(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148227
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】油分離器
(51)【国際特許分類】
B01D 45/08 20060101AFI20241010BHJP
B01D 46/10 20060101ALI20241010BHJP
B01D 45/12 20060101ALI20241010BHJP
B04C 3/00 20060101ALI20241010BHJP
B01D 50/00 20220101ALI20241010BHJP
B01D 50/20 20220101ALI20241010BHJP
B04C 9/00 20060101ALI20241010BHJP
F04B 39/04 20060101ALI20241010BHJP
F25B 43/02 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B01D45/08
B01D46/10 E
B01D45/12
B04C3/00 Z
B01D50/00 501A
B01D50/00 501G
B01D50/00 501J
B01D50/00 502A
B01D50/20
B04C9/00
F04B39/04 G
F25B43/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061172
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松元 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】郡川 和治
(72)【発明者】
【氏名】大平 浩康
(72)【発明者】
【氏名】冨山 靖司
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 延王
【テーマコード(参考)】
3H003
4D031
4D053
4D058
【Fターム(参考)】
3H003AC03
3H003BH05
3H003CD05
3H003CF00
4D031AB02
4D031AC04
4D031BA01
4D031BA03
4D031BA07
4D031BA10
4D031DA01
4D031DA05
4D031EA01
4D053AA01
4D053AB01
4D053BA01
4D053BB08
4D053BC01
4D053BC05
4D053BD01
4D053CB13
4D053DA02
4D053DA03
4D058JA12
4D058JA19
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA06
4D058QA07
4D058QA08
4D058SA16
(57)【要約】
【課題】小型であって、高効率の分離性能を備える油分離器を提供する。
【解決手段】
油分離器1は、本体部10と、本体部の上部に連通して設けられ、気液混合物を導入する導入路20と、気液混合物が下方向に通過するように設置されたフィルタ55と、本体部の内壁に固定され、一部に開口部60Hを備え、フィルタを通過した気液混合物に含まれる油が慣性衝突する第1仕切り板60と、第1仕切り板の下方に設けられ、油が分離されたガスが流出する導出路30と、第1仕切り板と連結され、開口部および導出路を互いに反対側となるように区画するとともに、鉛直方向に導出路よりも下方まで延在する第2仕切り板70と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液混合物からガスおよび油を分離する油分離器であって、
本体部と、
前記本体部の上部に連通して設けられ、前記気液混合物を導入する導入路と、
前記気液混合物が下方向に通過するように設置されたフィルタと、
前記本体部の内壁に固定され、少なくとも一部に開口部を備え、前記フィルタを通過した前記気液混合物に含まれる前記油が慣性衝突する第1仕切り板と、
前記第1仕切り板の下方に設けられ、前記油が分離された前記ガスが流出する導出路と、
前記第1仕切り板と連結され、前記開口部および前記導出路を互いに反対側となるように区画するとともに、前記導出路よりも下方まで延在する第2仕切り板と、を有する、油分離器。
【請求項2】
前記導入路と前記フィルタの間に設けられ、前記油を遠心分離するサイクロン領域をさらに有する、請求項1に記載の油分離器。
【請求項3】
前記第2仕切り板の下方に設けられ、前記第1仕切り板の前記開口部を通過した前記気液混合物に含まれる前記油が慣性衝突する第3仕切り板をさらに有する、請求項1または2に記載の油分離器。
【請求項4】
前記サイクロン領域のうち、前記本体部の内部にはパイプが配置される、請求項2に記載の油分離器。
【請求項5】
前記第3仕切り板は、水平方向に対して傾斜するように配置されている、請求項3に記載の油分離器。
【請求項6】
前記フィルタは、上方から視て、半円分だけ配置される、請求項3に記載の油分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液混合物からガスおよび油を分離する油分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
空気、冷媒ガス、プロセスガスなどのガスを圧縮するガス圧縮機は、圧縮機に吸入された空気やガスなどの気体に、冷却、潤滑等を目的として、冷凍機油等の潤滑油(以下、油と称する)が用いられる。したがって、圧縮機から吐出されたガス中には、油が混在している。
【0003】
このため、圧縮機から吐出されたガスは、一旦油分離器に導入されて、油分離器内において油を分離する必要がある。このような油分離器には、縦型および横型の油分離器が存在する。
【0004】
縦型の油分離器としては、特許文献1に示すようなフィルタ方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
縦型の油分離器は横型の油分離器と比較すると、底面積がコンパクトにできる一方、分離効率が下がるため、分離効率を高めるためには大型化する方法もあるが、大型化すると、油分離器の設置スペース確保が困難となるとともに、製作コストの増加にもつながるために、油分離器の小型化が求められている。
【0007】
また、特許文献1に示されるように分離効率を高めるために複数のフィルタを用いる方式は目の細かいろ紙で油を捕捉するため、微小な油粒子を捕捉することは可能であるが、エレメントを通過するガスの量が増えると圧力損失が増大する。ガスを許容流量以上流すとエレメントが捕捉している油が再同伴されることとなる。処理できるガスの量はろ紙の面積に依存しており、エレメントの寸法はある程度決まっているため、ガス量が増えるとエレメントの数を増やして対応する必要があるため、容器の小型化は困難である。
【0008】
また、デミスタ方式は、細い線径のワイヤーを織ってメッシュ構造としたものであり、ろ紙ほどの目の細かさはないため、微小な油粒子を捕捉することが難しい。縦型の油分離器として使用する際は、ガスが上昇流となる方向で使用し、デミスタの許容通過流速以下で使用している。ガスの通過流速が許容流速を超えると、デミスタが捕捉している油が再同伴されるようになり油上がりが発生するため、ガスが許容通過流速を超えないようにデミスタの通過面積を広くしなければならない。したがって、容器の胴径を大きくする必要がある。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、小型であって、高効率の分離性能を備える油分離器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明に係る油分離器は、気液混合物からガスおよび油を分離する油分離器であって、本体部と、前記本体部の上部に連通して設けられ、前記気液混合物を導入する導入路と、前記気液混合物が下方向に通過するように設置されたフィルタと、前記本体部の内壁に固定され、少なくとも一部に開口部を備え、前記フィルタを通過した前記気液混合物に含まれる前記油が慣性衝突する第1仕切り板と、前記第1仕切り板の下方に設けられ、前記油が分離された前記ガスが流出する導出路と、前記第1仕切り板と連結され、前記開口部および前記導出路を互いに反対側となるように区画するとともに、前記導出路よりも下方まで延在する第2仕切り板と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
上述の油分離器によれば、本体部の内部に、フィルタ、第1仕切り板、および第2仕切り板が上から順に配置されており、気液混合物が下降流となる。そのため、フィルタにおいて油粒子を捕捉し、油滴まで成長させた状態でガスとともに同伴させて、第1仕切り板において慣性衝突によってガスおよび油を分離する。したがって、フィルタにおけるガスの通過流速を考慮する必要がなくなることから、装置を大型化することなく高効率にガスから油を分離することができる。以上から、小型であって、高効率の分離性能を備える油分離器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る油分離器を示す正面透視図である。
【
図6】本実施形態に係る油分離器における気液混合物の流れについて説明するための図である。
【
図7】変形例1に係る油分離器を示す正面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を、
図1~
図5を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る油分離器1を示す正面透視図である。
図2は、
図1の2-2線に沿う矢視図である。
図3は、
図1の3-3線に沿う矢視図である。
図4は、
図1の4-4線に沿う矢視図である。
図5は、
図1の5-5線に沿う矢視図である。なお、以下の説明において、
図2の右方向をX方向、
図2の上方向をY方向、
図1の上方向をZ方向と称する場合がある。
【0015】
油分離器1は、気液混合物からガスおよび油を分離する。油分離器1は、縦型に配置される。油分離器1は、
図1に示すように、筒状の本体部10と、気液混合物を導入する導入路20と、油が分離されたガスが流出する導出路30と、冷凍機油が排出される油排出流路40と、ガスおよび油を遠心分離するサイクロン領域50と、サイクロン領域50の下方に配置されるフィルタ55と、フィルタ55の下方に配置される第1仕切り板60と、第1仕切り板60と一体的に構成され鉛直方向に延在する第2仕切り板70と、第2仕切り板70の下方に設けられる第3仕切り板80と、第3仕切り板80の下方に配置されるフロート弁90と、を有する。
【0016】
本体部10は、上下方向に延在するように筒状に構成されている。本体部10は、例えば鋳物によって構成されているが、特に限定されない。本体部10の大きさは特に限定されないが、好適に気液を分離することのできる大きさにすることが好ましい。具体的には、気液混合物の滞留時間が0.6秒以上取れる容積にすることが好ましい。
【0017】
導入路20は、
図1、
図2に示すように、本体部10の上部に連通して設けられる。導入路20は、
図1、
図2に示すように、X方向に沿って設けられる。導入路20は、
図2に示すように、本体部10の中心に対してY方向のプラス側に所定の距離だけオフセットして設けられる。
【0018】
導出路30は、
図1に示すように、導入路20および第1仕切り板60の下方に設けられる。このため、気液混合物はダウンフローとなる。導出路30を介して、冷凍機油(油)と分離されたガスが排気される。
【0019】
油排出流路40は、
図1に示すように、本体部10の下方に設けられる。油排出流路40を介して、ガスと分離された冷凍機油が排出される。油排出流路40の上方には、フロート弁90が配置されている。フロート弁90は公知の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
フロート弁90が開放されることによって、本体部10の下方に貯留された冷凍機油が油排出流路40を介して排出され、所定時間経過後に、フロート弁90が閉鎖されて、本体部10の下方に冷凍機油が貯留される。
【0021】
サイクロン領域50は、
図1に示すように、本体部10内のうち導入路20と略同一の高さからフィルタ55の上方までの領域に形成される。サイクロン領域50には、パイプ51が設けられる。パイプ51は、本体部10の上端10AからZ方向の下向きに延在するように設けられる。
【0022】
サイクロン領域50は、本体部10の内壁およびパイプ51の外壁の間の空間によって形成される。サイクロン領域50では、導入路20から導入された気液混合物に含まれる一部の油粒子を遠心分離する(
図2の矢印参照)。
【0023】
フィルタ55は、
図1に示すように、サイクロン領域50の下方に配置される。フィルタ55は、気液混合物が下方向に通過するように設置される。フィルタ55は、ガス中に含まれる油粒子をフィルタ55によって捕集分離する。フィルタ55としては、例えば線条を有するデミスタを用いてもよい。デミスタを用いる場合、特に限定されないが、SUS304、線形0.12mm、密度360kg/m
3を用いることができる。
【0024】
フィルタ55は、
図1、
図3に示すように、Z方向の上方から視て半円分だけ配置される。フィルタ55が設けられる同一の高さにおいて、フィルタ55は、フィルタ抑え部56によって落下しないように固定されている。
【0025】
サイクロン領域50を下方に移動してきた気液混合物は、フィルタ抑え部56の上面がバッフルとして作用して、半円分だけ配置されるフィルタ55側を通過する。このため、フィルタ55において気液混合物の流速が上昇し、気液混合物に含まれる油が第1仕切り板60に高速で慣性衝突することで、気液混合物から好適に油を分離することができる。
【0026】
第1仕切り板60は、本体部10の内壁に固定される。第1仕切り板60の本体部10の内壁に対する固定方法は特に限定されないが、例えば溶接である。
【0027】
第1仕切り板60は、
図1、
図4に示すように、一部に開口部60Hを備える。本実施形態において、開口部60Hは、
図1、
図4に示すように、半円分だけ形成されるため、第1仕切り板60も半円分だけ設けられる。半円分だけ配置される第1仕切り板60は、
図1に示すように、周方向において、フィルタ55が配置される箇所と同一の箇所に配置される。このため、フィルタ55を通過した気液混合物に含まれる油は、第1仕切り板60に対して慣性衝突する。この結果、気液混合物の油の一部が第1仕切り板60に滞留して、残りの気液混合物は、開口部60Hから下方にさらに移動する。
【0028】
第2仕切り板70は、
図1に示すように、第1仕切り板60と一体的に構成される。一体的に構成される第1仕切り板60および第2仕切り板70は、
図1に示すように正面から視たときに、L字状の構成を備える。
【0029】
第2仕切り板70は、
図1に示すように、第1仕切り板60の開口部60Hおよび導出路30を互いに反対側となるように区画する。また、第2仕切り板70は、導出路30よりもZ方向の下方まで延在されている。この構成によれば、開口部60Hから下方に移動する気液混合物は、直接、導出路30に向かうことなく、一旦、下方に配置される第3仕切り板80(
図5参照)まで移動して、導出路30から導出される。この時、気液混合物に含まれる油が第3仕切り板に対して慣性衝突する。このため、第3仕切り板80において、好適にガスおよび油を分離することができる。
【0030】
第3仕切り板80は、第2仕切り板70の下方に配置される。第3仕切り板80は、第1仕切り板60の開口部60Hを通過した気液混合物に含まれる油が慣性衝突する。第3仕切り板80は、
図1に示すように、X方向のマイナス側につれてZ方向のマイナス側となるように傾斜して配置される。第3仕切り板80は、
図5に示すように、X方向のマイナス側の端部に開口部80Hを有する。
図5では開口部80Hは2カ所の開口部となっているが、1カ所で構成される場合または3カ所以上で構成される場合も、本発明に含まれるものとする。
【0031】
ここで、例えば第3仕切り板が水平に沿って構成される場合、第3仕切り板に慣性衝突した気液混合物に含まれる油粒子が、第3仕切り板上に滞留して、この滞留した油がガスと再同伴される可能性がある。これに対して、本実施形態に係る油分離器1によれば、第3仕切り板80が傾斜して配置されるため、油滴が第3仕切り板80上に滞留されることなく、油滴が第3仕切り板80をX方向のマイナス側に移動して、第3仕切り板80の開口部80Hからフロート弁90に向けて順次落下させることができる。したがって、一度分離した油がガスと再同伴されることを抑制できる。なお、第3仕切り板が水平に構成される場合も、本発明に含まれるものとする。
【0032】
次に、
図6を参照して、上述した油分離器1における気液混合物の流れについて説明する。
図6は
図1と同一の図である。
【0033】
まず、気液混合物は、導入路20から本体部10内に導入される(矢印V1参照)。そして、本体部10内に導入された気液混合物は、サイクロン領域50において、一部の油が遠心分離される(矢印V2参照)。
【0034】
そして、サイクロン領域50を通過した気液混合物は、フィルタ55を通過する(矢印V3参照)。このとき、フィルタ抑え部56の上面がバッフルとして作用することで、フィルタ55において気液混合物の流速が上昇するとともに、油粒子が補足され油滴として分離される。
【0035】
次に、フィルタ55を通過した気液混合物に含まれる油は、第1仕切り板60に慣性衝突する(矢印V3参照)。ここで、フィルタ55において気液混合物の流速がアップしているので、高速で第1仕切り板60に慣性衝突して、好適にガスおよび油を分離することができる。
【0036】
そして、第1仕切り板60に慣性衝突した際に分離された油は第1仕切り板60から、本体部10の内壁を介して、下方に移動する。なお、下方に移動する油には、サイクロン領域50およびフィルタ55で分離された油も含まれる。
【0037】
一方、まだ油を含む気液混合物は、第1仕切り板60の開口部60Hを介して下方に移動する(矢印V4参照)。このとき、気液混合物は、第2仕切り板70および本体部10の内壁の間を通過する。
【0038】
そして、第1仕切り板60の開口部60Hを介して下方に移動した気液混合物に含まれる油は、第3仕切り板80に慣性衝突する。その結果、気液混合物からさらに油を分離することができる(矢印V5参照)。
【0039】
そして、第3仕切り板80に慣性衝突した際に分離された油は、傾斜して配置される第3仕切り板80上をX方向のマイナス側に移動して、第3仕切り板80の開口部80Hからフロート弁90に向けて落下する。
【0040】
一方、第3仕切り板80において、油が分離されたガスは、第3仕切り板80で跳ね返って、第2仕切り板70の左側の領域に移動する(矢印V6参照)。
【0041】
そして、第2仕切り板70の左側の領域に移動したガスは、導出路30から導出される(矢印V7参照)。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る油分離器1は、気液混合物からガスおよび油を分離する油分離器1である。油分離器1は、本体部10と、本体部10の上部に連通して設けられ、気液混合物を導入する導入路20と、気液混合物が下方向に通過するように設置されたフィルタ55と、本体部10の内壁に固定され、少なくとも一部に開口部60Hを備え、フィルタ55を通過した気液混合物に含まれる油が慣性衝突する第1仕切り板60と、第1仕切り板60の下方に設けられ、油が分離されたガスが流出する導出路30と、第1仕切り板60と連結され、開口部60Hおよび導出路30を互いに反対側となるように区画するとともに、導出路30よりも下方まで延在する第2仕切り板70と、を有する。このように構成された油分離器1によれば、本体部10の内部に、フィルタ55、第1仕切り板60、および第2仕切り板70が上から順に配置されており、気液混合物が下降流となる。そのため、フィルタ55において油粒子を捕捉し、油滴まで成長させた状態でガスとともに同伴させて、第1仕切り板60において慣性衝突によってガスおよび油を分離する。したがって、フィルタ55におけるガスの通過流速を考慮する必要がなくなることから、装置を大型化することなく高効率にガスから油を分離することができる。以上から、小型であって、高効率の分離性能を備える油分離器1を提供することができる。
【0043】
また、油分離器1は、導入路20とフィルタ55の間に設けられ、油を遠心分離するサイクロン領域50をさらに有する。このように構成された油分離器1によれば、油分離器1の分離効率をより向上させることができる。
【0044】
また、油分離器1は、第2仕切り板70の下方に設けられ、第1仕切り板60の開口部60Hを通過した気液混合物に含まれる油粒子が慣性衝突する第3仕切り板80をさらに有する。このように構成された油分離器1によれば、第3仕切り板80においても気液混合物に含まれる油粒子が慣性衝突して、ガスおよび油を分離することができるため、油分離器1の分離効率をより向上させることができる。
【0045】
また、サイクロン領域50のうち、本体部10の内部にはパイプ51が配置される。このように構成された油分離器1によれば、サイクロン領域50において、好適にガスおよび油を遠心分離することができる。
【0046】
また、第3仕切り板80は、水平方向に対して傾斜するように配置されている。このように構成された油分離器1によれば、油滴が第3仕切り板80上に滞留することなく、第3仕切り板80をX方向のマイナス側に移動して、第3仕切り板80の開口部80Hからフロート弁90に向けて落下する。したがって、一度分離した油がガスと再同伴されることを抑制できる。
【0047】
また、フィルタ55は、上方から視て、半円分だけ配置される。このように構成された油分離器1によれば、フィルタ55において気液混合物の流速が上昇して、気液混合物に含まれる油が第1仕切り板60に高速で慣性衝突して、より好適にガスおよび油を分離することができる。
【0048】
<変形例>
次に、
図7、
図8を参照して、変形例に係る油分離器2の構成について説明する。
図7は、変形例に係る油分離器2を示す正面透視図である。
図8は、
図7の8-8線に沿う矢視図である。
【0049】
実施形態と共通する部分は説明を省略し、変形例のみに特徴のある個所について説明する。なお、上述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付して説明し、重複した説明は省略する。変形例に係る油分離器2は、実施形態に係る油分離器1と比較して、サイクロン領域150、フィルタ155、および第3仕切り板180の構成が異なる。
【0050】
変形例に係る油分離器2は、
図7、
図8に示すように、筒状の本体部10と、気液混合物が導入する導入路20と、油が分離されたガスが流出する導出路30と、冷凍機油が排出される油排出流路40と、ガスおよび油を遠心分離するサイクロン領域150と、サイクロン領域150の下方に配置されるフィルタ155と、フィルタ155の下方に配置される第1仕切り板60と、第1仕切り板60と一体的に構成され鉛直方向に延在する第2仕切り板70と、第2仕切り板70の下方に設けられる第3仕切り板180と、第3仕切り板180の下方に配置されるフロート弁90と、を有する。本体部10、導入路20、導出路30、油排出流路40、第1仕切り板60、第2仕切り板70、およびフロート弁90の構成は、上述した実施形態に係る油分離器1と同一の構成であるため、説明は省略する。
【0051】
サイクロン領域150は、実施形態に係る油分離器1と異なり、パイプ51が形成されない。パイプ51が設けられない構成であっても、ガスおよび油を遠心分離することができる。
【0052】
フィルタ155は、
図7に示すように、本体部10の内壁の全域に配置される。この構成によれば、フィルタ155において、より多くの油を分離することができる。
【0053】
第3仕切り板180は、傾斜することなく水平に配置されている。また、第3仕切り板180のX方向のマイナス側には、開口部180Hが設けられる。
【0054】
変形例に係る油分離器1における気液混合物の流れは、実施形態に係る油分離器1における気液混合物の流れと略同一であるため、説明は省略する。
【0055】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0056】
例えば、上述した実施形態では、第1仕切り板60および第2仕切り板70は、一体的に構成されたが、第1仕切り板および第2仕切り板は別体で、溶接等によって互いに固定されてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、導入路20は、
図2に示すように、本体部10の中心に対してY方向に所定の距離だけオフセットして設けられた。しかしながら、導入路20は、本体部10の中心に対してオフセットされずに構成されていてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、第1仕切り板60および開口部60Hは、それぞれ半円分だけ構成された。しかしながら、第1仕切り板および開口部が設けられる割合は、1/2ずつに限定されず任意の割合で設定することができる。さらに、開口部は複数設けられてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、2 油分離器、
10 本体部、
20 導入路、
30 導出路、
50、150 サイクロン領域、
51 パイプ、
55、155 フィルタ、
60 第1仕切り板、
60H 第1仕切り板の開口部、
70 第2仕切り板、
80、180 第3仕切り板。