(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149352
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20241010BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241010BHJP
C09B 47/06 20060101ALI20241010BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C09B47/06
C09B67/20 F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189570
(22)【出願日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045634
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョンファ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,チャンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,グァンイル
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ヒジョ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ベク ソン
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE09
2H148BE13
2H148BE16
2H148BE23
2H148BF05
2H148BF16
2H148BG11
2H148BH01
2H148BH17
2H148BH20
2H225AC21
2H225AC23
2H225AC36
2H225AC52
2H225AC54
2H225AC72
2H225AD06
2H225AN39P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA05P
2H225BA16P
2H225BA32P
2H225BA35P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い分散性および分散安定性を有し、着色力、明暗比、パターン性に優れた感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】着色剤、光重合性化合物、光重合開始剤、バインダー樹脂および溶媒を含む感光性樹脂組成物。着色剤は、顔料、およびカルボキシル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する特定構造の銅フタロシアニンまたは亜鉛フタロシアニン。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤;
(B)光重合性化合物;
(C)光重合開始剤;
(D)バインダー樹脂;および
(E)溶媒を含み、
前記着色剤は、顔料、および下記化学式1で表される添加剤を含む感光性樹脂組成物。
[化学式1]
【化1】
(前記化学式1で、
Mは、ZnまたはCuであり;
R
11~R
14、R
21~R
24、およびR
31~R
34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり;
R
41~R
44は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、または*-L
1-L
2-Aで表される置換基であり、前記R
41~R
44のうちの少なくとも一つは、*-L
1-L
2-Aで表される置換基であり;
L
1は、*-O-*または*-S-*であり;
L
2は、単一結合、または置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基であり;
Aは、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。)
【請求項2】
前記R11~R14は、全て水素原子であるか、または全てハロゲン原子である、請求項1に記載のの感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記R21~R24のうちの一つは、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、残りは、全て水素原子である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記R31~R34は、全て水素原子である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記R41~R44のうちのいずれか一つは、*-L1-L2-Aで表される置換基であり;残りは、全て水素原子であるか、または全てハロゲン原子である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記L1は、*-O-*である、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記L2は、フェニレン基である、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記*-L
1-L
2-Aで表される置換基は、下記化学式2で表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
[化学式2]
【化2】
(前記化学式2で、
R
51~R
55は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基であり、前記R
51~R
55のうちの少なくとも一つはカルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。)
【請求項9】
前記化学式1で表される添加剤は、下記化学式1-1で表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
[化学式1-1]
【化3】
(前記化学式1-1で、
Mは、ZnまたはCuであり;
R
11~R
14、R
21~R
24、およびR
31~R
34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり;
R
41、R
42、およびR
44は、それぞれ独立して、水素原子、またはハロゲン原子であり;
R
51~R
55は、それぞれ独立して、水素原子、またはカルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基であり、前記R
51~R
55のうちの少なくとも一つはカルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。)
【請求項10】
前記化学式1で表される添加剤は、下記化学式1-1-1~1-1-15で構成される群の中で選択される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
[化学式1-1-1]
【化4】
[化学式1-1-2]
【化5】
[化学式1-1-3]
【化6】
[化学式1-1-4]
【化7】
[化学式1-1-5]
【化8】
[化学式1-1-6]
【化9】
[化学式1-1-7]
【化10】
[化学式1-1-8]
【化11】
[化学式1-1-9]
【化12】
[化学式1-1-10]
【化13】
[化学式1-1-11]
【化14】
[化学式1-1-12]
【化15】
[化学式1-1-13]
【化16】
[化学式1-1-14]
【化17】
[化学式1-1-15]
【化18】
【請求項11】
前記化学式1で表される添加剤は、最大吸収波長が580nm~700nmである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記化学式1で表される添加剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、0.01重量%~5重量%で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記化学式1で表される添加剤および前記顔料の重量比は、1:1~1:5である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記着色剤は、分散樹脂、分散溶媒、分散剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む。請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記着色剤は、分散樹脂、および分散溶媒をさらに含み;
前記顔料の含有量は、前記顔料分散液総量に対して5重量%~20重量%である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して、
前記(A)着色剤30重量%~70重量%;
前記(B)光重合性化合物1重量%~30重量%;
前記(C)光重合開始剤0.1重量%~10重量%;
前記(D)バインダー樹脂1重量%~20重量%;および
前記(E)溶媒残部量を含む
請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を利用した感光性樹脂膜。
【請求項18】
前記感光性樹脂膜は、カラーネガティブフォトレジストである、請求項17に記載の感光性樹脂膜。
【請求項19】
請求項17に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルター。
【請求項20】
請求項19に記載のカラーフィルターを含むCMOSイメージセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜およびカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、モバイルカメラだけでなく、自律走行自動車、工場自動化などの技術を広く普及するために、固体撮像素子の需要が増加している。
【0003】
固体撮像素子の中でもCMOS Image Sensor(CIS)は、カメラが撮影したイメージをデジタル信号に変換する非メモリ半導体であって、カラーフィルター、フォトダイオード、増幅器などのピクセルが集合された集合体である。CISで、カラーフィルターを通過した外部の光は、カラーイメージデータ(R、G、Bデータ)に変換された後、信号で処理される過程を通じてディスプレイで駆動される。
【0004】
CIS用カラーフィルターは、顔料型感光性樹脂組成物を使用して製造することができる。しかし、顔料型感光性樹脂組成物を使用して製造されたカラーフィルターでは、顔料粒子サイズにより、輝度と明暗比の限界が発生することが不可避である。
【0005】
一方、CISのイメージ画質を高めるためには、カラーフィルターなどのピクセルサイズを小型化、薄膜化しながらも、その個数を最大化する必要がある。しかし、カラーフィルターを小型化、薄膜化するほど、同一の色を実現するために必要なPWC(色材含有量)が増加する。特に、ネガティブ型カラーフィルターには高いコントラスト、透過率および色特性が要求され、このためにはPWCをより高めなければならない。しかし、PWCを過度に高める場合、カラーフィルターパターンの正規性および直進性が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、カラーフィルターを小型化、薄膜化しながらも、カラーフィルターパターンの正規性および直進性を確保するためには、高い分散性および分散安定性を有しながらも、着色力および明暗比に優れた材料が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態の目的は、高い分散性および分散安定性を有しながらも、カラーフィルターおよびCISの実現時において、着色力、明暗比、パターン性などに優れた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態は、(A)着色剤;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;(D)バインダー樹脂;および(E)溶媒を含み、着色剤は、顔料、および下記化学式1で表される添加剤を含む感光性樹脂組成物を提供する。
[化学式1]
【化1】
化学式1において、
Mは、ZnまたはCuであり;
R
11~R
14、R
21~R
24、およびR
31~R
34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり;
R
41~R
44は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、または*-L
1-L
2-Aで表される置換基であり、R
41~R
44のうちの少なくとも一つは、*-L
1-L
2-Aで表される置換基であり;
L
1は、*-O-*または*-S-*であり;
L
2は、単一結合、または置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基であり;
Aは、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。
【0010】
R11~R14は、全て水素原子であるか、または全てハロゲン原子であってもよい。
【0011】
R21~R24のうちの一つは、置換または非置換のC1~C20アルキル基であり、残りは、全て水素原子であってもよい。
【0012】
R31~R34は、全て水素原子であってもよい。
【0013】
R41~R44のうちのいずれか一つは、*-L1-L2-Aで表される置換基であり;残りは、全て水素原子であるか、または全てハロゲン原子であってもよい。
【0014】
L1は、*-O-*であってもよい。
【0015】
L2は、フェニレン基であってもよい。
【0016】
*-L
1-L
2-Aで表される置換基は、下記化学式2で表されてもよい。
[化学式2]
【化2】
化学式2で、
R
51~R
55は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基であり、R
51~R
55のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。
【0017】
化学式1で表される添加剤は、下記化学式1-1で表されてもよい。
[化学式1-1]
【化3】
化学式1-1において、
Mは、ZnまたはCuであり;
R
11~R
14、R
21~R
24、およびR
31~R
34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり;
R
41、R
42、およびR
44は、それぞれ独立して、水素原子、またはハロゲン原子であり;
R
51~R
55は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基であり、R
51~R
55のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。
【0018】
化学式1で表される添加剤は、下記で構成される群の中で選択されてもよい。
[化学式1-1-1]
【化4】
[化学式1-1-2]
【化5】
[化学式1-1-3]
【化6】
[化学式1-1-4]
【化7】
[化学式1-1-5]
【化8】
[化学式1-1-6]
【化9】
[化学式1-1-7]
【化10】
[化学式1-1-8]
【化11】
[化学式1-1-9]
【化12】
[化学式1-1-10]
【化13】
[化学式1-1-11]
【化14】
[化学式1-1-12]
【化15】
[化学式1-1-13]
【化16】
[化学式1-1-14]
【化17】
[化学式1-1-15]
【化18】
【0019】
化学式1で表される添加剤は、最大吸収波長が580nm~700nmであってもよい。
【0020】
化学式1で表される添加剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、0.01重量%~5重量%で含まれてもよい。
【0021】
化学式1で表される添加剤および顔料の重量比は、1:1~1:5であってもよい。
【0022】
着色剤は、分散樹脂、分散溶媒、分散剤、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0023】
着色剤は、分散樹脂、および分散溶媒をさらに含み;顔料の含有量は、顔料分散液総量に対して5重量%~20重量%であってもよい。
【0024】
感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物総量に対して、(A)着色剤30重量%~70重量%;(B)光重合性化合物1重量%~30重量%;(C)光重合開始剤0.1重量%~10重量%;(D)バインダー樹脂1重量%~20重量%;および(E)溶媒残部量を含むことができる。
【0025】
他の一実施形態は、感光性樹脂組成物を利用した感光性樹脂膜を提供する。感光性樹脂膜は、カラーネガティブフォトレジストであってもよい。
【0026】
また、他の一実施形態は、感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0027】
また、他の一実施形態は、カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【0028】
その他の本発明の側面の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0029】
一実施形態の感光性樹脂組成物は、高い分散性および分散安定性を有しながらも、カラーフィルターおよびCISの実現時、着色力、明暗比、パターン性などに優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施例1の2.8μm pattern CDを示したものである。
【
図2】比較例1の2.8μm pattern CDを示したものである。
【
図3】比較例3の2.8μm pattern CDを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって限定されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0032】
本明細書で特別な言及がない限り、「置換」とは、化合物中の少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、C1~C20アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基もしくはその塩、スルホン酸基もしくはその塩、リン酸もしくはその塩、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C30アリール基、C3~C20シクロアルキル基、C3~C20シクロアルケニル基、C3~C20シクロアルキニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキル基、C2~C20ヘテロシクロアルケニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキニル基、またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0033】
本明細書で特別な言及がない限り、「ヘテロシクロアルキル基」、「ヘテロシクロアルケニル基」、「ヘテロシクロアルキニル基」および「ヘテロシクロアルキレン基」とは、それぞれシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびシクロアルキレンの環化合物内に少なくとも一つのN、O、SまたはPのヘテロ原子が存在することを意味する。
【0034】
本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方共に可能であることを意味する。
【0035】
本明細書で別途の定義がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。また「共重合」とは、ブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0036】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、当該位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0037】
本明細書で別途の定義がない限り、「*」は、同一または異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0038】
本明細書で別途の定義がない限り、「粒径」とは、粒子の直径を意味し、粒径は、動的光散乱法(dynamic light scattering)により測定した粒子直径のZ-平均値であってもよい。
【0039】
(感光性樹脂組成物)
一実施形態は、(A)着色剤;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;(D)バインダー樹脂;および(E)溶媒を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0040】
着色剤は、顔料、および下記化学式1で表される添加剤を含む。
[化学式1]
【化19】
化学式1において、Mは、ZnまたはCuであり;R
11~R
14、R
21~R
24、およびR
31~R
34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり;R
41~R
44は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、または*-L
1-L
2-Aで表される置換基であり、R
41~R
44のうちの少なくとも一つは、*-L
1-L
2-Aで表される置換基であり;L
1は、*-O-*または*-S-*であり;L
2は、単一結合、または置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基であり;Aは、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。
【0041】
(A)着色剤
着色剤は、顔料および添加剤を含み、分散樹脂、分散剤、分散溶媒、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0042】
顔料を含む感光性樹脂組成物を使用してカラーフィルターを製造すれば、顔料粒子サイズにより、輝度と明暗比の限界が発生することが不可避である。このような限界を克服するためには、顔料の分散を助けながらも再凝集を抑制する材料が必要である。
【0043】
一方、カラーフィルター-特にネガティブ型カラーフィルター-を小型化、薄膜化するためにはPWC(色材含有量)を高めなければならないが、この時、カラーフィルターパターンの正規性および直進性が低下する。このような問題を解決するために、着色力、明暗比、パターン性などに優れた材料が必要である。
【0044】
一実施形態では、上記の問題を総合的に解決するために、高い分散性および分散安定性を有しながらも着色力、明暗比、パターン性などに優れた添加剤を使用する。添加剤は、顔料の分散を助けながらも再凝集を抑制する「分散剤」として機能しながらも、助色団を含んで優れた着色力、明暗比、パターン性などを発揮する「着色剤」としても機能する。
【0045】
具体的に、一実施形態の添加剤は、化学式1で表される化合物であり、カルボキシ基、(メタ)アクリレート基などの置換基がフタロシアニン系母核に非対称的に置換された構造である。
【0046】
カルボキシ基、(メタ)アクリレート基などの置換基は、分散剤および/または分散樹脂と共有結合し、フタロシアニン系母核は、顔料と共有結合することができる。このような相互作用(分散剤および/または分散樹脂←→添加剤←→顔料)により、一実施形態の添加剤は、顔料の分散を助けながらも再凝集を抑制することができる。
【0047】
さらに、フタロシアニン系母核は、それ自体で青色の助色団(染料)であるため、優れた青色の着色力、明暗比、パターン性などを発揮することができる。
【0048】
言い換えると、一実施形態の添加剤は、「分散剤」であると共に「着色剤」として機能する。さらに、これを含む一実施形態の感光性樹脂組成物は、高い分散性および分散安定性を有しながらも、カラーフィルターおよびCISの実現時、着色力、明暗比、パターン性などに優れたものである。
【0049】
以下、顔料、添加剤、分散樹脂、分散溶媒、分散剤など着色剤を構成する要素をより詳しく説明する。
【0050】
まず、添加剤を説明する。
【0051】
Mは、ZnまたはCuであり;具体的にはZnであってもよい。
【0052】
R11~R14、R21~R24、およびR31~R34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。
【0053】
具体的には、R11~R14は、全て水素原子であるか、または全てハロゲン原子であってもよい。ここでハロゲン原子は、塩素原子であってもよい。
【0054】
具体的には、R21~R24のうちの一つは、置換または非置換のC1~C20アルキル基であり、残りは、全て水素原子であってもよい。R21~R24が全て水素原子である場合に比べて、R21~R24のうちの一つが置換または非置換のC1~C20アルキル基である場合、化学式1で表される添加剤の溶媒に対する溶解度が向上することができる。例えば、R21~R24のうちの一つは、分枝鎖C4アルキル基(tert-ブチル基)であり、残りは、全て水素原子であってもよい。
【0055】
具体的には、R31~R34は、全て水素原子であってもよい。
【0056】
具体的には、R41~R44のうちのいずれか一つは、*-L1-L2-Aで表される置換基であり;残りは、全て水素原子であるか、または全てハロゲン原子であってもよい。ここで、L1は、*-O-*であり、L2は、フェニレン基であり、Aは、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基であってもよい。
【0057】
より具体的には、*-L
1-L
2-Aで表される置換基は、下記化学式2で表されてもよい。
[化学式2]
【化20】
化学式2において、R
51~R
55は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基であり、R
51~R
55のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。
【0058】
例えば、化学式1で表される添加剤は、下記化学式1-1で表される化合物であってもよい。
[化学式1-1]
【化21】
化学式1-1において、Mは、ZnまたはCuであり;R
11~R
14、R
21~R
24、およびR
31~R
34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり;R
41、R
42、およびR
44は、それぞれ独立して、水素原子、またはハロゲン原子であり;R
51~R
55は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基であり、R
51~R
55のうちの少なくとも一つは、カルボキシ基、またはメタ(アクリレート)基である。
【0059】
各置換基に関する説明は前述したとおりである。
【0060】
より具体的な例を挙げれば、化学式1で表される添加剤は、下記化学式1-1-1~1-1-15で構成される群の中で選択されてもよい。
[化学式1-1-1]
【化22】
[化学式1-1-2]
【化23】
[化学式1-1-3]
【化24】
[化学式1-1-4]
【化25】
[化学式1-1-5]
【化26】
[化学式1-1-6]
【化27】
[化学式1-1-7]
【化28】
[化学式1-1-8]
【化29】
[化学式1-1-9]
【化30】
[化学式1-1-10]
【化31】
[化学式1-1-11]
【化32】
[化学式1-1-12]
【化33】
[化学式1-1-13]
【化34】
[化学式1-1-14]
【化35】
[化学式1-1-15]
【化36】
【0061】
前述のように、化学式1で表される添加剤は、青色を発現する助色団(染料)としてフタロシアニン系母核を有しており、感光性樹脂組成物の着色力、明暗比、パターン性などをより向上させることができる。
【0062】
具体的には、化学式1で表される添加剤は、最大吸収波長(λmax)が580nm~700nmであってもよい。
【0063】
化学式1で表される添加剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、0.01重量%~5重量%、具体的に0.1重量%~3重量%、例えば0.1重量%~0.5重量%で含まれてもよい。
【0064】
また、化学式1で表される添加剤および顔料の重量比は、1:1~1:5、具体的に1:1~1:4であり、例えば1:2~1:4であってもよい。
【0065】
上記の各範囲で、一実施形態による感光性樹脂組成物の分散性および分散安全性を高めながらも、着色力、明暗比、パターン性などを向上させることができる。
【0066】
着色剤は、顔料を含むことができ、顔料としては、緑色顔料、黄色顔料、青色顔料、赤色顔料、紫色顔料、黒色顔料などを使用することができる。
【0067】
緑色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.緑色顔料7、C.I.緑色顔料36、C.I.緑色顔料58、C.I.緑色顔料59などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0068】
黄色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.黄色顔料185、C.I.黄色顔料139などのようなイソインドリン系顔料、C.I.黄色顔料138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.黄色顔料150などのようなニッケルコンプレックス顔料などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0069】
青色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料15、C.I.青色顔料15:1、C.I.青色顔料15:2、C.I.青色顔料15:3、C.I.青色顔料15:4、C.I.青色顔料15:5、C.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料16などのような銅フタロシアニン顔料を使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0070】
赤色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.赤色顔料254、C.I.赤色顔料255、C.I.赤色顔料264、C.I.赤色顔料270、C.I.赤色顔料272、C.I.赤色顔料177、C.I.赤色顔料89などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0071】
紫色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.バイオレット顔料23(V.23)、C.I.バイオレット顔料29、ジオキサジンバイオレット、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、インダントレンブリリアントバイオレットなどを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0072】
黒色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でアニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、カーボンブラックなどを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0073】
顔料は、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。例えば、顔料としては、緑色顔料、黄色顔料またはこれらの混合物を使用することができる。
【0074】
顔料は、分散液形態でカラーフィルター用感光性樹脂組成物に含まれてもよい。このような顔料分散液は、顔料および添加剤以外にも、分散樹脂、分散溶媒、分散剤などをさらに含むことができる。顔料の含有量(PWC)は、顔料分散液総量に対して5重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%であってもよい。
【0075】
顔料分散液の分散溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができ、これらのうち、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを使用することができる。
【0076】
分散樹脂としては、アクリル系分散樹脂を使用することができ、これは顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性も改善させることができる。分散樹脂は、重量平均分子量が10,000~20,000g/molであり、80~200KOHmg/gであってもよい。
【0077】
分散剤は、顔料が分散液内に均一に分散されるように助け、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の分散剤をそれぞれ使用することができる。具体的にはポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
着色剤は、金属錯体染料をさらに含むことができる。
【0079】
金属錯体染料は、200nm~650nm波長領域で最大吸光度を有する化合物を使用することができ、色素の組み合わせに色座標を合わせるために当該波長領域の範囲の吸光度を有する化合物であれば有機溶媒に溶ける全てのカラーの金属錯体染料を使用することができる。
【0080】
具体的に、金属錯体染料は、530nm~680nm波長領域で最大吸光度を有する緑色染料、200nm~400nm波長領域で最大吸光度を有する黄色染料、300nm~500nm波長領域で最大吸光度を有するオレンジ染料、500nm~650nm波長領域で最大吸光度を有する赤色染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0081】
金属錯体染料は、直接染料、酸性染料、塩基性染料、酸性媒染染料、硫化染料、還元染料、アゾイック染料、分散染料、反応性染料、酸化染料、油溶染料、アゾ染料、アントラキノン染料、インディゴイド染料、カルボニウムイオン染料、フタロシアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、シアニン染料、ポリメチン染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0082】
金属錯体染料は、Mg、Ni、Cu、Co、Zn、Cr、Pt、PdおよびFeからなる群より選択された少なくとも一つの金属イオンを含むことができる。
【0083】
金属錯体染料は、C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35などのC.I.ソルベント染料;C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109などのC.I.アシッド染料;C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82などのC.I.ダイレクト染料、C.I.ベーシックグリーン1などのC.I.ベーシック染料;C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53などのC.I.モーダント染料、C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;ソルベントイエロー19、ソルベントイエロー21、ソルベントイエロー25、ソルベントイエロー79、ソルベントイエロー82、ソルベントイエロー88、ソルベントオレンジ45、ソルベントオレンジ54、ソルベントオレンジ62、ソルベントオレンジ99、ソルベントレッド8、ソルベントレッド32、ソルベントレッド109、ソルベントレッド112、ソルベントレッド119、ソルベントレッド124、ソルベントレッド160、ソルベントレッド132およびソルベントレッド218からなる群より選択された少なくとも一つと金属イオンとの複合体を使用することができる。
【0084】
金属錯体を含む染料は、一実施形態による感光性樹脂組成物に使用される溶媒、つまり、後述する溶媒に対する溶解度が5以上であり、具体的には5~10であってもよい。溶解度は、溶媒100gに溶ける染料の量(g)で得ることができる。金属錯体を含む染料の溶解度が上記範囲内である場合、一実施形態による感光性樹脂組成物をなす他の成分との相溶性および着色力を確保することができ、染料の析出を防止することができる。
【0085】
溶解度が特定の範囲を有することによって、所望の色座標で高輝度および高明暗比を発現するLCD、LEDなどのカラーフィルターに有用に使用することができる。
【0086】
金属錯体を含む染料は、感光性樹脂組成物総量に対して0.01重量%~1重量%、例えば0.01重量%~0.5重量%で含まれてもよい。金属錯体を含む染料を上記範囲で使用する場合、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0087】
染料および顔料を混合して使用する場合、0.1:99.9~99.9:0.1の重量比、具体的には1:9~9:1の重量比で混合して使用することができる。上記重量比の範囲で混合する場合、耐薬品性、最大吸収波長を適切な範囲に制御し、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0088】
着色剤は、感光性樹脂組成物総量に対して30重量%~70重量%、具体的に40重量%~65重量%、例えば45重量%~60重量%で含まれてもよい。着色剤が上記範囲内に含まれる場合、着色効果および現像性に優れている。
【0089】
(B)光重合性化合物
光重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0090】
光重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こし、耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0091】
光重合性化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0092】
光重合性化合物の市販される製品を例に挙げれば次のとおりである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックス(登録商標)M-101、同M-111、同M-114など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標) TC-110S、同TC-120Sなど;大阪有機化学工業株式会社製のV-158、V-2311などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックス(登録商標)M-210、同M-240、同M-6200など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標) HDDA、同HX-220、同R-604など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260、V-312、V-335HPなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックス(登録商標)M-309、同M-400、同M-405、同M-450、同M-710、同M-8030、同M-8060など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標) TMPTA、同DPCA-20、同-30、同-60、同-120など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295、同-300、同-360、同-GPT、同-3PA、同-400などが挙げられる。市販の製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0093】
光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0094】
光重合性化合物は、感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~30重量%、具体的に5重量%~25重量%、例えば15重量%~25重量%で含まれてもよい。光重合性化合物が上記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れている。
【0095】
(C)光重合開始剤
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般的に使用される開始剤であり、例えばアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0096】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0097】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0098】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0099】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0100】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0101】
オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0102】
光重合開始剤は、上述した化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、非イミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0103】
光重合開始剤は、光を吸収して浮き立った状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用することもできる。
【0104】
光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0105】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~10重量%、例えば1重量%~5重量%で含まれてもよい。光重合開始剤が上記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れており、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0106】
(D)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、アクリル系樹脂を含むことができる。
【0107】
アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であり、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0108】
第1エチレン性不飽和単量体は、一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0109】
第1エチレン性不飽和単量体は、アクリル系バインダー樹脂総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0110】
第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0111】
アクリル系樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0112】
バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂を含むことができる。
【0113】
バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことによって、耐熱性を向上させることができる。エポキシ系バインダー樹脂は、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0114】
さらに、エポキシ系バインダー樹脂を含むバインダー樹脂は、後述する顔料などの着色剤の分散安定性を確保すると同時に、現像過程で所望の解像度のピクセルが形成されるように助ける。
【0115】
エポキシ系バインダー樹脂は、バインダー樹脂総量に対して1重量%~10重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれてもよい。エポキシ系バインダー樹脂が上記範囲で含まれる場合、残膜率および耐薬品性を大幅に改善することができる。
【0116】
エポキシ系バインダー樹脂のエポキシ当量(epoxy equivalent weight)は、150g/eq~200g/eqであってもよい。上記範囲内のエポキシ当量を有するエポキシ系バインダー樹脂がバインダー樹脂内に含まれる場合、形成されたパターンの硬化度向上およびパターンが形成された構造内での着色剤固着に有利な効果がある。
【0117】
バインダー樹脂は、固形分形態で後述する溶媒に溶解されて、感光性樹脂組成物を構成することができる。この場合、固形分形態のバインダー樹脂は、溶媒に溶解されたバインダー樹脂溶液総量に対して約0.1重量%~30重量%、例えば20重量%~30重量%であってもよい。
【0118】
バインダー樹脂は、固形分を基準として、感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~20重量%、具体的に5重量%~15重量%、例えば10重量%~15重量%で含まれてもよい。バインダー樹脂が上記範囲内に含まれる場合、カラーフィルターの製造時に現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0119】
(E)溶媒
溶媒は、着色剤、バインダー樹脂、光重合性化合物および光重合開始剤との相溶性を有するが反応しない物質を使用することができる。
【0120】
溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあって、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0121】
これらのうち、相溶性および反応性を考慮して、溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(Propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)、n-酢酸ブチル(n-Butyl Acetate、n-BA)、エチレングリコールジメチルエーテル(Ethylene glycol Dimethyl ether)、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0122】
溶媒は、感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば1重量%~30重量%、例えば10重量%~20重量%で含まれてもよい。溶媒が上記範囲内に含まれる場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、平坦性に優れた塗膜を得ることができる。
【0123】
(F)その他添加剤
感光性樹脂組成物は、塗布時に染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残留物の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むカップリング剤;レベリング剤;界面活性剤;およびラジカル重合開始剤から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。
【0124】
添加剤は、所望の物性により容易に調節されてもよい。
【0125】
カップリング剤は、シラン系カップリング剤であってもよく、シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0126】
シラン系カップリング剤は、具体的に感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~1重量部で使用することができる。
【0127】
また、カラーフィルター用感光性樹脂組成物は、必要に応じて界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0128】
フッ素系界面活性剤の例としては、DIC社のF-482、F-484、F-478などがあり、これに限定されるのではない。
【0129】
界面活性剤は、感光性樹脂組成物総量に対して0.01重量%~5重量%で含まれることが好ましく、0.01重量%~2重量%で含まれることがより好ましい。上記範囲を外れる場合、現像後に異物が発生する問題点が生じることがあるため好ましくない。
【0130】
また、感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他添加剤が一定量添加されることもできる。
【0131】
(感光性樹脂膜、カラーフィルター、およびディスプレイ装置)
他の一実施形態によれば、一実施形態による感光性樹脂組成物を利用した感光性樹脂膜を提供する。
【0132】
一実施形態の感光性樹脂膜は、大きくカラーポジティブフォトレジスト組成物と、カラーネガティブフォトレジスト組成物とに区分される。
【0133】
一実施形態の感光性樹脂膜は、カラーネガティブフォトレジストであってもよい。これは、フォトレジストによる着色が起こらず、ポジティブフォトレジストより相対的に光感度が高いという利点がある。
【0134】
また、他の一実施形態によれば、前述した感光性樹脂組成物を利用したカラーフィルターを提供する。
【0135】
一実施形態のカラーフィルターを製造する方法は次のとおりである。
【0136】
ガラス基板の上にスピン塗布、ローラ塗布、スプレー塗布などの適当な方法を使用し、例えば、0.5um~10umの厚さに前述した感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂組成物層を形成する。
【0137】
次に、感光性樹脂組成物層が形成された基板にカラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射する。照射に使用される光源としては、UV、電子線またはX線を使用することができ、例えば、190nm~450nm、具体的には200nm~400nm領域のUVを照射することができる。照射する工程でフォトレジストマスクをさらに使用して実施することもできる。このように照射する工程を実施した後、光源が照射された感光性樹脂組成物層を現像液で処理する。この時、感光性樹脂組成物層で非露光部分は溶解されることによってカラーフィルターに必要なパターンが形成される。このような工程を必要な色の数により繰り返すことによって所望のパターンを有するカラーフィルターを得ることができる。また、上述した工程により得られた画像パターンを再び加熱したり活性線照射などにより硬化すれば耐クラック性、耐溶媒性などを向上させることができる。
【0138】
また、他の一実施形態によれば、前述したカラーフィルターを含むディスプレイ装置を提供する。
【0139】
ディスプレイ装置は、CMOSイメージセンサー、液晶ディスプレイ装置などであってもよい。
【0140】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0141】
(顔料分散液の製造)
下記表1に示す組成で混合して、製造例1~7、製造比較例1~3の顔料分散液を製造した。
【0142】
具体的に、顔料、添加剤、分散樹脂、および溶媒を混合し、このような混合物100重量部を基準としてジルコニアビーズ(直径:0.4μm)300部を入れた後、ペイントシェーカを使用して3時間振って分散させ、ジルコニアビーズをフィルターで除去することによって、顔料分散液を得た。
【0143】
【0144】
表1で使用された物質は次のとおりである。
A-1-1(顔料)
C.I.PIGMENT Green 58
A-1-2(添加剤)
添加剤1:化学式1-1-1で表される化合物
添加剤2:化学式1-1-2で表される化合物
添加剤3:化学式1-1-3で表示される化合物
添加剤4:化学式1-1-4で表される化合物
添加剤5:化学式1-1-5で表示される化合物
添加剤6:化学式1-1-6で表示される化合物
添加剤7:化学式1-1-11で表される化合物
添加剤8:化学式Aで表される化合物
[化学式A]
【化37】
A-1-3(アクリル系分散樹脂)
RY-92(製造会社:昭和電工、分子量:5,900g/mol、酸価:33KOHmg/g、二重結合当量:350g/mol)
A-1-4(分散溶媒)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0145】
(感光性樹脂組成物の製造)
下記表2に示す組成で混合して、実施例1~7、比較例1~3の感光性樹脂組成物を製造した。
【0146】
具体的に、顔料分散液、黄色顔料、緑色顔料、光重合性単量体、光重合開始剤、バインダー樹脂、および溶媒を混合して感光性着色樹脂組成物製造した。
【0147】
【0148】
表2で使用された物質は次のとおりである。
A(着色剤)
製造例1~7、製造比較例1~3の各顔料分散液
A-2:C.I.PIGMENT Yellow 185(Y185)
A-3:C.I.PIGMENT Green 58(G58)
B(光重合性化合物)
ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA、製造会社:日本化薬)
C(光重合開始剤)
Oxime系開始剤SPI-03(製造会社:三養社)
D(バインダー樹脂)
RY-92(製造会社:昭和電工、分子量:5,900g/mol、酸価:33KOHmg/g、二重結合当量:350g/mol)
E(溶媒)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
F(その他添加剤)
F-1:ラジカル重合開始剤
KBM-503(信越シリコン)
F-2:レベリング剤
F-556(製造会社:DIC)
【0149】
評価例1:分散性および分散安定性
動的光散乱(Dynamic Light Scattering)分析装備を利用して、実施例1~7、および比較例1~3の各感光性樹脂組成物に含まれている固形分の粒径を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0150】
また、実施例1~7、および比較例1~3の各感光性樹脂組成物に対して23℃で1週間保管前後の5rpm(Torque値が50~100%になるrpm選定)、25℃でBrookfield DV-II Pro粘度計とCPE-52 Spindleを使用して粘度を評価し、その結果を下記表3に示した。
【0151】
【0152】
表3によれば、実施例1~7の感光性樹脂組成物は、比較例1~3の感光性樹脂組成物に比べて、1週間保管前後の固形分粒径差だけでなく、粘度差が少ない。
【0153】
評価例2:着色力および明暗比
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に1~3μmの厚さで実施例1~7、および比較例1~3の各感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて塗膜に365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを使用して露光した後、200℃の熱風循環式乾燥炉中で5分間乾燥させて、カラーフィルター試片を得た。
【0154】
画素層は、分光光度計(MCPD3000、Otsuka electronic社)を利用してカラーフィルター試片の色座標(x、y)、輝度(Y)および明暗比を測定し、その結果を下記表4に記載した。
【0155】
【0156】
表4によれば、実施例1~7のカラーフィルター試片は、比較例1~3のカラーフィルター試片に比べて着色力、輝度、および明暗比が向上した。
【0157】
評価例3:パターン性
実施例1、および比較例1および3の各感光性樹脂組成物をそれぞれ、Mikasa社のコーティング機器を使用し、サンプルごとに一定の厚さ(1.5μm)を示すことができるrpmで、8インチシリコンウエハ(8inch silicon wafer)にコーティングした。その後、約100℃のホットプレート(Hot plate)でプリベークを行い、Nikon社のi-line stepperで1000msec Pattern露光を行い、パターン性のために現像を行った。現像液は、ENF社のTMAH溶解液を使用し、230℃のホットプレート(hot plate)で5分間ベークを行ってパターン形状を完了した。パターンはHitachi社のCD-SEMを利用して2.8μm pattern CDを測定した。
【0158】
図1~3は実施例1、および比較例1および3の各2.8μm pattern CDを示したものである。
図1~3によれば、実施例1のカラーフィルター試片は、比較例1および3のカラーフィルター試片に比べてパターン性が向上した。
【0159】
総合的に、化学式1で表される添加剤を使用すれば、顔料の分散性および分散安定性が高く、カラーフィルターの実現時、着色力および明暗比に優れた感光性樹脂組成物を実現することができる。
【0160】
ここでは実施例1~7を代表的に例示したが、一実施形態の範囲内で調節して分散性、分散安定性、着色力、明暗比、パターン性などを目的とする水準に制御することも可能である。
【0161】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。