(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024149474
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】広帯域バラン構造体及び試験測定システム
(51)【国際特許分類】
H01P 5/10 20060101AFI20241010BHJP
G01R 13/20 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01P5/10 C
G01R13/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061922
(22)【出願日】2024-04-08
(31)【優先権主張番号】63/458,069
(32)【優先日】2023-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/613,687
(32)【優先日】2024-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジー・ニーリム
(57)【要約】
【課題】バランを小型する。
【解決手段】広帯域バラン構造体は、シングル・エンド・ポート54と、平衡ポート(+/-入力)と、シングル・エンド・ポート54と平衡ポートの第1側(+入力)との間に接続される第1伝送線路40と、平衡ポートの第2側(-入力)と終端抵抗器56との間に接続された第2伝送線路48とを有し、第1伝送線路40の第1結合部分44が、第1伝送線路40の第2結合部分46と第2伝送線路48の結合部分50の両方と同時に電磁気的に結合できるように配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域バラン構造体であって、
シングル・エンド・ポートと、
平衡ポートと、
上記シングル・エンド・ポートと上記平衡ポートの第1側との間に接続された第1伝送線路と、
上記平衡ポートの第2側に接続された第2伝送線路と
を具え、
上記第1伝送線路の第1結合部分が、上記第1伝送線路の第2結合部分と上記第2伝送線路の結合部分の両方に同時に結合できるように、上記第1伝送線路を配置する広帯域バラン構造体。
【請求項2】
上記第2伝送線路が、終端部品に接続される請求項1の広帯域バラン構造体。
【請求項3】
上記第1伝送線路の上記第2結合部分が、上記第1伝送線路の第3結合部分と同時に結合可能に配置される請求項1の広帯域バラン構造体。
【請求項4】
上記結合は、上記第1及び第2伝送線路の平行な結合部分のブロードサイド結合、又は、上記広帯域バラン構造体の異なる層上の少なくとも部分的に重なり合った上記第1及び第2伝送線路の上記結合部分の平行平板結合を含む請求項1の広帯域バラン構造体。
【請求項5】
上記第1及び第2伝送線路の結合部分は、上記第1及び第2伝送線路の非結合の部分よりも幅が狭い請求項1の広帯域バラン構造体。
【請求項6】
広帯域バラン構造体であって、
結合線路構造を用いた180度ハイブリッドと、
結合線路構造を用いた位相シフト回路と
を具え、
上記結合線路構造は、第1線路の2つの部分に第2線路の少なくとも1つの部分を同時に結合するように配置する広帯域バラン構造体。
【請求項7】
上記第1線路の2つの部分に同時に結合される上記第2線路の少なくとも1つの部分は、上記180度ハイブリッド及び上記位相シフト回路の一部である請求項6の広帯域バラン構造体。
【請求項8】
上記第1線路が、上記第1線路の2つの部分の一方と結合される第3の部分を有するように配置される請求項6の広帯域バラン構造体。
【請求項9】
試験測定システムであって、
試験測定装置と、
少なくとも1つのバラン構造体と
を具え、
該バラン構造体は、
シングル・エンド・ポートと、
第1側と第2側を有する平衡ポートと、
上記シングル・エンド・ポートと上記平衡ポートの上記第1側との間に接続される第1伝送線路と、
上記平衡ポートの第2側に接続された第2伝送線路とを有し、
上記第1伝送線路の第1結合部分が、上記第1伝送線路の第2結合部分と上記第2伝送線路の結合部分との両方に同時に結合するように上記第1伝送線路を配置する試験測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バラン構造体に関し、より詳細には、試験測定システムで使用するためのコンパクトなバラン構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
2013年12月17日発行の米国特許第8,611,436号(以下「'436特許」という)は、時間領域のアプリケーション用に最適化された広帯域バラン構造体について記載しており、その内容は、参照により本開示に本開示に援用される。本願でいう「バラン(Balun:平衡不平衡変換器)」という用語は、回路内の平衡(差動)回路の部分と不平衡(シングル・エンド)回路の部分とを相互に接続する回路部分、素子又は機能等を意味している。本願でいう「ブロードバンド(広帯域)」という用語は、DC(又は超低周波)からバランの定格帯域幅までをカバーしていることを意味する。概して、定格帯域幅は、後述する180°ハイブリッドの伝送線路の遅延部分と結合部分が1/4波長になる周波数である。1/4波長の周波数を超える高い周波数では、結合の効果が低下し、バランの恩恵が少なくなる。バランは、相互接続部の損失を打ち消すように設計された振幅と位相の応答を有しているため、きれいなシステム・ステップ応答形状が得られる。このような広帯域バランは、例えば、オシロスコープ(「スコープ」)などの試験測定装置へのシングル・エンドのケーブルを駆動する差動プローブ・アンプの出力や差動入力アンプを駆動するシングル・エンドのオシロスコープ入力に有用である。
【0003】
図1は、バラン構造体の例を示しており、太い線(10など)は、意図的な遅延線路を表し、間隔の狭い太い線(12及び14など)は、結合されたペアの遅延線路を表し、細い線(16など)は、相互接続部を表す。この構造では、不要な結合を避けるために、意図的な遅延線路を物理的に分離するために細い線路が必要である。細い線路は、追加の遅延を誘発するが、この追加の遅延は、バランの動作に固有ではない場合に限定される。
【0004】
図2は、同じ基本的な構造のものを示し、線路18及び20で示す単純化されたシンプルな位相シフト回路を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8611436号明細書
【特許文献2】特許第6200635号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「テクトロニクス社製オシロスコープ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2024年4月7日検索]、インターネット<https://www.tek.com/ja/products/oscilloscopes>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バランは、上述した試験測定用途に限らず、広く利用されている。昨今では、電子機器の一層の小型化のニーズが大きいことから、バランについても、性能を維持しながら、小型化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示技術の実施形態によれば、
図1及び
図2に示される構造、並びに'436特許に開示される他の構造のいずれも、三重結合された遅延線路の使用により、より小型化することができる。概して、実施形態としては、広帯域バラン構造体があり、これは、シングル・エンド・ポートと、第1及び第2側を有する平衡ポートと、シングル・エンド・ポートと平衡ポートの第1側との間に接続される第1伝送線路と、平衡ポートの第2側に接続される第2伝送線路とを有する。第1伝送線路は、第1伝送線路の第1部分を、第1伝送線路の第2部分と、第2伝送線路の部分との両方に同時に電磁気的に結合するように配置される。
【0009】
これら実施形態は、概略的に隣接する2つの結合ペア部分を有しても良く、これらは共通の遅延部分を共有するように組み合わされ、一方の側で結合されて1つの結合ペアを実現し、他方の側で結合されて他方の結合ペアを実装しても良い。本願でいう「概略的に隣接している」とは、太い線路を介在させることなく、概略として細い線路で直接接続されることを意味する。これら線路の部分(電磁気的に結合される部分又はセクション)は、基板のある層の同じ表面上のような平面上で隣接して配置するか、又は、基板の隣接する層で隣接して配置することによって電磁気的に結合されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、単純化された位相シフト回路を有するバラン構造体の例を示す。
【
図3】
図3は、1つ以上のバラン構造体を使用して被試験デバイス(DUT)に接続された試験測定装置の実施形態を示す。
【
図5】
図5は、バラン構造体の別の実施形態を示す。
【
図6】
図6は、プリント回路基板(PCB)上のバラン構造体の実装を示す。
【
図7】
図7は、PCBの異なる層におけるバラン構造体の実施形態を示す。
【
図8】
図8は、バラン構造体の実施形態の出力の結果として生じる時間領域ステップ応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
試験測定システムは、
図3に示されるように、試験測定システムの一部として、プローブ32や試験測定装置30に実装された1つ以上のバラン構造体を採用しても良い。例えば、バラン33の平衡ポート(balanced port)は、試験測定システムのプローブ32内の差動増幅器の出力に接続されても良く、シングル・エンド・ポートは、プローブと試験測定装置との間のケーブル34に接続される。別の例では、もう1つ別のバラン36のシングル・エンド・ポートを、試験測定装置の入力コネクタを介してケーブル34に接続し、バラン36の平衡ポートを、試験測定装置30の入力部の差動入力増幅回路38に接続しても良い。システムは、上記の例のいずれかにおいて、1つのバランを使用しても良いし、又は、図のように、複数のバランを一緒に使用しても良い。
【0012】
図4は、本開示のアプローチを適用して得られる、
図2のバランの構造を構成する単純化された構造を示す。
図4において、第1伝送線路40は、平衡ポートの一方の側(第1側)とシングル・エンド・ポート54との間に接続されるとともに、第1遅延部42と、互いに電磁気的に結合される部分44及び46からなる第1結合ペアとを有する。第2伝送線路48は、一端部が平衡ポートの他方側(第2側)に接続されるとともに、他端部が終端部品としての抵抗器56に接続されて終端され、更に、部分44と電磁気的に結合されて第2結合ペアを構成する部分50を有する。部分44は、部分46及び50の両方と同時に電磁気的に結合し、「3重結合(coupled-triple)」を形成する共有遅延部分を構成する。このバランは、180°ハイブリッドとシンプルな位相シフト回路の組み合わせを形成する。
【0013】
図4の実施形態は、レイアウト間隔を少なくして、より小型化(コンパクト化)し、損失が低減される。損失の低減は、意図的な遅延セグメントを1つ減らし、相互接続部の長さを短くすることから生じる。同じアプローチを
図1のオリジナルの構造に適用すると、
図5に図示する構造体が得られる。
【0014】
図5において、第1伝送線路40は、平衡ポートの一方の側(第1側)とシングル・エンド・ポート54との間に接続されるとともに、遅延部42と2つの結合ペアを有する。第1結合ペアが、電磁気的に結合される部分44及び46から構成され、また、電磁気的に結合される部分46及び52が、第3の結合ペアを構成する。第2伝送線路48は、一端部が平衡ポートの他方側(第2側)に接続されるとともに、部分44と電磁気的に結合される部分50を有し、部分44及び50が第2結合ペアを構成する。また、第2伝送線路48は、他端部に抵抗器56の形で終端部品を有し、これによって終端される。この実施形態は、更に多くのスペースを節約し、元のレイアウトから2つの意図的な遅延部分(遅延セグメント)を除去している。
【0015】
本開示の他の実施形態によれば、本開示のアプローチを、上述したこれらの形式の3重結合遅延線路の使用によって、'436特許に開示されているバランなど、他のバラン構造体に適用することにより、バラン構造体を物理的にもっとコンパクトにできる。
【0016】
バラン構造体の典型的なストリップラインの実装では、偶数モード(Ze)及び奇数モード(Zo)インピーダンスの幾何的な平均をシステムのシングル・エンド・インピーダンス(Z0)とマッチング(整合)させるために、結合ペアの遅延部分(遅延セグメント)は、結合されていない遅延部分よりも狭くなる。これは、結合される側の結合線の幅を狭くすることで、そのペアの他方側の線の近接性を補正するものと考えることができる。従って、本開示技術の実施形態のコンパクトな構造では、両側で結合される線は、この幅の減少を両側で適用される必要があり、よって、片側のみで結合された線に比較して幅が狭くなり、次いで、結合されていない線と比較すれば更に幅が狭くなる。この単純化した結合エッジごとに等しい幅で狭くするアプローチは、このコンパクトな設計アプローチの3重結合線路の幅の推定で非常にうまく機能するが、結果を微調整し、ステップ応答の反射係数と前兆部分(precursor)を最小限に抑えるように所望のインピーダンスを実現するには、2次元又は3次元電磁界ソルバーを利用すると良い。
【0017】
本開示技術の実施形態によるこれらのバラン構造体は、PCB、パッケージ基板及びASICを含む様々な技術の形で実装されても良い。
図6は、実装の例であり、第1伝送線路40は、平衡ポートの第1側と、シングル・エンド・ポート54との間にあり、また、結合ペアより前に、遅延部分として機能する破線の間に示す部分42がある。第1伝送線路40の部分44は、第2伝送線路48の部分50に隣接して配置されて、第1結合ペア44及び46と、第2結合ペア44及び50との間で共有される共有遅延部分を形成する。第2伝送線路48は、一端部が平衡ポートの第2側に接続され、他端部が終端部品56で終端される。
【0018】
別の実施形態では、上述したように、結合された伝送線路又はそれらの部分が、PCBなどの基板の異なる層上に存在しても良い。
図7に示されるように、破線で示される1つ以上の伝送線路の部分は、他の伝送線路部分が配置される層の上又は下の基板の層に配置されても良い。
図6の実施形態は、平行な線路間の広く広がるサイド・エッジに沿った結合(「ブロードサイド結合(broadside coupling)」と呼ぶ)によって結合を実現している。一方、基板上の異なる層を使用する実施形態では、結合は、各層上のパターンの少なくとも部分的な重なりから生じるが、本願ではこれを平行平板結合(parallel-plate coupling)と呼ぶ。
図7に示す実施形態では、部分(セグメント)44は、部分50及び46とは異なる層上に存在することになる。部分42、44及び46は同じ第1伝送線路40の一部であるため、60及び62などのビアが、部分42を部分44へと接続し、部分44を部分46へと接続している。あり得る別の実施形態では、第2伝送線路48の部分50は、部分46と部分50との間の結合を最小化するために、部分44及び部分46とは異なる第3の層上に存在しても良い。なお、
図7では、異なる層間における部分(44、46、50など)を見やすくするために終端部品を示していないが、他の実施例と同様に、終端部品が存在しても良い。終端部品は、バランの固有の部分ではない。
【0019】
図6に示すコンパクトで単純化されたバラン構造体は、PCB(印刷回路基板)上に構築されたものであり、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)で測定し、IFT(逆フーリエ変換)によって、等価な時間領域ステップ応答に変換した結果を
図8に示す。縦軸は、TDT(Time Domain Transmission)である。
【0020】
この結果は、設計上の周波数700MHz(このとき、遅延部分が1/4波長を表す)で、利得が約2dB向上していることを示す。その位相応答は、ステップ後にステップ応答がオーバーシュートされるようなもので、相互接続部の損失に共通するステップ後のセトリング誤差(別名「ドリブル・アップ(dribble-up)」)を補償するのに理想的である。このステップに到達するところにある微妙な前兆部分(precursor:
図8中、2ナノ秒付近)は、構造中の三重結合部分のインピーダンス整合が不完全であることによるものである。再度、2次元又は3次元の電磁界ソルバーを使用して、線の幅と間隔を微調整することで、この前兆部分を最小化できる。
【0021】
本実施形態のバランは、はるかにコンパクトな構造を有しており、より小さなスペースでの実装が容易になる。この新しいアプローチのコンパクトさにより、1GHz(λ/4≒1.5インチ≒3.8センチ・メータ)のPCBから60GHz(λ/4≒630マイクロ・メータ)のASICまで、幅広いアプリケーションでバランを実装することができる。
【0022】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0023】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0024】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0025】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
実施例
【0026】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0027】
実施例1は、広帯域バラン構造体であって、シングル・エンド・ポートと、平衡ポート(balanced port)と、上記シングル・エンド・ポートと上記平衡ポートの第1側との間に接続された第1伝送線路と、上記平衡ポートの第2側に接続された第2伝送線路とを具え、上記第1伝送線路の第1結合部分が、上記第1伝送線路の第2結合部分と上記第2伝送線路の結合部分の両方に同時に電磁気的に結合できるように上記第1伝送線路を配置する。
【0028】
実施例2は、実施例1の広帯域バラン構造体であって、上記第2伝送線路が、終端部品に接続される。例えば、上記第2伝送線路は、上記平衡ポートの上記第2側と、終端部品との間に接続される。
【0029】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの広帯域バラン構造体であって、上記第1伝送線路の上記第2結合部分が、上記第1伝送線路の第3結合部分と同時に電磁気的に結合可能に配置される。
【0030】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの広帯域バラン構造体であって、上記第1及び第2伝送線路は、ストリップ線路又はマイクロストリップのいずれかから構成される。
【0031】
実施例5は、実施例4の広帯域バラン構造体であって、上記結合は、上記第1及び第2伝送線路の平行な結合部分のブロードサイド結合を含む。
【0032】
実施例6は、実施例4の広帯域バラン構造体であって、上記結合は、上記広帯域バラン構造体の異なる層上の少なくとも部分的に重なり合った上記第1及び第2伝送線路の上記結合部分の平行平板結合を含む。
【0033】
実施例7は、実施例4の広帯域バラン構造体であって、上記第1及び第2伝送線路の結合部分は、上記第1及び第2伝送線路の非結合の部分よりも幅が狭い。
【0034】
実施例8は、実施例4の広帯域バラン構造体であって、他の伝送線路の2つの結合部分に同時に結合するように配置された上記第1及び第2伝送線路の上記結合部分は、他の伝送線路の1つの結合部分のみに結合された結合部分よりも幅が狭い。
【0035】
実施例9は、広帯域バラン構造体であって、結合線路構造を用いた180度ハイブリッドと、結合線路構造を用いた位相シフト回路とを具え、上記結合線路構造は、第1線路の2つの部分に第2線路の少なくとも1つの部分を同時に電磁気的に結合するように配置される。
【0036】
実施例10は、実施例9の広帯域バラン構造体であって、上記第1線路の2つの部分に同時に結合される上記第2線路の少なくとも1つの部分は、上記180度ハイブリッド及び上記位相シフト回路の一部である。
【0037】
実施例11は、実施例9又は10の広帯域バラン構造体であって、上記第1線路が、上記第1線路の2つの部分の一方と電磁気的に結合される第3の部分を有するように配置される。
【0038】
実施例12は、実施例9から11のいずれかの広帯域バラン構造体であって、上記結合線路構造は、ストリップライン又はマイクロストリップのいずれかから構成される。
【0039】
実施例13は、実施例12の広帯域バラン構造体であって、上記結合線路構造は、平行な線路のブロードサイド結合によって電磁気的に結合された平行な線路を含む。
【0040】
実施例14は、実施例12の広帯域バラン構造体であって、上記結合線路構造は、上記広帯域バラン構造体の基板の異なる層上の線路を含み、上記異なる層上の線路が、少なくとも部分的に重なり合って平行平板結合によって電磁気的に結合される。
【0041】
実施例15は、実施例12の広帯域バラン構造体であって、他の線路の部分に結合された線路の部分は、線路の非結合の部分よりも幅が狭くなる。
【0042】
実施例16は、実施例12の広帯域バラン構造体であって、他の線路の2つの部分に同時に結合された線路の部分は、他の線路の1つの部分のみに結合された部分よりも幅が狭くなる。
【0043】
実施例17は、試験測定システムであって、
試験測定装置と、
少なくとも1つのバラン構造体と
を具え、
該バラン構造体は、
シングル・エンド・ポートと、
第1側と第2側を有する平衡ポートと、
上記シングル・エンド・ポートと上記平衡ポートの上記第1側との間に接続される第1伝送線路と、
上記平衡ポートの第2側に接続された第2伝送線路とを有し、
上記第1伝送線路の第1結合部分が、上記第1伝送線路の第2結合部分と上記第2伝送線路の結合部分との両方に同時に電磁気的に結合するように上記第1伝送線路を配置する。
【0044】
実施例18は、実施例17の試験測定システムであって、ケーブルによって上記試験測定装置に接続されたプローブを更に具え、上記少なくとも1つのバラン構造体が、上記プローブに接続された上記平衡ポートと、上記ケーブルに接続された上記シングル・エンド・ポートとを有するバラン構造体を含む。
【0045】
実施例19は、実施例17又は18のいずれかの試験測定システムであって、上記試験測定装置が入力増幅回路を有し、上記少なくとも1つのバラン構造体が、上記試験測定装置の入力コネクタに接続された上記シングル・エンド・ポートと、上記入力増幅回路に接続された平衡ポートとを有するバラン構造体とを含む。
【0046】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0047】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0048】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0049】
説明の都合上、本開示技術の具体的な態様を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本開示技術は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0050】
30 試験測定装置
32 プローブ
33 バラン
34 ケーブル
36 バラン
38 差動入力増幅器
40 第1伝送線路
42 第1遅延部分
44 第1伝送線路の第1結合部分(共有遅延部分)
46 第1伝送線路の第2結合部分
48 第2伝送線路
50 第2伝送線路の結合部分
52 第1伝送線路の第3結合部分
54 シングル・エンド・ポート
56 終端部品
60 ビア(VIA)
62 ビア(VIA)