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特開2024-149376感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルター
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  • 特開-感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149376
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20241010BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20241010BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G03F7/004 504
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G03F7/075 501
G02B5/20 101
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002627
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045617
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヨ,ジェンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,イジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンホ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ミョンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジホン
(72)【発明者】
【氏名】キム,サビナ
(72)【発明者】
【氏名】キム,イクジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,グァンソプ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ベク ソン
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE22
2H148BF16
2H148BG11
2H148BH02
2H225AC23
2H225AC36
2H225AD06
2H225AM22P
2H225AM32P
2H225AN11P
2H225AN22P
2H225AN36P
2H225AN39P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA02P
2H225BA05P
2H225BA09P
2H225BA16P
2H225BA32P
2H225CA17
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
【課題】カラーフィルターのコーティング特性を改善する。
【解決手段】感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルターに関する。一実施形態によると、(A)添加剤、(B)バインダー樹脂、(C)光重合性化合物、(D)光重合開始剤、(E)着色剤;および(F)溶媒を含む感光性樹脂組成物であり、添加剤は、レベリング剤を含み、レベリング剤は、前記感光性樹脂組成物の総量中50ppm~1,000ppmで含まれる、感光性樹脂組成物が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)添加剤、
(B)着色剤、
(C)バインダー樹脂、
(D)光重合性化合物、
(E)光重合開始剤、および
(F)溶媒を含む感光性樹脂組成物であり、
前記添加剤は、レベリング剤を含み、
前記レベリング剤は、前記感光性樹脂組成物の総量中50ppm~1,000ppmで含まれる、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記レベリング剤は、前記感光性樹脂組成物の総量中100ppm~400ppmで含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記レベリング剤は、フッ素系界面活性剤である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記フッ素系界面活性剤は、非イオン性フッ素系界面活性剤である、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記添加剤は、シラン系カップリング剤、酸化防止剤、分散媒、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記添加剤は、前記分散媒を除いた固形分の総量中で、前記レベリング剤は1重量%~50重量%、前記シラン系カップリング剤30重量%~80重量%、および前記酸化防止剤10重量%~30重量%を含む、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、エポキシ系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記バインダー樹脂の重量平均分子量は、5,000g/mol~15,000g/molである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記レベリング剤および前記着色剤の重量比は、0.01:100~1:100である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記着色剤は、青色顔料、紫色顔料、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記溶媒は、沸点が互いに異なる2種以上の溶媒を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、n-ブチルアルコール(n-BA)、およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)中の2種以上の溶媒を含む、請求項11に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、
前記(A)添加剤1,600ppm~3,000ppm、
前記(B)着色剤30重量%~70重量%、
前記(C)バインダー樹脂1重量%~20重量%、
前記(D)光重合性化合物1重量%~20重量%、
前記(E)光重合開始剤0.1重量%~5重量%、および
前記(F)溶媒を残部量を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記感光性樹脂組成物は、25℃での粘度が1.5cP~3.8cPである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜。
【請求項16】
請求項15に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルター。
【請求項17】
請求項16に記載のカラーフィルターを含むCMOSイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサは、光子を電子に変換してディスプレイで表示したり、保存装置に保存できるようにする半導体に該当する。
【0003】
イメージセンサは、製作工程と応用方式により、固体撮像素子(charge coupled device、CCD)イメージセンサと相補型金属酸化膜半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)イメージセンサとに分類される。
【0004】
相補型金属酸化膜半導体イメージセンサ(CMOS Image Sensor、CIS)とは、カメラが撮影したイメージをデジタル信号に変換する非メモリ半導体であって、カラーフィルター、フォトダイオード、増幅器などピクセル(pixel)の集合体である。
【0005】
カラーフィルターは、赤色(red)、緑色(green)、および青色(blue)の加法混色の原色のフィルターセグメント(filter segment)を含む。カラーフィルターは、着色剤を含有する感光性樹脂組成物を基板または下部感光性樹脂膜上にコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後に現像し、ポストベークを通じて熱硬化させることによって感光性樹脂膜を形成し、このような一連の過程を繰り返すことによって製造することができる。
【0006】
コーティングは、スピンコーティングを利用することが一般的であるが、廉価の費用で均一な薄膜を形成することができるという長所がある反面、コーティング特性を低下させる現象-例えば、基板または下部感光性樹脂膜の周縁に感光性樹脂組成物が固まるエッジビード(Edge Bead)現象、均一でない基板または下部感光性樹脂膜の表面上で感光性樹脂組成物が拡散して欠陥が発生する現象など-も発生する。
【0007】
一般的に、前述のような現象は、基板または下部感光性樹脂膜の前処理-シンナー(Thinner)でエッジ(Edge)部を除去するEBR(Edge bead Removal)工程、洗浄(cleaning)工程など-通じて防止する。ただし、基板または下部感光性樹脂膜の前処理により工程費用が増加するという問題があり、工程費用と関係なしに前処理してもコーティング特性を改善するには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態は、ウエハーの前処理でなく、感光性樹脂組成物中のレベリング剤の含有量を制御することによって、カラーフィルターのコーティング特性を改善することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、(A)添加剤、(B)着色剤、(C)バインダー樹脂、(D)光重合性化合物、(E)光重合開始剤、および(F)溶媒を含む感光性樹脂組成物であって、前記添加剤は、レベリング剤を含み、前記レベリング剤は、前記感光性樹脂組成物の総量中50ppm~1,000ppmで含まれる、感光性樹脂組成物が提供される。
【0010】
前記レベリング剤は、前記感光性樹脂組成物の総量中100ppm~400ppmで含まれてもよい。
【0011】
前記レベリング剤は、フッ素系界面活性剤であってもよい。
【0012】
前記フッ素系界面活性剤は、非イオン性フッ素系界面活性剤であってもよい。
【0013】
前記添加剤は、シラン系カップリング剤、酸化防止剤、分散媒、またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0014】
前記添加剤は、前記分散媒を除いた固形分の総量中で、前記レベリング剤は1重量%~50重量%、前記シラン系カップリング剤30重量%~80重量%、および前記酸化防止剤10重量%~30重量%を含んでもよい。
【0015】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、エポキシ系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0016】
前記バインダー樹脂の重量平均分子量は、5,000g/mol~15,000g/molであってもよい。
【0017】
前記レベリング剤および前記着色剤の重量比は、0.01:100~1:100であってもよい。
【0018】
前記着色剤は、青色顔料、紫色顔料、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0019】
前記溶媒は、沸点が互いに異なる2種以上の溶媒を含んでもよい。
【0020】
前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、n-ブチルアルコール(n-BA)、およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)中の2種以上の溶媒を含んでもよい。
【0021】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して、前記(A)添加剤1,600ppm~3,000ppm;前記(B)着色剤30重量%~70重量%;前記(C)バインダー樹脂1重量%~20重量%;前記(D)光重合性化合物1重量%~20重量%;前記(E)光重合開始剤0.1重量%~5重量%;および前記(F)溶媒を残部量で含んでもよい。
【0022】
前記感光性樹脂組成物は、25℃での粘度が1.5cP~3.8cPであってもよい。
【0023】
他の一実施形態によれば、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜が提供される。
【0024】
また他の一実施形態によれば、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターが提供される。
【0025】
また他の一実施形態によれば、前記カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサが提供される。
【0026】
その他の本発明の態様の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0027】
一実施形態は、カラーフィルターのコーティング特性-コーティングの均一度-を向上させる効果がある。具体的に、一実施形態は、ウエハーの前処理でなく、感光性樹脂組成物中のレベリング剤の含有量を制御することによって、コーティング染みを改善しながらコーティングの均一度を高めることができる。
【0028】
したがって、一実施形態の感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルターは、表面平滑度に優れており、イメージセンサの画像品質を一定の水準で実現することに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一評価例による露光パターンを概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0031】
(感光性樹脂組成物)
一実施形態によれば、(A)添加剤、(B)着色剤、(C)バインダー樹脂、(D)光重合性化合物、(E)光重合開始剤、および(F)溶媒を含む感光性樹脂組成物が提供される。
【0032】
(A)添加剤
添加剤は、レベリング剤を含む。ここで、「レベリング剤」とは、溶媒の蒸発速度を調整したり、着色剤の凝集を妨害することによって感光性樹脂組成物の流動性を改良する添加剤に該当する。
【0033】
先に指摘したとおり、感光性樹脂組成物を基板または下部感光性樹脂膜上にコーティングする過程で、コーティング特性を低下させる多様な現象が起こる。
【0034】
一実施形態では、ウエハーの前処理でなく、感光性樹脂組成物中のレベリング剤の含有量を制御することによって、カラーフィルターのコーティング特性を改善する。
【0035】
一般的にレベリング剤を感光性樹脂組成物に添加すると、基板または下部感光性樹脂膜上に均一にコーティングすることに役立つと知られている。しかし、感光性樹脂組成物中のレベリング剤の含有量によりコーティングの均一性が変わり得る。
【0036】
一実施形態では、レベリング剤を使用するが、その含有量を最適化することによって、感光性樹脂組成物を基板または下部感光性樹脂膜上に均一にコーティングさせることができる。そこで、一実施形態の感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルターは、表面平滑度に優れており、イメージセンサの画像品質を一定の水準で実現することに寄与することができる。
【0037】
一実施形態では、レベリング剤は、固形分状態の物質のみを定義する。レベリング剤の含有量が増加することによって、感光性樹脂組成物の表面張力が増加して、カラーフィルター試片のIn-wafer厚さばらつき(ウェーハ面内での厚さのばらつき)は減少する反面、接触角および染みは増加する。ここで、カラーフィルター試片の接触角および染みとIn-wafer厚さばらつきとは、トレードオフ(trade-off)に関係である。
【0038】
具体的には、感光性樹脂組成物の総量中のレベリング剤の含有量が50ppm未満である時には、カラーフィルター試片のIn-wafer厚さばらつきが顕著に高い。これとは異なり、感光性樹脂組成物の総量中のレベリング剤の含有量が1,000ppmを超えれば、カラーフィルター試片の接触角および染みが顕著に増加して収率を低下させる。
【0039】
より具体的には、レベリング剤は、感光性樹脂組成物の総量中の50ppm~1,000ppm、具体的に50ppm~800ppm、例えば100ppm~400ppmで含まれる。
【0040】
前述の範囲内では、レベリング剤の含有量が増加することによってIn-wafer厚さばらつきが減り、無水性が増加して、全体的に均一な厚さのパターンを得ることができる。
【0041】
より詳細な説明は後述するが、一実施形態では、赤色感光性組成物として、緑色、青色、赤色の順に積層されるパターンを形成する時、緑色および青色の下部感光性樹脂膜が形成された状態で表面平滑度に優れた赤色感光性樹脂膜を形成することができる。
【0042】
そこで、一実施形態の感光性樹脂組成物を利用して製造された(赤色)感光性樹脂膜およびカラーフィルターは、表面平滑度に優れており、イメージセンサの画像品質を一定の水準で実現することに寄与することができる。
【0043】
レベリング剤は、フッ素系界面活性剤であってもよい。
【0044】
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有している疎水性直鎖分子の末端に水溶性反応基を置換反応させて製造されたものであってもよく、通常の界面活性剤よりも表面張力抵抗力に優れたものであってもよい。
【0045】
一方、一般的に界面活性剤は、親水性部分がイオン性を帯びるか否かによりイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤に区分することができるが、上述のフッ素系界面活性剤は、親水性部分がイオン性を帯びない非イオン性フッ素系界面活性剤であってもよい。
【0046】
例えば、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、DIC社のF-556、F-554、F-557、F-559、F-560、F-563、RS-72-K、R-40、R-41、R-43などを使用することができる。
【0047】
添加剤は、レベリング剤以外にも、シラン系カップリング剤、酸化防止剤、分散媒、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0048】
添加剤全体において、分散媒を除いた固形分の総量中で、レベリング剤は、1重量%~50重量%、3重量%~40重量%、または5重量%~25重量%で含まれてもよく、カップリング剤は、30重量%~80重量%、40重量%~75重量%、または55重量%~70重量%で含まれてもよく、酸化防止剤は、10重量%~30重量%、15重量%~28重量%、または20重量%~25重量%で含まれてもよい。
【0049】
添加剤全体内の各成分の含有量が前述した範囲を満たす場合、レベリング剤が感光性樹脂組成物内に均一に分散され、さらには感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルターの表面平滑度を高めることができる。
【0050】
カップリング剤は、基板または下部感光性樹脂膜との密着性などを改善するために反応性置換基を有することができる。
【0051】
カップリング剤は、シラン系カップリング剤であってもよく、シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0052】
酸化防止剤は、CISなどの素子駆動時に発生されるアクリレートラジカルを除去することができるため、素子の常温駆動寿命低下を防止することができる。特にアクリレートラジカルは熱により発生するが、酸化防止剤は、熱硬化前には酸化防止剤としての役割を果たさず、熱硬化後のみ酸化防止剤としての役割を果たすため、素子の他の特性に大きな影響を与えずに、素子の寿命特性低下を防止することができる。
【0053】
具体的に、酸化防止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t-ブチルカテコールなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0054】
一実施形態では、レベリング剤だけでなく着色剤も、固形分状態の物質だけを定義し、レベリング剤および着色剤の重量比は、0.01:100~1:100、具体的には0.1:100~0.8:100、または0.3:100~0.6:100であってもよい。
【0055】
前述の範囲で、着色剤に対するレベリング剤の含有量が適切に制御されて、感光性樹脂組成物を基板または下部感光性樹脂膜上に均一にコーティングさせることができる。ただし、該範囲で着色剤に対するレベリング剤の含有量が大きくなるほど均一度が高くなり、低くなれば均一度も低くなる。
【0056】
このようなトレードオフ(trade-off)関係を考慮して、レベリング剤および着色剤の重量比を前述の範囲内で選択することができる。
【0057】
添加剤は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0058】
添加剤全体は、感光性樹脂組成物総量に対して、1,000ppm~3,000ppm、具体的に1,500ppm~2,500ppm、例えば1,600ppm~1,900ppmで含まれてもよい。この範囲で、感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルターは、表面平滑度に優れており、イメージセンサの画像品質を一定の水準で実現することに寄与することができる。
【0059】
(B)着色剤
一実施形態の感光性樹脂組成物は、着色剤として顔料を含むことができる。顔料としては、赤色顔料、紫色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、黒色顔料などを使用することができる。
【0060】
赤色顔料は、カラーインデックス(ColorIndex)内でC.I.赤色顔料254、C.I.赤色顔料255、C.I.赤色顔料264、C.I.赤色顔料270、C.I.赤色顔料272、C.I.赤色顔料177、C.I.赤色顔料89などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0061】
紫色顔料は、カラーインデックス(ColorIndex)内でC.I.バイオレット顔料23(V.23)、C.I.バイオレット顔料29、ジオキサジンバイオレット、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、インダントレンブリリアントバイオレットなどを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0062】
緑色顔料は、カラーインデックス(ColorIndex)内でC.I.緑色顔料7、C.I.緑色顔料36、C.I.緑色顔料58、C.I.緑色顔料59などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0063】
青色顔料は、カラーインデックス(ColorIndex)内でC.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料15、C.I.青色顔料15:1、C.I.青色顔料15:2、C.I.青色顔料15:3、C.I.青色顔料15:4、C.I.青色顔料15:5、C.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料16などのような銅フラロシアニン顔料を使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0064】
黄色顔料は、カラーインデックス(ColorIndex)内でC.I.黄色顔料185、C.I.黄色顔料139などのようなイソインドリン系顔料、C.I.黄色顔料138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.黄色顔料150などのようなニッケルコンプレックス顔料などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0065】
黒色顔料は、カラーインデックス(ColorIndex)内でアニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、カーボンブラックなどを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0066】
具体的には、着色剤は、青色顔料、紫色顔料、またはこれらの組み合わせを含んで、青色を実現することができる。より具体的に、顔料は、青色顔料および紫色顔料が95:5~60:40、90:10~70:30、または85:15~75:25の重量比で含まれている混合物であってもよい。
【0067】
顔料は、分散液形態で近赤外線吸収性樹脂組成物に含まれてもよい。このような顔料分散液は、顔料と溶媒、分散剤、分散樹脂などからなることができる。
【0068】
溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができ、これらのうち、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを使用することができる。
【0069】
分散剤は、顔料が分散液内に均一に分散されるように助け、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の分散剤の全てを使用することができる。具体的にはポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0070】
分散樹脂は、カルボキシ基を含むアクリル系樹脂を使用することができ、これは顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性も改善させることができる。
【0071】
着色剤は、顔料を含みながら、染料をさらに含むことができ、この時、一実施形態の樹脂組成物は、ハイブリッド型組成物であってもよい。また、染料は特に限定しないが、金属錯体染料を含むことができる。
【0072】
金属錯体染料は、200nm~650nm波長領域で最大吸光度を有する化合物を使用することができ、色素の組み合わせに色座標を合わせるために前述した範囲の吸光度を有する化合物であれば、有機溶媒に溶ける全てのカラーの金属錯体染料を使用することができる。
【0073】
具体的には、金属錯体染料は、530nm~680nm波長領域で最大吸光度を有する緑色染料、200nm~400nm波長領域で最大吸光度を有する黄色染料、300nm~500nm波長領域で最大吸光度を有するオレンジ染料、500nm~650nm波長領域で最大吸光度を有する赤色染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0074】
金属錯体染料は、直接染料、酸性染料、塩基性染料、酸性媒染染料、硫化染料、還元染料、アゾイック染料、分散染料、反応性染料、酸化染料、油溶染料、アゾ染料、アントラキノン染料、インディゴイド染料、カルボニウムイオン染料、フラロシアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、シアニン染料、ポリメチン染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0075】
金属錯体染料は、Mg、Ni、Cu、Co、Zn、Cr、Pt、PdおよびFeからなる群より選択された少なくとも一つの金属イオンを含むことができる。
【0076】
金属錯体染料は、C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35などのC.I.ソルベント染料;C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109などのC.I.アシッド染料;C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82などのC.I.ダイレクト染料、C.I.ベーシックグリーン1などのC.I.ベーシック染料;C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53などのC.I.モーダント染料、C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;ソルベントイエロー19、ソルベントイエロー21、ソルベントイエロー25、ソルベントイエロー79、ソルベントイエロー82、ソルベントイエロー88、ソルベントオレンジ45、ソルベントオレンジ54、ソルベントオレンジ62、ソルベントオレンジ99、ソルベントレッド8、ソルベントレッド32、ソルベントレッド109、ソルベントレッド112、ソルベントレッド119、ソルベントレッド124、ソルベントレッド160、ソルベントレッド132およびソルベントレッド218からなる群より選択された少なくとも一つと上述した金属イオンとの複合体を使用することができる。
【0077】
金属錯体を含む染料は、一実施形態による感光性樹脂組成物に使用される溶媒、つまり、後述する溶媒に対する溶解度が5以上であってもよく、具体的には5~10であってもよい。溶解度は、溶媒100gに溶ける染料の量(g)で得ることができる。金属錯体を含む染料の溶解度が前述の範囲内である場合、一実施形態による感光性樹脂組成物をなす他の成分との相溶性および着色力を確保することができ、染料の析出が防止され得る。
【0078】
溶媒は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)、エチルラクテート(ethyl lactate、EL)、エチレングリコールエチルアセテート(ethylene glycol ethyl acetate、EGA)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、3-メトキシ-1-ブタノール(3-methoxy-1-butanol)またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0079】
前述した特定の範囲の溶解度を有することによって、所望の色座標で高輝度および高明暗比を発現するLCD、LEDなどのカラーフィルターに有用に使用することができる。
【0080】
金属錯体を含む染料は、感光性樹脂組成物総量に対して0.01重量%~1重量%、例えば0.01重量%~0.5重量%で含まれてもよい。金属錯体を含む染料を前述の範囲で使用する場合、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0081】
染料および顔料を混合して使用する場合、0.1:99.9~99.9:0.1の重量比、具体的には1:9~9:1の重量比で混合して使用することができる。前述の重量比の範囲で混合する場合、耐薬品性、最大吸収波長を適切な範囲に制御し、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0082】
着色剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、30重量%~70重量%、具体的に35重量%~65重量%、例えば40重量%~50重量%で含まれてもよい。着色剤が前述の範囲内に含まれる場合、着色効果および現像性に優れている。
【0083】
(C)バインダー樹脂
感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂を含むことができ、バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂を含むことができる。
【0084】
アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であり、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0085】
第1エチレン性不飽和単量体は、一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0086】
第1エチレン性不飽和単量体は、アクリル系バインダー樹脂総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0087】
第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物、などが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0088】
アクリル系樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されず、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0089】
バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂を含むことができる。バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことによって、耐熱性を向上させることができる。エポキシ系バインダー樹脂は、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0090】
さらに、エポキシ系バインダー樹脂を含むバインダー樹脂は、後述する顔料などの着色剤の分散安定性を確保すると同時に、現像過程で所望の解像度のピクセルが形成されるように助ける。
【0091】
エポキシ系バインダー樹脂は、バインダー樹脂総量に対して1重量%~10重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれてもよい。エポキシ系バインダー樹脂が前述の範囲で含まれる場合、残膜率および耐薬品性が大幅に改善され得る。
【0092】
エポキシ系バインダー樹脂のエポキシ当量(epoxy equivalent weight)は、150g/eq~200g/eqであってもよい。前述の範囲内のエポキシ当量を有するエポキシ系バインダー樹脂がバインダー樹脂内に含まれる場合、形成されたパターンの硬化度向上およびパターンが形成された構造内での着色剤固着に有利な効果がある。
【0093】
バインダー樹脂は、固形分形態で後述する溶媒に溶解されて、感光性樹脂組成物を構成することができる。この場合、固形分形態のバインダー樹脂は、溶媒に溶解されたバインダー樹脂溶液総量に対して約10重量%~50重量%、例えば20重量%~40重量%であってもよい。
【0094】
バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~20重量%、具体的に2重量%~15重量%、例えば3重量%~10重量%で含まれてもよい。バインダー樹脂が前述の範囲内で含まれる場合、カラーフィルターの製造時に現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0095】
(D)光重合性化合物
光重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを追加的に使用することができる。
【0096】
光重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こすことによって耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0097】
光重合性化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0098】
光重合性化合物の市販される製品を例に挙げれば次のとおりである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-101(登録商標)、M-111(登録商標)、M-114(登録商標)など、日本化薬株式会社製のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など、大阪有機化学工業株式会社製のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-210(登録商標)、M-240(登録商標)、M-6200(登録商標)など、日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA(登録商標)、HX-220(登録商標)、R-604(登録商標)など、大阪有機化学工業株式会社製のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-309(登録商標)、M-400(登録商標)、M-405(登録商標)、M-450(登録商標)、M-710(登録商標)、M-8030(登録商標)、M-8060(登録商標)など、日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA(登録商標)、DPCA-20(登録商標)、DPCA-30(登録商標)、DPCA-60(登録商標)、DPCA-120(登録商標)など、大阪有機化学工業株式会社製のV-295(登録商標)、V-300(登録商標)、V-360(登録商標)、V-GPT(登録商標)、V-3PA(登録商標)、V-400(登録商標)などが挙げられる。上述した製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0099】
光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して、またはエチレンオキシド変性物を使用することもできる。
【0100】
光重合性化合物は、感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~20重量%、具体的に1重量%~4重量%、例えば1重量%~3重量%で含まれてもよい。光重合性化合物が前述の範囲内で含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れている。
【0101】
(E)光重合開始剤
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般的に使用される開始剤であり、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0102】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0103】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0104】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0105】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0106】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0107】
オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0108】
光重合開始剤は、上述した化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、非イミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0109】
光重合開始剤は、光を吸収して励起状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用することもできる。
【0110】
光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0111】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~5重量%、具体的には、0.3重量%~4重量%、例えば0.5重量%~3重量%で含まれてもよい。光重合開始剤が前述の範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れており、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0112】
(F)溶媒
溶媒は、添加剤、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および着色剤との相溶性を有するが反応しない物質を使用することができる。
【0113】
溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、エチルアセテート、ブチルアセテートなどのアルキルアセテート類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類、メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸などの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類、ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0114】
これらのうち、好ましくは相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、シクロヘキサノンなどのケトン類を使用することができる。
【0115】
具体的には、溶媒は、沸点が互いに異なる2種以上の溶媒を含むことができる。液体物質の「沸点」とは、当該液体物質の蒸気圧が外部圧力と同一になって沸き始める温度であり、外部の圧力により変化する。本実施形態では、1atm下での沸点を扱う。
【0116】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、沸点が互いに異なる2種の溶媒を含むことによって、感光性樹脂組成物を基板または下部感光性樹脂膜上にコーティングする過程で溶媒の揮発速度および揮発位置を調整するように制御することができ、溶媒の揮発がコーティング下部よりは表面で主に行われるようにして、詰め込み特性、表面粗さ(roughness)などを改善することができる。
【0117】
例えば、溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、n-ブチルアルコール(n-BA)およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)中の2種以上の溶媒を含むことができる。もちろん、3種の溶媒を全て含んでもよく、この場合、シナジー効果が最も高い。
【0118】
溶媒は、感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば30重量%~70重量%、例えば40重量%~60重量%で含まれてもよい。溶媒が前述の範囲内で含まれる場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、平坦性に優れた塗膜を得ることができる。
【0119】
感光性樹脂組成物は、CMOSイメージセンサのカラーフィルター用感光性樹脂組成物、具体的にCMOSイメージセンサの青色カラーフィルター用感光性樹脂組成物に適用することができる。
【0120】
(感光性樹脂膜、カラーフィルターおよびCMOSイメージセンサ)
他の一実施形態によれば、上述の感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜が提供される。
【0121】
また他の一実施形態によれば、上述の感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターが提供される。
【0122】
また他の一実施形態によれば、カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサが提供される。
【0123】
カラーフィルターの製造方法は次のとおりである。
【0124】
ガラス基板の上にスピン塗布、ローラ塗布、スプレー塗布などの適当な方法を使用し、例えば、適切な厚さに前述した感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂組成物層を形成する。
【0125】
次に、感光性樹脂組成物層が形成された基板にカラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射する。照射に使用される光源としては、UV、電子線またはX線を使用することができ、例えば、190nm~450nm、具体的には200nm~400nm領域のUVを照射することができる。光照射工程でフォトレジストマスクをさらに使用して実施することもできる。このように光照射工程を実施した後、光源が照射された感光性樹脂組成物層を現像液で処理する。この時、感光性樹脂組成物層で非露光部分は溶解されることによってカラーフィルターに必要なパターンが形成される。このような工程を必要な色の数により繰り返すことによって所望のパターンを有するカラーフィルターを得ることができる。また該工程で現像により得られた画像パターンを再び加熱したり、活性線照射などにより硬化すれば耐クラック性、耐溶剤性などを向上させることができる。
【0126】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0127】
(感光性樹脂組成物の製造)
実施例1~6および比較例1~4
表1および2に示す組成で混合して感光性樹脂組成物を製造した。具体的に、溶媒に光重合開始剤を溶かし、常温で30分間攪拌した後、ここにバインダー樹脂を添加して常温で60分間攪拌した。次に、得られた反応物に光重合性化合物および着色剤(顔料分散液)を入れて常温で30分間攪拌した。追加的に、添加剤を入れて常温で30分間攪拌した。次に、生成物を2回濾過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
上記表1および2で使用された各成分は次のとおりである。
(A)添加剤
(A-1)フッ素系界面活性剤(製品名:F-556、製造会社:DIC)の希釈液(分散媒:PGMEA)
(A-2)シラン系カップリング剤(製品名:KBM-503、製造会社:Shinetsu)
(A-3)酸化防止剤(製品名:MHQ、製造会社:JHChem)の希釈液(分散媒:PGMEA)
(B)着色剤
(B-1)Pigment B 15:6およびPigment V23が77:23重量比で混合された混合顔料分散液(分散溶媒:PGMEA、製造会社:Sanyo)
(C)バインダー樹脂
(C-1)親水性アクリル系バインダー樹脂(GPC法により測定された重量平均分子量:5,000~15,000g/mol、酸価:88KOHmg/g)の分散液(溶媒:PGMEA)
(D)光重合性化合物
(D-1)ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA、粘度:5,500~8,000cps@25℃、製造会社:日本化薬)
(E)光重合開始剤
(E-1)オキシム系開始剤(OXE-01系、製品名:SPI-03、製造会社:三養社)
(F)溶媒
(F-1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146.4℃@1atm、製造会社:Sigma-Aldrich)
(F-2)n-ブチルアルコール(n-BA、沸点:117.7℃@1atm、製造会社:Sigma-Aldrich)
(F-3)ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG、沸点:176℃@1atm、製造会社:TOHO)
【0131】
(評価例1:感光性樹脂組成物の粘度)
25℃下で、実施例1~6および比較例1~4による感光性樹脂組成物を4gずつ塗布し、レオメーター(Rheometer)を使用して粘度を評価した。その評価結果は表3に記載した。
【0132】
【表3】
【0133】
(評価例2:カラーフィルターの表面特性)
下記のような方法でカラーフィルター試片の表面特性を評価し、その結果を表3および4に記載した。
【0134】
(1)In-waferばらつきの測定および接触角の評価
HMDS表面処理されている8inch Si wafer上段に、実施例1~6および比較例1~4による感光性樹脂組成物(青色photoresist、以下、「青色PRという」を4500Åの厚さにスピンコーティングする。以降、100℃に設定されたホットプレート(Hot plate)の上で3分間プリベーク(Sof-bake)を行う。以降、ST-5000(光学厚さ測定器)装備を利用してパターンの中央部の横20ポイントの厚さを測定する。
【0135】
図1は、一評価例による露光パターンを模式的に示したものである。厚さおよびIn-waferばらつきの測定後、I-line stepperを利用してDose 750ms Focus-0.2の条件でReticleを除去後、図1に示すような四角形のパターン(50mm×50mm)露光を行う。露光後、パターン部を除いたPRを除去するためにTMAH溶解液を利用して現像(Develop)を行う。露光後、200℃に設定されたホットプレート(Hot plate)の上で5分間ベーク(Hard-bake)を行って接触角測定用パターンの形成を完了する。
【0136】
接触角測定用パターンを接触角測定器の上に固定後、四角形でパターニングされた青色PR上のDI waferの接触角を測定する。
【0137】
(2)ステイン(Stain)(コーティング染み)程度の測定
HMDS表面処理されている8inch Si wafer上段に、実施例3による感光性樹脂組成物を5500Åの厚さにスピンコーティングする。以降、100℃に設定されたホットプレート(Hot plate)の上で3分間プリベーク(Soft-bake;SB)を行う。以降、I-line stepperを利用してDose 800ms Focus-0.3の条件で下部基板隔壁生成パターン露光を行う。露光後、パターン部を除いたPRを除去するためにTMAH溶解液を利用して現像(Develop)を行った。露光後、200℃に設定されたホットプレート(Hot plate)の上で5分間ベーク(Hard-bake;HB)を行ってステイン(Stain)評価に使用する下部基板の作製を完了する。
【0138】
以降、下部基板を利用して実施例1~6の各感光性樹脂組成物を4500Åの厚さにスピンコーティングする。以降、100℃に設定されたホットプレート(Hot plate)の上で3分間プリベーク(Soft-bake;SB)を行う。完成された基板は、光学顕微鏡およびTencor装備を利用してステイン(Stain)染みを測定する。
【0139】
【表4】
【0140】
【表5】
【0141】
上記表3~5で、レベリング剤の含有量により感光性樹脂組成物およびこれを含むカラーフィルター試片の特性が変わることが分かる。
【0142】
上記表3によれば、レベリング剤の含有量が増加することによって感光性樹脂組成物の粘度が小幅増加する。
【0143】
一方、上記表4および5によれば、レベリング剤の含有量が増加することによって、感光性樹脂組成物の表面張力が増加して、カラーフィルター試片のIn-wafer厚さばらつきは減少する反面、接触角および染みは増加する。ここで、カラーフィルター試片の接触角および染みとIn-wafer厚さばらつきとは、トレードオフ(trade-off)の関係である。
【0144】
具体的に、感光性樹脂組成物の総量中のレベリング剤の含有量が50ppm未満である時には、カラーフィルター試片のIn-wafer厚さばらつきが顕著に高い。これとは異なり、感光性樹脂組成物の総量中のレベリング剤の含有量が1,000ppmを超えれば、カラーフィルター試片の接触角および染みが顕著に増加して収率を低下させる。
【0145】
しかし、感光性樹脂組成物の総量中のレベリング剤の含有量が50ppm~1,000ppmである範囲内では、レベリング剤の含有量が増加することによってIn-wafer厚さばらつきが減り、無水性が増加して、全体的に均一な厚さのパターンを得ることができる。
【0146】
以上で、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
図1