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  • 特開-リチウム電池及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014832
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】リチウム電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20240125BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240125BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240125BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240125BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240125BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20240125BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240125BHJP
   H01M 4/64 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/052
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M10/0562
H01M10/0566
H01M4/139
H01M4/64 A
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118467
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0091150
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 珍憲
(72)【発明者】
【氏名】權 一京
(72)【発明者】
【氏名】南 鉉
(72)【発明者】
【氏名】李 東根
(72)【発明者】
【氏名】片 雅▲ラン▼
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017CC01
5H017DD05
5H017EE10
5H017HH00
5H017HH03
5H029AJ02
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029AM12
5H029BJ12
5H029BJ13
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029CJ08
5H029CJ22
5H029DJ07
5H029DJ08
5H029HJ00
5H029HJ04
5H029HJ08
5H029HJ12
5H050AA02
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA04
5H050DA10
5H050DA11
5H050FA02
5H050FA04
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA27
5H050HA00
5H050HA04
5H050HA12
5H050HA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リチウム電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の正極と1つ以上の負極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体を含み、複数の正極が第1正極400及び第2正極401を含み、第1正極は、電極群積層体の内層であり、第2正極は、電極群積層体の最外層であり、第1正極は、第1正極集電体200、及び第1正極活物質層100を含み、第1正極活物質層は、第1正極集電体の両面上に配置され、第2正極は、第2正極集電体201、及び第2正極活物質層101、及び第2正極集電体と第2正極活物質層との間に配置される中間層301を含み、第2正極集電体は、第1面及び第2面を含み、第1面は、内層に対向し、第2面は、第1面の反対面であり、第2正極活物質層は、第1面上に配置され、第2面上に配置されず、第2正極集電体の厚さが第1正極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い、リチウム電池、及び電極製造方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の正極と1つ以上の負極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、
前記複数の正極が第1正極及び第2正極を含み、
前記第1正極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)であり、
前記第2正極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、
前記第1正極は、第1正極集電体、及び第1正極活物質層を含み、前記第1正極活物質層は、前記第1正極集電体の両面上に配置され、
前記第2正極は、第2正極集電体、及び第2正極活物質層、及び前記第2正極集電体と前記第2正極活物質層との間に配置される中間層(interlayer)を含み、
前記第2正極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、
前記第2正極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、
前記第2正極集電体の厚さが前記第1正極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い、リチウム電池。
【請求項2】
前記第1正極集電体の厚さと前記第2正極集電体の厚さとの比が1:0.2~1:1である、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項3】
前記第1正極集電体表面の最大粗さ(Maxim Roughness Depth, Rmax)が前記第2正極集電体表面の最大粗さより大きいか、
前記第1正極集電体表面の平均粗さ(Mean Roughness, Ra)が前記第2正極集電体表面の平均粗さより大きいか、
前記第1正極集電体表面の二乗平均平方根粗さ(Root Mean Square (RMS) Roughness, Rq)が前記第2正極集電体表面の二乗平均平方根粗さより大きい、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項4】
前記第2正極集電体表面の最大粗さ(Rmax)が3μm以下であるか、
前記第2正極集電体表面の平均粗さ(R)が2μm以下であるか、
前記第2正極集電体表面の二乗平均平方根粗さ(R)が2μm以下である、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項5】
前記中間層がバインダを含み、前記バインダが伝導性バインダ及び非伝導性バインダのうちから選択された1つ以上を含み、前記バインダがフッ素系バインダを含む、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項6】
前記中間層が炭素系導電材を含む、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項7】
前記中間層の厚さが前記第2正極集電体の厚さの0.01%~30%である、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項8】
前記第2正極活物質層が第2正極活物質、及びバインダを含み、前記第2正極活物質が乾燥正極活物質であり、前記バインダが乾燥バインダである、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項9】
前記乾燥バインダが繊維化(fibrillized)バインダを含み、前記乾燥バインダがフッ素系バインダを含む、請求項8に記載のリチウム電池。
【請求項10】
前記第2正極活物質層が導電材をさらに含み、前記導電材が乾燥導電材であり、前記乾燥導電材が炭素系導電材を含む、請求項8に記載のリチウム電池。
【請求項11】
前記炭素系導電材が繊維状導電材を含み、前記繊維状導電材が炭素ナノチューブ、炭素繊維またはそれらの混合物を含む、請求項10に記載のリチウム電池。
【請求項12】
前記第2正極活物質層が自立膜(self-standing film)であり、前記第2正極活物質層に残留工程溶媒(residual processing solvent)が不在(free)である、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項13】
前記第2正極活物質層の厚さが前記第1正極活物質層の厚さと同一であるか、さらに厚く、
前記第1正極活物質層の厚さと前記第2正極活物質層の厚さとの比が1:1~1:3である、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項14】
前記第2正極活物質層の合剤密度が前記第1正極活物質層の合剤密度と同一であるか、さらに低く、
前記第1正極活物質層の合剤密度と前記第2正極活物質層の合剤密度との比が1:0.5~1:1である、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項15】
前記第2正極活物質層が、SAICAS(surface and Interfacial Measuring Analysis System)測定時に、前記第2正極活物質層の全体厚さに対して前記第2正極活物質層の表面から前記第2正極集電体方向に5%離隔された第1地点から、前記第2正極集電体の表面から5%離隔された第2地点までの深さによる垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)の変化率が300%以下である、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項16】
前記第2正極活物質層が、SAICAS測定時に、前記第2正極活物質層の全体厚さに対して前記第2正極活物質層の表面から第2正極集電体方向に10%離隔された第1地点における第1水平方向結着力(FH1, Horizontal Force)に対する前記第2正極集電体の表面から10%離隔された第2地点における第2水平方向結着力(FH2, Horizontal Force)の水平方向結着力の比率が50%以上である、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項17】
前記複数の正極と複数の負極との間にそれぞれ配置される電解質を含む、請求項1に記載のリチウム電池。
【請求項18】
前記電解質が液体電解質または、固体電解質である、請求項17に記載のリチウム電池。
【請求項19】
複数の負極と1つ以上の正極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、
前記複数の負極が第1負極及び第2負極を含み、
前記第1負極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)あり、
前記第2負極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、
前記第1負極は、第1負極集電体、及び第1負極活物質層を含み、前記第1負極活物質層は、前記第1負極集電体の両面上に配置され、
前記第2負極は、第2負極集電体、及び第2負極活物質層、及び前記第2負極集電体と前記第2負極活物質層との間に配置される中間層(interlayer)を含み、
前記第2負極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、
前記第2負極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、
前記第2負極集電体の厚さが前記第1負極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い、リチウム電池。
【請求項20】
第2正極活物質、乾燥導電材、及び乾燥バインダを乾式混合して乾燥混合物を作製する段階と、
第2正極集電体を提供する段階と、
第2正極集電体の一面上に中間層を配置する段階と、
前記中間層上に前記乾燥混合物を配置し、圧延して前記第2正極集電体の一面上に第2正極活物質層が配置された第2正極を製造する段階と、を含み、
リチウム電池が、複数の正極と1つ以上の負極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、
前記複数の正極が第1正極及び第2正極を含み、
前記第1正極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)あり、
前記第2正極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、
前記第1正極は、第1正極集電体、及び第1正極活物質層を含み、前記第1正極活物質層は、前記第1正極集電体の両面上に配置され、
前記第2正極は、第2正極集電体、第2正極活物質層、及び前記第2正極集電体と前記第2正極活物質層との間に配置される中間層(interlayer)を含み、
前記第2正極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、
前記第2正極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、
前記第2正極集電体の厚さが前記第1正極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い、リチウム電池製造方法。
【請求項21】
第1正極活物質、導電材、バインダ及び工程溶媒を混合してスラリーを準備する段階と、
第1正極集電体を提供する段階と、
前記第1正極集電体の両面上に前記スラリーを配置し、圧延して、前記第1正極集電体の両面上に第1正極活物質層が配置された第1正極を製造する段階と、をさらに含む、請求項20に記載のリチウム電池製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の小型化、高性能化に符合するために、リチウム電池の小型化、軽量化以外に、高エネルギー密度化が重要になっている。すなわち、高容量のリチウム電池が重要になっている。
【0003】
前記用途に符合するリチウム電池を具現するために、高いローディングを有する電極の積層体が使用される。
【0004】
前記積層体の製造過程で電極群積層体の最外層に配置される電極に欠陥が発生しやすい。したがって、そのような積層体を含むリチウム電池で欠陥が発生してしまう。
【0005】
そのような積層体の製造過程で欠陥の生成が抑制されるリチウム電池が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電極群積層体の製造過程で欠陥生成が抑制され、エネルギー密度が向上したリチウム電池を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記リチウム電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面によって、複数の正極と1つ以上の負極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、前記複数の正極が第1正極及び第2正極を含み、前記第1正極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)であり、前記第2正極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、前記第1正極は、第1正極集電体及び第1正極活物質層を含み、前記第1正極活物質層は、前記第1正極集電体の両面上に配置され、前記第2正極は、第2正極集電体、及び第2正極活物質層、及び前記第2正極集電体と前記第2正極活物質層との間に配置される中間層(interlayer)を含み、前記第2正極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、前記第2正極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、前記第2正極集電体の厚さが前記第1正極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い、リチウム電池が提供される。
【0009】
他の一側面によって、複数の負極と1つ以上の正極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、前記複数の負極が第1負極及び第2負極を含み、前記第1負極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)であり、前記第2負極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、前記第1負極は、第1負極集電体、及び第1負極活物質層を含み、前記第1負極活物質層は、前記第1負極集電体の両面上に配置され、前記第2負極は、第2負極集電体、及び第2負極活物質層、及び前記第2負極集電体と前記第2負極活物質層の間に配置される中間層(interlayer)を含み、前記第2負極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、前記第2負極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、前記第2負極集電体の厚さが前記第1負極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い、リチウム電池が提供される。
【0010】
さらに他の一側面によって、第2正極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを乾式混合して乾燥混合物を作製する段階と、第2正極集電体を提供する段階と、第2正極集電体の一面上に中間層を配置する段階と、前記中間層上に前記乾燥混合物を配置し、圧延して、前記第2正極集電体の一面上に第2正極活物質層が配置された第2正極を製造する段階と、を含み、リチウム電池が、複数の正極と1つ以上の負極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、前記複数の正極が第1正極及び第2正極を含み、前記第1正極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)であり、前記第2正極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、前記第1正極は、第1正極集電体、及び第1正極活物質層を含み、前記第1正極活物質層は、前記第1正極集電体の両面上に配置され、前記第2正極は、第2正極集電体、及び第2正極活物質層、及び前記第2正極集電体と前記第2正極活物質層との間に配置される中間層(interlayer)を含み、前記第2正極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、前記第2正極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、前記第2正極集電体の厚さが前記第1正極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い、リチウム電池製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
一側面によれば、電極群積層体の製造過程で欠陥生成が抑制されるので、それを含むリチウム電池の欠陥が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】例示的な一具現例による電極群組立体の概略図である。
図2】実施例1で製造された第2正極のイメージである。
図3】比較例1で製造された第2正極のイメージである。
図4】一具現例によるリチウム電池の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で説明される本創意的思想(present inventive concept)は、多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳細に説明する。しかし、これは、本創意的思想を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本創意的思想の技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物または代替物を含むと理解されねばならない。
【0014】
以下で使用される用語は、ただ特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本創意的思想を限定しようとする意図ではない。単数表現は、文脈上、明白に異なる意味ではない限り、複数の表現も含む。以下、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料またはそれらの組合物が存在するということを示すものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料またはそれらの組合物などの存在または付加可能性を予め排除するものではないということを理解せねばならない。以下で使用される「/」は、状況によって「及び」とも解釈され、「または」とも解釈される。
【0015】
図面において複数層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大するか、縮小して示した。明細書全体を通じて類似した部分については同じ図面符号を付した。明細書全体において層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」または「上方に」あるとするとき、それは他の部分の直上にある場合だけでははなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。明細書全体において第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されうるが、構成要素が用語によって限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0016】
本明細書において「乾燥」または「乾式」は、工程溶媒などの溶媒と意図的に接触していない状態または、溶媒を意図的に含まない状態を意味する。例えば、乾燥電極活物質は、溶媒と意図的に接触していない電極活物質または溶媒を意図的に含まない電極活物質を意味する。例えば、乾燥導電材は、溶媒と意図的に接触していない導電材または溶媒を意図的に含まない導電材を意味する。例えば、乾燥バインダは、溶媒と意図的に接触していないバインダまたは溶媒を意図的に含まないバインダを意味する。例えば、溶媒と混合されずに、常温で液体状態のバインダは、乾燥バインダである。
【0017】
以下、例示的な具現例による電極、それを含むリチウム電池及びその製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0018】
一具現例によるリチウム電池は、複数の正極と1つ以上の負極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、前記複数の正極が第1正極及び第2正極を含み、前記第1正極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)であり、前記第2正極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、前記第1正極は、第1正極集電体、及び第1正極活物質層を含み、前記第1正極活物質層は、前記第1正極集電体の両面上に配置され、前記第2正極は、第2正極集電体、及び第2正極活物質層、及び前記第2正極集電体と前記第2正極活物質層との間に配置される中間層(interlayer)を含み、前記第2正極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、前記第2正極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、前記第2正極集電体の厚さが前記第1正極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い。
【0019】
本開示のリチウム電池において、電極群積層体の最外層に配置される第2正極は、第2正極集電体と第2正極活物質層との間に中間層を含むことにより、第2正極の反りが抑制される。したがって、電極群積層体の製造過程において、第2正極のカーリング、折曲げなどの欠陥発生が抑制される。また、第2正極が単面電極であって、電極群積層体を含むリチウム電池のエネルギー密度が向上する。また、第2正極に配置される第2正極集電体の厚さが第1正極に配置される第1正極集電体の厚さと同一であるか、または、第2正極に配置される第2正極集電体の厚さが、第1正極に配置される第1正極集電体の厚さに比べてさらに薄くなることにより、リチウム電池のエネルギー密度が向上する。また、電極群積層体の製造過程における欠陥の発生が抑制される。中間層が第2正極集電体と第2正極活物質層との間に結着力を提供するので、第2正極の製造時に第2正極集電体と第2正極活物質層との結着に必要な圧力が減少する。したがって、第2正極の反りが抑制される。
【0020】
これに対して、従来のリチウム電池で電極群積層体の最外層に単面電極が配置されれば、単面電極の製造過程で、圧延によって単面電極が円筒状に反りやすい。したがって、電極群積層体の上端または、下端に配置される単面電極の位置を電極群積層体に一致させることが困難であり、製造過程で、単面電極にカーリング(curling)、折曲げ(bending)などの欠陥が発生しやすい。また、電極群積層体の最外層に両面電極が配置されれば、正極の外装体に対向する電極の一面のみが電極反応に参与し、他面は、電極反応に参与しないので、非効率的である。また、そのような電極群積層体を含むリチウム電池のエネルギー密度が低下する。
【0021】
本開示のリチウム電池において、第1正極集電体の厚さと第2正極集電体の厚さとの比が、例えば、1:0.2~1:1、1:0.3~1:1、1:0.4~1:1、1:0.5~1:1、1:0.6~1:1、1:0.7~1:1、1:0.8~1:1、または、1:0.9~1:1である。第1正極集電体の厚さと前記第2正極集電体の厚さとの比が、そのような範囲を有することにより、リチウム電池のエネルギー密度がさらに向上しうる。
【0022】
第2正極集電体の厚さは、例えば、15μm未満、14.5μm以下、14μm以下、13μm以下、または、12μm以下でもある。第2正極集電体の厚さは、例えば、0.1μm~15μm未満、1μm~14.5μm、2μm~14μm、3μm~14μm、5μm~14μm、7μm~13μm、または、10μm~12μmでもある。第1正極集電体の厚さは、例えば、15μm以上、20μm以上、または、30μm以上でもある。第1正極集電体の厚さは、例えば、15μm~100μm、15μm~50μm、15μm~30μm、または、15μm~20μmでもある。
【0023】
第2正極集電体は、第1正極が含む第1正極集電体に比べて減少した表面粗さを有する。第2正極集電体表面が減少した表面粗さを有することにより、第2正極集電体が第2正極活物質層及び/または中間層と均一な界面を形成することができる。結果として、第2正極集電体と異なる層の界面での局所的な副反応及び/または不均一な電極反応が抑制され、そのような電極を含むリチウム電池のサイクル特性が向上しうる。
【0024】
第1正極集電体表面の最大粗さ(Maximum Roughness Depth, Rmax)は、例えば、第2正極集電体表面の最大粗さより大きくもある。すなわち、第2正極集電体表面の最大粗さ( Rmax)は、例えば、第1正極集電体表面の最大粗さよりも小さくもある。第1正極集電体表面の平均粗さ(Mean Roughness, Ra)は、例えば、第2正極集電体表面の平均粗さより大きくもある。すなわち、第2正極集電体表面の平均粗さ(Ra)は、例えば、第1正極集電体表面の平均粗さよりも小さくもある。第1正極集電体表面の二乗平均平方根粗さ(Root Mean Square (RMS) Roughness, Rq)は、第2正極集電体表面の二乗平均平方根粗さより大きくもある。第2正極集電体表面の二乗平均平方根粗さ(R)は、第1正極集電体表面の二乗平均平方根粗さよりも小さくもある。
【0025】
第2正極集電体表面の最大粗さ(Maximum Roughness Depth, Rmax)は、例えば、3μm以下、2μm以下、1μm以下、0.5μm以下、または0.1μm以下でもある。第2正極集電体表面の最大粗さ(Rmax)は、例えば、10nm~3μm、10nm~2μm、10nm~1μm、10nm~0.5μm、または、10nm~0.1μmでもある。
【0026】
第2正極集電体表面の平均粗さ(Mean Roughness, Ra)は、例えば、2μm以下、1μm以下、0.5μm以下、または0.1μm以下でもある。第2正極集電体表面の平均粗さ(Ra)は、例えば、10nm~2μm、10nm~1μm、10nm~0.5μm、または、10nm~0.1μmでもある。
【0027】
第2正極集電体表面の二乗平均平方根粗さ(Root Mean Square (RMS) Roughness, Rq)は、例えば、2μm以下、1μm以下、0.5μm以下、または0.1μm以下でもある。第2正極集電体表面の二乗平均平方根粗さ(R)は、例えば、10nm~2μm、10nm~1μm、10nm~0.5μm、または、10nm~0.1μmでもある。
【0028】
第2正極集電体を構成する材料は、リチウムと反応しない材料、すなわち、リチウムと合金または、化合物を形成しない材料であって、導電性を有するものであれば、いずれも使用可能である。第2正極集電体は、例えば、金属または合金である。第2正極集電体は、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)またはそれらの合金からなりうる。第2正極集電体は、例えば、シート、ホイル(foil)、フィルム、板状体(plate)、多孔性体、メソ多孔性体、貫通口含有体、多角形環体、メッシュ体、発泡体、及び不織布体のうち選択される形態を有することができるが、必ずしもそのような形態に限定されず、当該技術分野で使用する形態であれば、いずれも可能である。
【0029】
中間層(interlayer)は、例えば、バインダを含みうる。中間層がバインダを含むことにより、第2正極集電体と第2正極活物質層との結着力がさらに向上しうる。中間層が含むバインダは、例えば、伝導性バインダまたは、非伝導性バインダである。伝導性バインダは、例えば、イオン伝導性バインダ、及び/または電子伝導性バインダである。イオン伝導性及び電子伝導性をいずれも有するバインダは、イオン伝導性バインダにも属し、電子伝導性バインダにも属することができる。イオン伝導性バインダは、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP, polyvinylidene fluoride-hexafluoropropylene)、ポリフッ化ビニル(PVF, Polyvinyl Fluoride)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF, polyvinylidene fluoride)、ポリメチルメタクリレート(PMMA, poly(methylmethacrylate))、ポリエチレンオキシド(PEO, polyethylene oxide)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール(PPY)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアニリン、及びポリアセチレンなどである。イオン伝導性バインダは、極性作用基を含むことができる。極性作用基を含むイオン伝導性バインダは、例えば、ナフィオン(Nafion)、アクイビオン(Aquivion)、フレミオン(Flemion)、ゴア(Gore)、アシプレックス(Aciplex)、モーガンADP(Morgane ADP)、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)(sulfonated poly(ether ether ketone), SPEEK)、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルケトンケトン)(sulfonated poly(arylene ether ketone ketone sulfone), SPAEKKS)、スルホン化ポリ(アリールエーテルケトン)(sulfonated poly(aryl ether ketone, SPAEK)、ポリ[ビス(ベンズイミダゾベンズイソキノリノン)(poly[bis(benzimidazobenzisoquinolinones)], SPBIBI)、ポリスチレンスルホン酸(Poly(styrene sulfonate), PSS)、リチウム9,10-ジフェニルアントラセン-2-スルホン酸(lithium 9,10-diphenylanthracene-2-sulfonate, DPASLi+)などである。電子伝導性バインダは、例えば、ポリアセチレン(polyacetylene)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリピロール(polypyrrole)、ポリ(p-フェニレン)(poly(p-phenylene))、ポリフェニレンビニレン(poly(phenylenevinylene))、ポリ(フェニレンスルフィド)(poly(phenylenesulfide))、ポリアニリン(polyaniline)などである。中間層は、例えば、伝導性高分子を含む導電層でもある。中間層が含むバインダは、例えば、電極活物質層が含むバインダのうちから選択されうる。中間層は、例えば、電極活物質層と同じバインダを含みうる。中間層が含むバインダは、例えば、フッ素系バインダである。中間層が含むフッ素系バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。中間層は、例えば、乾式または、湿式で電極集電体上に配置される。中間層は、例えば、バインダを含む結着層でもある。
【0030】
中間層は、例えば、炭素系導電材を含むことができる。中間層が含む炭素系導電材は、電極活物質層が含む炭素系導電材のうちから選択されうる。中間層が電極活物質層と同じ炭素系導電材を含みうる。中間層が炭素系導電材を含むことにより、中間層は、例えば、導電層でもある。中間層は、例えば、バインダと炭素系導電材とを含む導電性結着層でもある。
【0031】
中間層は、例えば、CVD、PVDなどの蒸着によって乾式で第2正極集電体上に配置されうる。中間層は、例えば、炭素系導電材を蒸着によって第2正極集電体上に蒸着することにより、第2正極集電体上に配置されうる。乾式によって製造される中間層は、炭素系導電材からなり、バインダを含まない。中間層は、例えば、スピンコーティング、ディップコーティングなどによって湿式で第2正極集電体上に配置されうる。中間層は、例えば、炭素系導電材、バインダ及び溶媒を含む組成物を第2正極集電体上にコーティングして乾燥させることにより、第2正極集電体上に配置されうる。中間層は、バインダを含み、炭素系導電材を含まない。中間層は、例えば、バインダ及び溶媒を含む組成物を第2正極集電体上にコーティングして乾燥させることにより、第2正極集電体上に配置されうる。中間層が薄い厚さを有することにより、第2正極集電体と第2正極活物質層との間に炭素系導電材を含まない中間層が配置されても、第2正極での電極反応の可逆性が実質的に変化しない。中間層は、単層構造または、複数の層を含む多層構造でもある。
【0032】
中間層(interlayer)は、第2正極集電体の一面または、両面上に配置されうる。中間層は、例えば、第2正極集電体の一面または、両面上に直接(directly)配置されうる。したがって、第2正極集電体と中間層との間に他の層が配置されない。中間層が第2正極集電体の一面または、両面上に直接配置されることにより、第2正極集電体と第2正極活物質層との結着力がさらに向上しうる。中間層の厚さは、例えば、第2正極集電体の厚さの0.01%~30%である。中間層の厚さは、例えば、第2正極集電体の厚さの0.01%~30%、0.1%~30%、0.5%~30%、1%~30%、0.5%~25%、0.5%~20%、0.5%~15%、0.5%~10%、0.5%~5%、または0.5%~3%である。中間層の厚さは、例えば、10nm~5μm、50nm~5μm、200nm~4μm、500nm~3μm、500nm~2μm、500nm~1.5μm、または、700nm~1.3μmである。中間層がそのような範囲の厚さを有することにより、第2正極集電体と第2正極活物質層との結着力がさらに向上し、界面抵抗の増加が抑制されうる。
【0033】
第2正極活物質層は、例えば、第2正極活物質、及びバインダを含んでもよい。
【0034】
第2正極活物質層が含む第2正極活物質は、例えば、乾燥正極活物質(dry cathode active material)である。乾燥正極活物質は、例えば、工程溶媒に含浸されるか、溶解されるか、分散されていない正極活物質である。乾燥正極活物質は、例えば、工程溶媒を含むか、工程溶媒と接触しない正極活物質である。第2正極活物質層が含むバインダは、例えば、乾燥バインダ(dry binder)である。乾燥バインダは、例えば、工程溶媒に含浸されるか、溶解されるか、分散されていないバインダである。乾燥バインダは、例えば、工程溶媒を含むか、工程溶媒と接触しないバインダである。工程溶媒は、第2正極の製造過程で使用される溶媒である。
【0035】
乾燥バインダは、例えば、繊維化(fibrillized)バインダである。繊維化バインダは、第2正極活物質層が含む第2正極活物質及びその他成分を支持し、結着するマトリックス役割を遂行することができる。繊維化バインダは、例えば、電極断面に対する走査電子顕微鏡イメージでもって、繊維状形態を有することを確認することができる。繊維化バインダは、例えば、10以上、20以上、50以上、または、100以上の縦横比(aspect ratio)を有する。乾燥バインダは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサプロピレン(PVDF-HFP)共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはそれらの共重合体などであるが、必ずしもそれらに限定されず、乾式電極の製造に使用されるバインダであれば、いずれも使用可能である。乾燥バインダは、特にフッ素系バインダを含んでもよい。フッ素系バインダは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサプロピレン(PVDF-HFP)共重合体、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。第2正極活物質層が含む乾燥バインダの含量は、第2正極活物質層の全体重量に対して、例えば、1wt%~10wt%、または、1wt%~5wt%である。第2正極活物質層がそのような範囲の乾燥バインダを含むことにより、第2正極の結着力が向上し、第2正極が高いエネルギー密度を保持することができる。
【0036】
第2正極活物質層は、例えば、導電材をさらに含む。導電材は、例えば、乾燥導電材である。乾燥導電材は、例えば、溶媒に含浸されるか、溶解されるか、、分散されていない導電材である。乾燥導電材は、例えば、溶媒を含むか、溶媒と接触しない導電材である。乾燥導電材は、例えば、炭素系導電材、金属系導電材またはそれらの組合わせである。乾燥導電材は、例えば、炭素系導電材を含む。炭素系導電材は、例えば、粒子状導電材を含む。粒子状導電材は、例えば、カーボンブラック、黒鉛微粒子、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどであるが、それらに限定されず、当該技術分野において炭素系粒子状導電材として使用されるものであれば、いずれも使用可能である。炭素系導電材は、例えば、繊維状導電材を含む。繊維状導電材は、例えば、炭素ナノチューブ、炭素繊維などであるが、それらに限定されず、当該技術分野で繊維状導電材として使用されるものであれば、いずれも使用可能である。第2正極活物質層が含む乾燥導電材の含量は、第2正極活物質層の全体重量に対して、例えば、1~10wt%、または、1~5wt%である。第2正極活物質層がそのような範囲の乾燥導電材を含むことにより、第2正極の導電性が向上し、第2正極が高いエネルギー密度を保持することができる。
【0037】
第2正極活物質層は、例えば、自立膜(self-standing film)である。第2正極活物質層は、例えば、支持体なしに膜(film)状を保持することができる。したがって、第2正極活物質層は、別途の自立膜として設けられた後、第2正極集電体上に配置されうる。第2正極活物質層は、乾式によって製造されるので、意図的に添加される工程溶媒を含まない。例えば、残留工程溶媒(residual processing solvent)を含まない。第2正極活物質層内に意図せぬ微量の溶媒が残留しうるが、そのような残留溶媒は、意図的に添加された工程溶媒ではない。したがって、第2正極活物質層は、成分と工程溶媒とを混合した後、乾燥によって工程溶媒の一部または、全部を除去し、製造された湿式正極活物質層と区別される。
【0038】
第2正極活物質層の厚さは、例えば、第1正極活物質層の厚さと同一であるか、さらに厚い。第2正極集電体上に配置された第2正極活物質層の厚さが第2正極集電体上に配置された第1正極活物質層の厚さと同一でもある。第2正極集電体上に配置された第2正極活物質層の厚さが、第1正極集電体上に配置された第1正極活物質層の厚さに比べてさらに厚い。第2正極活物質層が第1正極活物質層に比べて、同等以上の厚さを有することにより、電極群積層体の製造過程において第2正極の欠陥生成が抑制されうる。第1正極活物質層の厚さと第2正極活物質層の厚さとの比が、例えば、1:1~1:3、1:1~1:2.5、1:1~1:2、1:1~1:1.5、1:1~1:1.3、1:1~1:1.2、または、1:1~1:1.1である。第1正極活物質層の厚さと前記第2正極活物質層の厚さとの比が、そのような範囲を有することにより、電極群組立体及びそれを含むリチウム電池の製造過程で欠陥生成を効果的に抑制することができる。
【0039】
第2正極活物質層の合剤密度は、例えば、第1正極活物質層の合剤密度と同一であるか、さらに低い。第2正極集電体上に配置される第2正極活物質層の合剤密度が第1正極集電体上に配置される第1正極活物質層の合剤密度と同一であるか、または、第2正極集電体上に配置される第2正極活物質層の合剤密度が第1正極集電体上に配置される第1正極活物質層の合剤密度に比べてさらに低い。第2正極活物質層が第1正極活物質層に比べて同等以下の合剤密度を有することにより、電極群積層体の製造過程において第2正極の欠陥生成が抑制されうる。第1正極活物質層の合剤密度と第2正極活物質層の合剤密度との比は、例えば、1:0.5~1:1、1:0.6~1:1、1:0.7~1:1、1:0.8~1:1、または、1:0.9~1:1である。第1正極活物質層の合剤密度と前記第2正極活物質層の合剤密度との比が、そのような範囲を有することにより、電極群組立体及びそれを含むリチウム電池の製造過程で欠陥生成を効果的に抑制することができる。
【0040】
第2正極活物質層の合剤密度は、例えば、1g/cm~5g/cm、2g/cm~5g/cm、3g/cm~5g/cm、または、3g/cm~4g/cmでもある。第2正極活物質層の合剤密度は、製造された第2正極に含まれた第2正極活物質層の体積及び重さを測定して導出することができる。第2正極活物質層がそのような範囲の合剤密度を有することにより、第2正極を含むリチウム電池が向上したエネルギー密度を提供することができる。
【0041】
第2正極活物質層において、SAICAS(surface and Interfacial Measuring Analysis System)測定時に、第2正極活物質層の全体厚さに対して、第2正極活物質層の表面から第2正極集電体方向に5%離隔された第1地点から、第2正極集電体の表面から5%離隔された第2地点までの深さによる垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)の変化率が、例えば、300%以下でもある。垂直方向相対結着力変化率は、例えば、10~300%、10~250%、10~200%、10~150%、または、10~100%である。第2正極集電体の表面から第2正極活物質層方向に5%離隔された第2地点は、例えば、第2正極活物質層の全体厚さに対して、第2正極活物質層の表面から第2正極集電体方向に95%離隔された地点に該当する。垂直方向相対結着力は、下記数式1から計算される。SAICAS測定方法は、例えば、評価例1を参照する。
【0042】
[数式1]
垂直方向相対結着力(FV, Vertical Relative Force)の変化率=[(垂直方向相対結着力の最大値(FVR1)-垂直方向相対結着力の最小値(FVR2))/垂直方向相対結着力の最小値(FVR2)]×100
【0043】
第2正極活物質層において、SAICAS(surface and Interfacial Measuring Analysis System)測定時に、垂直方向相対結着力の変化率が300%以下であって、第2正極内で構成成分分布の均一性が向上しうる。また、第2正極活物質層内で構成成分の不均一な分布による副反応及び内部抵抗の増加が抑制されるので、電極反応の可逆性が向上しうる。高いローディングを有する第2正極の場合にも、リチウム電池のサイクル特性が向上しうる。
【0044】
第2正極活物質層において、SAICAS測定時に、第2正極活物質層の表面から第2正極集電体の表面までの全体深さに対して、第2正極活物質層の表面から第2正極集電体方向に10%離隔された第1地点における第1水平方向結着力(FH1, Horizontal Force)に対する第2正極集電体の表面から第2正極活物質層方向(例えば、深さ方向)に10%離隔された第2地点における第2水平方向結着力(FH2, Horizontal Force)の水平方向結着力の比率が、例えば、50%以上でもある。水平方向結着力の比率は、例えば、50~100%、60~100%、70~100%、80~100%、または、90~100%である。第2正極集電体の表面から第2正極活物質層方向に10%離隔された第2地点は、例えば、第2正極活物質層の全体厚さに対して、第2正極活物質層の表面から第2正極集電体方向に90%離隔された地点に該当する。水平方向結着力の比率は、例えば、下記数式2に表示される。SAICAS測定方法は、例えば、評価例2を参照する。
【0045】
[数式2]
水平方向結着力の比率=[第2水平方向結着力(FH2)/第1水平方向結着力(FH1)]×100
【0046】
SAICAS測定時に、水平方向結着力の比率が50%以上であることにより、第2正極内で構成成分の分布の均一性がさらに向上する。第2正極がそのような範囲の水平方向結着力を有することにより、そのような第2正極を採用したリチウム電池のサイクル特性がさらに向上する。
【0047】
上述した第1正極活物質層及び第2正極活物質層は、それぞれ第1正極活物質及び第2正極活物質を含んでもよい。
【0048】
第1正極活物質及び/または第2正極活物質は、例えば、リチウム金属酸化物であって、当業界で通用されるものであれば、制限なしにいずれも使用されうる。
【0049】
第1正極活物質及び/または第2正極活物質は、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうち1種以上のものを使用することができ、その具体例としては、 Li1-b(前記式において、0.90≦a≦1、及び0≦b≦0.5である);Li1-b2-c(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE2-b4-c(前記式において、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCoα(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cCo2-αα(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cCo2-α(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnα(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cMn2-αα(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMn2-α(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMn(前記式において、0.90≦a≦1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式において、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式において、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式において、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式において、0.90≦a≦1、0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiIO;LiNiVO;Li(3-f)(PO(0≦f≦2);Li(3-f)Fe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうち、いずれか1つで表現される化合物を使用することができる。
【0050】
上述した化合物を表現する化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組合わせであり、Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはそれらの組合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組合わせであり、Fは、F、S、P、またはそれらの組合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組合わせであり、Iは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組合わせである。上述した化合物表面にコーティング層が付け加えられた化合物の使用も可能であり、上述した化合物とコーティング層が付け加えられた化合物の混合物の使用も可能である。上述した化合物の表面に付け加えられるコーティング層は、例えば、コーティング元素のオキシド、ヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含む。このようなコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質である。コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはそれらの混合物である。コーティング層形成方法は、正極活物質の物性に悪影響を与えない範囲内で選択される。コーティング方法は、例えば、スプレーコーティング、浸漬法などである。具体的なコーティング方法は、当該分野に従事する者によく理解されうる内容なので、詳細な説明は省略する。
【0051】
第1正極活物質層が含む第1正極活物質の含量は、第1正極活物質層の全体重量に対して、例えば、80~98wt%、または、90~98wt%である。第2正極活物質層が含む第2正極活物質の含量は、第2正極活物質層の全体重量に対して、例えば、80~98wt%、または、90~98wt%である。
【0052】
第1正極活物質及び/または第2正極活物質は、例えば、複合正極活物質を含んでもよい。
【0053】
複合正極活物質は、例えば、リチウム遷移金属酸化物を含むコア(core)、及び前記コアの表面に沿って配置されるシェル(shell)を含み、前記シェルが化学式M(0<a≦3、0<b<4、aが1、2、または、3であれば、bは、整数ではない)で表示される1種以上の第1金属酸化物、及びグラフェンを含み、前記第1金属酸化物がグラフェンマトリックス内に配置され、前記Mは、元素周期律表2族ないし13族、第15族及び16族のうちから選択された1つ以上の金属であり、前記リチウム遷移金属酸化物がニッケルを含み、ニッケル含量が遷移金属全体モル数に対して80mol%以上である。複合正極活物質のコア上に第1金属酸化物及びグラフェンを含むシェルが配置される。
【0054】
従来のグラフェンは、凝集されることにより、コア上への均一なコーティングが困難である。これに対して、前記複合正極活物質は、グラフェンマトリックスに配置された複数の第1金属酸化物を含む複合体を使用することにより、グラフェンの凝集を防止しながら、コア上に均一なシェルが配置される。したがって、コアと電解液との接触を効果的に遮断することにより、コアと電解質との接触による副反応を防止する。また、電解液によるニッケルイオンの還元(Ni3+->Ni2+)及び陽イオンミキシング(cation mixing)が抑制されることにより、NiO相(phase)のような抵抗層の生成が抑制される。また、ニッケルイオンの溶出も抑制される。グラフェンを含むシェル(shell)は、柔軟性を有するので、充放電時に複合正極活物質の体積変化を容易に収容することにより、複合正極活物質内部のクラック(crack)発生が抑制される。グラフェンは、高い導電性を有するので、複合正極活物質と電解液との界面抵抗が減少する。したがって、グラフェンを含むシェル(shell)の導入にもかかわらず、リチウム電池の内部抵抗が保持されるか、減少する。また、第1金属酸化物が耐電圧性を有するので、高電圧での充放電時にコアが含むリチウム遷移金属酸化物の劣化を防止することができる。結果として、複合正極活物質を含むリチウム電池のサイクル特性及び高温安定性が向上する。シェルは、例えば、1種の第1金属酸化物または、2種以上の互いに異なる第1金属酸化物を含みうる。また、複合正極活物質でリチウム遷移金属酸化物は、全体遷移金属モル数に対して80mol%以上の高いニッケル含量を有しながらも、コア上に第1金属酸化物とグラフェンを含むシェルが配置されることにより、高い放電容量とサイクル特性を同時に提供することができる。したがって、80mol%以上の高いニッケル含量を有する複合正極活物質は、ニッケル含量が相対的に低い複合正極活物質に比べて向上した容量を提供しながらも、依然として優秀な寿命特性を提供することができる。第1金属酸化物の含む金属は、例えば、Al、Nb、Mg、Sc、Ti、Zr、V、W、Mn、Fe、Co、Pd、Cu、Ag、Zn、Sb、及びSeのうちから選択された1つ以上でもある。
【0055】
第1金属酸化物は、例えば、 Al(0<z<3)、NbO(0<x<2.5)、MgO(0<x<1)、Sc(0<z<3)、TiO(0<y<2)、ZrO(0<y<2)、V(0<z<3)、WO(0<y<2)、MnO(0<y<2)、Fe(0<z<3)、Co(0<w<4)、PdO(0<x<1)、CuO(0<x<1)、AgO(0<x<1)、ZnO(0<x<1)、Sb(0<z<3)、及びSeO(0<y<2)のうちから選択された1つ以上でもある。グラフェンマトリックス内にそのような第1金属酸化物が配置されることにより、コア上に配置されたシェルの均一性が向上し、複合正極活物質の耐電圧性がさらに向上する。例えば、シェルは、第1金属酸化物として、Al(0<x<3)を含む。シェルは、化学式M(0<a≦3、0<c≦4、aが1、2、または、3であれば、cは、整数である)で表示される1種以上の第2金属酸化物をさらに含む。前記Mは、元素周期律表2族ないし13族、第15族及び16族のうちから選択された1つ以上の金属である。例えば、第2金属酸化物は、前記第1金属酸化物と同じ金属を含み、第2金属酸化物のaとcとの比率であるc/aが前記第1金属酸化物のaとbとの比率であるb/aに比べてさらに大きい値を有する。例えば、c/a>b/aである。第2金属酸化物は、例えば、 Al、NbO、NbO、Nb、MgO、Sc、TiO、ZrO、V、WO、MnO、Fe、Co、PdO、CuO、AgO、ZnO、Sb、及びSeOのうちから選択される。第1金属酸化物は、第2金属酸化物の還元生成物である。第2金属酸化物の一部または、全部が還元されることにより、第1金属酸化物が得られる。したがって、第1金属酸化物は、第2金属酸化物に比べて酸素含量が低く、金属の酸化数がさらに高い。例えば、シェルは、第1金属酸化物であるAl(0<x<3)及び第2金属酸化物であるAlを含む。複合正極活物質において、例えば、シェルが含むグラフェンとコアが含むリチウム遷移金属酸化物の遷移金属が化学結合を介して化学的に結合される(bound)。シェルが含むグラフェンの炭素原子(C)と前記リチウム遷移金属酸化物の遷移金属(Me)は、例えば、酸素原子を媒介としてC-O-Me結合(例えば、C-O-Ni結合)を介して化学的に結合される(bound)。シェルが含むグラフェンとコアが含むリチウム遷移金属酸化物が化学結合を介して化学的に結合されることにより、コアとシェルが複合化される。したがって、グラフェンとリチウム遷移金属酸化物の単なる物理的混合物と区別される。また、シェルが含む第1金属酸化物とグラフェンも化学結合を介して化学的に結合される(bound)。ここで、化学結合は、例えば、共有結合またはイオン結合である。共有結合は、例えば、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アミド基、カルボン酸無水物基及び酸無水物基のうち、少なくとも1つを含む結合である。イオン結合は、例えば、カルボン酸イオン、アンモニウムイオン、アシル陽イオン基などを含む結合である。シェルの厚さは、例えば、1nm~5μm、1nm~1μm、1nm~500nm、1nm~200nm、1nm~100nm、1nm~90nm、1nm~80nm、1nm~70nm、1nm~60nm、1nm~50nm、1nm~40nm、1nm~30nm、1nm~20nm、または、1nm~10nmである。シェルがそのような範囲の厚さを有することにより、複合正極活物質が含むリチウム電池の内部抵抗増加が抑制される。
【0056】
複合正極活物質が含む複合体の含量は、複合正極活物質の総重量の3wt%以下、2wt%以下、1wt%以下、0.5wt%以下、0.2wt%以下でもある。複合体の含量は、複合正極活物質の総重量の0.01wt%~3wt%、0.01wt%~1wt%、0.01wt%~0.7wt%、0.01wt%~0.6wt%、0.1wt%~0.5wt%、0.01wt%~0.2wt%、0.01wt%~0.1wt%、または0.03wt%~0.07wt%でもある。複合正極活物質がそのような範囲の複合体を含むことにより、複合正極活物質を含むリチウム電池のサイクル特性がさらに向上する。複合体が含む第1金属酸化物及び第2金属酸化物のうちから選択された1つ以上の平均粒径は、1nm~1μm、1nm~500nm、1nm~200nm、1nm~100nm、1nm~70nm、1nm~50nm、1nm~30nm、3nm~30nm、3nm~25nm、5nm~25nm、5nm~20nm、または、7nm~20nmでもある。第1金属酸化物及び/または第2金属酸化物がそのようなナノ範囲の粒径を有することにより、複合体のグラフェンマトリックス内にさらに均一に分布されうる。したがって、そのような複合体が凝集なしにコア上に均一にコーティングされてシェルを形成することができる。また、第1金属酸化物及び/または第2金属酸化物がそのような範囲の粒径を有することにより、コア上にさらに均一に配置されうる。したがって、コア上に第1金属酸化物及び/または第2金属酸化物が均一に配置されることにより、耐電圧特性をさらに効果的に発揮することができる。第1金属酸化物及び第2金属酸化物の平均粒径は、例えば、レーザ回折方式や動的光散乱方式の測定装置を使用して測定する。平均粒径は、例えば、レーザ散乱粒度分布係(例えば、HORIBA LA-920)を用いて測定し、体積換算における素粒子側から50%累積したときのメジアン径(D50)の値である。
【0057】
複合正極活物質が含むコアは、例えば、下記化学式1で表示されるリチウム遷移金属酸化物を含む:
【0058】
[化学式1]
LiNiCo2-b
【0059】
前記化学式1において、1.0≦a≦1.2、0≦b≦0.2、0.8≦x<1、0<y≦0.3、0<z≦0.3、及びx+y+z=1であり、Mは、マンガン(Mn)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及びボロン(B)からなる群から選択された1つ以上であり、Aは、F、S、Cl、Brまたはそれらの組合わせである。
【0060】
複合正極活物質が含むコアは、例えば、下記化学式2ないし4で表示されるリチウム遷移金属酸化物を含む:
【0061】
[化学式2]
LiNiCoMn
【0062】
[化学式3]
LiNiCoAl
【0063】
前記式において、0.8≦x≦0.95、0<y≦0.2、0<z≦0.2及びx+y+z=1である。
【0064】
[化学式4]
LiNiCoAlMn
【0065】
前記式において、0.8≦x≦0.95、0<y≦0.2、0<v≦0.2、0<w≦0.2及びx+y+v+w=1である。
【0066】
リチウム電池は、複数の正極と複数の負極との間にそれぞれ配置される電解質を含む。
【0067】
リチウム電池の含む電解質は、例えば、液体電解質または、固体電解質である。固体電解質は、例えば、酸化物系固体電解質または硫化物系固体電解質である。
【0068】
リチウム電池は、例えば、リチウムイオン電池、リチウム固体電池、及びリチウム空気電池などである。
【0069】
図1を参照すれば、リチウム電池10000は、複数の正極400、401と1つ以上の負極700とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)1000を含み、複数の正極400、401が第1正極400及び第2正極401を含み、第1正極400は、電極群積層体1000の内層(inner layer)であり、第2正極401は、電極群積層体1000の最外層(outermost layer)であり、第1正極400は、第1正極集電体200、及び第1正極活物質層100を含み、第1正極活物質層100は、第1正極集電体200の両面上に配置され、第2正極401は、第2正極集電体201、及び第2正極活物質層101、及び第2正極集電体201と前記第2正極活物質層101との間に配置される中間層301(interlayer)を含み、第2正極集電体201は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、第2面は、前記第1面の反対面であり、第2正極活物質層101は、第1面上に配置され、第2面上に配置されず、第2正極集電体201の厚さが第1正極集電体200の厚さと同一であるか、さらに薄い。負極700は、負極集電体600及び負極活物質層500を含む。第1正極400及び負極700の個数は、互いに独立して1ないし500、1ないし400、1ないし300、1~200、1ないし100、1ないし50、または、1ないし30でもある。
【0070】
他の一具現例によるリチウム電池は、複数の負極と1つ以上の正極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、前記複数の負極が第1負極及び第2負極を含み、前記第1負極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)であり、前記第2負極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、前記第1負極は、第1負極集電体、及び第1負極活物質層を含み、前記第1負極活物質層は、前記第1負極集電体の両面上に配置され、前記第2負極は、第2負極集電体、及び第2負極活物質層、及び前記第2負極集電体と前記第2負極活物質層との間に配置される中間層(interlayer)を含み、前記第2負極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、前記第2負極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、前記第2負極集電体の厚さが前記第1負極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い。
【0071】
本開示のリチウム電池において、電極群積層体の最外層に配置される第2負極は、第2負極集電体と第2負極活物質層との間に中間層を含むことにより、第2負極の撓みが抑制される。したがって、電極群積層体の製造過程において、第2負極のカーリング、折曲げなどの欠陥発生が抑制される。また、第2負極が単面電極であって、電極群積層体を含むリチウム電池のエネルギー密度が向上する。また、第2負極に配置される第2負極集電体の厚さが第1負極に配置される第1負極集電体の厚さと同一であるか、または、第2負極に配置される第2負極集電体の厚さが第1負極に配置される第1負極集電体の厚さに比べてさらに薄くなることにより、リチウム電池のエネルギー密度が向上する。また、電極群積層体の製造過程における欠陥の発生が抑制される。中間層が第2負極集電体と第2負極活物質層との間に結着力を提供するので、第2負極の製造時に第2負極集電体と第2負極活物質層との結着に要求される圧力が減少する。したがって、第2負極の反りが抑制される。
【0072】
他の一具現例によるリチウム電池製造方法は、第2正極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを乾式混合して乾燥混合物を作製する段階と、第2正極集電体を提供する段階と、第2正極集電体の一面上に中間層を配置する段階と、前記中間層上に前記乾燥混合物を配置し、圧延して、前記第2正極集電体の一面上に第2正極活物質層が配置された第2正極を製造する段階と、を含み、リチウム電池が、複数の正極と1つ以上の負極とが交互に厚さ方向に積層された電極群積層体(electrode group stack)を含み、前記複数の正極が第1正極及び第2正極を含み、前記第1正極は、前記電極群積層体の内層(inner layer)であり、前記第2正極は、前記電極群積層体の最外層(outermost layer)であり、前記第1正極は、第1正極集電体、及び第1正極活物質層を含み、前記第1正極活物質層は、前記第1正極集電体の両面上に配置され、前記第2正極は、第2正極集電体、及び第2正極活物質層、及び前記第2正極集電体と前記第2正極活物質層との間に配置される中間層(interlayer)を含み、前記第2正極集電体は、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記内層に対向し(facing)、前記第2面は、前記第1面の反対面であり、前記第2正極活物質層は、前記第1面上に配置され、前記第2面上に配置されず、前記第2正極集電体の厚さが前記第1正極集電体の厚さと同一であるか、さらに薄い。上述した製造方法によって製造されたリチウム電池は、製造過程で欠陥の生成が抑制され、向上したエネルギー密度を提供することができる。
【0073】
まず、第2正極が提供される。第2正極は、例えば、下記方法で製造されうる。
【0074】
第2正極製造方法は、第2正極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを乾式混合して乾燥混合物を作製する段階と、第2正極集電体を提供する段階と、第2正極集電体の一面上に中間層を配置する段階と、前記中間層上に前記乾燥混合物を配置して圧延し、前記第2正極集電体の一面上に第2正極活物質層が配置された第2正極を製造する段階と、を含む。第2正極活物質は、乾燥正極活物質である。
【0075】
まず、第2正極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを乾式混合して乾燥混合物を作製する。乾式混合は、工程溶媒を含んでいない状態で混合することを意味する。工程溶媒は、例えば、電極スラリーの製造に使用される溶媒である。工程溶媒は、例えば、水、NMPなどであるが、それらに限定されず、電極スラリーの製造時に使用される工程溶媒であれば、特に限定されない。乾式混合は、撹拌機を用いて、例えば、25~65℃の温度で遂行されうる。乾式混合は、撹拌機を使用し、例えば、10~10000rpm、または、100~10000rpmの回転速度で遂行されうる。乾式混合は、撹拌機を使用し、例えば、1~200分、または1~150分間遂行されうる。第2正極活物質は、乾燥正極活物質である。
【0076】
乾式混合は、例えば、1回以上遂行されうる。まず、第2正極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを1次乾式混合して第1混合物を作製することができる。1次乾式混合は、例えば、25~65℃の温度で、2000rpm以下の回転速度で、15分以下の時間の間遂行されうる。1次乾式混合は、例えば、25~65℃の温度で、500ないし2000rpmの回転速度で、5ないし15分間遂行されうる。1次乾式混合によって電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダが均一に混合されうる。次いで、電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインダを2次乾式混合して第2混合物を作製することができる。2次乾式混合は、例えば、25~65℃の温度で、4000rpm以上の回転速度で、10分以上の時間の間遂行されうる。2次乾式混合は、例えば、25~65℃の温度で、4000~9000rpmの回転速度で、10~60分間遂行されうる。2次乾式混合によって繊維化された(fibrillated)乾燥バインダを含む乾燥混合物が得られる。
【0077】
撹拌機は、例えば、ニーダ(kneader)である。撹拌機は、例えば、チャンバ、チャンバ内部に配置されて回転する1つ以上の回転軸、及び回転軸に回転可能に結合され、回転軸の長手方向に配置されるブレードを含む。ブレードは、例えば、リボンブレード、シグマブレード、ゼット(Z)ブレード、分散ブレード、及びスクリューブレードのうちから選択される1つ以上でもある。ブレードを含むことにより、溶媒なしにも電極活物質、乾燥導電材及び乾燥バインドを効果的に混合してドウ(dough-like)状の混合物を製造することができる。
【0078】
製造された乾燥混合物は、押出装置に投入してシート状に押出されうる。押出時の圧力は、例えば、4MPa~100MPa、または、10MPa~90MPaである。得られたシート状の押出物が第2正極活物質層用のシートでもある。
【0079】
乾燥導電材としては、カーボンブラック、黒鉛微粒子、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維;炭素ナノチューブ;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維または金属チューブ;ポリフェニレン誘導体のような伝導性高分子などが使用されるが、それらに限定されず、当該技術分野で導電材として使用するものであれば、いずれも使用可能である。導電材は、例えば、炭素系導電材である。
【0080】
乾燥バインダとしては、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、前述した高分子の混合物、スチレンブタジエンゴム系ポリマーなどが使用されるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で使用するものであれば、いずれも使用可能である。
【0081】
電極活物質組成物に可塑剤または気孔形成剤をさらに付け加えて、電極板の内部に気孔を形成してもよい。
【0082】
電極活物質層に使用される電極活物質、乾燥導電材、乾燥バインダの含量は、上述した通りである。
【0083】
次いで、第2正極集電体が提供される。第2正極集電体の材料は、上述した通りである。第2正極集電体は、例えば、アルミニウム箔である。
【0084】
次いで、第2正極集電体の一面上に中間層を配置する。第2正極集電体の一面上に中間層を配置する段階は、第2正極集電体の一面上に乾式または、湿式で中間層を配置する。具体的な配置方法は、上述した中間層を含む第2正極部分を参照する。それと異なって、第2正極集電体の両面上に中間層が配置されてもよい。
【0085】
次いで、中間層上に設けられた第2正極活物質層用のシートを配置し、圧延して、第2正極集電体の一面上に第2正極活物質層が配置された第2正極を製造する。第2正極集電体と第2正極活物質層との間に中間層が配置される。圧延は、例えば、ロールプレス、平板プレスなどでもあるが、必ずしもそれらに限定されない。圧延時の圧力は、例えば、0.1ton/cm~10.0ton/cmである。圧延時の圧力が過度に増加すれば、第2正極集電体にクラックを引き起こしうる。圧延時の圧力が過度に低ければ、第2正極集電体と第2正極活物質層との結着力が低下しうる。
【0086】
次いで、第1正極が製造される。第1正極は、第2正極と同様の方法で製造されうる。すなわち、第1正極が乾式によって製造されうる。それと異なって、第1正極は、湿式によって製造されうる。第1正極は、例えば、下記の例示的な方法によって製造されるが、必ずしもそのような方法に限定されず、要求される条件によって調節される。
【0087】
第1正極の製造方法は、例えば、第1正極活物質、導電材、バインダ及び工程溶媒を混合してスラリーを準備する段階と、第1正極集電体を提供する段階と、前記第1正極集電体の両面上に前記スラリーを配置し、圧延して、前記第1正極集電体の両面上に第1正極活物質層が配置された第1正極を製造する段階と、を含む。
【0088】
まず、第1正極活物質、導電材、バインダ及び工程溶媒を混合して第1正極用スラリーを準備する。
【0089】
第1正極活物質は、上述した通りである。第1正極活物質は、例えば、リチウム金属酸化物として、当業界で通常使用されるものであれば、制限なしにいずれも使用されうる。第1正極は、例えば、第1正極活物質として上述した複合正極活物質を使用することができる。
【0090】
導電材としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛微粒子、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維;炭素ナノチューブ;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維または金属チューブ;ポリフェニレン誘導体のような伝導性高分子などが使用されるが、それらに限定されず、当該技術分野で導電材として使用するものであれば、いずれも使用可能である。それと異なって、第1正極は、例えば、別途の導電材を含まない。
【0091】
バインダとしては、例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、前述した高分子の混合物、スチレンブタジエンゴム系ポリマーなどが使用されるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野でバインダとして使用するものであれば、いずれも使用可能である。
【0092】
工程溶媒としては、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、水などが使用されるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で工程溶媒として使用するものであれば、いずれも使用可能である。
【0093】
第1正極用スラリーに可塑剤または気孔形成剤をさらに付け加えて、第1正極内部に気孔を形成しうる。
【0094】
第1正極の製造に使用される第1正極活物質、導電材、及びバインダの含量は、例えば、上述した第2正極で使用する範囲でもある。第1正極の用途及び構成によって導電材、及びバインダのうち、1つ以上の省略が可能である。
【0095】
第1正極が含むバインダ含量は、第1正極活物質層の総重量の0.1~10wt%または0.1~5wt%でもある。第1正極が含む第1正極活物質の含量は、第1正極活物質層の総重量の90wt%~99wt%または、95wt%~99wt%でもある。
【0096】
次いで、第1正極集電体が提供される。第1正極集電体の材料は、上述した通りである。第1正極集電体は、例えば、アルミニウム箔である。第1正極集電体の厚さは、例えば、第2正極集電体に比べてさらに厚い。
【0097】
次いで、第1正極集電体の両面上に設けられた第1正極用スラリーを配置し、圧延して、第1正極集電体の両面上に第1正極活物質層が配置された第1正極を製造する。例えば、第1正極活物質、導電材、バインダ及び工程溶媒を混合して第1正極用スラリーを製造し、それをアルミニウム集電体の両面上にそれぞれコーティングして第1正極を製造する。それと異なって、製造された第1正極用スラリーを別途の支持体上にキャスティングし、該支持体から剥離させた第1正極用シートをアルミニウム集電体の両面上にそれぞれラミネーションして第1正極を製造する。
【0098】
次いで、負極が次のように製造される。
【0099】
負極は、例えば、第1正極活物質の代わりに、負極活物質を使用することを除き、第1正極と実質的に等しい方法で製造される。例えば、負極活物質、導電材、バインダ及び工程溶媒を混合して負極活物質組成物を製造し、それを銅集電体に直接コーティングして負極極板を製造する。それと異なって、製造された負極活物質組成物を別途の支持体上にキャスティングし、該支持体から剥離させた負極活物質シートを銅集電体上にラミネーションして負極極板を製造する。それと異なって、負極は、第2正極のように乾式によって製造されうる。
【0100】
負極活物質は、当該技術分野でリチウム電池の負極活物質として使用するものであれば、いずれも使用可能である。例えば、リチウム金属、リチウムと合金可能な金属、遷移金属酸化物、非遷移金属酸化物及び炭素系材料からなる群から選択された1つ以上を含む。リチウムと合金可能な金属は、例えば、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、SbSi-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組合わせ元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組合わせ元素であり、Snではない)などである。元素Yは、例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組合わせである。遷移金属酸化物は、例えば、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などである。非遷移金属酸化物は、例えば、 SnO、SiO(0<x<2)などである。炭素系材料は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはそれらの混合物である。結晶質炭素は、例えば、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛である。非晶質炭素は、例えば、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどである。
【0101】
負極製造に使用される導電材、バインダ及び工程溶媒の種類は、リチウム電池の製造に通常使用される材料でもある。負極製造に使用される導電材、バインダ及び工程溶媒の種類は、第1正極の製造に使用される材料のうちから選択されうる。
【0102】
負極製造に使用される負極活物質、導電材、バインダ及び工程溶媒の含量は、リチウム電池で通常使用されるレベルである。負極の用途及び構成によって前記導電材、バインダ及び工程溶媒のうち、1つ以上の省略が可能である。
【0103】
負極集電体は、例えば、銅箔である。
【0104】
負極が含むバインダ含量は、例えば、負極活物質層の総重量の0.1~10wt%または0.1~5wt%でもある。負極が含む導電材含量は、例えば、負極活物質層の総重量の0.1~10wt%または0.1~5wt%でもある。負極が含む負極活物質含量は、例えば、負極活物質層の総重量の80wt%~98wt%または、90wt%~95wt%でもある。負極活物質がリチウム金属である場合、負極は、バインダ及び導電材を含まない。
【0105】
次いで、第1正極と負極との間、及び第2正極と負極との間に挿入されるセパレータが設けられる。
【0106】
セパレータは、リチウム電池で通常使用されるものであれば、いずれも使用可能である。セパレータは、例えば、電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら、電解液含浸能に優れたものが使用される。セパレータは、例えば、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはそれらの組み合わせ物のうちから選択されたものであって、不織布または織布形態でもある。リチウムイオン電池には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのような巻取可能なセパレータが使用され、リチウムイオンポリマー電池には、有機電解液含浸能に優れたセパレータが使用される。
【0107】
セパレータは、下記の例示的な方法によって製造されるが、必ずしもそのような方法に限定されず、要求される条件によって調節される。
【0108】
まず、高分子樹脂、充填剤及び溶媒を混合してセパレータ組成物が設けられる。セパレータ組成物が電極上部に直接コーティング及び乾燥されてセパレータが形成される。それと異なって、セパレータ組成物が支持体上にキャスティング及び乾燥された後、前記支持体から剥離されたセパレータフィルムが電極上部にラミネーションされてセパレータが形成される。
【0109】
セパレータ製造に使用される高分子は、特に限定されず、電極板の結合材に使用される高分子であればなら皆可能である。例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートまたはそれらの混合物などが使用される。
【0110】
次いで、電解質が設けられる。
【0111】
電解質は、例えば、有機電解液である。有機電解液は、例えば、有機溶媒にリチウム塩が溶解されて製造される。
【0112】
有機溶媒は、当該技術分野で有機溶媒として使用するものであれば、いずれも使用可能である。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルまたはそれらの混合物である。
【0113】
リチウム塩も当該技術分野でリチウム塩として使用するものであれば、いずれも使用可能である。リチウム塩は、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(x、yは、それぞれ1~20)、LiCl、LiIまたはそれらの混合物である。
【0114】
一方、電解質は、固体電解質である。固体電解質は、例えば、ホウ素酸化物、リチウムオキシナイトライドなどであるが、それらに限定されず、当該技術分野で固体電解質として使用するものであれば、いずれも使用可能である。固体電解質は、例えば、スパッタリングなどの方法で前記負極上に形成されるか、別途の固体電解質シートが負極上に積層される。固体電解質は、例えば、酸化物系固体電解質または硫化物系固体電解質である。固体電解質が使用される場合、セパレータが省略されうる。
【0115】
図4を参照すれば、一具現例によるリチウム電池1は、正極3、負極2及びセパレータ4を含む。正極3及び負極2の間にセパレータ4が配置されて電池構造体が形成される。電池構造体7がバイセル構造によって積層された(stacked)後、電池ケース5に収容される。電池構造体7の積層構造は、バイセルに限定されるものではない。電池構造体7で形成された電流を外部に誘導するための電気的通路の役割を行う電極タブ8を含んでもよい。電池ケース5に有機電解液が注入され、密封されてリチウム電池1が完成される。電池ケース5は、角状であるが、必ずしもそのような形態に限定されず、例えば、円筒状、薄膜状などである。
【0116】
パウチ型リチウム電池は、図4のリチウム電池において電池ケースとしてパウチを使用したものにそれぞれ該当する。パウチ型リチウム電池は、1つ以上の電池構造体を含む。正極及び負極の間にセパレータが配置されて電池構造体が形成される。電池構造体がバイセル構造によって積層された後、有機電解液に含浸され、パウチに収容及び密封されてパウチ型リチウム電池が完成される。例えば、図面に図示されていないが、上述した正極、負極及びセパレータが単純積層されて電極組立体の形態でパウチに収容される。次いで、パウチに有機電解液が注入され、密封されてリチウム電池が完成される。
【0117】
リチウム電池は、寿命特性及び高率特性に優れるので、例えば、電気車両(electric vehicle、EV)に使用される。例えば、プラグインハイブリッド車両(plug-in hybrid electric vehicle、PHEV)などのハイブリッド車両に使用される。また、多量の電力保存が要求される分野に使用される。例えば、電気自転車、電動工具などに使用される。
【0118】
リチウム電池は、複数個積層されて電池モジュールを形成し、複数の電池モジュールが電池パックを形成する。そのような電池パックが高容量及び高出力が要求される全ての機器に使用されうる。例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、電気車両などに使用されうる。電池モジュールは、例えば、複数の電池とそれらをホールドするフレームを含む。電池パックは、例えば、複数の電池モジュールとそれらを連結するバスバー(bus bar)を含む。電池モジュール及び/または電池パックは、冷却装置をさらに含みうる。複数の電池パックが電池管理システムによって調節される。電池管理システムは、電池パック、及び電池パックに連結された電池制御装置を含む。
【0119】
以下の実施例及び比較例を通じて本発明がさらに詳細に説明される。但し、実施例は、本発明を例示するためのものであって、それらだけで本発明の範囲が限定されるものではない。
【0120】
(リチウム電池の製造)
実施例1:内層湿式第1正極(両面)、最外層乾式第2正極(単面)、第1正極集電体の厚さ>第2正極集電体の厚さ
(第1正極の製造)
LiNi0.91Co0.05Al0.04(以下、NCA91と称する)第1正極活物質、カーボンブラック(Denka Black)炭素導電剤、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)を96:1.8:2.2の重量比で混合した混合物をN-メチルピロリドン(NMP)と共にメノウ乳鉢で混合してスラリーを製造した。厚さ15μmのアルミニウム薄膜の両面上に前記スラリーをバーコーティング(bar coating)し、常温で乾燥した後、真空、120℃の条件で再度乾燥し、第1正極集電体の両面上に第1正極活物質層が導入された積層体を作製した。積層体を圧延して第1正極を作製した。第1正極集電体の一面上に配置された第1正極活物質層の厚さは、90μmであった。第1正極活物質層の合剤密度は、3.6g/cmであった。
【0121】
第1正極は、第1正極活物質層/第1正極集電体/第1正極活物質層の構造を有していた。
【0122】
(第2正極の製造)
第2正極活物質としてLiNi0.91Co0.05Al0.04(以下、大径NCA91と称する)、乾燥導電材として炭素導電材(Denka Black)、及び乾燥バインダとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を96:1.8:2.2の重量比でブレードミキサーに投入した後、25℃で1000rpmの速度で10分間1次乾式混合して、正極活物質、導電材、及びバインダが均一に混合された第1混合物を作製した。
【0123】
次いで、バインダの繊維化が進められるようにするために、第1混合物を25℃で5000rpmの速度で20分間さらに2次混合して第2混合物を作製した。第1混合物及び第2混合物の製造時に別途の溶媒を使用しなかった。
【0124】
作製された第2混合物を押出機に投入し、押出してシート状の正極活物質層自立膜(self-standing film)を準備した。押出時の圧力は、50MPaであった。
【0125】
12μm厚さのアルミニウム薄膜の一面上に中間層(interlayer)としてカーボン層を配置して第2正極集電体の一面上に中間層が配置された第1積層体が設けられた。
【0126】
中間層は、炭素導電材(Danka black)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む組成物をアルミニウム薄膜上にコーティングした後、乾燥させて準備した。アルミニウム薄膜の一面上に配置される中間層の厚さは、約1μmであった。
【0127】
作製された第1積層体の中間層上に正極活物質層自立膜を配置して積層体を作製し、作製された積層体を圧延して第2正極を製造した。
【0128】
第2正極活物質層の厚さは、100μmであった。第2正極活物質層の合剤密度は、3.0g/cmであった。
【0129】
第2正極は、第2正極集電体/中間層/第2正極活物質層の構造を有していた。
【0130】
図2に示されたように、第2正極はほぼ平坦なシート状を有した。
【0131】
(負極の製造)
人造黒鉛(BSG-L, Tianjin BTR New Energy Technology Co., Ltd.)、スチレンブタジエンゴム(SBR)バインダ(ZEON)及びカルボキシメチルセルロース(CMC, NIPPON A&L)を98:1:1の重量比で混合した後、蒸留水に投入して機械式撹拌機を使用して60分間撹拌して負極活物質スラリーを製造した。製造されたスラリーをドクターブレードを使用して10μm厚さの銅箔の両面上に約60μm厚さに塗布し、100℃の熱風乾燥器で0.5時間乾燥した後、真空、120℃の条件で4時間再度乾燥して積層体を作製した。作製された積層体を圧延(roll press)して負極を製造した。
【0132】
負極は、負極活物質層/負極集電体/負極活物質層の構造を有していた。
【0133】
(電極群積層体の製造)
第1正極、及び負極を交互に積層した後、最上層及び最下層に第2正極をそれぞれ配置して電極群積層体を作製した。
【0134】
電極群積層体は、厚さ方向に沿って第2正極/負極/第1正極/負極/…/負極/第1正極/負極/第2正極の構造を有した。第1正極と負極との間、及び第2正極と負極との間にそれぞれセパレータを配置した。
【0135】
第2正極がほぼ平坦なシート状を有するので、積層型組立体で負極との位置整合が容易であった。積層型組立体の製造過程において第2正極に反り(curl)が発生していない。
【0136】
(パウチセルの製造)
前記で製造された電極群積層体をアルミニウムラミネート袋に投入し、1.3M LiPF6がEC(エチレンカーボネート)+EMC(エチルメチルカーボネート)+DMC(ジメチルカーボネート)(3:4:3体積比)に溶けている溶液である電解質を投入し、真空密封してパウチセルを製造した。パウチセル外部に正極端子及び負極端子を延ばした。
【0137】
実施例2:内層乾式第1正極(両面)、最外層乾式第2正極(単面)、第1正極集電体の厚さ>第2正極集電体の厚さ
第1正極として湿式正極の代わりに、乾式正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム電池を製造した。
【0138】
第1正極集電体として15μm厚さのアルミニウム薄膜を使用した。
【0139】
第1正極は、第1正極活物質層/中間層/第1正極集電体/中間層/第1正極活物質層の構造を有していた。
【0140】
第2正極がほぼ平坦なシート状を有するので、積層型組立体で負極との位置整合が容易であった。積層型組立体の製造過程において第2正極に反り(curl)が発生していない。
【0141】
したがって、リチウム電池の製造過程で欠陥が発生していない。
【0142】
比較例1:内層湿式第1正極(両面)、最外層湿式第2正極(単面)、第1正極集電体の厚さ>第2正極集電体の厚さ
乾式の代わりに、湿式で製造した第2正極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム電池を製造した。
【0143】
第2正極は、下記方法で製造した。
【0144】
(第2正極の製造)
LiNi0.91Co0.05Al0.04(以下、NCA91と称する)第2正極活物質、カーボンブラック(Denka Black)炭素導電剤、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)を96:1.8:2.2の重量比で混合した混合物をN-メチルピロリドン(NMP)と共にメノウ乳鉢で混合してスラリーを製造した。厚さ12μmのアルミニウム薄膜の一面上に前記スラリーをバーコーティング(bar coating)し、常温で乾燥した後、真空、120℃の条件で再度乾燥し、第2正極集電体の一面上に第2正極活物質層が導入された積層体を作製した。積層体を圧延して第2正極を作製した。第2正極集電体の一面上に配置された第2正極活物質層の厚さは、100μmであった。第2正極活物質層の合剤密度は、3.0g/cmであった。
【0145】
第2正極は、第2正極集電体/第2正極活物質層の構造を有していた。図3に示されたように、第2正極は、圧延によって顕著に湾曲したシート状を有した。
【0146】
第2正極が湾曲したシート状を有するので、積層型組立体で負極との位置整合が非常に困難であった。したがって、積層型組立体の製造過程において第2正極に反り(curl)が発生するので、積層型組立体を製造することが困難であった。
【0147】
したがって、リチウム電池の製造過程で欠陥が発生した。
【0148】
比較例2:内層湿式第1正極(両面)、最外層湿式第2正極(単面)、第1正極集電体の厚さ>第2正極集電体の厚さ、第1正極活物質層の厚さ>第2正極活物質層の厚さ
乾式の代わりに、湿式で製造した第2正極を使用し、第2正極が含む第2正極活物質層の厚さを100μmから80μmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム電池を製造した。
【0149】
第2正極の製造方法は、比較例1を参照する。
【0150】
第2正極は、第2正極集電体/第2正極活物質層の構造を有していた。第2正極は、圧延によって顕著に湾曲したシート状を有した。
【0151】
第2正極が湾曲したシート状を有するので、積層型組立体で負極との位置整合が非常に困難であった。したがって、積層型組立体の製造過程において第2正極に反り(curl)が発生するので、積層型組立体を製造することが困難であった。
【0152】
また、第2正極集電体及び第2正極活物質層の厚さが減少することにより、圧延過程で第2正極集電体及び第2正極活物質層に部分的なクラックが発生した。
【0153】
したがって、リチウム電池の製造過程で欠陥が発生した。
【0154】
比較例3:内層湿式第1正極(両面)、最外層湿式第2正極(単面)、第1正極集電体の厚さ>第2正極集電体の厚さ、第1正極活物質層の合剤密度<第2正極活物質層の合剤密度
乾式の代わりに、湿式で製造した第2正極を使用し、第2正極が含む第2正極活物質層の合剤密度を3.0g/cmから3.9g/cmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム電池を製造した。
【0155】
第2正極の製造方法は、比較例1を参照する。
【0156】
第2正極は、第2正極集電体/第2正極活物質層の構造を有していた。第2正極は、圧延によって顕著に湾曲したシート状を有した。
【0157】
第2正極が湾曲したシート状を有するので、積層型組立体で負極との位置整合が非常に困難であった。したがって、積層型組立体の製造過程において第2正極に反り(curl)が発生するので、積層型組立体を製造することが困難であった。
【0158】
また、第2正極集電体の厚さが減少して第2正極活物質層の合剤密度が増加することにより、圧延過程で第2正極集電体及び第2正極活物質層に部分的なクラックが発生した。
【0159】
したがって、リチウム電池の製造過程で欠陥が発生した。
【0160】
比較例4:最外層乾式第2正極を除外
電極群積層体製造時に第2正極の適用を除き、第1正極及び負極のみを使用して電極群積層体を作製したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム電池を製造した。
【0161】
比較例5:内層湿式第1正極(両面)、最外層乾式第2正極(単面)でコーティング層不在(free)
カーボン層がコーティングされていない12μm厚さのアルミニウム薄膜を第2正極集電体として使用して第2正極を製造したことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム電池を製造した。
【0162】
製造された第2正極で第2正極活物質層の一部が第2正極集電体から剥離された状態で存在した。
【0163】
したがって、電極群積層体の最外層に第2正極が配置されるパウチセルの製造が不可能であった。
【0164】
評価例1:正極活物質層の垂直方向結着力評価(I)
SAICAS (SAICAS EN-EX, Daipla Wintes, JAPAN)を使用して、実施例1及び比較例1でそれぞれ製造された第2正極が含む正極活物質層の結着特性を分析した。
【0165】
幅1mmのダイヤモンドブレードを使用してクリアランス角(clearance angle)10゜、レーキ角(rake angle)20°、せん断角(shearing angle)45°、水平速度(horizontal velocity)4μm/s、及び垂直速度(vertical velocity)0.4μm/sの条件で定速分析を遂行して深さによる垂直方向結着力(FV, Vertical Force)を測定した。
【0166】
まず、正極活物質層表面の第1位置から正極集電体表面まで1次定速分析を遂行し、正極集電体表面に沿ってブレードを水平移動させて正極活物質層を除去した。次いで、前記第1位置から10μm後進させた位置で、1次定速分析と同じ条件で2次定速分析を遂行した。2次定速分析で測定されたデータを使用した。
【0167】
正極活物質層で正極活物質層の垂直方向結着力を測定し、測定されたデータを結着力グラフ面積に正規化し、正極活物質層の深さによる垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)を導出した。
【0168】
正極活物質層の垂直方向結着力は、正極活物質層の全体厚さに対して、正極活物質層の表面から5%離隔された第1地点から、電極集電体の表面から5%離隔された第2地点までの区間で測定されたデータを使用した。すなわち、正極活物質層表面近傍及び電極集電体表面近傍でのデータは、測定誤差を防止するために除外した。
【0169】
導出された正極活物質層の垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)データから下記数式1を使用して垂直方向結着力(FVR, Vertical Relative Force)変化率を計算した。また、導出された正極活物質層の垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)データから算術平均値も計算した。
【0170】
[数式1]
垂直方向相対結着力(FVR, Vertical Relative Force)の変化率=[(垂直方向相対結着力の最大値-垂直方向相対結着力の最小値)/垂直方向相対結着力の最小値]×100
【0171】
【表1】
【0172】
表1に示されたように、実施例1の第2正極が含む正極活物質層の垂直方向相対結着力の変化率は、200%以下であった。
【0173】
したがって、正極活物質層が厚さ方向による位置に関係なく均一な結着力及び組成分布を有することを確認した。
【0174】
これに対して、比較例1の第2正極が含む正極活物質層は、垂直方向結着力の変化率は、1000%超過であった。
【0175】
したがって、比較例1の第2正極が含む正極活物質層は、厚さ方向の位置によって顕著に変化される結着力及び組成分布を有することを確認した。
【0176】
評価例2:正極活物質層の水平方向結着力評価(II)
SAICAS (SAICAS EN-EX, Daipla Wintes, JAPAN)を使用し、実施例1及び比較例1でそれぞれ製造された第2正極が含む正極活物質層の結着特性を分析した。
【0177】
幅1mmのダイヤモンドブレードを使用してクリアランス角(clearance angle)10°、レーキ角(rake angle)20°、せん断角(shear angle)45゜、水平速度(horizontal velocity)4μm/s、及び垂直速度(vertical velocity)0.4μm/sの条件で定速分析を遂行して深さによる水平方向結着力(FH2, Horizontal Force)を測定した。
【0178】
まず、正極活物質層表面の第1位置から正極集電体表面まで1次定速分析を遂行し、正極集電体表面に沿ってブレードを水平移動させて正極活物質層を除去した。次いで、前記第1位置から10μm後進させた位置で、1次定速分析と同じ条件で2次定速分析を遂行した。2次定速分析で測定されたデータを使用した。
【0179】
正極活物質層の全体厚さに対して、正極活物質層の表面から10%離隔された第1地点における第1水平方向結着力(FH1, Horizontal Force)及び正極集電体の表面から10%離隔された第2地点における第2水平方向結着力(FH2, Horizontal Force)を測定した。
【0180】
第1地点と第2地点の水平方向結着力の比率は、下記数式2によって定義される。
【0181】
[数式2]
第1地点と第2地点の水平方向結着力の比率(%)=[FH2/FH1]×100
【0182】
【表2】
【0183】
表2に示されたように、実施例1の第2正極が含む正極活物質層の水平方向相対結着力の比率は、70%以上であった。
【0184】
これに対して、比較例1の第2正極が含む正極活物質層の水平方向結着力の比率は、50%未満であった。
【0185】
すなわち、実施例1の第2正極が含む正極活物質層の水平方向相対結着力の比率が比較例1の正極活物質層に比べて増加した。
【0186】
したがって、実施例1の第2正極が含む正極活物質層が、比較例1の第2正極が含む正極活物質層に比べてさらに均一な結着力及び組成分布を有することを確認した。
【0187】
評価例3:正極集電体の表面粗さ評価
実施例1及び比較例1で製造された第2正極の断面に対して走査電子顕微鏡を測定し、断面イメージからソフトウェアを使用して第2正極集電体表面の粗度を測定した。
【0188】
測定結果の一部を下記表3に示した。
【0189】
【表3】
【0190】
表3に示されたように、比較例1で製造された湿式第2正極が含む第2正極集電体の表面は、3.5μm超過のRmax 、2.3μm超過のR、2.3μm超過のR値を示した。
【0191】
比較例1の湿式第2正極の断面に対する走査電子顕微鏡イメージから、増加したプレス圧力によって第2正極集電体の内部に正極活物質粒子が浸透するので、第2正極集電体表面に凹凸が形成されることを確認した。
【0192】
表3に示されたように、実施例1で製造された乾式第2正極が含む第2正極集電体の表面は減少した表面粗さを示した。
【0193】
実施例1の乾式第2正極の断面に対する走査電子顕微鏡イメージから、減少したプレス圧力によって第2正極集電体の内部に正極活物質粒子が浸透しないので、第2正極集電体表面に凹凸がほとんど形成されていないことを確認した。
【0194】
実施例1の乾式第2正極は、薄膜集電体を使用するにもかかわらず、薄膜集電体のクラックなどが発見されていない。
【0195】
評価例4:剥離強度評価
実施例1、比較例1及び比較例5で製造された第2正極それぞれに対して、正極を25mm×150mmに切断して30mm×200mmスライドガラス中央部にテープを使用して固定させた後、UTM (Universal Test Machine)を使用して集電体を正極活物質層から剥離しながら90°剥離強度を測定した。測定結果の一部を下記表4に示した。
【0196】
【表4】
【0197】
表4に示されたように、実施例1の正極は、1gf/mmの結着力を示した。したがって、実施例1の正極は、前記評価例3に示されたように第2正極集電体表面が低い表面粗さを有するにもかかわらず、高い結着力を示した。
【0198】
比較例1の正極も優秀な結着力を示したが、評価例3に示されたように正極活物質が、第2正極集電体表面の高い表面粗さを有することにより、そのような結着力が得られた。
【0199】
比較例6の第2正極は、剥離強度評価前に正極活物質層の一部が第2正極集電体から剥離された状態で存在するので、剥離強度評価が不可能であった。
【0200】
評価例5:リチウム析出評価
実施例1、実施例2及び比較例4で製造されたリチウム電池を25℃で0.1C rateの定電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで充電した後、定電圧モードで4.4Vを保持しながら、0.05C rateの電流でカットオフ(cut-off)した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.1C rateの定電流で放電した(化成(formation)サイクル)。
【0201】
化成サイクルを経たリチウム電池を25℃、0.5C rateの電流で電圧が4.4V(vs.Li)に至るまで定電流充電した。次いで、放電時に電圧が2.8V(vs.Li)に至るまで0.5C rateの定電流で放電し、そのようなサイクルを100thサイクルまで同じ条件で繰り返した(100回繰り返し)。全ての充放電サイクルにおいて1回の充電/放電サイクル後、10分間の休止期間を置いた。
【0202】
充放電終了後、電池を分解し、負極表面におけるリチウム(Li)析出如何を評価した。実験結果を下記表5に示した。
【0203】
【表5】
【0204】
表5に示されたように、電極群積層体の最外層に第2正極が配置された実施例1、2のリチウム電池では、負極表面上にリチウム析出がなかった。
【0205】
これに対して、最外層第2正極を含まない比較例4のリチウム電池では、負極表面上のリチウム析出を確認した。
【符号の説明】
【0206】
1 リチウム電池
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 電池ケース
7 電池構造体
8 電極タブ
100 第1正極活物質層
101 第2正極活物質層
200 第1正極集電体
201 第2正極集電体
301 中間層
400 第1正極
401 第2正極
500 負極活物質層
600 負極集電体
700 負極
1000 電極群積層体
10000 リチウム電池
図1
図2
図3
図4