りユニット22のZ軸移動板26の前面には、仕上げ研削ユニット(加工ユニット)32bが設けられている。
【0068】
仕上げ研削ユニット32bも、Z軸移動板26に固定された円筒状のスピンドルハウジング34を有する。スピンドルハウジング34内には円柱状のスピンドル(不図示)の一部が回転可能に収容されている。
【0069】
仕上げ研削ユニット32bにおいても、スピンドル36の上端部近傍には、サーボモータ等の回転駆動源(不図示)が設けられている。スピンドル36の下端部は、スピンドルハウジング34の下端部よりも下方に突出しており、この突出部には、円盤状のホイールマウント38の上面側の中央部が固定されている。
【0070】
ホイールマウント38の下面側には、ボルト等の固定部材(不図示)を介して、円環状の仕上げ研削ホイール(加工工具)40bが装着されている。この様に、仕上げ研削ホイール40bは、ホイールマウント38を介してスピンドル36の下端部に装着されている。
【0071】
仕上げ研削ホイール40bは、アルミニウム合金等の金属材料で形成された円環状のホイール基台を有する。ホイール基台の上面は、ホイールマウント38の下面に接している。ホイール基台の下面側には、各々ブロック状の複数の仕上げ研削砥石が固定されている。
【0072】
複数の仕上げ研削砥石は、ホイール基台の周方向に沿って略等間隔で環状に配列されている。仕上げ研削砥石も、砥粒及び結合材を有するが、仕上げ研削砥石を構成する砥粒の平均粒径は、粗研削砥石44を構成する砥粒の平均粒径に比べて小さい。
【0073】
仕上げ研削ホイール40bの直下にも、研削水供給ノズル(不図示)が設けられている。仕上げ研削時には、ウェーハ11を吸引保持したチャックテーブル16を所定の回転数(例えば、300rpm)で回転させると共に、スピンドル36を所定の回転数(例えば、4000rpm)で回転させる。
【0074】
更に、研削水供給ノズルから被研削領域へ所定の流量(例えば、4.0L/min)で研削水を供給すると共に、仕上げ研削ユニット32bを下方へ所定の速度(例えば、0.5μm/s)で研削送りする。
【0075】
仕上げ研削も、粗研削と同様に、研削面における円弧状の略1/4の領域で、ウェーハ11の裏面11b側を研削する(インフィード研削)。仕上げ研削時にも仕上げ研削ホイール40bがXY平面内で振動することがある。
【0076】
仕上げ研削ユニット32bを構成するスピンドルハウジング34の頂部にも、仕上げ研削ユニット32bの固有振動数を変更する振動数変更機構50が設けられている。錘54の固定位置を梁部52上で変えることにより、仕上げ研削ユニット32bの固有振動数を変更できる。
【0077】
研削時と同じ回転数でスピンドル36を回転させた状態で仕上げ研削ホイール40bの振動が最小となる錘54の位置を探索することで、スピンドル36の回転時に生じる仕上げ研削ユニット32bの振動を低減可能である。
【0078】
仕上げ研削が施されたウェーハ11は、ターンテーブル18の回転により搬入搬出位置Aへ戻された後、アンローディングアーム60によりチャックテーブル16からスピンナ洗浄装置62へ搬出される。
【0079】
スピンナ洗浄装置62で、裏面11b側が洗浄されたウェーハ11は、搬送ロボット6により、搬出元のカセット10へ戻される。研削装置2の各構成要素は、コントローラ64により制御される。
【0080】
コントローラ64は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、メモリ(記憶装置)と、を含むコンピューターによって構成されている。記憶装置は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含む。
【0081】
補助記憶装置には、所定のソフトウェアが記憶されており、このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、コントローラ64の機能が実現される。
【0082】
本実施形態の研削装置2では、梁部52における錘54の位置を調整することによって、スピンドル36の回転時に生じる粗研削ユニット32a及び仕上げ研削ユニット32bの振動を低減可能である。
【0083】
基本的には、振動数変更機構50により粗研削ユニット32a及び仕上げ研削ユニット32bの固有振動数を変更することで、スピンドル36の回転時における共振の発生が抑制される。
【0084】
なお、先端部近傍に位置する錘54により梁部52が撓んで、スピンドル36及び研削ホイールの振動を打ち消す様に作用することで、粗研削ユニット32a及び仕上げ研削ユニット32bに反共振が生じ、振動を略ゼロにできることもある。
【0085】
この様に、梁部52及び錘54を利用して粗研削ユニット32a及び仕上げ研削ユニット32bでの共振を抑制できるので、粗研削ホイール40a及び仕上げ研削ホイール40bの振動に起因する研削不良を低減できる。
【0086】
(第1変形例)図4は、梁部52及び錘54の第1変形例を示す斜視図である。第1変形例の梁部52は、各側面52eの上面52c側に、梁部52の長手方向に沿うガイド溝52fを有する。
【0087】
また、錘54は、錘54の下面側において、一対のガイド溝52fに噛み合う一対の爪部54bを有する。一対の爪部54bが一対のガイド溝52fに係合することにより、錘54は、梁部52の長手方向(即ち、Y軸方向)にスライド可能である。
【0088】
一対の爪部54bが一対のガイド溝52fに係合することにより、ボルト56を取り外した状態でも、幅方向(即ち、X軸方向)及び高さ方向(即ち、Z軸方向)において錘54を梁部52に固定できる。加えて、錘54の移動方向が、梁部52の長手方向に略限定される。
【0089】
上述の様に、粗研削ホイール40a及び仕上げ研削ホイール40bの振動が最小となる錘54の位置を探索する際には、スピンドル36を回転させた状態で、Y軸方向における錘54の位置を変更する必要がある。
【0090】
第1変形例では、錘54の移動方向が梁部52の長手方向に略限定されているので、梁部52の穴52dと、錘54の貫通穴54aと、の位置合わせが容易になる。それゆえ、錘54の固定位置を変更する際に、作業者の作業負担が減少する。
【0091】
(第2変形例)図5(A)は、梁部52及び錘54の第2変形例を示す斜視図である。第2変形例の梁部52も、第1変形例と同様にガイド溝52fを有する。但し、第2変形例の梁部52の上面52c側は、複数の穴52dを有しない。
【0092】
第2変形例の梁部52の上面52c側には、梁部52の幅方向の略中央部において、梁部52の基端部52aから先端部52bに亘って鋸刃状の周期的な凹凸を有する凹凸領域52gが設けられている。
【0093】
この周期的な凹凸は、梁部52の長手方向に沿って規則的に配列された複数の三角柱で構成されている。各三角柱における矩形状の側面の長手方向は梁部52の幅方向と略平行に配置されている。また、各三角柱における二つの矩形状の側面が、上面52cに露出している。
【0094】
図5(A)に示す例では、梁部52の長手方向の長さ200mmに対して60個の三角柱が設けられている。それゆえ、鋸刃状の凹凸のピッチは、約3.3mmである。但し、凹凸のピッチは、この例に限定されるものではない。
【0095】
第2変形例の梁部52も、梁部52の長手方向に沿うガイド溝52fを有する。そして、錘54は、一対のガイド溝52fに噛み合う一対の爪部54bを、その下面側に有する。但し、錘54は、貫通穴54aを有しない。
【0096】
第2変形例の錘54は、一対の爪部54bよりも錘54の上面側に位置する錘54の底面側において、梁部52の凹凸領域52gと噛み合う凹凸領域54cを有する。図5(B)は、錘54の底面側を示す斜視図である。
【0097】
凹凸領域54cは、錘54の幅方向の略中央部において、錘54の奥行方向の一端部から他端部に亘って鋸刃状の周期的な凹凸を有する。この周期的な凹凸は、錘54の奥行方向に沿って規則的に配列された複数の三角柱で構成されている。
【0098】
各三角柱における矩形状の側面の長手方向は錘54の幅方向と略平行に配置されており、各三角柱における二つの矩形状の側面は錘54の下面側に露出している。錘54の一対の爪部54bが梁部52のガイド溝52fに係合した状態で、錘54の凹凸領域54cは、梁部52の凹凸領域52gと噛み合う。
【0099】
梁部52における凹凸領域52g及び一対のガイド溝52fと、錘54の凹凸領域54c及び一対の爪部54bとは、梁部52の長手方向における錘54の位置を固定して錘54の位置を決める位置決め機構58を構成する。
【0100】
但し、梁部52のガイド溝52fと、錘54の一対の爪部54bとは、高さ方向において僅かに遊びがある。それゆえ、作業者が手で錘54を梁部52の長手方向に沿って移動させると、錘54が僅かに上昇すると共に、梁部52の凹凸領域52gと、錘54の凹凸領域54cと、の噛み合い位置を変更できる。
【0101】
第2変形例では、ボルト56(図4参照)を回転させて取り外すことが不要になるので、第1変形例に比べて錘54の位置を調整する際に作業者の作業負担を低減できる。また、隣接する凹部54d(図4参照)の間隔に比べて、凹凸領域52g,54cの凹凸の間隔が狭いので、錘54の位置をより細かく設定できる。
【0102】
(第3変形例)図6(A)は、梁部52及び錘54の第3変形例を示す斜視図であり、図6(B)は、梁部52及び錘54の正面側の一部断面図である。第3変形例の梁部52は、第1変形例と略同様に、ガイド溝52fと、複数の穴52hと、を有する。
【0103】
但し、第3変形例の穴52hは、第1変形例に示す穴52dの様なねじ穴ではなく、比較的浅く窪んだ穴であり、穴52hの底面は、凹球形状を有する。
【0104】
第3変形例の錘54は、幅方向及び奥行方向の中央部に、有頂円筒状の凹部54dを有する。この凹部54dには、図6(B)に示す様に、プランジャ66が設けられている。プランジャ66は、梁部52における1つの穴52hと略同径の円柱状のピン66aを有する。
【0105】
ピン66aは、凹部54dの円筒と略同じ外径を有し、錘54の高さ方向に沿って凹部54d内を移動可能である。ピン66aの先端部は、穴52hと嵌合する半球形状を有する。ピン66aの基端部には、コイルばね66bの一端部が固定されている。
【0106】
また、コイルばね66bの他端部は、凹部54dの頂面(即ち、凹部54dにおいて最も上面に近い面)に固定されている。コイルばね66bは、ピン66aの先端部が穴52hに嵌合する様にピン66aを付勢している。
【0107】
梁部52における複数の穴52h及び一対のガイド溝52fと、錘54の凹部54d及び一対の爪部54bと、プランジャ66とは、梁部52の長手方向における錘54の位置を固定して錘54の位置を決める位置決め機構58を構成する。
【0108】
作業者が長手方向に沿う力を錘54に印加して錘54を梁部52の長手方向に沿って移動させると、コイルばね66bが縮むと共に、ピン66aの先端部が一の穴52hから出て梁部52の上面52cと同じ高さ位置となる。
【0109】
そして、錘54を梁部52の長手方向に沿って更に移動させると、ピン66aの先端部が他の穴52hに嵌合すると共に、コイルばね66bは図6(B)に示す長さに戻る。この様にして、梁部52に対する錘54の位置を変更できる。
【0110】
第3変形例でも、ボルト56(図4参照)を回転させて取り外すことが不要になるので、第1変形例に比べて錘54の位置を調整する際に作業者の作業負担が減少する。
【0111】
なお、穴52h及びピン66aの形状は、上述の例に限定されない。例えば、穴52hが円筒状の穴である場合、ピン66aの先端部の形状は、穴52hと嵌合する円柱形状を採用できる。
【0112】
(第4変形例)図7(A)は、第4変形例に係る梁部52及び錘54の正面側の一部断面図であり、錘54が梁部52に固定された状態を示す。図7(B)は、梁部52に対する錘54の固定が解除された状態を示す正面側の一部断面図である。
【0113】
第4変形例の梁部52も、第1変形例と略同様に、ガイド溝52fと、複数の穴52iと、を有する。なお、第4変形例の穴52iは、雌ねじが形成されていない円筒状の穴である。
【0114】
第4変形例の錘54は、幅方向及び奥行方向の中央部において、上面から下面まで繋がった貫通孔68を有する。貫通孔68は、錘54の上面側に位置する小径部68aと、小径部68aよりも下面側に位置し小径部68aと同心状に配置された大径部68bと、を有する。
【0115】
錘54の貫通孔68には、プランジャ70が設けられている。プランジャ70は、ボルト70a、ナット70b及び圧縮コイルばね70cを有する。ボルト70aの頭部は、錘54の上面よりも突出する様に配置されており、ボルト70aの軸部は、貫通孔68内に配置されている。
【0116】
また、ボルト70aの軸部の所定位置には、ナット70bが係合している。このナット70bと、小径部68a及び大径部68bの境界に位置する環状の段差部と、の間には、圧縮コイルばね70cが配置されている。この圧縮コイルばね70cの内径を規定する円筒状の空洞部には、ボルト70aの軸部が挿入されている。
【0117】
梁部52における複数の穴52i及び一対のガイド溝52fと、錘54の貫通孔68d及び一対の爪部54bと、プランジャ70とは、梁部52の長手方向における錘54の位置を固定して錘54の位置を決める位置決め機構58を構成する。
【0118】
図7(A)に示す様に、圧縮コイルばね70cに付勢された状態でボルト70aの軸部の下端部が梁部52の穴52iに嵌合することで、錘54は梁部52に対して位置決めされる。
【0119】
梁部52に対して錘54を移動させる場合には、まず、ボルト70aの下端部が穴52iから抜ける様に、作業者が手でボルト70aを少し持ち上げる(図7(B)参照)。そして、作業者が手で錘54を梁部52の長手方向に沿って移動させる。長手方向に沿って移動させるときには、ボルト70aからは、手を放してもよい。
【0120】
ボルト70aが他の穴52iの直上に移動し、付勢力でボルト70aの下端部が当該他の穴52iに嵌ると、錘54の位置が固定される(図7(A)参照)。この様にして、梁部52に対する錘54の位置を変更できる。
【0121】
第4変形例でも、ボルト56(図4参照)を回転させて取り外すことが不要になるので、第1変形例に比べて錘54の位置を調整する際に作業者の作業負担が減少する。
【0122】
(第2の実施形態)図8(A)は、第2の実施形態に係る加工装置としての研磨装置72を示す側面図である。研磨装置72は、円筒状のスピンドルハウジング74を有する。スピンドルハウジング74は、ボールねじ式の移動機構(不図示)によりZ軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0123】
スピンドルハウジング74内には、円柱状のスピンドル76の一部が回転可能に収容されている。スピンドル76の上端部近傍には、サーボモータ等の回転駆動源(不図示)が設けられている。スピンドル76は、その長手方向がZ軸方向に沿って配置されている。
【0124】
スピンドル76の下端部は、スピンドルハウジング74の下端部よりも下方に突出している。スピンドル76の下端部には、金属製で円盤状のホイールマウント78の上面側の中央部が固定されている。ホイールマウント78の下面側には、ボルト等の固定部材(不図示)を介して、円環状の研磨ホイール(加工工具)80が装着されている。
【0125】
この様に、研磨ホイール80は、ホイールマウント78を介してスピンドル76の下端部に装着されている。研磨ホイール80は、硬質樹脂で形成されホイールマウント78と略同径の円環状のプラテン80aを有する。プラテン80aの上面は、ホイールマウント78の下面に接している。
【0126】
プラテン80aの下面側には、円環状の研磨パッド80bが固定されている。研磨パッド80bは、発泡ポリウレタン樹脂で形成された本体部と、本体部に固定された砥粒と、を含む。スピンドルハウジング74、スピンドル76、ホイールマウント78、研磨ホイール80等は、研磨ユニット(加工ユニット)82を構成する。
【0127】
スピンドルハウジング74の頂部には、研磨ユニット82の固有振動数を変更する振動数変更機構50が設けられている。振動数変更機構50は、第1の実施形態、第1から第4の変形例のいずれを適用してもよい。
【0128】
高速回転時においてスピンドル76がXY平面内で振動する振動数(Hz)と、研磨ユニット82の固有振動数と、が一致したとき、研磨ユニット82に共振が生じ、スピンドル76及び研磨ホイール80が特に激しく振動する。
【0129】
しかし、振動数変更機構50で研磨ユニット82の固有振動数を変更することで、研磨時に使用するスピンドル76の回転数に対して、研磨ホイール80の振動が最小となる錘54の位置を探索し、スピンドル76の回転時に生じる研磨ユニット82の振動を低減可能である。
【0130】
研磨ユニット82の下方には、円盤状のチャックテーブル84が設けられている。チャックテーブル84は、金属製で円盤状の枠体を有する。枠体の上面側には円盤状の凹部が形成されており、この凹部には、多孔質セラミックスで形成された多孔質板(不図示)が固定されている。
【0131】
多孔質板には、枠体に形成されている流路を介して、真空ポンプ等の吸引源(負圧)から負圧が伝達される。枠体の上面と、多孔質板の上面とは、略面一となっており、略平坦な保持面84aを形成する。チャックテーブル84は、保持面84aでウェーハ11を吸引保持できる。
【0132】
チャックテーブル84は、サーボモータ等の駆動源(不図示)から動力が伝達されることで、回転軸84bの周りに回転可能である。ウェーハ11を研磨する際には、例えば、まず、表面11a側を保持面84aで吸引保持する。
【0133】
次いで、スピンドル76及びチャックテーブル84を所定の方向に回転させると共に、裏面11bにスラリー(不図示)を供給しながら研磨パッド80bを裏面11bに押し当てる。これにより、裏面11b側が研磨される。
【0134】
(第3の実施形態)図8(B)は、第3の実施形態に係る加工装置としてのバイト切削装置92を示す側面図である。バイト切削装置92は、円筒状のスピンドルハウジング94を有する。スピンドルハウジング94は、ボールねじ式の移動機構(不図示)によりZ軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0135】
スピンドルハウジング94内には、円柱状のスピンドル96の一部が回転可能に収容されている。スピンドル96は、その長手方向がZ軸方向に沿って配置されている。スピンドル96の上端部近傍には、サーボモータ等の回転駆動源(不図示)が設けられている。
【0136】
スピンドル96の下端部は、スピンドルハウジング94の下端部よりも下方に突出している。スピンドル96の下端部には、金属製で円盤状のホイールマウント98の上面側の中央部が固定されている。ホイールマウント98の下面側には、ボルト等の固定部材(不図示)を介して、円環状のバイト切削ホイール(加工工具)100が装着されている。
【0137】
この様に、バイト切削ホイール100は、ホイールマウント98を介してスピンドル96の下端部に装着されている。バイト切削ホイール100は、ホイールマウント98と略同径の円環状の基台100aを有する。基台100aの上面は、ホイールマウント98の下面に接している。基台100aの下面側には、バイト工具100bが固定されている。
【0138】
バイト工具100bは、ダイヤモンド等で形成された切り刃と、この切り刃を基台100aに対して固定するためのフォルダと、を含む。スピンドルハウジング94、スピンドル96、ホイールマウント98、バイト切削ホイール100等は、バイト切削ユニット(加工ユニット)102を構成する。
【0139】
スピンドルハウジング94の頂部には、バイト切削ユニット102の固有振動数を変更する振動数変更機構50が設けられている。振動数変更機構50は、第1の実施形態、第1から第4の変形例のいずれを適用してもよい。
【0140】
高速回転時においてスピンドル96がXY平面内で振動する振動数(Hz)と、バイト切削ユニット102の固有振動数と、が一致したとき、バイト切削ユニット102に共振が生じ、スピンドル96及びバイト切削ホイール100が特に激しく振動する。
【0141】
しかし、振動数変更機構50でバイト切削ユニット102の固有振動数を変更することで、バイト切削時に使用するスピンドル96の回転数に対して、バイト切削ホイール100の振動が最小となる錘54の位置を探索して、スピンドル96の回転時に生じるバイト切削ユニット102の振動を低減可能である。
【0142】
バイト切削ユニット102の下方には、円盤状のチャックテーブル104が設けられている。チャックテーブル104は、チャックテーブル84と略同じ形状及び構造を有するので、詳細な説明を省略する。
【0143】
チャックテーブル104の下方には、Z軸方向に直交する所定方向(例えば、X軸方向)に沿ってチャックテーブル104を移動させるためのボールねじ式の移動機構(不図示)が設けられている。
【0144】
ウェーハ11に対してバイト切削を施す際には、例えば、まず、ウェーハ11の表面11a側を保持面104aで吸引保持する。次いで、バイト工具100bの下端部の高さ位置を、ウェーハ11の裏面11bよりも僅かに下方に配置する。
【0145】
この状態で、スピンドル96を所定の方向に回転させると共に、裏面11bに純水等の液体を供給しながら、ウェーハ11がバイト切削ホイール100の直下を通過する様に、上述の移動機構でチャックテーブル104を移動させる。これにより、裏面11b側にバイト切削が施される。
【0146】
その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。上述の振動数変更機構50は、スピンドルハウジング、スピンドル等(加工ユニット)を有し、スピンドルの先端部に円環状の切り刃を有する切削ブレード(加工工具)が装着される切削装置(加工装置)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0147】
2:研削装置(加工装置)
4:基台、4a:凹部
6:搬送ロボット、6a:ハンド部
8a,8b:カセット載置領域、10:カセット
11:ウェーハ(被加工物)、11a:表面、11b:裏面
13:保護テープ
12:位置決めユニット
14:ローディングアーム
16:チャックテーブル、16a:保持面
18:ターンテーブル
20a,20b:支持構造
22:研削送りユニット、24:Z軸ガイドレール、26:Z軸移動板
28:ねじ軸、30:モータ
32a:粗研削ユニット(加工ユニット)
32b:仕上げ研削ユニット(加工ユニット)
34:スピンドルハウジング、34a:外周縁
36:スピンドル、36a:回転中心
38:ホイールマウント
40a:粗研削ホイール(加工工具)
40b:仕上げ研削ホイール(加工工具)
42:ホイール基台、44:粗研削砥石
50:振動数変更機構
52:梁部
52a:基端部、52b:先端部、52c:上面、52d,52h,52i:穴
52e:側面、52f:ガイド溝、52g:凹凸領域
54:錘
54a:貫通穴、54a:大径部、54a:小径部、54b:爪部
54c:凹凸領域、54d:凹部
56:ボルト
58:位置決め機構
60:アンローディングアーム
62:スピンナ洗浄装置
64:コントローラ
66:プランジャ、66a:ピン、66b:コイルばね
68:貫通孔、68a:小径部、68b:大径部
70:プランジャ、70a:ボルト、70b:ナット、70c:圧縮コイルばね
72:研磨装置(加工装置)
74:スピンドルハウジング、76:スピンドル
78:ホイールマウント
80:研磨ホイール(加工工具)、80a:プラテン、80b:研磨パッド
82:研磨ユニット(加工ユニット)
84:チャックテーブル、84a:保持面、84b:回転軸
92:バイト切削装置(加工装置)
94:スピンドルハウジング、96:スピンドル
98:ホイールマウント
100:バイト切削ホイール(加工工具)
100a:基台、100b:バイト工具
102:バイト切削ユニット(加工ユニット)
104:チャックテーブル、104a:保持面
A:搬入搬出位置、B:粗研削位置、C:仕上げ研削位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8