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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148358
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】接合方法及び接合システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061426
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】野田 和孝
(72)【発明者】
【氏名】永田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】寺田 尚司
(57)【要約】
【課題】重合基板を形成する基板同士の接合品質を向上する。
【解決手段】表面に金属材料が露出した基板同士を接合する接合方法であって、前記基板の接合される表面を処理ガスのプラズマにより改質する工程と、改質された前記基板の表面を親水化する工程と、親水化された前記基板の表面同士を接合する工程と、を含み、前記親水化の工程では、前記基板の表面に処理液を供給し、当該処理液により、前記金属材料のリセス量を制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に金属材料が露出した基板同士を接合する接合方法であって、
前記基板の接合される表面を処理ガスのプラズマにより改質する工程と、
改質された前記基板の表面を親水化する工程と、
親水化された前記基板の表面同士を接合する工程と、を含み、
前記親水化の工程では、
前記基板の表面に処理液を供給し、当該処理液により、前記金属材料のリセス量を制御する、接合方法。
【請求項2】
前記リセス量を、前記処理液の水素イオン濃度により制御する、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記処理液の水素イオン濃度を、pH値7~11の範囲で制御する、請求項2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記処理液としてアンモニア水を使用する、請求項3に記載の接合方法。
【請求項5】
前記アンモニア水の濃度を1ppm~1000ppmに調整する、請求項4に記載の接合方法。
【請求項6】
前記処理液の水素イオン濃度を、予め決定された一定のpH値で維持する工程を含む、請求項2に記載の接合方法。
【請求項7】
前記リセス量を前記処理液の酸化還元電位により制御する、請求項1に記載の接合方法。
【請求項8】
前記処理液の酸化還元電位をORP値0以下で制御する、請求項7に記載の接合方法。
【請求項9】
前記処理液の酸化還元電位を、予め決定された一定のORP値で維持する工程を含む、請求項7に記載の接合方法。
【請求項10】
前記リセス量を、前記処理液の温度、流量又は供給時間の少なくともいずれかにより制御する、請求項1に記載の接合方法。
【請求項11】
前記処理液の温度を20℃~80℃で制御する、請求項10に記載の接合方法。
【請求項12】
前記金属材料は銅である、請求項1~11のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項13】
前記基板の接合により形成された重合基板を加熱する工程を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項14】
表面に金属材料が露出した基板同士を接合する接合システムであって、
前記基板の接合される表面を処理ガスのプラズマにより改質する表面改質装置と、
改質された前記基板の表面を親水化する表面親水化装置と、
親水化された前記基板の表面同士を接合する接合装置と、
制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記表面親水化装置において、前記基板の表面に処理液を供給し、当該処理液により、前記金属材料のリセス量を調整する制御、を実行する、接合システム。
【請求項15】
前記表面親水化装置は、前記処理液の水素イオン濃度を調整するpH調整部を備える、請求項14に記載の接合システム。
【請求項16】
前記表面親水化装置は、前記処理液の酸化還元電位を調整するORP調整部を備える、請求項14に記載の接合システム。
【請求項17】
前記処理液がアンモニア水である、請求項14~16のいずれか一項に記載の接合システム。
【請求項18】
前記金属材料が銅である、請求項14~16のいずれか一項に記載の接合システム。
【請求項19】
前記接合装置で形成された重合基板を加熱する加熱装置を更に有する、請求項14~16のいずれか一項に記載の接合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合方法及び接合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板同士を分子間力によって接合する接合システムが開示されている。かかる接合システムは、基板表面を改質する表面改質装置と、改質された基板表面を親水化する親水化装置と、親水化された基板同士を接合する接合装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-073455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、重合基板を形成する基板同士の接合品質を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、表面に金属材料が露出した基板同士を接合する接合方法であって、前記基板の接合される表面を処理ガスのプラズマにより改質する工程と、改質された前記基板の表面を親水化する工程と、親水化された前記基板の表面同士を接合する工程と、を含み、前記親水化の工程では、前記基板の表面に処理液を供給し、当該処理液により、前記金属材料のリセス量を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、重合基板を形成する基板同士の接合品質を向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】リセス処理によりウェハ表面に形成された凹部を示す説明図である。
図2】本実施形態にかかる接合システムの構成の概略を示す平面図である。
図3】上ウェハと下ウェハの構成の概略を示す側面図である。
図4】表面改質装置の構成の概略を示す断面図である。
図5】表面親水化装置の構成の概略を示す断面図である。
図6】接合装置の構成の概略を示す断面図である。
図7】ウェハ処理の主な工程を示す説明図である。
図8】(a)表面改質処理(b)表面親水化処理の様子を示す説明図である。
図9】金属配線としての銅のプールベ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術では、表面に絶縁膜と金属配線が露出した2枚の半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」という。)同士の接合が行われる。ウェハは、基板の一例である。接合処理を行う接合システムでは、接合対象のウェハの表面に表面改質処理と表面親水化処理を順次施し、その後、例えばファンデルワールス力及び水素結合(分子間力)によってウェハ同士を接合する。そして、特許文献1に開示される接合システムには、これら表面改質処理、表面親水化処理及び接合処理をそれぞれ行うための、各種処理装置が設けられている。
【0009】
ところで、このようにウェハ同士を接合して形成された重合ウェハには、その後、これらウェハ同士の接合強度を増すための加熱(アニール)処理が行われる。この加熱処理では、ウェハ表面に露出する金属配線が熱膨張するため、膨張による金属配線の破損を抑制するため、図1に示すように、ウェハ(図示の例ではSi)の表面に形成された金属配線(図示の例ではCu)の表面高さを、絶縁膜(図示の例ではSiO)の表面高さと比較して予め低く(いわゆるリセス)している。
【0010】
しかしながら、このリセスは接合システムの外部で予め行われているため、例えば特許文献1に開示される接合システムでは、リセス量が不足している場合やウェハの面内でリセス量にバラつきがある場合でも、接合に先立ってこれを調整できなかった。従って、従来の接合システムには改善の余地がある。
【0011】
本開示にかかる技術は、重合基板を形成する基板同士の接合品質を向上する。以下、本実施形態にかかる接合方法、及び当該接合方法を実現する接合システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<接合システムの構成>
先ず、本実施形態にかかる接合システムの構成について説明する。図2は、接合システム1の構成の概略を示す平面図である。なお、以下の説明では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0013】
接合システム1では、図3に示す基板としてのウェハW同士を接合する。以下、後述の接合装置で上側に配置されるウェハを「上ウェハW」といい、下側に配置されるウェハを「下ウェハW」という。また、上ウェハWにおいて下ウェハWと接合される接合面を「表面WU1」といい、反対側の面を「裏面WU2」という。同様に、下ウェハWにおいて上ウェハWと接合される接合面を「表面WL1」といい、反対側の面を「裏面WL2」という。以下の説明では、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1とを、併せて「表面W」という場合がある。同様に、上ウェハWの裏面WU2と下ウェハWの裏面WL2とを、併せて「裏面W」という場合がある。接合システム1では、上ウェハWと下ウェハWの表面W同士を接合して、重合基板としての重合ウェハWを形成する。
【0014】
ウェハWは、例えばシリコン基板等の半導体ウェハであって、表面W側に絶縁膜Fと、金属材料としての金属配線Dが露出している。絶縁膜Fには、例えばシリコン酸化膜(SiO膜やSiO膜)が用いられる。金属配線Dには、例えば銅(Cu)やコバルト(Co)が用いられる。また、接合システム1に搬入されるウェハWの表面Wには、絶縁膜Fの表面高さに対して金属配線Dの表面高さが低くなるように、予めリセス処理が施されている。このリセス処理は、一例において、ウェハWの化学機械研磨処理(いわゆる「CMP処理」)で制御される。リセス処理により形成された凹部の深さ(リセス量)は、一例において5nm未満である。
【0015】
図2に示すように接合システム1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2では、例えば外部との間で複数の上ウェハW、下ウェハW又は重合ウェハWを収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される。処理ステーション3は、上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWに対して所望の処理を施す各種処理装置を備えている。
【0016】
搬入出ステーション2には、カセットC、C、Cを載置するカセット載置台10が設けられている。カセット載置台10のX軸正方向側には、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動し、カセット載置台10のカセットC、C、Cと後述のトランジション装置50、51との間で上ウェハW、下ウェハW又は重合ウェハWを搬送可能なウェハ搬送装置22が設けられている。
【0017】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数、例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。第1処理ブロックG1には、ウェハWの表面Wを改質する表面改質装置30が配置されている。第2処理ブロックG2には、ウェハWの表面Wを親水化すると共に、当該表面Wを洗浄する表面親水化装置40と、上ウェハWと下ウェハWを接合する接合装置41が配置されている。第3の処理ブロックG3には、上ウェハW、下ウェハW又は重合ウェハWを一時的に保持するトランジション装置50、51が設けられている。
【0018】
表面改質装置30は、例えば減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンがウェハWの表面Wに照射されて、表面Wがプラズマ処理され、改質される。
【0019】
図4に示すように、表面改質装置30は、処理容器100、処理ガス供給部110、プラズマ生成部120、イオン引き込み部130及び排気部140を有する。
【0020】
処理容器100は、内部を密閉可能に構成される。処理容器100には、図示しないウェハWの搬入出口が形成され、搬入出口には、図示しないゲートバルブが設けられている。処理容器100の底部側には、ウェハWの表面W側が上を向いた状態となるように、ウェハWの裏面Wを吸着保持するステージ101が配置される。ステージ101は、例えば、少なくとも一部が絶縁部材で構成される。
【0021】
処理ガス供給部110は、処理容器100の内部に処理ガスを供給する。処理ガス供給部110は、処理容器100の内部に処理ガスを導入するためのガス供給路111と、少なくとも1つのガス供給源112と、少なくとも1つの流量制御器113を備える。ガス供給路111は、ガス供給源112から供給された処理ガスを処理容器100の内部に導入する。流量制御器113は、例えばマスフローコントローラ、圧力制御式又は流量変調デバイスを含んでもよい。なお、ガス供給源112から供給される処理ガスは酸素ガスや窒素ガスに限られず、例えば、アルゴンガスやヘリウムガスが供給されてもよい。
【0022】
プラズマ生成部120は、処理容器100の内部に処理ガスのプラズマを生成する。図示の例では、プラズマ生成部120は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)型のプラズマ生成装置を備えているが、プラズマ生成部120の構成は特に限定されず、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively
Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、又は、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)等の任意のプラズマ生成装置で構成され得る。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。
【0023】
イオン引き込み部130は、処理容器100内に生成されたプラズマの内部に分布するイオンを、ステージ101上のウェハWの表面Wに引き込む。一例においてイオン引き込み部130は、少なくとも1つの電極131、高周波電源132及びコンデンサ133を有する。なお、高周波電源132は、ウェハWの表面Wへのイオンの引き込みに加え、処理容器100の内部へのプラズマの生成に用いられてもよい。従って高周波電源132は、ソース電力又はバイアス電力のうち少なくとも1つを、電極131に供給する。
【0024】
排気部140は、例えば処理容器100の底部に設けられたガス排出口100eに接続される。排気部140は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、処理容器100の内部圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0025】
表面改質装置30は以上のように構成される。なお、以上の構成は一例であり、表面改質装置30は、ウェハWの表面Wを改質できれば任意の構成をとることができる。
【0026】
表面親水化装置40は、例えばスピンチャックに保持されたウェハWを回転させながら、当該ウェハWの表面W上に処理液を供給する。そうすると、供給された処理液はウェハWの表面W上を遠心力により拡散し、表面Wが親水化される。
【0027】
図5に示すように、表面親水化装置40は、処理容器200、スピンチャック210、カップ220、吐出ノズル230及び液供給機構240を有する。
【0028】
処理容器200は、内部を密閉可能に構成される。処理容器200には、図示しないウェハWの搬入出口が形成され、搬入出口には、図示しないゲートバルブが設けられている。処理容器200内の中央部には、ウェハWを表面Wが上側を向いた状態となるように保持して、鉛直軸回りに回転させるスピンチャック210が配置される。スピンチャック210は、例えばモータなどを備えた駆動機構211を有する。また、駆動機構211には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられてもよい。
【0029】
スピンチャック210の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ220が設けられている。カップ220の下面には、回収した液体を排出する排出管221と、カップ220内の雰囲気を排気する排気管222が接続されている。
【0030】
スピンチャック210の上方には、図示しないアームに支持されて、吐出ノズル230が設けられている。吐出ノズル230は、カップ220の外方に配置された待機部231からカップ220内のウェハWの中心部上方まで移動でき、さらにウェハWの上方で径方向に移動できる。また、吐出ノズル230は、図示しない昇降機構によりウェハWの表面Wに対する高さを調節可能に構成される。
【0031】
吐出ノズル230には、スピンチャック210上のウェハWの表面に処理液を供給するための液供給機構240が接続されている。液供給機構240は、処理液を内部に貯留し、吐出ノズル230に処理液を供給する処理液供給源241と、処理液供給源241と吐出ノズル230とを接続する処理液供給管242とを有する。
【0032】
処理液供給管242には、レギュレータ、圧力計、流量検出部、バルブ及びフィルタ等を備える調節機構242aが配設される。そして、この調節機構242aにより、処理液供給管242の内部を流通する処理液の圧力及び/又は流量を測定、調節可能であるとともに、処理液中のパーティクルを捕集して除去できる。これらレギュレータ、圧力計、流量検出部、バルブ及びフィルタの種類や数、構成は特に限定されない。
【0033】
本実施形態において、ウェハWの表面親水化処理には、弱アルカリ溶液、例えば希釈アンモニア水(dNHOH)が用いられる。従って、液供給機構240の処理液供給源241には、一例においてアンモニア水が貯留されている。
【0034】
また、本実施形態において、液供給機構240には、水素イオン濃度(以下、「pH」という。)調整部243と、酸化還元電位(以下、「ORP」という。)調整部244が設けられている。
pH調整部243は、ウェハWの表面Wに供給される処理液(本実施形態においてはアンモニア水)の、例えば濃度を制御することで、当該処理液のpHを所望の値に調整する。なお、pH調整部243の構成はこれに限定されず、処理液のpHを調整できれば任意に構成できる。
ORP調整部244は、ウェハWの表面Wに供給される処理液に、例えば水素ガスや水素水を混合させて処理液中の溶存水素量を変化させることで、当該処理液のORPを所望の値に調整する。なお、ORP調整部244の構成はこれに限定されず、処理液のORPを調整できれば任意に構成できる。
【0035】
表面親水化装置40は以上のように構成される。なお、以上の構成は一例であり、表面親水化装置40は、ウェハWの表面Wを親水化できれば任意の構成をとることができる。
【0036】
接合装置41では、上ウェハWと下ウェハWとを、それぞれ表面改質処理と表面親水化処理が順次施された表面WU1、表面WL1で、接合する。
【0037】
図6に示すように、接合装置41は、処理容器300、上チャック310、下チャック320及び押動部330を有する。
【0038】
処理容器300は、内部を密閉可能に構成される。処理容器300には、図示しないウェハWの搬入出口が形成され、搬入出口には、図示しないゲートバルブが設けられている。上チャック310は、処理容器300の天部側に設けられ、下チャック320は、処理容器300の底部側に設けられる。
【0039】
上チャック310は、上ウェハWUの裏面WU2を下面で吸着保持する。上チャック310は、当該上チャック310の上方に設けられた上チャックステージ311に支持されている。上チャックステージ311には、下チャック320に保持された下ウェハWの表面WL1を撮像する上部撮像部312が設けられている。上部撮像部312には、例えばCCDカメラが用いられる。
また、上チャック310には、回転部313が設けられている。回転部313は、上チャックステージ311及び上チャック310を鉛直軸(θ軸)回りに回転させる。なお、回転部313には、上チャック310のθ軸方向位置を測定するための図示しない測定部(例えばリニアスケール)が設けられていてもよい。
【0040】
下チャック320は、下ウェハWの裏面WL2を上面で吸着保持する。下チャック320は、上チャック310の下方に設けられ、上チャック310と対向配置可能に構成されている。すなわち、上チャック310に保持された上ウェハWと下チャック320に保持された下ウェハWは対向して配置可能となっている。下チャック320は、当該下チャック320の下方に設けられた下チャックステージ321に支持されている。下チャックステージ321には、上チャック310に保持された上ウェハWの表面WU1を撮像する下部撮像部322が設けられている。下部撮像部322には、例えばCCDカメラが用いられる。
また、下チャック320には、移動部323が設けられている。移動部323は、下チャックステージ321及び下チャック320を水平方向に移動させる。また、移動部323は、下チャック320を鉛直方向に移動させる。なお、移動部323には、下チャック320の水平方向位置及び鉛直方向位置を測定するための図示しない測定部(例えばレーザ干渉計)が設けられていてもよい。
【0041】
上チャック310の上面には、上ウェハWの中心部を裏面WU2側から押圧する押動部330が設けられている。押動部330は、アクチュエータ部331とシリンダ部332とを有している。
アクチュエータ部331は、上チャック310と上チャックステージ311の中心部を厚み方向に貫通する貫通孔314を挿通して鉛直方向に昇降自在になっている。アクチュエータ部331は、例えば電空レギュレータからの空気によって、上ウェハWの中心部と当接し、当該上ウェハWの中心部にかかる押圧荷重を制御できる。
アクチュエータ部331は、シリンダ部332に支持されている。シリンダ部332は、例えばモータを内蔵した駆動部によってアクチュエータ部331を鉛直方向に移動させる。
以上のように押動部330は、アクチュエータ部331によって押圧荷重の制御をし、シリンダ部332によってアクチュエータ部331の移動の制御をしている。そして、押動部330は、後述する上ウェハWと下ウェハWの接合時に、上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部とを当接させて押圧することができる。
【0042】
なお、下チャック320の外周部には、上ウェハW、下ウェハW、重合ウェハWが下チャック320から飛び出したり、滑落したりするのを防止する、図示しないガイド部材が設けられている。ガイド部材は、下チャック320の外周部に複数個所、例えば4箇所に等間隔に設けられている。
【0043】
なお、接合装置41には、接合装置41に搬送され、上チャック310に吸着保持される上ウェハWの表裏面を反転させるための図示しない反転装置が設けられてもよい。接合装置41に搬送される上ウェハWは、表面改質処理及び表面親水化処理が施された表面WU1が上側を向いた状態で搬送されるが、この反転装置により表裏面が反転されることで、適切に裏面WU2を上チャック310に保持させることができる。
但し、反転装置の配置はこれに限定されるものではなく、接合装置41の内部に代えて、接合システム1の処理ステーション3の任意の位置に、上ウェハWの表裏面を反転させるための図示しない反転装置を独立して設けてもよい。
【0044】
接合装置41は以上のように構成される。なお、以上の構成は一例であり、接合装置41は、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1とを接合できれば任意の構成をとることができる。
【0045】
トランジション装置50、51は、第3の処理ブロックG3において積層して配置されている。トランジション装置50、51は、上ウェハW、下ウェハW及び重合ウェハWを、搬入出ステーション2のウェハ搬送部20のウェハ搬送装置22、と後述するウェハ搬送部60のウェハ搬送装置62との間で受け渡すため、これら上ウェハW、下ウェハW及び重合ウェハWを一時的に保持する。
【0046】
図2に示すように、処理ステーション3の第1処理ブロックG1~第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送部60が設けられている。ウェハ搬送部60には、X軸方向に延伸する搬送路61上を移動し、表面改質装置30、表面親水化装置40、接合装置41及びトランジション装置50、51との間で上ウェハW、下ウェハW又は重合ウェハWを搬送可能なウェハ搬送装置62が設けられている。
【0047】
以上の接合システム1には、制御装置70が設けられている。制御装置70は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1におけるウェハ処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置70にインストールされたものであってもよい。また、上記記憶媒体Hは、一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。
【0048】
<接合方法>
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる上ウェハWと下ウェハWの接合方法について説明する。図7は、接合システム1におけるウェハ処理の主な工程を示す説明図である。
【0049】
先ず、複数枚の上ウェハWを収容したカセットC、複数枚の下ウェハWを収容したカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2のカセット載置板11にそれぞれ載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の上ウェハWが取り出され、処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。
【0050】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって表面改質装置30に搬送される。表面改質装置30では、所望の減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンが上ウェハWの表面WU1に照射されて、当該表面WU1がプラズマ処理される。そして、上ウェハWの表面WU1が改質される(図7の工程SU1)。この表面改質処理では、図8(a)に示すように、ウェハWの表面WU1に露出する絶縁膜Fを改質してシリコン原子のダングリングボンドDBを形成する一方、ウェハWの表面WU1に露出する金属配線Dは改質しない。
【0051】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された上ウェハWを回転させながら、当該上ウェハW上に処理液を供給する。そうすると、供給された処理液は上ウェハWの表面WU1上を拡散し、表面改質装置30において改質された上ウェハWの表面WU1(ダングリングボンドDB)に水酸基(シラノール基)が付着して当該表面WU1が親水化される。従って、この表面親水化処理では、図8(b)に示すように、ウェハWの表面WU1に露出する絶縁膜F上に水酸基が付着する一方、金属配線D上では水酸基は付着しない。また、当該処理液によって、上ウェハWの表面WU1が洗浄される(図7の工程SU2)。なお、ウェハWの表面親水化処理の詳細な方法については後述する。
【0052】
次に上ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された上ウェハWは、図示しない反転装置により表裏面が反転された後、上チャック310に裏面WU2側が吸着保持される。またこの時、上ウェハWは、図示しない位置調節機構によって、水平方向の向きが調節される。
【0053】
上ウェハWに上述した各種処理が行われている間、当該上ウェハWに続いて下ウェハWの処理が行われる。先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットC内の下ウェハWが取り出され、処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。
【0054】
次に下ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって表面改質装置30に搬送され、下ウェハWの表面WL1が改質される(図7の工程SL1)。なお、工程SL1における下ウェハWの表面WL1の改質は、上述した工程SU1と同様である。
【0055】
次に下ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって表面親水化装置40に搬送され、下ウェハWの表面WL1が親水化される共に当該表面WL1が洗浄される(図7の工程SL2)。なお、工程SL2における下ウェハWの表面WL1の親水化及び洗浄は、上述した工程SU2と同様である。ウェハWの表面親水化処理の詳細な方法については後述する。
【0056】
次に下ウェハWは、ウェハ搬送装置62によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された下ウェハWは、下チャック320に裏面WL2側が吸着保持される。またこの時、下ウェハWは、図示しない位置調節機構によって、水平方向の向きが調節される。
【0057】
上ウェハWが上チャック310に、下ウェハWが下チャック320にそれぞれ吸着保持されると、次に、上チャック310に保持された上ウェハWと下チャック320に保持された下ウェハWとの位置調節を行う。
具体的には、上部撮像部312によって、下チャック320に保持された下ウェハWの表面WL1上の予め定められた基準点を順次撮像すると共に、下部撮像部322によって、上チャック310に保持された上ウェハWの表面WU1上の予め定められた基準点を順次撮像する。撮像された画像は、制御装置70に出力される。制御装置70では、上部撮像部312で撮像された画像と下部撮像部322で撮像された画像に基づいて、上ウェハWの基準点と下ウェハWの基準点がそれぞれ合致するような位置となるように、回転部313により上チャック310(上ウェハW)を回転させるとともに、移動部323により下チャック320(下ウェハW)を移動させる。こうして、上ウェハWと下ウェハWの位置が調節され、上ウェハWと下ウェハWが所望の位置に対向配置される。
【0058】
次に、上ウェハWと下ウェハWの接合処理が行われる(図7の工程S3)。
具体的には、先ず、シリンダ部332によってアクチュエータ部331を下降させ、アクチュエータ部331を上ウェハWの裏面WU2の中心部に当接させる。次に、アクチュエータ部331の下降を継続し、上ウェハWの中心部を押圧されて下降させることで、上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部を当接させて押圧する。上ウェハWの中心部と下ウェハWの中心部を当接させて押圧すると、当該中心部の間で上ウェハWと下ウェハWの接合が開始する。すなわち、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1はそれぞれ工程SU1、SL1において改質されているため、表面WU1、WL1間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該表面WU1、WL1同士が接合される。さらに、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1はそれぞれ工程SU2、SL2において親水化されているため、表面WU1、WL1間の親水基が水素結合し(分子間力)、表面WU1、WL1同士が強固に接合される。その後、上述した表面WU1、表面WL1間のファンデルワールス力と水素結合による接合は、中心部から外周部に向けて拡散し、上ウェハWの表面WU1と下ウェハWの表面WL1が全面で当接すると、上ウェハWと下ウェハWの接合処理が完了する。
【0059】
上ウェハWと下ウェハWが接合された重合ウェハWは、その後、ウェハ搬送装置62によってトランジション装置51に搬送され、搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によってカセットCに搬送される。こうして、一連の上ウェハWと下ウェハWの接合処理が終了する。
【0060】
なお、このように上ウェハWと下ウェハWを接合して形成された重合ウェハWは、その後、接合システム1の外部に設けられた加熱装置において加熱(アニール)処理がされる(図7の工程S4)。この加熱処理では、重合ウェハWの加熱により、ウェハWの表面Wに形成された金属配線Dが凹部(図1を参照)の壁面に沿って熱膨張し、これにより、上ウェハWと下ウェハWのそれぞれに形成された金属配線Dの表面同士が強固に拡散接合され、電気的に接続される。
【0061】
なお、この加熱処理は、このように接合システム1の外部で行われてもよいが、接合システム1の処理ステーション3に図示しない加熱装置を設けることで、接合装置41での上ウェハWと下ウェハWの接合後に行うようにしてもよい。
【0062】
<表面親水化処理>
次に、本実施形態にかかる表面親水化処理の詳細な方法について説明する。
【0063】
図9に示すプールベ図のように、金属配線Dとして用いられる銅(Cu)は、表面親水化処理において供給された処理液の水素イオン濃度(pH値)と酸化還元電位(ORP値)により、その表面状態が変化する。
具体的に、供給される処理液の還元力が大きい(ORP値が負の値である)場合には、金属配線Dの表面状態(組成)は変化しない。一方、供給される処理液の酸化力が大きい(ORP値が正の値である)場合には、処理液の水素イオン濃度により、更に表面状態が変化する。
すなわち、供給される処理液が酸性(pH値が7以下)である場合には、金属配線Dの表面を腐食させ、銅イオン(Cu2+)を発生させる。また、供給される処理液が強アルカリ性(pH値が例えば11以上)である場合、金属配線Dと処理液との間で配位結合を起こし、これにより溶解度の高い錯体を生成して金属配線Dそのものの溶解(腐食)を引き起こす可能性がある。これらの場合、金属配線Dの腐食により当該金属配線Dの組成が変化し、金属配線D同士の接合を阻害するほか、導電性等の製品ウェハにおける金属配線としての品質を低下させる。
一方、供給される処理液が弱アルカリ性である場合、金属配線Dの組成を変化させることなく(金属特性を保って)、表面に水酸化銅や酸化銅(I)が生成される。この水酸化銅や酸化銅(I)は、上ウェハWと下ウェハWの金属配線D同士の接合を促進できる。
【0064】
そこで本開示の技術に係る接合システム1では、表面親水化処理においてウェハWの表面Wに供給する処理液として、弱アルカリ性の溶液、例えば希釈アンモニア水を用いるとともに、pH調整部243及びORP調整部244を用いて、ウェハW上に供給される処理液のpH値及びORP値を調整する。
具体的に、本実施形態に係る表面親水化処理では、pH調整部243及びORP調整部244を用いて処理液のpH値及びORP値を調整することで、pH値とORP値の関係が、図9に示したプールベ図上における腐食域(図中の網掛け領域)に入らないようにする。
より具体的には、ORP調整部244により処理液中の溶存水素量を調整して、当該処理液の還元力を強く(ORP値0以下に)するか、pH調整部243により処理液の濃度[ppm]を調整して、当該処理液の水素イオン濃度pHを7~11程度にする。一例において、処理液がアンモニア水である場合、水素イオン濃度pHが7~11となる濃度は1ppm~1000ppmである。
【0065】
これにより、表面親水化装置40では、ウェハWの表面Wにおいて、表面改質処理が施された絶縁膜F上で水酸基(シラノール器)を付着させるとともに、金属配線Dの組成を変化させることなく、図示しない加熱装置での金属配線D同士の接合を促進できる。
【0066】
また、アンモニア水の供給により金属配線Dの表面に形成される水酸化銅の厚み、換言すれば、金属配線Dとしての銅(Cu)の減膜量(すなわちリセス量)は、供給されるアンモニア水のpH値及びORP値により変化する。具体的には、アンモニア水のpH値が高く(アルカリ性が強く)、ORP値が高く(還元力が強く)なると減膜量(リセス量)が増える一方、アンモニア水のpH値が低く(中性に近く)、ORP値が低く(還元力が弱く)なると減膜量(リセス量)が減る。
この観点から、上記したプールベ図上の腐食域に入らない範囲で、pH値及びORP値を適宜調整することで、所望の値で金属配線Dを減膜(リセス)できる。この場合、表面親水化処理は、少なくとも、金属配線Dに所望のリセス量が得られるまでの間、処理液のpH値やORP値を、予め決定された所望の値で一定になるように制御する工程(pH値やORH値を所望の値で一定に維持する工程)を含むことが好ましい。
従って、本開示に係る技術によれば、接合システム1に搬送されたウェハWの表面Wに形成された金属配線Dのリセス量が不足している場合や、面内でバラつきがある場合でも、接合装置41での接合に先立って、表面親水化装置40にて、金属配線Dのリセス量を調整し、また局所的に処理液を供給することでリセス量のバラつきを抑制、補正できる。
【0067】
なお、以上の実施形態では、ウェハWの表面Wに供給する処理液のpH値、ORP値により金属配線Dのリセス量を制御したが、金属配線Dのリセス量は、これに加えて、供給する処理液の温度、供給時間(表面親水化処理の時間)や処理液の供給量を制御することで、更に精密に制御されてもよい。
具体的に、処理液の温度を上げることで金属配線Dのリセス量を増やし、温度を下げることでリセス量を減らすことができる。一例において、ウェハWの表面Wに供給する処理液の温度は、20℃~80℃の範囲、好ましくは60℃以下で制御される。
また、処理液の供給時間や供給量を増やすことで金属配線Dのリセス量を増やし、供給時間や供給量を減らすことで金属配線Dのリセス量を減らすことができる。
【0068】
なお、以上の実施形態では、ウェハWの表面Wに形成された金属配線Dが銅(Cu)である場合を例に説明を行ったが、金属配線Dを構成する金属の種類はこれに限定されない。具体的には、例えば上記したように、コバルト(Co)が金属配線Dとして用いられてもよい。この場合であっても、供給する処理液のpH値及びORP値を少なくとも制御することで、金属配線D同士の接合を促進しつつ、接合に先立って、表面親水化装置40でリセス量を調整できる。
【0069】
なお、以上の実施形態にでは、表面親水化処理において希釈アンモニア水(dNHOH)を処理液として使用したが、上記したようにpH値やORP値の制御により金属配線Dの表面状態を制御できるものであれば、処理液の種類もこれに限定されるものではない。
また、表面親水化処理で従来用いられている処理液、例えば二酸化炭素水(CO
Water)であっても、プールベ図(図示せず)に基づき、金属配線Dの腐食域に入らないようにORP値を制御することで、本開示に係る技術と同様の効果を享受できる。
【0070】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0071】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0072】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)表面に金属材料が露出した基板同士を接合する接合方法であって、
前記基板の接合される表面を処理ガスのプラズマにより改質する工程と、
改質された前記基板の表面を親水化する工程と、
親水化された前記基板の表面同士を接合する工程と、を含み、
前記親水化の工程では、
前記基板の表面に処理液を供給し、当該処理液により、前記金属材料のリセス量を制御する、接合方法。
(2)前記リセス量を、前記処理液の水素イオン濃度により制御する、前記(1)に記載の接合方法。
(3)前記処理液の水素イオン濃度を、pH値7~11の範囲で制御する、前記(2)に記載の接合方法。
(4)前記処理液としてアンモニア水を使用する、前記(3)に記載の接合方法。
(5)前記アンモニア水の濃度を1ppm~1000ppmに調整する、前記(5)に記載の接合方法。
(6)前記処理液の水素イオン濃度を、予め決定された一定のpH値で維持する工程を含む、前記(2)または前記(3)に記載の接合方法。
(7)前記リセス量を前記処理液の酸化還元電位により制御する、前記(1)~前記(6)のいずれかに記載の接合方法。
(8)前記処理液の酸化還元電位をORP値0以下で制御する、前記(7)に記載の接合方法。
(9)前記処理液の酸化還元電位を、予め決定された一定のORP値で維持する工程を含む、前記(7)または前記(8)に記載の接合方法。
(10)前記リセス量を、前記処理液の温度、流量又は供給時間の少なくともいずれかにより制御する、前記(1)~前記(9)のいずれかに記載の接合方法。
(11)前記処理液の温度を20℃~80℃で制御する、前記(10)に記載の接合方法。
(12)前記金属材料は銅である、前記(1)~前記(11)のいずれかに記載の接合方法。
(13)前記基板の接合により形成された重合基板を加熱する工程を含む、前記(1)~前記(12)のいずれかに記載の接合方法。
【0073】
(14)表面に金属材料が露出した基板同士を接合する接合システムであって、
前記基板の接合される表面を処理ガスのプラズマにより改質する表面改質装置と、
改質された前記基板の表面を親水化する表面親水化装置と、
親水化された前記基板の表面同士を接合する接合装置と、
制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記表面親水化装置において、前記基板の表面に処理液を供給し、当該処理液により、前記金属材料のリセス量を調整する制御、を実行する、接合システム。
(15)前記表面親水化装置は、前記処理液の水素イオン濃度を調整するpH調整部を備える、前記(14)に記載の接合システム。
(16)前記表面親水化装置は、前記処理液の酸化還元電位を調整するORP調整部を備える、前記(14)または前記(15)に記載の接合システム。
(17)前記処理液がアンモニア水である、前記(14)~前記(16)のいずれかに記載の接合システム。
(18)前記金属材料が銅である、前記(14)~前記(17)のいずれかに記載の接合システム。
(19)前記接合装置で形成された重合基板を加熱する加熱装置を更に有する、前記(14)~前記(18)のいずれかに記載の接合システム。
【符号の説明】
【0074】
1 接合システム
30 表面改質装置
40 表面親水化装置
41 接合装置
70 制御装置
D 金属配線
上ウェハ
下ウェハ
表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9