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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149360
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/00 20230101AFI20241010BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20241010BHJP
   H10N 99/00 20230101ALI20241010BHJP
【FI】
H10B63/00
H10N70/20
H10N99/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208302
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045376
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハ テ ジョン
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA15
5F083GA16
5F083GA30
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083ZA28
(57)【要約】
【課題】メモリセルの動作フェイルを減少及び/又は防止しつつ、メモリセルのセレクタのホールド電流を容易に制御できる半導体装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本実施形態の半導体装置は、複数のメモリセルを備える半導体装置であって、前記複数のメモリセルの各々は、抵抗層と、前記抵抗層上に配置されるセレクタ層と、前記セレクタ層上に配置されるメモリ層とを備え、前記抵抗層は、下部、及び前記下部上に配置される上部を備え、前記下部の幅が前記抵抗層の最上面の幅より小さいことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルを備える半導体装置であって、
前記複数のメモリセルの各々は、
抵抗層と、
前記抵抗層上に配置されるセレクタ層と、
前記セレクタ層上に配置されるメモリ層と、
を備え、
前記抵抗層は、下部、及び前記下部上に配置される上部を備え、前記下部の幅が前記抵抗層の最上面の幅より小さい半導体装置。
【請求項2】
前記抵抗層は、前記セレクタ層のホールド電流を減少させる請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記下部の幅が減少すれば、前記ホールド電流も減少する請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1の方向に延びる複数の第1の導電ラインと、
前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる複数の第2の導電ラインと、
を備え、
前記複数のメモリセルの各々は、前記複数の第1の導電ラインと前記複数の第2の導電ラインとの間でこれらの交差領域と重なり、
前記抵抗層は、前記第1の導電ラインまたは前記第2の導電ラインの抵抗より小さい抵抗を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記上部は、下から上へ行くほど増加する幅を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記下部は、一定の幅を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記抵抗層の側面を囲みながら、前記抵抗層から順次配置される第1~第Nの絶縁パターン(ここで、Nは、2以上の自然数)をさらに備え、
前記第1~第Nの絶縁パターンのうち、第tの絶縁パターン(ここで、tは、2以上、N以下の自然数)のエッチング率は、第t-1の絶縁パターンのエッチング率より小さい請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1~第Nの絶縁パターンは、互いに異なる物質で形成される請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1~第Nの絶縁パターンのうち、少なくとも2つは、互いに同じ物質で形成されながら、構成要素の組成が互いに異なる請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
基板上に柱状の犠牲パターン、及び前記犠牲パターンの側面を囲みながら前記犠牲パターンから順次配置され、前記犠牲パターンより小さいエッチング率を有しながら前記犠牲パターンから遠くなるほど減少するエッチング率を有する第1~第Nの絶縁パターンを形成するステップ(ここで、Nは、2以上の自然数)と、
前記犠牲パターン及び前記第1~第Nの絶縁パターンに対して全面エッチングを行うステップと、
全面エッチングされた前記犠牲パターンを除去して穴を形成するステップと、
前記穴を埋め込みながら前記穴から上へと延びる部分を有する抵抗層を形成するステップと、
前記抵抗層上にセレクタ層及びメモリ層を形成するステップと、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1~第Nの絶縁パターンを形成するステップは、
前記犠牲パターンの上面及び前記側面に沿ってコンフォーマルに前記第1~第Nの絶縁パターンを蒸着するステップと、
前記犠牲パターンの前記上面が露出するように平坦化工程を行うステップと、
を含む請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
全面エッチングされた前記犠牲パターンの上面は、最も低い高さを有し、全面エッチングされた前記第1~第Nの絶縁パターンの上面の高さが次第に増加する請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
全面エッチングされた前記犠牲パターンの前記上面、及び全面エッチングされた前記第1~第Nの絶縁パターンの前記上面は、傾斜面を形成する請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記抵抗層を形成するステップは、
全面エッチングされた前記犠牲パターンの上面、及び全面エッチングされた前記第1~第Nの絶縁パターンの上面を覆う抵抗物質を形成するステップと、
前記抵抗層の厚みが前記穴の深さより大きいながら前記抵抗層が隣接した他の抵抗層と分離されるように平坦化工程を行う請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記抵抗層は、前記穴内に埋め込まれた下部、及び前記下部上に配置される上部を備え、前記下部の幅は、前記抵抗層の最上面の幅より小さい請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記上部の幅は、下から上へ行くほど増加する請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記下部の幅は、一定である請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1~第Nの絶縁パターンは、互いに異なる物質で形成される請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1~第Nの絶縁パターンのうち、少なくとも2つは、互いに同じ物質で形成されながら、構成要素の組成が互いに異なる請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記セレクタ層及び前記メモリ層を形成するステップは、
前記抵抗層及び前記第1~第Nの絶縁層上にセレクタ物質及びメモリ物質を形成するステップと、
1つのマスクを用いて前記セレクタ物質及び前記メモリ物質をエッチングするか、または、2つのマスクを各々用いて前記セレクタ物質及び前記メモリ物質をエッチングするステップと、
を含む請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体技術に関し、より詳細には、セレクタを備えるメモリセルを備える半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、低電力化、高性能化、多様化などによって、コンピュータ、携帯用通信機器など、様々な電子機器で情報を格納できる半導体装置が求められており、これについての研究が進まれている。このような半導体装置では、印加される電圧または電流によって互いに異なる抵抗状態間でスイッチングする特性を利用してデータを格納できる半導体装置、例えば、RRAM(Resistive Random Access Memory)、PRAM(Phase-change Random Access Memory)、FRAM(登録商標)(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、電子ヒューズ(E-fuse)などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態等が解決しようとする課題は、メモリセルの動作フェイルを減少及び/又は防止しつつ、メモリセルのセレクタのホールド電流を容易に制御できる半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る半導体装置は、複数のメモリセルを備える半導体装置であって、前記複数のメモリセルの各々は、抵抗層と、前記抵抗層上に配置されるセレクタ層と、前記セレクタ層上に配置されるメモリ層とを備え、前記抵抗層は、下部、及び前記下部上に配置される上部を備え、前記下部の幅が前記抵抗層の最上面の幅より小さいことができる。
【0005】
また、上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、基板上に柱状の犠牲パターン、及び前記犠牲パターンの側面を囲みながら前記犠牲パターンから順次配置され、前記犠牲パターンより小さいエッチング率を有しながら前記犠牲パターンから遠くなるほど減少するエッチング率を有する第1~第Nの絶縁パターンを形成するステップ(ここで、Nは、2以上の自然数)と、前記犠牲パターン及び前記第1~第Nの絶縁パターンに対して全面エッチングを行うステップと、全面エッチングされた前記犠牲パターンを除去して穴を形成するステップと、前記穴を埋め込みながら前記穴から上へと延びる部分を有する抵抗層を形成するステップと、前記抵抗層上にセレクタ層及びメモリ層を形成するステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態等の半導体装置及びその製造方法によれば、メモリセルの動作フェイルを減少及び/又は防止しつつ、メモリセルのセレクタのホールド電流を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置を説明するための斜視図である。
図2図1のメモリセルのセレクタ層の動作及び比較例のメモリセルのセレクタ層の動作を説明するための電流-電圧グラフである。
図3】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置に備えられるメモリセルを説明するための断面図である。
図4A】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。
図4B】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。
図5】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。
図6】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。
図7】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。
図8】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。
図9A】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。
図9B】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。
図10】本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付された図面を参照して様々な実施形態が詳細に説明される。
【0009】
図面は、必ずしも一定の割合で図示されたものとはいえず、いくつかの例示において、実施形態等の特徴を明確に見せるために図面に示された構造物のうち、少なくとも一部の比例は誇張されることもできる。図面または詳細な説明に2つ以上の層を有する多層構造物が開示された場合、図示されたような層等の相対的な位置関係や配列順序は、特定実施形態を反映するだけであり、本発明がこれに限定されるものではなく、層等の相対的な位置関係や配列順序は変わることもできる。また、多層構造物の図面または詳細な説明は、特定多層構造物に存在する全ての層を反映しないこともできる(例えば、図示された2つの層の間に1つ以上の追加層が存在することもできる)。例えば、図面または詳細な説明の多層構造物において第1層が第2層上にあるか、または基板上にある場合、第1層が第2層上に直接形成されるか、または基板上に直接形成され得ることを表すだけでなく、1つ以上の他の層が第1層と第2層との間または第1層と基板との間に存在する場合も表すことができる。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置を説明するための斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の半導体装置は、第1の方向に延びながら互いに平行な複数の第1の導電ライン110、第1の方向と交差する第2の方向に延びながら互いに平行な複数の第2の導電ライン120、及び第1の導電ライン110と第2の導電ライン120との交差領域と重なりながら第1の導電ライン110と第2の導電ライン120との間に介在される複数のメモリセル130を備えることができる。
【0012】
第1の導電ライン110及び第2の導電ライン120は、メモリセル130の両端と各々接続することができる。本実施形態では、第1の導電ライン110が第2の導電ライン120の下に配置されるが、本開示がこれに限定されるものではなく、第1の導電ライン110と第2の導電ライン120との上下位置は、互いに変わることができる。第1の導電ライン110及び第2の導電ライン120のうち、いずれか1つは、ワードラインとして機能し、他の1つは、ビットラインとして機能することができる。第1の導電ライン110及び第2の導電ライン120は、各々様々な導電物質、例えば、白金(Pt)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)などの金属、チタニウム窒化物(TiN)、タンタル窒化物(TaN)などの金属窒化物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0013】
メモリセル130は、第1の導電ライン110と第2の導電ライン120との間でこれらの交差領域と各々重なるように柱状を有することができる。メモリセル130は、抵抗層132、セレクタ層134、及びメモリ層136の積層構造を含むことができる。
【0014】
メモリ層136は、様々な方式でデータを格納する機能をすることができる。一例として、メモリ層136は、その上端及び下端を介して供給される電圧または電流によって互いに異なる抵抗状態間でスイッチングすることにより、互いに異なるデータを格納する可変抵抗層に該当することができる。可変抵抗層は、RRAM、PRAM、FRAM(登録商標)、MRAMなどに用いられる様々な物質、例えば、転移金属酸化物、ペロブスカイト(perovskite)系物質などのような金属酸化物、カルコゲナイド(chalcogenide)系物質などのような相変化物質、強誘電物質、強磁性物質などを含む単一膜構造または多重膜構造を有することができる。
【0015】
セレクタ層134は、メモリ層136への接近を制御しながら、第1の導電ライン110または第2の導電ライン120を共有するメモリセル130の間で発生しうる電流漏れを防止する機能をすることができる。このために、セレクタ層134は、その上端及び下端に供給される電圧の大きさが所定閾値電圧未満である場合、電流を遮断するか、電流をほとんど流さず、この閾値電圧以上で急に電流を流す閾値スイッチング(threshold switching)特性を有することができる。すなわち、セレクタ層134は、閾値電圧以上でターンオンされることができ、閾値電圧未満でターンオフされることができる。
【0016】
セレクタ層134は、ダイオード、カルコゲナイド系物質などのようなOTS(Ovonic Threshold Switching)物質、金属含有カルコゲナイド系物質などのようなMIEC(Mixed Ionic Electronic Conducting)物質、NbO、VOなどのようなMIT(Metal Insulator Transition)物質、またはSiO、Alなどのように、相対的に広いバンドギャップを有するトンネリング絶縁物質などを含むことができる。
【0017】
または、セレクタ層134は、ドーパントがドーピングされた絶縁物質を含むことができる。ここで、絶縁物質は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物などのようなシリコン含有絶縁物質、絶縁性の金属酸化物、絶縁性の金属窒化物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。ドーパントは、絶縁物質内で移動する伝導性キャリアを捕獲するか、捕獲された伝導性キャリアが再度移動する通路を提供するトラップサイトを生成する役割をすることができる。このようなトラップサイト形成のために、絶縁物質内で伝導性キャリアを収容できるエネルギー準位生成が可能な様々な元素がドーパントとして用いられ得る。一例として、絶縁物質がシリコンを含有する場合、ドーパントは、シリコンと相違した原子価を有する金属、例えば、ガリウム(Ga)、ボロン(B)、インジウム(In)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C)、タングステン(W)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。または、絶縁物質が金属を含有する場合、ドーパントは、この金属と相違した原子価を有する金属、シリコンなどを含むことができる。一例として、セレクタ層134は、ヒ素(As)がドーピングされた二酸化ケイ素(SiO)を含むことができる。ドーパントがドーピングされた絶縁物質を含むセレクタ層134に閾値電圧以上の電圧が印加される場合、伝導性キャリアがトラップサイトを介して移動することにより、セレクタ層134を介して電流が流れるオン状態が実現され得るし、セレクタ層134に印加される電圧を閾値電圧未満に減少させる場合、伝導性キャリアが移動せず、電流が流れないオフ状態が実現され得る。
【0018】
抵抗層132は、セレクタ層134のホールド電流を減少させる機能をすることができる。セレクタ層134が抵抗層132と連結された場合、電圧分配効果(voltage divider effect)によりセレクタ層134を流れる電流の大きさが減少しうる。それにより、セレクタ層134のオン状態維持に必要な最小限の電流であるホールド電流も減少することができる。
【0019】
抵抗層132は、相対的に大きい抵抗値を有することができる。例えば、抵抗層132の抵抗は、第1の導電ライン110及び/又は第2の導電ライン120の抵抗より大きいことができる。一例として、抵抗層132は、金属、金属合金などのような導電物質、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物などのようなシリコン含有絶縁物質、絶縁性の金属酸化物、絶縁性の金属窒化物などを含むことができる。抵抗層132が導電物質を含む場合、第1の導電ライン110及び/又は第2の導電ライン120より高い抵抗を有する導電物質を含むことができる。一例として、第1の導電ライン110及び/又は第2の導電ライン120がタングステン(W)を含む場合、抵抗層132は、チタニウム窒化物(TiN)またはタングステンシリコン窒化物(WSiN)を含むことができる。または、抵抗層132が絶縁物質を含む場合、抵抗層132は、数Åないし数十Åの薄い厚みを有することにより、メモリセル130の動作電圧で電流を流すことができる絶縁物質を含むことができる。しかし、本開示がこれに限定されるものではなく、第1の導電ライン110及び/又は第2の導電ライン120より高い抵抗を有する様々な物質が抵抗層132として用いられ得る。
【0020】
一方、セレクタ層134のホールド電流減少の必要性について説明すれば、下記のとおりである。セレクタ層134のホールド電流は、セレクタ層134がオン状態を維持するのに必要な最小限の電流を意味しうる。メモリセル130の動作電流、例えば、メモリセル130にデータを格納する書き込み(write)動作の際に流れる書き込み電流またはメモリセル130に格納されたデータを読み出す読み出し(read)動作の際に流れる読み出し電流がホールド電流より大きい場合、当該動作電流でセレクタ層134がオン状態を維持できる。それにより、正常な動作が可能である。それに対し、メモリセル130の動作電流、例えば、書き込み電流または読み出し電流がホールド電流より小さい場合、当該動作電流でセレクタ層134がオン状態とオフ状態との間を繰り返すオシレーション(oscillation)現象が発生しうる。このような場合、正常な動作が不可能である。したがって、ホールド電流を下げる技術の開発が必要でありうる。ホールド電流を下げる場合、動作電流がホールド電流より大きくなりやすく、動作フェイル(fail)が減少及び/又は防止され得る。
【0021】
本実施形態では、メモリセル130が抵抗層132、セレクタ層134、及びメモリ層136の積層構造を含んでいるが、本開示がこれに限定されるものではなく、メモリセル130の層構造は様々に変形されることができる。一例として、第1の導電ライン110と抵抗層132Tとの間、抵抗層132とセレクタ層134Tとの間、セレクタ層134とメモリ層136との間、及びメモリ層136と第2の導電ライン120との間のうち、少なくとも1つに電極層(図示せず)が介在されうる。電極層は、その下及び上に各々位置する層を物理的に互いに分離しながら電気的に互いに連結させる機能をすることができ、このために、様々な導電物質を含むことができる。例えば、電極層は、白金(Pt)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)などの金属、チタニウム窒化物(TiN)、タンタル窒化物(TaN)などの金属窒化物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。または、電極層は、炭素を含むこともできる。
【0022】
図2は、図1のメモリセルのセレクタ層の動作及び比較例のメモリセルのセレクタ層の動作を説明するための電流-電圧グラフである。比較例のメモリセルは、図1のメモリセルから抵抗層が省略された構造を有することができる。ここで、図1のメモリセルのセレクタ層の動作は、実線を参考して説明され、比較例のメモリセルのセレクタ層の動作は、点線を参考して説明される。
【0023】
図2に示すように、比較例のセレクタ層に印加される電圧が次第に増加して閾値電圧Vth’に到達すれば、セレクタ層がターンオンされながら急な電流流れが発生しうる。セレクタ層が一応ターンオンされた後には、セレクタ層は、閾値電圧Vth’より所定程度低い電圧下でもオン状態を維持できる。しかし、セレクタ層に印加される電圧がオン状態を維持できる限界未満に低くなると、セレクタ層が再度ターンオフされ得る。セレクタ層がターンオフされる時点に流れる電流、すなわち、セレクタ層がオン状態を維持するのに必要な最小限の電流がホールド電流Ihold’と表記された。
【0024】
また、本実施形態のセレクタ層に印加される電圧が次第に増加して閾値電圧Vthに到達すれば、セレクタ層がターンオンされながら急な電流流れが発生しうる。セレクタ層が一応ターンオンされた後には、セレクタ層は、閾値電圧Vthより所定程度低い電圧下でもオン状態を維持できる。しかし、セレクタ層に印加される電圧がオン状態を維持できる限界未満に低くなると、セレクタ層が再度ターンオフされ得る。セレクタ層がターンオフされる時点に流れる電流、すなわち、セレクタ層がオン状態を維持するのに必要な最小限の電流がホールド電流Iholdと表記された。
【0025】
このとき、本実施形態のセレクタ層のオン状態でセレクタ層を介して流れる電流(以下、オン電流)は、比較例のセレクタ層のオン電流より全体的に下向きになることができる。その理由は、前述したように、本実施形態のようにセレクタ層が抵抗層と連結された場合には、セレクタ層を流れる電流が減少するためである。したがって、本実施形態のセレクタ層のホールド電流Iholdは、比較例のセレクタ層のホールド電流Ihold’より下向きになることができる(矢印参照)。
【0026】
このように下向きされたホールド電流Ihold下では、書き込み電流Iwriteまたは読み出し電流Ireadがホールド電流Iholdより大きくなることが容易である。それにより、本実施形態のセレクタ層のオシレーション現象及びこれに起因した動作フェイルが防止及び/又は減少され得る。
【0027】
一方、上記の実施形態において抵抗層132の厚みが増加するほど、セレクタ層134を流れる電流を減少させることができ、それにより、セレクタ層134のホールド電流を減少させることができる。しかし、抵抗層132の物質の特性や縦横比の限界などのため、抵抗層132の厚みを所望のとおりに増加させ難いことがあり、それにより、セレクタ層134のホールド電流を所望のとおりに下げ難いことがある。すなわち、セレクタ層134のホールド電流制御が難しいことがある。以下において説明する実施形態では、抵抗層132の厚みを増加させなくとも、セレクタ層134のホールド電流を十分に下げることができる半導体装置及びその製造方法を説明する。
【0028】
図3は、本発明の他の一実施形態に係る半導体装置に備えられるメモリセルを説明するための断面図である。前述した実施形態と実質的に同じ部分については、その詳細な説明を省略する。
【0029】
図3に示すように、本実施形態のメモリセル230は、抵抗層232、セレクタ層234、及びメモリ層236の積層構造を含むことができる。
【0030】
ここで、抵抗層232は、下部232A、及び下部232A上に位置する上部232Bを備えることができる。下部232Aは、実質的に一定の幅W1及び/又は平面面積を有することができる。ここで、幅W1が実質的に一定であるとは、幅W1が完全に固定された値を有することを意味してはおらず、高さによって若干異なって可変されて固定された値を有したと見なすことができる程度を意味しうる。例えば、幅W1が5%以下の範囲で可変される場合、幅W1が一定であるといえる。すなわち、幅W1の最大値が幅の最小値の1.05倍以下であることができる。上部232Bは、下から上へ行くほど次第に増加する幅及び/又は平面面積を有することができる。上部232Bは、下部232Aの上面と接触する下面が最小幅を有し、上面が最大幅を有することができる。上部232Bの下面の幅は、下部232Aの幅W1と実質的に同一であることができる。上部232Bの上面の幅W2、すなわち、抵抗層232の最上面の幅W2は、幅W1より大きいことができる。
【0031】
本実施形態による場合、抵抗層232の厚みT1に制約があり、所望のとおりに増加させることができなくとも、抵抗層232の下部232Aの幅W1を減少させることにより、厚みT1増加と相応する効果の取得が可能でありうる。抵抗層232の下部232Aの幅W1が減少するほど、セレクタ層234を流れる電流を減少させることができ、それにより、セレクタ層234のホールド電流を減少させることができるためである。言い換えれば、第1の厚みT1とともに幅W1を制御すれば、セレクタ層234のホールド電流を所望のとおりに下げることができ、セレクタ層234のホールド電流制御が容易でありうる。さらに、抵抗層232の最上面の幅W2を幅W1より大きくすることにより、抵抗層232と、その上に位置する層、例えば、セレクタ層234の間の接触を確保することができる。
【0032】
このような抵抗層232は、後述するが、セレクタ層234及びメモリ層236と別にパターニングされることができる。それにより、抵抗層232の側壁は、セレクタ層234の側壁及びメモリ層236の側壁と整列されないことができる。
本実施形態においてセレクタ層234及びメモリ層236は、共にパターニングされ、それにより、互いに整列された側壁を有することができる。しかし、本開示がこれに限定されるものではなく、セレクタ層234及びメモリ層236も別にパターニングされ、それにより、互いに整列されない側壁を有することができる。
【0033】
また、本実施形態においてセレクタ層234の下面は、幅W2と実質的に同じ幅を有することができる。しかし、本開示がこれに限定されるものではなく、セレクタ層232の下面の幅は、様々に変形されることができる。
【0034】
図4A図9Bは、本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図である。図4A図8A、及び図9Aは、平面図を示し、図4B図8B、及び図9Bは、各々図4A図8A、及び図9AのA-A’線に沿った断面図を示す。図5図7は、図4A及び図4Bの工程と図8A及び図8Bの工程との間の工程ステップを説明するための断面図である。図4A図8A、及び図9Aの平面図は、図4B図8B、及び図9BのB-B’線の高さで示されたものであって、説明の都合上、B-B’線の高さで見えない構成要素を点線で共に図示した。
【0035】
まず、製造方法を説明する。
【0036】
図4A及び図4Bに示すように、基板300が提供され得る。基板300は、シリコンなどの半導体物質を含むことができ、基板300内には、求められる所定下部構造物(図示せず)が形成された状態であることができる。例えば、基板300は、後述する第1の導電ライン(図4A及び図4Bの310参照)及び/又は第2の導電ライン(図9A及び図9Bの350参照)を駆動するための駆動回路を備えることができる。
【0037】
次いで、基板300上に第1の導電ライン310及び第1の層間絶縁層305を形成できる。複数の第1の導電ライン310は、A-A’線と交差する第1の方向に延びながらA-A’線と平行な第2の方向で互いに離間して配列されることができる。本実施形態では、2個の第1の導電ライン310のみ図示したが、第1の導電ライン310の個数は、様々に変形されることができる。第1の層間絶縁層305は、基板300上で第1の導電ライン310の間の空間を埋め込むように形成されることができる。このような第1の導電ライン310及び第1の層間絶縁層305は、基板300上に第1の層間絶縁層305形成のための絶縁物質、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、またはこれらの組み合わせを蒸着し、この絶縁物質を選択的にエッチングして第1の導電ライン310が埋め込まれ得る空間を提供する第1の層間絶縁層305を形成し、この空間を十分に埋め込む厚みの導電物質を蒸着した後、第1の層間絶縁層305の上面が露出するまで平坦化工程、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)を行う方式で形成されることができる。または、第1の導電ライン310及び第1の層間絶縁層305は、基板300上に第1の導電ライン310形成のための導電物質を蒸着し、この導電物質を選択的にエッチングして第1の導電ライン310を形成し、第1の導電ライン310を覆う絶縁物質を蒸着した後、第1の導電ライン310の上面が露出するまで平坦化工程を行う方式で形成されることができる。
【0038】
次いで、第1の導電ライン310及び第1の層間絶縁層305上に互いに異なるエッチング率を有する犠牲パターン322、及び第1~第3の絶縁パターン324、326、328を形成できる。
【0039】
犠牲パターン322は、柱状を有することができる。本実施形態において犠牲パターン322は、平面上、円状を有するが、本開示がこれに限定されるものではなく、犠牲パターン322の平面形状は、四角形などに様々に変形されることができる。犠牲パターン322は、後述する抵抗層の下部(図8Bの332A参照)に代替される部分であって、抵抗層の下部と同じ幅を有するように形成されることができる。犠牲パターン322の幅を図面符号W11と表記した。犠牲パターン322の幅W11は、実質的に一定であることができる。複数の犠牲パターン322は、第2の方向で複数の第1の導電ライン310と各々重なりながら、第1の方向に互いに離間して配列されることができる。その結果、複数の犠牲パターン322は、第1の方向及び第2の方向に沿ってマトリックス形態で配列されることができる。犠牲パターン322は、犠牲物質を蒸着し、選択的にエッチングする方式で形成されることができる。
【0040】
第1の絶縁パターン324は、犠牲パターン322上に犠牲パターン322の表面、すなわち、犠牲パターン322の上面及び側面に沿ってコンフォーマルに(conformally)形成されることができる。それにより、第1の絶縁パターン324は、犠牲パターン322の表面を囲む柱状を有することができる。第2の絶縁パターン326は、第1の絶縁パターン324上に絶縁パターン324の表面に沿ってコンフォーマルに形成されることができる。それにより、第2の絶縁パターン326は、第1の絶縁パターン324の表面を囲む柱状を有することができる。第3の絶縁パターン328は、第2の絶縁パターン326の表面に沿ってコンフォーマルに形成されるものの、柱状の第2の絶縁パターン326の間の空間を十分に埋め込む厚みで形成されることができる。第1~第3の絶縁パターン324、326、328の各々は、ALD(Atomic Layer Deposition)などの蒸着方式で形成されることができる。一方、本実施形態では、3個の絶縁パターン324、326、328を説明しているが、本開示がこれに限定されるものではなく、絶縁パターンの個数は、2個以上、様々に変形されることができる。すなわち、犠牲パターン322から順次第1~第Nの絶縁パターン(ここで、Nは、2以上の自然数)が形成され得る。第1~第Nの絶縁パターンのうち、第1~第N-1の絶縁パターンの各々は、犠牲パターン322及び第1~第N-2の絶縁パターンの表面を囲む柱状を有することができる。第Nの絶縁パターンは、第N-1の絶縁パターンの表面を囲みながら第N-1の絶縁パターンの間の空間を十分に埋め込む厚みで形成されることができる。
【0041】
ここで、犠牲パターン322と第1~第3の絶縁パターン324、326、328との間の関係をより具体的に説明すれば、次のとおりである。犠牲パターン322は、後述する全面エッチング(blanket etch)の際(図6参照)、最も高いエッチング率を有する物質を含むことができる。第1~第3の絶縁パターン324、326、328は、この全面エッチングの際、犠牲パターン322より低いエッチング率を有する物質を含むものの、犠牲パターン322から遠くなるほど減少するエッチング率を有することができる。言い換えれば、全面エッチングの際、第1の絶縁パターン324のエッチング率は、犠牲パターン322のエッチング率より小さいことができ、第2の絶縁パターン326のエッチング率は、第1の絶縁パターン324のエッチング率より小さいことができ、第3の絶縁パターン328のエッチング率は、第2の絶縁パターン326のエッチング率より小さいことができる。第1~第Nの絶縁パターンが存在すると仮定するとき、第1~第Nの絶縁パターンのうち、第tの絶縁パターン(ここで、tは、2以上、N以下の自然数)のエッチング率は、第t-1の絶縁パターンのエッチング率より小さいことができる。さらに、犠牲パターン322は、後述する犠牲パターン322の除去工程の際(図7参照)、容易に除去されることができる物質を含むことができる。第1~第3の絶縁パターン324、326、328は、この犠牲パターン322の除去工程の際、実質的に維持される物質、すなわち、損失されないか、有意味でない程度に損失される物質を含むことができる。言い換えれば、犠牲パターン322の除去工程の際、犠牲パターン322のみ選択的に除去され、第1~第3の絶縁パターン324、326、328は、維持されることができる。
【0042】
上記の関係を満たしさえすれば、犠牲パターン322、及び第1~第3の絶縁パターン324、326、328を形成する物質は、いかなるものでも構わないことができる。例えば、犠牲パターン322は、カーボン、金属、合金、導電性の金属化合物などのような導電物質を含むか、または、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物、またはこれらの組み合わせなどのような絶縁物質を含むことができる。また、第1~第3の絶縁パターン324、326、328は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物、またはこれらの組み合わせなどのような絶縁物質を含むことができる。ここで、絶縁物質は、カーボン、ボロンなどの不純物をさらに含むこともできる。エッチング率は、物質の種類によっても異なることができるが、同じ物質でも構成元素間の組成比によって異なるようになることもできる。例えば、犠牲パターン322、第1の絶縁パターン324、第2の絶縁パターン326、及び第3の絶縁パターン328が互いに異なる物質で形成されることができる。または、例えば、犠牲パターン322、第1の絶縁パターン324、第2の絶縁パターン326、及び第3の絶縁パターン328のうち、少なくとも2つが同じ構成元素を含む物質、すなわち、互いに同じ物質で形成されるものの、構成元素間の組成比が互いに異なることもできる。または、エッチング率は、不純物の種類や含量によっても異なるようになることができる。
【0043】
一例として、犠牲パターン322は、シリコン窒化物を含み、第1~第3の絶縁パターン324、326、328は、シリコン酸化物を含むことができる。ここで、第1~第3の絶縁パターン324、326、328の各々のシリコン含量は、互いに異なることができる。例えば、第1の絶縁パターン324のシリコン含量が最も高く、第3の絶縁パターン328のシリコン含量が最も低く、第2の絶縁パターン326のシリコン含量が中間でありうる。一般に、シリコン酸化物でシリコン含量が高いほど、エッチング率が増加するためである。このような犠牲パターン322及び第1~第3の絶縁パターン324、326、328が全面エッチング過程でフッ素を含有するエッチングガス、例えば、三フッ化窒素(NF)及び酸素(O)の混合ガス、フッ化水素(HF)及び酸素(O)の混合ガス、及び三フッ化塩素(ClF)ガスのうち、少なくともいずれか1つに露出すれば、犠牲パターン322が最も速くエッチングされ、第1~第3の絶縁パターン324、326、328はより遅くエッチングされることができる。さらに、第1の絶縁パターン324より第2の絶縁パターン326が遅くエッチングされ、第2の絶縁パターン326より第3の絶縁パターン328が遅くエッチングされることができる。このようなフッ素含有ガスでシリコン窒化物がシリコン酸化物より速くエッチングされるためである。さらに、犠牲パターン322の除去工程の際、犠牲パターン322及び第1~第3の絶縁パターン324、326、328がリン酸を含むケミカルに露出すれば、犠牲パターン322のみ選択的に除去されることができる。リン酸を含むケミカルは、シリコン窒化物を選択的に除去できるためである。
【0044】
図5に示すように、犠牲パターン322の上面が露出するまで平坦化工程、例えば、CMPを行うことができる。これは、後述する全面エッチング工程の際(図6参照)、犠牲パターン322及び第1~第3の絶縁パターン324、326、328の全部をエッチングガスに露出させるためであることができる。
【0045】
本平坦化工程後の犠牲パターン、第1の絶縁パターン、第2の絶縁パターン、及び第3の絶縁パターンを各々図面符号322A、324A、326A、328Aと表記した。本平坦化工程後、第1の絶縁パターン324Aは、犠牲パターン322Aの側面を囲みながら上面を露出させる柱状を有することができ、第2の絶縁パターン326Aは、第1の絶縁パターン324Aの側面を囲みながら上面を露出させる柱状を有することができ、第3の絶縁パターン328Aは、第2の絶縁パターン326Aの間の空間を埋め込み、第2の絶縁パターン326Aの側面を覆いながら上面を露出させることができる。
【0046】
図6に示すように、図5の工程結果物に対して全面エッチングを行うことができる。全面エッチング後の犠牲パターン、第1の絶縁パターン、第2の絶縁パターン、及び第3の絶縁パターンを各々図面符号322B、324B、326B、328Bと表記した。
【0047】
前述したように、全面エッチングの際、第1の絶縁パターン324のエッチング率は、犠牲パターン322のエッチング率より小さいことができ、第2の絶縁パターン326のエッチング率は、第1の絶縁パターン324のエッチング率より小さいことができ、第3の絶縁パターン328のエッチング率は、第2の絶縁パターン326のエッチング率より小さいことができる。すなわち、犠牲パターン322のエッチング率が最大であり、第1~第3の絶縁パターン324、326、328のエッチング率は、犠牲パターン322から遠くなるほど減少することができる。したがって、全面エッチング後、犠牲パターン322Bは、最も低い高さを有することになり、第1の絶縁パターン324Bは、犠牲パターン322Bより大きい高さを有することになり、第2の絶縁パターン326Bは、第1の絶縁パターン324Bより大きい高さを有することになり、第3の絶縁パターン328Bは、第2の絶縁パターン326Bより大きい高さを有するようになる。結果として、図示されたように、犠牲パターン322B及び第1~第3の絶縁パターン324B、326B、328Bの上面が斜面をなす構造が取得され得る。犠牲パターン322B及び第1~第3の絶縁パターン324B、326B、328Bの上面により画定される空間を図面符号S1と表記した。この空間S1は、上から下へ行くほど幅が狭くなる形状、例えば、上下がひっくり返った円錐状またはこれと類似した形状を有することができる。
【0048】
一例として、犠牲パターン322がシリコン窒化物を含み、第1~第3の絶縁パターン324、326、328が互いに異なるシリコン含量を有するシリコン酸化物を含む場合、全面エッチングは、フッ素を含むエッチングガスを用いて行われることができる。
【0049】
図7に示すように、空間S1により露出した犠牲パターン322Bを除去して穴H1を形成できる。
【0050】
前述したように、犠牲パターン322Bの除去は、第1~第3の絶縁パターン324B、326B、328Bを実質的に維持させながら、犠牲パターン322Bのみ選択的に除去可能なガスまたはケミカルを用いて行われることができる。一例として、犠牲パターン322がシリコン窒化物を含み、第1~第3の絶縁パターン324、326、328が互いに異なるシリコン含量を有するシリコン酸化物を含む場合、犠牲パターン322Bの除去は、リン酸を含むケミカルを用いて行われることができる。
【0051】
図8A及び図8Bに示すように、図7の工程結果物上に穴H1及び空間S1を十分に埋め込むことにより、犠牲パターン322B及び第1~第3の絶縁パターン324B、326B、328Bの上面を覆う抵抗物質を形成した後、平坦化工程、例えば、CMPを行って穴H1を埋め込みながら、穴H1上に延びた部分を有する抵抗層332を形成できる。
【0052】
穴H1及び空間S1の埋め込み工程の際、空間S1が上から下へ行くほど幅が狭くなる形状を有するので、優れた埋め込み特性が確保され得る。
【0053】
また、本平坦化工程は、抵抗層332の厚みT11が所望の値になるまで行われることができる。ここで、抵抗層332の厚みT11は、穴H1の高さ及び/又は深さより大きいことができる。本平坦化工程の際、抵抗層332は、隣接した他の抵抗層332と分離されることができる。抵抗層332のうち、穴H1内に埋め込まれる部分を下部332Aといい、穴H1及び/又は下部332A上に位置する部分を上部332Bということとする。下部332Aは、前述した犠牲パターン322の幅W11と同じ幅を有することができる。上部332Bは、下から上へ行くほど次第に増加する幅を有することができる。上部332Bは、下部332Aの上面と接触する下面が最小幅を有し、上面が最大幅を有することができる。上部332Bの下面は、幅W11と実質的に同じ幅を有することができ、上部332Bの上面、すなわち、抵抗層332の最上面は、幅W11より大きい幅W12を有することができる。本実施形態では、抵抗層332の最上面の幅W12が幅W11と第1の絶縁パターン324Cの幅の2倍の合計と対応する場合を図示しているが、本開示がこれに限定されるものではない。抵抗層332が隣接した他の抵抗層332と分離されることを前提として、抵抗層332の最上面の幅W12は、様々に調整されることができる。
【0054】
本平坦化工程後の第1の絶縁パターン、第2の絶縁パターン、第3の絶縁パターンを各々図面符号324C、326C、328Cと表記した。
【0055】
図9A及び図9Bに示すように、抵抗層332上にセレクタ層334及びメモリ層336を形成することにより、抵抗層332、セレクタ層334、及びメモリ層336を備えるメモリセル330を形成できる。セレクタ層334及びメモリ層336は、抵抗層332、及び第1~第3の絶縁パターン324C、326C、328C上にセレクタ層334形成のためのセレクタ物質及びメモリ層336形成のためのメモリ物質を蒸着し、このセレクタ物質及びメモリ物質を選択的にエッチングする方式で形成されることができる。セレクタ物質及びメモリ物質のエッチングは、1つのマスクを用いて行われることができる。それにより、セレクタ層334とメモリ層336とは、各々柱状を有しながら互いに整列される側壁を有することができる。本実施形態では、セレクタ層334の下面の幅が抵抗層332の最上面の幅と同じ場合を図示しているが、本開示がこれに限定されるものではない。セレクタ層334が抵抗層332と重なって互いに接触することを前提として、セレクタ層334の下面の幅は、様々に変形されることができる。
【0056】
次いで、セレクタ層334及びメモリ層336の積層構造物間の空間を埋め込む第2の層間絶縁層340を形成できる。第2の層間絶縁層340は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、またはこれらの組み合わせなど、様々な絶縁物質を含むことができる。
【0057】
次いで、メモリ層336及び第2の層間絶縁層340上に第2の導電ライン350を形成できる。複数の第2の導電ライン350は、第2の方向に延びて第2の方向に配列されるメモリセル330と重なりながら、第1の方向で互いに離間して配列されることができる。本実施形態では、2個の第2の導電ライン350のみ図示したが、第2の導電ライン350の個数は、様々に変形されることができる。これにより、メモリセル330が第1の導電ライン310と第2の導電ライン350との間でこれらの交差領域に配置されることができる。
【0058】
以上で説明した製造方法によって図9A及び図9Bのような半導体装置が取得され得る。
【0059】
図9A及び図9Bにさらに示すように、本実施形態の半導体装置は、基板300、基板300上に配置され、第1の方向に互いに平行に延びる複数の第1の導電ライン310、複数の第1の導電ライン310上に配置され、第2の方向に互いに平行に延びる複数の第2の導電ライン350、複数の第1の導電ライン310と複数の第2の導電ライン350との間でこれらの交差領域と各々重なる複数のメモリセル330を備えることができる。
【0060】
複数のメモリセル330の各々は、抵抗層332、抵抗層332上に配置されるセレクタ層334、及びセレクタ層334上に配置されるメモリ層336を備えることができる。抵抗層332、セレクタ層334、及びメモリ層336の各々は、柱状を有し、互いに重なることができる。ただし、セレクタ層334とメモリ層336との側壁は、互いに整列されることができるが、抵抗層332の側壁は、これらのセレクタ層334及びメモリ層336の側壁と整列されないことができる。
【0061】
抵抗層332は、下部332A、及び下部332A上に配置される上部332Bを備えることができる。下部332Aは、実質的に一定の幅を有し、上部332Bは、下部から延びながら下から上へ行くほど次第に増加する幅を有することができる。その結果、抵抗層332の最上面の幅は、下部332Aの幅より大きいことができる。
【0062】
第1の絶縁パターン324Cが抵抗層332の側面を囲むように形成され、第2の絶縁パターン326Cが第1の絶縁パターン324Cの側面を囲むように形成され、第3の絶縁パターン328Cが第2の絶縁パターン326Cの間の空間を埋め込むように形成されることができる。
【0063】
第2の層間絶縁層340は、セレクタ層334及びメモリ層336の積層構造物間の空間を埋め込むように形成されることができる。
【0064】
本半導体装置の構成要素等については、製造方法を説明する過程でより具体的に説明したので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0065】
本実施形態の半導体装置及びその製造方法によれば、図3において説明されたことと同様に、下部幅が小さく、上部幅が大きい形状の抵抗層を形成することによってセレクタ層のホールド電流制御が容易であるという効果が取得され得る。さらに、抵抗層形成の際、互いに異なるエッチング率を有する犠牲パターン及び複数の絶縁パターンを利用することにより、別のマスク工程を追加しなくとも、所望の形状の抵抗層を取得できるという長所がある。
【0066】
図10は、本発明の他の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための断面図である。図4A図9Bの実施形態との差異点を中心に説明する。
【0067】
図10に示すように、基板400上に第1の導電ライン410及び第1の層間絶縁層405を形成し、第1の導電ライン410及び第1の層間絶縁層405上に抵抗層432、及び第1~第3の絶縁パターン424C、426C、428Cを形成できる。
【0068】
次いで、抵抗層432上にセレクタ層434を形成できる。セレクタ層434の形成は、セレクタ物質の蒸着及び選択的エッチングで行われることができる。セレクタ層434の間の空間は、第2の層間絶縁層440で埋め込まれることができる。
【0069】
次いで、セレクタ層434上にメモリ層436を形成できる。メモリ層436の形成は、メモリ物質の蒸着及び選択的エッチングで行われることができる。メモリ層436の間の空間は、第3の層間絶縁層450で埋め込まれることができる。これにより、抵抗層432、セレクタ層434、及びメモリ層436が積層されたメモリセル430が形成され得る。
【0070】
メモリ層436及び第3の層間絶縁層450上には、第2の導電ライン470が形成され得る。
【0071】
本実施形態では、セレクタ層434とメモリ層436とが互いに異なるマスクを用いてエッチングされることができる。その結果、セレクタ層434とメモリ層436との側壁も互いに整列されないことができる。
【0072】
セレクタ層434とメモリ層436との積層構造の縦横比が大きい場合、本実施形態のように、セレクタ層434及びメモリ層436を別にパターニングすることにより、工程難易度を減少させることができる。
【0073】
本発明の技術思想は、上記望ましい実施形態等によって具体的に記録されたが、上記した実施形態は、その説明のためのものであり、その制限のためのものでないことに注意しなければならない。また、本発明の技術分野における通常の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲内で様々な実施形態が可能であることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0074】
230 メモリセル
232 抵抗層
234 セレクタ層
236 メモリ層
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10