(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148413
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】エキスパンド方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20241010BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L21/78 W
H01L21/78 X
H01L21/52 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061519
(22)【出願日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】政田 孝行
【テーマコード(参考)】
5F047
5F063
【Fターム(参考)】
5F047FA55
5F047FA58
5F063AA21
5F063AA31
5F063CB02
5F063CB07
5F063CB29
5F063CC26
5F063CC32
5F063DD25
5F063DD68
5F063DD69
5F063DD71
5F063DD73
5F063DD75
5F063DG21
5F063FF01
(57)【要約】
【課題】シートの弛緩した領域を均一に加熱できるエキスパンド方法を提供する。
【解決手段】被加工物(11)に固定された支持シート(13)を拡張する拡張ステップと、加熱ユニット(45)を支持シートから離間した退避位置から支持シートに接近した加熱位置に移動する接近ステップと、加熱位置に位置付けられた加熱ユニットによって、弛緩した支持シートを加熱して収縮させる収縮ステップと、加熱ユニットを加熱位置から退避位置へと離反させる離反ステップと、を備え、加熱ユニットは円周方向に2以上に分割されて構成され、接近ステップと、収縮ステップと、離反ステップと、は、加熱ユニットを被加工物の円周方向に沿って相対的に回転させながら実施する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物と、該被加工物に固定された支持シートと、該支持シートの外周が固定されたフレームとからなる被加工物ユニットの該支持シートを拡張するエキスパンド方法であって、
該支持シートを拡張する拡張ステップと、
該拡張ステップの後に、加熱ユニットを該支持シートから離間した退避位置から該支持シートに接近した加熱位置に移動する接近ステップと、
該接近ステップの後に、該加熱位置に位置付けられた該加熱ユニットによって、該フレームの内周と、該ウエーハの外周との間で弛緩した該支持シートを加熱して収縮させる収縮ステップと、
該収縮ステップの後に、該加熱ユニットを該加熱位置から該退避位置へと離反させる離反ステップと、を備え、
該加熱ユニットは円周方向に2以上に分割されて構成され、
該接近ステップと、該収縮ステップと、該離反ステップと、は、該加熱ユニットを該被加工物の円周方向に沿って相対的に回転させながら実施することを特徴とするエキスパンド方法。
【請求項2】
該被加工物は複数のチップに分割する複数の分割起点または複数の分割溝が形成されており、
該拡張ステップは、複数のチップ同士の間隔を拡大することを特徴とする、請求項1に記載のエキスパンド方法。
【請求項3】
該支持シートは、接着フィルムを介して被加工物に固定されており、
該拡張ステップは、該接着フィルムを分割起点または分割溝に沿って破断することを特徴とする、請求項2に記載のエキスパンド方法。
【請求項4】
円周方向に2以上に分割されて構成された複数の該加熱ユニットを個別に該支持シートに対して接近及び離間させる個別昇降機構を備え、
該接近ステップが完了するよりも前に、該個別昇降機構によって複数の該加熱ユニットの高さ位置を一致させることを特徴とする、請求項1に記載のエキスパンド方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハを支持するシートを拡張するエキスパンド方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチップを製造する際に、分割予定ラインで区画された複数のデバイス領域を表面に有するウエーハをシートで支持してシートを拡張するエキスパンド方法を用いて、各デバイス領域に形成されたチップを分割したり、分割後のチップ間隔を広げたり、チップに貼着された接着フィルムを破断させたりすることが行われている。
【0003】
この種のエキスパンド方法においては、拡張後にシートが弛緩されて部分的に伸びた状態になる。シートがウエーハを支持する領域は、拡張後にチップ間隔が変化しないように、保持テーブルへの吸引などによって保持される。そのため、シートの弛みは、保持テーブルに保持されている領域の外側、つまり、拡張後のウエーハの外周側で生じる。ウエーハの外周側の領域でシートを加熱して熱収縮させることにより、シートの弛みを無くしてチップ間隔を維持することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートの弛緩領域を加熱する工程において、シートが不均一に加熱されて局所的に収縮されると、チップ間隔にばらつきが生じるおそれがある。従って、ウエーハの外周側でシートをムラなく加熱して均等にシートを収縮させることが求められる。従来のエキスパンド装置では、シートを均一に加熱するための対策として、シートに対向して回転可能な回転板の円周方向に位置を異ならせて複数の加熱ユニットを設け、加熱ユニットがシートに接近した加熱位置にある状態で、回転板を回転させながら各加熱ユニットで熱を加えていた。
【0006】
加熱ユニットは、シートに接近した加熱位置とシートから離間した退避位置とに移動可能に支持されており、シートの拡張時には加熱ユニットが退避位置に位置され、シートの弛緩後に加熱ユニットが加熱位置へ移動される。加熱ユニットの昇温や、加熱ユニットを退避位置から加熱位置へ移動させる接近動作や、加熱ユニットを加熱位置から退避位置へ移動させる離反動作には、ある程度の時間を要するため、これらの動作中に加熱ユニットの下方にあるシートの領域が熱の影響を受けて、他の領域よりも余分に加熱されてしまい、シートが均一に収縮されずに(収縮量が局所的に大きくなり)チップ間隔にばらつきが生じるおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、シートの弛緩した領域を均一に加熱できるエキスパンド方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のエキスパンド方法は、被加工物と、該被加工物に固定された支持シートと、該支持シートの外周が固定されたフレームとからなる被加工物ユニットの該支持シートを拡張するエキスパンド方法であって、該支持シートを拡張する拡張ステップと、該拡張ステップの後に、加熱ユニットを該支持シートから離間した退避位置から該支持シートに接近した加熱位置に移動する接近ステップと、該接近ステップの後に、該加熱位置に位置付けられた該加熱ユニットによって、該フレームの内周と、該ウエーハの外周との間で弛緩した該支持シートを加熱して収縮させる収縮ステップと、該収縮ステップの後に、該加熱ユニットを該加熱位置から該退避位置へと離反させる離反ステップと、を備え、該加熱ユニットは円周方向に2以上に分割されて構成され、該接近ステップと、該収縮ステップと、該離反ステップと、は、該加熱ユニットを該被加工物の円周方向に沿って相対的に回転させながら実施することを特徴とする。
【0009】
一態様として、該被加工物は複数のチップに分割する複数の分割起点または複数の分割溝が形成されており、該拡張ステップは、複数のチップ同士の間隔を拡大する。
【0010】
一態様として、該支持シートは、接着フィルムを介して被加工物に固定されており、該拡張ステップは、該接着フィルムを分割起点または分割溝に沿って破断する。
【0011】
円周方向に2以上に分割されて構成された複数の該加熱ユニットを個別に該支持シートに対して接近及び離間させる個別昇降機構を備え、該接近ステップが完了するよりも前に、該個別昇降機構によって複数の該加熱ユニットの高さ位置を一致させてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエキスパンド方法によれば、接近ステップと収縮ステップと離反ステップのそれぞれで加熱ユニットを被加工物の円周方向に沿って相対的に回転させながら支持シートを加熱するので、支持シートの弛緩した領域を均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】支持ステップ及び拡張ステップを示す図である。
【
図9】個別昇降機構を備えた加熱装置の一部を示す斜視図である。
【
図10】別の実施形態のエキスパンド方法を説明する図である。
【
図11】別の実施形態のエキスパンド方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す被加工物ユニット10は、被加工物であるウエーハ11と、接着フィルム12と、支持シート13と、リングフレーム14と、によって構成されている。
【0015】
ウエーハ11は、例えば半導体ウエーハなどである。ウエーハ11の表面側は、格子状の分割予定ライン15によって複数のデバイス形成領域に区画されており、各デバイス形成領域にチップ16が形成されている。チップ16は、例えば、IC(Integrated Circuit)などの電子デバイスである。ウエーハ11の外縁の一部には、ウエーハ11の結晶方位を示すマークであるノッチ17が形成されている。なお、ウエーハ11の材質やチップ16の種類は限定されない。
【0016】
ウエーハ11の裏面には、ウエーハ11よりも直径が大きい円形状の接着フィルム12が貼着されている。接着フィルム12は、例えば、DAF(Die Attach Film)と呼ばれるフィルム状の接着剤である。接着フィルム12は、所定の外的刺激(熱、光など)によって硬化する性質を有し、ウエーハ11を分割して得られる各チップ16を、接着フィルム12を介して所定の固定対象に固定することができる。
【0017】
支持シート13は、接着フィルム12に対してウエーハ11とは反対側の面に貼着されて、接着フィルム12を介してウエーハ11に固定されている。支持シート13は、伸縮可能なシートであり、所定の外力を加えて拡張させることができる。
【0018】
リングフレーム14は金属製の環状部材であり、リングフレーム14の内側には開口が形成されている。リングフレーム14の開口の径はウエーハ11の外径よりも大きい。
【0019】
支持シート13は、接着フィルム12よりも面積が大きく、リングフレーム14の開口を塞ぎ、外周部分がリングフレーム14に貼着される。ウエーハ11は、接着フィルム12及び支持シート13を介してリングフレーム14に支持されて、リングフレーム14の開口内に位置する。ウエーハ11の外周とリングフレーム14の内周は径方向に離れており、ウエーハ11とリングフレーム14の間の径方向領域を支持シート13が塞いで、被加工物ユニット10が構成される。支持シート13において、ウエーハ11の外周とリングフレーム14の内周との間の径方向領域を露出領域131とする。
【0020】
被加工物ユニット10を後述するエキスパンド装置20にセットし、支持シート13を拡張させることによって、複数のチップ16の分割、複数のチップ16の間隔の拡大、各チップ16間での接着フィルム12の破断、などを行なわせる。
【0021】
支持シート13の拡張によって複数のチップ16を分割する場合、ウエーハ11には、分割予定ライン15に沿って分割起点が形成されている。分割起点を形成する加工として、レーザー加工や切削加工を用いることができる。レーザー加工の一例として、ウエーハ11の厚みの内部に集光点を合わせてレーザー光線を照射し、分割予定ライン15に沿って脆弱性の改質層を形成する。切削加工の一例として、分割予定ライン15に沿って所定の深さのハーフカット溝(有底溝)を形成するハーフカットを行う。レーザー加工で形成された改質層や切削加工で形成されたハーフカット溝が分割起点となる。そして、支持シート13の拡張によって、分割起点に沿ってウエーハ11が分割される。なお、分割起点を形成する加工は、上記の例には限定されない。
【0022】
支持シート13の拡張によって分割後の複数のチップ16の間隔を拡大させる場合、ウエーハ11には分割予定ライン15に沿って分割溝が形成されており、複数のチップ16に分割されている。そして、支持シート13の拡張によって、分割溝の幅が広げられる。
【0023】
支持シート13の拡張によって各チップ16間での接着フィルム12の破断を行わせる場合、上記のチップ16の分割と同時に分割起点に沿って接着フィルム12の破断を行わせてもよいし、上記のチップ16の間隔を拡大させるのと同時に分割溝に沿って接着フィルム12の破断を行わせてもよい。
【0024】
図2から
図7を参照してエキスパンド装置20を説明する。エキスパンド装置20は、被加工物ユニット10の支持シート13を拡張して、チップ16同士の間隔を広げる装置である。本発明においてチップ16同士の間隔を広げることは、未分割のウエーハ11を複数のチップ16に分割させたり、既に分割されている複数のチップ16の間隔を拡大させたりすることを意味する。
【0025】
エキスパンド装置20は、制御ユニット21によって統括制御される。なお、
図2から
図7では、制御ユニット21と一部の構成要素との接続関係のみを示しているが、制御ユニット21は動作を制御する全ての構成要素との間で信号の送受が可能に接続されている。制御ユニット21は、エキスパンド装置20の各部を制御するための信号を生成する処理部(プロセッサ)と、処理部において用いられる各種情報を記憶する記憶部と、を有する。処理部は、記憶部に記憶したプログラムを読み出して実行することにより、後述するエキスパンド装置20の各部の動作を制御する。
【0026】
エキスパンド装置20はフレーム支持部22を備える。フレーム支持部22は、上下方向に延びる仮想の中心軸Pを囲む構造の環状の台座であり、フレーム支持部22の中央には上下方向に貫通する開口部23が形成されている。エキスパンド装置20に搬送された被加工物ユニット10は、ウエーハ11を上方に向けた状態で、フレーム支持部22の上面にリングフレーム14が載置される。フレーム押さえ部24によってリングフレーム14を上方から押さえて、フレーム支持部22とフレーム押さえ部24とによってリングフレーム14を挟持することによって、被加工物ユニット10を固定する。フレーム支持部22とフレーム押さえ部24との間には、リングフレーム14に加えて支持シート13の外周部分も挟持される。フレーム押さえ部24は、フレーム支持部22に対して水平方向の軸を中心として回動可能に支持されたクランプや、フレーム支持部22に対して上下方向に移動可能に支持された昇降板など、任意の構造を適用することが可能である。
【0027】
エキスパンド装置20に搬送された被加工物ユニット10は、ウエーハ11の中心が中心軸P上に位置するように、フレーム支持部22及びフレーム押さえ部24によってリングフレーム14が支持される。この被加工物ユニット10の支持状態では、ウエーハ11、接着フィルム12及び支持シート13(露出領域131)が開口部23の直上に位置している。
【0028】
開口部23の下方に設けた基台25に対して、保持テーブル26が昇降駆動部27を介して支持されている。昇降駆動部27は、モータやエアシリンダの駆動力によって、保持テーブル26を上下方向に昇降動作させる。
【0029】
保持テーブル26は、ポーラスセラミックスなどの多孔質材で形成されており、吸引路を介して吸引源28に通じている。吸引源28を動作させて、吸引路の途中に設けた開閉弁29を開くことによって、保持テーブル26の上面に吸引力を作用させることができる。
【0030】
保持テーブル26の外周に複数のローラー30が環状に配置されている。個々のローラー30は、水平方向に延在する軸を中心として回動可能に支持されている。また、保持テーブル26に対してローラー30を上下方向に昇降移動させるローラー昇降機構32を備えている。ローラー昇降機構32は、個々のローラー30を個別に昇降動作させる。あるいは、ローラー昇降機構32は、所定の位置関係にある複数のローラー30(例えば、保持テーブル26の直径方向に並ぶ一対のローラー30)をグループごとにまとめて昇降移動させる。
【0031】
保持テーブル26と複数のローラー30とによって拡張ユニット31が構成されている。拡張ユニット31は、フレーム支持部22の内側で、フレーム支持部22と同軸となる位置に配置されている。拡張ユニット31の直径は、フレーム支持部22における開口部23の内径(リングフレーム14の内径)よりも小さく、ウエーハ11の外径よりも大きい。そして、複数のローラー30は、支持シート13の露出領域131の下方に位置する。
【0032】
図5から
図8に示すように、エキスパンド装置20はさらに加熱装置40を備えている。詳細は後述するが、拡張ステップでウエーハ11及び支持シート13を拡張した後に、弛緩ステップで露出領域131が弛緩する。加熱装置40は、支持シート13の露出領域131を加熱して熱収縮させて弛みを除去し、拡張後のウエーハ11のチップ間隔を維持させるための装置である。
【0033】
加熱装置40は、フレーム支持部22の上方に位置する円板状の支持プレート41を備える。支持プレート41は駆動ユニット42を介して支持されている。駆動ユニット42は、中心軸Pを中心として支持プレート41を回転動作させる回転駆動部43と、中心軸Pに沿って支持プレート41を上下方向に昇降移動させる昇降駆動部44と、を含んでいる。回転駆動部43は、図示を省略するモータの駆動力によって支持プレート41を回転させることができる。昇降駆動部44は、図示を省略するモータやエアシリンダなどの駆動力によって支持プレート41を昇降移動させることができる。
【0034】
支持プレート41の下面に加熱ユニット45が支持されている。加熱ユニット45は支持プレート41の円周方向に2以上に分割されて構成されている。
図8に示すように、本実施形態では支持プレート41の円周方向に位置を異ならせて4つの加熱ユニット45が配置されている。4つの加熱ユニット45は円周方向に90°ごとの等間隔で配置されている。各加熱ユニット45は、コイルヒーターなどの熱源を内蔵しており、供給された空気を内部の熱源で加温して、下端451に設けた温風噴射口から下方に向けて温風Fを噴射する。
【0035】
なお、本発明における加熱ユニットは、温風を噴射するタイプには限定されない。例えば、加熱ユニットとして、赤外線の照射によって加熱する方式の赤外線ヒーターを用いてもよい。赤外線ヒーターを用いる場合、本実施形態の加熱ユニット45に関する温風の噴射や温風噴射口を、赤外線の照射や赤外線照射部と読み替えることで適用が可能である。
【0036】
加熱装置40が加熱する対象である支持シート13の露出領域131はウエーハ11の外側を囲む円環状の領域であるため、円周方向に連続する1つの円環状の加熱ユニットを用いることも考えられるが、このような円環状の加熱ユニットを用いない理由として、円環状の加熱ユニットでは円周方向の全体で均一な加熱強度を得ることが難しいことが挙げられる。加熱ユニットの加熱強度に部分的なばらつきがあると、支持シート13の露出領域131が局所的に強く(あるいは弱く)加熱されて収縮の程度にばらつきが生じてしまう。また、支持シート13の露出領域131の収縮を部分的に調整することが求められる場合があるが、露出領域131の円周方向の全体を一律に加熱する円環状の加熱ユニットでは、このような部分的な収縮量の調整に対応できないという問題がある。
【0037】
こうした理由から、本実施形態の加熱装置40では、支持プレート41の円周方向に複数に分割された構成の加熱ユニット45を適用している。但し、円周方向に複数に分割された構成の加熱ユニット45で単純に加熱すると、加熱ユニット45の下方が集中的に加熱されてしまい、支持シート13の露出領域131の収縮量に部分的なばらつきが生じてしまうので、後述する本実施形態のエキスパンド方法によって均一性を向上させた加熱を実現する。
【0038】
なお、円周方向に分割されて配置される加熱ユニットの数は2つ以上であればよく、4つの加熱ユニット45には限定されない。また、支持シート13の露出領域131に対して均一な加熱を実現するという観点から、複数の加熱ユニットは円周方向に等間隔で配置されることが好ましいが、後述する本実施形態のエキスパンド方法は、複数の加熱ユニットが円周方向に異なる間隔で配置される場合にも有用性があるため、加熱ユニットが円周方向に等間隔である形態に限定されるものではない。
【0039】
各加熱ユニット45は支持シート13の露出領域131の上方に位置しており、昇降駆動部44によって支持プレート41を上下方向に移動させることによって、上下方向での各加熱ユニット45と露出領域131との間隔が変化する。また、回転駆動部43によって支持プレート41を回転動作させることによって、露出領域131の円周方向における各加熱ユニット45の位置が変化する。これらの動作を適宜制御することによって、各加熱ユニット45から支持シート13への加熱の効果を管理することができる。
【0040】
なお、エキスパンド装置20が、直径の異なる複数種のウエーハ11のエキスパンド処理に対応している場合、直径の異なるウエーハ11を支持する支持シート13を拡張後に収縮させるために、支持プレート41の径方向に位置を異ならせて複数の加熱ユニット45を設けたり、各加熱ユニット45を支持プレート41の径方向に移動可能に構成したりしてもよい。
【0041】
続いて、加熱装置40を備えたエキスパンド装置20を用いて行う本実施形態のエキスパンド方法について説明する。
図2から
図7は本実施形態のエキスパンド方法の各ステップの状態を示している。以下の説明において、制御の主体が明示されていない場合、制御ユニット21の制御によって処理や判定が実行されるものとする。
【0042】
<支持ステップ>
図2に示すように、支持ステップでは、エキスパンド装置20に被加工物ユニット10を搬送して、フレーム支持部22及びフレーム押さえ部24によってリングフレーム14を挟持して被加工物ユニット10を支持する。この状態で、ウエーハ11の中心が中心軸P上に位置する。拡張ユニット31は、支持シート13の下方に離間して位置している。加熱装置40は、各加熱ユニット45が支持シート13から上方に離間した退避位置に位置している。なお、
図2から
図4においては、退避位置にある加熱装置40の図示を省略している。
【0043】
<拡張ステップ>
続いて、支持シート13を拡張してウエーハ11上の複数のチップ16同士の間隔を広げる拡張ステップを行う。なお、拡張ステップにおいてチップ16同士の間隔を広げることは、既に分割溝で分割された状態にある複数のチップ16の間隔を拡大させる場合と、分割予定ライン15(分割起点)に沿って複数のチップ16を分割させる場合、の両方を含んでいる。また、拡張ステップでは、チップ16の間隔を広げることに伴って、接着フィルム12を破断させてもよい。
【0044】
拡張ステップでは、
図2及び
図3に示すように、昇降駆動部27の駆動により拡張ユニット31を上昇させ、保持テーブル26とローラー30を下方から支持シート13に接触させて突き上げる。支持シート13のうちウエーハ11を支持する中央部分を保持テーブル26が突き上げ、支持シート13の露出領域131を複数のローラー30が突き上げる(
図3参照)。支持シート13の外周はリングフレーム14と共にフレーム支持部22及びフレーム押さえ部24によって挟持されているため、突き上げに伴って支持シート13が径方向に拡張される。支持シート13の拡張に伴って、支持シート13が貼着されているウエーハ11に対しても径方向に拡張する力が作用し、複数のチップ16同士の間隔が広がる。
【0045】
<吸引保持ステップ>
拡張ステップの実施後に、吸引源28を動作させて開閉弁29を開き、保持テーブル26の上面に吸引力を作用させる。これにより、支持シート13の中央部分及びウエーハ11が保持テーブル26の上面に吸引保持され、拡張後のチップ16同士の間隔が縮まらないように維持される。
【0046】
<弛緩ステップ>
吸引保持ステップの実施後に、弛緩ステップを行う。
図4に示すように、弛緩ステップでは、昇降駆動部27を動作させて拡張ユニット31を下降させる。拡張ユニット31が下降すると、拡張ユニット31による支持シート13の突き上げが解消され、支持シート13を拡張させる力が解除される。ウエーハ11を支持している支持シート13の中央部分は保持テーブル26に吸引保持されていて拡張後の状態(拡張後のチップ16同士の間隔)を維持している。これに対し、ウエーハ11よりも外周の露出領域131は、保持テーブル26に吸引されないフリーな状態でローラー30からの突き上げを受けなくなるので、露出領域131が弛緩する。
【0047】
<接近ステップ>
弛緩ステップの実施後に、接近ステップを行う。接近ステップ以降の各ステップは、フレーム押さえ部24によるリングフレーム14の挟持を解除した状態で行う。
図5に示すように、接近ステップの段階では、各加熱ユニット45の熱源の昇温が実行されており、各加熱ユニット45の下端451から下方に向けて温風Fの噴射が開始される。そして、昇降駆動部44によって支持プレート41を下降させて、支持プレート41に支持された複数の加熱ユニット45を、支持シート13から離間した退避位置から、支持シート13に接近した加熱位置へ向けて移動(下降)させる。その際に、単に支持プレート41を下降させるだけではなく、回転駆動部43によって支持プレート41を回転させながら、昇降駆動部44による下降を行なわせる。この支持プレート41における回転と下降の複合的な動作によって、複数の加熱ユニット45をそれぞれ、被加工物ユニット10の円周方向に回転させながらスロープ状の軌跡で下降させ、下降中(支持シート13への接近中)に加熱ユニット45の下方の特定領域のみが局所的に加熱されないようにする。接近ステップでは各加熱ユニット45が被加工物ユニット10に接近するのに伴って、各加熱ユニット45から噴射される温風Fが支持シート13に徐々に熱の影響を及ぼすので、このように各加熱ユニット45を回転させながらスロープ状の軌跡で下降させることが、局所的な加熱を防ぐために非常に有用である。
【0048】
<収縮ステップ>
支持プレート41に支持された複数の加熱ユニット45が
図6に示す加熱位置まで下降すると、接近ステップから収縮ステップに移行する。
図6に示すように、収縮ステップでは、昇降駆動部44による支持プレート41の下降動作を停止させて、上下方向での各加熱ユニット45と支持シート13との間隔を一定に保ちながら、回転駆動部43による支持プレート41の回転を継続する。各加熱ユニット45は加熱位置に下降するまでの間に熱源の昇温が完了しており、支持シート13を熱収縮させることが可能な温度の温風Fを下方に向けて噴射している。
【0049】
従って、収縮ステップでは、各加熱ユニット45から噴射された温風Fで加熱された支持シート13の露出領域131が熱収縮して弛みが減少する。支持プレート41を回転させながら各加熱ユニット45から温風Fを噴射することにより、被加工物ユニット10の円周方向の全体で支持シート13の露出領域131をムラなく加熱して均等に収縮させることができる。また、各加熱ユニット45は露出領域131よりも内側の領域を加熱しないように指向性をもって温風Fを噴射するので、ウエーハ11が貼着されている領域では支持シート13の熱収縮による変形が抑制され、拡張後の適切なチップ16同士の間隔を維持できる。
【0050】
支持シート13の露出領域131の弛みがなくなるまで収縮ステップが行われる。収縮ステップの終了は、任意の基準によって決定することができる。例えば、収縮ステップを予め設定した所定の時間で区切って実施してもよいし、支持プレート41が予め設定した所定の回転数に達したら収縮ステップを終了してもよい。これらの基準を用いる場合、支持シート13の材質や厚み、各加熱ユニット45から噴射される温風Fの温度、加熱ユニット45の数、支持プレート41の回転速度、加熱ユニット45と支持シート13の距離、などの各種情報に基づいて、露出領域131の弛みがなくなると想定される経過時間や支持プレート41の回転数を事前に算出して、制御ユニット21の記憶部に記憶させておく。あるいは、支持シート13の収縮状態を検出可能な検出部(センサ類)を備え、検出部による検出を行いながら収縮ステップを進行させ、所定の収縮状態になったことが検出されたら収縮ステップを終了させてもよい。
【0051】
<離反ステップ>
収縮ステップの実施後に、離反ステップを行う。
図7に示すように、離反ステップでは、昇降駆動部44によって支持プレート41を上昇させて、支持プレート41に支持された複数の加熱ユニット45を、支持シート13に接近した加熱位置から、支持シート13から離間した退避位置へ向けて離反移動(上昇)させる。その際に、先の接近ステップと同様に、回転駆動部43によって支持プレート41を回転させながら、昇降駆動部44による上昇を行なわせる。この支持プレート41における回転と上昇の複合的な動作によって、複数の加熱ユニット45を被加工物ユニット10の円周方向に回転させながらスロープ状の軌跡で上昇させる。なお、収縮ステップの後に任意のタイミングで各加熱ユニット45からの温風Fの噴射を停止するが、各加熱ユニット45は温風Fの噴射を停止した後も高温の状態がしばらく続くので、支持シート13から各加熱ユニット45が完全に離反するまでは、各加熱ユニット45の温度が支持シート13に影響を及ぼす可能性がある。従って、離反ステップにおいても、複数の加熱ユニット45を被加工物ユニット10の円周方向に回転させながらスロープ状の軌跡で上昇させることによって、上昇中(支持シート13からの離反中)に加熱ユニット45の下方の特定領域のみが局所的に熱の影響を受けることを防止できる。
【0052】
以上のように、本実施形態のエキスパンド方法によれば、円周方向に2以上に分割された構成の加熱ユニット45を備え、加熱ユニット45をウエーハ11の円周方向に沿って相対的に回転させながら、接近ステップと収縮ステップと離反ステップとを実施する。これにより、収縮ステップに加えて、その前後の接近ステップと離反ステップにおいても、加熱ユニット45から支持シート13に対して円周方向で均等に熱の影響が作用するようにコントロールされる。その結果、支持シート13の弛緩した領域(露出領域131)を均一に加熱でき、支持シート13の収縮量のばらつきを防いで良好なチップ間隔を得ることができる。
【0053】
続いて、
図9から
図11を参照して、別の実施形態のエキスパンド方法を説明する。なお、上記実施形態と共通する構成については、同じ符号で表して説明を省略する。また、
図9から
図11では、エキスパンド装置20については図示を省略しており、加熱装置40の構成及び動作のみを示している。
【0054】
この実施形態では、加熱装置40を構成する複数の加熱ユニット45をそれぞれ個別に上下方向へ昇降移動させる(支持シート13に対して接近及び離間させる)個別昇降機構46を備えている点が上記実施形態と異なる。個別昇降機構46は、モータ、エアシリンダ、電動の直進駆動アクチュエータ、などの駆動力によって加熱ユニット45を昇降移動させる。
図9に示すように、加熱装置40は、円周方向に3つに分割された加熱ユニット45を備えており、これら3つの加熱ユニット45は円周方向に120°ごとの等間隔で配置されている。
【0055】
個別昇降機構46を備えて各加熱ユニット45を個別に高さ調整可能としたことにより、加熱強度を細かく調整して精度の高い加熱を実現できる。例えば、収縮ステップにおいて、個別昇降機構46によって加熱ユニット45の高さを変えながら支持プレート41を回転させることで、円周方向の領域ごとに支持シート13に対する加熱強度を変更することができる。
【0056】
あるいは、複数の加熱ユニット45で加熱性能(能力)にばらつきがある場合に、相対的に加熱性能が低い加熱ユニット45については、収縮ステップにおいて支持シート13に対する距離を近くして、相対的に加熱性能が高い加熱ユニット45については、収縮ステップにおいて支持シート13に対する距離を大きくする、という調整が可能である。これにより、加熱ユニット45ごとの加熱性能のばらつきを補正した状態で支持シート13を加熱することができる。
【0057】
但し、複数の加熱ユニット45の高さ位置をずらす必要がない条件下で、加熱ユニット45の高さ位置がずれた状態になっていると、円周方向での支持シート13の加熱に不要なばらつきが生じたり、加熱装置40の全体的な加熱性能の過不足が生じたりするおそれがある。
【0058】
そこで、接近ステップにおいて、複数の加熱ユニット45の高さ位置を一致させる個別高さ調整制御を行うことが好ましい。
図10と
図11は個別高さ調整制御の2つのパターンを示している。
図10及び
図11に示す退避基準位置Mは、加熱装置40が退避位置にあるときの加熱ユニット45の下端451(温風噴射口)の基準となる位置を表しており、加熱基準位置Nは、加熱装置40が加熱位置にあるときの加熱ユニット45の下端451(温風噴射口)の基準となる位置を表している。退避基準位置Mと加熱基準位置Nとの間の距離Lが、接近ステップや離反ステップの際に昇降駆動部44によって支持プレート41を移動させる移動量である。
【0059】
図10に示す第1のパターンの個別高さ調整制御は、接近ステップで支持プレート41が昇降駆動部44の動作によって下降を開始するよりも前に、個別昇降機構46を動作させて複数の加熱ユニット45の高さ位置を揃えるものである。
【0060】
図10の(A)は、退避位置にある加熱装置40において複数の加熱ユニット45の高さ位置が異なっている状態(調整前の状態)を示している。ここで、制御ユニット21がそれぞれの個別昇降機構46を動作させて、
図10の(B)に示すように、上下方向での複数の加熱ユニット45の高さ位置が揃うように調整を行う。例えば、退避基準位置Mよりも下端451が下方に位置している加熱ユニット45については、下端451が退避基準位置Mに達するように上昇させる。退避基準位置Mよりも下端451が上方に位置している加熱ユニット45については、下端451が退避基準位置Mに達するように下降させる。
【0061】
複数の加熱ユニット45の高さ位置が揃ったら、
図10の(C)に示すように、回転駆動部43によって支持プレート41を回転させると共に昇降駆動部44によって支持プレート41を下降させる。この
図10の(C)における支持プレート41の動作は、
図5を参照して先に説明した接近ステップの動作と同じものである。
【0062】
図10の(C)の位置よりもさらに支持プレート41が下降して、高さが揃っている状態の各加熱ユニット45の下端451が加熱基準位置Nに達したら、昇降駆動部44による支持プレート41の下降を停止させて接近ステップが完了する。
【0063】
図11に示す第2のパターンの個別高さ調整制御は、接近ステップで支持プレート41を回転させながら下降させる動作と同時進行で、個別昇降機構46を動作させて複数の加熱ユニット45の高さ位置を揃えるものである。
【0064】
図11の(A)は、退避位置にある加熱装置40において複数の加熱ユニット45の高さ位置が異なっている状態(調整前の状態)を示している。この状態から、
図11の(B)に示すように、回転駆動部43によって支持プレート41を回転させると共に昇降駆動部44によって支持プレート41を下降させる。このとき、制御ユニット21が個別昇降機構46を動作させて、上下方向で複数の加熱ユニット45の高さ位置を揃える調整を同時に行なわせる。例えば、退避位置において退避基準位置Mよりも下端451が下方に位置していた加熱ユニット45については、退避基準位置Mと下端451の高さの差分だけ加熱ユニット45を上昇させる。退避位置において退避基準位置Mよりも下端451が上方に位置していた加熱ユニット45については、退避基準位置Mと下端451の高さの差分だけ加熱ユニット45を下降させる。
【0065】
図11の(C)に示すように、複数の加熱ユニット45の高さ位置を揃える調整は、各加熱ユニット45の下端451が加熱基準位置Nに達するよりも前の所定の段階で完了するように制御する。つまり、接近ステップが完了するよりも前に、各加熱ユニット45の高さ位置が一致するようにする。複数の加熱ユニット45の高さ位置を揃える調整が完了するタイミングは、昇降駆動部44による支持プレート41の下降速度及び下降量と、個別昇降機構46による各加熱ユニット45の動作速度及び動作量との関係に基づいて管理することができる。
【0066】
図11の(C)の位置よりもさらに支持プレート41が下降して、高さが揃っている状態の各加熱ユニット45の下端451が加熱基準位置Nに達したら、昇降駆動部44による支持プレート41の下降を停止させて接近ステップが完了する。
【0067】
以上の制御例のように、少なくとも接近ステップが完了するよりも前(
図10の制御例では接近ステップの開始前、
図11の制御例では接近ステップの途中)に、個別昇降機構46によって複数の加熱ユニット45の高さ位置を一致させる個別高さ調整制御を行うことにより、支持シート13に対する距離のばらつきが無い状態で、複数の加熱ユニット45を支持シート13に接近させることができる。その結果、それぞれの加熱ユニット45からの熱の影響が均等化された状態で、接近ステップを実施することができる。さらに上記の通り、接近ステップでは支持プレート41を回転させながら下降させるので、それぞれの加熱ユニット45が支持シート13の円周方向の特定の箇所だけを加熱することがない。
【0068】
なお、接近ステップに際して、支持プレート41の回転を行わずに、複数の加熱ユニット45の高さ位置を一致させる個別高さ調整制御のみを行うことも可能である。つまり、
図10及び
図11の制御例から回転駆動部43による支持プレート41の回転を省いた形態で動作を行なわせることも可能である。この形態においても、支持シート13に対する距離のばらつきが無い状態で複数の加熱ユニット45が支持シート13に接近されるので、各加熱ユニット45の下方の領域での支持シート13(露出領域131)の収縮量にばらつきが生じない効果が得られる。
【0069】
その一方で、各加熱ユニット45が円周方向の位置を変化させずに支持シート13に接近するので、支持シート13の露出領域131において、各加熱ユニット45の下方の領域と、それ以外の領域とで、収縮量に差が生じる可能性がある。この点については、収縮ステップで支持プレート41を回転させながら個別昇降機構46を動作させて、接近ステップで各加熱ユニット45の下方に位置していた領域については、各加熱ユニット45を支持シート13から各加熱ユニット45を遠ざけて通過させることで、円周方向での支持シート13(露出領域131)の収縮量を均等化させることが可能である。
【0070】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明のエキスパンド方法は、支持シートの弛緩した領域を均一に加熱することができ、チップ間隔の変化を防いで効率的にデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 :被加工物ユニット
11 :ウエーハ(被加工物)
12 :接着フィルム
13 :支持シート
14 :リングフレーム
15 :分割予定ライン
16 :チップ
20 :エキスパンド装置
21 :制御ユニット
22 :フレーム支持部
23 :開口部
24 :フレーム押さえ部
25 :基台
26 :保持テーブル
27 :昇降駆動部
28 :吸引源
29 :開閉弁
30 :ローラー
31 :拡張ユニット
32 :ローラー昇降機構
40 :加熱装置
41 :支持プレート
42 :駆動ユニット
43 :回転駆動部
44 :昇降駆動部
45 :加熱ユニット
46 :個別昇降機構
131 :露出領域
451 :加熱ユニットの下端